第5回総会 議事録

平成15年11月21日開催

委員

お手元に今日の「答申素案」という資料は、皆さん、お持ちでございますね。今大急ぎで刷ったものをお配りしていますから、漏れている方がいたらおっしゃってください。

それでは、カメラ撮りも終わりましたので、本日、第5回目になりますが、総会を開きたいと思います。

今日の最大のテーマは、議事予定どおり、「答申素案」についてご審議をいただくことになっておりまして、そういう意味で、まだ内容も固まり切っておりませんから、本日は非公開といたします。

ただ、対外的には、終わった後、私が模様を伝えるという形で記者会見を行うことにし、かつ、議事録も後で公表しようと思っていますが、発言者の名前は伏せる予定でございます。

それでは、事務局にこの答申案、30分ぐらいかかりますが、読んでいただきますが、その前に再度、どういう趣旨で書いたかということだけご説明しておきます。

これは総会並びに小委員会並びに起草会合の議論を踏まえましてまとめたものでございまして、国民に対する明確なメッセージを出したいという意味で、わかりやすい文章を目指して作ったつもりでございますし、両論併記というのは何を言っているかわかりませんので、それは一切排しまして、一本の筋で書いてございます。

ただ、いろいろご議論いただいた貴重なご意見もございますので、答申に盛り込まれてないものは、この附属の資料としてお手元にあると思いますが、「答申に盛り込まれていない主な意見」という形でまとめられておりますので、これも後ほど審議いたしたいと思います。

ただ、時間的制約もございますので、この「主な意見」のほうは読み上げはいたしませんので、議論の途中に参照しながらご参考にしていただきたいと思っておりますし、もしくは、自分の意見も踏まえ、こういう意見があったのに本文に載ってないけれども、この「主な意見」で載せるべきであるというご発言がございましたら、ぜひおっしゃっていただきたいと思います。

それから、まだ固まっておりませんから、判こも押してございますが、会議終了後ご返却いただきたい。途中でご退室の方はそのまま置いていっていただきたいと思います。

それから、榊原委員からご意見が文書で出ておりますので、資料といたしましてお配りしてございます。後ほどお目通しいただければと思います。

それでは、早速でございますが、事務局のほうから「答申素案」全体を読み上げていただきます。よろしくお願いします。

事務局

当調査会は、本年10月6日の第1回総会において、内閣総理大臣から「少子・高齢化やグローバル化等の大きな構造変化に直面しているわが国社会の現状及び将来を見据えつつ、社会共通の費用を広く公平に分かち合うとともに、持続的な経済社会の活性化を実現するため、あるべき税制の具体化に向けた審議を求める。」との諮問を受けた。この諮問を踏まえ、基礎問題小委員会において、「あるべき税制」の具体化に向け、その基礎を固めるため、税制を取り巻く経済社会の構造変化を幅広い観点から的確に把握するための検討を開始した。

また、金融小委員会においては、引き続き金融資産性所得に対する課税の一体化に向けた理論的・専門的検討を行った。その後、総会において、両小委員会の検討も踏まえつつ、当面の課題である平成16年度税制改正について審議を行った。

本答申は、平成16年度税制改正にあたっての指針を示したものである。

一 基本的考え方

1.「あるべき税制」の構築に向けた基本的視点

現在、わが国は少子・高齢化、グローバル化など、大きな構造変化に直面している。公平な社会を構築し、将来にわたり持続的な経済社会の活性化を実現するためには、広範な分野の構造改革が急務である。その一環として、税制を新たな社会に相応しい姿に再構築するため、抜本的改革を進めていかなければならない。その際、『あるべき税制の構築に向けた基本方針』(平成14年6月)及び『少子・高齢社会における税制のあり方』(平成15年6月)で指摘したように、以下の視点が重要である。

(1) 個人や企業の自由な選択を妨げず、経済活動に中立で歪みのない税制を基本としつつ、構造改革を促進し、経済社会の活性化を図るため必要な対応を行うこと。

(2) 経済社会の構造変化に対応しきれず、税負担の歪みや不公平感を生じさせている税制上の諸措置の適正化を図ること。

(3) 納税者にとって分かりやすい簡素な税制を構築すること。

(4) 安定的な歳入構造を構築すること。

(5) 地方分権の推進と地方税の充実確保を図ること。

これらの視点は税制について検討する際の基本となるものであり、今後とも税制改正にあたっては常に念頭に置くべきである。

2.平成15年度税制改正の評価

平成15年度税制改正では、上記の基本的視点に基づき、「あるべき税制」の構築に向け、広範な税目にわたる改革が実現された。

(参考)平成15年度税制改正の主要事項

・わが国産業の競争力強化のための研究開発・設備投資減税の集中・重点化

・次世代への資産移転の円滑化に資する相続税・贈与税の一体化及び税率の引下げ

・「貯蓄から投資へ」の改革に資する金融・証券税制の軽減・簡素化

・土地の有効利用の促進に資する登録免許税・不動産取得税の軽減等

・人的控除の簡素化等の観点からの配偶者特別控除(上乗せ部分)の廃止

・消費税に対する信頼性・透明性を向上させるための免税点制度等の改革、消費税額を含む支払総額の明示により消費者の煩わしさを解消する総額表示の義務付け

・地方分権を支える基幹税の安定化に資する法人事業税への外形標準課税の導入

・酒税及びたばこ税の見直し

これらの措置の実施により、多年度税収中立の下で、平成15年度においては約1.8兆円、平成16年度においては約1.5兆円のネット減税が先行する。各般の構造改革や民間の努力と相俟って、企業の研究開発が促進され、個人投資家の市場参加が拡大するなど、経済活性化に向けた確かな手応えが伝わってきている。当面の税制改正にあたっては、これらの措置の活用状況や効果を的確に見極めつつ検討を行う必要があろう。また、近い将来、消費税の免税点制度等の改革と総額表示の義務付け(平成16年4月から)、配偶者特別控除(上乗せ部分)の廃止(平成16年分所得から)及び法人事業税の外形標準課税(平成16年4月から)が施行されるが、いずれも「あるべき税制」の構築のため不可欠な措置であり、着実に実施するべきである。

3.現下の経済・財政状況と構造改革の推進

現在、わが国経済は、設備投資の増加、企業収益の改善が続いており、生産が持ち直している。雇用情勢は依然として厳しいものの、持ち直しの動きがみられ、景気は全体として持ち直している。一方、わが国財政の現状は、平成15年度末における国・地方の長期債務残高が686兆円程度に達する見込みであり、危機的状況にある。歳出と歳入には大幅なギャップが生じており、国の歳出の辛うじて5割を上回る程度しか税収で賄えていない。

かかる状況の下、活力にあふれる経済活動とそれを支える効率的で持続可能な公的サービスの実現を目指し、総合的な構造改革を推進する必要がある。すなわち、[1]「官から民へ」の方針の下、大胆な規制改革などにより民間の持てる力を最大限引き出し産業競争力の再構築を図ること、[2]国民の安心を確保するため持続可能な社会保障制度を構築すること、[3]「国から地方へ」の考え方の下、地方分権を推進し、地方の自己決定権と自己責任を拡充すること、[4]将来世代に責任が持てる財政を確立するため、2010年代初頭におけるプライマリーバランスの黒字化という目標達成に向け財政構造改革を推進すること、が強く求められている。

4.平成16年度税制改正にあたっての基本的考え方

平成16年度税制改正においては、上記の「あるべき税制」の構築に向けた基本的視点を念頭に置き、平成15年度税制改正の効果を的確に見極め、現下の経済・財政状況と当面の構造改革の推進を踏まえた検討を行う必要がある。

(1)財政規律の重要性

度重なる景気対策もあり、わが国財政は多額の長期債務残高と財政収支の赤字を抱え、危機的状況にある。貯蓄率が低下傾向にある中、この状況を放置すれば、いずれ金融市場、ひいては経済全体の足枷となりかねない。財政の持続可能性に対する信認を確保し、国民の将来不安を払拭するためには、2010年代初頭においてプライマリーバランスの黒字化を実現することが必要である。このためには、まず徹底した行財政改革を進めその透明性を高めるとともに、歳出の構造的な見直しを行うことが不可欠である。税制についても、こうした歳出面の改革と相俟って、今後、安定的な歳入構造を構築するための取組みを進めていかなければならない。当面、平成16年度税制改正の検討にあたっては、国税収入の歳出総額に占める割合が5割を辛うじて上回る程度となっている現状や、地方財政についても巨額の財源不足が見込まれている状況を踏まえ、財政規律に最大限配慮すべきである。

(2)国際的な投資交流の促進

経済のグローバル化に対応し、持続的な成長を実現するため、新たな事業分野の拡大と大胆な経営資源の再配分を通じた産業競争力の再構築が求められている。平成15年度税制改正においては、21世紀をリードする戦略分野の成長を支援するため、思い切った研究開発減税・設備投資減税が実施された。現在、その効果が着実にあらわれつつある。こうした流れをさらに拡大するため、平成16年度税制改正にあたっては、国際的な投資活動を支援するための環境整備が不可欠である。今般、およそ30年ぶりに日米租税条約の改正が行われることで、世界第一、第二の経済大国である日米両国間の投資交流を税制面から更に促進することとなる。これにより、日米両国において、雇用の創出、競争の促進等を通じた経済の活性化や産業構造の変革が期待される。また、日米租税条約の改正を契機に、わが国の租税条約に関する基本方針がより一層の投資交流の促進と課税の適正化の両面に配意したものに転換されたことを踏まえ、今後、他国との間でもこのような租税条約の見直しが進展するよう努めるべきである。同時に、新たな日米租税条約を実施する環境整備のため、国内法令を速やかに見直す必要がある。

(3)年金制度改革への対応

国民の安心を確保しつつ活力ある社会を構築するため、持続可能な年金制度の確立に向けた改革が議論されている。年金制度は、少子・高齢社会を支える重要な柱である。将来にわたり国民の信頼に応えられる年金制度を構築するためには、制度設計の前提となる経済社会の構造変化を的確に見通し、現役世代の活力を損なわない負担水準を念頭に、給付水準を聖域なく見直すことが不可欠である。あるべき年金制度の将来像を見据え、給付と負担の一体的改革を実現すべく、国民的議論を尽くさなければならない。今後の年金課税のあり方については、かかる年金制度の改革も踏まえ、世代内・世代間の税負担の公平を確保する観点から適正化を検討すべきである。

