第21回総会 議事録
平成16年11月18日開催
〇委員
それでは、まだお戻りになっていない委員の方、あるいは遅れている委員の方ございますが、これから2時間盛りだくさんにいろいろあります。読み上げだけでも30分ぐらいかかると思いますから、さっそく始めさせていただきます。
今日お集まりいただきました趣旨は、答申素案というのをご議論いただきたいということであります。実は過去2回起草会合を開きまして、一応案文を作りまして、それを直しつつ今日の総会に出すようなものを作ってまいりましたので、今から読み上げてもらいまして、その中身をご検討いただきます。
これはご存じのように、まだまだ直しの部分も出てくるということで、会議は非公開でやっております。それから、議事録はいずれ事後的には発言者の名を伏せて公開することとしますが、と同時に、実は記者会見はあまり起草の段階ではやっていないのですが、今日は総会の空気を知らせるという意味で、そのあと議論を紹介したいとは思っています。
それから、なにぶんにも会議終了後返却というふうに書いてございますように、お返しいただくことなのですが、実はちょっとお詫びなのですが、一昨日ですか、毎日新聞をはじめとしてすでに抜かれております。いろいろなディフェンスはしたつもりで、今回は各ページごとに大きな番号が振ってありまして、僕は40番ですが、皆さん何番か知らないけど、こういう措置を施したにもかかわらず、何やらするするとどこかから抜けているんですよ。だから、どうしたらいいのかわからないのですけど。
〇委員
でも、何番がないかわかるんでしょう。
〇委員
番号でないものが抜けている可能性があるんです。だって、これはみんな回収しているのだもの。
〇委員
番号つきはあるわけですね。
〇委員
あるでしょう。
僕が税調に参加して以来この問題は絶えず起こるので、どうやって防止したらいいか全然わからないですね。誰かすごい凄まじいノウハウを持っている人がいるんでしょうな。というわけで、事務局も態勢を厳格にしてくれということでお願いしたいのですが、といってもなかなか難しいと。情報管理を徹底していただきたいということだけお願いしますが、何か事務局のほうでこれについて、言い訳はないのだろうけれども、何かご発言ございますか。総務課長からどうぞ。
〇事務局
情報管理には細心の注意を払っておったつもりではあるのですけれども、委員の皆様に大変ご不快、ご迷惑をおかけいたしまして、申しわけございません。答申をおまとめいただくまで、引き続き気はつけてまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
〇委員
バージョンは日によって変わりますから、別に前のバージョンを出してもそんなに価値があるとは思わないのですけど、ただ、記者諸君はそれについて血道をあげて抜こうという話で争っていますので、価値があるんですよ、この文章は極めて。そういう意味で、ぜひ同じ間違いを起こさないようにお願いいたしたいと思います。
それでは、これから朗読してもらいますが、起草の委員の先生のお力もかり、一応、素案を私なりに作ってみたものでありまして、国民に対するメッセージという視点で、あまりくどくど細かいことは書かないことにしまして、すんなりわかるような文章に心がけたつもりであります。全体12ページかな、例年どおりの厚さでございますので、それをベースにして議論いたしましょう。
それでは、まず最初に読んでいただきますが、もう一つ、「答申に盛り込まれていない主な意見」という冊子がございます。これは、そう言っては失礼なのですが、本文に採用されなかった少数意見が主として出ています。両論併記いたしませんから、どっちかが本文に載れば、反対の意見のほうはこっちに集約されるということで、これをずっとこのところ税調で踏襲してきた方法でありますので、今回もこの方法でやっていきたいと考えております。「主な意見」のほうは、もし時間があればこちらも読み上げたいと思いますが、なにぶんにも「答申素案」のほうが重要でございますから、この本文のほうを読み上げまして議論をしてもらいたい。時間の制約もありますので、前文のほうは別によろしいと思いますので、1ページ目の「基本的考え方」から事務局に読んでもらいたいと思います。
では、お願いします。
〇事務局
「答申素案」読み上げ
当調査会は、昨年10月、内閣総理大臣から「少子・高齢化やグローバル化等の大きな構造変化に直面しているわが国社会の現状及び将来を見据えつつ、社会共通の費用を広く公平に分かち合うとともに、持続的な経済社会の活性化を実現するため、あるべき税制の具体化に向けた審議を求める。」との諮問を受け、税制改革の具体化に取り組んできた。
この間、基礎問題小委員会において、税制を取り巻く経済社会の構造変化に関する審議を重ね、今後の税制改革に向けた基礎固めを行った。その成果を本年6月22日に「わが国経済社会の構造変化の『実像』について」としてとりまとめた。これと並行して、金融小委員会において、金融所得課税の一体化に関する検討を行い、6月15日に「金融所得課税の一体化についての基本的考え方」をとりまとめた。
さらに、8月29日から9月5日にかけて、欧州・北欧諸国における税制・社会保障等の改革の動向や付加価値税制度の現状について海外調査を実施した。
これらの成果を踏まえ、9月21日以降、個人所得課税、消費課税、資産課税、法人課税、国際課税、環境問題への対応等の広範な分野にわたり、中期的な課題も視野に入れつつ、審議を行った。
本答申は、向こう数年間にわたり取り組むべき税制改革を展望しつつ、平成17年度税制改正にあたっての指針を示したものである。
一 基本的考え方
1.わが国経済社会の構造変化と近年の税制改革
わが国は、歴史的な転機とも言うべき構造変化に直面している。
少子・高齢化が世界に類を見ないスピードで進んでいる。このため、わが国人口は、2006年をピークに継続的な減少局面に入る。今世紀半ばには、3人に1人が高齢者となる見込みである。家族のあり方や会社と個人との関係も急速に変容しつつある。冷戦の終結や情報化の進展等を背景に、国境を越えた経済活動が活発化し、世界規模の競争が進むとともに、各国間の相互依存関係が拡大・深化してきている。
このような中で、公正な社会を構築し、持続的な経済社会の活性化を実現するために、さまざまな分野の構造改革を急がねばならない。
かかる構造改革の一環として、税制面においても、近年、広範な改革を実現してきた。
少子・高齢化に伴う貯蓄率の低下傾向に対応し、個人金融資産をはじめとする各種資産の有効活用を進めるため、金融・証券税制の軽減・簡素化、相続税・贈与税の一体化などを実施した。また、国際的な競争やモノ・資本・ノウハウの流れの変化も踏まえ、研究開発・設備投資減税の集中・重点化のほか、約30年ぶりに日米租税条約を全面的に改定した。これらの措置は、民間の努力とあいまって、着実に経済社会の活性化につながってきているものと考えられる。
これらの改革と併せ、経済社会の構造変化に対応し、税負担の歪みを是正する観点から、配偶者特別控除(上乗せ部分)の廃止、年金課税の見直しなどを行った。さらに、消費税に対する信頼性・透明性を向上させるため、免税点制度等の改革を実現した。
こうした改革の流れを踏まえ、引き続き、「あるべき税制」の具体化に向けた取組みを進めていかねばならない。
2.経済及び財政の現状
近年、わが国においては、産業再生と不良債権処理をはじめとした構造改革の推進により、企業部門の有利子負債がバブル崩壊後最低の水準にまで低下するなど、民間経済の体質強化が実現されてきた。その結果、企業収益が大幅に改善し、設備投資も増加している。有効求人倍率の上昇とともに、失業率が、ここ10年来初めて趨勢的に低下するなど、雇用情勢も着実に改善しており、消費者マインドの改善もあって、個人消費は緩やかに増加している。
原油価格の動向が内外経済に与える影響や世界経済の動向に留意する必要はあるが、国内民間需要が着実に増加していることから、今後とも景気回復が続くと期待される。かかる状況の下、持続的な経済成長を実現していくため、引き続き、各般の構造改革が推進されている。
他方、わが国財政は、この数年間の大規模な景気対策の実施もあり、長期債務残高が累増し、先進国中最悪の危機的状況にある。わが国の税負担は、累次の減税により、諸外国と比べても極めて低い水準にあり、国税収入の歳出総額に占める割合は辛うじて5割を上回る程度でしかない。その分、巨額の公債発行が続いている。
こうした現状にもかかわらず、量的緩和政策の下、民間企業部門の負債圧縮などの動きもあって、資金の流れが国債市場に向かったこともあり、長期金利は低水準で推移してきた。しかし、かかる状況は永続的ではない。現在の財政状況を放置すれば、その持続可能性に対する信認低下を背景とした金利上昇により、金融市場の機能、ひいては経済全体の健全な発展が阻害されることとなりかねない。財政に対する国民や市場からの信認を高め、持続的な経済成長を実現するためにも、財政健全化が必要である。
3.持続可能な公的部門の構築に向けて
人口減少社会の到来など、これまでにない転換期を迎える中、現下の危機的な財政状況を踏まえると、今後、21世紀にわたり持続可能な公的部門を構築していくことが重要な課題である。
(1)歳出・歳入両面からの財政構造改革
財政を将来にわたり持続可能なものとするためには、経済の規模に比して公債残高が累増しない財政体質を確立する必要があり、そのためには、基礎的財政収支の黒字化が前提となる。2010年代前半には、ベビーブーム世代が年金受給者となることも考慮に入れ、2010年代初頭における基礎的財政収支の黒字化を目指し、財政構造改革を確固たる足取りで進めねばならない。
このため、徹底した行財政改革を行い、その透明性・信頼性を高めるとともに、各種の制度・施策の抜本的な見直しにより、聖域なく歳出の削減を進めるべきである。他方、かかる歳出改革を行ってもなお、高齢化の進展に伴う社会保障給付の増加が見込まれる中、広く公平に負担を分かち合い、安定的な歳入構造を確立するための取組みも避けて通れない。歳出・歳入両面から財政構造改革を進めていく必要がある。
急速な人口構造の変化や、先進国中例を見ない脆弱な財政体質を踏まえれば、2010年代初頭まで残された時間は長くはない。財政赤字は、いずれは国民の負担によって償還されねばならない。財政再建への取組みが遅れるほど、財政破綻を避けるために必要となる歳出削減や税負担増の規模は大きくなる。財政が経済の足枷となる事態を避けるため、問題を先送りすることなく、できる限り平準化された形で、着実に財政健全化を進めていく必要があろう。かかる取組みを明確な道筋に沿って進めることは、財政赤字に起因する国民の将来不安を払拭し、活力ある経済社会を構築するために不可欠である。
(2)国・地方の三位一体改革
公的部門の改革の重要な柱として、地方分権を推進し、地方の自立を確立することにより、活力と個性のある地域社会を実現していくことが求められている。また、地方の自主性、自律性を高めるためには、市町村合併の推進や地方に対する国の関与の廃止・縮減、事務事業の徹底した見直しなどによる地方行財政の効率化が不可避である。
このような取組みと併せて、国庫補助負担金の改革、地方交付税の改革、税源移譲を含む税源配分の見直しからなる三位一体の改革を推進せねばならない。平成18年度までの間に、国庫補助負担金の改革と併せ、本格的な税源移譲を実現する必要がある。その際、地方税体系の中で個人住民税が応益性、自主性の要請に最も合致している点を踏まえ、所得税から個人住民税への移譲を基本とすべきである。今後、この方針に沿って、補助金改革の成果を上げ、税源移譲の実現を図るとともに、財源保障機能の縮小を含め地方交付税の改革を進めていかねばならない。また、地方の課税自主権の活用についても、一層推進していく必要がある。
(3)税・社会保障負担のあり方の改革
急速に少子・高齢化が進展する中で、経済社会の活力を維持する観点から、例えば税・社会保障負担に財政赤字分を加えた潜在的国民負担率(対国民所得比)で見て、その目途を50%程度としつつ、政府の規模の上昇を抑制することが求められている。このため、歳出全般にわたる改革を進めていく必要があるが、特に、社会保障給付のあり方について、年金、医療、介護等を総合的に捉え、雇用政策や少子化対策との関連も踏まえつつ、抜本的に見直すことが不可欠である。その際、国民のニーズに対応した質の高いサービスを効率的に実現する観点から、民間サービスの思い切った活用を図る必要もあろう。
かかる社会保障制度の総合的な改革と併せ、税・社会保障負担のあり方について検討を進める必要がある。平成16年度予算における潜在的国民負担率で見た政府の規模は45.1%に達しているが、税負担と社会保障負担とを合わせた狭義の国民負担率は、およそ20年前とほぼ同水準の35.5%にとどまっている。この10%程度の差は、もっぱら財政赤字によるものであり、これを放置すれば、本格的な高齢社会を支える将来世代の負担をさらに増加させることとなる。経済社会の構造変化を踏まえて税・社会保障負担のあり方を改革する中で、受益と負担のバランスを図る観点から、給付面の抜本的見直しと併せ、現在世代の負担水準の引上げを図るべきである。その際、社会保障における税負担と社会保障負担の意義・役割や、そのどちらにより重く依存すべきかの検討が重要な政策課題となってこよう。
