第19回総会 議事録

平成16年11月9日開催

石会長

それでは、今から総会を開催いたします。

今日は、2つ大きな目的がありまして、前半で、基礎問題小委員会でやりました議論を、再度ここに提示いたしまして、総会でご議論賜りたいというのが一つ。後半は、今、主要な意見をとりまとめ中でございまして、その主要な税につきまして、おのおの議論を重ねております、いうなれば起草に役立てたい材料を提供いたしておりますので、それについてご議論いただきたいと考えております。

今日、1時-3時の間に個人所得課税と法人課税を議論いたしました。そこで各々2つに分けて、当然のことながら個人所得課税のほうがウエートが大きいのですが、3つ、大きなテーマを処理いたしました。

1つ目は、定率減税をどうするかという問題。

2つ目が、三位一体の改革の中での税源移譲をどうするか。

3つ目が、金融所得課税一元化の中で使われるであろう金融番号、番号制度との兼ね合いで住基番号をどうやって関連づけるか。住基番号を使うのか。そういう問題がございましたので、それを順次議論いたしたいと思います。

まとめて、税制一課長の永長さんと、市町村税課長の山根さん、お二人から、手際よくご説明を下さい。

では、山根さんから先にお願いします。

山根市町村税課長

それでは、お手元の「基礎小26-2 三位一体改革の経緯」ということでございます。この資料は、これまで三位一体改革が、地方分権の流れの中でまずは国と地方の役割の整理を行ってきたことと、その後、三位一体改革の具体的な検討の中で地方六団体に対して補助金のとりまとめ作業を依頼し、それが提示された。現在、補助金改革の中身についていろいろ議論されているといったことをまとめた資料です。

それから、「基礎小26-3 金融所得課税関係」、これが住基ネットの関係の資料です。

時間がございませんので、3ページをまずご覧いただきたいと思います。住民基本台帳ネットワークが現在までにどのように利用されているのかということでございます。左側に「平成15年4月から実施」ということで、住基ネットが利用され始めております。従来、住民票の写しを各種手続きで必要としておりましたが、順次、これが不要になっております。例えばパスポートの交付申請の際には、住民票の写しを求めずに、受付窓口で直接住基ネットにアクセスして本人確認を行うということが行われております。また、例えば恩給の受給に際して市町村長の証明印も不要になっております。今後、こういった手続きはほとんどの行政手続きで提出が不要になると考えております。

さらに進んだ使い方としまして、平成16年1月から、住基ネットを活用して公的個人認証サービスというものが始まりまして、各種手続きが自宅からインターネットでできるということで、婚姻届のようなものまでできる、さらに、所得税の確定申告もインターネットで申請できる世の中になるということで、住基ネットも各種手続きへの活用が浸透してきていることがわかろうかと思います。

次に、5ページをご覧いただきたいと思います。これは最近のトピックでございますが、ご存じのように、年金の話でございまして、年金の未納ということが非常に大きく問題になりましたが、未納対策といたしまして、住基ネットのシステムの本人確認情報を活用して社会保険庁のシステムと照合することによりまして、未加入者を把握できるということが一点。それから、もう既にお亡くなりになっているのに年金を払い続けるというような事例がございまして、あとから返していただくという事務が発生しておりました。これは、従来郵便で生死を確認していたのを、今後は住基情報を活用してこういった確認を行うことになっております。

6ページ、7ページは、兵庫県で、既にこういった住基ネットを税務のシステムも含めて活用している事例でございます。

7ページをご覧いただくと、網かけの部分ですが、例えば賦課徴収にかかる通知をこれまでは住所を個別に確認していたのを、住基ネットを利用することによって瞬時に現住所を把握することができるということで、税務を大いに効率化している。従来は転居先不明といったこともございましたが、こういったことで効率化を図っている。併せて、市町村税についても、県に問い合わせることによって住所把握が効率的にできるという実例ができているという例でございます。

9ページをご覧いただきたいと思います。このような住基ネットを、金融番号制度に活用することについてどのように考えるかということでございます。まずは考えられる効果として、金融番号を付番する際に確実に本人確認を行うということで、二重付番の防止等の効果が考えられます。また、付番したあと、データベースがあるわけですが、その後の住所移動の把握が簡便確実に可能となるというふうに考えられます。

これを実施する際に、住基法の改正が必要になるわけですが、これについては2つございます。

Iは、先ほどご説明いたしましたようなやり方で、本人確認や住所移動の確認に利用するという場合は、他の手続きと同様に、法律の別表に事務を追加することでこれが実現できるということです。

IIとしまして、住民票コードをそのまま金融番号として使用する。この場合につきましては、Iの改正のほかに、現在禁止されております民間利用の規定をどうするかという問題がございます。金融番号につきましては、金融機関において番号の告知を求めることになりますので、こういった民間利用の規定に抵触することになります。

したがいまして、Iのやり方とIIのやり方では法律の改正の中身が相当違ってくると考えられます。IIについては、より抜本的な見直しが必要になってくるというふうな理解でございます。

10ページは、同じ法律改正ということでございますが、過去、これを導入したときにどのような議論があったかということでございます。上の総理答弁のほうは、一般論と申しますか、「法改正の際には慎重かつ適切に判断されるべき」ということで、慎重な姿勢としながらもこのような表現となっております。

2つ目の自治大臣答弁のほうは、ずばり納番制度との関係でございまして、住民票コードを納番に使うことについての答弁でございます。アンダーラインを引いておりますが、全体的な中で、全くその可能性をゼロだとは言わないけれども、納番制度への第一歩ということにはならない。納番制度を踏まえた議論が行われて、それから後の話になるのではないか、というような答えぶりになっております。

したがいまして、同じ住基ネットの活用といっても、Iのやり方とIIのやり方で相当改正の度合いは違ってくるという感じがいたしております。

以上でございます。

石会長

ありがとうございました。

では、続いて、永長さん。

永長税制第一課長

「基礎小26-1 個人所得課税(国・地方の課題)」という冊子です。課題ということで、定率減税のお話と税源移譲のお話を整理したものでございます。

ページをめくっていただきまして、1ページです。個人所得課税の定率減税、これは皆様よくご承知のことと思いますが、「小渕内閣による恒久的減税の一環として」ということで、景気対策のため。条文では「現下の著しく停滞した経済活動」という言い方になっておりますが、当時の経済認識のもとに導入した減税でございます。個人所得課税の抜本的見直しまでの間、ということで始まったものでございます。

いろいろな税額計算をした最後の段階で、所得税では税額の20%、頭打ちが25万円、個人住民税では15%、頭打ちが4万円ということを、最後の段階で差し引くものでございます。トータル減収額、所得税が2.5兆円、個人住民税が8,000億円、このようになっているわけでございます。

具体的に2ページでございますが、それぞれの収入階層ごとにどのような減税額になっているかというものを示したものでございます。網かけしております、「(a)-(b)」「(c)-(d)」、この部分がいわゆる減税額でございます。給与収入300万、夫婦子2人であれば1,000円の減税、夫婦のみの場合は2万4,000円の減税をしている。これは1年間の減税額でございます。下のほうを見ていただきますと、500万円では3万5,000円、8万2,000円、このようになっておりまして、先ほど申し上げた頭打ち、国税が25万円、住民税が4万円、足して29万円、これが一番下の1,500万で29万円。このようになっているわけでございます。

次のページ、さらにその次のページに法律の条文を書いてございます。例えば3ページの国税で申しますと、2行目、「現下の著しく停滞した経済活動の回復に資する」ということが書いてございます。また、最後から3行目、「抜本的な見直しを行うまでの間」、このようになっているわけです。

5ページに飛びまして、政府税制調査会におかれましても定率減税については累々ご審議賜っております。一昨年、14年6月の基本方針におきましても、最後の行、「経済情勢を見極めつつ、廃止していく必要がある」。昨年の中期答申におきましても、中ほどに「継続している定率減税についても、経済情勢を見極めつつ廃止していく必要があることを示した」、このように書いてあるわけでございます。

6ページ、これは昨年末の与党の税制調査会で議論された大綱でございます。前文に当たるところに、ここ数年間の税制改革の道筋を記している箇所がございます。その1~4の2と3のところが、今のお話に関連する部分でございます。「平成17年度及び平成18年度において、わが国経済社会の動向を踏まえつつ、いわゆる恒久的減税(定率減税)の縮減、廃止とあわせ、三位一体改革の中で、国・地方を通じた個人所得課税の抜本的見直しを行う」。さらに、「3 国と地方のいわゆる三位一体改革の一環として、平成18年度までに所得税から個人住民税への本格的な税源移譲を実現することとする」、このように書いてございます。

ここの箇所、定率減税、税源移譲、個人所得課税の抜本的な見直し、さらに、先ほど読み飛ばしましたが、2の後半に書いてございます年金財源、いろいろな要素が書いておりまして、ややわかりにくいわけですが、そのあたりを我々なりに若干整理いたしますと、次のようになります。

まず、三位一体でございますが、全体像をこの11月にまとめるということで、現在、活発なご論議が行われております。これまでもやってきておりますが、17年度と18年度で、今議論している三位一体の改革を完成するという日程でございます。

税のほうはということでございますが、個人所得課税の抜本的な見直しと合わせまして、所得税から個人住民税への税源移譲。わかりやすく言うと、国の所得税を〇兆円減税して、個人住民税を〇兆円増税するという形で税源移譲を行うことになります。毎年毎年立て続けに、抜本的見直しというわけにもなかなかいきません。この抜本的見直し、すなわち本格的な税源移譲は、18年度税制改正において一気に実現するというのが自然な流れかもしれません。

他方、定率減税でございますが、先ほど申しましたように、抜本的見直しまでの間の措置という位置づけもございます。さらに、税源移譲を、所得税・個人住民税の本来的な姿、恒久措置として行う必要があるということもございまして、現行の定率減税は18年度までに廃止する必要があるのではないか、こういう考え方が出てくるわけでございます。

しからば、その前段階、18年度の前の段階としての17年度、これはどういうことかということでございますが、18年度に一遍に定率減税を廃止してしまうことが経済全体にどのような影響を与えるのか。経済との関係は、このすぐあとに簡単に触れますが、むしろ段階的な取組みが適当ではないかといったような議論もあります。ちなみに小泉総理の国会での答弁、「段階的な取組みも考えられるのではないか」という答弁も行っておられます。

定率減税を縮減・廃止する結果として出てくる増収額、これをどう使うのかという問題もございます。これは、先ほど申し上げたように、党大綱の中では年金財源のことに言及されているわけです。

