第43回総会 議事録

平成15年6月13日開催

委員

それでは、43回目になりますが、総会を開催いたします。

今日は、お手元に冊子が2ついっていると思いますが、片一方が「答申案」であり、もう1つ薄いほうが、「答申に盛り込まれていない主な意見」という形で、この2つにつきまして、今日最終的にご議論いただきまして、案を固めたいと考えております。

後ほど答申案の修正部分の説明から入りますが、その前に、私、特に事務局にお願いしまして、ある資料を作ってもらいましたので、その説明をしてもらいます。

今回の答申の中に、すでにマスコミ報道等々でご存じの方が多いと思いますが、いわゆる高齢者、あるいは、それ以外の失業者、遺族年金等々のところで、低所得者を含め一様に増税する的な報道があると思いますが、実はそこが必ずしも正しく理解されていないと思っております。そういう意味で、例えば公的年金等控除を見直すにしても、あるいは非課税部分を課税にするにしても、現行の所得控除で十分に守られているということがありますので、一律に増税を目指しているわけではないということを、資料で少し説明したほうがいいと思っております。そういたしませんと、母子家庭などにもすべて、あるいは失業者にもすべて税がかかってしまうかといったような印象が社会的に流布されることを恐れております。

それでは、事務局から、この資料についてご説明いただきます。よろしく。

事務局

それでは、お手元に横長の資料がございますので、お開きをいただきたいと思います。

まず、1ページでございますが、「個人所得課税の負担構造の見直し」というポンチ絵を作らせていただいております。これは所得税の計算の仕組みをごく図式的に書いてございます。その他の収入、特定の収入というのが左側にございますが、いろいろな収入を総合いたしまして、合算をした上で所得を把握して、そこに人的控除というのがありますけれども、いろいろな控除を働かせて、課税所得というのを算出します。それに税率を掛けて所得税をはじくというのが計算の仕組みでございますけれども、今回、負担構造の見直しということでおまとめをいただいている方向は、右の下に吹き出しのような部分がございますが、特定の収入ごとに適用される特別な控除や非課税措置を見直した上で、いろいろな収入を課税ベースに一旦取り込みますが、個々人の諸事情への配慮は、基礎控除や扶養控除といった人的控除にまとめる方向であるということでおまとめをいただいておると思います。

特定の収入というのが左下にございますけれども、現在、公的年金等につきましては、公的年金等控除が働く。給与収入については、給与所得控除が働く。退職金をもらわれると、退職所得控除が働いた上で、2分の1課税になる。あるいは社会保障給付のうち、例えば遺族年金ですとか、失業等給付は非課税ということなっておりまして、初めから課税ベースに入らない。こういう構造になっておるわけですけれども、年金とか失業給付といった社会保障給付に即して申し上げますと、左側の下の2つ目の※印をご覧いただきたいと思いますが、「他の収入の有無に関係なく」と書いてございますけれども、年金や失業等給付は、受給される方の他の収入の有無ですとか、多い少ないにかかわらず支給をされます。したがいまして、その他の収入ということで、ほかに財産収入ですとか、事業収入や報酬等を得ているような人に対しても、年金等の場合には初めから実質非課税ということで、その仕組みを見直したいという趣旨がここには入っておるわけでございます。

このことは、一方で先ほど会長からお話がございましたように、年金だけで生計を立てておられる低所得者ですとか、少額の失業給付だけで暮らしておられるような方に、特に税負担を求めようという趣旨ではないと理解しておりまして、そのことを、さらに図式的になりますが、2ページ以下でご覧をいただきたいと思います。

まず、2ページでございますが、高齢者世帯における所得の種類別の各世帯の平均所得額というのを見ていただいております。その他の世帯というのが一番上にありまして、高齢者の中に占める割合が75.3%ということでありますが、このその他の世帯というのは、ご覧いただきますように、公的年金等を主たる収入として生計を立てておられる高齢者世帯ということで、公的年金が212万9,000円ございまして、その他いろいろな収入が小さくありますが、平均では全体で267万円ぐらいの収入ということでございます。

ですから、年金に頼って生活をしておられる高齢者が、平均的には267万円ぐらいで生計を立てておられまして、75%ぐらい高齢者の中におられるということでありますが、このほかに、高齢者の中には、雇用者世帯ということで、年金以外に稼働所得という部分が白く書いてございますが、会社に勤めておられて、そこでの役員給与等給与収入をいただいておられる。それが主たる収入という方が8.3%ぐらいおられまして、こういう方の平均収入は611万円ということでございます。

それから、自営業者世帯というのも12.5%いらっしゃいまして、ここは個人事業主で、そこでの事業収入等が主たる収入という方でございまして、これが462万円ぐらいの平均的な収入を得ておられるということでございます。

この左側の公的年金のところをご覧いただくと、大体200万円前後でどの世帯も合っているわけですけれども、雇用者世帯や自営業者世帯はほかにいろいろな収入があって、かなり高額の年収を得ておられるということでございまして、高齢者であってもこのように担税力のある方には、若い人と同じように負担を求めてもいいのではないかという問題意識でございます。

3ページにお進みをいただきまして、公的老齢年金(モデル年金)をもらっておられる高齢者の年金の収入の大きさと、現在の所得税の課税最低限を比較したものでございます。モデル年金というのは、40年加入をされますと、基礎年金と2階建ての部分の報酬比例年金をもらうことになりますが、夫が働いている場合で計算をしますと203万5,000円、専業主婦の奥さんの場合には、基礎年金だけで約80万円ということでございます。これ以外にこういう家計には私的年金を積んでおられたり、あるいは働いておられれば給与収入がある。あるいは不動産とか利子等の財産所得もあるかもしれない。

こういう高齢者の姿であるわけですけれども、これに対して現在の課税最低限は、夫が公的年金等控除や老齢者控除がかなり大きく効いていますので、285万5,000円ということでございます。妻がやはり公的年金等控除が効く関係で236万3,000円。

これに対しまして、一番下の若いサラリーマンの夫婦のみの場合の課税最低限が156万6,000円ということでございまして、今後、公的年金等控除を見直していく場合に、この高い課税最低限をどこまで圧縮をするかということで、1つは、若い給与所得世帯との比較という問題もあろうと思いますし、こういうモデル年金だけで暮らしておられる世帯というのを想定した場合に、モデル年金に食い込んでいいのか、報酬比例部分はいいけれども、基礎年金部分まで食い込むのはどうかとか、そういったご議論をいただきたいということでございます。

それから、4ページにお進みをいただきますと、今度は遺族年金について、あるケースを、これも図式的に作ってみました。これは夫が死亡されて、子供1人抱えて、母子世帯が遺族年金を受けられるというケースでございます。

遺族基礎年金というのがまずありまして、奥様に79万7,000円出ます。それに子供1人の加算が乗りまして、102万6,000円ということでございます。これに遺族厚生年金という2階部分の遺族年金がございますが、これは亡くなられた夫の年収ですとか、被保険者期間に応じますので、一概に金額は言えませんけれども、この部分が現在は全額非課税になっているということでございます。

その結果、そのほかに奥さんが働いておられて収入があっても、その他の収入のところは、下にございますように、例えば奥さんが給与所得者であれば、子供1人の母子世帯の場合には、215万円という課税最低限になりますので、ほかにいろいろな収入があっても非課税ということでございます。

これを遺族年金を課税ベースに組み入れた場合が真ん中の棒グラフでございますけれども、これが一旦課税になりまして、その上にその他収入が乗るということになりますので、課税最低限との背比べで言いますと、基礎年金、遺族年金だけで暮らされる場合には、例えば基礎控除や扶養控除、寡婦控除といったものが、現在111万円ございますので、ほとんどの場合、遺族年金に新たに課税が生じることはないと思いますけれども、その他にいろいろな収入があると、その部分が、右のほうに出っ張っておりますが、課税が出てくるというケースはあるということでございまして、課税ベースとしてまずとらえた上で、こういった状態になったときに、控除や課税最低限をどう調整していくかということで、対応が可能ではないかという絵でございます。