4.今後の税制改革の道筋
かかる公的部門の改革の全体像を提示しつつ、明確な道筋に沿って改革を進めることで、国民の安心を確保しながら活力ある経済社会を構築していかねばならない。
「平成16年度の税制改正に関する答申」で指摘したように、「あるべき税制」に向けての抜本的税制改革は、国・地方の三位一体改革、社会保障制度の改革と整合性をとって行う必要があり、2010年代初頭の基礎的財政収支の黒字化に取り組む上でも避けて通れない課題である。
国・地方の三位一体改革の中で、平成18年度までに、所得税から個人住民税への本格的な税源移譲の実施と併せ、国・地方を通じた個人所得課税の抜本的見直しを行う必要がある。こうした中で、いわゆる定率減税については、平成11年度税制改正において、当時の著しく停滞した経済活動の回復のため、個人所得課税の抜本的見直しまでの間の緊急避難的な特例措置として導入された経緯を踏まえ、経済への影響も十分に考慮しつつ、平成18年度までに段階的に廃止すべきである。
基礎的財政収支の黒字化に向け、平成18年度までに、国と地方双方が歳出削減努力を積み重ねつつ、必要な税制上の措置を判断する必要がある。また、平成18年度までを目途に結論を得るべく、社会保障制度の総合的な改革と併せ、税・社会保障負担のあり方についても検討を行うことが不可避である。かかる状況の下、社会共通の費用を広く公平に分かち合う観点から、抜本的な税制改革について、平成18年度までを目途に結論を得るべく検討を進めていかねばならない。その一環として、消費税についても国民的な議論を進めていくべきであろう。
消費税の創設から税率引上げに至る従来の税制改革は、個人所得課税の大幅な負担軽減と併せ、消費課税の相対的なウェイトを高めることを主眼として行われてきた。今後の税制改革にあたっては、歳出改革の推進や民需主導の持続的な経済成長を実現していくことと併せ、必要な公的サービスの費用を広く公平に分かち合うため、所得・消費・資産等の多様な課税ベースに適切な負担を求めつつ、全体としての税負担水準の引上げを図ることが必要となろう。個人所得課税の本来の機能を回復するとともに、消費税の税率を引き上げていくことが、今後の税体系構築の基本となる。経済社会の構造変化を踏まえつつ、資産課税、法人課税、国際課税のあり方、さらには地球温暖化をはじめとする環境問題への税制面からの対応についても早急に検討を行う必要がある。
当調査会としては、かかる基本的考え方の下、「あるべき税制」の具体化に向け、審議を進めている。
二 個別税目の課題
1.個人所得課税
わが国の個人所得課税は、累次の減税の結果、主要国との比較において、税負担水準が極めて低くなっている。持続可能な公的部門の構築に向け、安定的な歳入構造を確立する観点からは、個人所得課税について、財源調達や所得再分配など、本来果たすべき機能の回復に取り組んでいく必要がある。加えて、少子・高齢化の進展、家族世帯類型や雇用形態の多様化といった経済社会の構造変化に即応し、個人の経済・社会活動上の多様な選択をなるべく阻害しないような負担構造の構築が求められている。
「あるべき税制」の構築に向け、定率減税の見直しや課税ベースの拡大、税率構造、諸控除の見直しといった諸課題に取り組んでいかねばならない。その際、少子・高齢社会における子育ての重要性を踏まえ、人的控除のあり方を見直す場合には、社会保障制度との関連にも留意する必要があろう。
個人所得課税を巡っては、当面、国・地方の三位一体改革の一環としての本格的な税源移譲が大きな課題となる。その実施に際しても、こうした「あるべき税制」に沿った制度設計を行うべきである。
(1)税源移譲
国・地方の三位一体改革の一環として、補助金改革と併せ、平成18年度までに、所得税から個人住民税への本格的な税源移譲を行うこととされている。この税源移譲は、廃止される国庫補助負担金に係る財源措置と位置付けられることから、所得税法及び地方税法の本則改正という恒久措置によって行うことが適当である。
税源移譲にあたっては、個人所得課税体系における所得税と個人住民税の役割分担の明確化が課題となる。個人住民税については、応益性や偏在度の縮小が求められることを踏まえ、所得割の税率のフラット化を行うことが基本となろう。また、所得税については、税源移譲後においても所得再分配機能の適切な発揮が求められることを踏まえ、「あるべき税制」との整合性に留意しつつ、税率構造・控除双方の見直しを視野に入れ、具体的な移譲の手法につき今後検討を重ねていく必要がある。
この税源移譲に際しては、個々の納税者に係る税負担の変動にも十分に留意すべきであり、所得税・個人住民税双方における適切な対応が求められる。
(2)定率減税の取扱い
定率減税は、平成11年度税制改正において、当時の著しく停滞した経済活動の回復に資する観点から、個人所得課税の抜本的見直しまでの間の緊急避難的な特例措置として導入され、見合いの財源なしに、毎年3兆数千億円という規模で継続されてきているものである。
現在の経済状況は、構造改革の進展によって民間経済の体質強化が実現されてきたこともあり、定率減税が実施された平成11年当時と比べ、著しく好転してきている。また、引き続き各般の改革が実を結んでいけば、この民需主導の経済成長が持続していくものと期待される。かかる状況の下、定率減税を継続しておく必要性は著しく減少したといえよう。景気対策のための特例措置として導入された定率減税を見直し、中期的な観点に立って、持続可能な経済成長を目指すべき時期にきている。従って、定率減税については、前述の税源移譲と併せ、平成18年度までに廃止すべきである。その際、経済への影響を考慮すると、平成18年度税制改正において一度に廃止するよりも、段階的に取り組むことが適当であり、平成17年度税制改正においても縮減を図る必要がある。
(3)個人住民税
均等割の税率は、これまでの国民所得や地方歳出等の推移と比較すると低い水準にとどまっており、その税率の引上げを図る必要がある。
また、所得割の所得控除については、地域社会の費用を住民がその能力に応じ広く負担を分任するという個人住民税の性格や応益原則に基づき見直しを図り、課税ベースの拡大に努めるべきである。さらに、65歳以上の者等に係る非課税限度額制度は、現役世代と高齢者間の税負担の公平を確保するため、障害者のように真に配慮が必要な者に係る制度に改組すべきである。と同時に、税負担の公平や税収確保の観点から、徴収率の向上を目指した執行面・制度面からの検討を行う必要がある。
(4)金融所得課税の一体化
近年において、少子・高齢化の進展から貯蓄率が顕著な低下傾向を示す中、経済の活力を維持するためには、現存する金融資産の効率的な活用が鍵となっている。こうした状況を踏まえ、金融小委員会においては、本年6月、金融所得課税の一体化に係る基本的な考え方をとりまとめ、金融・証券税制の一層の簡素化や一般個人の投資リスク軽減に向けての道筋を示したところである。
今後、各種の金融所得の損益通算の範囲の拡大にあたっては、投資家の混乱を引き起こさぬよう制度改変の手順に留意する必要がある。また、その際、金融番号制度の導入は不可欠である。所要のシステム構築といった面にも十分配慮しながら、金融所得課税の一体化を具体的に進めていくべきである。
2.消費税
消費税は、あらゆる世代が広く公平に負担を分かち合い、安定的な歳入構造を構築する上で重要な税である。今後の税体系構築にあたっては、国民の理解を得る努力を払いつつ、消費税の税率を引き上げていくことが必要である。
高齢化の進展に伴う社会保障給付の増加が見込まれる中、2010年代初頭における基礎的財政収支の黒字化に向け、歳出・歳入両面から財政構造改革を進めていかねばならない。かかる状況の下、歳出改革路線の堅持・強化と併せ、消費税についても国民的な議論を行っていくべきである。
消費税の税率構造のあり方については、制度の簡素化、経済活動に対する中立性の確保、事業者の事務負担、税務執行コストといった観点から極力単一税率が望ましい。将来、消費税率の水準が欧州諸国並みである二桁税率になった場合には、食料品等に対する軽減税率の採用の是非が検討課題となる。しかしながら、低所得者層に対する配慮については、税制全体や歳出面を含めた財政全体の中で、効率的に真に必要な配慮を行う観点から、十分な吟味が行われるべきであろう。また、将来、仕入税額控除の際に税額を明記した請求書等の保存を求める「インボイス方式」の採用が検討課題となる。これらについては、今後の消費税率の水準に関する議論も踏まえ、高い標準税率の下で複数税率を採用している欧州諸国の実態も参考にしつつ、引き続き検討を深めていくべきである。
消費税は、わが国財政全体にとって重要な役割を果たすべき税であり、基本的に一般財源とすべきである。しかしながら、今後、税率を引き上げる際には、国民の理解を得るため、社会保障の給付水準との関係を明確に説明することが必要であろう。
3.相続税
これまで相続税の負担は、累次の減税や各種特例の拡充により大幅に緩和されてきた。他方、近年、経済のストック化や人口構成の高齢化等を背景に、高齢者層を中心に資産保有が進んでいる。また、所得、消費、資産等多様な課税ベースに適切な負担を求めていく観点、特に今後の消費税率の引上げに向けた議論なども考慮すると、資産の再分配機能を有する相続税の役割は一層重要となる。
さらに、少子・高齢化の進展や老後扶養の社会化に伴い、現役世代の負担の増大が見込まれることに鑑みると、相続時に残された資産について、その一部を社会に還元する観点から負担を求める必要性も高まっている。
これらの点を踏まえ、より広い範囲に適切な税負担を求めるため、相続税の課税ベースの拡大に引き続き取り組むことが課題である。
平成15年度税制改正によって導入された相続時精算課税制度は、親子間の資産移転の促進を通じた経済活性化の効果を発揮している。若年層の住宅取得や事業承継にも活用されていることから、引き続きその一層の活用に向け制度の周知などに努めていくことが重要である。
4.法人課税
(1)法人税
これまで法人税については、国際的に整合性がとれ、企業活動に歪みの少ない中立的な税制を目指し、課税ベースを拡大・適正化しつつ、税率を引き下げてきた。研究開発・設備投資減税といった政策税制の集中・重点化を図ったほか、商法改正等に伴うインフラ整備として組織再編税制や連結納税制度を導入した。今後とも、経済社会の構造変化に柔軟に対応する観点から、改革を進めていかねばならない。
法人税率については、既に他の先進諸国並みの水準となっており、当面、引き下げる状況にはない。今後、研究開発・設備投資減税の有効性を検証しつつ、経済・財政状況、わが国の税負担の水準や税体系全体のあり方との関連、他の先進諸国との税率バランスを踏まえ総合的に検討すべきである。
既存の租税特別措置については、その効果を検証しつつ、引き続き整理合理化を大胆に進めるとともに、経済社会の活性化と構造改革のために真に有効な政策税制への集中・重点化を図る必要がある。
また、少子・高齢化が進行し社会の多様化が進む中、公益法人やNPO法人等による民間非営利活動は、一層その重要性を増してくるものと考えられる。このため、引き続き、透明性を確保しつつ民間非営利活動が円滑に行われるよう、寄附金税制を含め適正な課税のあり方を検討していくべきである。
こうした中で、現在行われている公益法人制度改革の検討結果を踏まえ、公益法人に対する課税のあり方について、法人の活動実態を見極めつつ、検討を進める必要がある。
(2)法人事業税
法人事業税は、複数の都道府県に事務所等を有する法人について、事業活動と行政サービスの受益関係を的確に反映し、税源帰属を適正に行うため、分割基準により課税標準を都道府県間で分割する制度となっている。この分割基準は平成元年度以降見直しがなされていないが、IT化の進展やアウトソーシングの活用といった法人の事業活動を取り巻く環境の変化を踏まえ、見直しを図ることが必要である。
また、事業税における社会保険診療報酬に係る課税の特例措置については、税負担の公平を図る観点から、速やかに撤廃すべきである。
5.国際課税
本年3月に発効した新日米租税条約では、国際的な投資交流や技術移転をより一層促進する観点から投資所得に対する源泉地国の課税が大幅に軽減されるとともに、適正な課税を確保するための措置が講じられた。グローバル化が進行する中で、投資促進等の効果が期待できる国々との間の租税条約ネットワークの拡充は、わが国の持続的な経済社会の活性化を実現するための基盤強化に繋がる。今後とも国際的な投資交流や技術移転の促進のための重要なインフラである租税条約の改定を積極的に進めるべきである。
