第3回非営利法人課税ワーキンググループ 議事録

平成15年2月7日開催

委員

それでは、第3回の非営利法人課税ワーキンググループを始めさせていただきます。

本日は、内閣官房の行政改革推進事務局の公益法人等改革室長、それから参事官にいらしていただいております。こちらの公益法人課税の議論をする前提になっております公益法人制度改革全体の問題ですが、そのことについて検討状況をお話しいただいて、あとでまた皆様にご質問等をいただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。

事務局

内閣官房行政改革推進事務局で公益法人改革を担当しております。本日は説明の機会を与えていただきまして、大変ありがとうございます。

私ども、昨年3月末の閣議決定を受けまして、公益法人制度の抜本的改革に向けて、現在作業を進めているところでございます。昨年の8月には論点整理を公表いたしまして、国民各層から広く意見を募りましたほか、11月からは、行政改革担当大臣のもとに民間有識者による懇談会を開催して、検討を重ねてきたところでございます。

本日お配りしております資料は、これまでの懇談会で出された意見というものも踏まえながら、現時点での私どもの整理ということで、今後の基本的な方向についての考え方をとりまとめたものでございます。

この基本方向案でございますが、これは私ども事務局として責任を持ってつくっているということでございまして、今後3月末の公益法人制度等の改革大綱の決定に向けて、さらに深掘りをした作業を進めていきたいと考えておりますが、いずれにいたしましても、税制上の措置をどのように考えるかということは、この公益法人制度の抜本的改革におきましても、極めて重要な位置づけになるわけでございまして、先生方の今後のご議論、私どもも大変関心を持つといいますか、大きな意義があるというふうに考えているわけでございます。

それでは、お手許の資料につきまして、参事官のほうから逐次ご説明をさせていただきたいと思います。

事務局

よろしくお願いいたします。お手許の資料、基本方向(案)とございます。これに沿って説明させていただきます。

最初、前文の数行は経緯等でございますので、省略させていただきます。

「1共通の非営利法人法制の創設」とございます。現行の公益法人制度につきましては、ご案内のとおり、公益性を認められて初めて法人格を取得するということで、公益性と法人格がセットになっておりますけれども、一旦法人格を取得すると、なかなか公益性の見直しがしづらいという現状にもございますので、この際、公益性と法人格を一旦切り離して、法人格はとりやすい制度にしたらどうかという問題意識からの改革案でございます。

「法人類型の一元化」とございますが、公益法人制度、中間法人制度を一括りにして非営利法人という法人類型を設ける。

次のパラグラフでございますが、簡便な方法で法人が設立できるように、登記、準則主義で設立できるようにするということでございます。ということで、法人格は公益性の判断とは切り離して付与する制度とするということでございます。

最後の部分はNPO法制度でございますが、現行のNPO法制度につきましては、民法の特別法という位置づけではございますが、対象範囲が公益法人と多く重なるといった事情等もございまして、ほかの学校法人等の特別法とは異なりまして、この際、この検討の中で発展的に解消される可能性が高い。いわばこの改革の中に吸収されていくというふうに考えておりますし、この改革の中で一緒のものとして検討を進めていきたいと考えているところでございます。

(2)のガバナンスの関係でございますが、この非営利法人の部分のガバナンスとしましては、同じように準則主義をとる現行の中間法人制度がございますので、これをモデルとして基本としながら、商法のほうでもガバナンスの強化の方向で改正なども行われておりますので、これも参考にしながら具体的検討を行う。具体的には、理事の責務を明確化する、監事の必置など、会計処理原則の統一などといった項目について、具体化を図るということを考えてございます。

なお、基金制度につきましては、なお今後そのあり方も含めて検討するということでございます。

ディスクロージャーの関係でございますが、これも中間法人並みのディスクロージャーを法律上法人に義務づけるという考えでございまして、対象者は利害関係者、対象文書は法人組織に関する文書として定款等、業績に関する文書として財務諸表等を考えているところでございます。

それから、事後チェックでございます。準則主義の場合には、行政庁が直接出てまいりません。ということで、これを事後チェックを仕組む場合には、裁判所、司法手続によるということになります。裁判所による法人解散命令制度、解散判決制度などの導入を図ることを考えてございます。

2として「財団制度」とございます。(1)に「財団の濫用防止等」とございますが、財団につきましては、財産を中心とする制度ということでございまして、仮に準則で設立を考えようとする場合には、容易に濫用されるおそれが拭い切れないということでございまして、具体的には自己の財産を法人の財産とすることにより、相続税逃れと思われるようなことも行いかねないということでございますので、その濫用防止のための方策というものを今後検討して行くといったことを書いてございます。この財団の部分については、なお検討事項が多々ございまして、検討途上ということでございます。

それから、(2)に「財団に係るガバナンス等」とございますが、財団の場合、寄附行為変更手続とか基本財産の取崩しといったようなことが、実際上なかなか行い得ないという実情にございますので、弾力的な財団運営を確保すべく、そのような手続について整備する。

それから、法人のガバナンス強化といった観点から、監事、評議員などの設置についても検討するということでございます。

一番最後に、「一定の優遇措置のための『社会貢献性』の判断」とございます。かぎ付きで「社会貢献性」とございますが、いわゆる「公益性」という言葉に代えて、ここでは「社会貢献性」という言葉を使わせていただいております。公益性は一つ使い古された言葉ではないか、あるいは官益というようにとられかねないとか、公益法人という公益という看板で仕事をするのはいかがなものかといったような一部ご意見もありまして、この際別の言葉をということで、暫定的ではございますが、このような用語を使っているところでございます。

おめくりいただきまして、「考え方」とございます。ということで、3番目のパラグラフでございますが、社会貢献性の判断というのは、法人格の取得から切り離すということと、その判断を恒久的なものとはせずに、柔軟に見直し得るような仕組みとするということで、例えば更新制を導入するといったことも考えられるということでございます。

それから、法律に定めた要件を満たすかどうかの判断というのは、特定の主体が行うということで、これにつきましては、課税庁の場合もありましょうし、第三者機関の場合もありましょうし、また行政庁が一元的に行うということも考えられるわけですけれども、この時点では特定の主体ということで、具体的には明記してございません。そのような要件を満たした法人につきましては、ガバナンス、ディスクロージャーなどについて、非営利法人にプラスアルファの規律が適用されることになるということでございます。

(2)の「『社会貢献性』の判断基準」でございますが、法律上、客観的で明確な基準であることとするということが大原則でございます。その要素につきましては、以下、ア、イ、ウとございます。この3つの要素を適切に組み合わせていくということでございますが、ちょっとおめくりいただきまして6ページ目でございます。「社会貢献性の判断基準として考えられる例(未定稿)」とございます。現時点ではあくまでも例示でございますが、このようなものをイメージ的にお示しさせていただいております。

アとしまして、法人の事業の領域、社会貢献的な事業であるという目的、領域といったものとして、このような例が考えられるのではないかということで、保健、医療、福祉、社会教育の推進等々を挙げてございます。アメリカ、イギリス、ドイツなどもこのような分野を具体的に掲げているところでございまして、そのようなものを見比べながら、共通的なものとしてこのように例示として挙げてございます。

それから、イとしまして、事業活動の実績を見ての基準ということでございまして、事業活動をすでに行っている法人につきましては、その事業実績とか財務状況に着目して、以下のような指標というものも考えられるだろうということでございまして、これらの指標を満たす必要があるといった基準の構成を考え得るということでございまして、1つは社会貢献事業占率ということで、社会貢献事業を一定割合以上やっている。それから、収益事業占率ということで、営利企業と競合関係にあるような事業を行う場合には、一定割合以下であるべきであろうと。それから、内部留保占率ということで、あまり貯まりが多くてはいけない。あるいは管理費占率ということで、管理費の支出総額が一定水準以下であると。あるいは適正な経理の関係。

おめくりいただきまして、ウとして、法人として服すべき組織的規律ということで、社会貢献性を有する法人となる以上、服すべき規律があるであろうということで、残余財産の分配禁止、暴力団関係ではないこと、共益目的、いわゆるインナーサークルの利益を主たる目的としない、理事構成につきましては、同一の親族で占められるようなことがあってはならない、といった指標が考えられるということでございます。

こういった指標、基準につきましても、時代や社会状況の変化に応じて見直していく必要があるのではないかと思っております。

お戻りいただきまして、4ページ目でございます。ガバナンスの特例でございます。いわゆる非営利法人のガバナンスにプラスアルファの規律としてどういうものがあるかということでございまして、理事構成の制限、今申し上げましたように、同一親族で占めるのは適当でないということ。それから、受託者責任。理事は法人から委任を受けて法人に責任を負うわけですけれども、それのみならず、受益者たる国民のためにも職務を遂行する義務を負うというような考え方でございますが、こういったものの明確化を図る。

それから、ディスクロージャーにつきましては、社会貢献性を有する法人につきましては、開示対象者は国民一般を対象とすべきだろうと。開示対象文書の拡大も図る必要があるだろうと。「国民にわかりやすい情報開示の在り方」とございますが、法人間の比較を可能にするように、フォーマットを統一するなど、例えばでございますが、そのような何らかの工夫が必要ではないか。こういったことでございます。それから、インターネットの積極的活用についても検討するということでございます。

事後チェックでございますが、これにつきましては、社会貢献性の有無を判断するということになりますと、その判断主体にその取消権まで最終的には付与する必要があるのではないかということで、まずはディスクロージャーによって国民一般の監視にさらすということでございますが、なお運営の適正を欠く法人については、機動的に判断主体のほうで検査などを行いまして、最終的には判断の取消しを行うような仕組みを検討するということでございます。

注書きでございますが、今申し上げましたのは、いわゆる法人制度上そのような社会貢献性の判断の仕組みを描くと、このようなことが考えられるということでございまして、税制上の優遇措置についての考え方、要件につきましては、財務省、本日この場の税調の先生方等において検討を進めていくという趣旨の注でございます。

