第22回総会 議事録
平成16年11月24日開催
〇委員
お忙しいところ、どうもありがとうございました。総会、明日ももう一回ございますが、実質的な審議は今日が最後でございますので、いろいろご意見を賜りたいと思います。
例によって番号つきの「答申素案」と、それから「答申に盛り込まれていない主な意見」と2セットございますので、これを中心に今から議論いたしますが、ここに書いてありますように、返却をお願いしますというのをあらかじめ、忘れないうちに申し上げておきます。
まず「答申素案」のほうは、今から直った分のご説明を両課長からいただきますが、これは起草会合でかなり時間をかけて議論いたしまして、これでいこうといった点、まとめたものを今から皆さんの議論を踏まえまして最終的な決定に導きたいと。それから主な意見、多分、今日は時間が少し残ると思いますので、これを、初めてになりますが、読み上げてもらおうかと思っています。起草会合で出た意見もかなり突っ込みましたので、この間起草会合で読んだことプラス、何かしらまたあると思いますので、また起草会合の委員の方もお聞きいただけたらと思います。
それでは、早速、素案のほうの修文の箇所を財務省の総務課長と総務省の企画課長のほうからご説明いただけますか。
〇事務局
それでは、「答申素案」のまず2ページをお開きいただきたいと思いますが、2.の「経済及び財政の現状」というところで、左側の、行数にしますと14行目でございますが、「民間経済の体質強化が実現されつつある。」となっております。前回は「されてきた。」とございましたのを、「されつつある。」と改めてございます。
それから22行目でありますが、「わが国財政は、バブル崩壊以降の大規模な景気対策の実施もあり、」となっております。「ここ数年間の大規模な景気対策の実施」という表現を、「バブル崩壊以降」と改めてございます。
それから3ページにお進みいただきまして、3.の(1)「歳出・歳入両面からの財政構造改革」の13行目からでございますが、歳出サイドの表現をもう少し充実させるべきであるというご指摘がございまして、読んでみますが、「このため、政府は徹底した行財政改革を行う責任がある。民間にできることは民間にとの考え方の下、事務・事業の民営化などや規制改革を推進しつつ、各種の制度・施策を抜本的に見直し、行政コストの無駄を排除するなど、聖域なき歳出の削減を進めるべきである。」この3行程度を加えてございます。
それから、その下の25行目でございますが、「着実に財政健全化を進めていく必要がある。」ということで、「必要があろう。」という表現になっておりましたものをこのように改めてございます。
〇事務局
三位一体のところですが、30行目の最後、「また」から始まる次のページ以下の文章ですが、「地方の自主性、自律性」に加えて、「自己責任」、あるいはそれに加えて「自己決定等」を加えたらどうかというご議論がありましたので、4ページ、1行目ですが、「地方が自らの責任と判断で行政サービスを実施できるようにするためには、」という字句を挿入いたしております。
〇事務局
続きまして4ページの(3)の18行目でありますが、「その際、国民の多様なニーズに対応した質の高いサービスを」という表現があります。多様なニーズということにすべきだというご意見がありまして、「多様な」という形容詞を入れてございます。
それから5ページに進んでいただきまして、5ページの真ん中あたりに、前回は、「かかる状況の下」という表現がありましたが、「かかる状況の下」というのが多用されておるということで、答申全体を通じて、「かかる状況の下」という表現を2カ所ほど削除してございます。
それから、このページの一番下でございますが、28行目あたりから、「経済社会の構造変化を踏まえつつ、資産課税、法人課税、国際課税のあり方、さらには地球温暖化をはじめとする環境問題への税制面からの対応などについても、早急に検討を行う必要がある。」前回は、「早急に検討を行う必要」が環境問題への税制面からの対応だけにかかっているような感じがございまして、ここの文章全体の課題をすべて早急に検討を行う必要があるというふうに修文をさせていただいております。
それから6ページにお進みいただきまして、(1)「税源移譲」のところの23行目でございますが、22行目の後ろのほうから、「所得税法及び地方税法の改正による恒久措置によって行うことが適当である。」前回は、「本則改正による」という表現でございましたが、本則改正という言い方は一般にはわかりにくいというご指摘がありまして、「本則」という表現を削除してございます。
それから、少し飛んでいただいて8ページでございます。「消費税」のところでありますけれども、ここは文章のつながりについてのご指摘がありまして、前回と比較いたしますと、最初のパラグラフと2つ目のパラグラフが前回と比べてひっくり返ってございまして、3つ目のパラグラフ、「将来、」から始まるところでありますが、ここにつきましても、将来は「軽減税率の採用の是非が検討課題となる。」というのがまず先に来まして、「しかしながら、」として、「極力単一税率が望ましい。」と、ここも文章がひっくり返っております。
それから20行目でありますが、低所得者に対する配慮について、民間の非営利活動でもやっているというご指摘がございまして、20行目の後ろのほうでありますが、「近年の民間非営利活動の広がりをも踏まえつつ、」というフレーズを加えてございます。
それから23行目、後ろのほうでありますが、「高い税率水準の下で」という表現になっておりますが、前回、「高い標準税率の下で」という表現になっておりました。地方税との関係で、やや表現に混乱があるのではないかというご指摘もございまして、「高い税率水準の下で」と改めさせていただきました。
それから9ページでありますが、9ページの2行目でございます。「近年、経済のストック化が進む中、人口構成の高齢化を背景として、資産保有において高齢者層の占める比重が高まっている。」幾つか意見がございまして、文章の整理をしてございます。
それから10ページでございます。10ページの5行目でございますが、公益法人制度改革の対象は、公益法人だけではなく、中間法人もあるというご指摘がございまして、「及び中間法人」という言葉を挿入してございます。
それから5.の「国際課税」で、23行目あたりでありますが、国際的な投資交流等に寄与する制度改革は、租税条約以外にも、国内法の改正もあるのではないかというご指摘がございまして、「国際課税に関する国内法制度についても、国際的な経済活動の複雑化・多様化への対応が求められている。すなわち、国際的な投資交流や技術移転の促進の観点も踏まえると同時に、」という表現に改めてございます。
それから11ページですが、「酒税」のところで、5行目になりますけれども、「性状等が類似するもの」という表現がやや主観的ではないかというご指摘がございまして、「同種・同等のものでありながら」と表現を改めてございます。
それから9行目、「早急かつ包括的に見直すべきである。」包括的な見直しについても言及すべきだというご指摘がありまして、このように改めてございます。
