第3回総会 議事録
平成15年11月14日開催
〇石会長
第3回目の総会を行いたいと思います。
次回から、このように私を隔離した席にしないような配置をお願いいたします(笑)。周りに誰かいてくれないと落ち着かないですからね。
それでは、今日もまた3時間という長丁場でございますから、途中で休憩をとりたいと思います。お手元に「議事予定」がございまして、4つほど項目が並んでおります。最初が、国際課税、第2番目が個人所得課税の中での金融・証券税制を特にとり上げ、かつ、住宅ローン減税もここでとり上げたいと思います。それから、前回、時間切れでありまして、消費税が残っておりますが、今日はこの消費税も改めてとり上げて、最後に大きな問題として、地方分権と税制、俗に言われます三位一体等々の議論の現状をご説明いただくという格好にいたしたいと思います。
すべて終わったあとで、来年度税制改革に関しまして、自由にいろいろな角度からご議論いただく時間も設けたい、このように考えております。
それでは、最初、難しいテーマからやっていきましょう。国際課税の問題がございまして、前回、谷垣大臣のご挨拶にもございましたように、新しい日米租税条約の署名が行われました。国際課税もこれからの重要なテーマでございますので、折に触れてこれをとり上げてみたいと思います。グローバル化と税制というのは次の大きなイッシューになると思っております。
それでは、最初は主税局のほうと次に国税庁のほうと、順次、ご説明いただきますが、最初に、国際租税課長の浅川さん、次いで、国税庁の調査査察部調査課長の井阪さん、おふたりにお願いいたしたいと思います。
では、浅川さん、よろしく。
〇浅川国際租税課長
国際租税課長の浅川でございます。
今、会長からお話がありましたように、先週の日本時間で金曜日に、ワシントンで日米の新しい租税条約の署名が行われました。
資料で申し上げますと、「総3-1」が条約のポイントでございます。「総3-2」は国税庁から後ほどプレゼンテーションがあると思います。「総3-1」の参考資料が「総3-3」ですが、今日は主に「総3-1」のポイント紙に沿って、この新条約の中身の概略をご説明申し上げたいと思います。
中身の説明に入る前に、一つだけ、なぜこの時期に日米租税条約の改正が行われたのかという、その政策的な背景を一言だけ申し上げさせていただきたいと思います。
申し上げるまでもなく、日本経済の活性化という大きな政策課題に向けて、租税政策としていろいろなことをやらなければいけないという面があるわけでございますが、その第一弾としまして、平成15年度の税制改正において、研究開発税制や設備投資税制等が集中的・重点的に講じられまして、その効果が着実に発現しつつあるのが現状だということは、前回の総会で調査課長からご報告申し上げたとおりでございます。
今回の日米租税条約の改正というのは、ある意味では活性化に向けての租税政策の第二弾と申しますか、それをさらにクロスボーダーに広げて、一番経済的な関係が深く、重要な戦略的パートナーであるアメリカと、租税条約というツールを通じて、投資交流を促進し、直接投資、間接投資、ビジネスチャンスの拡大、雇用の創出を図り、さらには競争の促進を通じ、わが国経済にとって喫緊の課題でございます構造改革を側面からおし進めることができるのではないか、そういう思いがあって、今回の租税条約の交渉が署名に至ったということでございます。
そうした背景があったのですが、実は、現行条約は非常に古い条約でございまして、現行条約が結ばれたのは実は1971年の3月8日という、今から申しますと32年くらい前に署名が行われました。ここ30年間、データを見てみますと、日米間の投資交流というのは飛躍的に増大しています。この30年間で直接投資は、往復ですが、17倍くらいに増えておりますし、証券投資にいたっては100倍くらいの規模に膨れているという経済実態もございます。こうした実態を踏まえると、現行条約が古ぼけて見えてきたということもございまして、日米双方が、全面改正をしようということで今回の話に至ったわけでございます。
それでは、中身に関しましては、「総3-1」のポイント紙に沿って簡単にご紹介申し上げたいのですが、まず最初の、ポイント紙の一番上の囲みに、「趣旨」というのがございます。租税条約というのはもともと2つの大きな目的がございますが、「積極的に投資交流の促進を図るため源泉地国における課税を大幅に軽減する」というのが一つの目的。別な言葉で申し上げますと、二重課税のリスクを軽減していこうということでございます。
もう一つは、条約の濫用を防止するためにも、両国でいろいろな協力をしていこうというのが、二つ目の大きな政策目的となってございます。
このポイント紙は、その2つの目的に沿って、今回、日米新租税条約に具体的にどういう措置が盛り込まれたのかということが書かれてございます。
まず、投資交流の促進のための措置として、今回の一番大きなポイントになるのですが、投資所得(配当、利子、使用料)に関する源泉地国課税をお互いに大幅に軽減する、という合意がなされました。
これは、大変恐縮ですが、資料「総3-3」の14ページをお開きいただけますでしょうか。14ページに「租税条約による投資交流促進(イメージ)」図というのがございます。A国、B国とありますが、B国を例えば日本だといたします。B国の投資家が、A国例えばアメリカに対していろいろな形態で投資を行います。A国で所得を稼得しまして、その稼得した所得をB国に収益という形で還元する。その形が例えば配当であり、利子であり、場合によっては使用料である、こういうことになるわけです。
こういうケースの場合は、言い方としてA国のことを所得の源泉地国と言い、B国のことを投資家の居住地国と言っています。今申し上げたのは、源泉地国においてA国からB国に配当、利子が支払われる場合には、支払われるときに、源泉地国であるA国において源泉徴収課税が行われるということになります。源泉徴収課税が行われますと、当然、B国の投資家の手取りはその分だけ減ってしまいますので、そこをお互いに軽減していけば投資交流の促進に大いに資することになる、というところが大まかなイメージなわけでございます。
ポイント紙に戻っていただきますと、具体的に投資所得には3種類ございまして、配当、利子、使用料でございます。表がございますが、現行条約上、配当のうち、親子会社間配当、これは具体的には持株割合が10%以上の子会社からの配当、これに関しましては、先ほど見ていただきましたイメージ図で、源泉地国において現行条約上10%の源泉徴収課税が行われていたところ、これを、今回の新条約においてそれぞれ引き下げまして、親子間配当を2つに分けて、持株割合50%超の子会社からの配当は免税にしましょう、持株割合10%以上50%以下の子会社からの配当は、現行10%のところを5%に下げましょう、という措置を施すことに合意したわけでございます。
それから、ポートフォリオ配当と申しますのは、持株割合が10%未満の子会社からの配当のことを申しますが、その場合も、現行条約は15%のところを新条約では10%に引き下げる合意がなされております。
これに関しましては、その表の下に注1がございますが、これを見ていただきますと、今申し上げた免税措置、親子会社間配当のうち持株割合50%超の子会社からの配当を免税とすることとなりますが、データを調べましたら、これによって、わが国からアメリカに進出している企業延べ3,600社ほどございますが、このうち約8割が免税の対象になるという統計でございました。
アメリカは世界最大の資本輸入国でございますので、世界各地からの資本をかき集めて経常収支の赤字をファイナンスしています。従いまして、源泉地国としてのアメリカは課税権を放棄することには後ろ向きでございまして、現にアメリカの租税条約で親子会社間配当を免税にしているのは3例しかございませんでした。イギリス条約、オーストラリア条約、メキシコ条約。これらはいずれも最近の条約例ですが、3例とも免税ではあっても、持株割合を見ますと、子会社に対して80%以上の持株割合を要件としており、非常に敷居が高うございました。今回、親子会社間配当の免税としては4例目になりますが、日米租税条約ではさらに持株割合を50%超にまで引き下げていただいたということになろうかと思います。それが配当でございます。
利子のほうは、この表を見ていただきますと、現行条約、源泉地国で10%の源泉徴収課税が行われた上で、例えば100のものが90になって居住地国に還流してくるということですが、新条約のもとでも基本的には10%は変えておりません。カッコにございますように、「金融機関等」、これは具体的に申しますと、銀行、保険、証券会社等がこれに当たりますが、これらが受け取る利子を免税にするという新しい措置を施しているわけでございます。
最後の使用料ですが、これは、現行条約10%のところを新条約では一律免税という措置でございます。注2を見ていただきますと、実は、使用料を完全に一律免税にしたのは今回が初めてでございます。大きな条約の方針の転換があったというふうに言えるかと思いますが、注2にございますように、今までは使用料に対しては源泉地国としての課税権の確保をポリシーとしてきて、基本的には10%の源泉徴収課税を行ってきておりましたが、経済のソフト化に伴う無体財産権、知的財産権の活用というのは日本経済活性化にとってのキーになるだろうということで措置したわけでございます。
それから、注2には「わが国の対内・対外投資の促進」と書いてございます。これはどういう意味かと申し上げますと、資料「総3-3」の6ページを、恐縮ですがお開き願いますでしょうか。特許等使用料の推移が平成8年から平成14年までの数字が並んでございます。上が受取、真ん中が支払、一番下が、その残渣になります収支でございまして、それぞれ、対全世界と対米国が並んでございます。
これを見ていただきますと、日本は知的財産権の分野では多少後発でございまして、例えば収支で見ていただいても、対全世界、平成8年度は3,427億円の支払超--▲は支払い超という意味になります--でございます。平成14年の数字を見ていただきますと、対全世界で732億円の支払超。同じ支払超ではありましても、このように着実に支払超の幅は縮小してきていることが見てとれると思います。
ところが、その中でアメリカだけ抜き書きした数字がその一番下の数字でございますが、平成8年に5,209億円の支払超。これも着実に縮小してはいますけれども、平成14年の数字を見ても、2,532億円の支払超ということになります。
ここから言えるのはおそらく2つだと思います。1つは、対全世界で見ると、支払超の幅はほぼ解消しているのかなと。場合によっては、今後、むしろ日本が受け取るようなトレンドにが見てとれるのが一つ。
その中で、アメリカは相変わらず大幅な支払超だということは、その裏側を見てみますと、アメリカ以外の、具体的に申し上げますと、アジアとの間ではむしろ日本が受取超になっているだろうということです。次のページに今度はアジアの数字を掲げさせていただきました。一番下の数字を見ていただきますと、平成8年から平成14年まで、特許等使用料はアジアに対しては一貫して日本が受取超ということで、アジアとの間では我が国がノウハウを提供している、そういう位置づけになってきているというふうに思います。
先ほどのポイント紙に戻っていただきたいのですが、注2のところで、「わが国の対内・対外投資の促進」と書いてございますのは、そのようなデータを背景にいたしまして、対内投資の促進というのは、今回のアメリカ、あるいはヨーロッパもそうなのですが、やはり先進国との間ではまだまだ日本は、支払超ということになります。むしろヨーロッパやアメリカのブランド力、ノウハウ力を持った企業が日本に来ていただいているということなのかなと思います。
今回、使用料を免税とすることによってその動きをさらに加速したい、こういう思いがあるわけでございます。言葉をかえて言うならば、そうした知的財産権を持った付加価値の高い欧米系の企業にどんどん来てもらい、対内投資をしていただきたいということです。
対外投資のほうはむしろアジアとの関係でございまして、今見ていただきましたように、アジアとの関係ではむしろ日本の企業が進出して行っている、つまり使用料をいただいている。こういう関係でございますので、むしろ使用料に対する源泉徴収税の免税措置は、例えばアジアとの租税条約にも生かすことができるならば、わが国企業の対アジア進出のある意味ではサポートになるのかなということで、「対内・対外投資の促進を目的として、使用料を免税とするように条約ポリシーを変更した」というふうに書かせていただきました。
これが今回の日米条約の一つの大きなポイントでございますが、次の2ページ目をお開きいただけますでしょうか。2ページ目からは、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)と少し細かい話が並んでございます。ざっと見ていただきますと、同じく投資交流を促進したいという措置の具体的な中身ですが、(2)に書いてございますのは、移転価格課税でございます。これは、親子会社、例えば日本に親会社があって、アメリカに子会社がある場合、親子会社間であるという特殊な関係を利用して価格操作を行い、利益を日本からアメリカに移転してしまったときには、親子間ではなくて全然関係のない独立した第三者であるならば、そういう価格操作を行わなかったであろう、客観的な価格でもって、課税当局が課税処分をし直すという税制であり、移転価格税制は日本もアメリカも両方持っております。
これは、グローバルスタンダードになっている課税形態の一つですが、問題となるのは、これは、納税者にとってかなり膨大な資料を要求するものですし、課税処分としては非常にテクニカルなものになります。そうしますと、2行目に書いてございますが、納税者は膨大な関係書類を処分があるまで長期間にわたって保存しておかなくてはいけないということがございますし、負担が高い課税処分だということで、日本の国内法上、基本的には6年以前の事案には移転価格の調査には入らないという期間制限が定められております。
ところが、アメリカにおいては、こうした非常に負担の高い課税処分であるにもかかわらず、期間制限が特になかったわけでございます。そうしますと、理論的にはかなり古い課税事案に対しても、アメリカの課税当局が移転価格課税処分に入ることが可能であったということで、移転価格課税の期間制限については、日本企業サイドからかなり要望が強かった点でございます。
今回、ここに書いてございますように、アメリカの国内法上は無制限ということなのですが、条約上、「期間制限を設け、課税年度終了時から7年以内に調査を開始しない場合には、その処分を行うことができないこととする」ということで、ある意味ではアメリカの国内法を条約で縛ることによって、アメリカに進出している日本企業の課税上の予見可能性を高める措置を講じたということでございます。
それから、3つ目でございます。これもときどき言われる話ですが、アメリカは、条約を今回のように結びましても、後日、その条約の中身を変更するような国内法を立法措置した場合には、そちらが優先してしまうという、つまり必ずしも条約が国内法に優先しない国なわけです。日本は、憲法上、条約の遵守義務が明記されていますので、そういうことはないのですが、アメリカの場合、後法優先主義と申しまして、国内法が後日できた場合にはそちらが優先してしまうということが現にございます。
これもいろいろな要望がございまして、今回、条約上こう書かせていただいております。2行目からですが、「他方の締約国」つまり日本に対して、条約上の崩れた特典の均衡を回復するための協議を要請する権限を与えるとともに、要請を受けた一方の締約国、これはアメリカでございますが、アメリカは3カ月以内に協議を行わなければならない、ということを条約に明記させていただきました。
要は、条約を結んだ後、アメリカで条約のバランスを失するような国内法の改正を行った場合には、日本側からアメリカ側にその条約改正のための協議の申出を行う。申出が行われた場合には、アメリカ側は3カ月以内に協議を開始しなければならない。直接、そういう国内法の立法措置をやめろということではないのですが、こうしたある意味では牽制効果をねらった措置を、条約上、盛り込ませていただいたということでございます。
こういうことは現実に過去起こっておりまして、1986年にレーガンがかなり大規模な税制改革をやったのです。そのときに、外国法人のアメリカにいる支店課税のあり方が抜本的に見直されまして、その次に出てきます支店利子税、これは日本にはない税金ですが、こういう税金がポンと入ったりした例はございます。
(4)の話ですが、今申し上げた支店利子税というのがアメリカで86年に導入されました。そこに書いてございますように、米国では、外国法人の在米支店に対し、当然、通常の連邦所得税--日本で言う法人税--が課されるのですが、そのほかに、支店から本店に払ったとみなされる利子に関して、本来は支店・本店間という、一企業の内部取引には課税関係は生じないのが通例なのですが、アメリカには支店ではなくて現地法人だったならば、親会社に払っただろう部分を利子とみなして課税するという特殊なテクニカルな規定がございます。そういう支店の利子とみなされる部分に関して源泉徴収税を課しているということなのでございます。
今回、そうしたアメリカの特殊な税をなるべくやめてもらいたいという交渉をしてきたのですが、この支店利子税に関しましても、最後の2行になりますが、先ほど申し上げたわが国の金融機関等が受け取る利子については免税になるという規定が効きまして、支店というのは、主にわが国の金融機関が支店形態でアメリカに進出している例が多いのですが、今後は、金融機関等の支店に課されていた支店利子税は、新条約の適用後は免税になります。
5番目に、やはりこれはアメリカの特殊な税金の話ですが、外国の保険会社、例えば日本の損保が直接米国において保険を引き受けた場合には、引受保険料に対して4%の特別な税金がかかっておりましたが、これも新条約の発効後は免税になるということで、アメリカに納得していただいた点でございます。