基礎年金の国庫負担割合を引き上げる場合には、安定した財源の確保が前提とされるべきである。現状でも、国庫負担額は高齢化に伴い急速に増大しており、その相当部分は国債によって賄われている。安定財源なき国庫負担割合の引上げは、年金制度に対する信頼を傷つけかねない。いずれにせよ、国庫負担割合の問題については、まずは給付と負担の総合的な改革を行う中で検討されるべきである。

(4)地方分権の推進

構造改革の重要な柱として、地方分権を推進し、自立した国・地方関係を確立することにより、活力と個性のある地域社会を実現していくことが求められている。また、地方の自律性を高めるためには、市町村合併の推進や地方に対する国の関与の廃止・縮減、事務事業の徹底した見直しなどによる地方行財政の効率化が不可欠である。

このような取組みと併せて、国庫補助負担金の改革、地方交付税の改革、税源移譲を含む税源配分の見直しからなる三位一体の改革を推進するべきである。このうち税源移譲を含む税源配分の見直しについては、平成18年度までの間に補助金削減とともに、基幹税の充実を基本に税源移譲する必要がある。今後、この方針に沿って、補助金改革の成果を上げ、税源移譲の実現を図るとともに、財源保障機能の縮小を含め地方交付税の改革を進めていく必要がある。また、地方が課税自主権を活用しやすくなるよう制度の見直しを行う必要がある。

5.「あるべき税制」の具体化に向けて

わが国経済社会はかつてない速さで少子・高齢化しており、人口は2006年をピークに減少に転じようとしている。また、急速にグローバル化が進み、個人や企業の国境を越えた活動が広がりを見せている。こうした中、将来、公平で活力ある経済社会を実現するため、個人所得課税の基幹税としての機能を回復するとともに、消費税の役割を相対的に高めていかねばならない。急速な構造変化に直面しているわが国経済社会の実態を的確に把握した上で、社会共通の費用を広く公平に分かち合うための「あるべき税制」の具体化について、国民的議論をより一層深める必要があろう。個人所得課税の諸控除や税率構造のあり方、消費税率が欧州諸国並みの二桁に引上げられた場合の軽減税率の採用の是非や仕入税額控除制度のあり方といった諸課題について、国民に選択肢を示しつつ、具体的に検討を進めていくべきである。

「あるべき税制」に向けての抜本的改革は、持続可能な社会保障制度の構築、国・地方のいわゆる三位一体の改革と整合性をとって行う必要があり、2010年代初頭のプライマリーバランス黒字化に取り組む上でも避けて通れない課題である。将来のわが国社会の基礎となる税制、社会保障、行財政のあるべき全体像を整合的に示し、国民の間に広がる閉塞感を打破し、公平で活力ある経済社会の構築を目指していかなければならない。

当調査会としては、このような観点から、わが国経済社会の現状と将来を見据えつつ、「あるべき税制」の具体化に向けた審議を進めている。

二 個別税目の改正

今後、上記の考え方を基本に、「あるべき税制」の具体化に向けた改革に取り組む必要がある。その過程にある平成16年度税制改正においては、個別の税目について以下詳述する課題がある。あらかじめその考え方を要約すれば以下の通りである。

(1) 年金制度における給付・負担の改革も踏まえ、低所得者に対する適切な配慮を行いつつ、公的年金等控除、老年者控除の縮減を図るべきである。

(2) 住宅ローン減税については、景気情勢に配慮しつつ、縮減すべきである。

(3) 個人住民税均等割について、生計同一の妻に対する非課税措置の廃止、税率の引上げ及び人口段階に応じた税率区分の廃止を行うべきである。

(4) 不良債権処理に係る税制面の対応については、以下の基本的考え方に沿って、具体化を図るべきである。

[1] 無税償却基準は、金融機関に与える影響を見極め、企業会計との差異が小さくなるよう見直しの具体化を図る必要がある。

[2] 16年間分の繰戻還付は、実質的に金融機関への公的資金の供与にほかならず、課税の公平性を著しく欠くものであり、到底とりえない。

[3] 繰越期間の延長は、産業構造の改革や不良債権処理の加速という政策課題に真に有効な措置となるかどうか、慎重に検討すべきである。

(5) 連結付加税については、財政状況を見極める必要はあるが、企業の事業再編の一層の促進を図る観点から、基本的には廃止すべきである。

(6) 新たな日米租税条約を実施する環境整備のため、国内法令を速やかに見直すべきである。

1.個人所得課税

(1)検討の方向

わが国の個人所得課税は、経済回復に資する観点から平成11年分から実施している定率減税を含め累次の減税の結果、主要国と比較して極めて低い税負担水準となっている。これまでのいくつもの答申において指摘してきたように、税負担の歪みを是正するためにも諸控除のあり方を見直し課税ベースを拡大するとともに、大多数の納税者が低い税率の適用のみで済んでいるという主要国の中でも特異な税率構造を是正せねばならない。かかる観点から個人所得課税の改革を進め、財源調達機能や所得再分配機能の回復に取り組む必要がある。

個人所得課税の改革にあたっては、まず、経済社会の構造変化に対応しきれず、結果として税負担の歪みや不公平を生じさせている諸制度を見直し、担税力に応じ、広く公平に負担を分かち合える税制を構築していくべきである。

(2)年金課税等

わが国の年金課税は、拠出段階では社会保険料控除の適用により非課税、給付段階では公的年金等控除などの適用により実質非課税となっている。このため、少子・高齢化に伴う社会保険料拠出と年金給付の増大により個人所得課税の課税ベースが侵食され、基幹税としての機能が更に減殺されるだけでなく、税負担の歪みを生じさせている。

公的年金等控除は、年金という特定の収入に適用される特別の控除である。その控除額も大きく、特に65歳以上の高齢者を経済力にかかわらず一律に優遇する措置であり、世代間のみならず高齢者間においても不公平を引き起こしている。

他方、老年者控除は、65歳以上の大部分の者に適用され、実質的に年齢のみを基準に高齢者を優遇する措置となっている。

これらの優遇措置の結果、65歳以上の年金受給者の課税最低限は現役世代の給与所得者よりも極めて高い水準である。少子・高齢化が進展する中、現役世代の活力を維持し、世代間及び高齢者間の公平を図る必要がある。このため、低所得者に対する適切な配慮を行いつつ、これらの優遇措置の縮減を図り、高齢者に対しても担税力に応じた負担を求めていかねばならない。

年金課税については、年金制度における給付と負担のあり方の改革も踏まえ、適正化を検討すべきであろう。

(3)住宅ローン減税

個人の持家取得を支援する租税特別措置である住宅ローン減税については、景気対策の観点から臨時異例の拡充がなされてきたが、平成16年分については現行(平成15年分)より縮減されることが法律上、予定されている。現行の制度を延長又は拡充すべきとの要望も一部にある。

しかし、現行制度により、相当の所得を有する多くの住宅取得者が長期間にわたり所得税額ゼロとなる。税負担の大きな不公平を招来し、また、所得税の空洞化を助長している。

本制度は、景気対策の観点からも持家取得という個人の資産形成に対して補助金を供与するものである。現在、住宅は量的に充足し、住替えや借家など住宅ニーズが多様化している。また、景気は本制度が大幅に拡充された当時に比べれば持ち直している状況にある。本制度については、政策目的や費用対効果を吟味の上、租税特別措置の整理合理化の一環として縮減又は廃止に向けて取り組む必要がある。現行の制度を継続していけば、将来1兆円程度の減収要因となることが見込まれており、財政への影響も考慮せねばならない。したがって、当面、平成16年度税制改正においては、景気情勢に配慮しつつ、現行より縮減すべきである。

(4)個人住民税

均等割は、地方公共団体による様々な行政サービスの対価として、広く住民が地域社会の費用の一部を等しく分担するものであり、負担分任の性格を有する個人住民税の基礎的な部分である。

しかしながら、均等割の納税義務を負う夫と生計を一にする妻は、いくら所得を得ていても均等割が非課税とされる。課税の公平の観点から、この非課税措置を廃止すべきである。

さらに、均等割の税率は、これまでの国民所得や地方歳出等の推移と比較すると低い水準にとどまっており、その税率の引上げを図る必要がある。また、市町村の行政サービスは人口規模別に見ても格差がなくなってきており、市町村民税における人口段階に応じた税率区分を廃止すべきである。

(5)金融・証券税制

平成15年度税制改正においては、「貯蓄から投資へ」という政策要請を受け、上場株式等の配当及び譲渡益、公募株式投資信託の収益分配金に対する税率が5年間10%に軽減された。また、投資家利便の向上のため、申告不要制度が導入された。当面、平成16年度においては、これらの措置の円滑な実施を図る必要がある。

将来の金融・証券税制のあり方については、金融商品間の中立性を確保し、簡素かつ安定的な税制を構築するため、金融資産性所得に対する課税をできる限り一体化する方向を目指すべきである。そのためには、金融資産性所得の範囲や税率、損益通算など多岐にわたる課題について理論的・実務的検討が必要である。納税者の利便と適正な執行への配慮も欠かせない。納税者番号制度など納税環境の整備を進めていくことが重要である。今後、かかる諸課題について、金融小委員会において検討を進めていく。

2.法人税

(1)不良債権処理と税制

わが国金融・産業の再生を図る観点から、金融機関の不良債権処理の加速と産業の構造改革の促進は重要な課題である。税制面の対応として、金融庁からの要望があるが、これについては、これまでの答申を踏まえ、以下のような基本的考え方に沿って、具体化を図るべきである。

[1] 無税償却基準については、全ての企業を対象に、税務会計の基本を維持しつつ、企業会計の取扱いとの差異が小さくなるよう必要な見直しを行うべきである。その際、不良債権処理の実態を踏まえ、無税償却基準の見直しが金融機関に与える影響を見極め、具体化を図る必要がある。

