総会(第6回)後の石会長記者会見の模様
日時:平成15年11月27日(木)17:26~18:12
〇石会長
今日、第6回総会と第3回基礎問題小委員会をやりました。お話しすることは別々なので、前半と後半に分けたいと思います。込み込みになりますと、一方的にある方向にばかり議論が集中してもと思いますので。
まず総会は、お手元に配ってあります中間報告を今日決めていただきました。と同時に、主な意見も併せて審議いただきまして、まさに本文に盛られていないけれども、重要な意見という形で載せてあります。
内容につきまして、今初めてご覧いただくと思いますが、目次を広げていただけますか。内容的には、審議のたびごとに私はなるべくここで概略をご紹介しましたから、どういうことが書かれているかということがおわかりと思いますが、ただ、全体として今日初めてお渡しいたしますので、全貌を頭に入れていただきたいと思います。
総論と各論に分かれておりまして、基本的な考え方の中で、これまでの審議の結果とか、15年度税制改正の評価とか、それから16年度税制改正で何を重点的にポイントとして考えているかというあたりをさっとまとめました。基軸になっているのは、年金税制を我々は過去2年間一応構築いたしましたから、それに沿っての16年度税制改革だという視点で書かれてございます。
それから、個別税目の改正、ここに書いてございますように所得税、法人税、国際課税の面、その他というふうに分かれておりまして、消費税等々は、この中に項目を立てて議論はいたしておりません。こういう中身でございますから、後ほど中身をご検討いただければと思っています。
これをまとめるに当たって、どういう視点で、どういうことを考え、また税調の空気がどうであったかということを四つか五つの点に絞ってご説明したいと思います。
総論的に申し上げますと、実に苦渋に満ちた選択をしたなと我々は考えております。
第1点は、税制の本来の機能、これは税収確保の機能でありますが、これが日本の税制というのは著しく衰えてきて、これでいいかという本質論について、我々は危機感を持っております。端的に言えば、ここでもたびたび申し上げた一般会計の中で税収が5割をちょっと超える、こんな国はどこにもないわけでありまして、本当に日本の税制というのは、国民に提供すべき公共サービスの財源調達機能を果たしているかという点につきまして、非常に危惧を抱いております。そういう意味で、財政規律ということを表に出したという危機感を強くにじませた答申になっていると思っています。
第2は、さはさりながら、この財政危機なり、財政規律なりの復活がすぐできるかということになりますと、これまた外界の状況によりまして、すぐできない。そういう意味で、苦渋と言ったのはその点も絡んでいますが、一つは景気回復というのは、増税によってどれだけの、本格的な基盤を提供していないと思っていますから、やはり景気に対する配慮というのは、我々としてものどこかににじませておかなければいけない。住宅ローンの減税のところにもございましたし、あるいは連結付加税のところにも書き込んでございますが、そういう点が一つと、それから、やはり来年度から具体的に消費税の中身のいろいろな事項が始まりますから、すぐできないし、政治的にも消費税はまだ表に立てる状況ではないということもあって、手足が封じ込められた中で税制改革、来年度の税制改正をやらなければならないという点が非常に苦しかった点であります。
第3点は、その中で何をやったかということですが、見ていただくとおわかりのように、今年度の税制改正みたいな減税の項目はほとんどありません。今年度は、苦しい中でも研究開発、あるいは設備投資減税をやったり、不動産等税制も減税したり、いろいろやりました。しかし、来年はもはや、先ほど申し上げた財政規律の点、税収確保能力の点で厳しく、もう一歩も出られません。極力その辺は出さないというか、出られないということになりますと、言うなれば税制の歪みをなくすという意味における増収しかないだろうと。ただ、増収も本格的なものではありませんで、歪みを直す程度でありますから、まさに小さなものであります。そういう意味で、景気の面からそういった減税含みの増減税一体等々もできないということもございまして、最小限度の、私の個人的なイメージから言うと、いじましい、こんなことを言うと使われそうだな、いじましい来年度税制改正のプランになったかと思っています。
別の言葉で言えば、我々はあるべき税制に向けて歩を大いに進めておりますから、今年度は非常に大きなことをやったし、昨年度もやったしということで、一服立ち止まって、あたりを見渡して、それからさらに浮上しようという意気込みととっていただければいいのでありまして、これでもって、すぐさまやめたということではありません。
