第4回総会 議事録
平成15年11月18日開催
〇委員
それでは、第4回目になりますが、総会を開催いたします。
今日は、お手元に「これまでの審議状況」という、いうなれば主要論点をまとめました答申用の資料が出ておりますが、これにつきまして議論をいたしたいと考えています。
この大きな狙いは、来年度税制改正に何を盛り込むかというのが主たる関心事であります。これまで11日と14日に一応総会で粗々の議論はいたしましたし、基礎問題小委員会等、また起草会合でこの議論を詰めてまいりましたものがこのベースになっております。そこで、この資料を見ながら、来年度税制改正あるいは将来に向けてのいろいろな議論をしていきたいと思っております。
総会は普通マスコミには来てもらっているのですが、審議の中を詰めるために、今回は公開しておりません。率直な意見を交換していただきたいと思います。ただ、後ほどこの会議が終わったあとで、今日の会議の模様を私のほうから記者会見で具体的にお知らせしたいと思いますし、議事録は氏名を除いて一応公開する形で、後々この状況は公開したいと考えています。
それから、まだ審議過程でございまして、いかにも内容はフレキシブルでございますので、この資料「これまでの審議状況」は返却をいただけたらと思いますので、途中でご退席の方は、そのまま机の上に置いておいていただけたらと思います。
それでは、さして長い文章ではございませんので、冒頭、事務局から読み上げていただきまして、その後若干担当者から、あるいは私も含めて、内容について、あるいはどこをどう議論するかというポイントにつきまして、ご説明をさせていただきます。
では、冒頭、読み上げていただけますか。
〇事務局
「これまでの審議状況」読み上げ
総論
― 平成15年度約1.8兆円、平成16年度約1.5兆円のネット減税が先行しており、経済活性化に向けた確かな手応えが伝わってきている。
― 平成15年度税制改正で消費税に対する信頼性・制度の透明性の向上を図る観点から講じられた、事業者免税点制度等の中小特例措置の見直しや総額表示の義務付けが円滑に実施されることが必要。
経済・財政状況
― 企業収益、設備投資の改善が続くなど、景気は持ち直しに向けた動きが見られる。
― 国・地方の長期債務残高686兆円程度(平成15年度末見込み)、国税収入の歳出総額に占める割合は、51.1%(平成15年度予算)となるなど、財政は危機的状況。
― 2010年代初頭のプライマリーバランスの黒字化に向けて、歳出を徹底的に削減していくことが必要であるが、税制についても中期的な計画を立てて取り組んでいくべき。
― プライマリーバランス回復を目指すにあたっては、中期的な税収や財政収支の見通しを踏まえ、裁量的な歳出削減や税制改正にどのように取り組むか検討する必要がある。
― 今後の税制のあり方については、年金制度をはじめとする持続可能な社会保障制度の構築、国・地方のいわゆる三位一体改革、ひいてはプライマリーバランスの黒字化といった諸課題と密接に関連しており、これらの諸課題との対応関係を踏まえつつ、将来の国民負担のあるべき姿を議論していく必要がある。
― プライマリーバランスの黒字化は経済の回復が前提であり、当面、税制改正が景気の足を引っ張ることがあってはならないのではないか。
― 現下の財政状況を踏まえると、税制改正にあたっては景気対策の観点には力点を置くべきではないということを表明すべき時期なのではないか。
平成16年度税制改正をめぐる主な論点
― 財政規律の重要性
・国債発行がこれ以上野放図に続くと国債マーケットに与える影響が懸念される。現在でも、国債発行と民間金融との競合の問題が潜在的に存在。この問題は、低金利政策が継続されているため顕在化していないが、経済が回復すると国債市場に影響が及び得る。いずれはプライマリーバランスの回復が必要であることはマーケットでも認識されており、その実現可能性に疑念が生ずると不安が起こり得る。
・国税収入の歳出総額に占める割合が5割を辛うじて上回る程度となっている現状を踏まえ、財政規律の維持に適切に配慮すべき。
・現在の経済・財政状況を踏まえると、減税をすれば勤労意欲や活力が刺激されるということはなく、逆に増税による財政収支の改善が活力につながるという見方もあるのではないか。
― 国際的な投資交流の促進
・経済活性化に向けた動きを確かなものとし、経済分野における国際協調を一層強化するため、国際的な投資促進に重点を置いた取組みが必要。
・およそ30年ぶりの全面改正となる新日米租税条約が署名された。今後、批准されれば、平成17年1月から日米間の配当、利子、使用料に対する源泉課税が大幅に軽減・免税されることとなり、世界第一、第二の経済大国である両国がより一層強い絆で結ばれ、わが国産業の活性化と雇用拡大にもつながることが期待される。
・今後、新日米条約を着実に実施するとともに、他の国々との租税条約についても新日米条約をモデルとして見直しを進めていく必要。
― 各種の政策税制
・各種の政策的な減税措置については、国税収入が歳出総額の5割を辛うじて上回っている状況を踏まえ、財政規律を維持する観点からそれぞれの措置の政策目的や効果について的確に吟味する必要がある。
・租税特別措置は、政策目的、効果、政策手段としての適正性といった観点から、その是非を判断し、整理・合理化すべき。
・経済活性化を図る観点から各種の税制上の措置について検討すべきではないか。
― 年金制度改革と年金課税
・若年世代を中心とした将来不安を払拭し、積極的な経済活動が展開される活力ある社会を構築するためには年金制度の将来像をしっかり示すことが重要。
・国民に負担を求める改革を行うためには、社会保障や財政に関するこれまでの政策的取組みについて説明責任を果たすことが必要ではないか。
・人口推計に関して、合計特殊出生率の実際の動きやその決定要因について十分な分析・検討が必要。
・年金改革については、国庫負担割合引上げの財源論のみならず、給付水準の見直しを含めた一体的な議論が必要。
・年金財源や実質的な給付調整の観点から年金課税を見直すべきとの意見があるが、このような議論の前に、年金給付そのものの削減を議論する必要があるのではないか。
・基礎年金の国庫負担割合に関し、平成12年金改正法附則の規定における「安定した財源」の意味について、国債発行で「安定した財源」といえるのか等、具体的な議論が必要ではないか。
・年金制度の議論にあたっては、国民年金保険料の納付率低下への対応についても幅広い観点から議論すべき。
・年金課税については、現役世代と退職世代の世代間の不公平だけでなく、世代内の不公平を是正する観点から検討すべき。
・年金課税のあり方は、年金制度における給付と保険料負担の問題と密接に関係しており、年金制度改革の検討とあわせて議論すべき。
― 地方分権と税制
・三位一体の改革を推進する中で、補助金の縮減を粛々と進めるとともに、税源移譲の基本的考え方についても議論すべき。
・税源移譲を前提に国庫補助金を大胆に廃止すれば、地方の創意工夫が生かされるようになり、歳出削減につながる。また、国・地方とも補助金交付事務が不要となり、行政のスリム化が図られる。
・三位一体の改革については、改革の初年度にふさわしい成果を上げる必要。
・税源移譲を議論するにあたっては、補助金改革・交付税改革を含めた三位一体改革全体の状況を踏まえる必要がある。
・国庫補助金の廃止と税源移譲により、地方は身近なところで説明責任を果たすことが求められ、地方の自助努力も進む。
・税源移譲の議論と併せ、地方交付税の財源保障機能のあり方についても議論すべき。
・税源移譲のみならず、地方分権にふさわしい地方税のあり方についても検討すべき。
【個人所得課税】
基本的考え方
― 定率減税を含む累次の減税による空洞化を是正し、基幹税としての機能の回復に努めるべき。
― 広く公平に負担を分かち合える税制の構築が必要。
年金課税
― 少子・高齢化の進展に伴い基幹税としての機能は更に減殺していくことも考えるべき。
― 所得税を検討する際には、世代間のみならず世代内の不公平ということにも留意すべき。
― 高齢者も担税力に応じた負担が必要。
― 給付段階での優遇措置である公的年金等控除を縮減すべき。
― 公的年金等控除のような特定の収入ごとに適用される特別の控除については見直すべき。
― 年齢だけで優遇する措置となっている老年者控除を縮減すべき。
― ほとんどの企業年金は選択により退職一時金として受けることが可能となっていることから、退職金課税との整合性にも配意する必要。
― 年金給付削減の状況を考慮しつつ、年金課税の適正化を図るべきである。
金融・証券税制
― 金融商品間の中立性を確保し、金融資産性所得をできる限り一体化する方向を目指すべき。
― 納税者番号制度など納税環境の整備についても具体的に検討。
― 15年度改正の内容について、更なる広報努力を含め円滑な実施を図る必要。
― 株価を上げるためには、個人投資家を株式投資に引きつけるための税制上の手段を考えるべき。
― 個人の株式投資促進については、税制よりも、株式の価値を高める企業の努力や証券業界が信頼性を向上させることが重要。
