総会(第19回)後の石会長記者会見の模様

日時:平成16年11月9日(火)17:05~17:26

石会長

総会については、もうご覧になっていると思いますので、その前に1時から3時まで行われました基礎問題小委員会で何をやったかという、それを中心にご紹介したいと思います。今日は、個人所得課税と法人課税、この二つを集中的に取り上げまして議論いたしました。実は、前にもこれは取り上げていたので、なぜ今かということなんですが、やはり三位一体の議論がどうなっているかというのをあらかじめ見込んで今日はやる。それから定率減税につきましても、ここで再度整理しておきたい。それからもう一つは、住基番号と金融番号の関係をどうかということが、総会でもかなり議論になりましたので、これを中心に個人所得課税。法人課税のほうはかなり雑多な問題だったというと言い方悪いんですけど、個別の問題を二つ三つ取り上げました。つまり、特別法人税の問題、これは年金課税の問題ですね。それから組合の関係でのさまざまな税の租税回避の問題等。これは今日、資料が出ておりますから、後ほどご覧いただきたいと思います。

そこで、あえてここで今日の議論の中身を、方向づけができたという点を中心にご説明したいと思います。定率減税につきましては幾つか資料がございますように、これは事務局の説明によると、総務省と財務省が共同でつくった最初の資料のようでございますが、国と地方の個人所得課税を一体化したということですね。そこで、最初のほうにはずっと定率減税のことが書いてございます。我々の議論は、今後、財政再建というようなことを念頭において増税とか、あるいは減税の廃止とかということになれば、いかなる方法をとってもマクロ的にはマイナスになるだろう。ケインズ的な効果からみれば当然マイナスになるだろうと。だから、景気ということをあらかじめ念頭において、マイナスだからやっちゃいけないとか等々という時期でももうなかろうと。これだけ財政赤字が社会的に問題になってきたことを踏まえれば。そういう意味で、一応のところ2006年1月からの実施ということは念頭において、来年度税制改正のなかに取り入れるとした場合、制度的には今から清々粛々と仕組んでいく。いろいろデータは出ておりますけれども、小渕さんが入れた今から5年前の状況と、現時点でのマクロ経済の強さ、これは図を見れば一目瞭然です。まあ民需で今、財政・日本経済がが復活しておりますから、当然、財政出動で支えていた5年前とは大分違う。ということを踏まえたり、それから今後の見通しはまったくこれから分からない。少なくとも来年に入ってからしばらく在庫調整みたいのがあって踊り場になる可能性はあるが、踊り場の後、また再浮上するのか、あるいはそこからスローダウンするのか、あるいは、まあ失速はしないと思いますけども景気が落ちるのか、これを今からとやかく予測してもしようがない。一応この間の説明のとおり、と同時に景気に対しての悪影響が耐えられるという状況のもとになれば当然延長するし、まあやむを得ず、これ以上景気を落としちゃいけないなんていう事態が来年の今頃起こっていれば、それはやめざるを得ないでしょう。ということを踏まえて定率減税もしかと書き込むという形にいたします。そして、何よりも財政制度審議会の建議と同じような意味において、財政の破綻に対する恐怖感であるとか財政の持続性があやしまれているとか、そういうところについて財政の安定が、国民に対して安心感を与えれば、さほど消費が減退することはなかろうという、今は非ケインズ的な効果ということについて、やはり我々、大きな意味で注目していきたい。という形において、はっきり定率減税については景気論理と並行しながらやっていこうという議論に、基礎問題小委員会では一致いたしました。

ただ、ご存じのように、総会にいきますと当然のこと、個人の、あるいは家計の負担という点を表に出して反対される意見もありますから、これをどうこれから調整するかという問題は残ろうかと思います。

