第1回非営利法人課税ワーキング・グループ 議事録

平成14年11月1日開催

委員

それでは、税制調査会 基礎問題小委員会 非営利法人課税ワーキング・グループ第1回の会合を始めさせていただきます。

私ですが、税制調査会の石会長から御指名いただきまして、座長を務めさせていただきます水野でございます。よろしくお願いいたします。

まずはじめに、このワーキング・グループが設置されますその趣旨ということで御説明をさせていただきたいと思います。

1つには、公益法人の制度、これにつきましては税制調査会答申あるいは中期答申等の報告書の中でも、しばしば検討されて今日に至っております。その課税のあり方について整理する必要があるということが1点でございます。

それから、もう1つは、これは内閣官房の方ということですが、内閣官房の行政改革推進本部の事務局におきまして、現在、公益法人制度の見直しがなされている。そういたしまして、来年、平成15年の3月には、仮称となっておりますが、「公益法人制度等改革大綱」というものが閣議決定をなされることになっているというお話であります。この3月ということでありますので、それにつきまして、税制面での検討をこちらのワーキング・グループで進めて、大綱の中に盛り込むというようなことになっております。そういうことで、正式には税制調査会基礎問題小委員会の下のワーキング・グループということになりますが、このワーキング・グループで公益法人についての検討をいただくということでございます。

本日は第1回目ということでありますので、まず、メンバーの御紹介をさせていただきます。皆さまのお手許に名簿をお配りしてあると存じますが、この順に沿って御紹介させていただきます。

猪瀬委員、それから奥野委員、河野委員。

竹内委員は今日は御欠席ということで、田近委員が遅れていらっしゃるという話です。

中田委員、土屋委員、中里委員、堀田委員、それと私ということで、10名で進めさせていただきます。

それから、事務局のほうですけれども、まず財務省の主税局長のほうから御紹介お願いいたします。

事務局

主税局長でございます。よろしくお願い申し上げます。

基礎問題小委員会の先生方におきましては、引き続きよろしくお願いをいたします。また、土屋委員、中田委員におかれましては、今回メンバーに加わっていただきましたけれども、どうぞよろしく御指導のほどをお願いしたいと存じます。

本日は第1回会合でございますので、いま座長からお話がありましたとおり、主税局の出席者の紹介をさせていただきます。

いま遅れて加藤審議官がまいりますが、石井審議官はちょっと所用で国会のほうへ行っておりまして、欠席でございます。加藤審議官はあとで遅れてまいるかと存じます。

総務課長の清水でございます。

税制一課長の古谷でございます。所得税と資産税が担当でございます。

税制二課長の道盛でございます。法人税、消費税が担当でございます。

このほか、税制一課、二課から課長補佐クラスの職員がテーブルに着かせていただいております。どうかよろしくお願いをしたいと存じます。

委員

どうもありがとうございました。

それから、これと関連いたしまして、地方税のほうですが、法人住民税、法人事業税がかかわってまいります。総務省の瀧野自治税務局長のほうからお話をお願いいたします。

事務局

税務局長でございます。どうぞよろしくお願いいたします。それでは、座って私どものほうの紹介をさせていただきます。

私どものほうも地方税で公益法人の関係がございますので、よろしくお願いいたしたいと存じます。

審議官の小室は、所用のために今日は欠席しております。

企画課長の岡崎でございます。

府県分の税金を担当しております都道府県税課長の木内でございます。

市町村分の税を担当しております吉崎でございます。

あと、担当の補佐が出席しておりますので、よろしくお願いいたします。

委員

ありがとうございました。

それでは、第1回目ということもございまして、審議に入る前に事務的な点についてお話をしておきたいと思います。

1つは随行者の件でございますが、これは税制調査会の総会、それから小委員会と同じように、ワーキング・グループにおきましても、会議への御出席は委員御本人に限らせていただきたいと思います。代理ということではなくお願いしたいということでございます。また、随行者の同席はご遠慮願いたいと思います。よろしくお願いいたします。

それから、議事の公開ですが、これが最近クローズアップされておりますけれども、総会のほうは通常はインターネットで中継しておりますが、基礎問題小委員会のほうは議事録を公開するという形をとっておりますので、このワーキング・グループの会合につきましても、議事録公表によることにさせていただきたいと思います。その場合、小委員会と同じように、発言者の御氏名は出さないということになっておりますので、そういう形でお願いいたしたいと思います。

また、会議の終了後に、私が議論の様子などを記者のほうへ会見でお話をする。こういうような段取りで進めたいと思っております。

それから、親といいますか、こちらが属しております基礎問題小委員会、さらに税制調査会総会との関係につきましては、適宜私のほうから審議の様子をお伝えするというような形をとらせていただきたいと思います。

それでは、本日の議題、さっそく入らせていただきますが、今の議事の公開、これでよろしいでしょうか。よろしくお願いいたします。

では、本日の議題に入りたいと思います。両方の事務局にお願いいたしますが、まず公益法人改革の動向、我が国の非営利法人制度の概要、それからその課税上の取扱い、こういう点につきまして、御説明いただきたいと思います。

お願いいたします。

事務局

それでは、お手許の資料、名簿の下に行革推進事務局のペーパーが2つございますけれども、それをめくっていただいて、下に横長の紙で『資料』「1-1」というのがございますが、それに基づきまして御説明をさせていただきたいと思います。本日は初回ということでございますので、あまり税制の細かなところに立ち至るというよりは、これまでの経緯、あるいは非営利法人として今回取り上げられている法人の枠組みといったことの御説明を中心にさせていただきたいと思っております。