住宅ローン減税
― 個人の資産形成に対する補助金であるが、現行規模で継続していった場合1兆円もの減収が見込まれており、景気も本制度の大幅拡充がなされた時に比べれば持ち直している現状においては、極めて厳しい財政事情を踏まえ縮減すべき。
― 相当の所得を有する者が長期間にわたり所得税を納めない事態を生じかねず、所得税の空洞化を助長するとともに公平の点からも問題。
― 住宅の量的充足、ライフスタイルの変化による住替えニーズの増大、不動産価格の下落傾向など住宅をめぐる状況の変化を踏まえ、持家政策のあり方を見直すべき。
― 住宅建設の経済効果は大きく、また、住宅取得を支援する観点からも引き続き重要。
― 租税特別措置の一つとして、租税原則に照らして16年度改正から整理合理化すべきであり、縮減・廃止に向けた姿を明示すべき。
個人住民税
― 均等割は、負担分任の性格を有する個人住民税の基礎的部分。
― 生計同一の妻に対する非課税措置については、課税の公平の観点から廃止すべき。
― 人口段階に応じた税率区分を廃止するとともに、早期に税率の引上げを図る必要。また、均等割については、基礎自治体である市町村分を重視すべき。
【消費税】
― 少子高齢社会を展望して消費税の役割を高めていくにあたっては、その前提として徹底した行財政改革を実施することが必要。
― インボイス制度について、今後、制度の透明性の向上の観点から前向きに検討すべき。
― 今後インボイス制度が採用されれば、売上や仕入に係る税額計算が簡単になるので、申告納付回数を増加させた方が、むしろ中小事業者の納税事務の簡素化に資する面もあるのではないか。
― 消費税率の引上げにあたっては、食料品に対する軽減税率や贅沢品に対する割増税率の採用についても検討すべきではないか。
― 所得に対する逆進性の問題は所得税の累進性で対応すべきであって、軽減税率の採用は消費税に歪みを生じさせ、適当ではないのではないか。
― 税率の引上げに際しては、国民の理解を得るために社会保障支出の増大との関係を明確にするよう工夫すべき。
― 税率を引き上げる場合の制度のあり方の具体的なイメージについて前広に議論をしていくことが必要ではないか。
【法人課税】
不良債権処理と税制
― 不良債権処理に係る税制面の対応は、金融行政、企業会計上の対応も踏まえ、検討する必要。
― 税制面での対応については、既にこれまでの答申で基本的考え方を示しており、これに沿って対応すべき。
― 無税償却は企業会計との差異が小さくなるよう必要な見直しを行うべきであるが、見直しが金融機関に与える影響をも見極め、具体化を図る必要。
― 16年間分の繰戻還付は、財政に及ぼす影響も大きく、極めて問題。公的資金の投入は、経営責任等条件を明確にしたうえで、正面から議論すべき。
― 欠損金の繰越期間を延長する場合には、金融機関に限って行うことは公平の観点から問題であり、多くの企業が多額の欠損金を抱えている現状を踏まえ検討する必要。
連結納税制度
― 申請件数は着実に増加しており、企業の組織再編を支える機能を発揮。
― 連結付加税は基本的に廃止する方向で検討すべき。
【国際課税】(経済取引のグローバル化に対応した課税の適正化)
日米新租税条約の早期実施
― 経済界として条約を積極的に活用したいことから、条約適用のための国内法令整備を迅速に進めて欲しい。
― 日米租税条約の改正は、大胆な交渉の結果であり、内容も素晴らしい。
国際的な投資交流の促進
― 租税条約による源泉地国免税の方が外国税額控除制度よりも二重課税の排除のタイミングが早いためメリットが大きい。
― 免税の範囲が大幅に拡大すれば、企業における事務負担の軽減につながることとなる。
条約濫用による租税回避を防止するための措置
― 新しい租税条約が作られたことを受けて適切に執行していくための徴税や情報収集の体制を構築するべきである。
― 恒久的施設の取扱いについて見直すべきではないか。
今後のわが国の租税条約のあり方
― 日米新租税条約は画期的なものであることから、この条約をモデルとしてアジア諸国に租税条約網を広げて欲しい。
― 国際的租税回避スキームに対応する視点からも日蘭租税条約改正の早期実現を期待する。
【課税自主権等】
課税自主権
― 課税自主権は、地方の自己決定権の拡充につながるものであり、地方議会において、地域における受益と負担の関係が議論されるという意義もある。
― 租税法律主義により、地方の課税の枠組みは国が法律で定めているものであり、また、租税秩序の維持の観点からも、課税自主権には限界がある。
― 制限税率の全廃については、法人に過重な負担となる可能性があり、慎重な対応が必要。
租税特別措置等
― 事業税における社会保険診療報酬に係る課税の特例措置については、見直しを図るべき。
〇委員
ありがとうございました。
議論を始める前に若干文書の性格についてご説明しておきますが、これは過去何回か行いました委員会あるいは総会での議論から出されました主要な論点を一応まとめたものでありまして、まだ文章にもなっておりませんし、一本筋を通してコンシスタントに整合的な視点から書いていませんから、イエスという部分とノーという部分が混在しております。それはそれでいろいろな意見があったのだから当然なのです。
したがって、これからお願いすべきことは、個々の文章にこだわらず、こういう項目をぜひ答申で強調したい、こういうところは要らないのではないか、等々の視点から、今後文章化していく段階に当たって、必要な情報をぜひ与えていただきたい。こういう視点でご議論をいただきたいと思います。したがって、こことここは矛盾しているということを指摘いただくのは本来の趣旨ではないということを最初に申し上げておきます。
もう1点、税調にはある種のまとめ方のルールが最近確立しておりまして、いくつかの審議会では両論併記ということをまだ使っているようでございますが、税調は、過去2回の答申におきまして両論併記をやめております。そのかわり、答申に盛り込まれなかった主要なご意見は、別冊で主な意見としてまとめておりまして、これも答申と一緒に首相官邸に持っていって、小泉さんにお見せするという段取りをとっております。そういう意味で、すっきりした一本化を図りたいと思いますので、侃々諤々ぜひご議論いただきたいのですが、まとめの段階では、それなりの全体のトーン、その方向でご議論いただけたらと思っております。それがこれまでのやり方でございまして、そこそこ国民に対する明確なメッセージを出すという視点からは、一本化したすっきりした意見を税調として世に出したいと考えております。そういうメッセージということもぜひお考えいただきたいと考えております。
専門的な技術的な問題につきまして、実は議論する前に各担当官からご説明いただこうかと思いますが、これは読んでいただいた感じで、もしご疑問等々ございましたらお答えしますが、最初それをやる必要もないと思いますので、さっそく議論に入りたいと思います。
そこで、8ページございますが、2つに分けまして、4ページまでの個人所得税のところ、つまり6ページの上から5行目までのところと、それから、国際租税課長がちょっと公務があり中途退席ということなので、7ページ以下の国際課税を入れた形で最初議論をいただきまして、その後後半に残ったところをやるという段取りにいたしたいと思います。
そういう意味で、総論から始めまして、主要な来年度税制改正をめぐる論点、それから個別な検討項目について、個人所得税、国際課税、この辺を最初に頭に入れてご議論をいただきたいと思います。
どなたからでもけっこうでございますから、ご自分の意見が載っているところもございますし、また、追加したいこともあれば、どうぞおっしゃっていただけたらと思います。時間の関係もございますから、どんどんお手をお挙げください。
どこもございませんか。それでは、今日はせっかく来ていただいたので、皆さんにご発言いただいたほうがいいかと思いますので、どうですか、最初に指名してなんでございますが皮切りに。
〇委員
2ページのところで、「減税をすれば勤労意欲や活力が刺激されるということはなく、逆に増税による財政収支の改善が活力につながるという見方もあるのではないか」というのは、ちょっと解せないのですけれども。
〇委員
そういうご意見でけっこうです。解せないという、そういうご意見。
〇委員
そういう議論があったかなということです。
〇委員
ほかにございませんか。
今の件でご発言することがありますか。わかりにくかったらご説明ください。
〇委員
要するに、景気がいいときと税金の収入というのを単純に線で並べると、景気がいいときは税金が多い、景気が悪いときは税金が少ないと。だから、余計な減税をすると景気が悪くなる。逆に見ても何ら不思議はないという統計上のあれもあるのですが、あとはここまで限界的に、半分しか税金がなくて、半分借金でやっている国になった場合に、これ以上減税することが果たして経済活性化に本当につながるのであろうか、というようなことをいろいろ言ったのが、こういうふうに短くなってしまうと、突然一個だけ変なのがあるなというのがあるのですが。