それから、5ページでございますが、失業等給付(基本手当)の場合について、同じような作業をしてみました。(注)の1に書いてございますけれども、失業されますと、どのくらい失業手当が出るかというのは、いろいろな条件で異なってまいりますけれども、ここではかなり長期間雇用されておられた方が、倒産、解雇によって職を失われて、最長330日出ますけれども、その330日最長もらったと仮定した場合に、現在、その基本手当は最低56万5,000円、上限額が265万3,000円ということで、こういう形で失業給付が出ることになっていますが、これが現在は非課税になっておるということでございます。

これを課税ベースに組み入れますと、真ん中の箱のような姿になるわけですけれども、現在、一方で、一番下の箱でございますが、サラリーマンの場合の課税最低限が、そこでご覧いただくように、給与所得控除が効きますと325万円、基礎的な人的控除だけですと177万円ということでございまして、265万円丸々上限額までもらっておられる場合には、基礎的な人的控除177万円ですと、少し課税が生じますけれども、例えばそういった失業手当をみなし給与のような形で給与所得控除を効かせますと、325万円の課税最低限に収まってしまうということでございまして、基本手当、失業給付を課税ベースに入れた上で、諸控除をどう調整するかということで、少額の失業手当だけで暮らしておられるような方に対する調整は税制上可能ではないかと。

むしろ、その他の収入とありますけれども、失業手当をもらう場合にも、例えば財産収入が別途ございましても、失業手当は出るわけでございまして、そういったところが現在失業手当が非課税になっている結果、課税ができていないといったことを、この課税ベースを広げることによって、その他の収入のほうに課税ができるようになるということで、課税ベースを広げていくという意味が税制上はあるのではないかという議論をしていただいているのではないかと考えております。

やや、ややこしい説明で恐縮でございますが、以上でございます。

委員

ありがとうございました。

問題意識、あるいは、これから答申に盛り込まれている内容との絡みのご説明は以上のとおりでございます。特にご質問がなければ先にいきたいと思いますが、本格的な議論は、秋以降、実際の例えば公的年金等控除の見直しとか、あるいは遺族年金がどうなるとか、失業保険等がどうなるというときに、こういう議論をもう少し制度設計として細かくやればいいと思います。現段階におきましては、答申に書いてあります中身を理解するに当たって、このような配慮を効かしているという点についてご理解いただければと考えております。

この資料について、何かわからない点が特にございましたら、どうぞご質問ください。よろしゅうございますか。

それでは、これは一応今日、記者レクに使って、我々の考えていることを説明したいと考えております。

それでは、今日の本論でございます答申の案のほうに議論を移していきたいと思います。

答申案というのは、今6月13日付のものになっておりますが、これは起草会合のメンバーの方と、私と会長代理で大分議論をいたしまして、まとめてきたものであります。基本的には、明確、簡潔、国民に対するメッセージとして、クリアカットにしたいと思っておりまして、あまり長くてはいけないという意味で、本文が15ページぐらいで、あとはアペンディクスがついているという感じでございます。

それから、いろいろなご議論をいただきまして、右に行くという議論と、左へ行くという議論が1つのテーマについてございます。それを従来ですと、とかく両論併記的に書いた面もございますが、それだとこの税調は何を考えているかわかりにくい。という形で、今回は一本化いたしました。ただし、本文に盛り込まれなかったけど、大変貴重なご意見をいただいているということも多々ございますので、「答申に盛り込まれていない主な意見」という形で、小冊子のほうにこれを組み入れることにしております。今日はこれを読み上げてもらおうと思っています。

それから、中期答申の性格上あまりなじまないようなテーマにつきましては、ご説明もいたしますが、盛り込まれていない面もございます。

いずれにいたしましても、そういう形でこれから「答申案」と「主な意見」の方、2つこれから議論いたしまして、今日最終的なご承認をいただきたいと考えております。

これまで大分修文をしてきました。今日、答申案を全文読み上げませんが、これまで直した点を中心に、事務局からご説明いただこうかと思います。では、よろしく。

事務局

それでは、前回以降の修正になったところをご紹介させていただきます。

まず、「はじめに」のページ目、16行目以降のくだりでございます。前回の原案では、景気、経済、構造変化のあたり、かなり長くなっていましたが、全体として文意が重複しているところもあるので、簡潔にということで、16行目から21行目にかけて、6行ぐらいに簡潔に記述をしたということでございます。また同時に、記述のトーンにつきまして、例えば「持続可能な公的部門を構築できれば」とやや受け身的に書いたところを、主体的に「構築していく必要がある」というようなトーンに修正してございます。

それから、22行目からのくだりにつきましては、原案に比べまして、財政の状況などについて、例えば国の歳出額の約半分しか税収で賄えていないといったように、財政の具体的な現状について言及する。あるいは、国・地方を通じて財政は危機的状況にあるということを明確に書いたらどうかというご指摘で、ここに組み込まれてございます。

それから、26行目ですが、今後の高齢化の進展に伴う給付の増大のところで、年金・医療のみならず、介護についても言及をしたところでございます。

本文の1ページ目のほうにお移りいただきまして、9行目から10行目にかけて、経済成長率の低下の要因として、人口と貯蓄率の関係がやや不明確だったので、そこが明確になるように文章を整理させていただいております。

それから、10行目ぐらいから、「今後の少子・高齢化を悲観的にとらえる見方もある」ということで、原案では、「悲観的にとらえる見方が広がっている」と、やや悲観的意見を強調した感じになったので、そこのところはトーンを少し和らげたようになってございます。

また、様々な分野における構造改革については、「加速」ということが原案でございましたが、「推進」ということで、これまでも続いているのを、さらに引き続きやっていくという感じに改められております。

同じ1ページの21行目のところですが、「国民は将来の税負担や社会保障負担の増加」ということで、社会保障負担に対する先行き不透明感についても明記をしてございます。

おめくりいただきまして3ページ目でございますが、「個別税目の改革」の前の1行目から3行目にかけて、少しトーンをはっきりさせております。歳出削減、行政改革を断行、税制上の歪みや不公平の是正の観点に立って取り組むことが肝要と、やや前の表現が弱かったので、そこをきっちりしたということでございます。

同じく3ページの23行目ですが、個人所得課税の改革、負担構造の構築に当たって、「取組みは単純な増税論や年金制度改革のための財源論を論ずることではない」というくだりの次のところ、「真の弱者まで課税強化を行うことを目的とするものでない」というのは、やや表現がひとり歩きしそうであるというご指摘等もございまして、そこのところは削ってございます。ソフトにしたということでございます。

4ページの4行目のところでは、給与所得控除、退職所得控除の見直しの背景のところで、原案では終身雇用に言及をしておりましたが、給与所得控除と終身雇用との関係を結びつけるのは、ややわかりにくい、不適切だということで、そこのところは落として整理をしてございます。

それから、5行目と6行目の間に、給与所得者と事業所得者との所得捕捉の比較のところがございましたが、このくだりは、むしろ給与所得のところで言及したほうが適切ではないかということで、後ほど出てまいりますが、場所を変えてございます。

5ページでいくつかございまして、21行目ぐらいから、年金制度改革の中での、原案では公的年金と私的年金の役割分担というくだりがございました。そこのところの言及ぶり、あるいは表現が、なかなかわかりにくいといったご指摘もございまして、そこのところを簡潔な文章にして、21行目から24行目あたりに整理をさせていただいてございます。

それから、私的年金の例示ということで、「企業年金などの」というのを22行目で挿入させていただいております。

また、24行目と25行目の間に、生損保控除の見直しについての言及等もございました。この部分については、年金の見直しとやや性格が違うということで、ここも後ほど金融・証券税制のほうで言及させていただいております。