国際課税に関する国内法制度については、国際的な経済活動の複雑化・多様化が進む中で企業活動の実態に即した見直しを行うと同時に、わが国の課税権を確保するための措置を講じるべきである。例えば、外国子会社合算税制や外国税額控除制度の見直しを行う場合には、合算対象となる外国子会社の範囲や税額控除の範囲等について所要の適正化措置を併せて講じなければならない。また、構成員に直接課税される組合については、わが国の課税を確保するため、非居住者や外国法人である構成員に対して源泉徴収を含む制度的な対応を行う必要がある。さらに、各国の税制の相違や間隙を利用する国際的な租税回避行為を防止することや確実な執行が可能となるような制度の整備を行うことも重要な課題である。
6.酒税
近年、ライフスタイルの変化等を背景に、酒類消費の多様化が進展している。また、技術革新の進展等に伴い、従来とは異なる原料や製法により、性状等が類似するものでありながら税負担の異なる酒類が生産されるようになってきている。
酒税については、酒類の生産・消費の態様の変化に応じ、税制の中立性や公平性を確保する観点から適切に対応できるよう、酒類の分類の簡素化を図り、酒類間の税負担格差を縮小する方向で早急に見直すべきである。
7.地球温暖化問題への対応
地球温暖化対策の国際的枠組みとして、温室効果ガス排出量の削減目標を定めた京都議定書が、来年2月に発効する見込みである。京都議定書の発効に伴い、日本の国際的責務が現実的なものとなる。こうした中で、わが国における排出量は年々増加しており、その削減のため、早急に追加的な対策を検討することが求められている。
その一環として、いわゆる環境税の導入については、国・地方の温暖化対策全体の中での具体的な位置付けを踏まえて検討せねばならない。現時点では、他の政策手段との関連において、環境税の位置付けは必ずしも明らかでない。来年3月までに行われる「地球温暖化対策推進大綱」(平成14年3月)の見直し作業を通じ、京都議定書の目標達成を念頭に、環境税の果たすべき役割が具体的かつ定量的に検討されることが必要である。
環境税の役割としては、本来、価格インセンティブを通じた排出抑制効果を重視すべきであろう。他方、追加的な温暖化対策の財源確保により重点をおいて環境税を活用することについては、既存の温暖化対策予算との関係、税収の使途を特定することの是非を慎重に検討する必要がある。
環境税は、国民に広く負担を求めることになるため、その導入を検討する際には、国民の理解と協力が不可欠である。国民経済や産業の国際競争力に与える影響、既存のエネルギー関係諸税との関係、その他税制全体の中での位置付けなど、多岐にわたる検討課題がある。今後、温暖化対策全体の議論の進展を踏まえ、環境税に関する多くの論点をできる限り迅速に検討せねばならない。
8.その他
(1)企業年金等にかかる税制
公的年金に上乗せされる企業年金等の私的年金は、より豊かで多様な老後生活のニーズに対応するためその役割がますます高まってくると考えられる。こうした状況の下、企業年金等に対する課税のあり方については、今後の年金制度をめぐる動向等を勘案しつつ、特別法人税(退職年金等積立金に対する法人税)を含め、拠出・運用・給付の各段階を通ずる負担の適正化の観点から総合的な検討を行う必要がある。
(2)組合事業に関する租税回避防止
今日、法人形態に限らず、多様な形態による事業・投資活動が行われるようになっているが、こうした中で、組合事業から生じる損失を利用して節税を図る動きが顕在化している。このような租税回避行為を防止するため、適切な対応措置を講じる必要がある。
〇委員
ありがとうございました。
今からこの文章についてご議論いただきますが、ページをおっしゃっていただいて、左端のほうに行の数が出ておりますから、何ページの何行目にこういう意見がある、あるいはこういう修文を要求したいという点でお出しいただきたいと思っています。もちろん、ご意見があって、ここはこういう形で直したいのだがというような、やや漠としたご意見でもけっこうです。
では、議論が始まる前に、先ほどの起草会合で議論をし、少し修文が確定したところもございますので、総務課長からご説明いただきますが、その前に、資料の最後に草野さんの税制改正のご意見が出ておりますから、これは参考資料として今日のこの総会の資料として出させていただきます。
では、総務課長、ちょっとご説明ください。
〇事務局
それでは、1ページからお願いをいたします。29行目、「少子・高齢化に伴う貯蓄率の低下傾向」という表現がございますが、貯蓄率の低下はこの少子・高齢化だけが要因ではないであろうということで、「少子・高齢化などに伴う貯蓄率の低下傾向」という修文が行われております。
それから、2ページに進んでいただきまして、26行目でございますが、最後のパラグラフ、「こうした現状にもかかわらず、量的緩和政策の下」とございますが、何の量的緩和政策かということで、「金融の量的緩和政策の下」という修文が行われております。
それから、3ページ、3の(1)の財政構造改革のパーツの最初のパラグラフでありますが、10行目、「2010年代前半には、ベビーブーム世代が年金受給者となる」という表現があります。このベビーブーム世代というのは、団塊の世代と改めたほうがいいのではないかという意見がございまして、「団塊の世代」というふうに修文が行われております。
それから、同じページの(2)の一番下のほう、29行目、「市町村合併の推進や」云々という部分がありますが、地方行財政の効率化と市町村合併の推進は必ずしも関係がないというご意見がありまして、この「市町村合併の推進や」という部分を削除する修文が行われております。
〇委員
総務課長、その前に、「自己責任」という字を「自律性」のあとに入れるという議論がありましたね。
〇事務局
失礼しました。29行目の「自主性、自律性」のあとに「自己責任」を入れ、「自主性、自律性、自己責任を高めるためには」というご意見がございました。
4ページでありますが、2行目、「国庫補助負担金の改革、地方交付税の改革」と「改革」が二つ接近して出てくるものですから、「国庫補助負担金の削減」というふうにしてはどうかというご意見がございましたが、これは私ども事務局の感じを恐縮ですが申し上げさせていただきますと、国庫補助負担金の改革の中には、廃止、縮減、交付金化等いろいろなやり方がございまして、政府の閣議決定の文章でもここは「改革」という表現を使ってございまして、できればこのままにしておいていただきたいという感じがございますが、ご議論をいただければと思います。
それから、ずっといきまして8ページまで飛びますが、消費税のところであります。三つ目のパラグラフで17行目あたりでありますが、その前の行から、逆進性対策あるいは軽減税率についてのコメントの部分ですが、「しかしながら、低所得者層に対する配慮については、税制全体や歳出面を含めた財政全体の中で、効率的に真に必要な配慮を行う観点から、十分な吟味が行われるべきであろう」という文章がありますが、ややまどろっこしいというご指摘もありまして、「効率的に真に必要な配慮を行う観点から」というフレーズを削除してはどうかということで、そういう修文が行われております。ですから、「税制全体や歳出面を含めた財政全体の中で、十分な吟味が行われるべきであろう」という文章に改まっております。
それから、下のほうの相続税の最初のところで、「近年、経済のストック化や人口構成の高齢化等を背景に、高齢者層を中心に資産保有が進んでいる」という文章ですが、資産保有に占める高齢者のシェアが高まっているということを正確に書くべきではないかというご指摘がございまして、こういう修文をお願いしたいと思います。「近年、経済のストック化が進む中、人口構成の高齢化等を背景として、資産保有の中心が高齢者層となってきている」ということでどうかと思います。
それから、9ページにいっていただきまして、8行目あたりからの相続時精算課税制度の部分でありますが、この制度の目的をきちんと書くべきであるというご意見がございまして、「平成15年度税制改正によって導入された」という部分を、「平成15年度税制改正において生前贈与の円滑化を目的として導入された相続時精算課税制度」というふうに修文をいたしたいと思います。
それから、11ページまで飛んでいただきまして、7の環境税のところでありますが、二つ目のパラグラフに、「その一環としていわゆる環境税の導入については」という文章がありますが、全体が環境税の導入が前提となっているような文章ではないかというご意見がございまして、「その一環として、いわゆる環境税導入の是非については」というふうに修文をしてございます。
以上ではないかと思いますが、欠けておりましたら、またよろしくお願いいたします。
〇委員
急いでやりましたので、もし欠けていたら、またその段階で起草会合の先生方からご意見を出していただきたいと思います。
全文を一挙にというやり方もあるかもしれませんが、一応3等分したいと思っております。12ページございまして、基本的な考え方が第1ラウンド、個人所得税から法人課税の前までが第2ラウンド、残り法人課税以降が第3ラウンドという形で、時間を等分に使いつつ、修文等々のご意見を賜って、より完全なものにしていきたいと思っています。
それでは、最初に5ページまでの基本的な考え方、これはある意味で総論的で、かつ、今回の税調の答申の骨格なり、狙いなり、基本的な性格を表すものでありますので、まずここをご議論いただきたいと思います。どなたでもけっこうですから。
〇委員
まず、2ページの2の14行目ですが、「民間経済の体質強化が実現されてきた。その結果……」、つまり、すでに民間体力がもう戻ったという認識でいいのでしょうか。「されつつある」という継続形なら私わかりますけれども、ここまで断じてしまうのはどうかな。だから私は、「されつつある。これに伴い」とか、こういう言い方のほうが正しいのではないかなと思います。
〇委員
正しいかもしれませんが、日本語として何かちょっと収まりが悪いですね。
〇委員
ただ、「きた。その結果」というのは、ちょっと税調の認識として……
〇委員
何か強すぎるということですね。この辺のところをトーンダウンというか、より現実に対応させましょうか。
〇委員
それから、3ページ、23行目、「着実に財政健全化を進めていく必要があろう」ではなくて、「いく必要がある」ではないでしょうか。断定したほうがよろしいのではないでしょうか。
それから、同じページで、先ほど起草会合で議論がなされたということですが、「地方の自主性、自律性、自己責任を高めるためには、地方に対する国の関与の廃止・縮減」、いつも我々は「自主決定、自己責任」ということをずっと言ってきたんです。つまり、自分たちが自分で決める、だから自分で決める範囲で責任をきちっと持つのだということを言ってきたんです。ここであえて「自主性、自律性、自己責任を高めるためには」という意図はどういう意図なのかなと。
〇委員
意図は、「自主性、自律性」と二つ書いたあとに、自己責任という問題も必要ですよと。
〇委員
自律性というのは、律するということですから、言葉がダブっちゃうんじゃないですか。自己責任というのと自律性というのは、ある意味ではね。自主性というのは主体的に、自律というのは自ら立つ、律して立つ、ですから言葉がダブっちゃうんじゃないかという気が私は直ちに読んだ場合にいたしました。
〇委員
そうすると、原文のままでいいというご意見ですね。
〇委員
ええ、そうです。
それから、市町村合併は何も財政効率化のためにしていないという意味はよくわかるのですが、21世紀の地方自治の基本的な枠組みを作ろうとしている中ですので、どっちでもいいといえばどっちでもいいのですが、非常に大きな推進を図っている最中でもありますから、これもあえてここの中から取らなければいけないのだろうかという感じがいたします。
〇委員
基礎小の議論は、おっしゃる点をずいぶん議論しましたけど、効率化と直接ひっかからないだろうというのが一つです。それから、峠を越えて、市町村合併の先行きというか成り行きはほぼ見えてきたので、あえて断ることもないだろうという議論が二つ目でした。それで削ったんです。
〇委員
一番論理的に言うと、効率化と市町村合併とは違うよという意味では理解をいたします。
ただ、さっきの「自律性」というのと「自己責任」は、もう一度繰り返さなくても、「自律性」に十分、律するという中に入っていると思いますけれども。
〇委員
起草会合の先生方で、これは一応これでいこうと決めたのですが、いかがでしょうか。
〇委員
自主、自律、自己責任、個性というようなことを、地方分権の議論の中でさんざん言ってきましたね。確かに知事会としては「自主決定、自己責任」とおっしゃっておられると思いますが、私はやはり「自律性」の中に読み込むというよりは、どうせ責任をおとりになるのでしょう、そうしたら、自己責任と入れておいたほうがいいと思うのです。税源の分与をする時に、責任をとらないようなところに税源を分与するというのは変な話ですから。今まで地方分権の議論の際にさんざん言ってきた言葉ですし、入れたら困るという話は何にもないのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
〇委員
文章上ややダブると、こういうことでしょうね。
〇委員
今の委員のおっしゃっておられる意味は全然否定しませんが、何か「自律性」と「自己責任」というのをあまり並べて使ったことはないなという思いが非常に強くありまして。
〇委員