それでは、資料の1ページをお開きいただきまして、我が国の法人制度の概要をイメージとしてお示しいたしております。

右のほうにいわゆる営利法人でございますが、商法に基づきます株式会社、合名会社、合資会社、あるいは有限会社法に基づきます有限会社といったものが営利法人としてつくられております。

一方、営利を目的としない法人として非営利法人が左のほうに伸びておりまして、一番左のほうにございます社団法人、財団法人、これは民法に基づきます。それから、特定非営利活動法人、NPO法人と言われているものでございますが、特定非営利活動促進法という法律に基づいて設置されております。

それから、さらに下にほうに、学校法人、社会福祉法人、宗教法人など特別の目的を持って、いわば広義の公益法人という形で設置されているものがございます。この一番左の列がいわゆる公益を目的とする公益法人と言われるグループでございます。

一方、真ん中に中間法人というものがございまして、これはまだ施行されたばかりでございますが、中間法人法という法律がつくられまして、公益は目的としない、いわば共益といったようなものを目的とする存在として、中間法人法というものが整備されました。

そのほか特別の目的を持って設置されるものとして、労働組合、農業協同組合、そのほか共済組合等があるわけでございます。

これから御説明いたしますが、内閣官房を中心にいたしまして、公益法人制度を抜本改革をしようという動きが進められておりまして、その対象として今取り上げられておりますのが、この表の中の濃い線で囲ってある部分、社団法人、財団法人、NPO法人、中間法人、いわゆる一般的な公益法人、非営利法人といったものにつきまして、これを取り上げて抜本的な改革を検討していくということが、今進められているわけでございます。

2ページをお開きいただきますと、これまでの経緯を簡単に整理いたしております。もともと、左側に「行政委託型」と書いてございますが、公益法人の中でも行政の代行をしているような法人がいろいろあるのではないかという問題意識のもとに、行政委託型の公益法人につきまして、改革を行うべきではないかといった観点から、こういった検討がここ数年間続けられておりまして、平成13年4月には、「行政委託型公益法人等改革の視点と課題」ということで、とりまとめられたわけでございます。

左のほうの行政委託型公益法人の検討の流れというのは、例えば公益法人といっても、検査ですとか検定のようなことを行っている法人、あるいは特定の資格を付与するような役割をしている法人、あるいは大臣の認定とか推薦とかといったことを行っている法人、いわば行政代行的な事業を行っているような法人のあり方、適正化、それから不要の場合においては廃止といったことをずっと検討する流れがございまして、それが左端の流れでございます。

ただ、それを検討する過程で、平成13年4月の「視点と課題」におきまして、行政委託型でない公益法人の中にも、不適切な運営を行っているところがあるのではないかという問題意識から、それ以外の対象も含めて、立法化を含めたより抜本的な改革というのを検討すべきではないか、という問題意識が平成13年の4月に示されたわけでございます。

それに基づきまして、網掛けのあるところでございますけれども、平成14年3月29日に、あとで御紹介をいたしますが、「公益法人制度の抜本的改革に向けた取組みについて」ということを閣議決定するに至っております。その後、この抜本改革の流れといたしましては、内閣官房におきまして、論点整理といったことを8月に行いまして、それが現時点でございます。

今後でございますけれども、先ほど座長のほうからお話しいただきましたとおり、平成14年度末を目途として、「公益法人制度等改革大綱」を策定する。さらに、平成17年度末を目途に、法制上その他の措置を完了するといった過程で、これから議論が進んでいくというところにあるわけでございます。

3ページ、4ページは、今私が申しましたことを簡単に文章にしたもの、これは白書、年次報告から抜粋したものでございまして、あとでご覧いただければと存じます。

5ページをお開きいただきますと、これが先ほどの平成14年3月、今年の3月の閣議決定でございまして、アンダーラインのところだけを御紹介させていただきますと、民間非営利活動を社会・経済システムの中で積極的に位置づけるとともに、指摘される諸問題に適切に対処する観点から、公益法人制度について、関連制度(NPO、中間法人、公益信託、税制等)を含め抜本的かつ体系的な見直しを行うということで、平成14年度末を目途に大綱を策定し、改革の基本的な枠組み、スケジュール等を明らかにする。また、平成17年度末までを目途に、これを実施するための法制上の措置、その他の必要な措置を講ずるということを決定しているわけでございます。

これに伴いまして、平成15年3月というのが、最初のいわば目処ということになりまして、内閣官房におかれましては、「公益法人制度の抜本的改革に関する懇談会」というのをつくって、これから検討を進めようというところと承っております。

偶然でございますけれども、こちらの懇談会の初回も今日の午後開かれるということでございまして、今日お越しいただいております先生の中からも、そちらにも御参加なさるということを伺っております。

6ページをお開きいただきますと、先ほど御紹介しました平成14年8月の論点整理というのが一番直近時点での内閣官房の整理でございます。これを御紹介いたしまして、いまの内閣官房における検討状況といったものの概略をお話しさせていただきたいと思っております。

アンダーラインのところを中心に読ませていただきますが、我が国の公益法人制度は明治29年の民法制定以来100余年にわたる歴史を有しているが、この間、制度の抜本的な見直しは行われてこなかった。