それから、27~28行目のところですが、遺族年金給付、失業給付のところの見直しについてのくだりで、表現を適正化しております。「受給者の他の所得の有無」ということで、「他の」を入れることによって、論理が明確になるようにさせていただいております。

それから、一番最後のところですが、低所得者に対する配慮が必要だというくだりについても、文章がやや長くてごちゃごちゃしていたので、ここのところは整理をして、その趣旨が明確になるように修文してございます。

それから、6ページでございます。給与課税の見直しのところでございますが、全体として文章が長かったのを少し整理する中で、8行目あたりですが、見直しの方向の1つとして、「特定支出控除の範囲についても検討し」といったような具体的な言及を入れて整理をしてございます。

それから、12行目あたり、負担水準を調整する観点から、「基礎控除をはじめ人的控除の水準の引上げ」ということで、文章を明確にしてございます。

それから、13行目から15行目にかけて、先ほどありましたように、給与所得者と事業所得者との所得捕捉の比較の問題については、ここの部分に挿入をしてございます。

それから、6ページの一番下のところでございますが、人的控除を見直すときの個人を中心とした考えを重視するということで、原案はちょっと読みにくかったところを、文章を整理してございます。

それから、7ページに進んでいただきまして、5行目ですが、「児童など真に社会として支えるべき者に対して扶養控除を集中する」と、その「集中する」という表現がございましたが、わかりにくかったので、「扶養控除」というのを補ってございます。

それから、その次のくだり、税額控除制度についての検討課題のところで、控除の仕組みとして、所得控除ではなく税額控除とすることも検討課題となってくるということで、文意をわかりやすく記述してございます。

それから、一番最後のところですが、「社会保障制度との関連や諸外国での事例等も踏まえ、検討を深める必要がある」ということで、原案ではやや技術的な表現もございましたが、全体をすっきりして、検討の視点を明確にするような形に改めてございます。

事務局

個人住民税ですが、16行目、所得割のところで、従前、「個人所得課税に共通する課題に対処する観点に加え、」とあったのを削除いたしまして、地方税の独自性を強調したほうがいいのではないかというご意見にこたえた形にしております。

それから、均等割のところでは、21行目ですが、生計を同一にする妻に関して、若干表現を簡素化いたしまして、「課税の公平の観点から廃止する必要がある」というふうな表現にさせていただいております。

事務局

消費税のところですが、8ページの17行目あたり、「食料品等に対する軽減税率の採用の是非が検討課題になる」ということで、原案に比べて、単一税率との比較ですとか、あるいは対象範囲の問題等ございますので、表現を穏やかにするような形で文章を整理させていただいております。

それから、8ページの一番下でございます。消費税の使途のくだりのところで、「税率の引上げに際しては、国民の理解を得るために社会保障支出や社会保障負担との関係を明確に説明する」ということで、社会保障負担ということについても、それを考慮しながら考える必要があるという指摘を踏まえて、改めさせていただいております。

それから、9ページ、法人課税の冒頭のところでございますが、基本的考え方のところ、かなり原案では文章が長かったので、半分以下ぐらいに全体をすっきり簡潔化させていただいてございます。10行目から14行目ぐらいのところでございます。

それから、10ページをお願いいたします。1つは、民間非営利活動に触れたくだりのところですが、4行目、「透明性を確保しつつ」という言葉を入れてございます。

また、同じく10ページの7行目から8行目にかけて、公益法人課税の検討の際の留意点ということで、「適切な情報公開の下、公益的な活動が円滑に行われるとともに」というフレーズを入れて、文章を明確にしてございます。

それから、11ページの1行目ですが、相続税の持つ再分配機能についてのくだりで、「資産移転の段階での再分配機能」ということで、原案では「ストックの段階」というような表現でわかりにくかったのを、改めさせていただいております。

それから、同じく11ページの5の個別間接税ですが、ここについては、個別間接税あるいはサービス課税について、問題意識を持つべきだというご指摘があって、このくだりを入れますとともに、見出しについても「個別間接税」というタイトルを立てているところでございます。

事務局

「地方分権と税制」のところでは、23行目に、地方分権も少子・高齢化社会との関係づけの中で、より重要性が高まるのではないかというご意見がありましたので、若干そうした表現を加えて、「少子・高齢社会を迎えたわが国の構造改革の重要な柱として」といった表現にさせていただいております。

それから、次の12ページでございますが、9行目のところ、改行いたしましたのと、それから、少し課税自主権の本旨的なものを書けないかというご指摘もありましたので、地域における受益と負担の関係の明確化につながるものであるという趣旨を記載させていただいております。

事務局

12ページの22行目ぐらいのところ、金融・証券税制のところですが、生損保控除や財形貯蓄といった貯蓄優遇税制についての見直しというくだり、先ほどありましたように、年金関係のところからこちらに移すことによって、文意を明確にしてございます。

13ページでございます。納税者番号のところですが、ここは2点ほど修文してございます。1つは、全体として文末の語尾が非常に冗長でしたので、やや主体的な感じになるように文体をきりっとしたというのと、それから、納税者番号をめぐる環境についての言及のところで、原案では、例えばカードとか暗証番号といったことへの言及、あるいは住民票コードへの言及がございましたが、これについてはいろいろご議論もあるということで、少しそういったところの言及を整理して、叙述を簡潔にしているところでございます。

それから、14ページでございますが、納税者番号についての今後の検討のところで、4行目の一番最後のところ、諸外国についての言及で、「制度導入当初においては番号の利用が義務づけられる取引等の種類が限定されているのが通例である」と。原案の文章は非常にわかりにくかったということで、わかりやすく整理してございます。

その次の5行目、最後ですが、わが国において納税者番号制度を導入する際には、こういった例が参考になるといったくだりの冒頭に、「申告納税になじみの薄いわが国」という表現がございましたが、申告納税制度を基本で入れておりますので、この表現については落とさせていただいております。

それから、同じ14ページの「2. 公示制度・資料情報制度」のところでございますが、基本的に公示制度と資料情報のところが、文章が団子になったような形で叙述されていましたので、それぞれ中身に応じて、改行する等によって文章を整理してございます。

それから、15ページでございますが、20行目のところで、「既存のエネルギー関係諸税等との関係についても検討すべき」という冒頭のところが、つながりがそれ以前のところとわかりにくいということで、「地球温暖化問題に対する税制面での対応を検討する場合には」という形で、つながりをはっきりさせております。

それから、同じ15ページの下から2行目、「国際課税」の中のくだりですが、租税回避のところで、少し具体的に言及したほうがいいということで、「わが国から税源が不適当に流出するなどの租税回避の動きも顕在化している」ということで、文章を改めているところでございます。

以上でございます。

委員

ありがとうございました。

本来だと、今日も読み上げてということを考えるべきかもしれません。と申しますのは、今日初めてお目通しいただく委員の方もいらっしゃるので、今の説明だけではわかりにくいと思いますが、ただ、膨大な量を読み上げると、40~50分かかって、大変なことになりますので、今から次の「主な意見」だけ読み上げます。その間でもご関心の箇所を特に重点的にご覧いただいて、ご発言いただけたらと思います。

それでは、「主な意見」のほうはまだ読み上げておりません。そこで、今、修文をした「答申案」との関連において主な意見を整理してございますので、これは一通り読み上げて、またご意見をいただきたいと考えております。

では、お願いします。

事務局

「答申に盛り込まれていない主な意見」を朗読

答申に盛り込まれていない主な意見

今回の答申の審議過程において、以下のような主な意見が出た。

はじめに

イ 財政の持続可能性という観点では、潜在的国民負担率を50%程度に抑えることを目指すといった記述が必要なのではないか。

ロ 国及び地方の財政の現状は厳しく、現在の財政を立て直すには、税負担増、歳出削減、経済活性化による増収のいずれかしかないが、一番重要なのは経済の活性化である。

ハ 人口減少に伴い、今後とも大幅に地価が下落することが大問題。このような意味で、わが国は非常に重大な転換期を迎えている。

ニ 今後の負担増について国民の理解を得るためには、国民が不安を抱いている高齢者ケア・子育て・住宅・社会人教育などの国民生活の基盤となるサービスの充実はしっかり行うというメッセージを示す必要がある。

