総会(第28回)後の石会長記者会見の模様

日時:平成17年5月13日(金)16:08~16:33

石会長

それでは、連休明けの総会、終わりましたので、そこの議論を踏まえまして、今後のスケジュール等々につきましてお話ししたいと思います。

基礎問題小委員会とそれから例のワーキングを含めた合同会議でやってきたテーマを、再度総会に申し上げたわけであります。で、当然のこと、総会の方々は初めて聞く話でありますので、基礎問題小委員会でやった議論とは違った角度の議論が出るということを、また期待もして、この総会の議論を踏まえたわけであります。大体、個人所得課税につきまして、全般的な見通しを最初話してもらいましたよね。そこで、まあ違った点と言えば、やっぱり最高税率のところの、もっと上げろと言う人と、それでなくて、現状が精一杯だというあたりの、前からある議論でございますが、税率構造見直しの中でのその議論を少し深めていく必要があるなという印象をひとつ持ちました。それが第一点ですね。

それから、やっぱり給与所得控除の見直し等々を含めまして、一課長から説明があった会社だのみですべて課税が終わっている仕組みというのではなくて、サラリーマンも少し自分で、納税者として行動したらいいじゃないか。つまり、具体的に言えば申告するということですね。そういうすべをどうするかということにつきましては、それなりの一応の方向性が出てきたかなというような感じがしております。これが第2点です。

まあお聞きのとおりでございますから、あと細かい点が幾つかございますけど、例えば事業所得について、まあ記帳義務を強化していって、納番を入れてという、ある強化の方向に対しては、実際に現場をあずかっている方からは、それほどのことでなくて十分、ある程度やってるよというような、それに対するやや控えめなコメントも出たように思いますし、それから地方税については、生活保護費と課税最低限のからみで、今後、基礎小あたりで問題になると思いますが、社会保障給付を一旦課税所得に入れて、その中で課税あるいは担税力を決めて議論をしたらいいんじゃないかという話、まあそれが今後少しクローズアップされてくるかなと、このように思ってます。

それから例の税率表がございました。実効税率の表で、フランス並みに低いところをこれからどうしていくかというような議論を、定率減税が2分の1、半分だけはとりあえず法律でやれと書いてございますが、残り半分ができた後で、どこまで税率表に対して新しいシステムから制度改正ができるか。この辺も難しいところでしょうね。

そういう意味で結論的に申し上げますと、本来持っております所得税の税収確保能力、極めて衰えているところをどうやって確保するかということと、その過程の中で、「あるべき税制」ということを前から言っておりますけど、これを具体的に申しますと、課税ベースを広くして、公平・中立・簡素というのを回復させたいということで、所得控除をいかに見直すかということに尽きるんです。その絡みで今後どうするかということでありますが、幸か不幸か、まあ不幸なほうでしょうね、国税から言えば。3兆円の税源移譲という形に新しく入ってきましたので、その絡みで、反対方向にあるものをどういうふうな引っ張り合いでもっていくかということだと思います。まあいずれにいたしましても、ここ1~2年で勝負がつく話ではございませんで、やはり中長期的な視点から抜本改革の切り口と、まあ方向性をしっかり示さなければいけないなという感じでございます。

基礎小で、今日、一課長からご説明がありましたような項目表を付けてございましたよね。あれにつきましては、17日からもっと現実的に少し詰めた議論をしていきたいと考えております。例えば所得分類の問題、あるいは控除・税率の問題、あるいは納税環境の整備の問題、納番含みですね。まあそういう意味で、納番あたりで本格的に何かできるのかどうか。それを少しこれから詰めていきたい。そういう意味では、来週からいよいよ専門的な領域、あるいは技術的な問題も踏まえまして、個人所得課税の方向性をはっきりしていきたいと、こんな感じで考えてます。できれば、というかお尻は決まっておりまして、6月の後半に主要論点メモという形にはいたしますけれども、今後数年にわたって所得税をどういう形で本来の機能回復にもっていくかという点、議論したいと思います。おそらく再分配機能をこれからどういう格好に詰めていくかというあたりが、議論をもう少し闘わせながら集約していかなきゃいけないなという感じであります。