まあ、税調で初めて使っても悪くないと思いますけどね。
〇委員
うーん。
それと、私どもからすると、地方財政というのは、実をいいますと、自己決定範囲というのが非常に狭いのです。ですから、そういう中であえて「自己責任」というのを使われると、自己決定範囲はそのままにしておいて、自己責任だけ強調するのかねというような飛躍した思いまで出てくるものですから。
〇委員
自主、自律というのは、むしろ自己決定だと思うのです。だから、やはり責任というのは別に言っておいたほうがいいと思いますよ。今までもさんざん言ってきたし、おそらくそういうお気持ちなのでしょうから。
〇委員
この辺、文学上の表現の解釈もありますけれども、一応、起草会合ではこうやって書きましたが、委員は現場の総代者としていろいろ思いもあるだろうと思いますが。
〇委員
そんなことはないです。ただ、その責任をとる枠組みが「自己責任」と裸で使われた時に、全部自己責任でやったらいいじゃないかというような使われ方に往々にしてなるんですよ。針小棒大。活用されることが多いものですから、我々、被害者意識が強いんです。
〇委員
ここは税調の答申でありまして、税制の中のいわば前提条件のところを整理しているわけでありますから、さほどここを目くじら立てて、ここを書いたからというところまでいかないのではないかと思います。できたら起草会合で一応出した問題でありますから、またあとで何かお考えが改まってあれでしたら出していただきますが、とりあえずこの場はこの場で、ほかの問題もございますから。
〇委員
はい。
その次、4ページ、交付税の改革の前の「財源保障機能の縮小を含め」というところですが、実を言いますと、交付税の機能は二つありまして、言うまでもありませんけれども、財源調整と財源保障とこの二つの機能。税源が偏在しているから、それに地方税のウエイトを増やしていけば、財源調整機能を発揮させなければいけないということはあるのですが、これ、裸で「財源保障機能の縮小」ということを使いますと、そもそも国と地方との役割分担で、補助金などがなくて、国の事務は国の事務、地方の事務は地方の事務としてきちっと峻別させているならいざ知らず、必ず補助率がどうだとか、大体各主体がすべて関与しているような仕掛けになっているんです、日本の今の行政の進め方は。そういう中で、だからこそ初めて国として必要な仕事については、補助金の裏の地方負担額についても財源保障をしてきているというのが基本なんですね。それで「財源保障機能の縮小を含め地方交付税の改革を進めていかねばならない」ということは、前段が、補助金をどんどん減らしていくから、国と地方との関係で見た時に、地方が自主的に判断できる部分がどんどん増えていくから、国としては財源保障機能を含めて見直していくのだと、こういうふうに理解している言葉と理解するのでしょうか。
〇委員
実はこれはもっと強い言葉が最初意見として出て、「廃止・縮小」とまで言うご意見があったんですよ。
〇委員
それはもう全くナンセンスです。
〇委員
全くナンセンスかどうかわかりませんが、片や今の財源保障機能が過度にあって、モラルハザードが起こって、地方財政は放漫になっているのではないかという議論もあったりしまして。そこで、これは前から使っている言葉なんですよ、これまでの税調の累次の答申で。それで、それを理由にして「縮小」というところで収めたのですが、今の委員のお考えでは、これを全部取れということですか。
〇委員
そうですね、財源保障機能の縮小だけをめぐって地方交付税の改革をやろうとしているわけではありませんのでね。
〇委員
これは別に「含め」ですから。
〇委員
「含め」ですけれども、財源保障機能は、ではどういうふうに評価されているのでしょうか、税調として。
〇委員
税調の累次の地方交付税改革を念頭に置いて議論されて、ずっと累年あって、やはり大盤振る舞い的な財源保障機能が、地方の方から見るとこういう言い方はしていないと思いますけれども、放漫財政につながってよろしからずという意見が前提にあっての議論ですよ。財政制度審議会ほどではありませんけどね。
〇委員
ただ、会長にお言葉を返すようで恐縮ですが、地方財政はそんなに大盤振る舞いをしているなんていう認識で税調の皆さんはいらっしゃるのでしょうか。
〇委員
そういう人は多いでしょう。多かったでしょう。ここでそれを再度議論する場ではありませんからしませんが、そういう潜在的な意識が強いですよ。それは現場の皆さんから見ると非常に……。
〇委員
別に応援演説をする気はないのですけれども、ここのところ、さっき私も「財源保障機能の縮小を含め」というのは抜いてくれないかと言ったのですが、ほかの書き方、例えば国庫補助金の問題の書き方、税源移譲は税制調査会の答申ですから、ブレイクダウンして書くのは当然なのですけれども、それと比べて地方交付税の改革の書き方がやや突出しているなという感じは持ちますね。「財源保障機能の縮小を含め」という副詞句を見ると。そこまで税調として言う必要があるのかということは、やはりもう一遍考えたほうがいいのではないかなと。
〇委員
前から言ってきたことを訂正することがもちろんあってもけっこうですけど。
〇委員
「など」ではどうですか。「財源保障機能など地方交付税の改革を進めていく」。つまり「縮小」というのは方向性が出すぎているんです。つまり吟味もされていないんですよ。
〇委員
私も先ほどの地方関係の2人の委員と同じような立場の者ですが、お一人の委員はそうではないかもしれません。
今、地方交付税の関係は中立の議論をしているわけです。ですから、財源保障機能の縮小という形での議論は片方にあるでしょうけれども、ある意味では適正化であったらまだいいのですけれども、縮小という形で、議論としてはわかるのですけれども、実際の実態を果たして皆様方いかにおわかりなのか。きっちりおわかりの上でお話をするのであればいいのですけれども。適正化という形であれば、これは別に多いとか少ないという話は今していないのですけれども、どこでバランスをとるかということなのでしょうけど、縮小という形での、今議論されている最中に極めて意図的な書き方ではないですか。
〇委員
この言葉はずっと使っているんです。
〇委員
ずっと使っているのは使っているとして、それ自体がずっと意図的であったのではないかな。
〇委員
いや、そんなことはないですよ。今日はほかの地方の学者側が全然出てきていないから、議論を紹介しておきますけど、お三方はまさに現場で長年ご苦労があって、それはよくわかります。ただ、学者グループが大体考えてここに盛ったのは、地方交付税制度というのは過度にだんだん肥大化して、そして、それが地方財政の放漫化につながっているという意識は避けて通れないんですよ。現場からおっしゃると、そうではないというお考えかもしれませんが。
そこでこれが出たのですが、今日はその議論をしていた人が全部いない中での議論でありますから、これをまた起草会合に戻すと、またここで揺り戻しが起きたり何かしますので、おっしゃるとおり、「適正化」というような言葉で、果たして今言ったような議論を持っている方が納得するかどうかわからないのですけれども、もう1ラウンド議論がございますから議論しますけれども、この点について特にご意見がある人はいませんか。
〇委員
これは先ほどから出ていますように、財源保障機能と財政調整機能、この二つを縮小ないし廃止という議論が税調の中では強いと思うのです。だけど、それをやると、多分答申案はまとまらないだろうと思いますから、去年までの答申と比べると、この財源保障機能の縮小というのは同じなんです。それから、財政調整機能というのは落ちているわけです。ですから、このぐらいが答申案としてはぎりぎりではないかなと思います。これ以上また突っ込んで議論してしまうと、また真っ二つに割れる話になってしまうので、すごい空費をすることになると思いますけど。
それと、経済財政諮問会議の文言、あるいは今までの流れからすると、方向としてはやはり見直そうということですよね。増やせという議論もありますけど、やはり流れとしては効率化していこうという方向だと思うのです。あまり露骨に書いてしまうと、また皆さん異論があるでしょうけど、政府税調の答申としては、このぐらいでとめておくのがいいところではないかなと思いますが。
〇委員
これが露骨だというのでしょう、「縮小」が。
〇委員
このぐらい残さないと、またもとへ戻すのかという話だから。
〇委員
露骨だ露骨だというご意見があったわけです。
あとどうでしょうか。この辺ちょっと決めておかないと。次回に持ち越してもいいのですけれども、強くご関係の方から異論が出ておりますので。
〇委員
この問題は、具体的に言えば、谷垣財務大臣が地方交付税の規模を2年間で7兆8,000億円切るという提案が一方であり、かつ、麻生総務大臣が前年並みだと、こういう狭間の中で交付税総額をどういうぐあいに設定するかという問題が一方であるわけですね。その削減の規模と財源保障機能と財政調整機能をどのように論理的に組み立てていくかという質的な問題がそこに絡んでいるわけです。
議論の流れとしていえば、補助金改革をし税源移譲をするわけですから、国のコミットメントが方向性として縮小するということは明らかなわけで、その流れにおいて財源保障機能というのは下がっていくというのは、当然の帰結であるわけです。かつ、もう1点、税源移譲をし補助金を削減すると、地方間の財源上のばらつきが大きくなる。その時に財源保障機能というものが縮小して、財政調整機能というものが大きくなるだろう。そういう流れがあるわけです。したがって、私は委員がおっしゃったとおり、この辺の表現が非常に妥当だというぐあいに思います。
〇委員
ほかにいかがでしょうか。
〇委員
今の委員の、その前提であればわかるんです。ただ、一般論として、そこの前提なしにダイレクトに出てきますと、いわゆるリーズナブルな形ではなくて、とにかく額を圧縮する、そういう形の、当然今の三位一体の形で自主財源が増えますと、このギャップというのは出てくるわけです。そこのリーズナブルな形であればわかるのです。それはそのとおりです。ただ、そういうふうに果たして読めるのか。税調の答申ですから、それなりにきちっとリーズナブルな議論を重ねてだと思いますけれども。
〇委員
ただ、今みたいなのを全部書き込むわけにいきませんからね。
〇委員
逆に我々は心配しているんです。7.8兆円のような削減をせい。その狙いは財源保障機能を見直すのだということを言われているから心配しているんです。それを税調がオーソライズしたのではないかというふうにまで言われると困るね、というのが私の思いなんです。
それで、この文章ですと、実現を図るとともに交付税改革を進めろというのが並列になっているんです。ですから、先ほどの委員のお話もございますから、税調はこういうふうに言ってきたぞというようなお話ですので、三位一体の関連文章ですから、「ともに」というところを、「税源移譲の実現を図り、財源保障機能の縮小を含め地方交付税の改革を進めていかなければならない」というふうに、三位一体表現にしていただいたらどうでしょうか。
〇委員
どう違うのかよくわからないけど。
〇委員
7.8兆円のあれがあまり脅しすぎですよ。ああいうことは大臣でも言うべきではない。
〇委員
もう一度言わせていただきますけれども、「この方針に沿って、補助金の改革の成果を上げ、税源移譲の実現を図るとともに、地方交付税の改革を進めていかなければならない」でなぜいけないのですか。並列なんですよ。
〇委員
修飾をつけなくてもいいという意味でしょう。
〇委員
そう。要するに、地方交付税だけ何で書くんですかというんです、こういう具体的な話を。
〇委員
ずっと私見ていまして、ここが税調としてずっと問題意識を持っていたからですよ。財源保障機能がどうも過大である、だから縮小だというのは、前の答申を読んでいただければそう書いてあるんですよ。ただ、おっしゃるように、事態もいろいろ変わっていますから、別にこだわらないといえばこだわらなくていいかもしれない。ただ、今、先ほどの委員の解説にあったようなことは、大体リーズナブルに皆さんの頭に入るのではないかと思います。
〇委員
先ほどの委員のお話は、確かにそのとおりかもしれませんけれども、交付税総額について、今、総務省と財務省で大議論をしているわけですよね。それは両方とも主張があって、がっぷり四つに組んでいるわけです。だから、それを財務省サイドの言っていることが正しいのだと、ここであえて言う必要があるのかどうかということです。
〇委員
同じ文句を使っても、解釈がいろいろ新しい側面が出てくるかもしれない。
〇委員
そう取られるというわけです。
〇委員
取られるかも知れないというご趣旨ですね。そうすると、委員のおっしゃった、「実現を図るとともに」を「図り」だけでは弱いと。確かに起草会合でもある委員がおっしゃっていましたね。「財源保障機能の縮小を含め」のところを削ってくれないかというご趣旨がございましたけど、その時は、ほかの人たちがそれまですることはないだろうという形で議論を引き取ったんですね。
まだほかの部分がありますから、ここは少しペンディングにしてください。あまりここだけでやってもしようがないから。
〇委員
いいですか、まだ途中です。
〇委員
