第10回総会 議事録

平成16年1月16日開催

石会長

それでは、今年最初の総会でございますが、ただ今から開催いたしたいと思います。

今日は、両大臣にお見えいただいております。正確に言うと、山口総務副大臣ですね。失礼いたしました。

実は、昨年12月15日に、我々の来年度の税制改正答申を税源移譲を含めましてトータルで総理に渡してまいりました。今年はどういうことが起こるか、これからご議論いただきますが、年末にかけて議論いたしました来年度の税制改正につきまして、与党、自民党税調、さまざまな議論がございましたので、そういうことをご紹介いただきまして、今年最初でございますから自由にご議論を賜りたいと思っています。

それでは、お忙しいところをおいでいただきました谷垣財務大臣から、まず最初にご挨拶をいただきたいと思います。どうもありがとうございました。

谷垣財務大臣

税制調査会第10回総会の開催に当たりまして、一言、ご挨拶を申し上げたいと存じます。

税制調査会の皆様には、昨年末、大変精力的なご審議をいただきまして、その結果、「平成16年度の税制改正に関する答申」をおとりまとめいただいたところでございます。この答申では、当面する平成16年の問題にとどまらず、「あるべき税制」の理念を踏まえて、三位一体改革の一環として所得税から個人住民税への税源移譲を行う方向を明示するといった、貴重な指針をお示しいただいたところでございます。

答申でもご指摘いただいたように、「あるべき税制」に向けての抜本的改革は、持続可能な社会保障制度の構築、国と地方の改革、さらには、2010年代初頭にはプライマリーバランスを黒字化していくといった諸課題に取り組んでいく上で、避けて通れない課題ではないかと考えておりますし、国民の将来不安を払拭していくためにも、わが国社会の基礎となる税制、社会保障、それから行財政のあるべき全体像を整合的に示しながら、改革を進めていく必要があるのではないかと考えているところでございます。

こうした中で、昨年末の与党税制改正大綱におきましては、持続的な社会保障制度の確立、地方分権の推進といった諸課題との関連で、平成17年度、平成18年度において個人所得課税の抜本的見直しを行う、さらには、19年度を目途に消費税を含む抜本的税制改革を実現するといった税制改革の道筋が示されまして、その具体化については、今後、皆様にご審議をいただきながら国民的な議論につなげていくべき問題であると考えております。

去年、総理が諮問にあたって述べられましたように、少子・高齢化、グローバル化といった大きな構造変化に対応して、社会共通の費用を広く公平に分かち合う、それと同時に、持続的な経済社会の活性化に役立つ税制を作っていくことが基本ではないかと思っております。こういう視点から、個人所得課税、消費税を中心に、「あるべき税制」の具体化に向けたご審議を進めていただきたいとお願いするところでございます。

委員の先生方には、お忙しい中にもかかわらず、本年も年間を通じて精力的にご議論をいただくことになると存じますが、よろしくお願い申し上げますとともに、ぜひ、よい議論を示していただいて、私どももそれをもとに全力を挙げて仕事をさせていただきたい、このように考えております。

簡単ではございますが、私のご挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

石会長

どうもありがとうございました。

それでは引き続きまして、山口総務副大臣からお言葉をいただきたいと思います。

山口総務副大臣

せっかく先ほど両大臣とおっしゃっていただいたのですが、麻生大臣、どうしても公務の都合がございまして、私のほうからご挨拶をさせていただきたいと思います。

今日からいよいよ第10回目の総会ということで、本年、議論がスタートするわけでありますけれども、石会長をはじめ委員の皆様方におかれましては、種々ご議論を真剣に賜っております。特に地方税関係につきましても、大変ご熱心にご議論を賜っておりまして、心から感謝を申し上げる次第でございます。

先ほど会長から若干お話がございましたが、昨年、ちょうど私もご挨拶をして、答申をいただいたのですが、いろいろあってああいう格好になりましたけれども、いわゆる三位一体改革の中できちんと税源移譲の姿を地方の皆さん方にお見せする、大変大事なことであろうと思っております。税制調査会の平成16年度の答申におきましても、個人所得課税の抜本的見直しに関して早急に検討を行う、そして、平成18年度までに税源移譲を実現していく必要がある等々を盛り込んでいただいているところでございまして、その姿を早急に明らかにしていかなければいけないだろうと思っている次第でございます。

併せて、地方分権を支える地方の税の充実確保、委員の皆様方もご案内のとおり、国ももちろんでありますが、地方も非常に財政状況が厳しくなってきております。どうか、そこら辺を十分ご理解を賜りまして、その方策につきましてご検討賜りますようにお願い申し上げる次第でございます。

委員の皆様方におかれましては、大変ご多忙中であろうと思いますが、どうか、こうした問題をはじめ、いわゆる「あるべき税制」の構築に向けて、さまざまな課題につきましてご議論を賜り、よろしくご審議を賜りたいと心からお願いする次第でございます。

石会長はじめ皆様方の多大なるご尽力に、重ねて心から厚く御礼を申し上げさせていただきまして、簡単ですけれども、ご挨拶とさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

石会長

どうもありがとうございました。お2人のお言葉の中に、今後我々がやるべきこと、何をすべきかということがずいぶん盛り込まれていたと思いますので、それを受けまして今日から本格的に議論いたしたいと思います。

大臣、副大臣とも公務多忙でございますので、今からご退席になりますが、本当にありがとうございました。

〔谷垣財務大臣・山口総務副大臣退席〕

石会長

それでは、議事に入る前に、総務省に人事異動がございましたので、板倉税務局長から簡単にご紹介ください。

板倉自治税務局長

これまで市町村税課長をしておりました吉崎正弘が、情報通信政策局の総合政策課長ということで異動いたしました。その後任に、前の情報通信政策局の地域通信振興課長をやっておりました山根悟が参っておりますので、よろしくお願い申し上げます。

以上でございます。

石会長

それでは、これから審議に入りたいと思いますが、まず最初に、平成16年度税制改正案の概要につきまして、古谷総務課長と岡崎企画課長、両省からご説明をいただきたいと思います。

では、古谷さんからお願いします。

古谷総務課長

それでは、年末に行いました16年度の税制改正等につきましてご報告を申し上げたいと思います。

私のほうから国税の関係でご報告を申し上げますが、お手元に資料がたくさんございますので、ご確認をいただきながらご覧いただきたいと思います。

大きい紙で「総10-1」という資料、「16年度税制改正(案)のポイント」というのがございます。その次に、「総10-2」ということで、「平成16年度税制改正案の概要」という資料が置いてございます。一つ飛ばしていただいて、「総10-4」が「平成16年度税制改正の要綱」ということで、これが、今朝、閣議決定をさせていただいたものでございます。法律の改正に結びつけるべき内容の詳細はこの要綱の中に書いてございますけれども、時間の関係もございますので、恐縮ですが、最初の「総10-1」という広い紙、「ポイント」というので簡単にご報告させていただきまして、あとはご質問で対応させていただきたいと思っております。

「総10-1」という大きい紙をご覧いただきたいと思いますが、「16年度税制改正(案)のポイント--経済活性化と構造改革に資する5本柱」というふうに整理してございます。昨年、答申をいただきまして、そこにございますように、右肩のほうですが、15年度改正の効果が16年度も1.5兆円の減税が先行する形で継続しているという状況下で、持続的な経済社会の活性化を実現するためのあるべき税制の構築に向けて、15年度税制改正に続き切れ目のない施策を実施する、といった考え方で取り組ませていただきました。

答申におきましても、税収割合が5割をかろうじて上回る程度となっている財政の現状を踏まえて、財政規律に最大限配慮すべきであるというご指摘をいただきまして、後ほど見ていただきますが、増減税の規模自体はほとんど大きなものがございませんで、減税規模で見ると非常に小さくなっております。そういう中にはありますが、きめ細かな経済活性化への配慮も盛り込ませていただいた結果になっているのではないかと思っております。