それから6番目、これもちょっとテクニカルな話になりますが、アメリカには、例えばリミテッド・ライアビリティー・カンパニー、これを日本語に直すと有限責任会社ということになるらしいのですが、そのような事業体、あるいはパートナーシップという、あまり日本にないような事業体を通じて日本に投資をしてくる例が多うございます。まだこういう事業体が日本で国内法上確立していないものですから、課税上の取扱いが必ずしも日米で一致しないケースがあるのです。そうしますと、アメリカのLLCですとか、パートナーシップが例えば日本の債券を買ってくれる、あるいは、日本に株式投資をしてくれるということがあっても、そこから稼得する配当とか利子に関して、必ずしも現行条約上の特典が与えられていないというクロスボーダー上の非常に大きな問題がございました。
今回、新しい条約ではそこの課税関係を整理しまして、こうした日米の間で課税上の取扱いが異なる事業体からの投資に関しても、日米条約上の恩典が与えられるような整理をしたということでございます。
以上が、先ほど申し上げました、租税条約の目的の一つであります投資交流の促進という措置の具体的な中身でございますが、最後のページに、2番目の目的でございます、条約の濫用防止、租税回避の防止措置ということで3つほど掲げてございます。
一番最初にございますのは、租税回避の防止のための特典制限条項という、これまた専門的な話になって恐縮ですが、資料「総3-3」の36ページをお開けいただきたいと思います。特典制限条項のイメージ図ということでマルが2つ並んでおります。右側が従来の租税条約。従来の租税条約上は、例えば利子に対して軽減税率を与える等の条約の特典は、例えばアメリカの居住者であれば対象者に基本的にはなっていたということでございます。もちろん現行条約においても、最終的な受益者がもし居住者以外の第三者であれば、国税庁国税局が個別に認定していろいろな税制措置を図っていたのですが、少なくとも条約上は居住者イコール対象者ということになっていました。
今回の新条約においては、居住者であるだけではだめで、さらに適格性を見ようということで、対象者をもう少し絞り込んでいこうというのが大体のイメージなんですね。どういうふうに絞り込んでいくかというのが、次の37ページに、これも簡単なイメージ図ですが、書いてございます。
37ページのイメージ図では、米国の投資家が、日本に投資をしてきます。米国の投資家ですから、米国の居住者です。現行条約上は、居住者であるという形式的な要件を満たせば、基本的に日本から獲得する利子とか、配当とか、使用料に対しては、現行日米租税条約上の特典が与えられるということなのですが、そうではなくて、よくよく見てみたら、形式的にはアメリカの居住者であっても、その背後に、タックスヘイブンにいる第三国の居住者がおり、実質的に米国の居住者を支配しており、米国の居住者が、ペーパーカンパニー的にあまり実質的な事業をアメリカで行っていなかったという場合には、本来日米条約上の恩典を与えるべきではないだろうということで、こうしたような場合に、形式的にはアメリカの居住者であっても、日米租税条約上の特典を与えることを制限しようと。そういうことで特典制限条項という、包括的な規定が今回入っているということでございます。
ポイント紙に戻っていただきまして、租税回避防止策として2つ目に掲げてございますのが、「情報交換のための調査権限の創設」でございます。要は、お互いに国税の職員が質問調査権を行使して調査に伺うわけですが、これは必ずしもわが国の税法上のためでなくても、租税条約締結国の相手国から情報提供要請があった場合には、租税条約上の情報交換規定を根拠に質問検査権を行使できるという新しい立法措置を、これは平成15年度の税制改正でお願いしてあったのですが、それが今年の4月1日から施行されております。そういう新しい調査権限も条約上明記することによって、情報交換規定の実効性を高めたというのが2番目の話でございます。
それから最後の話になりますが、匿名組合を利用した租税回避行為の防止策というのがございます。これは、ときどき新聞に載ったりするのですが、匿名組合というのが、クロスボーダー取引のタックスプランニングに利用されるケースが増えてまいりました。日米租税条約上、匿名組合契約に関しては、例えば日本に匿名組合がございまして、アメリカの匿名組合の構成員が分配金を受け取る場合には、引き続き、日本の国内法に従って適正に課税すると条約上明記することによって、匿名組合を利用した不正な租税回避を防止するための措置を講じたということでございます。
以上でございますが、最後に、今後の日程のことです。条約としましては、今、アメリカがまだ上院を開いておりまして、できるだけ早期にアメリカのほうで上院にこの条約を提出していただきたいと。わが国の場合には、これは外務省とのご相談事になりますが、来年の通常国会に提出していただけたらなと思うわけでございます。
来年中にアメリカの上院、日本の国会、両方通ったとすれば、即座に批准して発効になるのですが、ただ、発効しましても、適用を開始するまで若干準備期間をいただくということで、条約上、発効した次の年の1月1日から適用を開始することになります。仮に来年、日米両国の議会が通りまして発効した場合には、具体的な新条約の適用開始は再来年、2005年の1月1日以降になろうかと思います。
以上、多少細かくなって恐縮だったのですが、資料の一番最後のページでございます、51ページ、「租税条約の今後のあり方について」ということで、一言だけ申し上げさせていただきたいのですが、国際協調のあり方は、戦後一貫してIMF、GATT体制ということで、グローバリズム、世界主義だったのだろうと思うのですが、いろいろなきっかけがございまして、いろいろな場面で、世界主義から地域主義、二国間主義への動きというのが見られます。いろいろなきっかけと申しますのは、一つは、EUでユーロという地域通貨が誕生したという非常にショッキングな現象がありました。それから、GATT、WTOが、必ずしも貿易自由化にとってスムーズな役割を果たしてこなかったではないかというフラストレーションもございます。
それからアジアでは、申し上げるまでもなく、1997年にアジア通貨危機が起こって、そのときにIMFが示した処方箋が果たして適切なものであったのかというフラストレーションもございます。
こうした中で、いろいろな場面においてリージョナリズム、バイラテラリズムの動きが見られて、その3つをお書きしたのは、一番左の貿易自由化のための関税・貿易政策ということで言うならば、日本は戦後一貫してGATT、WTO体制を支えてきたところが、ここに来て舵を多少切って、バイラテラリズムの象徴でありますFTA、自由貿易協定を含む経済連携強化の動きが出てきた。
一番右には、今度はIMFの話ですが、為替安定のための通貨政策ということで、ずっとIMF体制で来たところが、先ほど申し上げたようなきっかけもございまして、EUにはユーロという共通通貨ができましたし、アジアにおいても、ASEAN+3という枠組みを使って、域内にある豊富な外貨準備を使って、IMFの補完となるべき為替安定策を模索する動きが着実に芽生えております。これはある意味では、リージョナリズム、地域主義の動きということだろうと思います。
真ん中に租税の話をお書きしました。貿易、為替、投資というのは、三位一体と申しますか、おそらく三者統合して考えるべき話だろうと思うのですが、投資拡大のための国際租税政策としては、租税条約ネットワークの構築が有効だろうというふうに思います。
ただ、租税政策というのは、租税主権と申しますか、一国のソブリンにかかわる話だということで、グローバリズムから出発しているのではなくて、もともとバイラテラリズムから出発しております。いずれにしても経済のグローバル化を背景に、こうした租税政策協調への模索が租税条約という形で発現しつつある。
今回、まさに日米租税条約の、最初に申し上げた背景として、日本経済活性化のためにはやはり対内・対外投資の増加が重要ですが、これはアメリカだけではなくヨーロッパとの間もそうですし、アジアとの間でもそうでございます。日米新租税条約をビジネスチャンスの拡大、雇用創出、競争促進等を図ろうという大きな流れの中に位置づけたいと思っております。したがいまして、今後、今ご説明申し上げた日米新租税条約において大きく転換したポリシーは、これは、日米にとどまらずグローバルに展開していきたいという思いがあるというご紹介を申し上げて、とりあえず私の説明は終わりたいと思います。
〇石会長
ありがとうございました。
では、井阪さん、よろしく。
〇井阪調査査察部調査課長
国税庁で調査課長をしております井阪でございます。本日は、国税庁における国際的租税回避スキームへの対応についてご説明申し上げ、併せて、具体的な調査事例を1例ご紹介させていただきたいと思っております。
資料の「総3-2」をご覧いただきたいと思います。3枚紙の資料でございます。先ほど話が出ましたが、昨今では資本移動のグローバル化ということで、こういったことを背景に、各国における税制の違いを巧みに利用して不当に税負担を逃れようとする、国際的租税回避の問題が顕在化してきております。
国税庁におきましては、大規模法人については国税局の調査部を中心にしまして、1980年代より、海外取引調査のための体制の充実、強化に取り組んできたところでございます。またこうした問題は、最近、中小規模の法人や個人投資家等にも広がりを見せておりますので、昨年度からは、主要な国税局の課税部に「国際化対応プロジェクトチーム」を設置しました。租税回避スキームの実態解明や、海外金融資産の資料源開発にも取り組んでいるところでございます。
国際的租税回避スキームの多くは、先ほど浅川課長の話にもありましたが、さまざまな事業体や金融手法を駆使しまして複雑に仕組まれております。税務執行当局としましては、ただ今申し上げました体制のもとで、税務調査等によりまして事実関係を的確に把握し、適用法令を精査して課税の適否を判定した上で、適正な課税に努めているところでございます。
さて、国際的租税回避スキームに対する具体的な私どもの課税方法でございます。国税庁では、一つには、実質所得者課税、さらには恒久的施設、英語ではパーマネント・エスタブリッシュメントと言っておりますが、これの認定による課税、我々はPE認定課税と呼んでおりますが、こういったことで対応してきているところでございます。
本日は、一例としまして、事業会社が匿名組合を利用して行っていた租税条約漁り、すなわち自分に都合のよい国際租税条約を利用する、いわゆるトリーティー・ショッピングに対しまして、恒久的施設を認定しまして、匿名組合契約の分配金をPEに帰属する所得として国内で課税を行った事例を、お手元の資料に基づいて紹介させていただきたいと思います。
お手元の資料の2ページ目、横長のイメージ図をご覧いただきたいと思います。「事業会社が匿名組合を利用した租税条約漁り事例」というものでございます。
まず、スキームの概要でございますが、製造業を営むX国法人A社、イメージをふくらませていただきますために、アメリカ大陸にある大きな国と考えていただいていいと思います。それから、Y国に販売子会社B社を設立いたします。Y国はヨーロッパの国とお考えいただいていいと思います。A社は、Y国の関連会社を通じまして日本に販売子会社C社を設立しまして、B社とC社は匿名組合契約を締結いたします。この匿名組合契約は、C社が日本で行うA社の製品--A社は従来から製品を日本で販売していましたが、A社製品の販売事業を対象としていまして、B社を組合員(出資者)、C社を営業者とする契約でございます。そしてB社は、C社が行う販売事業から生ずる利益の大部分を、匿名組合の出資割合に応じましてC社から匿名組合の分配金として受け取ることになるわけでございます。
このスキームの税務上の問題点を申し上げますと、A社製品の販売事業から生じました利益の大部分が、匿名組合契約の分配金として、日本においても、またY国においても課税されないということでございます。このスキームのポイントは3点ございます。
1点目は、営業者C社が組合員B社に支払う匿名組合契約の分配金が、営業者C社においては課税前の利益から控除される、すなわち税務上のコストになるということでございます。
2点目は、日本とY国との租税条約におきまして、条約上明文規定のないその他所得は、居住地国Y国のみで課税できるということでございます。
3点目は、Y国の国内法によりまして、Y国では、B社が受け取った匿名組合契約の分配金は課税されないということでございます。
日本とY国との租税条約によりますと、このような匿名組合契約の分配金に対して日本で課税するのは難しいところでございますが、一方で国際課税原則の中に、国内に恒久的施設、PEがあれば、PEに帰属する所得に対して課税することができるというルールがございます。
この事例におきましては、匿名組合契約の条項や組合事業の実態を検討いたしました。その結果、匿名組合契約の締結ですとか、出資金の調達方法や利益分配金の送金方法、あるいは、C社の営業上の重要な判断などにつきまして、A社がB社、C社に指示をしているということ、さらに、A社のブランド名をB社及びC社がともに商号に使用していますために、C社の営業上生じた債務についてB社に連帯責任が生じていることなどの事実を把握いたしました。
こうした事実から、この匿名組合契約には強い共同事業性が認められましたので、C社の事業拠点は、B社も共同して使用しているB社の恒久的施設であると認定して、課税をいたしました。
しかしながら、PE認定課税は万能ではございませんで、証拠資料の収集ですとか、事実認定が困難な場合が多くございます。また、匿名組合契約は、不良債権買取事業ですとか、製造販売業、金融業などにも幅広く利用されておりますが、必ずしもすべての事例におきまして恒久的施設、PEが存在しているわけではございません。
今般の日米新租税条約におきましては、匿名組合契約を利用した租税条約漁りを防止するという趣旨で、匿名組合契約の分配金については国内法で課税される旨を明記していただきました。このことは、私ども税務執行当局、あるいは、誠実に納税義務を果たしておられる納税者の観点から、メリットがあることはもちろんでございますが、海外の投資家にとりましても、投資の意思決定におきまして予測可能性が高まるという点でメリットがあるものと考えております。
そういった意味におきまして、日米新租税条約は、今後の他の条約改定交渉においてもモデルになるものと期待しているところでございます。浅川課長に頑張っていただきたいと考えております。よろしくお願いします。
〇石会長
ありがとうございました。
では、若干時間をとりまして、今のご説明につきまして、ご質問なりご意見、ございましたら、どうぞ。どうぞ、水野さん。
〇水野委員
租税条約の改定、いろいろ面白いことをお話しいただいたのですが、ちょっと質問させていただきたいのですけれども、今出ました匿名組合です。租税条約の中で、最後のほうに、匿名組合については「国内法令に従って課税を行う」、きちんと課税するということが書いてあります。その前のページに、事業体への条約を適用するということが明確化されると。匿名組合も事業体の一つですけれども、そういったことで、どっちが優先するとか、そういう問題は生じませんでしょうか。
今のお話ですと、これは匿名組合である、こうなっていますけれども、例えばアメリカ合衆国の法令に従いますと、こういった事業体は、パートナーシップであるとか、団体であると、これは納税者が選択していいことになっているわけです。そういうことを考えますと、やはり問題は残るのかなという気持ちはいたします。それについて、国内法で立法するというようなことは考えられるのでしょうか。ちょっとご説明いただけますでしょうか。
〇浅川国際租税課長
どうもありがとうございました。おっしゃるように、匿名組合というのも事業体の一種でございます。ただし、日本にかなり特殊な形態での事業体だということで、前のページにございます、事業体に関する課税環境を整理したというのは、主にイメージとしては、アメリカにあるLLC、パートナーシップ等の事業体が日本に投資してきた場合ということを規定しております。これは将来、現にアメリカにあり日本にないLLC、パートナーシップ等の事業体が新しく日本に認知された場合には、当然、双方向に効果が働くような規定にはなってございます。ですから、これは一般的な規定でございます。
匿名組合に関しましては、かなり特殊な日本特有のビークルだということで、実は条約ではなくて、議定書というところにこれとは別に規定させていただいております。それが次のページに書かれている中身ですが、匿名組合に関しては、先ほど申し上げたように、日本の匿名組合からアメリカの匿名組合の組合員が受け取る分配に関しては、日本の国内法どおり課税すると、議定書に書かせていただいたと同時に、逆に日本の匿名組合がアメリカにおいて所得を稼得した場合には、アメリカは、その稼得した所得に対しては日米条約上の恩典は与えないというふうに、両方向、ちょっと特殊に抜き出した形で書かせていただいております。特に匿名組合に対する課税関係に関しては、議定書を見ていただければはっきりさせていただいたのかなということでございますので、一般的な事項と、特に匿名組合に限って特定事項を議定書に分けて書いてある、そういう位置づけかなと思います。
〇石会長
ほかにいかがですか。どうぞ、千速さん。
〇千速委員
日米新租税条約は画期的な条約だと思って受けとめています。これをモデルに、諸外国、特にアジア諸国に広める努力を進めていただきたいと思います。国内法制の整備に相当な労力がかかると思いますけれども、ぜひ早急に進めていただいて、経済界としては積極的に活用していきたいと思っております。
〇石会長
今、要望を財務省にしているわけですね。当局のほうに。
〇千速委員
はい。
〇石会長
それはもうすでにお考えなのでしょう。さっき言ったグローバル化云々の最後のページの説明は、それを含んでいるのでしょう。
どうぞ。
〇浅川国際租税課長