ちょっと休んでください。一服。ほかの方もいっぱいあって、もう1時間たってしまったから。では総論のところで。またいずれ時間を取ってさせていただきます。
5ページまでで何か具体的な、どうぞ。
〇委員
4ページの15行目あたりから4行ほどのところでございますけれども、ここで「年金、医療、介護等を総合的に捉え」云々となっておりまして、16行目のところから、「その際、国民のニーズに対応した質の高いサービスを効率的に実現する観点から、民間サービスの思い切った活用を図る必要もあろう」と書いてございます。ここのタイトルは「税・社会保障の負担のあり方の改革」というタイトルでございまして、この3行ほどの文言を読みますと、何か国ではもう見通しがきかないから、民に任せるかのように読めないこともないのですけれど、この辺の議論はいかがだったのか、ちょっとご質問させていただきたいのですが。
〇委員
初め、負担のあり方というよりは、どっちかというと社会保障改革というような視点から議論が多くて、したがって、14行目から18行目まで、これは歳出のほうの議論ですよね、これは大分削って落ち着かせたのですけれども、さはさりながら、あり方論だけでは反対側の歳出面のほうの議論がなければいけないということで入れたのですが、おっしゃるとおり、表題のあり方の改革とこの中の議論が少しギャップがあるというご指摘があるとすれば、その点はわかりますね。
具体的には、今言ったような形で、全体はあり方論でやっているわけでありますが、歳出全般についての議論等々は必要ないですか。それをご意見を聞いてから、まだ修文に十分応じられると思いますので、削除ということならそれでもけっこうですし。今、単なる質問ですか。
〇委員
どういう議論があったのかにもよりますので、まずご質問をさせていただいたのですけれども、今の規制改革の考え方自体が、官から民へという方向を出しているのですけれども、ともしますと、力のない者はサービスを受ける資格がない、むしろ力のある、財のある者がいいサービスを受ける、そういう方向性になりつつある、そういう印象を一般の消費者は受けます。そういうことですと国の政策としてはまずいと、そのように考えておりますので、それであえて質問させていただきました。
〇委員
わかりました。そうなりますと、委員のご意見からいいますと、「その際」以下の3行ぐらいが問題であるわけですね。
〇委員
はい。
〇委員
わかりました。ちょっと修文を考えます。
〇委員
私は、この文章はこの税調の答申の中で最も重要な文章だと思っていました。それは、今、委員がおっしゃったことはとても大切なことで、国民はだれでもこういうサービスを受ける権利がありますから。公的資金は非常に限られてきている。ですから、力の弱い方というか、恵まれない方に公的資金は優先的に負担すべきだという考え方は、これは進めていかなければいかんと思いますね。ただ、財源が限られていて、高齢化が進み、いろいろな問題が進み、国民のニーズもものすごく高くなっている。それをどうするかというと、その間は民間サービスで埋める以外にないんですね。ですから、これはそれが書かれているなと私は思いました。
例えば子育てについていっても、今、多くの国民は民間サービスを非常に求めている。全部公的でできれば、そんなにすばらしいサービスはないのですけれども、財源的に無理なことはわかっているわけですから、それを一部の既得権者とかいろいろな人たちが民間を排除するので、サービスが適用できないということがあります。あるいは介護でもそうです。医療でもそうです。人々は高度な医療を求めている。自分で支払いたい。国民のミニマムは公的なもので提供すべきだということが、万感を込められてここへ書いていると思っています。私はこの文章は今回の答申の中で最も重要な文章だと思います。
〇委員
逆のご意見が出ましたね。ちょっとこれも議論しなければいけませんが。
それでは、お手が挙がっていますが、この点ですか。
〇委員
私は今の委員と全く同じ意見で、もしタイトルとのあれをするのであれば、この答申自体が歳出・歳入面両方で言っていますから、負担のあり方の負担の部分をどうするかということで、タイトルのほうで議論されたらいかがかなと思います。
〇委員
でも、負担を議論する時に、その負担された先がどういうふうに効率的に使うかという点もまた重要なので、これは別にそれほどぴったりでなくても十分説明がつくと思いますが、ちょっと考えてみましょう。
どうぞ。今の点ですか。
〇委員
はい。私も先ほどの委員のご意見に賛成なのですけれども、3のタイトルが「持続可能な公的部門の構築に向けて」ということで、このタイトルにかんがみれば、やはり民間部門との役割分担というのは非常に重要な論点で、やはりこういった点を書き込むべきと思います。
〇委員
今のところですけれども、ヒアリングの時にお聞きしましたら、やはり多様化しているというのがありましたね。ですから、国民のニーズというのが多様化しているという言葉を一つ入れたらどうかなと思いますが。
それと、もう1点ですけども、3ページの、「行財政改革を行い」云々というのがずっと、これ昨年も出ましたし、例年のように出てきているのですが……
〇委員
何行目ですか。
〇委員
13行目あたりからずっと出ていますね。私は思いますのは、これがずっといつも出ていると、マンネリ化してしまいますので、私に聞かれてもわかりませんが、道路関係四公団民営化推進委員会の委員もいらっしゃることですから、できればこういう無駄を省いてという具体的な例を一つぐらいは、「例えば」とでも入れて書けば、少しは説得力ができるのではないかなという気がいたします。
〇委員
何か例示を一つ考えたらいいではないかと。
どうですか、振られたけど、何か意見がありますか。
〇委員
いいと思います。
〇委員
具体的には何かありますか。
〇委員
考えます。
ついでにちょっといいですか。
〇委員
どうぞ。
〇委員
今、そういう行財政改革、その辺の文章はもう一回考えますけども、先ほどの文章のほうで気になるところがあったので。今のページの一番下の、先ほどの委員が言われた自己責任の話ですが、「自主性、自律性、自己責任性」、やっぱり「性」だね。自己責任を高めるということはないから、自己責任性を高めるという言い方だと思いますね。言葉の問題です。
〇委員
ただ、「自己責任性」というやつを今まであまり聞いたことがないですね。文学者からいうと、そうなんでしょうな。
〇委員
4ページの、先ほどの委員の議論をまた蒸し返すつもりはありませんので、8行目の「財源保障機能の縮小」は、「自己責任性」が最終的にこの「財源保障機能の縮小」にかかってくるというふうに、全体の文章を見ると、先ほどの「自己責任性」という言葉があると、この「財源保障機能の縮小」というのがここできちっと収まるなというふうにあえて思っただけでありますが。
次にいきますと、5ページ目の16行目のところに「かかる状況の下」とあって、それで、7ページ目の8行目にも「かかる状況の下」があって、8ページ目の11行目にも「かかる状況の下」がある。書きやすいのだろうけど、あまりやっちゃうとよくないなということで……。
せっかく8ページまで来たから、15行目の「二桁税率」というのが、10%か20%か全然わからない。だけど欧州諸国並みだったら20%なので、「二桁税率」という言葉を取ってしまったらどうですか。
〇委員
いや、これは思い入れのある言葉なんですよ。
〇委員
20%だったらいいけどね。
〇委員
これは大体皆さんの頭の中は、10から20の間ですよ。
〇委員
欧州諸国並みといったら、20でしょう。
〇委員
いや、EU本部は15が標準税率だと言っていますから、別に20でなくても構いません。
〇委員
15以上の雰囲気があればいいですけど、でないと食料品に対する軽減税率、これは配慮しすぎだから、そこまで……。これを読んでいると、軽減税率のほうにいってしまうんです。
〇委員
そうでもない、単一税率と書いてありますから。
〇委員
「極力単一」と書いてある。
〇委員
それはそうなのだけれども。
〇委員
譲らないぞと書いてありますよ。
〇委員
そうですかね、それならいいですけどね。
〇委員
フライングして先のほうへ行きましたから、もう先へ行きましょう。
〇委員
2ページのところで今の委員が言われた13行目ですか、「民間経済の体質強化が実現されてきた」ということですけれども、中小企業はまだまだなわけですよね。雇用の3,000万、70%を抱えている中小企業はまだそこまでいっていないというのが現状でして、これからなんですよね、中小企業が始まるのは。その辺を少し……
〇委員
トーンダウンですね。
〇委員
はい、していただきたい。
それから、5ページの29行目ですか、「環境問題への税制面からの対応についても早急に検討を行う必要がある」というのですけれども、まだ各省庁で温暖化対策の検討がされつつあるところなわけですよね。ですから、税制がそこまで先走ってやらなければいけないのかという問題はいかがなのでしょうか。
〇委員
それは税調のご判断です。
〇委員
私は、そこまでいくべきではない。
〇委員
早すぎるというご判断ですね。ただ、あとのほうの環境のところとも整合性をとらなければいけません。総論の部分でこれが出て、あとのところもまた出ています。ただ、京都議定書を発効して、目先に火がついているという意味から、税制抜きで議論はできないだろうという趣旨であとのほうも書いてありますから、あとのところでもう一回、両方が一致しないといけないと思いますから。「早急に検討」は若干行きすぎだというご意見ですね。
〇委員
退席しなければなりませんので、気がついた点を2点お願いします。
2ページの、これは隣の委員からも今耳元でささやかれたのですが、2.のところの23行目、「他方、わが国財政は、この数年間の大規模な景気対策の実施もあり」と、この数年間というのは、大体2、3年から3、4年ぐらいのイメージで、小泉内閣になってから景気対策を打ったみたいな見方をされてしまうと、非常に我々としては立場がないので、バブル崩壊以降、90年代に集中的にそれをやったわけで、ここのところ、ちょっと表現を……。
〇委員
バブル崩壊以降ですね。そうですね、おっしゃるとおりだ。
〇委員
ですから、そこをちょっと改めていただければと思います。
それから、もう一ついいですか。今の委員のご指摘もありましたけれども、環境問題は、やはり京都プロトコールとの関係の中で、ロシアが批准をするということで、環境として批准をどういう形で、新しいステージに入ったのだろうと思うのです。したがって、私は今の段階の中で実現するとかそういうことは当然難しいということは、税調の判断としてあるのだろうと思いますが、議論をこれからちゃんとやっていくというメッセージは入れておいていただいたほうが、政府全体の取り組みの中での整合性という観点でいえば、私はそのほうが自然ではないかというぐあいに思います。
〇委員
検討ですから、早急に実施すべきという話ではなくて、議論を始めるということですから、その辺は少しお考えが……。
〇委員
環境の問題が出たので私も一言言っておきますけど、この11ページの7の文章というのは……
〇委員
ちょっと待ってください。11ページはまだいっていないんです。法人税の前までですから、いずれまた。今前半のところで、9ページのところまでぐらいにまだ意見が出ておりませんから、これをやってから、いった時に最初にお願いします。
ほかの方で法人税の前まで。
〇委員
今回、消費税が、先ほどの委員からもありましたけれども、一番重要な話で、二桁税率ということをきっちり書き込んだということで、非常にいいと思うのですけれども。
〇委員
これはずっと前から書き込んだんです。
〇委員
もちろん。だけど、やはりここは軽減税率を私自身は絶対入れてはいかんという立場なのですけど、では低所得者に対する配慮はどうかということで、8ページの17行目ですけれども、「税制全体や歳出面を含めた財政全体の中で」となって、「効率的」はカットしているわけですね。そうしたら、「財政全体等の中で」というふうにしていただいて、これはやはり「実像」で我々が検討した「民間が担う公共」というものをここでやはりあれしていかないと、財政全体の中で低所得者層に配慮し続けることすらもう無理になってきているということだと私は思いますので、ぜひ「等」を入れていただければと思います。
〇委員
「等」をどこに入れるんですか。
〇委員
だから、切れてしまったので、「財政全体等の中で」か、「中等」おかしいから。
〇委員
民間のことをおっしゃるなら、そっちを少し入れたほうがいいのではないですか。
〇委員
踏み込んでですか。ではそれはもう……。
〇委員
それとの関係で、私は、消費税のところの6行目からの段落を少し再構成すると、もう少しすっきりするのではないかと考えているのですけど、第一に、消費税のところの第1パラグラフと「高齢化の進展」の第2パラグラフをまず入れ換えて、「高齢化の進展」のパラグラフを最初に持ってきて、その次に消費税のパラグラフを置き換える。