その5本柱でございますが、まず、「資産活用の促進による資産デフレへの対応」ということで、住宅ローン減税の延長・重点化。これは答申では、景気情勢に配慮しつつ縮減すべきという方向をいただきました。16年分につきましては、平成15年分と同じ制度で一旦1年間延長いたしますが、平成17年以降20年分にかけまして、高額ローンを対象とする制度から中堅層のローン水準に重点化しながら、いわば縮減をしていくという内容にさせていただきました。

併せまして、居住用財産の譲渡損失の繰越控除というふうに書いてございますが、これまで住宅ローンを組んで居住用財産を売った場合、住みかえの促進ということで、一定のこういった損失を控除する特例がございました。これについて拡充・創設と書いてございます。これまでは、住宅ローンがある場合にこういう特例が認められたのですけれども、住宅ローンを払い終わって住宅ローン残高がなくても、円滑な住みかえに対応するように特例を拡充いたしてございます。

さらに、そういった住みかえ、買いかえの場合に加えまして、住宅ローンを抱えて、家の値段が下がって、なかなか新しい生活に切りかえられない人たちが多いという状況もございまして、借家や老人ホームに入居される場合につきましても、譲渡価額を上回る住宅ローン残高があれば、その分について繰越しを認めるといった新しい制度を創設させていただきました。

それから、土地譲渡益、長期譲渡所得に対する税率を株式並みの20%に下げるといったことをさせていただきました。さらに金融課税の一元化といった方向も踏まえまして、公募株式投資信託の譲渡益課税を上場株式並みに軽減をするといった措置を講じてございます。

2つ目の柱が、「事業の再構築と前向きな企業活動の支援」ということで、ベンチャーとか事業承継、そういったところに目配りをしたという内容でございます。エンジェル税制の拡充と書いてございますけれども、これにつきましては、15年度改正で投資段階の特例を創設いたしましたが、16年度では、対象となるベンチャー企業の範囲をかなり拡大してございます。これまで、経済産業省の認定する特定中小会社というのだけが対象ベンチャーだったのですけれども、今回は、ベンチャーファンドを通じるもの、あるいは、日本証券業協会のグリーンシートと申しまして、ベンチャー企業の株価の気配値が公表されているようなものがございます。そういうものも対象にしまして、いわば民間の目利きを通じてエンジェルがベンチャーに投資できるようにという形で、飛躍的に対象の範囲を広げるといったことをさせていただいております。

そのほか、中小同族株に係る相続税の課税価格の軽減特例とか、非上場株式の譲渡益に対する税率の引下げ等、中小企業、事業承継に対して目配りをするといった内容を盛り込ませていただいてございます。

それから、答申でもご指摘をいただきましたけれども、法人の欠損金の繰越期間、帳簿書類の保存期間や除斥期間との整合性をとりながら延長するということで、5年から7年まで延長させていただきます。連結付加税については、期限の到来に応じて廃止をするという内容になってございます。

3つ目の柱は、「少子・高齢社会への対応」ということで、答申を踏まえまして、年金課税の適正化をしてございます。具体的には、公的年金等控除の見直しと老年者控除の廃止という内容になってございまして、モデル年金で暮らしておられるような高齢者世帯のところまで課税最低限が下がらないようにというような配慮をしながら、年金課税の適正化をさせていただいてございます。併せまして、老後に対する自助努力を支援するという趣旨で、確定拠出年金制度について、拠出限度額の引上げが行われることになってございます。

4つ目が、「地方分権の推進」でございます。ご承知のように税源移譲ということで、所得税から個人住民税への本格的な税源移譲を実現するまでの間の暫定措置として、所得税収の一部を地方へ譲与する所得譲与税を創設し、税源移譲をするという内容になってございます。所得税から個人住民税への本格的な税源移譲という部分は答申でもご指摘をいただきました。答申では、暫定措置としてはたばこ税が現実的ではないかというご指摘をいただきましたが、結果は、所得譲与税という形で税源移譲することになりました。

5つ目の柱が、「国際的な投資交流の促進」ということで、これもご議論いただきましが、日米租税条約の全面改正と併せまして、関連の国内法令を見直すということでございます。

以上が、ごく簡単に16年度税制改正の内容でございます。大臣からもお話がございましたが、この議論の中で、与党のほうでは今後の税制改革の道筋を示していただいておりまして、それが下のほうの箱で書いてございますけれども、この部分につきましては後ほどまた改めて詳しくご覧いただこうと思います。

資料の「総10-6」に目を転じていただければと思いますが、予算の関係の資料を幾つかつけてございます。資料「総10-6」の2ページをまずご覧いただきたいと思います。ただ今申し上げました16年度税制改正の増減収見込額でございまして、平年度、初年度と書いてございますが、右の初年度をご覧いただきますと、いろいろな改正をしてございますが、小計欄で△90億円、税源移譲額が△4,250億円、全体で4,340億円の減税になっておりますけれども、税源移譲を除くいろいろな改正ではネット90億円程度の減税ということでございます。これが平年度ベースになりますと、一つ左のほうで、1,680億円、約1,700億円の減税という姿でございます。

資料の1ページにお戻りいただきまして、これは16年度の一般会計予算のフレームでございます。歳入の欄、税収が約41兆7,470億円ということで、15年度に比べますと、△390億円、先ほど申し上げました税源移譲による影響分と、△90億円の税制改正分を織り込んだ税収が41兆7,000億円ということでございます。

歳出のほうをご覧いただくと、一般会計歳出全体が82兆1,000億円ということで、昨年度より約3,000億円増えております。ただ、これはシーリング段階からの方針もございまして、実質的に15年度の水準以下に抑制をするという方針で予算編成が行われました。特に地方交付税のところをご覧いただきますと、16兆4,935億円と約9,000億円減ってございます。地方財政計画の歳出の各項目を徹底的に見直して、大幅に削減をしたということでございます。

一般歳出につきましても、47兆6,000億円ということで、398億円の増にとどまっておりまして、一般歳出につきましても、補助金改革を織り込んでめりはりのある予算配分を行ったということでございます。備考欄にいろいろと書いてございますが、こういったやむを得ない当然増分を除けば、15年度の予算を実質的には下回る水準になっているということのようでございます。

そういった予算編成を歳出面で行っておりますけれども、税収が41兆7,000億円でございまして、公債金のところをご覧いただきますと、36兆5,000億円ということで、1,450億円の増加にとどまってはおりますが、公債依存度は15年度と同じ44.6%でございます。

それから、税調でご議論いただきました税収の歳出に占める割合でございます。3ページのグラフをご覧いただきますと、82.1兆円の歳出総額に対して41.7兆円の一般会計税収ということで、一番下の箱に50.8%と書いてございます。ぎりぎり5割を何とか上回る形でおさめることができたということであろうかと思います。

再度、1ページのフレームの表にお戻りいただきまして、プライマリーバランスという観点でこのフレームをご覧いただきますと、プライマリーバランスというのは、簡単に申し上げますと、公債金収入から元利償還費を除いた財政収支というふうに見ることができます。国債費が7,700億円、15年度から16年度にかけては増えておりますが、これに対して公債金収入は1,450億円しか増えていないわけでございまして、前年度より、そういう意味ではこの差額数千億円程度が一般会計でプライマリーバランスが改善しているということであろうかと思います。国・地方を通じました財政全体のプライマリーバランスにつきましては、内閣府でいずれ試算が示されることになっておりますけれども、16年度予算は、2010年代初頭におけるプライマリーバランス黒字化に向けて一つの手がかりが得られた予算編成であったと考えております。

しかしながら、4ページにお進みいただきますと、これは主計局がよく使っている幾つかの数字を並べてございますが、わが国の財政事情が非常に厳しい状況にあることには何ら変化はございません。左上にございますが、財政の現状というところをご覧いただきますと、諸外国と比較いたしましても、フローの財政収支、ストックの債務残高で見ましても先進国中最悪の状態にあるわけでございます。こういう中で、2番目にありますように「中期的財政健全化目標」ということで、2010年代初頭にプライマリーバランス黒字化を目指すという方向が政府として決められているわけでございます。今後の財政を考えます場合に、右のほうにございますが、少子高齢社会が進展する中で社会保障経費が増えていく、この問題をどうしていくかというのが財政の一番大きな構造問題であろうかと思います。