少子・高齢化と税制。

(総論)

イ 「少子・高齢社会と税制」は高齢者に対する税制のイメージが強く、税制による少子化への対応についても強調すべきではないか。

ロ 世代間の公平の確保は重要だが、高齢者を狙い撃ちにしているといわれないように十分な配慮が必要である。

ハ 社会で支える高齢者の範囲を特定の年齢で一律に決めるのではなく、全人口の一定の比率を基準として決めることも考えられるのではないか。

ニ 国民は将来の負担増や社会保障制度の後退に不安を抱いているとしながら、社会保障給付の削減や税負担増が必要だといった財政の論理で説明することには矛盾があるのではないか。

ホ 高齢社会における税制は社会保障制度と一体で考える必要があり、これまで以上に税制と社会保障の関係を関連づけて考えるべきではないか。

ヘ 基礎年金の国庫負担割合2分の1への引上げは、財源を国債の発行により補填する可能性も考えれば、単に社会保険料負担が税負担に置き換わる以上に問題が大きい。

ト 年金が社会保険である以上、社会保険料により賄われるのが原則であり、その財源を国民全体の負担となる税に求めることは問題である。

(個人所得課税)

イ 給与所得者に対し、実額で必要経費を控除することと年末調整を行うこととの選択制度を導入すべきである。

ロ 現行の個人所得課税は、資産性所得が低率の分離課税であるため、高所得者優遇となっていることから、今後、総合課税を徹底するとともに、所得再分配機能とスタビライザー機能を発揮する観点からも、累進税率構造をより厳しくすべきである。

ハ 年金課税の見直しに当たっては、年金生活者の家計の実態を見極める必要があるとともに、年金制度改革自体の行方が現時点では不透明であることから、慎重に対応を行うべきである。

ニ 年金について、給付のレベルを下げるのか、課税の強化を行うのかは、国民負担率の水準や、政府の大きさにかかわる問題である。

ホ 少子・高齢社会における負担と給付のあり方として、所得控除等を廃止した場合には、激変緩和措置を講ずることと、控除で行うのか給付で行うのかといった点を検討すべきではないか。

へ 高齢者に対して応分の負担を求める場合には、その負担の中身の議論と併せて、その財源をどのように使うのかといった方向性や考え方についても併せて議論すべきではないか。

ト 課税ベースの拡大に当たっては、資産性所得に対し公平に課税すべきではないか。

チ 年金課税の見直しに当たっては、急激な負担の変化が生じないよう、具体的な設計に際しては激変緩和措置の導入も検討すべきである。

リ 給与所得者と事業所得者との間の所得捕捉率に関する不公平感が解消されないのであれば、給与所得控除の見直しは慎重に対処すべきである。

ヌ 個人住民税所得割の諸控除や非課税所得の縮減について、具体的に書くべきではないか。

ル 失業等給付に対する課税上の取扱いについては、給付の内容・性格が各々の手当の間で異なっていることや、これまで非課税の取扱いが続いてきたことなどから、受給者が徒に不安を抱くことのないよう配慮すべきである。

(消費税)

イ 二桁税率となった場合でも、制度の簡素化の観点から単一税率を維持すべき。所得に対する逆進性の緩和としては、軽減税率の採用ではなく、給付という方法も考えられるのではないか。

ロ しばしば所得に対する逆進性の問題が指摘されるが、消費税は消費を租税負担能力の尺度とし、消費に比例的に負担を求める基幹税として位置付けられるのではないか。

ハ 最近、消費税率引上げに関する様々な提言が出されてきていることを見ても、国民の消費税に対するアレルギーのようなものはなくなってきていると考えていいのではないか。

ニ 消費税は基幹税として重要であり、諸外国にも付加価値税を目的税としている例はないことから、消費税を「福祉目的税」とすることは適当ではない。

ホ 将来のことであっても、消費税率の水準を二桁とすることには賛同しかねる。

ヘ 将来の消費税率引上げに際し、「年金目的税」とすべきである。

(法人課税)

イ 今後とも法人税を基幹税と位置づけるのであれば、利益課税では限界があり、赤字法人に負担を求める方策も検討すべきではないか。

ロ わが国の法人の税負担の諸外国との比較について、法定税率のみを用いるのではなく、業種別の実質税負担などもう一度検証する必要があるのではないか。

ハ 多様な形態による事業・投資活動に対する適正な課税のあり方については、タックス・プランニング等によって法人税が形骸化することも十分に認識した上で検討すべきではないか。

ニ 法人税率の検討にあたって踏まえるべき税率のバランスというのは、比較対象を先進国に限ってよいのか。アジアとの関係は無視できないのではないか。

ホ わが国の法人税率は既に欧米並みの水準であり、財政状況からみても、これ以上の税率引下げを検討する必要はない。

(相続税・贈与税)

イ 高齢者の資産の保有状況については、多面的な見方をしないと生活の実態が見えてこない点に留意が必要。

ロ 相続税の資産再分配機能の重要性に鑑みると、最高税率を引き下げることは適当ではない。

ハ 相続税はあまり勤労意欲に影響を与えないので、相続税減税が活性化に資するという考え方には違和感がある。

(個別間接税)

イ 新しい産業を育ててそれに課税するという発想も大事であり、こうした観点からカジノに対する課税も考えられるのではないか。

地方分権と税制

イ 三位一体改革に止まることなく、歳入と歳出のギャップをどう埋めるかという観点から、国税と地方税それぞれの充実確保を優先して議論すべきではないか。

ロ 歳入と歳出のギャップの解消の問題と構造的な税源配分の問題は、次元の異なる別の問題ではないか。

ハ 三位一体改革の目的は、歳出・行政改革にあり、先ずは国庫補助負担金の改革を優先することが望ましいのではないか。

ニ 交付税の財源保障機能については、モラルハザードを生み、受益と負担の乖離をもたらしていることから廃止すべきではないか。

ホ 現行の枠組みにおいて、課税自主権の活用による地方税源の充実に限界があるのならば、地方税における法定税目のあり方を検討すればよいのではないか。

ヘ 国と地方の歳出純計に占める地方の歳出の割合(63%)と租税総額に占める地方税の割合(42%)を取り上げるのであれば、交付税を考慮したり、税目別の税収比に言及したりしないと意味がないのではないか。

その他。

(金融・証券税制)

イ 配当課税については、トータルな税負担だけでなく、当期課税か受取時課税かという課税のタイミングも考慮に入れるべきではないか。

ロ 日本人は株式など危険資産に対する投資比率が低いが、リターンに比べリスクが高かった日本の株式市場の実状に則して考えれば、そのような投資行動は正しかったと言えるのではないか。

ハ 資産性所得に低率の比例税率を課した場合、所得分配において問題が生ずる可能性があるのではないか。

ニ 住宅ローン控除等による課税ベースの浸食を防ぐ方策として、フラットタックスのように資本所得課税を抜本的に改革するやり方も考えられるのではないか。

ホ 分離課税の良さを残すべきではないか。

(納税環境整備)

イ 情報技術の進歩により、番号がなくても情報申告書のマッチングが不可能というわけではないのではないか。

ロ 名前や住所、生年月日を使った情報申告書のマッチングではコストも時間もかかる。番号によりマッチングする方が迅速であり、税務行政の効率化の観点からも番号のない情報申告処理は考えられない。