今回の特色は、第4点になるかもしれませんが、要約を6ページに入れてございます。これが恐らく、見ようによっては大したことないねという話かもしれませんが、来年度税制改正を論ずるに当たって、来年度だけに限定してこれをやりたいという、まさに明確なというか、クリアカットな態度をここに整理したということでございます。そうしませんと、この間も申し上げたように、しばらく先にやることと来年やることと込み込みになって、そういう整理をしておかないと、すべて来年から何でもかんでもやるようにとられては、ミスリードするのではないかということであります。
次の点は、余り表に立って議論も、あるいはここで喧伝もしていないんだけれども、やはり経済の活性化という面では、我々は国際的な投資の流れに沿った、例の日米租税条約がこれから本格的に動き出すと、これはかなり景気にプラスになるという意味で、隠れたものでありますが、今回の一つのセールスポイント、いじましい中にも一つ胸を張っているものがあるということだろうと思っています。そういう形のことで、これが5点目になるかな。
あとは後半の議論と絡めておりますが、例の税源移譲の問題は突如現れたと言っては失礼かもしれないけれども、出てきましたので、これを今日の3時から早速議論を始めまして、これもかなり活発な議論がありましたから後ほどご紹介いたしますが、税源移譲の問題を少なくとも来月中ごろまでにまとめられれば、これをまとめて、今日の中間報告にくっつけて、最終的に来年度税制改正に対する答申という形で持っていきたいと思っていますので、言うなれば、それ以外のところを、事実上の答申ではございますが、中間報告という形でまとめたという形であります。
税源移譲については、どういう議論をどうするというのは、基礎小の議論を説明する中でご説明したいと思います。
第1弾は、この中間報告につきましての私の説明と流れにつきまして、ご質問があればお答えしたいと思います。話が違うから、ここで1回切りたいんだ。どうぞ。
〇記者
6項目ほど挙げられていると思うんですけれども……。
〇石会長
要約ですね。
〇記者
はい、要約。この中で、具体的な数字が触れられているものはないようなんですけれども、公的年金等控除、老年者控除の縮減については、会長としてはどのような姿がここで想定されるというふうに考えていらっしゃるんでしょうか。
〇石会長
ここでご説明している中でも、数字は挙げられないよということを前から申し上げているのは、まさにこれから来年度税制改正の要綱をつくっていく段階で、この中に具体的な数字が固まっていくと。我々、昨年もそうですけれども、先頭ランナーとして出てきたわけでありまして、ここで数字等々を挙げて、それがどれほどインパクトがあるかわかりませんが、議論を狭めるのはよくないと考えておりますので、挙げておりません。
個人的には、公的年金等控除と老齢者控除、一挙に二つできるかどうか、かなり難しいのかなと思いつつも、両方併せてという議論もないことはないと思いますから載せておきましたが、歪みをなくすという意味で、具体的に数字を入れつつ、今後の議論に供するために入れたということです。どちらかというと、公的年金等控除の方がより優先度があるかとは思っています。
〇記者
税源移譲との絡みで、この中間報告の部分にくっつけてということですけれども、中間報告の部分も何らかの影響が今後出てくる可能性は、あと半月ほどであるんでしょうか。
〇石会長
後から申し上げますけれども、税調として、税源移譲について具体的にどの税をどれだけというところまで言わなければいけないかどうかではありますが、言うなれば、ここで言っておりますことで、6項目の中で、今言った税源移譲が具体的に出てきたとき、所得税の世界で幾つか議論は起こるかもしれません。ただ、ここで言っている所得税の世界は、まさに公的年金等控除のところと住宅ローンのところと、それから均等割のところですよね。これは、僕はダイレクトにくっつけなくて議論できると思っています。だから、本体に行かないだけいじましいんですよ、ここは。
〇記者
不良債権処理促進の税制なんですけれども、まとめますと、無税償却について、特に具体化を図るというふうに、非常に積極的と読めるところがあるのと、あと繰越控除期間延長についても認める方向で改正すべきと。
〇石会長
