総会(第2回)後の石会長記者会見の模様
日時:平成15年11月11日(火)16:17~16:46
〇石会長
税制調査会総会第2回目になりますが、新しく税調が発足してから第2回目でございますが、今日行いましたことの、私の感想と申しますか、今後の進め方につきまして、2、3点申し添えたいと思います。内容につきましては、もうご覧いただきましたとおりでございますから。
3時間という長丁場でありまして、今抱えております問題並びに個別の税制の項目につきましてさっとさらいましたので、やや消化不良の点もございましたが、まあ共通の認識はできたのではないかと思います。そこで、やっぱり第1点として申し上げたいのは、選挙が終わりまして、一当たりいろんな税制改革の論議が出るかと思ったんですけど、まあそれほど個別に出てこない。年金に焦点があったということもあって、年金も給付のほうにもっぱら議論がいき、財源調達はどうしようかという点もあまりいかなかったものですから、選挙が終わった後どうしようかという、そういう問題意識は改めて今回生まれてまいりません。ただ、年度改正にかけて、まさにいろんな要求が出てくると思います。それで、減税の要求がオンパレードであるということも容易に予想がつきます。そういう中で、税調としてどれを取り上げ、どうしようかという議論をこれからやります。しかし、たしか河野さんがおっしゃったように、いつもと違うというトーンがやっぱり必要だと思いますね。財政規律の問題に関してですが、恐らく一般会計税収が歳出総額の50%を割ってしまうのじゃないかというそういう問題、これは従来ない局面でございますから、その辺が一つの防波堤になるのかなとは思っております。言うなれば、あえて選挙の効果を言うなら、本音ベースで議論できるムードが少しは出てきたかなということで、絶えず痛みを伴うような税制改革については極力すべて避けてきましたけれども、あえて税調だけが先頭を切って言ってきましたけど、今後は、この議論について追従してくれる方も大分出てきた。追従しないで相変わらず甘いことばかり言っている人については、ちゃんとした理由を述べてもらうというスタイルから言えば、減税オンパレードの中でも、やはり将来をにらみ、少子・高齢化をにらみ等々の理論から、恐らくあるべき税負担なんていう形のことが出てくると思っています。それに対しては、われわれとしてもしっかりした議論をしたいと思います。と同時に、プライマリーバランスを2010年代初頭と言っていますが、2010年代初頭になったら急にできるわけじゃありませんから、当然今から7、8年はありますが、その道程、その道のりをみて、しかるべき時期に何かせにゃいかんという議論はしなきゃいけないと思っています。誰が、どこで、その音頭とりをするかという議論も出ましたけど、ある意味では、税調もその片棒をかつがなきゃいけない局面が来るかなという気はいたしてます。
第2点は、その絡みで、それこそ財政規律という視点から増収策という点は一つあるにしても、やっぱり税調は税制改革という視点で、税制のひずみとか不公平感をなくすというところに最大のポイントがあろうかと思っております。単に増税という形で財源あさりといったような、そういう批判を避ける意味からも、やはり今抱えております税制の内部の問題を摘出して、それを是正するという形で、結果として増収になるのが望ましいと考えています。今日ですから一つ出ましたけれども、地方関係の方もおっしゃっていましたが、やっぱり均等割ですね。あるいは随分時代離れしておりますので、均等割に関しては、あれが年収じゃなくて月割でもいいじゃないかなんていう話も出ましたけど、その辺は踏み込んだ形の議論もしなければいけないかもしれません。それから年金については、同一世代内あるいは世代間の不公平等々に関しての問題意識も大分高まってまいりましたので、われわれしかるべき議論をする、まあ言うなれば土俵ができたかなと思っています。年金に関しては、やはり制度設計が漠とした基本的方向はできていますけれども、細かい点ができておりませんから、給付はどうするんだ、その財源をどうするんだという議論ですね、これをこれからやっていかなきゃいけないと思っています。税調の中でもかなり踏み込んだ議論をしてもいいんじゃないかと、個人的に思っています。諮問会議のほうから本間さんがいらっしゃいますし、厚労省の社保審のほうからは宮島さんも来ていることだし、それなりに共通の土俵はできているし、税調の委員の中にも財政制度等審議会の委員も数人いることだしという形で、言うなれば、税調に結集した力をもってすれば、それなりに他の審議会等のバランスを考えつつやることができるのじゃないかと、このように思っています。しかし、いずれにしても、恐らく諮問会議等々でしっかりした制度設計をして、各々の部品について議論するというのがやり方としてはいいのかもしれませんが、待っててもしようがありませんから、年明けからそういう形で議論していきたいなとは思っています。