また、最近では、NPO法が制定され、さらには民法の問題点を補って中間法人法が整備されたということですが、制度論としてはかえって複雑になったという指摘もある。

一方、今後の我が国社会において、民間非営利活動が果たすべき役割はますます重要となり、公益法人はその代表的な主体として歴史的に一定の大きな役割を果たして来ている。

ただ、一方、公益法人制度については、運営、指導監督、ガバナンスなどのあり方について批判もあり、制度の廃止も含めて検討すべきではないかといった意見も一方ではあるという中で、問題点といたしましては、例えば法人設立が簡便でないとか、公益性の判断基準が不明確であり、行政が自由裁量で判断するのはよくないとか、不祥事が発生するたびに指導監督が強化されてきたが、こういった事前規制の仕組みは限界に来ているとか、あるいは天下りが多かったり、検査・検定等の行政事務の委託等をやっている法人も多いとか、ディスクロージャーがわかりにくかったり、徹底されていないとか、あるいは公益法人の中には、公益法人とは言えない営利法人や中間法人に本来的に分類されるべき性格のものも混在している、という問題意識が語られております。

(3)のところで、いまや公益法人制度そのものについても、関連制度も含めて抜本的かつ体系的な見直しを行い、真に時代の要請にこたえ得る非営利法人制度の基本的制度として再構築することが必要であるという問題意識でございまして、現行のNPO法は民法の特別法として独特の存在であり、新たな基本的制度の中に発展的に解消される可能性が高いというふうに指摘されております。

その新たな非営利法人制度のあるべき姿といたしましては、簡便性、客観性、自律性、透明性、柔軟性といったことを中心に検討すべきであるというふうに指摘がございます。

そのあと、非営利法人制度改革の具体的な現段階での整理といったものがずっとございますが、これはあとで簡単に御紹介させていただくことといたしまして、税制上の措置につきましても触れておられまして、新たな法人制度の姿に対応した税制上の措置のあり方について、課税の公平性・公正性を踏まえつつ、大綱策定の時期を目途に基本的な方向が示されるよう、財務省、総務省等関係府省においても検討を進めていく必要がある。その際、租税を減免する措置を講ずるにふさわしい要件や、それを担保する仕組み等について、根本に立ち返った検討を行うべきであるというふうに位置づけられております。

それから、あとの細かいところは今日の時点では省略させていただきまして、9ページのウのところでございますが、今回の法人制度の見直しに合わせ、現行の特定公益増進法人、認定NPO法人の制度を見直し、いわゆる寄附文化を育てる観点も踏まえつつ、寄附に対する税を減免するにふさわしい公益的活動はどのようなものか等を含め、寄附に係る新しい税制上の措置を検討する必要がある。

また、エのところでございますが、そういう税の優遇措置を付与する公益性の判断を行う主体としては、行政庁、税務当局のほか、英国のチャリティ委員会のような独立の機関に行わせるべきであるとの意見も踏まえ検討するということでございますが、その下の※印にございますとおり、本資料は、公益法人制度の抜本的改革に向けた議論を進めていく上の「スタート台」となる論点を整理しており、今後、議論を深める中でさらに検討が加えられるべきであるということで、今後の検討に委ねるということでございます。

今の論点整理の段階で、どういうような制度を内閣官房のほうでイメージされているかというのを、概要として11ページにお示しいたしております。

2つのパターンを念頭に置かれておりまして、法人類型につきまして、先ほど最初に御説明いたしましたが、共益的なものと公益的なものと2つの流れがあるわけでございまして、これを改革パターン[1]のほうでは、非営利法人ということで一本化していこうという考え方、改革パターン[2]のほうは、やはり公益とそれ以外の中間法人とを区分するという考え方、これをどちらをとるかということで、パターン分けがなされております。

改革パターン[1]のほうを見ていただきますと、そういった場合には、法人格の取得につきましては、これは登記だけでできるという準則主義。

1ページおめくりいただきまして12ページをお開きいただきますと、法人設立についての法規制のあり方でございますが、現在の公益法人というのは許可主義、許可を与えるかどうかを主務官庁の自由裁量に委ねるという形で制度が仕組まれております。このほかにも法制度のあり方としては、法律の定める要件を具備すれば、認可権者は必ず認可を与えなければならないというやり方、認可主義、この中にはよく認証主義というものも同様の制度として分類されております。それから、準則主義、法律の定める一定の組織を備えることによって成立し、登記または登録をすればよいという仕組み、3つあるわけでございます。

もう一度11ページへお戻りいただきますと、そういった形でいくと、最も緩やかな登記でもって、つまり準則主義でもって法人格を取得するというような発想で整理されております。

ただ、その場合には、それだけでは足りず、公益性の判断を何らかにする必要があるだろうということで、1つのあり方としては、税制上の措置として、公益性の観点から一定の基準に該当するものをほかの区分と区分してはどうかという考え方。

それから、イのほうは、税制上の措置としてではなく、法人制度として公益性のあるものというのを別途位置づける。非営利法人の中からいわばより分ける形でグループ分けをするという考え方をとる案も示されておりまして、イの(1)は、一定の公益の要件について、定款に書くことにより満たす場合には、非営利公益法人を称することができるというような形。ただし、税法の適用については税務当局の判断が要るのではないかというようなことも触れられております。

それから、イの(2)のほうでは、主務官庁制の弊害を排除した上で、行政庁の認証により公益性を判断するといった仕組みも考えられているわけでございます。

一方、改革パターン[2]のほうでは、右のほうにございますが、公益的なものは認証主義、中間法人的なものは準則主義といった考え方のもとに、主務官庁の弊害を排除した上で、行政庁の認証により公益性を判断していくという考え方でございます。

そのほか、法人制度として検討すべき事項としては、セルフ・ガバナンスをどのように確立していくか。理事や監事、社員といった間の権限の明確化や、その牽制のあり方といったものをどのように仕組んでいくかとか、ディスクロージャー制度の確立とか、さらには事後チェック主義への転換をすべきであるといった意見、こういったことについて、どういうふうにこれから制度設計をしていくかということで、論点整理として語られております。

