総会(第3回)終了後の本間会長記者会見録
日時:平成18年12月1日(金)15:31~
場所:内閣府地下講堂
〇司会
それでは、本間会長の会見を行います。
〇本間会長
11月7日に我々新税調はスタートいたしまして、ほぼ3週間で突貫工事で19年度の税制改革に関する答申をまとめることができまして、今日は、皆さんご承知のとおり、総理大臣に手交させていただきました。
この間、体制が大きく変わったり、さらには非常に短い期間でございましたから、皆様にも大変ご迷惑をおかけしたのではないかと考えております。我々も短い間の中で、委員の皆様の協力を得てここまでたどり着けたというのが私の個人的な感想であります。内容につきましては、事務方から朝の説明をしていただいていると思いますので、私のほうからは、新しい税調の意味というものを冒頭に若干お話しさせていただきたいと思います。
私は石先生から引き継いで新税調をスタートしたときに、基本的にできるだけ情報公開、説明責任をきっちり果たしたい、そして委員主導型の税調をつくりたい、こういう具合に考えておりました。ところが、引き継ぎの段階でどさくさにまぎれて、私自身がちょっとその意味するところを理解できずに、情報をクローズすることが1回ございました。そのことが情報公開に対する我々のスタンスと違うような受けとめられ方をされたのは残念でございますけれども、これから、そのようなことがないよう努力してまいりたいと考えております。
体制的には、議論を聞いていただいたらおわかりのとおり、新委員が非常に活躍をしていただいたと考えておりまして、従来の税調の雰囲気とは一変していることは、今日の議論のやり取りなどでもお感じおきいただけたのではないかという気がいたします。人選は非常によかったと考えております。
第2番目の特徴は、内閣府、財務省、総務省の連携の強化。これはまだ不十分でありますけれども、スタートとしてはうまくワークしたのではないかと喜んでおります。弱い、従来コミットしていなかった内閣府の体制強化については、今、官房長官にお願いして、新春からはまた、内閣府のラインをトロイカ方式で三本柱でしっかりと運営する体制をつくってまいりたいと考えております。調査・分析機能を強化するためには不可避な体制強化であると考えております。
3番目の新味というのか、官邸との連携の強化であります。私どもは、税の独自性、あるいは政府に対して言わなければならない政府税調の役回りということは十分認識しておりますが、さりとて独立王国のような形でやっていくということは、経済施策のアクティブな手段としての税制を考えますと、これは諸外国では考えられないことでございます。その点で、まさに連携とオートノミー(自律性)というものをどのように調和させていくかということを、これから委員と一緒になって模索してまいりたいと考えております。
それから、今日の話題の1つ、諮問会議との連携の問題。これは単発的ではなく、継続的かつ双方向性で諮問会議との連携をやっていく。
この4つが体制の新味としてはあるだろうと考えます。
それから、今申し上げたことにも関係しますけれども、運営面では、これは私自身は、仕切らずに委員の皆様の言いたい放題でやりたいと考えております。その中からまとまる方向性というのをどういう具合に見出していくか。そして、積極的な意味合いをそこに付与していく、こういうことをやってまいりたいと考えております。これも私は、この3週間でも相当できたという具合に考えております。
それから、先ほど私がメモを出してご説明させていただいたとおり、調査・分析機能、広報広聴機能の強化、この部会を設けながら、1月以降、汗をかく政府税制調査会としてこれを位置づけて頑張ってまいりたいと考えております。
答申は、3週間ですから、我々がスタイルとしてどこまで変えられたかということはあるわけですけれども、例えばサブタイトル、「経済活性化を目指して」というものを入れたのは初めてでございますし、それから構成を見ていただいたらおわかりのとおり、従来は、総論部分のところは今まで合意した政府部門の文章をつなぎ合わせるような形の体裁になっておりましたけれども、これも、その狙いとするところをしっかり我々自身の言葉で書いたという部分がございます。したがって、この点についてはメッセージ性をどこまで付与できたかということがございますけれども、文章等においても、かなり従来の文章とは違う色合いになっていようという感じがいたします。
従来ですと、テクニカルなペーパーみたいな形で税目ごとに整理しているのを、柱建て、今日お示しいたしましたけれども、活性化系の部分、制度改革に対応する税の部分、さらには国民生活に関連する税の部分、こういう形で仕分けをしたところであります。できれば来年からは、関連の付属資料、あるいは国民への説得を資料的にも拡充しながら、我々税調が国民に訴える、あるいは、政府に対してこの答申の中で意味するところをより明確な形で示してまいりたいと考えております。