それから7.の「地球温暖化問題への対応」で、13行目でございますけれども、京都議定書の発効が確定いたしましたので、「来年2月に発効する。」という断定形にさせていただきました。
それから排出量は、民生・運輸部門を中心に増えているのではないかというご指摘がありまして、14行目にその趣旨を入れさせていただいております。
それから、この環境税の一番最後、11ページ目の30行目でありますが、「環境税に関する多くの論点をできる限り早急に検討せねばならない。」前回は「迅速に」となっておりましたものをこのように改めてございます。
以上でございます。
〇委員
ありがとうございました。
それでは、今のご説明、修文した箇所を中心にいたしましてご議論いただきたいと思いますが、どこからでもいいというのでは混乱する可能性もありますから、とりあえずまず最初に総論の部分、5ページまでの範囲でと思います。
そこで、この間ご意見があって、起草会合に持ち帰って議論を重ねて、また再度提出するという箇所がございました。これは4ページ目の9行目から10行目の三位一体のところで、「税源保障機能の縮小を含め」という箇所のあたりの議論でございまして、随分この間地方の側の委員の方からご意見が出たところであります。それを持ち帰りまして起草会合でいろいろ議論しまして、3つほど選択肢があったのですね。
1つは、この「財源保障機能の縮小を含め」のところをばっさり落としてしまうかというのが1つ。2つ目は、財源保障機能とあわせて問題になっております財政調整機能を強化する見返りで、これが縮小というニュアンスがあったので、何かそれを入れた形で修文できないかということも議論いたしました。これが2つ目。それから3つ目は、いろいろ議論したけれども原案でいいではないかと。過去にもこういうトーンで書いておりまして、これでいこうという形で議論いたしましたが、多くの方がここの3つ目でいいということ、それから、賛成はしないけれども、総会に出すことについては反対しないという建設的なサポートの意見もあったりしまして、結局これは原文のまま、修文なし。したがって、今の企画課長のご説明には触れてなかったと思いますが、この辺が少し争点になったということをもう一回思い出していただけたらと思います。
それでは、5ページあたりまでのところで、具体的に何行目の何がどうだという文章の点で、あるいは内容の点でご指示があれば議論いたしたいと思います。
どうぞ。
〇委員
今のところでございます。あとあえて、この前も言わせていただきましたので、お話はこれで会長にお任せしますけれども、地方交付税については、いわゆる税目の税という、地方交付税交付金でございますので、地方制度調査会等々、全体の問題で最終的に議論すべき問題ですので、そこの点については十分委員の皆様にはご理解をいただきたいということで、地方固有の財源という制度的な保障もございますので、それについては十分ご配慮いただきたいということで、これはよしといたします。
〇委員
その辺のご意見は、例の盛り込まれてない主な意見のほうで幾つかというか、かなり克明にご意見があったことを紹介しておりますので、そちらでフォローしていただけたらと思ってますが、どうもありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。
それでは、あまり狭い範囲ですとご意見出にくいかもしれませんから、後ろのほうの個別の税目、6ページ以降、法人税の前ぐらいまでで、あるいはもうおしまいのほうまで触れていただいても結構ですが、何かご議論があれば。
どうぞ。
〇委員
6ページの25行目ですけれども、「個人住民税については、応益性や偏在度の縮小が求められることを踏まえ、」ということですが、これはちょっと読みようによっては、応益性も何か縮小されてしまうように読めてしまうので、応益性のほうはむしろ徹底するとかそういうことでしょうから、逆にしたほうがいいのではないですかね。例えば「偏在度の縮小や応益性の明確化」とか。
〇委員
おっしゃるとおり、「や」でつなぐと縮小までいってしまう可能性ありますね。「応益性の明確化」ですか。あるいはこのままでもいいかもしれませんね。ちょっと修文は具体的に、明確……。
〇委員
これを応益性の後ろに入れてそのままで。それでも結構ですね。
〇委員
わかりました。ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。
今の段階になりますとちょっと気づくところもそう多くないかもしれませんが、これで一応最後の検討の場になりますので。
〇委員
例えばこれはフラット化ということですが、その後の「所得割の税率のフラット化」ですが、フラット化というのはある意味で非常に幅のある、例えば十何段階あったのを5段階ぐらいにするのもフラット化だし、そのように読む人もいるかもしれないし、ある意味では、今もうすでに、ほぼ定率というのは完全なフラット化というような。この辺のところはこのような書き方でよろしいかどうか。
〇委員
「完全な」なんて入れますか。
〇委員
いや、入れるのかどうか、それはあれですが。
〇委員
別な言葉がいいという意味ですか。あるいは「フラット化」という言葉自体が何かひとり歩きする……
〇委員
ええ。ちょっと……。
〇委員
何か具体的にご提案ございませんか。
〇委員
定率なんてしてしまうと、比例税率で、ちょっとあれですけど。
〇委員
比例になってしまうからね。
〇委員
「フラットにする」ではだめですか。
〇委員
「所得割の税率をフラットにする」、フラットにする、フラット化と同じようなものでしょう(笑)。要は、5、10、13を10にしたいという配慮で。ただ、あえて、委員の言うのは、「完全なフラット化」と「完全な」でも入れれば一本という意味ですよね。「完全な」でも入れますか。どんなものですか。
〇委員
そこまで本当に踏み込んで書いてほしいなと。
〇委員
いいのではないですか、別に。こっちの姿勢を示すので、け飛ばされたらけ飛ばされたの話だから。どんなものですかね。つまり、「所得割の税率の完全なフラット化を行う」と。これは地方の関係の方、何かご意見ある? どうですか、ご意見ありますか。「フラット化」でよろしいですか。
〇委員
どう読めばいいのでしょうかね。「フラット化」、確かに、先ほど言った、これでイメージするのは、所得にかかわらず一定税率ということなのでしょうけどね。
〇委員
ただ、「フラット化」という言葉はもうかなり浸透した言葉だと思いますし、イメージすることは大体わかると思いますから、これでよければこれでもいいし、まあ、これまでの議論を積み重ねればわかることはわかりますよね。
〇委員
私どもの地方の議論では、こういう言い方でほぼわかるのかなという感じがしますけど。
〇委員
じゃわかってもらいましょう。
それでは、ほかの税目についてはご関心のいらっしゃる方もおありと思いますので、最後までという形で。