ここには慎重に具体化を図る必要があるとか、慎重に検討すべきと書いてございます。ある意味では財源の問題、主な意見の方に、5年を7年にしろという意見とか、凍結を解除しろという意見がありましたよね。そういう意見を踏まえて、先ほど来申し上げていますように、例の財源確保の問題と絡んでいますから、この辺はなかなかある方向に、今の段階でですよ、断定できなかったということでこういう格好になりました。当然、財源との関係を踏まえて、やれることはやれたらなという気持ちは入っているということですね。
〇記者
2点お伺いしたいんですけれども、先ほど先生も言われた年金控除と老年者控除、同時にやるのは難しいかもということですが、ここにある低所得者に対する適切な配慮を行いつつと言いながら、老年者控除というのは所得要件で 1,000万円というだけですよね。これを縮減すれば、それは所得に関係なく負担増が及ぶ可能性が十分あるわけで、いじましくと言いながらも、高齢者に対しては結構な負担増になるかも……。
〇石会長
1,000万円というのは頭打ちですね。ただ、大半の高齢者が入っているんですよ、ここに。したがって、ここでは 1,000万円という中で何%か数字は知りませんけれども、1,000万円に近い人もいるでしょうし、 200~ 300万円の人もいるかもしれない。そういう意味では、おっしゃるとおり、こちらと公的年金等控除は少し性格が違うかもしれません。公的年金等控除は、おっしゃるように高と低と所得格差がはっきりしていますから、これはうまく調整できると思います。一方、老年者控除については 1,000万円を丸ごとなくすか、その上限を、まだ議論はしておりませんが半分ぐらいにするのか、あるいは50万円という老年者控除を全部ではなくて半分にするとか、いろいろあると思います。そういう意味で、広く低所得者に配慮ということは言えると思っています。
〇記者
その場合は、控除の縮小と低所得者への配慮というのは、どちらが優先されるんですか。
〇石会長
それは、公的年金等控除でどれぐらい実際の効果というか、直しがきくかということにも依存してくるかと思いますが、議論の流れとしては両方と言わざるを得ないでしょうね。それで歪み、ひずみを是正するという意味においては、本当はこの二つの年金課税関係の控除は、いずれはと思っています。いずれはやる必要があるという中で、どっちを先にやるか、それとも今おっしゃった財源確保なのか、低所得者に配慮かというあたりの決め方は、これからの流れの中で決めざるを得ないと思います。
〇記者
もう1点ですけれども、会見では何度か先生も触れられていましたが、定率減税について、今回この中身については具体的な言及は……。
〇石会長
ありません。
〇記者
ありませんけれども、それについての理由をお願いします。
〇石会長
言うなれば、平成16年度税制改正において本格的に定率減税について議論する環境がないと。それは恐らく景気の問題、それからここに書いてあるように、年金制度改革についてちょっと触れておりますが、安定財源の中にこれが入るのかどうか、我々として決め打ち的に決められないという形で入っていません。したがって、あくまで今回の中間報告は、来年4月からスタートする方に重きが置かれていますから、定率減税は触れなかったわけです。
今日も、同じように環境税になぜ触れないかという議論が出ましたけれども、これはやはり今後の、翌々年度以降のテーマだというふうに考えています。
〇記者
政府税調としては、定率減税の見直し云々について、04年度の税制改正で検討すべき案件ではないという……。
〇石会長
今のところは、態度を留保していると考えていただいてもいいけれども、明確に打ち出せなかったけれども、それが出てきた段階では、我々としても当然のこと、球が投げられるときには議論の余地はあるという程度で今のところ考えています。
〇記者
先ほど先頭ランナーで、バトンを渡す側の自民税調が明日から始まるんですが、今回、自民税調は大分若返って、逆に決定力というか、リーダーシップというか、税に対する力が衰えるんじゃないかという懸念もあるようなんですが、その辺を含めて。
〇石会長
若い人にパワーがある人はいるんじゃないんですか、よくわからないけれども。今度の新しい仕組みが税制改革の従来のプロセスにどういう影響を与えるか、やってみないとわからないんじゃないんですかね。今度のメンバーを拝見していても、そこそこと言っては失礼だけれども、それなりの権威の方もいらっしゃるから、集団合議制あたりで、昔よりパワーが出てくるのかもしれないし、つまりやり方が時とともに変わってくるということの流れの一環じゃないですか。税調だって、いつまでもこんなスタイルでやるかどうかわからないしね。今のご質問に関しては、当面わからないけれども、税制改革論議を建設的に進めていくという点において、協力し合いたいと思っています。何か官僚的答弁だな。
