第20回総会・第27回基礎問題小委員会合同会議 議事録

平成16年11月12日開催

石会長

それでは、時間になりましたので、今日は、総会と基礎問題小委員会、合同で行いたいと思います。

そこで、かねてご案内のように、今日は環境税の集中審議という形で、最初、事務局のほうから30分ほどご説明いただいた後、90分じっくりかけて討論したいと思います。

そこで、後ほど資料の説明がございますが、中央環境審議会、あるいは産業構造審議会等々の関係審議会が案を出しておりまして、それは京都議定書が調印された後、国際的なスキームができたわけですが、どういう手段でやるかというときに、環境税を入れる案と環境税なしでやる案と2つ、今日は事務局を経て、その内容を聞いて、それをベースにいたしましていろいろ議論したいと思ってます。

ただ、環境省も経産省も直接来てこれを説明するというよりは、岡田税制三課長がかわりに説明してくれるというわけでありまして、岡田さんに細かいことを聞いても、これは本来の筋から違うので、いずれにいたしましても、この2つの案をベースにして、環境税というのはこういうものだ、ない案で果たしてこういうものだと、ある案、ない案というのをベースにして、我々税調として、今後、環境税をどう取り組むかという視点でご議論いただきたいと思います。

国税に関しましては、今申し上げた岡田税制三課長、それから、やはり地方税にも環境関連施策絡みの地方税がございますので、これは岡崎企画課長からご説明いただくという段取りでいきたいと思います。

では、岡田さん、よろしく。

岡田税制第三課長

三課長の岡田でございます。

私のほうからは、お手元の「資料(環境税関係)」、総20-1と書いた資料でご説明いたしますが、資料の中身に入ります前に、若干関連の資料についてご説明をしておきます。

先ほど、石会長のほうから、環境省の案と経産省の案とを紹介するという形でお話がありましたけれども、A4縦長の環境税の具体案、右上に総20-3と書いた案、机上配付してありますけれども、これが環境省から直接提出されております生の具体案でございます。この中身は、エッセンスだけ、私、ご説明しますので、これはご参考という形です。

それと同じような位置づけで、今度はA3の横長の大きな紙、総20-4と書いた紙、これは経産省のほうから提出がありました資料でございまして、これもご参考までということで机上に置かせていただいております。

したがいまして、私のほうからは、冒頭申し上げました「資料(環境税関係)」という資料を使いまして、しかも、前回以降、10月に1度やりましたので、それ以降の動きに絞ってご説明をさせていただきます。

まず1ページでございます。「地球温暖化問題の経緯」ということで、これは前回お配りした資料ですので改めてご説明はいたしませんが、最近の動きといたしまして、それの一番下、平成16年9月に、ロシア政府が京都議定書を批准する旨の政府決定があったと前回ご報告いたしましたが、その後のロシアの動きについて、2ページでご説明しておきます。

ロシアの下院、上院と10月中に可決いたしまして、現在、11月5日段階で、プーチン大統領は議定書に署名をしておりまして、この後、批准手続に入っております。ですから、最終的に批准手続が終了してから90日後には発効するということで、来年2月中旬には京都議定書の発効が確実視されているという状況でございます。

次、3ページ、これも前回ご説明しましたが、これからご説明する経産省案、環境省案を見ていただく上で前提となる資料ですので、確認だけもう一回させていただきます。日本は温室効果ガスの削減目標6%の枠組みというのを持っておりまして、この中で前回私が申し上げたのは、実はこの[1]のエネルギー起源の二酸化炭素、これが実に12億3,700万トン中10億4,800万トン、85%がここに集中していて、これをどうするのかというのがポイントになるということをご説明したかと思います。

次の4ページでございます。これも前回ご説明した資料ですけれども、左側のほうで、基準年、12億3,700万トンから、京都議定書の目標である6%削減にいく途中、現在、2002年度の数字が出てますが、逆に温室効果ガスの総量ははね上がっていると。12億3,700万トンから、平成14年度で13億3,100万トンまで来ているので、6%削減しただけでは足りなくて、2002年度基準で言えば13.6%削減しなければいけなくなっているということでございます。

前回議論させていただいたときに、何でこんなにはね上がったのかという質問がありまして、私のほうから、原子力発電の停止による特殊事情もありますということをお答えしましたけれども、2002年と2003年に関してはそういう影響がかなりあると。大体2%ぐらいはかさ上げされているという話を経産省のほうからお伺いしました。

次に、いよいよこれをもとに5ページ、ここから経産省案と環境省案についてご説明しますが、詳しい中身に入る前に、全体の俯瞰図的なものを見ておきたいと思います。

まず5ページは、環境省が提出しております環境税によってどうやって削減していこうかとしている数字の資料でございます。このグラフの一番左側、2002年というのが、先ほど見ていただきました13.6%のギャップが出ている、こういうことでございます。これを今後削減していかなければいけないのですが、削減の約束年は2008年から2012年の5年間ということになっております。しかし、日本国内の意識としては、2010年の時点ではもう達成していないと、最後の2年間で駆け込みでやってもしようがないだろうということで、2010年の時点では6%削減を達成したいという意気込みでやっております。

この棒グラフの左隣のところ、「2010年現行対策のみ」と書いてあるのは、追加的な対策を何もしないとどこまで温室効果ガスが上がっていくのかということで、環境省の試算では、最大値で見ると、今の+7.6%は+8.1%になる。最大で、したがって14.1%を削らなければいけなくなる、こういう前提でございます。

このうち、吸収源対策と書いておりますのが森林で吸収する分です。この森林吸収の分は本来は3.9%と見てましたけれども、実際、今の状態では3.1%の削減効果しかない。したがって、森林を除いた残りの10%から11%の削減について考えていかなければいけないと、こういう枠組みになっております。

そのために、右側の「2010年追加対策あり」という計画を出しております。この中では、先ほど申し上げましたエネルギー起源CO2というのが非常に大きな比重を占めているということで、このエネルギー起源CO2の部分で6.6%削減するという目標を環境省は立てております。この6.6%のうち、規制であるとか、自主的取り組み、普及啓発で4.0%削減し、それから環境税を使って、これは税を乗せることによって価格が引き上げられて、それで皆さんが石油関係の製品を使わなくなるという価格効果を含めて2%ぐらいを削減したいと、こういう腹づもりのようでございます。

それから下の部分、その他ガス、京都メカニズム、吸収源対策――この吸収源対策というのは森林対策に上乗せをして0.8%乗せようということなのですが、この部分でも、同じく環境税の税収を充てて、約2%強を削減したいと。それ以外で▲2.0%、合わせて10~11%の削減を行う。したがいまして、合わせますと、環境税による削減は4%強程度、こういう形になります。

次のページ、「増税なき削減約束の達成」という言葉が出ておりますが、これは経産省がつけたネーミングでございまして、経産省の案では、先ほどの2002年が13.6%というのは同じですが、2010年の時点でどの程度まで温室効果ガスが上がっているのかという試算は、先ほどと違って、5.0%程度までしか上がらないだろうと見ております。したがいまして、ギャップとしては、削減目標6%と、上に上回った分5%として11%のギャップについて対応すればいいと、こういう考え方でございます。

吸収源対策、これは森林ですが、同じく3.1%引きますと、残った分は6.1~7.9%程度、これについて追加対策を考えればよいというのが経産省の立場でございます。

その内訳は一番右側の棒グラフに書いてありますけれども、5%程度を省エネ法の抜本強化といった規制関係を使って稼ごうと。その後、代替フロンなど温室効果ガスの追加削減で1.5~2%、最終的に京都メカニズムを本格活用で1.6%ということで、実は、先ほど環境省のほうでございました森林吸収源対策についての追加措置はこの中には含まれておりません。こういう形になっております。

これを念頭に置いていただいて、それぞれ環境省案、経産省案について中身をご説明していきます。

ページをお開きいただきまして7ページでございます。ここからが環境省案、「『環境税』の具体的な仕組み」ということになります。先ほど申し上げましたように、環境省の考え方としては、ギャップ14%のうち約4%程度を環境税で削減すると、こういう目的を書いております。

課税対象・課税段階ですが、これは大きく2つに分かれます。上流課税と下流課税というものがございます。上流課税というのは、課税対象が生産段階、石油関係ですので、精製した段階、あるいは海外から製品を輸入した段階、そこで課税するというのが上流課税でございます。これの課税対象になるのが揮発油(ガソリン)、それからあと軽油、灯油、LPG、これが上流課税の課税対象です。

下流課税に関しては、消費をする時点で課税するということで、課税対象は石炭、重油、天然ガス、それから都市ガス、電気、ジェット燃料となっておりますが、このうち前3つの石炭、重油、天然ガスにつきましては、一番下に書いてございますように、大口事業者のみを対象にして課税をいたします。したがって、一般家庭等では課税をしないと。それから残る都市ガス、電気、ジェット燃料については、これは特に差別なく全般にかけるという案になっております。

実際にかける税率、8ページのところに税率が冒頭に書いてございますが、これは炭素課税の形をとりますので、排出される炭素1トン当たりについて2,400円というかけ方をいたします。これは少々わかりにくいのですが、例にとりましたガソリンで言いますと、ガソリン1リットル当たりにして約1.5円税金がかかると。電気1キロワット当たりで0.25円かかる。

一応モデルケースを参考にして環境省がはじきましたところ、(注)にございますように、1世帯当たり、家庭において年間で約3,000円の負担増になると。月額にいたしますと250円程度の税負担が生じるということになっております。

この税は実はさまざまな減免措置がついておりまして、それが真ん中のところに書いておりますけれども、減免措置、ちょっと解説していきますと、まず鉄鋼等製造用に使っているような原料、石炭とかコークス、あるいは農林漁業で使っておりますA重油等は免税になっております。それから2番目に、エネルギーを非常にたくさん使っているような製造業に関しましては、これは非常に負担が重くなるということで軽減措置を講じるということにしております。それから3つ目は運輸事業、これはトラックなんかで運送をやっておられる方、これも負担がかなりかかるということで軽減措置を入れております。これは軽油について軽減措置をするということでございます。それからあとは輸出するもの、これについては免税にするというのが4番目。それから発電用の石炭等についても免税となっております。

その下は、今度は低所得者対策等ですが、低所得者等に配慮しまして、電気、都市ガスに関しては免税点が設定されております。免税点というのは、要するに、一定量まで使っても、そこについてはこの環境税はかからないということになっております。同じく小口事業者向けに、消費する燃料について非課税というのが入っております。あとは寒冷地、低所得者に配慮して、暖房用に使う灯油等に関しては、これは税を軽減するということになっております。

以上を含めまして、実際の税収を環境省で試算したところ、税収にして約4,900億円の税収が上がると。このうち産業部門、これは工場とメーカーから上がると考えていただいていいのですが、1,500億円。それから業務、その他の部門、これは我々役所もそうですけれども、事務職の部分、このオフィスの部分で2,000億円の税収が上がる。一般家庭から1,400億円の税収が上がるということになってます。

税収の使途がその右側に四角で書いてありますが、基本的には一般財源ということになってます。一般財源ということは、法律上使途を縛らないという形になります。ですが、一応地球温暖化対策にそのうちの3,400億円程度が使われる、あるいは使いたいという前提で税収の使途を想定しております。この3,400億円のうち2割を地方へ譲与すると。環境譲与税というものをつくるということをうたっております。

4,900億円から3,400億円を引きました残り1,500億円、これは雇用の促進等を通じて企業活力の維持・向上のための財源にするということで、この部分はCO2削減とは全然関係はございません。具体的に何かというのはまだ決まってないようですが、聞いた限りでは、例えば企業の社会保険料の負担を軽減するとか、そういうことに使いたいということのようでございます。

次の9ページでございます。9ページのところは、以前、政府税調のほうでご議論いただいた際に、既存のエネルギー課税等の関係についても整理すべきだという意見があったのを受けて、石油石炭税との関係について所要の整理を行うという整理になっております。したがいまして、ほかの揮発油税であるとか自動車重量税等、多々ほかにもいろいろ特定財源になっているものがございますけれども、その部分については特に調整は書いてございません。

