第24回総会・第28回基礎問題小委員会合同会議 議事録
平成17年1月25日開催
〇石会長
それでは、時間になりました。お忙しいところをご参集いただきまして、ありがとうございます。今年初めてになりますが、総会と基礎小2つの委員の方にお集まりいただきまして、合同会議でやりたいと思います。これは、これからいろいろ幅広に議論しなければいけないということもありますし、あとからご説明いたしますが、勉強会という色彩のものも今後開いていくという形で、そういう格好にしたいと思っています。
今日は、2つ大きなテーマがあります。1つは、年末に行われました税制改革の話を主税局あるいは総務省から。それから、予算のさまざまな新しい企画、新しい計算も出ておりますので、それは主計局からご説明いただく。2つのご説明を受けたあとで、今年末にかけてどういう議論をしていったらいいかということにつきまして自由にご意見をいただきたい、このように考えております。
では、審議の始まる前に、総務省で人事異動がございましたので、ご紹介を兼ねて、ご自分ですることになりますが、株丹さん、まだ局長がお見えになっておりませんので、よろしく。
〇株丹企画課長
今、局長はこちらに向かっております。審議官も出張ということで、大変僣越でございますが、人事異動がございましたので、私からご紹介させていただきたいと思います。
1月11日付けで、これまで官房審議官でございました小室裕一が自治大学校長になりました。これまで企画課長でございました岡崎浩巳が、後任の官房審議官になりました。
これまで地方公務員共済組合連合会で資金運用部長をしておりました市橋保彦が都道府県税課長になりました。
最後ですが、これまで都道府県税課長をしておりました株丹達也が企画課長を拝命いたしました。
以上でございます。前任者に引き続きまして、よろしくお願いいたします。
〇石会長
ありがとうございました。
それでは早速、17年度税制改正案のご説明からいただこうかと思います。国税につきまして古谷総務課長、地方税に関しまして株丹企画課長からお願いすることにいたします。
では、古谷さんからお願いいたします。
〇古谷総務課長
お手元に資料がいろいろと重なっていますけれども、昨年の政府・与党の協議でまとまりました17年度の税制改正案の概要について、簡単にご報告を申し上げます。お手元の資料の一番上に、「総24-1 平成17年度税制改正案の概要」という資料がございます。これをご覧いただければと思います。
昨年11月末に当調査会から答申をいただきまして、それに沿って政府・与党で協議いたしました結果でございます。最初に個人所得課税というところがございますが、定率減税を17年度に2分の1に縮減するということでございます。所得税につきまして、控除率、控除限度額、いわゆる頭打ち、それぞれともに半分にするということで、これにつきましては平成18年分以後の所得税について適用ということで、来年1月からの源泉徴収でこの増税が反映されてくることになります。
「定率減税については、平成18年度までに廃止すべきである。その際、経済への影響を考慮すると、平成18年度税制改正において一度に廃止するよりも、段階的に取り組むことが適当であり、平成17年度税制改正においても縮減を図る必要がある」というご答申をいただきましたが、17年度で2分の1に縮減することが決まりました。廃止までは決まっておりませんで、廃止につきましては今後の税制改正の作業の中で検討されることになると考えております。
以下、住宅税制、金融・証券税制、幾つかの主な改正案を並べてございますが、例年のとおり、関係省庁からの要望なども踏まえて改正案がまとめられております。簡単にご覧いただきたいと思います。住宅税制につきましては、住宅ローン減税等の特例措置の適用にあたりまして、地震に対する安全基準に適合する中古住宅につきましては、築後経過年数に関する要件にかかわらず、対象に加えるといった改正案がまとめられております。
金融・証券税制につきましては、「貯蓄から投資」ということで、金融課税の一体化に向けた取組みの途上にあるわけですが、いわゆるタンス株につきまして、引き続き特定口座への受入れを可能とする措置、あるいは特定口座で管理されていた株式につきまして、発行会社の清算結了等により無価値化した場合には、これを株式等の譲渡損失とみなす措置、これらを講ずることにしてございます。
国際課税につきましては、答申でも、国際的な投資交流の促進の観点、あるいは国際的な租税回避防止の観点から見直すべきだというご指摘をいただきましたけれども、そこにありますように、外国子会社合算税制について合理化を行うほか、細かくなりますが、不動産化体株式の譲渡益課税の導入、あるいは事業譲渡類似株式の譲渡益について課税の要件の整備をさせていただいております。
次のページに進んでいただきまして、中小企業関係税制では、これも細かい措置が並んでおりますが、いわゆるエンジェル税制の適用期限を2年延長するといった措置が盛り込まれております。
地方分権のところは飛ばさせていただいて、その他のところでございますが、特定非営利活動法人(いわゆるNPO法人)への支援ということで、認定NPO法人の認定要件の緩和等を行う。これは、パブリック・サポートテストの要件緩和とか申請書類の簡素化といったことが盛り込まれております。
所得税の寄附金控除の限度額を25%から30%に引き上げる措置が講じられることとされております。
企業再生関係税制ということで、民事再生法等の法的整理及び一定の私的整理が行われる場合に、「債務者である法人について、資産の評価損益を計上する措置と期限切れ欠損金を優先控除する措置を一体的に講ずる」、こうなっておりますが、債権放棄を受けて再生を目指す企業が、いわば保有不動産の評価損とか過去の古い欠損金を用いまして、債務免除益という利益を消して、税金を払わなくてよくするという形で企業の再生を支援しようという特例措置でございます。
それから、教育訓練費についての税額控除。これは、経済産業省からの要望に基づいて、企業内の人材育成の支援ということで、企業が支弁いたしました教育訓練費について税額控除をする措置を導入することとしてございます。
一番下、社会保険料控除。社会保険料控除の適用にあたりまして、これまでは納付証明書の添付等は必要なかったのですが、課税の適正化という観点から、国民年金の保険料につきましては納付証明書の添付を義務付けるという措置を講じることとしてございます。昨年、年金法案との関連で未納対策が議論になった関係で出てきた措置でして、こういった納付証明書の添付ということでございます。
一番最後のページ、こうした17年度の税制改正による増減収見込額を整理してございます。一番上の定率減税の縮減が、初年度、18年1月からの実施、3カ月に見合う分でございますが、1,850億円の増税。平年度になりますと2分の1の縮減、全体で1兆2,520 億円の増税でございます。その他、住宅税制の拡充等々ございまして、小計欄でご覧いただくと、初年度で1,710億円、平年度で1兆2,290 億円でございます。別途、所得譲与税による税源移譲が6,910億円ございますので、一般会計分全体としては、初年度で5,200 億円の減税、平年度で5,380億円の増税という内容になってございます。
次の次の資料に横長の「資料(国税関係)」ということで、「総24-3」という分厚い資料がございます。今申し上げた改正事項に関係する資料が綴じられておりますので、細かい点や具体的な点につきまして御下問がごさいましたら、この資料もご覧いただきながら、後ほどご質問をちょうだいできればと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
1点だけ、資料の最初のほうでございますが、1ページに「平成17年度税収」という欄がございます。めくっていただいて2ページをご覧いただくと、平成17年度一般会計税収ということで数字が並んでおりますが、16年度の補正後予算額が44兆410億円、これに対して、左の右のほうに改正法とございます。44兆70億円が17年度の当初予算の税収です。44兆410億円という16年度の補正後予算額に対して、政府経済見通しによる経済指標等を基礎に計算しました44兆5,270億円というのが、改正をする前の自然体の17年度の税収でございます。ここから、今申し上げた初年度の改正減収額5,200億円を減じまして、予算としては44兆70億円となってございます。
主な税目の内訳は、そこにございますように、所得税、法人税、消費税。所得税は税源移譲が約7,000 億円あったということを中心に▲9,290 億円という数字になっております。法人税は引き続き企業収益の増加等がございまして、5,170 億円の増加。消費税につきましては、消費の動向とか、15年度の中小特例の改正の効果が17年度にあらわれるといったことがございまして、4,720億円のプラスとなってございます。
3ページが税目ごとの内訳でございまして、ご覧いただければと思いますが、4ページ、一般会計税収の推移ということで中期的な姿を棒グラフにしてございます。一番右の53.5%という数字が、歳出総額に占める一般会計税収の割合です。前年度50.8%でございましたのが、53.5%まで若干改善してございますが、引き続き、税収割合が5割をちょっと上回る程度という状況に変化はないということでございます。
5ページが主な3税目の推移でございますので、ご覧いただければと思います。
資料のその次に、「平成17年度与党税制改正大綱(抄)」という縦長の文章を並べた資料がございます。12月15日に与党のほうでまとめられた改正大綱の抜き書きをしてございます。若干拾い読みをさせていただきますが、1ページ目の「新しい時代への税制改革の道筋」の最初のパラグラフの後ろのほうですが、「平成17年度税制改正において、定率減税を2分の1に縮減する」ということが決められたあとのなお書きでございます。「なお、今後の景気動向を注視し、必要があれば、政府・与党の決断により、その見直しを含め、その時々の経済状況に機動的・弾力的に対応する」と書いてございます。定率減税の縮減と経済との関係で、弾力条項を入れるとか何とかいろいろな議論がございましたけれども、これにつきましては、与党大綱の中でこういった文章を書くことによって決着が図られているということでございます。
それから、次のパラグラフで、「平成18年度においては、……所得税から個人住民税への制度的な税源移譲を実現」する。さらに次のパラグラフで、「平成19年度を目途に、……消費税を含む税体系の抜本的改革を実現する」ということで、前の年の与党税制改正大綱を受けて、今後の税制改革の段取りをこういうふうに決めてあるということでございます。
それから、この紙の3ページまで進んでいただいて、与党の税制改正大綱の中に「第三 検討事項」ということでまとめられている項目が幾つか並べられております。そのうち、3ページの7番、8番をご覧いただくと、公益法人制度について、「平成18年の通常国会において法制上の措置等を講ずることを目指し、政府において抜本的な見直しの検討が進められている、それに対応した税制上の措置について検討する」。8番で、「認定NPO法人の認定要件など寄附金税制について、7の公益法人制度改革にあわせて、抜本的検討を行う」といったことが与党の大綱に盛り込まれております。