第3点は、14日に第3回目の総会を行いまして、それ以降は、恐らく起草小会合に飛び込まざるを得ないのかなとは思っています。できたら11月中に年度改正答申をということも考えております。そういう意味で、起草に入るとかなり具体的な問題を幾つか議論しなきゃいけないかと思いますが、幾つかある中で、住宅ローンというのは一つのテーマになるでしょうし、今日、法人課税関係の資料が出ましたが、金融機関の言うなれば租税特別措置としての特例をどうするかという3点セットの議論。ただ、これはもう6月の段階である程度答えは出していますので、それ以上踏み込んだ形の議論はできないと思っています。何かできる範囲で、少しあるのかなという領域が精一杯かなと思っています。
税調でこれから本格的に議論するテーマになり得るかどうかはさておき、例の日米租税条約の関係で、投資所得の免税を双方で決めましたので、これがある意味では両国間の投資の流れを非常に促進すると、このように考えています。例えば使用料についても、東京ディズニーランドが 190億円出していますから、源泉税を10%の19億円払っていたのが、これ免税になりますから、そういう意味でも非常に大きな効果を持ってくると考えています。ということは、対アジア、対EUにおいても同じような話がいくのかどうか。そういう議論もこれからあろうと思いますし、それから、これは日米の租税条約だけの話ではございますが、国内法にあてはめるときもまだ幾つかの問題も多分あろうと思いますので、これについては専門的に議論していただいた後、税調に情報を流してもらって、理解を共有したいと、このように考えています。これは非常に意義のあることであろうと思いますし、われわれの例の今年度やっております研究開発減税とか設備投資減税等とも同じような形で、活性化という視点からは大いな意義があると、このように考えております。そういう意味で、国際租税の面でもしかるべきいろんな問題が出てこようかと思いますけれども、それも取り上げたいと、このように考えています。
しかしながら、本格的な税制の議論は年明けで、そこでやるべきことは、恐らく年金課税の問題と国と地方の関係をめぐる例の税源移譲の問題も含めた、全体のトータルのプランの中での税制のあり方だと思いますので、それが恐らく中心になろうかと思っています。それから、金融小のほうも今年中は一服ですが、来年以降は本格的に動き出すと思いますから、そういう意味で、とりあえず今、当面迫られている問題を取りまとめて次のステップに結びつけたいと、このように考えております。
今日の総会を司会いたしました関係で出てきました私の意見なり印象はそういうことでございます。以上です。
〇記者
まずスケジュールなんですけれども、先程、月内に答申というお話がありましたけれども、一応火曜日と金曜日に週2回やるというペースは今後も続けていかれるのでしょうか。
〇石会長
そういうペースでうまくいくかどうか。つまり、14日が金曜日でしょう、その翌週が17日から始まりますか、したがって17日から始まる週以降、どんなペースになるか、ちょっとまだ全体が読めないんですが、17日から始まる週と次の週かけまして、24日は休みでありますから、まあ火・金というふうな落ちついた話ではなくて、ちょっと月曜にやるとか、木曜にやるとか、起草が入り、そして総会が入りという関係もございますから、頻度は増えると思います。
〇記者
若干選挙の結果にも絡みますけれども、今回の選挙結果を受けて、公明党が非常に与党内における発言力を強めるのじゃないかと言われていまして、その関係で基礎年金の国庫負担問題、定率減税という問題が出ていますけれども、これについては現段階で、これからの議論もあるのでしょうけれども、どのように先生は思われていますでしょうか。
〇石会長
例の3分の1、2分の1の問題も、消費税抜きでやれということは、やっぱりこれは手品みたいなもので、多分難しかろうと思います。といえど、法律で書いてあるという形で、公明党などは定率減税とか、あるいは何でしょうかね、公的年金等控除を見直してというような話になるんでしょうか。そういう財源あさりをわれわれに審議させられても困るというのは、この間も申し上げたと思います。筋道をたてて議論すれば、課税のゆがみとか不公平感をなくすという意味で年金課税は大いに見直さなきゃいけませんから、その議論をしたいとは思っています。ただ、その実施の時期とか、その税源が、まさに今言った公明党が主張しているようなところに使われるのかというのは、まさに僕は政治的な問題だと思いますけどね。ただ、それについては、はっきりわれわれの考え方は望ましくないといった言い方はできようかと思っていますけど、そこは税調として、あるしっかりした意見は添えて、税制改革のプランは練りたいと考えています。
