第47回総会・第56回基礎問題小委員会合同会議 議事録

平成18年6月16日開催

石会長

お忙しいところお集まりいただきまして、ありがとうございました。総会と基礎問題小委員会合同会議を開催したいと思います。

今日は3つほど大きなテーマがありまして、1つは、今、歳出・歳入一体改革の議論がいろいろ進んでおりますが、その状況を踏まえまして、主計局から、財政制度等審議会でまとめましたものを少しご紹介いただく。それから消費税、個別消費税。3つございますので、順次議論をしていきたいと思います。

では最初の議題に入ります。今日は主計局から岡本調査課長においでいただいております。財政制度等審議会の「建議」、そして「社会保障に関する安定財源確保についての論点整理」というのがこの間出ました。それをベースにいたしまして、今、社会保障の給付の伸びがどうだということを踏まえ、どういう財源を今後確保しなければいけないかというあたりの推計が出ておりますので、そういう点について岡本調査課長からご説明いただきたいと思います。同時に、14日に税調の代表者と財審の代表者が会合を持ちまして、この問題につきまして意見交換会をいたしましたので、岡本さんの説明の後に、私のほうから若干その辺の状況をご説明したいと思います。

では、岡本さん、お願いします。

岡本主計局調査課長

主計局調査課長の岡本でございます。よろしくお願いいたします。

それでは、お手元の資料の「歳出・歳入一体改革に向けた基本的考え方について」、この冊子、今週14日に財審におきまして、建議を大臣に出していただきましたそのものでございますけれども、これの概要と、今、会長からご指摘ありました、社会保障の安定財源の確保についての論点整理、この中に含まれているその部分につきまして、ご説明をさせていただきます。

まず財審の建議本体でございますが、大変大部でございますし、時間の関係もありますので、この冊子の一番最後から2枚をお開きいただきたいと思います。ここに今回の財政審の建議のポイントを何枚かにまとめてございます。この後ろから2枚目の「『歳出・歳入一体改革に向けた基本的考え方』のポイント」というところで、今回まとめた基本的考え方の総論的なところを整理してございます。

財政の現状につきましては、ご案内のとおり、財審におきましても、大変厳しい状況であるという認識のもとで、特に「財政の現状」というところの2つ目のマルでございますけれども、借換債を含む国債の発行額が140兆円規模になっていると。これは税収の約3倍に達して、経済成長に伴う利払い負担の増が税収の増を大きく上回る可能性があると。わが国財政は金利上昇に極めて脆弱な状況になっているという現状認識のもと、今後、財政健全化に向けて何を目指すか、この金利上昇に対する脆弱性は巨額の国債残高が原因。この国債残高に着目した財政運営が不可欠であろうと。

現在、政府が掲げております基礎的財政収支の黒字化も、もちろんこういったことに向けての目標でございますけれども、国債残高をGDP比で見て引き下げるためには、この基礎的財政収支の黒字化というのはまだ一里塚であって、国債残高対GDP比を確実に引き下げることを目指して、相当規模の基礎的財政収支の黒字化幅を確保する必要があると。

財審の議論におきましては、長期試算なども提示いただいてご議論いただく中で、堅実な見通しということで、昨今の金利と成長率の状況から、金利が成長率1%程度上回り、また、ここ10年のその差の平均がおおむね1.5%程度になっているわけですけれども、仮にこういった1.5%程度になったとしても、この国債残高対GDPを発散しないようにするためには、国において、対GDP比で1.5%程度の黒字幅が必要ではないかというご提言をいただいております。

そういった中で、財審におきましては、もちろん、今後、歳出・歳入両面からの改革が必要なわけでございますけれども、まずは歳出改革を徹底するという考え方のもとに、引き続き歳出削減に厳しく取り組む。また、特別会計の見直しですとか、独法への財政支出の抑制ですとか、資産債務改革、随意契約の見直し等々につきましての考え方もあわせて示しているところでございます。

次のページ以降に、各分野ごとの具体的な提言をいただいております。基本的には、これまでもこういった項目につきましてご議論いただいてきているわけですけれども、2010年代初頭の基礎的財政収支の黒字化及び債務残高対GDP比の引下げに向けまして、ここに掲げてありますような各分野、聖域なく歳出削減を継続強化していくことを強く求めるということで、今回の建議はまとめられてございます。

ちょっと時間の関係もございますので、中身につきましてのご説明は省略させていただきますが、後ほどご参照いただければと思います。

それでは、もう一つの社会保障の安定財源確保についての論点整理といことで、これはページのつけ方が、最初からまず33ページまでを開いていただきまして、そこまでが財審の建議でございまして、そこからもう一枚開いていただきましたところに【別添1】ということで「-社会保障に係る安定財源確保についての論点整理-」という資料をつけさせていただいております。これをご説明させていただきます。もう一ページお開きいただきまして、1ページ目の「はじめに」のところでございます。

ちなみに、この社会保障の安定財源の論点整理につきましては、4月7日の経済財政諮問会議におきます中間とりまとめにおきまして、7つの原則のうちの1つに、将来世代に負担を先送りしない社会保障制度を確立という原則のもと、給付の見直しとあわせまして、社会保障のための安定的な財源を確保し、将来世代への負担先送りをやめるという文言が盛り込まれております。これを受けまして、4月19日の諮問会議におきまして、与謝野経済財政諮問担当大臣から財務大臣に対しまして、この点に対する論点を整理して諮問会議に報告していただきたいという要請を受けまして、財務大臣から財審に検討の要請をして、今回このような形でまとめていただいたというものでございます。

「はじめに」のところからもう一枚お開きいただきまして2ページをご覧いただきたいと思います。今回の考え方を整理するに当たりまして、財審におきましては実は昨年の5月にも、社会保障に関する将来推計というものをお示ししております。今回、厚生労働省のほうから給付と負担の見通しにつきまして新たな試算が提出されましたので、今回それを踏まえた試算の見直しというものを行ってございます。

右側の3ページ目のところに「試算の前提」を書いておりますけれども、試算といたしましてはその3つのケース、厚生労働省の推計に基づくいわゆる自然体のケースと、過去5年間、社会保障制度改革を行ってきた同等の改革努力というものを今後も引き続き続けていくというものと、あと、経済成長率並みにその伸びを抑制すると。ただ、この場合は、2009年度までに基礎年金国庫負担割合の2分の1への引上げというものがございますので、これについては織り込むという形にしておりますが、この3つのケースの試算の数字を示しております。

4ページにその試算の結果を示しておりますが、4ページの一番上のところでございます。まず、いわゆるベースライン、自然体のケースでいきますと、この社会保障給付に係る公費負担、要するに、国・地方のいわゆる税負担に当たる部分でございますけれども、2006年度時点で28兆円となっているのが、2011年には36兆円、2015年度には43.5兆円にまで、引き続き大きく増加していく姿が出ているということでございます。

ただ、これを先ほどのケース2及びケース3のように抑制すればどうなるかということで、抑制ケースをここに掲げておりますが、試算2の場合、「本試算によれば」というところの[1]でございますが、試算2のケースで、ベースラインに比べまして、それぞれ、2011年段階で1.5兆円の抑制、2015年段階で3.5兆円の抑制、成長率並みにまで抑制いたしますと、それぞれ2兆円、5兆円程度の抑制となっております。

なお、昨年の5月の試算でもそうだったのですが、経済前提もありまして、分母のGDPも大きく変わってくる中で、公費の規模を何十兆円という名目値で示しますと実際にどれだけ負担が増えていっているのかなかなかわかりにくいということで、公費負担の規模を具体的にイメージするために、機械的に消費税率で換算するという手法を昨年5月に行ってみました。同じ試算を行っております。

それでやりますと、ベースラインで見た場合に、2011年度時点の公費負担をいわゆる消費税率換算いたしますと約14.5%に相当する。2015年度時点では約15.5%に相当する。

なお、この消費税率換算の考え方は、下の(注4)のところでございますが、前回、長期試算をご説明させていただいたときと同じく、いわゆる純税収ということで、消費税率に応じた歳出増加額というものがありますので、ネットの税収額、2006年度時点で1%当たり2.2兆円でございますけれども、それぞれの時点に置きかえて、このベースで置きかえたのが先ほど申し上げた数字でございます。

ですから、これは足元も仮に置きかえますと12.5%ですので、この消費税率に換算する姿が上がっていくということは、やはり経済の伸びを上回って増えていっている分があるということを示しているわけでございます。

仮にこれを抑制した場合でございますと、試算2のケースで、2011年段階で0.5%程度の抑制、2015年段階で1%程度の抑制。成長率並みに抑制した試算3のケースですと、それぞれ、1%、2015年段階で2%相当分の抑制になるという姿でございます。

以上が今回示されている試算の姿で、これまで医療、年金、介護それぞれ改革を行ってきまして、今回も医療法案が成立したわけでございます。前回の試算に比べましてある程度の抑制が図られてきているというわけでございますけれども、引き続きこのように、まだ伸びていくという姿が想定されているというものでございます。

5ページの(まとめ)のところにその旨を書いておりますけれども、最初のマルが、これまで努力が行われてきましたが、引き続きまだ伸びることが見込まれると。特に2009年度までには、先ほど申し上げました基礎年金の国庫負担を2分の1へ引き上げるということがされている。また、この試算以降、2010年代半ばには、いわゆる団塊の世代が基礎年金の受給者となる年齢を迎える。こういったことから、社会保障サービスの需要が急激に高まる。当然、それにあわせて公費負担に大きな増加圧力がかかる。

一方、現在、財政が大きな赤字に依存しているという状況のもと、いわゆる公費負担の分、これを賄うだけの安定的な税財源が確保されていない状況でございまして、給付と負担のバランスが図られていないという状況が続いているわけであります。この給付と負担の具体的水準については国民的な議論の中で選択していく必要があるが、いずれにしても、この給付と負担が表裏一体であり、給付を抑制しないのであれば負担を増加し、負担を抑制するのであれば給付の削減が必要になる。こういったことを大前提として、早急に給付と負担のバランスを確保する必要がある。そのために引き続き努力を行っていく必要がある、というのがこの試算結果から出てくるものでございます。

次の6ページから、今回の主眼であります、経済財政諮問会議の中間とりまとめに盛り込まれた安定的な財源確保に関しての論点の整理というのを行っております。

まず、その意義でございますが、最初のマルが、社会保障給付というのは、現世代における各個人が受益するものでありますけれども、財政赤字が多額に上る状況では、そのための公費負担を現世代が負担する税財源によって賄っているとは言えない状況。要するに、これは将来世代の税負担に先送りしているという状況であると。

2つ目のマルですが、これが続いていけば、この世代間の不公平をさらに拡大する。また、社会保障制度そのものに対する国民の不安や不信を招き、まさに持続可能とは言えない状況になるのではないかということです。

また、わが国財政の中で見ましても、社会保障に要する費用が近年の最大の歳出増加要因でありまして、これにどのように対応するかというのが、まさにとりもなおさず財政全体の持続可能性の問題にもなっているということです。

したがって、この社会保障についての不断の見直しを行いつつ、それでも必要な給付に対する公費負担について、安定的な財源を確保することによって、将来世代への先送りをやめる、給付と負担のバランスを図るということが極めて重要。それがまた社会保障制度及び財政全体の持続可能性が確実なものになるという考え方で、この(参考1)が先ほど来申し上げております諮問会議の4月7日の中間とりまとめの原則5。おそらくここもそういう考え方で書かれているものであろうと思われます。