それからあと、定率減税に関しては一般財源でやるべきであるという声がやはり一番多くて、ただ、年金あるいはその他の福祉財源に充てるということについても、特別会計までつくってやるわけじゃないんですね。そういう意味において、一般財源でやるということと、特定の財源に仕向けるということは、それほど性格的に大きな差はないだろうという認識を持っています。やはり我々としては、これ以上膨らむ財政赤字を消すためにということが、やはり説明の中心にならざるを得ないと、このように考えています。そういう意味で、景気というのを前提にして、いいから、悪いから、定率税率を云々かんぬんするというよりは、しかと税のロジックの中で定率減税というのを議論し、基本的には導入の方向で議論をするのが筋ではないかと。これに対して金融政策との関係、つまり低金利政策がどれだけ続くか、あるいは長期金利との関係はどうかといったような点に配慮しなきゃいけないとか、あるいは国民に対する説明の仕方として、具体的に定率減税のメリットかどこにあるかというようなことの説明を十分せいといったような議論があったということですね。

それから、三位一体の絡みでの税源移譲は、まだ来年の税制改正のメインのテーマではないという意識を持っています。1年先になると思います。そういう意味では、実はこの三位一体の税源移譲と定率減税は関係がなくはないんですね。特に、自民党の税源移譲に対する答申等を見ますと、明らかに抜本改革を進める中で税源移譲をやるということですから、税源移譲というのは抜本改革の一助とすれば、言うなれば定率減税というのは抜本改革の前までにやっている話だと、あるいは景気がよくなればやめる話だというふうに、今日見ていただければ、法律的な裏付けとなってます。その辺の16年度税制改正大綱、自民党と公明党の6ページに書いてございますが、「個人所得税(国・地方)の課題」の中に。これを見ていただきますと、独立に本来組むべき理論かもしれませんけれども、僕はこの間、たしかそういう説明をしましたし、その議論はしますけれども、でき上がりとして、定率減税3兆3,000億円、国税・地方税合わせまして。それが国税・地方税・所得税・住民税に移される姿と、仮に3兆円、あるいは〇〇兆円でしょうけど、所得税から住民税に移されるその税との複合的な差異をどう設定するかというあたりが、やはり三位一体の税源移譲と定率減税については二本立てにして考えなきゃいけないんじゃないかという議論をいたしました。

それから、今日はじめてというよりは前から出てた議論ですけれども、11ページ、12ページの現状の話と、税源移譲に当たっての基本的な考え方で何をどういじるかというのが13ページに出てますが、所得税では最低税率10%を原則としますが、それ以下の低い税率を入れたり、あるいは住民税の13%が10%に落っこちたときに国税のほうで最高税率を引き上げる。あるいは結局、税率はそのままにしておくとすれば、ブラケットでいじくるしかありませんから、ブラケットをどうするか等々。個人住民税では、税率のフラット化というので今のところ10%に均一化する予定ですが、ただ、国税は払わない、しかし住民税の負担はしているという人が、今の税源移譲でネットの増税になったときにどうなるかという意味で、低所得部分に係る負担調整措置、これも書き込んでございますが、これも大きな問題になるであろうという意識を持っております。それについての地方自治体の長からの注文もついているということであります。これは、いずれにいたしましても年が明けてから、どういう格好にするか分かりませんが、集中的にこの所得税と住民税の姿、形といいますか、構造的な変化については議論する予定でおります。ちょっと時間がありますので、そういう形で十分だろうと思います。

それから、例の番号のほうですね。番号のほうは幾つか議論が出て、言うなれば二通りの選択肢がある。これは金融所得課税についてのという、基礎小26-3に出ておりますけれども、要するに住基番号をそのまま使えというご主張と、金融番号を使う支えとして、あるいはバックアップとして、例えば住所なんかというのはわかるわけですよ、本人確認ができるわけだから。より有効に金融番号を支える意味で住基番号をつくれと、二通りの意見があって、大体住基番号そのものを使えという強硬な意見は今日は後退したと、このように思います。というのは、最後に書いてありますように、法的な改正が必要といたしますから、これは9ページに書いてございますが、金融番号に使用する場合には住基番号のコードの民間使用ということを法律改正しなきゃいけませんので、これは大変な手間と、それから反対の意見も強かろうという判断で、とりあえず金融番号のバックアップとしてこの住基番号を使うということについては問題なかろうという議論であります。