〇記者
今日、法人税の説明の中で、連結付加税については今年で期限が切れるというお話がありました。連結付加税について、先生は今どのようにお考えですか。
〇石会長
つまり、延長があるか、このままストップかということですね。
〇記者
そうですね。
〇石会長
私は個人的には、まあ2年間やりましたんで、役割も終わったかなと、こう思っています。連結納税の普及といいますか、大分利用の範囲も増えてきましたし、それなりの役割もある中で、本来のほうに戻すべきではないかと思いますが、ほうっておけばこのまま終わるということでしょうから、あえて議論しなくてもいいかと思っています。これはある意味で、さっき申し上げた50%ラインを税収があるかどうかという議論とか、あるいは別途3分の1、2分の1問題との絡みで税収をどうするかという問題とは絡んでくるのかもしれませんが、連結付加税をその延長というその優先度、これは低いでしょうねえ。あえて税調で特段の強いご要望がなければ、このまま特段議論しないという格好になるんじゃないかとは思いますけれども、個人的には。
〇記者
今、説明のあった均等割の件ですけれども、総会でも説明がありましたが、今、会長おっしゃったように、時代離れしているので踏み込んでいきたいというのは、6月の中期答申でも、3つのポイントについて書かれていますけれども、もう一段、年度答申では踏み込んだ形で…。
〇石会長
年度答申に浮上する可能性があるかもしれませんね。今言った、しっかりひずみをなくそうとか、ゆがみをなくそうとかいう過程の中の、地方税の中では一番代表的なテーマになりつつありますよね。ただ、景気との絡みも残るでしょうし、一挙に何倍というふうにいくかどうか分かりませんが、問題意識としては大いに持っていていいんだと思いますので、十分議論の余地はあろうと思っています。
〇記者
総会での説明でも何度もありましたが、年明けからの議論ということで幾つか、国と地方の問題とか年金とかありますが。
〇石会長
はい、あります。
〇記者
整理して、年明け以降、どのテーマについて税調としては…。
〇石会長
実は、今選挙が終わったばかりですから、小泉首相からどういうふうな形の指示が過去2年間みたいに出るかよく分からないんですよ。つまり、過去2年はたしか1月中旬に、始めてくれという意味で、少子・高齢化の中でのあり方とか、あるべき税制の構築を目指すとか、大きなテーマをいただいたわけですね。来年早々にそういう話があるかどうか、ちょっと分かりません。分かりませんけど、仮にあるとすると、グローバル化との関係とか、日米租税条約もできたことだし、そういう話があるのかなというふうには考えますが、ただ、先程来申し上げてますように、両輪でいきたい。両輪の一つは、年金の問題とか国と地方の関係とか三位一体の議論、これはやはり方々で議論が起きてきますので、税調としてそっぽを向いているわけにいきませんから、積極的な議論にしたいと思います。と同時に、3年間という期限をわれわれ目前に持っているわけですから、その中でしっかりした税制を構築するという意味での基礎研究、それは今日、調査課長が再度述べてくれたような、ああいう家族であるとか、就労であるとか、情報、グローバル化の変化は、やはりもう少し専門家も交えて議論しながら固めていきたいと思っていますから、二つ並列でやっていきたいと思っています。
〇記者
先程の定率減税の話なんですが、公明党の年金財源の問題とは別にして、中期答申の中では、基本的に廃止すべきだという論調を出していますけれども。
〇石会長
そう思っています。
〇記者
これは、年度答申でも絡んでくると考えたほうがいいんですか。
〇石会長
いやあ…、難しいところでしょうね。つまり、あれは大きな増税要因ですからね、3兆 5,000億円が。つまり、減税するときは気楽にやりますし、現在あれが景気対策として機能しているとは僕は思いませんよ。しかし、はたと気がついて廃止すると言った途端に、あれはかなりの増税要因として再浮上するでしょうね。そういう意味で、今の景気の問題もこれあり、それから公明党は、一挙にやるというよりは、部分的に少し直していこうという発想ですよね。ああいうやり方がいいのかどうか。いずれにいたしましても、所得税の言うなれば基幹税としての復権という意味からは、あれは避けて通れません。そういう意味で本腰を入れてやるとなると、この年度の忙しい中でばたばたやるのがいいかどうかという感じはしますので、実際に起草の段階に入ったときに、どのぐらいのフィージビリティ、つまり実現可能性があるかを踏まえて議論したいと思いますが、ちょっと難しいかなという印象は持ちますけどね。つまり、税調がお先棒をかついで、それを具体化するという意味においてですね、そんな感じ持っています。