家庭を見ても、ここのところ10年でやってきた減税というのは、やらないよりやったほうがいいという言い方しかみんなしませんけれども、本当にそうだろうかと。余計な減税をしたので、気が緩んだというか、そういうこともあるし、逆に財政がほとんど破綻した状況をみんな見て、破綻が普通になっていますから、破綻とも思っていない。むしろこのままいけるんじゃないか、半分借金でいいじゃないか、と思ってしまっている慣れの問題もありますので、その慣れを変えるのには、考え方をちょっと変えたほうがいいのではないかしらというようなことです。
〇委員
ここでは起草会合のメンバーの方と総会のメンバーの方と二通りいらっしゃいます。起草会合の方はずいぶんご議論いただいていますので、総会のほう、今日初めてお出になりました方々から主としてご意見を伺いたいと思うのですが、いかがでしょうか。
どうですか。時間の節約もあって、指名させていただきます。教室ではありませんけど。
〇委員
基本的な考え方として、国税収入の歳出総額に占める割合が5割というラインが今出ているわけでして、これは確かに心情的には非常に危機だというのはわかるのですけど、1年間のフローの部分で、こうした数字をどの程度クリティカルだと考えるか。もう少しはっきりとしたバックボーンが必要だと思いますし、逆に言うと、ここの部分でどうしても維持しなければいけない部分をしっかりと議論しておくこともまた逆に必要ではないかと一つ思っています。
それから、所得税を基幹税としての機能回復に努めるべきということに関しては、全く大賛成でありまして、この方法についていくつかオプションがあろうかと思うのですけど、そのオプションの中で、どれが最も現下の状況の中で適切であるかということを、しっかりとある種の予測に基づいてジャッジしていくことが大事ではないかなと思います。
といいますのは、財政赤字をどうにかしたいということに関しては、大筋の合意もとられているでしょうし、大事なのは税収を上げるということであって、例えば減税項目を減らすとか増税をするということが単純に税収増につながるのであれば、全く問題ないのですけれども、過去においても、様々な増税がかえって経済の足を引っ張って、増収につながらなかった例が果たしてどのくらいあるのか、という点ももう少ししっかり見きわめないと、今の状況の中で、単に5割だということだけで、いろいろな減税を撤廃したり増税にいくということについては、なかなか国民の理解が得られないのではないかなと思っています。
私は減税を撤廃したり増税することに反対しているわけではなくて、しっかりとした理論に裏づけられた形で議論を進めていったほうがいいのではないかと思っている次第です。
〇委員
そのしっかりした議論がお聞きしたいんですよ。
〇委員
しっかりしたデータですね。過去において、例えば具体的な増税を目指した形で税金を上げて、税収が下がったと。これはいろいろな増税があって、複雑に絡んでいるので、1つを取り出すことはなかなか難しいと思うのですけれども、少なくともかなり因果性を持ってある種の、例えばこの間消費税を上げたときは消費税は増えましたから、それはそれでいいと思うのですけれども、もっといろいろな形で、ちょっとした税金を変えたときに、それがどのように変化したかということについて、過去もう少しレビューしてもいいのではないか。今回に限ってということではなくてです。
〇委員
わかりました。いくつか担当者に言っていろいろデータをまとめてもらっても、なかなか難しいんですよね。景気の問題で減った、制度減税で減った、どっちに分けるかというのも。ただ、おっしゃることもよくわかりますので。
ほかにいかがでしょうか。ご専門の立場でありますか。
〇委員
「税制改正にあたっては景気対策の観点には力点を置くべきではないということを表明すべき時期なのではないか」というのがありますが、まだ私は時期尚早ではないのかなという気がしております。
あとの点はもうちょっと考えさせてください。
〇委員
もうちょっと財政からは減税を見てからやったほうがいいというご趣旨ですね。
〇委員
はい。
〇委員
自由闊達に議論していただきたいので、お手をお挙げいただくほうがいいのですけど。
〇委員
総論の頭のところには、「15年度、16年度のネット減税が先行し、経済活性化に向けた確かな手ごたえが」と、やや自我自賛ですけれども、減税が経済活性化に向けた確かな手ごたえということは、減税により経済活性化だと。そうすると、あとのほうが、ややそれを否定するところもあるのですけれども、まあ、これは言葉でしょうけれども、そこら辺が全体としてどういうふうに収斂するのかなと。
〇委員
おっしゃる意味は、減税をして経済活性化が出てきたのだから、効果があるだろうと。したがって、まだ景気に対して不安があるなら、もっと減税しろと、こういうことですか。
〇委員
いやいや、前のほうでは確かな手ごたえということですから、減税と経済活性化がリンクしているということは、ある程度肯定しているわけですね。
〇委員
特に設備投資減税とか研究開発減税に一定の効果があったという評価はしているのが、この背後にあるでしょうね。
〇委員
一般国民的な状況からいうと、確かな手ごたえかどうかはなかなか……。
〇委員
特に地方等々から見たらですね。ここの文句ですか。
〇委員
文句と、あとのほうとの、議論が少し分かれていますから。最終的にどうなるかですが。
〇委員
文章化された段階で、ご指摘のようなところは十分に熟慮したいと思います。ありがとうございます。
どうぞ。
〇委員
減税か増税かという議論のポイントですけれども、確かに減税というと、経済の活性化ということにつながるというイメージはあるのですけれども、現在の減税というのは、おそらく所得税の問題を多く言っていらっしゃる。つまり法人税か所得税かというと、所得税の問題を言っていらっしゃるのかなと思うのですけれども、大きく分けて低所得層と中所得層以上と考えると、減税の余地があるとすると、所得の高い人たちに向かって言っていることになるのだろうと思います。つまり、所得の低い人たちに対して減税という幅は、ほぼ、ないとは言いませんけれども、非常に少ないわけで、そうすると、所得の高い人たちに対して、これからもっと減税するというメッセージ。確かにこれはうれしい話ですが、大体所得が1,500万円以上、2,000万円、3,000万円、あるいは1億円、2億円という方々が、減税することによって、どういう景気的な対策があるかという具体的なイメージは全くない。むしろそういう方々が株にもうちょっと投資するとか、そういうことも十分やっていらっしゃるでしょうし、個人的にはうれしいですけれども、では、その人たちがもっと消費をするとか、投資をするとか、そういう具体的なシナリオがむしろなくて、何を減税するかということについての議論の詰めはないなというのが1つ。
もう1つ、今回、目玉がないのですけれども、国債が多くなって大変だというのは、毎年毎年言っていて、耳にタコができているというか、つまらないというか、おもしろくない感じになっていて、おそらくマクロ的な議論をするのであれば、もはや日本の経済の流れというものが、非常にハイコストなものに変わってきている。特に社会保障をはじめ、年金をはじめ、少なくとも社会コストが減る方向にはないということははっきり言わないと、まず無理だと。これはどんどん上がって、医療費もそうですけれども、非常にハイコストな社会保障の手厚い国にもう行かざるを得ない状況にはっきりと転換したのであって、このコストをどうやって賄っていくかということから考えれば、現在の勤労者が毎年減っていくような状況の中で、どういう財源の調達があるかということについていうと、非常に税の脆弱性というか、税が全く機能を果たせないような状況になっている。そういう構造的な問題をきちっと明記していただかないと、景気の問題ではなくて、今、日本の経済の非常に構造的な弱さがはっきり出てきているところにあるということを、1つ申し上げたいわけです。
あとは、目玉としては、どういう財源の調達の方法があるかということですけれども、大きく分けると、所得税か消費税という流れにはなっていて、先ほど申し上げたように、所得税を動かすとか、あるいはもっと上げるとかということになりますと、低所得層にもっと上げようというメッセージを出すしかない。あるいは消費税を上げるしかないということになると、私としては、基幹税としての所得税、では何をするのだということになれば、もっと低所得の方に所得税を上げるということをこれは言いたいのかという、そういうメッセージで取れるわけです。それで私はいいと思いますけれども、そういうメッセージになる。
あと目玉は、私は地方の財源について非常に心配をしておりまして、今回初めて住民税と、それから、生計同一の妻に対する非課税措置、これは数字が新聞に出ていたのですけれども、年間に3,000円ぐらい払ってもらいたいと。これは私はもっと言ってほしい。住民サービスは1人頭いくらで計算されていますし、様々なサービスは世帯ごとに受けているわけではなくて、一人一人がいろいろな形で受けていて、年金の世界では配偶者が払わなくてもいいとか、いろいろなものがあると思うのですけれども、住民サービスについて、妻が払わなくていいという考え方よりは、やはり非課税措置を是正することによって、地方サービスに対するもっと厳しい目をみんなが養うということで、むしろ私はこれをもっと……。毎回言っているのですけれども、初めて書いていただいたので、今年無理でももっときちっと、もう少し目玉にするか、マイルストーンぐらいにしていただけたらと思います。