以上のようなことをやりまして、削減効果については、先ほどご説明しましたとおり、4%強の削減。(注)に書いてありますが、この4%のうち価格が引き上がることによってみんなが節約するという価格インセンティブ効果の部分は0.5%、あと残り3.5%は、実際の税収を活用して各種施策を行うことによって3.5%削減をするということになっております。

実施時期につきましては、平成18年1月からの実施を目指すということになっております。

この後は参考資料なのでご説明はしませんが、何なのかだけをご説明しておきます。

10ページは、それぞれのエネルギーごとに幾らになるのかという税率の表でございます。

それから11ページ、これは環境税を導入することによって価格効果、あとは財源効果、それからあとアナウンスメント効果というのを見込んでおりまして、それぞれがどう関係してくるのかというのを整理した環境省の資料でございます。

それから12ページ、これは「環境税の効果・影響」ですが、ここでは環境と経済の両立が図られるのだということを説明した環境省の資料でございまして、若干申し上げておきますと、「経済全体への効果・影響」という右側の四角、この一番下に書いてございますが、環境省の試算では、GDPへの影響は、年率にすると0.01%程度だという試算を出しております。

それから13ページ、これは税収の使途は一般財源だということで、しかし、環境対策にいろいろ使いたいということのようですと先ほど説明しましたが、そのときにどんなものに使うのかの例示でございます。これは積み上げという形ではなくて、例えばこんなものに使っていくというのが掲げてございます。

最後、環境省作成の14ページの部分は、以上申し上げましたことを細かく一表にまとめたものでございまして、整理のためにつけておるということでございます。

以上が環境省の環境税案でございます。

次に、経産省の「増税なき削減約束の達成」というものに入っていきます。15ページでございます。経産省の案は実は3本の柱から成り立っております。第1の柱が産業・民生・運輸にわたる省エネルギー対策等の抜本強化ということで、ここは一番の軸になる。しかも、ここで5%程度の削減を見込んでおるということでございます。2は、代替フロンなど他の温室効果ガスの追加削減、それから3の京都メカニズムの本格活用ということで、それぞれの数字を見込んでおりますが、参考までに申し上げておきますと、この2と3に関しては、環境省もここの部分について、ここでこれだけの施策を稼ぐというのは意見は一致しております。

意見が一致してないのは、この2と3をやるのに環境税の税収も一部充てなければいけないのではないかと、追加財源が必要ではないかというのが環境省の意見で、既存の予算の中で対応はできるというのが経産省の意見、こういうことになっております。ですから、大きく違ってくるのは1の省エネ対策の抜本強化のところかと思います。

それにつきまして16ページでございます。この16ページが省エネ対策の抜本強化について説明した資料でございまして、ここにございますように、(1)(2)(3)、産業部門、運輸部門、民生部門それぞれで規制強化等を行っていく。

産業部門に関しましては、「更なる削減のための対策の徹底・深堀」と書いてございますが、産業部門では省エネ対策の義務を負うような工場等がすでに規制としてできております。それについてさらに拡大していくといったことを中心に策を講じていって、0.5%程度の追加的な削減を行う。

それから運輸部門につきましては、ここは初めて運輸部門に規制を導入することによって1%程度の追加削減を見込む。

3番目の民生部門のところは、「民生用機器や住宅・建築物の省エネ性能の向上」、それからもう一つは、「小売店や電力・ガス会社等による需要家の省エネ促進」と書いてございます。これはいろいろ出ております製品にどの程度省エネになっているのかの情報の表示を義務づけたりとか、店頭で説明をさせるといったようなことで、そうした省エネの製品の普及を図るといったことを中心に考えておるようでございます。

(4)のエネルギー供給部門のところは、新エネルギーの利用促進であるとか、あとは天然ガス化を図っていくとか、そういったことで2%程度の追加的な効果を見込んでいるということでございます。

以上のようなことを行うために、その矢印の下のところに書いてございます、(1)から(3)のようなことをやりたいと。(1)は法律上の話でございまして、省エネ法の抜本改正をやりたい。もう一つは、流通・物流効率化法という新しい法律を制定したい。これは次期通常国会でやるということを言っております。(2)は地域ぐるみの省エネ推進等のため各省の連携強化をやって、具体的なプロジェクトを立ち上げていく。3番目に、地球温暖化対策予算の拡充、それから有効活用を図るということで、政府全体としての地球温暖化対策予算を拡充していくことと、あとは石油特会でやっております温暖化対策予算を増やしていって、そこで対応していく。ただし、ここの部分で新規に環境税で対応する必要はないということを経産省は言っております。

次の17ページは、先ほど私が申し上げました産業部門からエネルギー部門まで具体的にどういう施策をやろうとしているのか、各項目別で、それによって何が必要で、予算が幾ら必要で、削減はどの程度見込めるのかということを書いた裏づけ表でございますが、これの説明は私のほうからは省略させていただきます。

18ページ、これも先ほど申し上げました「省エネルギー法の抜本改正の概要」でございます。これも読んでいただければわかると思いますので、説明は省略いたします。

次に2本目の柱でございます、「代替フロンなど他の温室効果ガスの追加削減」。ここで1.5~2%程度の改善を見込んでおると。環境省も内容はほぼ一致しておりまして、ただ、先ほど申し上げましたように、追加予算が必要なのか必要でないのかというところで意見が分かれているということでございます。

中身は2つございます。1つは代替フロン等3つのガスがございますが、これについて1.2%程度追加削減を行うと。これはフロン回収システムの強化であるとかノンフロン品への切りかえ等によって深堀をしていくというのが1つでございます。もう一つは非エネルギー起源のCO2、例えばプラスチックを燃やしてできるCO2みたいなものとか、あとメタン、N2Oといったものについて、これも追加削減を行っていく。これは下水の汚泥焼却施設であるとか廃棄物の減量等によって達成していくということでございます。

具体的な中身は、先ほどと同じように、20ページに書いてございますが、説明は省略させていただきます。

それから21ページ、これは代替フロン、3つのガスがあると言いましたけれども、そのガスでございます。1点申し上げておきますと、これら3つのガスは、地球温暖化係数、CO2を仮に1とすると、どれぐらい温暖化に効果があるといいますか、悪影響があるのかということで言いますと、かなり高い数字のものでございます。ですから、これを削減することによって、温暖化係数から言うとかなりの部分抑えられるというのが経産省の説明でございます。

それから22ページ、「京都メカニズムの本格活用」でございます。これも中身としてはおおむね環境省とは一致しております。経産省のほうがより詳細なものを出してきているということでございます。京都メカニズムの話は、前回のときにあまり詳しくご説明しませんでしたが、通常、京都メカニズムという名前で言われているものは、空気を直接買ってくるというイメージが多いのですけれども、ここで言っております京都メカニズムは、そこの図にございますように、日本が海外、特に途上国でございますが、そういうところで資金や技術を提供することによってCO2の削減プロジェクトなんかをやる。そこに書いてございますように、省エネであるとか、バイオマス発電とか代替フロン削減などをやると。そうしますと、そこで削減できた量は日本側のクレジットとして換算することができる。これは京都メカニズムの一つでございます。こういったプロジェクトをたくさん立ち上げて、それをカウントしていきたいと、こういう説明でございます。

[2]のところにございますように、こういったプロジェクトというのはすぐやってすぐできるものではございませんので、それの掘り起こしのための「CDM/JIプロジェクト100構想」というのはすでに着手しておりまして、現在もう12件のプロジェクトが政府承認されているという状態にございます。これについての予算措置も今行っているということでございます。

23ページに、すでに政府承認があった12件が書いてございます。これは詳しくはご説明をいたしません。

それから24ページが「京都メカニズムの意義」、これも説明は省きます。

25ページが「京都メカニズムの概要」ということで、さっき私がちょっと口頭で説明したことがここの3つの類型になって出ております。経産省が言っておりますのが共同実施(JI)、それから真ん中にありますクリーン開発メカニズム(CDM)、これをやっていこうということでございます。それぞれ、先進国でプロジェクトをやるのか、途上国でプロジェクトをやるのかと、こういう仕分けでございます。一番右側にあります排出量取引というのはまさに空気だけ買ってくる、これはやらないということのようでございます。

それ以降は参考資料なので、基本的に説明は省略しますが、26ページだけ説明しておきます。これは今まで私がご説明したことの最終的な整理、これを数字であらわしたものでございます。まず「現行対策ベース」という欄が真ん中にありますが、現行対策ベースを続けていくと一体どうなるのかというところの試算として、一番違ってくるのはエネルギー起源CO2、これは非常に大きな比重を占めるのですが、それがどの程度伸びるのかというところで両省の試算が違ってきているということでございます。

あとは追加対策として何をやるのかというのが一番右側にございますが、これで違ってきている部分は2つございまして、エネルギー起源CO2のところで何をやるのかというので経産省と環境省は違ってきていて、したがって、効果も違ってきている。

それからもう一つは、森林吸収源について追加的な対策を行うのか行わないのか、林業にてこ入れをするのかしないのかで、経産省はせずとも大丈夫だと、環境省はしなければならないということで数字が違ってきてます。

白いままになっております代替フロン等3ガスとか、非エネルギー起源のCO2、あるいは京都メカニズムという部分は、先ほど申し上げましたように、内容的にほぼ一致しておりますので、数字は同じです。ただし、ここで追加の予算を使わなければいけないのか、使わなくても済むのかというところで両省の見解が対立しているということでございます。

私のほうからは以上でございます。

石会長

ありがとうございました。大変手際いいご説明を受けたと思います。

それでは、地方税関係、岡崎さん。

岡崎企画課長

私も簡単に。

「地方税関係資料(環境税関係)」という資料でございますが、1ページの「環境関連法における地方公共団体の位置付け」、あるいは2ページの「地方公共団体の地球温暖化対策」、3ページ、「地方税と環境の関わり」あたりは、以前の説明のとおりですので省略いたします。

1点だけ、4ページでございますが、先ほどのご説明、環境省の環境税案の中に、電気・ガスについての下流課税という案がありましたので、関連してご参考までご説明いたします。

実は平成元年度の消費税創設の際に廃止されるまで、ちょうど似たような形の電気税、ガス税というのが市町村税で存在しておりました。ちょうど従量課税的に料金に課税するというあたり、あるいは免税点があるというあたりは非常によく類似しておりますが、これは左の下にありますように、昭和63年度で電気税で4,900億円ぐらいの税収があって、非常に市町村にとっては規模が大きく、普遍的な税として重要な税源になっていたものでありますけれども、消費税が導入されるときに、やはりこうしたものが並立することは難しかろうということで、やむなく廃止することになったという経緯がございます。議論のご参考までご紹介いたしました。

以上でございます。

石会長

ありがとうございました。

それでは、以下の議論の進め方でありますが、地方税関係は、今担当者がいらっしゃいますから、これについてのご質問はどうぞご自由にと思いますが、環境省案、経産省案というのは、今日、両省のほうから直接説明を受けておりませんので、岡田さんは極めて的確に正確にご説明いただいたと思いますが、ただ、これ以上細かいことを聞いてもそう生産的な議論にならないと思いますので。いや、どうしても聞きたいという方は別に阻止はいたしません。そこで税調として、京都議定書が発効されて、日本で国際的責務ができたわけですね。CO2削減排出という。それをこれからどうしてもやらなければいけない手段として、この経産省みたいに環境税なしでやるというのも一つの方法でしょう。案としてね。それから環境省みたいに、やはり環境税というのが必要だという案も出ているわけです。

いずれにいたしましても、この案を、どっちをとるかというようなベース的な議論ではなくて、要は、こういう案があるというのを前提にして、税調として、環境税というのを一体どう考え、今後どのように活用していくかというような形で議論していただければ。おそらく、今後の議論の仕方についてもいろいろ言及される方があっていいと思いますので、繰り返し申し上げますが、2つの、両省の案にそれほどこだわらなくて、ちょうど我々の参考にするように資料が出たというふうに受けとめていただいて、環境税の今後の役割について税調としてどう受けとめるかという視点でご議論いただけたら、おそらく共通のベースで議論ができるのではないかと思っております。今日は集中審議でありまして、あとちょうど1時間半ほどございますから、なるべく多くの方からご意見をいただいて、税調としての基本的スタンスを決めたいと考えております。