そういう意味で、右下の箱にございますが、歳出サイドでは社会保障につきまして、今後、医療保険の改革、介護保険の改革、生活保護の見直しといった改革が目白押しでありまして、こういうものにどうやって取り組んでいくかが課題になっているということでございます。

5ページ以下は、いつもご覧いただくような財政についての指標類がリニューされておりますので、ご覧いただければと思います。

その上で、また別の資料で恐縮でございますが、「総10-7」という資料、「税制改革関係」というのをご覧いただきたいと思います。目次を飛ばしていただきまして、1ページ目が先ほど申し上げました与党の税制改正大綱の抜粋でございます。「第一 持続可能な社会保障制度と地方分権の推進を支える税制の確立を目指して」と書いてございます。年金改革と三位一体改革が、年末、税制改革に絡みまして大きな課題になったわけでございますが、そういった年金、三位一体改革とのコンテクストの中で、将来の税制改革について与党のほうでこのような文章がまとめられておりますので、拾い読みをしながらご覧いただきたいと思います。

3行目でございますが、「第一は、少子高齢化社会における年金、医療、介護等を抜本的に再構築し、持続可能で国民が信頼できる社会保障制度を確立していく必要がある。特に年金制度については、平成21年度までに基礎年金の国庫負担割合を段階的に2分の1に引き上げるための安定した税財源を確保する」。

第二が、地方分権のほうでございますが、「平成18年度までに、約4兆円の国庫補助負担金の廃止・縮減等を行うとともに、地方交付税の見直しと地方への税源移譲を行う『三位一体改革』を進めることが求められている」。

ちょっと飛ばしまして、「こうした諸課題を解決するため、むこう数年間のうちに、次のような税制の抜本改革に取り組むこととする」となってございます。1から4までございますが、1が、まず平成16年度の話で、「平成16年度税制改正において年金課税の適正化を行う。この改正により確保される財源は、平成16年度以降の基礎年金拠出金に対する国庫負担の割合の引上げに充てるものとする」。

2は、平成17年度及び平成18年度でございますが、「わが国経済社会の動向を踏まえつつ、いわゆる恒久的減税(定率減税)の縮減、廃止とあわせ、三位一体改革の中で、国・地方を通じた個人所得課税の抜本的見直しを行う。これにより、平成17年度以降の基礎年金に対する国庫負担割合の段階的な引上げに必要な安定した財源を確保する」となっております。

3は、「平成18年度までに所得税から個人住民税への本格的な税源移譲を実現する」。それまでの間の暫定措置として、2ページでございますが、平成16年度では所得譲与税を創設するということでございます。

4が、「平成19年度を目途に、年金、医療、介護等の社会保障給付全般に要する費用の見通し等を踏まえつつ、あらゆる世代が広く公平に負担を分かち合う観点から、消費税を含む抜本的税制改革を実現する」。

こういったことが与党の税制改正大綱で決められまして、与党間で合意をされたということでございます。

3ページは、それに関連いたします年金制度改革に関する政府・与党協議会での合意文書でございます。3ページ、4ページがそれでございます。5ページが、三位一体の改革に関する政府・与党協議会の合意文書でございますので、ご覧おきいただければと思います。後ほど、総務省の岡崎さんから詳しく三位一体についてはご説明があろうかと思います。

いろいろな資料があって恐縮ですが、12ページに「税制改革の経緯」という表を掲げております。今ご覧いただきました与党大綱で、個人所得課税あるいは消費税を中心とした今後の税制改革の道筋が示されているわけでございますが、この昨年末の与党大綱に至るまでの間、政府税制調査会ではあるべき税制の改革に向けて、ここに示しますような基本的な考え方や方向性をすでにかなりお示しいただいてございます。今後、この与党大綱の道筋を踏まえましてご議論を進めていただく前提として、私どものほうで整理をしてみましたので、ご披露させていただきたいと思います。主に平成14年6月の「あるべき税制の構築に向けた基本方針」、昨年6月の「少子・高齢社会における税制のあり方」という中期答申、それに昨年暮れの「平成16年度の税制改正に関する答申」、そういったものの中から今後の方向性をお示しいただいている部分を拾ってみましたので、ご覧いただければと思います。

13ページからでございます。「あるべき税制の具体化の方向」ということで、政府税制調査会答申の指摘を引っ張ってございます。全部読みますと時間がございませんので、ご覧いただきたいと思いますが、まず、基本的考え方ということで、「持続的な経済社会の活性化を実現するためのあるべき税制の構築にあたっては、以下の視点を踏まえる必要」ということで、5つ、線を引いてございます。

経済社会の活性化という点、あるいは、世代内、世代間の税負担の公平確保という点、簡素な税制という点、安定的な歳入構造の構築といった観点、地方分権の推進と地方税の充実・確保といった観点が示されてございます。

次のポツでございますけれども、中期答申等では、「個人所得課税の基幹税としての機能を回復すること及び消費税の役割を高めていくことが基本である」というふうにしてございます。

次のポツでございますが、16年度答申では、「個人所得課税の諸控除や税率構造のあり方、消費税率が欧州諸国並みの二桁に引き上げられた場合の軽減税率の採用の是非や仕入税額控除制度のあり方といった諸課題について、国民に選択肢を示しつつ、具体的に検討を進めていくべきである」という答申をいただいております。

それから、一番下のポツでございますが、「あるべき税制に向けての抜本的改革は、持続可能な社会保障制度の構築、国・地方のいわゆる三位一体改革と整合性をとって行う必要があり、2010年代初頭のプライマリーバランス黒字化に取り組む上でも避けて通れない課題である」といったご指摘を16年度の答申でいただいております。

14ページにお進みいただきまして、地方税につきましても、「地方分権を推進し、自立した国・地方関係を確立する。税源の偏在性が少なく、税収の安定性を備えた地方税体系を構築するとの観点から、地方税の充実確保を図ることが重要である」といった方向を示していただいております。

まず個人所得課税についてでございますが、「空洞化の状況を是正し、基幹税としての機能(これは財源調達機能と所得再分配機能でございますが、)これを回復する必要がある。」「経済社会の構造変化に対応して、税負担の歪みや不公平を是正し、広く公平に負担を分かち合える税制を構築する」といった方向をお示しいただいております。

線の2番目に、「給与課税の見直し」ということで、特定支出控除の範囲を検討し、給与所得者にも確定申告の機会を増加させてはどうかという方向をお示しいただきました。

「人的控除の基本構造の見直し」につきましても、「家族の就労に対して中立的な仕組みとすることが重要である。扶養控除については、児童等への集中、税額控除化も検討課題」というふうにしてございます。

次のポツでありますが、「大多数の納税者が低い税率の適用のみで済んでいるという主要国の中でも特異な税率構造を是正すべきである」というご指摘もいただいております。

「定率減税については、経済情勢を見極めつつ、廃止していく必要がある」という方向をいただいております。

税源移譲に関してでございますが、「個人住民税は、今後、所得割のフラット化、均等割の充実といった改革を進めていくことが重要。一方、所得再分配機能は主として国の所得税が担うべき。所得税・個人住民税についてそれぞれの性格に応じた個人所得課税体系における位置付けの明確化を図る必要がある」という方向をいただいております。

消費税につきましては、15ページ、2つ目のポツでありますが、「社会保障支出の増大や財政構造改革を展望し、今後、二桁に税率を引き上げ、役割を高めていく必要」がある。

そういう「税率引上げ時の検討課題」としましては、軽減税率の採用の是非、複数税率との関係でインボイス方式の採用をどうするか、こういった点を検討課題として挙げていただいております。

そのほかにも、法人課税、あるいは相続税・贈与税、金融・証券税制等について、今後議論すべき課題を掲げていただいておりますが、時間の関係で一々の紹介は省略させていただきます。