そこでちょっと私のほうから1つ解説というか、起草会合の状況をご説明しておきますと、11ページの最後の30行目、「できる限り迅速に」を「早急に」に変えましたが、これもまた、この間の総会では起草会合に持ち帰って議論させていただくという形で持ち帰りました。そこで、これまた上の文章との関係とかいろんなところの関連とも連携して議論しましたが、と同時に、またこれから起こるであろうさまざまな予想が完全ではありませんが、工程表に従ってどうだこうだも随分議論しましたが、結局、「迅速」では強過ぎるので、「早急に」と。いずれにいたしましても、3月にこの地球温暖化対策推進大綱の見直しが行われれば、そこで税が入った形になるのかまだわかりませんけれども、そこで仮に税が入らなくても、秋になるとしても、これまでの議論を踏まえて我々としてさまざまな形で議論する必要があるだろうと。そこで「早急に」という形で、その意気込みを示すという形で処理いたしました。
これがこの間お約束したところの議論の結果でございます。
じゃどうぞ、ほかの箇所でも結構です。いかがでしょうか。
ちょっとしばらく時間とりましょうか。ご関心の箇所をもう一回お読みいただくという時間があってもいいと思いますから。
それでは、今日は主な意見のほうを読むとお約束してますので、これを読んで、再度こっちからこの素案のほうにもう一回議論を移すというやり方もあろうかと思いますので、あまりここで黙読の時間を置くよりは、この主な意見、読み上げると35分ぐらいかかるそうでありますので……どうぞ。
〇委員
6ページの二の「個別税目の課税」の個人所得税のところですけれども、パラグラフの2で、「あるべき税制」の構築に向けてはという、例の少子・高齢化社会における子育てですけれども、非常にここは珍しくというか、前向きに書いてあるところで、それを踏まえ、「人的控除のあり方を見直す場合には、社会保障制度との関連」なのですかね。これは財政制度等審議会のところでもいろいろ議論になって、人的控除のあり方を見直す場合には、むしろ子育ての環境とかですよね。育児何とか法がとれるとか。
だから、このわけのわからないというか、非常に重い社会保障制度と、要するに人的控除と対応するのが社会保障制度のでかいやつなのかということでなくて、やはり人的控除のあり方を見直す場合には子育て環境の整備ですよね。休暇がとれるとか、そのようなのが対応だと思いますけどね。これだとむしろ、せっかく人的控除を見直す必要がありますよねと言いながら、これだけ読むと、実は制度自身の重いところと対応してしまうので、もっと前向きな感じが出てもいいかなと。個人的な……。
〇委員
そういうご提案、よくわかります。具体的には「子育て」なんていう言葉を使って、もうちょっとブレークダウンしたような形のほうがいいということですね。
〇委員
そういう意見も前に出たので。
〇委員
わかりました。ちょっとこれは後で議論しましょう。そのほうがいいかもしらん。
どうぞ。
〇委員
最初の一の「基本的考え方」のところは、たしか一度、構成を入れかえましたね。順番というか。
〇委員
入れかえました。
〇委員
そのためにかと思うのですが、2ページの8行目になりますけれども、「こうした改革の流れを踏まえ、引き続き、『あるべき税制』の具体化に向けた取組みを進めていかねばならない。」というのが出てくるのですが、実はこれは、これまでの税制改革の歴史をちょっと盛り込んでいた4.というところが前にあって、そこで16年度税制改革に関する答申の位置づけで「あるべき税制」に向けてのという話が出てきて、それを受けて、「あるべき税制」というのは多分ここへ出てきたと思うのですね。ところが、順番が入れかわって、その後の5ページの4.の一番上の部分に「あるべき税制」というののやや解説的な部分が入っているのですが……。
〇委員
ここは入れかわってないと思いますよ。あるとすれば、前からおかしいということでしょう。ここでやったことは、近年の税制改革というやつを前に突っ込んでしまったのですよね。
〇委員
そうですね。
〇委員
で、今おっしゃる「あるべき税制」というのは、5ページに初めて出てきたのではなくて、もっと前からたしか出ているのじゃないかな。それで、委員の意見は、「あるべき税制」という言葉の説明がないのに出てきて、後から詳しく出てくると。おかしいということですか。
〇委員
「『あるべき税制』の具体化に向けた取組みを進めていかねばならない。」というのが、具体的に何を意味しているのかがここではあまりはっきりしないというか、それで……。ただ、1ページの上のほうで、一応総理大臣からこういう諮問があったということを触れている、これを受けて読むのであればそれでいいと思うのですが。
〇委員
いや、そのような指示で書いて、別に順序を逆にしたわけではありませんから、前から文章が悪いといえば、この辺が悪いのでしょう、きっと。それから「あるべき税制」はたしか2ページ目の8行目に初めて出てきているのですね。僕は「あるべき税制」に何か解説が必要かと思ったのですが、これまた、注をつけたり、例の2年前の答申のタイトル書いたりするとうっとうしくなるので、括弧つきでいいだろうという形にしました。
〇委員
そうですか。わかりました。
〇委員
どうぞ。
〇委員
先ほどの委員のお話のところですが、6ページの、「人的控除のあり方を見直す場合には」の前に、「子育ての重要性を踏まえ」とあるのですね。「子育ての重要性を踏まえ、人的控除のあり方を見直す場合には、子育ての環境」云々というのはちょっとダブるような気がして。
〇委員
「子育ての重要性を踏まえ、人的控除のあり方を見直す」で、これは切れるのですね。その際、今言った子育て環境云々と、そういう話ですね。おっしゃるとおり、文章のつながり、悪いですね。ただ、先ほどの委員の言われた社会保障制度という大きな話よりは、子育てといったようなものが具体的にイメージがわいてくるのがいいと。これはよろしいですね。――では、この辺はそういう形でちょっと通りのいい文章にしましょう。
地方の関係の委員の方、ちょっとお見えがおくれてますが、今全体を議論してまして、それで、この間2カ所、起草会合で議論して、もう一回再提出するよという形で宿題をいただいたことを解説いたしまして、彼のご意見があった例の、4ページ目の9行目、10行目の「財源保障機能の縮小を含め」のところ、いろいろ議論いたしましたけれども、直さないで、このまま持ってきておりまして、またご意見を伺いたいと。ただ、もう一人の関係委員はこれでいいよと。ただ、いろんな理由づけもあると思いますから、もう一回、何かあればお伺いします。あと、主な意見のほうを読み上げようと思ってますので。
〇委員
ちょっと質問を1つよろしいですか。
〇委員
どうぞ。
〇委員
最後の12ページの「その他」のところの7行目ですけれども、特別法人税については、私が出た限りでは、総会ではほとんど議論になってなかったのですけれども、なかなか説明しにくい税金でもあり、基礎小ではどんな議論で、今の金利水準をどういうふうにとらえていらっしゃるのか。
〇委員
これはどちらかと申しますと外というか、経済界の方から問題提起があって、かつ、記者会見や何かでもかなり、この問題、どうしているのですかという議論がありました。それで、3月で、今ストップさせている特別法人税の期限が切れますから、ほうっておくとそのまま復活してしまうのですね。それで、決定的にこの場で凍結を解くとか、あるいは続けるとか議論しませんでしたが、ここに書いてあるように、特別法人税そのものの議論というよりは、出口、入口、真ん中のあたりの議論を含めて、それに、特にこれは3階建ての話ですよね。企業年金の話ですから。だから、そういう意味で、3階建て、税で少しいろんな形で支援するのも意見としてあろうかという形で、これはまさに暗黙のうちに凍結のまま延長して、いずれ正式な段階で、全体の中で議論しましょうと。だから、すぐ復活するというニュアンスでは多分ここではとれてないと思いますが、これはそういう趣旨ですね。それでよろしいですね。