さらに4ページに進んでいただくと、12番でございますが、新たなビール風酒類の関係で、政府税調でもご議論いただきましたが、酒税についてです。「酒類間の税率格差を縮小し、酒類の分類の簡素化を図る方向で酒税制度の全般的な見直しを行うこととし、平成18年度税制改正までに結論を得る」というふうになっております。
14番が環境税でございます。これも与党のほうでいろいろな議論がございましたが、下のほうに、「あらゆる政策的手法を総合的に検討した結果を受けて、いわゆる環境税については、必要に応じ、そのあるべき姿について早急に検討する」といった税調の答申と同じような感じで与党の大綱も今後の検討課題に置いてあるということでございます。
簡単ですが、私からの報告は以上でございます。
〇石会長
ありがとうございました。
では、株丹さん、地方税関係をお願いします。
〇株丹企画課長
今ご覧いただいておりました資料のその次に、与党の税制改正大綱そのものが入っていると思います。それ以降が地方税関係を中心とした資料です。最初に、資料のご確認をいただければと思います。
右肩に「総24-4」とございますのが、「平成17年度地方税制改正(案)について」ということで、地方の税制改正案の概要です。後ほどこれでご説明させていただきます。
その次に、「総24-5 平成17年度地方税制改正(案)要旨」で、国税で閣議決定されておられる要綱に対応する改正の詳細な内容です。
それからもう1冊、「総24-6」の横長の資料、こちらのほうに「地方税関係」ということで、今回の改正内容の主なものに関するいろいろな資料をつけてございます。
地方関係の最後が「総24-7 地方財政関連資料」という表題の資料です。内容的には三位一体の改革関連が中心です。国の予算全体については後ほどご説明がございますけれども、三位一体等につきまして、まず、この「総24-7 地方財政関連資料」をざっとご覧いただきたいと思います。
目次の次、1ページに、昨年6月以降の三位一体の改革に関する動きを抜出してございます。当税調の答申を頂戴した頃、一番下のほうですが、政府・与党、さらに地方団体間で三位一体改革について協議・調整が行われておりました。それを受けて、11月26日に政府・与党の合意が取りまとめられたところです。合意の本文を2ページ以下につけております。何ページかにわたりますけれども、適宜抜き出してご覧いただこうと思います。
3ページに「記」とございまして、まず、国庫補助負担金の改革についてですが、平成17年度、18年度予算におきまして、国庫補助負担金について3兆円程度の廃止・縮減等の改革を行うということで、その詳しい内容は別紙に書いてございますので、後ほどご覧いただきたいと思います。
1ページおきまして5ページ、こちらに税源移譲について書かれています。先ほどの与党の大綱でも同様の文章になっているわけですが、平成16年度に所得譲与税、税源移譲予定特例交付金として措置した額を含めまして、概ね3兆円規模を目指す。税源移譲につきましては、所得税から個人住民税への移譲によって行うもの、さらに、個人住民税所得割の税率をフラット化することを基本として実施することなどが決定されています。
その下、3のところで、地方交付税の改革につきまして、17年度、18年度は、地方団体の安定的な財政運営に必要な一般財源の総額を確保するなど、5つの項目につきまして書かれております。
7ページをご覧いただきたいと存じます。概ね3兆円規模の税源移譲を目指すわけですが、2のところにありますように、その8割方につきまして内容が明示されたということです。このうち、17年度については別途、予算で額が定まったところです。
なお、逆に申しますと、残された課題があるわけでして、逆算すれば6,000 億円程度になるのですが、その点については3のところで、「平成17年度中に、以下について検討を行い、結論を得る」とされています。
何ページか飛ばして、12ページに、12月24日の三位一体の改革についての閣議決定の本文を掲げております。三位一体の改革につきましては、「基本方針2004」に基づきまして、また、今ご覧いただきました政府・与党の合意を踏まえまして、引き続き、政府一丸となって取り組むという内容の決定がなされています。
13ページ以下ですけれども、これは、今の閣議決定の際に合わせて配付された資料です。13ページから20ページまでが配付資料ですが、私どものほうで簡単に1枚の紙にまとめています。21ページをご覧いただくと、平成17年度の改革の姿を一覧でつくっています。国庫補助負担金の改革につきましては、税源移譲に結びつくものを中心に、17年度については全部で1兆7,681 億円。2番目の税源移譲等につきましては、17年度の部分として1兆1,160億円。数字がいろいろでわかりにくいのですが、参考のところに、16・17年度分を合わせた税源移譲等の額というのがございまして、所得譲与税については1兆1,159 億円。ほとんど似たような数字が並んでございます。そのほか、3として交付税の改革が何点か挙げられているということです。
こういう改革を踏まえまして、次のページに17年度の地方財政収支見通しの概要というものがまとまっています。地方財政計画自体の決定はまだですが、粗々の収支としてご覧いただければと思います。歳入・歳出規模、あるいは歳出につきましては▲が並んでいて、歳入の特に一般財源につきましては、臨時財政対策債を除きまして、一応プラスあるいは前年並みという数字でございます。
恐れ入りますが、資料をちょっと戻っていただきまして、右肩「24-4 平成17年度地方税制改正(案)について」で、地方税関係を簡単にご説明したいと思います。
1ページの最初のところ、定率減税の見直しです。所得税で説明がございました。個人住民税につきましても同様に定率減税を2分の1に縮減するということで、現行の15%あるいは上限の4万円をそれぞれ半分にするということです。
なお、注にございますように、個人住民税については18年6月の徴収分から実際の影響が出てくるということで、平年度ベースで約4,000億円の増収になるわけです。
同じ1ページの下に税源移譲を載せてございます。17年度においては、所得譲与税により1兆1,159 億円の税源移譲を行うということで、すでに16年度改正で所得譲与税の制度を創設していただいております。それを踏まえた改正が行われるということです。
なお、都道府県と市町村に対する配分につきましては、今回の国庫補助負担金の改革の影響額を踏まえて、若干でございますが、市町村に有利で切りのよい割合として都道府県が5分の3、市町村分が5分の2とさせていただいております。個々の団体に対しては人口でもって譲与します。
参考のところは、今回の改正ではなくて、18年度税制改正において、本格的な税源移譲を行うということです。なお、カッコの中の部分は、18年の通常国会で税法改正を行っていくのですが、大きな改正ですので、19年分あるいは19年度分の国税、地方税から適用するということで、18年度については所得譲与税で対応するという趣旨です。
2ページです。三、法人事業税の分割基準の見直しです。法人事業税の分割基準につきましては、昨年末の税制調査会の答申でも、相当長く改正していなくて、その間のIT化あるいはアウトソーシング化の進展を踏まえて見直しの必要があるというご答申を頂戴したわけですが、現行と改正案となっていますが、具体的には2点改正をするという趣旨です。
1つは、非製造業について、大括りの業種ですが、従業者数だけでなくて、これまで銀行業等で行われておりました事務所数を分割基準として導入させていただく。もう1点は、従業者数について、本社管理部門については0.5 倍にする、割り落とすという特例措置を取っておりました。これを、この特例を機会に廃止するという改正でございます。
なお、こういう改正をいたしますと、結果として都道府県間での税収帰属が変化いたします。私どもで推計しましたところでは、東京都で600億円ぐらい減収、大阪府でも80億円程度の減収、それ以外の道府県では増収、こういう結果でございました。
ちなみに、あくまでも課税標準をどう分けるかということですので、改正によって法人自体に対する増税あるいは減税は基本的には起こらないというものです。
あと、その他の改正ということでございますが、答申を頂戴していました2点について、ご紹介させていただきます。個人住民税の関係です。2ページ目の一番下のところですが、「人的非課税の範囲の見直し」です。個人住民税につきましては、従来から特定の方々に対して、合計所得金額が125万円以下の場合には課税しないという制度を設けていまして、その中に65歳以上の方も含んでおりました。こういう制度については、障害者など本当にこういう措置が必要な方に限定した制度にすべきだという趣旨で答申を頂戴して、今回、その範囲を見直そうというものです。
ただ、1回でやめるということではなくて、影響も考えまして、3年という経過措置を設けた上で廃止をするというものです。
3ページです。これも個人住民税の関係です。徴収率の向上を目指して執行面あるいは制度面から検討を行う必要がある、という答申を頂戴しておりました。これまで住民税について、給与支払報告書を提出いただく方というのは、1月1日に在職しておられる方に限定されておりました。これを、年の途中で退職をした方についても拡大させていただこうということで、あまり少額なものまでは提出を求めないということではありますが、提出の範囲を拡大させていただいて的確な所得の捕捉に努めるという趣旨です。
以下、不動産取得税の減税等、項目がございますが、説明は省略させていただきたいと思います。
次のページに、税制改正による事項別増減収の見込額を出させていただいております。左側が初年度、右側が平年度でございます。初年度につきましては、非常に額は小さいのですが減税。平年度につきましては、定率減税の縮減等の影響がございまして、合計あるいは再計のところ、右端ですが、4,000億円弱の増になってございます。
改正項目としては他にもございますが、またご質問等をいただきご説明させていただければということで、以上、簡単でございますが、地方税関係、三位一体も含めてご説明とさせていただきます。
〇石会長
ありがとうございました。
先に行く前に、今、おふたりの課長からご説明をいただきました国税、地方税の改正案につきまして、何かご質問を受けたほうがいいと思いますので、二、三、ございますれば、今の段階でご質問ください。あるいはご意見でも結構です。
よろしゅうございますか。
それでは、今日わざわざ主計局の岡本調査課長に来ていただいていまして、予算面のほうのご説明を受けて、そのときにまた税制面で幾つか疑問が出たら、一緒にご意見を伺うということにしましょうか。