16ページにまいりまして、地方分権と税制ということで、ここは昨年の答申でかなり議論を深めていただきましたが、「税源移譲を含む税源配分の見直しについては、平成18年度までの間に補助金削減とともに、基幹税の充実を基本に税源を移譲する必要」。「今後、所得税・個人住民税のそれぞれの性格に応じた個人所得課税体系における位置づけを明確化する方向で改革を進め、所得税から個人住民税への税源移譲を行うことを基本とすべき」といった方向を示していただきました。

17ページ、最後のページでございますが、ここは改めてでございますが、昨年秋の総理から今次の税制調査会への諮問でございます。「あるべき税制の具体化に向けた審議を求める」ということになってございまして、こういった税調でのこれまでのご検討の最中で、年末にあのような与党からの大綱が出て今後の道筋が示されたという状況にあるのではないかということで、今後のご議論の進め方について、こういった点を踏まえてご示唆をいただければと思っております。

以上でございます。

石会長

どうもありがとうございました。

それでは、三位一体改革も含めて、地方税につきまして、岡崎さんからご説明ください。

岡崎企画課長

地方税関係資料でございますが、「総10-3」に税制改正の内容、「総10-5」に、若干細かいものでございますが、国税の閣議決定した要綱に対応するような内容でございます。それから「総10-8」に「地方財政関連資料」とございます。三位一体の関係のご報告でございますので、先に「総10-8」からご覧いただきたいと思います。

「総10-8 地方財政関連資料」でございますが、1ページは、昨年6月の「骨太方針2003」の復習でございますが、国庫補助負担金は概ね4兆円程度を目途に廃止・縮減等の改革。税源移譲を含む税源配分の見直しについては、廃止する国庫補助負担金の対象事業の中で引き続き実施する必要のあるものについて税源移譲する。税源移譲は基幹税の充実を基本に行う、というふうなことが決められたわけであります。

さらに交付税改革で、交付税の財源保障機能全般を見直し、縮小する。地方財政計画の歳出を徹底的に見直して、交付税総額を抑制するという方針が決められまして、これに基づいてその後、議論、作業が行われたわけであります。

2ページは補助金の一覧でございますので、省略いたしまして、3ページが、結果どうなったかということでございます。途中で、ご承知のように、16年度は1兆円の補助金をというようなご指示が総理からございまして、最終的に、後ほど申し上げますが、1兆300億円ほどの補助金の整理が行われております。そのうち、この国庫補助負担金の改革で、いわゆる事業がそのまま残るということで、恒久的に一般財源化するものとしては、ここにありますような、児童保護費等負担金、介護保険事務費交付金等々でございまして、児童保護費は特に公立の保育所運営費に限っておりますけれども、合わせて2,440億円、補助金が整理をされたということでございます。

さらに、義務教育費国庫負担金のうちの教員の退職手当・児童手当分等につきましては、暫定的に一般財源化するということで整理をいたしております。そのほかは、公共事業関係国庫補助負担金等について5,000億円ほど削減しているというような内容になっております。

税源移譲については、ここはちょっとややこしいのですが、上のほうの、恒久的一般財源化する補助金2,440億円のうち8割、10割と整理も経まして、2,198億円という移譲対象になりまして、それに15年度の補助金の削減等に伴いまして暫定的に措置をしておりました2,051億円という15年度分を足しまして、4,249億円という税源移譲を行うことが、年末12月12日に決められたわけであります。それについては、次のページで申し上げますが、所得譲与税という形をとりました。

それから暫定的な一般財源化としては、2,309億円、1にあります義務教育費の退職手当等につきましては、そのままの額を税源移譲予定交付金という名前で一般財源として地方に交付するという形になっております。

3番で、交付税の改革であります。先ほど古谷課長からもございましたが、徹底的に地方歳出の内容を見直しまして、地方交付税の総額を結果として1.2兆円、地方に交付するベースで6.5%抑制をするというふうな大変厳しい内容になっております。投資的経費について9.5%の削減、あるいは給与関係について、実は6,000人ほど警察官、教員等が増えるのですが、それをのみ込んだ上でトータルで1万人純減しようということでやってございます。

今の税源移譲の部分について、若干詳しく書いたのが4ページでございます。先ほども説明がございましたが、当調査会では、たばこ税による移譲が現実的ではないかというご答申をいただいておりましたが、党のほうのご議論の中では、地方団体、特に知事会等含めて、基幹税、所得税なり消費税なりの移譲を希望するという声が非常に強くあったということも踏まえまして、最終的に出た結論としまして、所得税から個人住民税へ移譲することにしよう。かつ、18年度までに本格的な税源移譲を実施するのだが、それまでの暫定措置としては、所得税の一部を所得譲与税として、先ほど決められた4,249億円、譲与することでどうだろうかという結論になっております。

なお、3つ目の〇ですが、これは、人口を基準といたしまして、都道府県、市町村へ譲与するということでありまして、県と市町村の比率は、16年度については1対1というふうに考えております。

最後の〇は、暫定的な一般財源化で行う税源移譲予定交付金という内容でございます。

やや、ややこしいので、5ページにイメージを整理いたしております。一番上が補助金の整理でございまして、左側に15年度5,600億円分を整理いたしましたが、このうちの義務教育費の共済長期負担金、これは100億円単位でまるめてありますが、2,300億円というのが暫定的につないだ補助金でございます。右側に、1兆300億円程度、16年で整理をしたということでございまして、このうち公立保育所運営費等につきまして税源移譲の対象にする。これと左側の税源移譲を合わせまして、約4,200億円の所得譲与税という移譲につながっております。

一方で、16年の補助金のうち、義務教育の部分2,300億円はそのままの額で税源移譲予定交付金とする。さらに、右のほうの4,500億円ある公共事業関係の補助負担金の削減については、事業費が減るのだということもありまして、一部まちづくり交付金等になっておりますけれども、原則ここは、税源移譲ではなくて事業費の縮減であるという位置づけになっているということでございます。

最後の6ページでございますが、まだ地方財政計画そのものは策定中でございますけれども、16年度の粗々の財政収支見通しの概要でございます。上のほうの歳出をご覧いただきますと、ほとんどすべての項目においてマイナスが出る。地方一般歳出でマイナス2.3%という大変厳しい抑制した財政収支見通しになっております。地方税については、歳入の1番上でありますけれども、0.5%ほどの増になろうかと考えております。

それから、その他の改正等につきまして、大変恐縮ですが、「総10-3 平成16年度地方税制改正(案)について」というペーパーで簡単にご説明申し上げます。

「総10-3」の1ページの一番、「三位一体の改革(税源移譲)」は、先ほど申し上げたものの税源移譲部分でございます。

二番は、当調査会でご議論いただきましたが、個人住民税につきまして均等割の改正をいたしております。まず[1]としまして、市町村の人口規模で段階があるのはおかしいではないかということもありまして、これは16年度から3,000円に統一することにいたしております。

[2]でありますが、もう一つのテーマでありました、生計同一の妻に対する非課税措置も、公平の観点から廃止していいだろうということになりましたが、上の[1]と重なることもございまして、段階廃止ということで、17年度に都道府県分1,000円を足した4,000円の半分、2,000円を課税させていただいて、18年度からは妻も全く他の者と同じようにフル課税をするという段階改正になっております。なお、4,000円の税率そのものを引き上げるかどうかにつきましては、これらの改正をまず先行させてということで、議論が先に送られているということでございます。

2ページでございます。四番、「課税自主権の拡大」につきましても、ご答申でもご指摘いただいておりますが、結果としてどうなったかといいますと、[1]と[2]がいわゆる超過課税、税率のお話でございます。いろいろ議論がありましたが、最終的には、個人住民税の制限税率がないということも踏まえまして、広く皆さんが負担する税である固定資産税についても1.5倍という制限税率を廃止しようではないかということになりました。

[2]で、標準税率が非常に拘束力が強い書きぶりがされておりまして、今は財政上の特別の必要があると認める場合に限って標準税率以外を使えるとなっておりますので、この辺の拘束をやや弱める改正をするということになっております。具体的な文案につきましては、現在、法制局と作業をしております。