[2] 金融機関に対する16年間分の繰戻還付は、実質的に金融機関への公的資金の供与にほかならない。その政策目的が金融機関の自己資本充実にあるのであれば、公的資金の投入の是非やその条件について正面から議論して結論を出すべきである。金融機関に限って年間の法人税収にも匹敵するような巨額の還付を行うことは、課税の公平性を著しく欠くものであり、到底とりえない。一方、繰戻還付の凍結解除は、多くの金融機関にとり何ら効果がない。

[3] 欠損金の繰越控除については、金融機関に限った特例措置を認めることには課税の公平性の問題がある。また、一般的な欠損金の繰越期間の延長が産業構造の改革や不良債権処理の加速という政策課題に真に有効な措置となるかどうか、慎重に検討すべきである。いずれにしても、繰越期間は帳簿保存期間及び除斥期間と整合性がとれた制度とする必要がある。

(2)連結納税制度

企業グループの一体的経営の傾向を踏まえ、わが国経済の新たなインフラとして平成14年に連結納税制度が創設され、2年が経過しようとしている。同制度の申請件数は着実に増加しており、同制度は組織再編成税制と相まって、企業の事業再編を税制面で支える機能を果たしていると考えられる。

連結付加税は、制度創設に伴う税収減に対応するため、厳しい財政状況に鑑み2年間の措置として講じられたものである。財政状況を見極める必要はあるが、事業再編の一層の促進を図る観点から、基本的には廃止すべきである。

3.国際的な投資交流の促進

新たな日米租税条約が実施されれば、経済の活性化や産業構造の変革に寄与することが期待される。新条約を実施するための環境整備として国内法令の見直しを速やかに行うべきである。

今回の条約改正にあたり、国際的な投資交流の促進と課税の適正化に配慮して租税条約に関する基本方針が転換されたことから、新条約には従来のわが国租税条約にはなかった規定が盛り込まれている。具体的には、両国間で課税の取扱いが異なる事業体に対して適切な条約の適用を確保するための規定や、条約の特典を濫用する可能性のある者に対し条約の適用を制限するための規定が新たに導入されている。これらの規定は近年の国際課税を巡る状況の変化に的確に対応したものであり、今後、わが国の租税条約交渉のモデルとすべきものである。

新条約では、わが国の匿名組合を通じた租税回避行為を防止するための規定が導入される。今後、かかる規定を他国との条約改正にも反映させつつ、適切に対応する必要がある。

投資交流を一層促進するためには、投資家の納税に関する予見可能性を向上させ、投資のリスクを軽減させることが重要である。かかる観点から、新条約では、課税年度終了時から7年以内に調査が開始される場合に限って、移転価格課税処分が行えることとされている。更に、移転価格税制については、国際的なコンセンサスを反映しているOECDガイドラインに沿って新たな独立企業間価格の算定方法の導入が図られれば、納税に関する予見可能性が一層高まるものと期待される。

経済活動は、急速にグローバル化・多様化している。こうした中で、わが国の適正な課税権を確保する観点から、今後とも、税務執行面も含め国際課税の適正化を図っていかねばならない。

4.その他

(1)租税特別措置等の整理・合理化

「官から民へ」の改革が進む中、個人・企業の活動に対する政府の関与を見直すことが課題となっている。税制についても、個人や企業の選択に中立で歪みをもたらさないことを基本とすべきである。平成16年度においては、政策誘導的な租税特別措置・非課税等特別措置については、その目的や効果を十分に吟味し、整理・合理化を進めるべきである。

事業税における社会保険診療報酬に係る課税の特例措置については、税負担の公平を図る観点から、速やかに撤廃すべきであり、少なくとも段階的な見直しが必要である。

(2)課税自主権

課税自主権の活用は、地域における受益と負担の関係の明確化につながるものである。地方分権の推進を図る観点からも、これを更に活用しやすくなるよう、法定外税に係る国の関与のあり方について検討を進めるとともに、制限税率の見直しなど地方の税率設定の自由度の拡大を図る必要がある。

その際、租税体系の秩序維持及び法人の総合的な税負担の適正化の要請にも十分配慮する必要がある。

委員

どうもありがとうございました。

1カ所修文漏れがございまして、ちょっと口頭で申し上げますから、書き加えておいてください。5ページ目の29行目、「以下詳述」とありますが、「以下のように」の「のように」がちょっと落ちておりますので、入れてください。これは本日の午前中の起草会合までの議論を踏まえまして、いろいろなご意見をいただきまして修文いたしました。

これからこの総会で最終的にいろいろご意見を賜りたいのですが、全体として11ページございますから、全体として2つ大きく分かれているのですね。「基本的考え方」と書いてございます総論と、5ページ以降の「個別税目の改正」という各論と分かれておりますから、まず、総論のところからご意見をいただけたらと考えております。つまり、1ページから5ページ目の25行目までにつきまして、とりあえず議論を深めていきたいと思います。

どなたからでも結構でございますから、修文のご意見、あるいは質問でも結構でございますし、ご発言いただきたいと思います。午前中ご出席いただきました起草会合の委員の方も、直し方が不十分であるとか何か、お気づきの点がまたあればご遠慮なく。時間の制約もございますから、どうぞどなたからでも結構です。

どうぞ。

委員

それでは、意見としては、2ページ目の一番下に、歳入と歳出ということで、この間質問したことが非常に客観的に書かれておりまして、危機的状況にあるというのが長期債務残高のことで、その後は客観的に書かれてあるので、私はこれはこれでいいと思います。これは意見ですけれども。

ただし、次の3ページ目の4.の(1)の「財政規律の重要性」のところ、15行目ですが、ここの3行につきましては、必ずしも財政、つまり「経済全体の足枷」と言うときには必ずしも財政だけでないわけであって、ここも何か、くどいようですけれども、非常に確固たる理論、あるいは実証的な、あるいはシミュレーションが仮にあったとして、出さないということならそれはそれで結構ですけれども、そういうものなのか、そうではない、ただ単なる認識なのかということについて、ちょっと質問したいのですけれども。ここまで書き込むのであれば、やはりそれ相当の理論的なバックボーンがあるべきだと。でなければ、あえてここの3行を入れる必要性があるのかどうかというのはちょっと気になるところです。

委員

ご指摘の箇所は15行目、16行目あたりですか。

委員

そうですね。

委員

危機的状況にあると。

委員

ここは認識ですからいいですけれども……

委員

どこですか、具体的には。

委員

具体的にはその後になって。

委員

「貯蓄率が低下傾向にある中、この状況を放置すれば、いずれ金融市場、ひいては経済全体の足枷」、ここですか。

委員

ここですね。ここが、この間言ったように、クリティカルポイントがあるのだというある種の前提に立っていまして、これはある種のクリティカルポイントで、その相転移に向かうということが当然あり得る話だと思うのですけれども、それが一体フローによるものなのか、どういうもの、何が要因してそういうふうになっているのかということで、はっきりした理論的な裏づけがあるのであれば、それを書くことは必要ないと思うのですけれども、これは書いてもいいと思いますが、そうでなければ、その部分をやはり今後きっちりと、経済とか財政の専門家できっちりと今後も研究していただきたいと、そういう趣旨でございます。

委員

委員のおっしゃる、理論的根拠ってしばしばおっしゃられますけれども、これはモデルでもちゃんとした、がっちりしたものがあるかとか、あるいは何かシミュレーションして結果が出るとか、そういうことにとられているのですか。つまり、学会レベルの、何かアカデミックの成果ということをおっしゃっているのですか。それとも、一般的に理屈の世界で何か話が通ればいいよという程度なのですか。

委員

まあそれは非常に難しいところではあるのですが、ある種、大きな考え方の分岐点があるわけでありまして、そのときに一つの立場をとるのだというのは政治的な判断で、それはそれで構わないと思いますし、「あるべき税制」とか、非常によくできた形で今のこれがありますから、これはこれでいいのですけれども、さも何か、あたかも、こうなればこういうふうになるというような書き方になっておりまして、それは一研究者としては非常に気になる表現だということです。

委員

我々も研究者をいっぱい抱えておりまして、財政、マクロ経済学等々でございまして、それから実際に金融の専門家がおりますし、個々の業績を積み上げれば、ここに書いてある2行ぐらいのことはすぐ立証可能だと思ってます。ただ、税調としてモデル分析までして、シミュレーションまでして結果を共有するということはしておりませんが、おそらく、主たるそうそうたる経済学者の方に語らせれば、その理論的根拠はすぐ出てくるし、まして、貯蓄低下傾向のご指摘のところですが、これは1,400兆円あるという個人金融資産がどんどん減ってきておりまして、これは当面、国債を発行し続ければ長期金利が上がって、クラウディングアウトが起こってというような話ですね。これはもうすでに、この辺あたりはモデル分析も可能だと思いますが、ご懸念のことは、税調全体としての機関決定まではいっておりませんが、ベースにはベイシックな理論的な公式があって皆さんご発言いただいていると。そういう意味で、何もなくてしゃべっているということではないと、そう思っていますので。

委員

そういうふうに言っていただければ、それはそれで結構です。

委員

わかりました。それは保証いたします(笑)。

委員

ありがとうございます。

委員

もっと細かいのは、今日は専門家、井堀さんもいるし、いっぱいいますから、言わせますから。ほかにございますか。

どうぞ。

委員

あまり専門的なことではありませんが……

委員

専門的でないのも重要なのですよ。

委員

3ページの19行目の後段から、「このためには、まず徹底した行財政改革を進め、歳出の無駄を」となってますが、行財政改革と歳出の無駄というのは若干次元が違うような感じがするわけです。行財政改革が1つあって、歳出の無駄が1つあると、そういうことではなかろうかと。

委員

これ、離れているのですけど。「進め」でカンマを打ってある。これは1、それから「歳出の無駄」が2ですから、おっしゃる趣旨のつもりで書いてますが。でも、修文のことで何かあれば。

委員

普通、一般の国民が読むときには、「進めるとともに」とか言わないと。

委員

そういう意味ですか。わかりました。

どうぞ。

委員

私も同じところを指摘しようと思ったのですが、「歳出の無駄」という表現が意図されている表現とすると非常に、今望まれているのは、無駄はもちろんやめなければだめだし、それだけではなくて、今までの延長線における支出構造というのを直していかなければいけないのではないかということが行財政構造改革の趣旨だと思いますのに、無駄だけ取り上げているというのは、せっかく前段でやろうとしている方向を出しながら、結果のほうは小さなことだけを指摘している、当たり前のことを指摘しているということになってますので、私は、もしよろしければ、「歳出の構造的な見直しを実現することが不可欠である」とか、何かそういうふうに変えられたほうが真意が出るのではないでしょうかということが1つ。