それから、もう一つの修文は、第3番目の「消費税の税率のあり方については」の文章を、その2行下の16行目の「しかしながら」のところに移す。そうしますと、第2パラグラフの「消費税の税率を引き上げていくことが必要である」の次に来る文章が、「消費税の水準が欧州諸国並みである二桁税率になった場合には」というぐあいに続くわけですから、引き上げる必要があるということで、将来消費税の水準が二桁税率になったらどうなるかということが文章としてつながりやすくなりますし、同時に、「しかしながら、消費税の税率構造のあり方については、極力単一税率が望ましい」という話で、その場合でも望ましいということがはっきり出てくる。ただし、条件としては、その下の「十分な吟味が行われるべきであろう」という留保条件がその下につけば、文章としてはすっきりするのではないかと思うのですが。
〇委員
そうですね。ちょっと考えてみます。
それから、先ほどの委員のおっしゃったところ、「等」というのはなるべく使いたくないんですよ。民間の話も含めてちょっと考えてみます。
〇委員
民間が担う公共ということをぜひ……。
〇委員
そうですね、民間の公共性ね。
〇委員
6ページですが、税源移譲の中で、「所得税法及び地方税法の本則改正という恒久措置によって行うことが適当である」、ここで言いたいのは何かというと、所得税及び地方税における恒久措置として行うことが適当であるということなのではないかなと思うのです。どうして税調の答申でこういう技術的な表現をあえて使わなければいけないのかと思いますので、いかがでしょうか。
〇委員
具体的にどこをどう修文したらよろしいですか。
〇委員
21行目を、「所得税及び地方税における恒久措置として行うことが適当である」でよろしいのではないかと思うのですが。
〇委員
本則なんていう仰々しいものを出さなくてもね。
〇委員
ええ。
それから、これは質問ですけれども、7ページの23行目に、「徴収率の向上を目指した執行面・制度面からの検討を行う必要がある」という表現があるのですが、具体的な念頭にあることがあるのでしょうか。
〇委員
税源移譲が行われて、所得税の世界から住民税の世界へとかなり税収が動くだろうと。その時に住民税で確実に低所得者を踏まえて、その辺の捕捉が十分かねという疑問があって、そこで書いたらという議論でこれを入れたんです。
〇委員
議論としては、これからですね。
〇委員
これからですよ、具体的にはね。
〇委員
では、次の8ページです。消費税のところですが、「効率的に真に必要な配慮を行う観点から」という17から18行目の、これは取ったほうがいいのではないかと言われたのですが、低所得者に対する配慮については、税制全体や歳出面を含めた、あるいは民間の、先ほどの委員がおっしゃったような、十分な吟味が行われるべきであろうと。吟味が行われても、やはり配慮をする方々の中で絞り込んでいくというのが今後の方向なのではないでしょうか。だから、「効率的に真に必要な配慮を行う観点から」というのを取ってしまうと、一般的な吟味をすればいいということになりませんか。
〇委員
ただ、「十分な吟味」というのは、そういう趣旨も入れて書いたつもりですけどね、絞り込むという意味で。これは解釈ですけど。ただ、「効率的」云々を入れると、いかにもくどくどしいですよね。そういう結論なんです。
〇委員
ちょっと指摘をしておきました。
その次、質問です。「高い標準税率」というのが20行目にありますが、我々の理解では、標準税率というのは、特に地方税の世界では、超過課税が前提にされたそれぞれのモデル税率を言っていて、消費税は一定税率のはずで、標準税率ではないのではないか。
〇委員
これは欧州のEU本部で言っている言葉ですよ。
〇委員
ですから、EU本部としては、標準税率だと思うのです。
〇委員
「欧州諸国の実態も」というのは、ここにかかっているんですよ。
〇委員
ああ、そういう意味ですか。ただ、EU本部は標準税率でいいですが、各国は標準税率という言い方は変ではないですか。つまり、ここに言っているのは諸国の実態ですからね。高い標準税率のもとで複数税率を採用しているという認識は、私はちょっと、税調として正しいのでしょうか。
〇委員
要するに、標準税率というのは、複数税率をとる時に基本的に使っている根っこにある税ですよね。
〇委員
ですから、欧州本部はいいと思うんですよ。
〇委員
だから、どうしますか。そうすると「基本税率」にしますか。
〇委員
私は、「高い基本税率の下で複数税率を採用している」のほうが正しいのではないかと思うのですが。
〇委員
そういう使い方もあるから、そのようにしましょうか。二課のほうで調べてもらってあれですが、「基本税率」でいいですね。
〇事務局
EUがどう書いているかも含めて、ちょっと……。
〇委員
EUは標準税率でしょう。付加価値税に関するEUの第6次指令にそう書いてある。例のディレクティブで。
〇委員
私ばかりしゃべってはいけませんからついでに、9ページに飛ぶんですが、法人課税のところで、27行目から次のページの3行目まで、寄附金税制を含めた課税のあり方が書かれているのですが、これは実を言うと所得課税にもかかる問題なんですよね。
〇委員
でしょうね。
〇委員
ですから、ここでいいのだろうか。法人課税のところだけで表現していただいていていいのだろうか。私の提案は、実をいいますと、国際課税とかというのと同様に、もう一つ柱を作っていただくと望ましいのではないかと。
〇委員
寄附金税制についてですか。
〇委員
ええ。
〇委員
ここはある意味で、公益法人とNPOの議論で寄附金税制が出ていますから。
〇委員
ですから、「公益法人とかNPO法人に対する税制のあり方」というような柱を立てていただいたらいかがだろうか、というのが私の提案です。
〇委員
そういう趣旨ですね。法人税という中でくくらないで、ある意味では(3)ぐらいにしてくれないかと、こういうご趣旨ですね。
〇委員
そういうことです。
〇委員
ちょっと検討してみましょう。
では、最後にいきましょう。どうぞ。
〇委員
まず、文章に入る前に事実関係の認識からわかってもらいたいんだ。ここに書いてあるように、来年の3月末までに、財務省、経産省、環境省の諸君を全部含めて、政府が一本になって大綱を決めるんです。閣議決定して計画にするわけだ。4ヵ月ぐらいあるのかな。
今の状況下で、ここにいろいろなことが書いてあるけど、僕は事実認識がすごく狂っていると思うのは、その間に、二つの増税あり、増税なしの案が今激突しているわけね。僕の見方では簡単に収まりそうにないわけだ。自民党も二つに割れているから。
そうすると、税調の役割というのは、小泉内閣がしかるべき時期にある方向を出さないと、大綱がまとまらないんですよ。そこで決まったならば、どうしても税金をやりたいと通ってくれば、そうなればこちらは受ければいいんです。税調が割って入って、「環境省諸君、おまえらの考え方はいいから、おまえに加勢するぜ」というふうなことを言うのもおかしいではないかと。まだ税調は中立であるべきなんだ。しかし、議論がそうなった時には、いくらでも議論しますよ。だけど、今の段階でエールを環境省諸君に、増収になるのは何でもけっこうという基本がお互いに認識があるから、かまわないと思うけど、それにしても、今まだ真剣な議論をやっている最中だから、距離を絶対税調は置くべきだと思うんだ。
ということは、今度は文章に入ってくるけれども、この中にいろいろなことが書いてあって、例えば20段、「税収の使途を特定することの是非を慎重に検討する」、ここは「慎重」なんだ。それから、下のほうで一番あれなのは、「できる限り迅速に検討せねばならない」。慎重に迅速というのは、これ本当に難しい話だ。しかも時間は限られているのだから。わかりますか。具体的に、これは考えたように、ほかの税制との関係だとかいろいろな材料が実は山ほどあるんです。ほかの政策との関連は税調で議論することはできないと前から言っているんだ。税制との関係はここで議論できる。だから、タマがこっちへ飛んできた時には大いにやらなければいかん。それはわかっているんですよ。だから、ここでどういう思いで「迅速に検討」と書いたか知らないけれども、迅速に検討ということは、年が改まって正月を過ぎたら、3月の政府部内の決定方向を予測しながら、税調は行動を起こすのかと。タマが3月に総理から飛んでくれば、やはりいろいろな議論はあったけど、ちょっと入れることになったぞと。それで会長が呼ばれて行って、それならそれでいいですよ。だけど、この大きなテーマを3月末までに、政府が決まるまでの間に大忙しで我々も受けて議論しておこうかというのは、僕はものすごく問題があると思う。
繰り返し言っておきますけど、定性的に環境税は僕は反対でも何でもない。手続の問題を言っているわけだ。しかも、税調がそこに割って入って片一方に手を挙げるということは、もうちょっと控えたほうがいい。決まったらいいですよ、いくら議論したってかまわない。私はいくらでも議論する。今の段階で手を挙げるということは、何か環境省と税調がつるんでいるような話で、それはやはり実態からいったらばおかしな話なんです。
〇委員
これは別に3月までにやれ云々なんて一つも書いていませんよ。答申全体の中で書いてあるのは、これから数年間に行われる税制改革を見通して、来年度、17年度税制改正をやりましょうという中の一つの項目ですよ。たまたま委員がおっしゃっているように、限定的に3月まで云々という議論を、ここに書いてあるけど、ここに書いてあるのを見ていただければ、環境税導入の是非を議論しましょう、そして、様々な問題が今山積している、さっきの委員が言われたように、京都議定書は発効が目前だろうし、何か税調としても議論を始めなければいけませんねということを言っているだけであって、何も3月までに決めるなんて一つも書いていませんよ。
〇委員
だけど、真ん中のほうに、来年3月までに行われるであろう大綱の見直し作業を通じて、こうこうこうならば、やはりそれに歩調を合わせて……。
〇委員
3月云々にこだわられるなら、消してしまって、京都議定書の目標達成を念頭にということは完全に効いてくる話ですから、今後これから行われる京都議定書云々でけっこうですよ。大綱があまり縛りがかけすぎるというご判断ならば、このように修正することはあり得るでしょうね。
〇委員
事態の流れを、我々は3年先のことを言っているんじゃないんだ。
〇委員
とりあえず税調として、可能性として、年明けから議論したって一向かまわないじゃないですか。これまでずっと環境税を議論してきたんだから。
〇委員
是非論をいずれやる時期は来ると思うんですよ。
〇委員
ですから、年明けからやったっていいじゃないですか。
〇委員
その時には、ここにいろいろ書いてあるようなことを検討しなければならない。ややこしいんですよ、この話は。
〇委員
ややこしいですよ。
〇委員
だから、簡単に迅速に何とかと言ったって、この「迅速」という言葉が気に入らないと僕は言っているんだ。
〇委員
ただ、諸般の事情から見たら、何にもしないでやるより、迅速にやると言ったほうがはるかに税調のスタイルは出てくる。是非ですから、環境税の反対のほうの議論も含めて一向かまわないんですよ。賛否両論出ているのだから。是非を検討しようと言っているわけですから、迅速に反対の議論をしたらいいではないですか。
〇委員
それもあなたが言うとおりかもしれないけれども、とにかく、明らかにこの話は色がついているの。誰が何と言おうとついている。
〇委員
そうでもないでしょう。それは色目で見るからそうですよ。私はここに書いてあるように、3月云々があれば、ここを削ったらいいと思いますよ。つまり、京都議定書はもうロシアの批准で決まって、日本として責任が出てきて、いろいろ議論が出ている中で、環境税も一つだから、税調としては税以外のところまで口を出すのはいささか口幅ったいから、税を中心にして、京都議定書の目標達成について議論しましょうという、何かおかしいですか。
〇委員
だから、ここに書いてあるように、税の位置づけが政府部内でまだ割れているということなの、私が言っていることは。
〇委員
そうですよ。だから、素直に認めているわけです。
〇委員
それがまとまってこないと、議論ができないのではないですかということを言っているんです。
〇委員
でも、仮に将来環境税はなしといわれるようなことを想定しても、別に税調として環境税の議論をしても一向かまわないでしょう。何もほかから言われている話じゃないんだから。
〇委員
会長の言うことはよくわかるけど、しかし、迅速に何かバタバタやるというのは、どう考えたって、この喧嘩をかって出て、中に入って税調の権威で裁いてやるという……。
〇委員
何度も言うように、3月までの日程ではなくて、17年度税制改正プラス数年後の前広を見た時の税制改正全体を言っているのですから、あなたも京都議定書が発効して何かやれば、当然議論しなければいけないと十分ご承知でしょう。だから、3月までなんて書いていませんよ、これは。
〇委員
だから3月までに閣議で決定するわけ。大綱は計画になるの。
〇委員
それだったら「大綱」を落としましょう。大綱と関係づけて議論すると混乱するから。我々としては一般的な議論をしましょうと言っているだけですから、大綱云々があってそのようなご批判が出るなら、「大綱」は削ったらいいですよ。
〇委員
5ページには28行目に、「環境問題への税制面からの対応についても早急に検討を行う」、それから、11ページの今のところでは、27行目ですか、「迅速に」と。何も「迅速に」という言葉を入れる必要はないので、「早急」でいいではないかと思います。