また、先ほど来申しておりますように、基礎年金の国庫負担割合の2分の1への引上げというのが、16年の年金改正法によりまして、平成19年度を目途に、所要の安定した財源を確保する税制の抜本的な改革を行った上で、平成21年度までに実施することと法律でされておりまして、この財源確保というのが重要な課題になります。その検討に際しましては、昨年暮れの与党税制改正大綱、ここに掲げてありますような形で、社会保障の安定的な財源をどのように確保するかもあわせて検討する必要があるとここで書いてございます。

それで次のページですが、それでは、財源についての考え方、どのような考え方で考えるべきか。ここまで述べてきてますように、まず社会保障給付というのは基本的には現世代の受益である。それに係る公費負担については、基本的には現世代の負担によって安定的な財源を確保することが合理的であろうと。

ちなみに、(参考3)でございますけれども、平成11年度予算以降、基礎年金と老人医療、介護のための予算につきましては、毎年度の予算総則におきまして、国の消費税収分、これは交付税を除いた部分でございますが、これを充てるということが明記されております。

下の(注7)に書いておりますけれども、これらに係る予算額というのは、今12.1兆円。ちなみに消費税収というのが、国分で見ますと、18年度の場合、7.4兆円ということになります。現在すでにそういう扱いになっているということが1つ、これは事実としてございます。

2つ目のマルでございますけれども、本来、将来世代に先送りすべきでないというのは、高齢者向け給付に係る公費負担に限られるものではなく、先送りをやめるという観点からは、社会保障給付全体に係る公費負担について、国・地方を通じて必要な負担に見合う安定的な財源を確保する必要がある。

その際、社会保障制度は国民全体が互いに支え合う仕組みであるということから、この公費負担の財源についても、国民全体で広く公平に負担するものとなっていることが適当ではないか。

とりわけ、少子高齢化が進展し勤労者数の減少が見込まれる中で、勤労世代に過重な負担を求めることとすると、経済社会の活力を損なう。そういった観点からも、広く公平に負担を求めることが適当ではないか。また、高齢者を制度により支えられる側としてとらえる考え方を見直して、高齢者も含めた国民全体が負担する形で財源を確保することによって、世代間の公平も図られることになるのではないか。

さらに、この社会保障給付に係る公費負担は持続的に増加することが見込まれておりますので、制度に対する信頼を確保する、維持するという観点からは、経済動向等に左右されにくい安定的な財源を確保することが適当と考えられると。

諮問会議におきます中間とりまとめにおきましてはさらに、原則の7だったと思いますが、新たな国民負担による財源は、官の肥大化には振り向けず、国民に還元することを明確にするなど国民の理解を深める、という考え方が示されております。国民から新たな負担を求める場合には、もちろんどのような手法かというのは今後の検討であろうと思われますが、これを社会保障給付の安定的財源というふうに仮に何らかの形で確保されるのであれば、それを明確にすることが必要であろうと。

また、社会保障に係る公費負担については、現世代で広く公平に負担を分かち合うことを明確にすることによって、国民一人一人が制度を支えるとの意識が醸成されることも期待される。

他方で、社会保障に関する費用のうち、社会保障給付には含まれない人件費や管理費など行政執行部門に係る経費については、他の行政経費と同様、いわゆる安定財源の確保という対象ではなく、例えば総人件費改革ですとか、そういった改革のもと、できる限り効率化・合理化を行っていくことは当然であるということが書かれております。

また、一部の地域で独自に行われる社会保障に係る給付については、それぞれの地域の政策判断で行われるということから、それぞれの地域において独自に手当てされることが基本であろうということ。

そういうことで、ここで、先ほどの試算にありました社会保障に係る分というのは、いわゆる国の予算でいう社会保障関係費ということでありませんで、年金、医療、介護等の社会保障の給付に係るものだけを取り出し、先ほどの推計を行っているわけでございます。

以上のような考え方を整理して、今週14日にご提出いただいておりまして、本日の諮問会議におきましても、財務大臣から、この財審の建議及び社会保障の安定財源に関する論点整理につきまして報告をさせていただく予定としております。

ご説明は以上であります。

石会長

どうもありがとうございました。

今の岡本さんのご説明につきまして、いろいろコメント、あるいはご質疑あろうと思いますが、それは後ほどするとして、14日に、税調と財審から代表委員が出て、10人ぐらいで意見を交換いたしました。冒頭、今のようなご説明を、財審の代表者であり、実際にこれをつくられた富田さんのほうからご説明いただきました。何ぶんにも時間が小1時間ぐらいしかなかったので、あまり立ち入った議論ができなかったのですが、それと同時に、学者グループが多かったので、とかく技術的な、やや理屈っぽい話に終始いたしまして、議論があまり骨太のほうにいかなかったのですけれども、ただ、非常に理解は深まったと思っております。

こういうことを踏まえないと、一体どういう形で税制改革が必要だ、あるいは安定財源の確保が必要だということに議論がいきませんので、そういう意味で、この財審にお出しいただいたのは、歳出面での社会保障給付の言うなれば将来推計なのですね。これが明らかになった段階で、言われていることは、安定財源をいかに確保するかというところまででありまして、それを税調として受けとめるなら、そこをどうやってこれから議論していくかというあたりが一つのポイントではないかと、このように考えております。14日の議論では、そういう形で、双方、意見は一致したということであろうと思います。

それでは、今、岡本さんから説明していただきました、財審でまとめられました建議も踏まえ、かつ、社会保障の言うなれば安定財源確保についてのいろんな論点整理、幾つかございましたので、これにつきまして、ご質問なり、あるいはご意見を賜りたいと思います。少し時間をとりましょう。どうぞ、どなたからでも結構でございますから、ご発言ください。

どうぞ、井戸さん。

井戸委員

社会保障に関連しなければいけませんか。結構ですか。

石会長

結構ですよ。

井戸委員

私は、まず1つ、先ほどの、残高はどこまで減らしていくかというところの議論をきちっとしておく必要があるのではないかと思うのですね。というのは、本当に今のこの膨大な国債残高をゼロにするための財政再建を目指していくのか、それとも、ある程度、永久国債ではありませんが、元本借換えでつないでいくということを前提にした財政再建を考えていくのかによって、アプローチが随分違うのですよね。ですから、そういう意味で、利払経費は払っていかなければ絶対いけませんけれども、元本をどこまでどれだけ減らしていくのかというのについてのやはり一応のメルクマールというのを、議論をきちっとしていただく必要があるのではないかというのが1つです。

それからもう一つは、これは我々の側から言った不満なのですが、いつも、プライマリーバランス、地方は黒だ黒だと言われているのですけれども、現金収支で見た場合に、一般会計の交付税の借入れが地方に来たときには現金になりますので、それを加味すれば、プライマリーバランスが黒だということの指摘それ自体は、新SNAで言う限りは間違いないと思っているのですが、ただ、そういう特別措置が前提になって黒になっているという話がいつも抜けましてね。いかにも財政構造が地方はよくなっているから、だから黒なのだというような使われ方をされているというのは、いかにもためにする議論ではないでしょうか。これが2番目。

3番目。もう一つは、交付税の法定率下げろという話を何か機械的な計算の財政収支見通しで言われているのですけれども、そんなことをおっしゃるなら、過去11年間、交付税率を見直しもしないで、本来だったら5%とか10%上げてよかったはずなのに上げないで、法律では上げろと書いてあるのに上げないできて、特例加算だけでしのいできたにもかかわらず、なぜ交付税率をすぐに下げろというような、見直しをしろというようなことを、財政審ともあろうところが一方的な議論なさるのかよくわからないなということは申し上げておきたいと思います。

石会長

もうよろしいですか。3つで。

井戸委員

それからもう一つ。この社会保障給付に係る公費負担についての試算だというのはよくわかりました。ただ、社会保障給付に係る公費負担だけで社会保障が今後とも営まれていけるのかというと、そうではないのですね。例えば我々がやっているような老人保健事業ですとか、あるいは感染症対策のための対策ですとか、少子化対策ですとか、いろんな諸事業というのがあるので、それについて全く無視した議論でいいのだろうかということを、特に介護予防事業に対する対応が非常に強く指摘されているような中で、そういう給付、つまり、一種のサービスとか現金給付だけを前提にして社会保障を議論していいのだろうかという部分があるということを指摘しておきたいと思います。

以上です。

石会長

どうも貴重なご意見ありがとうございました。ご意見にわたる部分もあったのですが、後で主計局からちょっとご説明いただきますが、1点目に関しては、絶対額を削減という議論は財審はやってなくて、対GDP比率で少なくも一定にして、その後ある程度下げていきたいと言って、今ある150%というのをEU並みに60%ではどだい無理だと思いますけどね。その辺は後で岡本さんに説明してもらいますし、それから、地方のみで見ると、プライマリーバランスが黒だという指摘はけしからんというお話もあったのですが、まあ、それは相対的に国の赤と比較してという議論で、中身まで言ってない議論だと思いますが、その辺まとめて、何か今の井戸さんのご質問についてお答えすることがあれば、簡単にお願いします。

岡本主計局調査課長

1点目のご指摘の、残高をどういうふうにしていくのか、これは大変重要なご指摘だと思っております。実際、近年、どうしても基礎的財政収支というものに限った議論が行われてきた嫌いがございますし、実はこの間もどんどん国債の残高が増えてきたと。今、井戸委員からご指摘ありましたように、これをいかに減らしていくのかということがまさに本来財政の目指すべき道だと思います。

ただ、今、会長からのご指摘ありましたように、仮にこの基礎的財政収支を2010年代初頭までに黒字化したとしても、そもそもその時点で国がまだ赤字である可能性が非常に高いと思います。また、さらに仮に国が黒字化したとしても、利払費の分だけは債務残高、国債残高がまたどんどん増えていくという状況になっております。

そこで、おそらく今の諮問会議での議論でも、まず残高そのものに至る前に、債務残高をGDP比で見たところで、これをむしろ引き下げていくというところを目指すべきではないかという議論が行われていると我々も理解しておりまして、残高そのものを減らすというのはさらにその先の議論になろうかと思いますけれども、財審におきましても、先ほどちょっと申し上げましたように、まさにこの債務残高、国債残高に着目して、これをしっかりと、まずはGDP比でということ。残念ながら、実額ではまだしばらく増えていくということでございますけれども、GDPの比率で見て引き下げていくということを目指すべきという指摘を行っているわけでございます。

国と地方の問題につきましては、財審の場におきましてもいろいろと議論が行われてございます。財審の中での議論は、1つはやはり、国・地方合わせて歳出削減を行っていくという中で、もちろん、地方という一くくりの中に、公共団体、様々な財政事情あろうかと思いますけれども、いわゆる交付税ということで見た場合に、地方歳出、これも国の歳出と合わせて合理化をしていってもらう。

一方で、今、国税も増えてきておりますが、地方税収が、今後経済の回復に伴いまして上昇が見込まれる中で、交付税をどのように考えるのか。これは実は最初のご指摘にありました、国債残高をどのように減らしていくかということとも非常に大きく関係してくる話だと思っております。その時点での地方の財政の状況と、それを仮に交付税の法定率が、もちろん現在そのような税率があるわけですけれども、それで交付税を算定した場合に、じゃそのときに国債の発行がさらにどうなるのか、国の財政がどのような状況になっているのか。まさに国債残高を引き下げていくという観点からも、そういった見直しがいずれ必要になるであろうということを書いておりまして、まず法定率の見直しありきということでは、今回、建議の中で書いているわけではございませんので、その点ぜひともご理解をいただければと思います。