委員

そうですか。中央の歳出には無駄が多いと、皆さん、我々信じてますから、どうしても無駄、無駄と出てくるのですよ(笑)。これは委員にすると心外かもしれないけれども。

委員

非常に心外です(笑)。

委員

ただ、修文は、じゃ「進めるとともに」というのと、ちょっとこの修文、考えさせていただきます。それで、歳出の構造改革ですか。

委員

「構造的な見直し」。

委員

ちょっと後ほど議論してみます。

委員

もう一つ、すみません。5ページの3行目、「基幹税の充実を基本に税源移譲する」という、意味が、例えば税源移譲した場合に、住民税を大きくするということは、住民税の、地方税からすると充実なのですけれども、まず税源移譲ですから、これは一般的には「基幹税を中心に」でないですか。「基幹税の充実を基本に」と言うと、一旦所得税を高くして……

委員

そうですね。ちょっと変な日本語ですね。これは、今ご指摘のように、ちょっと日本語としておかしいですね。おっしゃるとおり。

どうぞ。

委員

閣議決定の文章どおり。

委員

「基幹税の充実」と書いてあるのですか。

委員

ええ。閣議決定はそうなっているはずですよ。

委員

そうですか。じゃしようがないなあ。何となくおかしいですね。仰せのとおり。閣議決定のようでありますから、これはまさに業界用語になっているようでありまして。何となくおかしいですね、おっしゃるとおりね。「基幹税の充実を基本に」。そうですか。

委員

閣議のほうがおかしいのではないですか。

委員

我々として、おかしければ直したって構わないのではないですか。閣議に縛られることないですよ。

委員

我々地方機関は、「基幹税を中心に」という言い方をしてますけどね。

委員

例えば消費税の引上げとか、そういう将来に向かっての意味が含まれているのではないですか。

委員

そうか。なるほどね。どうぞ。

事務局

ちょっと事務方のほうからやや解説的なことなのですが、この文言は、まさに閣議決定のときの文言をそのまま引っ張った形の言い方になってまして、これが一応共通認識という言い方ですけれども、確かにちょっと一般的にわかりにくいといえばそうなのですが、一応これが共通の語になっておるものですから。

委員

そうですか。今、委員の解説だとわかるのですね。要するに、基幹税というのは所得税、消費税、法人税で、基幹税の充実ということは消費税率を高めるというのを含んでいると理解すれば、充実ですよね。多分。そういう理解なのでしょうが。ただ、我々が勝手に直すというのもちょっと難しそうですなあ。ただ、ご指摘はわかりました。

委員

行かなければいけないので、1分でいきますが、8ページのところにちょっと飛びます。ごめんなさい。7ページの終わりで、「住宅ローン減税」ですね。これはずうっと読んで、なかなかよく書いてあるなと思うのですけれども、ずうっと書いてきて、最後の1行はなんか拍子抜けするのですね。ここまでちゃんとあるのに。「大胆に」とか、「大幅に」とかないと、ここまでの勢いが何もなくなってしまうような感じが(笑)。おお、いいなと思ったら、最後にひょっと、なんか拍子抜けですね、最後の1行のところがね。その辺はもうちょっと強調したらいいかなと。よろしくお願いします。

委員

ここだけですか。

委員

ただ、今のその問題というのは非常に重要な問題で、景気刺激対策かどうかという問題、この前も出ていたけれども、そういう効果があるかどうかよくわからないということと、それから業界への配慮がいろいろ行き届き過ぎているのではないかということ。県の住宅供給公社ももう住宅余っているしね。だから、ここはきちんとやったほうがいいと思います。

委員

ありがとうございます。ほかにいかがですか。

どうぞ。

委員

先ほどに戻って申しわけございませんが、3ページの「歳出の無駄」云々というところがございますけれども、これは無駄かどうかは我々わかりませんので、「透明性を高め」というような表現ができましたらと思いますが。

委員

「透明性を高め」ね。はい。

どうぞ。

委員

2ページですが、16年4月から実施される項目がずっと挙がっているわけですけれども、その最後に、「不可欠な措置であり、着実に実施するべきである」というのは、念のために書かれているわけですけれども、意図もよくわかるのですが、何となく後戻りするみたいな動きがあるから書いているみたいな印象を与えかねない、そういうおそれはないのですかという。

委員

これは起草会合でも同じご指摘がございました。もう決まっているなら書くことないではないかと。ただ、そのときの担当の事務の方のご説明では、消費税の総額表示、今いろいろ、とうとう業界あたりで問題が出されておりまして、それが完全に実施できないことはないとは思いますが、その辺がまだもやもやしているので、ちゃんとやってくれということのようですが、この点、事務局心配事あるの?

事務局

心配事と申しますか、ここに消費税の話だけではなくて、そのほかの話も含めて書いておりますけれども、ものによりましては、各種団体からの税制改正要望のようなもので、昨年改正しましたことを見直しすべきであるというような要望もあることも事実であります。ただし、私どもとしましても、昨年十分ご議論いただいた上で、それぞれ「あるべき税制」のために必要な措置ということで、ここにお書きいただいている非常に不可欠な措置であるという認識で実施をしたものでございますので、執行当局も含め叱咤激励をしていただく意味でも、こういった言葉を入れていただければと思っております。

委員

そういう趣旨で、私も、まあそうかなと思ってます。

どうぞ。

委員

「少子・高齢社会における税制のあり方」のほうでは、プライマリーバランスは「均衡化」ということだったのですが、今回、「黒字化」という形で一歩踏み込んでますが、この趣旨はどういうことなのでしょうか。

委員

これはよく諮問会議が使う言葉なので、時々「均衡化」、時々「黒字化」なのですけれども、私が見ていた範囲では、2010年という段階で「均衡」を言い、その後、初頭に入ってから「黒字化」と言い出してますね。だから、ちょっと時期がずれているのですよ。だから、その辺はおそらくそれなりの意味を持って使っているのではないかと。金融経済財政政策担当大臣などの話を聞きますとね。これは、初頭ということはおそらく12~13年の感じですよね。だから、10年ごろに均等化して、12~13年ごろに黒字化かどうかわかりませんが、そういうニュアンスになったのだと。時期をずらした分だけ黒字化ということになったのではないかと私は理解してますけどね。

どうぞ、事務局。

事務局

今、委員のほうからご指摘いただいた、6月の中期答申がまとまった後に閣議決定で、6月27日に「基本方針2003」というのが出まして、そこでの表現が「国と地方あわせて、プライマリーバランスを2010年代初頭に黒字化する」というふうになっております。それを事務当局としては案では使わせていただいたということでございます。

委員

ほかにいかがでしょうか。どうぞ。

委員

4ページの(3)で、「年金制度改革への対応」と書いてございまして、これはもう前年度、前々年度からも検討されてきていることですし、「持続可能な年金制度の確立」はそれで結構だと思いますけれども、「給付水準を聖域なく見直す」ということを書いておりますのと、それから財源確保のところで、20行目ですけれども、「安定した財源の確保が前提」と書いてあります。これを読みますと、そのとおりという感じがしないでもないのですけれども、「安定した財源の確保」と言ったときに、その背景には消費税があるのではないかと思われます。

それで、5ページの16行目のところですけれども、「消費税率が欧州諸国並みの二桁に引上げられた場合の」と書いてございまして、ヨーロッパ並み2桁というご意見がこの間も出ていたのだろうと思いますが、そういうことになりますと、4ページの18行目のところの後ろのほうで、「国民的議論を尽くさなければならない」と書いてございまして、この保証がここに書いてあるということで、どの程度あるのかということがちょっとわかりにくいのと、国民的議論を尽くす場合に具体的な方策が検討されているのかどうか。これは国民的議論を尽くさなければなかなか合意は得られないという、そこはわかるのですけれども、具体的にはどういうことが検討されているのかがこの文章ではちょっと見えないものですから、お教えいただきたいと思います。

委員

「国民的議論」ってしばしば使う言葉なのですが、税調では、特に私などは対話集会みたいなことを考えているのですね。過去2年間に合計で16回やったのかな。そういうわけで、随分、毎回200~300人の人が集まって、そこで議論して、十何回というと3,000人ぐらいの人の意見を聞いてくる。つまり、アンケートしますから。そういう形でいろいろ議論した結果、もう消費税値上げで、安定した財源を踏まえて、年金を持続あるものにしなければいけないというのは大体過半の意見になっておりますので、我々としてはそれだけの情報というか意見を交わした後にこういうものができていると理解しております。

ただ、「安定した財源の確保」というのは、これはまさに、たしか法律で書かれている話で、これは基礎年金の例の3分の1、2分の1の問題でございますから、これはそっちのほうの話なのですが、裏には消費税が結びついているのはおっしゃるとおりであります。

それから「給付水準を聖域なく見直す」ということは、後でも、年金課税のところで出てきますが、高齢者でも高額所得者の方ですね。その方々がまた年金だけで生活している、言うならば低所得層の方と全く同じような形で、年金というところで同じような控除等々、非常に寛大な待遇を受けているということを少し見直したいと。少しだか大幅だか知りませんが、後で年金課税のところでそのことは少し書いてございますので、そういうニュアンスでございます。

それから消費税、2桁に引き上げるべきというのは、この6月の少子高齢化の「あるべき税制」にはっきり書き込みまして、我々の税調としては、委員が来られない前に決めてしまったので、どれだけ責任の問題になるかわかりませんけれども、税調としてそういう方針だということは一応基本的なベースになっております。ほかにいかがでしょうか。

どうぞ。

委員

2ページの最初のところ、22行目ですか、「不可欠な措置であり」という、今さっき問題になったところですけれども、当面、私は、外形標準課税というものについては、将来、消費税が導入されたときにはとってかわるべきものであろうと考えておりまして、今当面は不可欠、これはやむを得ないと思うのですが、将来変わる可能性というものはないのでしょうか。

