総会(第5回)後の石会長記者会見の模様

日時:平成15年11月21日(金)16:16~16:48

石会長

今日、総会を行いましたけれども、その内容につきましては、前回お話ししたような話でありますから、ご質問があればお答えするとして、今日新たな要素として、三位一体の推進についてお話します。内閣総理大臣から閣僚懇談会で税制調査会に新たな指示がきました。それを受けた結果、総理官邸に行って、来年の税制改正案についての答申案を出すスケジュールがかなりくるってきそうだということから、最初お話を申し上げたいと思います。実は、急に入った話で、端的に言いますと、三位一体というのはもう新聞で報道されていますように、1兆円補助金を削り、それから税源移譲についても16年度に確実に行うということをはっきり言われて、地方交付税の検討も着手すると。関係の大臣には私のほうから…私というの首相のことですが、ちゃんと改革案を取りまとめるべく、言うなれば気合をかけるということかな、ちゃんと会って指示すると。それが第1点なんですが、第2点として、政府税制調査会において、国と地方の税源配分の観点から16年度、税源移譲せいと。それは国庫補助支出金の改革と並んでやれと、こういう話なんですね。第2点は、政府税制調査会に税源移譲のプランを練ると、こういう議論として具体的に指示されたわけです。

そういうわけで今日、ほぼ来年度の税制改正についてはまとめました。当初の予定は、来週の木曜日の午後、総会をやって、その後に起草会合をもう1回やって、28日(金)に、総会で最後読み合わせて、しっかりしたものをまとめて、その日のうちにでもしかるべき時期に首相官邸に行く。それでお渡しすると、こういう段取りだったんですが、どうも首相のご意向は、その来年度税制改正の答申の中に、税源移譲の具体案を盛り込めということのようでありますので、28日に予定しておりました答申の中に、税源移譲の問題を盛り込むことは時期的に不可能であります。今考えておりますことは、ほぼ固まりました、今やっております来年度税制改正の答申を、中間報告という形でアレンジいたしまして、それはほぼ答申案に沿った形になると思いますが、それを中間報告という形で27日か28日に、記者発表を含め公開する。その後、12月に入りましてから、基礎問題小委員会を中心に税源移譲の検討を具体的に行って、12月のしかるべき時期、これは前半になると思いますが、税源移譲案をある程度まとめて、税源移譲を抜きにして報告した中間報告にそれをくっつけて、最終的な案として平成16年度税制改正の答申を小泉首相に持っていくと、こういう段取りにならざるを得なくなりました。

そこで、前回まで二つの大きなテーマ、つまり国と地方の三位一体の中での税源移譲等々の問題は1月からやる、それから年金課税については、例の国庫支出金等々の基礎年金の国庫支出金ですね、負担割合の議論。これもまあ1月だろうというふうに申し上げておりましたが、前段の三位一体のほうは早まりましたので、かつ16年度に確実に税源移譲を行いたいという首相のお話がきましたので。ただ問題は、1兆円の補助金の削減の具体的な案が固まらないと、恐らく税源移譲の、これまた具体額は固まりにくい。今日は、総会でもこの問題をご披露した後、知事あるいは市長をやられている委員がいらっしゃいましたので、その方々からも具体的なお話がございました。そこで、われわれとしては、理想的には1兆円なら1兆円の補助金の削減の姿が見えてから、どのぐらい具体的に税源移譲するかというのが段取りだと思いますが、恐らく補助金の削減の具体的な内容は12月の中頃になるのじゃないかと、こう予想もしておりまして、それまで待っていたのでは、税源移譲の話にはなりにくい。不可能でしょう。そこで、ある程度の仮定を置きつつ、なんか税源移譲の話を具体的に進めなければいけないだろう。今回の答申にも、基幹税を充実させて税源移譲を行うという、内閣のその指示に従ってやるつもりでおりましたから、書き込んでございます。そういう意味で基幹税ということをどうするかということに絡んでの話でありますが、谷垣大臣も先般来言っているように、規模があまり小さい補助金の削減では、税源移譲も小さくならざるを得ない。これどうしようかと矛盾なんですが、しかしまあそういう指示もきました以上、まあ1兆円なら1兆円という形で少し議論を固めていくという作業を、この答申を固めて、だから答申は答申でもう固めちゃって公表して、その後にその部分もやりたいと、こう考えています。それが大体のスケジュールの感じでありまして、スケジュールがくるってきたということのご説明であります。