〇記者
今年度改革で、所得税の配偶者特別控除ですとか、消費税の問題、負担増に結びつく問題を、かなり対話集会なんかも回数を重ねて議論を深めて実現されましたけれども、来年度改正の答申でも同じようにというか、所得税の高齢者に対する課税強化を盛り込んでいますけれども、去年と比べて雰囲気というか、実現……。
〇石会長
対話集会を重ねていろいろな意見を集約したというのは、これも成果ですけれども、来年は恐らく年金とか医療とか介護、社会保障関係のことでいろいろ聞く価値はあるかもしれないけれども、税制は恐らく表に出てくるというよりは、年金にしたって、年金給付の方が今話題でしょう。だから、ちょっと一服しようかと思っています。来年、またそんな形でいろいろ意見を聞きながらまとめるというだけの、今回の案はできていないんだよ。球がないんだよ、議論をいろいろ仕掛けるほどの。これはもう少し抜本的に、例えば年金制度の給付の方がどう決まり、負担の方がどう決まるなんていうことが具体的になってくれば、そういう議論がほかの審議会等と一緒になってできるかもしれないけれども、税調独自にはそれだけの具体的な材料に欠けていると思っていますから、去年、一昨年とはやり方を変えようと思っています。
〇記者
住宅ローン減税なんですけれども、縮減を求めていますけれども、そのそばから国土交通省、自民党、 500万円現状維持を求める声が強く出ていますけれども、この現状をどう受け止めていますか。
〇石会長
税調の立場から言うと、反対のことを言っていますから、何と言ったらいいんですかね。まさに残念だというか、我々としては望む方向じゃないとしか言えませんね。我々はあくまでプランを出し、方向を示すわけでありまして、我々自身、政治力を発揮して、こちらの意見を是が非でも通そうという立場でないわけでね、政府税調は。そういう意味で、我々としては縮減で、これはもう既に役割は終わったよという認識をはっきりしたわけでありますから、これがどのような形で展開するか等々については、税調としてはこれ以上、意見を表明した後、行動を起こす等々含めて、静観するしかないんじゃないかと思います。
〇記者
この住宅ローン減税の件で、税負担が不公正だという指摘が強く出ていますけれども、これは賃貸でやっていこうという人に対するということですか。
〇石会長
二つあります。一つは、おっしゃるとおり、なぜ持ち家だけこのローン減税で優遇するかと。今ご存じのように、デフレの中で家計は過剰債務を抱えているという現状において、こういう借金促進型の住宅税制がいいかどうか、これはある意味で不公平も生んでいるし、歪みも生んでいると思っています。
もう一つは、不公平という意味は、500万円、1年50万円の税額控除が普通の人と比べ2倍から3倍に課税最低限を引き上げているわけです、この50万円という税額控除があるがゆえに。これは不公平だと思っています、税制として。
そういう意味で、二つの意味で不公平だという点を税調は長く意見として持っていますから言いました。
もう一つは、景気対策でどれだけ効果が昔と違ってあるか等々も補足的に加えてあります。
言い忘れましたが、6項目だけ読まないで、ぜひ6項目の裏に書いてある基本的な考え方を本文で読み取ってください。ちゃんと理由も書いてありますから。要約を書くときに、6項目だけ取り上げられると、本当の意味を理解してもらえないから反対だという意見もあったので、この場をかりて、ぜひ要約版だけではなくて本文もしかと読んでいただきたいと思います。
〇記者
税源移譲の議論をこれからやることになっていますけれども、早速、経済財政諮問会議の委員の本間さんからたばこ税を 5,400億円程度移譲したらどうかという具体的なプランも出てきているようですが、その辺の受け止め方と基幹税と呼ばれる3税の扱いについて、どういう感じで臨むのという2点をお伺いします。
〇石会長
今言った税源移譲の方に移ってよろしいですね。その前に、この中間答申で何かあればお受けするけれども、よろしいですね。
では、次の問題に移らせていただきます。
今日は、総務省の財政課長と調整課長のお2人から総務省のお立場、つまり地方の側から見て三位一体論としての税制、税源移譲をどう考えるかという話と、それから主計局の主計官と企画官のお2人から、今度は財務省の立場から今の三位一体としての税源移譲をどう考えるか、二つございました。
正直言いまして、同じ現象を見ても、解釈の違いとかデータの整理の仕方等々ありまして、やはりギャップがあるなという感じは率直、否めませんでした。恐らく、この感覚は各委員も持ったことと思いますので、このギャップをどれだけ埋めて具体策につなげていくかというのは、今後の課題だと思っています。