〇委員
結構です。
〇委員
どうぞ。
〇委員
4ページの「財源保障機能の縮小を含め」という表現ですけれども、もう一度繰り返すようですけれども、これは文体の中で素直に読みましても、ここだけが方向性が出ているのですよね。例えば補助金改革というのは何かというと、裸で使ってある。税源移譲の実現というのも裸で使ってある。ここだけが交付税の方向性を示している。というので、バランスを失しているのではないでしょうかというのが1つありますのと、それからもう一つ、地方交付税というのはどういうものなのかということについての基本的な理解を、今大演説はしませんが、我々からすると、地方交付税というのは税源の偏在を前提に、地方が共通財源として、地方の共通財源として持っている財源だと思っているのですが、ただ、今のように、国税も赤字国債に依存しているのと同様に、地方におきましても、税だけでは足りないという実態がありますので、それで事実上のこういう交付税そのものの議論が非常にシビアになってきている。このように考えるべきだと思うのですが、そのときに、財源保障機能のほうだけを縮小と言われるのだとすると、「税源移譲の実現を図るとともに」続くのだとすると、「財源調整機能を強化するとともに」とか、「財源調整機能の強化」「財源保障機能の縮小」というような対がなければおかしいのではないかと思いますね。逆に。
〇委員
ここは先ほどご説明したけれども、我々、3案議論したのですね。1つはこのまま残すと。それからもう一つはとってしまうと。ここの箇所だけ、10文字ぐらい。それからもう一つは、財政調整機能の強化を図りつつこちらの縮小を含め。要するに財政調整機能というのは高まるだろうと。補助金も削れたり、税源移譲やって、弱小の自治体には金が流れないかもしれない。そういう意味では財政調整機能が高まる、その見返りで財源保障機能は縮小するだろうという話が基礎小で議論になりました。
それで、くっつけようという議論もあったのですが、そうなるとまた、今、のおっしゃったように、ここだけまたやたらとゴトゴトするのかねという話があって、結局この文句は、従来、税調の文句もずっと書いていたこともあって、じゃいろいろのみ込んだ上でこうしましょうという話で起草会合では意見が一致したのです。
それで、いろんなご意見、いただいたご意見はこれから読み上げますが、盛り込まれていない主な意見のほうで、こういう意見があったよと紹介してありますので、そこで、今おっしゃった地方交付税の理解であるとか、その点は読み込んでいただこうという形でとりあえずこれでおさめて、これでお出ししたという段階であります。ただ、今、委員から当然そういう反論がまた出るであろうというのは、言葉悪いけれども、織り込み済みでありますが、さらにまたご意見があればと思ってますが。
〇委員
前回、ある委員からご指摘いただいた「責任」のところは非常に上手に書かれてありますので、まさしくこのとおりだと私も思っております。じゃ今のところは、会長のおっしゃられるように、いろんなことをのみ込んで、それが含めに入っているのだという理解で、私もそれでは了解することにいたします。
〇委員
ありがとうございます。ほかによろしゅうございますか。
じゃまた戻っていただいてもいいので、とりあえず一回、主な意見のほうを、時間がなくなるといけませんから、読み上げてもらって、再度認識を共有して新たにしてください。
では、すみません。お願いします。
(「答申に盛り込まれていない主な意見」朗読)
〇事務局
答申に盛り込まれていない主な意見
今回の答申の審議過程において、以下のような主な意見が出た。
基本的考え方
(経済及び財政の現状)
イ 1990年代以降の国債の高水準での発行にもかかわらず、長期金利が低下を続けてきたのは、金融の量的緩和による資金供給の増加を、国債が吸収する形となっていたことによるもの。国債の大量発行の背景には、バブル崩壊による資産価格の下落によって企業に債務が過剰に発生し、それが不良債権として、最終的に政府部門に付け替えられていくという調整プロセスがあったと考えられる。
ロ 今後、金融の量的緩和政策の出口も問題になってくる中で、これまでのような大量の資金供給や低金利がいつまでも続くことは、期待できない。
ハ 不良資産の処理が最終段階に入り、民間経済活動にも回復が見えてきている。民間部門の債務を肩代わりする形で、いわば「身代わり地蔵」として累増してきた国債の償還については、生産性の改善等により民間部門の収益力をあげ処理原資を確保することとあわせて、国民の負担により対応していくことも必要。
二 高齢化に伴う家計貯蓄率の低下や金利上昇という展望を踏まえると、国債管理が課題。徹底した歳出削減や増税、海外からの投資を呼び込むことも考える必要。
ホ 巨額の国債残高は、金利の上昇により歳出増につながる恐れがある。国債残高の水準については、絶対額を減らすのはなかなか難しいので、GDP比でどの程度の水準を目指すのかということになるのではないか。
へ 郵政事業の改革が議論されているが、この改革は財政改革と密接に関連している。市場に混乱を招かずに郵政改革を進めていくためにも、財政規律に対する信認を確保することが一段と必要になってくる。
(歳出・歳入両面からの財政構造改革)
イ 増税を行うことは、景気が安定的な回復局面に入ったという認識を政府としてマーケットに示すことになるため、財政・金融両面の政策に関係することに留意すべき。
ロ 歳入・歳出両面の取組みについては、税制改革、社会保障制度改革、三位一体改革等の政策全体を総合的に捉えて、複数の選択肢を示しながら、景気への影響などについて議論していくことが必要。
ハ これまでの公共事業縮減と同様に、今後増税を行っても、景気を抑制する効果はそれほど大きくないのではないか。
二 現時点での増税は、巨額の財政赤字による将来の増税を見込んでいる家計にとっては、将来の増税要因の減少に過ぎず、消費の減少には必ずしもつながらない。90年代に比して、現在の経済状況は回復してきており、景気への影響を考慮するあまり、必要な税制上の対応を怠るのは不適当。
ホ 景気の先行きに対する懸念のために必要な増税の議論を進めないことは適当ではなく、議論は進めておき、実施する際に景気に対する影響を改めて判断することが重要。
ヘ 財政健全化が持続的な経済成長につながるということには、必ずしもならないのではないか。
ト 財政健全化を進める際には、税負担水準の引上げを検討する前に、不要な公共投資など無駄な歳出の見直しを行うべき。
(地方交付税)
イ 地方の行う仕事に対する国の義務付けが残る以上、財源不足は国が補填すべきであって、地方交付税の財源保障機能は必要。
ロ 地方交付税の財源保障機能については、縮小だけでなく廃止も含めるべきではないか。