石会長

では、田近さん、どうぞ。

田近委員

今の井戸さんのご質問に対してですけれども、お手数ですが、重要な点なので、煩わして申しわけないですけれども、財審の建議の資料I-2、長期試算です。ちょっとこれは見にくいですけれども、さっきの33ページまでいって、先ほど岡本課長の説明された安定財源をめくって、資料になって、I-2というところに、長い、漢字ばかりの資料が入っていて、そこをずうっとめくっていくと図が出てきます。ページが振ってないから。岡本さん、何と言えばいいのかね。これはここの場で共有していたほうがいいものだと思いますけれども。

岡本課長

おそらく田近委員がご指摘されたのは、I-2で、「はじめに」から5枚ほど開いていただいて、右側にIIに仮定計算とある左側のグラフでございましょうか。

田近委員

図の国債残高対名目GDP比、これですけれども、これは一般会計、国だけですけれども、上のほうは内閣府の数字を使って、ただ、今議論になっている名目経済成長率3に対して名目金利が4だから、1%高いと。これはまあこんなものだろうと。そうすると、井戸さんの先ほどのご質問ですけれども、これは一般会計です。地方は入ってない。今足元が、GDPに対して債務残高が105%。それが、数字は申し上げませんけれども、このままでいくと発散していってしまう。

ところで、今話題になっている、2011年で一般会計のプライマリーバランスを合わせたところで、これは要するに発散していってしまうと。この発散を抑えるのが、3番目が、11年度、プライマリーバランスゼロで、15年以降、一般会計、プライマリーバランスの1%をGDPに対しても減らないと。減らすためには、15年度以降、一般会計プライマリーバランス1.5。ここで1.5が出てくるというわけで、したがって、財政再建においては、射程に置くのはこの2011年一般会計プライマリーバランスの黒字、均等化。そして15年度以降は、プライマリーバランス一般会計1.5のサープラス、余剰と。これが政策のターゲットだろうということになっているわけで、決して永久債等々のことを考えていないわけではないということです。

あと、地方と国との議論は延々とされているわけですけれども、もちろん、バブルがはじけた後に地方にいろいろ仕事をさせた、あるいはしてもらったという経緯があっても、結局、2006年の前ですけれども、この数字に出てくるように、そのツケは、長い間、その間国が払ってきたわけで、そして、何よりもこの絵を見たときに、やはり一義的には、国というか一般会計をどう立て直すかというのが日本の財政再建の、やはりというか、当然やるべきことだという議論だと私は思います。

石会長

ありがとうございました。というような数字をバックグラウンドにすると理解が深まるかもしれません。ほかにいかがでしょうか。

では林さん、どうぞ。

林委員

社会保障の将来見通しで、これはあくまでも試算ですから、経済成長率並みに抑えた場合にでもこれだけの消費税率になりますよと。だからやはり安定的な財源が必要なのだという話だろうと思いますが、国民に幾つかの選択を迫るときに、例えばこれだけの抑制をするためには、例えばこれは公助の部分を減らすということですから、自助、あるいは自己負担の部分ですね。こういうものが当然増えてくるので、これだけ抑制するためにサービスとしてどれだけ減らさなければいけないのかといったようなこともあわせて提示していただかないと、これはあくまでも試算になってしまって、国民への提示の仕方としては非常に不十分なものになってしまうのではないかという気がするのですが。私、まだきちっと読めてないのかもしれませんが。

石会長

ではちょっと田近さん、これに絡んで再度質問ですので、簡単にお答えください。

田近委員

その辺も議論があって、書き込めば書き込むほど、建議として品がないものになる。つまり、品がないというのは、人をこけ脅かすような形になるわけですけれども、そうも言ってられないだろうという中でいろいろ議論した結果、建議の4ページをご覧になっていただきたいのですけれども、4ページの上です。林さんの質問に対しては答えられるというか、あるいは的が多少外れていたらまた質問していただくとして、結局、建議のスタンスとしては、2011年に一般会計のプライマリーバランスを達成して、15年に、先ほど言ったプライマリーバランス1.5のサープラスを目指すということですけれども、そのときにどうなるかと。これは全く機械的に、社会保障に関して、11年で一律18%歳出を削減したらどういう姿になるのかというのがここに書いてあって、私、読み上げるのも嫌なのですけれども、こういう形になってしまうと。

それからもう一つ申し上げると、基本的に、社会保障でどうしてこんなことを国がやらなければいけないのだというのは、結局、2009年でしたっけ、目指して基礎年金の2分の1を国が払わなければいけないと。そして、きのう、おととい通った高齢者医療の公費は、給付の半分は国が払うと。公費で払うと。介護保険の給付の半分も国が公費で払うというようなこと、そこを変えない限りはどうしてもこうなるということでなっているということで、国民に、だから、そういう意味で、そういう構造を変えない限りは、国としてこの財政再建のゴールを目指す限りはこうなりますということだと思います。

石会長

では出口さん、どうぞ。

出口委員

今の話は、これはホームページ上に出てますので、私も林先生と同じような印象を持ったのですが、公助を減らすことで、自助、自己負担といきなり飛ぶわけですけれども、この中にはかつての肥大化した福祉国家間で、かつては給付の対象だと一方的にみなされた人たちが、いや、むしろそうではないのだと。自分たちが働くことで、仮に例えば税金を納めることができたら大変すばらしいのだというような形での書き方もかすかに出ているのですね。はっきりとは出てないのですが。

そういう意味で、公助を減らすことによって、実は自助、自己負担との間に、共助とか、新しい形でのマイナス面を緩和する方法が実はあるのだということも同時に提示していくことによって、その不安を払拭していかない限り、これは投票するのは現世代なわけで、大変もどかしいところだと思うのですけれども、大変重要なポイントではないかなと思っております。

石会長

共助の分でカバーされるとおっしゃったのですが、ちょっと具体的に何かイメージがわくような例を挙げていただけますか。

出口委員

例えば少子化対策等ではいろんなやり方があろうかと思うのですけれども、地域社会の中で自分たちがいろんなアイデアを出し合って資金を提供して、それでいろんな形での対応をしていくと。小さな試みを幾つか重ねていくと。あるいは高齢者の対応にしても、これは病院のいっぱいある都心と、それから病院まで非常に遠いという地方では全然対応が違うわけですね。その中で、地方の中でいろんな新しい試み、例えば定年直後の団塊の世代がとろうというような動きもあると。そういった人たちに対してある程度、社会的弱者がいきなり国とか地方に期待するだけではなくて、お互いの助け合いですよね。そういったことをしていくということぐらいしか方法がないのかなあと思うわけであります。

石会長

ありがとうございました。新しい切り口、ご提示いただいたと思います。

では川北さん。

川北委員

すみません。また債務残高の話にちょっと戻りますが、当面の目標を、債務残高の絶対額ではなくて、その対GDPでいくというのは、これはやむを得ないことかなという気がするわけですね。残高の絶対額を減らしていくというのは、今の財政状況を考えればほとんど不可能なことでしょうから、対GDP比というのは当面とらざるを得ない指標だろうなという気がします。

ただ、その場合、その対GDP比なのですが、先ほど石会長、150%とおっしゃったわけですが、実際の主計局が発表している数字は、今年度末でたしか150.8%ぐらいだったですかね。国・地方合わせて。一方、OECDが発表している数字はたしか170%ぐらいだったと思うのですね。これは暦年ベースだから若干タイムラグはありますが、20%も違うというところは、理由ははっきりわかりませんが、おそらく政府短期証券を加えているか加えてないかではないかと思っているのですが、違いますかね。

まあそれはいいのですけれども、ただ、国際比較をする場合ですと、いずれにせよ、このOECDベースでやらないとまずいのではないかなという気がするのですが、その辺はいかがですか。

石会長

その辺、数字ありますか。

岡本主計局課長

川北委員ご指摘のように、よく私ども、財政事情で説明させていただきます場合の債務残高の国際比較、これはOECDのデータですけれども、直近の数字でございますと、2006年で、例えば日本の場合、160%程度になっております。ただ、実はOECDから私ども、正確なこれの内訳をちょうだいしておりませんので、中身、詳細にはつまびらかではないのですが、ただ、ご指摘のように、いわゆる国・地方の債務のほか、いわゆる短期的な債務、そういったものも加わっておそらく推計されている数字だと思います。

わが国の中で議論する場合には、将来の国民の税負担となり得る債務、そういう意味で、国の長期債務及び地方の債務という形で、18年度末でいきますと、合わせて775兆円程度、これはご指摘のとおり、150%でございます。国内で議論する場合にはどうしても、まさに財政問題として議論する場合にはこれをベースにして議論しますが、国際比較でやる場合に、この長期債務に限ったデータがないものですから、全体のトレンドという意味におきましては、このOECDのデータを見ながら国際的なものを見ていかざるを得ないという状況かと思います。

石会長

どうぞ。

田近委員

補足ですけれども、ご質問はおそらく、財審の資料自身は一般会計、国、狭い意味の中央政府で、政府は何かというのは大きな議論で、一般政府というときには、これに地方政府、そして社会保障基金まで入りますが、OECDの統計は当然その一般政府まで。だから、岡本課長の言われた部分もありますけれども、そう言われたのですけれども、大きな違いは、財審がやったのは国。なぜ財審で国しかやらないのかといえば、やはり財政再建の主要なポイントはここだからだと。

石会長

いや、川北さんはその問題ではないのだよ。OECDでやられている中の国・地方、短期債がどうかという範囲の問題で、もう国まで入れた議論をされているよ。川北さんのおっしゃっているのは。だから問題は、OECDの中身を早急にチェックしてもらうということですよ。それは難しいのですか。OECDにも出向している人がいるじゃない。

岡本主計局調査課長

中身、おおむね推計できるのですけれども、実は内訳を求めても、これまでちょっとものとしてはもらえてないものですから。

石会長

たしか国と地方しか入れてないものもあったような気がする。

岡本主計局調査課長

よく一度また整理して、資料、ご報告させていただきます。

石会長

たしか社会保障基金除いていたよね。OECDの中では。

川北委員

おおむねの推定ですけれども、政府短期証券が入っているか入ってないかが……。

岡本主計局調査課長

それはおそらく入っている数字だと思います。それは川北委員ご指摘のとおりだと思います。

石会長

ではよろしゅうございますか。ちょっとまだほかにも今日は大きなテーマがありますので。

井戸委員

一言いいですか。

石会長

ではどうぞ、一言。

井戸委員

現世代の受益である社会保障給付に係る公費負担については、現世代の負担によって安定的な財源を確保すると。もっともらしいのですけれども、これは年金について言えますかね。年金についてこれを主張しようとするとかなりつらいのではないかと思うのですが。間違った原則を前提に議論を始めてしまうおそれがあるのではないかという気がちょっとするものですから、質問しました。

石会長

どっちの問題ですか。公費負担のところだけ言っているのだと思いますけどね。

井戸委員

つまり、年金というのは現世代の人が自分の将来に対して貯金をしている。

石会長

保険でやってますよね。今ここで議論しているのは税金投入の部分を言っているわけですよね。ここでは。

井戸委員

いや、税金投入の部分であってもどうか。

岡本主計局調査課長

石会長、念のため、今のご指摘について。ご指摘につきましては、仮に年金が積立方式で設計されている場合にはご指摘のようなことが言えようかと思いますが、日本の場合はいわゆる賦課方式を基礎として運営されており、基本的に今の世代の人たちの保険料と公費負担でそのときの年金の受給を賄っているという制度設計になっておりますので、そういった意味においては、やはり今の世代で今の受給を賄っているという制度になっております。