法人税関係のほうは、まあ幾つかご質問も出たし、ただ、あえて皆様のご関心があるとすれば、特別法人税のところですね。これはご存じのように、3階建ての企業年金のところで、入り口、出口、そして真ん中と、言うなれば遅延の利息分だけの問題が生じている。まあ入れたとき非課税ですから、出口でまたほとんど公的年金等控除が適用されて非課税になったということもありますが、基本的には出口のところまで課税が遅延されるわけです。そこでその間の利子はしかるべき1%にしてもいいというロジックできているわけです。まあ今提示されていますが、やはりこの問題を本格的に議論するためには、年金課税の入り口、出口、真ん中の議論をやった後で議論しないとできないだろうということで、今日は意見の一致を見ました。

あとの議論ですが、12日に2時間使いまして、一応環境税の集中審議をしようと思ってます。これは、中央環境審議会、それから産構審から既に反対・賛成の意見、つまり京都議定書をどういう形で今後進めるかというところの具体的な戦略論が出てます。それが環境税絡みでいくのか、それ以外でいくのかどうかを事務局から整理してもらいまして、そこで議論したいと思います。ただ、今日総会でのご議論を聞いていておわかりのように、やにはに税の議論という、環境税の議論というものにすぐ入るということについては、総会の今日の空気ではそういう方向ではなかったような受けとめ方をされていると思います。実は今日、環境税の支持者の出席が何人かなかったということもありますが、まあ12日にはその辺をちゃんと仕切って、どういう形で環境税を来年度以降の税制改正の中に位置づけるかということを議論したいと思います。

来週16日以降は起草会合に入りたいと思います。先ほど申し上げましたように、この記者レク、あるいは会議を公開するということは控えさせていただきます。二度ほど起草会合をやって総会というのを2ラウンドやって、25日(木)に最後の総会を開いて、まとまったら、それを総理官邸に持っていって小泉さんに渡してきたいと、このように考えてます。そこで内容的には、来年度税制改正に直接反映させる部分と、それから来年度以降ではなくその次以降ですね、2006年度以降にかなりの大きな改革の要素がきている。まあ今のご説明でおわかりいただけるように、三位一体での税源移譲とか、あるいは消費税の問題、それから環境税もどうなるか分かりませんが、その問題。それから番号つきの金融所得課税の一元化の問題等々が中長期的な視点から、来年度盛り込まない部分として残りますから、当然そういうものに触れてトータルで書いていきたいと思います。その意味では、例年より中長期的視点の答申案という形になるかもしれません。まあそれだけ大きな問題が後に控えてるという問題意識を持っております。

以上です。

記者

まず定率減税なんですが、前回の基礎小でも、見直しで一致という話を会長はされたと思うんですけれども、今日は、それを改めて確認したということなんですか。

石会長

そういう言い方が一番いいかと思いますが、それよりもう少し一歩踏み出してるのは、いずれにしても、これは景気に対してはダメージを与えるのは見え見えなんで、あらかじめ景気が悪くなるからやらないというよりは、覚悟の上で、逆にいって、今、財政破綻を救わないと、かえって国民のほう、いじけてですね、消費行動がだめになる。それからそういう形を通じて、例えば年金制度の拡充につながる、そういう安定につながるというようなことを出せば、また我々はさんざん言ってますけど、非ケインズ的効果というほうの効果も大分出る。単に短期的な可処分所得が減るから足を引っ張るというだけの議論ではないだろうということを議論しましたので、やや少し前向きに踏み出したかなという感じはしてます。

記者

あと、自民党とか党関係のほうからは、目的税的な趣旨で発言される方もいらっしゃいますけれども、あえてこの答申では一般財源的な書き方をされるわけですよね。

石会長

目的税化といったって、特別会計をつくるわけじゃありませんからね。同じどんぶりに入れて、それを特にある方向で支出するという言い方、あるいはより一般的に使うという言い方は、まあいずれにいたしましても、実際になればですね、税源が増えて、財源が増えて、それを財政赤字のほうにより向けるのか、あるいは福祉目的に使うのかというあたりの議論ですから、それはカネには色がついてますから分かりませんからね、そこはあまり重視してません。ただ、我々としては一般財源で使うべきだと、事柄の性格上ね。