ハ 番号を付与するだけでは不十分であり、番号に付随して金融機関が保有する税務データを税務当局が閲覧できるようにすることが重要。従って、納税者番号のみならず、併せて質問検査権の内容を充実させることも重要

ニ 納税者番号制度の導入に当たっては、金融機関の負担に配慮するとともに、導入までのスケジュールを予め示し、十分な時間的余裕を持たせるべきではないか

ホ 租税回避や金融機関の事務負担を踏まえれば、納税者番号制度は納税者の選択制ではなく、やはり一律の導入とするのが好ましいのではないか

ヘ 納税者番号制度の導入に当たっては、対象となる取引等の範囲を極力広く設定すべきではないか。

(環境問題への対応)

イ 地球温暖化問題に対する関心が高まっている中で、税制調査会としても、いわゆる環境税の導入に向けて積極的に検討を進めるべきではないか。

ロ 京都議定書の発効も定かでない現状では、第1ステップ(2002年から2004年まで)の地球温暖化対策の状況を見極めるべきであり、いわゆる環境税の導入については慎重に対応すべき。

(不良債権処理と税制)

イ 産業金融の再生という構造改革の側面から、一般的な繰越期間の延長を考えてほしい。

委員

ありがとうございました。

それでは、これから答申案のほうの審議に入りたいと思います。もちろん、答申案との関係で「主な意見」のほうにも触れていただいてけっこうです。

答申案をご覧いただきますと、大きくいって「少子・高齢化と税制」のところがちょうど真ん中ぐらい、11ページまで来ております。そこで、「はじめに」というところと、本文の1ページから11ページまで、これを最初第一ラウンドにいたしたいと思います。ただ、途中でご退出で、後半のほうにも発言したいと思われる方は、どうぞご遠慮なくご発言ください。

それでは、最初、「はじめに」と「少子・高齢化」の個別の税につきまして、今、修文のあったところを中心に、さらにご議論を賜ればと思います。いかがでしょうか。

ございませんか。では、一括して後半のほうに触れられてけっこうでございますから、一々区切ってというよりは、全体的な視野からご検討いただきたいと思います。あちこち動かしたところもありますし。

ちょっと時間を取ることにいたしますので、ご関心のところをお読みください。

委員

資料のほうの質問よろしいですか。

委員

どうぞ。

委員

資料の1ページ目のご説明ですけれども、これですと、いろいろな種類の所得を、なるだけ所得類型の壁を少なくするということとはちょっと違うと思うのですが、そういう方向でならしていってということに一見見えますよね。だけれども、例えば損失が生じた場合の損益通算とかそういうのは、逆に租税回避を防止するような形で一定の枠があるということは、考えようによっては日本の税制のメリットではないかとも思っているものですから、どこまでの説明なのかということが、今ひとつわからなかったので。

委員

損益通算云々のところまで広げていませんよ。

委員

では、プラスのほうだけで。

委員

まさに今言った、特に関心があるのが年金、給与所得、退職とか非課税のところ、これが本文に盛り込まれていますから、この盛り込まれたところを強化すると、社会的弱者にも一律かけて、弱い者いじめではないかと言われることがすでに行われておりますので、そのためのデータを用意したわけで、おっしゃる損益通算云々の話をこれに絡ませますと、話がもっと広がっていって……

委員

おかしいですよね。

委員

それは今考慮に入れていないというお答えが一番いいと思います。

委員

わかりました。

委員

よろしゅうございますか。

委員

はい。

委員

では、どうぞ。

委員

1つは確認ですけれども、本文の2ページの下から3行、今回の答申の骨がここに出ているわけです。個人所得課税の基幹税としての機能を回復する、それから、消費税の役割を高めていく、これが今後の税制改正では基本であると。

もう1つの基幹税というのは法人税なのでございますが、これについては今回はあまり検討はされていない。そして、法人税については、9ページで「今後の対応の方向性」というのがありまして、「『基本方針』で述べたとおり」と、これこれこういう観点から検討していく課題だと言われている。

この基本方針というのは、去年の基本方針は、今の税率水準は先進国並みになった、これ以上下げる必要はないと。それから、事業税を外形化すれば実効税率が下がるというふうに書かれておる基本方針でございますが、これはまさに外形が行われて、実効税率はアメリカよりも低くなったということがこの背景になっておるわけですが、その「『基本方針』で述べたとおり」とあるので、ここは法人税については、基本方針のスタンスは変えられていない。今後いろいろな観点から検討していく問題だということで、別に引下げとも引上げともそこは言っていない。中立的な考え方であるということで理解してよろしいかと思うのでございますが、その点が1つ。

2点目は非常に細かい問題ですけれども、ストック化の問題です。前文の「はじめに」のページのところ、20行目でございます。「高齢化・成熟化に伴いフローに比してストックの重要性が高まるため」と。この「重要性」という言葉ですけれども、非常に重要で、ストックを重視しなければいけないという評価、価値判断があるのか、ストックのウエイトが高まってきているので、これは課税のあり方をいろいろ考えなければいけないという、単なる事実上の認識を言っているのか。事実上の認識として、ウエイトという意味でのウエイトが高まっているので、これは課税を十分いろいろ検討しなければいけないと、そういう意味かなと。重要性が高まるという価値判断、これをもっと充実させていかなければいけない。重要性が高まるとなると、あまり手を入れることもどうかなという気もするのでございますが、ストックのウエイトが高まるので、これは税としても本格的に取り組まなければいけないという意味ではないか。そうすると、重要性というか、むしろウエイトというか、そんな感じかなという気がします。

委員

後段からお答えします。

今のご指摘の点、正直申しまして、ウエイトなのか、物事の価値が高まったかは、それほど議論いたしてなかったと思いますけれども、ただ、1,400兆円例の個人金融資産が残っていて、その額はどうも高齢者が大半持っているというような意味で、少子・高齢化というのは、そういった個人金融資産も含め、かつ、実物資産も含め、ストックがどんどん積み上がっていくであろうという認識を持っていますので、そういう意味ではウエイトだと思います。

さはさりながら、そういうものをどうやって活力ある、いうなれば社会の成り立ちにもっていくかということになりますと、それに対してどういう税を仕組んだらいいかといったような意味において、そこには重要性という価値判断が入っているかと思います。

そこで、これ以上修文は難しいのですが、あえて言えば、ウエイトの面もあるし、事柄の重要性もあるかなと、そういう意味で書き込みました。

それから、最初のご質問でございますが、基幹税として所得税の機能を回復させ、消費税を高めていくということは、皆さんご異論ないと思いますが、法人税につきましては、昨年6月の基本方針よりは、私個人的にはもっと踏み込んだ印象を持っています。

というのは、諮問会議でも法人税の基本税率引下げということはまた言っているかと思いますが、国際競争力を高めるという視点、あるいはどんどん海外に企業が進出するという視点、それから連結納税が入ってしまったというようなことを考え、どうも法人税を所得税と消費税並みに第3の基幹税として維持するのは私は難しいと考えています。そういう意味では、引下げということをはっきり書いて、これは将来の課題だと書いたのは、消費税・所得税みたいに高めていくというよりは、相対的に地位が落ちるのはやむを得ないという印象で書いてございますから、昨年の6月よりは、やや法人税に対しては、見切りをつけたわけではありませんけれども、それほど引き続いて最重要視して、これを大事に育てるということは難しかろう、という含みがあるとご理解いただきたいと思います。

よろしゅうございますか。ほかにいかがでしょうか。

委員

9ページの8行目、「法人課税」という見出し、その段落で書かれていることは、今、会長がおっしゃった趣旨のように読めるのですけれども、23行目、「『基本方針』で述べたとおり」以下の記述ですと、ちょっと押し戻したような印象を持ちますけれども、そうではないのですか。