井戸委員

と言うのですけどね。いや、やめておきましょう。

石会長

わかりました。まだこれからこの話は延々とやらなければいけないので、次にいかせていただいてよろしゅうございますか。

では、岡本さん、どうもありがとうございました。お忙しいと思いますから、ご退室ください。

それでは、今日の本来のテーマでございますが、消費税、これまでの議論を振り返りまして、幾つか新しい資料もそろえてご説明いただきたいと思います。

では、羽深さんと米田さんのほうからよろしくお願いいたします。

羽深税制第二課長

それでは、お手元の「消費課税(消費税)」という総47-2をご覧いただきたいと思います。あと参考資料として、過去の税調の答申等をつけさせていただいております。全体、最初のほうが総論でございますが、総論のほうは簡単にいたしまして、ポイントだけご説明させていただきます。

まず1、2、3ページは税収関係でございまして、消費税、国・地方合わせますと13兆円、国分が10兆5,000億円というようなオーダーになっているということでございます。

4ページが国民負担率でございまして、消費課税が7.1%、大体ヨーロッパの半分ということでありまして、5ページがその消費課税の7.1%の内訳でございまして、どの国も、ご覧いただけますように、一般的な消費税、あるいは小売売上税、付加価値税のような一般的な間接税と、酒、たばこのような個別間接税、両方持っているということでございます。

6ページが、これに関連しまして、消費税と個別間接税が二重課税ではないかというご議論もあるのですけれども、付加価値税の母国のヨーロッパでは、課税標準には当然付加価値税を除く租税がみんな含まれるということで、価格に対して課税する以上こういうことが出てきますので、それはむしろ自然であるという整理になっております。

それから7ページ、8ページは、消費税の概要と、それから多段階の仕組みでございます。ご覧いただければと思います。

それから9ページが賦課徴収の流れで、消費税、地方消費税ともに国で徴収して、一たん国庫に入ってきまして、地方消費税を地方に払い込むというような形になっているということ。

それから10ページが消費税の歴史でございまして、平成元年にできて、9年に引き上げられているというようなことでございます。

それで今日の本題というかメインテーマはこの11ページ以下でございまして、(今後の検討課題)ですが、11ページをご覧いただきますと、平成15年の答申で、大きく3つの課題が挙げられております。下の(2)のところですが、税率構造につきましては、制度の簡素化、経済活動に対する中立性の観点から極力単一税率が望ましい。しかしながら、将来、二桁税率になった場合には、逆進性を緩和する観点から、食料品等に対する軽減税率の是非が検討課題となるという答申をいただいております。

2つ目の課題が仕入税額控除でございまして、一番下のところですけれども、将来、複数税率が採用された場合には、免税事業者からの仕入税額控除を排除し、税額を明記したインボイス方式を採用する必要があるというご指摘。

それから3つ目が使途でございまして、「国民の理解を得るために社会保障支出や社会保障負担との関係を明確に説明することが必要となろう」というようなご指摘をいただいております。

それで順にでございますが、まず12ページが税率構造でございまして、軽減税率のご議論です。枠囲みのところで留意点を整理しております。効果としましては、低所得者の家計に占める消費割合が高い品目、例えば食料品などが考えられますが、それを軽減税率の対象とする場合には、低所得者の負担緩和に資する。ただし、高所得者にも負担緩和の効果が及びます。低所得者だけピンポイントでやることはできない。これはある意味当然でございます。

他方で、公平性の問題として、軽減税率の適用範囲の合理的な設定ができるか、いわゆる線引きの問題があります。仮に食料品といっても、パン、米からキャビアまでありまして、逆進性というときにどのように考えるか。あるいは、物品税を廃止し、消費税を導入した経緯に逆行する。そういうことで、贅沢品というものが定義できなかったということもあって、消費税にしたという過去の流れがあります。

その次が経済活動に対する中立性の問題ということで、対象品目とそれ以外の品目との相対価格が変化するので、経済活動への中立性を損なうおそれがある。後ほどご説明しますが、例えばイートインとテイクアウト、レストランでそういう問題などもございます。

それから簡素、事務負担との関係ということで、事業者の事務負担が増えますけれども、そういうものをどう考えるか。

それから税率との関係で、一定の税収を確保するためには、軽減税率を入れますと、その減収分だけ標準税率を高くせざるを得ないということがございます。

こういうことがございまして、基本的に、極力単一税率が望ましいという答申になっていると思われます。

それで、13ページですが、逆進性の関係で、その実態でございまして、よく逆進性と指摘されますのは、収入に対する意味での負担率。この右側でございまして、消費税のところは、ご覧のように、第I分位と第X分位を比べますと、第X分位のほうが若干負担が、負担率で見ると低くなっている。ただ、一方で、当然、税全体で見ますと、所得税等々ありますので、累進的になっている。したがって、1つは税体系全体で見る必要があるのではないか。

それから14ページが、受益も入れて考えた受益と負担の資料でございます。下の目盛りが当初所得の階級別に並べたものでございまして、それぞれの階級ごとに受給総額と拠出(税と社会保険料)がどうなっているかということを見たものでございまして、ご覧いただきますように、当初所得階級の左のほうは、これは年金の再分配がございまして、給付が非常に多くなっているということがございますので、全体で見ると、こういう歳出面も含めて、受給も含めて考える必要があるのではないかという資料でございます。

それから15ページは、これは一つの見方ですけれども、よく指摘されますのは、ライフサイクルで見ると、一生の中で収入というのはそもそも上下するものなので、収入というよりも消費に着目して考えてみるというのも一つの考え方ではないかということでございます。

それから16ページは、さはさりながら、現実にヨーロッパ諸国では軽減税率等々がございます。その状況でございまして、ちょっと黒くなっているところが軽減税率でございますが、EUの理事会指令では、標準税率が15%以上、それから軽減税率は5%以上ということになっておりますが、ご覧いただけますように、各国かなりばらばらでございまして、ゼロ税率の国もあれば、例えばデンマークなどは全部25%で、軽減税率がないという国もあります。軽減税率もかなり幅があるということで、それぞれの国々でいろいろ独自にやっているということでございます。

それから17ページが付加価値税の概要でございまして、ざっとご覧いただきまして、軽減税率につきましては、食料品等々が一般的に多いということでございます。

ただ、これは現場に行きますと、実は一作年、政府税調でヨーロッパに調査に行っていただきまして、実際にその軽減税率の適用状況で現場でどういう状況かということを調査いただきました。18ページをご覧いただきますと、例えばフランス、ドイツ、イギリスをとりますと、そもそも、食料品について、原則が軽減だったり標準だったりゼロ税率だったり、あるいは必ず例外というのがございまして、非常に複雑な例外が、これは歴史的な積み重ねでこういうことになっておりまして、ある取引が軽減に当たるのか当たらないのかをめぐって紛争が生じているというようなこともございまして、向こうの事務当局に聞くと、非常に厄介であるということがありました。

それから19ページですが、今度は事業者の立場になりますと、現行制度でございますと、左側のほうで、仕入税額は仕入れに対して一定の税率ですから、仕入税額控除が簡単に計算できるわけですけれども、複数税率になりますと、仕入れごとにその区分をしていかなければいけない。そうなりますと、やはりインボイスというものがないとなかなか事務的に大変かなという課題もございます。

それから20ページは、今度は税収との関係でございまして、イギリスにつきましては、付加価値税、どれぐらい軽減、あるいはゼロ税率等で税収が落ちているかという資料がございまして、それをピックアップしたものですが、税収で7兆7,184億円、7兆円強の税収が落ちているということになっております。

(注1)をご覧いただきますと、この付加価値税の税収が約14.8兆円ですので、ざっくり言いますと、総額で21~22兆の税収のうち約3分の1の7兆円強が脱落しているという状況でございます。

21ページは、先ほどの一定の財源を確保するためにどういう税率になるかという関係をポンチ絵で示したものでございまして、仮に今α%に対してβ%相当分の上の黒い部分、ここを増収したいというときに、単一税率であれば、単純にβを上げればいいわけですけれども、仮に課税ベースの4分の1が軽減対象になりますと、上げ幅が1と1/3倍になると、あるいは課税ベースの1/3が課税対象になれば1.5倍、これは単純な算数ですが、こういうことで軽減をつくると標準税率が高くなってしまうということがあります。

それから22ページが、今度はインボイスについてのご指摘をいただいております。効果としましては、消費税制度の信頼性・透明性の向上、あるいは複数税率のもとでは、インボイス方式を採用することで適正に仕入税額控除の計算を行うことができるという効果がある。

ただ、留意点としては、事業者の事務負担等々があります。それから免税事業者からの仕入れについて、仕入税額控除が認められず、免税事業者が、取引から排除されるおそれがあるというご指摘がありました。

以下、インボイスの資料ですが、23ページをご覧いただきますと、現在はインボイスではなくて、帳簿の保存に加えて請求書、領収書、納品書等を保存しておくという請求書等保存方式になっております。

24ページがインボイスのイメージですけれども、25ページをご覧いただきますと、欧州諸国のインボイスは請求書等保存方式と何が違うかということですが、ポイントの一つとしては、ここにありますように、まず課税事業者が発行する。現在は免税事業者からの仕入れも控除できてますが、今度インボイスになりますと、これは課税事業者しか発行できないということになります。今、請求書はみんなつくれるわけですけれども、インボイスは課税事業者しか発行できない。

それからポイント2が、税額・適用税率と、それから付加価値税登録番号の記載を義務づけるということで、右にイギリスの例がありますが、「VAT Reg.No」というのがついてまして、これによって、ある意味、事業者にそれぞれ番号が振られることになりまして、それをきちんとここに書きなさいということがあります。この辺が現在の請求書との違いになります。それによって透明性が増すということがあるわけです。

それから26ページが、免税事業者が排除されるということとの関係で、これはもうご承知のとおりでございますが、課税事業者の場合は、この仕入れた側がそのまま仕入税額控除ができるわけですけれども、現行は、そこは免税事業者の仕入れでも、課税事業者Fをご覧いただきますと、前段階の税額はないのですけれども、仕入税額控除ができるようになっている。これが一種の益税が発生しているというような批判にもなっているわけですけれども、インボイスを入れますと、課税事業者Gの仕入れのところで仕入税額控除ができなくなりますので、ここが排除されるのではないかという心配があるわけでございます。

ただ、ヨーロッパの状況を見ますと、免税事業者というのは納税事務が減るわけですから、その分、コストがかからないので、それは値段を下げて取引すればいいではないか、あるいは必要になれば課税を選択すればいいではないかということで整理しているようでございます。

それから27ページが使途に関する指摘でございまして、先ほどの社会保障の給付水準との関係を明確にする必要があるというご指摘をいただいております。

28ページが現在の状況で、ご覧のように、4%の消費税、1%の地方消費税とそれぞれございまして、国に56.4、地方は43.6、その国分が予算上、基礎年金等々の社会保障の経費に充てられているということでございます。これは今ご議論いただいた社会保障の安定財源との関係で、整理も必要となってくると思います。

それからその次の参考は省略しまして、31ページ以下は今度は中小事業者の特例の関係の資料でございまして、31ページがこれまでの流れ、省略いたします。32ページが15年度の改正の状況。これもご覧いただければと思います。

33ページが免税点でございまして、前々年の売上高が1,000万以下ということになっております。

34ページ、それの諸外国との比較でございますが、1,000万という水準は大体ヨーロッパ並みになってきたかなという状況でございます。

35ページ、ご覧いただきたいのですが、平成17年の申告分から個人が3,000万から1,000万に下がりました。したがって、16年度、個人事業者が42万件の課税事業者数だったのが、17年は158万件と約4倍に増えております。それだけ、3,000万から1,000万に下がったことによって課税事業者が増えていると。

ちなみに、当初これは164万件と見込んでおったわけですが、それが158万件ということで、約96%が課税事業者として見込みどおりに申告してきているということでございまして、おおむね順調な申告件数になっているのかなということでございます。