それでは岡本さん、お忙しいところをわざわざお越しいただきまして、ありがとうございました。予算案のほうにつきまして、ご説明をいただきます。
〇岡本主計局調査課長
主計局調査課長の岡本でございます。
それでは私から、お手元の「平成17年度予算関係」という資料につきまして、平成17年度の予算案についてポイントをご説明させていただきます。
まず、目次を開いていただいて、平成17年度予算のフレームという1ページ目の資料をご覧いただきたいと存じます。平成17年度予算につきましては、歳出改革路線を堅持・強化するという方針で歳出全般にわたる見直しを行いまして、一般会計の総額としては、前年度比720億円の微増となる82兆1,829 億円になっているわけでございます。
まず、この下半分の歳出についてご説明させていただきます。歳出の1項目目の国債費でございます。国債残高が増加してきていることに伴う定率繰入の増、これが5,500億円程度ございまして、こういったものを含みまして、8,700 億円の増になる18兆4,422 億円になってございます。
次の地方交付税でございますが、地方歳出の合理化、効率化といったことで、交付税の繰入としては約8,000億円の減となっているわけでございます。ただ、後ほどご説明いたしますが、三位一体改革による義務教育費国庫負担金の削減に伴う特例交付金の増が約4,000億円ございます。これでネットいたしまして、ここの予算上は約4,000 億円の減になってございます。
次、一般歳出でございます。一般歳出の中では、高齢化に伴う社会保障関係の予算の増加圧力が大きい中、また、備考のところに書いておりますが、年金の国庫負担の引上げによる増も2,400億円程度ございます。こういった中で三位一体改革、また、その他全般の予算の削減努力によりまして、対前年度マイナス3,491 億円ということで、14年度予算以来3年ぶりに一般歳出がマイナスになってございます。
このほか、NTT-Bの事業償還時補助3,689 億円がございまして、一般会計、歳出予算総額は先ほど申し上げた姿になってございます。
上の歳入でございます。税収につきましては、先ほどご説明がございましたように、前年度当初予算比2兆2,600億円の増で、44兆70億円。
その他収入につきましては、ほぼ前年と同額でございます。
これによりまして、公債金でございますが、34兆3,900億円ということで、前年度比2兆2,000 億円の減になりました。これが13年度予算以来4年ぶりの減額ということで、公債依存度が16年度に比べて3%程度改善している姿になっているわけでございます。
今申し上げました17年度予算のポイントということで、重複いたしますが、2ページ目をご覧いただきたいと思います。17年度予算、持続的な財政構造の構築に向けて、3つのポイントとしては、2段目にあります国債発行額のところ。先ほど申し上げましたとおり、13年度以来4年ぶりに国債発行額を縮減して2兆2,000億円の縮減となっております。
また、一般歳出のところ、4段目でございますが、14年度以来3年ぶりの対前年度マイナスということで、47兆2,829 億円。
以上を踏まえまして、一般会計のプライマリーバランスでございます。一番下のところに出ておりますが、前年度に比べて3兆円の改善ということで、昨年度6,000億円の改善でございましたが、2年連続の改善、また、改善幅も大幅に大きくなってございます。
以上が全体の姿でございまして、個別の論点につきまして3ページ以降でご説明させていただきます。
まず、三位一体の改革でございます。先ほど来お話も出ておりますように、平成18年度までの三位一体改革の全体像にかかる政府・与党合意、11月に行われた合意に沿って改革を推進するということで、17年度予算への反映としては、まず国庫補助負担金改革といたしまして、税源移譲に結びつく改革ということで、1兆1,239 億円。この中の大きなものが義務教育費国庫負担金。これは暫定的なものですが、4,250 億円。また、国保5,449 億円というものがここに含まれます。
また、交付金化の改革ということで、3,430 億円。これは、公共事業の補助金を、各省庁それぞれでやっておった類似のものを一本の交付金にまとめるというもの。例えば道路であり、汚水処理施設でありといったものを交付金化するということを行っております。
また、スリム化を行ったものが3,000億円あるということでございます。
これを踏まえて税源移譲でございますが、今回、所得譲与税による税源移譲としましては、上の1兆1,160億円のうち17年度分について6,910億円が税源移譲を行うということで、16年度分に合わせて1兆1,159 億円の税源移譲になっております。
義務教育費国庫負担金の4,250億円につきましては、税源移譲予定の特例交付金として、暫定措置として4,250 億円を追加するという形になっております。
地方交付税につきましても、地方歳出各項目を徹底して見直すことで交付税総額を抑制する。なお、16年度の補正で追加された分の繰越等がございまして、地方に配分される交付税自体は前年度と同規模が確保されているということでございます。
右側の防衛予算でございますが、ちょうど新しい防衛大綱をつくるという節目の年にあたっておりました。そういった中で、メリハリのある防衛力を整備するということで、次期中期防につきましては現中期防に比べて約3%のマイナス。これは、16年度の予算を起点とした伸率としてはマイナス0.2%ということで、初めてのマイナスという形になってございます。
これを踏まえて17年度の予算といたしましては、マイナス1%の防衛関係費予算になっているわけでございます。
もう1ページお開きいただきまして4ページ、社会保障予算でございます。まず、介護保険につきましては、ホテルコストについて利用者負担の増加を図るといったことで、給付費ベース、平年度ベースで見ますと、約3,000億円程度の縮減になります。また、先ほどの三位一体の中でありました国保につきまして、都道府県の負担の導入を図るといった改革を行っております。
右側の公共事業でございますが、公共事業全体としてはマイナス3.6 %という形で抑制する中で、雇用や民間需要の拡大に資する分野に重点化を行う。また、省庁の枠を越えた交付金の創設をやっております。
一番下の特別会計でございます。昨年も、財制審において全特会の見直しを行いましたが、引き続き、またフォローアップを行いまして、例えばNTT株式売却収入を活用した無利子融資制度の廃止に向けて、一般会計繰入を縮減するとか、また、食管特会の麦にかかる繰越損失を解消するなどの予算措置が講じられているところでございます。
5ページをお開きいただきたいと思います。以上申し上げましたように、一般歳出全体がマイナスの中ではございますが、骨太方針あるいは予算の基本方針に示された重点課題については、限られた財源を極力重点配分するといったことで、例えば人間力の向上、少子化対策等々の予算には、このような形で重点配分を行っているということでございます。
ただ、全体といたしましては、下に主要な経費の前年度伸率が出ておりますが、社会保障関係費と科学技術振興費を除くすべての経費が対前年度マイナスになっているわけでございます。
もう1ページお開きいただきまして、6ページでございます。予算の総額の削減、抑制に加えまして、質の向上についても努力をしております。1つは、予算執行調査といったものを行っているわけですが、この対象を拡充してその結果を極力予算に反映する。また決算につきましても、国会に早期に提出するということで、これは昨年の11月19日に提出を行って、予算編成にこれを反映させるということをやってございます。
また、右側の四角ですが、細部に至る歳入・歳出の見直しの徹底ということで、額としては大きな額にはなりませんが、例えば事務コストの削減といった中で、旅費の中で極力割引航空運賃を活用するようにするとか、公用車の台数の削減等々を行うといったようなこと。
また、IIの歳入の多様化の3つ目のマルのところですが、少しでも歳入の増加を図る観点から、例えば、国の広報が行っているパンフレット等に広告の掲載をして広告料収入を確保する、そういったことを検討することにしています。
最後の制度の見直しのところでは、とかく不透明さが言われております随意契約につきまして、公表基準をこれまでの1,600万円から160万円に大幅に引き下げることによってその透明化を図るという措置。
これら細々とした措置ではございますが、質の向上に資する努力も行っているところでございます。
以上が予算の姿、内容の主たるものでございまして、以下7ページ以降が、財政事情をあらわす資料をリニューさせていただいているものでございます。7ページは公債発行額の推移ということで、13年度以来、4年ぶりに前年度縮減をしておりますが、依然高い公債発行額、公債依存度であることに変わりはございません。これは、引き続き努力が必要ということでございます。
8ページのグラフは、ご案内のとおり、一般会計の歳出と税収のギャップをあらわす、私どもよく「ワニ口」と呼んでいるものでございます。近年、このアゴがどんどん開いてきていたのが、ようやく止まりかけてきたということでございます。
9ページ目が、先ほどのご説明で触れさせていただきましたプライマリーバランスの改善です。国のところが約3兆円の改善。また地方も、地方財政計画ベースですが、すでにプラスになっているわけですけれども、さらにそのプラス幅を増やしているということでございます。
ちょっと補足説明ですが、10ページの公債残高でございます。公債残高が、16年度末で505兆円、17年度末で538 兆円になっております。実は16年度末の公債残高、昨年の16年度予算編成のときは、ここが483兆円というふうにご説明しておりました。実際にご覧いただきますように、15年から16年に50兆円ほど公債残高が増える形になってございます。
これは、1ページお開きいただいて、同じ数字なのですが、表の上から2段目の国の普通国債残高というところが、先ほどのグラフでお示ししているものでございます。この16年度末のところが505兆円となっております。このカッコのところに書いておりますが、下の注の3番目です。
毎年、翌年度の借換債を前倒しで発行する。これがその年度末には実際に発行されているということで公債発行残高に加えているわけですが、来年度以降、借換債がかなり大量になってくるということで、実は、借換債を前の年度に前倒しで発行するものが非常に大きな額になりまして、これは限度額ですが、16年度末で24兆円。17年度においては30兆円と見込まれております。そういったことで、その額をのせた姿で出ている関係で、16年度末で505兆円、17年度末で538 兆円になっているわけでございます。ちなみに、借換債の前倒債を除いた分がこのカッコ書の数字になります。
以下の資料は、従来ご説明させていただいております各種の資料をリニューさせていただいているものですので、ご参考にしていただければと思います。
説明は、以上で終わらせていただきます。
〇石会長
ありがとうございました。