まさにそういうことでございまして、今おっしゃいましたように、これはかなり大きな条約改正なものですから、これをスムーズに実施するための国内法整備も当然必要になります。これも、来年、通常国会に出させていただいて、一刻も早くこの新条約がスムーズに運用されるための環境整備を整えたいと思いますし、法律を整備すれば、今おっしゃったように、アジア、ヨーロッパとの条約改正が今後あっても、すぐそれに適用できるような国内法の体系が整うということですので、そこは頑張ってやりたいと思っています。
〇石会長
これ、赤字会社と黒字会社では恩恵の受け方は違うよね。つまり、赤字だとフルにOKだけど、黒字だったら、別に外国税額控除を使って向こうで払った分を引いてもらうのだから、手間暇はメリットあるかもしれないけど、その辺どうですか。
〇浅川国際租税課長
今おっしゃったように赤字会社の場合には、外国税額控除を引くにも、今、国内の法人税額が出ていませんから、これは引けていないということは、逆に言えば、アメリカで軽減された税金は、その分だけ企業の直接の税負担の軽減につながるということはそうなのですが、実は黒字会社の場合にも、外国税額控除は控除限度額があるわけですので、この控除限度額に引っかかっているような企業にとってみたら、源泉地国である課税は下がれば下がるほど、その枠に余裕ができるというメリットはあろうかと思います。
〇石会長
ほかにございますか。
〇井堀特別委員
今の外国税額控除の話ですけれども、これ、どのくらい実際問題として効いてきて、これが完全に効いていれば、例えばメリットで強調された、対内投資を呼び込むこともあまり効果がなくて、その分だけ日本の源泉が減っても、投資国の居住地のところで税金がその分取られるだけなので、投資する企業は日本に投資するインセンティブは、外国税額控除が完全に機能していれば、ないわけです。むしろ逆の場合ですから、それが、どのくらい実際問題として外国税額控除で相殺できていない分があるのかというのが、一つお聞きしたい点です。
もう一つは、この租税条約ができたことの結果として、できる前と比べて、ほかの条件が一定であるときに、日本の税収に与える効果はどうなのかということです。要するに、日本とアメリカとほぼ同じくらいにクロスでやっていれば、お互いに源泉で減った分だけ居住地のほうで増えれば、それほど税収減には結びつかない可能性もあるわけですけれども、税収に与える効果はどうなのかというのを伺いたいと思います。
〇石会長
2点、よろしく。
〇浅川国際租税課長
今のご質問、2点ございましたが、まず前者のほうです。おっしゃるように、実際の外国税額控除で引けている場合には、今回せっかくアメリカで源泉徴収税が軽減されても、その分、日本の法人税の増収につながるだけではないかということは、理論的にはそうなのですが、ただ、今、手元に詳しい数字はないのですが、日本の大企業でも、日本国内で赤字で、アメリカで黒字であるという企業は多いかと思うんですね。その結果、全世界所得を通算しても、日本で法人税の納付額が出ないような企業は結構あるのだろうと思います。
今、定量的にお答え申し上げる材料はないのですが、日本の景気は底を打ったとはいえ、基本的にはまだ巡航速度に達していないわけでございます。そういう環境もこれあり、我々としては、赤字企業に、期待するという言い方も変なのですが、赤字企業にとっては、先ほど会長がおっしゃったように、そういう効果があることは事実だろうと思っています。
2番目の税収に与える効果ですが、これも非常に難しゅうございます。端的に申し上げれば、使用料の減免というのは、今、わがほうが取っている税金がなくなるわけですから、減収要因。それから、配当と利子の免税軽減措置というのは、むしろわが方の増収要因ということで、これを総合して見た場合にどうなるかというのは、いろいろ仮定計算をしないとわかりませんし、これを免税にした結果、足元の増減収がどうなるかというよりは、むしろ租税条約というのは、動学的にこうした措置を施すことによって、企業の行動に中期的に影響を与えることによって、投資のパイプが太くするということが政策目的でございます。大変申し訳ないのですが、いろいろな仮定計算をしなくてはいけないという技術的な問題とともに、租税条約は、特に増収を目的にするような政策ではございませんので、そうした計算はなかなか難しいと同時に、あまりなじまないのかなという気がしてございます。
〇石会長
時間の制約もありますから、では、中里さんを最後に打ち切らせてもらいます。
どうぞ。
〇中里特別委員
これで日米租税条約の改正は、3回目になるのでしょうか。非常に大胆な交渉、本当にシビアな外交交渉だったと思うのですが、一生懸命いい成果が上がってすばらしいことだと思います。
ただ、この国際課税の条文というのは、つくれば3日後にはすぐ抜かれるという宿命がございまして、それとの関係で、国税庁が適正な税務執行を行うためにも、幾つかまだいろいろ整備しなければいけないことがあるだろうと思います。要望ですけれども、これは当然準備なさっていると思いますが、オランダとの間の租税条約を何とか--悪いと言っているのではないのですけれども、租税回避のないような形にしていただきたいということ。
それから、国内法において、先ほどPEの事実認定で課税なさっているとおっしゃいましたけれども、日本の国内法におけるPE概念というのは租税条約に近いわけですよね。国内事業課税を行う際に、条約法のPEとほぼ同じような国内法上の概念を使っている国はあまり多くないのではないか。アメリカだったら、“engaged in trade or business”というので、物的などうのこうのというのではなく、もっと広くなっていると思うんですね。国内事業体課税が行えるように、条約がない場合の国内法上のPE概念をもう少し広げて、PEという名前はとってもいいのではないかという気も--ちょっとそれは大胆ですが--します。
それから、これは悪口で申し上げるのではないのですけれども、外資系の保険会社は、そのほとんどがバミューダ法人の日本子会社になっているわけです。これは、再保険料を支払うことによって日本の課税所得をいくらでも圧縮できると、そういうふうに法律がなっているわけですから、いいとか悪いとか言っても始まらないのですけれども、競争条件上、よろしくないのではないかと思いますので、条約のない国に対する再保険料の支払い等について、場合によっては、すべてとは申しませんけれども、何らかの流通税のようなものを課税するとかいうのもあっていいと思います。
もう一つは、外資系の証券会社はほとんどケイマン法人の日本支店の形をとっているわけですが、これは、支店に対する支払いについて源泉徴収税の免除を税務署長がいとも簡単に出す。これは法律上、仕方がないのですが、そういうふうになっている。その他のことがあるということですが、条約のない国との関係での支店の利用等について、支店に対する支払いに関する源泉徴収の免除というのがそう簡単に認められていいのかどうか。悪いとは申しませんけれども、濫用は、少なくとも内容に何かあったほうがいいということです。
それから、庁の執行が最もしんどいことになるのは、手続的な情報収集の手段が限られていて、首から名札をぶら下げて資料をくださいといっても、なかなか取れないということがございますので、この辺はもうちょっと整備していく必要があるのではないかと思っています。
あと、よけいなことですが、井堀先生が先ほど、外国税額控除と源泉徴収のことをおっしゃいましたけれども、外国税額控除は、限度額があるだけではなくて、源泉徴収を先に取られ、外国税額控除は後から控除するということで、タイミングの問題からもよほど不利なんですね。よけいなことです。
〇石会長
心配事がいっぱいあるようだけど、若干手短にお願いします。
尾崎さん、何かありますか。続けてください。
〇尾崎特別委員
今度、免税ということになるわけですから、クロスボーダーで活動している日本の企業にとっては事務処理がずいぶん簡素化されるのではないかと思うのですけれども、その点で企業側の評価というのはありませんか。
〇石会長
併せて、お答えください。
〇浅川国際租税課長
簡潔にお答え申し上げます。
中里先生のほうから、オランダとの条約改定交渉の話がございました。これはおっしゃるとおりでございまして、匿名組合に関しては、日米はこれで国内法どおり課税できますが、先ほど井阪調査課長からプレゼンテーションがあったように、仮にヨーロッパのある国の居住者を介して匿名組合契約を結ばれた場合には、相変わらず回避行為というのは起こり得るわけですから、そうした穴は順次ふさいでいきたいと思っております。
それから、PE認定、もう少しPEの幅を広げたらいいではないかというお話は、条約の話というよりはむしろ国内法の課題として受けとめてさせていただきたいと思います。
それから、バミューダ法人の流通税の話ですが、これも国内法としては将来の課題だろうと思います。今回日米租税条約では、さっき申し上げなかったのですが、実は、日本の在米保険会社がさらにバミューダ法人に再保険した場合には、その分はアメリカにおいて引き続き4%の連邦消費税がかかることになってございまして、アメリカにおいては手当てがなされている話だと思います。それを日本としてどうするかというのは別な課題だと思います。
情報収集の手段の拡充の話は、おっしゃるとおりだと思います。これは引き続き、庁ともいろいろな具体的対策を講じながら、もう少しコンプライアンス規定を高めるような方向の国内法整備をしていきたいと思っております。
クロスボーダーでの事務処理の話でございますが、おっしゃるとおりでございまして、免税の場合には、外国税額控除のための事務処理は要らなくなりますから、その分は助かるのですが、ただ、先ほどちょっと申し上げました、今回、特典制限条項というかなり包括的な規定が入りました。このように第三国に所得が抜けている場合には、当初から条約の恩典を与えない、逆に言えば、そうでないことを証明していただいた場合に条約の特典を与えるということですので、そのところの事務処理と申しますか、そのための証明書のようなことは新たに付加されることになるとは思います。できるだけそれは、事務処理上、負担にならないように、特に大きな政策目的が投資交流の促進なものですから、この特典制限条項の導入によってメリットが損なわれるようなことにならないように気をつけながら、整備をしていきたいと思っております。
〇石会長
よろしゅうございますか。まだご質問は尽きないかと思いますが、国際課税の問題、今後も幅広く取り扱う予定でございますので、また、そのような折にご発言いただければいいと思います。
第二の論点に移りましょう。個人所得税で残った問題として、金融・証券と住宅ローン減税がございます。実は、年金は前回ありましたので、残り2つを今日は議論したいと思います。
金融小委員会のほうで金融・証券税制をやっておりますので、その審議状況も踏まえまして、奥野さんのほうからご説明いただきましょうか。
〇奥野委員
金融小委員長の奥野でございます。
今期になりましてから、金融小委員会は10月31日に第1回会合を、11月7日に第2回会合を開催いたしましたので、その結果についてご報告いたします。
今後の金融・証券税制のあり方についてですけれども、前の任期になります今年の4月から6月にかけての金融小委員会での議論を踏まえて、中期答申、「少子・高齢社会における税制のあり方」の中で、「簡素かつ公平で安定的な制度の構築を念頭に、金融商品間の中立性を確保し、金融資産性所得をできる限り一体化する方向を目指すべきである」という指摘をされているところでございます。
今後の金融小委員会ですけれども、この答申に指摘された方向に沿った金融・証券税制の具体的な制度設計について、専門的な見地から検討を進めていきたいと思っておりまして、来年夏ごろを目処にその結論を総会にご報告したいと考えております。
小委員会では、一体化される金融資産性所得の範囲や税率、損益通算など、多岐にわたる課題についてさまざまな観点からの理論的・実務的検討を行っていきたいと考えております。その際、納税者利便と、国内外にわたる適正執行の実現などに関する配慮も欠かせませんので、そのための納税者番号制度、あるいは、より広く納税環境の整備についても具体的に検討したいと考えております。
これまでの2回の会合では、米国におけるブッシュ政権のキャピタルゲイン減税、配当減税の経済効果、個人の金融資産運用のあり方、実態、それから、個人向け金融商品の課税関係の国際比較などについて、ゲストスピーカーの報告と事務局からの説明をいただき、議論を行わせていただきました。
そこで出ました主な意見としては、第1に、「貯蓄から投資へ」という政策要請との関係では、15年度税制改正で株式投資に対して大幅な優遇措置を設けたところでございますので、さらに税制を使って貯蓄から投資へと誘導するのは少し行き過ぎではなかろうか、税制はむしろ金融商品間でできるだけ中立であるべきだ、そういう方向で考えるべきではないかという意見が出ました。
2番目の意見ですが、金融資産性所得の一体化という場合に、単に税率を等しくするということだけではなくて、損益通算の範囲を広げていかないと、利益も出るけれども損も出るというリスク資産よりも、リスクが出ることのない安全資産のほうが税収上有利となって、歪みが生じる可能性があるから、損益通算の範囲をきちんと考えるべきだという意見も出ました。
それから、金融資産性所得の一体化という場合、個人段階の課税だけを見るべきではなく、中間段階での法人課税等も考慮すべきだ。これは先ほどの国際課税との関連も一部念頭にありますが、そういうご趣旨の話もありました。
それから、所得税が実現主義をとっていることとの関係で、キャピタルゲインについては、例えば実現の時期をコントロールできるとか、そういうこともあり、とりわけ損益通算等についてが念頭だと思いますけれども、諸外国ではキャピタルゲインについて特別の取扱い--損益通算の範囲を限定するとか、そういう取扱いをしていることについて特に考えるべきではないか。
ほかにもございましたけれども、主だった意見としては今申し上げたような意見が出ました。
また、金融小委員会の守備範囲の問題として、広く資本所得全般について、つまり金融所得を越えて、例えば事業所得であるとか、不動産に関連する所得であるとか、そういう資本所得全般について議論すべきだという意見もございましたけれども、当面は来年夏の報告を目指して、各種金融商品間で中立となっていない実態がございますので、それを踏まえて金融資産性所得に的を絞って議論を行うことにいたしました。
ただし、土地の譲渡益など、既に証券化されている資産もありますから、そういったグレーゾーンについては議論が及ぶ可能性もあろうかと思います。今後、総会や基礎問題小委員会での議論も踏まえつつ検討していきたいというふうに考えております。
こうした小委員会における検討が進められている中で、16年度改正を迎えることになるわけですが、金融・証券税制については、すでに15年度税制において措置された事項の円滑な実施を図ることが、第一義的に重要であると考えております。仮に16年度で改正を行う場合でも、そうした観点からの必要かつ適切な対応に限るべきであるという認識が小委のコンセンサスかと存じます。
併せて、15年度税制改正の内容については、引き続き、政府及び関係者が広報に努力されるように期待したいと思います。
以上で、私からの報告は終わりにさせていただいて、引き続き、金融・証券税制について事務局から追加説明をお願いしたいと思います。
〇石会長
では、永長さんですね、よろしくお願いします。
〇永長税制第一課長
「総3-4」という資料、横表になっている資料でございます。よろしゅうございますでしょうか。若干かいつまんでのご説明、恐縮でございます。
2ページに飛びます。個人金融資産の残高ということで、よく、個人金融資産1、400兆円と呼ばれるその中身でございます。過半を預貯金が占めている、上場株式は全体の4%ちょいしかないという円グラフでございます。
次のページ、推移を示しております。預貯金は着実に増加していますが、上場株式は減っている、こういう推移でございます。
4ページが、それの主要国の内訳でございます。日本、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランスと並んでいます。日本は先ほど申し上げたとおりでございます。アメリカが、債券、投信、株式・出資金、これを全部足しますと過半になっている。イギリスは保険が若干特色がございますが、日本で言う公的年金である報酬比例的な年金、これが個人年金、企業年金であるということで、このような数字になっています。ドイツ、フランスあたりが、預貯金と、先ほど申し上げたリスク資産、それから保険、年金、これが大体3分の1ずつになっているという姿でございます。
5ページでございます。15年度改正の中身でございますが、考え方といたしまして、ポイントというところで、預貯金並みの手軽さで株式投資ができる税制を目指したいということで、利子、配当、譲渡益、これを20%の定率課税にする。譲渡益の場合、税務署への申告も選択によって要らないようにする、このようなことをいたしております。さらに、「貯蓄から投資へ」というこれはドライブ税制でございますが、5年間、優遇税率10%というものでございます。
その具体的な中身は、次、数ページ書いてございますが、お時間の関係上、飛ばしまして、11ページ、お願いいたします。このような改正につきまして、いろいろなチャネルを通じて反応を聞いているわけでございますが、金融・証券税制、ポジティブな評価がマルで書いてございます。その下のダイヤモンドのところでございますが、3つ目で言いますと、「新規顧客数が目に見える形で増加しているわけではない」。従前、株について関心をお持ちの方はこの税制について認識賜っているのですが、いわゆるニューカマー、新たに関心を持っていただくにはまだ力不足であるというような反応がございます。
ただ、数字的には、その下の関連指標ですが、特定口座は順調に増加しています。また、マーケットにおきます個人投資家のプレゼンス、これもかなり大きくなってきているというところでございます。
