総会(第34回)後の石会長記者会見の模様

日時:平成17年11月15日(火)17:09~17:24

石会長

今日は第34回の総会を行いまして、幾つかの項目につきまして、総会としての意向をかためるべく議論をいたしてまいりました。ご出席していた方々は、その状況を判断できると思いますが、これからどういう形でまとめていくかということにつきまして、私の感じたことを申させてもらいます。

定率減税は、幾つか議論がございましたけど、景気の問題、あるいは税負担の問題、それから1999年小渕内閣における恒久的減税導入のときの議論等々を踏まえ、ほぼ定率減税の後半部分は廃止してもいいじゃないか。ただし、景気につきましては、やはり注意深く見ておけという意味で、前回と同じように、来年の今のごろ、もう一歩踏みとどまって見るべきであるというのが廃止について賛成の論者からの意見でございます。それは答申に書くというような付帯事項ではなくて、一応中に込めた形で議論が整理できる、このように考えています。

環境税は、私の理解では、環境省案というものに対して、全面的に、そのまま丸飲みでいいというよりは、幾つかコメントがついたと思います。京都議定書についてこれから責任をもって実行に移さなければいけないわけですから、そのきっかけになればという意味で、とりあえず政府の姿勢として環境税なるものについて、環境省案をベースにしてということか、あるいはそれを大幅に変えろということか、これはまだちょっと決着がついておりませんが、議論はあっていいんではないかというご意見があったと思います。そういう意味で、環境税については引き続き議論しなければいけない。同時に、これは今日も議論に出ましたけど、道路特定財源の一般財源化と絡んでいますので、この振り替え等々を含めてこの問題は広がりを持ってくる、このように考えています。

道路特定財源の一般財源化は、主に今日は地方の県知事さんあるいは市長さんあたりから、やはり地方のニーズが強いので困るというような反対意見があったし、それに類する議論もあったと思います。そういう意味で道路財源の一般財源化についてどういう形で書き込むかというのは、これからの起草会合などで、再度、それを文章化した後で議論しなければいけません。前回それからずっと、ここ数年間というか、もう10年近く、道路を一般財源化せいと書いてございます。それを少し覆すような書き方になるのか、それとも少数意見を別紙で紹介するのか、いろいろ手段はあると思いますけれども、これはこれからみんなで議論しなければいけないところだと思っています。

設備投資減税、IT減税のところは、現状で維持してくれというご発言も、特に中小企業関係の方からございました。とりあえず期限が来たんだから仕切り直しという意味もあるし、期限切れになるんだからこれは一回やめましょうということ。ただ、国際競争力という視点から、守備範囲を少し見直してもよいので、新たなものを考えてくれということについては、これから議論をしなければいけないだろうと思います。ただ、これは租税特別措置でございますので、税調として新たな租税特別措置を起こすかどうか。それはいつやるか。これから再度起草会合、そして総会でこの辺の議論もしていかなければいけない、このように考えています。

酒税のほうは、同種・同等と簡素化の中身について、事務局の事前検討を含め、必ずしもまだ明確に、税調として素案を的確に出せるところまでいっていないという状況であります。この間も申し上げましたが、やはり業界とのいろんな折衝等々もあるでしょう。そういう意味で同種・同等と簡素化の具体的中身について、前回以上のことは少し書いてみたいと思いますが、イメージが具体的に伝わってくるかどうかは、これからの議論ではないかと考えております。

あと、公示制度で法人税についてはどうか等々ございますが、最初に所得税、それから相続税、贈与税、それと法人税、この三つについて大きく一括でやるか、それとも中を少し精査するか。つまり、個人はいいけど法人は残してもいいんじゃないかというご意見もあり、これは起草会合での文章のつくり方・表現等々にも絡んでくると思います。基本的には公示制度は廃止すべきだけど、中身についてはこれから少し議論があろう、このように考えております。

固定資産税、あるいは国際課税はこれまで出された議論について、特段強い反対も強いご提案もないので、そのままの話として答申に書けるのではないかと考えています。

以上、これからまとめる方向につきまして、とりあえず起草会合を開きまして、文章に落とすということを通じまして、我々の考えをクリアにしていきたい、このように考えています。

以上です。

記者

何点か質問させていただきます。ちょっと確認になるんですけれども、法人税関係の特別措置で、研究開発減税の上乗せとIT減税と、来年3月までの措置については、それは一旦打ち切るということは総会でも集約できたとお考えでしょうか。

石会長

それはひとえに、これに類したものを必要だと言われる方について、国際競争力という新たな視点から、別途類似のものを維持できるかにかかってくるんだと思います。だから、国際競争力云々の新しい租特を、いつどのような格好でやるかという議論を少し詰めないといけないと思ってます。それとの関係ですが、とりあえず私は、3月31日に期限の来る今までの景気対策としての租特の廃止については、一、二ご発言がございましたけど、基本的にはみな合意に達していると判断してます。ただ、中小関係のあたりを残すか残さないかという議論は、党税調等の話も多分あるのかもしれませんけど、ちょっと残ってるかなという感じはします。