それから36ページが簡易課税の概要。省略いたします。

37ページが諸外国との比較で、日本は今5,000万円ですが、ヨーロッパよりは少しまだ高いかなという感じがございます。

38ページが簡易課税の適用状況。個人で約6割、法人で約4割が簡易課税を選択しているということでございます。

最後に、少し毛色が変わりますが、納税環境整備のような話でございまして、免税点制度につきまして、今新規の開業をいたしますと、2年間は免税になっております。これは前々事業年度の2年前の売り上げで判断するということなので、新しく開業した場合には売り上げがありませんから、2年間免税になります。ただし、資本金1,000万以上の新設法人については適用しないということになっているのですが、一般的にはこれが免税になる。

40ページをご覧いただきますと、実は最近、これを少し悪用いたしまして、税逃れというような事例が出ております。人材派遣業A社、非常に人件費割合が高い業種を考えていただければいいのですけれども、そこが、本来ですと課税仕入れが少ないわけですけれども、そこを子会社で、あるいはダミーと言ってもいいかもしれませんが、会社をつくりまして、そこの社員のようにする。そうしますと、そこの例えばa社と委託関係を結ぶということになりますと、Aの親会社のほうは、委託料ですから、仕入税額控除ができるということになります。ところが、a社のほうはまだ新設したばかりなので、2年間は納税が発生しないということになりますが、このa社とb社を2年ごとに転籍したことにする。そうすると、その都度新たな法人ということになって、こちらのほうは納税をしなくていいということで、親会社のほうが仕入税額控除をしてしまって還付を受けるというような事例が発生しておりますので、これは、要は新設法人が2年間免税になるということを利用したやり方ですので、この辺少し見直す必要があるかなと思っております。

それから41ページが、これも技術的なのですけれども、今度は課税売り上げと非課税売り上げがある場合に、本来、非課税売り上げに対応する仕入れは控除できないということになっているわけですけれども、課税売り上げが95%以上の場合には全部控除できるということを利用して、42ページにありますが、若干技術的になりますので省略いたしますけれども、例えば住宅などをつくった年に少額の課税売り上げを発生させ、住宅の建設にかかかる仕入税額の還付を受けるというような事例があります。この辺あたりにつきましても、これからちょっと検討していきたいと思っております。

以上です。

石会長

ありがとうございました。では、米田さん、地方消費税、お願いします。

米田都道府県税課長

それでは、資料の47-3、地方消費税をご覧いただきたいと存じます。

1ページでございますが、地方税、地方消費税がその対象になっております。7.8%、2兆6,000億円ということでございます。消費課税全体といたしましても、20%程度という格好になっております。

続きまして2ページは税収の推移ということで、事実上、1%部分ということでございますので、非常に安定的な推移をしているということでございます。

3ページ、概要を示してございます。地方消費税、都道府県が課税をしておりますけれども、現在は、当分の間、税務署のほうにあわせて申告納付をするということで、国のほうに徴収を委託しておるというものでございます。税率は消費税額の100分の25ということで、換算しますと1%ということです。

地方税に独自のものといたしまして、7番目に清算というものがございます。国から払い込まれました地方消費税相当額につきまして、最終消費地に税収を帰属させるということで、都道府県間において清算をやっております。

次の4ページをちょっとご覧いただきたいと存じます。ご参考で、消費にその課税対象を求める非常にシンプルなものといたしまして、小売売上税がございます。下のほうでございます。これと対比をしていただきたいと存じますが、小売売上税のほうをご覧いただきますと、これはある業者が、そこで売り上げがございますと、その売り上げに相当する税額はすべてその所在する県に入るということで、これはこれで終わりでございます。

ところが、上の地方消費税をご覧いただきますと、小売業者、売り上げがございましても、ご承知のとおり、前段階の税額控除というものがございますので、前段階の仕入れ部分に係る製造業者等が別の県にあるという場合には、その前段階の分は別の県ですでに納められているということでございます。したがいまして、消費がどこで行われたかということで、その消費が行われたところに帰属させる観点で、前段階分を、ここで言いますとY県のほうに持ってくる必要があるということで、消費が最終的にどこで行われたかということを定めるために清算というものが入っているという考え方でございます。

なお、清算、どのように行っているかということは、お戻りいただきまして3ページの7のところに書いてございますとおり、小売の年間販売額等を使いまして、按分により行っているというものでございます。

なお、税収の2分の1は市町村のほうに交付がされているということでございます。

この結果、5ページをご覧いただきたいと存じますが、人口1人当たりの税収額というものを見ますと、一番右に地方消費税がございますけれども、一番高い東京都と一番低い沖縄県を比べましても1.7倍ということで、比較的差が小さい税目になっております。これは1人当たりの消費というものが、どの地域におきましてもさほど変わりがないということを反映しているということだろうと思います。

次の6ページでございます。地方消費税の創設とほかの消費税との関連がどうなってきたかということを示したものでございます。昭和63年に消費税ができた経緯、それから平成6年の税制改革で地方消費税が創設された経緯というのがそこに示されているとおりでございます。

7ページはこれまでの政府税調のご指摘を踏まえたものでございます。平成12年が7ページ、8ページが14年、15年、9ページに同じく15年の12月のご指摘を書かせていただいてございます。ご参考でございます。

10ページが社会保障関係の将来推計でございまして、厚労省の推計に基づきまして試算を行ったものでございます。厚労省の試算では、給付費のみでございましたが、ここでは地方と国に分けて、さらに地方のほうにつきましては、給付以外のサービスに要する経費というようなものもそこに試算という形で掲げさせていただきました。

以上でございます。

石会長

ありがとうございました。

今の国・地方の消費税関係の資料をめぐりまして、いろいろご質問もあろうしご意見もあろうかと思いますので、今日は消費税第一ラウンドでございますが、これは今後もいろいろな形で議論を積み重ねていく必要があると思いますので、とりあえず今お出しいただきましたような資料をめぐりまして、ご質問なりご意見を賜りたいと思います。

どうぞ、菊池さん。

菊池委員

17ページを見ると、軽減税率とかゼロ税率のところに、食料品ばかり言われてますけれども、やはりちゃんとした国は新聞も入っているというのをご記憶に留めておいてください。

さっきの財政審からずっと気になっていたのですが、昔も、要するに社会福祉のために消費税率を上げるのはしようがないだろうと。社会福祉に使うから、税率上げてもまあ納得してもらえるだろうという論理で来てますが、その目的税なのか、ただ概念的に、無駄使いしませんから、福祉に使いますからお願いしますという、そういう、本当は何の意味もない呪文なのかね。そこのところが、わかっている人は呪文だと今のところは理解しているのですけれども、何となく、じわじわじわっと目的税化するがごとき風潮がはびこっているような気がしまして、それはちょっとどんなものかなと。

そうはいっても、福祉国家で、半分は福祉に使っているのだから同じだろうという議論もあるのですが、消費税が福祉目的のための税金であるということをああそうですかということになると、じゃ所得税は何だと。何でとっているのだと。何となくとっているのだと。それはないだろうという話になると、何だ、公務員の月給のためにとっているのかよということにもなるし、サマワに行くためにとっているんだよというのになるかもしれないし、それはわからないのですが、道路ぐらいの、税収の多くない税目ならいいのですけれども、これだけでかいやつを目的税にしたら、目的税でない税金というのは何なのだという話になるところを僕はすごく危惧しているのです。それで、うそついて、福祉に使うのだからと言う。うそなわけですから。一回集まった金、何に使うかわかるわけないのでありまして、そこのところ、やはりちゃんと詰めたほうが。税調としてはね。財政審のほうはいいと思うのですけど。という気がします。

石会長

原則的には目的化なのですか、目的税化なのですか、菊池さんのおっしゃっている話は。

菊池委員

いや、そんな余計なこと言わないで、足りないからお願いしますというのがいいと思うのです。

石会長

菊池さんの頭の中には、目的税というときは特別会計を別枠でつくって、福祉特別会計みたいのをつくって、そこに消費税収を入れるのが本来の意味での目的税化。厳格な意味で言うならね。そういう意味でおっしゃっていると。

菊池委員

はっきりしろと書いてあるでしょう。流れとして。今までね。

石会長

その辺があいまいになっているということだな。

では丹羽さん。

丹羽委員

今の菊池さんの意見に関連しているのですけれども、要するに、最近は党の税調も、消費税を目的税化しようという動きが強まっておりますし、多分そうなるだろうというのが一般的な見方ですよね。しかし、財務省もそうですけれども、やはり消費税というのは基幹税で、非常に安定したものにすべきであって、やはり目的税というものにすると硬直性があるし、長い目で見て問題があるのではないかという考え方でこられたと思うのですね。それで、多分それは正しいと思うのですが、歳出の40%以上が社会保障ということでありますし、これが減るということはこれから数年ないわけですね。だから、どんな税をやっても大部分が社会保障のほうに回っていくだろうということで、金に色はついてないわけですから、目的税と言おうとなかろうと、おそらく社会保障に回っていくということでは、目的税にしてもしなくても同じようなものかと。これは当分、何十年間かはこういうことで続くでしょうから、基幹税であろうと目的税化しようと実質的にはあまり変わらない。

ただ唯一問題は、国民の理解を得やすいようにするためには目的税にしたほうがいいのではないかと、こういうことなのですね。本当に国民は目的税と言うと理解して、基幹税の消費税と言うと理解しないのかと。その辺は、そういう理屈を述べてずうっとメディアも、あるいは党の税調もそう言っているのですが、それはどういう判断でそのように言っておられるのか。本当に国民に聞いたわけでもないし、どういうことですかね。財務省の方にもちょっとお聞きしたいと思うのですがね。

石会長

要するに、目的税化という定義が人様々なのですよ。緩く結びつけて口で言えばいいという話か、それとも制度的に設計して、本当にリンケージをしっかりさせるかという話なのですよ。おそらくそれは政治家もいろいろ発言される中で、様々なタイプがありますから、まだ獏としているのですね。これからだと思いますが、何か今の丹羽さんのご質問に岡本さんのほうから何かありますか。

丹羽委員

かなり政治的な問題で、特に自民党と公明党の間とか、いろんなことがあるだろうと私は思うのですが、財務省はずうっとそういう基幹税ということで言ってきたわけでありますから、ここで基本方針の変更というか、そういう多少意思の変更をされるのかどうか、ちょっとお聞きしたいと。

石会長

それはまだ決め手はないと思いますけれども。

井戸委員

ちょっと関連して。私、一番気になりますのは、例えば年金という一つの保険料を集めて、それの使われ方が不明瞭になったり、それから雇用保険として集めて特別会計で管理していると、いつの間にやら変なところに使われてきたりというふうに、ある意味で、特定の運営管理を委ねると不正使用の温床になりかねないという、そういう危険が非常にあるのですね。特にそれが今までの経験なのですね。ですから、それをどうチェックできるかということがはっきりできれば、本当は名目はどっちでもいい。理解しやすいほうでいい。そっちのほうが大事だと私自身は指摘しておきたいと思います。

石会長

ありがとうございました。何かあれば。よろしいですか、今の件。

猪瀬委員

1つだけ。僕はさっきの菊池さんのおっしゃることはいいのですが、新聞はどういう説明をする気なのかということだと思うのです。いや、本当にそれが大きいのですよ。結局何でも反対になってしまうわけだから。何でも反対でないメディアって、税についてあるのかどうか。そこのところはやはり菊池さんに聞きたいですね。