飛びまして13ページでございます。このような改正を15年度で行ったわけでございますが、金融小委員会におきまして、ここで申しますと、株のキャピタルゲイン(譲渡収入)、利益の配当、預貯金の利子、金融資産性所得3つに分類されて、それぞれ異なる課税を受けているわけでございます。
かいつまんで申しますと、株の場合は、取得価額を引いて、損益通算を通さずに比例税率、申告分離になる。場合によっては、先ほど申し上げた源徴プラス申告不要、例の特定口座でございます。
配当につきましては、負債利子を引いたあと、ここは損益通算を否認しておりまして、その上で総合課税をする。しかし、この場合も、選択によりまして確定申告不要という道を作っております。
利子については源泉分離ということで、損益通算、所得控除、全部すっ飛ばして、源泉分離課税、このようになっているわけでございます。
このような制度のもと、17ページですが、各金融商品ごとに、保有段階、換金した際、それぞれどのような課税を行っているかということを整理したものでございます。保有段階におきましては、課税方法は異なるわけでございますが、税率は20%。先ほど申し上げたように、貯蓄から投資へという意味で5年間10%ですが、基本的には20%とそろっているわけでございます。
換金段階。例えば、売却、譲渡をしたときの譲渡益、払戻し、解約をしたり償還を受けたり、そのときの益、それぞれ区々になっているという状況がございます。このあたりのところ、課税のあり方をどのようにそろえていくかというところが検討課題になっているわけでございます。
次に、18ページでございます。ご参考までに、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、それから、二元的所得税の代表としてフィンランド、スウェーデン、それぞれの所得税の仕組みを図示したものでございます。それぞれの説明、割愛いたしますが、要すれば、例えば納番のあるなし等々を受けまして、例えば源泉徴収の活用等の工夫が行われていたり、譲渡益課税については、発生の任意性などの特性を踏まえまして、損益計算を制限するなど、それぞれ各国悩みながら工夫をしているということでございます。
最後に、24ページでございます。先ほど小委員長のお話がございましたが、納税環境整備ということで、納番の議論、これは今年の6月の中期答申の抜粋でございます。
真ん中あたり、(2)で、「今後の検討の進め方」というところでございますが、近年、特に金融資産性所得に対する課税一体化の検討を含めた金融・証券税制の構築のため、その(納番)導入に向けた具体的な諸方策を検討する必要性が高まっている。すなわち、損益通算の範囲を広げるに当たりましては、いわゆる益というか、所得の捕捉体制がどうしても不可欠であるという認識でございます。
それを踏まえまして、その下のパラグラフでございますが、「導入に向けた具体的な諸方策について更に検討を進める」というご指示をちょうだいしております。これについては、この秋の2回のセッションでは具体的な検討を行っておりません。年明け、この点についても議論を深めていただければ、このように考えております。
以上でございます。
〇石会長
ありがとうございました。
それでは、金融小の審議状況並びに金融・証券税制の制度的な枠組み等々につきまして、ご質問、ご意見、ございましたら、どうぞ。
よろしゅうございますか。これは、今後、繰り返し出てくるテーマだろうと思いますが。
どうぞ。
〇井上委員
今の証券税制の問題ですけれども、ともかく今、株価というのは1万円をやっと上回ってきた、金融機関にしてもずいぶん助かっているという現状があるわけですけれども、何としてもこの株価をもっと上げることが大事なのではないのか。上げるためには、一般大衆がもっと株に対して関心を持ち、投資していくということが大事なことではないか。今、日本は、ここの数字に出ているのも4.何%ですか、世界各国から比べても非常に低いわけでして、これは、誘い込むための手段をもっと考えるべきではないのかというふうに思うわけです。
英国でやっておりますPEP、これを日本版に置き換えたものを検討して、大衆を誘い込むというようなことを考えないと、ともかく年金についても3兆円からの赤字を出しているといういろいろな状況を見ても、そういうものを回復させるためにも大事ではないのかなというふうに思うわけですが、いかがでございましょうか。
〇石会長
いかがって、誰かに聞いているわけですか。
〇井上委員
はい。
〇石会長
金融小もずいぶん議論しましたよね。
〇奥野委員
個人投資家が株式を持っていただくということはきわめて大事なことですし、そういう問題意識は、金融小自体としても非常に強く持っているつもりではありますけれども、先ほど申しましたように、15年度改正でそれなりのことをしたところでありまして、また緊急に、きわめて恣意的な制度改正をやるというのは、ちょっと朝令暮改的なところがあるのではないかというのが一つです。
もう一つは、個人に持っていただくためには、税制とかそういうことよりも、まず日本の経済の実態がよくなる、したがって企業に対する、特に株に対する投資が個人にとって魅力的なものになる、それがやはり非常に重要なことではないかというふうに思います。
先ほどに戻りますけれども、そういう意味で、朝令暮改にならないように来年度までに金融所得税制について全体的に見ますので、そのときにご指摘の点についても考えて、議論の対象にさせていただきたいというふうに思います。
〇井上委員
朝令暮改ということよりも、やっとここに来て上がってきた、大企業の利益も25%も増益になってきたというところなので、むしろタイミングを見て追い打ちをかける必要はないのでしょうか。
〇石会長
それね、上がっても下がってもその議論は出てくるんですよ。絶えず。それより金融小の大きな議論は、証券業界に対する個人投資家の不信、そういうところに個人投資家が参加できない大きな問題があるので、何でも税でやればみんな来るという話ではないだろうと、皆さん大体そういう意見なんですよ。下がっても上がっても、井上さんみたいな意見は絶えず出てくるから、絶えず追い打ちになっちゃうんですよ。それで、これ以上やることはないだろう、と。こんなにやっているのは日本だけだろう、という意見もこれまたありでね。まあ、それはご意見の分かれるところですから、また議論しましょう。
〇井上委員
ただ、ここのところ、インターネットによる取引というのが非常に増えている現状ですよ。今までと世の中の形が変わってきているということを、認識すべきではないかと思うのですが。
〇石会長
そのとおりですよ。まさにインターネットで活性化している。税と関係ないところで行われているわけですから。まあ、また議論しましょう。すみません、話を折ってしまって。
もう一つの大きな問題、実は住宅ローン減税がございまして、これは年度末にかけて大きな問題になると思います。少しご説明をしていただきましょう。
では、企画官の川上さん、お願いします。
〇川上企画官
それでは、「総3-5」という横長の資料、「住宅ローン減税」という資料でございますが、ご説明させていただきます。
目次を1枚めくっていただきまして、1ページ目、「住宅ローン減税制度の概要」という資料でございます。ご案内のところでございますが、今の住宅ローン減税、住宅の新築取得、あるいは一定の増改築を対象といたしまして、そのためのローンの年末残高の一定割合を所得税額から控除する、いわゆる税額控除、租税特別措置の制度でございます。
これはかなり長い沿革がございまして、昭和61年度に3年間の控除から始まりまして、平成10年までは、ご覧いただきますように一番上のところでございますが、6年間の措置でございました。その後、平成11年に小渕内閣のもとで、景気対策、臨時異例の措置ということで、2段目にございますように、拡大をされまして、13年の後半から、3段目にございますが、今のような制度になってございます。
3段目のところを左からご覧いただきますと、5,000万円までのローン残高につきまして、1%の税額控除が10年間受けられる。したがいまして、このポンチ絵にございますように、毎年、最大では50万円ずつの税額控除、10年間でトータル最高では500万円の税額控除が受けられるという制度でございます。
現行の制度は16年までセットされておりまして、ご覧いただきますように平成16年は、一番下のところでございますが、縮減の形になっております。17年以降はなくなる、現行法ではこうなっているわけでございますが、ご案内のように国交省あるいは経済界等から、15年度の、下から2段目の姿で引き続き延長してほしいという強い要望があるわけでございます。
1枚めくっていただきまして、2枚目でございます。「住宅ローン減税による減収額のイメージ」ということでポンチ絵をつけさせていただいています。今申し上げましたように、税額控除ということで、実質的には税の形をとったいわば補助金でございます。租税特別措置として位置づけられるものでございますが、所得税の租税特別措置としては最大の減収額の措置でございます。
しかも、ここでちょっとご覧いただきたいのは、現行でも10年の措置でございますので、引き続き、まだ後年度負担が広がってくるということを見てとっていただきたいということでございます。
縦が、それぞれの居住年、横がその適用年を示したものでございます。例えば一番上を見ていただきますと、10年居住のもの、先ほどご覧いただきましたように、当時は6年の措置でございましたが、右のほうにいっていただきますと、今年15年まで減収の効果が続くということでございます。
逆に縦の合計が、この措置がない場合に、それぞれ毎年これだけの減収額が出るということでございます。例えば15年度のところに5,810億円の減収と書いてございますが、これが、毎年、租税特別措置の減収額、15年分ということで今年も公表している数字でございます。このポンチ絵は、15年度の10年の措置が今後とも続くという前提で考えますと、こういうことになるという数字でございますが、15年度、先ほど申し上げました5,810億円というのは、大体6年分ぐらいの箱が積み重なって6,000億円弱の数字になっているわけでございます。このまま仮に10年の措置を続けて、今のような高い数字のインセンティブを続けていくことになりますと、少し右にいっていただきまして、23年度、西暦で申しますと、2011年、まさにプライマリーバランス回復の目標年とされている2010年の初頭に、マックス約1兆円に減収が広がってくる、こういう姿になってくるわけでございます。
それから、3ページ目以降、政策効果等の話にご参考に資する数字もつけてございます。ご覧のように、租税特別措置というのは費用対効果で考えるべきものだということかと思います。これだけ強力な持家支援を続けてきたわけでございますが、一番上でご覧いただきますように、持家比率はこのところ横ばいという数字になっております。逆に申しますと、借家、持家の選択というのはいわばライフスタイルの問題になってきているのかな、というようなことも考えられます。
下のところに、総住宅数と総世帯数の差、あるいは、真ん中に折れ線でずっと右上がりになっておりますのは空家率でございますけれども、これをご覧いただきましても、全体の住宅の総量としてはすでにかなり量的な充足が図られてまいりまして、空家率は10%を超えるものになってきている。こういう中でなお、持家支援に強いインセンティブを続けるべきかどうかというご議論があるのかと思っております。
それから、4ページ目でございます。景気あるいは住宅投資との関係によすがになる資料ということで、住宅ローン減税の最高控除額の推移と、新設住宅着工戸数の推移を見たものでございます。ご覧いただきますと、デコボコいたしておりまして、過去、必ずしもはっきりした相関がないのではないかと見られております。11年度、大きく増やした時期。たしかに住宅着工、11年--真ん中の折れ線は住宅着工の対前年比の数字でございます--プラスになってございますが、このあたりも、税の効果だけなのか、あるいは、金利等いろいろな要素がございますのは、いろいろ見方はあろうかと思います。その後、同じ数字のもと、高い水準のインセンティブのもとでございますけれども、住宅着工は前年比でマイナスになっているところでございます。
ちなみに、直近でございますけれども、今、住宅着工は110万戸前後で推移いたしておりますが、ちょうど今朝発表になりました7-9月の推移では、住宅投資は2四半期連続のプラスになっている、そんな状況と聞いております。
5ページにいっていただきまして、租税特別措置は必ず何らかの税制の歪みを伴うわけでございますけれども、その程度を、参考にしていただくよすがということでここに掲げさせていただいております。住宅ローン減税、年間最高50万円の税額控除ということでございますが、これをフルにご活用いただいた場合に、例えば夫婦子2人とか、それぞれのご家族でどういう負担状況になるかという数字でございます。
一番左のところをご覧いただきますと、配偶者特別控除廃止後の数字がカッコの中の数字でございますが、夫婦子2人で、16年、配偶者特別控除廃止後でございましても、900万円近くまでの給与所得者の方が所得税を一切お納めにならない、こういう姿が続くわけでございます。この状態が、先ほどですと10年の措置ということでございますが、相当長期に続く。所得税全体が空洞化という問題意識にのぼっております中で、このようなものを続けていいのかどうかというご議論があろうかと思います。
6ページ目でございます。諸外国の流れでございます。アメリカはやや違っておりますが、アメリカは伝統的に、住宅に限らず、かなりローンに対して甘いユニークな税制になっておりますが、それでもご批判ございまして、1986年に住宅関係のローンに限定して存続してきているという姿でございます。主要なヨーロッパの諸国は、大体縮減・廃止の流れになっているのではないかということでございます。
アメリカの制度で「住宅関係」と書いてございますが、これは日本の制度とやや異なっておりまして、アメリカの場合は、住宅を担保にしたローン一般を対象にしております。必ずしも住宅投資に結びつかないものまで対象にしているという点で、ややユニークな点があろうかと思っております。
最後に、7ページ目でございます。この住宅の関係は、昨年6月の当税制調査会の「基本方針」におきましてこのような記述で整理されております。上の線のところでございますけれども、「税制の歪み、あるいは空洞化の一要因となっている」という整理。
それから、下のところ、2行目からでございますけれども、「持家比率が一定の水準に達した上、少子・高齢化の進展とともに住宅需要が量的に減少していかざるを得ない中、内容面でも、住宅の需要が多様化する中で、持家取得促進を中心とした住宅政策のあり方が問われている。その中でこの税制については、住宅ローン控除等従来の軽減措置のあり方を検討すべきである」、こういうご指摘をいただいているところでございます。
資料の説明は以上でございます。
〇石会長
ありがとうございました。
この問題は、来年の税制改正に関して一つの大きな問題点になってくるだろうと思います。つまり、来年1月からもとに戻ってしまいますから、そういう意味で少し時間をとって、どうしようかということも踏まえて、ご議論いただきたいと思います。
あと、関係省庁の要望とか何かありますよね。ちょっとその辺、ご説明いただける? 存続を要求しているところがあるわけでしょう。
〇川上企画官
基本は2年間の延長というご要望でございます。あと、若干要件のところで改善をしてほしいという細かいご要望はございますが、基本は2年間の単純延長ということ。15年の制度を延長するということでございます。
〇石会長
わかりました。そういう要望が出ていることを踏まえて、ご議論いただきたいと思います。
このままだと、来年1月からもとに戻ってしまうということだよね。
〇川上企画官
1枚目の概要でご覧いただきましたように、1ページ目の一番下の平成16年分、この姿に、放っておくとなります。17年以降がなくなってしまうということです。
〇石会長
下から2番目を2年間延長してくれという要望があると。
〇川上企画官
はい。下から2段目の、15年の10年間の措置をそのまま延長してくれというのが国交省と要求官庁のご要望でございます。
〇石会長
どうぞ。
〇吉岡委員
消費者の立場から見ますと、住宅ローン減税はかなり魅力のある措置だったと思っておりますけれども、ここのところ、ご承知のように、住宅ローンに起因した個人破産も非常に増えております。個人破産だけでも30万を超えるという状況になってきている。それは一つは、住宅の価値、土地の価値が、バブル以前の右肩上がりという状況から変わってきてしまっている、そういうこともあります。住宅の場合になぜ持家を求めるのかというと、やはり資産価値と、それから、将来の住まいに対しての安心、安全、そういうことがあったと思いますけれども、社会状況が変わっているということを考えなければいけないと思います。
ただ、景気刺激策とかそういうことから言いますと、個人の住宅であっても、住宅建設にかかわる事業者が非常に多様で、たくさんありますから、そういう意味では、小さな事業者でも潤う面をたくさん持っております。その辺への配慮、そういうことを考えながら、景気との兼ね合いを合わせなければいけないと思うのですけれども、基本的に国がとってきた持家政策、それが本当に妥当であったかどうか、そういう点を考える必要があるのではないかと思います。
それから、高齢社会に移りまして、高齢者が借家に入る、あるいはアパートに入るということが非常に困難な状況が出てきております。その辺も含めて、公的住宅の問題も考えなければいけないのではないかと思います。
〇石会長
ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。
どうぞ。
〇佐竹委員
この種のものは、いわゆる制度をつくったときの趣旨というものがおありでしょうから、その制度の趣旨が到達したかどうかで、かなり割り切らないと、日本の税制をだんだん変に……変に歪めるというのは失礼なんですけれども、そのときそのときにいい理屈でやっても、あとは、しりが切れないと。それでいろんな面でおかしくなっているという点がありますので、これは国全体としての政策判断で、最初の時点の効果があって、使命を達したかどうか、そこら辺の見極めが必要ではないか。