出てきた幾つかの重要な論点につきましてご紹介しておきます。どっちがどっちということではないんですが、一つ言えることは、この三位一体論という言葉が新しく使われたけれども、税源移譲も地方分権も、これまで20~30年やってきた話であって、具体的に腹をくくる時期ではないかということと、三位一体と言う以上は、この順序、どっちが先でどっちが後だということではおさまらない。そういう意味では、まさに同時にやるのが三位一体であるから、補助金、地方交付税、税源移譲、これを具体的にあるところで、過去の話はいろいろあるけれども、腹をくくれというのが一つです。
二つ目は、三位一体という話が本当の地方分権推進に役立っているかというそもそも論の疑問も出てまいりました。ということは、三位一体というのは、まさに補助金を1兆円切って、税源移譲をどうして、地方交付税をどう切るかというふうな技術論になりやすいので、地方分権の本質をもうちょっと明らかにして、例えば地方自治がどうだとか、自主・自律というのはどういうことか、あるいは受益と負担の関係を実現するための地方財政システムづくりとか、いろいろあるんです、地方分権の狙いは。そのところの三位一体論から、どうも結びつきが少しはずれてきたのではないかと。そういう意味では危険だという議論が、問題提起がございました。
その一つの背後には、基幹税という言葉にかねがね疑問を持たれている委員から、所得、法人、消費が基幹税であると。なぜ地方の側の基幹税を取り上げないかと。例えば、固定資産税とかね。
それから、所得税と地方消費税の両方でやれというふうな、今日の総務省側の説明、たしかこれは片山総務大臣からと説明していたよね。以前の片山プランでは、所得税から住民税に、それから消費税から地方消費税にという二つあるけれども、地方消費税は問題ではないかということを一つ問題提起された方もありました。つまり地方消費税というのは、ある意味では、まさに地方譲与税みたいな話であって、地方固有の財源ではなくて、国が集めたものを配っているという話ですけれども、配り方も地方交付税の中に関係して、5税の中に入っていることと、5%の中1%にするという、その二つのルート、どっちか一本化すべきではないかということも含めて、地方消費税は問題だと。そういう意味で、税の性格ということから考えて、各政府レベルのあるべきというか、望ましい税源を考えた方がいいんじゃないかという問題。
それから、消費税が問題になったときに、一体、年金の財源に絡めての消費税と三位一体論の消費税と二つも消費税に依存しつつ、片や首相が消費税を上げないと言っているのは、非常にむなしいのではないかという具体的なご提案もございました。
恐らく総務省と財務省の一つの大きな相違点は、地方交付税の制度の財源保障機能と財政調整機能が一体化しているのか、二つ別な機能なのか、これについて今日は意見が二つございまして、これをどういうふうにこれから煮詰めていくかという問題が残ったという形であります。正直言って、財務省側は二つ分離して、財源保障機能はやめるべきだと。総務省側は、そもそもそ機能を二つに分けること自体意味がないし、問題であると、この議論。ここが私は今後の税制改革において一番大きな問題になるんじゃないかというふうに考えております。
それから、データが幾つか出ている中で、一つ大きな論点だったのは、地方財政計画のつくり方で、マクロ的に、総量的に地方交付金の財源が決まってしまうと。地方財政計画の歳出側の見積もりが水脹れでないのか、あるのか、これにつきましていろいろご意見がございました。
一つは、たしか県単独とか地方の単独の投資事業がありますよね。その中で、計画値と実際にやった実績値とすごく乖離があるんですね。ご参考のために、この厚い方、「地方財政関係資料」の41ページを見ていただきたい。ここに、計画と決算の乖離が出ていますが、現在、6兆円ほどこの乖離が出ておりまして、財務省と総務省の間で重ねられてきた議論の中で出てきていますけれども、この6兆円が財源的には手当されて、消えてしまっているんですよね、その後の折衝で。これは2年遅れる数字なので、結局、6兆円というのは事後的にわかる数字で、6兆円だけ財源を地方に与えておいて、どこかに消えてしまうということが問題ではないかということをかなり問題にされた方もおりますし、そういう話は恐らく共同責任だから、今後どうするかという問題も残った。