それから、移行でございます。(1)につきましては、現にある公益法人が新しい法人制度にどう移行していくかということでございますが、3行目に「その際、理論的には」とございます。理論上は公益法人の有する財産というのは、公益目的に利用されるべきものであるということが筋としてございますので、新しい制度に移行するに当たっても、社会貢献性が認められないような場合には、財産も公益目的に処分すべきであるという筋としてのご議論もございますが、一方で移行に伴って生じる法人の負担とか社会的不利益を勘案した場合には、円滑な移行の措置というのをどのように考えていったらいいかということで、その具体的なあり方を以下に掲げてございます。

[1]としまして、新しい制度において社会貢献性が認められるという非営利法人についての移行につきましては、基本的にその社会貢献性というものが、今の公益法人制度と同程度の範囲なり規律なりということであれば、基本的には問題なく組織変更による移行とか財産承継を認めていいのではないか。

一方で、問題は[2]の新しい制度で社会貢献性が認められないこととなった場合に、どのように移行をさせるかということでございますが、一定の要件を付した上で組織変更による移行を認め、財産承継を認めることでいかがかということでございます。

この点につきましては、なお制度的課題も含めまして、いろいろ問題点もございますので、事務的にも検討中でございますが、その一定の条件というのを例示すれば、留意点として2点挙げてございますが、1つはこれまで公益法人として受けてきた非課税の恩典部分につきまして、何らかの課税措置を講ずるということは考えられないかという点、それから、新しい制度、移行先の法人となった場合の、その解散時に残余財産の分配禁止など、何らかの規律を設けるということも考えられないかと、こういったことを留意点として例示させていただいております。

それから、[3]営利法人への移行でございますが、営利法人への移行につきましては、これは全く別法人となるものですから、現行の手続、法人の解散といった形をとるということでございますが、営利法人と競合状況にある法人につきましては、新制度を待たずとも、現行の体制のもとで、営利法人への転換などを徹底して行うということも重要ではないかということでございます。

新制度において、社会貢献性が認められる法人からその社会貢献性が認められなくなった場合についても、移行措置が必要となってくるわけでございますが、これについても、残余財産の分配禁止などの必要な措置を講ずるということで、検討を進めてまいりたいと思っております。

その他、公益信託制度につきましても、公益法人制度と類似する部分につきましては、並行して所要の検討を進めていくということでございます。

注書きにつきましては、その社会貢献性という用語は、暫定的に用いているということでございますが、その内実は、特定の個人や団体の利益や構成員相互の利益を目的とするものではない。広く社会に役に立つ。雑駁にはこのような趣旨を表現しているつもりでございます。

最後に、8ページ目をおめくりいただきたいと存じますが、非営利法人のうち、社会貢献活動を行うものの登録制度をつくる場合のイメージ、登録制度と出てございます。ここの部分につきましては、法人制度の上から社会貢献性といったものを認定する仕組み、機関というものをどうイメージするかということで、一例で挙げているものでございます。ということからしますと、税以外の法効果としてどういうものがあるだろうかということを1つの前提として考えながらイメージしたものでございます。

(2)の登録基準とございますが、これはご説明申し上げました社会貢献性の判断基準ということで、ア、イ、ウとございます。

それから、(3)登録主体でございますが、国においては、どこかの行政庁、一元的に単一の行政庁でやる場合、あるいは第三者機関というものも考え得ます。地方分につきましては、都道府県が考えられるということでございます。

登録の主な法効果ということでございますが、税以外の法効果ということで、法人制度上描くとすると、このように挙げられるということでございまして、登録番号の付与、情報提供。これは国のほうで情報を集約して提供していく。

それから、名称の使用制限、情報公開の義務、業務報告書等の提出、こういったものが考えられるであろうということでございます。

(5)の事後チェックでございますが、このような登録の法的効果を受けるにふさわしい状態を維持しているということについて、国としてチェックする必要があるということで、一定の監督権限を付与するということで、登録主体のほうでその登録の取消しまで行えるようにする。その際には、改善命令といったことも考え得るということでございまして、最後は、一定期間ごとに登録を見直すような更新制度を導入する。

こういったものがイメージとして1つ考えられるということでお示しさせていただきました。

以上でございます。

委員

どうもありがとうございました。

それでは、今の行政改革事務局のご説明につきまして、ご質問、ご意見等……。

どうぞ。

委員

大体の説明はこれでいいのですけれども、僕は規制改革担当大臣の行革断行評議会に行って、一昨年からずっと公益法人問題に関わってきたので、ただ、去年は道路のほうで忙しくなったので、ちょっと抜けていますが、これは今大体のご説明はいいのですけど、皆さん多分イメージがわかないと思うんですよ。

僕が特に申し上げたいのは、実態が明らかでないところで上っ面で議論してもしようがないので。前に平成13年8月に、インターネットによる公益法人のディスクロージャーについてということで問題提起しておきました。それは公益法人等の指導監督等に関する関係閣僚会議幹事会申し合わせという、そういうあれになりまして、そして、すべての国所管公益法人に関わる措置として、平成13年度中を目途に、事業報告書、収支計算書、貸借対照表等、業務・財務等に関する資料をホームページに公開するよう要請したわけです。

これは一定程度やられたということなんですけれども、改めて確認してみると、要請したままになっていまして、じゃあ、実際に財務諸表等がインターネット上に載ったかどうかというのは、全然確認されていないんです。こういうことを一つ一つやっていくことが大事で、それはあとで財務省側からの報告があると思いますけれども、それと絡めてどういうふうにそれをやっていくかということを、具体的に考えていきたいんです。

それで、とりあえず財務省側の報告がある前に、今これを僕が申し上げておくのですけれども、結局、平成14年1月現在で国所管のものが48.6%と都道府県所管のものが18.8%で、全体で26.9%がホームページを開設してあるのですけれども、開設してあっても、そこに詳しい財務諸表等が載っていなければ、それは何の意味もないわけでありまして、結局、行革推進事務局がいろいろよく頑張っていらっしゃるのですが、しかし、自分たちが立てた企画がどういうふうになったのかというフォローがないんです。これだと無責任で言いっ放しになっているだけですから、そういうところをきちんと見ていくというか、つまり、新しいNPOとか中間法人とかいろいろな問題が出てくるので、それに対して統一的な基準を設けていくのはいいのだけれども、現状の実態調査と、それに対して要請したことがチェックされていなければ、つまり現状の、簡単にいえば不正を放置したままの現状の公益法人をただくっつけても仕方がない。現状の公益法人の徹底的な改革を含めながらの統一というふうな形で考えていかないと、意味を持ってこないんですね。それを少し申し上げておきたかったんです。

それから、もう一つは国に関わる行政委託型公益法人について、これも平成13年10月末までに、業務・財務等に関する資料を各府省のホームページに掲載するというふうに行革推進事務局できちんと決めてはいるんです。結局、あとはこれ各府省において対応するということで、それが各府省においてどのように対応したかという確認は、追跡調査は行われていない。これが実情ですね。したがって、結局これは総務省の行政管理室で今そういう調査をやっていませんということで、数は確認されていないんです。つまり、どれだけホームページに、どのくらい詳しい情報が載ったかということが。

まずそういう情報公開を基本として物事を考えていかないと、結局、どんなことを決めてもうやむやになっていきますから、僕は行革推進事務局がよくやっていることは知っているのですけれども、結局、行革推進事務局という内閣官房にあるものが、いろいろな指針を出したり方針を出しても、それは1つは総務省に引き取られ、1つは各省庁の所管であるということで、そのまま放置されていくというのが現状です。

ですから、例えば情報公開の実施状況なんかは、きちんと事務局で把握していなければ、総務省は年一回フォローするということで、そのままおざなりになっていくということで、今の直接行革推進事務局としてのご報告はご報告として承っているわけですけれども、やはりすでに問題提起されたものとか、確認されたものが、言いっ放しになったり、やりっ放しにしている限りは、何を決めても進まないだろうと。

したがって、僕は今税調にいるわけですけれども、税調のほうからかなり厳しく、具体的な税金をどういうふうに取っていくかということの詰めをこれから行っていくことによって、行革推進事務局の問題提起と、今度は税調の側からの具体的な詰め方、それを合わせていくことが必要だろうと、こういうふうに思っています。

まだ言いたいことはいっぱいありますが、とりあえずここでやめます。

委員

ありがとうございました。

実態について、あとでまたご説明いただきますけれども、そういう点、何か、よろしいでしょうか。

事務局

この関係は、委員からお話がありましたように、政府部内では行革事務局というよりは、総務省の管理室を中心にフォローするという形になっておりまして、最新の数字につきましては、今集計中だと思いますが、白書として若干古い数字になりますけれども、数字的には、今時点手許にある数字としては、委員が言われた数字ということであろうかと思います。新しい数字は集計中と聞いております。

委員

ありがとうございました。

あといかがでしょうか。

委員

実は今日一番いろいろなことを聞きたいのは、1つの案としての登録制度の内容のこと、それとの税制の関わりなんだけれども、今実態面の話があって、これは移行したって、移行の途中で非営利法人を2つに分けるわけだから、そのときに一体どういう判断基準でやるのか。今までのやつをただ単にぱっとパスしてしまって、内容を論議しないでいくのか。

しかし、内容を論議すると、これはえらいまた実態的に大変な作業が残るなという気がするのだけども、ちょっとその話はあとのほうにして、入り口で政界の人たちの意見を聞いたというので、「公益性」という言葉を大体使い古したし、汚れているし、ということがあって、「社会貢献性」という言葉に一応暫定的に変えているのだという話になっているんですよね。

これは、従来「公共性」だとかという言葉によって、かなり野放図にいろいろな組織がつくられて、そこに膨大な数の官僚が天下りしているということがあって、いろいろ批判されている。実態はよくわからないということで来たのだけど。

「社会貢献性」ということに言葉を切り換えた場合に、ただ単に暫定的に名称だけしようがないから変えているだけであって、ほかにまた変えるかもしれないよということなのかもしれないと思うけど、いずれにしても、これから新しい仕組みをつくるときにおいて、今事務局がずいぶんいろいろな方から意見を聞かれて、ここまで持ってこられたというお話だったので、いろいろな多様な意見が当然出たと思いますが、従来の「公共性」ということで非常に漠然とした概念よりも、「社会貢献性」というふうに名前を実際名目上変えたときには、内容についても、従来よりも厳しい内容規定にするのかどうか。そこのところが、いや、名前を変えただけで実態は変わらないよということなのか。今までどの程度その点について詰めてこられているのか、それをちょっとお伺いしたい。