委員

押し戻したというのはどういう意味ですか。

委員

つまり、そうはいってもそんなに下げられないぞというような。

委員

でも、法人税の税率引下げとはっきり書いているんですよ。「見直し」を「引下げ」にわざわざしたんですよ。

委員

法人税率の引下げについては、2行とばして、「今後検討すべき課題である」と書いてあれば、非常にわかりやすいのですが、真ん中に1行入っていますよね。これを読むと、そうでもないのかなというふうに読めますが。

委員

ある委員流にいえば、これはやらないよという意思表示ではないかというご発言があるかもしれないけれども、これは将来的にいろいろな状況から見れば、検討はやぶさかでないという意味が込められていることですよ。ですから、それはちょっと私の思いが入ってしまったけど、別に上段とこの箇所は矛盾して書いたつもりはありません。何かあえて修文のご要求があればおっしゃってください。

委員

あまり早くそれを書いてしまうと、いろいろまた……。

委員

[1]はすっきり書いていないんですよ。僕の趣味に合わないのだけど。ごちゃごちゃと書いてある、こういうことですよ。どうぞ。

委員

この「主な意見」のところで、あまりこだわるつもりはありませんが、「地方分権と税制」というところで何点か列挙されているわけですが、総論として、税調として、三位一体なり税源移譲なり、あるいは地方税のあり方なり、もう少し踏み込んだ議論をしてもよかったのではないかという意見があったので、全体の税調の姿勢みたいなものとして、そういうくだりも、個々の問題点だけではなくて、総論的なものがあってもいいような……。

委員

もうちょっと具体的に、書き加えることが今の段階でできますか。

委員

三位一体改革、税源移譲等、あるいは地方税のあり方等について。

委員

具体的にという意味ですか。

委員

要するに税調として、今度の中期答申でさらに議論する機会があってもいいのではないかというあたりが入ってもいいような気もいたします。

委員

なるほど。ただ、審議の結果は今なかなか入れにくい……。

委員

それはけっこうです。

それから、本文の12ページ、「今後の対応の方向性」で、3つの段落に分かれているわけですが、1つは、3つがどうもまとまらないというか、流れないというか、そんな印象がするわけです。とりわけ3段目の「しかし」で始まるところの「しかし」というのは、要らないのではないか。これは文章上の問題です。

それから、2段目、6行目の「また、地方分権一括法による地方税法の改正を契機として」というところから始まるパラグラフですが、地方分権一括法によって地方税法の改正がなされましたと。それを契機にして、こういうところで法定外税や超過課税の活用の動きが活発化していると。この文章は、本文全体を通じて説明がものすごく丁寧というか、こなれているというか、そういうところと、何かちょっと文章が飛んでいるようなところと、両方感じるのです。

ちょっとわかりにくいというところの1つの例は、今私が申しました12ページの6行目からです。「地方分権一括法による地方税法の改正を契機として」、そこからいきなり「法定外税や超過課税の活用の動きが活発化している」と。わかる人にはわかるのですが、これは何を言っているのかと。

そして、そのあとに「主要な税源」云々、そして、そのあとで「課税自主権の活用による」という「課税自主権」という言葉がいきなり出てくる。これから課税自主権というのは非常に大きいテーマになるのですが、ここでいきなりポンと出てくると、何か違和感を感じる。例えば、文章的に1つの考え方を例示しますと、「地方分権一括法による地方税法の改正で課税自主権の向上が図られたのに伴い、法定外税や超過課税の活用の動きが活発化している」というふうにしたほうがいいのではないか。

それから、3段目の「しかし」は、前の段とあまりつながらないので、これは「しかし」を取って、「課税自主権の活用は」というところから始まってもいいという気がいたします。

委員

ありがとうございました。おっしゃるとおり、ここは本当なら5行目まででとめてもいいところなんですね。三位一体論を、まあ抽象的な世界でありますが、やるよという趣旨ですね。

ただ、従来から課税自主権のことも議論しておりましたので、やはり課税自主権に対しても、どういう考えを持っているかという形で、文章化したいということで2つ加わったのですが、「また」の節は、どちらかというと現実の事実認識ですよね。限界があるだろうというところで、これのみにあまりウエイトを置かれても困るよという話と、さはさりながら、今後、課税自主権の活用というのは十分に考え得る話だよということを2つ絡ませています。そこで、これは一文だったのをあえて改行したんですね。その改行を「しかし」で結んだから、委員のご指摘のように、ちょっと違和感が出てきたかもしれません。これはもう少し通りがいいように考えさせていただきます。三位一体と課税自主権を2つ絡ませたから難しいのですが、話題性としてはやはり2つをうまく溶け込ませたいと思います。ちょっと考えさせてください。

どうぞ。

委員

この間から何回か発言させていただいて、「主な意見」にも載せていただいているところですけれども、今日は1点だけ、本文の12ページ、「第三 その他の課題」「一 金融・証券税制」の22行目の終わりのほうからの生損保のところです。これを読ませていただきますと、生損保、財形年金のことが書いてあるのですが、特に生損保控除について、「他の様々な貯蓄手段との税負担の公平性確保の要請」と、つまり他の貯蓄と生損保のような貯蓄が同列に扱われている。つまり税の公平性ということが。本当に生損保という性格上、ただ税の公平性から見て見直すというふうにしてしまっていいのかどうか。つまり、ここでもずっと議論されてきているけれども、年金、医療、介護などについて、公的支援がこの少子・高齢化や国家財政の状況の中で大変厳しいので、それの見直しとか適正化ということが一方で言われていて、自助努力ということがますます必要になってきている。けがとか病気とか、あるいは生命について、一定の安心・安全をみずからの力で作り上げておかなければならないという自助努力、そういう性質のものを、他の貯蓄と同じというふうに括ってしまって、それで、そこの公平から見直すのだというのは、私はまるきり違う性質のものを同列に並べてしまった言い方ではないかということで、この公平性という観点からの見直しについては、ちょっと納得ができません。

委員

ちょっとご説明しておきます。この税調で私の記憶する限り、十数年この文章を使っております。その背後には、生損保控除というのは、そもそもこの種の保険を普及させるという意図から、業界の要望もあったし、生命保険が最初に控除になって、そのあと損保がくっついてきたという経過もございますが、その普及はほぼ九十数%生命保険について達成されたんですよ。今さら何でこれを入れるか。当初の目的は十分に達したと思っていますが、業界の方々のご意見を聞くと、引き続き勧誘の手段に使いたいというようなお話もございました。

そこで、今ここで言っている見直しを行うべきだという意味は、何も生損保だけが貯蓄の手段ではなくて、おっしゃるとおり、401Kもあり、その他様々な新しい金融商品の開発もあり、貯蓄手段も出てきた中で、旧態依然たると言っては怒られますが、旧来型の生保と損保だけなぜ特に優遇しなければならないか。それも入れた中で、生損保を別に無視するわけではありませんよ。生損保を入れた中で新しい、まさにおっしゃる自助努力というのはあり得るだろうと前から考えているんですよ。

そういう意味で、ここに書いてある「様々な貯蓄負担との税負担の公平」というのは、何もここだけ特に自助努力ということで言うことはなかろうという発想がありますので、お答えはそういう形で、これをとりあえずトータルの中で見直しましょうという形でありますから、別に自助努力を無視しているわけではない。まして、3階建ての税制適格年金等々をやるときには、当然この種の問題も波及してくるわけであります。その中で考えようという趣旨でございますから、おそらく昔の議論とは大分変わってきたというふうにご理解ください。よろしゅうございますか。

どうぞ。

委員

質問といいますか、私の認識不足があれば教えていただきたいと思うことなのですが、所得課税と消費課税と全体のバランスの問題ですけれども、この記述を読みますと、所得課税は日本の場合は6.1%ぐらいの負担水準になっていると。