それから、非営利法人のほうは今日、比較的議論はまとまっててですね、あの方向について強い反論も出ませんでしたし、それから堀田さんのほうからも出されたような、今日、新聞で紹介してございましたけど、外側から見ている専門家らの評価も、まあそこそこというようなことになっておりますので、基本的枠組みはできている。問題は、その中で具体的に課税の問題をどうするかという問題とか、例えば寄附税制についてどうするか。あるいは収益事業、つまり非営利法人の中で公共性を認められても、どれだけ課税の対象に入るのか。特に収益事業につきまして、今33ある、ああいう…これとこれとこれにかけろというポジリスト的なものの発想を、本格的にこれをかけちゃいけないというネガリストにもっていくのかどうか。これはこれからの検討事項であろうと思いますので、そこを真剣に考えてみたいと思います。公益性というのをチェックするわけですから、その公益性に従って、かけるもの、かけないものというものの仕分けができるほうがいいのかもしれない。これは最後、井戸さんがおっしゃってましたけど、その辺の整理の仕方があろうかなと思ってますし、それからまあ、「みなし寄附金」のところで意見が二つに分かれましたけれども、それを広げるという方向と、今2割ですけれども、みなし寄附金はあれでいいんじゃないかという話、それから、金融資産の収益から出てくる、まあ利子配当ですね。ああいうものを課税上どう扱うかという問題、これも今度、非営利法人の課税問題の中ではひとつ焦点として出てくるんじゃないかなと、このように考えております。

それから時間がなくて、あらかじめあまりとってなかったこともあるんですが、環境税につきましては、例の京都議定書のことが、大綱か、その後具体的に、2010年あたりにですね、どういうふうな形で算入していくかというスキームが出ただけでありまして、その中で政策手段としての環境税をどう扱うかというのは、まだまだ具体的なイメージを我々は得ることはできなかった。これに対しましては、環境省がまた委員会を立ち上げまして、専門的に今始めてるようでありまして、それを踏まえて、ある種のボールがいずれ来るだろうと思います。それから来年度の概算要求の時期にかけて、この問題を具体的にどう取り扱うかということが起きてくると思いますので、そこでまたひとつ議論を我々としてもしなきゃいけないなというふうに考えております。

概略はそういうことでありまして、いずれにいたしましても、個人所得課税の改革のプランと、それから非営利法人の課税問題につきましては二つ、二本立てで、一応論点を整理したものを、6月の後半には出して公表したいという段取りでおりますが、それに向けて来週以降、週2回のペースになるかもしれませんが、5月後半と6月にかけてその作業に入りたいと、このように考えています。

以上です。

記者

今も紹介ありました生活保護受給者と課税最低限の問題と、もう一つ、最高税率の見直しについて、会長のお考えをお聞きしたいと思います。

石会長

会長のお考えって、個人的な考えですか。

記者

いやあ、難しいですか。

石会長

いや、難しくないよ、大して。基礎問題小委員会で、かねて社会保障なり福祉をやってるときにですね、これは宮島さんもかねて言ってるし、財政学者はみんなそう言ってるんですけれども、とりあえずそのトランスファー・インカムですね。生活保護費であれ、年金であれ、もらったものはとりあえず受給した側のほうの担税力の中に入れる。その後で、要するにいろんな控除等々で担税力を調整するわけでありますから、とりあえず一たん渡して課税にするというほうがすっきりしてると思います、私は。そういう意味で、それをしないから、生活保護費とですね、住民税の課税最低限の綱引きがいつも起こってましてね。外国ではね、とりあえず社会保障給付を全部入れて課税するというほうが、僕は主流だと思いますね。だからある意味では、少子・高齢化を踏まえて、社会保障のサステナビリティが言われているわけでありますから、課税問題でもそういうほうがすっきりしてると思う。まあ、それがどれだけ税調の議論としてまとまるか知りませんが、とりあえず基礎問題小委員会等々の議論を踏まえれば、その方向の議論が有力になってくると思います。