ハ 財源保障機能の縮小だけをめぐり地方交付税の改革を行おうとしているのではない。財源保障機能の縮小に言及する必要はない。
ニ 地方交付税について実質的な審議をしていないにもかかわらず、財源保障機能の縮小に言及するべきではない。
ホ 地方交付税の財源保障機能の縮小に触れるのであれば、国の関与の廃止・縮減や税源移譲に伴い、結果的に機能が縮小するという点に留意しなければ、財源保障機能について誤解が生じるのではないか。
ヘ 補助金改革、税源移譲をすれば、国の関与が縮小し、また地方間の財源格差が拡大することから、財源保障機能が縮小し、財政調整機能が大きくなる。
ト 地方交付税の本来の役割は財政調整機能であり、不足する部分は自己責任により住民が負担すべき。
チ 今後、財政再建を進めていく中で、地方交付税の削減は不可欠ではないか。
リ 本来、地方交付税法第6条の3第2項に基づき地方交付税率を上げるべきところ、国の税収不足で実現できない状況にあり、所要の地方交付税額は確保すべき。
(社会保障と財政)
イ 国庫負担は「負担」ではなく保険料負担を下げる「収入」だという考え方が根底にあり、国庫負担割合の増加とともに負担感がなくなり、過大な給付がなされるようになっている。この結果、社会保障財政は悪化しており、人々が真に求めている保障の提供も困難になっている。
ロ 「国が負担する」という感覚的な表現が用いられることが多いが、国は負担の再配分をしているだけであり、最終的には、国民が負担することになるという点を認識すべき。
ハ 国がなすべきことは、保険料を払えない人に対して、代理で負担するということだが、「社会保険」の枠外で手当てすべきであって、最初から給付の一定額を国が負担するということではない。
二 経済の低成長、少子化という構造変化により、現在の社会保障制度の前提が崩れてきている。持続可能性の観点から、国が最低限保障する部分以外は全て自己負担にするべき。
ホ 国庫負担は税で賄われるという意味で負担に変わりはないが、社会保険料のみを負担ととらえることが、安易に国庫負担を増やせという議論につながっている。
ヘ 国庫負担のみならず、地方負担も含めた公費負担ベースで議論すべきではないか。
(税・社会保障負担のあり方)
イ 今後、公的部門とそれを支える負担のあり方について議論をする際には、政府に対する国民の信頼と社会連帯の意識が重要。
ロ 今後の社会保障や税制のあり方を考える上では、受益と負担の対応関係を明確にする必要。受益が目に見える形であれば、対応する負担についても、国民は納得するのではないか。
ハ 社会保障制度の見直しを進める際には、誰がどの程度の負担をすることになるのか示しながら、国民が広く負担する必要性を訴えていくべき。
二 税・社会保障負担のあり方を見直す際には、社会保障負担よりも税負担をより重視すべきではないか。
ホ 土光臨調以来22年間が経過したが、依然として国民負担率は35%程度にとどまっている。これまでの税制改革に際しては、所得税等の減税によりネット増税は行われておらず、また、近年、財政規律に目をつむって大幅な減税を行ってきた。今後は、財政規律の回復という観点も踏まえ、税負担水準の引上げに取り組むべき。
個人所得課税
(総論)
イ 同じ所得でも資産所得の方が勤労所得より担税力がある。応能的な税制にするには、所得税だけでなくそれを補完する税も含めて考えるべき。
ロ 負の所得税について、社会保障との関係も併せて検討する必要。
ハ 所得税も個人住民税も互いに余裕がない中で、所得税から個人住民税へ税源移譲することは、生産的でない。財政再建を目的とするならば、それぞれで増収策を講ずるべき。
(課税ベース)
イ 生活保護は、資産状況を調べて給付を決めるが、そうでない他の現金給付については、一旦課税ベースに入れて控除で対応するのが望ましい。
(給与所得控除、退職所得控除)
イ 給与所得者と事業所得者との間の所得捕捉の格差の問題を抜きにして、所得控除の見直しはできないのではないか。
ロ 給与所得控除の見直しに際しては、自営業者の家事関連費が適正に必要経費から除かれていることの検証が必要。
ハ 給与所得控除で現実に利益を得ているのは法人成りしている自営業者である。その観点からも給与所得控除は見直す必要。
二 給与所得控除の見直しにあたっては、申告により必要経費を実額で控除する制度を整備するべき。
ホ 退職金は後払いの賃金であり、老後の生活はこれを前提に設計されているので、退職金課税の見直しにあたってはそうした点を考慮すべき。
ヘ 給与収入800万円以上の者は、納税者の割合では12%程度にすぎないが、税収のシェアでは50%以上となっている。これは課税ベースが浸食されて中低所得者が負担をしていないことを意味しており、ここを議論する必要。
(人的控除)
イ 個人所得課税は個人単位課税であるにも関わらず控除が多い。基礎控除は引き上げて、それ以外の控除は歳出に振り替えるべき。
ロ 所得税は基幹税であるとともに、税の中で最も所得再分配機能に優れている税であるが、今の財政状況を考えると、必要なところにミニマムに、かつ集中的にその機能を発揮させる必要。そのためには、税率を比例税率とし、人的控除を税額控除とすることも考えられる。
ハ 課税ベースを広げて、税額控除を導入するというのも一つのあり方。
二 高齢者優遇から子供の扶養優遇への思い切った転換を図ってはどうか。控除の見直しにより生じた財源を子供の扶養に振り向けるのであれば、国民の理解も得られるのではないか。
ホ 子供が小さい親は所得も少ないことが多く、税金もそれほど納めていないことから、少子化対策を税制で行うことには限界がある。
(税率構造)
イ 個人所得課税は軽減しすぎであり、もっと強化すべき。50%の最高税率では、所得再分配機能を発揮することはできない。
ロ 10%の税率のブラケットに8割がいるというのは問題であり、所得税の抜本的見直しの際に改善することが必要。
ハ 会社経営者等のやる気を喚起するためにも、税率構造のフラット化を更に進めるべき。
(定率減税)
イ 増税による短期的な景気への影響をあまり気にしすぎることは適当でなく、国家・国民にとって必要なことであれば定率減税の見直しは行うべき。
ロ 定率減税の見直しといっても、2兆円程度の負担増である。これは15年度決算における税収の対当初予算比1.5兆円増と同規模であり、景気に与える影響は限定的。
ハ もともと景気のいい企業に勤めている人は収入も多いため、定率減税を廃止してもそれほど影響はなく、景気の悪い企業に勤めている人は税負担も低いため、定率減税を廃止しても、それほど税負担が増えるわけではない。
二 景気が回復しているといっても、その効果はすべての者に及んでいる訳ではないので、定率減税の見直しは慎重に行うべき。
ホ 所得税の定率減税は縮減・廃止はすべきではない。
ヘ 大企業の景況は良くなっているが、中小企業は依然として芳しくないため、定率減税の見直しをする場合には、そのタイミングを見極めることが重要。
ト 累進構造の緩和により恩恵を受けていたのは高所得者層のみである。定率減税は中堅所得者層も恩恵を受けていたが、これが廃止されれば消費に悪影響を及ぼしかねず、景気の腰折れにつながるのではないか。