それから、当初考えておりました来年度税制改正に関します答申に関しましては、今日ほぼ固まりました。それで、例年と違って新しい要素があるとすれば、個別の税目の改革について、つまり来年度税制改正で取り上げるべき項目を、たしか五つか六つ、具体的に要約として最初に取り上げた。それをめぐってちょっとどのぐらいの具体性をもって今の段階でやるかということについて、昨日、一昨日だったかな…政府税調でも議論があったということであります。それはどういうことかというと、まだ予算の全体像が分からないわけですよね。税収がどのぐらいあるかも分からないし、あるいは歳出のカットがどのぐらいできるか分からない。その結果、財政赤字のほうも分からない。その段階で具体的な減税・増税…まあ減税はほとんどないんで増税なんですが、増税の項目を今からこれとこれとこれと限定的にされては、どうも今後、政治折衝ができにくいという事務局のほうの要望、これまたよく分かる。といって相変わらず来年何をやり、近い将来、遠い将来に何をやるということは、こみこみの混在したような文章では、これまた国民に対するメッセージ性もなかろうということなので、来年度税制改正をやるものだけ特筆すると。これは、中に書いてあるものを要約するという格好で、とりあえず要約バージョンをつくるという形で答申をまとめるという作業しております。

そういう意味で幸か不幸か、中間報告ということをするなら、そういうような報告がベースになろうかと思いますが、いずれにいたしましても、ちょっと従来と変わったような格好のものをひとつ作りたいと。これも明確なメッセージを打ち出したいという税調の姿勢であるというふうにご理解いただきたいと思います。

中身につきまして、もう既に各種新聞、あるいは報道で、テレビ等々で言われているとおりのような項目でございますから、これについては、もう私、前回申し上げましたので特に申し上げません。何か質問があればお答えすると。

以上、二つのことだけ申し上げておきます。以上です。

記者

まず、税源移譲の話なんですが、中期答申はじめ、基幹税ということが言われているわけですが、そもそも基幹税というものが何なのかということについては必ずしも認識が、関係者の間で一致していないような気もするのですが、税調会長としては、これはどのように今考えているのかから。

石会長

基幹税というのは、この6月に出しました少子・高齢社会の中での答申、それから前々回か、6月に出したものの中で使っております。一応われわれの理解では、所得税、法人税、消費税の三つ…国税としては、というふうに理解をしております。これについては、地方だって基幹税があって、基幹税ということを言うなら固定資産税も基幹税だとか、基幹税という言葉について非常に違和感を持たれて、これは問題であるというご発言もございました。ただ、ここ1、2年、基幹税という言葉でほぼ、諮問会議とか官邸筋の議論は全部統一されてますから、今言った三つであると理解しています、基幹税という意味はね。ですから、その中でどうかという議論になっていかざるを得ないのかなという気はいたします。

記者

そもそも総理の指示なんですけれども、これは税調に対してどういうふうにして、どんな内容での指示があったということをもう一回確認で教えていただきたいんですが。

石会長

正式に読み上げましょう。「政府税制調査会においては、国と地方の税源配分の観点から、16年度の税源移譲についても、国庫補助負担金の改革と併せて検討していただきたい」と、こういう文言です。で、その前段に、先程申し上げたように、交付税をやるとか、1兆円を削るとか、そして補助金の担当の所轄大臣にはちゃんと私から指示するとか、こういう文言が入っていると思うのね。そういう意味で、政府税調に玉が投げられたという形でとらえておりますので、それに対してわれわれも応分の努力はせにゃいかんのかなというふうに、今日の出席委員はそういうふうに感じているはずです。