次に、7ページ、8ページの、経済との関係でございます。経済との関係につきましては、平成11年当時と今の状況の比較、これが第1の論点。第2が、足元ないし当面の経済状況。第3が、中期的な経済運営のあり方。こういう3つに一応整理できるかと思います。

最初の論点、11年当時との比較。7ページの上半分、大まかなマクロの数字を示しております。これをご覧いただきますように、少なくとも平成11年当時と比較すれば、今の経済状況は著しく好転していると言えるのではないか。このこと自体に異を唱える人はあまりいらっしゃらないように思います。

その次の、足元、当面の経済状況ということでございます。7ページで言うと、「その他考慮すべき今後の諸状況」というところに幾つか書いてございます。今後の経済の見通し。例えばアメリカ、中国、原油、こういったことを要素にして懸念を示される方もいらっしゃいます。特に今年の後半から来年の夏頃までかけて、IT関連をはじめとして生産サイド、企業サイドで在庫調整が行われるということもありまして、いわゆる踊り場というか、調整期、これを予測する向きは多いかと思います。

一方、税のほうです。減税の場合は機動的な対応が必要ということで、法律が通ったあとに、遡及的にバックして、その年分から適用ということもあるわけですが、負担増の場合には、普通、その法律が通ったあとに始まる暦年から--所得課税は暦年ですので、17年度改正で仮に措置をいたしますと、暦年である18年からの適用になる。このあたりの時系列的な関係をどのように考えるかという問題がございます。

3つ目、中長期の話でございます。これは、足元、当面の状況というよりも、中期的な観点から見るべきではないかというご指摘もございます。現在、家計消費、300兆円オーダーでございます。可処分所得を左右するのは税だけではございません。7ページの下に書いてございます、例えば、そもそも雇用の状況、さらには社会保障との関係、こういったことも頭に入れなければいけないということでございます。雇用のほうは、いわゆる労働分配率、ここ数年間、下がってきたわけですが、一段落しているという状況もございます。また、社会保障との関係では保険料が引き上げられます。当面、毎年3,000~4,000億円、そういったオーダーで家計の負担は増える。一方で、実は給付のほうは毎年1兆円を超えるスピードで増加が見込まれる、このようになっております。

そもそも300兆円規模の個人消費に対して、伝統的、コンベンショナルな減税政策、ケインズ政策がどのような意味を持つのかというのは、専門の先生方にご論議いただきたい、このように考えております。

次の8ページは、減税が政策ターゲットにしております消費の動向です。平成11年からの数字をプロットしております。大まかに申し上げれば、企業の設備投資とは違いまして、大きくブーストもなければ、大きな下げもない、こういう傾向が伺えるわけです。こうした関係につきましては、経済財政諮問会議など責任を持つところで、今後、17年度の経済見通し、それ以降の展望、これを分析する際に検討が行われることになります。

以上、定率減税でございます。

次に、三位一体でございます。先ほど申し上げましたように、18年度までに今議論している三位一体を完成させるということでございます。税のほうは、本格的な税源移譲の具体化、これは18年度改正でということになるとすれば、現在ご審議いただいている17年度改正との関係ではまだ時間的な余裕がございます。

その次の9ページ、10ページに、今まで議論されている政府税調、さらには「骨太」での記載がございます。既に、フラット化とかこういった議論が行われております。

こうしたご議論の上で我々は具体的な制度設計を今後行うわけですが、その前提として、11ページ、現在の税率構造、所得税・個人住民税を書いてございます。それぞれのブラケット、踊り場にどれほどの人が入っているのか。かねてから、国税で言うと10%のブラケット、最低税率ブラケットに約8割の方が入っている、こういったものが示されております。

次の12ページでございます。「税源移譲にあたっての」ということで、抜本的見直しと併せてということですが、そのうちの「税源移譲にあたっての基本的考え方」でございます。所得税法及び地方税法本則の改正によりまして、所得税から個人住民税へ恒久措置として〇兆円の本格的な税源移譲を実施するということでございます。その際、個人住民税、所得税の役割分担を明確化するという考え方。

2つ目、税源移譲そのものについては、個々の納税者の負担の変動をできる限り小さくしたい。

3つ目、これは当たり前ですが、全体として「あるべき税制」の方向性--累々政府税調でもご論議いただいているこの方向性と整合的でなければいけない、こういうことでございます。

先ほど、〇兆円と申しましたが、現在「骨太」で決定されておりますのは、「3兆円規模を目指す」ということになっております。3兆円を前提にいたしますと、個人住民税、5、10、13の税率を10にフラット化する、このようになります。低所得部分については、住民税が5から10に上がる。それに対応して所得税のほうは減税をする。高所得部分、これは13が10に個人住民税が下がります。それに応じて所得税のほうは負担増を図る。このような形になります。

13ページに、この具体的制度設計に当たって検討しなければいけない項目を羅列しております。所得税については、今、最低税率が10%ですが、それよりも低い税率のブラケットを設定する等々の税率構造の見直し。さらには人的控除、これも累々ご議論いただいております。個人住民税においては、先ほど申し上げたフラット化、こういったことを検討するわけでございます。

こうしたことについては、来年、年が明けましてから、個人所得課税の抜本的見直し、このご論議の中でじっくりご議論いただくことになろうかと思います。

以上でございます。

石会長

ありがとうございました。それでは、しばらく時間をとりまして、今、出された3つの問題につきましてご意見を賜りたいと思います。住基番号の話、定率減税、税源移譲であります。時間もございませんから、どうぞご発言ください。

井戸さん。

井戸委員

住民票コードをそのまま金融番号として使用するかしないかということが、直接的な問題ではないかなと思います。納税番号と金融番号は異なりますから、基本的に国会答弁などの制約は全くないと思います。ですから、使えないわけでは全くないと思うのですけれども、金融番号ぐらいのもので住基コードを全面的に活用するということが今の時点でいいかどうか、ということをご議論いただかなければいけないということではないかと思います。

ただ、ここの1にありますように、本人確認とか住所移動の確認、あるいはダブりのチェックというような形で活用することは、住基番号制度とリンクしていただくと、まさしく本人確認なりがきちっとできることになりますので、少なくともこの利用は最低限検討しておくべき、それで構築すべきだと私は思っています。2まで行くかどうか。私は、2まで行ってもいいのではないかと、この間、主張したのでありますが……。

石会長

今おっしゃっているのは9ページですね。

井戸委員

そうです。2まで行くかどうかはもう少し議論を詰めなければいけないのではないか、こう思います。

石会長

バックアップとして住基番号を使って、金融番号そのものを支えるというような形でよろしいわけですね。そういうことはやらなければいけないということですね。

井戸委員

はい。少なくともそれはぜひやるべきだと。住民税の課税ということを考えても必要なのではないかと思います。

石会長

ほかにいかがでしょうか。ほかの問題でも結構です。

どうぞ。

村上委員

今の住基ネットですが、浸透状況というか、使われ方は現状どのようになっているか、説明していただければと思います。

石会長

では、山根さん、もう一度どこかの表を使って。

山根市町村税課長

現状の使われ方ということですが、先ほどの資料の3ページに使われ方が書いてあります。さらに、これは例示ですので、手続き数で申しますと、今、270程度の手続きがこの住基ネットを使ってできることになっております。

それから、どのくらいの自治体がこれに参加しているかということを申しますと、住基法では全部参加なのですが、1町2市がまだ参加していない。横浜市が段階的な参加ということでございまして、人口で言いましても、99%以上がこのネットに参加してこのような手続きが可能になっているということでございます。

石会長

どうぞ、上野さん。

上野委員

資料の10ページ、住基ネットの話です。大臣の答弁振りですが、これを読むと、民間に使わせないことが原則だということを声高に言っているわけではなくて、むしろ税制の側が納税者番号制度を入れるかどうかを決めることが先だ、決めれば道は開けるのではないか、という言い方になっているのですけれども、こちらのほうの判断にかかっているのだというような理解でいいのですか。

山根市町村税課長

納税者番号そのものが、この法律ができたときは金融番号さえもまだ具体化されてなかったものですから、まず納税者番号制度というのがどういうものであるというのが決まらないと、住基を使うどうこうという議論に至らないという意味で、このような答弁になったというふうに考えております。

石会長

上野さんの質問にはあまり的確な答えではないと思うけれども。我々、納番というものをつくったら、年金番号か住基番号、ふた通りのチョイスがあるわけですよね。それで決まれば、住基番号のほうを使っていいというふうに自動的になるかどうか。この答弁ですよ。そういう言い方をしているのですか。それはわからないね、これでは。

いずれにしても、その段階でまた議論しましょう。この答弁がどれだけ重要かどうかもわからないし。

ほかにいかがでしょうか。どうぞ、草野さん。

草野委員

3つくらいあるのですが、1つは、納税者番号制度。これは税調でも入れるという方向性で確認していると思いますし、金融所得の総合課税、私どもは前々から総合課税を主張していますから、そういう意味ではぜひともこれは入れていくべきだというふうに思っています。当時の自治大臣の答弁から見れば、納税者番号制度への第一歩であるという位置づけではないけれども、納税者番号制度をもし入れるということになれば、使ってもいいのではないかというふうに私は読み取れますので、そういう方向でひとつぜひお願いしたいというのがまず第1点です。

それから、言葉尻をとらえて言うつもりはないのですけれども、聞き間違いだったらお許しいただきたいのですが、先ほど、定率減税導入のときになりふり構わず導入されたみたいな説明があったように思います。定率減税そのものが悪かったみたいな表現だったような気がしますけれども、それはちょっと違うのではないかなというふうに思います。

石会長

言葉のあやでしょうね。

草野委員

はい。言葉尻をつかまえて言うつもりはありませんけれども。それで、定率減税の廃止とか縮減というのは何となく違うように思いますけれども、結局は増税ですよね、はっきり言えば。そこのところをどういうふうに国民がとらえるかということを、私は、しっかり思ったほうがいいのではないかというふうに思います。経済がよくなったという話がありましたけれども、私ども前から言っておりますように、今、かなりアンバランスな回復状況にあるのではないかと思っております。そこをしっかり見極めていく必要があるのではないかというのが2つ目の内容で、はっきり申し上げれば、定率減税の縮減イコール増税については、慎重にやっていくべきだというふうに思っています。