では、主計局の予算に関するご説明を中心にいたしまして、税のほうに戻っても結構でございますから、しばらく事務局に質疑ということにいたしたいと思いますが、いかがでしょうか。そのあとで、今年から始まる税制改革、年末にかけてどういう問題を取り扱ったらいいかという形で自由討論に入りたいと思います。
まず、お出しいただきました基礎的な資料につきまして、理解を深め共通の土台をつくっておきたいと思いますので、どうぞ、どなたからでも結構です。
どうぞ、村上さん。
〇村上委員
今、主計局からおいでになっているわけですから、非常に理想的な会議の姿になっているかと思いますが、2010年代初頭のプライマリーバランスの回復のために、20兆くらいですか、今年3兆として、16~17兆くらい直接のところで改善しなければいけない部分があるわけですね。それを、政府のあれにも書かれているように、歳出・歳入一体の形で検討するとなっています。今日は主計局、主税局両方入っていらっしゃるけれども、プライマリーバランス回復に向けてどういうふうな体制を考えていらっしゃるか、その辺をまず伺いたいと思います。
〇石会長
主計局で年末にやった財制審あたりの議論もご紹介いただいて、お考えがありましたら、またご議論いただきたいと思いますが、岡本さんのほうから何かあれば。
〇岡本主計局調査課長
今ご質問にございました、2010年代初頭のプライマリーバランスの黒字化という目標に向けて、このあと、どういうふうに取り組んでいくかということで、まず、これは政府全体の話でございます。そもそも2010年代初頭のプライマリーバランスと言っている場合には、一般政府、国・地方合わせたベースでございます。「改革と展望」に示されている一つのフレームワークとしては、2006年度まではまず歳出の規模を抑えていく。そういった中で2007年度までに税制上の措置についての検討を行う。そういった努力を続けていって、2010年代初頭のプライマリーバランスの黒字化につなげていく。大まかに言ってこのようなフレームワークになっているわけです。今は、そういった意味で歳出をきちっと抑制、改革していくといったステージにいるわけですが、徐々にそういった次のステージに向かってきているわけでございます。
現在、経済財政諮問会議におきまして、今年どういった点について議論を行うかという中で、歳入・歳出一体改革をどのように進めるかを検討することを初めて議題として取り上げることにしております。具体的にどのように取り組んでいくかというのは、まさにこれからの検討でございますが、経済財政諮問会議の検討課題ということで明示的に取り上げられたことにおいては今回が初めてになっておりまして、そういった政府全体の中での検討の枠組みを私どももよく見ながら、財制審におきましても、2010年代初頭に向けての考え方をどう整理するのかという議論が財制審の委員の方々のご意見としても出されております。
財制審において今後どういった検討をしていくのかということについては、よく検討していきたいと思っておりますし、昨年の財制審の審議におきましても、石会長にお越しいただきまして、税制改革の議論の動向についてご報告いただいたことがございます。歳入・歳出一体的な改革ということですので、そういったことも含めまして、また、政府全体の改革の今後のスケジュール等をにらみながら、より具体的な検討をしていきたいと考えているところでございます。
〇石会長
年末、財制審でこの問題をだいぶ取り上げて議論しましたが、歳入・歳出一体化につきましては、諮問会議が具体的な数字を出して公に議論をし始めております。私は税調を代表いたしまして、この間、財制審でご説明しましたが、これはどちらかといいますと構造的な中身の改革の話が中心でありまして、プライマリーバランスにどう資するか等々の議論はまだここではやっていませんので、それについては税調の意見として申し上げられませんでした。これから歳入・歳出見直しを諮問会議でもやると同時に、財制審と税調あたりで一体化の中で我々も歳出面についてしかるべき検討も必要かなと思っていますので、皆さんのご意見をいただきまして、今後、議論していきたいと思います。
村上さんから何か重ねてございますか。
〇村上委員
趣旨はそういうことなのですが、もう一つ、マスコミの問題があるかと思います。増税時代というとらえ方で、何かよくわからないけれども、とにかく増税ばかり考えているのではないかというようなことが世間一般の認識になってしまっていますので、このままで進めるというのは非常に難しくなるのではないか。したがって、何のために増税するのか、それから、何を目的にして歳出カット、増税があるのかということを一体的に国民の前に示さないとなかなか難しいのではないかというふうに思います。
〇石会長
おっしゃるとおりだと思います。
では、尾崎さん。
〇尾崎委員
今の調査課長の説明を伺っていまして、私の聞き違いであろうと思うのですが、歳出抑制のステージというのは2006年で終わってしまうのですか。ちょっとそういうように聞こえたのですけれども、そういう意味ではないのですね。歳出抑制というのはずっと続くのでしょう?
〇岡本主計局調査課長
申し訳ございません。そういう意味ではございません。まず2006年度までは歳出をきっちりとやれ。そのあと、必要な歳出水準がどういったものか、そういったものを見極めて税制上の措置を判断するというふうになっておりまして、そのあとも歳出を改革していく努力は当然続けるということでございます。
〇石会長
今のは諮問会議の中の「改革と展望」の中のご意見ですか。
〇岡本主計局調査課長
そうです。諮問会議で議論されて、政府で決めた「改革と展望」の中に盛り込まれているものでございます。
〇石会長
菊池さん、どうぞ。
〇菊池委員
借換債というのは、前倒しすると次の年はその分減るのではないかと思うのですが、それの仕組みをもう一回教えてください。
あと、今年の予算を一生懸命つくって、減った、減った、初めて減ったと言っていますが、永田町とか霞が関あたりに住んでいると、一生懸命頑張って減らしたようには思えるかもしれませんけれども、それ以外の世の中から見たら、ちゃんちゃらおかしくて、これで減ったというのは話にも何もなりませんよ、という感想が実際の見方ではないかというふうに思います。
例えば三位一体で、国庫補助負担金改革で一生懸命スリム化したのが3,000 億円。3,000億円というと、1市町村当たり1億円という単純な計算になるでしょうけれども、その金額と、介護から食事代とホテル代をとってそれが3,000億。全市町村が一生懸命減らして3,000 億とこのホテル代が一緒というのは、いかに地方自治体の減らしがいかがかという証拠ではないかなと思いますし、100万人もいる公務員削減で、前の年440 人、次の年620 人減りましたと遠慮っぽく小さく書いてありますけれども、それでスリム化したなんて言っていること自体がちょっとおかしいのではないかなと思います。
なぜそういうことを言うかというと、この前から考えているのですけれども、プライマリーバランスというのはバランスさせて何がいいかというと、何も変わらないわけですが、増税するといってもなかなか大変なわけで、歳出を抑制するといってもなかなか大変なわけで、その両方ともやらなければいけないとすれば、歳出削減した分だけその年増税する、見合いという方法が一番いいのではないかといつも言っているわけです。それをやるには、削減のほうが全然減らないわけですから、税金のほうも増やす義理はないという感じがしますから、圧倒的に歳出削減というのは目に見える形でやっていってほしいなと思います。
〇石会長
ご意見だと思いますが、ただ、主計局も何か言い分はありそうですから、歳出カットが不十分だという一般的なコメントに対して何かお答えがあれば。
〇岡本主計局調査課長
まず、1点目のご質問がございました借換債の話について若干補足させていただきます。先ほどの資料の11ページのところで、今ご質問の中にまさにありましたように、これは借換債でございますので、例えば16年度末に24兆円発行されておりましても、次の17年度の中で借換債ということでいわば消えてしまいます。一時的にここにのっかっているという意味においては、一時的に24兆円がのっかっているということで、一時的ではない、本来のストックとしては481兆円というふうに見る見方もあるということで、ここにカッコでのせております。ご指摘のとおり、これは一時的に翌年度償還で消えてしまうというものでございます。
そのあと、歳出削減が不十分ではないかというご指摘、また先ほどのお話にもありました、今後税の議論を行っていく中で、こういった歳出削減で十分なのかという議論。私ども、予算編成の中におきましては懸命に取り組んだつもりではございますが、歳出削減の内容についてのより十分な説明も私どもは必要だと考えておりますし、そういったご指摘を十分踏まえながら、引き続き、今後とも歳出の改革に取り組んでいきたいと考えております。
〇石会長
では、河野さん。
〇河野委員
歳出面の各項目にわたってご説明が主計からあって、せっかく主計の人が来ているから、注文をつけておきたい。それはどういうことかというと、個別政策について、防衛も全部切り込みましたよとやっているから、当然のことながらこれから続けてもらいたいけれども、一つ、圧倒的な強い柱を立ててもらいたいんです、歳出削減の象徴的な意味でね。それは間違いなく中央・地方通じた人件費の問題ですよ。今のような状態でいいとは誰も思っていない、本心では。実は当の役人も思ってないんだ。こんな高い月給をもらっていいのかと思ってるんだから、半分以上の人は。特に地方における地域住民、中小企業との格差というのは歴然たるものがあるから、いつまでこんなものを放っておくんだと。この一点で切り込めば……。まあ、いろいろなことがあるから、これから全部注文をつけるけれども、圧倒的な注文は、これから1年、2年と増税絡みの議論をやらざるを得ないけれども、そうなったらそこに踏み込んだ議論を徹底的にやるべきだと。
ただ、ここは政府税調だから、我々がその議論をやる場ではないと思っているし、当然これは財制審があるわけで、ほかにも総務省関係でしかるべき審議会があると思うから、そこでとにかく総論として福祉何とかを幾ら削ったという議論をどんどんやると同時に、併せて、遂行しているのは人間なんだから、そこについてべらぼうな格差がある。ないしは、べらぼうではないかもしれないけれども、明らかに格差がある。そのことをしっかりと認めた議論をやってもらいたいんだ。
それが、相当議論を始めました。データはかくかくです。比較するデータが不明確だと、感情的な抽象論に終わってしまって全く上滑りになるから、データはしっかりと両省に調べて出してもらって、それをみんなが自分の経験なり何なりをベースにしながら議論する。これはぜひやってもらいたい。さっき村上さんもいろいろ言っていたけれども、これこそ本丸ですよ。総理は郵政が本丸だと言っているけれども、僕に言わせればこっちが本丸なんだ。そこに切り込む時期にようやく来た。そういう議論ができる機は熟しつつあるという気がします。ただ、今日は、ここでやることはないから、注文をしっかりつけておいて、比較するデータをしっかり出してやってもらいたい。