事務局

それでは、私のほうからお答えしたいと思います。

今、委員からお話がございましたように、「社会貢献性」という言葉の意味づけでございますけれども、実は今、様々なところで「公益」という言葉が使われておりますが、ではその「公益」の定義とは一体何かといったときに、実は明確な定義はないわけでございます。今の公益法人が背負っている公益というものも、結局、今、各主務官庁が自由裁量で公益があるかどうかという判断でございますから、明確な基準がない。

そういう点でいきますと、ここで使っている「社会貢献性」という言葉と今の「公益」という言葉の違いというところで考えた場合に、私どもとしては、ピュアな意味の公益、パブリック・インタレストという意味で「社会貢献性」という言葉をとりあえずここで使っているわけですけれども、その大きな違いは、ここで一定の要件、これは一定の優遇措置を講ずるための要件ということになりますけれども、それをクリアしたものがいわゆる社会貢献性があるという、何と申しますか、ある程度外形的にこういった範囲に入るというところで大きく違ってくるのではないかと思っております。

いずれにしても、「社会貢献性」という言葉が意味するところは、公益ということとさほど違いはない。したがいまして、一般的に公益と考えられるということが、この社会貢献性と合致するというふうに考えております。あまりいい答えにはなっていないような気がいたしますが。

委員

それで、今のお話だと、今までは主たる官庁、都道府県が、それぞれのかなりの裁量の幅の中で認定してきてやってきたというわけでしょう。実際そうだったと思うんですよね。今度はもうちょっと一定の要件ということで、今おっしゃったみたいにやるので、少しずつ実態が変わってくるよというお話だとすれば、仮に移行することについて、4ページに書いてある「社会貢献性を有すると認められた非営利法人への移行」ということについて、そうなるのと、社会貢献性を認められない非営利法人への移行ということがあって、もう一つは全然商売だから、社会貢献性なんかを言うのはおこがましいというふうに分けるとすると、今、腹づもりとして、皆さん相当程度実態を把握されていた上で議論されていると思うので、社会貢献性が認められない非営利法人への移行というのは、どの程度存在するんですかね。ノーズルでいくと、全部そのままいってしまうのではないかという気がしないでもない。しかし、ここで一定の要件ということをおっしゃるのだから、抽象的なことは別にして、一定要件ということを入れた場合には、イメージとして、これから時間をかけて決める話だからわかりませんけれども、どの程度のものがこれから外れていくのかなと。何かある程度の感触みたいなものをお持ちでこういう文章を書いているんですか。

事務局

数的にどのぐらいあるかということになりますと、それは基準の決め次第だと思いますが、いずれにしても、今ある公益法人について、ここで考えている新たな基準が定まりますと、その基準をクリアしているかどうかというチェックが出てくるわけでございます。

そこで、私どもが先ほど説明いたしました社会貢献性の基準というところで考えますと、例えばその目的事業が完全に共益的なものであるとか、そういったものについては、その時点でもう外れていきますし、それから、実際の事業の実態を見たときに、例えば収益的な事業が一定割合以上になっていると外れていくとか、そういうふうなことになりますので、結局、1つは定性的な基準でどのぐらい外れていくか、それから、定量的なといいますか、数量的な基準のところでどのぐらい外れていくかということになりますので、具体的にどのぐらい減るかとか、ちょっとその辺は何とも言えませんが、少なくとも今の公益法人として認められているものの中で、純然たる共益的なもの、あるいは、要するにインナーサークル的なものは、定性的な基準からも抜けていくのではないかと考えています。

委員

この作業はどのぐらいの期間で行われるんですか、その選別は。

事務局

具体的に移行の作業をどのような手順で進めていくかということについては、まだ結論が出ているわけではございません。考え方としては、2つのやり方があるのではないかと思います。これはあくまでも個人的な考えでございますが、1つは、今の主務官庁が監督をしているわけでございますので、一定の基準ができたところで、その基準に照らし合わせて、主務官庁がチェックをし、何らかの中立的なところがそれをさらにチェックをした上で振り分けるか、あるいは新しい基準ができて、新しい制度が発足したあとに、一定の移行期間を設けて、その間に新たな判断主体がチェックをして決めていくか、いずれかの方法だと思います。

委員

今の主務官庁が選別するのだったら、およそ結果は見えていますよね。今あなたが言ったみたいに、明快にこれは性格が違うよというのは落ちるでしょうでけどね。そうでないボーダーラインケースでグレーゾーンにいるのは、みんなこれに乗っかってくるんじゃないですか。

事務局

したがって、ちょっと申し上げましたが、その場合は再チェックと申しますか、その必要が出てくるのではないかと思います。

委員

社会貢献性というのは、いろいろ考え方があって、これは定義できないんですよね。だからそういう言葉を使うことはいいんです。公益性よりも、社会貢献性という言葉を使うことは、1つの言い方としてはいいと思うんです。

ただ問題は、僕は何度も言っているけれども、これは例えば平成9年に公益法人の設立許可及び指導監督基準の運用指針というのが出ていて、そしてその中に情報公開という項目があって、「公益法人は、次の業務及び財務等に関する資料を主たる事務所に備えておき、原則として一般の閲覧に供すること」と書いてあるわけです。あえてここでまた申し上げますけれども、[1]定款または寄附行為、[2]役員名簿、[3]社団法人の場合は社員名簿、[4]事業報告書、[5]収支計算書、[6]正味財産増減計画計算書、[7]貸借対照表、[8]財産目録、[9]事業計画書、[10]収支予算書。

こういうものがすでに公開しようと言っているのですけど、公開されていて、僕は一昨年インターネット上に公開すべきだというふうに提案したわけですが、こういうことが全部明らかになって、我々が判断できる。社会貢献性というのは、こういう具体的な数字を見ながら判断できるということが大事で、言葉の上での「社会貢献性」というのは、それはそれで1つの言葉として成立するのですけれども、具体的にこういった数字をチェックして、誰が役員で、お金がどのぐらいたまっていて、事業計画書はどうなっていてということを見ることが、社会貢献性と対応してくるわけであって、ただいたずらに「社会貢献性」という言葉を公益法人から切り換えていくと、切り換えないよりは切り換えたほうがいいけれども、常に我々は具体的なデータと、何をやっているかということの中身と、そういうものと対応させながら、これは所管官庁が判断するということだけではなくて、国民が判断するというふうな、そういうことができる公開性を前提にした議論をしていかないと、いつまでたっても同じことを繰り返すだけであると思います。

委員

ありがとうございました。いかがでしょうか。

お話ですと、最初の出だしに、まず公益法人を前提にしますと、いわゆる法人格の取得と、公益性があるかどうか、社会貢献性とを分けて審査するというお話なのですが、前提としての営利法人に対する非営利法人というもの、いわゆる非営利団体について、法人格を取得すると認める。これはどういう考え方に立っているのでしょう。簡単にいえば、法人にしたいものは法人にすればいいということなのですが、それ自体は何も問題はないことなのでしょうか。

事務局

今、法人制度、特に非営利法人制度についてよく言われるのは、非営利活動を行いたい、活動そのものは別に法人格がなくてもできるわけですけれども、その活動を行っていく上で、法人格を取得するといった場合に、非常につくりにくいというところがございます。例えば、公益活動についていえば、NPOを除く特別法による法人を除きますと、1つはNPO法人ということになりますけれども、これもかなり公益法人に比べれば、手続的には簡素化されておりますが、それでもかなりの日数がかかるわけでございます。認証等々。それから、公益法人については、主務官庁の許可制ということでございますので、実際上は極めてその要求水準が高いということから、普通の方々が非営利活動、公益的な活動をやりたいといったときに、なかなか法人がつくりにくいというところがございます。

その原因の1つが、法人格の取得にあわせていわゆる公益性の判断というものが行われ、そこで税制その他の優遇措置とリンクしているということから、やはりそこで慎重な手続が行われるということであるわけでございますけれども、民間非営利活動というものを活発にやる、営利企業と同じように一定の要件が整っていれば、登記をすることによって活動ができるようにするということが、今後の日本の社会ということを考えたときも大切なことではないかという観点から、設立については準則という形で、登記すればできるようにしましょうと。

ただ、そこでいわゆる税なりの優遇を与えるという場合には、一定の要件、公益性というものが必要になってくるわけですから、それは法人格の取得とは切り離した形で別個の仕組みをつくる。それによって活動の円滑化を図っていこうというところがここの眼目なわけでございます。

委員

冒頭申し上げたように、私の主たる関心は、この登録制度というのにあるんですよ。大きな流れは、皆さん専門の方が集まって、こういうふうな仕分けをされてきたので、実態面の話は別の委員がおっしゃったみたいなことも当然あってしかるべきだと思うけども、議論の整理の仕方はおそらくそんなことなんでしょう。今さら我々が外部からものを言うあれはないわけだから、それはそれとして、私が大いに聞きたいことは、この登録制度ということなんです。

従来、国民の監視か、行政管理庁の監督・指導かということがあって、ホームページをオープンして、国民がみんな見られるようにするほうがむしろ、という話があって、それは当然のことだと僕は思うんだけど、いずれにしても、登録制度をつくって、税金のことはちょっと別にして、これに入るメリットというのは、本音は税金をまけてもらうという話だけなのかもしれないと思うけど、しかし、それだけでは具合が悪いわけで、従来の公益法人がずいぶんデタラメなことをやったということは、一般的に1割でもデタラメなことをやっていれば、9割がまた疑われるということは、いつの世の中でもあるわけで、全部が全部そうだとは思わないけれども。

そうすると、今度の登録制度での指導監督というのは、従来の都道府県、中央の役所がやっていたのに比べて、より一層税金のことが絡むものだから厳格にするのか、まあまあそこはそんなにギャーギャー言わないで、今の世の中だから、役人の指導監督なんていうことは、むしろなしにしても構わないんだと。しかし監視だけはしっかりしておく。だめだったら取り消すというふうにするのか。これはどうなんですかね。特に都道府県の場合には、その点が国の場合よりもずいぶんゆるふんであったのではないかと一般的に言われている。一般的ですよ、これは。