〇委員
「早急」と「迅速」ってそんなに違うんですか。さっきのように「かかる状況の下」と何度も出されたというからここに書いてあるので、どっちが早いんですか。
〇委員
日本語の持つ語感としては違うと思います。
〇委員
そうすると、「迅速」のほうが早いのか。
〇委員
もう一言なんですけど、これに関連して、運輸・民生ということをどこかに。一番問題になっているのは運輸・民生です。
〇委員
わかりました。運輸・民生のCO2が云々というようなことですね。
〇委員
はい。
〇委員
「早急に」「迅速に」という問題が出ておりましたけれども、私は「早急に」と言う必要はないのではないかと。確かに2012年6%ということは事実なわけですけれども、場合によっては、どうしてもその時に間に合わなければ、例えばロシアから買うとかいうようなことだって可能性はあるわけですよね。ロシアはマイナスになっているわけですから。
〇委員
空気なんて買ってくるのは、可能性はゼロですよ。
〇委員
例えばそういうことだって考えられると。でも、その前に日本の技術をもってするならば、その可能性は十分ある。また、なければいけないと思うのです。だから、あの程度の中途半端な税制を論議するということよりも、もちろんエネルギー課税が5兆円も今もかかっているわけですから、それをどうするかというような問題にも転嫁だってできるわけですし、何も環境税という特別な税を設ける必要はないのではないのかということであるわけです。私の考え方です。
〇委員
ご意見ですね。お伺いしておきます。
では、どうぞ。
〇委員
環境税の是非論の議論というのは、これまでにも何回もあったわけですけれども、やはり一つの重要な検討項目だろうと思うのです。
先ほどの修文の関係ですけれども、「大綱」を落とすという会長の案も一つの案だとは思うのですが、ここら辺の大綱についての言及はそのままにして、26行目の「できる限り迅速に」というこれをむしろ落とす。「多くの論点を検討せねばならない」とする。というのは、その前に「今後、温暖化対策全体の議論の進展を踏まえ」という語句が入っているのですから、当然、先ほどの大綱や何かの検討の経緯というようなものを踏まえてやることになるに違いない。とすれば、非常に刺激的な、時間についての話を書かなくてもいいのではないかという気がするのですけど。
〇委員
なるほど、こちらのをコンバインした格好ですね。ただ、この大綱化が来年3月までに確実に行われるという保証はないのではないですか。かなり延びるかもしれないという議論はありますよね。
〇委員
だとすれば、それに合わせてやっていけばいいのではないですか。
〇委員
だから、それとは別にできるだけ早急に検討するというスタイルもありますよね。どっちがいいのかわかりません。いろいろご意見を聞きましょう。どうぞ。
〇委員
18行目の「環境税の役割としては、本来、価格インセンティブを通じた排出抑制効果を重視すべきである」、この文言は必要なのですか。
〇委員
必要だと思います。というのは、もし環境税を議論する時に、税収で補助金で環境対策費でやるのか、それとも価格インセンティブという意味で抑制効果を持たせるか。環境税本来の姿勢は、仮に、いろいろ反対はあるけど、環境税を本来入れるのだったら、化石燃料の使用を減らす意味で価格を高めて、それで減らしましょうという意味ですから、これはけっこうキーワードだと思いますよ。
〇委員
環境税と価格インセンティブがセットになっているという意味ですよね。
〇委員
そういうことですね、役割としてはね。
〇委員
価格インセンティブというのはあまり意味がないのだったら、環境税は意味がないとなってしまうね。だから要らないかなと思ったのだけど。
〇委員
だから要るのではないですか。まだプラスもマイナスもイコールフッティングで議論しようという段階でしょう。だから、私はこれを書いておいていいと思うのですが。
ほかのポイントをよろしいですか。
〇委員
では、トータルで最後まとめて。どうぞ。
〇委員
さっきどなたかおっしゃった2ページの14行目で、「体質強化が実現されつつあり、その結果」というところにつながるかなと。言われましたね。
それから、もう一つは、8ページの一番下のところですが、30行目です。これはさっき訂正があって、「高齢者を中心に」という表現がありましたね。「中心」というとちょっと価値観が入るので、私は「資産の中で高齢者の占める比重が高まりつつある」というふうにしたほうがフェアだと思います。
それから、もうちょっと重要なポイントですけど、10ページの国際課税のところです。この国際課税のセクションで言っていることは、租税条約を改定して非常によかった、大いにやりましょうということと、これに関連して、直接関連しないかもしれませんが、国内法整備も進めましょうと、こう言っているわけですね。
そこで、18行目と19行目、少し微調整したほうがいいのではないかと思います。というのは、特に19行目ですが、この文章ですと、租税条約が重要でそれを進めるべきだというだけになっているのですけど、その次に出てくる国内法制その他はある程度関係しているので、それを見通してこういうふうに書いたほうがフェアではないか。つまり、「促進のための重要なインフラとして、租税条約等の税制の整備を積極的に進める」というふうに書いたほうが。租税条約はもうすでにできていて、改定、今度はオランダとかいろいろなところがやりますけど、そういうのもありますが、租税条約を結んでいない国もあるわけで、そっちのほうが多いんですね。ですから、ジェネラルな表現でやるとすると、「租税条約等の税制の整備を」と。そうすると、次につながる国内法制もある程度インプライするわけです。
それで、会長と事務局にテイクノートをぜひしておいていただきたいのは、総会で一言言わせていただきたいのは、投資促進というのはものすごく重要な話なんですね。これは政府の基本戦略にもなっている。今、来年の4月に商法改正が行われて、会社法が変わって、それで国境を越えたM&Aが実現しやすい格好に一応なるわけですけど、税の繰延税制が入らないと、これは実効がないんですね。ですから、繰延税制を入れたほうがいいという議論はさんざんあるのです。それは今回の議論ではないのですけれども、来年には必ずやっていただきたいというのはテイクノートしておいて、議事録に残しておいていただきたいと思います。来年は頭出しをしっかりしていただきたい。
〇委員
先ほど起草会合でおっしゃったことを確認ですね。
ほかのところございますか。どうぞ。
〇委員
10ページの一番上ですけれども、公益法人制度改革は、今、公益法人と中間法人を一体化するということになっていますので、ここは「検討結果を踏まえ、公益法人及び中間法人」という言葉をぜひ入れてください。
それから、次のページ、これは非常に大事なことだと思うのですけれども、11ページの酒税のことです。我々はやはり基幹税きっちりこれから国民に負担を求めていかなければいけない。そういう時にきっちりとした理論武装をしていかなければいけない時に、上から2行目に「性状等が類似するもの」という極めて主観的な表現がこの税調の答申の中で入り込むということは、私は非常に危険だと思います。この言葉が後々禍根を残すことに、酒税だけでないところで、性状等が類似していて税負担が違うものについて、税金をどうのということをもし許すようなことになれば、地方における法定外税を含めて大変な影響を及ぼすことになろうと思いますので、角を矯めて牛を殺すようなことがない、我々が一番やらなくてはいけないところをきっちりするために、こういったところは慎重にしたほうがいいと思います。その意味で、6行目の「早急に見直すべき」ということも、ちょっと検討したほうがいいのではないかと思います。
〇委員
理解できないのだけど、性状が類似するもの、これは現状を言っているわけですよね。
〇委員
でも、誰が判断するんですか。性状が似ているとか、似ていないとかというのは、それは非常に危険な話ですよ。
〇委員
危険という意味がわからない。何が危険ですか。
〇委員
性状が似ていて税制が違うと言い出したら、いろいろな所得税でも……
〇委員
現に発泡酒がどうだ、第3のビールがどうだと起こっているでしょう。あのことを言っているんですよ。
〇委員
だからそういうことを、課税ベースが狭いところにかけていくということが、やはり非常に危険だと思います。
〇委員
これは現状を言っているのだから。
〇委員
ですから、酒税の体系というのは、原料とか製造法とか、非常に客観的なところで決まっていたわけです。それを性状が似ているからといって何とかという主観的なものをここで入れたら、他のことに波及するということを……
〇委員
具体的に修文のお考えがあれば言ってください。
〇委員
ここは修文ではなくて、私は反対です。
〇委員
反対だったら、どこを削除するんですか。
〇委員
では、ちょっと考えて……。
〇委員
考えてください。
〇委員
今、性状が何とかというのは、要するに非常に代替的な程度が高いという意味ですよね。それはクロスの価格の弾力性がどのぐらい大きいかということで、データ的には出るはずで、クロスのが高ければ、ほとんど似たようなと消費者が思っていると、そういうことであると思うのです。だから、あるお酒に対する税率を変えた時に、ほかに非常に需要がシフトすれば、その二つのお酒というのはかなり代替的ですから、それは性状が似ていると見ていいのではないか。
〇委員
そうすると、昭和59年に税率が変わった時に、ビールからしょうちゅうにシフトしましたよね。
〇委員
その程度だと思います。客観的なデータで見るのだったら、そこがどのくらいか。
〇委員
ただ、そこのところは、ここは全体に及ぼす影響を考えて、ちょっと修文を考えます。ここは税金をかけるのであればかけるでけっこうですけれども、こういう主観的な表現をちょこちょこ入れながら、大事な根本的なところを議論する時に、やはりこういう曖昧な表現はやめたほうがいいと思います。
それから、最後に、組合事業に関する租税回避のところですが、これも民法上の問題があったわけですけれども、税でやるということについては、それはそれでいいと思うのですが、まともに民法を使った組合事業に対する副作用については、やはり十二分に状況を検討してから措置を講じていただきたい。8行目の「適切な」というところにそれが入っているのだと思うのですけれども、租税回避行為防止で税金を入れることによって、ちゃんと民法上きっちりやっている組合に多大な迷惑がかかることがないようにぜひしていただきたい。これはコメントということでご理解いただければいいと思います。
〇委員
何か入れるような文句があれば言っていただければ、考えますが。
〇委員
つまり、胃が悪いからいきなり外科手術をしようというような感じも若干しますので、本来からいうと、民法で適切に処理、できなければ民法を変えるというところをまず先にやるべきではないかなと、個人的には思っています。それは税調では書けませんから、こういったことになるのだと思うのですけれども。
〇委員
わかりました。コメントですね。
〇委員
11ページの環境のところをずっともう一回読んでみたのですけど、最後の「迅速」でも「早急」でも何でもいいのですけど、「検討せねばならない」と。ほかの部分も「何とかせねばならない」とか「見直すべきである」とかいろいろあるのは、誰がというのは自ずとわかるのですが、財務省が考えろとか、政府が考えろとか、自分で考えろとか、わかるのですが、ここはやはりわからないような気がするのです。誰が検討するのだというのを入れておいたほうが。政府一丸となって、一丸にならなくてもいいけど、「政府は」とか、環境省がやるか経産省がやるか知らない。税調が検討せねばならないのかと。
〇委員
ただ、それはどこにも入っていない言葉なんです。ここだけ入れるとかえっておかしくないですか。
〇委員
ほかは、大体読めばわかるんですよ、誰か。
〇委員
ここもわかるのではないですか。
〇委員
目標が2010年で、例えば経済団体連合会の中では、目標をそれぞれ全部公表しています。経団連の行動憲章みたいなものに合わせて、自分たちの業種は何%1990年に対してと、こういうのを公表しています。それが目標になっています。自主行動計画で。
〇委員
そういうことではなくて、25行目、ボーっと読むと、「環境税に関する多くの論点をできる限り検討せねばならない」というと、普通は税調でないんですよ。普通は環境省が自分でもっとしっかりしたのを持ってこいとか、内閣府でまとめろとか、そういうふうに僕は読めるのですが。
〇委員
そうですか。でも、これは税調の答申ですから、「ねばならない」とか「必要である」というのは、主体的にはやはり税調ですよ、議論としては。
〇委員
それでいいんですか。
〇委員
僕はそう理解していますけどね。何で環境省のためにやれなんて塩を送っているんですか。
〇委員
ほかは政府が検討しろみたいなものも……
〇委員
政府税調ですから、税に関しては我々が引き受けるということでしょう。
〇委員
環境問題については、経済産業省の資源エネルギー懇談会ですか、要するに政府がきちっとした委員会と、それから産業構造審議会と両方がやっています。