いろいろな議論もあったんですが、三位一体を本気になって財務省はやる気なのかねというような、やや過激な意見も出たり、それに対して、負担感なくて歳出が決まるメカニズム自体が今の地方交付税交付金の制度の中にあって、これが問題であるとか、それから東京一極化問題は一体どうするのかと。ご存じのように、税源移譲した後、税源が潤うのは東京なんです。そういう意味では、東京一極集中の問題をどうすべきかという議論が出てきております。
そこで、先ほどのご質問の、経済財政諮問会議の方で具体的に何やら1兆円に満たないときにはどうで、それから1兆円の規模になったときにどうだといったようなご議論があるように聞いております。私、具体的にまだ数字を集めておりませんが、ここでも、かつて谷垣大臣も言っておられたように、兆を切るような非常に小さい額のときに、一体、俗に言われる基幹税まで切り込んで渡すということができるかどうかというのは、税調としても、これはかなりこれから議論があると思います。ただ、1兆円が本当にできるのかどうか、そのうち税源移譲として対象になる額は一体どのぐらいあるのか、つまり1兆円切って、切りっ放しという補助金もあるわけであります。その場合には税源移譲をする必要はないですね。そういう意味で、その額も決まってこない段階で、今の本間さんがご提案になったということ、確定的なようでございます。それはまだこれからの議論であって、仮定の話だろうと思いますが、その辺はもうちょっと煮詰めないとできないので、今何ともコメントのしようがないと思います。兆を切るときにはたばこでやった方がいいんじゃないかとか、大きくなったら所得税でやれとか、消費税でやれとか、いろいろな議論がありますが、これは今後の基礎問題小委員会の議論の中で消化していく問題と考えています。
そういう意味で、来週は5日(金曜日)にやります。もう少しそもそも論的な税の性格をやってもいいし、具体的な税源移譲があったときに起こる問題点みたいなシミュレーションができるかもしれません。翌々週は9日(火曜日)を考えておりまして、その段階になりますと、かなり補助金の方の改革のメドもついてくるかなと。その段階で具体的に税制の中身、税目の中身等々も議論できるかなと思っていますので、先ほどのご質問に対して、今の段階では仮定の話で、何ともわかりかねるというのが正直な話であります。
よろしゅうございますか。これが今日、税源移譲をめぐって行われました基礎問題小委員会の流れの大体の内容であります。ご質問があれば、どうぞ。
〇記者
まず日程なんですけれども、来週5日、その次は9日ということですが、総会も含めた日程をもうちょっと詳細に。
〇石会長
総会と基礎問題小委員会、金融小委員会の関係というのは、総会に出してご承認をいただくというステップを踏むだけの内実のある議論がないとやっても無駄なので、通常は2回やって1回というやり方でやってきました。基礎小でかなり詰めた議論が行われました。今回、今言ったように、2回やった後、すぐ総会を開くかどうかは、2回やった基礎小の中身だと思っています。そういう意味で、仮に2回ご報告して、ご審議いただくことがあれば、9日の次の金曜日ぐらいかなと思っていますけれども、わかりません。いずれにしても、税源移譲については文章にして、この中間報告にくっつけなければいけませんから、少なくとも文章化してくっつけるときの審議は総会でお決めいただくしかありませんから、最低1回、その後もう1回、1~2回はやる必要があると考えています。そういう意味では、12月中ごろかなという感じはしますけれども。
〇記者
最終答申のスタイルなんですけれども、中間報告では年度改正の部分とそれ以降の中長期的なものとを盛り込んで出されているわけですが、税源移譲に関しても、もちろん年度改正の部分は当然あると思うんですけれども、それ以外も含めてということになるんでしょうか。
〇石会長
中身は固まっていませんから何ともいえませんが、恐らく総論的な部分と個別税目の改正と二つに分けて書くようにならざるを得ないのかなとは思っています。やりたいことだけ書いても、思想、基本的理念がぼやけても困りますから。これからの話ですが、かつ分量もこれからの話ですが、この目次の中にある項目に具体的にフィットすると思いますので、総論的な部分は、地方分権の推進というのは5ページにございますから、そこにこれまでの経緯を書いた後、具体的にこの下に何か1項目立てるかどうかですね。
〇記者
テーマが変わって恐縮なんですが、消費税の総額表示で2点、来年4月から義務づけられるもの、小売りの現場を取材すると、手間はかかる、莫大な金はかかる、来年4月前後は間違いなく混乱すると、非常に不満が目立つんですけれども、果してこの見直しは合理的な見直しだったのかということと、業界への指導、あるいは消費者への告知徹底という意味で、国の、財務省の対応が今十分なのかどうかという、この2点。