それから、税源移譲につきまして、先ほど資料が出ておりました。所得税から個人住民税への税源の移譲については基本的に私どもは賛成の立場ですが、最大の問題点になってくるのは5%と10%の入口のところだと思います。ここはやはり慎重にやっていくべきではないか、こういうふうに思います。

石会長

慎重という意味は何を具体的に意味されているのですか。

草野委員

これは増税になるわけですよね。

石会長

ここに、国税のほうを5%のレベルを決めるかどうかということは書かれてますね。

草野委員

そうですね。

石会長

そうなればいいわけですよ。

草野委員

ただ、12ページの……。

石会長

13ページと併せてお読みいただければ。

草野委員

はい。

石会長

ここは調整するよというふうに……。

草野委員

読めばいいわけですね。

石会長

読めばいいのでしょう、きっと。

草野委員

はい。

石会長

どうぞ。

井戸委員

それに関連して、ぜひご検討いただきたいと思うのは、やり方はいろいろあると思いますが、所得税を払っていない者で住民税を払っている者、ここのところが、一律フラット化して10%にしますと5%増税になってしまうという問題がありますので、それを意識して「低所得部分に係る負担調整措置」と書かれているのだろうと思いますが、この仕掛けをどのようにするか、いろいろな仕掛けがあるだろうと思いますけれども、これを工夫する必要がある、このように思っておりますので、ぜひご配慮をお願いしたいと思います。

石会長

年明けになりましてから具体的な設計をいろいろやるとは思いますが、現状において、今ご議論いただくような話はありますか。この低所得者の負担調整について。

山根市町村税課長

まさにそれを意識して13ページの下の行を書いておりますが、具体的なやり方は、今、いろいろ検討中でございますので、別途ご説明させていただきたいと思います。

石会長

いいですか。井戸さん、その辺の具体的なやり方でご注文があれば、これはどうかとご提示いただければ検討します。

井戸委員

私も思いつきですみませんけれども、10%というのは一つの売りですので、10%にしておいて、例えば325万円以下の者については税率を2分の1にするとか、そういうような書き方もあり得るのではないか。私は、税額控除とかそういう別の仕掛けは、あまり入れないほうがいいのではないかというふうに思っています。

石会長

ほかにいかがでしょうか。

上月さん、どうぞ。

上月委員

金融番号制度に住基ネットを活用することについて、今、賛成の意見がずいぶんたくさんあるのですが、実際現場で仕事をしておりますと、電子申告に住基ネットのカードをとってきて電子申告するんですね。ところが、それだけでも抵抗のある人はあるのです。何も問題なくやってくれる人もいるのですけれども、やはり国民の多くは、すべての情報が一元化されて、そこでみんな知られてしまうということに対する不安を持っていますので、その辺は全員が賛成というのではなくて、そういう

不安もあるということを代弁しておきたいと思います。

石会長

この根拠は、住基番号をダイレクトに金融番号に使うのを慎重にやれというのであって、ロットが違いますからね。住基番号のカバーしている範囲とこちらの範囲と。まあ、それはおそらく、おっしゃるほうの話になっていく可能性はあるということになると思いますが。

ほかにいかがでしょうか。どうぞ、井上さん。

井上委員

今の住基番号の問題ですけれども、私は、民間利用を制限している規定という問題、これをもっと詰めていくべきではないかということであって、できることであれば住民コードを利用すべきではないのかというふうに考えます。

それから、定率減税の問題ですけれども、将来的には当然戻さなければいけないということもよく理解できるわけですが、ただタイミングの問題だということだけであって、今、中小企業の景況感というのはまだまだ悪いわけです。大企業はたしかによくなっているわけですけれども、中小企業は、最近の労働調査においてもマイナスである、非常に悪いという状況であります。そういう点から、タイミングだけの問題だということをお願いしておきたいと思います。

石会長

タイミングだけの問題をとらえる井上さんと、そもそもこれを廃止する等について、草野さんの意見と若干違いますよね。増税になるから慎重にやれというご意見とは。基礎小ではこれはかなり時間をとって議論しました。景気の問題等あるけれども、1年数カ月先、つまり2006年1月からやるということになって、今は読みきれない。同時に、増税とか減税をなくすというときには、当然、マクロの面ではマイナスになるのだから、それを今からどれだけどうだと言うことはできないので、議論はしておいて、どうしてもしようがないときには少し延ばすか何か、その時点で考えようというふうに落ち着いてきまして、基礎小ではそういう意見が全体の意向でしたので、お伝えしておきます。

ほかにいかがでしょうか。よろしゅうございますか。議題が多いので、とりあえずひとわたり行って、また戻っていただいて結構です。

では、法人関係を、佐藤二課長と上斗米国税庁審理室長から、幾つかの例につきましてご説明ください。

佐藤税制第二課長

お手元の資料「基礎小26-4」をお開きください。「法人税等関係」ということで、今回は、追加的な補足的トピックと、いただきました幾つかの宿題をご披露させていただきたいということでございます。

まず1ページ目、年金税制関係でございます。委員の中から、企業年金課税を含めまして、これから年金課税の問題を中期的に見たときに、大きなテーマであろうという問題意識をお申越しがございましたものですから、ここで整理をさせていただくという趣旨でございます。

ご案内のとおりですが、1階、2階につきましては、基礎年金、厚生年金ということで、公的年金がいわば強制加入という形で仕組まれておりますけれども、企業年金につきましては、その上に3階部分、任意加入ということで上乗せという形になっております。

この企業年金にかかります課税関係が次の2ページに掲げてございます。真ん中あたりの企業年金という部分、それから確定拠出年金といったあたりのコラムをお目通しいただきたいのですが、まず掛金。いわば入口段階ですけれども、事業主の負担については、その掛金部分は給与にならないということで、従業員に対する所得課税は行われない。それから、事業主が出した負担部分、これは損金に算入される。それから、本人が負担したものについて、社会保険料控除等によって引き算できるというようなことで、入口段階は基本的には非課税という形でございます。

それから、給付の段階ですけれども、年金方式でもらうという場合には、公的年金等控除の「等」というところですが、こういう控除の対象になるわけでございます。ちなみに、一番右側に個人年金保険とございます。同じ任意加入になっているわけですが、給付段階におきまして、個人年金についてはこのような所得控除はなされていないという点において、異なっているということです。入口の非課税、出口は一部課税という形でございますので、それを補完する形で、3にございます、退職年金等積立金に対する1%課税、いわゆる特別法人税が課されているのが現状でございます。

そのイメージが次の3ページです。繰り返しになりますけれども、企業が拠出のときに年金の掛金を出します。それは損金算入になります。従業員は、それについては所得税が課税されませんので、その部分の課税が繰延べされていく形でずっと推移するわけでございます。途中、拠出部分等々一つの積立金というたまりになってまいります。所得税が課税されなかった繰延べ部分もたまりという形になっているわけです。そこから給付されるということで年金が渡されるわけですが、先ほど申しましたように、ここについては公的年金等控除ということで一部のみ課税という形になる。そういうふうな流れになっていますので、それを補完するということで、積立金段階で1%、いわば所得税の遅延利子に対応する部分ということで、1%相当分の特別法人税を負担していただいているという形になっているわけです。

企業年金は、先ほど申しましたように任意の拠出です。企業年金をもらえる、受益を受けられる従業員の方と、そうでない方とのバランス等々、考慮の上、このような仕組みがとられてまいったというのが経緯でございます。ただ、(注)にございますけれども、この仕組みにつきましては、年金や金利の状況等ございますので、今のところは課税が停止中という状況にございます。

このような特別法人税を含む企業年金について当調査会の頭の整理ということで、4ページ、「参考」を掲げさせていただいております。「企業年金等に係る税制のあり方について、拠出・運用・給付を通じた負担の適正化に向けた検討」というご指摘をいただいているわけでございます。今後、さらに公的年金等の大きな制度見直しが流れとしては出てまいります。そういう中で、特別法人税を含めて、企業年金のあり方、拠出・運用・給付段階での適正化といったような問題意識が、今後の中期的な検討課題かなということだろうと整理されると思います。それが1つ目のテーマでございます。

続きまして5ページ、2つ目、組合関係というちょっと毛色の違うテーマをご紹介したいと思います。これは、前回の総会で、組合という一つの形を使いました租税回避行為があるというご指摘がございまして、これに関連する資料ということでデータをお出しするということです。後ほど、具体的な事例については国税庁の担当者からご説明いたしますけれども、その前提として、組合というのはどういうことかというのを、簡単に頭の整理をさせていただきたいというのが5ページです。

この図をご覧いただきますように、民法上の組合ということでして、それぞれの当事者がお金を出資して共同事業を営む、ジョイントベンチャーをするわけでございます。そういうことで契約をすることでスタートするものです。いわゆる法人というものではなくて、まさに契約関係があるということがここのポイントでございます。したがいまして、事業を担うのも法人としての組合ではなくて、それぞれの組合員が事業主体ということになりますし、対外的な債務を負う場合につきましても、それぞれの方が直接責任を負う形になりますので、下に書いてございますが、無限責任ということで、出資額を越えて責任を負い続けるというスキームになっているわけです。

これに関連するさまざまな組合制度というものが、7ページ、8ページにございますが、お時間の関係もございますので省略して、10ページを開けていただきたいと思います。今申し上げましたように、民法上の組合などに関連する課税関係はどうなっているのかということを整理したポンチ絵でございますが、真ん中に事業体と書いてございます。ここが、今申し上げました民法上の組合というふうに置きかえていただければと思います。先ほど申しましたように、この組合というものは、法人という形ではなくて、いわば契約ということでございますので、ここには法人課税はなされない。すなわち、それぞれの構成員に対してその事業の結果生じた損益が帰属され、そこで税金が計算されるという形になります。

居住者Aが仮に個人であれば、これは所得税が適用されますし、仮にBが法人であれば法人税法が適用される、こういうふうな形になってまいるということでございます。これで、いわば構成員課税ということが行われるわけでございますが、たまたまこれらのメンバーが国内におります場合には課税の把握が比較的容易ですけれども、国外にメンバーがいる場合には、収益が直接的にその当人に帰属することから、なかなか課税確保が難しいというふうな問題もあるということです。

いずれにしましても、このような組合というスキームを使いまして、幾つかある種の租税回避的な手段という形で使われている事例がございますので、国税庁の担当の者から、簡単に11ページ、12ページに沿いまして、ご説明をさせていただきます。