記者

今お話のあった、景気対策ではなくて国際競争力の観点からの新たな企業の特別措置という話なんですが、会長としては来年度改正での検討課題とお考えなのか、それとも再来年度以降の話とお考えなのか。その辺の仕分けを教えて下さい。

石会長

わかりません、それは。租特の減収における法人税は4,000億円ぐらいでずっと続いてきた後、この二つが入って1兆円程度になったんです。そういう意味では、租特は我々の基本的な方針と逆行してるというのは事実ですので、これについては今日はあまり出なかったんですけど、基礎小の委員の方々の意見がかなりあるし、せっかくスクラップ・アント・ビルドをよく言ってて、一つ減ったのにまた新しく加えるのはどうかという意見があるので、これは慎重に考えなければいけないと思ってます。

記者

今後の審議日程について、先ほど総会の最後でもご説明されていたんですが、答申を実際に出すまでのスケジュールを改めて教えて下さい。

石会長

今週の金曜日に起草会合を開きます。これは18日になります。そこには、基礎問題小委員会のメンバーの方に集まっていただきます。今日の議論を踏まえまして、一応たたき台をつくっておいて、それについて審議してもらおうと思います。そして22日、総会を再度開きまして、そこで皆さんの総会としての文章に対するご意見が得られればと思います。会長一任がとりつけられるかどうかはわかりません。とりつけられれば、その次の金曜日、25日に総会として、その修文のところを再度ご確認いただいて、総理に手交に行こうかと考えてます。理想的に言えば、25日に来年度税制改正の答申は公にできると考えてます。

記者

細かい話で恐縮なんですけど、不動産流通関係の…。

石会長

不動産取得税ね。

記者

登録免許税と不動産取得税の時限措置については、廃止を答申に盛り込むということですか。

石会長

ええ、それでまいります。あれも3年の時限がちょうど来るんですよね。IT減税と設備投資減税と一緒です。とりあえず時限でやったものについて、期限が来たときに特別な強い理由がない限り、残す理由はないと思ってます。そういう意味で、土地取引の状況等々から見て、一旦切っていいんではないかと考えてます。これもまた文章化したときの書き方として、皆さんのご意見を聞いてみなければいけませんが、僕は一応取り上げたいと思ってます。

記者

酒税に関して、答申では前回以上のものを書き込みたいということなんですけれども、具体的に分類の仕方とかですね、税率をどうしたほうがいいとか、どこら辺まで踏み込みますか。

石会長

酒税は、関係者の数が極めて限定されてるという意味で特別な税制なんです。所得税なんていったら、もう何千万人って後ろにいて、法人税も何百万社もあるわけですね。お酒については、特にビールは4、5社ですが、利害関係が非常に錯綜してると思います。そういう意味で、税制だからといってエイヤッと上から押しつけるということも、できないことはないんでしょうけど、ただ業界の、会社経営にも絡む話でありますから、そう簡単にいかない。そういう意味で、例えば簡素化していくというときにどんな形で大くくりするか、それは製造工程みたいな話にひっかけてやるのか、何か別の視点としてなのかわからない。そういうことでしょう。ただ、ご存じのように「第三のビール」というのはどこに入るのか、これは大問題になるでしょう。そういう意味では、実際に仕込むときには、まだまだ関係者といろんな議論が必要だと思ってまして、事務当局にその情報を集めてもらってます。今のところ、はっきりした将来展望を示すまでの具体的な内容はまだ書けないのではないかと思います。ただ、簡素化と同種・同等という基本的な方向について議論する必要はないと思ってます。詳細設計がまだ不十分だということは否めない、このように思います。

記者

たばこ税についてなんですが、一部にいろんなねらいからたばこ税の増税はどうかということがあるかと思いますけど、会長自身のお考えと、今回の答申での対応と、2点を教えて下さい。

石会長

今回の答申には、たばこ税は姿をあらわしておりません。お一人からそのご要望があったんですが、まあ酒までですね。たばこはやっておりません。恐らくたばこは、新しい視点からいろいろ問題が提起されていると思います。例えば健康問題であるとか、あるいはペナルティ的に高くしてもいいじゃないかということだと思います。私は個人的には日本のたばこというのは安いと思ってますから、少し上げてもいいかと思いますが、今回、残念ながらその議論をする余裕もなかったし、資料を作成してもらうだけの時間もなかったので、将来の課題として、なるべく近い将来議論したいと思ってます。

記者

先ほど道路特定財源について説明があったんですが、道路以外の特定財源については今日は…。

石会長

特にご発言なかったです。資料は出しましたよね。道路財源だけ脚光を浴びてますけれども、そのほかの特定財源もありますよね、電発のところとか肉牛の関税のところとか。特定財源というのは基本的には全部一般財源化してもいいじゃないかということが多分皆さんの中にあるんでしょうけど、それは確認します。皆さんの賛同が得られれば、書き込みたいと思ってます。

(以上)