総会(第6回)議事録
日時:平成19年11月20日(火)14時00分~
場所:中央合同庁舎第4号館共用第一特別会議室
〇香西会長
ただいまから「税制調査会第6回総会」を開催いたします。
皆様のおかれましては、お忙しい中、御参集いただきまして、誠にありがとうございます。本日は、答申の最終的なとりまとめをお願いしたいと存じます。
お手元にお配りしてあります「答申(案)」と「その他の主な意見(案)」は、これまで皆様からいただいた御意見を基に作成したものであります。「答申(案)」につきましては、先週金曜日の企画会合において、最終的な審議をしていただき、内容について私に御一任をいただきました。本日は、私の方でまとめました「答申(案)」を事務局に読み上げてもらい、答申として決定したいと考えております。
それでは、事務局から「答申(案)」の読み上げをお願いしたいと思います。読み上げは、内閣府の阪口補佐にお願いしています。どうぞよろしくお願いします。
〇阪口補佐
それでは、お手元にございます「答申(案)」のページを3枚おめくりいただきまして「はじめに」のところから、読み上げさせていただきます。よろしいでしょうか。
〇香西会長
どうぞ。お願いします。
〇阪口補佐
(「答申(案)」読み上げ)
〇香西会長
長い間、御朗読いただきまして、どうもありがとうございました。お聞きになった方も大変だったと思います。
それでは、原案によって、このとおり答申を決定させていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
〇香西会長
それでは、異議なしと認めまして、答申を原案どおり決定させていただきます。
案がとれた答申、参考資料、その他の主な意見につきましては、後ほど事務局から委員の皆様に郵送させていただきます。今はまだ案が付いておりますが、今日で外れるということであります。
なお、答申の総理への手交につきましては、本日、総理が外遊中でございまして、日本におられませんので、後日、私より福田総理にお渡ししたいと考えております。日程その他については、現在調整中であります。
最後にやや勝手でございますけれども、私からお礼を兼ねて一言ご挨拶させていただきたいと思います。
本年1月に私が会長に選出されました後、本日こうして答申をまとめるまで11か月間ございました。委員の皆様には大変な御協力をいただき、熱心な審議を行っていただきました。
思えば、税制の本格議論に入る前に、まず税制と経済・財政あるいは企業・家計との関係などにつきましての分析が必要ということで、3月に調査分析部会を立ち上げ、専門委員の御協力もいただきながら、夏までの間、多様なテーマについて調査分析を行いました。この成果は、その後の審議に活かすことができたと私は考えております。
その後、税目別の本格的な審議に入ってきてからは、原則週2回という非常にハイペースの大変忙しい日程の中で審議をお願いいたしました。
その間、皆様の自由闊達な御意見をできる限りお聞きできるように、私としては、せいぜい民主的な運営に意を用いてまいったわけでありますけれども、事務局に数えていただいたところでは、本年1月から総会・企画会合・調査分析部会で合計29回、時間にして60時間弱の御議論をいただいたということでございます。
スケジュールの御連絡等について御迷惑をおかけするなど、会の運営につきましては、御不満と思われたこともあったかと存じますが、とにもかくにも、これだけの回数、そして、長時間にわたる御審議を重ねまして、こうして答申のとりまとめを迎えることができましたことは、皆様の御協力なしでは成し得なかったことであろうと考えておりまして、その点は本当にありがたく考えております。
余談ですけれども、民主的にやってきたつもりなんですが、本日は是非原案どおり認めてもらいたいということを申しております。これは私個人の判断でありますので、そういうことをやったと言われても困るんですが、政府税調の審議というのは、ほかの審議会等、私はほかの審議会にも列席したり、メンバーだったりしているんですけれども、構成が非常に違うという印象に持っております。
例えば経済財政諮問会議ですと、伊藤隆敏さんがさらさらさらと書いて大臣に渡せば、それで民間議員の案が決まってしまうという形です。
財務省の財政制度等審議会ですと、歳出削減の鬼みたいな人がずらっと並んでいるわけです。よけいなことを言ったら、あなたはここへ何をしに来たのか、ここは違うんです。転校生に対するいじめと同じような状況で、追放されそうな勢いがまとまってある。審議しなくても、結論が出ている。勿論、作業は経常作業をやって立派でした。それから、田近さんの名文も読まれたわけですけれども、しかし、あれは大体できているんです。委員が決まったときに答案はできているというぐらいのものです。そういえば、高木先生もいらっしゃいましたが、それは例外でありまして、大体そうなっている。
ところが、私が今度やってみますと、これは37人という大人数で、いつ行っても新しい意見が出てくるということであります。私がお願いして御協力いただきました主査の方々の間でも、意見はかなり分かれておりまして、私も非常に心配したわけです。
例えば会長代理と私で意見が合うかなと思うと、それは違っているところもあった。ニュアンスが違っているところもありました。私は神野先生には、個人の御意見、むしろ、答申に絡めなくてもいいから、個人でどんどん発表してくださいと申し上げたんですけれども、それでも、先生の書かれたものに、私も多少お願いするという形で、総論の部分をまとめることができました。