そうすると、登録制度だから国の全体の話ですよね。都道府県はまた別に考えろというわけだから、この全体の流れを見て都道府県も考えるのだと思うけども、いずれにしても、登録制度というのは、従来よりも指導監督を強化する。

また、どこの役所がやるのかということもまた大問題で、個別の省庁がやるわけがないから、内閣府のしかるべきところでおやりになるというイメージでやっていらっしゃると思うので、それは考えてみればほかに持っていきようがないから、それはそれでいいのかもしれないと思うけども。

いずれにしても、今よりも強化するのか、強化しないのか。強化するとすれば、具体的にはどういうことを考えるのか。ここに今あなた方が挙げてあるのは、登録基準だ、登録主体だ、いろいろ書いてあるけれども、これも一応必要なことだから、それはそうでしょうねということだと思うけども、最後にできの悪いやつは事後チェックで外すよということが書いてあって、それを一体、この登録制度がどういうメンバーで構成されるか知らないけれども、そんなに権威ある形でできるのかなと。それがなければ、あまり実態は変わらないかもしれない。それではつまらないので、これだけ大改正をやるのに。

今いろいろなことを申し上げたけれども、包括的に答えをもらいたい。

事務局

それでは、適切な答えかどうかはちょっと自信がございませんけれども、お答え申し上げたいと思います。

登録制度につきましては、これは参考2でもイメージと書いてあるぐらいの話でございまして、かっしりとして考えたものではございません。なぜここで登録制度ということを提起しているかと申しますと、法人そのものは準則主義でできるわけでございますけれども、そこに対して税制上その他の一定の優遇措置を講ずる必要があるとした場合に、いわゆる一定の要件というものが必要になってくるわけでございます。

結局、要件のチェックの判断主体というところにかかってくるわけでございますけれども、一つの考え方としては、アメリカやドイツのように、税制上に関することだから、税法で全部書けばいいではないかという考え方もあると思います。その場合ですと、ここに登録制度をつくらなくても、実際上の効果は出てくるわけでございます。

それに対しまして、イギリスなんかはチャリティ委員会というのがございまして、チャリティコミッションがやっておりますから、仮に税とリンクするとしても、その前段階と申しますか、別の判断手段を設けるとした場合に、そこの判断主体が一体何をするかというところがあるわけでございます。というのは、税の前置としてのチェックだけということになりますと、別の主体をつくる意味というのがありませんので、そうすると、そこで考えられるのは、イギリスのチャリティコミッションがやっているような登録、一定の基準を満たしているかどうかの登録ということ、そこで一定の基準をクリアしているかどうかというのを、それぞれ個別にチェックをしていくということになると思います。

したがいまして、そういったイメージでいきますと、今の主務官庁と比べてきつくなるかどうかということでございますが、それは実は何とも言えないとしか言いようがないわけでございます。なぜ何とも言えないかというと、今の主務官庁というのは、結局、言い換えれば自由に指導監督ができるわけですから、やろうと思えばできますし、やらないと思えばやらなくてもいい。

ここで考えている登録制度の場合になりますと、登録基準等が明確にあるわけですから、その基準を満たしているかどうか、すなわちコンプライアンスを見ていくということになりますので、そこでチェックしていく範囲というのは、当然決まってくるというふうに考えています。そこでチェックする場合は、やはりコンプライアンスということでございますから、明らかに違法な状態がある、あるいはそれがそういった規定が守られていない、あるいは守られそうにないとか、そういった様々なところで出ていくということになるのではないかなと考えております。

委員

税の判断をやるのは、どうせ国税庁か何かがやる。基本的にはそうだと思うのだけど、そのこととの関連はどういうことになるのか。

事務局

したがいまして、一定の優遇措置というのはどんなものが考えられるかということにかかってくるわけでございますけれども、私どもでいろいろ考えてみたわけですけれども、やはり大方というか、まずほとんど税の関係だと考えております。したがいまして、この登録制度というのも、結局、税の優遇と完全にリンクしているということに大きな意味があるのだと思います。仮に税と全く無関係にこの登録制度をつくったとしても、機能いたしませんし、仮にそういう形で登録なり評価ということをやるとすれば、それは国とは全く別の、つまり全く民間レベルで考えるべき話になるのだろうと私は思っております。仮に税と全く関係ないという世界になればですね。

委員

座長、一回財務省がやってから、もう一回戻したほうがいいと思いますけれども。順番でしょう。次、財務省でしょう。やった上で、もう一回今の議論を進めたほうがいいと思いますよ。

委員

どういたしましょうか。今、委員がおっしゃられたように、いわゆる優遇措置ですね。実際税金以外にどれだけのものがあるのかというのが曖昧なまま、こういう形で基準ができているというところが不思議なんですけれども、いかがなんでしょう。

事務局

3ページ以下に社会貢献性の判断基準ということで書かせていただいておりますけれども、3ページ目の一番上の(1)の第2パラグラフにございますけれども、どのような優遇措置を講ずるかについては、「民間企業や個人の活動を阻害することにつながらないことを前提になお検討する」ということで、どのような優遇措置があるかということは、税以外にも何か考えられるのかなということで、なお検討。その場合にはこんなことが考えられるのではないかということでございますけれども、ただ、なお検討するというところでございますが、なかなか実際考えても、税以外なかなか考えつかないなと。

したがいまして、その辺の判断基準ということになりますと、まさにこの税調のワーキンググループでこれから具体的にご検討されるその検討基準というものと、十分リンクをさせるということしか意味がないのではないかと思っております。

委員

こちらの行革事務局がつくられた審議の報告、これはこちらのワーキンググループで検討するものではありませんけれども、さて、そこが税金の問題と何か具体的に出てこないと、4ページに例えば事後チェックの特例だとかいうもの、これ全部一体何をどうやって事後チェックをするのか。先ほど裁判所というお話も一般的な非営利法人で出ましたけれども、具体的なイメージがないまま事後的なチェックをどうするとか、ディスクロージャーをどうするという話をされても、ちょっとわかりにくいところがあるんですね。このあたりは、事務局のほうで詰めていただくという……。いかがですか、これは。

事務局

税制面の検討は、本日これから後半議論していただくのは、最初の基本的な考え方の検討をしていただいて、今ご議論いただくような議題というのは、次回以降ということになりますので、とりあえず今日は内閣官房の方が来ていらっしゃいますので、この考え方についていろいろと質疑いただいて、そのあと、まず第一歩の基本的考え方を税制で議論していただいて、いずれの機会かに、また必要があれば内閣官房の方に来ていただくということではないかと思っております。

委員

では、そういう形にさせていただきたいと思います。

委員

手続論で1つだけお聞きしておきたいのですが、我々がこれから議論するのは税制だと思うのですけれども、税制を議論するときに、基本的にこれは社会貢献性が満たされた法人の、内閣官房のほうの案がこのまま通ればということですが、登録制度に乗っかった法人にのみ何らかの税制の優遇措置を与えるということになるのか。つまり、我々の議論というのは、これに縛られるのか、それとも、もう少しどこか弾力性があるものなのか、そこのところだけちょっと確認といいますか、教えておいていただきたいのですが。

委員

これは私が答えることかどうかわかりませんが、少なくとも税制は税制で、公益法人制度は公益法人制度という別の法律体系になりますから、縛られるということはないと思うのですけれども、いかがでしょうか、ご意見は。

事務局

そこは基本的にはそういうことだろうとは思いますが、ただ、1点だけ、これは外在的に決められたスケジュールですが、3月末に閣議決定を前提にした大綱というものを、政府全体としてとりまとめることがすでに決まっておるものですから、そういう意味では、内閣官房でお考えのことと、この税、これからご議論していただくこととが、整合的に何か考え方としてまとまっていけば、それを書き込めるわけですが、仮にそれがそこの段階に至らない場合にどうするかという問題は、またその段階で考えなければいけないと思いますけれども、そんなような中でご議論いただければと思います。

委員

もう一度確認ですが、ということは、税に関して我々が議論したことが、何か社会貢献性に近い概念であって、しかし、内閣官房のほうの定義とは若干違うとか、登録の中身が若干違うというようなときには、場合によっては、我々のほうに少し内閣官房のほうにすり寄っていただくというようなこともあり得るということでよろしいわけですか。

事務局

そこはむしろ内閣官房側のお考えもあれですけれども、我々としては、税については税としてご議論をいただいた上で、内閣官房側にそれをお預けして、整合的なものになるべくできるような往復を多少しながら、まとめに向けて収斂させていただければというふうに希望を持っておりますけれども。

委員

そういう手順でよろしいでしょうか。

事務局

はい。今、事務局のおっしゃられたとおりと考えております。私どももこのような考え方をお示ししましたけれども、これは決して税調の議論を縛ろうというものではございません。したがいまして、こちらでご検討された結果、必要があれば調整をしながら持っていきたいと思っておりますので、税調としては、税制上の観点から十分ご議論していただければと思っております。

委員

ありがとうございます。

よろしいでしょうか。あと、今、事務局のほうからお話が出ましたように、また機会があればこちらのほうへ来ていただいて、ご説明いただきたいと思います。どうもお忙しい中、ありがとうございました。

委員

すみません、これ、今税調と行革推進事務局と共有しなければいけないことがいっぱいあるわけで、そこの部分を共有しながら行革推進事務局でいろいろなこれから検討しなければいけないと思うので、僕は今終わってお帰りになる必要ないと思うんですね。それを前提に僕は今日来ているわけでありまして、僕はたまたま両方知っているからあれですけれども、やはり公益法人の様々なこれまでの指導監督基準があって、その指導監督基準が常に骨抜きにされてきたプロセスがあって、したがって、税で監視しなければならないというような話が出てきているわけであって、税は税で単に単独でこの問題を扱うということではないんですよね。

