税調第7回総会・第5回基礎問題小委員会後会見録

日時:平成15年12月12日(金)16:00~16:14

石会長

今、総会と基礎問題小委員会の合同の委員会を開催いたしまして、税源移譲につきましてやや踏み込んだ形で意見をまとめてまいりました。今日はほとんど全員の方に発言していただきまして、それを集約するという形で、次のようなことで月曜日に起草会合を開き、その後、総会を踏まえて、月曜日の夕刻、小泉首相に手渡すという、まあそれなりのプロセスが可能になったというふうに、私自身は考えております。

そこで、まず何を決めてきたかということなんですが、二つございます。

一つは、税調として今、何をすべきかということにつきましていろいろな議論がございましたが、既にマスコミからさまざまな問題提起もありますし、党税調もあるし、あるいは全国知事会・市長会、地方団体からもさまざまな意見が出ております。税調としては、税調の中での審議でわれわれの意思表明をすべきであって、これがどこかの団体が言ってるからどうだとか、これが外に出ると通らないとか、その種の話は一切やめようという形で、出席委員のご意見によって決めていきたい。それはまあ手続論でありますが、さはさりながら、政府税調というのはそれなりに税の論理に立脚した、やっぱり筋の通った議論をしたいと思っているのは委員全員の共通の関心であります。それでこれから議論していこうということになったわけです。これは話の前段であります。

それから後半は、どういう格好でわれわれの三位一体論における税源移譲をまとめるかという点は二つございます。一つは、やっぱり三位一体、この三位一体の前に地方分権という言葉を置いて、何のためにということをはっきりさせるべきだと、こういうご議論がございましたが、そうしたいと思ってます。三位一体論における税源移譲として、中長期的には基幹税でやると。基幹税の具体的な意味は所得税から住民税へ、それから地方消費税を拡充するという格好の議論、これは当然のこと、前提としようと。つまり、三位一体の基本には基幹税を置くというのは、中長期的には当然あるべきであると。さて問題は、直近の平成16年度をどういう形でやるかということになりました。それで今日は、しばしば「つなぎ」という問題が出たのですが、「つなぎ」というのは、今のように中長期的にある対応を決めて、さはさりながら来年度ということになりますと、あまりにも時間的制約が大き過ぎる。つまり、今から議論して月曜日というような話になりますと、そもそも、例えば所得税から住民税へ移すとしても、その移した側のほうのスキーム、それからそれを受け取ったほうのスキーム、これもあまりにも時間がなくて議論できない。そういう意味において、つなぎの意味の一つはたばこ税という、まあ過去もやりましたけれども、移譲の候補になり得るというものがあるじゃないかと。それがつなぎの意味です。それからもう一つのつなぎは、そうは言っても、基幹税を移すということについて非常に期待感を持ってきた、そういう側からすれば、当然のこと、住民税なら住民税を拡充するという方向で具体的な設計があるならば、第一歩として、その部分的なものでもやるべきではないか。これがつなぎの意味ですね。ただ、後段のほうのつなぎの意味は、冒頭申し上げた、まだ税調として本格的に議論していないものを先取り的にやってどうかという議論もあり、恐らく多数の方はそれについて大変懐疑的でありましたので、そのつなぎとしてたばこを使うということについては、今日は集約いたしました。さはさりながら、これは臨時的なものにするか、パーマネントにするか、これはまだ決めておりません。これは、今言った中長期的な仕上がりぐあいと、何をどうするかという議論とにかかってきますので、これは最後は詰めなきゃいけないかと思いますが、月曜日に議論したいと、このように考えております。

その前提として、今日は主計局から、補助金の削減の具体的なスキームについて話を聞きました。そこではっきりしてきたことが、 4,000億円某の、まあ言うなればそういう額を前提にする。まだ数字が確定していないというお話ではございましたが、われわれ税調としては、 4,000億台の税源移譲、1兆円の補助金を削減して税源移譲の額が四千数百億円ですね。それを前提に議論しようという形で、今申しましたつなぎの具体的なスキームも多々議論をしたわけであります。これは結論でございますが、あと出てきた主要な議論としましては、例えば冒頭出てきた話としては、基幹税をつなぎに使うとして、技術的に足るようなスキームができるのかという議論も当然ございましたが、まあ技術的には、でき上がった税制がパッチワーク的、まさに彌縫的になるというようなことを除けばできないことはないだろうと、事務局の話もあり、これは個人個人の判断という形にならざるを得ないというふうに議論をいたしました。

税について、特に地方団体の方もいらっしゃったり、そういう意味でたばこ税そのものについても、単に税収の移転だけであって、税源そのものの移転になってないじゃないかという議論もあったり、それからあと具体的な問題として出てきたのは、三位一体ということの意義を、やっぱり地方交付税という視点もぜひ落とさないで議論しなければいけないだろうと。つまり、税源移譲した後にでこぼこができますから、それを何でもかんでも埋めてやるといったような意味合いでそれを使われても困るだろうし、というような話もあって、もちろん三位一体というものを表に出して、その全貌を踏まえつつ税源移譲の中身を考えなければいけないと、こういう議論をしたわけであります。

そういう意味で一応起草文章をこの週末に書きます。大体、今日の話で一応ある種の方向性については集約されましたものですから、書きっぷりの強弱等々は、月曜日に皆さんの意見を聞いて修文するとしても、ある基本的な方向についての意見の集約はできると思いますので、それで一応まとまっていくのではないかと、このように考えております。