[3]、[4]がいわゆる法定外税の話でございます。[3]で、法定外税の同意制をどうするかということがあったのですが、少なくとも税率を下げるとか、廃止するとか、課税期間を短縮する、こういう場合については、納税者の負担が増えるわけではないので、協議・同意ははっきり不要にしようということにいたしました。

[4]として、これはわりあいご要望が強かったわけですが、特定少数の納税者にかける法定外税については、条例を制定する前に、当該議会で納税者の意見を聴取する手続きを創設することにいたしたいと思っております。

その他もろもろございますけれども、調査会でご指摘のあった事項の主なものは以上でございます。

なお、今飛ばしましたが、2ページの三番、「固定資産税」について、党のほうではかなり議論がございましたが、最終的には、負担水準が非常に高い商業地等がある場合には、そういう土地について条例で減額できる仕組みにいたしております。この趣旨は、今でも条例減額というのはあるのですが、基本的には個別の納税者、あるいは個別のこういう土地につきまして、災害とか、貧困とか、そういう個別減免の世界しか法律はございません。こういう条例を決めて、一定の条例で決めた水準以上に負担が高い土地については、一律に下げられるという仕組みを新たに入れたということでございます。

主な改正点は以上でございます。後ほど、また何かございましたら、ご質問に答える形でお答えしたいと思います。

以上でございます。

石会長

ありがとうございました。

今日は30分、開始が大臣のご都合で遅れましたが、おしりのほうは4時と延ばさないことにしておりますから、あと40分ほど時間がございます。この40分の間で、今ご説明いただきました内容についての質疑応答、つまり、来年度税制改正の中身について理解を深めなければいけないと思います。それに、今日は膨大な資料が出まして若干消化不良のところもありますので、これを補う意味でご質問をいただけたらと思います。

それからもう一つ重要なことは、かいつまんで申しますが、今後、我々は何をすべきかというところで皆さんのご意見を賜りたいと考えております。与党の税制改正大綱で、今後3年間のある工程表を出していただきました。我々としても、懸案事項をここに書き込んでもらったなと思っていますが、定率減税の話とか、税源移譲の話とか、さらには消費税、これに本格的に導入を含めての議論をしようと書いてございますので、これをベースにして我々は今後どういう形で、どう進めていくかということでございます。

今、粗々に考えておりますことは次のようなことです。基礎問題小委員会というのがこの下にございまして、基本的にはそこでさまざまな細かい点についてのたたき台を作りたいと思っていまして、これは従来の方式どおりでございます。ただ、所得税改革を抜本的にやりたいということもございまして、かなり技術的・専門的にわたる面がございますので、できたらでございますが、少し数を限定した専門家の中でワーキングを作って、そこで議論をやって、それを基礎小でもむというようなことも考えておりまして、これが基礎問題小委員会の一つのテーマです。

もう一つは、昨年来やっておりました経済社会の構造変化、これは様々変わってございます。家族の問題、就業構造の問題、情報化の問題、グローバル化の問題、多々ございますので、それにつきましては、引き続き、資料を整理してもらって、かつ、有識者の方々からいろいろご意見をいただきたいと考えております。

そういう意味で基礎問題小委員会は二本立てでやっていきたいと思いますし、できたらでございますが、経済社会の「実像把握」の点に関しましては、非常に広いテーマで、かつ、総会だけご出席の委員の方も興味があろうと思いますので、お時間があれば、そちらにもご出席いただきたいということも考えております。

それからもう一つは、金融小委員会でございます。これは、引き続き奥野さんにお願いいたしまして、金融所得の一体化も含めて本格的議論をやっていきたい、このように考えております。それから、おそらく例のNPO法人絡みの話もいずれ出てくるのかなと思っていますので、年度末にかけまして、こちらの話も議論が及んでいくと思いますし、それをまた水野さんにお願いしなければいけないと思っております。

いずれにいたしましても、10月に小泉首相から諮問をいただきまして、諮問文がございますが、これについて実は本格的に議論するのは今日がスタートでございます。年末は年度改正にかかりきりになりまして、長い目で見た議論というのはやっておりませんから、今日、本格的にいただいた諮問にのった、あるいは沿った形であるべき税制論をやっていきたいと考えております。

それでは、時間も押しておりますので、両課長からご説明いただきました、16年度税制改正の中身、今後の我々の検討の内容、あるいは方向等々につきまして、ご自由にご発言をいただきまして質疑を開始したいと思います。

どうぞ、河野さん。

河野特別委員

私は、三位一体の中の税源移譲と日本語で書いてあることについて、2点、申し上げたいんですよ。これは財務省の資料も税源移譲と書いてあるんだね。しかも、所得譲与税を創設したから税源移譲だと書いてある。これは誰が考えたって、形式論で言うとそういうことになるけれども、財源を持っていっただけですよね、暫定的に。しようがないから。これは世の中を惑わすような話でね。これから本格的な税源移譲論を1年か2年かけてやることになるのでしょうが、それに比べればこれは税源移譲でも何でもない。財源移譲だけでね。政治的な決着がついただけだと思うんですよ。だから、今さら用語を変えてくれなんて子供みたいなことは言わないけれども、これは世の中を惑わすと思いますね。実際知っている人から見れば、何言ってるんだという話ですよ。

2番目。去年の暮れ、総理が11月の17日に1兆円だと言い出してからまとまるまでのあのドタバタを見ていて、つくづく思ったのは、国庫補助金なり交付金なりを所有している、差配している中央官庁、幾つかの主たる官庁のこの問題に対する反論なり抵抗なり、どう表現してもいいけれども、ものすごく強かった。権謀術数入り乱れていろいろな議論が、消化不良のままどんどん流れていって、あれよ、あれよという間に答申に至ったという経過があったでしょう。あれを見ると、さっき会長が言ったけれども、工程表を与党は書いてくれたねと、そのとおりだと思うけれども、あの工程表の中で一番の難物は、消費税とか所得税ありますよ、それよりも三位一体の実際上の進展ということがもっともっとはるかに難しいのではないか。今年の末、また、そういうドタバタというか、本格的議論をやると思いますけれども、とてもじゃないけれども、今年よりもっともっと激しいことになると思う。1年間、中央官庁はぼやっとしていないから。

ここから先は政府税調の話ですよ。本格的な所得税の個人住民税への移行ということについては議論はもちろんやらなければいけないし、やるべきだと思いますけれども、実際は、これも2年越しの話で、まあ、適当にやっていれば済むかなと思わないでもないようなことだと思うんですよ。それで士気が阻喪するという意味ではないけれども、それぐらいのレンジで考えたほうがいいのではないかという気がするんです。

もう1点だけ、これに関連して、我々、12月の15日にここで答申したわけだ、石さんが。それで、総務課長は2人ぐらいだった、役所は。総理のところに石さんが持っていって、頭下げて渡して、あっという間に、ニュースを見ていたら、世の中が変わったような話ね。たばこ税から何か新しい税目を作ったということになっていた。これ、今までだって税調答申と党の最終決定が違うことはいくらでもあったし、だから辞表出すなんてアホなことは言わないけれども、しかし、今度はずいぶん激しいなと。1週間、10日たって変わるならいいですよ。ものすごいめちゃくちゃな時間。実は別にストーリーが進行していた、あとで聞けば、「ある」と言うのでしょう。

これから、何も政府税調は形式だとか、そういう形式ロジックを言うつもりはないけれども、少なくともこんな所得税の譲与税なんていう話は一言も出てないんだから、この税調では。これはずいぶんと妙な話だなという気がするんですよね。この点については担当の課長から、どういう経過があったということを後でまとめて説明してもらいたい。

石会長

今やってもらいましょうか、簡単に。皆さん、共通の関心をお持ちの方もいらっしゃるかもしれませんが、私もちょっと絡んでいた話もございますから、簡単に経過ということで、どうぞ。