ですから、当然ながら、ものすごい内部留保を持って、何で収益事業をやらない公益法人が、一応収益事業部分を持っていたとしても、いろいろな名目で内部留保をしていくということに対して、税としてはどうしたらいいのか。こういうことを当然考えるわけだし、公益法人側でいろいろな監督基準をつくっても、全部それが骨抜きになっていくとしたら、その改革というのは一体何なのかということで、これから新しい、今までの省庁所管の公益法人だけではないNPO法人等、いろいろ含まれてくるんだけれども、現状の問題の解決をきちんと示しておかないで、新しい概念のそういうNPOとかが出てきたってしようがないわけで、そこのところをどうせ一元化するわけですから、社会貢献というのは、具体的に今回の行革推進事務局での社会貢献の意味づけのところに、経営の実績というか、運営の実績みたいなことがきちんと入ってきて、これは必ずお金の問題が絡んでくるんですよ。こういうことを抜きに話を進めても全く意味がない。ですから、まだお二人残っていただいて、きちんと共有していくものは共有していかないと、そして、その両方を合わせた改革をしなければだめなんですね、これは。

委員

ありがとうございました。

いかがでしょうか。今、こういうご意見が出ておりますが、このまま在席していただくということ、構いませんでしょうか。

事務局

私は構いません。

委員

次回以降どうするかは、また事務局と詰めていただいて、出席いただいたほうがいいかどうか、また検討させていただきたいと思いますが、本日そういうことですので、よろしくお願いいたします。

それでは、これからは税制の問題ということで、非営利法人に関する課税について議論をしていきたいと思います。また、前回は12月でしたので、大分飛んでしまいましたので、公益法人の基本的な課税関係といったもの、制度の仕組みと課税関係、それから、委員からお話のありました公益法人の実態について、わかる範囲で調べていただきましたので、事務局のほうからご説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

事務局

それでは、まず、資料非営利WG3‐1、「公益法人の実態」と書いてございます資料に基づきまして、前回宿題をちょうだいいたしまして、不十分かもしれませんが、私どもなりにまとめさせていただいたものでございます。

おめくりいただきまして、2ページからご説明をさせていただきます。

まず、設立目的別に2万6,000の公益法人を分けてみたもので、これは基本的には総務省の調査をベースにいたしております。1つの法人で複数の目的を回答するのが可能になってございますので、必ずしも2万6,000というわけではなくて、右のほうにございますが、全体の目的が3万6,000ほどあることになってございます。

この中で見ていただきますと、多いのは生活一般、保健・衛生・医療、あるいは福祉・介護といったもの、あるいは左下のほうの教育・学術といったところが多くございますが、最近増えてきておりますNPOなどに比べますと、左上の例えば産業、農林水産、通商産業といった分野、あるいは政治・行政といった分野が、それなりに公益法人としては存在しておられるというところが特徴的でございます。

3ページをお開きいただきますと、その内訳として、上のほうから生活一般、教育・学術とございますが、その次の項で政治・行政として、政治・行政あるいは財政・経済、地方行政といった分野、それから、産業というのが一番下に7,440あるとございますが、この中に農林をはじめとする様々な産業分野の関係の公益法人が存在しているわけでございます。

4ページをお開きいただきますと、今度は年間収入別に公益法人を分類したものでございます。小さいところから大きいところまで様々でございます。平均をとりますと、約7億7,000万円ということになりますが、一部非常に大きな収入額を持っている公益法人がいらっしゃるためでございまして、いわゆるよく言うミディアン、中位、2万6,000の公益法人のうち1万3,000番目が大体どれくらいかと見ますと、約6,000万円ということになります。ただ、上のほうにも下のほうにも幅広く存在されておられます。

右のほうに年間収入額上位3法人とございまして、大変多額のところがございますけれども、これは上のほうから、住宅公庫などに伴う融資に係る信用保証とか、これは信用保証料がたくさん入ってきております。あるいは、次のものはJAの職員の方の退職給付金などの共済事業を行っておられるところで、その掛金といったものがたくさん入ってきているということによるものでございます。

それから、5ページをお開きいただきますと、資産額別の公益法人ということで、こちらも同様の事情にございまして、小さいところから大きいところまで、まさに幅広くございまして、平均をとると約50億円近くになります。ただ、これは右上のほうにございますが、大変多額の資産額を持っている法人がいくつかあるわけで、例えば公庫住宅融資保証協会68兆円とございますが、68兆円のうち67兆6,000億円は、いわゆる保証債務、保証業務をしておりますので、その見返勘定が資産に立っているという意味で、ほとんどそういう形の名目的な資産が立っているということでございまして、必ずしも実態と一致しているわけではございません。

2番目も3番目も信用保証業務をやっておられる財団・社団法人でございますので、同様の事情にございます。

したがって、これを例えば、先ほど申し上げましたミディアンという概念でとらえると、1億500万円ぐらいになります。ただ、ここにございますとおり、1,000万円未満の小さなところもたくさんございますし、大きなところもたくさんあるということになってございます。

6ページをお開きいただきますと、今度は公益法人全体の収入構造を見たものでございます。事業収入が約3分の2、その他が3分の1ということでございまして、その他として大きなものは、会費収入、財産運用収入、寄付・補助金収入といったところでございます。

それから、7ページをお開きいただきますと、支出構造でございます。こちらも事業費が68%ということでございます。その他の中心的なものとしては、管理費、いわゆる人件費や事務所の賃料といった固定経費、経常経費といったものが8.6%ということになっております。

それから、8ページをお開きいただきますと、年間収支差別の公益法人数でございます。収益事業以外はいわゆる非課税ということになってございますので、企業会計あるいは税務会計における利益とか所得といった概念とは違う概念でございます。つまり、これは総収入から総支出を差し引いたものという単純な概念でございますが、ここにございますとおり、赤字のところもそれなりにございます一方、5,000万円以上の収支差があるというところもかなりあるわけでございます。なかなか利益といったことと同じではございませんので、単純な比較はできませんが、民間の営利法人、今、黒字法人割合が3割であるということに比較いたしましても、ここの年間収支差という意味でいきますと、半数以上がいわゆる黒字、少なくとも収支差がプラスであるという状況になっているわけでございます。

それから、9ページをお開きいただきますと、内部留保水準別の公益法人ということでございます。右上のほうにございますが、この場合の内部留保というのは、公益法人の指導監督基準上の内部留保という概念で総務省のほうでお調べになっておられるところでございまして、総資産額から基本財産あるいは基金、それから法人の運営に不可欠な固定資産、それから負債相当額、引当資産といったものを控除したものを内部留保と概念をいたしまして、その内部留保が、次の丸にございますが、一事業年度における活動費、具体的には事業費、管理費、固定資産取得費に対して、どれぐらいの割合を持っているかというものを見たものでございます。

左のほうにございますが、その内部留保水準がマイナスになっているところも1割強ございますが、黒字のところもそれなりにございまして、特に、例えば1,000%超というところ、いわば10年分以上の事業活動に当たれるための内部留保を持っておられる法人というのも、それなりに存在しておられるわけでございます。

右下のほうの(注)のところでございますが、公益法人の設立許可及び指導監督基準の運用指針では、内部留保水準は一律に定めることは困難であるけれども、原則として30%以下であることが望ましいと一応されておりますけれども、この水準にある法人は約6割程度ということになっております。

それから、10ページがその内部留保を今度は金額で見たものでございまして、1億円以上といった巨額に上るところもそれなりにおありでございます。

右上のほうにございますが、茨城県開発公社あるいは互助会といったものがその中にあります。私ども個別の事情はなかなかわかりませんが、茨城県開発公社は、少なくとも調べたところでは、工業用地や住宅用地の取得・処分を行ったりされているところでございまして、どういう事情でこれだけ内部留保が膨らんでいるかは定かではございません。

それから、11ページをお開きいただきますと、税法上の収益事業をどれぐらいの公益法人が行っていらっしゃるかということで、約3分の1の公益法人が税法上の収益事業、今33の事業が列挙されているわけでございますが、これをなさっておられるわけでございます。10億円以上の法人も3%あるということで、かなり収益事業をたくさんしておられる法人というのもあるということでございます。

12ページで、その税法上の収益事業はどんな事業をされているか、届出がなされているかといったことを整理しておりますが、物品販売業、請負業、出版業といったところが多くなっております。

それから、最後でございますが、13ページにまいりまして、法人性格別の公益法人数ということで、これはまさに指導監督基準等に照らし合わせまして、(注)のところでございますが、各所管官庁、主務官庁のほうで、現在の公益性に関する基準から判断して、所管法人を4類型に分類されたものでございます。本来の公益法人が約84%、それから、いわゆる共益を目的とするような互助・共済、業界団体といったものが約14%、それから、営利企業と実質的には同じような事業、競合する事業をやっておられるということで、営利法人の転換候補として考えているのが0.2%といったことになっております。

以上が公益法人の実態としてご説明させていただく分でございます。

続きまして、資料非営利WG3-2、「非営利法人の課税等の概要」、こちらは基本的にはこれまでご説明をさせていただいたものでございますが、日にちも経過しておりますので、もう一度簡単に要点の部分だけを抜き書きさせていただいております。

1ページをお開きいただきますと、昨年3月の閣議決定。これは見ていただきたいものでございますが、2のところに、当面の取組みとしては、平成14年度中、平成15年3月を目途に大綱を策定し、この中で改革の基本的枠組み、それから今後のスケジュールを明らかにするということになってございます。そのスケジュールに基づいて、基本的枠組みに沿った上で、平成17年度末までを目途に法制上の措置等を講ずるということにされております。

税制上の論点でございますが、2ページをおめくりいただきますと、今、非営利法人制度の対象となっております法人としては、公益法人、NPO法人、中間法人とあるわけでございまして、基本的には公益法人につきましては、主務官庁の許可のもとに法人格が公益法人として取得される。この法人格の取得に、現在は法人課税としても原則非課税ということで、連動するという形になっております。

NPO法人につきましても、都道府県知事等の認証に基づきまして設立されて、それが非課税ということになってございます。

中間法人は準則主義、今回お考えの非営利法人と同じような準則主義でございますが、こちらについては、普通法人並み課税ということになっている。ここをどうするかというのが論点の1つ。