チ 給与所得者は年末調整があるので、定率減税が実施されているという実感がないが、定率減税が廃止されると増税されたとしか受け止めないことから、2年ではなく3~5年程度かけて縮減・廃止していくべき。
リ 現在のような財政赤字がある中では、基礎的財政収支の回復のために国民が果たすべき義務について説いていかなければならず、税金を払わないことを是とするような論調には疑問がある。
ヌ 定率減税を廃止した財源を基礎年金の国庫負担率の引上げに充てるということは、若い世代が納付した税金を高齢者層に分配するということになるため、相続時精算課税制度で高齢者から若年層への贈与を促進していることとの整合性が採れない。
(個人住民税)
イ 所得発生時点と税負担時点を近付けるため、個人住民税の現年課税化を検討すべきではないか。
ロ 個人住民税均等割を市町村税に一本化すべきではないか。
ハ 都道府県にも均等割は引き続き必要。
(金融所得課税)
イ 金融所得課税の一体化については、投資家及び実務家双方の視点に立って、その仕組みをなるべく簡素なものとすることが重要。
ロ 金融所得課税の一体化に向けての具体的なスケジュールを明示することが必要ではないか。
ハ 金融所得課税の一体化は、税調が今まで目指してきた全ての所得の総合課税化という方向に反するのではないか。
二 金融所得課税の一体化は、現在区々となっている課税を一本化しようとするものであり、総合課税に向かっての一歩と見ることもできるが、金融所得については、資本の海外逃避という問題もあり、総合課税を行うことは難しい。
ホ 金融所得まで含めた包括所得は、年によって大きく変動すること、また、支出税的な観点からは、そもそも利子などの金融収益に課税すると一生の間では二重課税になっていることから、金融所得は非課税にすべきと考えられることを踏まえると、総合課税が望ましいとは言えない。
ヘ いわゆる金融番号制度については、付番時の本人確認や住所等異動の把握を簡便・確実に実施することが可能な住民基本台帳ネットワークシステムとの連携を図るなど、効率的な制度設計を検討すべき。
ト いわゆる金融番号のために税務当局が新しい番号を付番することは無駄であり、住民基本台帳の住民票コードを利用すべき。
チ 金融番号に住民票コードを採用することを提案した場合には、金融所得課税の一体化自体が実現困難となりかねない。したがって、金融番号に住民票コードを採用すべきではない。
リ すべての所得を総合課税とするためにも納税者番号制度は必要であり、住民票コードを利用すべき。
消費税
(総論)
イ 消費税を社会保険料を抑制する代替財源として捉える考え方があるが、財政再建といった考え方の議論が行われていない面がある。
ロ 中期答申の「歳出全体の大胆な改革を踏まえつつ」というのは歳出面で伸びている社会保障の改革しかない。抽象的な歳出改革ではなく、社会保障の水準とリンクさせて議論する必要があるのではないか。
ハ 基礎的財政収支の改善のためには税率の引上げが必要だが、企業の活力や予算の使い方といった問題についても議論すべき。
二 軽減税率の議論は消費税率引上げを前提にした議論であるが、消費税率の引上げは相当大変なことであり、消費税率引上げに関する国民への説明はしっかり行う必要がある。
(税率水準)
イ 税率引上げのタイミングや引上げ幅については、きちんとした議論が必要だが、デフレ期待からの脱却や経済への影響を考慮すれば、一般論としては徐々に引き上げていくのが良いのではないか。
ロ 消費税を導入して16年が経過した現在でも、まだ5%という税率水準であることが不思議。
(税率構造)
イ 低所得者への影響を考慮すれば、食料品に対する軽減税率の採用を考えるべき。
ロ 税率引上げの際には国民の理解を得るために、米などの食料品だけには軽減税率を採用すべき。
ハ 食料品の軽減税率は逆進性緩和を目的としているにもかかわらず、高額所得者も恩恵を受けてしまうものであり、その採用は慎重に考えるべき。
二 軽減税率の採用には、例えば、食料品と言ってもその対象範囲が拡大して大混乱になり得るといった問題があり、過去の売上税法案の非課税品目の選定に対して批判があったことを念頭に置くべき。
ホ 複数税率の採用は、技術革新に対応できていないことへの批判があった物品税の時代に戻るようなもの。制度に特例を設ければ不公平感につながるため、税率構造は簡素が望ましい。
(低所得者層に対する配慮)
イ 低所得者層への配慮を行う際には、全体として効率的に、かつ、必要な人々に的確に行う必要がある。
ロ 軽減税率には、執行面のコストや経済活動への中立性を欠く等の問題がある一方、消費税率を相当引き上げて社会保障給付で逆進性の問題に対応する場合には、大きな政府や負担率の上昇といった問題があり、潜在的国民負担率を50%以内に抑える目標は外さないと難しいのではないか。
ハ 所得税を地方に移譲していく中で、個人所得課税の側からどの程度消費税の所得に対する逆進性を緩和できるかについては、今後の個人所得課税をめぐる検討状況を見極める必要がある。
二 高齢化社会や財政赤字を考えたとき、広く国民が負担を分かち合って安定的に支えていく必要がある。分配の不平等の要因は、高齢者間での分配の不平等と高齢者のウエイトの高まりにあり、消費税だけではなく個人所得課税や資産課税も含めた議論も重要になってくる。
ホ 消費税には累進性はないが比例税である。消費に着目した税負担は、ライフサイクルで見ると公平な負担を求めることができ、消費税について逆進性のみを強調すべきではない。
(仕入税額控除)
イ インボイス方式の採用は、免税事業者が課税事業者を選択するよう促す効果があり、それにより消費税の信頼性や透明性を高めることになるのではないか。
ロ 軽減税率が採用される際にはインボイス制度は必要となるが、事務負担の軽減についても併せて考えるべきではないか。
(税収の使途)
イ 消費税の目的税化に関しては、基幹税を目的税化することの財政政策上の是非が議論されてきているが、今後、消費税収のうちの地方交付税分の取扱いや特会に直入して給付と連動させるのか否かといった前提を明らかにして、議論を行う必要があるのではないか。
ロ 目的税化には問題があるが、仮に消費税を福祉目的税化するのであれば、一般会計からの補填はせずに、消費税収だけで福祉を賄うということも一つの方法ではないか。
ハ 消費税の使途に関しては、「社会保障の在り方に関する懇談会」等における年金、医療、介護などの議論と整合性を図っていくべきではないか。
資産課税
(相続税)
イ 相続税・贈与税は所得税の補完税であるため、負担水準の検討や諸外国との比較は所得税と合わせて行うべき。
ロ 年金課税において保険料拠出時と年金給付時の両段階での税負担軽減はおかしいとの議論があるほか、高額所得者への年金給付に制限を加えようとしている。その一方で、老後扶養の社会化に伴い相続の段階で負担を求めるべきとの議論があるが、これでは豊かな人には二重の負担となる。
ハ 少子高齢化が進む中、高齢者にもう少し負担してもらおうとの発想から言えば、結果的にストックとフローの両段階での二重の負担が生じざるを得ない。