第一歩としては、時間の短かったわりには、自画自賛的にはなるかもわかりませんけれども、委員の皆さんに頑張っていただいて、ここまでこぎ着けられたというのは本当に私自身、ほっといたしております。
私から申し上げる点は以上であります。
〇司会
それでは、ご質問のある方、挙手をお願いいたします。
〇質問
2点、全体についてお伺いしたいのですけれども、今、プロセスについてちょっと評価をしていただきましたが、今回の答申の内容について、活性化を重視したものであるということについて、どのように評価されているかということを1点お答えいただきたい。
もう1点、消費税について今回全く触れられていなくて、「骨太の方針」でも、例えば今年度中に結論を得るように検討するというような内容が入っているのですけれども、なぜ入れなかったのかということ、それから、今後の消費税についての議論をどうしていきたいとお考えかということを教えてください。
〇本間会長
活性化の問題につきましては、今年取り上げたテーマは、ご承知のとおり、減価償却、同族会社等における留保金課税の問題、事業承継の問題、それから、新しい会社法等の中における三角合併の問題ですとか、リースの問題ですとか、信託の問題もそうですけれども、全体の流れの中で使いやすい制度、使いやすい事業編成の部分に対して税がどのように関与するか、こういう部分。さらには最後のところでは金融課税の問題。
こういうラインで議論を整理したわけでありますけれども、まだまだこの問題については検討を深めなければならないと考えております。総論の中にも書きましたけれども、法人実効税率をどのように考えるかという問題、これは皆さん、私が持論としてこれまで言ってきたということもありまして、法人実効税率の問題を中心的に取り上げていただいているのですけれども、昨日の企画会合、その前の企画会合では、今回の新メンバーは法人実効税率の引下げについて私を突き上げるような状況でございまして、表現ぶりが審議のプロセスの中でかなり前向きになったということがございます。
表現ぶりが前向きになったということはあるわけですけれども、一方で、活性化が国民経済に対してどのような影響をもたらすのかということは、もう少し分析をしてからやろうと。こういう考え方のもとで調査・分析機能をこれからしっかりと立ち上げて、マクロ・ミクロの双方の観点から、活性化というものが国民に対して--これは常識でございますが、パイが大きくなったときに、それが行き渡るスピードはその立場によって変わるわけです。その範囲というものは、浸透を深くしていくということは時間をかければ起こるわけですが、時差の問題において、過渡期の現象の、真の社会的弱者の方々であるとか、あるいは格差が固定するような問題について、もっと深堀りしながら、国民の共感を得られるような形でここを説得していく、あるいは情報公開をしていくということに取り組んでいくという意味では、我々はまだこれから時間をかけながら議論をしていきたいと思います。もともと私は「中長期的な課題」ということを申し上げているわけでありまして、その点、よりはっきり書くことができたという具合に認識しております。
後段の部分につきましては、総合的な税制改革の流れの中で、各税目について検討を深める、この記述の中に今ご指摘の消費税の問題も当然入っている。ただ、我々として、今年の段階で消費税の問題について、これを緊急課題として取り上げなければならないかという具合に問われますと、私は、今年この問題について深堀りすることは緊急性においてはあまり高くないのではないか、こういう判断をしたところであります。
それは一つは、法人税の自然増収を含めてかなり高い形で税収が伸びている状況の中で、さらに消費税の引上げをやるのかという国民の問題意識はあろうかと思います。しかも景気が少し、中だるみとは申しませんけれども、幾分先行きに対して揺らぎが観察できる状況、そしてその揺らぎの原因が、企業収益の改善が労働分配率の向上を通じて消費にはね返るというメカニズムができていない状況の中で、消費税を導入するなどということは、心理的な問題も含めて攪乱要因になっていく。これが2番目の理由であります。
もう一つは、このような状況の中で、歳出拡大に対して一体それはどういう意味合いを持っているのか。この段階で消費税の議論をするなどということは、国民はおそらく、歳出カットのほうが先だと。14兆円、本当にペースとして新年度にスタートできるのか。こういうご疑問が出てくることも予想されます。