例えば、最近は大阪市に税務当局が踏み込んだとか、あそこは職員と自治労の間でなあなあの関係が延々と続いて、きわめて悪名高い事例の一つになっている。有名なんだけれども、あのケーススタディ一つやっただけで、世の中は、なるほどそんなことか、あとは似たりよったりだという話になる。その議論をしっかりやってもらいたいということを、税調メンバーの一人としては強くお願いしておきたい。それについて両省から覚悟のほどを聞いておきたい。
〇石会長
両省に対する質問も踏まえてですか。
〇河野委員
はい。
〇石会長
それでは、まず予算絡みで岡本さんから。あるいは局長からでもいいですが、あとは総務省から。
〇岡本主計局調査課長
人件費の問題につきましては、ご指摘のとおり、財制審におきましても非常に強いご意見を私ども承っておりまして、今後とも取り組んでいきたいというふうに考えています。
また、経済財政諮問会議における今後の検討テーマの大きな一つに掲げられておりますので、そういった議論等を踏まえまして私どもも取り組んでまいりたいと考えております。
〇石会長
では、総務省の株丹さん。
〇株丹企画課長
必ずしも詳しいデータは今手元にはないのですけれども、総務省としても、地方公務員の人件費削減に向けてこれまでも努力してきたという認識でございますが、当然、これからさらに努力をしなければいけないと思っております。
数字的なもので言えば、従来から国との比較で使っておりますラスパイレス指数も毎年下がってきて、100 というのが国とちょうど同じということですが、実は16年度については100 を切ってきている。これは個別、個別の団体によって相当の差があるわけですけれども、厳しい財政状況を背景にして、独自に給与カット等をしている団体も相当数あるわけです。
ただ、今の河野委員のご指摘の中には、地域で公務員給与をどんなふうに決めていくのかとか、かなり根本的な部分のご指摘も入っているかと思います。そういう点については、今、担当部局を中心に人事院のほうで、具体的にどう対応するのかとか、そういうことを踏まえて対応していると思いますので、私ども、今の議論を持ち帰りまして当然伝えますし、全体としてはさらに努力していく、こういう考え方でやろうと思っております。
〇石会長
さまざまな問題が絡んでいますから、簡単にはと思いますが、今の河野委員からの問題点、皆さん共感を覚えるところが多いかと思います。
では、佐竹さん、ちょうどと言っては何ですが、地方の問題で何かお答えがあれば。
〇佐竹委員
人件費の問題はいろいろあろうかと思います。我々はどちらかというと理事者側で、組合と交渉しつつ常に……。ただ、今までの経緯、あるいは地域、それぞれの自治体で相当違うところがある。やはり今一番なのは、基本給の問題は別にいたしましても、その他の、不明朗といいますか、さまざまな形でこれまで慣行で積み重なった不要部分といいますか、我々としては一番そこに注目して、理事者側としては今やっている最中です。私も当事者ですので、今ここで、どちらかという話はちょっとできかねますけれども……。
一つ、歳出の面で市の予算査定の現況をお話し申し上げますと、義務的経費、社会保障関係を除いた経費で、例えば秋田市の場合は一般政策経費で対前年度比12.8%減です。というのは何かといいますと、その部分はすべて社会保障関係。これについては我々自治体ではそれを変えることができない。ここが自治体の一番苦しいところなのです。義務的経費は、医療関係、生活保護、高齢者対策、その他も含めまして毎年7%から8%増。全体のウエートが猛烈に大きいものですから、その他のいわゆる一般政策経費はそれ以上に削らざるを得ない。12.8%ですから、2年間で20数%。例えば、私どものところで発注する公共事業なんて5年で半分ですよ。
ですから我々としては、今、河野委員がおっしゃった人件費の問題はかなり大きいウエートがありますけれども、もう一つの社会保障のところをどう考えるか、これでほとんど決まりなんですね。それでも秋田市の場合は、全体としてある程度の間口が広いですけれども、小さい町はもうそれで終わりというところまで今来ていることは確かです。
〇石会長
そういう改革もまたご説明いただきたいと思います。そういう現状があるということで。
では、遠藤さん。
〇遠藤委員
ちょっと数字的なことでお伺いしたいのですが、一般歳出の中で義務的経費と非義務的経費という区分の仕方があることを、去年の税調の審議の中でちらっと聞いたのですけれども、それが16年度予算と17年度予算でどのくらい変動しているのかということを知りたい。ラウンドな数字で結構です。
もう一つは、私、個人的に興味を持っているのですが、義務教育の国庫負担金は、教員数が相当減っていると思いますけれども、国庫負担金ですから給与の2分の1でしょうが、金額としてどのくらい減ったのか。その2つを教えていただけませんか。
〇石会長
岡本さん、今、数字がわかればですが。わからなければ、また後ほどということで。
〇岡本主計局調査課長
すみません、手元に数字がございません。ちょっと確認してご報告いたします。
〇石会長
では、後ほどお願いいたします。
どうぞ、岩崎さん。
〇岩崎委員
人件費の問題が出ましたので、一言申し上げたいと思います。せっかく総務省の方もいらっしゃるということで。私も財審などでかなり強く言っていますが、もちろん国家公務員の給与の問題もありますけれども、これは公務員制度改革の中でどうにかやれないかなと思っている。だけど、あれも全く進まない。地方に至っては全く比較にならないほどひどい。先ほど総務省の方がラスパイレス指数という話をずいぶんされましたが、もはやこれはナンセンスではないかと私は思っています。地元民間といかに比べるか、この一点ですよ。
なぜなら、財政再建を進めるということは歳出・歳入両面から痛みを求めるということでしょう。それを求めるのに、求める本人が地元の民間の企業より3割も4割も高い給料をもらっていて、何で求められるのか。課税自主権どうのこうのとおっしゃっていますけれども、課税自主権を発揮するのだったら、そこのところをきちんとしなければ一般の住民も納得しませんよ。ここのところをきっちり考えてほしいというふうに私は思います。
〇石会長
ご意見承っておきます。
ほかにいかがでしょうか。今、予算絡みの話ですが、岡本さんに長くいていただくのも大変だと思いますので、特に岡本さんに質問がなければ、ご退席いただくようにしてよろしゅうございますか。あとは我々の税制改革の今後のスケジュールについて話しましょう。
では、岡本さん、どうもありがとうございました。またいろいろとご出馬いただいて、我々の言い分も聞いていただく場を設けたいと思います。よろしくお願いします。今日はどうもありがとうございました。
それでは、あと50分足らず時間がございます。今日を第1回の皮切りにいたしまして、今日から本格的な議論を始めますが、どういう問題が今年のメインイッシューで、この秋から冬にかけての来年度税制改正の議論に生かしていくかというあたりのスケジュール観も含めまして、今、皆さんが念頭に置かれている税制改革の主要な論点なり進め方につきまして、忌憚のないご意見を伺いたいと思います。発言がなければどんどんこちらから指名いたしますから、皆さん、何か言うことを考えておいてください。どうぞ、どなたからでも結構でありますから。
菊池さん、どうぞ。
〇菊池委員
とりあえず決まりものというか、税源移譲に伴うのはやらなければいけないでしょうけれども、それ以外で考えると、環境税というのは、去年はああいうしょうもないものが出てきたから簡単に踏みつぶしましたけれども、国全体としてはやはりやらなければいけないのかもしれないし、国際的にも、名前だけでもいいのですが、そういう名前の税金を持っていないのは恥ずかしい世の中になるかもしれない流れがあるので……。かといってこの税調というのは、何か来ないと、それがいいとか悪いとか言えませんですよね。
〇石会長
いや、言ってもいいですよ。
〇菊池委員
言うのはいいけれども、意味が持てないから、そこら辺はどうなのかなあというのが、今年の場合、非常に疑問を持っています。あまりはっきり言うとあれなんですけれども、環境税をつくるであろうところがあてにならないというのがありますですよね(笑)。そこのところで、骨格というのをこっちから、「これでどう?」というようなものがつくれたらいいかなという思いがあります。
〇石会長
わかりました。
では、河野さん。
〇河野委員
菊池さんはかねがね尊敬している新聞記者の委員長さんなんだけど、この件については全く違うんです。国際的に恥ずかしいとか何とか関係ないの、この話は。いいですか。日本の国もよその国も全部やってるの。日本は炭素税という名前はついてないけど、石油石炭税という明確なやつが存在するの。膨大な金額を取って特会を組んでいる。まずこれが一つあるわけ。どうしても炭素税ではなくて環境税にしたかったら、改名すればいいの。政治的に考えればですよ。世間体論を言うならば。だけど、菊池さんはそんなことをおっしゃってるわけはないと思ってるんだ。
一番の本質は、与党大綱にも書いてあるし、我々の答申にも書いたけれども、政府部内で、今、明らかにもめているわけです、幾つかの省が対立して。そのときに、税金がどうしても必要だというグループと、いや、なくても行けそうだぜというグループが2つあるんです。いいですか。どっちに軍配が上がるかというのはなかなか難しい話ですよ。だから、与党税調も書いたし我々も書いたけれども、まず政府部内で、税金をやるのかやらないのか腹を決めてこい、と。そこから先は菊池さんと同じなんだ。今の環境省の調査委員とか学者とか役人がつくったのではろくなものができてこない。こんなもの戦略があるわけだから。あんなものはどこから見たって欠陥だらけだ。
そういうふうにタマがこっちに来れば、財務省が専門的に考えたらいい。でも、その段階はだいぶ先の話なんだ。やはり手順論というのは、政策決定のためにいろんな意味を含めてきわめて重要なんですよ。だからこの案件について言えば、政府部内で3月、4月と手順を踏んでいくわけだから、それを受けて--どうしても決着つかないということにほとんどなると僕は思っていますけれども、まあ、どういうことになるかわからない。そのときどういうタマが飛んでくるかもわからない。いずれにしても向こうで話が詰まってきて、小泉内閣ではどうもならんというところまで来て、タマがこっちに来たときには受ける。来なければ、それでそのまま先の話。あくまでも向こう様次第。手順をしっかりやらないと、議論は必ず食い違ってくるということを申し上げたい。
第2に、今の話に関連してちょっと申し上げたいのは、与党大綱を読んでいたら、私たちの答申には全くなかったけれども、NPOと公益法人に対する税法上の優遇措置についてなにがしの勉強をしろということが書いてあるわけだ。僕は実は、公益法人の改革のための何とか会議という仰々しい名称があって、そこに入って延々と議論を重ねさせられた立場で言うと、この問題は避けて通れないと思ってるんだ。いいですか。