記者

ということは、答申の中に一般財源で書くということですか。

石会長

はい。と思います。まあこれからの議論を再度またなきゃいけませんが、そこははっきり書きたいと思います。従来も書いてますから。

記者

三位一体の関係ですが、税源移譲3兆円という話は、まあまとまれば進んでいくと思うんですけれども、去年の改正では、所得譲与税ですか、あれをつくりましたよね。今回、年明けから制度を見直すという形をとります、ということは来年もまあこのまま続くということですか。

石会長

来年度は所得譲与税が続くと見えてます。17年度。18年度に、言うなれば3兆円か〇〇兆円を移すとなれば、これはある意味で抜本改革の一つの、もう政府も公約していることですから。総務省、財務省の間でその辺の争いはないと両局長が明言してましたから、はっきり移すと。そうなれば、移し方の問題を今から議論しておかなきゃいけないだろう、そういう問題意識です。その前に、そういう抜本改革が起こるなら、定率減税の話というのを、当初の趣旨からいって入れておかなきゃまずいだろうと。そこはリンクしてるということですね。

記者

先ほど答申の中で、来年度にやる分と、それから再来年度の分と・・・。

石会長

再来年度以降ね。

記者

ええ。その定率減税については、例えば来年度はどの程度、あるいは段階をという、そこまで答申に書かれますか。定率減税を2006年度にやめるべきだということなのか、それとも、2005年度、2006年度の配分、そこのあたりについてはどういうお考えでしょうか。

石会長

今日はですね、非常にショックが大きいなら、2年のところをあるいは3年、4年やってもいいじゃないか、どうだという意見も出たんですけど、これは結局ですね、18年度中に三位一体で税源移譲するということで縛りになってますからね、それはできないだろうと。で、2年ですよ。2年でなく1年でやるのか、半分ずつ割るのか、それをもっと別の比率があるのかという議論はしておりませんが、まあ恐らく複数年次にわたってやるとか何とか、あるいは段階的にやるとか、そのぐらいのことは書くんじゃないかと思いますが、これは分かりません。また皆さんのご意見を聞いてみないと。ただ、景気等々への配慮がですね、まあソフトランディング的なことを考えるなら、まあ二つに分けて段階的というのが順当かなという気はしますけどね、個人的には。それはこれからの議論です。

記者

今のは、要するに答申にはどうするということでしょうか。

石会長

いや、だから、今のような調子で書けたらと思ってますよ。はっきり段階的にやるとか、2年間でやる必要があるだろうということは。今の制度の縛りからいって、三位一体がやっぱり極めて縛りになってるということは今日、再確認しましたから、そこの関係において2年という猶予があれば、それに自民党と公明党はっきり言ってますよね。17年、18年でやめるということを言ってますから、それと呼応するということは必要かもしれませんね。

記者

それで要するに、今日の総会の議論でもありましたけれども、直前になったらどう判断するかと、そういうことはどう・・・。

石会長

それは文章に書かんでもね、実態面からで十分に対応できると思いますよ。仮に2分の1ずつ段階的にやるとしても、来年の、つまり踊り場からどうやら後退気味であるというときに、やっぱり幾ら非ケインズ的効果といっても、短期的にはね、ケインズ的効果のほうが強いということは、恐らくまあ常識でしょうから、そのときにはセットした後でそれをもう一回後にするかどうかということをしてもいいじゃないかと。ただ、それを前提にして議論するわけにいかないから、まあ制度としてつくっておこうということですね。だから、その辺になぜ必要かというロジックですね。それもしっかりしておきたい。なぜそれが正当化し得るかということですよね。

記者

あとスケジュール的な話ですけど、16日にやりますよね。

石会長

はい。

記者

その後、何回ぐらい起草のほうを。

石会長

起草を2回やり、総会を1回やり、それを2ラウンドやる。2回1回、2回1回を2ラウンドやる、それで…。

記者

その間の総会は…。

石会長

だから、起草会合を2回やると3回目は総会をやって、それからそれを受けて、また2回やって1回やる。

記者

その総会は非公開になるということですね。

石会長

総会は非公開になります。私も出てきません、ここには。よろしいですか。で、出てきたときにお楽しみと、こういう感じですね。で、25日に提出して、ここでご説明したい。そういう段取りを考えてます。

(以上)