12ページをお飛ばしいただきまして13ページ、順序が逆になりましたが、いままで御説明してまいりました法人の制度を簡単に整理してございます。いわゆる民法上の社団法人・財団法人は許可主義でございますし、NPO法人は認証ということになってございます。それから、中間法人は準則ということになってございます。

残余財産の帰属とか監督のあり方もそれぞれ別個でございまして、こういったばらばらの制度をどういうふうにこれから抜本的に組み直していくかという作業が、内閣官房のほうでまずは取り組むべき課題として設定されております。

14ページ以下におきましては、こういった法人がどのようなものかということにつきまして、実態等を簡単に御紹介させていただきます。

まず最初が社団法人・財団法人、いわゆる公益法人と言われているものでございます。数としては約2万6,000ございまして、ちょっと見にくいですが、社団と財団が大体半分ずつという構成になっております。

15ページをお開きいただきますと、その数の推移でございますけれども、平成10年度に至るまでずっと増加を続けてきておりますが、平成10年度を境に、これはこの年にNPO法が成立したこともあると思われますが、その年を境に減少に転じてございまして、最近は少しずつ減ってきている。これは特にいわゆる国とか地方の外郭団体といったものの整理が進んでいることもございますし、それから、NPO法人ができたこともあって、新設の数も減っているといったことによっていると思われます。

16ページをお開きいただきますと、その設立目的別の内訳、ちょっとわかりにくいですが、お示しをいたしております。

それから、17ページをお開きいただきますと、こういう社団・財団がたくさんあるわけでございますけれども、所轄官庁が自分の所轄の公益法人につきまして、本来的に公益法人だと思われるものと、むしろ互助的な団体、共済的な、つまり共益的な団体ではないかと思われるものと、それから、むしろ営利法人であってしかるべきでないかといったものの整理をされておられまして、15%程度の今現存する公益法人というのは、必ずしも本来の公益法人ではないというような整理をなされております。

それから、18ページ、先ほど御紹介いたしましたとおり、公益法人のあり方につきましては、今後、積極的な位置づけをすべきであるという見方と、一方では、とにかくおかしなこともあるので、適正化をしなければいけないという2つの見方がございまして、特に平成8年、当時一部の公益法人が内部留保をどんどんため込んでいるのではないかとか、天下りがどんどん多くなっているのではないかといった指摘を踏まえて、平成8年に指導監督基準というものが定められております。

18ページ、4のところで「機関」といたしまして、例えば同一の親族や特定の企業の関係者が占める割合というのは、それぞれ3分の1以下にしなさいとか、一番下に、内部留保については過大なものとならないようにしなさいとか、19ページにいっていただきますと、株式の保有を行ってはならないといったようなことで、今の公益法人の仕組みの中でも、なかなか本当に公益の観点から問題なしとはしないといった観点からの、こういう閣議決定もなされているわけでございまして、今後、公益法人の制度を作るに当たって、行政庁の関与を外すとともに、こういったことについてどういうふうにしていくのか、あるいは、私ども税制の観点から、こういった問題意識をどういうふうに考えていくのかといったことも必要になってまいるかと存じます。

それから、20ページからは、今度はNPO法人について御紹介をさせていただきます。

NPO法人は平成10年の12月に制度が創設されまして、先ほど申し上げましたとおり、認証ということで設立がなされまして、右にございますが、特定非営利活動とは、不特定かつ多数のものの利益の増進に寄与する法人であって、1から12に掲げてある活動を行うものがNPO法人として設立されることになってございます。

次の21ページをお開きいただきまして、公益法人の2万6,000に対しまして、現在8,000をちょっと超える数が認証されてございまして、内訳といたしましては、右のほうにございますが、医療・福祉、これは「国境なき医師団」とかよくテレビにも出てきたり、あるいはある委員も関与なさっておられるような老人介護の団体などもございます。そのほか社会教育、まちづくり、環境、子どもの健全育成といったようなところが多くございますし、このほかにもいわゆる趣味の会のようなもので、テディベアを愛好する協会ですとか、ハイキングクラブといったものも中にはございますし、それから、新聞報道などを見ますと、実態はテレホンクラブであったとか、あるいは賭博経営をして暴力団に上納していたとか、中にはそういう不届きなものも混じっているということが報道ではされているところでもございます。決してこういうことに後ろ向きということではなくて、いろいろなものが混在し得る仕組みになっているということでございます。

次のページをおめくりいただきますと、3か月ごとに振ってございますので、ものすごく細かいですが、この増え方は非常な勢いで認証数が増えてきているという中にございます。

次のページ、23ページをおめくりいただきまして、中間法人制度でございますが、目的といたしましては、中間法人として法人格を取得できる団体は、「社員に共通する利益を図ることを目的とし、かつ、剰余金を社員に分配することを目的としない社団」というふうに位置づけられておりまして、具体的には、同業者団体、大学の同窓会、親睦団体、あるいはゴルフなどの同好会などが設立されております。現在、約107団体ということでございます。

24ページ以降は、今度はこれらにつきましての課税上の取扱いを整理させていただいてございます。

まず最初は、そういう法人に対してどのような課税を行っているかという整理でございまして、公益法人、NPO法人につきましては、基本的に非課税でございます。ただ、収益事業、いわゆる儲けをする場合には、それによって生じた所得に限り課税をさせていただくという仕組みに仕組まれてございます。また、公益法人につきましては、軽減税率の設定がございます。