消費税関係につきましては、吉川先生に大変御努力いただきましたが、私は本当のところ、吉川先生があんなに社会保障ファンだということに気がつきませんでして、非常に感銘を受けました。こんなに偉い学者がこれだけ打ち込んでいるのかということで、非常にショックを受けました。というのは、実は私は率直に言って、社会保障制度自体にもかなり問題があるので、社会保障が必要だから、幾らでも税金をとってきますというふうに読まれては困るなと思って、多少、牽制球は投げたんですけれども、しかし、ある意味で、感動させられたということです。
田近さんからは、しょっちゅう電話でしかられておりまして、お前は弱腰で、日ごろ言っていることをちっとも主張しないと大分しかられたんですけれども、とにかくそういう形でありました。
それから、決して異邦人扱いするわけではありませんで、尊敬の念を持ちますが、法学部教授の先生方です。今、法学部で租税法などをやっている方は、ものすごく経済学に強くなっておられまして、要するに、ファイナンスという経済学でもなかなか手がつけられないところをものすごく深く勉強しておられる方が多い。だけれども、経済感覚については、どうかなという多少の不安も持っておりましたが、結果的には、そういう方々も含めて皆様で1つにまとめさせていただくことができた。
しかも、私が一番うれしかったのは、こういうふうに意見は違いましたけれども、人間関係においては、ものすごく協力的にお手伝いいただきました。あるいはお譲りいただき、建設的な議論をしていただいた。
リカードという経済学者が死ぬ10日前に、人口論のマルサスに手紙を書いているんですが、2人は大論争したけれども、意見は一致しなかった。しかし、あなたが私の意見に賛成してくれても、私は、今以上にあなたの友人であることは決してないというのが、リカードの手紙にありますけれども、本当にそういう点ではありがとうございました。
本日、非常に急いだ私なりの理由としましては、政府税調を今まで私は民主的にやったつもりですから、よその会合へ呼ばれて行って、例えば諮問会議に出ても、まだ決まっていませんというのが公表になっていたわけです。まだ議論中ですということで、これは1つの逃げだったかもしれませんが、そういう形で終始してまいりました。
しかし、具体的にそういう制度があるということではありませんけれども、現時点になりますと、政府税調の言い分をまだ検討中ですというのではなくて、一応まとめていただかないと、例えば党税調の審議もこれからが本格化するということでありますし、政府の方も予算編成あるいは将来の税に関する立法の準備をそろそろ始められるところで、いつまでも、まだ審議中ということは、かえって、政府税調のおもしを軽くするものであると考えました。
まだいろいろ御意見もあるだろうと思っておりますけれども、ひとつ、この段階でこれを答申とさせていただきたいというのが、私の気持ちであったということだけ言わさせていただきたいということであります。
なお、本日答申という形で、これまでの論議の集大成が一応できたわけでございます。これからどうするかという問題が残っておりますが、まず3連休を楽しみましょうということが第一のことでございますが、少しお休みを取らせていただきたい、あるいは取っていただきたいと思います。必要に応じまして、私の判断でまた御参集願うことがあるだろうと思います。そのときには、引き続き、今回同様にあるいはそれ以上の御協力をお願いしたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
それでは、本日は答申を決定していただいて、散会ということにしたいと思います。
〇猪瀬委員
香西会長、すみません。
〇香西会長
どうぞ。
〇猪瀬委員
この税調の討論の仕方でありますけれども、Aさん、Bさん、Cさん、Dさん、どうぞ。次にまたEさん、どうぞというやり方は、旧大蔵省が下々の意見を聞き置くというやり方と同じなので、やはりAという人が何かを言って、そこに問題があったら、それについて、だれだれはどうですかという進行の仕方をしていっていただきたいんです。これは別に香西先生の問題ではなくて、前からそうなんですけれども、要するに、各団体の人が自分の業界の意見を言う形になってしまうのではなく、やはりAさんがこういうことを言ったら、それについてどうですかという形で、その問題点をできるだけ多角的な面から皆さんが意見を言い合って、そして、次に移っていくという形に展開するのが普通だと思います。私は政府の会議に出て、今みたいなAさん、Bさん、Cさん、どうですかみたいなやり方があちこちであるのを見ていて、非常に違和感を感じるんですが、特に税調は人数が多いから、そうせざるを得ないところもあるわけですけれども、それはそうでない方がよろしいかと思います。勿論、そうでないようにしようとしているときがあったのを、私もしばしば感じましたが、是非今度はそういうふうにしていただきたいなと思います。これは要望です。よろしくお願いします。
〇香西会長
おっしゃることはテイクノートしまして、以後、注意してまいりたいと思います。
今日、案が配られておりますけれども、その他の主な意見というものができていまして、これは必ずしも答申に十分反映ができなかったものを集大成した形になっております。それから、議事録も一応公開されると思いますので、皆様の御意見はそれぞれ記録されていることも保証したいと思っております。そういうことで、よろしゅうございますでしょうか。
それでは、どうもありがとうございました。
(拍手)
〇香西会長
どうもありがとうございます。
〔閉会〕
(注)
本議事録は、毎回の審議後速やかな公表に努め、限られた時間内にとりまとめるため速記録から、内閣府大臣官房企画調整課、財務省主税局及び総務省自治税務局の文責において作成した資料です。
内容には正確を期していますが、税制調査会議事規則に基づき、事後の修正の可能性があることをご承知おきください。