総会(第3回)後の石会長記者会見の模様

日時:平成15年11月14日(金)16:15~16:30

石会長

今日は第3回目になります。総会を行いましたが、内容につきましてはお聞きの通りでございますし、それから、その背後にある様々な諸事情につきましては、前回大物だけを言いましたので、あえて言うこともないですね。今日は、質問を受け付けるぐらいにしようかと思っているんですが、ただ、今後の日程等々でどうしようかということを少しお話しいたします。今日、最後に起草会合というのを作るという形で基礎問題小委員会の方々にご参加いただくことを同意いただきましたので、来週月、火、水を外して木、金あたりで、その辺を集中的に議論したいと思っています。やり方は、これまで随分議論が出てきました論点につきまして、主要論点メモ的なものをとりあえず作って、それについて賛成、反対、いろいろな立場の議論というのがあったわけです。例えば住宅ローンなんか典型的ですよね、賛成、反対あるわけですから。そこでいろいろ議論を交わしつつ、その肉付けをしながら流れを作って、文章化していこうかなと考えています。したがって、来週の総会、火曜日にやりますが、その前に起草を2回ぐらいできたらやって、総会で1回整理してもらってと思っています。

ただ、もう前回と今日の議論でお分かりのように、中長期的にしっかり議論しなきゃならない問題領域と、住宅ローンで代表されるように、期日切り的に何かある種の方向を出さなきゃいけない問題と2通りあって、後者のほうはそれ程多くないんですよね。と同時に、中長期的な目から見てやらなきゃいけないんだけど、頭出ししておいたほうがいいといったのが、来年4月からできる問題であればそれは当然やりたいと思っていますし、そういう点からいきますと、恐らく今日の議論でもお分かりのように、住宅ローンについてはある種の方向を決めなきゃいけない。この議論はしなきゃいけないと思います。それから、年金についても、いずれ本格的な議論は来年以降と思っていますが、しかし、来年度からスタートできるようなことがあるかどうかというのは、皆の議論を聞きつつ、何か浮上してくるかもしれない。それから3つ目は、地方税の中で、今日、課税自主権の問題が大分取り上げられましたけど、この間議論した中ではやはり均等割みたいな話が大分出てきましたよね。そういう意味で、三位一体の中身、いつどこで入れるかということが分からない中で、なかなか三位一体の中に飛び込んで税源移譲というところまで議論ができないでしょう。できないけど、いずれにしても、方向性はこういう議論をしなきゃいけないし、といった形の一般論ですかね、そういう議論はできると思いますから。でも、トータルで言って、この間も言っていますように、A4判でまあ、どのぐらいですかね、何枚か分かりませんが、7~8枚か10枚以下か分かりませんが、その程度の今年は年度改正にならざるを得ないのかなとは思っています。なにぶんにも議論する時間があまりにもなさ過ぎたし、それから、あまりにも周りがふわふわしている状況でありますので、それが精いっぱいかなと思っております。

その他必要なことは、前回申し述べたと思いますので、もしかご質問があればお受けしたいと思っています。そちらもあまり質問ないでしょう。(笑)

記者

住宅ローンの減税については、これまで先生もいろいろな局面でおっしゃられて、何となく景気状況等もあり、単純にスパッと切るわけにもいかず、さりとて満額回答というわけにもいかないので、ある程度縮小しつつ延長するという…。

石会長

まあ、そんなことですかね。今日もお聞きのように、相変わらず頑張っている人が一、二いましたけど、彼らも満額2年延長ということまで言っているのか、これから詰めていく過程でもう少し本音ベースでお互いに議論したいと思います。が、やはり昨年来、あるいはこの6月以来の議論を踏まえて言うと、やっぱり住宅ローン、一定の役割が終わったという意見が多分、だんだん主流というか支配的になってくるんじゃないかと思いますので、おっしゃる通り、スパッとはいかないにしても、ある程度見直しというあたりでいけばという感じはしますけどね、住宅ローンに関しては。