石会長

上斗米さん、お願いします。

上斗米審理室長

それでは国税庁より、組合を利用して執行上問題が生じましたケースについて、ご説明を申し上げます。

11ページですけれども、航空機リースを行う組合の構成員に対して課税処分を行った事例、モデルケースでございます。左側のポンチ絵を見ていただきますと、一番上にアレンジャーというのがおりますが、このアレンジャーが全体のスキームを構成した人間でございます。具体的には、アレンジャーがスキームを構成しましたあと、出資者に対して勧誘を行って出資を募る。一方、アレンジャーが金融機関と交渉しまして、組合に対する借入れを行わせる。さらに、出資分と借入れ分を合わせて航空機を購入する。そして航空機を航空会社に対してリースに付す。最終的にはリース期間の5、6年が過ぎた後、航空機を売却して売却収入を得るということでございます。

これが、実際どういった課税上の問題が生じてくるかということにつきまして、12ページを用いてご説明申し上げます。

12ページの試算ですけれども、前提としまして、出資が10億円、借入れ30億円によりまして航空機を40億円で購入する。ある投資家の方の出資持分が10%、出資額1億円でございます。そしてこの方は、リース事業以外に毎年1億円程度の所得がありまして、国・地方合わせまして限界税率が50%でございます。航空機につきましてリース期間6年でリースする。そしてリース料率は12.5%になる。また借入れにつきましては、アレンジャーがローンの保証等を行うことによりまして、ノンリコースローンという形をとりまして、一定の限度、例えば出資額の範囲に責任が限定されてくる、そして減価償却については6年間定額で行われる。最終的には、5年が過ぎたあとに25億円で機体を売却するという過程でございます。

そうしますと、リース事業を行っている間は、1年目から5年目まで、毎年リース料で1億円の出資に対して5,000万円入ってくる。そして、利息として1,500万円、諸費用として100万円を払う。そうすると、キャッシュフローベースでは、毎期3,400万円、収入が入るわけでございますけれども、一方、航空機について減価償却が毎年6,000万円立ちますので、課税上におきましては毎年2,600万円の損が出るということでございます。5年間通算ですと、キャッシュ上では1億7,000万円の金が入ってまいりますけれども、損益としては、1億3,000万円の損が立っているということでございます。

そして最終的に、機体を25億円、1人当たりですと2億5,000万円ですが、経費を引きまして、2億4,000万円で売却したといたしますと、キャッシュベースでは、リース料収入の1億7,000万円プラス売却収入2億4,000万円に対しまして、出資額1億円、それから借入れの返済が元本3億円ですので、それを返しますと、1億の投資に対して1,000万円のキャッシュ上の収益が生まれるということでございます。

それに対して税効果を考えてみますと、毎年、減価償却費が引けますので、2,600万円の損失が出るわけですので、5年分の1億3,000万円に対して50%の限界税率がかかりますから、6,500万円の課税軽減効果がある。そして5年間たちますと、航空機を売却いたしますと、これは長期譲渡に当たりますので、譲渡所得が半分になってくるということで、譲渡所得は7,000万円という計算になってまいります。そうすると、7,000万円に対して50%の税率をかけますと、約3,500万円。そうすると、リースから来る損失に伴う税の軽減効果が6,500万円に対して、最終的に2分の1課税を行えたことによって、航空機を売却した収入が3,500万円ですので、結果的に合計マイナス3,000万円の税の軽減効果がある。1億円の投資に対して1,000万円では、ほとんど投資として意味がないわけでございますけれども、この3,000万の税の軽減効果を加えて初めて経済合理的な投資となるスキームです。これにつきましては、組合の契約関係、また事実関係から見まして、民法上の組合を構成していないという判断から構成員課税を認めない課税処分を行ったところでございます。

特に問題点としましては、ここでわかりますように、これは、他の納税者、国家財政の犠牲のもとに、本スキームへの投資家なり、リース料が安く済む航空会社、あるいは、手数料が得られるアレンジャーが裨益するスキームである。また、実体として事業を行っているような形で参加していないわけですので、他の投資商品との取扱いにおいても著しい有利な状態にある。

また、ノンリコースローンということで、実質的に責任が、例えば出資額の限度に限られているにもかかわらず、この場合1億円でございますが、損益は5年間通算しますと1億3,000万円のマイナスになる。リスクを負っていない以上のマイナスをつけることに伴う税の軽減効果が生まれるということで、こうした点で課税執行上大変問題があると我々考えておりまして、課税処分を打ったわけでございます。現在、11件訴訟中でございますが、10月28日に、そのうち6件について名古屋地裁で判決が出まして、残念ながら国側の主張が認められなかったということで、現在、控訴につきまして法務当局と検討しているということでございます。

以上です。

佐藤税制第二課長

今のお話では、組合というスキームを使いました租税回避行為ということがございます。これは、どういう問題意識を持って取り組むべきかということが、これからの検討課題かなと思っているわけでございます。

最後に、13ページ、14ページといただきました宿題でございます。法人税率につきまして北欧の税率、14ページは、WTOにかかわります規則等々記載してございますので、ご参考いただければと思います。

以上でございます。

石会長

法人税関係は、雑多と言ってはあれですが、いろいろな問題が説明されましたからちょっと把握しにくいかもしれませんが、個々の問題で結構でございますから、ご発言をいただきたいと思います。

どうぞ、村上さん。

村上委員

今のは組合制度を使った租税回避行為ですね。要するに、組合というのは課税主体になっていない。それから、出資者は仕事をしているように見えて実は仕事をしていない。単に出資をしただけで、制度的には、償却をうまく利用して損を出すということですから、これは明らかに租税回避行為ですよね。こういうのは係争中のことに絡むので、微妙な問題もあるかもしれませんけれども、税制として欠陥があるということだと思いますので、早急に対応策を考える必要があるというふうに思います。

石会長

というようなご意見が出ました。おそらく現行税法の欠陥だということだと思いますがね。

どうぞ。

出口委員

今のお話、もっともだと思うのですけれども、私、これは税法上の問題なのか、いわゆる公法上の問題なのかというのがちょっと理解できなくて、ここでお答えいただかなくてもいいのですが、いろいろな見方をしながら……。税というのはもちろん手段の一つということで、今のような考え方があるということは十分理解いたします。

石会長

水野さんがこの問題を出されたので、彼がいればお答えがあったかもしれないけれども、今の公法上か税法上か、事務局から何かあれば。

上斗米審理室長

むろん2つ問題がありまして、民法上の組合の要件を満たしているかと。これは純粋に民法上の問題、さらに事実関係を民法の世界に当てはめていく、その当てはめの問題ということで、まさに裁判が行われておりますのはこの部分でございます。また、税法は税法として、構成員課税を行うかどうか、あるいは課税所得をどのように算定するかという税法独自の切り口がございますが、少なくとも、今、係争上問題になっておりますのは、最初に申し上げましたように民法上の問題でございます。

石会長

ほかの論点、いかがでしょうか。

どうぞ。

井戸委員

こういう行為を許していることがそもそも問題ではないかと思います。ですから、そこは民法上の議論を詰めていただく必要があるのですが、だからといって税でこまねいていられないというのが今回の説明のご趣旨だと思います。そうすると、一種の租税回避行為だと村上さんがおっしゃっておられたように考えて、どういう仕掛けをつくればいいのかということからすると、この組合を法人と見なしてしまえばいいんですね。

石会長

そういう解釈もあるかもしれません。

井戸委員

税法上では、この組合は法人だと見なして、法人税制をそのまま適用してしまうこともあり得るのではないかと私は考えますけれども、いかがでしょうか。

石会長

そういう視点もたしかにあると思いますが、田近さんから、限界税率が高いところをうまく突かれている、あるいは、損益通算のやり方でうまくやられているので、やはり税制上のそういう欠陥もあるではないかというご指摘がありましたので、民法上の問題と税法上の問題、幾つかあるでしょうね。

どうぞ。

河野委員

これ、裁判で国税庁は敗けたんですよね。最近ニュースになっているけれども、これからどうするかはこれから検討すると先ほど言ってましたよね。頭のいいアレンジャーという人間がそもそも存在して、1億円以上--ここにいるかどうか知らないけれども、金を出してしっかり儲けるという仕組みになってるんだ。頭のいいやつはどこにもいるんですから、ヨーロッパでもアメリカでも日本でも。これが、裁判で国税庁が勝っていればよかったけれども、敗けてしまったものだから、ひょっとするとまた、それじゃもうちょっと知恵を働かせるかということが広がるかもしれない。道徳的にとか、倫理的にけしからんと言うつもりはないけれども、いかにも世間常識から見て、これが堂々と大手振ってまかり通って、大金持ちはさらに所得を増やしていくなんてことは、私は社会主義者でも何でもないけれども、日本人の感覚からしてちょっと不愉快なんだ。

しかし、どうするかなんていう議論は国税庁だってまだいい知恵はないわけだから、しようがないけど、税調も少なくとも年末の答申には、こういうことがあって、これをみんなが肯定しているわけでも何でもないよということを書いて、頭のいいやつは別のところに頭を使えと言ったほうがいいのではないかと思います。放っておけば、ますますいい知恵というか、悪い知恵というか、働かせるかもしれないから、そのくらいの牽制力のある文章を書いておいても……あまり牽制にならないかな。しかし、気分としてはそう思いますね。

石会長

気分は共有できるけれども、税調マターとしてはこの議論はなかなかしにくいですよね。いずれ、その段階でまたご議論いただきたいと思います。

事務局から出されている補足説明の「相続税・贈与税」、何かご説明をいただくことはありますか。あれば簡単に。それで先に行きたいのですが。

長谷川企画官

お手元に資料を「基礎小25-2」ということで配付させていただいておりますけれども、これは、前回の基礎小で、贈与税の国際比較について資料を提出してほしいというご依頼がございましたので、一応お配りしましたということで、ご参考までに総会においても配付させていただきました。詳しい説明は省略いたします。

石会長

またご質問がありましたら、お出しください。

実は、もう一つ大きな問題が残っておりまして、残りの時間をこれに使いたいのですが、法人税関係、よろしゅうございますか。

それでは次の問題は、これから我々は起草に入っていくわけでありまして、例年、これまでのさまざまな議論を整理してもらいます。また、ヒアリングにおいでいただいた方についてのご意見も整理して、ここに、「総19 これまでに出された主な意見」という、マルが幾つかついている中で、主要な論点をどの税について何をやったかという資料が出ております。これについて基礎問題小委員会で議論いたしまして、幾つか追加いたしました。それを今日、総会にお諮りしてということで、すでに事務局から事前にお手元に届いております。ご一読いただけているであろうと思っていますが、そうでないかもしれない。よくわかりません。時間を十分確保する意味でこれは読み上げませんが、さはさりながら、やにわに「はい、どうぞ」でもちょっと愛想がなさすぎますので、総務課長に、主要な論点を数分ずつ、こことこことここが問題だよというさわりの部分をご説明いただきたい。