ニ 何故富の再分配が必要なのか。特に中小企業の場合、融資の担保となり得る個人資産は大切だが、これは既に税を負担した上で蓄積されたもの。その意味で日本の相続税は累進度も最高税率50%もまだ高い。
ホ 相続税の課税ベース拡大に当たっては、事業承継用資産について配慮することが必要である。
ヘ 文化財散逸の原因を相続税等に求める議論が多いが、ヨーロッパと比較して日本の相続税が別に厳しいわけでもない。ただし、ソフト・パワーも重要になってくるので、NPOとの関係なども含め、税制にも文化的視点が重要。
(贈与税)
イ 相続時精算課税制度は死亡時までに価額が変動するリスクがあり、経済活動に歪みを与えることから、生前に贈与した財産は相続開始時の時価に評価替えを行うべき。
ロ 相続時精算課税制度は経済活動に歪みを与えるとの指摘については、まずは同制度の活用状況等を数年間は注視することが必要。
ハ 贈与税は、資産の把握体制や徴収体制が整備されていないと実効性のある税として機能しないことが懸念される。
(固定資産税)
イ 固定資産の評価や課税標準は全国的に均衡のとれたものにする必要があり、地方の努力は税率によってなされるべき。
ロ 税率による調整が原則だが、それ以外にも各地方団体の判断に委ねる部分があってもいいのではないか。
ハ 固定資産税については、負担水準の均衡化に随分時間がかかっており、負担調整のかけ方について見直しが必要ではないか。
二 固定資産税の税負担に関しては、所得の如何に関わらず支払わなければならない納税者の感覚にも配意しつつ、負担調整措置を講じていくことが必要。
ホ 固定資産税の土地の評価について、将来的には収益還元的な要素を重視していくべきではないか。
ヘ 固定資産税は市町村の基幹税であり、資産の評価については、制度の安定的な運営が重要。
法人課税
(法人税)
イ 法人所得課税に係る実効税率の国際比較に当たっては、グローバルな観点からの比較としては法人税(国税)のみに絞るのが適当。
ロ 企業部門が全体として資金余剰を抱え込むという異常な状況が生じており、こうした中で法人税率を引き下げても有効性に乏しい。
ハ 研究開発減税等については、かなりの効果が見られるとの声が多く聞かれる。事実、企業の税負担が相当軽減され、実質的な税率引下げのメリットが企業に及んでいる。
二 IT投資促進税制等は景気対策の一環として導入されたが、平成18年3月末の期限到来時には縮減の方向で対応すべき。
ホ 恒久的減税の廃止・縮減は、まず法人税から行うべき。
ヘ 設立間もないNPO法人の財政状況や認定の実態等を踏まえ、NPO法人を育てていく観点から、認定NPO法人の認定要件を見直し、活用しやすいものにする工夫が必要。
ト 公益法人制度改革については、平成15年6月の「閣議決定」のスケジュールに沿って、年内に制度の基本的枠組みが具体化されることとなっており、今後はその結果を受けて、税調において公益法人等課税のあり方について一から議論する必要。
チ 今後、税調において公益法人等課税のあり方について議論を行うに当たっては、従来のような「原則課税」か「原則非課税」かというような議論ではなく、むしろ、課税の公平・適正化や民間非営利活動の円滑化などの多角的な観点から、法人の実態等を踏まえたバランスのとれた議論を行っていくべきではないか。
(法人事業税)
イ 地方が企業誘致等のために法人事業税の不均一課税等を行う場合に、減額分を交付税で補填する仕組みは改善するべき。
国際課税
イ 国際的な投資促進のために国境を越えるM&Aを可能にする法制改革が行われているが、これを踏まえて課税繰延などの税制改正が必要。
酒税
イ 高級酒には高い負担、それ以外には相応の負担という考え方もあるのではないか。
ロ 景気が悪くなり、国民の収入が減っているのだから、低価格の酒が売れるのはやむを得ない。
ハ 発泡酒は主に家庭で飲まれていることに留意すべき。
二 発泡酒やビール風酒類は、酒に対する味覚を衰えさせるのではないか。
地球温暖化問題への対応
イ 環境税以外の政策により京都議定書の目標を達成できる可能性もあり、本格的に議論するのはまだ早い。
ロ 消費税や所得税の問題がある中、環境税も導入ということでは理解が得られない。
ハ 京都議定書の発効が見込まれる中、税制調査会としても、税を導入するとすれば、どういう税の構造がいいのか議論すべき。
二 環境税を導入する際には、直接税とするのか間接税とするのかといった基本的な仕組みを検討すべき。
ホ 環境税を導入する際には、汚染者負担の原則(PPP)に立って検討すべき。
ヘ 新税を創設するならば、公平、簡素、中立の原則を守るべき。
ト 環境税は化石燃料の使用を抑えようとする政策税制である。
チ 環境税を導入すれば、地球温暖化問題は切羽詰っているという意識を持ってもらえるのではないか。
リ 環境税は立派な税であるべきで、現在検討しているものは環境税の名に値せず、「京都議定書対策税」とすべき。
ヌ 民生・運輸部門には規制よりも税による価格コントロールが効果的である。
ル 原油高によりガソリンの価格が上がっても消費は減っておらず、環境税の価格インセンティブ効果は疑問。
ヲ 企業の省エネ努力を促進するような制度を検討すべき。
ワ 製品の原料に使用される化石燃料については課税対象から除外すべき。
カ 環境税は炭素ベースで検討すべき。併せて既存エネルギー諸税の課税ベースも見直すべき。
ヨ 環境税の税収は一般財源とすべき。
タ 人間は地球温暖化問題の被害者であり加害者であるから、皆が負担する消費税の税率を上げて、その一部を温暖化対策に充てるべき。
レ 将来の税のあり方を考える中で、「環境」という視点をどのように取り入れていくかが重要。
ソ 地球規模の温暖化対策を促進するため、輸出入品に対する国境税調整を検討すべき。
(環境省案)
イ 既存予算の温室効果ガス削減効果をもっと検証すべき。
ロ 税の構造が複雑であり、輸入段階や製造場移出段階での課税とすべき。
ハ 税率が低く、削減効果が期待できない。
二 電気やガスの一律課税は、炭素比例の環境税とはいえない。
ホ 恣意的な減免策が多いのは問題。
ヘ 税収の使途について一般財源なのか目的税なのか明確ではない。
ト 環境税の検討に当たっては、地方公共団体の担う役割の重要性を考慮し、その意見をよく聴くべき。
チ 電気及びガスに対する課税については、かつて「電気税」「ガス税」が市町村税として存在していた経緯を考えると、地方税とする考え方もあるのではないか。
その他
イ 我が国の企業年金制度は退職金制度から移行した経緯があるため、支給形態についても一時金が認められることや受給年齢の問題などがある。年金税制の見直しに当たっては、まずはこのような企業年金の実態を議論すべき。
ロ 長い目で見れば、組合を利用した租税回避行為の事例は、高い所得税の限界税率と損益通算の範囲に問題があることを示しており、この意味では二元的所得課税論の合理性を示しているのではないか。
〇委員
どうもありがとうございました。かなり長い文章で、大変だったと思います。