よくNPOという言葉で言うんだけど、公益法人だって同じようなことなんだけど、また種類がいろいろあって話はややこしいんですよ。ややこしいけど、官、政府、地方自治体、それから民、大企業何とかの間で、なにがしかそういう……。従来、官でも背負い切れなかった、ないしは、官がやるとやたらと金がかかる、月給高いから。というものを含めたことを受ける組織が必要。今、膨大に増えているけれども、これは玉石混淆。質の悪いやつもいいやつも千差万別。十把一からげに議論できない。しかし考え方として、この人たちに、寄附行為なり何なりする場合に税法上どうサポートするかという話ですよ。
今度、松井君が5,000万円、津波で寄附したよね。あれ、アメリカの税制でやってるんだからね。この件についてどういうふうに彼の事務所がさばいているか知らないけれども、日本であれをやったらえらいことになるんじゃないかという気がするんですね。日本のプロ野球、多く取ってるやつはたくさんいるけど、何もやってないよね。ジャイアンツの連中は全部そうだけど、ほとんど何もやってないよな。日本のジャイアンツの億単位で金もらってる連中がケチばっかりで、そういう公共意識がゼロかというと、それが80%の答えだと思うけれども、そうでない側面もある。
これで寄附金がどんどん向こうへ流れていくと、財務省に入るべき税金は少なくなるわけだから。で、計算してたんですよ。10年前だったらその計算でいいと思うけれども、今ここに来て、あの人たちの役割が内外で大きくなっているときに、税制上もうちょっと緩和するというか、実態に即するというか、よその国に合わせるというか、そんなことは何でもいいんだ。やるべきですよ。これ、ちびちびやっていて、財務省はあまりにもけつの穴が小さい議論をやり過ぎてると僕は思ってるんだ。違いますか、福田さん。伝統あるからね。ここに尾崎さんもいるけど、哲学を展開してもらいたいんだよ。といったって、そんなめちゃくちゃな減税になるわけないんだから、この話は。税金をまけてくれるならよけい寄附金を出すよという人は、日本国民の中にはたんといないんですよ。つまり寄附文化が育ってないわけだ、いろんな意味で。
これはこの機会に、せっかく与党も書いているし……。我々は書かなかったけれども、小さい項目ですよ、これは減税論からいったらば。しかし、意味合いはものすごい。僕は偶然そんな会議で議論に巻き込まれたから思うのかもしれないですが、あんまりきれいな抽象的なことを言い過ぎてはいかんと思ってますが、もうちょっとこれについての頭の切りかえを財務省は考えてしかるべきだと思います。
〇石会長
話を振られたけれども、福田さん、何かありますか。
〇福田主税局長
一点だけ。寄附についてどういうふうに位置づけるのか、考え方はいろいろあろうかと思います。税制上優遇措置があるから寄附をするというのは、私は個人的には何となく不純なものを感じます。ただ、その話とは別に優遇措置を講じる必要があるというご意見も理解できます。
今年について言いますと、さっき総務課長から話がございましたように、個人につきまして所得税の寄附金控除の限度額を、今は25%ですが、これを30%に引き上げるということで、従来の寄附金税制に関する考え方を、出し手の側から言うと、従来の発想を一歩変えたという気持ちでおります。
公益法人あるいはNPO法人について、特に公益法人制度については、今、河野委員からお話がございましたように、改正がなされて案が出てきますので、それに基づいてどういうふうな税制にするのか、その中には当然寄附金税制も含まれますので、そこでまたご議論をいただきたいと考えております。
〇石会長
わかりました。ありがとうございます。
〇河野委員
福田さんの言った言葉の中で、ああ、これが基本にあるんだなと思うのは、動機不純だと言うんだよね。たしかに不純なところもたくさんあるわけだ。金持ちがこれを利用して何かやろうと思えば、いくらでもアメリカはやっているし、現に日本だってやればそうなるかもしれない。しかし、局長は動機不純論でさばかないで、もうちょっと幅を広げて税制というのを……。
〇石会長
いずれにしましても、その議論を時間をとって一回やりましょう。大津波以来、非常に関心が出てきておりますので。
では遠藤さん、どうぞ。
〇遠藤委員
今の河野さんのご意見に全く賛成で、寄附をしたら所得税上有利になるという対象法人を緩くしてもらいたいんですよ。私も総務省の後輩の皆さんにも言っていつも怒られているんですけれども、地方税の部分についてはちょっと厳しいわけですよね。これは、寄附した法人と受益を受ける市町村とが違ってくるからという論理的な話もあるけれども、この点もやはり一遍議論したほうがいいと思います。そういうことをぜひお願いしたいと思います。
〇石会長
そうですね。今日はいろいろ問題が出てきました。では、ほかの点につきましても、どうぞ。
長宗我部さん。
〇長宗我部委員
ちょっと早く出なければいけないので、各論で恐縮ですけれども。税制の足元といいますか、不公平感の感じられる税制の見直しというところを、これから消費税の引上げ等いろいろ議論していかなければいけないということで、その前提として、例えば今年度の改正のところで話にも出ていましたけれども、わかりにくい酒税ですね。非常に複雑な酒税の体系の簡素化とか、抜け道がある部分はやはりふさいだほうがいいだろうと思われますので、そういう部分とか、それから名古屋地裁で判例が出ました航空機リース、この問題等も答えを出さなければいけないのではないかという感じがします。
それからもう1点は、租税特別措置です。租税特別措置で恒久化して本来の税制みたいになりかかっている。こういう部分の整理、洗いなおし、そういうようなところを一回ご検討いただきたいというか、我々が検討するのでしょうけれども、そういうふうに考えます。
〇石会長
租特については毎年やっているのですが、また新しいのが増えてくるという事態で、なかなか志が実現しないという面もありますが。
では、田近さん、どうぞ。
〇田近委員
いろいろな議題をずっとやってきて、今年のチャンスは、財政再建に向けてそれを具体的に政策に固めていくということで、少し私なりに整理させてもらうと、さっきから出ているプライマリーバランス、2010年初頭という話で、財審のほうは、いろいろな仮定を置いてそれをどう実現できるかという話をしていると思います。ぜひそこと連動して、歳入サイドでどの程度の仕事まで期待されているのかというイメージを、少なくとも税調のみんなが、賛成反対はいろいろあるでしょうけれども、実態というか、そして、歳入サイドでどこまでやらなければいけないかという理解を共有すべきだろうと思います。
それから、ぜひ今年はやらなければならないと私が思うのは、いつまでも暫定的措置として、三位一体改革の税源移譲のところで所得譲与税を続けるわけにはいかないわけで、今年は、三位一体改革、税源移譲、そして住民税と所得税のすみ分けということはやらなければいけない。そのときに、ある意味で集大成になると思いますけれども、今までやってきた所得税の課税ベース、特に公的年金等控除とか給与所得控除とか、本丸に今年は迫るべきだと思います。期待を込めてですけれども。
あと、いろいろあるでしょうけれども、あえて言わせていただくと、今までなかった議論としては、少子高齢化の高齢化はあったのですが、少子サイドのほうで税制としてもう少し正面から組めるものはないのか。もちろん税制だけが政策でないことは当たり前ですけれども、ただ、この問題はあまりにも今まで高齢化のほうに重点が置かれて、実態解明のところでいろいろ議論してきたように、少子化を社会としてどう受けとめるか、その中で新しい税、家族に対する税をどうするかという議論も政策として高めてもらいたい。あと幾つか宿題になっている金融所得課税等も、その範囲も含めて決着の時かなと思います。以上です。
〇石会長
所得控除の話、ご提言があったけれども、税源移譲については減税方向で議論するから、所得控除見直しというのは難しいんだよね。税源移譲というのは国税の減税を念頭に置いていますから、別にやるということでしょう、「あるべき税制」という視点から。そうしないと、減税、減税と言われている中で所得控除を見直して廃止していくというのは、増税方向ですから、その辺をどういうふうに切り分けるのかなというのは聞いていてちょっと気になりました。
〇田近委員
いずれにしても、住民税を強化するときは同時に所得税との連動でしかできないわけですから、そこら辺の議論も具体的な形で始めなければいけないだろうと。
〇石会長
そうですね。
ほかにいかがでしょうか。
〇岩崎委員
これは石会長への質問ですけれども、去年の暮れ、総理が会長に、道路特定財源の一般財源化を絡めて環境税についてちらっとお話をされたという一部報道がありました。これはどういうような感じなのですか。
〇石会長
環境税はどうなんですかと私が話を向けたときに、まさかと思ったら、えらい乗り気になって話をしてくれたんですよ。ただ、乗り気のわりには、どれほど本格的に税制論議に仕向けるのか、あるいは、非常に重要だからちょっと問題を提起しておくという程度なのかわかりませんけれども、化石燃料に税をかけて(CO2税)ということになると、道路特定財源のガソリン税が問題になる。元来、あの方は一般財源化とおっしゃっていて、そのことを蒸し返される面もあって、それを含めて議論してもらって大いに結構だという趣旨のお話ですが、ここは非常に政治的にも難しいというのは皆さんご承知ですよね。
環境税のときには既存税制との絡みは当然議論になるし、その辺も大いに議論の対象になり得るとは思っています。ただ、菊池さんがおっしゃったように、ここで具体的な設計をするのか、あるいは、環境省力不足といえども何かアイデアを持ってくるのかも含めて、地球温暖化対策推進大綱の見直しが3月、それからパブリックコメントがあって、5月くらいに姿形があらわれてきますから、その段階で今の問題も含めて議論しなければいけないかなと思っています。そういうスケジュール観を持っています。よろしゅうございますか。
〇岩崎委員
私個人としては、非常に面白いなと。
〇石会長
そういう意味では一種の風が吹いてきたかもしれません。
菊池さん、お待たせしました。
〇菊池委員
もう一つ思い出したのですが、消費税で、今、時間がたてば増えるよというように勝手に前提ができつつあって、なおかつ、集まった金を俺が使うというので、みんな既に手を挙げているという状態でいいのだろうか。税調でだめだと言ってもだめかもしれないですが、そこら辺勝手にひとり歩きしていて、年金に使う、社会福祉に使う、地方税に使うと、勝手なことにみんな使ってしまって、集める前になくなっているという状況でいいのだろうかというのは、もう少し話をしなければいけないなと思います。
あと、世の中大変だから、放っておけばパーセントを上げられるだろうと思うのは、ひょっとしたら間違いかもしれない。できないかもしれないというふうにこの頃思ってきまして、突然、新聞業界としては反対に変わりましたので……。
〇石会長
どういう意味ですか。正確に言ってください。
〇菊池委員