それから最高税率はですね、一番の難しい問題は、50%をさらに60、70%にしてもっていくときにですね、実は、俗に言われます金融所得というやつを、本当にその中に突っ込むような格好で、総合課税の方向にもっていく中での最高税率を上げていくのか、それとも、あくまでですね、利子配当、キャピタルゲイン等々は分離課税にしちゃってね、給与所得のところをメインにして、累進最高税率にもっていくのかって、全然意味違うんですよね。おそらく同床異夢なんでしょうけれども、再分配効果を高めてというときの最高税率を上げろというのは、資産所得課税みたいのまで全部入れないと金持ちに対して、言うなれば再分配効果を上げられないわけですよね。その議論をちょっとね、もう少しやらなきゃいけないと思ってますが、ただきょうの例で見ましたように、日本の50%というのはですね、結構高いんですよ。今日、北欧の累進税率構造、出てきてませんが、おそらく私の印象では50%が一番高いぐらいであろうと思いますし、せっかくこれまで下げてきたんで。問題は、最高税率を下げる見合いとして課税ベースを広げる必要があるんですよ。これを実は本格的にやりたいと思ってますので、あるべき税制から言うと、最高税率を再度元に戻す方向でいけるかどうか、これももう少し議論しますが、私は個人的には、50%あたりがまあマージナルではないかなとは思いつつ、もしくは総合課税の方向で入れるなら、もっと下げなきゃいけませんね。ただ、我々がもう一つ考えております金融所得の一元化というのがありますから、その問題と絡みつけて言うなら、50%ぐらいでいいのかなとは思ってます。

以上です。

記者

サラリーマンの申告の話が出て、まあ方向性としてどういう方向に議論が進むのかを…。

石会長

方向としては、私は、選択肢を増やすという意味で給与所得控除をグロスインカムで3割というのは、やっぱり過大だと思ってます。それを見直すという過程で、それならば、自分の必要経費も含めて、給与を稼ぐときのコストがかかってるんだからという形で実額控除できるという選択肢を増やすべきだと思います。今、特定支出控除となると、たしか、あれ5~6人か10人ぐらいしかいないのかな。ああいうのではなくて、もうちょっと具体的に丁寧な形で、それにチャレンジする人が増えて、自ら税務署に行ってですね、申告するということがあってもいいし、それから今日話題になっていないし、今後も話題になるかどうかわからないけど、今、2,000万円以上の人が給与所得者でも税務署に行って、申告しますね。あるいは2か所以上の所得がある人ですね。あの2,000万を少し下げるということがあればですね、申告する層も増える。そういう意味で、基本的に私はタックスペイアーの意識を高める意味ではもうちょっとね、税務行政の混乱がないというのがまあ条件ですけど、一般に言われるサラリーマンの方も、申告したいという方にはどうぞという機会を増やすべきだと思いますね。嫌なれば、また概算控除をやればいいんだから。そこの選択の幅を広げたいと思ってます。

記者

あと日程的なものになりますけど、たしか6月の21日まで税調の日程が入ってますけど、もっとぎりぎり…、その後クローズされたものがあって、ぎりぎり月末ぐらいまでかけて、論点整理というのは行われるのですか。

石会長

いやあ、できたらそれは今の日程で出ていける、お尻のあたりでケリつけたいですね。…分からない、それはこれからの議論次第ですけどね。

記者

公益法人についてはですね。個人所得課税についてはまだ税源移譲額も決まってなくてですね…。

石会長

それは秋ですよ。

記者

もちろん固まらないですけど、公益法人については…。

石会長

固められると思います。

記者

去年の金融一体課税のように、ある程度、最終形に近いものが出てくると考えていいんでしょうか。

石会長

ええ、その辺は大分基本的な方向が一致してますから、個人所得課税よりは整理はしやすいと思いますね。そういう意味で、ある意味で内閣官房から出てきた具体的なスキームの中に税を落とし込むという作業はできると思います。それから税源移譲以外のところでね、所得税の例の所得の種類と税負担の問題であるとか、人的控除のあり方とかですね、納税環境の整備等々ね、これはできると思いますよ。いや、それをやっておかないと秋の議論に間に合わないと思いますんでね。秋は、所得税と公共法人以外にいろんな税も出てきますから、やはり土俵をしっかり固めておくという意味でも、6月の所得税改革のいわゆる基本的な、あるいは抜本的な見直しの整理は重要だと思ってます。