〇委員
それでは、後半も含めて全体でご議論いただいたほうがいろいろ議論が出やすいと思いますので、消費税、法人課税、それから課税自主権も含めどこでもけっこうでございます。それから、起草会合にご出席でした委員の方も、時間の制約があって言い足りなかった点をここでお出しいただいてけっこうですから、自由にご議論をお願いします。
〇委員
どこからでもいいということで、7ページの国際租税のところで、「経済取引のグローバル化に対応した課税の適正化」の2つ目にある「国際的な投資交流の促進」のところで、「租税条約における源泉地国免税の方が外国税額控除制度よりも二重課税の排除のタイミングが早いためメリットが大きい」とありますが、これは読み方、聞きようによっては大変なことを言っていると思うのです。全世界所得に税をかけて、そのかわり外国で払った税は税額控除しましょうと。それに対して、ここでいうのは、内容確認も兼ねてですけれども、源泉地国免税のほうは、そういう全世界所得にかけるという方針を変えるという、そこまで含意されているのですか。
〇委員
いえ、そんな大きな話ではないです。
〇事務局
このところは委員の方からご指摘があった点ではございますが、そこまでの含意はなかったと思います。そうではなくて、外国税額控除制度は一度払った法人税額から外国で払った法人税額を後日控除するという意味で、タイミングのずれがあると。したがって、キャッシュフローの観点からは、直接源泉地国で免税にしていただいたほうが、企業にとっての負担が軽減する。そういうことだったと思います。
〇委員
払った時点で引いてもらいたいという程度なんですか。
〇委員
今度は使用料10%であったのが免税でしょう。それがアメリカと日本の関係の状況によって、即、かけられていた10%がゼロになるという、そういうキャッシュフローのプラスが、赤字、黒字の関係もあるけど、黒字だったら外税控除で後々取り戻せるのと同じことなのだけど、ただ、早いではないかと、そういう意味です。
ほかにいかがでしょうか。消費税等々も含めてでけっこうでございますが。
〇委員
消費税も含めてですけれども、今現在は消費税を5%から上げるということは表面化しては議論されていないように思いますけれども、衆議院の選挙のときにも、野党の民主党は、将来消費税増税も含めて検討するというマニフェストを出していらっしゃいましたし、与党は、上げるとは言っていないのですけれども、在任中は上げない、ただ議論はしておけと。ということは、消費税を上げるということも含みに入っているなと私は考えております。
ただ、消費税の逆進性の問題は、大分今までの税調でも議論されたと聞いておりますけれども、やはり消費税を考えるときに、一律でいいのか、あるいは生活必需品、食料品等々、そうではないものと税率を考えなければいけないのか。そういうことを十分に検討しないと、軽々に上げてもらっては困ると私は申し上げたいのです。
その絡みで、これも決まったことですから、あとは運用をどうするということだと思いますけれども、消費税を含めた内税で表示をするということが決まっております。その表示の仕方についても、いくつかの選択肢があるわけですけれど、やはり物を購入するときに、税負担を自分がどのぐらいしているのだということが一人一人にわからないと、税のことはなかなか関心を持たなくなる可能性があります。そういうことで、実際の運用に当たっては、かなり気を使わなければいけない。そのように考えます。
もう1つ年金の問題で、高齢者等も応分の負担をというのは、年金制度のほうでも言われておりますし、負担と給付の関係が、負担を少し重くして給付を少し軽くすることによって制度設計をしていこうという考え方があるように思いますが、その場合に、高齢者にも負担をと言ったときに、高齢者も所得がある人は、という、高齢者は必ずしも貧乏ではないよと、そういう考え方があるのはわかるのですけれども、その底辺のどの辺からという線の引き方がどうなるかで、実は生活に困るような高齢者にまで負担が押し付けられる。そういうことになると、これは非常に社会的にも問題になるのではないかと思います。
むしろそういうことを考えるのであれば、経済効果もあったというお話があったと思いますけれども、税のフラット化が高所得者にとっては非常に有利になっているという、その辺もあわせてお考えいただかなければいけないのではないかと考えております。
〇委員
おっしゃるとおりであります。後段からちょっとご説明しておきますが、6月に出しました「少子・高齢化の下での税制のあり方」でも、高齢者の年金生活者に対して応分の負担といったときには、年金だけで生活している人には税負担が新しく及ばないようにと、いろいろデータも集めまして、その辺の配慮は十分し、数字でも出しましたので、またいずれご説明したいと思いますが、その点につきまして、十分配慮するということは、繰り返し税調として申し上げております。
それから、消費税の話で、今回6ページ目に一応書いてございますが、これはある意味では、税調も将来は2桁に上げてはという提案もしておりますので、そういうときにどういう配慮をしなければいけないかという視点から書かれておりますから、来年度すぐやるという話ではないのです。そういう意味で、インボイスであるとか、軽減税率であるとか、ご指摘のとおり、等々の話であります。したがって、今回消費税で書くなら、今ご指摘のあった中でいえば、総額表示のときにどういう配慮をしたかとか、あるいは免税点を3,000万円から1,000万円にしたとか、簡易課税制度をどうしたという、これまでやってきたことも少し整理しながら書いて、これは将来の課題として書きたいと思っています。
おっしゃった点の表示につきましては、たしかこの間の資料に入っていたと思いますが、内税という言い方ではなくて、要するに税プラス価格がわかるような様々な選択肢を与えてやる。ただ、内税的なものの選択が認められていますので、そこの点が1つご指摘の点だと思いますから、そういうご指摘については、十分踏まえなければいけないとは思っています。
〇事務局
ただいま会長がおっしゃられました総額表示の点でございます。総額表示の点は先日もご説明させていただきましたように、現状では大半の店が税抜き価格だけが書かれておりますが、必ず支払総額が書かれるようになるということで、消費者にとっては必ず便利になるというもので、それによって消費税に対する理解を深めるということで実施をさせていただいたものでございます。
その際に、会長おっしゃられましたように、表示に当たって、税額等をあわせて書くことも妨げられていないということです。ただし、税額が必ず書かれるように求められるかといいますと、これはなかなか難しい面があると思っておりまして、法技術的な面もございますけれども、実際上、細かい話になりまして恐縮でございますが、支払総額ということが今後中心になって、これが必ず書かれることになりますので、その中に必ず消費税相当分が含まれておるわけでございます。税率5%でございますから、支払総額の105分の5が税相当分ということになるわけでございます。そうしますと、含まれている消費税相当分は、必ずしも整数ではございませんで、端数ですと割り切れないかもしれません。そういう場合もございますので、そういったことまで考えますと、必ずそういったものを書くように求めるところまではなかなか難しいのではないかと思うわけでございます。
ただし、事業者の方々は、お店で買物をされておる消費者の方のニーズとかそういうことも踏まえまして、事業運営ということは当然いろいろ考えられると思います。したがいまして、事業者の方が表示の仕方を決定するに当たりましては、消費者のニーズ、あるいは扱っておられます物、サービス、性質とか、取引のやり方とか、そういったことを考えまして、それぞれご判断になっていくものと考えております。
〇委員
どうぞ。
〇委員
1つは、3ページの真ん中ほどで、年金課税、「このような議論の前に、年金給付そのものの削減を議論する必要がある」というのですが、これはそういう議論だったでしょうか。むしろ並行してとか、同時にとか、そういうことではないかと理解したのですが。
〇委員
いろいろな議論が出ておりますから、委員が理解した議論と別なのが出ているかもしれません。これを受けてご議論ということですと、どういうことをこういう観点で述べたらよろしいですか。委員のご関心あるいはご議論からいえば。
〇委員
今でも所得に応じて年金についても課税がされているので、そのことをよく検討してからにしたほうがいいのではないかということを言いたいわけです。総合課税されているということで。
〇委員
つまり、年金給付そのものとは無関係に、年金課税そのものとしてということですね。