以上の3点を私は頭の中で持ちながら、この問題について、19年度の税制改正では緊急に取り上げる必要性はないと判断いたしました。
もちろん今後の議論の過程の中で、来年以降、これが議論の俎上に上ってくることは、これは重要な税項目の1つでありますから、当然、それを抜きにしては議論ができないと判断いたしておりまして、抜本的な税制改革論議を我々はきちんとバックデータも含めてやってまいりたいと思います。その際には、確定的な議論の仕方をするのか、複数のシナリオ的な形でやるのか、さらには、経済財政諮問会議との連携の中でどのようなスタイルをやっていくかということは、今後、内閣全体の意思決定の中で判断をしていく、こういうことになろうかと思います。
〇司会
ほかにございますか。
〇質問
幾つかあるのですけれども、まず、法人実効税率のところです。昨日の会見でも、下げる方向性については盛り込むというふうにおっしゃっていたわけですけれども、この表現を見ると、普通に読めば今後の検討課題というふうにしか読めなくて、これで方向性が出ているようにも見えないのですけれども.この点は方向性が出ているのでしょうか。もしそうなら、それはどういう方向性なのでしょうか。
〇本間会長
私が最初に文案を提示しました際には、法人実効税率の検討というような形で、引下げは明示いたしませんでした。それに対して各委員から、経済活性化という非常に重要で、国民各層に対してプラスの影響を与える。その一つの手段として、法人実効税率を国際的な基準に持っていくことは意義があることだ。これから検討を深めていくことは当然のことだけれども、経済全体へのプラス効果をこの段階で表記して、そしてその成果が短期的に浸透しない部分について配慮をする、そういう構成にすべきだと。こういうことで、やり取りの中で引下げという言葉が入ったということは方向感を示したという具合に私は認識しておりますし、各委員ともそのように理解をしている、こういうことだと思います。
〇質問
もしそうであれば、引下げの方向で検討すべきだとか書くのが--税調では国民にわかりやすい議論をという方向もおっしゃっていますけれども、例えばそう書いたほうがわかりやすいと思いますし、この表現だと、検討課題だというふうになっているわけですから、それがなぜ、こういう抽象的なわかりにくい表現になってしまったのか。引下げの方向性でと、皆さんがそう言っているのであれば、なぜそう書かなかったのでしょうか。
〇本間会長
その他の意見のところにも書いておりますけれども、一部の委員から、企業収益のいい状況の中で、短期的な観点からなぜ法人税の実効税率引下げだと言うのかと、こういうご議論がございましたし、我々もまだ、基礎的なバックデータ、あるいは将来に向かってのシミュレーションもしていない段階で、あらかじめ相当強い表現ぶりをすることに関しては十分な準備的な作業が整っていないという判断の中で、方向性を書けという方と、そうでない方とのバランスの中であのような表現をとった、こういう具合にご理解をいただきたいと思います。
〇質問
どちらにしても引下げというふうに入っているのだから、今後、政府税調としては法人実効税率を引き下げる方向なんだ、それを明確にしたんだと、そういう位置づけになるのでしょうか。
〇本間会長
今の委員の皆さんの意見の分布では引下げの方向で検討すると、こういうことの合意は成立したという具合に思っております。しかし、調査・分析の中で、どのような形での検証結果が出てくるかということもございますので、そういう意味では今の段階ではこのような表現の仕方にしている、こういうことでご理解いただきたいと思います。
〇質問
その議論の過程ですけれども、先ほどの公開の議論をお聞きになればそういう経緯だというのはわかると思いますが、これは傍聴を許されていないわけで、後で出てくる議事録には名前を付されないわけですよね。
〇本間会長
誤解をしていただきたくないのですが、起草の段階でこれまで発表したなどということはあり得ない話であるわけです。名前が変わっておりまして、今回は小委員会という言葉を使っておりませんけれども、起草の委員が材料を出し、それに対する具体的な部分については、いつも2回ぐらいは最終的な部分のところで非公開にさせていただいているわけで、その意味では全く後退していないのです。
〇質問
運用の部分を言っているのではなくて、具体的な事実として、公開されていたときの議論と非公開のとき、前からもたしかにそうだったのでしょうけれども、非公開になったときに法人実効税率は引き下げるべきだという意見がかなり強く出ていたようで、ここは、先ほどの国民にわかりやすい議論という意味では、非常にわかりにくい方向になっているかと思いますが、そういう点についてはどう思われますか。