では、岡崎さん。

岡崎企画課長

私は年末、党のほうを中心に動いていたのですけれども、こちらで、今おっしゃったように確かにたばこ税の話は出ておりましたし、逆に所得譲与税の話は一切なかったというふうに理解しておりまして、実は、12月12日に4,249億円という数字が決まってから党のほうの議論は始まっております。何を移譲するかという議論は、12月12日の金曜日の数字を見て始まった。12月15日にこちらの答申が決まる日あたりまで、14、15と議論をしてまいりまして、17日に党が結論を出したことになっております。正直申し上げまして、私、ほとんど参加しておりましたけれども、たばこ税で移譲するという議論は逆に党では一度もありませんでした。

ですから、両方がある意味では、議論のスタートの時点も違うのですけれども、党のほうは非常に短期間で議論したのですが、所得譲与税というのが出てきて、基幹税という地方の声を考えればこれがいいではないかという議論で決まったということでして、そういう意味では、両者があまり調整なしでそこで決まったというふうになっていまして、最終的に党の決定で総理のほうも了解されて今の形になったというふうに理解しております。その辺は私どもで決めた話ではないものですから、本当のところをすべて我々が理解しているかどうかわかりませんが、少なくとも私どもが立ち会ってこの議論をしていた限りでは、そういうふうな経緯で、非常に短い期間でしたけれども、集中的に議論してお決めになったというふうに考えております。

石会長

ありがとうございました。表面的にはそういうことのようでありますけれども、我々としては、ずいぶん貴重な時間を、本来かけるべきでない時間まで割いて一生懸命知恵を絞って、皆さんのいろいろな利害関係も調整して出したあと、数時間後ですよね、話が一挙に狂ったのは。まあ、腹も立ちましたし、立ってもしようがないと思いましたけれども、審議会というのは、国民の負託を受けて政治家みたいに最終的な決定をするという場でもないし、ある意味では青写真を立てプランニングをするところですから、最終的な政治決着は政治家のところでも構わないと思いますが、ただ、あえて一言苦情を言うなら、政府税調が決めろという御下問が首相から来ていたわけですよね。それに対して何か一つ挨拶があってもいいなと、私は個人的にはそう思いますよね。なんかイラクで頭がいっぱいのようでありますから、これは……。

どうぞ。

大武主税局長

私ももちろん関わっていましたので、経緯を少し補足させていただきます。

私どもも、この場でも申し上げましたように、党でも同じことを申し上げましたけれども、税源移譲をする場合は所得税から個人住民税を基本に行うべきである、これが政府税調の考え方であると。したがって、この平成16年、17年、18年という3年間の三位一体改革の中では、これを基本的に移譲するという方針を明らかにしてきたわけであります。この辺についてはたぶん党でも異論がない形で進んだのだろうと思います。

ただ、今、岡崎課長からもお話がありましたように、12月に入ってから具体的に我々も来年度の移譲額は4,200億円だということが知らされて、ある意味では、1兆円の補助金カット、1兆円の税源移譲というようなニュアンスで新聞では喧伝されてきたわけでございます。具体的に4,200億円という中で、しかも、総理から本格的な税源移譲というお話がありましたから、そうなると基幹税目はなかなか4,200億円で移すのは難しいだろうと。そこで、政府税調では、たばこ税から地方たばこ税に移譲するというご答申になったのだろうと思うのです。我々も、その意向はもちろん伝えたわけですが、ただ、地方自治体の意向は、やはり本格的な移譲を所得税で行う以上、譲与税でもいいから所得税から移譲すべしという声があったのだろうと存じます。

一方、私どもははっきりと、譲与税では本格的な税源移譲と言えないのではないかという問題はもちろんその場で提起させていただきました。ただそこは、所得譲与税も実質的には地方公共団体の自主財源であるのだから、それも一つの税源移譲なのだというご議論がございまして、このような結論になったというふうに理解しております。

いずれにしましても私どもとしては、たぶん政府税調でもそうだったと思いますが、たばこ税でお茶を濁すつもりなど全くなかったわけですが、所得税から個人住民税へ移すにしてはあまりにも額が小さくて、基幹税をいじった場合にいわゆる源泉徴収義務者に多大な事務負担だけ与えてしまう。毎年毎年それを変えていくのでは、例えば中小企業でもソフトウエアを数万円かけて直していくというような事態になるわけですから、これはできないだろう。それがいわば結論の一つとして、たぶんたばこ税になった。それをさらに基幹税でということを力点に置いた結果、このような譲与税という格好になったのかなというふうに理解しております。

以上でございます。

石会長

ありがとうございました。この話はもうこれで打ち止めにしましょう。後ろ向きの話をしてもしようがないから、これから、いかに税制改革を実のあるものにしていこうという前向きの話のほうがいいと思いますから。

どうぞ。では、遠藤さん。

遠藤特別委員

私は、政府税調と党の決定が違ってもいいと思うんですよ。我々は総理から諮問を受けて、たばこ税でやるのがいいのか悪いのかという意見はいろいろ出たけれども、最終的にはたばこ税でつなごうということで結論が出て、それを石さんが自信を持って政府税調の意見だということで持っていったのですから、別にそれでいいじゃないですか。そういう評価をしておけばそれでいいのであって、結論が違ったからおかしいということになってしまうと、党の税調の出方を見てからこっちも決めるかというような話になる。そこは主体性がなくなってしまうわけですから、税調は税調として、賛否両論ある中でまとまった意見はこういう意見ですということで自信を持って出したのだということで、それで総括していただければいいのではないかと思います。

石会長

全くそのとおりでよろしいですよ。私もそのつもりでおりましたから。

何かございますか。

上月委員

三位一体の改革ほど大きな問題ではございませんけれども、実は税理士から多数の抗議が来ておりまして、土地建物の譲渡損失の損益通算を認めないということですね。これにつきましてはこの政府税調に全く挙がってこなかったと思います。税金を専門にしている者は政府税調の議論というのをかなりよく見ておりまして、いきなり出てきた、唐突に出てきたという感がどうしても拭えないものですから、ちょっと法的安定性に欠けるのではないかという抗議が来ておりますので、ご意見を伺いたいと思います。

石会長

政策税制のところが自民党税調の議論からつけ加わったわけですよね。我々の守備範囲の外で議論が起こって、それなりの税制改正という形で一本化しましたから、例の所得譲与税と同じように意図しないところで話が起こったのですが、今の件につきまして、どうぞ。

大武主税局長

年末、私が石先生といろいろやり合ったお話とも若干絡んでいるので、あえてお話しさせていただきます。実は昨年のこの政府税調が始まってから、石先生も言われたように、はっきり言って基本的に「あるべき税制」の議論というのは前体制から引き継いだまま、急にまとめざるを得ないという事態でございました。しかし、今日、古谷総務課長からご説明しましたとおり、政府税調としては、小泉総理が着任されてから、基本方針、中期答申、ずっとやっていただいてきているわけであります。ある意味では、今年はこれだけというわけにはいかないわけで、現実問題からすれば、我々は「あるべき税制」というのを見ながら、政治的にもいろいろな問題を提起されればそれについて回答していくのが仕事だという意味で、これだけに限定されては困りますという議論を実はあの場でさせていただいていたわけであります。

土地問題につきましては、実は、昔のこの政府税調でおまとめになりました基本方針、もっと前のものでございますけれども、その中でも、いわゆる資産性所得というのは分離して課税していくという流れを、一つの考え方だというご答申をいただきました。金融課税もしかりでございます。そういう意味では土地についても、いわゆる恒常的な所得とすべて一緒にして損益通算というほうがむしろ世界的にも少ない。そういう中での大きな流れがありましたから、党から提起されたときに、我々としても--むしろ党のみならず、これはむしろ国土交通省からの主張でございますけれども、これを取り上げさせていただいているという経緯があるので、決してかねてからの政府税調の流れを無視してやったつもりはありません。