ここら辺は難しいのですが、消費税なんぞ上げる必要はないという動きは当然出てきますし、政治的にもスケジュールを見ていくと、「あら、できないじゃん」というのが見えてきていますので、どうするのかと。絶対大丈夫ですよと思っているのは間違いかもしれない、というのが一つの問題点。
あと、今、尾崎さんから教わったのですけれども、「国税関係」の資料の2ページで、こういうふうに大ざっぱに税金を4つに分けると、何のことはない、所得、法人、消費、その他で、10兆円、10兆円、10兆円、10兆円。17年度は適当に合わせて書いたと思いますが、4つで10兆円ずつというきわめてわかりやすい国になっているわけでして、この4つでいいのかと。「その他」にいっぱいあるのでしょうけれども、しょせんその他はその他ですので、もう1つくらい、10兆円分集まるのがあってもいいかもしれないというふうに長い目で思います。というのは、一個一個ちょっとずつ増やすというといろいろ大変だから、それよりも新しい10兆円というのをもう一つつくったほうが、世のため人のためではないかなというふうに思います。
〇石会長
それは何ですか。環境税、あるいは第二消費税、あるいは何ですか。
〇菊池委員
まだ言わない。
〇石会長
ああ、そう。秘密ですか(笑)。楽しみだなあ。では、ある時期が来たらお話を聞くことにしましょう。
上月さん、どうですか。何かあれば。
〇上月委員
先ほどご意見が出ていましたけれども、金融所得一体課税もちょっと中途半端になっているように思いますし、三位一体改革との関係で所得税の抜本見直しというのは必要なのではないかと思います。それから、商法改正がかなり大幅に行われますので、先ほどのNPOとか公益法人との絡みでも法人税の改正はかなりなるのではないでしょうか。私もよくわかりませんけれども。
それから消費税の議論は、年金改革がどうなるのかというのをしっかり見定めてからでないと、消費税が先にありき、アップをどうするとかいうような議論は少し難しいのではないかと思っております。
〇石会長
わかりました。
先ほどの遠藤さんの、義務的経費と裁量経費の計数の件でご質問があったのですが、古谷さんからご説明いただけますか。もしあれば、簡単にお願いします。
〇古谷総務課長
主計局から取り寄せました数字を、口頭で大変恐縮ですが、申し上げます。
最初のご質問で、義務的経費とその他でございますが、義務的経費が16年度予算で32.1兆円、17年度予算でも32.1兆円、プラス0.0%であります。それから、非公共の裁量的経費が16年度が6.9兆円、17年度が、若干減っていますが、ラウンドすると同じ6.9兆円、マイナス0.3 %でございます。そのほかに公共投資関係費がございまして、16年度が8.6兆円、17年度が8.3兆円、マイナス4.0%ということで、今の3つを足し合わせますと、先ほどの一般歳出になるということでございます。
もう一つ、義務教育費国庫負担金の推移ですが、平成10年くらいから3兆円くらいでずっと推移してきておりまして、平成14年度予算で3.1兆円、これが平成15年度予算で2.8兆円に減しております。この間の差は共済費等が一般財源化されたものでございます。平成16年度でさらに2.5兆円に減しておりまして、この2.8 と2.5 の差は退職手当・児童手当の一般財源化でございます。
さらに17年度、来年度予算で2.1兆円となっておりまして、2.5 から2.1 への減、約4,000 億円が、先ほど説明がございました、今年税源移譲予定特例交付金ということで振り替わった部分でございます。
大体、以上のような感じでございます。
〇石会長
ちょっと口頭でわかりにくかったかもしれませんが、もし必要ならば、また文書で出していただきましょう。
では、佐藤さん、どうぞ。
〇佐藤税制第二課長
ついでということですが、先ほどの長宗我部委員の不公平税制というお話の中で、例示として航空機リース絡みのお話が出たわけですけれども、実はその話につきましては、昨年度の税調のこの場でご紹介し、ご議論いただきまして、答申の中に、そういう租税回避行為については見直すことが適当であるというご指摘をいただいたところでございます。17年度の税制改正におきましても、先ほど、紹介といたしましては省略いたしましたけれども、一定の手当をさせていただいております。
具体的に申し上げますと、お手元の資料の中に「総24-2 平成17年度税制改正の要綱」という閣議決定の綴りがございます。その中の13ページの真ん中あたりに(5)というのがございます。それから14ページ、一番上に(12)とございます。これは、組合を形成する組合員が法人の場合、個人の場合、両ケースございますけれども、それぞれについて、一定の場合に損失についての計算上の制限を設けるという対応をさせていただいているということですので、事実関係としてご紹介させていただきます。
〇石会長
ありがとうございました。
さて、時間がだいぶなくなってきましたが、まだご発言いただいていない方で、今年度何をしたらいいかということでご関心がある方。
秋山さん、どうぞ。
〇秋山委員
昨年来、議論の中でいろいろな制度改正を考える中で、「国民からの信頼」というキーワードがたびたび出ていたと思います。税調が答申を出すたびに、マスコミの取り上げ方もどちらかというとネガティブな取り上げ方が多い中で、制度としての理念を語るのと合わせて、国民の信頼というものをどういうふうに考えていくべきかということにぜひ触れていただきたいと思います。
〇石会長
何か具体的にご提案はございますか。どうも減税だと信頼が増して、増税だと出てこないということがよくあるんですけどね。
〇秋山委員
そういう意味では私も大きなテーマだと思いながら、なかなか具体的なアイデアはないのですけれども、わかりやすいのは、徴税ですとか、実務の運用面での何か見解を出すべきではないかというふうに思います。
〇石会長
もっと細かく具体的にね。わかりました。ありがとうございます。
ほかにどうですか。水野さん、公益法人等々今までご参画いただいていますが、だいぶ話題になっていますから、何か。
〇水野委員
公益法人また問題を抱えて、どういうふうに構成していくのか、これからの議論になることですが、今ちょっと思いましたのは、先ほど航空機リースなど話に出まして、今年度、17年度改正でいわゆる租税回避をふさぐような手だてがなされたわけです。最近、いろいろ技術的な規定であると、穴が出たりしますと、それを使って税負担を不当に減少させようという試みがあります。それに対して次の年度の改正のときに対応策を練るような立法がなされて、非常に回転が早くなってきています。
これは、おそらくそういう形でやっていかなければできない問題ですので、航空機リースはそれに対して外国組合員は源泉徴収20%やるとか、いろいろな対応策を練っていく。これは続けるべきことだと思いますが、さて、こういうのをもうちょっと一般的な形、一般的な規定で対応することができるだろうか。いわゆるドイツとかアメリカなど、租税回避があった場合にそれを判例なり立法なりで一般的に否認する形が取られているわけです。わが国でちょっと難しいのは、外国には租税裁判所とか財政裁判所というものがあって、最後にはそこで公正を期することができるわけですけれども、日本ではまだそれはありません。これから税負担を減らすためのスキームが売買されて、それに対して国税局が対応できない状態がどんどん出てくるので、こういった問題についても検討してみる必要があるのではないかと思っております。
先ほど佐藤課長からご説明がありましたが、一つ一つ取り上げてみるとかなり技術的な対応になるのですけれども、全体としてまとめてみますと、国の税収がかなり損なわれるようなことになってしまっている。それに対してどういうふうに対応していくのだろうかということを、全般的に検討する機会をいただくことが大事ではないかなと思っております。
〇石会長
ありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。尾崎さん。
〇尾崎委員
こういう問題が税調の論議の対象になるのかならないのか、わからないのですけれども、こういうことも考えておかなくてはいけないかなと思いますのは、一つは、三位一体の議論と関連して税と地方交付税との間のリンクの問題です。今、例えば所得税の32%が交付税になると言ってますが、所得税を住民税に譲与しますと所得税は減ります。そうすると、その32%は減りますね。またそれを補てんしろとか、過去においても、国税の減税をすると地方の財源がなくなるから、それを補てんしろという話がありましたが、そういうものが地方交付税特会をおかしなものにしていったわけです。
私、本当に三位一体の問題を真面目にやって、所得税の改正を真面目にやろうと思ったら、そのリンクを切らないとできないのではないかという気がいつもするんですね。話がぐるぐる回りになってしまって、総務省の方はそういうことを言わないと思いますが、地方団体は必ず騒ぐと思うのです。それが一つ。
それから、今、徴収という言葉が出ました。そういうことをお考えになっていたのかどうかわかりませんけれども、社会保険庁がだらしないから国税庁と一緒にしろ、こういうことになるのですが、社会保険庁の扱っている範囲というのは、ご承知のように、税務署というのはある程度所得のある人だけが対象になっているものですから、対象外の人たちが大勢いらっしゃるわけです。国税にその仕事をポンと持ってきたらやれるかといったら、やれる話ではないとか、周辺の話なんだけれども、もしそういうことを言えるのであれば、世の中の誤解をただしておいたほうがいいのではないかなという気がいたします。特に抜本的改革をやる場合にそれを言っておかないと、言うときがないのではないか。
環境税の問題も、環境税についての意見はよくわかるのですが、去年の議論の中で、似たような税がいっぱいあるのだから、それとの関係をきちんとすべきだというお話がございました。今年、そこはやはりやらなくてはいけないと思います。
それから、仮に環境税をつくるということになった場合に、誰がつくるのかといったら、当然、税法ですから主税局長の仕事なんですね。だから、もしやるのだったら、それは何が何でもやらせる。よその省庁などはあてにしていない。よその省庁の意見は聞くのですが、それは自分たちでやらなくてはいけないという話だろうと思います。
ただ、全体としての石油やガソリンの負担が増えなくても、今の特定財源から分けて環境税に回すということが仮にできれば、実際上、今度の京都議定書の関係でいろいろ問題にされる国、批判される可能性のある国というのはEUと日本しかないものですから、EUのほうでやっていて日本でやっていないということが何となく国際的に気になるということがあります。実際に負担をされているわけですから、そこを切り分けて使途を変えるということはやっておいたほうがいいのかなという気がします。議論してみなくては私も何とも気持ちはかたまりませんけれども、そういうことはぜひお取り上
げいただけたらと思います。
〇石会長
重要な点、幾つかご指摘いただきました。重要な議題になると思いますが、うまく織り混ぜて、今後、議論したいと思います。