それから、寄附金の枠がございまして、公益法人の場合には、一番下にございますが、みなし寄附金という制度がございまして、収益事業部門から非収益事業部門への法人内への資産の振替を寄附金とみなすという制度が仕組まれてございます。

それから、25ページは地方税で、あとで御説明いただくことにしまして、その次、収益事業の範囲でございますけれども、いま申し上げました公益法人、NPO法人につきましては、本来的には非課税。ただし、収益事業のみは課税という仕組みになっております。

それから、さっき申し遅れましたが、共益的な中間法人に対しては、すべての所得に対して課税をするという仕組みになっているわけでございます。

公益法人及びNPO法人、公益的な法人につきまして課税される収益事業の範囲がこの33業種でございますが、ここに列挙したものについて課税をするという仕組みをとっており、右下のほうにございますが、その後の変化に応じて列挙する事業を追加してきてございますが、なかなか実態に追いつかないということがございまして、例えばいま30のところに、さまざまなものを教える事業というのがございますが、例えばこの中にパソコンとか語学とかといったものが入ってございませんで、こういったものについては現在課税がなされていないという状況にございます。ただ、右下にございますが、なかなか様々な問題がございまして、追加というのはやりにくくなってございまして、昭和59年以降、追加がなされていないという状況でございます。

1ページおめくりいただきまして、一方、公益法人にかかわる税制としては、その法人に寄附をされる方をどのように課税するかという問題がもう一つございまして、寄附金につきましては、所得税、法人税、ここにございますとおり、一定の寄附金については、所得税は所得から控除する、あるいは法人税においては損金に算入するという仕組みになってございまして、国・地方に対する寄附金、指定寄附金、これは赤い羽根募金のような財務大臣が指定したもの、そのほかに特定公益増進法人、認定NPO法人ということで、右のほうに現在の法人制度を前提といたしまして、その一部の法人につきましての寄附金につきましては、税制上の所得控除ないし損金算入が認められるという仕組みになっております。

それから、法人税のところでは、右のほうに、一般の寄附金とは別に、以下を限度として損金算入。つまり一般の枠とこの特定公益増進法人、認定NPO法人の枠とかを別に設定されまして、世界的に見ますと、この一般の寄附金の枠があるのは、必ずしも一般的な形ではないといった問題点の指摘がなされることもございます。

1ページおめくりいただきまして、そのうち特定公益増進法人制度、つまり公益法人の中から寄附金税制で優遇を受けるための税制として特定公益増進法人制度があるわけでございますが、その要件としては、まず認定権者、下から2つ目にございますが、主務大臣が認定をする。

それから、その1つ上でございますが、認定基準といたしまして、いろいろ書いてございますけれども、基本的にはこういう抽象的な文言のもとに主務大臣が認定をするという仕組みになっているわけでございます。

一方、29ページ、今度は認定NPO法人の要件といたしましては、ここにございますけれども、情報公開とか、事業内容の適正性とか、それから、特に真ん中のところに、パブリック・サポート・テストとよく言われておりますが、広く一般からの支援を受けているかということで、収入の3分の1以上を基本的には寄附金や助成金から、つまり寄附活動から受け入れているといったようなテスト、あるいは広く一般を対象とした活動を行っているかといったテスト、こういった面からいわばかなり認定要件をぎりぎりと書いて、客観的に判定をするという意味で、やや制度上も違う制度として仕組まれているという現状がございます。

といったことで、大きく分けますと、法人制度の改革に伴いまして、新たな非営利法人につきまして、どのような課税をしていくのかという観点と、法人をめぐりまして、寄附をされる方の税制につきまして、これをどのように仕組んでいくかということが、大きく2つの課題として御検討いただければありがたいと思っている点でございます。

それから、30ページ以下には、これまでの税制調査会の御議論、最初のこの前の基本方針のところだけを読ませていただきまして、あとは省略させていただきますが、ロのところに、これまで課題としてきた公益法人等の収益事業や軽減税率などについては、公益法人改革の動向を踏まえつつ、NPO法人や中間法人等新たな法人に対する課税のあり方も含め、幅広く見直すこと。

それから、寄附金税制についても、諸外国の制度や民間非営利活動の実態を踏まえ、整合性を図りつつ、NPO法人等の円滑な活動に資するよう見直すことといった御指摘をちょうだいしております。以下は省略させていただきます。

委員

ありがとうございました。

それでは、お願いします。

事務局

それでは、25ページをお開きいただきたいと思います。非営利法人等に対する課税の現状でございます。地方税でございますが、左にございますとおり、これらの法人等に対します地方税といたしましては、法人住民税の均等割、法人税割、それと一番下でございますが、法人事業税が課されているところでございます。そこにございますとおり、均等割につきましては、公益法人等、NPO法人、人格のない社団等、中間法人、これらは収益事業をやっていない場合には、こういった2万円、5万円という最低税率になっております。

それから、法人住民税につきましては、課税標準が法人税額ということになっております。それに対しまして、都道府県5%、市町村12.3%という通常の税率がかかっておるところでございます。

それから、法人事業税、この課税標準につきましては、所得が課税標準になっておるところでございます。税率につきましては、協同組合等については、軽減税率が適用されておりますが、その他につきましては、一般の税率ということでやっておるところでございます。

以上でございます。

委員

ありがとうございました。

それでは、20分ほどですけれども、今の公益法人制度全般にわたる今後の課題、それから税制につきまして、御自由に発言をいただきたいと思います。どなたからでも。

どうぞ。

委員

公益法人制度の問題は、1つは、今後に向けてNPO法人等と含めての抜本的改革ということが、今回の1つの重要なテーマなのですけれども、同時に、現状の今ある状態での改革というのが必要なんです。ですから、二つ二段構えで考えないと、抜本的改革という方向できちんとやっていくことだけではだめだと思っています。