もう一つは、今、吉岡委員からお話がありましたとおり、地方中都市、うちのほうは小都市かな、持家政策というか、どんどん郊外に住宅団地ができて、このせいかどうか--このせいとは言わないですけど、中心市街地の空洞化と。ヨーロッパ諸国なんかはわりと持家が少なく、アパート。それでわりと空洞化が少ないと。投資的な形での景気刺激策はいいのですけれども、大半建てるのは郊外なんですね。
ですから、総合的な都市政策から言いますと、我々としては、果たして高齢社会に向かってどうなのか、そういう別の視点もあるのかなという感じがします。ですからこれは、最終的な議論は、いろんな圧力団体があるでしょうけど、聞いているときりがないのではないかなと思うんですけどね。
〇石会長
どうぞ。
〇上月委員
だいぶ景気が回復したということですけれども、まだまだ中小企業とか地方のほうでは厳しい状態なんですね。今の建設業云々の話もそうですが、それと、今の秋田市長のお話にもございましたけれども、住宅事情というのは年代とともに住みたいところが変わってくるわけですね。年がいくと、やっぱり便利ところに住みたい。そうすると、今までのところを売ってでも買い換えたいとか、前のところは子供に譲ってまた買いたいとか、いろいろ需要が変わってきています。それと今までは、本当にウサギ小屋だった、小さなものしかローン控除が適用されておりませんでしたけれども、時代が変わっていますので、もう少し大きなものにも認めていただけないかなと。長過ぎると言われるのは、私は、それはやむを得ないかなとは思いますけれども、今の景気状態の中でこれを打ち切ってしまうということには反対ですし、それから、もし建設を進めるとすれば、消費税というのが入ってきますよね。そういう税収も、ここでは全然出ておりませんけれども、総合的に考えていただければいいのではないかと思います。
〇石会長
どうぞ。
〇川上企画官
一点、事実関係だけ申し上げますと、住宅ローン減税、長い経緯があるのですが、今、床面積の上限というのはございませんで、50平米以上の住宅の新築、青天井に認めております。
〇石会長
どうぞ、井上さん。
〇井上委員
すみません、何回も。この住宅ローン減税による経済波及効果は非常に大きかったということを、私は聞いておりまして、4.6兆円ぐらいの波及ぐらいがあったというふうに聞いております。それで住宅着工も押し上げられているということでありますし、同時に、第二次ベビーブーム、これが住宅を購入する側に回る年代に来ている。住宅を購入するのは20代の後半、それから30代というところで住宅を購入する立場になってくる。それがちょうど今の第二次ベビーブーム、1,000万人ほどそれが来る。その人たちが購入しやすいようにしてやることは、非常に大事なのではないかなというふうに思います。
同時に、先ほどもお話が出ましたけれども、今持っている持家、非常にひどいものだと。小さい、ウサギ小屋というような状況で、本当に生活環境を守れるのか。結局、子供たちがみんな離れていくのは、部屋が小さいからということもあるわけですよね。少子化になってきている原因も、小さな家だと、子供に1部屋も与えられないという問題だってある。そういったようなことを考えると、このローン減税というものは継続させて、まだまだ価値はあるだろうというふうに思います。
先ほど秋田市長からのお話がございましたけれども、地方ということではなくて、今までは東京の場合でも、多摩とかあんなほうに行っておりましたけれども、勤務先をもっと近いところに持ってくるというケースだってたくさんあるわけですから、都心に住みたいという要望もたくさんある。それが今までは土地ブームで、えらい土地が高かったから問題があったわけでして、ここで土地も下がってきたということから、もう少し大きな家を購入できるチャンスが来たわけでして、それに何とか協力といいますか、税制上からバックアップをしてやることは非常に大事だというふうに思います。よろしくお願いします。
〇石会長
ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。どうぞ、河野さん。
〇河野特別委員
予想したとおりの議論になっていて、現状拡大派か、それには理屈があってね、もっと圧縮すべきなのか。両方ですよ。どっちかにふられるしかないんです、この話は。それで、景気対策が圧倒的な優先的地位を占めた、明日にも日本経済がぶっつぶれるような雑誌が毎週、毎月出ていた時代には、圧倒的な支持がこれに集まったんですよ。今、井上さんが言ったようなロジックはいつでも通用するロジックだったからね。
ところが、今は、大企業と若干の株が上がって、だから世の中よくなったと、そんな短絡的なことは言わないけれども、空気が多少は変わりかけたということは、総理のセリフじゃないけれども、それは事実なんだね。そうなってきたら、9兆円しか税収のない所得税の中で、個人資産形成に対する援助なんだ、これの性格は。それはあなたが言ったみたいに、波及効果はあるかもしれない。電気メーカーとか、家具屋さんとかね。若干ふところに入るかもしれない。しかし、基本は個人資産形成に対する援助なんだ、これは。戦後ずっとやってきた持家政策の延長線上にある哲学だと思うんです。それを全部否定はしませんよ。しないけどね、やっぱり物事には時期があるんですよ。
今日は最初の会合だから、一言だけ言っておくけど、答申を書くまでずっと議論が並行して展開すると思いますが、国の財政で所得税がこれしかないときに、こんな個人の一部に対して、圧倒的な減税。補助金ですね、これ。やることが、公平の原則からという尺度もそろそろ持ち出しを考えてもいいのではないか、というのが私の意見です。どうですか。
〇石会長
もしくは反論があれば。そのあと村上さんにふりますから、どうぞ。
〇井上委員
波及効果というのは非常に大事なことだと思うのですけれども、収入が少ない、じゃ使い道は別のところで削減せい、と。道路の問題だってしかりだと思うんですけれども、いろんなところで削減することはたくさんある。地方分権の問題もそうだと思うんですけれども、そういう点で、みんなが削減することにちっとも向かわないで、今のままというのはおかしいのではないかというふうに思うんですね。その辺はどうなんでしょうか。
〇河野特別委員
そのとおりですよ。
〇石会長
今の河野さんのご質問は、課税の公平、不公平で、例えば資料の5ページみたいに、900万円近い人まで無税でいいかという問題提起をされているわけですよ。それはどういうふうにお答えになりますか。
〇河野特別委員
個人の資産形成に対する国の補助なんですよ。いいですか。その性格を抜きにして、景気拡大論でまくし立てるという時期は、もうそろそろお引き取りを願いたいか、もうちょっと声を低めてもらいたい(笑)。いや、ほんとに。バランス感覚だ、これは。
〇石会長
今日は初戦でありますから、これからいろいろ何回もやりますので、また。
〇河野特別委員
あとで議論は分かれると思うけど、そのぐらいの常識は持ってもらいたいと思うね。
〇石会長
では、村上さん、どうぞ。
〇村上委員
私も住宅ローン減税というのは基本的に賛成で、何年か前にそれを、景気対策として、あるいは、中年層、そういう人たちの生活面のことも考えてということで主張したことがあるのですが、現時点で一つ大きな問題になってくるのは、後年度負担がどんどん膨らんでいるという問題、それから、先ほど河野さんから指摘がありましたけれども、他とのバランスですね。それがかなりアンバランスになりつつあるということが非常に心配で、16年度が見直しの時期ということですから、ここは、ものには程度問題ということがありますから、期間の短縮であるとか、あるいは、単位当たりの控除額の縮小というようなことを検討していく時期だというふうに思います。
〇石会長
ほかにいかがでしょうか。どうぞ、遠藤さん。
〇遠藤特別委員
いろいろお調べになっていると思うので、ちょっと聞いておきたいのですけれども、「住宅ローン減税があるので家を建てます」という人は1年間にどのくらいの割合になるのでしょうか。というのは、普通我々は、自分の所得の中からローンが返せるかどうかということを、長期間検討して家を建てるのではないかと思うんですね。こういう減税があるから早めに建てるとか、建てることを決断したという人が、1年間に家を建てる人の中でどのくらいのパーセンテージを占めるかというのが、かえって重要ではないか。そういう点を調査されたことがあれば、お教え願いたいと思います。
もう一つ、今の議論を聞いていて、ふと思ったんですけれども、この住宅ローン減税が効くのは、首都圏とか、大都市とか、土地の高いところの人で、秋田の市長さんがおられますけれども、地方のほうに行くともっと安価に家が建てられるし、かなりの平米も確保できる、そういう現状があるのではないかと思うので、特定の地域にだけ非常によく効くという感じではないかなとちらっと思ったんですけど、そういうことはないでしょうか。
〇石会長
では、最初の、統計があるかどうかですけれども、今なければ、またということだと思いますが、どうぞ。
〇川上企画官
統計は、まず、この制度があるから建てた建てないというところは、これがあるから建てたのか、あるいは、建てることを決めてからこの制度がついてきたのか、というところの見極めはなかなか難しいところがございます。手元で全データだけ申しますと、民間のサラリーマン、いわゆる民給の資料でございますが、14年分でこの適用者が85.9万人という数字がございます。ただ、これは初年分は入っておりませんし、公務員等が抜けておりますので、民間のサラリーマン--事業者の方は除きますし、公務員とかは除かれますので、膨らませますと、大体300万とか400万とか、これくらいの方がオールジャパンでご利用されているのではないかという数字でございます。
失礼しました。今の80万という最初の数字は違っておりまして、民給の数字は240万で、それを膨らませまして、オールジャパンですと300~400万の数字とつかんでおります。
〇石会長
地域性云々の話はなかなかわかりにくいですよね。井戸さん、何かある?その辺。
どうぞ。
〇井戸委員
この問題、非常に難しいと思うんですけれども、問題は、量の問題だけでこの制度を作られてしまっているんですよね。つまり、ローンの1%、50万円まで税額控除と。本当は、今後の住宅のあり方、住宅整備のあり方、あるいは我々のライフスタイルをどう考えていくかということとセットで議論されなければいけないのですが、景気対策ということが念頭にあった時期に拡大したものですから、量だけの議論になってしまっているというのが一つ問題ではないかと思います。
それとの関連で言いますと、我々が今苦労していますのは、実を言いますと、住みかえができない。お年寄りの方々が住宅を売って、もっと環境のいいところ、例えば自然に恵まれたところでもいいし、都心でもいいんですけど、売ろうとすると、今度買い手がなければいけないわけですね。その買い手のほうを考えてみると、子供も大きくなったのでもう少し大きな住宅に入りたいと思っても、土地価格と住宅価格が下がっていますので、下手をすると、売ったら損を出すかもしれない。したがって、非常に流動化が阻害されてしまっているんですね。その流動化を、どうやってライフステージに応じて促進していくか。これはなかなか難しい措置なのですが、買い取り機関をつくったらどうだとか、いろいろな議論もあるのですけれども、そういう流動化をどう促進していくか、単に量を拡大するだけで検討するのはいかがかな、というのが私の住宅減税についての意見です。
〇石会長
今日は島田さんがいらっしゃってませんから、いれば、とうとうと小一時間、流動化についてのご意見を賜ると思いますが、いずれ、また聞きましょう。
では、どうぞ。
〇川上企画官
タックスの関係だけ補足させていただきますと、質のいい住宅だけ選ぶというのはなかなか難しいところがあるのですが、今の制度では、例えば耐火建築物ですと、築25年以内の中古住宅の購入も対象になっている、あるいは、一定金額以上の増改築もこのローン減税の対象になっている、というのが現行の制度としてはございます。
〇石会長
どうぞ、水野さん。
〇水野委員
この住宅取得控除は生命保険料控除と並んで、ずっと税制調査会では租税特別措置の典型だということだったわけです。緊急的に拡大されたわけですが、この税制調査会の年度答申としましては、従来からある租税特別措置を判断する基準--政策目的に合理性があるかとか、ほかに代替的な手段はないだろうかとか、さらに、効果はどのくらいあるだろうかと、そういった基準に従って評価したことを記述するのがよろしいのではないかと思います。
先ほど川上企画官のご説明で、5ページのところに、いわゆる年収との兼ね合いが書いてございます。これは、恒久的減税の分も入っているからこういうことになるのかもしれませんが、所得税額がゼロとなる給与収入金額、934 万円。大体言われるのは、年収の3分の1くらいが返済の限度だというんですけど、このくらいの所得ですと十分に家は買える。特に最近は安くなって購入できるわけですね。そこへもってきて50万円というのは、それがこの世帯に働くとは思えないし、また、50万円あとで戻ってくる。これをあてにして返済に充てるというのは、これはちょっと危険なことですので、そういうものはなかなか難しいと思うわけです。
やはり公平の問題から考えますと、所得がこれよりも低くて購入できない、それで家賃をなにがしか払っている人に対しては、家賃は控除できませんが、新しく購入した人にはこういう特典が与えられると。このアンバランスをどう説明するかではないかと思います。以上です。
〇石会長
ぼつぼつ次の予定に行きたいのですけれども、どうぞ、奥野さん。
〇奥野委員
先ほどの金融のときもそうだったんですけれども、税で2つのもののうち一方を後押しする--このケースで言えば、貸家ではなくて持家ですが--ということが、本当にいいのかどうかということが非常に大きな問題だと思うんですね。とりわけ、ローン残高5,000万円まで可能だというのは、さっきの所得水準だけではなくて、家の水準としてもかなりいいものまで後押ししてしまっていて、これは、平等ということから考えてもよくないのではないかというのが一点です。
もう一点、先ほど吉岡委員がおっしゃったことに関連してですが、バブルのときにたくさん住宅を買った人たちが、今、破産状態で困っているというお話だったわけですが、今、日本はどういう状況にあるかというと、利子率がほとんどゼロといいますか、非常に低利子率でやっていて、そういう意味では負担が比較的少ないので住宅投資も可能だと。こういうときに、今、税制で後押しをしたときに、あまり所得もないのに、利子負担が少ない、税も応援してくれる、じゃ作ろうかという人が出てくる可能性は非常に高いわけですよね。そういう人たちが、万一、これからデフレの時代が終わって利子率が上がり始めたときに、その負担に耐えられるのか。いわば政府が後押ししたから俺たちは家をつくったんだ、だけども破産した、どうしてくれるんですか、という人たちが出てくる可能性はあり得なくないわけですよね。むしろそういうこともきちんと考えて物事は考えるべきだと思います。
そういう意味で言うと、空き家率の話もここにありましたけれども、2003年問題なんていうのがあって、今、建物は非常にたくさんできていて、事務所は非常に増えている。その供給が増えているがために、逆に事務所の供給が貸家の供給に向かっている。そういう意味でも、住宅の量は都市ではかなり余り始めているという面もあるわけですから、持家ばかりを政策的にプッシュするような税制というのは、もうそろそろやめてほしいというふうに私は思います。
〇河野特別委員
3時にここを出なくてはならないので、ほかのテーマについても一言だけ言っておきたいことがあるんです。前回の総会のときに金融庁から要求されている、これ、金融機関の話ですよね。ここにご専門家が2、3人いらっしゃるから、ご意見を聞きたいところなんだけどね。前のメンバーのときの委員会で議論したことがあるんですね。あのとき、破天荒な要求で話にならないと、僕はそういう意見を言ったんだ。全部の項目ではありませんよ。そんなことがあったんだけど、同じものがまた出てきているというのはすごい話だなと思って、まず感心したわけ。
具体的なこと、2つだけ。1つは、金融庁の諸君が言っているように、欠損金の繰戻し還付期間を16年にしろと。9兆。どこの国に住んでいるんだと。金融庁諸君並びに常識がある金融専門家の方たち。そこの中ではこういう議論がまかり通るのだろうと思うんですよ。外から見ていたら、一体何を考えているんだという話だよね。けた違いの話ですよ、こんなもの。やりたければ、公的資金を導入して頭取か何かの首を切ればいいんですよ。堂々とやったほうがよっぽどいいですよ、そんなことは。こんな議論で、この国会情勢の中で、できませんと言ってくることは、全くその世界の常識かもしらんけど、我々、外から見ると、全く非常識なことをやっているんじゃないかという気がする。
2番目に、もう一つ金融庁の要求があって、欠損金の繰越控除を何とかせい、と。これは僕はかなり理屈の通っている話だと思うんです。充用可能である。しかし、金融システムの方法論で、金融だけに面倒を見ろというふうに聞こえるんですね。こんなアホな話ないですよ。バランスをとったらいいんですよ。ほかの業界たくさんあるんですよ、同じ問題を抱えているのが。それなら金融だけにこれを充てるのではなくて、産業界だって同じことを出しているんだから、みんな、中小企業も全部。それなら、この議論をしっかりやったほうがいいですよ。金融庁のこの破天荒な要求を真っ当に議論するのも馬鹿馬鹿しいと思うけど、しかし、出てきているからね。しようがない。もう一回言っておきますよ。2人か3人、専門家がいらっしゃるからね。反論を聞きたいね。
〇石会長
自由討論のところでそういう話が出てきたときに、今のやつを頭に入れておいて、どんな返事が来たか、今度お答えいたしますから。よろしゅうございますか。いや、同じじゃなくて、15年というのが16年に1年延びたんですよ。そういう意味ではそれだけもっとひどいんだ。まあ、1年前の話と今度の話とコンシスタンスにしただけの話ですけどね。