それから、2つ目に寄付金税制といたしまして、公益を目的とする公益法人とNPO法人につきましては、それぞれの認定を受けた上で、特定公益増進法人、認定NPO法人になるものにつきましては、これらの法人に寄付をされる個人の方、あるいは株式会社等にとっての課税関係で寄付金の優遇税制が仕組まれておりまして、これを今後どうするかというのが2つ目の問題でございます。

3ページをおめくりいただきますと、1つ目の法人自体に対する課税の問題といたしまして、社団・財団、あるいはNPOという公益を目的とするものについては、現行制度では非課税、中間法人は共益を目的とする準則主義だということで課税ということになっておりまして、それを今後右のような新しい制度のもとでどのように考えていくかという問題がございます。

4ページで、その関係をもう少し全体的に整理し直してみましたので、こちらでもう一度ご説明をさせていただきます。

左側が現行法人制度でございまして、4つの象限に分けて分類をさせていただいております。左の端にございますが、営利法人、非営利法人ということがまず区分されておられまして、今回は下の非営利法人に対する課税というのが検討課題でございますが、民法上と申しますか、法律上の営利・非営利の区分というのは、通常の金儲け活動だとか、民間のいろいろな事業だとか、そういう概念とは別の概念で、左にございますとおり、利益分配をすれば営利法人、利益分配をしなければ非営利法人という分け方で立てられております。

営利法人は、もちろんメセナ活動などをされるところもあると思われますが、基本的には非公益の右側の、まさに営業活動をされるということになりまして、株式会社、有限会社、これは課税ということになっております。

一方、下側の非営利法人につきましても、こちらもしたがいまして利益分配をしないということが非営利法人の定義でございますので、どのような事業活動をするかというのはいわば自由でございます。その中で公益的な事業活動をするものとして左下のところがございまして、公共法人、これは特殊法人などでございますが、それから公益法人、NPO法人、それから特別法に基づきます学校法人、宗教法人といったものがあるわけでございます。

また、現行の制度では、右のほうに中間法人という、やはり登記で準則主義で幅広く認められる公益を目的としない法人の類型がございまして、これが中間法人としてあるということで、中間法人につきましては、非公益を目的としているということで、現在、課税をさせていただいているということでございます。

今回の内閣官房のほうで検討されていらっしゃるのは、この公益法人、NPO法人、中間法人という3つの類型につきまして、右のほうの新法人制度というところがございますが、これを非営利法人として一括をする。形としては、その上に準則とございますが、現在の中間法人と同じように極めて幅広く、入り口をたやすくつくるような形で法人格の取得を認めていきたいということが、先ほどご説明いただいたところでございます。

それから、残余財産の分配というのも、実質的には利益分配と同じでございます。要するに、やめるときにはみんなで山分けができるという意味では、利益分配と同様の意味を持つわけでございますが、今回の準則に基づく非営利法人、右のほうにございますが、残余財産の分配は禁止されておられないというふうに認識しております。

これが法人制度全体の状況でございまして、ひとまず3月までの間には、ここの四角で括りました公益法人、NPO法人、中間法人についての課税関係についての基本的な考え方というものをご整理いただきたいということでございまして、そのご整理に伴って、さらに具体的な制度設計を平成17年度末までに進めていくということになります。

委員

ありがとうございました。

それでは、ちょっと時間をいただいて、今、事務局からお話がありました公益法人の実態、委員から前回提出の要求があったものですが、それと、これは何度か出ましたけれども、非営利法人の課税の仕組みについて、ご意見などいただきたいと思います。

委員

「公益法人の実態」という資料のページをめくって、「収入構造:公益法人全体」というのがありますが、円グラフの右のほうに、項目で会費収入、財産運用収入、寄付・補助金収入、事業収入、その他の収入と書いてありますけれども、この補助金収入というものは今いくらですか。これは財務省のほうですか、それとも、行革推進事務局ですか。

事務局

実はこの総務省がなされた調査の中では、寄付金の収入というのと補助金の収入というのが分かれておりません。したがって、先生がおっしゃられている数字がないわけでございますけれども、必ずしもその概念と一致しているかどうかはわかりませんが、私どもで調べたところでは、一つわかりますのが、国所管の公益法人に対する国からの補助金というものが、平成12年度決算ベースで約4,070億円ございます。それから、都道府県所管の公益法人に対する都道府県からの補助金というものが、3,200億円ほどございます。

必ずしもベースが一致いたしませんが、調べられましたのはその数字でございます。

委員

行革推進事務局で前にこれは調べたと思うのですけれども、これは年度別に減少しているはずの、というか数値目標をつくったと思ったのですけれども、それはその後どうなりましたか。

事務局

それは、行政委託型の改革に伴うものでございましょうか。

委員

結局、ここにある補助金と別の行政委託型に限定した補助金の削減の数値目標だったというふうに記憶しているということです。それについて説明してください。

事務局

今、委員のおっしゃられたことは、私どもが昨年行いましたいわゆる行政委託型公益法人改革に伴いまして、その際、いわゆる国から補助金を受けている公益法人について、俗な言葉でいいますと、丸投げ、あるいは丸抱えという状況を解消するために、その補助金、それぞれの法人の体質を改善するという計画でございます。

これにつきましては、ここに出ておりますもの、公益法人白書にはまだ反映されていないと思います。実際どのような形になっているかということでございますが、これにつきましては、昨年の3月末に閣議決定をいたしまして、それに基づいて実施をしていくわけでございますが、これでは改革対象となる国からの補助金が3,900億円。このうち平成14年度までに750億円。平成17年度までには1,100億円を削減する。これはあくまでも試算ということでございますが、そういう計画でそれぞれ現在実施中ということでございます。

委員

そうすると、今、国の補助金が4,070億円と財務省のほうで言われて、行政委託型で今3,900億円といったら、その補助金というのは、行政委託型がほとんどだというふうに理解していいですか。

事務局

行政委託型といいますか、国からの補助金が3,900億円ということですから、大体この数字合っているのではないかと思います。ただ、これは総務省の調べでございますので、背景事情がぴったり合っているかどうかということは、確認はまだいたしておりません。

委員

社団・財団法人における個別の補助金の一覧表というのはつくってありますか。

事務局

昨年の行政委託型公益法人改革の時点でどのぐらいあったかというものは、当方でつくっておりますけれども。

委員

個別の法人名を入れて?

事務局

今手許に資料がございませんので、確認はちょっとできません。

委員

それはあとでお願いいたします。

委員

改めてまた調べた上で、お教えいただくということで。

事務局

はい、承知いたしました。

委員

それで、今、委員のほうから追加的な資料ということで、先ほども1,000億円を超える内部留保をしているような公益法人がありましたが、それに関連した資料を今配付していただいております。

あといかがでしょうか。

委員

今勝手に配らせていただきましたけれども、内部留保1億円以上の社団・財団法人ですが、これは事務局の配布した資料では違うものがちょっと入っているので、イコールではないのですが。

さっきの茨城県のやつは何で入ったかよくわからないのですけども、茨城県のは、先ほど何か売却したから売上が出たというふうなことをちょっとおっしゃっていましたけど……。

事務局

ご説明いたしましたのは10ページでございますが、私どもどういう背景かは承知いたしておりません。

委員

10ページに1,327億円、茨城県の公社。これは今僕の提出した1億円以上のところになぜか入っていないのですけど。9番に入っていますが、何でこんなに急に増えたかよくわからないので、この辺が謎ではありますが。このときはだから178億円だったのが1,327億円になって、住宅団地とか工業団地を売ったからだというふうなことを今おっしゃいましたけど。

それはともかく、1億円以上の内部留保のものを、これはもう1年ぐらい前ですけど、総務省の行管局のほうから僕が資料請求して出してもらったんです。あえてこういう形で資料請求して出してくれと言わないと出してこないんですが、こういうふうなことが、非常にわかりやすいので、なぜこんなにいっぱい金をためておく必要があるのかなということの資料として、ひとつ皆さんこれは持っておいていただいて、この内部留保額が尋常ではないよということをご理解いただきたいと思っているんです。

財務省資料では3つだけサンプルが出ているわけですが、皆さん、円グラフの中で1億円以上が12.8%であると。どういうところだろうなと。右のほうに3つだけ出ているのではちょっとわからないということで、ご興味おありだと思うから、僕はあえてこれを出しているわけです。こういうふうに具体的に名称を上からつらつら眺めながら物事を考えていかないと、抽象的に議論しても何も始まらないんです。

それで、その次のページをめくっていただきたいのですけれども、次のページというのは財務省資料ですが、収益事業届出なし法人数65.8%となっているわけですね。これは多分次回の課題だと事務局は僕におっしゃったけど、一応、これは次回の課題であろうと、今ここで頭に置いておいて次回の課題にしなければいけないかもしれないから言いますが、収益事業届出なし65.8%ですが、65.8%が全く収益事業をやっていないわけはないのであって、つまり、これは前から問題にしております収益事業の33業種に当てはまっていないというだけであって、65.8%が収益事業届出なしと、こうなるわけですから、こういうふうに現状の実態の把握をする物差しが非常に不備であるというふうに理解しながらこの問題にアプローチしないと、全く意味がないんですね。

それから、今、電気工事技術講習センターという1つのサンプルを配りましたけれども、これは1ページ目はタイトルが打ってある。2ページ目は年表の続きみたいになっている。3ページ目に貸借対照表がある。この貸借対照表のずっと下のほうを見ていきますと、資産合計のところから5、6個上を見ると、定期講習安定化資産という名前がある。それから退職給与引当預金等、これはまあいいでしょう。その次に定期講習平準化引当預金等というのがある。

つまり、これは何を言いたいかというと、結局、今財務省で出しているいろいろな収益、たしか内部留保の表がありましたね、内部留保1億円以上とさっきの話がありましたけれども、内部留保が100万円とか1,000万円とか、そういう公益法人がいっぱいあるように見えるけれども、内部留保と書いてあるところだけ見れば内部留保だけれども、しかし、定期講習安定化資産とか、定期講習平準化引当預金等とかいうのも、これは内部留保なんですね。しかし、内部留保であっても、内部留保というふうにカウントされていないということが問題なんですね。