記者

その基幹税三つを挙げられたわけですが、それについては、会長としては特にどれをというふうな形ではいかがなものでしょうか。

石会長

まあこれからの議論でしょうね。つまりどういうことかというと、税調の委員に地方のご出身の委員もおりますし、そういう意味であと学者もおるし、さまざまな方がおりますから、どれって今のうちから言えないけど、ただ法人税は、何遍も言っているように、だんだん基幹税の地位を、税収の面でも失いつつあるし、今後もそう期待できないとなると、残る二つかなという気はいたしますけどね。ただ、それはこれからの議論で、今から何とも申し上げられない。

記者

税源移譲なんですが、今、先生、ある程度仮定を置いてという話をされましたが、1兆円補助金を廃止・縮減する中で、例えばじゃあマックス1億円税源移譲する場合とか、あるいは 5,000億円にとどまるなら税源移譲はこうあるべき、そういう書き方なんですか。

石会長

いや、それもカネメの問題だけおいてそういうシミュレーションというのはあるだろうということは十分分かってますが、問題はどういう補助金を削減するかによっても、移譲する金額が違うじゃないかと、こういう話がまたあるんですね。例えば道路ひけといったら、道路特定財源移譲すればいいじゃないかという議論、これは塩川さんが一時おっしゃってましたけどね。それは基幹税ではないんだよ。ないけれども、議論とするとガラッと変わってくるんだよという話があるので、悩ましいんですよ。だから今、1兆円、 5,000億円、3,000億円なんてことをやるのか。それから、なにも1兆円国庫補助金だとして、税源移譲が1兆円と限りませんからね。その辺はちょっと来週までにフレームを固めたいと思っていますが、最初は、まあ主税、主計局、それから総務省の財政局ですか、ああいうところで今やられているような基礎的なデータを出してもらって、それから全国知事会とか全国市長会はいろんなことをおっしゃってますから、その見解を聞いたりして、前半はね。その後、具体的な税目、規模、それからもう一つ重要なことは、仮にどういう税源を移譲したら、一体地域の間でどういうバランス形が出るかということも、もちょっとチェックしないといけませんよね。

それから、ある意味でよく言われているように、もうある税目だったら、小規模町村だとちっとも税源のプラスにならんというような、そういう税源の移譲も多分出てくるでしょうし、その辺はやってみないと分からないのですが、方向としては、少し短期間でありますが、集中的に基礎的なデータを集めてやってみたいと思っています。おっしゃるとおり、1兆円何とかかんとかというふうにすぐいくかどうか。

記者

そういった規模だけではなくて、基幹税以外、酒税とかたばこ税とかを税源移譲するケースということも検討するんでしょうか。

石会長

それは別に基幹税にこだわらず、可能性のある税源は幾つか探してみたいと思う。それと同時に、理論的には各レベルの政府というのは、やっぱり望ましい税源というのはある程度あるんですよね。地方だったら資産税がいいし、つまり変動が少ないからね。そういうことで法人税は国とかいろいろありますね。そういう過去の比較も交えつつ、ちょっと幅広にまず押さえていくしかないかなと思っています。といって、あまり基礎作業ばかりやっていて、最後の本当のどうするというところの具体的までたどりつかないで時間をかけてもいけませんから、その兼ね合いは難しいけど、前半は少し冷静にデータを見て、ここは少しポリシーに絡む話ということになるのじゃないかな…と思います。

記者

総理の指示が来年度実現ということになってるわけですよね。

石会長

そうなんです。

記者

しかも、骨太の方針には基幹税を中心に税源を移譲すると書かれているわけですから、政府税調としても基幹税を来年度から移管する方向で考えていくというふうに理解してよろしいのか、それとも…。

石会長

基幹税を含めて、広い範囲で検討しなきゃいかんと思ってますよ、いろんな意味で。例えば僕も前から思ってますけど、歳出の幅が数千億オーダーになって基幹税という話もでてくるかもしれないし、その辺はひとえにフレームの違いによって移譲する税目が違ってくる。それからもう一つ、ちょっと忘れちゃったけど、4兆円という最後のゴールを決めているわけですね、補助金のカットの。だから、4兆円のときの税源移譲の具体例と、1兆円というのはまあ違ってくる可能性がありますよね。ということは、最終ゴールの姿を描いて、それに到達する過程として、第一歩として1兆円に対応する税源移譲をやるというようなことをやりませんと、パッチワーク的に積み上げていったんじゃあ、税体系がばらばらになっちゃうから、そこはしっかり長い目で見て、最終的な仕上がりとスタートのところとの整合性をとるということ、そういう仕事こそまさに税調の仕事かと思っています。