それでは、どなたでも結構ですし、どこをどうと言わないで、環境税全体、その有無も含めてご議論を始めていただいて結構ですから。

どうぞ、河野さん。

河野委員

本来ならば、政府部内で意見が真っ二つに割れているのですよね。バックに産業界、いろいろなあれがあるけれども、それは別にして、組織の中で。本来ならば、一番争点になっているのは、間違いなく、税をどう生かすか生かさないか、必要があるのかないのかという論点なのですよね。本来なら、経産省と環境省が同じ小泉内閣の傘下にいるわけだから、じっくり時間をかけて検討をして、いろいろ検討した結果、やはり何がしかのことが必要ですと言うのならば、その合意に基づいて案をここに持ってこいと。税調はそれを受けて検討するのが仕事なのだと。

ところが、ここに出された案は、ほかの施策も全部、例えば省エネ法制、これは規制強化のアイデアなのですよ。税制活用というのは経済施策を使おうというアイデアなのですね。ちょっと違うのですよね。目的は同じかもしれないけれども。そういう点のことについて、さっき会長言っていたけれども、ほかの経産省案、環境省案というのは、細かいところを精査する能力、この審議会は持ってない。持ってませんよ、そんなことは。できるわけないのだから、こんなことは。玄人がやったって、5~6人がかかるのだから。この話は。ただ、ここに参考意見並べるから、なるほど、税金なしでもできるという案もあるのか、ないしは税金なくては困るよという案もあるのかというところだけが漠然とわかれば僕はいいと思っているのですね。

それで、会長が言われたみたいに、それならば、税調として検討に値する、俎上に乗せるべきは、ここに環境省の案が出てきたわけだ。経産省は案持ってないわけだから。環境省が今日我々の前で整然と説明されているものを、我々政府税調はどう扱うかということで、だから僕は、基本的にはどういう理念でやっているのか、もう一つはどういう仕組みを考えているのか、あわせて、どういう効果があるのか、この3点を、それぞれの委員の皆さん、見解をお持ちだと思うから、言って、それでみんながどういうことになるのかということになれば、1時間半、結構有効な時間になるのですよ。

第一に、こういうふうな経済手法を使うというのは、過去の税調答申の中にもいろんなことありますので、課徴金もあればいろんなこと書いてあるのですね。一つの案ですよ。だれもそんなことを基本的に否定も何もしてないのですよ。

ただ問題は、今度、環境省の諸君が持ってきた案がそういうふうな有効な削減の手段になり得るかどうか、効果ですよね。そこが問題で、総括的に言えば、後で、皆さんの議論聞いてからまた議論に参加しようと思いますけれども、まず第一に、環境省の諸君がここに書いてある価格効果というのがあるのですね。これは、去年の原案は、リッター当たり、ガソリン、2円だったのですよ。今度思い切って1.5円に下げてきたわけだ。いろんな思惑があって。それでもなおかつ、課税ベース広いから、5,000億の金が集まるというふうになっているのですけれども、今年の年初以来石油価格が上がって、ガソリン価格が暴騰して、リッター当たり20円ぐらい上がってますよね。

石油業界の人の話を聞くと、それによって、一体、一般庶民の自動車を使う回数が前より減ったということがあるのかどうかといったら疑わしいのですね。いいですか。20円ですよ。これ、今度1.5円と言っているわけだ。だから、これはどう考えたって、これによって価格効果で一般庶民が今の状況で節約にどんどん走るなんていうことはあり得ない。だって、環境省の諸君のモデルを回したって、短期はほとんど効きませんと言っているわけだから。長期になれば効くかもしれませんと言っているのですよ。その効果0.5というのは、まあそれでも誇大だと思うけれども、まあまあ気分としてはわからんではない。

問題は、3.5%が効くという、5,000億入ってくる税収をこのように振り分けると書いてある。それが本当に摩訶不思議な、4%に近いような削減効果、これが追加予算によって果たせるかどうかということも狷介なのですね。僕は極めて疑わしいと思っている、実は。僕は経産省の関係で長々と省エネ議論からやってきた立場から言うと、今1兆2,000億ぐらいの金をつぎ込んでいるのですよ。プラス3,400億つぎ込もうとしているわけだ。そうしたら、何か4%近いCO2の削減がこれでできるというのは、そこのところの具体的なことが書いてないのだ、この案には。この案には飛躍があるのですよ。どう考えたって。しかし、とにかく4%と腰だめで書いてあるわけだ。そこはどうしても素直に聞く気になれない。

したがって、今回の場合は、経産省の諸君と国土庁がやっているみたいに、規制強化、と言うとまたちょっと官僚統制的になるけれども、まあ、規制の若干の強化によって、全般にわたって、民生・運輸から産業界に至るまで全部、何がしかの努力をそれぞれに求めて、増税をやらないでやるという方法が合理的だと思うのです。しかし、繰り返し言いますけれども、その附帯するほかの政策についてはここで我々議論しないことになっているから、税金だけにまた戻りますけれども、とにかく環境対策だから環境税とストレートに結びつけるのはものすごく飛躍があると僕はかねがね思っている。

これを支持するのは2つのグループがあるのですよ。一般国民、これは強力なる支持層が5割以上あるのですね。どこの世論調査やっても。いかに国民が地球環境問題に真剣に悩んでいるかということのあらわれなのですよ。しかし、それが、この制度を入れることによって、家計に年間3,000円の負担をかけることによってかなりの程度解消しますよというのは誇大宣伝もいいところだ。国民の善意を踏みにじる可能性があるかもしれないよということを言いたい。事実そのとおりなのだから。本当は。わかっていて皆さん言っているわけだから。

だから、全般として、これは今回のあれで税調として議論するのだけれども、私自身は、根本的思想、その他を疑うわけではないけれども、今の仕組みと効果ということに対して大変な疑義があるという観点をまず最初に申し上げておきたいのですよ。

それで最後に1分間だけ。環境論について非常に誠実に考えていらっしゃる研究者、学者、ジャーナリスト、いろんな方いますよね。本当に考えるのだったら、最低限、リッター当たり20~30円の税金を乗せる。価格効果をねらう。そのかわり膨大な金が集まってくる。それを半分ぐらい国債費の減額に向ける。あと半分はもっともっと有効な、例えば企業を助けるために、ドイツがやったみたいなことをやっても構わない。

それだけの思い切ったことを言うならいいけれども、去年の8月の環境審議会が持ってきた案に比べれば、寄ってたかって、一般会計に入れますよ、地方にも金回しますよ、よくもこれだけ妥協したものだと思うぐらいになっているのだ。本来、熱烈な支持者から見れば、こんな堕落した案があるかとおっしゃっている人、たくさん知ってますよ、僕は。そういうことになっているのだ、今。だから、これがかなり絶対的なあれで、効果あるなんていうことはどうやっても考えられない。

石会長

また後ほど参加してください。

どうぞ、川北さん。

川北委員

まず、この環境省案と経産省案で、もちろん、税を創出してやるか、増税なきでやるかの違いがありますが、その前提として、2010年の現行対策のみのギャップというのが大幅に違ってますよね。3.1%も違う。この原因ですけれども、ここはひとつ岡田さんにお聞きしたいのですが、この3%強も違う原因というのは何なのでしょうか。

石会長

それをやってもだめなのです。ここで。後で質問しますけれども、今の段階でお答えできるところがあったらどうぞ。

川北委員

わかりました。じゃそれはまあいいです。そこで問題は、環境税という新しい税を導入してやるべきかどうかという問題ですが、これは地球環境といいますか、温暖化の防止、これはやらなければいけないのは確かだと思います。京都議定書でもああいうことが決まってますから。それを税を導入してやるのかどうかというところですよね。これははっきり言って、環境省案の環境税が果たしてどこまで信用できるのかというところの問題はまずありますが、それから、この税の構造ですけれども、やたら複雑ですよね。つまり、もともと去年の中央環境審議会で出てきた案は、おそらくあれは全部上流課税だったと思うのですが、そうすると、素材産業とかエネルギー産業に極端な負担がかかるということで反対が出てきたので、そういった反対を抑えるためにいろんな、よく言えば緻密化でしょうが、実際には非常に複雑化させてわけのわからないものになってきてということでね。こういう複雑な税は、いずれにしても、まずちょっと問題だなという気はいたしますね。

石会長

いずれにしても、環境省案そのもののコメントも結構ですが、環境税という一般的なお話でも結構です。

どうぞ、奥野さん。

奥野委員

まず最初に2つ印象を述べたいのですけれども、環境省案、これはまさに河野さんがおっしゃるとおりで、妥協に妥協を重ねていて、一体何を言いたいのかよくわからない。率直に言うと、しかし、経産省案も同じことだと思うのです。要するに鉛筆をなめて、数字、2010年にうまくコントロールできますよということを言っているだけで、その背後の根拠は何もはっきりしていないというのが私の印象なのですね。

むしろ今の日本の経済状況、財政状況を考えると、一番大事なことは、2010年に、万一この2つの省の案が数字として実現できないというときに何を我々はすべきか。下手をしたら、極端に言えば、経産省案を使うならば規制をやるしかないと。これからお話ししますけれども、一番規制が効くのは大企業、産業なのですよね。だから、要するに日本の経済が全部ぶっつぶれる可能性があって、そうしたら財政もおかしくなって、大企業が一番困るかもしれない。

だから、私、よくわからないのは、環境省案もよくわからないのだけれども、経産省案というのは、下手をすると、産業界にものすごく打撃を与えるようなことになりかねないのではないかというのを非常に不安に思っています。なぜかということを2つ、少しだけ時間をください。

1つは、規制だと思うのですね、経産省のやろうとしているのは。規制が機能するためには、だれがどれだけのCO2を出しているか、どれだけのエネルギーを使っているかということがわからないと。そのわかった相手に対して減らしなさいということは言えます。だけれども、非常にたくさんの人が、例えば家計なんかがそうですし、個人のトラック業者なんかがそうですけれども、一人一人、どれだけエネルギーを使ったか、どれだけCO2出したかなんていうことをチェックしていたら、もうコストがかかってとてもできないし、実効性ないわけですよね。そういうところに、言いかえると規制は効かない。規制が効くのはどういうところかというと、大企業であり、電力産業であり、すぐどれだけCO2出したかということがわかるところしか規制はあまり効かないと思ったほうがいいと思うのですね。そうしたら、規制を使ってコントロールしようとすれば困るのは、さっきから申し上げるように、産業であり大企業だと。

さっきの資料の、例えばですが、環境税関係の4ページに書いてありますけれども、今日本で一番増えて困っているのは民生部門と運輸部門なのですよね。産業部門はむしろ減っているわけですよ。民生とか運輸とかはまさに監視ができないからこそコントロールができないわけで、言いかえると規制ではコントロールできないから増えているわけですよね。こういうところをコントロールするためには、結局やはりコストを上げていくという形でコントロールするしかないと思うのですね。

つまり、もう少し別な言い方をすれば、バブルのときに総量規制というのをやりました。総量規制をやって、いわば規制をやったときに何が起こったかというと、実は行政の目が行き届かなかった住専というところに資金が流れてしまって、その結果、歪みが非常に生まれてきた。規制でやるとそういうことが起こる。そうではなくて、例えばバブルであれば利子率を上げるというような、価格とか税をきちんと上げるということをやれば、これは小さい、小口だろうと、規制が効かないところだろうと、コストは上がるわけですから、これはきちんと下がっていく。

もちろん長期にですよ。短期にはいかないということはもちろん考えた上でやるべきですけれども、そういうことを考えると、少なくとも京都議定書対策、菊池さんが一度おっしゃいましたように、京都議定書対策ということを考えるならば、やはり価格対策ということをきちんと考慮に入れてですよ。もちろんそれ以外の規制対策も考えたほうがいいと思いますけれども、価格という形でコントロールするということをやはり最低限考えておかないと、いざというときに非常に困るだろうというのが私の印象です。

今の環境税、今回の環境税、いいとはちっとも思いませんけれども、もっといい形で、まさにおっしゃるとおり、リッター20円でもいいですから、本当に効く相手は、率直にいいますけれども、これは家計であり、まさに運輸であり、申しわけないけれども、中小の排出源である。こういうところをきちんとコントロールするためには税でやるしかないのだと。それをしなければ、かえってお困りになるのは産業界で、大企業ですよと。経産省とか財界の方、おわかりになっているのでしょうかということを申し上げておきます。