細かい点につきましてよりも、この結論の部分のところが非常に重要だと思いますので、取りまとめ申し上げました。

以上です。

記者

まず、今のお話ですと、来年度については、とりあえずたばこ税でつないでおいて、中長期的課題としては基幹税と、そして基幹税の中には所得税から住民税という方法と地方消費税というお話でしたけれども、今日の総会での議論を聞いてますと、まず、地方消費税というのはむしろ地方分権という趣旨に照らしてどうかと、やはり所得税、住民税というのが本筋じゃないかという全体の印象がありましたけれども、そこは書き方として、基幹税の中でも両論併記という形ではなくて、所得税、住民税という明確な方向を出すのでしょうか。

石会長

それは月曜日の議論を待ちたいと思います。今日、全体のご意見からは確かに所得税支持が多いと思いますが、ただ、地方消費税も基幹税として重要であるという意見がございました。それから今日、こちらを強力に強調される林さんとか神野さん、これは今日欠席でありまして、文面で意見が出ておりますが、こちらのほうは地方消費税という意見も出ておりまして、地方消費税は全く、今の段階で消し去るということは税調の議論として難しいし、それなりの理屈もあるというふうに考えれば残します。が、今日のご出席の方々だけでみれば、やっぱり所得税のほうが多かったなと思いますが、書きっぷりは月曜日に、少し皆さんの意見を聞いてと思っています。

記者

月曜の段階では、どちらか一つの方向を出すと。

石会長

ああ、そうしたいですね。つまり、読んで分かるようなウエートの置き方ですね。プライオリティのつけ方ですね。

記者

たばこ税はつなぎであるというのが今日の大体の認識だったと思いますけれども、遠藤さんでしたか、つなぎの考えでたばこをとりあえず出しておいて、将来的に基幹税を税源移譲した後に、たばこをもう一度戻すというような話もありましたけれども、そういう考え方について先生のほうは…。

石会長

そういうことをおっしゃる方もいますし、臨時として考えようという話もちらほら出ているようにも理解していますが、これも月曜に決めておそくないと思っています。ただ、あくまで基幹税として将来的にはかたまったものを渡すということについては、税調は一致してると思います。ただ、ご承知のように、今年せいぜい 4,000億か 5,000億。来年もまたそのぐらいだったら、要するに地方単位で単年度で出てきませんからね。だから、ある程度かたまったところで税源移譲しないと。

ちょっと言い忘れましたが、税務行政上、ちまちま…という言い方がいいかどうか分からないけれども、基幹税を部分的に使っていくのは困ると。これはほとんど意見が一致してると思います。税務行政上たえられないし、納税者に大変迷惑もかけるし、実際には執行不可能ではないかということにつきましては、したがってこの辺からいっても、たばこ税と匹敵するぐらいに基幹税を部分的に使えという声にはならなかったということですね。

記者

答申の中には、所得税なり地方消費税を将来移譲する場合に、どういう仕組みで移していくんだというところまで…。

石会長

細かい詳細設計ですね。ちょっとそこまでは、今回時間がございません。で、書きたいと思ってるのは、年明け早々から、その具体的な設計の議論を始めたいと、私は個人的に思ってます。つまり、今、新聞でいろいろ出てる住民税は10%にするとか、所得税をどこかに移すとか、こんな話がちらほら出てますが、税調ではまだ一回も議論してませんのでね、それは個人的に言っている方も多いかもしれないけれども、それは本格的な議論の場を来年早々から始めたい。基幹税を移すときの具体的なスキームですね、そう考えてます。そういうことも書き込みたいと思います。

記者

消費税にしても所得税にしても、税源移譲とは関係なく中期的にこうしていきたいという議論がこれまであったと思うんですけれども。

石会長

はい、あります。

記者

そういう中期的方向性との兼ね合いというか、どういうふうに…。

石会長

「あるべき税制」というのをわれわれはしつこく言ってまして、2年前、そしてこの間の6月にも、あるべき税制という形で、10年後を見すえたようなスキームを描いています。移譲するにしても、そのあるべき税制に差し障らないという条件も必要だと思っていますので、そこは十分に気をつけた書き方にもしたいし、具体的に税源移譲するときはそれを念頭に起きたいと思ってます。特に、所得税から住民税の場合、税率と課税ベースの問題がありますからね。そこで、あるべき税制とは大きくそこから踏み出すようなことがあってはいかんというふうに考えています。

記者

先日の中間報告されている部分については、今回、加筆したり修正する可能性はほとんどないと。

石会長

するつもりはありません。今の三位一体論としての税源移譲を一番おしりにくっつけるつもりでいます。だから、それが1枚か1枚半かぐらいの分量ではないかなと思っていますので、もう中間報告については、なんか直したいという人もいるかもしれないけど、それはお断りですね。そういう形で、あれは完結します。ですから、月曜日、小泉さんにも、中間報告の後ろに今日の議論、これからまとめる税源移譲の文章をくっつけていきたいと考えています。

記者

基幹税を移譲するのは、いつまでにというのも時期を明確に…。

石会長

それも書きたいと思ってます。というのは、今言ったように、つなぎのところで大分妥協…妥協というか折り合っていただいた方も、その点についてははっきり、税調として責任をとるべきだということもあります。それはまさに小泉さんが言っていた3年というところが一つの目処になるでしょうけど、それもはっきり書き込みたいと思います。まあいろいろな形で妥協して下さった方に対する責任もありますから、はっきりしたいと思います。

(以上)