記者

最終ゴールとしてはいずれ基幹税は移譲される…。

石会長

でしょうね。4兆円をちまちました税じゃあとてもできないでしょう。

記者

来年度に限って言いますと、補助金の削減額によっては基幹税になるのは難しいということも考え得るのでは。

石会長

それは理論的にはあり得るでしょうね。でも、補助金削減を一生懸命やろうという方々に対して、ハナからできないだろうと、従って俺たちもちょっとした税でいいじゃないかって、これは失礼な話ですわな。それはちょっと議論としてはしにくい、できないでしょう。ある程度の固まりで補助金の削減ができるという前提で議論しないと、本格的な税源移譲の議論にならないでしょうね。

記者

確認ですけれども、基幹税に限らず検討する項目としては、よくお酒とかたばことか揮発油税とか。

石会長

まああるでしょうね、例としては。あるでしょうね。まあ塩川さんも揮発油税なんて言いましたけど、基幹税を含めていろんな税を少し議論してみないと、姿が分からないよね。

記者

基幹税の中で、これは素朴な疑問なんですけれども、消費税もその検討対象に入るということになると、今の税率のまま移譲するのか、それとも総理が否定しているのを覆して、その税率引上げも視野に入れて移譲を検討するのか。その辺の整合性はどうされるんでしょうか。

石会長

全く今でも分かりませんけどね、内閣のほうで言っている基幹税は、基幹税を中心としてじゃないんだよな。基幹税の充実を図って、要するに税源移譲しようという書き方になっているんだよね。基幹税の充実っていったら、それは上げて、上げた分を少し再配分しようという意味かもしれませんし、それからおっしゃるとおり、消費税というのは今、そういう意味ではいろいろなところで狙われているわけだよね。3分の1、2分の1のほうに入れたらいいじゃないかという話もある。まして今回みたいな、税源移譲の主役を演ずることになると、また別な役割がきますから、ちょっとこの辺の交通整理も重要でしょうね。で、今の段階で決め打ち的に上げてどうだということも言えないし、固定したままで1%超にといっても、2%にするというのも、これまた言えませんよね。その辺は議論の成り行きをみつつ、それから初年度にどのくらいのことをやらなければいけないかというスキームが、その辺でもうちょっと固まってからと思います。今日言われた話で、そんなすぐ、アイデア出てこんよ。

記者

先程の税源移譲の整理をしたいのですけれども、4兆円という中期のビジョンで考えた場合は、基幹税がないとちょっと足りないというお話と、1兆円という話だと別の税目でもなるかもしれないというお話はちょっと矛盾しているような気がするんですが。

石会長

実を言うと、4兆円もできないのじゃないかという人もいないことはないよね、長い目でみてね。ただ、3年間で4兆円ですから、まあ小泉さんが頑張っていられる間の期間でありますから、多分やるでしょう。したがって4兆円、なんかある固まりでやると決まれば、1年目からその基幹税でやるという手もあるでしょう。まあ先行きのことは分からないわけですよね。

それで数千億オーダーになると、基幹税をばっさりとするのはちょっと難しいですよ、仕組みとしてね。だから、あわせ技でなんか幾つかあわせるのかねという議論が残るし、おっしゃりとおり、ちょっと4兆円のときと1兆円のときとでちょっと矛盾しているのではないかと言われればそうかもしれない。これは全く分からない、今のところは。

記者

金融庁から要望がありました不良債権処理促進税制のことなんですけれども、欠損金の繰り越しについては延長する方向で…。

石会長

5年、7年の問題ですか。

記者

はい。やっぱりそういう方向なのかという点と、欠損金の繰戻還付金等を含めまして、やはりこれはダメだということでしょうか。

石会長

3点セットがあったわけですよね。その3点セットに対して、一応金融庁からこういう要望があったけどこうこうって、一応は税調として要望があったものに対しては応えたいと思います。おっしゃる例の繰越欠損金、5年、7年というのは、できれば、まず税源あるいは財源にもよるのだと思いますが、できればという含みを持たせるような形で慎重に検討というような形に多分ならざるを得ないと思うし、繰り戻しのほうは16年? これはハナから、ちょっと冗談じゃないよっていうムードでありますから、これはやっぱり無理だよというのをはっきり。それは当然書きますよ、16年については。そういうようなトーンにならざるを得ないのだと思っています。