石会長

ありがとうございました。

では、神野さん、どうぞ。

神野委員

会長のほうから一般的なあり方でも構わないというお話でしたので、そういう観点から、私、述べさせていただきたいと思いますけれども、税制調査会としては、今後、将来にわたる税体系がどうあるべきかというあり方と、あり方の中で環境税を明確に位置づけていくという議論が必要なのではないかと思います。だから、6月の書いてあることにも少し踏み出すかもしれません。

私たち、税制はかなり長期的にわたって徐々に徐々に変化していくものですけれども、今から100年前でいけば、酒税とか、地租とか、営業税とかが中心になった税制だったのですけれども、それが行き詰まって、結局、所得税とか付加価値税とかいうことに50年前ぐらいから中心税目が変わってきた。

そのように考えてくると、今後また50年ぐらい後にはかなり大きな、税制は、徐々にではあるけれども変化して、がらっと変わった姿に変わっているだろうと思うのですね。私は50年後の世界を予測することはできませんけれども、そのときには決定的に環境関係の視点というのは入っていると思います。二重配当論みたいに、レベニュー・ニュートラルにして、グッズの課税からバッズの課税へと言うのはいかがなものかとは思いますけれども、少なくとも税制のグリーン化といいますか、環境を公平とか公正とか効率とかいう考え方の中に、地球の資源をいかに適切にやりくりするかという視点を入れた税のあり方が問われ、そしてそういうことが軸になってくるのではないかと思うのです。つまり、税制のグリーン化の方向に大きく変化していくのではないかと思うのですね。

現在、北ヨーロッパのように、日本はグッズに、つまり、所得税とか付加価値税がかなり限界に達してというわけではないので、グッズの課税からバッズへの課税と言うほどグッズにあまり課税しているとは思えないのですが、少なくとも、明治時代に日本はいち早く所得税を入れたように、将来を見越して、環境税関係おくれてますので、早急に税体系を議論した上で環境税、これはもちろん炭素税が中心になるかと思いますが、そのほかいろんな税金が考えられるので、今後の税のあり方を位置づけた上で考えていくべきだと。

個々に提案が出てきたときも、そうした全体の将来のあり方を曲げないような、それがステップになって第一歩になるような、論理が間違ってないかどうか、当面の目先の対応に追われてないかどうかということを慎重に考えて議論をすべきだと思います。

石会長

基本的な指摘をいただきました。

草野さん、早く出られるのですね。じゃ草野さん、どうぞ。

草野委員

基本的に国民の皆さんが求めているものはやはり環境対策ということだろうと思いますし、京都議定書、何としても達成しなければならないというのはおそらく国の責務でもあると思いますが、それにしては、先ほど河野さんもおっしゃいましたけれども、省庁間争いみたいな形で、経産省と環境省が何か政府の中で争いをしているようなことでは絶対困ると。政府としてもっとしっかりしたものを出してもらわなければいけないと。それから中環審の小委員会の中で、12月までに基本的な議論をして結論を出すというふうに私どもは聞いてますけれども、そこも一つの参考にしていくべきではないかなと思います。

それから2つ目は、先ほども先生からご質問がありましたけれども、私どもが聞いておりますのは、経産省と環境省のデータの違いは、原子力発電所が17基ですか、これがとまっていることが一番大きな要因だと聞いてますので、少し経年変化を見てみないと正確なデータはわからないだろうと思います。それから運輸部門も、96年から見ますと、2000年までは自動車の保有台数、急速に増えているのですね。ところが、2000年代に入りましてから保有台数はほとんど増えてない。そういうことで、どういう経年変化があるかという、そういう経年変化を踏まえたデータをきちっとしておく必要があるかなと思います。

それから最後には、この中で、今、神野先生がおっしゃったような基本的な、理念的な議論も大事だと思いますが、具体的な案が出されて、そしてそれが本当にどこまで効果があるのかというようなデータをきちっと踏まえた上でやはり議論していくべきではないかなと思います。

それから最後に、環境税でないですが、一言だけ言わせてください。9日の例の総会の翌日、新聞に、定率減税、政府税調で一致と、こういう新聞が出ておりまして、極めて遺憾だと思っておりますので、これだけ言わせてください。

石会長

あれは基礎問題小委員会の記者会見をしたときに出して、総会は、皆さん、全部ここでご覧になってますからね。マスコミの方は。だから、基礎問題小委員会では一致したという意味で申し上げたのです。ただ、おっしゃるとおり、それが税調、総会全体とすると反対の方もいらっしゃいますから。ただ、僕の記者レクの模様、インターネットで出しているのを見ていただければわかるように、総会に入るとまた違った意見があって、調整をそれだけしなければいけないということをちゃんと断ってありますから、ちょっと舌足らずだったかもしれませんが、基礎問題小委員会で一致したというふうにご理解ください。

それから、さっき岡田さんが手挙げたのを阻止してしまったけれども、川北さんの質問に対して、両省の例の現行制度は、やはり今の原子力等々を説明するということなのですかね。

岡田税制第三課長

ちょっと議論に資するという意味で、私の知っている限りで事実関係をお話ししておきます。

2010年で現行対策のみにしたときの排出量が両省でかなり違っていると説明しましたけれども、実はここの部分は原発ではございません。ここの部分で差ができているのは、約3%程度の差ができているのですが、1つは業務部門、オフィスですね。このオフィスで使われる部分で、CO2がどれぐらい出てくるのかの試算がかなり違っていると。両方ともモデルを使っているのですが、経産省は、就業者が今後どれぐらい伸びていくかということからオフィスに換算してCO2を計算している。それに対して環境省のほうは、床面積の伸びから計算しているということで、実はここだけで大体3%の差の6割程度が説明できるというのが1点です。

もう一点は、国民的努力とか革新的な技術開発を行うというふうに、もともと地球温暖化対策大綱、政府の大綱では書いてあるのですが、その部分での評価の差が出てきているということでございます。1つは、経産省のほうは、国民的努力のところは環境省が努力していくと、啓発活動とかやっていくということで地球温暖化対策大綱で約束しているのだから、それはきちっと守ってくれということで計算に入れておりますが、環境省は、国民的努力の部分で数字にするのはなかなか難しいということで、ここはカウントしてないとか、それから革新的技術というのは、数字上、環境省として評価できないと言っているのに対して、経産省のほうは、太陽光発電等の具体的な技術開発を挙げて、そこで計算に入れている。大体この部分で約2割違ってきている。

したがいまして、8割部分は、さっきの業務部門の床面積の話と、それから国民的努力や技術開発の部分の評価の違いから起因していると。以上でございます。

石会長

ありがとうございました。詳細なご説明をいただきました。

じゃ宮島さん。

宮島委員

必ずしもきちんと整理して発言できるかまだわからないのですが、今お聞きしていて、論点は一体何なのか。これは京都議定書で定めた削減目標を達成するということが、2010年を念頭に置いて、これが一番大事だろうということはおそらく皆さん一致していると思いますが、もう一つは、例えば、この手段によって、特に石油、化石燃料なり、そういうコストが上昇して、それが将来の成長を制約するというような経済効果でむだにしている点と、それからもう一つは、いずれにしても財源が必要だと。それを税で求めるのか、あるいは歳出カット、従来の予算の中の予算配分で求めるのかという点で幾つか評価は分かれているような点があると思うのですね。

私は、例えば財源のことを聞いてますと、もちろんそれは京都メカニズムを発動させるとか、いろんなことで財源が必要だというときに、税を用いるか、あるいは予算政策で歳出をどうするかという、これはあると思うけれども、しかし、これは多少時間がオフセットしているかもしれないけれども、我々の議論では必ずPPPという考え方というものがあって、ポリューター・ペイズ・プリンシプル、つまり、環境コスト、負荷をかけている人が少なくともそういう負担をすべきだと。そういう一つの原則的な考え方という点から見て、ただ歳出カットであるとかそういう点でやることがいいことなのかどうかというのは、一つの判断基準にはおそらく私はなるだろうと思っております。

それからコストの上昇については、これは聞いてもわからないと言いましたけれども、要するに経済産業省案で行った場合に、一体コスト、特に生産コストがどういう形で上昇して、それがGDPにどういう影響を及ぼすかということの、やはり比較してみないと、我々としてはそこは判断しようがないという点があるというのが、正直言って聞いていた印象です。

それからもう一つちょっと気になっているのは、さっき原発の話が出てきましたけれども、今回はもちろん二酸化炭素の排出をどうコントロールするかというのが一番重要な問題ですけれども、同時に、エネルギーの今後のあり方全体ということを考えたときに、これはエネルギーに対する一種の課税という考え方と、もう一つは、厳密に二酸化炭素を排出するもとになるものだけを課税の対象にすると。おそらく、今、後者のほうで議論が行われているとは思いますけれども、例えば原子力発電など、今後どういう形で評価するかということも、実はこの環境税の議論の中では1つ議論の対象になるのではないかと思っております。

私はその結論を出せるほどの能力ありませんけれども、この2つは本当にオルタナティブで相反するものだというふうに、考え方としてはあると思いますけれども、しかし、本当に2010年に、これがかなり幅はありましたけれども、90年レベルより6%下げるといったときに、本当にどっちかしかいけないという選択なのか。もちろん、必要であれば、フロンなんか、これは規制すればいい。あるいはエネルギーのものについてはある程度価格メカニズムを入れていくとか、そのような、できることをとにかくやるのだという姿勢をとらない限り、私は、これはいずれにして2010年の達成というのは非常に難しいのではないかという気がしておりまして、だからそういう意味では非常に妥協的、こっちもこっちもということになりますけれども、これはオルタナティブとしてはどっちかなという議論はあまりしてほしくない。できれば、やるなら両方、組み合わせを考えるというほうが私はむしろ生産的ではないかと思っておりますが。

石会長

ありがとうございました。

では林さん。

林委員

いずれにせよ、ポリシーミックスでやらざるを得ないと思うのですね。例えば経産省のケースでも、削減目標というのがもし仮に高ければ、果たしてこれだけでできるのかどうかという問題もありますし、そうなってくるとやはり、一つの環境税という税を使った政策手段というのはかなり有効な手段であるということは私自身は認めざるを得ないだろうと思うのですね。

ただ、そこで出てくるときに、問題は、先ほどのガソリンのいわゆる価格弾性値のように、果たして本当に減るのだろうかという、汚染排出物質の削減効果そのものが果たしてあるのかどうかという問題ですね。

それと副次的な効果、これは分配効果だとかいろんな、分配効果も、考慮した結果、こういう免税だとかいうような話が出てきているのだと思いますが、やはり税制を考えるときに、あるいは政策を考えるときに、そういう副次的な効果がどうなのだろうということを考えなければいけない。

そのときに非常に重要なのは、経済パフォーマンスに対してどちらがショックが小さいのかという話がやはり必要だろうと思うのですね。そのあたりがまだ十分に科学的な解明が出ていないので、これは非常に難しいなと。

ただ、もし環境税ということを考えたときに、これは神野先生のお考えからちょっと派生するかもしれませんが、既存のいわゆるエネルギー関係の税金を今のままでいいのかという問題がやはりありますね。例えば国民にとってみれば、既存の税と環境税との目的が違うとしても、それは同じ税負担ですし、それに伴って出てくる経済効果というのは、幾ら税の目的が違っても同じ効果が出てくるということを考えると、既存のそういうさまざまな税を環境対策というところから一度リフォームして、これを整理統合する形で環境税ということを考えていくということは果たして不可能なのかどうか。ここを検討しないと、いきなり環境税を新しくつくるというところから出発して果たして本当にいいのだろうかというのは、ちょっと私、今の税を考えるときに気になります。

北欧で炭素税ができたときも、これは別に新しくつくったというわけではなくて、既存の税を整理統合する中でそれをつくっていったと。ですから、そこを、今ある税を、国民の意識を変える中でより環境志向の税に変えていくということもやはり選択肢の中に1つ入れなければいけないのではないかという気がします。

石会長

新しい視点のご指摘でした。

では、千速さん、どうぞ。

千速委員

とにかく厳しい国際競争をしている中で温暖化対策に全力を挙げている産業界に対して、安直に環境税という負担をかけるということについてはとても納得できる議論ではないと私は思います。