そこで3つに区切りたいのですが、最初が、総論と個人所得課税、2つ目が、消費課税と環境税、3つ目が、法人課税、以下の幾つかの問題、これを各々3等分いたしまして議論をしていきたいと思います。

では、最初の総論と個人所得課税、古谷さん、さらっとご説明ください。

古谷総務課長

縦長の「これまでに出された主な意見」をご覧いただきたいと思いますが、左肩に小見出しのようなものがついております。最初、総論的なご意見をまとめておりますけれども、税負担のあり方、下のほうに、財政再建の進め方ということで幾つかご意見を書いてあります。2ページに行っていただきますと、歳出削減と増税の関係とか、歳出削減や増税を通じて財政再建をいたします場合の経済との関係、あるいは下のほうをご覧いただきますと、国民の将来の安心との関係で、道筋をつけて財政改革を進める必要があるといった、財政改革の進め方についてのご意見が幾つか出ておりまして、そういった点が整理されているかと思います。

3ページに進んでいただきますと、国債市場の現状という小見出しがついておりますが、これは、みずほ証券の高田部長が基礎小に来られて、話をしていただきました。そのときのご発言の整理が幾つかマルで並んでおりますけれども、金利との関係、国債の大量残高との関係、そういった問題指摘をいただいたと思います。

4ページに行きますと、社会保障と財政ということで、やはり基礎小で田近委員からプレゼンテーションをいただきまして、田近先生からのご説明が幾つかマルで並んでおります。

その辺までが総論でして、5ページから個人所得課税ということで、まず総論的には、基幹税としての体をなしていないとか、税源移譲との関係でのご意見が並べてございます。5ページの一番下が課税ベースということで、ここは、なるべく課税ベースを広げるべきであるというご意見かと思います。

6ページに進みまして、給与所得控除、退職所得控除についてのご意見がございました。最初のマルは、所得捕捉等との関係で慎重論が2つ並んでおります。そのあとは給与所得控除の積極的な見直し論かと思います。5つ目のマルあたりに退職金課税の見直しについてのご意見をいただいております。

それから、下のほうに「(所得控除)」とありますが、これは人的控除についてであります。控除の数が多いので簡素化をすべきである、人的控除について税額控除化を検討すべきではないか、といったご意見がございました。

7ページに行きますと、3つ目のマルで、子供の扶養を念頭に置いて控除の見直しをやってはどうかというご意見がございました。

次は、定率減税でございます。景気動向との関係、あるいは抜本改革との関係、三位一体改革との関連等で、定率減税の見直しについて皆さんから、積極、慎重、いろいろなご意見が書いてございます。

個人住民税でありますが、7ページの一番下から8ページに行っていただきますと、個人住民税の徴収率の向上、現年課税化を検討すべきではないかといった問題についてのご意見があったかと思います。

とりあえずここまでよろしいですか。

石会長

そうですね。ここまでで第1ラウンドにいたしましょう。総論でもいろいろご議論いただいたものが含まれておりますので、ある項目によっては積極、消極、あるいは、賛成、反対、いろいろ入っているかもしれません。

今日ご議論いただくのは、文章の修文ではございませんで、内容的にはっきりこっちの方向だというようなことでのご議論をいただけたらという感じでございます。今、古谷さんからご説明いただいた範囲で、ここを補強したいとか、2つ並んでいますから、どちらが賛成だというのでも結構ですが、自分の意見に合わないところは、けしからんと言って排除していただかなくても結構です。今日は両論で書いているので、当然それはそれでいいので、ご自分の主張を強く言っていただくのが筋ではないかと思います。

総論と所得課税のところで、ご意見があれば、どうぞ。

佐竹さん。

佐竹委員

この中の7ページ、「高齢者優遇から扶養優遇への」と。いわゆる少子化対策を踏まえたご意見であろうと思います。これは私個人の意見というよりも、最近さまざまな現場にまいりますと、一方で高齢者対策というのは大きな形で論じられますけれども、少子化対策というのは、お母さん方の数も少ないですし、お年寄りが圧倒的に多いものですから、ここがなかなか論じられないのですけれども、現場の雰囲気からは、少子化対策の中の税制との関連というのは大きな声になりつつあるのかなという感じがいたしております。このような形というのは、現場の今の流れに少しずつ沿ってきているのかなと。

ただ、それでは具体的にどうするのかとなりますと、子供さんが小さいところはどうしても税の負担も少ないので、税とどうリンクさせるのかというのはなかなか難しいことは確かです。

石会長

負担が少ないというより、払っていない家族がいっぱいいるわけです。だから、税でやることの限界がおそらくあるのでしょうけれども、基礎小では、扶養控除という所得控除ではなくて、税額控除のほうがストレートに効くからいいではないかという議論も出ておりますので、ご紹介しておきます。

ほかにいかがでしょうか。井戸さん。

井戸委員

私は、所得課税がまけ過ぎてしまったのではないかと思います。定率減税もそうですけれども、50%の最高税率という点でも、景気対策やフラット化という議論も背景にあったと思いますが、それにしても所得再分配効果をこれだけ減退させてしまったのはいかがなのだろうか。ジニ係数がいいかどうかという議論はともかくとして、大金持ちの人たちがかなり増えてきている実態等も考えたときに、所得課税のあり方そのものは強化する方向で打ち出していくべきなのではないかと、私は個人的に思っています。あまりにも軽減し過ぎたのではないかというふうに感じられます。

石会長

累進税率の見直しというご視点ですね。

いかがでしょうか。どうぞ、吉岡さん。

吉岡委員

私も前回、同様の発言をしております。確かにフラット化によって、収入の多い方にとっては税率が低くなったというメリットはあったと思いますけれども、一般の人たちから見ると、所得の高い層に優遇措置がとられたわりには中堅どころにはあまり優遇がなかった、そういう見方が非常にあった。それが、定率減税ということで少し見返りがあったかなという見方もあったのですけれども、その定率減税が軽減・廃止という方向が出されて、中堅層の負担がこれから重くなるということで、増税という見方が非常に強くなっている。

それから、中堅層が増税になる、その背景にあるのが逆進性が言われている消費税の2桁増税。それとセットで少なくともマスコミでは言われている。その辺から言うと、もう増税路線に行ってしまうという不満と不安になっているのが実態ではないかと思っております。景気対策もあったということもありますけれども、本当にお財布のひもを緩めるところにつながっていくかというと、そうではない、むしろ腰折れにつながってしまうのではないかという不安を持っております。

それから、高齢者と少子化対策、その辺を見たときに、社会保障の問題も含めて、高齢者の老後というか将来に対する不安がまだまだ強い。その辺も考えて政策を持っていかないと、ますます、自分の将来を考えて死に金は使わないということになってしまうのではないかと考えております。

石会長

ありがとうございました。一つのご意見だと思います。

どうぞ。

本間委員

プライマリーバランス、あるいは国と地方のトータルな税収配分にかかわる質問なのですが、今、定率減税が、国が2兆5,000億円、地方が8,000億円、トータル3兆3,000億円。その一方で、補助金との兼ね合いはありますけれども、3兆円の税源移譲を目指すと。これは国から地方への税源移譲になっている。単純にプラスマイナスしますと、地方は、定率減税の8,000億円と3兆円、3兆8,000億円ある。国は2兆5,000億円が減になっている、こういう形になるわけです。補助金の部分のはね返りを除けば。

そのことが、今の制度の中で地方交付税交付金にどの程度はね返るかというのが、国税が減収しますから、今は特例的な部分があってややこしい関係になっていますけれども、国と地方のプライマリーバランスが単純計算でどのようなイメージで議論をされているのか、そこら辺を教えていただければと思います。

石会長

一応の出入りについて、本間さんおっしゃるとおり、国と地方でどうなるかというあたり、まだ本格的な議論は始めていませんが、山根さんなり永長さんなり、今の質問に対して事務局で現在議論されていることがあれば、ご披露ください。

永長税制第一課長

まず、定率減税の問題につきましては、国・地方を通じて、今ご指摘のように3.3兆円、税金が減っているという状況にございます。まさに景気対策として行っている特別の減税をリフトアップして本来の実力ベースに戻していただく、こういう議論をしているわけでございます。その上で税源移譲でございますが、今申し上げた、国・地方を通じた、個人所得課税税収は不変、所得税で減った分、個人住民税で上げますので、大ざっぱに言えば、国・地方を通じたプライマリーバランスの上ではある意味ではニュートラルになるのかなと。そこに補助金改革がどのように進むのか。

それから交付税の関係で申しますと、所得税は32%が交付税の財源に回っております。ということで、法定交付税率が32%のままですと、例えば3兆円税源移譲いたしますと、交付税財源も32%、1兆円減るようになります。

いずれにしましても地財計画、歳出と歳入の差を交付税で埋めるというシステム、その中の法定分プラスアルファになっているわけでございまして、税源移譲がどのように行われるかという問題そのものと、交付税を今後どのように持っていくのかというのは切り離して考えることも可能かと、このように考えます。

石会長

岡崎さん、よろしいですか。

岡崎企画課長

税だけ足しますと、今おっしゃったようになりますけれども、税源移譲は裏に補助金のそれを上回る形がついていますので、そこも含めて考えないといけないのですが、今すぐに数字的なことを申し上げられる状況にはございません。

石会長

また精査してもらいましょう。

では、本間さん。

本間委員

これまでの国と地方の関係から言いますと、一方的にどちらが得をするかというような決着はなかなかつけない、そういう体質を持たれておられますね。そういうことを前提にしながら、ほかの要因が一定であるとすると、3兆3,000億円の国民のネット増による、国と地方合わせたプライマリーバランスの改善につながるわけです。その中で国と地方が、今のそれぞれのプライマリーバランスの中身について一体どのような方向で議論を進めていくのか。これは、テーブルの下で握るような話も相当あるのだろうとは思いますけれども、論理的にどういう具合いにその問題を考えて我々は理解したらよろしいのでしょうか。