記者

金融庁のほうで今、研究会を開いて、税負担の平準化、財政負担の平準化というのを…。

石会長

あれは、まず16年戻して、9兆何ぼかあったものを平準化といって、まず要望が実現した先のやり方をいろいろ研究しているんで、われわれはそれをやること自体、税としておかしいって言ってるんだから、かみ合わないですよ。そんな交付公債出して、なんだかんだって言ったって、ハナからやることに意味というか、そもそもが無理だと言ってるわけだから、それはかみ合いませんよ、議論としては。

記者

無税償却の範囲を拡大することと欠損金の繰越しの二つだけだと、企営体税負担というのは…。

石会長

何の税負担?

記者

企業の経営体ですね。企業の税負担感といいますか。

石会長

金融機関?

記者

はい。金融機関の税負担がですね。むしろ税負担が強まるのじゃないかという…。

石会長

税負担て、税金払ってないじゃない、金融機関は今。何でそんな負担が高まるんですか。16年払ってないから16年戻れって言ってるんだから、税負担感なんてゼロじゃないの。そんな議論、おかしいよ。そうじゃないですか。

そもそも税金を払ってないところを税で処理するのは無理なんですよ。それはそもそもが。税調はそういう姿勢ですけれども、今のはまさにそういうことですよ。税負担感なんかないよ。

記者

繰り返しされた質問で恐縮ですけれども、住宅ローン減税についてはどのような書きぶりになるのかということと、方向としては縮小して延長ということですけれども、なぜ縮小して、なぜ延長するのかというのを、理由を教えて下さい。

石会長

それはしかと書いてあるつもりです。それで、要するに幾つか理由があるんですけど、まあ三つぐらいかなあ、大きく言うと。そもそもなぜ実施したかということから始めると、それは景気調整、景気対策の意味もあり、それから持家政策として住宅政策の話あり等々ありますけど、その前提というかな、政策目標はもう達成されたんじゃないっていうのが基本にある発想ですよ。したがって一つ言うなら、持家だけ推奨するような住宅政策というのはおかしいんじゃないかと。さまざまな形態の住宅がありますからね。それから二つ目は、やっぱりこれだけ租税特別措置の幅を広げちゃった後の課税の不公平感、これは何といっても課税最低限でみると、住宅ローンをしている者は2、3倍課税最低限が高くなっていますからね、これはちょっと課税の公平上問題で歪みが大き過ぎるという問題ですね。それから、今ある10年間 500万円、1年間50万円という税額控除をそのまま使うと、将来1兆円になると。今は大体 6,000億円ぐらいだけど、そういう大きなものを持家だけ目指す人に与えて、果たしていいかねという議論。これが圧縮の大きな理由です。

将来的にはなくせということを、われわれは6月の答申でも言ってますけど、今ある 500万円というのは一挙にゼロにはできないだろうと。放っておくと 150万円なんだね、1月1日から。したがって、その書きっぷりとしては、まあ今ある現行のレベルをかなりの程度というか、相当の程度というか、まあ削減するしかないだろうというような書きっぷりでありまして、 500万を 300万円にするとか 350万にするというのは、皆さんからいろいろ知恵を出していただいていますが、数字はあまり書かないことにしてます。それは具体的に書きませんが、おっしゃっているような数字観、幅というのは、まあそんなものかとは思っています。ただ、これは具体的な税制改正のいろいろ起こった段階で、どうですかねえ…党税調あたりが入れるかどうかという話になるんだと思いますけどね。

理屈はそういうこと。それで、なぜ一挙になくさないかというと、激変緩和の意味もあるし、それからやっぱりもう一つ、景気に対してあまり意味がないとは言いつつも、やっぱり住宅投資が増えているのは、駆け込み的な利用があるということは、かなり税を意識して持続投資している人もいるわけです。毎年なくせなくせと言うとどんどん増えるではないかという人もあるんだけど、それだけ景気に少し配慮を残さなきゃいけないという意味で、景気に配慮してということも激変緩和には特にあると。まあその辺が、イヤッとできないところの悩みですな。