それでは次に移りたいのですが、今日は、住宅ローンにつきまして、最初から両方の意見があるのは予想されておりましたし、すぐここで結論を出すべき筋の話でもございません。いずれ、起草会合というのを作って、議論して、ある種の具体性を持った形の案を作ってまいりますので、そこの段階でもう一度、延長派、縮減派、いろいろあろうと思いますので、議論をいただいたらいいのではないかと思っております。そのときに再度。まあ、これは何回もやらなければいけないかもしれませんが。
ただ、いろいろな議論が交わされたあとでも、税調はやはりある方向に意見が集約してくるのが常でございますので、ぜひ、そういう意見をまとめていく方向で建設的なご議論をいただけたらと思っております。
それでは、ちょっと休憩しましょう。ちょうど2時50分でありますから、3時まで休憩にいたしたいと思います。
〔休憩〕
〔再開〕
〇石会長
時間も押しています。あと1時間しかございませんから、早速再開いたしましょう。
再開後の最初のテーマは、前回、時間切れで残しました消費税でございます。
では、西田さんのほうからご説明ください。
〇西田企画官
お手元資料は「総2-10」という資料でございます。よろしくお願いいたします。
消費税につきましては、昨年、さまざまなご議論をいただきました上で、消費税の信頼感を高めるための手直しといいますか、対応が、当面行うべき課題ということで、免税点等の中小事業者向けの特例措置の見直し、あるいは、総額表示の義務付け等の改正を15年度の税制改正で行わせていただいております。
これらの改正は準備期間等がございますので、すべて来年の4月からの適用になっております。したがって、これらの新制度の円滑な定着を図っていくことが必要であります。本日の説明では、改めて、15年度の改正の内容、趣旨等を中心に、消費税の現状についてご説明させていただきたいと思っております。
お手元の資料をおめくりいただきまして、1ページ、消費税収等の推移でございます。一番右の15年度、9.5兆円、下のほうに書いております、これが消費税の税収でございます。15年におきましては法人税収と逆転した等のお話は、先日の総会で税収のご説明のときに申し上げたとおりでございます。
2ページは、地方消費税の税収の推移等であります。
3ページにまいりまして、標準税率の比較、これもよくご案内のとおりでございます。左のほうからいろいろな国が並んでおりますが、一番左のほうにEUの諸国、その右側にEU外のOECDの国、それ以外の国という順番に並んでおりますが、ご覧いただくような標準税率の状況になっているということであります。
4ページ以降が、平成15年度の税制改正の内容に関する資料がついてございます。4ページには、創設時以来の消費税の制度改正の推移がついていますが、15年度税制改正では、先ほど申し上げたように、消費税の信頼感を高めるということで、この中の[2]の免税点制度、[3]の簡易課税制度という2つの中小事業者向けの特例制度、それから[6]番の申告納付、[7]の価格表示、この4点につきまして改正しております。
以下、それぞれにつきまして簡単にご説明を申し上げます。
まず、事業者免税点制度でございますが、資料は5ページでございます。平成15年度税制改正の前には、一番上の箱の中に書いてありますように、「前々年又は前々事業年度の課税売上高3,000万円以下の事業者については、消費税を納める義務が免除されている」、そういう状態になっていました。消費税は、転嫁されて価格に反映される税でございますので、年度開始前に、免税事業者か課税事業者かということがわかるように基準は前々年にしているということでございます。
1枚飛ばしまして、7ページにまいります。これまで3,000万円というのが免税点の水準でございましたけれども、15年度の税制改正で、7ページの表にありますように、3,000万円を1,000万円に引下げをさせていただいております。以前の3,000万円という水準でございますと、2段目、免税事業者数のところにありますように、全事業者の62%の方が免税事業者でございましたけれども、1,000万円という水準になりますと、39%というふうに、その割合がかなり低下する。これに伴いまして、課税事業者数226 万者から360万者程度に増えると見込まれております。
もう1枚めくっていただきまして、8ページには、諸外国の免税点制度の概要ということで、フランス、ドイツ、イギリスの表がついております。それをご覧いただきますと、フランス、ドイツ、イギリスでは、数百万円から、イギリスは1,000万円程度ということで、こういった点も勘案いたしまして、昨年の改正で日本の免税点も1,000万円に引下げをさせていただいた形になってございます。
それから、改正内容の2点目、簡易課税制度でございますが、9ページでございます。簡易課税制度と申しますのは、そこに簡単に絵が描いてございますけれども、消費税の本則的な計算方法というのは、売上と仕入、それぞれをつかまえていただいて、売上の5%から仕入れの5%を引いていただいて、その差額を納めていただくというのが本則的な計算方法でございます。これに対しまして、簡易課税という特例が中小事業者の方には認められておりまして、要は、売上の税額に業種ごとに定められましたみなし仕入率という一定の定められた率を掛けて、それをもって仕入の税額にできる、そういう制度でございます。
これが認められていたわけでございますけれども、一方で、この制度に対しては、本則の計算方法との損得などを考えて選択をしているのではないかというご指摘も多々あったわけでございます。
1枚飛ばしまして、11ページ、12ページ、これは実は昨年の税調にご説明させていただいた資料でございますが、昨年の段階でサンプル調査をいたしました。本則課税適用事業者と簡易課税適用事業者の方の実際の課税仕入率はどの程度だろう、というのをサンプル調査いたしたものでございます。
12ページに、その結果を簡単にとりまとめたものが表になっています。これをご覧いただきますと、第1種から第5種というのは事業の種類ごとの区分でございますが、それぞれの区分すべてにおきまして、本則の課税の適用者と簡易課税の適用者の間で、実際の課税仕入率にかなり差があることも見込まれるわけでございまして、先ほどご指摘のような状況も、ある程度推察されたわけでございます。
こういった点もかんがみまして、13ページにありますが、簡易課税制度を使える方の売上高の上限を、これまでの2億円から5,000万円に、15年度改正で引下げをさせていただいております。これによりまして適用できる方の数も半分以下に減ると見込まれていまして、この2点の中小事業者の特例を見直すことによって、制度に対する信頼感の向上を図るという改正を行っております。
14ページは、消費税の申告納付制度の改正の推移でございます。簡単に申し上げて、これまでは、多くの事業者の方、中間申告も含めまして年4回の申告をしていただいていたわけですけれども、1年に6,000万円以上の税額を納める方につきましては、毎月の申告をお願いするという改正をしております。
それから、改正内容の4点目、最後の点でございますが、15ページにまいりますけれども、「消費税に係る総額表示の義務付け」ということでございます。15ページの上のほうに「考え方」ということで書いてありますけれども、ご案内のように、現在の世の中の価格表示は税抜価格が書いてありまして、レジなどに持っていきますと、計算をしてそれに上乗せをして請求されるという税抜価格表示と、税込価格表示と、2つのものが混在しています。
税抜価格表示では、最終的に幾ら払うのかというのがなかなかわかりにくい場合がある。あるいは、税抜の店と税込の店が混在していますので、比較がしづらいとか、そういった問題もございます。したがいまして、必ず消費税額を含む支払総額を書いていただくことが、総額表示の義務付けでございます。これによって消費者の煩わしさを解消して、消費税に対する理解を高めていく、ということをもって改正したものでございます。
16ページに、総額表示方式の例ということで幾つか並んでございます。これはいずれも総額表示を満たしている例でございますが、要は、10,290円という税込価格を必ず書くというのがポイントでございます。値札等にはそのように必ず支払総額が示されることになりますので、払うべき価格が一目でわかるようになる。現状は、税抜、これでは9,800円、それだけしか書いていない場合が大半でございますので、現状よりは必ず値札等はわかりやすくなるということで、それが消費税の理解を深めていただくことにつながると考えて実施したものであります。
それから17ページ、これは主な欧州諸国における価格表示という表でございます。ヨーロッパの消費税タイプの付加価値税を導入している主な国でも、総額表示を法的に義務付けているところが多いということであります。
以上が15年度の税制改正の内容でございまして、いずれも、消費税の信頼感を高めていくといったような目的から制度の手直しをしたものでございます。
最後に、将来に向けた議論ということでございますけれども、これは、本年6月の中期答申で一定の整理をしていただいておりますので、それを、18ページ以降に抜粋してございます。
簡単にポイントだけ申し上げますと、18ページを飛ばしまして、19ページに消費税の議論がございます。19ページの上から2パラグラフ目でございますけれども、「少子・高齢化が進展する中で国民の将来不安を払拭するためには、社会保障制度をはじめとする公的サービスを安定的に支える歳入構造の構築が不可欠であることから、消費税は極めて重要な税である。したがって将来は、歳出全体の大胆な改革を踏まえつつ、国民の理解を得て、二桁の税率に引き上げる必要もあろう」というようなご指摘でございます。
その上で、「(2)今後の検討課題」ということで、「今後、税率の引上げについて検討していくに際して、検討課題」ということで、幾つか論点の整理をしていただいている。「[1]税率構造」でございますが、「制度の簡素化、中立性の確保の観点から、単一税率が望ましい。しかし将来、欧州諸国並みの二桁税率になった場合には、食料品等に対する軽減税率の採用の是非が検討課題となる」ということ。
あるいは20ページでございますが、「[2]仕入税額控除」ということで、複数税率が採用される場合には「インボイス方式」を採用する必要があるということ。
あるいは、「[3]消費税の使途」等々の論点の整理をしていただいているというのが、今年の6月の中期答申の内容でございます。
私からは以上でございます。
〇石会長
ありがとうございました。
消費税については、住宅ローン控除みたいに、目前に迫ってある種の判断を迫られているというよりは、3点セット、つまり、免税点引下げ、簡易課税の見直し、総額表示ということがすでに行われつつある。そして将来の課題というのが19~20ページと、この2つに論点が分かれると思いますが、今のご説明につきまして、将来あるいは現在やっておりますことについてのご意見がありましたら、ぜひお出しいただきたいと思います。どうぞ、上月さん。
〇上月委員
ずっとここに出させていただいて、お聞きしていますと、消費税率というのは非常に重要で、これから基幹税として税率のアップはやむを得ないと思うのです。今、我々が実際にかかわっている中小企業とか零細企業というのは非常に厳しい状況でございまして、それこそ血のにじむような努力をして、収益を上げるのに四苦八苦していますが、消費税を上げるという意見の前に、今の税金の使途に対する不信感というものは非常に大きいわけですね。これを何とかこの税率アップの話の前に、皆さんを説得するというんですか、納得していただけるように、我々、担当する者としては努力する必要があるのではないかと思います。
それで納得して説得ができた上で消費税率アップの議論をしないと、先にそれに走ってしまうと、ものすごく大きな反感がありまして、私なんか実際そういう人たちに接しておりますものですから、ひしひしと感じるわけですね。その辺をひとつご考慮いただけたらありがたいと思います。
〇石会長
何か具体的にご提案ございますか。その話は、対話集会を16回やった我々の結論でもあるんですけどね。そういう不満、不平はひしひしと受けるのですが、それをどうやって説得してどうしたらいいかということは、何か具体的にございますか。
〇上月委員
マスコミの皆さんにいつも不信いっぱいの記事をお書きいただいていますね。現実に私自身もそういうことしかわかりません。実際にきっちりしたものがわかるわけではございませんけれども、そういうものを見せていただいていると、まだまだ無駄が多いんだなあという感じがいたします。その辺のところ、やはり庶民感情といたしまして、もう少し払拭できるような形で公表していただくとか、何とかお願いできないのかなと思います。
〇石会長
つまり、うまく使っているかという実態面と、それから報道の側と、2つあるということですね。今日は後ろにだいぶいらっしゃいますから、何かあとで反応が出てくるかもしれない。たぶん実態面のほうが悪いんでしょう。どうぞ、宮島さん。
〇宮島特別委員
今後の課題というところで、昨年も私、少しですけれども、出ておりまして、そのときに、将来2ケタ税率になったらというのがやや条件になって、例えば逆進性対策とかインボイスの話をするということなのですが、それは、そういう条件が必要なのか、あるいは、そうでなくて前倒しでも検討すべき事項なのか、そこはもう少し私は考えていただきたいというふうに思っております。あるいは、どういうタイミングにするかということは、ここでもう少し議論してもいいのではないかと思っておりますので、それだけ。
〇石会長
具体的にはインボイスですか、それとも何ですか、ならない前からやろうという案件は。
〇宮島特別委員
3点セットで、今の帳簿方式の中でいろいろ生じている問題について、おそらく相当の手を打ってきたというふうには思いますが、一種のみなし規定的なものがどうしてもあって、それに対して、細かく言えばどうしたって問題が生ずるという議論が常に出てくる可能性はある。インボイス方式というのは万能だとは言いませんけれども、ただ、それによれば、事業者免税点にしても、簡易課税にしても、そういうものについてもある程度透明性というのは確保できてくるのではないかというふうに思います。それは、どういうタイミングを考えるかは別として、2ケタになったら始めればいいというものではないだろうということです。以上です。
〇石会長
ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。よろしゅうございますか。
どうぞ。
〇小嶋特別委員
お聞きしたいのですか、7ページの免税事業者数ですけれども、231 万者(39%)と。この中には、マンションとかアパートの1,000万を超えている事業者は入っていますか、入っていませんか。
〇石会長
今すぐお答えいただけますか。
〇小嶋特別委員
なければ、あとでも結構です。
〇西田企画官
入っております。
〇小嶋特別委員
それを抜きますと、何者くらいになるのでしょうか。
〇西田企画官
単純にこれは事業者を拾ったものでございますので、そういう事業者が幾らあるかというところまでは、それぞれ個別にはつかんでおりません。
〇石会長
今の小嶋さんのご心配というか、ご質問は、その業者が特に偏っているというような懸念ですか。
〇小嶋特別委員
実質的に1,000万以下の免税事業者がどのくらいいるのかということを知りたかったもので。
〇石会長
できたら業者別に欲しいということですね、たぶん。全体的に難しいかもしれませんけれども、事務局のほうにお願いして、もしか集まれば、そういう情報もまた出していただきましょう。
ほかによろしゅうございますか。
〇遠藤特別委員
今の説明の中で、20ページに「消費税の使途」というので、予算総則に、基礎年金、老人医療及び介護に充てることが書かれたということで、私は非常にいいことだと思うのです。先ほども意見が出ましたけれども、消費税率を上げるというのは国民に理解してもらわなければいけないことだろうと思うので、国民が、どういう説明をしたら一番理解しやすいのかということを考える必要があるのではないかと思うのです。
社会保障費は、少子・高齢化ですから、若い人が少なくなって老人が増えてくれば、よけい負担をしなければならないので、みんなが平等に負担しましょうねと、そういうことから言うとやはり消費税だと思うので、予算上明記するのではなくて、例えば社会保障費の8割なら8割は消費税でカバーすると、何かそういうガイドラインを設けて目的税化して--目的税化と言うと、石先生が新聞に書かれた論文も読みましたけれども、財務省の主計局や主税局の考え方もよくわかりますし、うまくないというのはよくわかりますけれども、こういう状況だから上げなければいけないんですよ、というのが一番説得しやすいのではないかなという感じがするんですね。要するに一般税源とすると、さっきみたいにまだ無駄なところがあるではないかとか、そこのところを直さないうちは増税は反対だという意見が必ず出てきて、そこのところは、どんなにやっても納得できるほどの措置はとれないのではないかと私は思うのです。ちょっと暴論であるかもしれませんけれども、そういうことも考える必要があるのではないかと思います。
〇石会長
特別会計まで作ってちゃんと囲えということをおっしゃっているわけですね。目的税化して。
〇遠藤特別委員
歳出化するときのやり方はいろいろあると思います。道路目的財源みたいな形になってしまうといやだなということもあるのかもしれませんけれども、そういう中で、査定の主権というか主体というものを確保しながら国民に理解させるというのが、非常に重要なことではないかと思いますけどね、主計局サイドから言えば。
〇石会長
どうぞ、尾崎さん。
〇尾崎特別委員
