総会(第44回)後、答申総理手交後の石会長記者会見の模様
日時:平成15年6月17日(火)11:56~12:23
〇石会長
ただいま小泉首相に、この答申3セットをお渡ししてきました。今日の総会で一応中期答申というのをまとめたわけでありまして、この「少子・高齢社会における税制のあり方」というのは、昨年の基本方針を先に延ばした形で、少子・高齢化という切り口から現行税制の問題点を整理して、今後10年、15年先の税制のあるべき姿を書いたと、こういう形でありますから、一応、昨年の基本答申とワンセットになるという形でご理解いただけたと思います。分量的には、どちらかというと昨年の基本方針が多いんですよね。そういう意味では、基本方針で総論的にまとめたものの中から、各論的に少子・高齢化という切り口から現行税制を切ったということだと思います。
2つ3つ、国民の方々に対するメッセージという形で論点をまず申し上げたい。1つは、少子・高齢化というのが今後どんどん進みます。そういう世界で一体われわれが作り上げた公的年金とか医療とか介護とかいう社会保障制度、その他財政制度を守ろうとする。あるいは持続可能にするんだったら、国民が全て負担し合う。あるいは痛みを分かち合うという姿勢でない限り、われわれの例えば社会保障制度そのものの持続は無理であろうと、こう思います。そういう意味で、そういう対応ができる税制をわれわれは考えているというのが第1点ですね。
それから、もう既に経済界から、今回の税調の答申は増税オンパレードで、今からこんなことをやられたら景気が低下しちゃう、低迷が続くだろうというようなご心配がございますが、それに対しては、前回この場でもお答えしましたように、われわれ今年とか来年、すぐさま消費税率を引き上げるという話をしているわけではありません。今日も小泉首相がはっきり、私の在任中は消費税率を引き上げないと。後の人の役割であり、私は任期中、行財政改革を徹底してやるんだということをはっきり言明され、それを今日の私のメッセージで言ってくれと言っておりましたからお伝えしておきますが、それとわれわれの考え方はある意味では軌を一にしておりまして、この税調答申というものは、先程申し上げたようにみんなで負担し合うという、そういう形のものはこれから徐々にその制度に移してもらうという格好にならざるを得ませんから、昨年並びに今年度の税調答申が仮にわが国税制のあるべき姿として実現する…何割ぐらい実現するか分かりませんが、恐らくそのターゲットは10年、15年先であると。それで、直近のデフレあるいは景気の状況等々から見て、すぐさま増税に踏み切るというわけではありません。
それから、第3点は、そういう意味で私どもは、加藤前会長の時から国民の参加と選択ということを繰り返し言ってきておりまして、税制改革をやるとなると、どうしてても私は税負担引き上げに触れざるを得ないと思っています。それは、嫌なものを先に延ばすとか隠すとかという、そういうスタイルではもうとても逃げきれない、そういう状況でございますので、われわれとして国民の方々に選択肢を出して、大いに議論に参加してもらって、そこから選択肢を選んでもらおうと考えています。それで、われわれの選択肢は、端的に申しますとメッセージとしては短いんですね。今後社会的に必要な公共サービスの費用としては、所得税と消費税を基幹税にしようと、これしか多分ない。多分というか絶対ない。したがって、消費税ははっきり将来的に2けたに上げると書きましたし、所得税のほうも、広く公平に負担を分かち合ってもらう、そういう、言うなれば所得税の構造改革みたいなのをやらなきゃいけないだろうという形で、そういう意識を付けたわけですね。そういうことを国民の方々がどう考えるかというのを対話集会を通じて、これからいろいろ議論したい。これが、以上3点であります。
中身に入って、ここに幾つか書いてございます。後ほどお読みいただけたらと思いますけれども、この報告書の半分以上は「少子・高齢化と税制」ということになっておりますように、個人所得課税、それから消費税、資産課税、この3つは少子・高齢化の社会では大変重要であるという位置付けをしております。それから、この間も申し上げましたように、法人税につきましては性格が変わってきたという形で、主たる、言うなれば基幹税たり得なくなるであろうということをはっきり言っております。そこで、少子・高齢化の中で個人所得課税というのは、基本的には、従来非課税になっている所得項目、あるいは過度の所得控除によって、本来課税ベースに入るべき所得が非常に縮減されている。典型的なのは年金だと思いますが、そういうものを一旦税の中に入れて、所得税の本来の姿として所得の水準ですね、高い人はより担税力があるから、累進課税のより重いほうで払ってもらおう。それから低い人は、要するに課税最低限以下だから払わなくていいといった所得税本来の姿に戻す必要があると考えております。そういう意味でよく言われますように、非課税給付としての遺族年金なり、あるいは失業給付等が仮に課税ベースに入っても、それだけで所得、あるいは生活をしている方には課税が及ばないことを十分考えています。