〇委員
ええ、そういう意味です。
それから、地方分権と税制というのが3ページからあるのですけど、ここで固定資産税のことが全く、ほかのページでも触れられていないのですが、これはちょっと私としては不満でございます。
〇委員
そうでしたね。確かに委員からご指摘がございましたね。ただ、来年度税制改正のメインのテーマになり得ないということもあります。将来の課題として載せるという意味においては、ご指摘を踏まえて何か書くことはできると思いますので、それは書く段階において……。
〇委員
それから、もう1点、7ページでございますけれども、上のほうの4行目あたりで、16年間の繰戻還付というのが出ていて、「財政に及ぼす影響も大きく」となっているのですけれども、これは企業経営上もあり得ないので、そういう言葉を入れていただいたらいいと思います。極めて問題というよりも、普通の経営から考えたら、16年間の繰戻還付なんていうのは考えられない。今度7年間ということで議論されておりますけれども、私には考えられないと思います。
〇委員
繰戻還付のところですね。「財政に及ぼす影響も大きく」というのは削ったらどうかというのが起草会合でもございましたけど、要はそもそも理屈としておかしいのだからと、多分そういう視点でおっしゃったのだと思いますけれども、そういう趣旨のことを生かしたいと思います。
ほかにいかがでございますか。どうぞ。
〇委員
先ほどの年金の委員の指摘された箇所は、私もこのような発言をした記憶がありますので、考えたいと思うのですが、そもそもこの年金問題は、保険料対給付ということで、給付と負担の問題から始まっているわけで、それがうまくいっていないというところから発しているわけで、課税の問題が先にあったわけではない。ですから、まず負担と給付の問題をきっちり長期見通しを立ててやってくださいと。その上で課税上問題があるなら調整したらいいではないかと、そういうスタンスでいくべきだということを言ったつもりです。
「その議論の前に」というのは、負担と給付の関係について、きっちりした議論が、これは別のところでということになりますけれども、そこで国民が納得するような議論が行われ、整理がされて、その上で課税問題が出てくると。初めに課税ありきということではないという意味で言ったつもりです。
対話集会などに行っていますと、税と社会保険料、つまり国民負担率についての区別は、一般の人にはつかないわけですから、そこはやはり税調としてもきっちり説明をして、今は社会保険料のほうが多いのですよということを言った上で、なお課税について不公平があるから、その辺を是正していくのだというふうに整理をして説明する必要があると、そういう趣旨で言ったつもりです。当然、課税強化も避けられないとは思っていますけども、その前にそういうことをきちっと説明しておく必要があるという意味です。
それから、法人税のところですが、6ページの最後のところから5項目ぐらい書かれていますけれども、これは多分、金融庁の指導している企業会計の方式に税がついていっていない、乖離がどんどん進んでいるということで問題にされてきて、それに税としてどう対応するかという問題だと思うのですけれども、そのうち、きのうも申し上げたと思いますけれども、16年間云々、これは論外であると。今の法人税総額に相当するような話で、しかも、金融機関に関していえば、バブルのころに納めた税金を全部返してくださいというような話になりますから、これはちょっと論外ではないですかということだと思います。
そのほかの上下2項目のうち、欠損金の繰越期間を今5年を7年に延長してはどうかということが言われておりますけれども、それは私は賛成です。この書き方が、これは別に成文になっているわけではないのですが、「延長する場合には」というようなことではなくて、たまには「延長する」というふうに、減税もしますよということを言うほうがわかりやすいかなと思います。
〇委員
というように、方向が少しほんわかしているところを、はっきり書き込んだほうがいいのではないかというご趣旨のご発言でもけっこうですから、いろいろな形で言っていただいたらと思います。
何かあれば。
〇委員
これは質問ですけれども、5ページの、株価を上げるために、個人投資家の税制上の手段を考えるべきとぼそっと書いてあって、僕はここのところは勉強していなかったのですけど、例えば10%をゼロにしろとか、そういう具体案があったのかしらと。僕などは、預金課税とかをして、預金を置いておくと損するから、株を強引に買わせるとか、そういうことを考えておるのですが、そうではなくて……。
〇委員
それではないでしょう。具体的にご発言の中身を確かめておりませんが、より一層、キャピタルゲインとかそういう点で配慮したらというご発言だと思います。
〇委員
去年けっこういっぱいやりましたよね。
〇委員
やったけど、さらに足りないというご趣旨でご発言があったと思います。
〇委員
もう1つ、ちょっと細かいのですけども、1ページの一番最初のところ、ネット減税を先行したおかげでよくなったというのは、ダイレクトすぎるから、200万人もこの間に失業者を出したり、リストラや何とかでいろいろみんな苦労して経済活性化したわけだから、この間に1行、このまままさか書かないとは思うのですけれども、何かあったほうが、気を使ったほうがいいのではないかと。
〇委員
はい、気を使います。
〇委員
もう1つ、そのページで、国税が51.1%でしたか。今ふと疑問に思ったのですけど、あれは日銀とか何かほかのいろいろなものを合わせてではなかったでしたか。
〇委員
いえいえ、国税オンリーです。そのほかに残っているのが税外収入と国債発行でしょう。これは間違いないですよね。大丈夫です。
〇委員
小さなところですけれども、1つは質問で、1つは意見です。
6ページのところで、均等割の話が今回非常に強く、全部均等割の話だけで3ポイント入っているのですけれども、人口段階に応じた税率区分の廃止というこの話と税率の引上げというのが、意味がよくわからないというのが1つです。
まず大前提として、こういう増税論が今回住民税でかなり出ているのですけれども、住民税を何か形を変えるとかという議論は、今までなかったものですから、非常にナイーブな問題になると思うのです。ナイーブというのはいい意味でです。つまり、今、所得税にくっついている住民税のほうが高いと思っている人がかなりたくさんいるわけです。所得税はしようがないというか、ある程度課税の公平といいますか、あるいは、豊かな人へもっとたくさん払いなさいというメッセージは伝わりやすいのですけれども、現在の住民税はそれにくっついて上がるわけですから、やはりかなり重税感がある。それに対応して住民サービスがどのくらいあるかというと、払っている人はほとんど住民サービスを使っていないとか、忙しいとか、そういう意味で、私の感じでは住民税と住民サービスの連携が非常に弱いという感覚があるのです。だから、相当しっかりと、住民税を改革するのであれば、住民サービスをきちっと目に見えるような形にするとか、こういうふうに使っているとか、いろいろな意味で基礎自治体がきちっとそういう覚悟を示していただかないと、相当問題がある。この前提が弱いなというのが1つです。
それから、ちょっと細かいことですが、下の消費税の部分で、食料品に対する軽減税率はいいのですけれど、「贅沢品」という言葉が入って、「割増税率」というのが入っています。これは初めて出てきたのですけど、贅沢品とは何か。つまり、高額商品の住宅とか車とか、これは所得の低い方もおそらくお買いになるでしょうし、住宅ローンをやるのでも、耐久消費財に、もっとストックの問題にたくさんお金を使うようにしたいというようなメッセージも今まで強くて、ここで贅沢品に対する割増税率の採用というのは、何を言っているかわからないというか、高級ブランド品みたいなものを言っているのか。だけど、これから贅沢品はどんどん買わないと消費が回らないし、何でこんなことを言っているのかよくわからないので……。
〇委員
これは私が発言したわけでもないし、こういう言葉を使われていろいろやられて、一々添削してどうだこうだという……。
〇委員
すみません。
〇委員
贅沢品というものの定義がないし、こういうことを割増金等々でやること自体、消費税にはなじまないというのがご発言の趣旨ですね。
〇委員
いや、議論するのは大変いいことなので、こういう議論を、小泉さんが上げないと言っている間にどんどん議論したほうがいいと思います。
〇委員
事務局、現状の均等割の市町村、府県も含めて、ざっとご説明いただけますか。
〇事務局
まず、人口段階に応じた税率区分というのがございまして、これは人口5万人、50万人で線を引きまして、3段階になっております。これは昭和25年の制度創設以来ございまして、創設の当時は、例えば学校の鉄筋率ですとか、道路の舗装率ですとか、そういったサービスが大きな町のほうが進んでいたということがありまして、受益の観点からこういう格差を設けたということでございます。