石会長

加藤さん、何かありますか。

加藤審議官

先ほど、政府税調でご議論がなかったというお話については、まさに土地税制の政策要望として、8月の段階で各省庁がいろいろな要望を出していく中で、上場株式が20%、土地が26%、これは合わせてくれという主張が非常に強くございました。私ども、それに対する説明として、株式については去年からご議論をいただいておりますように、完全に資産性のうち特に金融資産性所得については一体化ということですべての税率を20%にそろえる。そのかわり完全分離ということで、損益通算もしない、長短の垣根もない、控除もない、こういうスタイルですと。

一方、土地は26%で分離しておりますけれども、損益通算も過去からの経緯で認められているし、収用の5,000万円控除をはじめ各種の控除がある。一般的な長期譲渡所得の100万円の特別控除もある。それから、長期と短期も区分があって、短期は自由化している。全く構造が違うので、これは税率だけそろえるというわけにはいきませんと。これは、先ほど局長からもありましたように、大きな資産性所得の流れの中で、土地も株式と同じように完全な分離の世界にするというならそれは話は別ですと、私ども、ご説明をさせていただきました。それが発端となって、関係者、党税調のほうでいろいろ議論があって、結局、そういうことなら資産性所得一体化の流れの中で税率をそろえて、そのかわり損益通算はやめ、完全分離にしたい、これは政治的なご決定があった、こういうふうに伺っております。

石会長

大きな税調の流れの中では別にこの問題が違和感なく入り込むはずですが、ただ、11月、12月に我々が大いに議論したときには、ある問題が固まってきた中ではじき出されたところなんですよね。したがって、来年度以降もう少し幅広く、先ほど大武さんも言われたように、我々が限定していないところでも何か起こるということはあり得るわけでして、もう少しシビアに触れたほうがいいかなという気持ちではおります。

ほかにどうでしょうか。では、村上さん。

村上委員

資料「総10-7」の1ページ、与党税制改正大綱の下のほうの2項の読み方ですけれども、どういうふうに解釈したらいいか。これまた後に議論になるだろうと思いますが、これ、全部書いてあると思うのですけれども、どういう方向づけがなされているのか。一定の方向づけがなされているのかどうか、その辺を解説をしていただければと思います。

石会長

具体的にどこの文句ですか。

村上委員

1ページ、1、2、3とありますね。「恒久的減税(定率減税)の縮減」云々とある、ここですね。特に問題になる恒久的減税、これの位置づけですよね。

石会長

でも、「縮減、廃止」と書いてありますよ。もっと裏を読むのですか。

村上委員

縮減、廃止はいいのですけれども、どこへ持っていくかという問題を含めて、三位一体改革、それから基礎的年金拠出、例の2分の1へつなげていく話になっているのかどうか、その辺のところを今の時点でどういうふうに解釈すべきか。

石会長

石井さん。

石井審議官

これは党の文章なので、私ども、これ以上のことを解説することには限界もありますけれども、2ポツの定率減税のところの効果が年金改革とどう絡んでくるのか、あるいは、三位一体とのかかわりをどう考えるのかというようなご質問のご趣旨だという前提で、若干、私が党との間でいろいろ議論した中で受けたことを申しますと、この紙はまず大前提として、社会保障制度と地方分権という2つの視点からまとめられている。それ以外にもいろいろ税制を考える際の視点はあろうかと思いますけれども、党のほうでのご議論の基本的な枠組みは、社会保障制度のあり方、なかんずく2分の1に引き上げる国庫負担割合の問題、それと、この三位一体改革の中で所得税から個人住民税への税源移譲、この2つの視点に立って先々どう考えていくかということをおまとめになったのだろうとまず理解をしております。

総論の前段のところに、国庫負担割合を平成21年度までに2分の1に上げるのだということをまずお書きになって、あとは、プロセスをどうしていくのかということを逐次1から2、3、4でお書きになっておられるのだろうと。とりあえず平成16年度については、1ポツで書いてあるように、年金課税の適正化、その分について国庫負担割合の引上げに充当すると。2ポツはしたがって、平成17年度、平成18年度について、恒久的減税の縮減、廃止をどの程度で行うかはこれからのご議論ですけれども、しかもこれは、「わが国経済社会の動向を踏まえつつ」という文言が入っております。ひらたく言えば、そのときの経済状況がどうなっているかは当然踏まえなければいけないということを前提としてお書きになりつつ、その上で廃止、縮減を行う。併せて、当然、三位一体改革は所得税から個人住民税へということも行わなくてはいけない。それと絡めながら恒久的減税の見直しを行って、これにより、平成17年度以降の基礎年金の国庫負担割合の段階的引上げに必要な財源とするということがここに書いてあるのだろうと思います。

平成18年度まではそういうことですけれども、さらに平成19年度を目途に、「消費税を含む抜本的税制改革を実現する」という表現をとっておりますが、それによって、最終的に2分の1の問題、それから三位一体改革の問題についても対応していくのだというところが、私なりにご議論を与党の中で聞いておりまして、この文章の意味しているところではないかなと思います。これから先の、さらに具体的に各年度どのくらいの割合でどうやり、かつ一方で三位一体改革の中身をどう進め、総合的にどういう所得課税の改革が行われるのかどうか、それにはまさに、これからこの場でご議論をしていただくべき事柄ではないかというふうに思います。

大武主税局長

ちょっといいですか。補てんさせていただきます。まさに石井審議官が申し上げましたとおり、このテーマそのものが持続可能な社会保障制度、なかんずく年金の国庫負担引上げという問題と、三位一体の税制の確立、その2つのテーマに対して、一方で我々サイドからは、この政府税調でも強くご指摘いただいたように、財政規律といいますか、やはりプライマリーバランスというのが一つあるわけでございまして、ただ単に年金の3分の1から2分の1というのに財源なしに上げるわけにはいかない。では、その財源をきちっと確保していく中でどういう道筋を描くか。財源となるならば、これは税しか……。税の3分の1を2分の1ですから、それをどのような道筋を描くのかというのが背景として一番強くあったのだと思います。とりあえず党の議論では、まさに「あるべき税制」の中である公平とか、あるいは課税最低限を含めてそういう年金課税のような問題、そういうものを適正化するならば、それを財源に向けたらどうだというご議論が一つ。それが1つ目のポツでございます。

2つ目は、恒久的減税というのは、法律にもあるように、わが国経済社会の動向を踏まえつつではありますけれども、景気動向次第でこれはやめていくもの。そのときの財源というのを、その中の一つの財源に使えないか。併せて、これをやめていけば、おのずからその財源の一部を三位一体の中でも税源移譲の種にできないか、そういうようなことが2に書かれている。

そして4番目に、年金、医療、介護、全般の見直しがこの後、平成17年度、18年度と続いてまいりますので、それらの財源も踏まえながら、消費税を含む抜本的税制改革の中から確実に2分の1へ持っていく財源を確保しますと。このようなトーンで書かれたのかなという気がします。

この政府税調の場でもありましたように、こういう観点からのご議論はありませんけれども、しかし、税制の立場から言えば、まさに今年の予算もそうであったように、歳出の半分を割るような事態だけは避けたいと、ここが強く言われ、我々もそう思ってまいりました。それを今後も頭に置きながら議論としてはしていただかなければならない、というようなことは申し上げてまいりました。ただ、全体は、どちらかというと社会保障と地方分権という観点での議論が強く出て、石井審議官も言われたように、たぶんもっと広い視野があるのだと思いますが、その観点で書かれている。ですから、ここは今後どういう形になるかわかりませんが、年金法のほうに強くこれが裏打ちとして出てくる可能性は高い、このように思っている次第です。

石会長

ありがとうございました。いっぱいご発言の希望者がいらっしゃいますから、急ぎましょう。

では、佐竹さん、どうぞ。

佐竹委員

三位一体の関係がございますので、私のほうからも。全体的な形での後ろ向きの議論はしないつもりでございます。

所得譲与税については、名前だけでも国税がついたと。一般的には、知事会、市長会も町村会も、譲与税の部分はいずれ消えるだろうというニュアンスでとっていますので、これは別にいたしまして、ただ、市町村規模によって違いますけれども、どうも今回、非常にドラスティックに、交付税のほうが--これとは別の議論なのですけれども--極端な形で減ったということで、三位一体の改革というのは交付税を減らすことではないかというようなとらえ方をしている町村も実は多い。今度、国会議員は国会議員で、補助金を減らすなんて、三位一体なんて言い出したから、「おまえらが悪い」ような言い方をする。まあ、これは現実ですね。ここで議論することではないのですけれども、そんな雰囲気でとらえている。