〇記者
公的年金等控除のほうなんですけれども、こちらはもう年度改正では先送りのような感じの議論の流れになっていたようですが、どうなんでしょうか。
〇石会長
これはまさにひずみ、ゆがみの世界で、できたらと思っています。そういう意味では、やるとしても、恐らく公的年金等控除の定率控除部分あたりを何か言えるかなという程度だとは思っていますが、それもどのぐらいの税収になってどうかという議論にも絡んでくるのだと思いますが、提案だけはぜひ、その辺の議論はすべく詰めていきたいと思いますが、言うなれば、均等割という地方税と公的年金という国税のあたりが、ひとつ年度改正、あとは住宅ローンにどう発言するかというあたりが年度改正の中のテーマかなとは思っています。
〇記者
要するに、年金問題とか国から地方への税源移譲というのは、年明けの課題というふうに位置づけられているということは、税源移譲のほうもやっぱり年度答申ではそれほど踏み込まないと…。
〇石会長
税源移譲というのはいろいろありますよね、候補はね。基幹税でなきゃいけないとか、たばこかと酒でいいじゃないかという議論もありますが、要するに今、何かつかみ金的にポンと渡しても、受け皿がしっかりしていないと、何のためにもらって、これをどう役立てるかという準備がないでしょ。ということは、ある意味では三位一体そのものでありまして、交付税の制度をどうするかとか、あるいは補助金のほうをどうするかというものと、実はそっちが先行すべきなんですね。国から地方にいくパイプを整理する中で自主財源を与えようということだったら、そのパイプをしっかりしなきゃ無理ですよ。だから、税源移譲ありきで、真っ先に何か渡してしまって、どこに消えちゃうか分からないというのも困りますんで、そこはしっかりした議論をしてもらいたいと思いますし、それに対してわれわれも十分な備えはしたいと思っています。そういう意味で、税調の基本的なスタンスは、国庫支出金のところと地方税、交付金のところをしっかり見直した後で、なんか譲るべきものは譲ると、こういうスタンスですから、順序はそういうことになると思います。したがって、地方交付税、交付金についても積極的に私は発言したいと思っています、いろいろ問題がありますからね。
〇記者
自民税調のメンバーが相当入れ替わると予想されるのですが、政府税調として自民税調のメンバーが変わることについてどういうご感想かということが一つと、政府税調と自民税調の役割分担なんですが、毎年末になり答申が出るんですけれども、これは国民にとっては、どちらが実現性が高いのかということで混乱するんですが、政府税調が年度答申を出すことの意義というのは相変わらずあるのかどうか、そこについて。
〇石会長
2番目のほうからお答えしますが、自民税調と同時点で出すということは、ここ2年ぐらいやっていないと思います。昨年はたしかさっさっと出して、それをベースにして自民税調が議論してくれたと思いますし、その前もたしかそういうスタンスをとりました。私は、個人的に、今おっしゃったとおり、一日ぐらいずらして、自民税調と政府税調と競わせて出してもあんまり意味ないと思っているんですよ。というのは、役割分担から言うと、われわれはあくまで骨格の部分を立案し、企画し、プランをつくるわけですし、自民税調はどちらかというと、ダルマに目玉を入れるように、政治的に軋轢の強いところで、税率をどうするかとか、あるいは控除を最終的にどうするかという政治的な判断をするわけですから、僕はそれをはっきり役割分担させるという意味において、過去2年、そこそこわれわれと自民税調のやり方の区分・区別はついてきたと思っています。できればそういう方向で今年もやりたいと思っていまして、急いだ日程にしていますけど、今月中にわれわれの基本的な対応を明らかにしたいと思います。その前後に、私は、自民税調が活動を開始して、懸案事項になるであろう住宅ローンをどうするとか、あるいは年金改正を今年はどうするのかという話で、恐らく政治的な中での判断をするんでしょう。