したがいまして、財務省のこの資料は非常に甘いのですけれども、こういうところまできちんと踏み込んで、何が内部留保であるかということを見ていかないと、国税庁がこういうふうなチェックに行っても、全然内部留保としてカウントしていないですから、収益事業の税金の対象としていません。

したがいまして、重要なことは、それで僕は、最初の話に戻るのだけれども、公益法人のディスクロージャーをきちんとしなければだめだと。これは平成9年のそういう監督基準があって、そのとおりやれと書いてあってもやっていなかった。今度は内閣官房行革推進事務局がそれを指示を出した。僕は行革断行評議会で当時問題提起して、指示を出して、インターネットでディスクロージャーしろと言った。ところが、ディスクロージャーしろと言っただけで、結局、ディスクロージャーはそのあとどのくらいどうしたかをチェックしていない。それから、こういう項目がある種の基準に基づいた項目として、内部留保という言葉に統一するなり何なりにしていかないと、これは我々国民が監視できない。国民が監視できないどころか、国税庁も監視できない。

こういうことになってくるわけで、まず、こういう問題をきちんと、つまり、おざなりにとりあえず今までの物差しや考え方でやっていては、今僕がまだあえてしつこく言っているのは、この問題をここで一回きちんとやらない限りは、多分またやるときがないだろうと。毎年毎年閣議決定したり、何とか幹部会議決定したり、いろいろなことをやっていて、それで何の成果も上げていないわけであって……。

さらにもう少し言いますよ。原則として、財務省が言いたいことはわかりますよ。つまり内部留保が収益の5年分もあるのはおかしいから、その年の30%以内に抑えると。こういうことを今日財務省は言いたいはずなんですが、30%以内に抑えるといっても、それは名目があふれ出て、違う名目でどんどん逃げていきますから、こういう中の貸借対照表に項目が出てきますから、30%と言って実際に認定できるのかどうか。というところまで踏み込まないと、中途半端ではこの改革はできませんよ。それをちょっと申し上げておきたかったんです。

委員

ありがとうございました。今の貸借対照表、ここまでチェックして検討しなければいけないというお話をいただきました。

あといかがでしょうか。公益法人の実態、それからもう一つは何度かお話ししていただきました公益法人、その他の法人の課税の仕組みですが。

では、時間も押し迫ってまいりましたので、次へ進めさせていただきます。

あと、その下に「委員限」というメモが、薄いものですけれども2つほど配付されていると思います。1つは非営利法人に対する課税についての税制上の論点。これは私と事務局のほうで、今までの議論、ご意見など、それからまとめさせていただいた論点です。簡単にお話しいたしますと、これからのスケジュールですけれども、今日は「非営利法人に対する課税の取扱い」、メモの1ですね。下で点線で矢印があって「次回」となっておりますけれども、これについて非営利法人に対する課税をどうやっていくかという基本的な考え方、それから、非課税となった場合の要件、それにつきましては、特にまたこちらの細かい丸ポツでいろいろと書いてございますが、この点について、ちょっとご検討いただけたらと思います。

大体こういう基本方針で分析をして検討していきたいと思っておりますけれども、まず、事務局からご説明いただいて、ご意見賜りたいと思います。

お願いいたします。

事務局

税制上の論点のメモ、今、座長のほうからご紹介いただきましたので、その下のほうの「非営利法人に対する課税の基本的考え方と要件について(メモ)」、座長とご相談させていただきながら、事務局のほうで書かせていただいたものでございますが、こちらを読み上げさせていただきます。

わが国における法人税制は、法人の稼得した「利益」に対して法人税を課している。「利益」とは、法人の存続期間における総収入(益金)から総支出(損金)を差し引いたものであるが、法人がゴーイングコンサーンで活動していることを前提に、「利益」は各事業年度ごとに捉え、これに法人税を課すこととしている。

新制度における非営利法人は利益を分配することを目的としていないものの、その利益を解散時に残余財産の帰属という方法で社員等に分配できることから、その事業年度ごとの利益に対して法人税を課すことを原則とすることが適当であると考えられる。

新たな制度における非営利法人の非課税要件については、まずこのような非営利法人のうち、解散時における残余財産の帰属を国等とし、実質的な利益分配も行わないことが必要ではないか。

これは現在の公益法人、NPO法人等について課されている要件でございます。

このような法人は、その存続期間全体についてみれば、ある事業年度に利益が生じても、これがその事業年度以降の事業に費消されるか、残余財産として国庫等に帰属することとなるため、社員等に分配する利益はなく、課税すべき利益は存在しないとする考え方もある。

つまり、この段階で原則非課税にするという考え方もございます。

しかしながら、このような考え方は、

(1)存続期間全体をみればそのように観念できるとしても、通常、永続して活動することが予定されている非営利法人にとっては、極めて長期間にわたり非課税で営利法人と同種・同等の事業活動を行うことができることになる。

つまり、存続期間全体で見れば、最後は利益が生じないと観念できるとしても、その存続期間が100年、200年、場合によっては500年ということもあり得るわけでございますので、その間、事業活動が全く民間と同じものであることも当然妨げられておりませんので、そういう事態を招くことになるわけでございます。

このような場合に、各事業年度で利益が生じたにもかかわらず課税しないことは、各事業年度の利益に対して法人税を課すことを基本とする現在の法人税制の下で、営利法人との間で著しくバランスを失することになる、

(2)非課税での内部留保を無制限に認めることとなるため、法人の支配権を有する者がそれを用いて任意の経済活動、つまり、金融、資産運用を含めた様々な経済活動を行うことを可能とすることになり、営利法人とのバランスを著しく失することになるのではないか。

(3)存続期間を通じて、給与やフリンジベネフィットという形での実質的な利益分配、これは様々な形態が考えられると思いますが、それを防止することは、執行上極めて困難である、
 等に鑑みれば、適当ではないのではないか。

社会共通の費用を賄うため全ての国民が納税義務を負う中で、特定の者を非課税とすることは国からの補助金の支出と同様の効果を与えるものであり、非課税とするに相応しい要件を具備することが必要である。

したがって、上記の点を踏まえれば、まず非課税とする要件としては、(1)、つまり民間と同種・同等の事業がずっと長期間にわたってできることになってしまうということに鑑みますと、非営利法人の行う事業活動が、営利法人と同種・同等の事業とは異なり、不特定多数の者の利益を目的とした公益性・公共性、あるいは、今日の内閣官房の紙では「社会貢献性」という表現をされました。こういう不特定多数の者の利益を目的とした何がしかの公益性・公共性といったものを有している必要があるのではないか。

また、(2)及び(3)の観点からは、非営利法人が過大な内部留保を用いて営利法人より有利な条件で経済活動を行ったり、実質的な利益分配を行ったりすることがないよう、内部留保の制限を行う必要があるのではないか。

更に、以上の非課税とする法人の要件を実効あるものとするためには、例えば、運営組織・事業活動などの適正性、経理の適正性、情報公開、租税回避を目的とするものでないこと等といった要件をさらに求めていくべきではないかということでございます。

このような要件を満たした非課税法人であっても、行う事業には法制度上の限定がなく、民間事業者が行う事業と同種・同等の事業が行われ得ることから、全ての利益をその内容如何にかかわらず非課税とすることは著しくバランスを失することになるのではないか。

現行制度においても、非課税法人である公益法人が行う事業のうち、民間事業者が行う事業と競合するものについては、課税の公平性・中立性の観点から、「収益事業」として課税が行われており、新制度の下での非課税法人についても、基本的にはこのような考え方を維持する必要があるのではないか。

ただ、この最後の論点、要するに非課税法人とされた場合の法人についての課税すべき所得の範囲といったものについては、先ほど座長からご紹介いただきました2枚紙のメモ書き、次回以下というところに入れさせていただいておりまして、より詳しくは次回ご議論いただきたいと思っております。

以上でございます。

委員

ありがとうございます。

それで、先ほど公益法人の実態というところで、配布された資料も含めまして、利益の内部留保が非常に進んでいる法人があるということ、それから、収益事業、従来課税の基準として使ってまいりました33業種、それから見た場合に、60%以上の公益法人が課税の対象になっていない状況にある。そういうようなことを前提といたしまして、今後課税の基本的なあり方としてはどう考えるべきであろうかという方向について、今、事務局からご説明いただいたわけですけれども、基本的に準則主義になるということですので、当然、非営利法人、これがそのまま非課税になるということでは制度がもちませんので、これが準則主義で自由につくれると同時に、基本的には課税が原則になるのではないかと。

その場合に、ではどういう範囲で非課税を設けたらよろしいのかという問題が、次の課題として出てくるわけですけれども、今ご紹介いただいた2枚目のメモの下から2番目ですけれども、そこに具体的に出しております。非課税とする法人の要件を実効あるものとするためには、例えば[1]から[4]と出ておりますけれども、こんな方向で検討することが必要ではないかということでございます。

もうちょっと具体的にしますと、ご紹介いたしましたもう一つのメモ書きですけれども、「非営利法人に対する課税についての税制上の論点」で、こちらは箇条書きですけれども、それの1で「非営利法人に対する課税の取扱い」で基本的な考え方が1つ目ですけれども、非課税とする場合にどうなるかという範囲の問題ですとか。

それから、2番目の丸、非課税法人の要件の考え方、こちらのほうがより正確になっておりますが、この非営利性の要件、これは基本的には、この間ある委員から、利益分配しないのになぜ課税されるのかという意見が出ているけどどうなのだろうかというご質問をいただいたわけですけれども、それに対しまして、非営利性と言っておりますのは、ちょっと特殊ですけれども、利益の分配を行わないという意味でここでは使われております。

それから、2番目の不特定多数の者の利益を目的とした公益性・公共性。先ほど行革推進本部の方は、いわゆるパブリック・インタレストというふうに表現されておりますが、ここでは公益性、公共性と使っております。