それから、さはさりながら、高齢者でも高額所得者になり、かつ年金ももらっている人には、当然のこと応分の負担があってしかるべきではないかと。これは何といっても、高齢者同士の、同一世代間の公平の問題でもあるし、何よりも世代間の公平の確保の問題につながると考えておりますから、所得税はそういう姿で一回きれいに整理する必要がある。そういう意味で、課税ベースの拡大を含め、所得控除を一段と見直すということが必要だと思っています。
ただ、増税になります。まあ、そういう意味では基礎控除、あるいは扶養控除、こういうものの、それに対応する形での拡大ですか、それも考える必要があるということも書いてございます。それは、結果として少子化対策につながるというふうな理解をしているからであります。それで大体所得税のあるべき姿で、ただ、あまりにも過去の経過から見て所得控除が多過ぎます。それを全部一挙に整理するわけにはいきませんから、昨年の配偶者特別控除に続いて、今年はどうするか。これは年度末の答申を作る際にもう一度議論をし、今後のスケジュール感を出したいというふうに考えています。
消費税は、端的に申し上げて、将来的には2けたに上げると。恐らく税調として初めて踏み切った形の答申でありますから、恐らくマスコミの方々から見るとこの辺が非常に焦点になろうかと思いますが、当然のこと、消費税を上げなくて済めば越したことはない。ただ、諸外国の例を見、あるいは人口の高齢化を見、あるいは福祉のある程度の水準を見るということになれば、これ以外にないと思っていますので、もしか、これに対して嫌だから反対というのでは困るので、しかるべき、やらなくていいような対案があれば是非出していただきたいと思います。それもまんざら、全て不可能とは思っていませんので、もう一回、所得税、法人税を引き上げるという選択もあるでしょうし、もう一段と歳出カット、行革をやるまでというのはわれわれ何回も言っていますから、それは小泉流の処理の仕方だと思っています。
資産課税につきましては、やはり相続税の地位が非常にこれから重要になるという認識を持っておりまして、これは、これまでの一部の経済界の人等々との違いがあろうかと思います。
こういうわけで、個別の4つの税につきまして述べて、かつ5つ目として、最後の段階で入り込みましたけど、個別間接税、これも非常に重要な税として今後国税、地方税で考え得る余地があるだろうという示唆をしておりまして、例の財源移譲等々に絡めてもこの問題は今後検討課題と思っています。
それから、残る問題で重要と思われるのは、やはり納番だと思います。納税者番号というものをやっぱり仕込んで、税務行政に資するというのが重要と考えています。今日の塩川大臣のご説明、ご挨拶にもございましたように、いくら税として法制化してもですね、それを実際の場に移す時にやはり公平な執行ができないと何ら意味ないわけですね。そういう意味で、われわれ納番というのは非常に重要であると考えておりますし、金融所得の一元化ということを念頭に置くと、納番をこれからどういう形で議論するかというのが1つの、次の大きな課題だと思っています。
それから、今回の答申は一切両論併記がございません。これはある意味で誇るべきであるかもしれませんが、ある意味では、非常に委員の対立を生むような、そういう問題を一応今回書けなかったという、そういう意味では反省事項かもしれません。恐らく、外側の様々な環境ができてないから書けなかったという問題は2つありますね。
1つは国と地方の関係でありまして、これは「三位一体」ということを再度従来のトーンで書いたにすぎません。具体的に税源移譲の項目とか、あるいは補助金カットのやり方、補助金の中身、これには残念ながらわれわれの権限を越えているところで議論が行われ、ただ、今日の塩川大臣、片山大臣の話にもございましたが、今後われわれとしては、この問題に積極的に口を出すというか、議論しなきゃいけないと思っています。