一つの例として鉄鋼業、私、鉄鋼業ですが、の例を挙げますと、私の会社1社だけですが、1971年に本社に環境部という部をつくりました。その環境部の組織をつくりまして、製鉄所が10あるのですが、全製鉄所に環境対策を進めました。さらに近隣の小学校ともタイアップして、植林事業を全面的に構内、構外、特にベルト地帯を、外と製鉄所との境に15メートル幅ぐらいの森をつくって、全部、ドングリから植えて始めたわけです。さらに構内にも森をつくるという作業を進めて、今は本当に立派な、外から見たら森の中に製鉄所があるという形になってきています。そうした努力というものを全くなくして、まず環境税ありきということはとても考えにくいというのがまず1点です。

それから環境税の是非というのは、そうした努力の中で、省エネルギー、原子力の活用、あるいは太陽光とか、風力発電とか、バイオマスとか、そういう新エネルギーを含めた、こうした問題、取り組みについても、工業界、現実に行ってますが、そういうことをよく見た上で議論をぜひしていただきたいと私は思うのですが。

もう一点は、産業構造審議会とか中央環境審議会、あるいは総合資源エネルギー調査会とか、政府全体の温暖化対策の議論の場で環境税という問題が位置づけされていないと。そういう段階で政府税調の場で環境税を導入しようというのは、政府として、全体として考えたときにどういうことになるのでしょうと、私は理解がちょっとできないと思っています。

石会長

ありがとうございました。

では田近さん。

田近委員

少しプラクティカルな面で意見を述べさせていただきたいのですけれども、環境省と経産省の案とか、いろいろ説明を伺っていて一番僕が思うのは、河野さんのおっしゃいましたことに一部関係しますけれども、キャッチフレーズ的に言えば、ガソリン、リットル当たり1.5円の税でもし事が対処できるのならば、いろいろその他のやり方があるだろうと。また、それに派生して税金のかけ方としても、本来CO2にかけるならば、日本はエネルギーは全部輸入しているわけですから、輸入しているポイントでCO2に換算して川上でかければいいのが何でこんなに複雑になるのかとか、あとまた、これだけ財政の支出について議論している中で、あたかもまた一つの5,000億円の特会をつくって、あそこにちょっぴり、こっちにちょっぴりで、これが環境にどう対応するのかと。

石会長

特会はつくらないよ。

田近委員

特会のようなものではないか。要するに、だからまず1点は、わかりやすく言うと、ガソリン1リットルで1.5円の税で済む問題ならば、ほかにやり方があるではないかと。ということは、第2点、次は、実はそうではないのだろうと。問題を解決するためには、1リットル何十円の税をかけなければいけないのだろうと。実際、環境は、今CO2増えているのは民生、我々が自分のうちで使っているクーラーとか、そういうものですよね。そうすると、国民があるところまで環境が重要だと言っていて、一方で消費税1%上がっても大反対している人たちが、現実的に自分たちの、要するに犯人は別にほかにいるわけではなくて、自分たちも環境の問題にかかわっているわけで、実際効力があるほどのものに対して国民がどこまで払うのか。現実問題として。もちろん、産業界の人がおっしゃるように、そういうことは回り回って経済に対する大きなマイナス効果もあるだろう。

そうすると、この議論、珍しい議論で、本当に情報がない中で我々やらなければいけなくて、そうすると、今言った2点から踏まえていくと、やはり本当に徹底的、経産省案がどこまで、奥野さんは、これは非常に安易で、むしろこれは経済を殺すものだとおっしゃいましたけれども、そうかもしれない。だけど、現実に国民が何十円の環境税というのを払ってくれないとすれば、現実問題としてはどこまで本当にぎりぎりに、テクノロジーで、あるいは規制で詰められるかという、そこがないと議論できないだろうと。というのは、何段階か現実的に考えると。私はそう思って、このリットル1.5円の税ということに関しては、これは非常に、出方がむちゃくちゃ悪い出方で環境税が登場したなと思います。

石会長

じゃ井上さん。

井上委員

まずは、税というものは公平・中立・簡素・活力という哲学を持ってスタートしているわけですよね。「また環境税なんていうのをつくるの?」ということが一番の問題ではないのかと思うわけですよね。それもたったの3,500億、トータルで5,000億ですか。1,500は雇用だとかそういうことを考えた、こんな税というのはおかしいと思いますよ。もしやるのだったら、もっと徹底的に高くとるのか、どっちかにしなければいけない。しかし、アンケートにしてもしかりだと。要するに国民負担はこれだけ増えますよということを出してアンケートを本当に出したのですかと。50%賛成? 何も金をかけないでもきれいになると言ったら、賛成はだれでもしますよね。クリーンにするには金がかかるのだと、エネルギーを削減するには金がかかるのだということをはっきりと出しているのかと。まず、だから最初の聞き方から問題があるのではないかと思います。

それから省エネということについて、技術的な問題からいくと、まだまだできるわけですよ。今の空調の問題にしたって、中途半端な省エネしかやってません。はっきり言ったら。もう60%も70%も省エネできる仕組みもある。ごみ焼却場にしたってしかりだと。温度をもっと上げれば幾らでも発電機を動かしてエネルギーを確保できる仕組みもある。しかし、そういうことをちっとも役所もやらない。役所がランニングコストとあわせて入札を今してますかと。そういうことをしてないでしょう。やはりそういうところも変えていけばものが変わっていくわけですよね。新しい技術開発、幾らでもできるはずです。自動車だって、ハイブリッド、あれはトヨタしかつくってないではないですか。みんな、各自動車メーカーがつくるべきですよね、ああいうものを。じゃ何でそれができてないのかということだってもっと問題があると思いますよね。

そのようなことで、いろいろと技術が進歩してきて、幾らでも省エネというのはできる時代になっている。ところが、それを受け入れようとまだしてない。十分に。ということから、この税でもってどうのこうのというのは、私は間違っていると思います。だから、そういうことよりも、もしどうしても、むしろ逆に、省エネをするなら減税で省エネをと言うなら話はわかるけれども、逆行するのではないですか。そんな中途半端なことをやったら、逆にもっと問題だと。ヨーロッパがこういう税をどうのこうのというのは、もう消費税を二十何%もとって、それ以上できないからこういうふうに居直ったのではないのかなという感覚さえ私は個人的に持ってますけれども、そんなことをちょっと申し上げておきます。

石会長

ありがとうございました。

では水野さん。

水野委員

この環境税の問題、いろいろ意見が当然分かれるのですが、いつでしたか忘れましたが、環境基本法ができて、その中に経済的手法というものが入ったわけですけれども、先ほど岡田課長に読んでいただいた資料の最初ですね。地球温暖化問題の経緯を見ましても、いわゆる地球温暖化対策推進大綱、この中でも経済的手法という言葉を使われておりますが、もともと従来は規制一本でやってきたわけですけれども、新しい形の手法も必要ではないかということで検討が進められてきたわけですが、こういう形で真正面からぶつかるような経済産業省の案が出てきているわけですが、先ほどいろいろ委員の先生方からお話がありますように、どちらも数字合わせで、その根拠が非常にあいまいであると。こういう段階で結論は出せないと思いますけれども、省エネのその規制だけで全部本当に達成できるのかなあというのはちょっと、さっきもお話ありましたが、タイムリミットになって、やはりだめでしたということになってもいけませんので、そこはやはり、まだ時間がありますので、検討を鋭意続けていくべきではないかと思っております。

ちょっと1つ経済産業省の案で気になりましたのが、何ページでしたでしょうか、いわゆる政策資源への集中投資という言葉が使われているのですが、これはまさか、研究開発・設備投資減税をやったあれと同じように、環境対策のための設備投資についてさらに減税をすると、こういう含みがあるのではないかなと私はちょっと気になっているのですけれども、そういう点も含めていろいろ今後検討していただければと思いますが。

石会長

じゃ菊池さん、どうぞ。

菊池委員

税調で税金を入れるとどのぐらい効果あるなどということはあまりやってはいけないとは思うのですが、役目として、京都議定書の目標を達成するための責任はこっちにないわけで、あっちにあるわけで、それはちゃんと決めてから持って来いというのが筋だと思いますが、そうは言っても来てしまったということで考えると(笑)、環境税というのは、名前にこだわっているのですが、格好いいイメージを持った税金ですので、人類のためにいいことをやるというイメージなのだと思います。中身は、自分が払うのではなくて人が払うのだろうと思うから、賛成と、こうみんな言うわけで、50%以上が賛成になるということを受けて、では具体的に出てきたこの税金を見ると、何じゃこれはという、とんでもないものが出てきたと僕は思います。

じゃそこで税調が環境税は入れないという結論になると、中身が悪いから入れないではなくて、あいつらは人類の敵であるというふうになってしまうのも、これまたぐあい悪いなという印象を持っているのですが、ただ、全体を見ると、京都議定書的に見ると、ここで決める必要はないわけですね。ただ、役所のけんかと見ると、ばかばかしくてつき合ってられないということになるわけで、ただ、外交として見ると、日本というのは、京都議定書をつくっていながら、自分のところだけ税金も入れてないのかと言われるのはちょっとまずいなという気もするし、政治として見ると、5,000億程度、よく考えると大した税金、どうでもいいやというので名前だけとるという、小泉政権の目玉にするということも考えられるなとか、いろいろ思うとわからないのですが、少なくとも税調ですから、そういう面で、税金としてこれを見ると、これだけ最初から、軽減とか、あんたは要らないよと、全くえこひいきというか、恣意的なつくり、構造を持っていて、なおかつ、一般財源だと言いながら、あれに使え、これに使えと。何なんだ、それはと(笑)。とんでもない話である。だから、そこのところで、どっちなんだ、はっきりしろと。目的税と言うなら考えが違うし、一般財源だと言いながらそういう使途に注文つける。何、勘違いしている、持ってくるほうが役人なのかしらと思うぐらいの感覚ではないかと思います。

それにつけ加えて、効き目というか、そういうのを考えると、今ごちょごちょつまらない計算をしていたのですが、人はどのぐらいCO2出しているのかというのを掛け算してみたら、日本人は年間4,000万トンくらい出しているのですね。中国は、人多いから5億トンも、CO2、呼吸するだけで出しているのですよ(笑)。5,000億ぐらい集めて5,000万トン減らすというのは、1トン当たり1万かかるわけですから、とんでもなく高いコストであると。京都メカニズムを使って、東南アジアとかあっちのほうで削減すると、大体1トン1,000円で済むわけですから、コスト面で見て、1トン減らすのに1万円もかけるというのはとんでもない話、非効率な税金であると思います。

あともう一つ、もっと立派なことを考えてみると、環境税というのは、昔からずうっと私言っているし、皆さんもそうだと思うのですが、どうせやるなら立派なものにしろということを考えると、例えばガソリンにかけるわけですよね。1.5円。ガソリンは、53円分、環境破壊のためのコストをかけているわけですよ。道路財源として。53円分は環境を壊してCO2いっぱい出るように使いますけれども、1.5円分、CO2減らすために使いますなんていう税金はこの世にあり得ないと(笑)。だから、もし環境税と銘打つならば、その53円分もこっちにもらって、全部道路は別にやってくださいということならば大賛成ですけれども、そうでないならば、こんな矛盾したものを税金とは言えないと思います。

石会長

いろいろ含蓄のある計算をしていただきまして、ありがとうございました(笑)。

どうぞ、岩さん。

岩委員

この前もちょっと言いましたけれども、要するに意味がわからないのですよ。この環境税のね。11ページにポンチ絵みたいのがありますけれども、この価格効果というのは、要するに課徴金ということでしょう。課徴金でどれだけの影響力を及ぼせるかと。しかし、課徴金というのは高くしなければ意味がないわけでね。全く課徴金にならない。だから効果がないという話ですよね。じゃ高くすればいいのかというと、それは経済活動にももちろん影響があるし、実際、目先、国民のアンケートが、5割か6割、環境税賛成とかなんとかいう話がありましたけれども、じゃこれから増税局面に入って、消費税、環境税両方やりますよと聞いた場合にどういうふうに答えるかといったら、環境税はいいですけれども、消費税は嫌ですよと、こういう話になってきたらどうするのですかということですよね。これは現実論として、極めて僕は問題だと思います。