菊池委員

いや、うちは珍しく、消費税いいよと書いていたのですよ。このごろはやめたのです。というのは、いろいろあって。やるときにやらないと世の中だめになりますよというのはありますから、ずるずる先延ばしでこれだけ借金つくってしまって、今さら上げるのは、なに、ふざけるなという、そういうこともありますが。

あともう一つ、さっきの件ですが、もう一つの考え方として、国債出して年金払っているとも言えるわけですよね。そこのところが消えてしまうのですよ。要するに国の国債というか、借金は何に使ったのという部分が、それはもちろん明確ではないわけですけれども、ひょっとしたら年金で配っちゃったのかもしれないよというのは言えるわけですから。ところが、その部分だけは、ちゃんとこれは税金でやってますとなってしまうと、ごまかしになるのですよね。だから、目的税にしろ、目的税化にしろ、そこは単純にどっちでもいいと、健全財政になったらどっちでもいいのですけれども、半分近く借金している状況において、ここだけ健全ですよと言っているような風情は何かどうかなということもあります。

太田委員

同じ新聞社だから。

石会長

どうぞ、太田さん。

太田委員

読売新聞は一貫して、消費税は導入するときから消費税導入論、唯一のメディアとして言ってきました。今回も基本方針は変わっておりません。1,000万部出しているわりに読まれていない方がたくさんおられるので、一言申し上げておきます。

石会長

マスコミの方々にはまた今後いろいろな展望を。村上さんもマスコミOBですけれども。

村上委員

消費税の軽減税率の話も出てますが、私は、政府税調が今まで2桁、それもかなり上回った場合に軽減税率の議論が出てくると、そういう認識で書かれてきたと思うので、それは継続すべきだと。軽々しく軽減税率云々の議論をするのはおかしいなと。特に今歳出を一生懸命やってますよね。それによって消費税率の引き上げ幅というのは変わってくるわけですよね。そのときに、今の話でいけば2桁を前提としたような議論というのはやはりおかしいし、それから軽減税率を採用する場合には、インボイス方式というのがないとこれは徴税確保できないわけですから、インボイスがそんな簡単にできるのですかということですね。今の記帳制度をやっているから、先ほど説明があったように、160万件の件数が徴税対象になってきたと。これはすごいことだと思いますよね。日本人のいいところはそういう律儀なところがあるからですよね。ですから、その点はもうちょっときちっと、インボイスというのは何なのだということも含めて、そんなもの、できるのかできないのかよく考えてからやったほうがいいよと。

イギリスの例のこのケースね。国のほうの資料の21ページですか。説明ありましたけれども、結局、衣食住のうち食をあれすれば、要するに4分の1とか幾らが課税対象から外れることになるわけでしょう。だから、そうするともっと上げなければいけないと。名目の消費税率をね。それはやはりマスコミにやらせれば必ず率のほうだけものを言うようになりますよ。軽減税率の話なんかしませんから。そうすると、すごく評判の悪い話になりますね。その点を1点指摘しておきたいと思います。

それからさっきの説明、せっかくありましたから、この前、私、給与所得控除のことで言った記憶があるのですが、非課税業者がわざわざ課税案件をつくって、そこへ落とし込むと。これはやはり許してはいけない、まじめにやりなさいよということだと思いますね。ですから、これがもし広がっているということであれば、今2つ指摘がありましたけれども、こういうものは、もしかなり広がっているのであれば対策を立てる必要があるのではないか。1つや2つなら別ですけれども。

石会長

わかりました。羽深さん、今の、インボイス入れるの難しかろうという村上さんのご質問に対して、今ある、要するに帳簿方式等々と別に形式が変わるわけではないよね。だから、それについて何かあればおっしゃっていただくことと、それから今の不正利用の件数は非常に無視できない程度なのか、ピックアップした限りまだ心配ないのか、その辺の感触あれば。

羽深税制第二課長

まずインボイスですけれども、先ほどの25ページにも書かせていただいたのですが、今の請求書等保存方式とは税額・適用税率、それから付加価値税登録番号をつけるというところで違いがありますので、それは若干の訂正は必要。ただ、それが具体的にどれほどのインパクトがあるのかはもう少し研究してみないといけないと思いますが、今と同じということではないと思います。

それからもう一つの、最後の2つのケースですが、実は免税事業者、40ページのほうのケースは、最近国税で実際に、こういうことで仕入税額控除が実態と違うということで否認されたケースが出てきておりまして、どこまで広がりがあるかわかりませんが、実際にこういうことで国税のほうで問題視されているということが1つあります。

それから42ページのほうの回避スキームにつきましては、いろいろなところで、インターネット等で幅広く宣伝をされておりまして、それで我々も何か対策を講じないといけないなということでございます。

石会長

どうぞ、井上さん。

井上委員

消費税の目的税化の問題です。これは先ほど井戸さんからもお話があったように、絶対にやるべきではない。要するに特別会計としてするべきではないだろうと思います。というのは、ご承知のように、さっき言われたように、年金の問題にしても、グリーンピア等々によって4,000億から金かけて129億で売ったなんて、とんでもないことをやっておるわけですよ。そういうことになりかねないということであって、特別会計に持っていくことは絶対にやるべきではない。それよりも国民の理解を得るということのほうがもっと大事だと思うのですよね。

それから軽減税率の問題、これは非常に厄介なのかもしれないけれども、これはやはりやるべきだろうと。食料品等は必需品。もうこれがないと食っていけないわけだから、まず女性の理解を得るためにはこれをすることが絶対に大事だと私は思います。同時にインボイス、これはやらなければいかん。ともかくイータックスをやろうといって一生懸命やっているわけですから、インボイス方式なんて当然できなければうそなのであってね。それを実行させなければいかんと思いますので、よろしく思います。

石会長

今日はいろんな角度からご意見賜るといいと思いますから。

では、翁さん。

翁委員

消費税の使途の話ですけれども、これから2011年、2015年というのはだんだん団塊の世代が出てきて、それからまたさらにその先を見ると、やはり給付しなければならない世代というのがどんどん増えていくということを考えますと、社会保障の給付ということについてある一定のきちんとしたルールというか、そういったものができているということが、その目的化とかそういうことの大前提だということで、今回、医療制度改革やりましたけれども、それでも、医療費の設定の仕方とかまだまだ、もっとデータの面とか分析していけばさらに切り込める部分というのも出てくると思いますし、やはりそういう意味で無駄な歳出を出さないということがまず大前提になってそういう議論ができるだろうということ。

それから2つ目ですが、今回の財政再建というのは経済成長との両立というのが一つのキーワードだと思うのですけれども、その際に、消費税を仮に増税するというようなときにどういうインパクトがあり得るのかということをきちんと分析しながらやっていく必要があるだろうと。

その際に、例えば本当に家計部門がこれがもしかしたら政府への移転と観念されるかもしれないということで消費税を引き上げられるのと、それからこれは確実に家計部門に還元されるのだろうと納得してやるのでは、もしかしたら、消費税、将来に対する、将来の消費どうするかということについても変わってくるかもしれないという気がします。その意味でも、安定財源を確保する目的化するということについてはおおむね賛成ですけれども、やはり大前提としてそのリンクがきちんとされて、無駄な歳出が出ないということが前提になってないと国民の納得感も得られないのではないかと思います。

石会長

それでは岡田さん、どうぞ。

岡田委員

消費者レベルで意見を述べさせていただきたいのですが、さっき丹羽委員がおっしゃった、消費者がその目的化を求めているのか、そうではないのかという話が出たのですが、消費者というのは、まずそういうことは、わからないのですよね。目的化するほうがいいのか、今のままがいいのか、それすらわからない。

ただ、今の流れとしては、給与所得者と年金者を比較したときに、明らかに年金者に負担がかかってきている。しかも給与所得者にしても年金者にしても、収入が少ない人ほど負担がかかってきているというところに危機感を持っている。そうすると、ますます消費税が上がると、少ない年金の人たちが毎日の生活に必要なものを倹約しなければいけないのではないか。特にそれが高齢化ということになってくると、一体全体私たちは今の世の中に生きていけるのか、ないしはもう要らないという形になってきているのか、そういうことすら考えてきているという感じがするのですね。

ですから、先ほど来おっしゃった、必要最小限の食料品とかその辺に関してはやはり緩やかにしていただきたい。それが外国でできるということであるのにどうして日本でできないのか、それが本当に一般消費者の純粋な疑問ではないかと思います。

石会長

外国では20%以上税率上がっているのですよ。だから、片方だけ見てはまずい。

岡田委員

ええ。その部分で、やはり日本の場合も消費税導入のときに、消費税を払うことによって、ないしは上げることによって自分たちの将来が保障されるということで納得したのだと思うのですよ。ところが、どうも今そうではないような感じになってきているというところ、そこの部分なのです。

石会長

今の問題、逆進性の問題ですよね。低所得者が大変だと。いずれこれはもっともっと議論しなければいけませんね。

では水野さん。

水野委員

今日は、インボイスについて欧州諸国と日本の請求書の方式など比較していただいたので非常におもしろかったのですが、税率が高くなりますと、やはり国民の理解を得るためには、食料品と軽減税率の問題というのは必ず出てきますが、そうしますと、従来のように、帳簿に従った税額の計算というのができなくなってくる。それで、インボイスに従って、前の段階の事業者から送られてくる税額、これを仕入税額控除するという形になっていくわけですけれども、本来、インボイスというのは、いわゆる取引を行った売り主の側というのはできるだけ金額を低くして、税額を低くして、納める税金を少なくしたいし、これが仕入れる側は大きくして、仕入れの税額を大きくしたい。そのような牽制作用が働くのにメリットがあるのだと言われているわけですが、現実にこれはやはり証票にすぎないわけですから、番号をつけてみても、結局どうやってチェックできるかというと、現実には山積みになって置かれているだけで、普通の必要経費関係の証票などと同じような結果に陥ることが危惧されるわけです。

そうしますと、やはりこれを電子化したようなデータに持っていかなければならないわけですが、税額表というもの、これそのものをそういう形にできるかどうか別ですが、まず消費税の計算ですね。これを電子申告のような形にできるのかどうか。申告それ自体はインターネットでやろうが郵送しようがあまり変わりないと思うのですけれども、ただデータが直接入ってきますけれども、まず計算が、ソフトを使いまして、そうしますと、これこれの事業者からこれだけの仕入れがあったということをインボイスに従って計算していきますと、最後に一覧表になって出てくると。こういうものができますとわりあい役に立つのではないかと言うのですけれども、所得税の申告について電子申告が入りましたが、消費税については、近い将来どうなのか、ちょっと見込みなどお話しいただけますでしょうか。

石会長

それは全く考えてないのではないですか。もしくは何か構築されているアイデアがあればだけど。だって、まだこれは入ってないのだもの。この辺のインボイスが。だから、まあこれからの話でしょう。いや、僕が先取りしてしまったけれども、それでよろしいですね、返事は。

それでは、上月さん。

上月委員

複数税率化、いわゆる軽減税率をどうするかという議論がずっと出てますけれども、確かに生活必需品に軽減税率をと言うと非常に耳ざわりはいいのですけれども、結局そのことは何を意味するかというと、線引きが非常に複雑になって、その周辺でいろいろまた問題が多くなります。また、実際に支払う事務をするほうからすると非常に事務負担が大きくなりますので、これは、先ほどの説明にもございましたけれども、最終的には標準税率をその分高くしないといけないというような問題も出てまいりますので、私は、これは単一税率にするほうがいいと思うのです。

ただ、逆進性の問題がありますので、その逆進性についてはできれば、この税調風に言うならば、歳出による措置によって、低所得者の方には申請してもらうことによって税をお返しするというのか、補助金を支給するというのか、そういう形でフォローしていったほうがいいのではないかなという気がいたします。