記者

この論点メモの所得の区分、これでは8個ありますけれども、この見直しの理由ですね。ずっと手をつけてなかったと思いますけど…。

石会長

そうね、きょうは…。

記者

それと、見直すとどう変わるのと。個人の納税、税負担のあり方、そこがよく見えないんですけど、そこら辺も含めてですね。

石会長

ここに8つありますけど、金融所得の中身は利子と配当とキャピタルゲインだよね。だから、トータルでいくと10個あるんだね、日本の所得の種類というのは。これはですね、ちょっと正確にわからないんだけど、もう何十年もそのまま続いてるはずですよ。そのまま続けるという手もあるんですけど、今、はたと気がつくとですね、この各々の所得の中がですね、必ずしも現在の経済社会構造と一致してないというようなことも、ないことはない。と同時に、新しく入れたほうがいいんじゃないかという項目も、ないことはない。そういう意味で、仮に議論した後、10種類のままで、このまま変えなくていいというなら、それでも結構ですけどね。ミスマッチという視点から、いろんなことを我々は今やってます。それの一環として、所得の種類、税負担のあり方も考えていくと。例えば退職所得、これは退職金制度そのものがですね、今後残るか残らないかわからないし、今あるような形のですね、2分の1課税にしちゃって、これは数年間の就業でも2分の1課税になっちゃうんで、そこは悪用されてる面もある。20年を超えた途端に控除絡みの議論になってきますから、よし40万が70万になるのかな、こういうのは長い間勤めあげて、その労苦に報いるための退職所得という特別な枠というのが、今の社会に合っているかというと、そうでもないでしょ。そういう意味で、これは多分残さざるを得ないとは思いますけど、仕組みを変えるとかですね。さっきの所得控除も同じような問題、ありますね。それからまあ不動産所得というのが、果たして独立の存在価値のある所得概念としてもっているかどうか。例えば、不動産業者でいえば事業所得だよね、不動産所得というのは。それから個人の、サラリーマンを含めて、一般世帯が貸し家持ったりなんかしたら雑所得でもいいんでね、そういうのを不動産所得というのは、インディペンデントな意味で問題があるか。それから一時所得にしてもですね、ギャンブルとか、なんかご褒美をもらった、何とか賞をもらったとかなんかのやつで。これも2分の1の課税ですよね。こういう非常に担税力のある所得を2分の1にするのがいいかどうかね。こんな話を含めて、一回全部見直したいと思ってます。

そこで、今のご質問に対するお答えは、そのミスマッチをなくすという視点から再度整理すると。それから、あえてなんか新しい必要な所得項目があるとすると、それは年金所得でしょう、塊がどんどん大きくなって。ただ、これも入れるかどうかわかりません。わかりませんけれども、古いものを落として新しいものを入れるということになったときの新しいものの最初の候補は、やっぱり年金でしょうね。したがって、変えた、追加した、減らしたというところにおいて、税負担がどうなるかこうなるかというのは、控除ですよね、所得控除の幅をどうするか。つまり、年金所得は既に公的年金等控除のところが大分減ってきましたから、独立させるとそっちにどう跳ね返るか、まだわかりませんけれども、いずれにしても、仕組みを変えるということによってですね、税負担に100%影響を及ばないとも言えないので、そろそろこの辺も整理する時期ではないかなと思ってます。

そういう意味で、あんまり税負担に関係ないところでいじくらないほうがいいかということもありますが、我々としては、所得税のスタイル、課税の公平・中立・簡素という観点から見直したいという視点から見ると、これもやっぱり対象になるだろう。このように思ってます。と同時に、今言いましたように、この背後にある担税力補足の意味での控除の水準がすべての所得に絡んでますから、とりあえず出来上がりを見てからご判断いただくしかないとは思います。我々、これ、ひとつ今回、これまであんまり所得税改革で言ってなかったという意味において、新しくこれ、我々、非常に熱意を持ってるんですよ。過去、2~3回、所得税のあり方論をやってますが、これ、あまり強調してなかったんで、もう一回見てみたいなと前から思ってたものですから、そういう意識を持ってます。