もう1つが、環境税の問題。これもまた、京都議定書を含めてですね、世の中の動きが非常に不安定でありますので、ある程度収まってこないとこの税制の活用もなかなかできないだろうという意味で、今回はそれをスキップしました。そういう意味で、環境税については真っ二つに割れている議論、あるいは国と地方において真っ二つに割れている議論を今回積極的に、具体的に取り組まなかった点、両論併記をしなくて済んだという面もあるかもしれません。しかし、いずれにいたしましても、今後この問題を真っ正面から取り扱う時期が早晩来るだろうと考えております。というのが大体、この答申のポイントであり、われわれがまとめたところの中身であり、かつ小泉首相に渡して、今、小泉さんから私を経由してメッセージとして送りたいと言ったことのご紹介であります。
あとは、対話集会というのを資料としてお配りしていると思いますが、4回ほど各地でやる予定でございまして、ここで今申し上げました国民のまさに参加と選択といったような、具体的に、地に移すような格好の討論を重ねていきたいと思っています。恐らくそれを受けまして、もう一回ぐらい総会を開かなきゃいけないことがあるかもしれませんが、それはあくまで臨時的なものでありまして、いずれにいたしましても9月13日、われわれの任期は終わりますので、そこで次の税調にスイッチするという格好になると思います。その時に改めてまた…その時まだ小泉さんだと思いますが、諮問文をいただいて、次なる議論を始める準備をしようと、このように考えています。
それが大体、今後のスケジュールであります。
〇記者
先程消費税の部分について、総理の在任中は上げないという受け止めの言葉が紹介されましたけれども、この答申全体について、あるいは消費税以外の論点について今日は総理から何か指示とか、どういう言葉があったのか、それをお教えください。
〇石会長
総理は、これから読まれるか、もう既に前日に行っているか分かりませんが、内容についてはですね、消費税以外については特に言及されませんでした。ただ、大いに議論してくれと。したがって、消費税も将来2けたになる云々ということについては一切タブー視せずやってくれと。そういう意味では、税制全体の構造的な問題、歪みとか、われわれ歪みと言っていますが、そういうものも抜本的に見直しくれということだと思いますので、われわれのトーンと小泉さんの指示は全く一致した方向に行っていると思いますので、多分小泉さんも違和感がないんだろうと思います。
〇記者
今の確認なんですけれども、総理の発言というのは、要するに在任中は消費税は引き上げませんよ。私が総理の間は行財政改革を徹底してやるんですよということを口頭で言って、それ以外のことについては、税目については触れなかったということですか。
〇石会長
税目で、大半…15分ぐらいお話ししましたけど、やっぱり関心は消費税ですよ。私は、消費税はフランスでできたとか、いろいろ解説しましたよ。そういう意味でご関心があるのは事実ですよ。それから、消費税しかないと思っておられるのも事実ですよ。今後高齢化社会に生きるのにね。ただ、それがあるがゆえに、また国民の批判なり反対も多いだろうから、自分は、その下ごしらえとして導入するに当たってまさに行財政改革、歳出カット、それからまさに政府の中のいろんな無駄を切ると。直すと。郵政公社も民営化するし、道路も民営化するし、その辺はお得意の分野でありますから、盛んに言明されてましたよ。まあ、そういう形で今後行くに当たってですね、税調は税調で大いに議論してくれと、こういうことですから。われわれの答申も、議論したまさにその選択肢を出したわけであります。これが即、全て実施に移されるとは僕は夢にも思っていない。そういう意味では、これから総理みたいなお考えもあるし、政治家の発案もあるでしょうから、これから移していってもらえばと思っています。極めて今日はごきげん良かったね。消費税のせいじゃないと思うけど。
〇記者
消費税を巡る小泉さんの発言なんですけど、先程小泉流とおっしゃいましたけれども、2けた必要だという一方で、上げないと。
〇石会長
自分の在任中はですよ。だから、次の人だとはっきり言ってましたよ。
〇記者
それは、自分が積極的に……。
〇石会長
でもね、大変だろうと。行革するにしても歳出カットも、今、わんわん見てやってますよね。ああいうことは、ある意味では消費税以上に大変だと思っているんじゃないですか。補助金カット大変だよね。だから、全て後の人に難しいことを押し付けるという意識では僕はないんだと思うし、僕もそう思いますよ。民営化一つとったって大変だと思いますよ。そういうことをやっておいてもらわないと、消費税というのを税率アップとして出した時にね、対話集会でもなんでそんな無駄を省かないで、われわれのところに来るかねという議論は出てきますからね。それでも小泉流のやり方で、私は違和感ないですね。今度の答申にも書いてありますよ。そういうことは大前提だと、しつこく。