記者

国と地方ですけど、今日も出た通り、税源移譲まではなかなか踏み込みづらいにしても、課税自主権の中で、制限税率とか、いろんな議論がありますけど、課税自主権の中で、来年度改正に盛り込めそうな、方向が出せそうなことで、何かお考えがございますか。

石会長

方向が出せそうだということは、言うなれば、もう少し地方分権のほうにウェートを置くなら、今の法定外普通税、法定外目的税あたりの決定の仕組みね、ああいうところで何か、もうちょっと、何とか何とか委員会でかけるというよりは、もう少し許可も緩いというか、責任を地方が持ってやるようなやり方というのはあるのかもしれませんし、そんなあたりで何か議論ができるかなと思っています。

記者

その点については、今日も総務省のほうから若干説明があって、同意制を届出制にするとか、そういうことがありましたけど、具体的に言うとそういうようなことになるんでしょうか。

石会長

ええ、そういうような、従来、許可制から同意制になって、同意制プラス何か係争何とか委員会になったと。そういうトラブッた時も地方が責任を持って、自主的にやるというふうな、もうそちらのほうに、まさに届出をやっちゃうかというあたりのほうの議論ができるかどうかですね。多分、課税自主権についてはそういう議論が残るだろうと思います。

記者

先生ご自身は…。

石会長

まあ、地方分権ですからね、中央がああじゃない、こうじゃない、ジャッジメントしてやるより、中央はこういう考えだけど、君らはやるのという形で丸投げしたっていいと思いますよ。そうしたら、そんな無責任な要求してこないでしょう。だって、今、住民訴訟あるでしょう。ということになれば、それこそ責任持って議会が決めてくるんじゃないですかね。ただ、あまり財源あさりで細々したものばっかり出てくるということも問題なんですね。それはある意味では地方自治だから、選挙を踏まえ、議会で決定という、そういうある意味の地方の民主主義が根づく一つのきっかけになればいいと思いますけどね、この話が。

記者

税源移譲なんですが、今日、谷垣大臣の会見でもまとまった段階でやるのが一番妥当だと。04年度改正では難しいという見方を示されたんですが、石先生、先程の総会でも年明けから交付税と税源移譲については議論すると。それは、05年度改正には間に合うような例えば基幹税の税源移譲の仕組みというものを年明けからある程度、夏とか秋とかの段階ではかちっとしたものを出したいということなんですか。

石会長

それはまさにこれからの議論次第ですけど、3年、新しい税調の委員の任期がございますから、3年のうちで前倒しというか、前半のほうでやるテーマと後半でも間に合う、後半でなきゃできない問題と恐らく分かれてくると思いますよね。そういう意味では、年金と地方税制関係というのは前倒しで議論ということになれば、始めたらやっぱり1年ぐらいでケリを…ある程度方向が出て、周りも今言った補助金カットなんという話である程度こう出てくれば、05年度税制改正に何か乗っけられるところまでできてくればいいと思いますけどね。そうすると、来年の今頃、年度改正の中である程度踏み込んでできるかどうかという議論になると思いますけど。ただ、それもひとえに相手のある話だし、今日は知事さんの話で、補助金を削るといかにいいことがあるかということばかりるるおっしゃっていましたが、逆に言えば、荒らされちゃ困るという強い抵抗勢力もあるわけだよね、中央には。あの辺を政治的にどうやってこなしていくかというあたりが、僕は最大の問題だと思っていますけどね。税調としても、ある一定の何か前提、ある条件が満ちればこうなるというような議論をいずれの段階でしたいと思いますけど、どこまでその前提が現実味を帯びてきたかということがないとね。

まあ、これ三位一体と言いつつ、同時決着ということを考えている人、少ないんだよね。まず税源移譲からやって、後から何かくっつけろという人と、税源移譲は最後だという人と、これいろいろあります。ただ、税調は元来、6月の時もそうだったけれども、やっぱり補助金と地方交付税が先行した後で、ある姿が見えた後税源移譲だろうというスタイルというか、発想をとっていますし、私もそれはそうだと思っています。つまり、今税源をやって、受け皿がはっきりしないうちに、その税源移譲が一体どうなっちゃうか分からないというのが一番困りますからね。