〇石会長
総額表示というのがなぜ必要なのかというと、今ある外税、内税的に我々買い物する立場から言うと、「これは税金入っているの」と聞いたり、「入っていないの」と聞いたり、面倒くさいことをやっていますから、総額表示というのは世界の流れなんです。付加価値税を導入している国では。最初から総額表示というやり方もあったかもしれませんが、選択制にしてきましたから、個々ばらばらですから、私は統一して価格表示をするという、税込みの価格がはっきりするのはいいことだと思います。ただ、おっしゃるとおり、制度改正には必ずプラス面とマイナス面があって、マイナス面は税務行政の方でしょう。そういう意味で、例の金銭登録機も変えたり、値札を変えるとか、いろいろ面倒くさいことがあるのは重々承知しております。税制二課の企画官が直接対応いたしまして、業界といろいろ接触して、例の切り上げの問題であるとか等々を議論しておりまして、4月同時にすべて一つの方式ではなくて、若干猶予を持った表示方法でいいとか悪いとかということも含めてやりたいと言っています。これからの業界の方々との話し合いの中で、問題が出てくれば議論したいと思いますが、この点、古谷さんの方から何かありますか。
〇古谷課長
会長がおっしゃられたとおりでありまして、この秋口から税制二課の西田企画官が全国のいろいろな業者団体等からも呼ばれて説明に行っております。ご指摘のあったような事務負担が大変だとか、変わり目にいろいろなコストがかかる、煩わしいという事業者からのお話がありますので、そこについては、私ども丁寧に趣旨を含めて説明をしておりますし、端数処理の問題について、計算の時点でなるべく負担がかからないように端数を外してもいいといったような経過期間を長く設けるといった対応もしておりますので、何とか4月1日から円滑に実施に持っていけるように引き続き努力したいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
〇石会長
努力しているということをお認めいただきたいと思います。西田さんから何かあるかい、追加的な情報提供で。直接の担当官の西田さんから。
〇西田企画官
財務省の対応ということでございますけれども、今、古谷課長からもお話ししたように、かなりの数、説明会等々も開催しておりますし、それから事業者向けの総額表示についてのパンフレットといいますか、リーフレットも 600数十万部印刷して事業者に広報を図っておる、あるいはポスター等もつくって事業者に貼っていただくというようなことも考えておりまして、そういった対応で行っているところでございます。
〇記者
税源移譲に戻らせていただきますが、先ほどから消費税についてのご意見で、一つは地方譲与税のような格好で、地方が汗をかかないという点、それから年金の財源と税源移譲の財源と両方の負担がかかると、マイナス面のご意見ばかり出ているんですが、消費税について何かプラス面のご意見は出ていないんでしょうか。
〇石会長
今日の限りでは出ておりませんが、恐らく私が見ているに、まとまった税源移譲の候補者は所得税と消費税しかないんでしょうね、多分。というか、ないですよ、法人税は今後使えないということを前提にすれば。そういう意味で、どっちかということを議論するということだろうと思います。「基幹税の充実を含めて税源移譲」という言葉が実は入っているんだよね、内閣の閣議決定に。充実ということは、5%のままでないという意味で皆さんが言っているんだと思いますが、しかし、税率の引上げがないときにまだそうするかどうか、しかし、まとまった金というとそれしかないだろうと。したがって、これからどうするかの議論の中で議論したいと思います。つまり、所得税でやるか、消費税でやるか、選択肢としては両方あるんだと思います。
〇記者
その際なんですけれども、先ほど東京問題と言われましたが、やはり偏在性についての議論というのはどの程度する……。
〇石会長
それは、これから大いにしなければいけないと思いますよ。私個人的に、仮にマクロ的に歳出を1兆円でも 8,000億円でもいいけれども、切ったと。それを一般財源化という意味で税源移譲すると言ったときに、日本国全体としてはそれでいいけれども、 3,300の地方自治体に、例えばA県でもB市でもいいけれども、A県B市で減った分だけ税源移譲でもらえるかというと、そういうことはあり得ませんよね。それをどうするかですよ、これから。税源移譲はどんな問題でもありますよ。例えば、消費税をそのまま徴収した場合、配分しない前だって、やはり東京が多いですよ、圧倒的に。それは当たり前でしょう。人がいて、事業体があって、所得が集中して、その中で消費がありますから。今の地方消費税は、一たん集めた金を消費支出とか人口で割り戻しているから議論がないので、どういうふうにとらえられても、その問題は避けて通れませんから、これから偏在の問題は一番頭が痛いんじゃないかと思いますが。株丹さん、追加的に何かあれば。よろしいですか。