つまり、国がプライマリーバランスが赤くなっていて、地方はよくなっている、黒になっている、こういう問題もあるし、税源保障、財源保障の問題等の中で総務省の側にもいろいろご意見がある。そういうのは、年末になってガチャガチャッとやるということですか、それとも何か方針があるわけですか。

石会長

そのご質問は、総務省と財務省に直接お尋ねになっているわけですね。

本間委員

はい。

石会長

税調でその議論はまだ一回もやってないですよ。

本間委員

何か考え方が今の時点であるのかどうか。

石会長

税調では、その議論、これまで取り扱っていませんので……。

井戸委員

石先生、ちょっとだけ。今のことに関連して。

石会長

どうぞ。

井戸委員

私は本間先生のとらえ方、ちょっとね。こういうふうに考えたらいいのではないでしょうか。プライマリーバランスベースで言うと、この三位一体改革での税源移譲はニュートラル。つまり、支出3兆円ちょっとを削減して、それに見合う税源移譲が地方にされる。だから、国から見るとニュートラル。地方から見ると、3兆円の税源移譲がありますけれども、やめられないような事業ばかりですから、3兆円移譲支出せざるを得ない。そうすると、これもニュートラル。ですから、ニュートラル、ニュートラルというふうに考えたほうが三位一体改革についてはいいのではないか。そう考えるべきだと思います。

石会長

この議論はまだ尽きないかもしれませんが、今日で決着がつく話でもなさそうだし、本間さんの資料要求も踏まえて、いずれ答申を書く段階でこれはいろいろ問題になるかもしれませんので、事務局に今の問題提起を受けとめてもらって、資料を整理してもらうという形で。

あと2つ、ブロックが残っていますが、所得税と総論のところでもしなければ、次に移りたいのですが。

では、菊池さん、どうぞ。

菊池委員

ずっと読んでいて、何となくちんたらちんたらと感ずるのは、言葉じりもあるのですが……。

石会長

菊池さん、これ、ちんたらちんたら書いてあるんだから、そもそもが(笑)。

菊池委員

そこに感じられるのは危機感の薄さではないか。例えば「金利の上昇により歳出増につながる恐れがある」、つながるに決まっているわけですよ、恐れなんていう話じゃなくて。郵政改革は、「財政規律に対する信認を確保することが一段と必要になってくるのではないか」、くるに決まってるわけだから、どうしてそうなのかというのを考えたら、2010年代初頭という、わけわからない区切りまでにやりなさいというところに何かあるような気がするんですよ。

これ、本間先生のところの話なんでしょうけど、2012年なのか、2013年なのか、きぱっと決めると。せっかくいらしたから言ってるんですけど、迫力が全然違ってくるんじゃないかなと思います。なぜそう言うかというと、例えば定率減税をやめるにしても、実際、金を取られるというか、喜んで納める日は2007年ぐらいになるんですよね。そこから2010年代初頭なんてほんの見えるところなわけだから--ということです。

石会長

感覚的な問題は受けとめるとして、本間さん、2012年か2013年かという議論はされていますか、諮問会議で。

本間委員

「展望」の中では「2010年超」という形で漠然と書いているのですけれども、そこは、13年なのか14年なのか両方ありまして、財務省の試算では14年で主計局の試算はなっている。そういう意味では若干ズレがあるわけです。「改革と展望」で、どの年次あたりでプライマリーバランスを収束させるのかというのは今後詰めていく話だろうと思っています。そういう意味で私は質問をしているという具合いに受けとめていただいたらいいと思います。それをどういう具合いに分割しながらやっていくのかも含めてですね。

石会長

では、井上さん、どうぞ。最後にします。

井上委員

所得税の問題で、先ほど井戸委員と吉岡委員から出ました、最高税率が低くなっているのではないかという話ですが、私は逆だと思うんですよね。もっとフラット化をすべきではないのか。企業をやっている上においては、ある程度の収入を得ないとやり甲斐は出てこない。それで税金を納めるということになるわけですから、もっとフラット化の方向性を考えるべきではないかと思いますので、反対意見として言わせていただきます。

石会長

わかりました。また文章を書いた上で、どういうトーンの置き方で書くかどうか、この辺のご議論をもう一回賜りたいと思います。

それでは、次の消費税と環境税、古谷さん、もう一回簡単に説明してくれますか。

古谷総務課長

8ページに行っていただきまして、真ん中から消費税でございます。総論と税率水準についてのご意見がまず並んでおりますが、税率の引上げにつきまして、歳出との関係、経済との関係、国民への説明といった条件面のご意見があったかと思います。

9ページに進んでいただきますと、逆進性の問題について幾つかご意見をいただきました。税制全体や歳出を含めたところで考えていく必要がある、効率的に必要な人々に的確に所得再分配を行うべきである、消費税だけではなく個人所得課税や資産課税も含めた議論も重要になってくる、といったご意見をいただいております。

9ページの下のほう、税率構造ですが、軽減税率の採用の是非につきまして、最初のほうは軽減税率の導入についての積極的なご意見が並んでおります。10ページに行っていただきますと、その慎重論が幾つかございまして、その辺をご意見として並べてございます。

10ページの真ん中あたりは、仕入税額控除、インボイス方式についてのご意見がございました。

10ページの下のほうからは、消費税の目的税化について幾つかご議論をいただいております。

11ページに行っていただきますと、最初のマルは、「社会保障の在り方に関する懇談会」が別途進んでおりますが、そこの議論との整合性を図っていくべきではないかというご指摘もございました。

11ページの上のほうから、酒税であります。今後の課題として、税率差によっていろいろなゆがみが生ずるのは問題であり、税負担の均衡を図る必要があるといったご意見とか、最近話題になっております第三のビールをめぐって、幾つかのご意見をいただいたように思います。

11ページの下からは環境税であります。10月時点でのご意見をいただいておりますけれども、まだ議論は時期尚早であるといった慎重論から、京都議定書の関係で十分な議論が必要であるといったご意見。あるいは12ページに進んでいただきまして、環境税の効果について定量的な検証が必要である、税のあり方として道路特定財源との関係などを見直すべきである、使い道として一般財源とすべきである、といったご意見などがあったように思います。

とりあえず2番目のパーツとして、そこまででよろしゅうございましょうか。

石会長

ありがとうございました。

では、消費課税、これは消費税と酒税みたいなのが入っておりますが、それと環境税、2つにつきまして、ここに書いてあります重要な点を敷衍しましてご意見を賜りたいと思います。いかがでしょうか。

どうぞ、河野さん。

河野委員

環境税については、最近、環境省が案を固めたんですよね。細部を全部読みましたけれども、我々がこの議論をやってるときには、そんなものはテーブルになんかなかったわけだ。今、初めて大修正したやつが出てきたわけね。それをベースに12日に2時間やるわけでしょう、総会と基礎小合わせて。

石会長

経産省側の反対の意見もたぶん出てくると思います。

河野委員

それも全部あってね。だから、今までの議論はこれで整理されているような……。私に言わせれば、ずいぶん甘いことが書いてある話です、これ。今度、目の前に現物が出てくるわけだから、それについてメンバーがしっかりと議論してもらわないと困るんです。僕はやるつもりでいますからね、12日は。これは過渡的なまとめですから、あまり意味はないんだ。

石会長

意味があるかないかはわからないけれども……。

どうぞ。

井戸委員

私、次の機会は総理との知事会がありまして出られませんので、環境税について一言触れておきたいと思います。私、兵庫県で条例化しまして、各企業に2010年までのCO2削減計画というのをつくってもらったのです。それを集計しますと、企業努力で10%以上は削減しようという企業がほとんどです。というような努力をしているところに、さらに環境税という形で負担を求めるのかなあと。ですから、これしかないような状況かどうかという吟味がまず必要なのではないか、税制を活用するという意味からすると。

それからもう一つは、自動車重量税をつくって自動車が抑制されたかというと、逆にどんどん増えたんですね。比喩がおかしいかもしれませんけれども。だから、抑制効果を期待しようとしたら、ものすごい負担にしておかないといけない。しかし、今の環境省の案はそんなものすごい負担では全然ない。だとすると、西欧諸国が環境税を議論した背景は、もう消費税を上げられない中で公害対策などもやっていかなければいけないというときに、排出者責任みたいなものを問うていった--あまり言われたことはないですけれども、そういう実質的な背景もあるのではないか。そういうことを考えますと、今は、消費税とか所得税のあり方をまず議論した上で、それから環境税をどうするかという議論が筋道なのではないか、こんな思いがしております。

石会長

税調としてはそうなんですけれども、京都議定書の問題と、2008年、2012年の問題があるということなんでしょうね、きっと。

今の関連ですか。では、出口さん、どうぞ。

出口委員

私も今度出られるかどうかわからないので。具体的な案がわからない状態で議論するのはあれなんですけれども、ロジックというものを大切にしたいと思っているんですね。そのとき、これは入れ子構造になっていると思います。何かというと、地球環境問題というのはグローバルガバナンスの問題で、一国の課税権があるところが新税をつくるというのであれば、公平・簡素・中立という大原則を守らないと、どういうことになるかというと、課税ベースを、例えば今ご指摘のあったような、一部の努力をしているところに限定したとすれば、これは法定外税へのロジックに波及する可能性が十分にあると思います。構造的にはある小さなローカルなところで何か問題が生じて、新税を入れるというときに、課税ベースの狭いところに入れようとしているというものがあれば、やはり税調としては放っておけない。もし新税を入れるのであれば、公平・簡素・中立という大原則で入れていかない限り非常に難しい。

その点から言うと、この間、千速さんからご指摘のあったような、企業のCSRで今ものすごく頑張っている部分があるのであれば、そこをエンカレッジするような制度もあり得るのではないか。ちょっと案がわからないので、あくまでロジックとして、これは入れ子構造になっているということを十分にご理解いただきたいと思います。

石会長

ロジックでおっしゃるなら、これは、公平・簡素・中立という我々の大原則とはちょっと違った類いの税であるという認識を持っているんです。どちらかというとこれは政策税制で、いかにも地球を汚染しているような化石性燃料を抑制しようというアイデアですから、そもそもが公平・中立じゃないんですよ。非中立。それをやろうというのがそもそも政策税制ですから。