14ページですけれども、最初は年2回の申告から、現在は大きなところは年12回ということになってきて、合理化が進んでいるわけですけれども、相変わらず小さいところは年1回になっているんですね。私は昔、ヨーロッパにこの問題で調査に行ったときに非常に印象的な話がありまして、本当に小さなお店なんですけれども、どうしているんだといったら、毎月税務署に行って納めている、こう言うわけですね。大変だろうというように聞きましたら、いや、毎月のほうがいいと言うんです。これが全然日本人の感覚と違うところなんですね。「どうしてかというと」と言いまして、その人の小さな事務机があるんですけれども、そこに、自分が仕入れたときのインボイスを差してあるわけです。自分が売り上げたときに出したもの、そのインボイス、自分が発行したものも、もう一つ差してあるわけです。月の終わりに来ると、小さな電動計算機でその中の税額だけを、こっちを足して、こっちを足して、引算をして、それを納めればいいだけの話なので、これを1年分もためられたら大変だ、毎月毎月整理していったほうがいい、という話を聞いたことがあります。
これは、インボイス税額表みたいなものが仮に作られることになりますと、逆に、今、年に1回というような小企業の方々は事務的な手間が楽になるという話ではないかと思うのです。そのとき、私はびっくりしまして、皆さん、税額表があったら毎月納めたほうが楽だと、そういうことをお考えになったことがないと思いますので、昔話ですが、ご紹介しておきます。
〇石会長
ありがとうございました。貴重な情報を。どうぞ、井上さん。
〇井上委員
消費税の問題ですけれども、これはやはり景気がよくならなければということは、当然のことだと思っておりますけれど、インボイス方式、これはもう早く取り入れるべきではないか。消費税を上げるときには、食料品とか、ぜいたく品、そういうものの率は変えるべきではないのか。大体、消費税を導入するときに物品税を廃した、ぜいたく品であるのだから、本来高い税金で取っておいてもいいはずだ、高級ブランド品があれだけ商売が繁盛しているというのもおかしな話だと思うんですよね。そういった点からすると、3段階くらいのものに当然しなければいけないということからすれば、今からインボイス方式というのは入れておくべきではないのかというふうに思うわけです。
それと同時に、消費税を導入するときには、税体系をどういうふうにするかということを検討する必要はあるだろう。こういうふうにするから消費税を、と。単に今足りないから消費税をというような問題でなくて、国民が納得するためにはそういうことも考えるべきだろうと思います。
それから、社会保障費、厚生年金の問題でも、20%なんてことになったら大変なことになるわけですね。企業の負担は10兆円も増えるというようなことになるわけでして、軽はずみにそんなものが導入されたらえらいことになるというふうに私どもは考えておりますので、社会保障費の問題も、当然、一緒に考えなければいけないというふうに思いますので、よろしくお願いします。
〇石会長
おっしゃるとおりです。ヨーロッパで、社会保障費を上げないために付加価値税を上げていった経緯もありますからね。そのバランスを考えなければいけないでしょうね。どうぞ、猪瀬さん。
〇猪瀬委員
先ほど、税金のむだ遣いが多いという話が出ました。これは、そもそも小泉さんが消費税を上げないというのは、どこまで歳出カットをきちんとして、むだなお金を浮かして有効に使うかということを前提で消費税を上げないというはずだったのですが、それがはっきり見えないんですね。つまり、どこまでやったのかと、数値目標をきちんと出して、3兆円削った、5兆円削った、これだけ歳出カットしたんだ、したがって消費税はこれだけ上げるんだというふうなことになると思うのですが、その数値目標をきちんと税調として示していく必要があるのではないかなというふうに思うんですね。
つまり、小泉さんがいなくなったら消費税は上がるんだ、ということを前提に議論は始まっているわけです。普通に考えればそうなんですけれども、問題は、どうも言ってることとやってることが違うんじゃないかという感じがしてきて仕方がないんです。2年前に、特殊法人に5兆3,000億円お金が使われているので--税金ですよ。税金が直接投入されているのが5兆3,000億円だったので、そこから1兆円引こうではないかということになって、当時、1兆4,000億円引いた。目標で設定して。そしてそれをほかのところに振り向ける、こうだったわけですね。それが一昨年の話ですよ。
僕はそのときに、そういうことであるからと思って自分なりに提案したのが、道路公団の分割民営化案だったわけです。そのときに日本道路公団に投入されている--特殊法人には5兆3,000億円入っているのですが、当時、日本道路公団だけで3,000億円、利子補給金という名目で税金が投入されていましたから、これをとっちまえというふうなことを提案したんですね。3,000億円抜いても、日本道路公団は別に40兆円の借金を返せるんだという計算式も出しまして、それがそもそも改革の出発点だったんですよ。
ところが、3,000億円を抜いたわけですから、それを一般財源化しなければ意味がないわけですね。一般財源化しましょうということになって、その見合いで2,200億円が一般財源化されたんです。それが2001年のことですから、2002年度予算で2,200億円が一般財源化された。ところが、2003年度予算で結局それがちゃらになっているんです。
なぜならば、暫定税率の問題がありまして、ちょうど5年ごとの見直しの時期ですから。僕は特にターゲットにしたのは自動車重量税ですけど、ガソリン税とかいろいろありますが、少なくとも2,200億円の分が一般財源化されることがなくて、国土交通省と財務省で暫定税率の問題でお互いに利害が一致するので、結局、暫定税率を現状維持にしなければいけないと、これはわかります。受益者負担の問題があるから。それは、使途がある程度特定されているということを前提にして暫定税率をもう一度見直すと。見直すというよりも、従来どおりにするということですね。
その結果、2,200億円がどこに行ったかというと、たぶんこれは、線をつなげて考えているかどうかわかりませんが、本四公団の債務処理に向かったんですね。別に本四公団の債務処理は、税金を入れなくても、4公団を一体にして分割して通行料収入で十分借金を返せるのですが、なぜか知らないけれども、暫定税率を維持するために2,200億円がそっちに回ってしまった。つまり、公約として掲げた一般財源化というのは一体どこへ行ったんだ、こういうことなんですね。当時、政府税調も、特定財源をできるだけ一般財源化するというふうな特定財源も一つそうですが、そういう方向性で改革を打ち上げたのだと思うんですね。
ところが、そういう大きな話というのはだんだん消えていってしまったような気がするのですが、この辺がよくわからないんです。つまり、トータル金額で幾ら歳出カットするんだ、これが見えてこない。それは、道路特定財源を一般財源化するんだ、例えばその1割でもこうしたんですよ、と。こういう道筋をつけておくことが、少なくとも継続されていくかどうかということですよね。その道筋をつけておくことが継続されているかどうかわからないわけで、消えてしまったのではないかということが非常に問題なわけです。
〇石会長
我々としても、歳出カットを目標化してというようなご議論ですよね。税調としてどこまでできるかわかりませんが、いずれ、そういう話も出てくると思いますから、その段階で議論しないといけないと思いますね。
では、ほかにも行きたいので、井堀さん、最後にしたいと思います。どうぞ。
〇井堀特別委員
歳出カットも重要ですけれども、消費税の話に戻して、仮に消費税の税率を2ケタに上げるときに税率構造をどうするかということで、先ほど3段階のような話も出たのですけれども、消費税は間接税ですから、公平性の問題を配慮するにしても、消費税の税率構造でそれに対応するというのはむしろ弊害も大きいのではないかと思います。本来であれば、公平性の問題は所得税の累進的なところできちんとやるべきで、間接税でやろうとすると、かえって別のディストーションをもたらす可能性があります。
もう一つは、これはできれば事務局のほうにデータ面で提供をお願いしたいのですけれども、公平性の観点から消費税の税率を仮に複数税率にするとした場合、食料品のような特定のものが、本当に所得水準の低い方が集中的に支出しているものなのか。例えば住居費とか、通信費とか、光熱費とか、いろいろな項目があるわけです。それと比較して食料費だけ集中的に所得水準の低い人が使っているという形で、単純に分かれれば、ある特定のものが所得水準の低い人が集中的に使っているということがわかれば、軽減税率をそこに使えばいいのですけれども、食料品の中でも所得水準とは無関係に使われているものがありますから、なかなか線引きするのは難しいと思うので、このあたりはもう少しデータを慎重に検討したほうがいいのではないかと思います。
〇石会長
西田さん、そういう宿題が出たけど、こなしてもらえますか。
〇西田企画官
どんな資料があるか、ちょっと勉強してみたいと思います。
〇石会長
そうですね。ちょっとやってみてください。
それでは、もう一つ大きな問題がございます。それは地方分権と税制でございます。これは最後のテーマになりますが、では、岡崎さん、申し訳ないけど、15分くらいで説明してもらえますか。
〇岡崎企画課長
できるだけ簡潔に説明させていただきます。資料は「地方分権と税制」と書いてあります、「総3-6」という資料をお願いいたします。
まず、目次をめくっていただきまして、1ページでございます。今の地方税の税収の構造を図にしてみました。主な税、個人住民税、法人二税と書いてありますのは、法人事業税と法人住民税でございますが、合わせて法人二税と言っております。そして地方消費税、固定資産税といったものが主な税でありまして、県、市町村の内訳はその下にございます。
地方税の場合には、国税と違いまして、地域的な偏在性というのが何かと話題になるものですから、2ページに、人口1人当たりの税収額を全国平均100としまして、県別にやってみたというのがございます。法人二税あたりが、東京を中心とする都市部に偏在していることがおわかりになろうかと思います。
3ページでございますが、これは国と地方の歳出のほうです。最終支出ベースで役割分担を図にしたものでありまして、日本の場合には、地方団体はたくさんの仕事をしているということでございます。それぞれの費目の横幅が仕事の多さをあらわしていまして、そのうちの黒くなった部分が、地方が最終支出としている部分ということでございまして、防衛費とか年金関係を除きますと、ほとんど半分以上を地方が歳出を分担しているということになっております。右上にありますが、62.6%が地方の歳出であります。
4ページは、租税のほうは、ちょっと古いですが、13年度、85兆円のうち国税が58%、地方税が41%ということで、比率としてやや逆転しているという状況でございまして、この部分、国にとっては税金の中から交付税なり国庫支出金ということで地方に流れているという図でございます。
そういう状況のもとで話題の三位一体改革でありますけれども、5ページ、字が小さくて恐縮でございます。一番上にありますような、「官から民へ」「国から地方へ」という考え方のもとに、地方は自らの創意工夫と責任で政策を決められるように、地方が自由に使える財源を増やしていく、あるいは地方が自立できるようにする。こういうふうな考え方のもとに、従来のシステムですと、法令による規制とか補助金、交付税等に依存するというような行財政面の制約から画一的な行政になっていたことを踏まえまして、一番下の3つの箱でありますけれども、補助金、交付税、税源移譲を含む税源配分の見直しを三位一体で改革していこうということでございます。
補助金について言いますと、簡単に申しますと、一番左の上のマルにありますように、後ほど申し上げます閣議決定で、「『改革と展望』の期間中に概ね4兆円程度を目途に廃止・縮減等の改革を行う」とされております。
また、交付税につきましても、いろいろ書いてありますけれども、地方の歳出を徹底的に見直して、交付税総額を抑制すること等々、書いてございます。
それから、右の税源移譲を含む税源配分の見直しの部分でありますが、「改革と展望」の期間中に、先ほど申し上げた補助金の改革に対応いたしまして税源を移譲する。その移譲は、基幹税の充実を基本に行う。課税自主権も拡大していく。こういう三位一体の取組みによりまして、地方における歳出規模と地方税収の乖離を縮小する観点に立って地方への税源配分を高める、ということが書かれております。
それが、次の6ページにございます、6月27日の閣議決定、「基本方針」、いわゆる「骨太2003」というものでございます。ここには、補助負担金の改革と税源移譲を含む税源配分の見直しの部分だけ抜粋してありますが、15ページ以降に、三位一体改革の全文、交付税等も含む文が付けてございますので、ご参照いただきたいと思います。
いずれにしましてもこの問題につきましては、こういうふうに6月に閣議決定である程度決めておりますので、現在、補助金所管省庁も含む関係省庁で調整の努力中であるという状況でございます。年末に向けまして、経済財政諮問会議などでも議論がなされていくものと承知いたしております。
今は全体のお話ですが、この中に「課税自主権の拡大を図る」というのも、6ページの下から2つ目、また書きのフレーズにございますので、この全体の補助金などと絡みますものと別の問題としまして、課税自主権の話は独立した問題としてここでまたご議論いただけるのではないかと思って、7ページ以降に資料をつけさせていただいております。
ここからは図がなくて、字が多いようで恐縮でございますけれども、簡単にご説明申し上げます。一般的に課税自主権と申し上げますと、いろいろございますが、通常よく例に挙げられますのは、7ページにあります2つではないかと考えております。
1つは、1番の法定外税であります。地方団体はいわゆる地方税法に定めている固定資産税とか、住民税とか、そういう税目とは別に、条例で税目を新しく作れるということでございます。これは昔からある仕組みではございますが、平成12年4月の分権一括法によりまして、それ以前は自治大臣が許可をするという仕組みになっておりましたものを、自治大臣と協議をして同意を求めるということになっております。
かつ、カギ印にありますが、「同意要件」というのが3つしかないということでありまして、「[1]国税又は他の地方税と課税標準を同じくし、かつ、住民の負担が著しく過重となること」。あるいは[2]のように、「地方団体間における物の流通に重大な障害を与えること」。[3]にありますように、「そのほか、国の経済施策に照らして適当でないこと」。この3の要件に該当しない場合には総務大臣は同意をしなければいけないとなっておりますので、ある意味では許可当時に比べると非常に作りやすい制度になったと思います。
後述いたしますが、許可時代には、この3つの要件のほかに、新しい税にふさわしい税源がその団体にあるのかとか、その団体に財政需要があるのかというようなことも許可の判断の要件になっておりましたし、また、条件をつけて許可をすることもできたわけでありますけれども、現在の仕組みは、この3つに該当しなければ同意しなければいけないという仕組みになっているわけです。
もう一つが、超過課税と申しまして、上のほうは課税の仕組みそのものを自由にできるということですが、2のほうは、課税の仕組みそのものは地方税法に書いてある仕組みでありますが、税率の決定を自由にするという仕組みでございます。
「通常よるべき税率」ということで、地方税法の場合には、標準税率というものがそれぞれの税目について決められておりますが、この標準的な税率を超えて課税するのを一般に超過課税と言っております。
そういうふうに自由度はあるのですが、ただ、いろいろな経緯、あるいは考え方もございまして、幾つかの税目については、超過課税をしてもいいけれども、「ここまで」という税率が定められておりまして、それが制限税率というものでございます。超過課税については、1件ごとには、かつては届出制というのがあったのですが、国への届出、その他、一切不要でございます。そういうふうに完全に自由にしたかわりに、例えばこの下にありますように、法人住民税法人税割などは標準税率の2割増までというようなタガをはめているわけでございます。事業税も同様に、従来は1.1倍でしたが、16年度から1.2倍に変えることになっております。15年度改正で1年先のこの引上げを決めたということであります。固定資産税は標準税率が1.4%ですが、条文上は2.1%、つまり1.5倍までは上げていい、それ以上はだめ、こういう仕組みになっております。ほかにも幾つかございまして、例があります。
8ページで昭和50年以降の経緯を申し上げています。と申しますのは、50年代の前半あたり、制限税率はむしろこういう制約を設けるべきではないかという議論があったころでございまして、昭和50年に当調査会の答申で、「租税体系の秩序維持及び法人の総合的な税負担の適正化を図る見地から、法人事業税に新たに制限税率を法定する等適切な措置を講ずべき」というご答申であります。これは実は直前の49年に、東京都が法人事業税につきまして、当時12%という標準税率を14%に超過課税を初めていたしまして、法人の負担が過重ではないかとか、法人税や交付税にマイナス影響が出るのではないかという議論があったわけです。それを踏まえてこういう答申をいただき、50年度の改正で、すぐ下にありますが、1.1倍という枠を設けて、東京都は12%の1.1倍にまで引き下げたというような経緯がございます。
その他、50年の初めのころは、51年度に自動車税・軽自動車税、52年度に娯楽施設利用税等にむしろ制限税率を設定していったという時代でございます。
時代が変わりまして平成になりますと、特に平成9年は、ここでは「地方分権推進委員会第2次勧告」をいきなり書いてありますが、地方分権の流れの中でいろいろな答申が出てきているわけであります。この第2次勧告で、先ほど来申し上げております、法定外普通税の許可制度を廃止するとか、事前協議制、同意を要することとするとか、法定外目的税も作っていいではないかとか、標準税率を採用しない場合の届出はやめるとか、制限税率は全部廃止は適当ではないけれども、個人の住民税は廃止していいではないか、こういうような勧告が出まして、平成9年12月の当調査会の答申でも類似の内容のご答申をいただいております。