委員

国民所得比ですね。

委員

国民所得比で。したがって、引き上げること、先進国並みのことを考えるというようなことがニュアンスとしてあるわけですが、実際に改正として出てきているのは、高齢者の課税とか、あるいは夫婦間の課税とか、こういうことで公平性が失われているので、課税ベースを広げて、わかりやすくやっていきましょう、ということが具体的な中身として提案されているわけですね。このことによって、国民負担率6.1%というのがどの程度上がって、所得税が基幹的な税としての位置を回復できるのかということについての認識が、私としてはこの文章からよくわからない。そこら辺をどう判断したらいいのかということが第1点です。

第2点としては、消費税については、そういった意味では明らかに2桁までいく必要があるということを書いてあるわけですね。私が読んだ本によりますと、EUの場合には、EUの税制の統一ということもありまして、15%ないし20%がガイドラインとして決められているということのようですが、EUはどのような税制の中でああいう考え方、15%ないし20%というのをガイドラインとして決めているのか。もしそうだとすると、そういったことについての考え方について、私も理解をしたいので、教えていただきたいということが2点目です。

3点目は、直間比率ということが前にはよく議論されましたけれども、今、所得課税と消費課税について、直間比率というものを、日本の税制の場合、今後どう考えていくのかということについて、先ほど質問したことと関連することですけれども、必ずしも明確になっていない。

私は対話集会の結果というのを非常に興味深く拝察をしたのですが、あれからいきますと、圧倒的に、今後国民負担が増えるとすれば、消費税負担でいくべきだ、広く・薄く負担する方向へいくべきではないかということが出ていたわけですね。EUなどの考え方からしても、おそらくそういうことになっていくほうが、国民の理解が得られやすいのではないかという感じがするわけですが、その場合、当然、逆進性ということが問題になるわけですね。

そうなると、ひるがえって所得税について、今、課税ベースを広げるということだけが議論されていますが、高額所得者に対して、一定の負担をより求めていく、累進性を高めるということになるのかもしれませんが、そういうことをバランスとして考えていく必要があるのではないか。このことも先進国からいうと、高額所得課税は活性化のためにどんどん下げていくということで、過去10年ぐらいの日本の税制でも累進性を薄めてきているわけですが、そこら辺の考え方が日本の税制としてバランスをとる上で何か考えていく必要があるのではないかというのを、個人的な感じとして持つのですが、そういった点についての考え方を教えていただければありがたいと思います。

委員

これこそまさに今後の税調の大きなテーマだと思いますから、秋以降の新しい税調の中でこれを議論すべきだと思っています。

ただ、今言っておりますのは、所得税・消費税を基幹税とするときの所得税は、6.1%という対国民所得比、これを例えば8にするのか、10にするのかという数量的な目標を今立ててはおりませんが、今、どんどん空洞化して穴があいているところを埋めていけば、その見返りで基礎控除を増やしたり、扶養控除を増やすというもう一方のことはあるにしても、ネットで所得税の世界で税収中立という意味では多分ない。おそらくこれは将来的には所得税を基幹税ということは、定率減税の問題もありますけれども、高めていく方向で、とりあえず穴をふさいで、本来の所得税に戻していけば、あと課税ベースが広がっていれば、自動的に税収になってきますから、それはこれからじっくり見ていこうという形で、次なる目標として6.1%をどうするかという議論をしたほうがいいと思います。

それから、累進税率の復活の問題は、逆の人もいます。もっとフラット化しろという話もあって難しいのですけれども、これも今の段階でここでは触れておりません。ということは、消費税の逆進性の問題は、累進税率だけではできない。おそらく歳出面の問題もあるし、あるいは資産面での再分配もあるでしょうから。ただ、今ほどほどのところに累進課税が来ているのではないかというのがおそらく全体の動きだと思いますので、今回これについては、再度、将来の方向は議論すべきだと思います。

消費税率が15%か20%になる。これはEU本部のディレクトリーで出ている通達ですが、これは何だったら事務局からご説明いただきますが、おそらくEUという大きな経済圏ができたとき、各国がバラバラの消費税では困るんですね。ボーダー・タックス・アジャストメントという意味から。そこで、少なくとも税率ぐらいはあるゾーンに合わせましょうよと。そこから出てきた発想だと思います。ゼロ税率を使うなという指令も出ていますね。そういう意味で15%というのが一応の指示であって、そんな低いのはいけないよという趣旨は、タックス・コーディネーションという概念だと思います。

直間比率は、最近は使われませんね。ややアウト・オブ・デイトになりましたね。というのは、直間比率は実現しちゃっているんですよね。結果としては所得税、法人税がどんどん下がっちゃったから。直間比率のオリジナルな意味は、消費税を高めようということだったんですよね。それは自動的に片一方が下がって高まっちゃったから、今や死語なんですね。直間比率の見直しというのは、インプリシットというか、暗黙のうちに消費税を上げましょうという趣旨だったんですね。ところが、片一方が落っこちてしまったからという意味で、今後新しい意味で直間比率を見直しましょうということがあるかと思いきや、もう消費税率は2桁にしましょうという話になっちゃったから、もともとのオリジナルな意味は、もっと直截的な議論になったということだと思います。そういう意味で、逆進性云々の議論はこれからまだ続く話だと思っています。お答えになっているかどうかわかりませんが。

消費税率は、何かありますか。

事務局

70年代の末ごろだったと思いますが、ECCでディレクトリーが出まして、域内における経済の動き、これは共通のものであるということで、消費税というのは、どうしても転々流転する課税なものですから、15%という一定の基準を設ける。このようになっております。

委員

どうぞ。

委員

消費税のことについて、答申案の本文と「主な意見」の両方にかかわって発言いたします。

消費税率を将来2桁にするということに賛同しかねるというのは、極めて少数だったものですから、本文ではないほうに盛り込まれたというふうに理解はしております。

ただ、前回も発言しましたけれども、2桁になったらば食料品等に対する軽減税率の採用の是非が検討課題となるという本文がありまして、「主な意見」のところにも、やはり2桁税率になった場合でも、制度の簡素化の観点から単一税率という言い方をしておりますけれども、2桁になるまでは軽減税率ということは考えないというのは、やはりいかがなものか。これは以前から発言していることですので、「主な意見」のところに入れていただけないかということです。

ちょっと参考までに申し上げますけど、ちょうど1週間前の税調が終わって帰りましたときに、大阪の消費者団体で毎月1回消費税の税率アップ反対の署名活動をしているグループがあるのですが、大体1ヵ月に1回で、あと何ヵ月かまとめて、上京されて、国会活動をしておられるグループが、今税調でどういう議論になっていますかということを尋ねてこられて、先週は持って帰れませんでしたけれども、議論の内容と、きょう置いて帰ってきた案文は大体こういうことになっているということをお話ししました。そうしましたら、署名活動で最近特に高齢者の署名が増えてきたと言われます。そして、「せめて食料品だけ消費税がかからなければ助かるんだけどね」という発言が最近特に増えてきたと。それだけ機会があったらぜひ発言しておいてほしいということを言われました。

そこのところは、2桁になるまでは一切考えないよと、単一税率の簡素化が大事なのだということで切って捨てるのは、ちょっと乱暴ではないかなという気がしますので、お願いしておきたいと思います。

委員

委員のご発想だと、2桁以前というのは、現在もということですか。5%の段階でも、3%ぐらいに軽減税率を入れろと、こういうご主張ですか。つまり5%から10%にいったら一挙に2桁になって、5%を残すというのはそういう判断でしょう。8%とか7%があったときに、委員の議論は生きてくるということですよ。どういうご主張ですか。

委員

今、5%ということで来てしまっておりますけれども、やはり5%の中であっても、食料品が軽減税率が取り入れられればという話は、3%から5%に上がるときからやはりありましたけれども、今現在5%というところで、ここから上がっていくときにどうなっていくのだろうという不安ないしは願いが非常に強いということです。

委員

正確に言うと、将来の消費税率引上げに際しては、軽減税率も考えるべきであるということですね。2桁云々とは別に。だから、5%から8%になったりすることも理論的にはあり得るわけだから、そういう趣旨でよろしゅうございますね。