ただ、一番重要なのは、このあと社会保障関係の制度改革等についてもどうしても踏み込んでいかざるを得ないのですけれども、実際の地方からしますと、自己財源が交付税の部分でも減ってくる。一方で、個別の専門用語は別にいたしまして、補助、あるいは法定業務的なことはむしろ増えていく、社会保障関係は増えていく。いわゆる財政自由度が極端に減ってくる。そうしますと、よく考えますと、地方の自由度がどうなるのだ、と。全体として交付税をもっとよこせなんていう時代ではないわけですけれども、法定業務自身も相当裁量権を持たせてもらわないと、実態的には国の出先機関みたいな形になってしまうんですね。ですから、そこら辺、もうナショナルミニマムを捨てて、地域の経済力に合った形で、国民は平等ではないのだ、と。私なんかもそんな意識で言っているのですけれども、そこまでいかないと、どうもこれ、最後の辻褄が合わなくなってくる。

今の社会保障ばかりではなくて、極端な例は、住民票と戸籍を一緒にして社会コストを下げるとか、社会の行政コストを下げるということをしないとなかなかもたないのではないのかなという感じがしますね。まあ、これは税制とは直接ではありませんけれども、たまたま今日は、財務省と総務省さんは直接我々のところとは関係ないから、大変言いやすいのですけれども、各省庁の縛りをなくするだけで、同じ補助金があっても、そこの裁量権を認めていただけるだけで相当地方の自由度は増すわけですから、その点もひとつ十分お含みおきをいただきたいと思います。

石会長

ありがとうございました。

では、榊原さん。

榊原委員

ありがとうございます。私も、三位一体改革のところでいろいろお聞きもしたいし、これから議論をしていくところについて考えているところもちょっと話をさせていただきたいと思います。

今回、4兆円の中の1兆円についてこのような政府決定がなされたのですが、税源移譲ではないと言われる人もいるけれども、書かれている言葉から言えば、税源移譲で4,249億円ですね。これは、人口を基準にして配分するとなっていて、使途は限定しないと書かれています。例えば、補助金や交付税という形でお金が行っていたとするのと、人口を基準にしてやっていたというのと、各市町村ごとに配分される額が違うんだけど、そういう試算みたいなものがあるのかどうか。あれば、聞かせていただきたいというふうに思います。

それから、今後の税制改革のことで、この三位一体ですけれども、最初に、私の立場は、地方分権は進めるべきであるし、税源移譲を基本にして地方の税収の充実を図っていくべきだという基本的な立場にあるということを申し上げおいて、ちょっとお聞きしたいのですが、税源移譲を含む三位一体の議論について4兆円というのがついてますね。これは与党のほうですけれども、資料「総10―7」の1ページのところに書かれていますが、この範囲で税源移譲問題も扱っていくということが政府税調の論議なのか。こういう額にはこだわらないで、広く税源移譲の問題をやっていくのか、その辺、前提がわからないので、そこを現段階であればお聞きしたいなということが一つ。

それから、同じ資料の14ページ、これは政府税調で出した答申ですけれども、税源移譲を検討するときにどうしても避けて通れないのは税源の偏在性の問題ですよね。税源の偏在性については、我々の答申のほうでは、税源の偏在性が少なく、税収の安定性を備えたと言っているのですが、「少なく」と言葉で入れたにしても、実際上は偏在性の問題が出る。地方自治体はどんな小さな規模であっても、今の佐竹委員のと関連するかもしれないし、違うあれかもしれませんけれども、人口がどんなに小さくても一定の福祉や教育やそういうものはやっていかなければならない。それはその地方の人口比に応じて、その収入だけの範囲でやればいいのか、そうではなくて、やはり一定のミニマムみたいな、そういうものを考えながら、税の偏在性問題をどうしていくのかというような考え方をしていくのか。これはこれからの議論ですからね。そこら辺が大きな課題になるのではないかと思っているのですが、今段階で何かあれば。

石会長

3つお出しになりましたけれども、第1点は事務局から、データのことですから、あるかないかお聞きしましょう。

2点目は、3年間4兆円というものを前提にするかということですが、前提にせざるを得ないと思っています。つまり、補助金をどのくらい削るかによって一般財源の移譲が決まってくるわけですから、とりあえずそこで与えられたフレームの中で我々は議論することにならざるを得ない。これはまた変わるかもしれませんが、私の頭の中ではそういう形で今考えております。

それから税源移譲、これはまさにこれからですよね。どういう形でやるか、その考え方につきましていろいろお知恵をお借りしたいと思います。

1点目のデータ、ありますか。岡崎さん。

岡崎企画課長

補助金というのは、例えば公立保育所のものが今回大きいわけですけれども、それは、公立保育所を持っているところと持っていないところで補助金の行き方が違うわけです。一方で所得譲与税は人口で配りますので、損得があるのは事実でして、減ってしまったところ、増えるところというのはあるのではないかと思います。

ただ、一つだけ言えますのは、例えば国庫補助負担金、今回2,440億円を切りましたけれども、例の義務的でないものは8割にしたということをしていますので、税源移譲の額、去年のを入れて4,249億円自体が、切った補助金よりは縮んでおりますので、トータルでは少し減っている。ただし、市町村別になりますと、今のような要素が補助金ごとに違いますので、比較できるデータというのは、今、持ち合わせておりません。

石会長

いずれ、でこぼこを計算するおつもりはありますか。大変だよね。

岡崎企画課長

年によっても補助金が行ったり行かなかったりありますので、ちょっと難しいと思います。

石会長

はい、わかりました。

あと何人ぐらいご発言をご希望の方はいらっしゃいますか。ちょうど時間が来ているのですが。少し延長してもとは思っていますけれども。

どうぞ、菊池さん。

菊池委員

最初ですからあれですが、例えば4兆円も、1兆円はもうやったからあと3兆円分やれとか、基礎年金が足りないからその分埋めろとか、社会福祉にかかるから何とかしろとか、そういう格好の注文に応えていくというのはなんか気に入らないのですが、トータルで何をやるべきかというのは、抜本的に30兆円か40兆円足りないと。それで、プライマリーバランスにどれだけの意味があるのかは別にして、2013年くらいまでに何とかしろと、それに対してどうしようかというのを考えるべきではないかと思うんですよ。それを据えておかないと、目先に飛んできた玉を打ってごまかしてちょろちょろと、第二交付税つくりましたと。そういうふうなことになってしまうから、一番大事なことは、財政健全化のために税金を増やしていく、税金だけで間に合うわけないのですから、それに見合って使うものを減らしてもらうというのを据えておかないと、何やってるんだかわからないなという気がするのではないかと思いますので。年初ということで。

石会長

非常に重要な点をご指摘いただきました。頭の真ん中に置いておきましょう。

ほかによろしゅうございますか。

それでは、予定した時間がちょうど来ておりますので、次回以降の予定を申し上げます。決まっておりますのは、金融小委員会が1月23日、来週の金曜日2時から4時ということで考えておりますし、基礎問題小委員会も2月に入りましてから開催したいと考えております。

小委員会の開催によりまして、ご報告も兼ねて、またご議論いただくという意味で総会を開く形になりますので、次回の総会は2月に入ってから、また適時、開かせていただくことになろうかと思っております。

それでは、予定いたしました議事は全部終わりましたので、これにて散会にいたしたいと思います。どうもありがとうございました。

〔閉会〕

(注)

本議事録は毎回の総会後、速やかな公表に努め、限られた時間内にとりまとめるため速記録から、財務省主税局及び総務省自治税務局の文責において作成した資料です。

内容には正確を期していますが、税制調査会議事規則に基づき、事後の修正の可能性があることをご承知置きください。