そういうことを踏まえて、9ページの頭ですが、平成10年度には、個人市町村民税について制限税率を廃止するとか、道府県の超過課税の届出制を廃止するという改正がなされております。
それから、平成12年度から施行されることになりました分権一括法の改正がその後にありまして、これでは、法定外税の許可制の廃止、同意制への移行が行われているわけでございます。それから、法定外目的税も可能になるということでございます。
それから2つ目の、真ん中辺の平成15年度改正で、さっき申し上げました、こういう流れの中で法人事業税についても制限税率の引上げが行われたというのが直近の状況でございます。
その下の四角でありますけれども、今年6月の当調査会の答申、あるいは「骨太2003」の閣議決定でも、方向としては課税自主権の拡大を図る、あるいは、課税自主権の活用をしやすくする、ということが言われているわけでございます。
そこで具体論といたしまして、10ページに、法定外普通税、法定外目的税の仕組みが書いてございます。これは省略いたしますが、下のほうが改正後でして、条例を決めて協議、そして総務大臣が同意をすればできるということでありまして、同意をしなかった場合には、地方団体は国地方係争処理委員会という組織に訴えることができる。唯一、横浜市が行いましたいわゆる馬券税につきましては、この係争処理委員会に訴えられまして、現在も再協議が続いている状況でございますが、そのほかは皆同意をしております。
11ページがその状況でございます。現在の法定外普通税ですが、昭和30年代ころには2,600を超える市町村で、犬税といって、飼い犬に税をかけたりした時代があったのですが、その後だいぶ整理をされまして、今、13年度決算で出てまいりますのは、ここにあります核燃料税などが中心でございます。288億円、地方税収の0.1%弱ですけれども、こういうものを中心に税収が上がっております。
下の法定外目的税はそもそも12年からできた仕組みですので、まだ税収は上がっておりませんが、同意をした案件としては、産業廃棄物税等で各県、これは大きいところは10億円という税収があがるところもある。それから宿泊税、いわゆるホテル税、東京都・中央区とかあります。
こういう状況の中で、答申等にいただきましたように、課税自主権の拡大を図る場合に、法定外税について言えば、現行の国の関与、協議を受けて同意をするというような関与をある意味で廃止する。簡単に言えば、届出制等で自由にしやすくするという意見が一方にあろうかと思います。
ただ、そういうご意見に対しては、分権一括法で協議制になってからもまだ日にちが浅いので、制度の変更は時期尚早ではないかというご意見も伺っております。それから、そういう抜本的改正前に3要件などの明確化を図るべきではないか、というご意見もあろうかと思います。さらに、納税義務者が限定された法定外税があるものですから、そういうものについては、少なくとも条例を決める前に議会で意見を言わせてくれというようなご意見が我々には来ております。
最後に12ページで、もう一つの超過課税のほうでございます。現在、下のほうの太字でありますけれども、4,712億円という超過課税が行われておりまして、地方税収の1.3%くらいの額でございますが、ご覧いただきますと、上の都道府県でも法人税割が中心でございます。あるいは法人事業税が中心でございます。市町村税でも、若干個人均等割はありますが、多くは法人税割と固定資産税ということでございまして、どちらかといいますと、固定を除きますと法人に偏っている状況でございます。
13ページ、14ページは、例えば13ページですと、都道府県の場合、税目別に標準税率がどう決められていて、制限税率があるやなしや、ある場合はどういうものかという一覧表でございますので、ご参照いただきたいと思います。
今のような状況のもとで、これまた課税自主権の拡大という中で、具体的にどういうことが考えられるのだろうかというあたりをご議論いただきたいと思います。単純に言えば、キャップみたいな制限税率は一切廃止すべきではないかというご意見があろうかと思いますが、一方では、一律な議論ができるのではなくて、個別の税目別に詰めた議論が必要ではないかというご意見も伺っております。
それから、先ほど申しましたように、現行の超過課税はかなり法人に偏っている現状を考えますと、法人を対象とする制限税率の引上げなり撤廃につきましては、かなり慎重に対応する必要があるのではないかというご意見も承っているところでございます。いずれにしましても、方向としては、課税自主権の拡大を図る、課税自主権を使いやすくするという方向性が出されておりますので、具体的に法定外税なり超過課税について、どういうふうな工夫をこれからしていったらいいだろうかというあたりについて、いろいろご意見、ご示唆をいただければと考えている次第でございます。
以上でございます。よろしくお願い申し上げます。
〇石会長
ありがとうございました。
課税自主権の問題と、前のほうにご説明いただいた、三位一体としての3つの案件をどうしようかという話です。このあたりが、今後、焦点になると思いますが、今日は基礎的な資料をお出しいただきましたので、この資料をめぐりまして、ご質問なり、今後の審議の進め方等々について、ご意見があれば。どうぞ、千速さん。
〇千速委員
課税自主権の問題ですが、法人課税に対して制限税率を撤廃するということで、選挙権のない法人に過重な負担となる可能性があると思います。これは慎重に検討していただきたいと考えておりますが、海外では、法人に追加課税する場合には、同じように個人にも課税するという制度で均衡を保っている国もあると聞いておりますので、そうした事例について、ぜひ調査していただきたいと思います。
固定資産税につきましては、対策が見送られているわけですけれども、負担水準の適正化、均衡化を図るという方針は決まっていると伺っていますが、大都市部、臨海工業地域の土地については評価額そのものがべらぼうに高いということで、依然として負担水準が手つかずのままになっております。
具体的な例を言いますと、岩手県でございますが、私どもの製鉄所があります釜石というところは評価額がなんと坪4万円でございます。これは実態の10分の1にもならない。しかも、10分の1の取引価格、数字の上ではそういう表示になっているのですけれども、実際の売買はゼロでございます。全く行われていない。これはどうもおかしい。何とか公正の観点からも、固定資産税の負担水準について再考していただきたいと思います。
〇石会長
具体的にどういう数値をこれからとるかということのご提案ですね。
〇千速委員
はい。
〇石会長
減らすほうでね。
事務局からどうぞ。
〇岡崎企画課長
一点だけ、事実関係ですが、ただいま固定資産税のお話が出まして、評価額が非常に高いということですが、平成元年の土地の抜本改革以来いろいろ議論があって、平成6年から7割評価といたしましたので、もし高いとすると、固定資産税の評価の指標になっている地価公示そのものが高いということかもしれません。一応地価公示価格などをもとにしながら、その7割程度という評価に今は土地についてはなっているはずでございますので、実態の10分の1というのは、我々のほうからすると、地価公示価格がどうなっているのかというのは個別の事情でわかりませんが、そちらが高いのではないかというような気がいたしております。
〇石会長
いずれ、もう少し数字をつけて。
どうぞ。
〇井戸委員
まず、三位一体改革でありますけれども、地方の6団体でもいろいろな議論をしておりますが、知事会自体で47都道府県で調査をしました。税源移譲が前提とされた場合に、現在の補助負担金がどれだけ整理されるか。そうしますと、大体9兆円、90%くらい。都道府県分だけですから、市町村分まで入れますと20兆円ほどあるのですけれども、そのうち県が10兆円、そのうちの9兆円は税源移譲さえされれば整理される。これが我々の調査結果でありまして、知事会としては、つまり我々としては、税源移譲を前提に9割は補助金を転換していったらいいではないか、と。
転換しますと、もし仮に今の三位一体で書かれている義務的な事業については100%補てんする、それ以外は90%くらい補てんするというだけで1兆円ほど全体が下がる。それから、交付事務が要らなくなりますから、地方団体側の交付事務に要している経費だけで300億円くらい要らなくなる。国に補助金ごとに係がありますが、その分が要らなくなりますから、国の役所はものすごく簡素化される。こういう試算をしておりまして、18日に総会を開いて、要請させていただくことにしております。
それと併せまして、では、16年度はこの三位一体改革との関連でどうしていくんだということであります。我々は、この改革期間3年ではありますけれども、まず最初が大事だということがありまして、対象となる補助金を例として挙げながら、半分、4兆円のうち2兆円を16年度はぜひ実現してほしい。その場合の税源移譲項目としては、基幹税とだけ触れられているわけですけれども、当面、道路目的財源と地方消費税の充実が一つ考えられるのではないか、こういうような方向で、今、議論をさせていただいておりますので、ぜひご理解いただきたいと思っております。
それからもう一つ、課税自主権の議論の場合に注意しておかなければいけないのは、そもそも地方税制というのは、この税制調査会でもご議論いただいているように、租税法律主義をどう考えるかということがありますが、枠組みは国が決めてしまっているわけなんです。その国が決めてしまっている枠組みの中で、一定の幅を与えて課税自主権を活用するというのが議論ですので、ある意味で課税自主権はどうしても制度的限界がある。
限界があるにもかかわらず、それですべてが解決するんだみたいな論議が、ときどき見受けられますから、そんなことはない、いい税目についてはもうすでにきちっと作られてしまっておりますので、地方側で法定外税を作ったり、超過課税をしようとすると、どんな需要に対して、どんな仕事に対して特別の負担を求めるんだということを、存分に議論した上で初めて議会の納得も得られる、県民の納得も得られるという実情にあるんだということを、ぜひご理解いただければ、こう思います。
〇石会長
知事会のお立場はよくわかりましたが、地方交付税はどういうお考えなのですか。
〇井戸委員
地方交付税は、全体として税源はどうしても偏在がありますから、その税源偏在部分をどう調整していくかという議論はどうしても残ります。ですから、4兆円のときに、財源保障機能をなくしていいかというと、これは問題だと思いますが、もし徹底した税源移譲がなされれば、財源保障機能という議論は地方交付税からはかなり小さくなっていくのではないか、こう思います。
4兆円の三位一体改革の中で我々が心配していますのは、そういう地方の偏在部分、特に大都市を抱えている府県や大都市部分に、やはり税源という形では手厚くなってしまう問題について、平たく言いますと、水平的調整段階に新しい仕掛けがどうしても必要なのではないだろうか、こういうふうに考えています。
〇石会長
わかりました。どうぞ、佐竹さん。
〇佐竹委員
今、知事さんからお話がありましたので、私からも。ちょっと重なる部分は省略いたします。
都市部の市長会と町村会とは若干温度差がございますが、テクニカルな問題は別にいたしまして、三位一体、いわゆる税源移譲、補助金の削減というのは、私はトータルとして、先ほど上月委員もおっしゃいましたけれども、税の使い道に対する我々の説明責任、あるいは、住民の目も厳しくなります。もう一つは、国、都道府県、市町村と、あまりこういうことは言いたくないのですが、今回の総選挙でも、新人は、地方分権、三位一体、税源移譲と言うんですけど、新人でない人は、一人もそんなことは言わない。私はよく言うんだけど、地方への税源移譲というのは、国会議員の悪いことをなくす一番の早道だろうと。こんなことを言うと失礼なんですけれども。親分子分の関係を一切なくすということは、地方自治にとって非常にいいことではないか。
市長会では、5兆9,000億なにがしの補助金を税源移譲で5兆円でいいんだ、約1兆円は我々の自助努力で削減しましょうと、そういうコストに対する地方の市町村の意識が芽生えているわけです。そういう意味からしますと、税と補助金と交付税の三位一体、そのテクニカルな面でタイムラグはあるわけですけれども、トータルとしては、国全体の議論として進めていく一つの方向。ここで進められませんと、相変わらず同じ構造だと。
もう一つは、国が地方をぶん投げるという意味は言ってないんですけれども、地方は地方、国は国、これはこれでいいんですけれども、我々、地方の自立自助というものを追う中でも、国の統治行為としてどうあるべきかという議論をしないと、単なるテクニカルな、金をこっちから移すとか、それだけでやっていたのではあまり前に進まない。ただ、そうはいいましても、何でもスタートしないと何ともならないものですから、やはりこの方向はどうしてもご理解をいただくべきものだと。我々は、少なくとも6兆円の補助金のうちの1兆円はいいんだと言っているわけですから。
それともう一つは、一番困るのは、住民が、「いやあ、市長は力がねえな」、「国会議員に言って補助金もらってくりゃいいんだ」と。こういう構図がなくなる。まあ、国会議員に頭を下げるのはいやではないわけですけれども、非常に好ましい方向に行くのではないか。すでに私ども秋田市では、これも議会との衝突があるのかどうかわかりませんけれども、無作為に100人か200人を選んで、その人たちに「何をやめるか」の議論をさせる。ただ、無作為にやりますので、暴力団が入ったらどうしようかなと思っていますけれども、そういう形の中で、負担と受益の関係というのははっきりしてくるんですよ。そこをはっきりさせないことにはどうしようもないのかな、という感じがしますね。
〇石会長
ありがとうございました。予定した時間が来ております。この問題、今日で決着するわけにいきませんが、今、地方側の委員の方からかなり思い切った、踏み込んだご発言もございました。税調でも、歳出カットに当たる補助金カットが、どこまで議論の場で踏み込んでいいかわかりませんが、やはりこれは積極的にとらえなければいけないと思いますので、いろいろな形で仕掛けていきたいとは思っております。
重ねて何かございますか、この問題について。どうぞ、村上さん。
〇村上委員
これは、会長がおっしゃるような話になりますけれども、税源移譲というのは既定方針として決まっているわけで、基幹税を中心にそれを充実しながらやっていくということですけれども、肝心の三位一体の中身が何も出てきていないときに税調としては動きようがないのではないか。したがって、16年度予算・税制の問題よりは先の話ではないかなというふうに思いますが、これは会長がおっしゃったほうが……。
〇石会長
いえいえ、まさにおっしゃるとおり、年が明けてからこの問題は本格化すると思います。ただ、我々税調としての一番の守備範囲とすると、税源移譲の問題と地方交付税の制度のあり方をめぐっての国と地方の資金の動きだと思います。歳出カットもある程度前提にして、これができればこうだという議論がたぶんできると思いますので、いずれ、いっぱい議論が方々から起きてくる中で我々は何もしないわけにいきませんので、あるいは積極的な役割を演ずるべきかもしれません。
それでは、ひと通り、今日も3時間長丁場、どうもご苦労さまでした。さっと2回ではございますが、総会で大体の主要な税項目の問題点はさらったつもりでございます。来週以降、これを起草のほうに移しまして、議論を固めつつ、また総会でご議論いただくという往復をしながら、来週から再来週にかけて来年度税制改正の内容を固めていきたい、こう考えております。
概略どういう予定を考えているか申し上げますが、総会は、18日(火曜日)の3時から5時までを考えております。その前に起草委員会というのを立ち上げまして、ある程度の方向性、あるいは論点整理という形で総会にかけたいと考えております。そういう意味で起草委員会を立ち上げなければいけないのですが、基礎問題小委員会というのがございまして、このメンバーの方が即起草委員会のメンバーに入っていただきます。その方々と相談しつつ、私のほうで答申案を作成いたしまして持っていきたい、このように考えておりますので、基礎問題小委員会のメンバーの方々、ぜひ同じ形で起草会合にも入っていただきたい、このように考えております。起草委員会という大げさではなくて、起草会合と言うことがいいかもしれません。
そこで早速ですが、17日午後1時から、第1回目の起草会合を開きたいと思いますので、ちょっとご予定いただけますでしょうか。同時に、起草会合の前、30分ほどを使いまして、基礎問題小委員会という形で、実は、国際課税についてまだ議論を詰めることがございますので、2時間ある時間帯を30分と1時間半くらいに分けまして、基礎問題小委員会と起草会合という2つのことをやりたい、このように考えております。
起草会合につきましては、内容も変わるようなこと、それから、議論のプロセスにおいてさまざまなやりとりが予想されますので、非公開という形にいたします。ただし、まとめたものを総会にお出ししたときに、起草会合で何をやったかということがわかる形での議論ができると思います。総会のほうは記者会見もしたいと思いますし、議事録も作って今後のために整理したい、このように考えております。そういうわけで、報道の方も、各省幹事の方も、大変失礼ではありますが、起草会合の段階では傍聴はご遠慮いただきたい、このように考えております。
では、17日午後1時に、起草会合のメンバーの方にお集まりいただく、総会は、翌日の18日(火曜日)午後3時からということになっておりますので、どうかご予定いただけたらと思います。
では、今日は長時間、ありがとうございました。
〔閉会〕
(注)
本議事録は毎回の総会後、速やかな公表に努め、限られた時間内にとりまとめるため速記録から、財務省主税局及び総務省自治税務局の文責において作成した資料です。
内容には正確を期していますが、税制調査会議事規則に基づき、事後の修正の可能性があることをご承知置きください。