それから、先ほど来、複数税率になると必ずインボイスが要るというようなご意見が出てますけれども、今の方式でやっても、非常に事業者負担大変なのですけれども、帳簿方式とそれから帳票類ですね。請求書とか領収書、そういうものを保存することによってやっと認められるというような、非常にわが国では厳しいというのですかね、納税者にとっては本当に大変な手間をかけているわけですが、この方式をやっている限りは必ずしもインボイスでなくてもやれないことはないということを1つ申し上げておきたいと思います。

それから、先ほど42ページの図で、こういうのがインターネットなんかにどんどん出てきているということで、これは由々しいことだとは確かに思うのですが、95%ルールというお話になりますと、中小企業なんて額はしれているのであって、むしろ大企業さん、目のかたきにするわけではないですけれども、大企業さんのほうの95%ルールによる課税の控除される額というのはかなり大きな額になっていると思いますので、その辺も一度お調べいただけたらいいのではないかと思います。

石会長

上月さんね、インボイス入れると、前より少し軽減されるという面はないのですか。つまり、今大変だとおっしゃったよね。現行制度がね。今度インボイス一発でいいということになったときに、そっちのほうがより簡便だというような議論はとれませんか。

上月委員

ただ、計算、調査される側も大変だと思うのですね。これだけのインボイスをダーッとやるのは、税務調査が大変だと思いますし、それから今すでにこれだけ消費税が定着してきてますので、ヨーロッパのように、初めからインボイスだったらいいのですが、今ここでやるということになると、これは本当に大変なことになるのではないかと。私はわからないのですけれども、現実にやっている者としては、インボイスを入れることのほうが大変ではないかと思ってます。

石会長

わかりました。

本間さん、お待たせしました。

本間委員

今のお話に関係するのですけれども、一度導入した帳簿方式を維持していくというのは、それは変化をしないという意味ではメリットがあるのだろうと思いますけれども、これから消費税の税率を引き上げていくという段階になったときに、この段階でもう一度きちんと議論したほうが私はいいと考えております。

それは、例えばですけれども、今日、総務省の側から、3ページの地方消費税の概要のところで、都道府県間の清算をするというようなときに、実はこのインボイスの問題が極めて関係してくるわけですね。なぜ指標として、小売年間の販売額とサービスのやつを8分の6にして、人口、従業員なのかと。これは代理変数なわけですね。正確な出たり入ったりの分、国境調整的な部分のところのイメージとは大分乖離があるわけで、これは導入するときから私ずうっと指摘してきた問題なのですね。

ですから、やはりそのようなこととか、複数税率の問題とか、あるいは消費税の課税ベースの捕捉の問題とか、そういうものを考えると、しっかりとしたことをやって、しかもイーガバメントが極めてこれから推進されるような状況になってまいりますから、それと連動するような形で、税もこれをタブー視することなく、徴税効率のいい、しかもフェアな税制を確立するという点で、ぜひこの点についてしっかりと議論をしていただきたいと思います。

石会長

いずれにしても、全部しっかり議論しなければいけないと思ってます。これは今日だけで終わりではありませんから、これから何度もやり直さなければいけませんから。

では、神津さん。

神津委員

すみません。短く。軽減税率のものを入れるかどうかという話というのは、この税調でも随分昔から、何回も議論されてきたように思うのですけれども、やはり先ほど上月さんがおっしゃったように、それであれば標準税率を多少上げざるを得ないという部分もあるので、これからそれの議論を深めていくときには、あるいは一般国民に対して選択の気持ちをもし持たせるとすれば、そういうものも含めて対比して出すというような形も必要になってくるだろうと思います。現実をきちっと知るという意味では。

それからもう一つ、これは精神的な話なので何とも言えないのですけれども、年金のときに、先ほどちょっとお話があったときにかみ合わない部分があって、なるほどなと思ったのですけれども、年金制度って、もともと現世代の働いている人間が現代のお年寄りを支えるという形。つまり、私はいつも自分でいろんなものを払いながら、これは私の、今はもう死んでしまいましたけれども、祖父とか祖母とかを今支えているという感覚を持っていたのですね。ところが、今の現代の年金の話って、今自分が払っているものはいつか自分がもらえるためのものという感覚、つまり貯金をしているというか預金をしているというか。すごくくだらないことですけれども、この認識の差って、ものすごく今の年金がどうだというふうにものを言っているときの感覚の差に私はなっているような気が時々するのですね。

今私が払っているものは、一生懸命頑張ってきた今のリタイアされた人を支えているのだと思うと、ゆくゆく、これは少子化にもつながるわけで、自分がリタイアした後に自分を支えてくれる人をつくるということにもつながっていくと思うので、すごく精神的な話なので、こういうところにはそぐわない話題ですけれども、私はちょっとそういうところの感覚を、新聞のせいとも言わないし、財務省のせいとも言わないけれども、何か少しずつよじれて変わっていったところに私は問題の端緒みたいなものもあるのではないかなと思ってます。

石会長

ありがとうございました。いや、積立方式か、それとも賦課方式かの解釈の違い、あるいは認識の違いが大きいということ、ご指摘のとおりだと思います。

では上野さん。

上野委員

特定財源かどうかという問題の議論ですけれども、これは会長言われたように、特定財源と言った場合のいろんな理解があるということはそれはそうだろうと思うのですが、リジットに考えると、歳入を特別会計に直接ぶち込んで、それ以外には使わせないという話にもなるだろうと思うのですね。今度考えられている消費税の、5%からどこかまで上げますね。その上げる税額というのは、これは社会保障の負担の増に見合ったものに限るとかいうような前提があるのか、あるいはそれをやれば必要な特別会計の歳入が全部それで賄えるというふうに言うことになるのか。

私は、財政審のいろんな前提を置いた計算で出てきているのが全部消費税でカバーされるとも思わないのですけれども、将来のまた社会保障の必要経費が今度の消費税の増額で全部賄い切れるということでもないのではないかと。なおそれでも一般会計から入れるところがあるのではないかと思うのですけれども、特定財源化とそこら辺の数字の決定、これの関係がどのようなことになってくるのか、ちょっと教えてほしい。

石会長

いや、まだ決まってないでしょう。歳出・歳入一体改革という議論を、本間さんのところでやっていると思いますが、7月の七夕ぐらいに出るという話ですから、それを踏まえてここで一回全部すり出してもらって議論したいと思いますが。

上野委員

ちょっと補足しますと、要するにそういうことを考えないと特定財源云々の議論というのはあまりやっても意味がないというような気がちょっとするのですけどね。

石会長

わかりました。おっしゃるとおりだと思います。

では井戸さん。

井戸委員

本間先生に反論するわけではありませんけれども、インボイスだけで地域間清算をやるというのはかなり無理だと。というのはなぜかといいますと、取引が東京で行われて消費は例えば神戸で行われる、そういうケースいっぱいありますので、だから、インボイスだけの実態だけで配分してしまうと、かなり消費実態と異なるケースがあります。この点はぜひご理解いただきたいと思います。

それからもう一つ、私は、せっかく地方消費税の関係資料の最後に将来推計を試算してくれてますので、これを眺めてまして、非常にこれはいい資料になっていると。まだ消費税、どう上げるかも決まってないのに、配分をどうするかみたいな話をするのはまことに恐縮なのですが、社会保障ということになると、地方も非常に大きな役割を与えられてますので、2006年から2011年を見ていただきますと、国で6兆増えて、それで地方で3兆増えているのですね。その内訳は、国は、年金が3兆とその他が3兆。地方のほうはいわゆる福祉関係経費が3兆。つまり、大体社会保障は1:1ぐらいで国と地方とが担ってますと。それで年金についてはちょっと別ですよと、こういう実態にあるのだということをぜひお踏まえいただいて今後もご議論賜りましたら幸いですと申し上げたかったのです。

石会長

国と地方の配分を云々かんぬんはこれから大問題でありますから、今の井戸さんの問題提起を踏まえてよく理解してください。

では秋山さん、お待たせしました。

秋山委員

すみません。あまり目新しい意見ではないので恐縮なのですけれども、まず消費税に関しては、基本的な考え方は実は丹羽さんがお話しになられたことに非常に共感を感じておりまして、最近、目的税というようなことが出てきた潮の変わり目みたいなものをちょっと自分なりに振り返ると、例えば税収が思っていた予定よりも増えてくると。プライマリーバランスの黒字化のめどが非常に立ってきたというムードが出てきた次に、じゃ財政は大丈夫なのではないかというような、何かそういうムードが出るのを打ち消すために出てきたような気がしております。

ただ、税調の立場としてやはり議論すべきことは、財政再建のための税収の安定基盤をつくるという意味では、基幹税としてのあるべき姿というのは追求するべきだと思いますので、私自身は、筋論としては目的化とか目的税化というのはやるべきではないし、それを税調としてあまり時代の流れにおもねるような形の議論にならないほうがいいのではないかと感じております。

それからあと軽減税率の問題については、例えば一般国民の感情のようなところでいくと、やはり一番ひっかかるのは逆進性の問題だと思うのですね。逆進性の問題を消費税の世界だけで語るというところに無理があるのではないか。逆進性の問題を別の、こういう形でやると消費税というのが非常にすっきり見えるというような議論も必要ではないかなと。

一応この2点。

石会長

わかりました。それもまたこれからの課題。

では高木さん、どうもお待たせしました。

高木委員

私は財政審も出させていただいておりまして、先ほど説明にあった財政審の建議ですか、これ自体に非常に大きな不快感を持っている。隣に田近さんおられるが。それはそうはいってもというところなのでしょうが、この議論の仕方ですね。だから、いろんな意味でいろんな税目の中のバランス、あるいは財政、歳入、歳出、そういうもののバランスの中で、こっちがこうならこうしようなんていう議論の相関の部分がいろいろあるだろうと思うのですね。

今日は消費税に特化したお話だということなので黙っておろうかなと思いましたが、所得税とか住民税の税率構造をどうするかとか、あるいは利子配当課税のところをどうするかとか、相続税なんかどうしていただくのか、そういうものがこのようにしていただけるならこういう話にも私ども乗れるよと。逆にこっち側がこうなればこういう議論もできるよという、そういう行ったり来たりの関係がいろいろあるだろうと思うのですね。だから、その辺の関係もわからんまま、ともかく消費税について思うこと言えというならいくらでも言いますが、また次に時間あるというから、そのときに言わせてもらってもいいですが、その議論の進め方、整理のしていき方みたいなものをある程度きちんとしてくださらんと、ものの言いようがない、議論のしようがないというところがあるのではないでしょうか。

石会長

ただ、主要税目につきましては、もう1カ月、1カ月半前から順次やってますから、それをつぶしていかないと、初めから大きなふろしき広げちゃって、それを全部理解した上で一個ずつやっていくというよりは、そういうのを踏まえてやっているわけですから、おっしゃるとおり、行きつ戻りつというのは皆さんの頭の中では多分あるのだと思いますが、しかし、これから主要税目のいろんな問題点を整理して、今後の改革方向が出て、それで全体の「あるべき税制」という大きなトータルパッケージをこれから税調として中期答申を目がけてやっていくわけですから、どうぞ皆さんの頭の中には、大きな税制全体を目渡した中での消費税、あるいは所得税、あるいは資産課税みたいなことを次第に頭に形成して、ご意見をこれからいただきたいと思います。