委員

消費税というのは国税の世界のことをおっしゃっているのですか。それとも地方税の……

委員

地方消費税という形に持っていけるか。逆に国税から分配されるということもあると思うのですけれども、そのやり方について……

委員

それは多分、「あるべき税制」で考えているストーリーではないですね。

委員

それは外形標準課税については……

委員

外形標準課税というのは、まさに法人事業税という所得基準のものをいわゆる外形にしたわけですね。それは、ご存じのように、結果的には付加価値税という所得をベースに、所得ベースの付加価値税であるという側面を持ってますけれども、それは地方税の世界である修正を行ったわけですね。国税の世界での、言うなれば消費税というのはあくまで消費ベースの消費税でありまして、まさにそこで屋上屋を重ねているからどこか統一しろという議論が今後出されて議論するのは大いに結構だと思いますが、ここで、「あるべき税制」と言ったときには、そういうリンクは考えておりません。

だから、とってかわる等々の話ではなくて、法人事業税を外形化しただけの話ですからね。だから、地方消費税の話は、今度消費税率が5%から例えば2桁になったときに、今ある5%分の1%分が10%分の2%になるという世界で地方消費税の議論はできてくるかと思いますが、これも関係ありませんね。この外形とは。いや、ご主張があるのはわかりますが、それはいずれまた、次への段階としてそういうご意見があっても構わないと思いますが、ただ、「あるべき税制」ではそういう議論をしなかったということです。

それでは、もう少し広げたほうがいいと思いますから、個別の税制のほうにも絡めた議論になっておりますので、5ページ以降、最後のほうまで全部カバーして、いろいろご議論があればと思います。そう言ってしまうと広過ぎるかな。じゃとりあえず、所得税が大きな固まりになっておりまして、8ページの28行目までつながっておりますから、「個別税目の改正」の中の所得税の部分まで含めて、ちょっと前段の総論の部分とあわせてご議論ください。特に所得税のほうは、年金課税があったり、住宅ローンがあったり、金融・証券があったり、いろいろご関心のところもあります。

どうぞ。

委員

個人住民税のところ、6ページの(3)のところと、それから、同じですが、8ページの9行目のところ、夫と妻という用語が出ているのですが、これはこれで大丈夫なのでしょうか。要するに、逆に妻が働いていて夫が専業主夫の場合のケースは想定してないのですかね。

委員

これは古い古い法律がそのまま来ているのでしょうけれども。

どうぞ。

事務局

これは法律上の規定になっておりまして、妻という、わりと数の少ない立法例の、昭和25年以来続いておるということで書いております。

委員

すでにそれ自体が古いということですね。今、委員の言うように、夫がうちにいて……

事務局

法律上は女性のほうだけをやっておりますけれども。

委員

それは一種の差別ですなあ。

事務局

それは、昭和25年の時点においては働いている女性というのはほとんどいなかったということでございます。

委員

そういうことも含めて、これはもう古いという感じですね。納得しましたか。私も、法律的には納得したけれども、現状は何やらちょっとおかしい気がする。

どうぞ。

委員

なんか役人的な表現で恐縮ですが、そこのところの最後に、「市町村民税における人口段階に応じた税率区分を廃止すべきである」と書いてあるのです。8ページの「個人住民税」の最後。これは市町村民税における人口段階に応じた税率区分、均等割についてだけですよね。何も所得割についてこんな……

委員

いやいや、これは均等割のことを言っているのですよ。「さらに、均等割の税率は」という以下の文章ですから。

委員

いいのですか、これ。

委員

結構ですよ。

委員

均等割で読めますか。

委員

読めます。ただ、何か入れたければどうぞ。

委員

なんか誤解をね。よく我々言われるのは、地方に行ったら税金が高いのでしょうとか、いまだにそういう言われ方をすることがあるわけですよ。

委員

だったら、ご心配のようなことがあるならば、「市町村民税均等割」と入れましょうか。

委員

すみませんが。

委員

いや、そのご心配があって、委員がそういうことで頭悩ませるのも非常に申しわけないから、入れましょう。

委員

恐縮でございます。

委員

いやいや、それは我々の気がつかないことだから。こちらの委員もそのほうがよろしいですか。

委員

はい。

委員

じゃどうぞ。

委員

短い時間に本当にすごくいいのができているなという全体の印象ですけれども、1つだけ気になるのが、前半の部分と、所得税だけに限らないのですけれども、後半部分は、この「あるべき税制」に対しての前半でこれが出てくるのだったらいいですけれども、最初の質問とも関連しますが、これは「財政規律の重要性」ということから来ているわけですね。であれば……

委員

いや、そればかりではないですね。

委員

であれば、「廃止すべき」だとか「縮減すべき」だとかいう表現はさらに踏み込んで、「廃止し、税の増収を図るべき」だとかいうところまで書き込んだほうが、つまり、前半の評価のところにもかかるのですけれども、アイテム一個一個で、繰り返して言いますけれども、極めて今重要なときであって、これは次のステップへいくために一つ一つ着実な一歩を示すという意味で、そういうことを書き込んでいったほうがいいのではないかという意見ですので、誤解のないように。

委員

具体的にはどういうところをイメージされているかわかりませんが、例えば控除を縮減すると言ったら増税ですよね。それから住宅ローン減税の幅を少なくすると言ったら、これも増税ですよね。だから読めるので、一々しつこく、税金をとるよとるよというのは、我々、言わんでもわかるだろうと思って書いてないのですよ。

委員

わかりました。全体の認識としてそういうものがあれば、もちろん結構です。

委員

奥ゆかしく書いているのですね(笑)。

委員

その辺の美意識まで。

委員

ええ、ちょっと美意識まで、皆さん非常に持っているものですから、品のないのはあまり書きたくないと。

委員

私の認識もちょっとご理解いただきたいのですけれども、今は増税だけではなくて、税の増収につながるということがクリティカルだということで。

委員

まさにその辺が片方にあると同時に、やはり「あるべき税制」というのは税制の歪みを直したくて、それがないと公平・中立な良い税制ができないから、副産物として増収になるというルートも考えているのですよね。結局、歪み、ひずみをなくすことは増収につながることが多々ありますから。そういうことでご理解いただければと思いますし、これは、見せたら、もう記者諸君は、増税オンパレードと書きますよ。そんなこと一々書かなくても。書いたらもっとギラついてしまって、これはどうもならないと言われますよ。ほかにいかがですか。

どうぞ。

委員

住宅ローンの問題ですけれども、7ページ、24行目、「相当の所得を有する多くの住宅所得者が長期間にわたり所得税ゼロ」と書いてあるわけですけれども、その「相当の所得」ということが、ここで討議されましたのは1,000万という数字が出ておるわけですよね。1,000万は高過ぎるのではないかというのをこの前私ご指摘したわけですけれども、その辺の問題と、それから次のページですけれども、将来1兆円程度の減収要因になることが見込まれると書いておりますけれども、住宅が約10万戸、実質としてはこの減税によって増えておるという現象があると私は聞いております。そうすると、それから得られる消費税だとか、それから固定資産税だとか、住宅が建っていけばそういう税金も、収入が増えるわけですよね。その辺を差し引きされて1兆円という数字が出ているのか。

委員

いや、違います。これはもう住宅ローンの今ある500万、10年間をやっていけばというか、そのあることを増やして付随的にいろいろ税収があるからチャラにしろという計算は、実際できませんから、してません。

委員

でも、波及効果ということはやはり考える必要はないのですか。

委員

ありますよ。ですから、税収の計算のときには、そのある特定の税制の税率をいじくったり控除をいじくったりした結果、どういう余波があるかと、まずそれを決めませんとね。後の波及等と言ったってその波及っていいかげんですからね。計算においては。したがって、これはおっしゃることを入れておりません。これは当然です。

委員

でも、住宅ローンのこれは景気をよくするために減税が行われたのではないですか。目的というのは。

委員

という要素もあるけれども、そればかりではないでしょう。つまり、持ち家政策を大いに充実させるためにやったとか、これはこの間も議論になりましたけれども、幾つかの複合的な要素が入ってますから、何も景気の話だけではありませんよ。ただ、今ある大きな幅は、小渕さんのときは確かにそれをやりましたけれども、そうではなくて、元来は持ち家政策のほうと僕は理解してます。

それから「相当の所得」は、別に1,000万とか900万とか考えてません。それはまさに委員のご指摘がありましたから、「相当の」という意味は、例えば一般の課税最低限300万としたらその倍ぐらいになっているとか、それも「相当」だと思ってますから、別にその辺は規定しないために「相当」としたのです。それはご指示に沿った修文とご理解ください。

どうぞ。

委員

8ページの25行目ですが、「納税者番号制度など納税環境の整備を進めていくことが重要である。今後、かかる諸課題について、金融小委員会において検討を進めていく」。納税環境の整備の問題も金融小委員会でご検討いただくということになるわけですね。

委員

はい。金融小委員長、抱負はあるかい?(笑)

委員

国民的に実現することにかなりそれなりの抵抗がありますので、ぜひ皆様のご協力をお願いいたします。

委員

選挙運動やっているみたいだな(笑)。ほかにいかがでしょうか。もう全部後ろまでカバーしていただくようにしましょうか。法人税、あと国際的な課税の問題等々、その他もございますので、ちょっとオープンにしましょう。お気づきの点、どこからでも結構です。前に戻っていただいても結構です。

委員

10ページの10行目の「匿名組合を通じた租税回避行為」の件ですけれども、「新条約では」云々。これはまさしくそのとおりですが、この租税回避行為を防止するための規定が導入されただけで、先日ご指摘されたような匿名組合に対する一つの手がかりができたとは思いますけれども、これで済んでしまったという印象を与え過ぎてはいませんでしょうか。

委員

ですから、当然のこと、こういうものを踏まえて国内法のほうでもしっかりやるし、租税条約上もしっかり加味したといったことが入っている。まさにおっしゃることは十分に配慮して書いたつもりなのですが、さらに何か強めてこれを頑張れよというような趣旨のことを書き入れることは可能だと思いますが、何か具体的にございますか。