人口段階に応じた税率区分を廃止といいますのは、そのようなインフラ整備の格差が最近では相当是正されてきているということ、むしろ逆に住民1人当たりの行政サービスの単価というのは、小さなほうが高いというような事情もあるということから、この税率区分を廃止すればいかがかと、そういう問題があるということでございます。
あと、所得割、均等割両方合わせまして、これは目的税ではございませんけれども、地域の行政サービスの単価も賄うという趣旨で設けられているのは、従来どおりでございます。
〇委員
おっしゃるとおり、2,000円、2,500円、3,000円を一本化していいではないかと。一本化というときはおそらく上のほうに合わせるのでしょうね。下のほうに合わせるのではなくて。上のほうを少し上げてもいいのではないかという議論がそこにあって、それから、たしか府県にも1,000円という均等割がありますから、両方やるのか、片一方やるかということになったら、市町村分から最初にやったほうがいいのではないかと、ここに書かれているのはそういう趣旨ですね。
もちろん、委員はいろいろご意見を今までおっしゃっていましたから、それについておっしゃっていただいて、また書き込むということは可能かもしれません。
〇委員
この住民税の一番近いところにおりますけれども。
〇委員
どういうご感触ですか。
〇委員
例えば、私も32万人の都市で、個人住民税で賄えるのは、ごみの処理と除雪で終わりです。そういう段階です。32万人というと、そこそこ大きいところですけれども、わが県で69の市町村がございますけれども、固定資産税も含めて、自分のところの市町村税で職員の給料を賄えないところが69分の56です。ただ、自分のところの市町村税で給料を賄うとなると、役場の職員はほとんどいないという、ゼロに近くしないとだめだと。
例えば私どものほうで、ごみの処理の経費だけで年間平均1世帯で4万8,000円ぐらいかかります。4万8,000円住民税を払っていない人はいっぱいいるわけです。ですから、実際の住民サービスは、住民税の10倍ぐらいのサービスになっています。交付税も入れて、補助金も入れますからね。
ですから、我々の段階で2,000円、2,500円、3,000円。町内会費が大体年間で5,000~6,000円ですから、町内会費の3分の1ぐらいの均等割だと、いくら何でもという議論はあるし、これは今度は我々の説明責任ですけれども、はっきりそこを示すということが今まで全然ないんですね。全体の一般会計予算案なんです。そのうち細かくやっていきますと、大分最近は住民の中でも理解度は上がってきているのではないのかなと。ですから、増税というよりも、今の状況では上げるのは何でも増税ですけれども、一定の、言葉が変なのですけれども、適正化となると、これは上げないわけにはいかないのではないか。
〇委員
委員のところはたしか2,500円ですね。
〇委員
そうです。
〇委員
そうすると、どのぐらい上げて一般の住民に説得できますか。倍ぐらいですか。
〇委員
1万円を超すとやはり高いという感じがしますけれども、やはり当面は、大体町内会費が月400円だとか500円なんです。そうしますと5,000円~6,000円なんですよ。5,000円からそのぐらいまでは、まず第一段階として必要ではないのかなと。その程度であれば、負担についてもあまり大幅な負担とは感じないと。
〇委員
奥さんを入れるとどうですか。
〇委員
1万円でしょうね。
〇委員
いや、奥さんを入れるということに対して。
〇委員
これはほとんどカミさんが入っているか入っていないかすらわかっていません。全くわかっていません。
それと、一般的に、都道府県税、市町村税、普通みんな同じです。全部税金で、どれが市町村税か、どれが都道府県税か、どれが国税かなんて、企業以外の個人は一切ほとんど考えていない。
〇委員
大変貴重な情報をありがとうございました。
どうぞ。
〇委員
一等最初の1ページでございますけれども、「現下の財政状況を踏まえると」ということで、そのくだりが力点を置くべきではないということを表明すべきだと、景気対策の観点からということですね。これはむしろ、今、減税をすることによって、景気の回復をということをある程度もくろまなければいけないのではないのかと私は考えるわけです。と同時に、米国での減税によって景気の回復という事例というものがあるわけでして、そういう事例というものもとらまえて考えていくべきではないのかと思います。
それから、年金の問題ですけれども、今、検討されているわけですけれども、企業の負担というものも非常に増える。個人の負担ももちろんなわけですけれども、企業がこれだけ負担をさせられていっていいのかなという問題が1つあります。と同時に、確定拠出年金、401k、これにどうしても移行せざるを得ないと思うのですけれども、そのときの免税点が月1万8,000円ですか、これがちょっと低すぎると考えております。
それから、住宅ローン減税の問題ですが、この前出ておりました934万円がゼロになるというようなことでご説明があったわけですけれども、この数字自身がどうも疑問だと思いますので、あとでご説明を願いたいと思うのですけれども、年収が大体1,000万円の人の場合に、借入れが5,000万円というのが前提になっておるわけですけれども、1,000万円の収入で5,000万円など借りれるはずがない。むしろ返済能力がなくなってしまうという問題があって、現状でも大体3,000万円が1つの限度であろうというふうにデータ的にも出ているということでございます。
国土交通省の試算によりますと、現行の住宅ローン減税で所得税額がゼロとなる年収は、670万円であると。住宅ローン減税による所得税額がゼロとなっている者は、給与所得者全体の2%だということでございました。そういった点、所得税がゼロとなっている者は約3割ということのようですし、実際に住宅ローン減税適用者が350万人いるのに対して、所得税額ゼロになっているのは100万人である。3分の1だというような数字が報告をされておりますので、そういった点を考えると、この数字自身、ちょっと私も疑問を持っております。
そういう点からも、ともかく今の住宅ローン減税を、削減するのではなくて、継続をぜひともしていただくことによって、やはり景気をよくする方向に導いてもらいたいと思います。
〇委員
2点重大な問題を提起されましたので、議論しておいたほうがいいと思います。
1段目、起草会合のトーンとちょっと違うのですけど、減税して、さらに景気回復しろということ自体は、起草会合のほうでは、それは限界だろうという議論があったのですが、何かそれについてお答えいただくことはありますか。
どなたか、ご説明いただきましょうか。
〇委員
今まで財政の役割の中で、非常に景気対策というのを重視してきて、その結果、国の財政だけではなくて、地方もそのしわ寄せを受けて、非常に厳しい財政状況になっているわけですね。そういうものに対する不安というのが、国民の例えば消費の抑制であるとか、あるいは、どうも国のやっていることは不安だから、もう自分は年金の掛金を払わないとか、いろいろなことで将来不安になっていて、この将来不安が一番景気回復の妨げになっているというのが一般に言われていることなのです。
その問題に対応しようとするときに、やはり個別の話になると減税だ、減税だということになってしまいますと、もう1つ歳出面で歳出を増やすという話があるわけですが、ちょっとそっちを忘れて減税だけの話になってしまいますから、そうすると、総論として、国の将来不安、これから我々の生活はどうなるのだという話と、全く違うことになってしまうわけですね。
今まで日本は相当景気対策というものに重きを置いてやってきた。世界でも最も重きを置いてやってきた国だと思うのですけれども、それをそろそろ少し考え直す必要があるのではないかと。将来の国民の不安感を除くために、何でも減税というのではなくて、景気対策というものを考え直してみようではないかと。現に民間の活動を中心にやっていこうと言っているわけですから、歳出の面でカットもするし、民間の活動に対して税制面で援助することは必要だと思いますけれども、個々の問題一つ一つ全部やっていたのでは、これは個別の論議とマクロの議論の矛盾になってしまうと考えるわけです。そこで、一遍そういうようなことをここで議論してみようではないかと、そういうことなのです。
もちろん、景気対策が必要だというのは、ちょうどその1つ上のところに、当面、景気に対する配慮を続けるべきだというのが書いてありますから、両方の意見があるわけですけれども、その1つの意見として今申し上げたような考え方があるということです。
〇委員
今の論点は、両方いろいろ議論があると思いますが、この税調のトーンといたしましては、減税の効果の限界、あるいはアメリカ並みの減税対策を過去10数年やってきたのですが、今急にアメリカみたいなことを一緒に、さらに追い打ちをというのはできないだろうという判断で書かれているわけです。
住宅ローンについて、事務局のほうから何か……。要求側とそれを査定する側でデータが違ってくることは多々あるんですよ。
〇事務局