〇本間会長
私どもも進めていく際の一つの論点として、先ほどから申し上げておりますように、果たしてそれが国民全体の利益につながるのかどうかという部分に対してご懸念の声もあるわけですね。一部の人たちにはいかないのではないかと。そういうご懸念を我々は国民感情の一つのフェーズとしてしっかり受けとめて、この段階ではあのような書きぶりにした、こういうことであります。これは、委員全体の良識というものも表現ぶりの中には私は入っているのだろうと考えます。
〇質問
今後のスケジュールについて、大田大臣の諮問会議との関連でちょっと見えない部分が出てきたというか、4月までに諮問会議のほうに何らかのとりまとめを行って、骨太2007で1回とりまとめを行って、それから秋に抜本的改革という流れですね。今後の税調の議論の節目というのが、何カ所か、これまで想定されていたものと違うような形になっていてちょっと整理できない状況なので、改めてその辺、どういうふうな議論が来年以降あるのかということをお願いします。
〇本間会長
税調の側としては、実は、しっかりと前半の部分で実証、調査分析を中心にしながら勉強しようと考えておりました。ただ、よくよく考えてみますと、政府全体の方針を決める骨太の方針がこの6月に予想されます。この予想される骨太の方針のとりまとめを考えますと、逆算すると4月ぐらいに、税の部分についてどのような記述をするかということが課題になってくる、こういう具合に私は理解いたしております。それが、私が諮問会議にお邪魔したときに、大田大臣が4月ということで審議の状況について話しに来てくれと、こういうことのご要請だという具合に理解をしているわけです。
したがって、淡々と調査・分析の機能、あるいは今日もお話しさせていただきましたけれども、委員同士のプレゼンテーションを素材にしながら勉強会をしていく、こういう部分だけでは済まない要素が出てきたのではないかという具合に私自身も思っております。淡々と説明していくという部分だけでは、どういう具合にとりまとめていくのかということが、私自身、今は全く白紙の状態ですけれども、我々自身が税調の中で議論の骨組みを構成しながら、問題点というものを準備としてやっていかなければならないのだろうなと。その上で、政府税調への要請が一体どこにあり、どこのところまで深堀りして我々が諮問会議で報告させていただくかということは、調整しながら進んでまいりたい、こういう具合に考えております。
〇質問
関連してですが、4月に骨格概要を諮問会議のほうに出して、当然、諮問会議はコメントの中に盛り込むために税について議論することになりますけれども、この2つの税調と諮問会議との関係とか、今度それに与党税調がどう絡んでくるのかという、方向感はどういうふうに位置づければよろしいのでしょうか。
〇本間会長
従来、修文の問題等で党の側からの調整というのはあるわけですけれども、党の税調のご議論をそこで骨太に反映するというのはこれまであまりなかったわけでありまして、税も例外ではないだろうと。したがって、税調と諮問会議との関係をこれから連絡・調整させていただきながら、税調としての意見というものを一体どのように骨太の方針の中に入れていくか。こういうことは諮問会議側としっかりと、これからタイムリーにいろいろ相談しながら進んでいきたい、こういう具合に考えています。
〇質問
その連携という意味では、諮問会議の税の議論については、税調が積極的に関与して影響力を与えていくという方向で行くと。逆に、両方の税調も諮問会議も別々に議論して、屋上屋ということにはならないように、ということですか。
〇本間会長
我々両方とも政府の機関ですから、骨太の方針にまとめる場合には、それは両者の相談の結果として、どのような文章化をするかということは相互に我々はまとめていかなければならないと思います。従来は政府の税調は、どちらかというと骨太の方針には積極的にコミットしてまいりませんでした。これは実は総理の諮問会議における発言がございまして、具体的な部分というよりむしろ考え方、理念的な部分という具合に発言されております。しかも我々は、4月までは準備期間が非常に短いということもあって、基礎的な勉強も全体としておそらくできないような状況だと思います。その状況の中で何が言えるか。こういうことは税調の内部でしっかり議論をした上で、言うべきことについては骨太の方針に反映させていただく形でやってまいりたい。
ですから、我々はそっぽを向くわけでもないし、諮問会議の下部組織として従順なしもべということにもならない。自立性を守りながら表現すべき点についてしっかり議論を詰めていきたい、こういうことであります。
〇質問