委員

いや、私は能力ありませんので。

委員

いやいや。そういう配慮はわかりました。じゃこれは後で専門家も交えて少し議論したいと思います。ほかはいかがでしょうか。よろしゅうございますか。

委員

すみません、また。診療報酬、書いていただいていることは非常にありがたいのですが、10ページから11ページにかけてでございますけれども、これはもう政府税調の年来の主張ですが……

委員

ええ。もう十何年やっているのじゃないですか。

委員

いつも自民党税調でうまい具合にいってないのでありますけれども、今年の見通しはあるのでしょうか。

委員

僕も聞きたいのですよ。

どうぞ、事務局。

事務局

今ご指摘ありましたように、この制度は国税のほうではいろいろご努力があって、概算経費率とか、そういうものが入っておるわけでございますけれども、地方税、法人事業税、個人事業税、両方とも実質非課税ということで、大変重い宿題であるということだと思っております。今年度の中の項目ということで挙げさせていただいておりまして、これはここ数年ずっとこういう形で宿題ということでございますので、当然旗をおろすというようなことは全くないわけでございますけれども、今すぐ直ちに16年度の見通しということのお尋ねにつきましては、もちろんこれからでございますけれども、相当厳しいものがあると思ってございます。

委員

旗を掲げたはいいけれども、ぼろぼろになってきたのじゃないですかねえ。もう十何年たって。もうちょっと新しい旗を掲げ直すかとか、なんかちょっと作戦が必要かもしれませんが、委員は、見ていて歯がゆいわけですなあ。何か地方のほうからもアクションが起きないのですか。

委員

なかなか容易でないですけどね。

委員

容易でないと言うけれども、それはやっていただく……。これは、問題は医師会ですか。

委員

そうですね。書いておいていただいた上で、どういう手立てを講ずるかというのは。我々もお願いするばかりではいけませんから。知事会長も「行動する知事会」と言ってますから、こういうのも一つかもしれません。恐縮でございます。

委員

ほかにいかがでございますか。よろしゅうございますか。

どうぞ。

委員

言うのをやめようかどうかちょっと考えていたのですけれども、財政規律のあれですが、来年度予算ができ上がったときの新聞の見出しとか、テレビが何言うかとか、ずうっと考えていたのですが、もし5割切ったら、もうほとんどそれに集中して、大騒ぎになると思うのですよ。

委員

毎日新聞はそうですなあ。

委員

いや、別に毎日新聞……朝日新聞も。それで、やはりここで税調としては、5割は切っちゃいかんぞというのを言ったほうがいいのではないかなあと思うのですが、もろ刃の剣で、余計なこと言うなという感じもしないでもない。そこら辺どうなのでしょうか。僕としては……

委員

それに近いニュアンスのことは書いてあるつもりなのですがねえ。

委員

それは読めばわかるのですけれども、それをはっきり、5割は絶対切っちゃいかんぞというのを言ったと言わないとでは随分印象も違うし、世間というか、政治家というか、予算を実際やるときの心構えも違うしという感じがあるのですが。

委員

かもしれませんね。僕は2つ問題だと思うのですよ。5割、そういうふうにはっきり言ってしまったときに本当に自信があるかねということですなあ。財政当局に。これは、仄聞するに、だんだん腰が引けてきたようなところもないことはないので、かえって声援送ってひいきの引き倒しになってはというのが1つ。

それから3ページ目の24行目あたりにかけて、23行目、24行目に「5割を辛うじて上回る程度になっている現状や」等々踏まえて、財政規律に最大限配慮するという形で、まあ間接的に5割は守らせたいなというような一応の書き方になっているのだけれども、それでは弱いということですね。

委員

弱いですよ。弱いし、いろいろ思うと、できなかったときどうするのだということまで心配する必要あるのかどうかですが、税調としては5割は……ただ、5割でいいのかというと全然だめなわけですからね。そもそもが。だから、7割8割に持っていけと言っているわけだから、そこのところは非常に矛盾はあるのですが、16年度に限ってみれば、確かにそこのところは結構注目されるところですので、という意味です。

委員

どうぞ。

委員

今の5割論ですけれども、ここで書いてあるのは予算ですか、決算ですか。

委員

予算でしょう。

委員

予算で5割超えていればいいということですか(笑)。今年の、今9月かそこら辺までの税収状況あるのですけれども、それはどうなっているのですか。国税は。

委員

事務局、どうぞ。

事務局

9月までの税収はまだ全体の3割程度しか入ってきておりません。41.8兆円という予算に対して3割でありますので、今後の動向を見なければいけないのですが、今のところは、経済もこういう状況ですので、巡航速度で入ってきているというふうには思っております。

今の5割の話ですけれども、実は15年度予算は82兆円の歳出に対して42兆円の税収ということで、ぎりぎり51.1%になっているわけです。16年度これがどうなるかという点については、8月の概算要求で、歳出が86.5兆円でございます。これがどこまで査定で削減できるか、社会保障の当然増ですとか、国債費も金利が上がってかなり増えるのではないかというような話があります。

一方の分子のほうの税収は、これからの経済見通しですとか、増減税の結果を織り込んでいく必要がありますが、いずれにしても、この15年度の41.8兆円、約42兆円のところがベースになりますので、名目成長率が0%の上下しか動いてないような状況でどんどん増えるという状況ではないと思ってます。

したがいまして、分母が86.5-α、分子が42±βというふうに考えると、この5割を上回れるか下回るか、非常にぎりぎりの状況で、大変難しい作業を今しているのだと思います。この5割の目標自体は、歳出と歳入、両方が決まらないと固まらないものですから、厳密な意味でルールとか数値目標として設定されるとちょっとつらいところもございまして、非常につらい状況であるということを認識して、頑張れというメッセージまではありがたいのですけれども、これはルールにして、5割切っちゃいかんと言われると、またマーケットへの影響も一方でありますので、この辺の表現が一番ありがたいなあと事務当局は思っております。

委員

わかりました。委員、何かあります? 今の。

委員

細かい話ですけれども、対前年比で30%の、対前年比は100を超えているのですか。そこだけ教えてください。

事務局

税収の対前年決算に対する割合が95ですが、30進捗しているところでの比率は対前年98ぐらいであります。ちょっと上回って推移をしております。

委員

どうぞ。

委員

今の話は字に書くのはいろいろ考えなければいかん要素もあるということはよくわかるのですけれども、これこそまさに、答申を総理に渡すのがいつの段階でも構わないと思うけれども、会長が、おれの意思はそういうことにあるのだと。数字は入れてないけどね。その線で頑張ってくれよということを、国民にもそんなこともわかってくださいねと、その上で増減税の、我々、見通しを立てているわけだからということを、これは会長談話しかないと思いますね。それをきちっとしたときに言ってもらえば、書いてないけれどもどうなのだと突っ込まれたら、いや、そんなことは書くまでもないとか、いや、それは当たり前のことなのだとか、しかし、その線で頑張ってもらいたいよということを言ってもらう必要がある。

委員

過去の記者レクでは1~2回言っているので、新聞には二三紹介されているところもあるのですが、ただ、委員の言うように、これを割ったらけしからんぞというところまで言ってないのですよ。一つの目標にせいというぐらいで。だから、今事務局が言ったような感じのトーンがここでありますので、この辺がいいかなと思いますが、何か重ねてございますか。

委員

いや、別にけしからんと言っているのではなくて、どうやったら一番、5割超えるのに協力できるだろうなと、こういう話なのでして、というのは、こんなになってしまったのは、現会長以前の税調がだらしないからこうなってしまって(笑)、半分もとれないという状況になってしまったと僕は思っているのですよ。

委員

現会長はそのときのメンバーだよ(笑)。

委員

いや、だれがということはないけどね。ただ、何と言うのか、何が責任あるかと思うことであって、だから、ここに書くと、主税の人が一生懸命縛られるという認識はしようがないのだけれども、そうではなくて、基本的にこれは首相に出すわけですから、あんたが5割の責任持つのよという意味で書いたらどうかなと、こういうことです。

委員

じゃ首相に会ったときに口頭で、そういう意見が非常に強かったと言っておきますよ。書くのはちょっと大変だろうという気も。

どうぞ。

委員

お気持ちは私もそれなりに共有するのですけれども、本当はある委員がおっしゃるべき話のような気もしますが、5割という数字を予算とかそういうところで出すと、逆に予算の技術というものでどんどんいろいろと工夫ができて、結果として、予算の中身が国民から見えなくなるという問題もあるのですね。ですから、そういう意味で言うと、ある特定としての、特定の5割ということにこだわることを、少なくとも口頭で申し上げるということでも、言うことが、今度は財政当局にそれなりの縛りがかかると思うので、そういう意味で言うと、やはり2010年初頭のプライマリーバランス黒字化ということが非常に大事なのであって、そこに向けてきちんとした道筋をつけてほしいのだという、要するに長期の目標ですね。これだったらできるわけですし、それに対する道筋ということであれば、できるだけ具体的な方向ということであればそれは言えるわけですから、そういうことで、5割という意見もあったけれども、それはともかくというぐらいでおっしゃっていただくのが一番いいかなと思います。

委員

まあそういう格好でやらせていただけるほうが、事務当局にとっても、我が税調にとってもいいかなあとは思ってます。ほかによろしゅうございますか。

それでは、ちょっと時間があるので、主な意見のほう、3ページほどなので、ちょっとこれもお目通しいただいたほうがいいかと思いますけれども、ちょっと事務局、申しわけないけれども、読んでいただける?