出口委員

ピグー的な意味ではわかりますけれども。

石会長

そうですよ。

出口委員

それは十分わかりますけれども……。

石会長

それ以外にないんですよ、この税の論拠が。

出口委員

ですけれども、それは逆に言うと、法定外税のほうに波及するときに我々は……別に反対しているわけじゃなくて、やはりロジックを一貫してないと。

石会長

ロジックとおっしゃったから、私もロジックで言ったんでね。

出口委員

ピグー税は非常にシンプルなロジックですよ。

石会長

いやいや、あれしかないですよ、環境税を議論するときは。またいずれ議論しますけれども、要するに公平・中立・簡素ではないんですよ、この議論は。

千速委員

今のご議論にもう一つあれしますと、天然ガスにしても石炭にしても、原料であるか、あるいは消費なのか、そういう見分けも必要だと思います。本当に消費されてしまうのか、そうではなくて次の工業品をつくっている原料であるかどうか。

石会長

環境省の「原料炭等」は除外するような案になってくるのではないかと思います。各国そうですからね。燃料ではありませんから、原料については。わかりません。また議論いたしましょう。

では、神津さん。

神津委員

これ、12日にまた申し上げればいいかなとも思っていたのですけれども、内閣府の調査で、環境のためにもし税を払うとしたら賛成しますかみたいなのがあって、そのときに、70~80%でしたか、賛成が出たということで非常に勢いづいて、税を入れるというのにこんなに賛成が高いなんて滅多にない、大喜び、という感じがあったのだろうというふうに私は理解しています。

これはもうちょっと大きな問題で、既存のエネルギーの諸税とか、それこそ道路特定財源に関連することも含めて、実際には産業のところで省エネは非常に進んでいるわけですから、個人の生活であるとか、車の部分であるとか、そういうところにもかかってくる。石先生がおっしゃったように、炭素のことにかかわるというふうになっているかもしれないけれども、環境税として考えるのだったら、もう少し大きな視点でとらえて、考え続けないといけないような問題だと思うので、あまりにも有頂天になった内閣府の結果のために急いでいる感じが、私はどうしてもぬぐえなくて……。もちろん京都議定書のこともあるし、それは大切なことだというのは十分わかっているのですけれども、これは反対にもう少し時間をかけて、エネルギー諸税も含めて、徹底的に考えるべき問題なのではないかと思っています。

石会長

次回、ぜひ、そのご発言をもう一回繰り返してください。

遠藤さん、どうぞ。

遠藤委員

環境税の話が出たので。次回申し上げようと思っていますが、年間、1人当たりの影響額が3,000円くらいだという話なんですよね。そういうことで本当に抑制が効くのかなということが一つ。

もう一つ、この税ができないと何%かは達成できないはずなのです、計算上は。そうすると、2010年か12年か知りませんけれども、税ができなかったから達成できませんでしたという理屈になるのかというと、そういう理屈にはならないので、もし税ができなければ、おそらく環境省が考えている、歳出面の施策をやっていかなくてはいけないだろうと思うのです。それは要するに財政の問題なんです。予算支出の問題なので、予算支出の財源を得るためにこういう税を設けなければいけないのか、抑制するためにこういう税を設けなければいけないのか、その辺の議論を十分にしないとアブハチ取らずになるのでないか、そういう感じがしました。

石会長

12日は2時間たっぷりとりますから、大いに議論してください。次回来られる方は、環境税ではなくて消費税にしてくれませんか。

吉岡さん、どうぞ。

吉岡委員

たしかに、税金をこれ以上納めなければいけないのかという感覚が一般的にあると思うんですね。ただ、昨年、原発のトラブルがありましたときに、冷夏も追い風になったとは思いますが、一般に省エネの意識がすごく広がりまして、環境問題、CO2を考えるときには電気、ガスの省エネも一緒に考えなければいけないと思いますけれども、電気、ガスの省エネも一般的にはずいぶん徹底したと思っております。

そういうことから考えますと、一般の日常生活で、省エネしなければいけないんだという意識的な効果、これを相当期待しなければいけないと思います。そういうことから言うと、税金を払わなければいけないほどCO2の問題が切羽詰まっているんだということを、国民の意識として定着させる効果が環境税の場合にはあるのではないか。その辺を効果として考えることが必要ではないかと思います。

それからCO2は、日本が議長国になってやりまして、あれを決めるときも、国の立場では、乾いたタオルを絞ろうとしていて、もう十分にやっている、と。そういう主張が各省からあったわけですけれども、それでも決めたという国の責任もあるわけですから。たしかに税の考え方で言えば、石油石炭税等もありますので、二重、三重になってしまうという問題はありますけれども、地球として考えた場合には、CO2の削減を真剣に考えるという効果を考えてこの問題を議論する必要があるのではないかと思います。

石会長

ありがとうございました。

菊池さん。

菊池委員

環境税というのは、神津さんとか吉岡さんが言ったように、ものすごく立派な税金でなければいけないと思っているんです。にもかかわらず、出てくるのはきっとそうでないのではないかと推測しますので(笑)、名前として環境税というのは使ってはいけない。この前も言ったけれども、書いてないから、もう一回。京都議定書対策税とか、当面CO2税とか、そのくらいの名前にしてもらわないと絶対にだめですよ。

石会長

書きます。約束します、それでは。

どうぞ、佐竹さん。

佐竹委員

12日、私も来られませんので。今、いろいろお話があった委員の皆さんと大体同じですけれども、どうも環境税のとらえ方と中身のとらえ方が……。内閣府でアンケートをとったときは、住民の参画意識で、環境を大切にしなければならないと。ただ、それに対する環境問題というのは、何も環境省だけの問題ではなくて、かなり大きな問題ということで、これはこれとして、今、菊池委員がおっしゃったとおり、また別のスタンスでないと。これで環境税は終わりです、環境問題は環境税で終わりですというと、わが国の環境行政はいかがなものかという感じがややします。税制の論議ともう一つ大きな論議とあるのではないかと思います。

石会長

環境税で、まだご意見ございますか。

河野委員

今、皆さんの意見を聞いていて、12日はやり甲斐があると思いましたよ(笑)。徹底的にやりますからね。例えば石さんが言っていたけど、環境税を入れなければ京都議定書の目標達成は困難だという話でしょう。すべての点はそこにあるわけだ。それは全く錯覚なんだ。そこが重要。わかりますか。

石会長

錯覚かどうかも議論したらいいじゃないですか。私はニュートラルですから。だって、私は著書もあるし学会で報告しているのだから、今さら私の正体を隠すわけにいかないから、それはないと思います。私は私で意見を言わせてもらいます。やりましょう。

河野委員

とにかく聞いていると、穴だらけの議論を始めてるなと思いましたよ、つくづく。やりましょう、徹底的に。楽しみですな。

石会長

結構ですよ。乞うご期待だな。

このくらいでよろしいですか。

井戸委員

消費税について。医療とか、介護とか、社会保障関係の財源の問題はどうしてもこれから俎上にあげざるを得ないということを考えましたときに、どんな方でも負担をしていくという仕掛けがバックになければいけない。介護とか、医療とか、社会保障というのはついてまわる話ですので。そういうことを考えた場合に、一番広く浅く負担をしていただいているのが消費税ではないか。そういうことをベースにして議論を進めていく必要があるのではないかと思っております。

石会長

草野さん、どうぞ。

草野委員

消費税の関係ですけれども、書いてあることでも言っていいと先ほど石会長がおっしゃったので。いずれ、どこで導入するかは別にして、二重税率あるいはゼロ税率というのは避けて通れないだろうと思いますし、もう一つ、消費税の透明性ということで言えば、インボイス方式にこだわっていったほうがいいのではないかと思っています。以上です。

石会長

インボイスは書いてなかったですか。書いてありますよね。強調したわけですな。

出口さん。

出口委員

酒税に誰も触れないので。これは本当にイタチごっこになっていますから、ぜひ中長期でお考えいただきたい。それだけです。強く思っています。

石会長

お考えいただく方向はどういうことですか。

出口委員

これは全部くくってやっていかないと。

石会長

わかりました。

上野委員

消費税の関係です。11ページに、「消費税の使途に関しては、『社会保障の在り方に関する懇談会』等における議論と整合性を図っていくべきではないか」、こう書いてあります。消費税が目的税であるべきかどうかという議論が書いてありますけれども、そういうことはともかくとして、社会保障関係の出費とかなり関連してくるものであるだろうと思うのですが、この懇談会の議論の仕方、これは会長が入っておられるようですけれども、新聞等で見る限りなかなか議論が進んでいないのではないか。特に年金の関係については、次回の基本的な見直しのときまで先送りされるのではないかという気分がして、読んでいるのですけれども、税調の報告ということになると、こういう関連を考えながらまとめていくということになるのではないかという気がするのですが、そういうことで、全体の税調の論議に寄与する結論みたいなものが出てくる、あるいは、論調として言えるというようなことがあるんですかね。

石会長

他が何をやろうが、税調は税調独自の意見があればね。かえって引っ張っていけばいいというスタイルのほうが望ましいと思います。ただ、消費税の使途は来年以降の話だろうと思いますし、社会保障の懇談会というのは、おっしゃるとおり、まだ4回かな。それで主要な論点をまとめて。年金についても、18.3%だったか、あそこまでいかないで15%にしろとか、基礎年金は全部税でやれとか、今の改正案とはかなり違った案も出ていますので、それは一応書きます。ただ、それが法制化されるかどうかわかりません。途中で何かやらなければいけないのではないかということは、政治的にもだいぶ出てきたのではないかと思いますが、税調は、ほかの議論はあまり気にしなくていいと思っています。どんどん独自でやろうということでいいと思います。そういうスタイルで行きましょう。

では、井堀さん、最後にどうぞ。

井堀委員

消費税の逆進性のところですけれども、たしかに消費税は累進的ではないですが、比例税ですから。比例税の逆進性のところをあまり強調するのはどうなのかなというのが私の感想です。むしろ中立的な税で、所得分配に中立的で、かつて、ライフタイムで見る限りは消費は所得よりもその人の経済力をより反映しているというのが、ある意味で経済学者の標準的な考え方だったと思います。その意味で、累進的ではないけれども、逆進性はあまりないのではないかと思います。

石会長

もう1パーツがあるので、法人税以下、残った時間で片づけましょうか。

では、古谷さん、またお願いします。

古谷総務課長

12ページから法人課税ですが、税率の議論のほかに、15年度税制改正でやりました研究開発減税等の評価についてのご意見がございました。

13ページに行きますと、公益法人・NPO法人等ということで、寄附金税制とか、認定NPO法人の認定要件の問題、公益法人制度改革にかかわってのこれからの議論の進め方等についてのご意見をいただいております。