先ほど会長は、議論を仕切ることなく、各委員の自由な発言に任せるという趣旨のことをおっしゃいました。そうしますと、今後、議論の分かれる場合、ますます方向性がはっきりしない表現ぶりが出るかと思います。そこをどうされるのかということと、そうすると、これまで会長が示されている、党税調がやってきた制度設計にもコミットしたいという考え方について支障を来すのではないかと考えるわけですけれども、その点についてはいかがでしょうか。
〇本間会長
私は必ずしもそういう具合に思っておりません。これから1年を通じて税調は活動してまいりたいと思っておりまして、ご承知のとおり、これまでの税調は集中的な審議のスタイルが多かったわけであります。我々としては、1月から議論を積み重ねていけば、どこに相違があって、どこに共通点が見出せるかということは、今の委員構成でありますと私はかなりできるのではないか、こういう具合に理解しております。それがあるがゆえに、つまり委員同士の共通の基盤があるという自信のもとでしっかり議論をして、そしてその方向性を見出していく、こういうことでやってまいりたいと考えております。
それから、党との関係でございます。党は実務的な形でやっておられますが、今日の答申の中にも書いておりますけれども、我々、ダイレクトにそこの部分で競合するというように、生々しい形でこれをやるというよりも、むしろ、スムースにそこの部分の役割分担ができればと考えております。
一つは、今後また委員の皆様と相談したいとは思っておりますけれども、答申の中にも書いておりますが、「PDCAサイクル」というものを政府税制調査会の中に入れ込んで、例えば既存の税制あるいは租税特別措置、こういうものを検証する。今まで長い間放置してきたようなものもございます。効果が上がっているのかどうかもわからないようなものもございます。この点を整理して、チェック・アンド・アクションを起こすことは間接的に--大福帳をまわすというような、そういうやり方ではございませんけれども、間接的に具体的な問題についてコミットしていく形になっていくだろうと思っています。
それからもう一つは、広報・広聴機能の強化の一環で広聴的な部分をどのようにこれから運営していくか。これも委員の皆様と相談しなければならないと思っておりますけれども、広聴機能の中に例えば、これはタイミングが難しい部分もありますけれども、今、各省庁が税制の上で何を考え、どのような要望をしているのか。こういうことを聞くとか、あるいは利害関係者は、いろいろ提案したり、租特を設けたり、要望したりする部分がありますから、そういう直接的な利害関係者からも話を聞く。
こういう作業の中で現存する税制の中での問題点を整理する。そして、それをどのように扱っていくかという議論が各委員の中から出てくると思っておりますので、そういう行動プロセスをとって我々が発言をしていくことが、具体の年末の税制改正の中において反映されることを期待する。こういうやり方でまずは進んでまいりたいと考えております。その方向性でやりたいと考えております。
〇質問
確認です。そうしますと、今回は時間が足りなかったので意見が集約できなかった部分があったかと思いますけれども、今後は、活動を通じて意見を集約していって、その表現や書きぶりに反映していくという形でしょうか。
〇本間会長
はい。できるだけそういう方向でやりたい。明確な方向性が打ち出せればそういう表現をとりたいと思いますし、それが無理であるということであれば、これは皆さんのお手元にも行っていると思いますけれども、「その他の主な意見」に明示化する。こういうやり方で進んでまいりたいと考えております。
〇司会
ほかにございますか。
〇質問
8ページの優遇措置のところをお伺いしたいのですけれども、「優遇措置の廃止が株式市場の無用の変動要因とならないよう工夫する必要がある」というふうに書かれてはいるのですが、具体的にどうやるかということが書かれていない。それについては例えば、来年末までに株式の譲渡益については10%の軽減税率を廃止するといったようなことを検討していたと思うのですが、そういった具体案が書かれていない理由はなぜでしょうか。若干弱いような気がしますが。
〇本間会長
これは皆さんご承知のとおり、今すぐに決めなければならないテーマではないわけでありまして、日程的な余裕の中でこういう表現ぶりをとっていると。これはおそらく来年になっても、移行の部分についてはいろいろご議論が出てくると私ども認識いたしておりまして、その過程の中で税調が具体的な方策を主張できる部分があればそのプロセスの中に入っていく。ここで予断で確定な形で書く、今、そういう状況ではないだろうという判断を持っております。
〇質問