〇委員
ですから、それは経産省の委員会で、また政府が諮問しているかもしれませんが、ここはあくまで税調の議論ですから、税調がやるべきだということですよ。
〇委員
ですから、私が言っているのは、政府は政府としてやはりやっていますよということです。そういう目標をきちっと立ててやっていますよと。だから、ここで言ってはいけないとは言っていないです。並行して温暖化対策の議論を税調でやってもいいですよと。いいけど、その時にそういうことがあるということを前提にしてやるべきだと。
〇委員
多岐にわたる検討課題が山ほどあって、それを受けて税調で議論しましょうということを言っているのでありますから、決してほかのいろいろな議論を無視するというわけではなくで、いろいろな人の意見を聞いたりしなければいけないことがあるでしょう。現に二つ案が出てきたわけですから、ああいう形で進めていきましょうということを言っているわけで、賛成も反対もここで議論したらいいと思います。
〇委員
今の環境の問題、地球温暖化の問題は、税調で議論するのは税金の関係の問題ですから、ここで云々は言えないと思いますけど、エネルギー問題として考えた場合には、かなり大きな問題ですし、かなり長期的な国策として考えなければいけない根の深い問題がありますので、その辺のところは全然違う場で相当詰めた議論をして、日本の国としてどう考えるのか、その辺を原子力発電を考えたり、ほかのエネルギーを考えたりしながらやっていかないと、50年、100年の先を考えて、日本の国がどうなるのか、そういうところまで考えないといけない問題だと思います。そのことは問題が大きいということだけ申し上げて、税調で考えるところとはちょっと違うかなと思うということだけ申し上げます。
私、そういうことから言えば細かなことなのですけれども、5ページのところでちょっと消費税絡みで申し上げたいのですけど、よろしいでしょうか。
〇委員
どうぞ。
〇委員
18行目のところで、「消費税についても国民的な議論を進めていくべきであろう」と書いてくださいまして、ここのところで消費税の問題をきっちりと受けとめてくださっているということを、大変いいことだと感謝申し上げるのですけれども、25行目から2行ほどのところで、個人所得課税云々から、「消費税の税率を引き上げていくことが、今後の税体系構築の基本となる」と、こう決めつけてしまっています。確かにそういう考え方はあるのですけれども、もう何回も申し上げているのでそれ以上のこと申しませんけれども、増税路線で、それも消費者にとってはかなり負担になる問題だということが一番言われております。ここで「税体系構築の基本となる」というところまで言ってしまうと、もうその線は決まってしまったという書き方になってしまいます。せっかく「議論を進めるべきであろう」と言っているのに、ここで「基本となる」ということで、ここをちょっと工夫していただけないだろうかということを申し上げます。
〇委員
前からずっと一貫して読んでいただきますと、財政の健全化とか、放漫な、まさに持続可能性が不可能になってきたという、新しい認識に立ってという、基礎問題小委員会では大体そういう議論をしていまして、それの核としては、消費税あるいは個人所得課税が問題だろうというふうになっていますので、仮にこれを消した時に、では財政の健全性とか財政の持続可能性を無視していいのかと、また説明しなければいけないですよね。そこをどう説明したらいいでしょうかね。放っておいていいのか。つまり、財政赤字が増える、将来世代の負担になるというのはみえみえですから、その辺どう説明したらよろしいですかね。何かお考えがあれば。
〇委員
ほかのところでも書いていらっしゃるわけですけども、財政が健全でなくなった原因は、ここで書いている個人所得課税、それから消費税が低いから、前の説明の中でも、国際比較を見た場合でも、税の負担が国際的に見て少ないというご説明もあったわけですけれども、使い方の問題で見た場合に、本当に国民が望むような使い方をしてきたかという問題もあります。その辺のところが、特に今回の中越地震等の被害を見ておりますと、公共投資等でも要らない投資をしてきて、それがああいう災害に、地震がつながったというのではありませんけど、災害を大きくしてしまった、そういうことにつながっているではないかと、そういう批判も住民の中から出ていることは事実でございます。それから、諫早の干拓の問題でも、やり始めてしまったらば、もうそれはあとに引けないというような問題も出ております。
そういうことから考えると、どうも公共投資は必ずしも住民が望んでやったということだけではない。そういう問題もありますので、長年の積み重ねがそうさせてしまっている。その辺のところも、もちろん小さな政府というような歳出の問題についても触れているわけですけれども、何か税体系構築の基本となるという、そういうところまで踏み込んでしまって、前段で言っている、議論を進めていくべきであろう、あるいは国民の合意を得る、そういうところになった時に、やはり違和感があると私は思いますけど。
〇委員
テイクノートしておきます。そういうご意見があったということですね。
〇委員
先ほどの3ページの「歳出・歳入両面からの財政構造改革」というところで、13行目ですが、これはやはり2行しかないのはまずいですね、よく見てみたら。行数の問題を単に言っているのではなくて、いかにも軽い感じがしまして、「聖域なく歳出の削減を進めるべきである」はお題目っぽいし、今回見返りなく負担増を求めるわけですから、ここは、初めからこの部分をいきますと、「このため、政府には徹底した行財政改革を行う責任がある。行政コストの削減、民間でできることは民間に、天下りを減らすなど、信頼性を高めることが重要である」というようなことを言って、「各種の制度……聖域なく歳出を削減するべきである」というようにまとめたほうがいいかなと思いますが、どうでしょうか。
〇委員
2、3行増やして、具体性を持たせるということは一つあり得るかもしれません。つまり、標題が歳出・歳入両面からですからね。
〇委員
今のをセコンドしたい。ここはやはり問題で、「行財政改革を行い、その透明性・信頼性を高めるとともに……」というのは、パンチのきかないはっきりしない文章。先ほどの委員が言ったのも、本当に国民のためになっているのかよということを言っているわけですから、そういう意味でも、ここはしっかり書いてしまいましょう。
〇委員
それはあとで検討します。
あと数分しかないので、進め方ですが、11ページの例の環境問題のところ、議論がいくつか分かれ、今日は起草会合のこの案文を作った時の方がいないので、その意見を全部聞き取れていないのですが、おそらく選択肢は、最後のところの「できる限り迅速に検討しなければならない」というところを消して、地球温暖化大綱をそのまま生かすか、あるいは地球温暖化大綱のところを、今後の京都議定書云々に3月までという限定をつけないで、あとずっと議論を続けるという意味で、これを消して最後のところを残すかといったようなあたりの選択ですが、いずれにいたしましても、明日起草会合をやって、水曜日にもう一回総会をやりますから、まだ時間的余裕はあります。ありますけど、今日大分議論に参加していない人がいましたので、具体的な案を、今の点は決して忘れてはおりませんから、どういう形にしたらいいか、もう一回起草会合に持ち帰って、今のコメントを具体的な文章の中に移すという格好にして、再度提出をするという格好でよろしゅうございますか。
〇委員
今の件は、私、先ほどの委員が言われたことに賛成なのですけれども、「温暖化対策全体の議論の進展を踏まえ」と書いてあるから、できる限り迅速に検討するかどうかというのは会長権限なので、議論の進展を踏まえて会長が職権で早くやりたければ早くやればいいのですから。議論の視点を踏まえということは、議論がここまでいったら議論を始めようかどうかということは、会長が決めるわけですから、そのことが書いているから、「できる限り迅速に」と入れてしまうと、どこかに何かあるのではないかということをかんぐられる恐れがあるので。
〇委員
地球温暖化大綱のほうの3月云々のところはどうですか。
〇委員
これは私はどっちでもいいと思いますけどね。そういうものも含めて「全体の議論の進展を踏まえ」ではないかと思うのですけど、そうではないですか。
〇委員
先ほどの委員が言われた妥協案が当面一番妥当だと思っているんだ。迅速で何とかというセリフは余計なのよ。できっこないんだから、そんなことは。
〇委員
だから、大綱のほうも「早急」は取っていただく。
〇委員
「環境税に関する多くの論点について検討せねばならない」とか、「検討する必要がある」とかと、さらっと言っておけばいいのではないでしょうかね。
〇委員
あなたが言ったのはどこの「早急」ですか。
〇委員
5ページのところ。そっちも直してもらわないとおかしくなる。
〇委員
「早急に」ということですか。これも検討しておきましょう。
いずれにしても、何かしなければいけないのは事実なんですよ。これからとして。それをはっきりどこかに書き込まないと、税調として責任回避だと思われますよ。だから、すべて封じ込みではまずい。だから、みんな出してここで議論したらいいではないですか、賛成、反対。それがどっちへ行くかわかりませんけど。
では、今の点も踏まえて、もう一度明日集まりますから、今ここで決めうちも難しかろうと思いますから、もうちょっと修文を考えましょう。
ほかに何か。どうぞ。
〇委員
9ページですが、上から6行目です。相続税の問題ですけれども、「相続税の課税ベースの拡大に引き続き取り組むことが課題である」というふうに書いてありますが、これはこれでけっこうなのですが、ただ、「事業承継資産に対する配慮をしつつ」とか何とか入れておいていただかないと、課税ベースすべてが拡大されてしまうのではないかというような気がしますが。
〇委員
事業承継もまた長年抱えている税調の固有の問題でありまして、これまですべからく、その場その場で実務的には処理してきましたけれども、事業承継を全般的に中小企業の方が言っているような形で特例を認めるという話ではないのです。つまりサラリーマンとの比較もあるでしょうし、農地との比較をよく言われるけれども、農地とはまた違うでしょう。中小企業をやって、そのあと全部処分してしまうこともあるでしょうから。だから、それを入れるのは僕は難しいと思う。ただ、おっしゃる課税ベースを広げるといっても、今の5,000万、1,000万のところの話であって、100人いるうちの5人が払うか払っていないのが、何人増えるかぐらいの程度でありますよ、当面は。だから、これは直に中小企業云々とひっかけている議論ではないんです。ただ心配だということですね。
〇委員
そうなんです。基礎控除を減らしていただくのは、会長おっしゃるように、それは考えるべきだと思います。それは全く同感です。でも、事業承継税制も同じところへ入ってしまうのはどうかなということだけです。
〇委員
これはぜひともお願いしますよ。本当に今仕組みが世の中変わってきていますので、よろしく。
〇委員
生前贈与で大分財産を移している人もバンバン出ているわけですから、仕組みも変わったんですよ。逆に言えば、あまりここで利害関係者がワーワー言ってもらっても困るんですよ。わかりました。ちょっと考えてみます。
それでは、あとの予定ですが、明日の起草会合をもう一回2時-4時までやります。そして、あと水曜と木曜で起草会合と総会をやって、木曜日に一応まとめていただいて、首相官邸へ持っていくという作業をしますから、水曜日に起草会合と総会をもう1ラウンドやる。その総会のところで、今日まだ最終的に決着していないところは決着をしなければいけないだろうと思いますので、今の事業承継も含めて、ちょっと議論を整理していきましょう。
ほかに何かございますか。
〇委員
小学校以来宿題を忘れたことがないので、さっきの宿題を、11ページ目の1行目の「また」から3行取って、6行目の「早急に」のあとを、「かつ包括的に」ということを、一応提案だけさせていただきます。
〇委員
わかりました。おっしゃっていたことは、「早急に」では弱いから、もっと「包括的に」みたいなのを入れろと、こういうご趣旨ですか。
〇委員
つまり、タックスベースを広く議論して、ほかの税制に影響しないような議論をしてほしいということです。酒税そのものはそれほどあれだと思うのですけれども。
〇委員
わかりました。
ほかにご指摘の点ございますか。よろしゅうございますか。それでは、まだもう1ラウンドございますから、起草会合でも十分詰めましてまたご提案したいと思いますが、いずれにいたしましても、25日におしまいが切られておりますので、そこまでにはご協力をいただいてまとめたいと思っております。
それでは、どうも今日は長時間非常に活性化した議論で、ありがとうございました。
〔閉会〕
(注)
本議事録は毎回の審議後、速やかな公表に努め、限られた時間内にとりまとめるため速記録から、財務省主税局及び総務省自治税務局の文責において作成した資料です。
内容には正確を期していますが、税制調査会議事規則に基づき、事後の修正の可能性があることをご承知置きください。