14ページですが、法人事業税については、分割基準の見直し、社会保険診療報酬に係る課税の特例措置等についてのご意見があったかと思います。

国際課税につきましては、外国子会社合算税制とか、多様な事業体にかかわる租税回避の防止の問題等が意見として出ていたかと思います。

14ページの下のほうから、資産課税です。相続税につきましては、今後の改革の方向として、課税ベースを広げることが必要である、老後扶養の社会化の進展を踏まえるべきであるといった、改革に対して積極的なご意見がありましたほか、15ページの上のほうには、相続税の課税強化に対して、所得税との二重の負担という観点からの慎重なご意見も出されていたように思います。

15ページの下のほうは贈与税でありますが、15年度改正で導入しました、相続時精算課税制度の活用、あるいはその評価に関する意見をいただいていたと思います。

16ページが固定資産税でありますが、課税標準額や税率について地方独自に設定できるようにすべきではないかといったご意見のほか、負担水準の調整についてのご意見が出されておりました。

金融所得課税につきましては、今後の一体化に向けてのスケジュールを明示することが必要ではないか、総合課税化に反するのではないかというご意見のほか、17ページでは、逆に支出税的な観点から総合課税が必ずしも望ましいとは言えないといったご意見がございました。一番最後に書いてございますのは、今日もございましたが、金融番号との関係で住基ネットの活用についてのご意見がございました。

簡単ですが、以上でございます。

石会長

ありがとうございました。以上、さっと整理していただいた問題につきまして、どうでしょうか。

どうぞ。

佐竹委員

固定資産税のところだけお話しさせていただきます。唯一、ここで課税権者でございます。固定資産税については市町村の税収の50%程度であります。きわめて安定かつ定着している税制で、個別にさまざまな課題は全くないというわけではございませんけれども、18年度の評価替え等々ございまして、今、固定資産税の仕組みを大きく変えるということは、我々としては想定していない。またそうなりますと、市町村税の2分の1ですから、他の税目との大きなリンクが出ておりますので、ここにいろいろ書かれておりますけれども、当面、固定資産税の基軸は現行を維持する立場であるということ、ここで発言だけさせていただきたいと思います。

石会長

神津さん、どうぞ。

神津委員

15ページの相続税のところです。ちょっと関係ないのですけれども、たぶん起草のときには一切入らないとも思うのですが、「税制にも文化的視点が重要」などという、およそ見たこともないような文章が未定稿のときにでも出てきたことを大変うれしく思います、と言いたかったのです。

石会長

ただ、本文ではなくて、参考意見のほうに格落ちしたことはあっても、この税調でも結構長いこと議論されているんですよ。

神津委員

文化的視点からとらえる税制なんていうのは、今まで議論の中にありましたですかね。

石会長

ビールだって酒文化という話で議論しているじゃないですか(笑)。

神津委員

そういう文化ならいいですけど。ですから、「文化的視点」というような単語が、どなたが使ってくださったのかわからないですけど、ちょっとうれしいなと思いましたので。

石会長

いいですね。夢がありますか。

どうぞ。

井上委員

固定資産税の問題で、建物の評価が再建築評価になっているということで、いつまでも変わらない。しかし、建物というのはレンタルするものであるわけで、年月がたてばそれだけ評価が落ちるということからすると、やはり償却分というものは減額されるべきではないかと思いますので、その辺……。

井戸委員

反映されています。

井上委員

あんまり反映されてないという話を聞いて。そうですか、すみません。あまり評価は下がってないというふうに聞いてます。

石会長

固定資産税課長。

米田固定資産税課長

3年に1回の評価替えで、建物につきましては経年減点の補正というのをやっておりまして、毎年、建物が老朽化することに伴う減点を現在でもやっております。

石会長

尾崎さん。

尾崎委員

私、この前、固定資産税の台帳を見ることができるということをここで教わったものですから、その帰りに寄ったんですよ。それで、住宅につきまして、これは3年ごとに減っていくのかと聞きましたら、「必ずしもそうではない」という返事だったのです。ちょっとびっくりしました。今のお話のとおりなのです。どうしてかというと、資材や何かが上がったりするからその分も見る、こういう話なのです。だけど、今、デフレで資材は下がっているでしょう、今度の見直しのときは私の家はたぶん下がるのでしょうね、と言ったら、「さあ」と言って、それはまたそのときの話というのが結論だったです。本当ですよ。ついこの間、行ってきたばかりです。

板倉自治税務局長

一言、言い訳といいましょうか、言わせていただきますけれども、家屋の評価は、インフレ時代といいましょうか、物価が年々上がっているときは評価替えのたびに再建築価格というのは上がるわけです。したがいまして、経年減価をしてもそれより上がってしまうのです。ところが、実際上、古い家が評価が上がることについてなかなか理解が得られないということで、これはずっと据え置きにするという措置を長いこととってきました。

したがいまして、今は建築物価が下がっておりますので、新しく建った建物については必ず評価替えのたびごとに評価は下がるということになりますけれども、据え置き期間が長かったものについては、実際の価格は今の評価よりもかなり高いほうに行っていたわけで、そこが、今の評価額になるまでは下がっても、実際の評価は下がらない。こういうことになる場合もありますので、建物によりましていろいろなケースがあるということで、ご理解をいただけたかどうかわかりませんけれども、そういうことでございます。実際は下がっておりますから、新しい建物はそれに応じて下がっているということは言えると思います。

石会長

井上さんのご意見と尾崎さんの観察は、両方いろいろ要素があるということで、一刀両断でどっちが正しいとは言えない、こういう結論ですな、たぶん。

尾崎委員

調べます。

石会長

どうぞ、草野さん。

草野委員

途中入社なもので議論経過がわからないのですが、13ページの公益法人とNPO法人の関係です。民間のNPO法人への課税の問題については、ここで明確な表現にはなっていないようですが、今までの議論経過がもしわかれば簡単に教えていただきたいのですが。

石会長

まだ本格的に立ち上げていませんが、内閣官房の行政改革推進事務局のほうでやっている、公益法人の本体の議論ができないと税まで入れないという形で、一回来たのをまた差し戻して、恐らく年明けに公益法人改革そのものが来たときに税のほうが入ってくると思います。ただ、これはこれまでの経過があって、まだ白地の状態なんですよね。議論の仕方としては、原則課税とか非課税というふうに、課税を入口に使ってしまうと議論が混乱するよという問題意識を持っています。これは、ワーキンググループをつくりまして、年明けに公益法人改革が出た段階で、税のパーツは任せてもらっていますので、それをやりたいと思いますが、議論した経過を早急にご報告します。

事務局から何かございますか。

佐藤税制第二課長

おっしゃるとおりでございますが、公益法人制度改革につきましては、閣議決定で、17年度末までに全体としての制度設計をするということですので、再来年の3月までということでございます。その第1弾として、今、会長からお話がありました、制度の改革の骨格をつくっておりまして、年末までにまとめる方向でございます。それを受けて当調査会でどういうふうにやるかというのは、年明け以降の話になるということだろうと思います。

石会長

もう時間ですので、出口さんを最後にしていただきます。

出口委員

私、次回休みますので、2つだけ。今の点につきましては、内閣官房の有識者会議でやっているのは公益法人改革で、NPO法人は別であるということで、NPO法人についてはここには「実態を踏まえ」ということですが、「認定面の実態も踏まえ」ということもぜひ入れてください。その認定が、税調としては今どういう認識にあって、将来どういうふうに行きたいかということが1点。

それから、15ページの文化財のところの文化的視点ですけれども、これは、相続税の問題というよりも寄附金税制の問題だと思いますし、現実問題として、昨年、フランスの寄附金税制がこの部分で非常に変わっておりますので、そういう書き方にはなっているかと思いますが、再度確認させていただきます。

石会長

わかりました。実際に文章化したあたりでまたご議論いただくと。次回は環境税オンリーでいきます。それ以外の時間があればと思いますが、たぶんならないような気もいたしますので。

それでは、ちょうど時間になりましたので、次回以降の予定をご説明して終わりにしたいと思います。

「起草作業スケジュール」という1枚紙が最後に載っているかと思いますが、ご覧いただけますか。来週12日(金曜日)は、先ほど申し上げたように、中央環境審議会、産業構造審議会等々、賛成、反対、両方から出ておりますので、その説明を事務局を通じて受けて、先ほど河野さんが張り切っておられましたが、賛成・反対を大いにここで議論することになる集中審議の場にして、これは総会と基礎小合同でやりますので、ぜひ皆さんご参加ください。初めは1時間半と思っていましたが、問題の重要性にかんがみまして、2時間という形で1時から3時まで。

あと、起草会合が[1]から[5]まで組まれておりますが、起草会合を2度くらいやって総会でご審議いただくというのを、ツーラウンドやりたいと思っています。そこで、25日の総会で最終的な案を決めて、首相官邸に持って行って小泉総理に渡してきたいというのが最後でございますので、その間、かなり日程的に詰まっております。必ずしも火・金ではないときも、時間の制約もございますので、お忙しいとは思いますが、あらかじめこういう形にしていただきたい。

起草会合は、基礎問題小委員会の委員の方がそのままそっくり移る形で議論をいたします。そこで起草したものをまた議論を重ねて、総会に持ってくる。今日の議論も聞いて、あらかじめ申し上げておかなければいけないのは、基礎小でやったことのご意見が総会のご意見と必ずしも一致していない点もございます。基礎小の委員会の方、あえてもう一回繰り返すのも、というので遠慮されていますので、総会で出された議論が起草の文章の全体を支配することにはならない箇所もあるでしょう。それはまた、出たところでご議論いただければと思います。起草になった段階では、文章自体が問題になりますので、いい文章か悪い文章かを含めて、大いに内容をご検討いただくことになると思いますので、よろしくお願いいたします。

それからもう一つ、入口のところに、税制改正要望事項が整理されておりますので、ぜひご覧いただきたいということと、起草作業の場合には公開いたしません。かつ、記者レクも私はいたしませんので、まとまるまでは情報は秘密になっていくかと思いますし、各省の幹事の方にも傍聴をご遠慮いただくことになろうかと思いますので、よろしくお願いいたします。よろしゅうございますか。やり方の話です。

では、今日は長時間、ありがとうございました。

〔閉会〕

(注)

本議事録は毎回の審議後、速やかな公表に努め、限られた時間内にとりまとめるため速記録から、財務省主税局及び総務省自治税務局の文責において作成した資料です。

内容には正確を期していますが、税制調査会議事規則に基づき、事後の修正の可能性があることをご承知置きください。