事務局

答申に盛り込まれていない主な意見

今回の答申の審議過程において、以下のような主な意見が出た。

経済・財政状況

イ プライマリーバランスの黒字化は経済の回復が前提であり、当面、税制改正が景気の足を引っ張ることがあってはならない。

ロ 増収措置を講ずるにあたっては、経済活動ひいては税収に与える影響も予測した上で改正を検討すべき。

ハ 現在の経済・財政状況を踏まえると、減税をすれば勤労意欲や活力が刺激されるということはなく、逆に増税による財政収支の改善が活力につながるという見方もある。

二 財政規律の具体的メルクマールについて国民の理解を得るためには、理論的・実証的な理由付けが必要。

ホ 景気低迷がまだ続いているので、財政からの刺激を引き続き行うべきである。

年金制度改革

イ 国民の負担を求める改革を行うためには、社会保障や財政に関するこれまでの政策的取組みについて説明責任を果たすことが必要。

ロ 人口推計に関して、合計特殊出生率の実際の動きやその決定要因について十分な分析・検討が必要。

ハ 年金制度の議論にあたっては、国民年金保険料の納付率低下への対応についても幅広い観点から議論すべき。

個人所得課税

基本的考え方

イ 定率減税については、基礎年金の国庫負担分見直し財源の議論とは関係なく、直ちに廃止すべき。

年金課税

イ ほとんどの企業年金は選択により退職一時金として受けることが可能となっていることから、退職金課税との整合性にも配意する必要がある。

ロ 賦課方式的要素が強い部分と積立方式的要素の強い部分では、望ましい年金課税のあり方も異なる。

ハ 給付段階で実質課税となる場合には、運用段階における課税の見直しも検討する必要があるのではないか。

二 公的年金は拠出段階で非課税とされている以上、給付段階での非課税は実質的には補助金であり、見直すべきではないか。

(金融・証券税制)

イ 株価を上げるためには、個人投資家を株式投資に引きつけるための税制上の手段を考えるべき。

ロ 個人の株式投資促進については、税制よりも、株式の価値を高める企業の努力や証券業界が信頼性を向上させることが重要。

(住宅ローン減税)

イ 住宅建設の経済効果は大きく、また、住宅取得を支援する観点からも、引き続き重要。

ロ 住宅ローン減税は、住宅支援策としての効果も他の施策に比べれば小さいので廃止すべき。

均等割

イ 個人住民税の均等割については、道府県民税分を廃止し、基礎自治体である市町村分のみとすべき。

消費税

イ 平成15年度改正で措置された総額表示の実施にあたっては、消費者の税負担が明らかになるようにすべき。

ロ 税率の引上げに際しては、国民の理解を得るために社会保障支出の増大との関係を明確にするよう工夫すべき。

ハ 消費税を目的税とすることは財政の硬直化を招く等の観点から適当ではない。

法人税

イ 金融機関の不良債権処理については、税制面の対応と金融行政上の対応は関連しており、全体として不良債権処理の促進に資するよう措置を講じることが重要。

ロ 銀行業は決済システムの担い手、多数の預金者の存在といった点で特殊性を有している。金融システムの安定化を図るための対応が必要であれば、税制に頼るのではなく、公的資金の投入を含め金融行政上の対応を正面から検討すべきである。

ハ 欠損金の繰戻還付の凍結措置は、厳しい財政状況などを踏まえ講じられているものであり、引続き財政状況が厳しい中でこれを解除することは適当でない。

二 欠損金の繰戻還付の凍結措置は、法人税の原則に基づき解除することが適当である。

ホ 欠損金の繰越期間は、多くの企業で多額の欠損金が生じている状況を踏まえ、5年から7年に延長すべきである。

各種の政策税制

イ 経済活性化を図る観点から各種の税制上の措置について検討すべき。

ロ 政策税制については、政策目的の達成等について明確な基準を設けて廃止していくべき。

その他

イ 固定資産税の負担水準の均衡化・適正化の方針は理解できるが、大都市部の負担水準がなお高い。

ロ 「基幹税」という言葉は、その意味するところが明らかでなく、誤解を招きかねないことから、使用すべきでない。

委員

ありがとうございました。

これは午前中の起草会合において出されました議論も踏まえまして、かなりの量を追加いたしました。そういう意味で、起草会合の委員の方ももう一回お目通しいただきたいと思って読んでもらったわけです。

ちょっと2ページの年金課税で、ハとニが疑問形になってますが、これは肯定のほうがいいと思います。ここだけちょっと後で語尾を直させてもらいます。

それでは、ご自分の意見がここに入ってないからどうだというご意見もあるでしょうし、これは、ほかの意見でいい意見があったけれども、入れたらどうかというご意見もあろうかと思いますが、さっとご覧になって、漏れとか重複とか、何かありましたらご指摘いただきたいと思います。いかがでしょうか。

どうぞ。

委員

ちょっと戻るようで恐縮ですけれども、今年の大きな課題の一つが、「骨太の方針」でうたわれておりました4兆円の国庫補助金の廃止・縮減と、国から地方へのそれに伴う税源移譲の問題。三位一体改革につきましては、5ページに触れられてはいるのですけれども、18年までの「骨太の方針」の内容を要約されたような形でですね。

特に私ども、地方側として非常に大きな関心を持っておりますのは、具体的にどの補助金がどのような形で廃止・縮減されて、それの身代わり財源である税源がどのように充実されるかというところが「骨太の方針」では明確ではない。そこのところを明確にしていこうというのが大きな課題だったと思うのですが、今回のこの16年度答申で、「骨太の方針」でも16、17、18の3カ年でやろうと。我々の期待は、実を言うと先日も知事会でまとめ上げて要望いたしておりますのは、初年度に半分やってくれと。つまり、4兆円のうち2兆円をまず16年度でやってほしいと、こういう方向づけを出しているのですね。そういうような動きの中で、税調が具体的な考え方なりを全く示してないのと同様だと思うのですけれども、その点について考え方をお伺いできればありがたいです。

委員

実は総理からあるご指示がございまして、これ全部終わってからお諮りしようと思っていたのですが、それは後ほど触れさせていただきます。

委員

わかりました。失礼いたしました。

委員

とんでもありません。

それでは、今の答申素案の本文と、それから主な意見のほうの審議はこれでよろしゅうございますか。何かあれば。

どうぞ。

委員

ちょっとお伺いしますが、「盛り込まれていない主な意見」というメモは、今後継続して検討の対象にはなるということと理解していいのですか。

委員

これは、冒頭から申し上げておりますように、両論併記をしないと言った手前、言葉は悪いのですが、少数意見になる意見も当然ありますよね。しかし、それはやはり、税調として取り交わした意見だから、証拠として将来残しておこうという趣旨で別冊を作ったわけです。これは答申の本文とともに、首相に手交するときには持っていきます。マスコミにも渡します。あるマスコミはこっちばかり読んでいて、本文のほうを評価してくれなくて、おもしろい議論があったとこっちばかり言う人がいるのですよ。そういうこともあって、これは結構使われているのです。この別冊のほうが。別冊のほうがとは言いませんがね。別冊も。そういう意味で、ただ、ここに出ておりますような意見は、皆さん参加していただいた委員の方の中には、こういう意見があったということはもう頭にインプットされていると思いますから、将来こういった議論、これは必ずまた出てくると思います。

例えば欠損金の繰戻還付凍結解除なんていうのは両方出ているのですよ。やめるべきだとか、継続すべきだと。そういうのは今後の議論には必ずまた顔を出すと思います。ただ、ここに出てくること一つ一つについて将来やるべきだという縛りはございません。そういう性格のものです。よろしゅうございますか。

それでは、後の日程的なこともちょっとご紹介して、今の委員のお話が非常に重要で、今から申し上げようと思ったことをちょっとご提案いただきましたので、今から、今後の日程とも絡みますので、ちょっとご説明したいと思います。

まさにこの答申をまとめている段階では、三位一体を背景にした税源移譲の問題は、外の側の条件が満ちてないのでちょっと議論できないだろうという形で、1月ぐらいからやればいいかなというトーンの書き方なのです、これは。それから年金課税の中の例の基礎年金、国庫負担分の3分の1、2分の1も同じように、これはやはりある程度外からの条件が満ちてこないと議論できないというこの2つの大きな問題は、今年度出す答申には書いてございません。

ところが、今日、午前中の閣議懇で首相から次のような形の発言があり、税制調査会がまさに主役になるような形でのご提案がございました。これは三位一体改革の推進についてということでございます。

幾つか項目がございますが、まさに三位一体をやれということで、どういうことかといいますと、3つほど具体的なことが挙がってますが、三位一体のために、第1に、16年度予算において三位一体で改革を実現すると。1兆円目指して国庫補助負担金の廃止・縮減等を行うほか、税源移譲についても16年度に確実に行うと。これは新聞に1兆円というのが出てましたが、税源移譲を16年度中に確実に行うということは初めての表題であります。それから交付税改革に着手する。これもはっきり言っております。財務大臣、総務大臣を初め国庫補助負担金所管大臣は、この方針に従って改革案を取りまとめていただきたい。各大臣から改革案について私が聞くことも考えていると。これが第1であります。

第2が税調に関係するのですが、第2に、政府税制調査会においては、国と地方の税源配分の観点から、16年度の税源移譲についても、国庫補助負担金の改革とあわせて検討していただきたいと。これは具体的にどうするかというのは後ほどお諮りします。

第3に、18年度までの改革工程を加速・強化すべく、経済財政諮問会議を中心に議論を進めてほしいと。

こういう形で具体的な指示がまいっております。

そこで、我々の当初の案は、今日、今、素案という形で総会でお認めいただきましたものがございますから、この直しを一応またいたしまして、来週の木曜日の1時~3時に総会を開いて答申をまとめて、28日、最後にすべて読み合わせをいたしまして、28日、金曜日になりますが、来週の金曜日に首相官邸に持っていこうと、こう考えていたのですが、ところが、税源移譲のことも来年度税制改正の答申に含めろという指示が来ております。

それで、日程的にいつまでにやるということはまだ確定いたしておりませんが、少なくとも28日に持っていく答申の中にこれを盛り込むことは不可能でありますから、とりあえず28日までにまとめた、今日いただいたものはまとめたいと思いますが、まとめたものは中間答申として、この中を全部使う使わないは議論しますが、中間答申と位置づけて一応対外的に公表して、最終的な答申は、税源移譲の案をまとめた段階で一緒にして持っていきたい。

税源移譲のまとめ方は、12月に入りましてから基礎問題小委員会をベースにいたしまして2回ぐらいやって、そこの議論をまた総会でご審議いただくという少し往復をしながら、12月の中旬ぐらいまでかかるかもしれませんが、そういう形でまとめて、税源移譲を中に取り込んだ形で答申の最終案を首相に渡したいと、こういう段取りで考えております。

したがって、委員のおっしゃった、特に知事会あたりのご提案等々の議論も、我々の審議の過程の中で十分ご紹介いただいて、議論の中で大いに参考にさせていただくということも当然やりたいと思っております。