抜本的改革としては、今言ったように、NPO法人を含めて一元化していくというふうなある種の民法34条の改正を含めた方向というのを出す必要があるのですが、この委員の方々にも共通の認識として理解していただきたいのは、社団・財団法人の問題は、特殊法人改革の中にきちんと位置づけられていかなければいけない問題なわけであります。

基本的に社団・財団法人というのは、特殊法人と一体となって、1つのシステムとしてつくられてきているということで、道路公団でも、その下にある財団法人が要になっているんですね。要になっていて、ファミリー企業をたくさん養成していくという、こういう構造になっています。問題は、道路公団の例はそうなのですけれども、道路公団だけではなくて、163ある認可法人の中に全部そういう構造が仕組まれている。

僕は前にこの税調の総会でも二度ほど公益法人の問題でいろいろな提言をしているのですけれども、これを事務局であとで抜き刷りして委員の方に配っていただきたいのです。先ほど33業種ありますという話がありましたけれども、26ページで、33業種あって、しかも下のほうの表にあるように、昭和59年から33でとまっていまして、社会の変化がどんどんあるから、いろいろな業種が増えていっているわけですけれども、それに対応し切れていない。この30のところでたくさんつけ加えているように見えるのですけれども、問題は、税金をほとんど払わなくていいような団体がたくさんあるということなわけですね。課税ベースが極めて限定されているわけで、収益事業という、つまり誰でも税金を払わないで商売をできれば、これは一番楽なことはないので、そういうことで税金を払わないということはいいことになっているという建前で収益事業をやっているわけですから、それに対して、僕は税調で前に申し上げたのは、財務省の政令・省令、それから国税庁の通達とか、いろいろあるのですけれども、こういう税金を払わないで営利事業をやっているところをきちんと捕捉すべきなんですね。

僕はいま行革推進本部の事務局がいろいろな作業をやっているのは承知していまして、当時行革断行評議会でそれをチェックしていましたから、そうなんですけど、結局、役所の事務局にやらせても、ある程度の改善はできるのですけれども、みんなザルになっていってしまうんです。みんな抜け落ちている。ですから、僕はもうあまり期待していなくて、期待していなくてというのは、公益法人改革と何度も何度も叫ばれても、結局何も進まないんですよ、実質ね。ですから、僕は課税当局に期待したいんですね。内部留保とかをすごくためているわけですから、ここの部分の、つまり収益事業の範囲というのをきちんと厳しくチェックして、33項目を34、35、36とつくっていけば、かなり締め上げることができるんですよ。

国税庁というのは、1つの力を持っているんです。当たり前ですけれども。こういうところからきちんと締め上げていかないと、いくら行革推進事務局でいろいろなことを決めても、あるいは、これからいろいろ取り決めをしますよ、公益法人の改革をやると。だけど、これは全部だめになりますよ、はっきり言って。ですから、僕は、ここは財務省ですけれども、自治省もいますけれども、前から言っているんですよ、この問題は具体的な問題で勝負しないと、全く効果がありません。

そういうことを一方でやりながら抜本的改革、つまりNPO法人等を含めて一元化の流れを同時につくっていくので、現状の不正を放置したまま抜本的改革なんてあり得ないですよ。それを強く申し上げておきたいので、今回こういうふうなワーキング・グループができたというのは、非常に僕は期待しているんですよ、そこのところを。

僕は具体的なことで詰めていくべきだなと思っていて、今、だから内閣官房でやっていますよね。内閣官房でやっていても、まあ、ある程度形はできるでしょう。形はできるけど、有識者にヒアリングとか、悠長なことをやっているんですよ。有識者にヒアリングなんかしたってしようがないんですよ、はっきり言って。そういうことで、手ぬるくて話になりません。ですから、税務当局がきちんと頑張るしかないんです。そのためには、省令とか国税庁の通達とか、具体的につくればいいんです。そうすれば解決します。

以上です。

委員

ありがとうございました。いまかなり強い1つの検討の仕方をお示しいただきましたが、委員の、あとで提出していただきたいと言われた資料はどういうものでしたでしょうか。

委員

僕は税調で発言していますので、つまり、税調の総会で発言しても大体消えていってしまいますから、割と詳しくきちんと二度ほど発言しているものの抜き刷りを各委員にお配りいただきたい。それはもう、おととし、去年と発言していますので、その塊を、塊といっても数ページずつですけれども、このことを申し上げていますので、そこの部分の共有認識がないと、ということで僕は申し上げているわけです。

委員

事務局、よろしいでしょうか。

事務局

次回の会合に準備させていただきます。

委員

あといかがでしょうか。

委員

政策的なお話のあとに技術論として1つ申し上げておきたいことがあるのですけれども、1ページの図でございますが、30年近く前に習った民法の記憶が曖昧なのですけれども、民法33条というのが基本原則としてあって、34条で公益法人、35条で営利法人。このほかに36条があって、「外国法人は国、国の行政区画及び商事会社のほかこれを認許せず」とある。この民法36条を法人税法にどう持ってくるかということが、この絡みで絶対に問題になるのではないかと思いまして、外国の組織体については、多様な組織体の課税ということで、国際課税のほうで十分やっているわけですが、外国の法律に基づいて設立された公益法人について、36条の認許主義でいうならば、民法上は法人格なしということになるのでしょうね、日本の民法上は。そうすると、日本の民法上は法人でないと。であるとすれば、法人税法上、もちろん内国法人には当たりませんが、内国法人以外の法人という外国法人の要件にも当たらないという解釈は、1つ可能だと思うのです。