それと、財源の問題であれば、先ほども何度もどなたかからもお話出ましたけれども、エネルギー関係諸税がいっぱいあるわけでしょう。この中に財源は幾らでもある。特に道路特定財源、まさに環境破壊とは言わないけれども、この使途の拡大、これはつまり財政論としても現実的な問題となってきているわけでしょう。とすれば、ここから幾らでもこの環境対策財源というのはひねり出せるはずですよね。ただ、ここの議論がまだ具体的な議論になかなか入ってきていないので、これをつまりやるのがまず先決だということですよね。

それと、この経産省の出してきたものも確かに、環境省と劣らずというか、まさに効果がはっきりしない。環境省の、要するに京都議定書をどう守るかというところなわけでしょう。そうであれば、こんな環境税なんかでガタガタガタガタ議論してないで、もっと知恵のあるものを一体となって考えないと、つまり、環境省の出しているこの案は、一番最後のアナウンスメント効果、しかも、これは国内でなくて国外へのアナウンスメント効果、これぐらいしかありませんよ。だったら、このアナウンスメント効果を別なもので出せるような知恵をちょっと絞ってほしいと。こんな安易なやり方でやらないでほしいなというのが私の意見です。

石会長

それでは、田中さん、お待たせしました。

田中委員

温室効果ガスを抑制するための政策手段として我々は議論しているわけですから、温室効果ガスは、日本での排出ももちろん重要ですけれども、地球規模で議論するべき問題、本来そういう問題なわけです。それでは一体どこで温室効果ガスが出ているのか。アメリカで一番出てますけれども、京都プロトコルの枠外の国で、例えばインドとか中国とかで多く出てますよ。中国について言えば、現在、日本の排出量の多分3倍にはもうなっていると思いますが、中国で出ているものが、ですから、もし目的が温室効果ガスを抑制することに割り当てた政策ということになれば、京都プロトコルの規制がかかってないところのこの問題にどうやって我々の国内の資源を割り当てられるのかという問題になるかと思います。

日本を国際的に比較してみますと、同じGDPを得るのに、エネルギーを投入することが非常に効率的な国です。アメリカが10兆ドル、日本が5兆ドル、中国が1.5兆ドルとなってますけれども、同じ貨幣単位のGDPを入手するのに、日本のエネルギー効率はこうした国々に比べてものすごく高いわけですね。

しかし、そこで何も偉そうにしているわけにはいかないので、なぜそういうことが実現しているかというと、国際貿易を通じて、我々がエネルギー多消費のものを外から、かさばるものを外から買うような体質になりました。それから水をいっぱい使う産業も日本の中では完全に輸入産業になってます。例えば肉とか穀物とか。ですから、水、エネルギー、水も、ただ天然にある水だけではなくて、用水してまいてという水になってますので、日本がエネルギーをなぜそんなにも下げられたか、もちろん個々の工場レベルで努力されたこともありますけれども、国際貿易を通じて、日本がエネルギーを使わなくても、国内でエネルギーを使わなくてもいいようなことが享受できている。その結果が、そうしたGDPと、それからエネルギー使用とにつながっているわけですね。

京都プロトコルは、温室効果ガスの問題、地球規模の議論をするのだったら、完全に京都プロトコル2を議論しなければいけないところに来ているわけですから、アメリカが入ってないということもあるけれども、中国、インドという議論はどうしてもせざるを得ません。今、世界銀行なんかのレポートにも出てますけれども、貧困の問題と、それからエネルギー消費の問題というのは非常に重要な問題になってます。1日2ドル以下で生活している人たちが、世界規模で見て30億人ぐらいいるのですが、そのうちの20億人ぐらいは大国なのですね。ブラジル、インド、中国、ロシア、メキシコ、こうした大国で1日2ドル以下の人がいっぱいいる。しかも、この大国は成長率が今えらい高くなってます。別の面でですね。部分的になのだけれども。エネルギー消費をものすごくふやしてますので、彼らにしてみますと、一方で貧困の問題を抱えてますから、エネルギー抑制という話は基本的に聞けない。こんなに貧乏人がいっぱいいるのにエネルギー抑制って入れるのかというわけです、みんな。

そうすると、我々がもしその目的に対して手段を与えるとなれば、貧困に対して我々がどういう貢献ができるのかということも解いてあげないと、地球規模の温室効果ガスの問題は解けないということになるわけです。国連では2000年にミレニアム・デベロップメント・ゴールを出しまして、貧困層をどうやって減らすのかというのをやっと議論することになりました。その中でODAを増やすという議論になってきまして、日本ではおそらく、そのとおりにやるとなると3兆円ぐらいのODAを出すということになると思いますが、多分そこで、日本でもし税金を議論するならば、国際社会、あるいは地球の問題に貢献するために我々はどういう負担を――今まで日本での税の議論は、国内で必要なサービスを賄うのにどういうファイナンスの仕方、どういう課税があるのでしょうかと議論してきたけれども、ひょっとしたら、それはもちろんそれで重要だけれども、国際社会のために、あるいは地球規模のために税というものをある程度割り当てざるを得ないのかもしれない、そのことを受け入れなければいけないかもしれないという議論の中でおそらく組み合わせができてくる。

ですから、クリーン・デベロップメント・メカニズムが具体的に適用さるべきは、成長率が極めて高くて、貧乏人が多いところなのです。幾つか挙げるとはっきりしている。そこにおけるクリーン・デベロップメント・メカニズムをどうつくり上げるかというところにおそらく議論を集中することが、国内での税負担と国際社会への貢献との結びつきになるのではないかと思っています。

石会長

京都メカニズムですね。

今お手元に資料を配付してございますが、実は吉岡さんが今ファックスを入れてきた資料でございまして、意見書ですね。それから、最初から一番下に入っていると思いますが、佐竹さんも、「環境税についての意見」という紙が出ておりますので、両者合わせて、今日の欠席委員からのご意見だという形で、後ほどご覧いただけたらと思います。

どうぞ、神津さん。

神津委員

環境税という税目ではなくて、あえて概念という言い方を私はしたいと思うのですけれども、それはおそらくこれからは避けては通れないようなものにはなるだろうと思っていますが、私は、大きく2つに分けてこのことって考えなければいけないことがあるのではないかなと感じています。

1つは、京都議定書発効を踏まえて日本としての責務としてどうするかというようなことや、それから国民とか産業の価値観とかライフスタイルをこれから転換していくためにどうしたらいいかという、非常に国内的な部分においての考え方と、もう一つは、地球環境全体を見据えた上で、いわゆるグローバル的なものの見方で環境をどうとらえるかという、日本の国内で責任とかそういうことを含めてのこととグローバル的なことというのはちょっと分けて考えないと難しいのではないかと感じます。

最初の国内的な部分ということに関しては、環境省の中に環境税を入れることによってのアナウンス効果ということがあったのですけれども、アナウンス効果だったらば、環境税を入れるよりも、環境大臣と総理大臣がこの京都議定書の発効に向けて我々はこれだけのことをしなければならないということを徹底的に言うということだけでも相当なアナウンス効果はあるはずだと私なんか思って、税金を入れることのアナウンス効果というのはある部分ではあるとは思うけれども、私はまず、マスコミを含めて、京都議定書の発効に向けてこれだけのものを今私たちが背負っているということをきちんと表明しているのかどうかということがちょっと疑問です。漠然とわかっていても、一体何が課せられているのかということ自体はそんなにわかっていないという人も私はたくさんいると思います。

2つ目は、先ほど林委員がおっしゃったと思うのですけれども、これは既存のエネルギー税と、それから道路特定財源を含めて、やはり大幅に何か税の形を変えていくところに来ているのではないか。建て増しみたいに、古い旅館みたいにつけていくことよりも、リフォームとさっきおっしゃったけれども、そういうことがもう不可欠になっているところに来ているだろうと思うから、その中で環境税を論じるということは、私はマイナスではないだろうと思います。でも、それはそれまでの既存のエネルギー税とかそういうものを全部含めた上での考えでないと、ちょっと難しいのではないかなという印象を持ってます。

もう一個、グローバル的にと言ったのは、今、田中先生もおっしゃいましたけれども、中国とかインドを含めたものの考え方をしていかないと、京都会議のときなんかよりも余程深刻でひどい状況になっているわけで、次の枠組みを考えてやっていかなければいけないような時代に入っているときに、京都議定書の発効のことだけに、実はもっとすごいことまで考えていかなければいけない段階に入ってきているから、そこの部分を見た上でのものの考え方というのはしていかなければいけないだろうと思います。

それを思うと、私はむしろ、ODAとかそういうものまで含めて、環境税というよりは、環境の問題を考えるときには、本当はそっちまで含めて実は論議していかなければいけないことなのではないかなと思ってます。

石会長

ありがとうございました。

どうぞ、村上さん。

村上委員

政府税調として、17年度の税制改正の中で環境税を取り上げるかどうかということになると、これはちょっと、先ほどからもいろいろな議論が出てますように、判断できるだけの材料がないということで、無理だと。したがって、もし政府税調として取り上げるとすれば、ある程度中長期、長期はないと思いますけれども、中期的に地球温暖化防止対策としていろんな分野からの検討がなされる中で、税をどう生かしていくかという視点で税調として考えるということかと思います。

ちょっと余談になりますけれども、ある結構重要な部署の人が環境問題を担当することになったと。ついては、日本レーチェル・カーソン協会というのがありまして、そこへ来て、今度レーチェル・カーソンがおいでになるときはぜひ紹介してくださいと。これは10年前の話ではないですよ。昨日今日の話なのですけれども、そういうことを言ったというぐらいですから、環境問題とか地球温暖化とかいうことは、言葉の上ではある程度知っていても、国民意識の中にはほとんどまだ入っていないということが言えると思うのですね。

要するに国民意識を変えるということから多分入らないと、とても、多少の税をいじったとか歳出をいじったからといって解決するような話ではないわけでね。現に財政だって1兆3,000億ものお金がつぎ込まれているけれども、これは何に使われているかわかっている人があまりいないのではないかと思うぐらいで、それに今度4,900億の、この環境省案でいきますとね。これだって、それに比べれば3割も4割も増税という話になるわけでしょう。1兆3,000億だって税でやっているわけですから、そういう意味ではあまり軽々しく言うべきではなくて、やはり何をすべきかということを全体としてきちっとまとめていくと。

そのためには、環境省を含め、経産省も、それから農林省も、多分国土交通省もあると思いますが、そういうのを含めて今度の環境税を取り上げるかどうかについての話し合いがなされたとはちょっと聞いていませんので、そういうのをしてからやはり政府税調に持ち込まれないと、検証能力がないのにああだこうだ言ってもしようがないと思いますから、そういうことで、来年度に関してはちょっと無理と。しかし、中期的に、初めから税を排除してかかるというのは、それもまたちょっと乱暴ではないかなという気がします。

石会長

両省は大分やり合って、決着がつかなかったのではないですか。多分。

村上委員

それは聞いてませんけれども。そんなの、どこの報道にもなかったから。

石会長

尾崎さん、どうぞ。

尾崎委員

一番最初に会長がおっしゃったことですけれども、要するに我々の議論も前提としてやらなければならないというところから始まるというのはまさにそのとおりだと思いますし、特に国際的にああいう約束をしているし、まさにイニシアティブをとってきたわけですから、あまり無責任なことは言っていられない。と言うと、真剣に、重く受けとめて我々もやらなくてはいけないと思うわけですね。

この分野、ロシアがあのように決めたこともありまして、やはり急に、何か急がなくてはいけないことになってしまったわけですね。だから、もし国際的に見て日本の態度を早くはっきりさせるということに重きを置くのであれば、いろいろ、確かにデータをそろえて、きちんと納得がいくように物事を考えなくてはいけないとは思いますけれども、今置かれているのは本当にそういう立場なのかなと。何かやはり国として断固とした手段をとらなくてはいけないのではないかと思うわけです。

しかし、急いで何かをやるといっても、それは必ずしも税でやるということではないわけですから。しかし、税というのも非常に重要な手段としてこれは排除できない。だから、急いで税の問題をやらなくてはいけないと思うわけですね。