それから、内部留保。公益法人の実態から見て問題が大きいところですけれども、これをチェックする必要があるということ。

それから、組織運営。財務諸表といいますか、これも先ほどの委員の資料に出ておりましたけれども、例を挙げていただきましたが、いわゆる引当金といったような形で隠れてしまっているようなこと。こういうことがないように開示させるということ、その他の適正な手続を踏ませるということですね。

それから、最後に大きな問題ですが、事後的なチェックをどういうふうにするのかと。例えば、税務調査で帳簿を調査するといったようなことも1つの考え方ですけれども、こういった問題があろうかということです。

以上につきまして、課税の基本的な考え方、それから非課税にする場合の基本的な考え方、ちょっとややこしくなって恐縮ですけれども、こういったものについてご意見をいただけたらと思います。

委員

まず、今日議論すべき範囲についてですけれども、今日といいましてもあと10分で、これは一番実は基本的な、言ってみれば、どういう考え方をとるかについて、ここで大きな構造が決まってしまうので、だから、これはまず次回もっと時間を取って、しっかりといろいろな議論を尽き合わせることが大事ではなかろうか。これが第1の意見です。

第2に、中身ですけれども、この2枚の考え方と要件についてのメモ、大分まだ理屈づけが甘いといいますか、これではなかなか説得力が生じないのではないかと感じる点がありますので、率直に申し上げさせていただきます。

非営利法人について、利益を最終的に分配するのだから、やはりこれは利益の分配があるので課税すると。しかも、営利法人とバランスを生じるから各年度ごとに課税することにすると、こういう理屈になっておりますけれども、実態からみれば、委員が頭に置いておられるような、もっぱら内部留保をして、あとで分けることを考えているような、そういう法人ではなしに、法律が予定しているような、真正面から非営利活動をやっておる、そういう法人を頭に置いて申し上げますと、営利法人と非営利法人は明らかにその意識が違うので、営利法人のほうは、当然株主に各年度ごとに配当がありますし、その配当を少しでも上げるために事業活動をしておる。

非営利法人のほうは、そういうのもないわけではありませんが、一般的に言えば、年度途中で配当したり、それは飲み食いしたりすることを目的としているというのは普通ではないので、大体儲けることを考えておらない。各年度スムーズに活動が展開することだけを考えておる。残余財産を分配することになっておるのは、仮にその活動を終えてしまうことにしたときに、仮に財産が残ってしまえばどうするのか。やはりこれは会員が出したりいろいろしてきたのであるから、その場合には、活動しないことになったら、もとに返しましょう。

それぐらいの考え方であって、営利法人が配当を目的として、しかもそれを年度ごとに行って、それを少しでも多くしたいというそういう目的と、活動を継続しておって、たまたま余ってしまったときにどうするかという、その処分問題で分けるというのは、明らかに意識も違うし、そもそも法人の構造が違う。それを簡単に、最後分けるのだから利益分配だと。そしてあとはバランスで営利法人のほうが年度ごとにやっているなら、こっちも年度ごとだというのでは、ちょっと理屈が粗すぎるのではなかろうか。もう少しきちんと、こういうものについてはこういうふうにする、そして、きちんとやっているものについてはこういうふうに考える、そういう整理が必要ではなかろうか。それが第一に感じる点であります。

それから、2番目に、公益法人といいますか、社会貢献法人というのですか、今の公益法人類型のようなものについて、こちらのほうは非課税にするということ。これは公益性があるからということでありますけれども、それはそれで公益性があるものについて、非課税にするということは、これは行政の活動との並びでいっても、理屈として私はいいと思うのですけれども、その公益性の要件について、これは相当整理が要るのではなかろうか。

今日、私は遅れてきて申しわけないのですが、登録法人というのを見ましたけれども、それとの関連と税の観点とで、どういう点をどうチェックするのか。これはやはり公益性があるものについては、なぜ非課税にするのか。そういう観点から見て、そこで言う公益性というのはどういうものなのか。そこの実態確定の要件をもう少し詰めないと、ここの4つの要件だけでは足りないので、これまた相当もっと突っ込んだ議論が要るのではなかろうかと思っております。

それから、次回以降に回されました2枚目の一番下の丸であります。ここでまた収益事業との競合でこれが復活してきて、公益法人であっても競合するものは課税するという、言ってみれば、二段構えというか、三段構えというか、そういう構造になっていますけれども、この点は2回目の議論でも出ておりますが、私は改めて競合するものを引っ張り出して課税するというのは、おそらく技術的にも極めて難しいと思いますし、それより何より、考え方としてそういう独禁政策的なものを課税の中でさらに残すというのがいいのかについて、大変疑問に思っておりまして、こういう二段構えをしなくても、この部分を一般的に課税するかしないかの、最初の振り分けの中の要件で、もう振り分けられるようにするほうが適切ではなかろうかと考えております。

具体的にではどうやるのだということですけれども、私は結局、法人ごとというよりも、事業活動ごとにまずきちんと判定する。その上でその収益の源が何であるのかということと、上がった収益の使途等を見て、そして、ここまでは課税する、ここまでは課税しない、そのことをすっきりすることによって、一段構えで理屈のすっきり通った構造ができるのではなかろうかと実は思っておりまして、ですからこの基本構造のところで、あとの構造が全然変わってきますし、論点も変わってきますので、もう少し議論していただきたいと思います。

委員

今の意見に少し補うというか、少し重なり合いながら申し上げたいことがあるのですが、この資料非営利WG3-2の4ページ、下の欄の一番右側に非営利法人というのがあって、斜線がかかっていないで真ん中だけ白になっているところがある。多分財務省で言いたいのは、これは内部留保が30%以下であれば、この部分は白になるというふうな意味だと思うんですね。そういうふうに理解するのですが、ところが、内部留保が30%以下にせよと言ったのは、平成8年の閣議決定、それ以降も指針として何度も出ていて、それが一向に守られていない。ですから、内部留保30%を残して繰越していけば成り立つわけですが、収益事業をどんどんやっているところは、そうではないんですね、現実にはね。

そして、さらに申し上げたいのは、先ほど座長が出した紙の[1][2][3][4]の要件で、内部留保の制限と書いてありますね。内部留保の制限というのは、何度も言うけれども、すでに閣議決定されているにもかかわらず、守られてこなかった事柄であるということはご認識いただきたい。

そして、さらに重要なことは、次回以降のところにある「収益事業課税という考え方」というところの、個別列挙か、包括規定かとあるのですけど、これは次回議論するのだけれども、これは基本的には、今ここで申し上げておきたいけれども、今委員の言ったことと関係してくるんです。つまり、収益事業を具体的にやっているところ、その収益事業を具体的に特定して、その特定した収益事業から税金を取ればいいわけです。そうしたら、委員のところは、その収益事業に当てはまらないわけですから、税金は取られないわけです。

つまり、もう一回今僕の書いた紙を配りましたけれども、収益事業でありながら収益事業と認定されていない結果、公益法人という名前で税金を払わないできたということが今実態ですから、この収益事業の個別列挙というのを、33業種までしかやっていなかった。これははっきり言って財務省の怠慢なんですね。これを34、35、36と増やしていって、50までいってもいいわけです。50でも100でもいいのですが。要するに、そうやって個別列挙を具体的に挙げていくことによって、本当に正しいNPOなのか、利益を上げて、収益事業をやって、軽減税率の適用を受けながら上手に商売をやっていく、そういう公益法人なのか。この区別の分水嶺が見えてくるわけです。

だから、僕が申し上げているのは、もうはっきり答えが出ているんです。答えが出ているけれども、そのとおりにやってこなかったし、おざなりで、先ほど言いましたけど、閣議決定までされているものについても、全然実行とか確認とか、あるいはチェックとかが行われてこなかった。こういうことに尽きるんですね。

したがいまして、各省庁の持っている、特にここでは財務省が国税庁に対してきちんとした通達を出して、あるいは33業種の列挙をきちんと増やしていくことによって、解決するはずなんです。ですから抽象論でやっても意味がないんです。次回以降もしやるとしたら、そういう具体的なところにかなりはっきりした形で踏み込まないと、これはもう3月でおしまいですから。総理大臣が構造改革というのは、特殊法人、認可法人等の改革というのは、実はその下支えをしている社団・財団法人があって、そして、それを同時に撲滅しない限りは、この構造改革はできないんです。ですから僕は何度も申し上げているんです。

委員

ありがとうございました。

最後に。

委員

委員限りの税制上の論点のメモで、何段階かでこういうふうにやっているのですが、僕はこれでも一段階足りないのではないかと思っています。それは、原則法人は課税であると。しかし、一定の要件を満たしている場合には非課税法人にする。非課税法人であっても、収益事業をやっている場合には課税する。ここまではあくまでも一般論的な話で、そのあとに個別的に否認するというのがなければ、全部そこで抜けられてしまいますから、否認規定を入れるべきである。そうでないと、制度として完結しない。そうすれば、あやしい場合に叩ける。あやしくないものは叩かなければいいわけですから、ということが必要だと思います。

委員

今のお話は、先ほど事務局が発言された長いほうのメモですけれども、2ページ目に、「租税回避を目的とするものでないこと」等といったような要件を入れるということではないのですか。

委員

租税回避を目的とする法人は非課税法人にならないというのは一般的な話で、そうではなくて、租税回避を目的としないで設立された法人であっても租税回避をやった場合に、という根拠条文を置いておくという、そういう個別的な話です。

委員

申しわけありませんが時間になってしまいまして、この議論は、今のこのメモを中心にまたいろいろ修正を加えて、もう一度また議論をしていただきたいと思います。時間がありませんでしたので、申しわけございませんが、続けさせていただきたいと思います。

次回会合につきましては、2月21日、金曜日、午前10時からということにさせていただきます。それから、その次の会合は3月4日、火曜日、午後2時からということでお願いいたします。

それでは、本日、お忙しいところどうもありがとうございました。行政改革事務局の方もどうもありがとうございました。

〔閉会〕

(注)

本議事録は毎回の審議後、速やかな公表に努め、限られた時間内にとりまとめるため速記録から、財務省主税局及び総務省自治税務局の文責において作成した資料です。

内容には正確を期していますが、税制調査会議事規則に基づき、事後の修正の可能性があることをご承知置きください。

非営利法人課税ワーキンググループ