データの見方ということだと思います。先日ご説明申し上げましたのは、最大50万円の今の税額控除を使えば、900万円ぐらいの方まで夫婦子2人ですと非課税になるということをご説明したので、そこはデータの見方ということかと思います。
それから、先ほどございました非納税者の割合ですが、例えば民間サラリーマン14年分の統計だけが手元にございますけれども、住宅ローン適用者の中で非納税者が36.2%という数字が手元にございます。
〇委員
先ほどから伺っていますと、心情的な話はよくわかるのですけれども、今まで減税をやってきたから、そろそろというのも、ちょっと説得力という点でどうかなと。
それから、繰返しになりますけれども、5割という線が、一体なぜ5割がクリティカルかというのも、心情的には非常にわかるのですけど、そこのところは、もう少しクリアにする方法を、私自身があればいいのですけれども、ちょっと今手元にないのであれなのですけれども。
私自身の認識はどうかということに関していいますと、2010年代初頭にプライマリーバランスを何とか黒字化にするというので突っ走るのはわかるのですが、10年代直後に団塊の世代が65歳を迎えるということになりますから、目標の設定が非常に政治的に出てきているので、我々の世代からすると、瞬間風速で政治的に決着するような形でこれから進むのか、2010年以降のもう少し長い目で見た形での財政状況までしっかり見据えて考えるべきなのかということで、今回の議論は、ある種ターニングポイントを迎える上で、極めて重要な位置にあると認識しております。
その中で、先ほどから聞いていて、例えば企業もものすごく努力していますから、企業が例えば売上を上げようとしているときに、当然2つのやり方があって、単価を上げて売上を上げようという方法と、単価を下げて販売数を伸ばして売上を上げようという方法があるわけで、これがどちらが正しい選択なのかということについては、ある程度わからない部分があるとしたら、少なくとも来年度に向けては、このアイテムについてはこういう考え方でこういうふうにして、その結果がどうなったかということについて、アイテムごとのきっちりとしたレビューをしていくべきだと思います。そうしないと、2010年代のどうのこうのというのは、遠吠えのような形になっていって、先ほどの委員のような意見も当然あろうかと思いますし、自分自身どっちが正しいかわからないと思うのですけど、何らかの形でどっちかのチョイスをしたら、それについては、アイテムごとにしっかりと評価していくような仕組みが、これまでもあったのかもしれないし、私自身が勉強不足で十分に承知していないのかもわかりませんけれども、議論を聞く限りにおいては、本当に2010年代、プライマリーバランス黒字化に向けた腹の据えた議論をしているのかと言われると、我々の世代からすると、非常に心配なところがあると思うところです。
基幹税の回復というのも大変な大問題で、絶対やっていかなくてはいけないわけで、これをどういう形で、何を優先させるか、ここでつまずいて個人消費がまたガタッと来て何とかということになると、これは大変なことになりますから、やはりかなり綿密な計画を立てて、石橋を叩いて、どの程度来年度やっていくかということをきっちりしていかないと、今の議論の流れは、何となくムードに流されていっているということをすごく感じている次第であります。ちょっと生意気なことを申し上げて、失礼しました。
〇委員
今の議論に反論しますけど、ムードは、どこかで歯止めをかけなければ、あなたが言ったみたいに50%を割ったっていいじゃないかという議論をやれば、45%でも割ってもいいではないかという議論にすぐなるんですよ。ちょっと待ってくださいよ。一般論の概念論、抽象論で言われれば、それはわかるけど、企業の経営も個人もそうだと思うけど、どこかでここが抵抗線だと覚悟しなければ、世の中よくならないんですよ。
ただ、個別の税制について、今先生がおっしゃったことは、私もいくらかわかりますよ。わかるけど、だからといって、50%をどこかで割っても構わないのだという議論は、あまりにもゆる褌すぎると思うね。通りますか、そんな議論は。
〇委員
私は50%を割っていいとは一言も言ったつもりはなくて、50%なら50%がクリティカルポイントだという論拠を示さないと、単なるフローの中で50%だということで、そういう議論がどこまで一般の方に納得していただけるのかというところについて不安なのです。50%でとめるということであれば、これはやはり何を置いてもとめるような理論的な根拠をあれしないと、これはもたないという、すぐ割り込んでしまうということを申し上げたいので、私はそういう意味では、先生のご意見と何ら変わるところはないと思っておりますけれども。
〇委員
50%の理論的根拠というけど、学術論文ではないから、そんなものは書きようがないですよ。どこかで腹を決めるしかない。こんな話は政治決定なんですよ。理屈を言えばそんなことはいくらでも言えるんだから。企業経営者はそんなことで世の中やっていけると思いますか。家計でも、個人でも。どこかで甘えがあるんだから。
よく国民の納得を得なければならない、説明責任を何とかと言うでしょう。そのとおりなんですね。そのとおりなんだけど、税金なんていうのは、100%みんながわかってくれるなんてことはあり得ないですよ。大体マジョリティーがここだと思ったら、お願いして、説明するしかないんですよ。僕は税制は全部そうだと思っている。減税も増税も全部。
〇委員
論戦に参加したいそうですから、どうぞ。
〇委員
いや、論戦に参加するつもりはないですけど。
非常にはっきりしていることは、年金の長期見通しでこれだけ不安な数字が出て、国民が不安を持っているというのは、だてや酔狂で話しているわけではなくて、やはりかなり現実的な話だと。結局、少子・高齢化というのがどんどんすごい勢いで進んでいる中で、高齢化社会で経済を復元できるかというと、復元する能力が著しく落ちているから問題になっているわけですね。したがって、年金が問題になっているわけで、例えば中国みたいに6%とか9%とかの経済成長率が期待できるのなら、あるいはある政策の失敗でとんでもないインフレが起きるというようなことであれば、それは税収の比率が5割を切っても、いつかは戻せるだろうと思いますけど、まともな政策をとっていく限り、これは無理だと思いますね。そうすると、やはりどこかで歯止めをかけないと、とんでもないことになる。ここにも国債マーケットと書かれていますけど、国債だけではないですね。すべてのマーケットに大変な影響が出ますよ。今まだ引受け手がいるからもっているだけで、これはとんでもない。国債が例えば暴落するようなことになれば、前提条件が狂ってしまいますよね。
そういうふうに考えれば、もうここまで来たこの時点では、プライマリーバランスの議論は非常に現実的に重く受けとめなければいけない。それに向かって、景気のことも考えるけれども、財政の規律というのもやはり真剣に考えなければいけないときだと。それが政府税調のスタンスであるべきだと私は思います。
〇委員
今、51%の議論が出ていますが、私はもっと厳しいと思うのです。国の予算の中には交付税というのが入っているわけで、国税5税の一定割合は国が自由に使えないわけですよね。これは昔から大蔵省と自治省とやっていたのですけど、特会直入という議論があって、そういう形にはなっていないのですけれども、仮に国が自由に使える部分の税金ということを考えたら、歳入歳出とも交付税の分を除いて考えれば、要するに国が自由に税金でカバーしなければならない部分は、もう40%を割っているのではないか。今、交付税は13兆円ぐらいですか、国税5税の割合は。それを差し引いた部分で何%か計算してみれば、51%なんていうことではなくて、もっとひどい大変な数字になっていると思うので、これをクリティカルだと言わなければ、何をクリティカルだと言うのかなと思いますので、参考までに。
〇委員
いろいろご議論があるのは承知しております。会長としてちょっとご説明しておかないといけないことは、先ほどの委員のご不満、つまりデータの積み上げが足りない、理論的考察がない、これまで本当に検証したか、というご疑問はよくわかるのです。というのは、本来ですと、この総会などは何度もやってこういう答申にこぎつけるというのが従来の税調のやり方でありますから、十二分にご審議いただいた上で今日みたいな話が出てくるとわかっていただけると思うのですが、今回はまだ総会として3回目です。右のほうに山の資料がございますが、こんなのは本当に一部でありまして、税調というのはこの数倍の資料を積み上げてこれまで議論してきたという経緯もありますので、今回、特殊な時間的制約のもとでやっているということをご理解いただきたいと思います。
それから、私もあえて50%のことを言いますと、理論的にまさに代替として出すものがないと委員がお認めになったように、理論的にいくらコンピュータを回そうが、モデルを組もうが出てこないと思います。今日、ある委員がいれば、説明してもらったら一番いいのですが、税調の一番の理論家でありますが、その委員ですら、それほど明快な理論的根拠を出すのは難しいと思います。結局、経験法則、エンピリカルルールみたいなことになるのではないかと思いますけれども、まあ、そういうことを積み上げてやっているわけでありまして、またモデルを回して、結果を出して、いろいろな理論的根拠を出しても、税調の中で書き込むとか何とかというレベルの議論にはなかなかなりにくいのです。