田中さん、どうぞ。
〇田中委員
財政再建の道筋をどう立てるのかというのは大きなテーマです。いろいろ意見はあるのですが、人口が減る時代になりまして、次の時代の納税者、永遠に続くわけですが、彼らが果たして前の人たちの後始末をしてくれるのかどうかという問題があるわけですね。年金について言いますと、現役世代が積み立てておいたもので取れるものは極めて少ない。次の時代の納税者、それから、社会保険料負担によって成り立っているというコミットメントがあるだけで、積み立てておいたものは実際ないという形になっています。これを今、公費負担という形で回しているわけですが、果たしてそういうことで、実際に投票へ行く機会もない次の世代に、これだけ負担を回していいのかという問題があるわけです。ということは、税と社会保険負担の問題をこの際整頓しないと、増税というのは一体何のためかというのは理解してもらえないだろうと思います。
今日のご説明にありましたように、歳出82兆円で税金は44兆円です。基礎年金も医療保険も介護保険も公費負担ということになっているわけですが、時代背景を考えてみますと、均衡財政で、所得税は累進所得税だから、同じ世代、同じ時代を生きる者のうち所得が多い人が、年金、医療、介護、そういうものの面倒を余分に見るという前提でこの公費負担というのは簡単に入ったと思うのですが、実際には我々の歳入・歳出を見ますと、国債の発行をもって公費負担の財源としているわけです。ということは、次の世代の人たち、あるいは生まれてこない人たちのクレジットカードで、実際には現在の年金も医療も介護も賄っているという仕組みになっているわけです。
こういう曖昧さを残したまま、税負担が必要ですと言っても、一体誰のための税負担なのか。これを説得するのはものすごく難しいですね。どの時代の人のどういう負担を下げるために、あるいは、そういう人たちがかぶるであろうすごいリスクの高い経済運営、社会運営を軽減してあげるために、今もう少し消費税率を上げましょうといっても、そもそもの設計が、基礎年金から始まって社会保険会計の維持・転換の負担についてきわめて曖昧な態度をとり続けてきている。
たまたまですが、アメリカはブッシュ第2期で社会保険に個人勘定を入れると言っています。これは、成立すると見る見方と半々のようですけれども、連邦政府の対象から外すわけです。ですから、自分の年金の勘定は自分で積み立ててくださいと。もちろん移行期が入りますから、現実には維持・転換の話が全部なくなるわけではないですけれども、しかし、移行期を過ぎたあとは自分たちの年金の問題は自分たちだけでやってください、次の世代に負担をかけないでください、連邦政府のカバーから外します、という行き方なんですね。
これがアメリカで法案が通るとすると、当然、日本にもはね返ってくる。要するに、そういうことも根底的なところで議論していないところで、税負担とか社会保険負担というのは一体どういう意味を持っているのか。説明責任は誰が……もちろん、内閣総理大臣が説明責任を負わなければいけませんけれども、石さんのところにも来るわけですね。税の設計というのはどうなっているんですか、社会保険料負担の設計というのはどうなっているんですか、歳入・歳出は何にどう対応しているのか、と。今の世代と次の世代。次の世代も幾つかあるのですが、やはりそこのところを整頓しないと、増税につながる話というのは、財政再建の道筋といっても、「なぜそれをつける必要があるの?」という人ももう出てきています。これ、どこで作業するかという問題はありますが、私はそれをやらないと国民は納得しないと思っています。いかがでしょうか。
〇石会長
私のほうに来るということは、税調のメンバーの方に全部来るということですから、個々にお考えいただかないと困ると思いますが、世代間会計みたいな手法で、世代間のコストとベネフィットあるいは受益と負担の議論をしています。そういう設計はありますけれども、それを政策面にまで高めて議論したということはありません。ただ、田中さんのおっしゃったとおり、増税の必要性をロジカルに説明するための手法として今言ったような話は絶対必要なんですよね。
いずれ、資料を出しつつ皆さんのご意見も聞きながら、その辺も根本的にやっていきませんと、おそらく増税の説得性はなかなか出てこないと思いますので、よろしくお考えいただきたいし、また、問題提起もしたいと思っています。
残り時間少なくなってきましたが、神津さん、どうぞ。
〇神津委員
つまらないことですけれども、抜本改正とか抜本的な見直しという言い方をよくしますが、どこまでやると抜本なのかなというのはいつも考えることの一つなんですね。
例えば酒税でも、できるできないのテクニカルな問題ではなくて、「お酒と名のつくものはみんなこれにしたら」くらいの簡素さを……。せっかく税の中には公平・簡素・中立というあれがあるわけですから、リトマス試験紙みたいに、これは公平・簡素・中立に見合っているかどうかというのを絶えず合わせていくことが今の時代には必要なのではないか。非常に基本的なことだけれども。テクニカルな部分で行くと、どんどん複雑になってわからなくなっていくから、今、公平・簡素・中立に「明確」というのをプラスしたものでないと、一般人にとって納得--まあ、税に関して納得というのはないかもしれないですけれども、少なくとも理解できるというところまでたどり着かないのではないかなという気がします。
ですから抜本という意味では、環境税に関しても、あの環境税の素案がどうだったということと関係なく、もしこれを論じるのだったら、既存のエネルギー諸税、全部で5兆円ぐらいあるのでしたか、そういうものも含めて、それは道路特定財源に行ってるから云々ということではなくて、地球環境ということで言ったら、地球全体とすればODAまで入れてくれと私は言いたいぐらいなんです。もしかすると、そういうものまで含めて考え直す時期に来ているかもしれないので、表面的にだけ使う抜本的な見直しとか抜本的な改正ということではなくて、本気で抜本するかどうかということが今の税調には問われているような気がしています。
〇石会長
おっしゃるとおり、「抜本的」というのは霞が関界隈はしばしば使っている言葉で大好きな言葉なんだけど、内容がもう一つ定かでないというのもこれまたご指摘のとおりであります。各個別の税につきましては、ファイナルゴールというのか、アライアンスポイントというのか、こうあるべきだということは抽象的には方向性はわかると思うんですよね。公平、簡素、中立の視点からと思いますが、そういう視点も入れつつ、あるべき方向を目指す議論をやっていきたいですね。
ほかに、ぜひというのは。
では、田近さんと翁さんで終わりにしましょうか。どうぞ。
〇田近委員
税だけでどれだけ閉じた議論ができるかというのがいろいろ出てきたと思います。一部繰り返しですけれども、今年ということで言うと、社会保険庁の改革と税調とどう絡むのか。どう絡むにせよ、税調がそれをどう受けるのかという準備は非常に重要になる。もちろん、社会保険庁との統合ということになると、税を払っていない人から取ることになる。逆に、さっき少子高齢化ということを言いましたけれども、リファンダブル・クレジットというのがありまして、税を払っていない人に対しても国が税額控除を与える。もちろん、100万円払っている税で30万円戻してあげて、70万円払ってくださいよというのではなくて、30万円しか払っていない人に100万円あげて、70万ネットであげるというようなことも政策として考えられる。
そういうこともいろいろ考えてくると、社会保障と税とのリンケージということで、やはり社会保険庁の改革というのはものすごく重要なことが背後に潜んでいるだろうなと。それに対して税調というか、税のサイドがそれをどう受けるかという、その考え方の整理は非常に重要だと思います。
個人的には、今言ったクレジットというのをやっていこうとすれば、クレジットというのは、児童手当は厚労省の仕事だと割り切らないで、税の中で閉じようとすれば、それは社会保険庁の改革とも抜本的なところでリンクするだろうと思います。
〇石会長
では、翁さん、最後にどうぞ。
〇翁委員
私は、先ほど田中直毅さんがおっしゃったことに賛成しておりまして、これから増税ということになっていきますと、社会保障のところの骨太の議論がどうしても必要だと思います。去年もデータでずいぶん詳細な検討をして、未曾有の大きな変革をこれから日本経済が遂げていくということがもう見えているわけですから、ここで少子高齢化時代における所得再分配政策のあり方を念頭に置いた議論をして、その上でどういう税のあり方が望ましいのかということをきちんと議論していくことが非常に重要だと思っております。
もう一つは、国民に対してきちんとした説明をしていくという意味では、今までのいろいろな税制による効果とか、そういったことのエビデンスを一つ一つきちんと積み上げていって、それを説明していく。数字とかそういった分析も使って説明していく。それで国民に対して説得力を一層増すような、そういった努力が欠かせないのではないか。エビデンス・ベースド・ポリシーというか、そういったことを考えております。
〇石会長
ありがとうございます。ぜひエビデンスづくりにご参加いただいて、これからいろいろご議論を賜りたいと思います。
ちょうど時間になりましたので、今日はこれでよろしゅうございますか。あと、考えております予定についてご説明して、散会したいと思います。
今、社会保障が重要であるというご指摘が多々ございましたように、今、官邸で「社会保障の在り方に関する懇談会」というのをやっておりまして、社会保障全体の改革をにらんでの議論が進みつつあります。そういうことを受けて、国会開催中で事務局は大変お忙しいということもありますので、勉強会という形にして、2月、3月、社会保障の財源問題あたりを少し勉強してみたいなと。今おっしゃっていただいた問題意識もそこに秘めて議論したいと思います。個別の税につきましては、いろいろご指摘いただきましたような、例えば税源移譲を含めて環境税等、4月から本格的にこれを動かしていきたいと考えております。それまで2月、3月は、今日のような合同部会の形で、総会と基礎問題小委員会と一緒にしてメンバーの方にご出席いただきたいと考えおります。
今のところ決まっているスケジュールは、ちょっと先ですが、2月25日・金曜日、2時から4時まで、社会保障あるいは財政を含めた意味での大きな問題を議論したいと思っています。3月中は2回くらいやりたいと思っていますが、2月25日、次回、そういう形でやりますので、テイクノートしておいていただければと思います。
よろしゅうございますか。
では、ご質問がなければこれで終わりにしたいと思います。どうも長時間、ありがとうございました。
〔閉会〕
(注)
本議事録は毎回の審議後、速やかな公表に努め、限られた時間内にとりまとめるため速記録から、財務省主税局及び総務省自治税務局の文責において作成した資料です。
内容には正確を期していますが、税制調査会議事規則に基づき、事後の修正の可能性があることをご承知置きください。