〇記者
所得税の移譲に際して、個人住民税の方はどういう形で増税するんでしょうか。
〇石会長
増税するなんて誰が言っているの。あなたが言っているの。住民税を増税するとか何とかという話、誰も、どこもやっていませんよ。そういうことを言う人がいるということはあるけれども。税調でも何にも議論していない。
〇記者
いや、税収入の・・・。
〇石会長
1兆円でも2兆円でも。はい、いいですよ。
〇記者
そうすると、マクロ的な議論かもしれないですけれども、個人で見た場合、税収水準となる税負担がばらばらになる・・・。
〇石会長
あるでしょう、当然。それは当然ありますよ。
〇記者
それについて対応といいますか……。
〇石会長
それは出てきた数字で見なければいれませんけれども、税源移譲したら、マクロで決まっても、府県単位でばらばら、つまり儲かる所、損する所、個人だったらもっと大きいですよ。それだけ覚悟してやれということですよ。納税者全員の税負担を税源移譲前と税源移譲後を堅持するなんて不可能ですよ。それは納税者のみならず、府県、あるいは市町村単位でも無理だと思う、僕は。
〇記者
税額控除制度みたいなものを活用するとか。
〇石会長
税額?
〇記者
税額控除の手段を創設するとか・・・。
〇石会長
いや、手段として税額控除がそれほど有効とも思えませんけれども。だから、税源移譲と皆さん軽くおっしゃって、補助金でなくなった分だけ税金で来るよというふうに軽々しくと言っては何だけれども、考えがちですが、特段得するところ、損するところは出てきますよ。それは覚悟しておいてもらわないと。それははっきり言えますよ。個人についても、今言った所得税を移せば、そういう問題は出てくると思いますよ、当然。
〇記者
税源移譲の答申のイメージなんですけれども……。
〇石会長
イメージはまだありません。
〇記者
具体的な税目ですとか、移譲する額がこのぐらいだという前提ですとか、そういうものも含めた具体的なものになるのか、それともかなり雰囲気というか、基本的考え方を示すというふうに思っていいのか。
〇石会長
それもこれからの事態の推移次第だと思います。例えば、1兆円の中身でどれだけ税でやれと、具体的な数字が出たらやらなくてはいかんでしょうね。補助金のカットが小規模か大規模か、それぐらいの漠とした前提でやるなら、税源移譲も漠としたことになるでしょうね、多分。そういう意味で、あと2回ぐらいやってみないとわからないですね、今のご質問に答えるのは。税調は漠としたのが好きだから具体的に出てこないかもしれないけれども、とりあえず、今回は1兆円削減して云々かんぬん、具体的な数字が出ると思いますから、その対応には努力せないかんと思っています。
〇記者
確認なんですけれども、来年度に税源移譲するとしても、先ほど会長がおっしゃったように、消費税も所得税も両方選択肢になり得るんですか。
〇石会長
そうすると、消費税は5%の固定でやるんですね、上げてはいけないという話を前提にすれば。そうすると、5を3にしろとかという話ね。難しいんじゃないんですか、そうなると。
〇記者
消費税は難しいと。
〇石会長
難しいかもしれない。それはわかりません、議論の流れでいくしかないけれども。僕は直観的に、個人的には、税率アップの中で、ただ、10%になったものを2%を地方がといった話になれば納得がいくけれども、現状の5のうち、1を2にするというふうな話は難しいと思います、個人的には。それから、地方消費税のそもそもの性格論から言って。わかりません、これはこれからの議論でしょう。
〇記者
素人的な質問なんですけれども、基幹税を移譲する場合に、金額が大きくないとできないというお話なんですけれども、例えば消費税の場合、0.何%を地方分に移すとか、そういう低い……。
〇石会長
国で集めたものをね。そういう知恵を誰か出すかもしれませんね。そういうふうに新聞で書かれると、誰か言ってくるかもしれないな。ただ、今のところは1%、2%にするという丸めた話しかしていませんが、そういうふうにバナナの叩き売りみたいに 0.3ならいいとか、0.5がいいとかというふうな話では多分ないと思います。もうちょっと大きい話をしたいんだよな、話としては。やるからには。
(以上)