〇記者
会長個人のお考えとして、消費税率の上限はどの程度だったらいいのか、あるいは実際に引き上げられる時期というのはいつごろになるんでしょうか。
〇石会長
2けたというのは、10%から99%まであるんですよ。要するに話としては。まあ、そんなのは非常識なんですけどね。まあ、それは当面10%でしょう、念頭に置かれるのは。これは、プライマリーバランスを均衡しなきゃいけないという2012~2013年ですか。多分、今、諮問会議でも言っています、それができるかどうか分からないけど。そのプライマリーバランスを均等化するというやつのやはり一つの有力な手段にならざるを得ないでしょうね。だから、小泉さんの任期がどうなるか分からないけど、数年先からやって、2012年にかけての議論の中でこの問題が政治的にどう処理されるかだと思いますけど。まあ、個人的には、それは10%で止まってもらうのが一番いいと思いますが、今の社会保障給付も含め、財政赤字を含め、それに一段と止める努力もしなきゃいけないでしょうね。それから、国民負担率が50%に抑えたいと言っているんでしょう、今。僕は、あれもなかなか難しいと思ってますよ。しかし、その辺の話と絡みで、願わくば10%だけど、それを超えることもあるのかなあという意識は持ってますけどね。少なくとも私の税調の会長の時にそんなに大きくはならないんじゃないの、よく分かんないけど。
〇記者
若者にとっては、非常に将来大増税が待っているんではないかというふうな危惧があるやに思うんですが、そうすると、やっぱり将来不安ということにつながってくるかと思うんですね。
〇石会長
いや、若者より高齢者じゃない、増税の心配してんのは。若者はね…。
〇記者
高齢者は、でも、先短いですね。
〇石会長
あのね、逆に言えばね、若者はこれから長いわけだよね。その時負担しないでどうやって年金とか医療とか介護を維持できるかと。何も払わないで年金サービスを受けようと思っている人はいませんよ。あなた達は若いからそれは分かると思うけど。したがって、逆に言えば若者のためにはこういう負担をちゃんとして、それで、今われわれが持っている年金なり医療なりの制度はこうしますよということをはっきり示してあげたほうがいいんですよ。そういう意味では、消費税、僕は若者は賛成すると思いますよ。賛成している人が多い、対話集会を通じて。だから、大増税というのは、ある意味で老い先長いか短いかは別として、全国民がこれから10年、15年先にはこういうスタイルで負担してもらうというメッセージですよ。
〇記者
その際に、所得税が上がるとなるとダブルパンチで効いてきて、子育てとか、その辺についてよっぽどの配慮がないと厳しいのかなという。
〇石会長
言い忘れましたけれども、少子化については、基礎控除なり集中的に扶養控除を使おうという話もしてますよ。ただね、何遍も言いますように、母子家庭であるとか遺族年金だけ持っているような人には、今の所得控除、あるいは課税最低限に収まって、税の中に入り込みませんよ。心配ない、それは全然。したがって、逆に言えば、税の外へ全部おっぽり出していて、課税ベースを少なくしていて税収が上がらないほうが問題で、したがって、今後全部入れて、もう一回所得の世界で整理したほうがはるかに公平な税制ができると思っています。だから、若者が大増税というけど、逆に言えば、僕はもう一つ若者がそういうことを言ったら対話集会の時質問したいと思うけど、じゃあ、どうしたらいいんだと。逆に言えば、今の財政赤字というのは、将来世代にほうっておけば来るんですよ。将来世代のほうにね、負担は。そういうものを処理するんだったら、今からまさに全世代が挙げてそれに対応しなかったら、日本は沈没しますよ。そういう意味で、ある世代だけ非常に、特に若者だけ大変だという話に持っていかれると困るんですね。そういう見出しで書かないでもらいたいね。
〇記者
今のをまた逆にしますけれども、お年寄りにとってみれば、消費税もそのうち上がると。それから控除も減るということで、何十年も働いてきたのに何だという思いがあろうと思うんです。その辺についてのメッセージをお願いいたします。
〇石会長