そうすると、外国法に基づいて公益法人を設立して、日本で何かやれば、よくわかりませんが、全部非課税。法人格がないという扱いになってしまいますから、そういう穴だと、いかにこっちを少し課税するとか、優遇するとかいっても、多少の課税は受けると思うので、片方にそういう穴が残っているということは、租税制度のあり方としては、あまりにもまずいのではないか。実態がわかりませんので、そういうことがあるのかどうかわかりませんが、そこについて、技術論ですが、クリアにしておいたほうがいいのではないかと思います。

内閣府のほうでも今日の午後申し上げようと思っているのですけれども、でもそれは言われても困ってしまうかもしれませんね。外国で公益法人をどう設立するかは外国の問題だということですから、主にこっちの問題になるのだと思いますが。

委員

事務局、いかがですか。よろしいですか。

事務局

次回の会合でやはり対応を検討させていただきます。

委員

今の問題ですけれども、外国の公益法人について、日本の公益法人に匹敵するようなものは、財務大臣が一つ一つ指定をすることになっておりますから、その指定を受けないと、税法上は普通外国法人になります。

委員

別表のほうの問題でございますよね。ただ、2条のほうの外国法人の定義のところに含まれないはずなんですね。つまり、法人でないものが法人税法上法人になるというのはおかしいでしょう。民法上法人でないものが、法人税法上法人にはならないでしょう。つまり、外国の公益法人というのは、民法36条で日本の民法上法人格がないわけです。ということは、法人税法の2条の外国法人の規定のところの「内国法人以外の法人」というこの「法人」という概念に含まれないはずですね。法人でないものを、法人税法で法人にするわけにいきませんから、あとでどうこうと仕分け自体、別表のほうの問題が果たしてそれでいいのかどうかというのは、かなり基本的な問題で、実務は今そうやっていると承知していますが、その実務が間違っている可能性だって……。法人でないものを法人として扱って課税するというのだったら、ちょっと困ってしまいますので、理論武装の問題かもしれませんので。

委員

いかがでしょう。どうぞ。

委員

これは来年の3月までに固めることになると、大変に大作業になると思うのですけれども、税制を考えるときに、やはり公益法人制度のあり方がどう変わっていくのか、その方向がまだ選択肢が示されているだけで、出ていないわけで、そうすると、どういう制度を前提に議論していけばいいのか、そこが非常に難しい問題になると思います。

だから、ある委員がおっしゃるように、当面の制度を問題にしていくなら、それは簡単ですけれども、それだけでは答えにならないので、求められているのはもっともっと基本的な考え方であろうと。

そこで、基本的な考え方を法人制度のあり方自体がまだ浮動している中で考えるとなってくると、あまりテクニカルなことはそちらの基本的な制度については言っていられないので、例えば税務署が調査するのか、あるいは官庁にあるのかとか、そんな問題は固まらないから言えない。一番基本的なところの公益法人の収益について、どう考えて、どういう思想に基づいて、どういう課税をするのか。その答えを出すことが、結局この作業の目的になるのではないか。私はそう思うのですが。

しかし、公益法人の収益についての課税をどう考えるかとなると、1ページの図表にある黒枠の中だけでは考えられないので、その外にある学校法人、社会福祉法人、宗教法人、あるいは労働組合、農業組合等、これらの収益について、全体が1つの思想で一貫してバランスのとれたものにならなければいけない。だから、当然にこの黒枠の外側にあるもののあり方についても考えざるを得ないだろう。それを考えざるを得なくなると、ますますしかしこれは大変な作業になるので、これは事務局の資料の準備も大変であろう。だから、大変な作業になるということを考えて日程表等をあらかじめお考えいただいて、相当とっていただかないと、なかなか3月までには出てこないのかなと、その点を心配しております。

委員

ありがとうございました。

事務局、コメントを。

事務局

今後の進め方でございますけれども、委員がおっしゃられますとおり、まず法人制度をどうするのかというところで、これは内閣官房の事務局とよく相談しながら、向こうにある程度枠組みがないと、こちらの具体化の作業というのはできませんので、3月までの間において、どういうふうに進めていくかというのは、内閣官房ともよく相談してまいりたいと思っております。

それから、おっしゃられますとおり、法人制度自体は3つの法人が対象になるわけでございますが、法人税のあり方、課税のあり方を見直すときには、そこだけに限らず、当然やはり及ぶところが出てくると私ども思っておりまして、委員と同じような、大変なことだなというように思っております。

委員

今のお答えですと、委員が、収益事業の課税を考えると、どうしても特殊法人にも入り込んでこなければならないと。そうすると内閣官房でまとめるその改革大綱と、何かやはりそれにプラスアルファのものをこちらの税制調査会では出してしまうということもあり得るのでしょうか。

事務局

先ほど、平成15年3月に予定されております大綱というのは、あくまで3つの法人だと思いますが、課税のあり方という観点からは、そこにとどまらない問題も当然出てまいると思っています。

委員

冒頭、ある委員がおっしゃったように、現状の中でどう改善すべきかというのは、重要な指摘だと思いますし、別の委員がおっしゃいましたように、公益法人制度のあり方によって税のことも決まってくる。そのとおりだと思います。