確かに今日は消費税に特化しましたから、ほかのことは人様々な解釈でやっておられると思いますから、いずれにしても、ある共通の基盤ができた中で消費税を再度議論する、あるいはもう何回も議論するということをこれから秋にかけ何度もやりますから、そのときまたお出しいただきたいと思います。今の高木さんの問題提起、非常に重要だと思いますので、そういう議論の進め方は念頭に置きつつ進めたいと思います。

それでは、まだおありかと思いますが、残り時間が少なくなってきましたので、個別間接税の論点につきまして、羽深さんと米田さんのほうから、国・地方に分けて簡潔にご説明ください。

羽深税制第二課長

それでは、簡潔に。個別間接税ですが、目次をご覧いただきますと、酒、たばこ、それから道路特定財源、環境税とあります。

酒税とたばこ税につきましては、もう既にご議論、答申を踏まえて今年改正がありましたので省略いたしまして、4ページからご覧いただきたいのですが、酒税の課税実績、5ページが課税額の推移、6ページがその変化でございまして、7ページがいわゆる第三のビールが増えてきているというようなデータ、8ページが今回の分類を見直したということで、ご覧のような4つの分類にしまして大くくりをしたということでございます。9ページが、税率を見直してシンプルにしたということ。10ページが、その結果、いわゆる第三のビールのところが5段階あったのが3段階に簡素化されているというところでございます。

それから11ページがたばこ税でございまして、これも1,000本当たりの税率ですが、1本約8円だったのが今度9円になるということで、括弧書きの部分ですが、8,744円、これは7月1日から実施されます。それで、12ページが販売数量の推移。13ページが喫煙率、ずっと下がってきております。14ページが外国のたばこで、外国はかなり税金も、それからたばこの価格も高いということでございます。

それから15ページからが道路特定財源でございまして、主な特定財源の一覧、16ページがその概要、これもご覧いただいている資料でございます。

17ページ、議論の発端が、本四の債務処理が4,522億円、これが19年度はもうなくなるということで、そのオーバーフローの問題が19年度予算ででてきます。18ページがその諸税の沿革。19ページが、ずうっとその暫定税率が据え置かれてきているというデータ。

20ページが、ガソリンについては諸外国に比べると税金が低いということでございます。21ページも、その関係の資料でございます。これも従来からずっとご覧いただいている資料でございます。22ページは、ヨーロッパ諸国がずっと80年代、90年代、環境等や財政の観点から上げてきたということ。23ページが自動車関係諸税の国際比較。24ページが、外国での一般財源化が進んでいるということ。

肝心な内容は、26ページをご覧いただきたいのですが、結局、従来から税調では、一般財源化を図るべしと、それから税率を維持すべしというご指摘をいただきましたが、今般、5月26日に成立した行政改革推進法の中で、一、二、三と3つ項がありますけれども、第一の項で、道路整備は必要性を見極めつつ計画的に進める。第二項で、現在の税率は維持する。第三項で、その収入額については一般財源化を図ることを前提とし、平成19年度以降の歳出及び歳入のあり方に関する検討とあわせて、納税者の理解を得つつ具体的な改正案をつくるということで、法律に書かれております。これに基づいて、今、具体案を検討中ということでございます。

次、27ページが環境税で、京都議定書の骨子、28ページが削減目標、12%削減が必要と。29ページで、目標達成計画の中で環境税が真摯に総合的な検討を進めていくべき課題ということが書いてあります。

簡単でございますが、以上でございます。

石会長

では、米田さん、地方消費税。

米田都道府県税課長

地方税の個別間接税の資料をご覧いただきたいと思います。

1ページは税収内訳となっております。白抜きのところが間接税ということでご覧いただければと存じます。

2ページ、地方間接税の主なものということで、たばこ税、概要を載せさせていただいております。

3ページ以下、道路特定財源関係でございます。地方税で軽油引取税と自動車取得税の2つ、それから譲与税という形で3つのものが道路特定財源になっているというものでございます。いずれも法律によりまして使途が明定されております。

4ページはその沿革を載せさせていただいております。

5ページ、これが道路特定財源の流れということでございます。左の2つ、自動車取得税と軽油引取税、いずれも県で徴収いたしまして、一部が指定市、もしくは市町村に交付されているという状況。譲与税につきましては、国税で徴収したものを地方に譲与しているというものでございます。

6ページでございます。軽油引取税、自動車取得税、人口1人当たりの税収がどのような県にいっているのかというような、その徴収の帰属のグラフでございます。

7ページ、これは先ほどのガソリンと同様、軽油の価格と税についてまとめたものでございます。

8ページも同様でございます。

9ページ、これも先ほどガソリンとございましたものを軽油に置きかえたものでございます。ヨーロッパ諸国で最近非常に引上げがあるというものでございます。

10ページ、道路事業費と道路特定財源との関係を示したものでございます。国では、先ほどご説明ございましたオーバーフロー問題ということがございましたけれども、地方におきましては、道路特定財源のみでは足らないという状況でございます。

11ページは道路の整備状況で、これはご参考でございます。

12ページ以下2ページ、環境という観点から、現行の税制でどのように取り組んでいるかという例を示してございます。12ページは自動車税のグリーン化、取得税の低燃費車特例について書いております。13ページは地方公共団体独自の取り組みということで、いわゆる森林環境税、産廃税の概要を掲げさせていただいております。

以上でございます。

石会長

ありがとうございました。

時間の制約もあって、事務局からの説明が少し省かれた感じでございますが、したがって、何か消化不良の点もあるかもしれませんが、酒、たばこ、ガソリンに対する税、道路特定財源、環境税、いろんな問題がございます。残った時間わずかでございますが、いずれまたこの議論をしたいと思います。今の段階でご意見あればどうぞ。

猪瀬さん、どうぞ。

猪瀬委員

もう時間がないので、本当に一言だけ。

旧本四公団の債務処理が終わって、今説明ありましたけれども、これで大体来年から6,000億円ぐらいは軽くそこで余っているということになりますので、自動車重量税の国分丸々余っていると。そういうことでちょっと皆さんに頭の中にもう一回、そんなに余っているんだなあというふうにちょっとアテンションというか、入れておいていただければ、一般財源化という、先ほどからずうっと消費税で、国のお金が足りないからどうするのだという話をしていたわけですけれども、余っているということは改めて認識していただきたいと思います。

石会長

情報としてありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。

井戸委員

もう何度も私言っておりますけれども、地方の側からしますと、例えば兵庫県の場合、道路目的財源の比率、23%しかない。それで道路に対する整備事業の圧力はものすごくある。ですから、法律でも、重点化して効率的に整備を進めるべきだと書いてありますように、まだまだそういう需要があるのだということを踏まえてどうするかということも考えていただきたい。これを要請しておきます。

石会長

どうぞ、上月さん。

上月委員

この道路特定財源の中身を見ていきますと、使われ方というのが、私なんかはよくわかりませんけれども、例えば都会というのは交通網が非常に整備されていて、地方は車というのは生活必需品的な要素がありますよね。そういう構造の中でこれを全部一般財源化するということは、都会と地方との問題というような感覚がやはりどうしてもありますので、もしそういう一般財源化するのであれば、その辺の説明を、説得する資料というのですか、説得しないと、やはり地方はいつもいじめられているというような、そういう意見が出てきますので、よろしくお願いしたいと思います。

石会長

地方側の意見が非常に強いですね。

どうぞ、井上さん。

井上委員

地方というのはもちろんですけれども、特定財源を一般化するというのはまだ時期尚早ではないのかなと。要するに、東京なんか見てもらったらすぐわかるわけですけれども、電車の立体交差も何もできてない。環状道路にしたって、やっと八環が50年ぶりにできたなんて、あんな状態なわけですよね。だから、幹線道路というのは必要だろうということもあるし、そういうことをやった後だったら、一般財源化というのも了承できるということでございます。よろしくお願いします。

石会長

ほかにどうぞ。

丹羽さん。

丹羽委員

これは基本原則で、やはり税収のつじつま合わせではなくて、受益と負担の原則に立ち返って、使途の透明性とか、国民とか納税者に納得いくような説明責任を持ってやらないと、よくなったから一般化しようかと、そういう議論はやはりなかなかこういう状態のときには納得得られないのではないかと思いますので、原則をわきまえて、やはり次回から議論をひとつぜひお願いしたいと思います。

石会長

今おっしゃったのは道路特定財源の一般財源化というご意見ですね。

では菊池さん。

菊池委員

消費課税(個別間接税)というくくりの中に、環境税を入れてやるというのはいま一つ、環境税を愛する私としては違和感があるのですが、これからはその程度のものになるわけでしょうか。

石会長

それは菊池さんがどれだけ頑張るかにもよるけどね。今度、じゃ単独での資料をつくってもらいましょう。それで議論をするような場をもうちょっと本格的にやりましょう。

では翁さん、どうぞ。

翁委員

たばこ税ですけれども、医療制度改革でやはり中長期的な医療費の削減というのの圧倒的な部分が生活習慣病対策に依存していて、欧米の主要国でも、随分たばこの価格、最近引き上げていて、やはり何かインセンティブの形で健康増進とかそういう方向で使おうとしているという面があるので、どういう形でそういったインセンティブをつけてやっていくのかというのは、たばこ税だけではないのですけれども、一つの考え方として、こういったものをどう考えていくかということを議論していく場があってもいいかなと思っております。

石会長

そのとおりですね。ほかによろしゅうございますか。

ちょうど16時ですね。うまくパンクチュアルに時間が利用できましたが、今日は様々なご意見をいただきましたので、集約することは全く不可能であります。いろんな部分部分で、右行く人と左行く人がいっぱいあって、それはいいのですよ。まず最初、この問題、第一ラウンドでありますから。これから議論を重ね、次第に話をどこかに持っていくときにはぜひお考えをいただきまして、集約の方向でご協力をいただきたいと思っております。

次回以降の予定を申し上げて散会にいたしたいと思います。一とおり個別の税目につきまして議論は終わりましたので、これからどういう形でトータルパッケージとして議論を進めていくかというふうに議論を移していきたいと思いますが、その前段階として、7月の早々だと思いますが、歳出・歳入一体改革の具体的なプランが経済財政諮問会議から出されるのだと思いますので、それで税の部分がどのぐらい責任、担当になっているのかどうかわかりませんけれども、税が完全に入ってないということでもないのでしょう。それを踏まえまして議論しなければいけないので、一回、出た段階で、歳出・歳入一体改革の具体的なプランをここでご説明いただきまして、理解を深めつつ今後の議論の発射台にしたいと思ってます。

それからもう一つは、税調でこれまでいろんな形で議論してきましたので、まとめなければいかんと思っているのですよね。そのまとめる段階で、各個別の横同士のつながりもおそらく理解が進んでいくと思いますので、そういう作業もこれからやっていきたいと考えております。具体的にどうこうというところまで議論はいっておりません。

それからもう一つは、いろんな委員の中でご意見があって、もうちょっと聞きたいという、例えば経済界のご意見とか、組合側のご意見とか、いろいろあろうと思いますので、そういうのを一回お聞きする場を設けてみたいとも考えておりまして、まだ具体的な設計はありませんが、盛りだくさんな議論が待たれているだろうと思って覚悟していてください。

日程的には、次回、6月30日、金曜日であります。それから7月に入りましてから、4日、14日、21日を考えております。いずれも2~4時でございますので、テイクノートしておいていただきたいと思います。よろしゅうございますか。

それでは、今日はこれで散会いたします。どうもありがとうございました。

〔閉会〕

(注)

本議事録は毎回の審議後、速やかな公表に努め、限られた時間内にとりまとめるため速記録から、財務省主税局及び総務省自治税務局の文責において作成した資料です。

内容には正確を期していますが、税制調査会議事規則に基づき、事後の修正の可能性があることをご承知置きください。