委員

はい、そうです。

委員

では、それはご意見として、「主な意見」のほうに含めることにいたします。

どうぞ。

委員

本文に入れるのは難しいような感じなものですから言いませんが、1ページに「若者から高齢者までがともに支える税制」というのを1つ大きな柱として打ち出しているときに、消費税というのが、逆進性や何かは問題がありますけれども、若者、いわゆる現役世代だけではなくて、老人もともに支えるというような意味は非常に強いのではないかと思うのです。ですから、本文をいろいろ考えたのですが、難しいので、まさしく「主な意見」の3ページ、「ロ」で逆進性の問題というのを言ったあとぐらいに、「ハ」として、将来の社会保障制度を支える意味において、老人も若者もともに負担する税として、消費税というものは非常に有効なのではないかというような意見を入れておいたらと思うのです。

委員

ただ、これは消費税の中で、行間というか、全部につながっている発想ではないですか。あえてそこで言わなくても。

委員

むしろ消費税は、特に社会保障の財源としては重要であるよということを、逆進性をひっくり返す意味で。

委員

でも、7ページの一番下に、「消費税は極めて重要な税である」と書いてあるんですよ。

委員

重要な税という意味は、要するに老人も負担しますよと。現役世代だけではなくて、老人も負担するということで。

委員

あまり老人いじめはやめようということがあって、大分いじめのところは落っことしたんですよ。再度いじめますか。

要するに、本文に書いてあるのは「主な意見」に入れていませんから、委員のご意見は本文に入っている中身と判断すれば、何もこっちにあえてという気はしますけれども。

委員

もうちょっとはっきりと……。

それから、もう1つ、6ページの一番上のところ、「現下の年金制度改革に関しては」、これは非常に広範な議論なのですけれども、残念ながら、入り方としては、4ページの「年金課税等の見直し」の中に入っておるんですね。これはもうちょっと全体のところで書くべきではないか。私は個人的には、年金の給付制限などというよりは、実効的には年金控除に手をつけたほうがいいのだとは思うのですけれども、6ページの上の5行は非常に広範な観点での議論をしておるわけなので、「年金課税等」の中に押し込めておくべきものではないのではないか。

委員

そういうご意見のほかに、これもまた、非常に今やいろいろな意味で複雑怪奇な展望を示して、我々は火中の栗を拾いにいかない。さりげなく参加しておこうと。三位一体論のところと環境のところと、そういう知恵があって、「等」を最終的には入れたのですが、ぎらつかせますか。ちょっと背景をご説明しますけれども。このぐらいに収めさせていただくほうが穏当ではないかと思いますけれども。

委員

8ページの消費税の逆進性のところですけれども、2行目です。逆進性の問題についての説明ということで読むと、消費税という一税目のみを取り上げて云々というのは適当でないという趣旨は、すっと入らないような気がするのです。それで見ていましたら、盛り込まれなかった主な意見の中の3ページのロです。これは消費を租税負担能力の尺度と考えるという新しい見解、そのことのほうがむしろ説得力があるのではないか。答えとしては違うのですか。

委員

これは前からある委員もおっしゃって、僕もそういう議論をしたことがございますけれども、やはり世の中は所得が基準なんですよ。税負担は消費よりは。だから、それは議論としてありますから、両方書くわけにいきませんから、片一方取るということで、こっちの伝統的な物差しはまだ僕は覆っていないと思うのです。この中の議論も、多分。それでこっちに入れていた。

それから、3行目の「消費税という一税目のみ」というところはすっきりしないというけど、これは累進税率とか相続税とかそういう話ですよね。それから歳出面とか。これまた十何年来ここで言っている話です。でも、これをさらにどこか修文等々具体的にご提案があれば。ただ、消費をベースにするということは、まだここの中の市民権は僕はないと思いますね。

委員

僕は大体この辺でまとめていいのではないかと思うのです。いろいろ対立する意見があって、大変な苦労があったと思うけれども、さりげなくよくまとまっているような気がしますので、ぼちぼちお任せしたらいいのではないかと。

委員

長老から非常に建設的な発言が出ましたけれども、よろしゅうございますか。もう大分議論も出尽くしたように思いますので。

委員

すみません、一言いいですか。

委員

来たからには何か言わなければいけないですね。どうぞ。

委員

一言。前回の総会でちょっと質問をさせていただいて、国境を超えた三角合併問題について、事務局で解説をいただきたいということで、今日は総会ですが、起草会合で実は非常に懇切なご説明をいただいたのです。そのことを総会の皆様にご理解いただきたいと思います。

いささかテクニカルな議論ではあったのですが、大変懇切な説明をいただきました。親会社の株式を使って合併というようなことを国境を超えてやるということは、対日投資を進める、あるいは国際相互投資交流を進める上で非常に重要で、欧米諸国はかなりの程度それを実現するために、ディファード・タックスというような制度を導入しているわけですけれども、ディファード・タックスを導入できるかどうかというのは、かなり理論的な問題もありますし、技術的な問題もあるので、いい説明をいただきました。

ただ、今回の答申の中でも抽象的にそういうことを書いてくださっていて、ちょっと総会の皆様に一言申し上げておきたいのですが、12ページの25行目から13ページの前段に当たって、様々な形で書き込んでいただいています。そういうところにそれが踏まえられている。

それから、3日前ですか、新聞で報道されましたけれども、日米租税条約、あれは大改正なんですね。そういう方向でどうも頑張ってくださっているらしいので、ひとつぜひよろしくお願いしたいということと、大変事務局が前向きに説明してくださったということを、総会の皆様に申し上げたいと思います。

委員

委員の努力を無にしないために、ここで一生懸命書き込んだんですよ。

委員

私というよりも、総理大臣の投資倍増計画に基づいているわけです。

委員

わかりました。

もっともっと入れる項目もあるのですけれども、あまりごちゃ混ぜになってもすっきりしませんので、極力すっきりという意味で、ほかの付随的なものをかなり落としましたので、委員のご意見のようなものはさりげなく入れた程度で済まさせていただきました。

それでは、全体の表題をどうするかまだお諮りしていないのですが、一応、会長代理と私の間では、「少子・高齢社会における税制のあり方」というようなタイトルでやりたいと思っています。少子・高齢化以外のところにもいくつかはくっついておりますが、やはりメインは少子・高齢化でございますから、そういうタイトルでやりたいと思いますが、何かこれについて、もっといい表題があればお聞かせいただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。

(「異議なし」の声あり)

「異議なし」という声が出てしまったから、もう異議がないことにしましょう。

それでは、あとの取扱い方でございますが、17日に10時から総会を開きまして、もう1回修文をしたのを読み上げさせていただきます。そこで確認をしていただいたものを、その後首相のところに持っていってお渡ししてきたいと考えております。したがいまして、今日ここでいろいろなご議論をいただきましたニュアンス等々の書きっぷりは、私と会長代理にご一任いただいてよろしゅうございますね。

(「異議なし」の声あり)

ありがとうございます。

当然、この「主な意見」のほうも、別冊にはなりますが、小泉首相に渡したいと考えております。

次回は1時間もみればいいと思いますので、10時から11時という時間帯を設定しております。今度の税調委員の任期の最後の総会になるかもしれませんので、ぜひお出かけください。

それでは、しつこく申し上げますが、渡す前にあまり全文が出ますと、小泉さんに怒られてしまいますから、これは返却という形で机の上にお残しください。

では、どうも今日はありがとうございました。

〔閉会〕

(注)

本議事録は毎回の総会後、速やかな公表に努め、限られえた時間内にとりまとめるため速記録から、財務省主税局及び総務省自治税務局の文責において作成した資料です。

内容には正確を期していますが、税制調査会議事規則に基づき、事後の修正の可能性かあることをご承知置きください。