ここに書かれてますのは、素案、つまり、答申の本文に入ってない全く別の意見もありますし、それからサポートするというか、答申の中身と同じ方向で議論しているけれども、答申のほうの量の制約もあって入れられなかったというのもありますし、その中間的なこと、さまざまなものが入ってございますが、今こうやって読んだのを拝聴いたしますと、随分いろんな議論をしたなと。こういう幅広の議論の中から答申本文が出てきたというふうに他の人にはわかってもらえるのではないかという資料であります。当然これも一緒に総理のところに持っていく予定でありますし、マスコミにも公開されますので、この辺あわせて、税調の議論というのはよく理解してもらえると思います。
「答申に盛り込まれていない主な意見」のほうで、盛り込んでくれというようなご要望があればまた言っていただいても結構ですし、これはほかの人の意見にイチャモンつけてもしようがありませんので、これはこれでとってもらうとして(笑)、おれの、忘れているんじゃないかという人がいればどうぞ。今から、まだ遅くはございませんのでと思いますが、いかがでございましょうか。回を追うごとにだんだん増えてきたという経緯もございまして、これが今のところマキシマムな量ではないかとは思ってます。よろしゅうございますか。
〇委員
法人事業税の話ですけれども、ある委員が混合診療との関係で、従来から税調が言ってきたことであるけれども、今あまり言ってほしくないのだということを言っておられましたね。
〇委員
混合診療とこの社会保障診療と関係があるかという質問があったのですよ。
〇委員
ええ。そうしたらその委員が、今、混合診療のほうの議論をしているので、ごっちゃになってしまうから、課税の話で混合診療のほうまでいろいろ影響も及ぶと困るということをおっしゃったのですが、いや、そういうふうに私に向かっておっしゃったものですから、それは拾うのか拾わないのか、私は特にどちらでもいいのですけれども、ちょっとその委員のお立場もあるでしょうから……。
〇委員
それは言ってもらいたくないのか、言ってもらいたいのか、よくわからないですね。入れるとすると11ページの法人事業税のロですね。ただ、これは事務局のほうからのご説明で、関係ないよという話があって、ご本人、納得したのではないかと思いますけれども、どうですか。
〇委員
ちょっとご本人に一遍確認しておいたほうがよろしいかもしれませんね。
〇委員
わかりました。そういうご意見ありましたからね。
どうぞ。
〇委員
12ページのヘですけれども、これは私が申し上げたのではないかなと認識しているのでちょっと言っていいかと思いますけれども、この税調は、「あるべき税制」から公平・簡素・中立という錦の御旗を立てて、非常に、今回の答申も何か横綱相撲みたいな感じがしているのですが、ここでピグー税的な新税を創設するなら、他の税への影響も配慮すべきという趣旨で申し上げたつもりなのですけれども。
〇委員
わかりました。じゃ多分、委員がここでご発言あったことを受けたのでしょうから、ヘのところを……。
〇委員
むしろ新税を創設することに反対とか賛成ではなくて、ピグー税的な税を入れるときには、地方への影響とか、いろんなほかの税の影響を配慮すべきであるという趣旨で発言させていただいたつもりです。
〇委員
といったような趣旨のことを書き込みましょう。じゃ、ヘをちょっと修文しましょう。ほかにいかがでしょうか。
どうぞ。
〇委員
会長がさっきおっしゃっていたけれども、最初のころ、こういうのをつくったときは、全く本体の議論の流れに対して否定的な人の議論を大体すくって、あんたの議論ここに載っているよと、まあ不満足だけど書いてちょうだいよというふうにつくっていたわけね。ところが、今回のやつをよく読んでみると、我々、メインの流れについて根本的なところでいい思いさせているというのは1割か2割しかないのです。読んでみると。あとは、会長がおっしゃったみたいに、ストレートに言っているから、ちょっと言葉の配慮が足らないよということはあるけれども、基本的には、前のほうに、我々が答申のところに盛り込んだことと全く意見が一致する。流れとしてはね。ということになっているのですね。だから、この附属資料の性格が随分変わってきたと思いますね。
〇委員
はい。それで、どっちがよろしいですか。
〇委員
これでいいと思うのですよ。だから、少数意見を載せたというふうに断ってしまうと、冗談じゃないと。多数意見が随分載っているからと。
〇委員
ですから、ここは「主な意見」になっているのですよ。本当の主な意見は本文、次続くべく主な意見がここに入っていると。
〇委員
表現がストレート過ぎるようなのが随分あって、それも結局言葉を足しながらやっていけば本文みたいになるのですよね。ただ、しかし、そういう議論の積み重ねの上でこうでき上がってくるというプロセスがあるのでね。それは新聞記者もよくわかると思うけどね。
〇委員
だから、本文の流れの上のほうにいくのと下のほうに来るの、賛成、反対から言うと、それを全部拾っているという趣旨でお読み取りいただければ。つまり、これを読むと非常に議論全体が厚みが増すというか、カラフルになるのですよ。本文がここにたどり着いた議論、「京都議定書対策税」まで議論したのですからね。議論としてはそういう議論もあったし、いろんなことまでやりましたから、ここで紹介しておこうということです。
また次回、この種の文章を出すときには、もう一回、ご意見があれば性格をもとに戻すということも不可能ではございませんが、これで当面いってもと思ってますけれども、またご意見あったらお聞かせください。
本文のほうで何か、よろしゅうございますか。このままで。大分議論煮詰めましたのでと思いますが。数カ所、4~5カ所、修文の案が出てますので、これはこの後の起草会合で詰めたいと思ってますが。
それでは、本文について、その辺の修正は起草会合と、それから言い回し方、あるいは表現ぶりについては私にご一任いただいてよろしゅうございますか。
(「異議なし」の声あり)
ありがとうございます。それでは、それを踏まえまして、明日1時から総会で、再度、最終の文章を読み上げて、たしか3時50分からかな、首相官邸に行きまして、小泉総理に日程とってもらってますので、直接手渡してきて、そのとき若干時間があれば、この税調での議論も少しご説明していきたいと、このように考えております。
明日は財務大臣、総務大臣、お二人から、まあねぎらいの言葉があるのでしょうね、きっと。頑張ってやったからという趣旨で。そういう一種の終わりに当たってのセレモニーもありますので、ぜひ明日またお出かけください。というのは、両大臣来られていて、こっちがあまり人数多くなくては困るから。
そういうわけで、くどいようでございますが、まだこれは固まっておりませんので、会議終了後ご返却をお願いいたします。
ちょっとまだ時間が40分ほど早いのでありますが、十分に議論を尽くしたという形で総会はこれで終わりにしたいと思いますが、起草会合のメンバーの方、ちょっとお残りください。最後の修文をやって、最終的に持っていきたいと思っております。
じゃどうも、また明日よろしくお願いします。
〔閉会〕
(注)
本議事録は毎回の審議後、速やかな公表に努め、限られた時間内にとりまとめるため速記録から、財務省主税局及び総務省自治税務局の文責において作成した資料です。
内容には正確を期していますが、税制調査会議事規則に基づき、事後の修正の可能性があることをご承知置きください。