留保金課税制度について伺います。この制度については、「さらなる見直しを検討すべき」という表現になっていますが、その前段を見ると、「競争力強化を図るといった政策的要請がある。以上を踏まえ」という表現で「さらなる見直し」というふうになるわけですから、これは当然、方向感としては廃止というふうに理解してよろしいのでしょうか。
〇本間会長
過渡期の問題、あるいはそこでも書いておりますように、この問題は公正な税負担という観点で、課税逃れになる危険性もあるのではないかと。こういうようなものがずっとあってこの留保金課税の問題なんですね。使い勝手の悪い部分があったということもありまして、そういう意味で、方向性としては従来よりも留保金課税の撤廃に向けてのスタンスを示した。こういうことではありますけれども、それを全く即時的にやれというところまでは、実務上の問題あるいは課税の公平さという観点で言えば、考えなければならないポイントがあります。例えば、この留保金課税が本当に自己資本の充実に役立っているのかどうか。こういう問題もございますから、そういう意味でこのような書き方をしている。こういう具合にご理解いただいたらよろしいかと思います。
〇質問
今後の審議の進め方についてお伺いします。参議院選挙の前に消費税について実質的な議論は行うのでしょうか。それとも、調査だとか分析とかをこそこそやって--まあ、こそこそというか、じっくり構えて、参議院選挙が終わってから思い切りやり出すということになるのでしょうか。
〇本間会長
先ほども申し上げたように、政治的にそういう判断ぶりはあると思いますが、先ほど私は3点をきちんと言ったはずであります。なぜ我々が、今、消費税をここで議論しなかったかということについて、経済との関係について申し上げたとおりでありまして、税調としてはその判断のもとで、とりわけ前半期において基礎的な勉強をしよう、こういうことを申しておるわけであります。したがって経済の動向、あるいはこれからの自然増収も含めて、税収のありよう、歳出削減の進行度、こういうものを実態として見極めながら、これはご指摘のとおり、後半に結果としてなっていく。これは私は自然の成り行きではないかと考えております。
今日、税調で大田弘子大臣が指摘されたとおり、5年間の中でプライマリーバランスを黒字化するという、安倍政権における課題は共通の認識として私自身も持っておりますし、離陸期としての2年の間には経済活性化に向けての部分がまずスタートとして重要視されていく。こういう共通の認識を持っておりますので、その5年におけるプライマリーバランスと2年の離陸期間、そして経済の今の動向の中で、これをどこまで前半期において表現をするかということになれば、おのずから基本的な考え方に限定されるのだろう。しかもそれは、安倍総理の諮問会議における我々に対する要請とも合致するのだろう、こういう具合に判断しています。
〇質問
それはそうなんですけれども、ただ、直後に基礎年金の国庫負担繰入れの問題が来るわけですね。それが目の前に来ているので、消費税については時期的な問題というのが迫っていると思うんです。そこも後半になってからということなのでしょうか。
〇本間会長
その問題を判断する場合でも、税収の動向がどのくらいあるか、歳出の切り込みがどのくらいあるかによって、基礎年金の国庫負担割合の3分の1から2分の1への引上げの財源、消費税換算で言えば1%部分のところを一体どのように手当をしていくか。自然増収でやるのかもわかりませんし、そういう動向をもう少し見極めていこう、こういうことでご理解いただきたいと思います。
〇質問
いまの関連でもありますけれども、消費税ですね。来年度予算の方向と、社会保障がどれぐらい増えるか見ていくという話がありますけれども、それは消費税換算ではどうというお話でした。でも、それは法人税にも言えることで、法人税がどれくらい必要なのか、どれぐらい財源になるかを見るのと同じ条件だと思いますけれども、条件が同じにもかかわらず、なぜ法人税だけ……。
〇本間会長
ちょっと理解が浅いんじゃないですか。経済の活性化への方向と、経済に重荷をおかせる方向と同一に議論するというのはおかしいわけで、我々としては、今の微妙な状況の中で経済をどのように活性化するかという方向性を議論しているわけで、国民負担をどういう具合にしていくかという中長期的な問題と、消費動向が労働分配率の下降局面の中で、さらに消費税を引き上げて景気を冷え込ませるというような判断は、おそらく経済の運営として、循環的な要素としてもまずいだろうと思っています。
〇質問
それでは法人税を減税する場合も、財政的には短期的には……。
〇本間会長
「中長期的な問題」という具合に申し上げているわけで、何もすぐにやるなどということは、私はひと言も申し上げておりません。法人税の場合も。