記者

最高税率のところが50%と結構高いんで、まあ60、70%はちょっと難しいんじゃないかというお話でしたけれども、総会の中でも出てましたけれども、低所得者のいわゆる課税最低限を下げるとか議論が出てきて、バランスの問題もあると思いますし、会長自身は、例えば所得税の課税最低限の問題なんかについては、逆にどのようなお考えを持ってますか。

石会長

この間もご説明しましたように、課税最低限の議論がですね、税額控除を少し考えているということによって、各国の足並みが乱れてですね、従来どおりの課税最低限の議論というのは、少しやりにくくなったなとは思ってます。そこで、おそらく、日本で所得税というのが、所得税・住民税入れて国民所得の6%しかないという世界でね、あの間接税の国のフランスでさえ12%あったかな。やっぱり所得税もですね、みんなにもうちょっと負担してもらわないと税収獲得機能がないなと思ってまして、それはある意味では、低も高もですね、裾野を広くしてやってもらうという意味において議論が出てくると思います。そういう意味で、具体的な税収確保機能の復元、復活ですか、これはどうしても控除を見直す過程で生じてくる、課税ベースが広がることによる増収と、さはさりながら、基本的な基礎控除であるとか、あるいは子育て支援の税額控除であるとかという、まあ1対1でプラスマイナスが1対1だったら増収策にならないけれども、増収という過程の中でそういうものを入れ込むという形に見直していきたいと思ってます。

そこで、おっしゃる意味は、高額所得者にどれだけの負担をさせるかということでしょうね、多分それは。まあそれは、先ほどちょっと申し上げたように、金融所得のところで一番の問題があるんだよねえ。それは、勤労所得のほうの上下のばらつきよりは、株でもうける、配当でもうける、利子でもうけるというところの所得の格差のほうがもっと大きいし、それこそある意味では高額所得者に集中してるという気配もありますよね。まあそういう意味で、金融所得を仮に一元化したときの、どこのスタートラインで税率を決めるかという議論も絡んでくるでしょう。ただ心配は、それはキャピタルフライトが起こる所得だから非常に難しい問題があると思いますが、単に勤労所得だけ狙い撃ち的になってる最高税率50%を上げて、問題が簡単に解決するとは思いませんね。現に1%ぐらいしかいないと一課長、説明しておりますように、今、50%を受けてる人というのはほんの一握りの人ですよね。だから、だけど問題は、その中でインカム・ブラケットのほうをいじくるほうが問題かもしれないね、税率をいじくるよりは。その辺を少し、税源移譲を含め、累進税率構造の仕上がり具合を見つつ、議論をしなきゃいけないと思ってます。と同時に、800万までの給与所得、給与収入の人が10%になってて、8割そこにサラリーマンが入っているというような、ある意味では非常に裾野が広がり過ぎてしまった税率構造をどうするかと問題もあるしね、これ、低いほうも高いほうも大きな問題だと思ってます。

今の質問は、最高税率のほうでもう少し負担を上げていかないと、おそらく再分配効果の率も上がらんだろうし、金持ちに対して応分の負担はできないだろうから、そこをどうするかというご質問でしょうね。

今言ったように、今の制度ではなかなか難しいですよね。単に税率だけ上げても、対象者が少ないような格好になってますから。だから、その辺のところをどうするかという問題を少し議論したいと思います。やっぱり働く意欲が薄れるほどの高い税率は、やっぱりまずいんじゃないかなという気はしますけどね、個人的には。きょう、五公五民なんていう話が出たけど、まあ50%がひとつ限界的な、所得に対する半分は出してもらえるというところの限界のような気がしますけどね。対象者を増やすという意味では、もうちょっと議論はあるかもしれない。

(以上)