第1点の問題ですが、自民税調という部分については、功罪半ばすると言うと、功あるかねという議論も出てくるかもしれないけど、一般的には罪のほうが多いような言い方をされております。あえて功を言うならば、ポピュリズムの中で不人気なものでも、必要とあらばやっぱり体張ってやろうという気構えをもった、まさに高齢化社会のそうそうたる方々がいたんですよ、やっぱり。その方々がいなくなって、言うなればポピュリズムだけで、負担は極力避けようとか極力先延ばししようという人ばかりで自民税調が構成されたら、僕は意味がないと思う。政治的には、これからやっぱり減税も…減税はだれもやりますよね、増税というものをしっかり受けとめて、国民に納得させて、自分でその責めを負うて入れるという人がいない限り、私は政治的には増税はできないと思う。それを自民税調がやってくれるのか、やってくれないのかは、日本の国にとって非常に僕は重要だと思いますね、これからは。それは、小泉さん自らがやるべきテーマかもしれない。われわれはあくまで政治的な力は全くありませんから、結局、その企画・立案のところで整合的な日本の国を見据えた形での、言うなればしっかりした答申を出すということに尽きますから、あとは、ある意味では実際の実施の段階は丸投げするしかないんですよね。その丸投げ先が自民税調であったし、あるいは内閣であったかもしれないけれども、自民税調が一字一句その辺を受けとめてくれるパワーがなくなってくる点については、私は非常に心配をしております。カオスにならなければいいなとは思っています。しかし、もう少しみないと分からないですね、誰がどう出てくるのかは。
〇記者
最初のお話なんですけれども、一般会計に占める税収の額、半分を切らないようにすることが必要だという意見が強く出されたと思うんですが、これは突き詰めていくと、新規の国債発行額がぎりぎりだと40兆を今度超えてしまうのではないかという、そこら辺については会長はどのようにお思いでしょうか。
〇石会長
そうですよねえ…。いやあ、どうなっちゃうんですかね。「何とも、どうなっちゃうんですかね」としか言えないですよ。今日の予想でも、41兆円ぐらいまでぎりぎり何とかなるかねという程度で、問題はその国債のほうだよね。いや、今日、谷垣財務大臣もその辺も触れられてましたけど、それはある種の数合わせだよね。やっぱり財政規律という基本的なスタンスは、そういう数合わせでは恐らくできないんでしょう。しかし、昔は国債をどんどん、30%なんていうことで大分頑張ったこともありますけどね、なんか虚しい気はしますよね。
そこで、お答えには全然なってないんですけど、それは一応そういう後退線、ここまで引き下がれないという線があって頑張るというような、予算編成上のテクニックとしては使えるんじゃないですかね。ということは40兆国債が超えないように経費を削るというようなほうに使ってもらえば、何とか防御線を死守できるような方向が出るかもしれないですね、そこは。それしか、ちょっと今は言いようがございません。
国債の30%って、数年間もちこたえてたんですよ。結構よかったんです、あれで。ところが、その防波堤が突破されたらズルズルといきましたからね。やっぱり、これは経済の理論でも何の理論でもないですよ、政治の世界の理論ですよ。そういう意味では、今度一たん防波堤を作っておく必要はあるのかなあという気はします。
〇記者
先程、基礎年金の国庫負担のところに定率減税を充てる問題で、要は定率減税をいずれはやめるという意味でははっきり打ち出されているわけですけれども、所得税を立て直すという基幹税としての役割を立て直すという意味で、今後そういった意味で使っていくということなんですけれども、他方で、国と地方の問題の中では基幹税としての移譲というものも出てきますよね。石会長ご自身としては、この定率減税をやめた後、所得税のあり方、その中で定率減税をやめる部分をどんなところに生かしていくべきだとお考えでしょうか。
〇石会長
定率減税は、ご存じのように国税が2兆円ちょっとで、地方住民税が0.8兆円ぐらいですかね。仮にあれがやめられれば、それなりの財源が確保されて戻るんですよ。ただ、それだけでは足りないですよ、多分。今言っている地方からの言い分とすれば。だから、将来的には恐らく消費税を増すということは、多分今のままじゃできないでしょうから、仮に今のままの税構造だったら、所得税のほうに少し視点がいくのかなと思いますけどね。まあそうなったときには、国税の所得税と地方税の住民税を合わせた形で累進税率構造を考えるとか、つまり10%に全部統一して、そこから上は国税にするとか、まあいろいろやり方はあると思うんですよ。したがって、しょせん住民税というのは国税の前年度の課税で使っているわけですから、一体化した面もありますからね、そういう点で少し議論が詰められたらなとは思ってますが、消費税も所得税も、税率を引き上げるとか控除を縮めるとかいう形の増収策、税負担が増えるという段階でないと、なかなか実際の配分は難しいですよね。ただ、それまで待てるかどうかという議論になるんだと思いますけどね。これも頭痛いところですね。まあ税調として言いにくいことを言わなきゃいけないかと思いますが、ただ、税調の中で国税側と地方税側が2派ありますからね、それをどう、これから妥協を図りつつ最適解に…最適解は出ないんだな、次善か三善の策をどうするかということだろうと思います。
(以上)