〇質問
でも、方向はそうなんですよね。
〇本間会長
方向性はそうですし。
〇質問
それはマーケットにも予断を与えるわけですし。
〇本間会長
いや、ですから、それはきちんと分析しようとしているわけです。消費税についても、国民経済へのミクロ的・マクロ的な影響をちゃんと勘案してやっていきましょうということでは、私は全く矛盾していないと思いますけれども。
〇質問
それと党税調との関係ですが、今日、党税調の幹部会が開かれまして、その後の総括として、証券税制については延長の方向の意見が強かった、大勢であったと。法人税率については、下げることについては反対の声が多かったということで、これを見ると、2つの論点について政府税調と方向が全く違う結論になっているわけですけれども、これは今後どういう決着をつけていくことになりますか。
〇本間会長
我々、この答申の中にも書き込ませていただいておりますけれども、中長期的な方向性、特に活性化との関係の中で、答申の趣旨を踏まえてしっかりやっていただきたいと、希望を述べているわけです。したがって、短期的な来年度税制改正においてこれがどのように取り上げられるか、あるいは実現するかということは、これは政府が決める問題で、我々は確実に実施することを期待すると言っておりますけれども、政府がどのように決定するかということは、今のご質問の背景には、党が決めるということを意味としておっしゃっているのだろうと思いますが。
〇質問
これまでの経過、これまではそうだったということでは。
〇本間会長
そうですね。ですからこれは、政府の中において両者の関係を整理していただきながら、どのように実行していただくか。我々もこれは注視しながら、今後、お話を伺って、それに対しての意見が委員からも出てくるかもわかりません。私、予断を持って言っているわけではありませんけれども。
今年は初年度でスタートしたわけで、政府税調と党税調の役割分担について、これから補完性がうまく働くような状況をどうとっていくか。私自身も、まだどうなるかということすら自分でも理解できていない状況でありますけれども、政府税調の権威というものを、委員の皆様の協力を得ながら高めてまいりたいと思います。理論的、実証的、そして実際の決定において政府税調の役回りというものをしっかり確立し、その一つの手腕として経済財政諮問会議と連携を強化する、こういう方向でやっていきたいと考えています。
〇質問
総理が答申を受け取った後、「この答申を指針として税制改正を進めてまいりたい」とおっしゃっていましたけれども、そういう意味では総理の立場で今回の答申を、党税調というよりはこちらのほうを尊重してもらいたい、こういうことでしょうか。
〇本間会長
そうですね。それから、金融税制の部分での今年の扱いと中期的な方向性の問題は、私は今、尾形さんの話しか聞いていないので、党の状況はどうなっているかわかりませんけれども、原則として撤廃する方向性でやってくれと我々は言っております。その上で移行期の問題について述べているわけでありまして、それを全く我々が否定されたのもどうか、その意味するところをもう一度私は精査したいと考えております。それから、暫定的なものなのか恒久的なものなのかということも含めて、結論がもし出れば、その状況をちゃんと把握しながら、我々として言うべきことがあれば言ってまいりたい、こういう具合に考えております。
〇質問
先ほど、法人についても中長期的を言っているだけなのだという話がありましたけれども、この間までの経済財政諮問会議と、7月に骨太の方針をまとめたときも、本間会長は民間議員でいらして、消費税については民間議員が一番、中長期的についてきちんと盛り込むべきだという主張をされていたと思うのですが、今回、中長期についても消費税については触れられていない。この矛盾というのはどうしてですか。
〇本間会長
いや、全く矛盾はしていません。我々は、離陸期、特に今年は3週間しか余裕がございませんでしたから、そのことを対応して答申をまとめたということで、私の頭の中にはいつも2011年にかけての工程表的なイメージを持っております。これは民間議員の経験を持っていますから。その意味で、中長期の工程管理表的なところに全体像をどのように描いていくかということは今後の課題である、こういうことを申し上げているわけです。
〇質問
今の最後の質問と重複する部分ですけれども、消費税を今すぐ上げるべきでないという会長のお考えは一つあるかと思いますけれども、この答申の中にひと言も入っていないという意味は、おっしゃるような意味で積極的に議論すべきではないとか、そういう何らかの理由があったと思うんですね。その、ひと言も触れていないということについての理由を教えてください。