私、この税についてのいろいろ方法、具体的な環境省の方法を見ていて非常に疑問に思ったのは、一体これは直接税と考えているのか間接税と考えているのかということなのです。だから、我々がもし税について議論をするのであれば、これをまず決めなくてはいけない。もしこれが間接税であって、消費税のように転嫁を前提にしていくのであれば、これはまさに国民の負担の問題だということになるのですね。そうなりますと、世論調査や何かでも、かなり国民は、わかっているのかわかってないかは別として、わかってないというのは非常に失礼なことですから、とにかく珍しく多くの方が賛成の意を表しておられるわけですね。国民の参加というのはものすごく大切だと思うのですよ。こういう問題について。これを企業だけの問題であるとか特定の人たちだけの問題でなくて、国民全体として考えるべきだと。国民の参加ということにやはり重きを置かなくてはいけないと思います。

それからもっと広い目で考えますと、田中委員が非常に詳しく説明してくださいましたけれども、やはりグローバルな問題としてこれは考えていかなくてはいけないわけですね。そこで、経産省のいろいろ挙げている施策の中でクリーン開発メカニズムですね。あれはものすごく力を入れて日本としてはやるべきではないかという気がするのです。中国でNPOの方々や何かが行って植林をすることを随分日本はやりました。今、中国はものすごく熱心になったのですよ。

北京から天津に行きますと、高速道路がありますが、それを車で行きますと、前は荒涼としていたのですね。天津に近づくと。それが今はきれいに植林されている。いろんな統計を見ても、中国の植林面積というのはすごく増えていて、人工的に植林された面積を一番広く持っているのは中国ということになったわけですね。中国がそういう気持ちになったのはやはり、日本が出かけていって植林をしたということが非常に大きく影響しているのではないかと思います。

そうしますと、クリーン開発メカニズムのようなことで――この前私は感激したのですけれども、千速委員から、中国へ行ってやっておられるというお話がありましたね。ああいうことを日本は、エネルギー対策といいますか、環境問題については先進国なのですから、世界に最も貢献できる国であるわけですね。それはやはりその力を生かして、その面では日本はリーダーとして国際的に活躍できる要素があるところなのですから、ここに力を入れていくべきではないかと。

そのために、例えば経済産業省の予算の中から繰り回して何がしかのお金を出すということでいいのかと。それでは特別会計の対象を広げたらどうだという話がありましたけれども、特別会計、あるいは特定財源の対象を広げるというのはよくないです。そんなことではなくて、環境対策としてしっかりやるのだということを国民参加の合意のもとに決めていくべきではないかと。大切なのは、いろんな議論をして、非常に正論なのですけれども、どんどん話を先に延ばしてしまうというのは許されない状況ではないかと思います。

石会長

どうもありがとうございました。

では大宅さん。

大宅代理

この2つの省の出している案というのは、要するに数字は鉛筆をなめているのであって、アクアラインをつくったときと同じだという感じがするのですね。これはもう予測であって、何も説得力はない。私は事実で見たいのですが、基準年より6%下げなければいけないと言っているのに、2002年でもう7.6%上がってしまっているという、これは事実ですよね。これを議定書の目標どおりに下げることが本当に可能なのだろうかというのが、私、すごくあるわけです。14%も下げなければいけないというのが可能なのかというのがものすごく疑問があります。

そしてもう一つ事実が、その伸びたうちの、民生が33%伸びていて、運輸が20.4%伸びている、これも事実なわけですよね。つまり、さっき千速さんおっしゃった、皆さんもおっしゃってますが、産業というのは規制が効きます。で、ちゃんと下げてくだすっている。これはもう事実で、すばらしいことだと思うのですが、そこで1つだけ申し上げておきたいのは、新日鉄はこうやって環境問題もやってます、木も植えてますとおっしゃるのは、それも別に悪くはないのですけれども、それを民生の立場である個人が、私はソーラーハウスをやってまして、電気は使わないで、団扇を使ってまして、私はこんなにやっているのに民生部門に今度増やすなんておかしいなんて言ってもおかしい話なので、それはそういうふうにおっしゃらないほうが逆にいいのではないかと。

世の中に対する説得力として、老婆心ながら申し上げたいと思いますが、私は、環境問題というのが、さっきから恩恵と負担みたいな話で、税に対しては必ず出てくるのですけれども、人間が豊かになろうと思って地球からいろんなものをとったり、何かつくって廃棄物を出したりした時点でもう既に地球に負荷をかけているのであって、人間一人一人が加害者であって被害者であるというのが環境問題ととらえておりますので、特に日本の場合、個人に対してライフスタイルを変えなくてはだめと。ライフスタイルをどうやって強制して変えられる?変えられるわけがなくて、でも、さっきからお話があるように、我々日本人は律儀ですから、このままやっていたら孫子の時代に地球は大変なことになる、そのためにだったら税負担してもいいととりあえず今は思っている中で、それを使わない手はないというふうに一応は思っているのですね。

それで、私はさっきちらっと会長に申し上げたら、それは目的が違うからだめよとおっしゃったのですが、消費税を上げるときに、その一部は環境に使うのですというのはだめですか。

石会長

課税ベースが違うから。

大宅代理

だけど、一人一人が、みんなが、私に言わせると、地球税というのは存在税なの。人間である以上、正さなければだめという発想でやれないかなあというふうに。

石会長

それも一つのアイデアでしょう。

あと20分しか残っておりませんので、第2ラウンドでご発言ある方もどうぞ加わってください。では遠藤さん、どうぞ。

遠藤委員

1つだけ確認したいのですけれども、4%をこの環境税で削減するというとき、2%が税による抑制効果で、2%は予算でいろいろな施策をする効果であると理解しましたが、それでよろしいのでしょうか。

岡田税制第三課長

ちょっと再度申し上げますけれども、2%、2%というのは、資料の5ページのところにそういうふうに一見読めるかのように書いてあるのですが、ここの資料の5ページで、環境税による削減2%、その下の、環境税収を充てる2%と書いてあるのは、エネルギー起源の部分で環境税を使って2%。それ以外のその他ガス、京都メカニズム、吸収源対策のところで2%ということでございまして、税収と価格という切り口で申し上げますと、9ページのところに書いてございますように、「削減効果」の(注)のところですが、価格インセンティブ効果というのが、まさに税を乗せることによって価格を引き上げて、みんなが購入を抑制するといったことで0.5%、残りの3.5%はすべて税収を活用して何らかの予算措置をやって対応すると、こういうことでございます。

遠藤委員

わかりました。

それから、税調で議論するのですから、初歩的な問題だと言うかもしれないのですけれども、要するに税というのは、所得とか、消費とか、それから資産とかに担税力を求めて一般財源としてやるというのですから、かけるわけですけれども、こういう抑制効果というか、課徴金みたいな税というのは大々的にあるのでしょうかね。

石会長

過去にやられたことがあるかどうかという趣旨のご質問ですか。

遠藤委員

いや、今あるのですか。ほかに。

石会長

それは環境税というのは北欧でもやっているし、ヨーロッパは全部入れてます。

遠藤委員

それはそうだけれども、日本の場合ですね。

石会長

日本は、あえて言うなら地価税でしょうね。要するに政策税制という意味においては地価税でしょうね。

遠藤委員

こういう税というのはあり得るということですね。

石会長

あり得るでしょう。あり得るけれども、ちょっと異質な税ですね。ほかの税に比べれば。まさに所得、消費、資産にかける税と比べれば異質でしょうね。

遠藤委員

わかりました。それで、一番問題は、おとといですか、言ったように、今のこの税収活用効果、3.5%ということですよね。確かに、さっき河野さん言われたように、1家庭で年間3,000円ぐらいだと、各家庭は3,000円納めれば今までどおり使っていいのかという感覚になってしまうと思うのですよ。それから企業でも、中身を見ていれば、2分の1にしたり減免したりしてますから、ほとんど影響がないのではないかということになるわけですね。ですから、価格インセンティブ効果は0.5%しかないというと、ほとんどないということと一緒ですから、そうなれば、3.5%が税収活用効果というと予算上の問題なのですよね。

そうすると、一般家庭は3,000円納めるのがいいかどうかということですけれども、実際は所得税や消費税はみんな納めているわけですから、この3,000億やそのぐらいの額なら、80兆の国の予算の中で、それは財務省の主計局がきちっと3,000億ぐらい何とかできないのかという話になると思うのですよ。ほかのところを少し削ればいいわけですから。ですから、本当にこういう税というものをやるのであれば、やはりインセンティブ効果がきちっとあるような形でやらないといけないのではないかなと、そういう感じですね。

石会長

それでは、初めての方。では長宗我部さん。

長宗我部委員

時間ないので、簡単にお話ししたいと思います。

今の時期というのは、少し景気がよくなってきて、GDPも継続して上がってますし、税を入れる環境ができてきているとは思いますけれども、やはり今の段階で一番大事なのは財政再建ということで、財政の内容をよくするということが大事だと思うのですよね。そうすると、やはりいずれ消費税を近い時期に上げなければいけないという段階にあるわけで、そういう時期に広く、間接税的な要素が非常に強いところ、よくわかりませんけれども、下流にかけるということはそういうことだと思いますので、そういう新税を入れて新たにまた国民に負担をかけるということはいかがかなと思います。

それともう一つ、経産省、それから環境省、国交省、その他がもう少し全体で真剣に詰めて、対応策を考えていただいて、その上でどうしても税制面で負担が必要だということであれば、改めてそういうところで出していただければと思います。

石会長

わかりました。

翁さん、それから上野さんですね。あとご発言のご希望の方は? あと5~6人ですね。あと十何分しかないから、1人2~3分だ。どうぞ。

翁委員

先ほど遠藤委員がおっしゃったことと関連するのですけれども、価格効果よりも財源効果が3.5%と非常に大きい効果が見込まれているのですが、そのわりには、13ページに書かれている温暖化対策の具体性が、どういうふうな効果でその3.5%というのが達成できるのかというところについて、やはりもっときちんと検討する必要があるように思います。

29ページにありますように、すでに1兆2,586億円の温暖化対策を組んできているわけでございますから、やはりこれについての徹底的なレビューと、既存の予算についての見直しでどの程度のことができるのかということについての検証がまずあるべきではないかということが1つ。

あと、やはり価格効果のほうも、奥野先生がおっしゃったことは非常によくわかりますし、いわば価格効果をつくること自体が大きなアナウンスメント効果なのだという面もあると思うのですけれども、一方でやはり、排出権取引とかそういった、企業などについてはよりインセンティブ・コンパティブルな施策をより考えていく、よりそういった規制体系を入れていくということによって、より効果を上げるような方法がないかということの具体的な検討も必要ではないかと思います。

石会長

ありがとうございました。

上野さん、お待たせしました。

上野委員

今の翁さんとか、あるいは遠藤さんのご発言のように、ご提案に沿った内容についてのコメントといいますか、ご意見というのもございましたけれども、拝聴してまして、やはり基本論みたいなところで問題が非常にあってなかなか先に進めないという議論の印象を私は受けたのですけれども、これもまさに皆様方の発言の中にありましたように、政策主管庁というのでしょうかね、環境省の考え方がまだしっかりどうもできてないのではないかと。税調の場に本来持ってくるのなら、担当官庁は政府部内をまとめて、これで政府、お願いしますというような格好で本当なら持ってこられるようなものなのではないかなとも思うのですけれども、一方で別案がくっついているという話では、なかなか税調としても検討しにくいというのはそのとおりだろうと私は思います。

ただ、やはり私も、何人かの方が言われましたように、京都議定書が間もなく発効すると、このような事態の展開の中で、わが国の環境対策というものをまとめ上げなければならんと、何としてもやはりこの環境問題には真剣に取り組んでいかなければならんというのは我々に与えられた課題だろうと思うわけでございまして、環境省も、聞くところによりますと、来年の3月ぐらいには環境対策をまとめるのだと。そのために、今歳出の話もいろいろ出ましたが、この年末に向かって予算編成作業の中でいろいろな検討もおそらく行われていくと思うのですね。それからまた規制の関係についても、例えば法律の手直しを必要とするということであるならば、来年の通常国会あたりに向かっていろいろ作業が行われる、こういうことになるのではないかと思うのです。