おそらく伝統的な考え方によると、まず公益法人法制の枠組みが決まったあとで、それについて税の観点からいろいろお考えになられるということかなと思うのですが、ただ、今回、抜本的な改正をしようとしている場合には、おそらく税の側からのフィードバックと申しますか、影響というものもあるのではないか。11ページに改革パターン[1]と[2]というのが示されておりまして、そのうちの改革パターン[1]のアというのは、これはもう最終的に公益性の判断については、税に全面的に委ねるという考え方でありますけれども、その場合に、税務当局におかれましては、どういうことがおできになるのか、あるいはできないのかというようなあたりは、ぜひ制度設計のほうにもフィードバックしていただきたいと思います。

委員

ありがとうございます。

今の11ページの改革パターンですけれども、こちらの席から言うのもなんですけれども、まず[1]のパターンは、非営利法人(仮称)としまして、準則主義で自由につくれるようにする。公益性の判断をする。どうなんでしょうか。準則主義でつくれるようにしておきながら、課税以外に公益性の判断が必要になるのは、何かあるのでしょうか。これはいかがでしょう。

事務局

そこら辺をまさに内閣官房と法務省とでお話しになっておられるところだと思いますが、改革パターン[1]のうちのアのほうは、あくまで税制のためだけに区分をするという考え方でございまして、イのほうは、税制だけではなく、法人のあり方として一回非課税法人として大括りをしながらも、公益的なものをグループ分けするという発想も場合によってはとる必要があるのではないかという御議論を向こうがなさっているわけで、その場合に、改革パターン[2]とどれぐらい違ってくるかというところの問題もあると思いますし、その辺はこれからまさに法人制度の検討として御検討なさるところだろうと思っています。

委員

内閣官房のほうの議論でということですね。

事務局

中心的にはそちらで御整理いただくことだと思っております。もちろん、税制の面からどうフィードバックするかという問題は当然あるわけでございますけれども。

委員

ありがとうございます。

どうぞ。

委員

ここにいらっしゃるほかの委員の方は、大変な、実態的にも法律的にも、この点について深い見識をお持ちの方で、私だけは全く講演会のフロアに座っている一聴衆みたいな感じでここへ加わっているんですよ。

ただ、一般論として、まず2つのことを僕考えてここに座っているのですが、1つは、他の委員が言ったみたいに、現在のあり方について矛盾があることは、断片的なニュースというのは我々ずっと長い間聞かされてきた経験があって、とにかく何かやらないと具合が悪いなと。甘い基準で立派なことが書いてあるけれども、それにふさわしいような課税体系になっているかどうかということについては、問題がたくさんあると思うのです。

今度外されているけれども、宗教法人を入れなければ、入れると大政治問題だと思うけれども、ここに問題があることは、長い間税調の中でブツブツ言われてきながら、全く手がつけられずに今日こられて、政治団体の話だからどうにもならないのだけど、そこに手が着かないのだから、それでも構わないけれども、いま限定されているから。それにしても現状の課税のあり方について、問題があったらはっきりと我々は言うと。

もう一つあるんですよ。これは収益事業をやっている連中に対する課税のあり方論でしょう。もう一つは、やはりNPOに対する寄附をしたときの課税のあり方論というのがあるんですね。これは通常寄附文化というきれいな言葉で言われていて、僕も実は、特定なあれに対して、あそこにだったら5万でも10万でも寄附したいなということがあるわけだ。あとは細かい話になるから言いませんけど、実態がわからないから、どこにどう持っていいかわからないということがあるんですね。

この寄附の話についての財務省の伝統的な考え方というのは、本来ならば、国税か地方税に入るべきお金がそっちへそれていくわけだから、なるべくなら限定的にやりたいなということがあるし、ほかにもまたいろいろな要素があって、かなり消極的で否定的であったと僕は思うのです、今までの議論は。

だけど、このNPOの話は、玉石混交でよくわからないから、一般論としてしか言えないけれども、基本的にはもうちょっとこれをサポートしてはどうか。どうせ国のやる仕事がだんだん削られていくのだから、この世界で寄附について、もうちょっと大らかな議論をやってもいいのではないかという気がしているんです。

片一方で課税適正化論、もうちょっと言えば課税強化論、片一方で寄附文化ということについて、日本は宗教的なあれがないから、簡単にいかないけれども、しかし5年、10年たってみたら、相当程度定着するな、そのきっかけはここにあったかもしれないなというふうになれば、社会的に意味のある小委員会かなと思って。しかし、フロアに座っている一人の人間ですから、言うことは全くど素人ですから、笑いものになるかもしれないけど。

委員

いや、基本的に正しいですよ。

委員

ありがとうございます。

いろいろ活発な御意見をいただきましたが、時間がちょっと過ぎてしまいまして、今日は第1回目ということもございまして、これで閉じさせていただきたいと思います。

第2回以降の予定でございますけれども、先ほども事務局からお話しいただきましたけれども、内閣官房のほうの懇談会の検討の進捗状況というのがございますが、それを見ながら12月に、来月ですが、1回ほど機会を持てたらと。それから、年明けでだんだん煮詰まってきたら、数回審議をお願いしたいというような方向で考えております。具体的な日程につきましては、改めて早めに御案内したいと思っております。

何か御質問、御意見等、あるいは次回にはこういう資料をそろえていただきたいというような御希望がおありでしたら。では、またその点につきましては、直接でも事務局のほうに、こういうものはどうだろうということで、お教えいただければと思います。

では、ちょっと慌しくて恐縮ですが、本日はこれで閉じさせていただきます。どうもありがとうございました。

〔閉会〕

(注)

本議事録は毎回の審議後、速やかな公表に努め、限られた時間内にとりまとめるため速記録から、財務省主税局及び総務省自治税務局の文責において作成した資料です。

内容には正確を期していますが、税制調査会議事規則に基づき、事後の修正の可能性があることをご承知置きください。

非営利法人課税ワーキンググループ