それから、実は1兆円の補助金の削減というのはいつどのぐらいの段階で出てくるかがわからないのですよね。だから、これは難しかろうという説もあるし、これをやらなければどうしようもないという、そういう縛りもあるのですが、それをまた横ににらみながら、我々としては、まず第一歩として、仮に1兆円税源が、補助金が削減されればこうなるよという話と、それから4兆円という話がさらに将来控えております。

そういう意味で、もっと大きな税源移譲ということが必要になりますから、2弾、3弾の将来を見通した形で一体どうするかということを踏まえた上で第1弾のものをどうするかという議論になると思うのですよね。そういう意味で、特に地方自治体にご関係の委員の方もいらっしゃいますから、ぜひ積極的にご発言いただいて議論を促進させていただきたいと思います。

したがって、いつもだと、答申が終わるとこれでお正月だと、こういうことなのですが、今年はどうやら、大晦日まではかからないと思いますが、少なくも12月の前半、忙しいときに、また基礎問題小委員会の方、あるいは総会の方、ちょっとご足労いただかなければいけないことが数回あると思っております。これもこういう仕掛けがガーッと上から来たから促進される面もありますので、1月にやる予定ではありましたが、少し、1カ月ほど繰り上がったというふうにお考えいただきたいと思います。

この件は以上でございますが、今の説明で大体流れ、おわかりいただけますでしょうか。

委員

具体的に平成16年度予算編成に間に合うような形で税調の答申をぜひ、方向づけをおまとめいただきたいといいますのが1つであります。

それとあわせまして、どの補助金をどういうふうにするのかというのはある意味で税制調査会の枠外の話だと思いますけれども、一定の規模を想定したときにどのような、基幹税という枠組みもありますので、基幹税という言葉がよくわからんという議論も紹介されておりましたけれども、その基幹税という枠組みの中で税目をどのような形で、いつからというような議論をぜひ詰めていただきますれば幸いだと存じております。

委員

この点、何か市のほうからのご観点で……。

委員

今の委員のお話と全く同じでございます。一方で、この補助金の問題と横にらみということはあるわけですけれども、一定の規模になりますと、税目によってもう到底議論しても始まらないという税目もあるでしょうし、やはり一定のその規模を想定した場合にこうなるという前提で、ある程度事前のそういう方向づけをやりながら、最終的にどこかで決着すると、そういう形になるのではないのかなと思うのですが。

委員

どうぞ。

委員

あまり細かくなってもあれですけれども、さっきのお話で12月中旬ぐらいまでに基礎小を2回やってと。

委員

いや、もっと前ですよ。

委員

中旬までにまとめたいとおっしゃったように聞こえたのですが。

委員

遅くもね。

委員

ただ、これはまだ要するに補助金の中身が全然決まらないから、議論のしようがないので大変ですけれども、仮に道路の補助金を削って、道路特定財源を地方に回そうなんていう話がその中に入っていると、これまた全然別な話になってしまうのですよね。だから……

委員

そこを解説してください。別の話になるかどうかわからない人多いから、解説して。

委員

結局、道路の補助金をやめて、今、道路特定財源の中に入っている税、特定財源の税を地方に譲れば……

委員

揮発油税とか何かですね。

委員

そういうことですね。そうすれば補助金が地方に移って、道路特定財源も地方に移るから税源も移るではないかと、こういう話になると、一般税の話の世界とは変わってきてしまうわけですね。

委員

だから基幹税ではないですよね、それは。

委員

基幹税でなくても、要するに税源の地方移譲には変わりないわけですから。そうすると……いや、そういう話になるかどうかわかりませんよ。わからないけれども、その辺がはっきりしないと、なかなか具体の議論に入れないのではないかなと私はちょっと心配するのですよね。それで、1兆円が全部基幹税とやっていくのかどうかというのは、補助金の移譲の中身が決まらないと具体の議論があまりできにくいのではないかなと。そうするとあと、12日までにそういう中身が決まるかどうかというのは非常に難しいと思うのですね。そうすると、全部仮定のもとで税源移譲の1兆円の中身の話をどこまで具体的に詰められるかということが非常に難しいと思いますが、その辺はよく会長のところで考えていただいて、さばいていただきたいと思います。

委員

いやいや、それは難しいですよ。

どうぞ。

委員

そうなのですよ、最終的には。いわゆる一般普及的な、ある意味では一般経常的な補助金と事業補助金は全く違いますからね。事業的な補助金というのは任意でやるものもありますから、それと税源との関係、私なんかも実際にはちょっと頭の中で整理つかないのですけれども。ただ、金額ベースだと、ある程度議論はできると。ただ問題は、やはり補助金のところは基幹ですから、早めに補助金のほうは決着をつけていただくようにしていただきたいなあと思います。

委員

すみません。

委員

どうぞ。

委員

補助金との関係で言いますと、委員がおっしゃったとおりなのですが、あまりどの補助金がどうされるのだということが決着つかないと議論が進められないというふうな対応をしてますと、何もしないということになりかねませんので、また税調としての考え方を示したという、そういう責任を果たしたことにもならないおそれもありますので、私は、ある程度の想定を置いた上での議論をしておいていただいて、この場合にはこれだというような、そういうまとめ方もあり得るのではないかと思いますので、よろしくご検討をお願いしたいと思います。

委員

さばくって、相撲取りの行司じゃあるまいし、なかなかさばけないですけれども、まさに風雲急を告げたというか、天から何か落っこってきたというか、急にこの話が起こりまして、やれやれ一服かなというところにもう一仕事回ってきたという感じでありますが、ぜひ皆さんのご協力をいただきましてやらなければいけない仕事かなと。ある意味では、税制調査会に特にご下問があったということは、我々としては誇りに思うべきでしょうね。こういうことをやるほかの中で我々がやるということでありますから、事務局等とも相談しつついろいろな整理をしながら、かつ、皆さんのご協力をいただいて、何とかある方向を出したいと考えております。

何かほかに特にご発言ございますでしょうか。

委員

そうすると、28日に総理に中間報告みたいなものを持っていかれるということでしょう。

委員

いや、総理には持っていかない。中間報告は。総理は税源移譲を入れたやつを持ってこいと言っているのだから。

委員

ただ、28日で、今までの議論のテーマは全部これで打ちどめよと。あとは新規に総理が今日言い出したことに全面的に取り組むよと、そういうことですね。つまり、これは12月に入って、ちょっとあのとき言いそびれたから、またもう一回まぜっかえそうかというのは……

委員

そこはだめ。そこは打ちどめ。フリーズしておいて冷蔵庫に入れておいて、もうそれは後から繰り返させないと。したがって、28日の段階である程度固めて、私は中間答申として、中間報告としてマスコミにも出したいのですよ。そのほうがいいと思うのですよ。そうしないと、12月に入っても、いろいろな、予算編成、何やかや出てきますと、我々がせっかくこれだけ汗流してまとめたやつがどこかにいってしまうこともありますでしょうし、これはこれで、税源移譲の抜いたところはしっかりできていると自画自賛してますので、これはどういう形で、つまり総理に出すべきやつを先取りして出してしまって、全く同じものを持っていくわけにいきませんから、ちょっとアレンジする必要があると思いますが、なるべく70~80%加味したような格好の中間答申を作ってと思ってます。それは、おそらくこれがベースになりますから、どこをどうするかというあたりは会長に一任していただければ作れると思います。これは27日、28日にまた総会ございますから、そこでかけたいと思ってます。

どうぞ。

委員

今ちょっと気になったのですが、中間答申をまとめるのであれば……

委員

中間報告ね。

委員

中間報告ですか。だけど、それは今ここで会長が決めてしまわなくてもいいのではないですか。中間答申という形で総理のところへ持っていって……

委員

いや、総理は受け取らないのですよ、そういうのは。税源移譲が入ったやつを持ってこいともうすでに言われているのですよ。総理から。それはもうはっきり言われているのですよ。ちゃんと税源移譲まで入れ込んだ来年度税制改正の案を持ってこいという指示があるのです。ここにご紹介しませんでしたけれども。それを今月中なんて乱暴なこと言っていることを報道しているマスコミもありますけれども、それは無理ですよ。今月中は。だから、したがって、12月1週目か10日ぐらいか15日かなという感じで今お話ししたのですが、これも確認しますが、そんな具体的なことを要求されて、今月中というのは無理ですから、それはそれで、ちょっと事務局を通じて説明しなければいかんと思います。

ただ、私は、ここまでまとめたものはもう全体を中間答申で出してもいいぐらいに思っているのですよ。それプラス税源移譲のところだけくっつけて最終答申になったら、それを首相官邸に持っていくと、こういうことを考えているのですがね。ですから、後から何か口を出すということはできないような格好で公表してしまうのも一つの手でしょうが。よろしゅうございますか。

それでは、あとお集まりいただく日程は、総会は来週の木曜日、1時~3時でやりまして、そこでまた最終的な直し、そのときまた、一体総理指示がどうなっているかを踏まえますが、その後、3時~5時と起草会合を予定しておりますが、そこを基礎問題小委員会に切りかえるということも考えております。皆さんの日程を押さえていただいておりますし、会場も押さえていただいてますので。そういう中で、例の中間報告みたいのをどうするかという議論もしながら、木曜日の1時~3時で、総会ですべてご一任いただけるなら、翌日の金曜日、28日は僕は集まる必要ないと思いますけれども、その辺は少し流動的に考えたいと、このように考えてます。

それで、基礎小のメンバーの方は、申しわけありませんが、その翌週の火、金ぐらいをまた軸に仕事を始めたいと思ってますので、よろしくお願いいたします。よろしゅうございますか。

それでは、来週まで、そういう形で少し情報を見極めつつ、また新しい問題提起をしたいと思います。それでは、よろしゅうございますか。――今日は長時間ありがとうございました。

〔閉会〕

(注)

本議事録は毎回の総会後、速やかな公表に努め、限られた時間内にとりまとめるため速記録から、財務省主税局及び総務省自治税務局の文責において作成した資料です。

内容には正確を期していますが、税制調査会議事規則に基づき、事後の修正の可能性があることをご承知置きください。