記者

これまでいろいろお話になっている話だとは思うんですけど、住宅ローン減税なんですが、やはり今年特に問題にしなきゃいけないのは、税収との兼ね合いとか、その辺を見ていかなければいけないよと、そういうことなんでしょうか。51%とか、歳出に占める割合がずっと下がっているとかですね。

石会長

今ある 6,000億円近い住宅ローンによる減収額ですか、あれが一体制度改正でどのぐらい減るか等々の議論が多分あるんでしょうけれども、税収確保のためというのは難しいと思いますよ、金目のほうですね。それより僕は、やっぱり税の仕組みの中で、何遍も言っているように、歪み、ゆがみの最大の、象徴的な問題になってきたと思います、あれは。所得の問題という意味でね。つまり、収入900万円ぐらいの人が払わなくていいよという話。それから、僕は最近つくづく思うけど、減税が良くて増税がだめだという対立的な議論というのは、だんだんもうおしまいにしないとね、減税が全て 100%いい話ばっかりじゃなくて、当然財源の問題がありますから。その財源を考えたら、例えば将来的に1兆円も住宅ローン減税が出ていくなら、1兆円を他に使ったほうがいいじゃないかという議論も当然あるよね。そうすると、減税が全てあらゆるものに有利になるかと…有利というか優先度が高いかというと、そうでもないでしょう。そして、必ずそれが赤字でやるんだったら後世代の負担にもなるし、それから、景気云々の話でいったいやらなきゃいけない時期かねということと、持ち家政策だけが本当に住宅としてやっていいかねという別の話。あるいは、今日、吉岡さんが言っていたように、今やまさに住宅ローンで住宅を建てた後、資産価値がデフレで落ちて大変な借金地獄に悩んでいる人もいるなんていう、新しいデフレ下における過剰債務の問題ね。これは個人ですよね。そういう問題まで踏まえて考えなきゃいけないから、減税で何をやってやるのがいいかねというだけの一辺倒の議論は難しいと思いますよ。そういうことも少し幅広く考えてみて…。これはちょっと余分なあれですが、つまり、金目の確保の問題だけではないということだけ申し上げたい、この住宅ローン減税に関してはね。

記者

結論めいた話で恐縮なんですけれども、今の住宅ローン減税については、最大50万という額の問題と、あと10年間という期間の問題があり、また、その結果として 900万円問題というのが所得のほうであると思うんですけれども、この辺、そういう理屈づけもあると思うんですが、変えていくとしたらどういうふうに変えていくべきだというイメージをお持ちでしょうか。

石会長

ほうっておくと、6年間で最高控除額150万円でしたっけ、あれに戻っちゃうんだね。あれに一挙に戻すという手もあるし、将来的にはあれ自身もなくそうと言っているわけですから、将来を見据えた形で言えば、結局、激変緩和の制度をどうするかということだと思いますよ。そこで、一番すっきりしているのは、何もしないで、6年間 150万円に戻すのが多分筋というか、議論としてはそっちが整合性があるでしょうね。ただ、一挙に 500万円から 150万円まで落としちゃっていいかどうかという議論と、10年が6年ですか…。 500万円が 150万円というとかなりギャップがありますから、その辺の真ん中あたりで何かあるのかねと。残高の問題と期間の問題ですね。ただ、それをまた上乗せすると複雑になるわなあ。ごちゃごちゃと。すっきりした形にさせたいと思いますけど、その辺で少し知恵を絞れれば、期間を少し削って、認めるローンの残高を削るといったような方向が一つ考えられるかなという気はしてますけどね、これから少し皆と議論します。

いいですね。起草のほうは、そういうわけでちょっと記者レクできませんが、火曜日、総会の時でまた状況を説明できると思います。どうも。

(以上)