ただ、おっしゃるようなことは、事務局にも、あるいは他の委員の意見も聞きながらやっていきたいと思いますので、今回は間に合わない面もありますが、おっしゃるとおり、何か我々としてはもう少ししっかりしたものを欲しいという気はしておりますので、これからお互いに構築していきたいと思います。
大分時間をとりましたが、まだご発言のない方でございませんか。
〇委員
4ページの年金課税の「少子・高齢化の進展に伴い」ということですけど、これは非常にこれから税を考えていく上においては重要になってくるのではないかなと。人口が減っていくことを勘案していきますと、住宅の問題、あるいは消費の問題に相当波及してくるということを勘案した中で、税の収入、そして歳出というものを重要な課題として取り上げていっていただきたいと思っております。
〇委員
ほかによろしゅうございますか。どうぞ。
〇委員
6ページの「生計同一の妻に対する非課税措置については、課税の公平の観点から廃止すべき」というのは、これは私も賛成なのですが、個人所得課税のほうに人的控除の基本構造の見直しというのが抜けておりますので、これが唐突に出てきたような感じがするのですが、私も新米でよくわかりませんが、こんな形でいいのでしょうか。
〇委員
人的控除とおっしゃっている意味は、基礎控除とか配偶者控除とか、そういう話ですか。
〇委員
そうです。人的控除を見直さないといけないと思うのです。
〇委員
実は、それは6月に出した答申、あるいは昨年6月の答申に、課税のあるべき姿としては、人的控除の見直しは基本的にやるべきだと書いてございまして、ただ、今回皆さんの議論の中には、来年度そこをやるということ、つまり配偶者特別控除は来年からなくなります、というようなこともあって、基礎控除の見直しも含めて、課税ベースを広げる段階として、来年4月から追加的なものがあるかといったときに、実は年金のほうから老年者控除が出てきてということもあったものですから、なかなか人的控除の基礎的なところまで、その次の段階としてはあり得ると思うのですが、今回、もうすでに一通り議論したあとなものですからやっていないので、ちょっとご説明が不十分でしたが、その延長上に今言った妻のあれも含めて均等割を廃止したと、こういう流れでご覧ください。
〇委員
答申案を書かれるときには中に入ると思うのですけれども、「平成15年度税制改正の評価」になっておりますが、経緯のところで、昨年は研究開発減税ということで、一定の政策に集中的に減税を行うという方針で、これがはっきり出ておりましたが、今年は一体、先ほども出ましたがどっちへ向いた議論になるのだろうと、そこがやはりぼんやりしているわけです。
やはり入れておかなければいけないのは、平成15年度減税をやったときには、「多年度中立性」という言葉が出ておりました。今現在、審議状況のこれには入っておりません。答申案には入ることになると思いますが、多年度中立性の中立性のための手直しというのは、どの段階から入ってくるのだろうと。そこなのですけれども、おそらくそれが今年がぼやっとした感じの状況にある1つだと思います。やはりそこの点を決めていかなければいけないのかなと思っております。
〇委員
おっしゃる意味は、多年度税制中立で2年目に入るわけですね。したがって、いろいろな形で税のデコボコが出てくる中で、今回、来年の4月からのとどういう関係を求めたらいいかということですね。
〇委員
ここに1つ出ていますけれども、恒久的減税の割合を少し圧縮するのはどうかとか、そういう問題です。
〇委員
その辺について、事務局で何かご感触ございますか。ここまでそれをまともに議論していなかったですね。ただ既定の路線で走っている。それにオンする格好になっていますからね。
〇事務局
言っておられる趣旨がよくわからないのですが、平成15年度、現在はご存じのとおり、1兆8,000億円の減税、そして来年も1兆5,000億円の減税が継続することになっているわけです。それは以後逐次5年間、要するに増減税デコボコになりながら、地方の場合には増減税チャラが3~4年後になって、国のほうが7~8年後にチャラになるという体系で実はでき上がっているわけです。かといって毎年の減税、増税を拒否するものではありませんから、もちろん来年度に向けてどういう政策を打つかということだと思うのです。
ただ、私どもから思いますのは、先ほど来議論されているように、果たして理論的根拠がどうかはわかりませんが、先般の総会でしたか、ある委員も言われましたし、あるいは金融小委員会のほうで、市場関係者の方が、5割を割ると、相当ナーバスな問題を金利に起こしますよということを、市場関係者の側から発声されているという意味では、やはり歳出に占める歳入の割合というのは、私ども税制を仕組む上では考えていかざるを得ない。その中で優先順位としてどういう減税を考え、他方で、それではカバーするためにどういう増収措置を考えるかという中で、ぎりぎりでやらざるを得ない、非常にナローパスの税制改正になっているのかなという気がしているということです。
私どもも、経済を発展させることが税収を確保する意味でも重要だということは、十分認識しているつもりですが、他方で、焦眉の急として国債金利のはね返りを起こしてしまうと、これは単に我々だけではなくて、広く企業や金融、全般に大きな負担を起こすことになるものですから、その辺はやはり非常に慎重な見きわめをしながらやっていくことを考えるということかと思います。
〇委員
おそらく委員の質問は、増減税一体でこれは動き出しているわけですよね。前倒しで減税がどんどん出てきているけど、後段で多分増税項目が一応浮上して、6年か7年かかるのかな、トータルでチャラにするような仕組みができていますから、それと来年度以降やろうということは矛盾しなくて、追加的な話として処理できるだろうと、こういうことだと思いますよ。
どうぞ。
〇委員
先ほどちょっと言い忘れたのですけれども、欠損金の繰越期間の問題です。これは中小企業にとっては非常に大事なことであって、今、企業の再生ということが非常に大きく叫ばれておって、そういう方向づけをせざるを得ない。そうすると、ベンチャーの場合でも、大体7年から8年たたないと黒字にならないということと同じように、今ある企業でも同じようなことが言えるということからすると、どうしても7年という数字をある程度入れてもらいたいと私としては考えます。
それと、先ほどローンの問題で1つ言い忘れたことでは、イギリス、ドイツ、フランスは、ローン利子の控除制度を廃止するというようなことを前回配布された資料に書いてあるのですけれども、これについては、イギリスでは住宅に対する付加価値税のゼロ税率を採用している。別の形で補助をしておる。ドイツ、フランスでは住宅取得に対する補助金またはゼロパーセントの融資をしているというような、別の形での助成をしているということでありますので、その辺もちょっとつけ加えさせていただきます。
〇委員
ありがとうございました。
それでは、ぼつぼつよろしいですかね。議論も尽きてきておりますので、ちょっと早めですが、別に早く終わっても構わないだろうと思いますから。
あとの段取りですが、ボキボキと言っていますけれども、こういう主要論点で右に行っているのか、左に行っているのかわからないような項目があって、ちょっと頭が混乱するかもしれませんが、これまで起草会合、それから総会でいただきました議論を踏まえまして、文章化した答申素案というのを次回にお渡ししたいと考えています。次回は今度の金曜日の1時から3時まで開催を予定しておりますので、そこでは、原案として、答申案としてご審議いただく作業に入りたいと思っています。
実はその1日前、木曜日ですが、起草会合におきまして、答申素案なるものを一応ご検討いただいて、予め起草のメンバーの方々のご意見を聞いたあとで総会でお諮りしたいと考えております。これまでいただきましたものをベースにいたしまして、答申案を作成しようと思っていますが、極力国民に対するメッセージという意味から、読めばわかるような形で出したいなと考えております。中身につきましては、これからお出しした段階でご議論いただければと考えております。
繰り返しになって恐縮ですが、今日の資料「これまでの審議状況」は、これから十二分に変わり得ますので、ぜひお手元にお残しいただいて、ご退席いただきたいと考えております。
次回はたしかこの建物ではなくて、また本庁のほうに戻ると思いますので、迷子にならないようにして現れてください。
それでは、どうも長時間ありがとうございました。
〔閉会〕
(注)
本議事録は毎回の総会後、速やかな公表に努め、限られた時間内にとりまとめるため速記録から、財務省主税局及び総務省自治税務局の文責において作成した資料です。
内容には正確を期していますが、税制調査会議事規則に基づき、事後の修正の可能性があることをご承知置きください。