記者

税源移譲に戻るんですけれども、くどいようですけれども、総理の指示の内容から考えると、04年度で少なくとも税源移譲しないというオプションは、税調としては答申の中には盛り込まないわけですね。

石会長

盛り込めないでしょうね…と思います。

記者

とすると、理論的に先程会長のご説明を聞いていると、3年間通して言えば、基幹税だけでやるか、基幹税とその他の税の組み合わせか2種類しかないということですね。

石会長

多分そうでしょうねえ…、なんかまとめていただきまして、どうもありがとう。まあそうでしょうね。

記者

全国知事会のほうが、要するに来年度として2兆円の補助金削減と、 1.8兆円の税源移譲と言っているんですが、その税目については所得税の個人所得課税の分を抜いて、揮発油税と消費税でやってほしいという要望を出しているわけですよね。

石会長

どこが?

記者

全国知事会。

石会長

いや、僕はそれを知らないけど、揮発油税と消費税でやってくれと言ってるの?

記者

ええ、揮発油税と消費税で、要するに消費税は国税たる消費税から地方消費税へ、所得税から個人住民税へという形でやってほしいと…失礼、揮発油税のほうは地方譲与税化のほうでやってほしいと、そういう要望をしまして、所得税の分は抜いているんですよ。これについては、何か参考材料にしようというお考えはあるんですかね。

石会長

分からないですね、参考になるかどうかは。直接、知事会からいろいろヒアリングしようと思ってますから、そのときに確かめたいんですが、まあいろんなオプションがあるでしょうね。だから、どれをとるかというあたりは、かなり踏み込んだ議論をして、ある程度割り切りを持って決断しなきゃいけませんが、今、今日の今日、そんな決断できないですよ。相手の事情も聞いてみなきゃ分からないから。

記者

知事会のほうもはっきり理由は言っていないんですが、所得税…。

石会長

知事会のことをご説明になってどう思うかと言われたって、知事会の中身、分からないし、今度、知事さんもいますから聞いてみようと思っています。その後でも記者会見をやることがあったら、その反応もお話ししたいと思いますけど、今の段階では分からないね。知事会はある意味では地方代表でありますから、また国のほうもいろんなアイデアを持っている人もいるでしょうし、いろんなスタイルの議論ができると思いますから、それは短期間に、ある姿を描くべく情報収集と意見の収集をしたいと思っています。そういう意味では知事会に対しては今のところ、まあそうですかという感じですねえ。

記者

ただ、所得税の部分は、要するに地方のほうも住民税を上げないと税源移譲できませんよね。それで、例えば条例改正であるとか、いろんな手続があると思うんですね。

石会長

あるでしょうね。

記者

ですから、そういう手続を嫌がって増税をまた県民なりに説明しないといけないから、だからもめているんじゃないかなとは思うんですよね。

石会長

なかなかいい意見をお持ちだな、入ってもらおうか、じゃあ1回、税調に。いやあそういうこともあると思いますよ。地方は地方で、ただたなぼた式に待ってるんだという話だけでもないでしょうからね。そんな意味の議論をしなきゃいけないかもしれない。

記者

ガソリン税ですけれども、揮発油税。今年度から5年間セットしているんですけれども。それを移譲ということはできるんでしょうか。

石会長

分かりません。それはまさに今、法律で作って暫定措置でやってますものね。ただ、道路特定財、道路を削ったから道路という話なのか、ちょっとそれはまだアイデアの段階でありますので、今の段階で何ともそれは分かりませんねえ、残念ながら。おっしゃるとおり、法律で縛りがあるかもしれません。

というわけで、補助金の削るのも大変だし、何を渡すかというのも大変だって、まあこの暮れに大きな難問がきたという感じすなあ、これは。ただ、ある意味でこういう仕掛けがないとできない問題だから、小泉さんの問題提起はそれなりに皆さん重く受けとめてアクションを起こすべきでしょうね。そう思います。

(以上)