そういう全体としての対策、両省から出たものをそれぞれ組み合わせたみたいになっていくのではないかと私も思うのですけれども、そういう全体の取りまとめの中で、やはり税制の問題というのが私は課題としては残ってくるのではないかなあと。基本的に、相当長期の話として考えるというだけでは進まないところがあるのではないかと。だから、来年の税制改正の問題として、我々、全体、基礎小を中心に議論を始めてきているわけですけれども、そのまとめに間に合わないから、中長期の先の課題だという話にはすべきではないのではないかと。今後の環境対策のいろいろな議論の過程で取り上げられる、その節目節目みたいなところで、必要があれば税調としても考えてまいると、こういう姿勢が要るのではないかと思ってます。

石会長

ありがとうございました。

奥野さんと秋山さんかな。じゃ秋山さん、最初にどうぞ。

秋山委員

技術的なお話はもうご専門の方からたくさん出ておりますので、今日何点か指摘が出た国民の支持という点に関してコメントさせていただきたいと思うのですけれども、環境税に限らず、いろいろ税制を考えるときにアンケート調査の結果というのが出てきて、環境税に関しては非常に多くの方が賛成だと言っていると。これをもって何を言うかというところがポイントだと思うのですけれども、読み方としては、その真意といいますか、その本質というのは、つまり、これは多分、一人一人の個人の人が環境に対してはそれなりの意識はあると。ただ、個人としてできることに限界を感じていて、そういうことにこそ政府に何かやってもらいたい、やってもらうべきだという政府に対する期待というふうに読みかえるべきではないかと思うのですね。

つまり、個人の力ではやることに限界があると。そういったことに対しては政府に期待をすると。これが環境税の導入に対して、いろんな新聞社さんのアンケート結果のほとんどが50%以上賛成ということで、ちょっと質問項目までは見てないのですけれども、それをどう読むかというのはそういうことであって、逆に、同じ人たちに聞いて消費税に対して反対するというのは、これは自分たちが払ったものに対して一体何がよくなるのだと、何が戻ってくるのだということに対しての見返りといいますか、信頼といいますか、そういったものがないというところが多分本質なのだと思います。

そういった意味で、税制を考える、例えば政府だとか我々だとかが信頼感を得られるような考え方とか案を出していくということが非常に大切なのではないかと考えているのですけれども、そういった中で、アンケートの数字がこうだから税ありきみたいな考え方はあまりとりたくないということと、そういった感覚からいくと、今回環境省から出された具体的なご提案については、決して真に沿ったものとは思えないなと感じております。

石会長

ありがとうございました。

あと奥野さんと宮島さんが手挙がってます。それから林さんね。それでよろしいですか。どうぞ、奥野さん。手短にお願いします。

奥野委員

京都以降どうするかという議論もあるのですが、やはり当面一番大事なのは、京都をどうするかというところにならざるを得ないのではないかというのが1点ですね。そのときに、データがいろいろ不安だということもありますけれども、もう一つ重要なのは、どういう政策の組み合わせをやるのが一番エフェクティブなのかと。だから、まさに税だけでは当然だめだろうし、規制だけでもだめだろう。どういう組み合わせをどういう形でするのが一番いいだろうかということをやはり考えないと、京都に対応するのは非常に難しいのではないかという気がするのですね。

幾つか、2つだけ例を挙げたいのですが、1つは、補助金でいろんなことをやればいいではないかという話があります。事実、環境省案もそうなっているわけですが、例えばハイブリッドカーに補助金をつけたり、効率のいいエアコンに補助金をつければ、下手をしたらどうなるかというと、そういう機器がどんどん増えていく。で、古い、効率の悪いものも残ってしまうということもあるわけですね。そうしたらかえって仕事が増えてしまう、かえって京都を目指せないという可能性もある。それは、さっき宮島さんがおっしゃった汚染者負担の原則というやつで、やはりきちんとコストも高くなっている、同時に補助金も有効なものにつけるという組み合わせが非常に大事だと思うのですね。

それからさっきのCDMも同じことで、単にCDMに補助金を出すというのだけではなくて、やはり税の負担もあって、それがCDMをやれば税負担もまた余計に減るというエキストラ・インセンティブがうまく出てくるということが、多分そういうことを仕組むことが非常に大事だろうと思うのですね。

そういう意味で言うと、結論から言うと、税調でこの話を議論するのはできるのかなというのが率直な印象で、むしろ税調が音頭をとっていただくことが1つだと思いますけれども、もうちょっときちんとした環境対策を、環境省、経産省も含めた、場合によっては内閣府とか、そういう方と一緒に、できるだけ早急に議論する。環境税がその中でどういう位置づけになるのかということを議論するような場をぜひ設けていただくことを考えていただきたいと思います。

宮島委員

私は税調でぜひ、これはむしろ税調しかできない議論としてお願いしたいのは、前にちょっとこれはお話ししましたけれども、今、環境税というのは、いわば生の化石燃料なり、その精製品の話ばかりなのですね。しかし、先ほど田中さんがおっしゃったように、実は石油、化石燃料を使った完成品であるとか、そういうものの輸出入ということを通じていろんな問題が起こって、それが国際競争力とか何かに影響してくると思うのですが、そういう点で言えば、私は、環境税というのは日本の国内問題だけではなくて、環境税を検討していく中で、それが海外の温暖化対策をも促進するような内容とする必要があって、そのためには、私は、半製品や完成品の輸出入に関して一種の環境税の国境税調整的な仕組みを考えるということで、例えばアメリカですとか中国とかインドなんかにもそういう形で対処するという考え方を、こういう税の問題というのは税調しかおそらく議論できないので、そういうのを少し議論してほしいと思っております。

石会長

それでは、河野さん、最後でまとめてください。

河野委員

上野さんが、さすが前会長代理で、いつもまとめる役をやっていただいているから、私はそれに驥尾に付して言うのだけれども、全部話を聞いていて、理念として、政策の手段として、税金というのは場合によっては有効かもしれないね。頭から排除するものではないよ。現に経産省だって、石油石炭税とってある。それを歳出に向けているのです。わかりますか。やっているのです、すでに。今の新規の税金はノーと言っているけれども、自分ではやっているわけ。だから、そういうふうな手段があることはもうみんなわかっている。

ただ問題は、ずうっと話を聞いていて、このテーブルに環境省の諸君が持ってきたやつに対して、石さんは大学の学者だから、これは一体何点つけるかと。この税に。このことについて。採点したくないから、みんな高邁な議論をやっている人が多いのだ。僕に言わせればね。ここではっきりもの言ってくれと。でなければわからない、実際は。私、落第点だと思ってますからね、最初からこの案は。こんな、ベースにも何にもならない。1年前の8月に出したほうがまだしも筋が通っていた。乱暴だったけどね。今度、妥協して妥協して、税収は半分にしてしまうわ、一般会計にもお金差し出しますよとか、地方にも分けるから仲よくしてちょうだいよなんていうような、いかにも腰を振り過ぎている。

だから、少なくとも今回のことについて税調が一本になって答申なんていうことはあり得ないという気がするのですよ。で、上野さんがまとめられたような方法にまとめておけば、当分は責任は果たせる(笑)。

石会長

林さん、どうぞ。

林委員

私はまとめにはなりません。環境税という税そのものについて、ちょっと考えている環境省案について少しコメントしたいのですが、この減免措置というのが果たして環境税において必要なのかどうか。これが出てくるということは導入ありきというところが出てくるので、むしろやはり環境税というのはこういうものなのですよということを国民的な理解を得るという意味で、まずは減免措置のないところから出発すべきだと思うのですね。

もう一つ、電気、都市ガスに対する税ですが、例えば発電でもいろんな発電の方法があるわけで、その中で環境に負荷の大きいものもあればそうでないものもある。それを一律に、1キロワット時当たりどうだというような形で税金をかけたとするならば、これはどうも環境税と言えなくて、これはすでに電気税、ガス税があったのにという話にどうしてもつながっていきますから、そこらはもう少しきめ細かく考えなけれはいけないなと、ちょっとそれだけです。

石会長

もう最後と思ったけれども、菊池さんが手を挙げられてますから、うまく取りまとめて終わりにしましょう。

菊池委員

いや、30秒。あまりひどいことばかり言ったから、ちょっと環境省の人、かわいそうかなという気持ちで。これは純粋に、税金だけ、この紙だけ見ると、要するに、石油元売りで半分持って、電気・ガスで払ったか払わないで終わりという税金なのですよね。現実には。あとは、大口の人は、いっぱい使う人は減免だし、ちょっとしか使わない人はちょっとしか払わないわけだから、ここまで工夫して、どうでもいい税金で、名前だけくださいと言ってきたような気がすごくするのですよ。だったら、やはり環境税でなくて、別の名前で……。

石会長

はい、わかりました。何だっけ、京都議定税か、そういうご発言がございました。ちょうど時間になりまして、集中審議の効果は、私は座長をしまして十分に成果が上がったのではないかと思います。税調で2時間、同じテーマについて延々とやったのは最近まれなことでありまして、それだけ皆さんのご意見も出していただきまして、ある方向性……方向性は見えないんだ、これから一生懸命検討しましょうという方向性が見えたという集約だと思いますが、現にいろんなご意見を聞いてますと、例えば省庁間の対立があってはどうしようもないとか、情報不足、分析不足だし、それから、そもそも選択肢としてこの2つだけでは不足ではないかという案も随分あったと思いますしね。これからやはり、そういうほうも少し具体化しろとか、それから既存の税制をどう活用するか、あるいは消費税と環境税の将来の、我々税調として一番重要な税制改革のシナリオの中でどう位置づけるかという問題があったり、それから国民の参加がどうしても必要であるが、そのときの世論調査の読み方も非常に難しいというような、大きな視点から幾つかの問題が出されました。

今日は、吉岡さんの心配にも書いてありますが、今回のみで結論を急ぐことをしないでくれと書いて、まさに初めからその気はございませんでしたし、現に、今の議論を踏まえて、まあ今日はやっとスタートの議論をやるかなという気合が入ったというぐらいのところだろうと思いますが、しかし、さはさりながら、京都議定書はもう発効されておりますし、日本の国際的責任も現に迫っておりますし、2010年というちょうど中間のターゲットも刻々と迫ってきますから、何もしないというわけには当然いかない。だから、先送りしてはいけないというのは何人かおっしゃっていましたが、そのとおりだと思いますので、税調として、今日出されましたさまざまな環境税にかかわる問題を早急に、あるいは速やかに検討するということでしょうね。これからは。

年明け以降どういうことが起こるかわかりませんが、ただ、ご存じのように、内閣にあります地球温暖化対策推進本部というものが出てきて、先ほど、13.6%だったかな、あそこの中身の仕分けあたりは、実は地球温暖化対策推進大綱をつくっているところの見直しでやる話ですよ。この環境省、あるいは経産省独自にやるよりはね。そうなったときに、今日何人かの方がおっしゃっていたけれども、税抜きでできるかどうかということになると、これは厳しいだろうと。税の仕組みの仕方は環境省のをそのままとるという意味でなくてね。その意味で、おそらく外側からもいろんな要請が出てくるだろうと。

つまり、地球温暖化対策推進大綱の中で税の役割というのが明示されれば、それはまさに税調の役割になってくるでしょうし、そういう意味で、中の議論と外側から出てくるいろんな要請にこたえるという議論と、とりあえず税調はこの環境税について引き続き一生懸命議論しなければいけないというところが今日の結論ではないかと思いますが、そういう取りまとめでよろしゅうございますか。もういいよというわけでもないでしょうしね。これから消費税とか三位一体とか、さまざまなテーマのある中で加えて、大変重要なテーマが加わったということだろうと思っております。

じゃ次回以降の予定を申し上げて今日終わりにしたいと思いますが、来週から起草会合を開催いたしたいと思いまして、16日火曜日2時から、起草会合の第1回目を開きたいと思います。何遍も申しておりますが、起草会合のメンバーはこの基礎問題小委員会のメンバーでございますので、どうぞご出席を賜りたいと思います。総会は、18日木曜日の3時からと考えておりますので、総会の方にもご出席をいただきたいと考えております。

それでは、ちょっと時間が過ぎましたが、合同の会議はこれで終わりたいと思います。どうも長時間ありがとうございました。

〔閉会〕

(注)

本議事録は毎回の審議後、速やかな公表に努め、限られた時間内にとりまとめるため速記録から、財務省主税局及び総務省自治税務局の文責において作成した資料です。

内容には正確を期していますが、税制調査会議事規則に基づき、事後の修正の可能性があることをご承知置きください。