〇本間会長
ひと言もということではなくて、「総合的な税制改革」の中で、2ページの7行目あたりにそれを表現をしているつもりでありまして、消費税だけではなくて所得税の問題もあるわけですし、資産課税の問題もあるわけですし、そういう全体像の中で各項目を議論する、こういう書き方でございます。
それで、消費税の問題について言及があったのは「その他の主な意見」のところに、幸田さんの発言だったと記憶しておりますけれども、「総論」の冒頭のところです。「法人課税のみならず、個人所得課税、消費課税などについても、議論が必要である」。我々は、この言及だけしかございませんで、深堀りして議論を深めたということがなかったわけでありますし、とりわけ、年度改正の中でのテーマということではこれが深堀りできませんでしたから、その意味であのような表現ぶりになっている、こういうことでご理解いただきたいと思っております。
〇質問
減価償却制度のところですけれども、償却可能限度額と残存価額については来年度のテーマで、耐用年数についてはもうちょっと長い目で見ていらっしゃるという理解でよろしいのでしょうか。
〇本間会長
今のご指摘は、95%と10%、両方が同時か否かということですか。
〇質問
来年度に向けた整理なのか、それとももっと長期的な……。
〇本間会長
いえ、これは私どもは相当速いテンポでやっていただくことを期待している、そういう書き方です。ただ、法定耐用年数・設備区分については、これは実務的に詰めなければならないテーマでありますから、これについては来年議論しよう、こういう括りになっている。その前段の部分のところは一括してご理解いただければと思います。
〇質問
留保金課税のところも来年に向けたテーマという理解でよろしいですか。
〇本間会長
そうですね。そこの積極さというものをどのように反映するかということについて、ここでは記述している、こういう具合にご理解いただきたいと思います。
〇質問
いまの関係で、耐用年数は実務的に詰めないといけないので来年の議論ということですけれども、一部ハイテク関連のものについてはできるだけ早くということですが、その辺は、来年度の改正で手当をしていくべきだという方向性をこれで盛り込んでいるというふうに考えてよろしいのでしょうか。
〇本間会長
どこまで今年やれるかどうかというのは、私自身、自信がない状況でございまして、特に耐用年数等の部分の検討の中で最初にやらなければならないのはそういう部分だと、こういう気持ちで整理していると理解していただけましたら、ありがたいと思います。
〇質問
法人実効税率の引下げですけれども、中長期の課題ということですが、具体的にはどういうふうにイメージすればよろしいのでしょうか。それと消費税の問題で、先ほど3条件を挙げておられましたけれども、条件が満たされない場合、来年の議論の中でさらに消費税が先送りされる可能性についてはいかがでしょうか。
〇本間会長
これは私が答えるべきか否かという問題はあるわけですけれども、私個人の考え方としては、先ほど申し上げました、私は諮問会議の前議員として、7月7日の「骨太の方針2006」に書き込んだときのイメージが実はあるわけでありまして、2011年までにプライマリーバランスを回復していく。この中ではやはり、あらゆる税について聖域なく検討を進めていく。したがって今ご指摘の両税、法人税についても消費税についても、これは当然のことながら歳出削減、あるいは成長率の想定にもかかわってきますけれども、議論の対象にしていかなければならない、こういう具合に理解いたしております。
後の問題については--2010年代の半ば以降の問題についてはここでは触れておりませんけれども、少子高齢化の進展の中で安定的な財源をどのように求めていくか、あるいは活性化をどのように進めていくか。この両税の問題についてはおそらく継続的な議論の必要性があるだろう、こういう具合に理解しています。
〇司会
大変恐縮です。会長のご日程が詰まっておりますので、あと1問ということでお願いいたします。
〇質問
中長期的の具体的イメージについて。
〇本間会長
中期的に5年ぐらいの範囲の中で結論を出す、こういうことで私は問題提起をしている、こういう具合にご理解いただきたいと思います。2011年ぐらいの範囲の中でどうするかということを、しっかりと国民に対して解析し説明責任を与え、そして、成長あるいは経済の活性化というものが国民経済に対してプラスの方向性に貢献するということを、十分納得していただきながら進んでいきたい、こういう具合に思っております。
〇司会
それでは、これで終わります。どうもありがとうございました。
〇本間会長
どうもありがとうございました。(了)