あのね、既に数字がでまわってますけどね、私も高齢者に入りました。僕は一生涯に積んだ金の2.5 ~2.6倍年金もらいますよ。僕の世代は。今、1940年生まれの人は、一生涯に幾ら積むか分からないけど、積んだ分の2倍以上、2.6倍ぐらいもらえますね。1980年の人は0.7倍ぐらいですよ。僕は、それが一番いい数字だと思う。それでいいですかという議論ですよね。ということは、高齢者の方…それはね、高齢者は言い分ありますよ。僕ら、そういう豊かな、リッチな生活を若いころ送ってないから。食うや食わずで戦争を切り抜けてきた世代が、当たり前じゃないかという意識を持つけど、しかし、若者の今のミゼラブルな、今後予想される姿を見ればね、それは、高齢者といえど応分の負担はあってもいい。ただ、高齢者の所得分布を見ると、やっぱり低所得者層にかなりピークがあって、あとずうっと裾野が長くてね、高額所得者が多いですよ。例えば、5,000万の所得の人でも7~8 割年金もらってますからね。だから、これからの考え方は、今言った公的年金等控除を全廃するというわけではなくて、だんだん見直す中で、年金だけもらっている人に迷惑がかからないようにすればいいんですよ。年金以外にいっぱい所得をもらっている人がいるわけ。給与所得も含め、財産所得も含め。そういう人は年金と一緒になって担税力があるわけだから、結果として年金の部分にも税がいくかもしれない。僕は、それはそれでいいと思いますよ。したがって、年金をもらったからという、年のせいでもらったからというだけで、全て年金が実質非課税になっているのがおかしいんで、実質非課税にしない方法を考え、それで担税力のない人には課税最低限でちゃんと税がかからないようにするというほうが筋じゃないかと思いますけどね。そういうメッセージです。でも、まあ年寄りで怒る人もいるでしょうなあ。ただ、しつこく言っているのは、年金だけもらっている人等々にはかからないというようなことをわれわれは考えているということですね。そのかわり、高齢者高額所得者には応分の負担をしてもらうと。私はそこへ行かないから大丈夫だと思うけど。
〇記者
その年金に対する課税で増える財源については…。
〇石会長
一般財源ですよ。それはそうですよね。所得税の世界でやっているのに、なんでそれをまた特定財源…。所得税全体のどこかというのなら分かるけど、所得税のごく一部を見直して、要するに歪みを是正した後で出てくる税収は、元来所得税の空洞化をなくすために調整するんだね。それに、今のご質問は3分の1、2分の1問題にひっかけられるかということでしょう。税調で議論してませんが、私は、個人的にはこれは当然一般財源が筋だと思いますよ。
〇記者
今朝ほど坂口厚生労働大臣が、年金に対する課税の問題を発言されましたが…。
〇石会長
それは、思い入れがあるんだね、向こうは。
〇記者
塩川財務大臣も今朝の会見では、追認するというような…
〇石会長
いや、結果として一般財源が増えればそっちに回る金も増えるんだからね。そんな特定化するということ自体、制度的には無理ですよ。だから、言葉の上では、例えばわれわれも一定の予算総則で書いて、予算も福祉目的化なんていう言い方はできると思いますよ。そういうレベルの話なら一向に構わんと思いますけども。つまり、公的年金課税を見直して出てくる財源をこっちに充てようなんていうのは、制度的にぎっちりしたものを仕組まれればできると思いますけど、仕組むのは無理ですよ。と思います。まあ、そのレベルで言っているんじゃないですか、坂口大臣も。それはある意味では、一つのメッセージになりますからね。こっちは負担だけど、こっちは別途楽になるよという意味でね。
〇記者
総理とのお話の中で、消費税アップは次の代だと。準備は私がするというふうにおっしゃったんですね。それはいいですね。
〇石会長
言ってますよ。いいですよ。そのことはちゃんと言ってもらったっていいですよ、テレビで。準備というとおかしいけど、われわれが対応すると言っているわけですよ。つまり、消費税アップのためのね。消費税率アップにはいろいろ準備段階が必要だということですよ。それが歳出カットなり等々だ。ただ、上野さんちょっとおれ単刀直入に言い過ぎるからうまく直しておいて。官僚的に言うといろいろあるんです。
〇上野会長代理
自分の代に消費税の引き上げというのはやらない。しかし、大いに議論はしてくれ。するのは結構だ。自分は行財政改革をやる。消費税の引き上げを実現するためには、その前に行財政改革をやっておかなければできないんだ。だから、そのやらなきゃならない仕事をおれがやるだろう。次の人はやり易くなるんじゃないかと、こういうことです。
〇石会長
そういうことですよ。もう何遍も私が言っているのはそういうことです。今のは明快な答えであります。小泉さんもそういうメッセージをわれわれを通じて言ってくれていたと思うよ、今日は。
(以上)