総会(第33回)後の石会長記者会見の模様
日時:平成14年10月18日(金)16:35~16:47
〇石会長
今日は、細かく内容を説明する必要は全然ないと思いますので、私が座長をしていて取りまとめた感想を3つ、4つ申し上げた後ご質問に答えるという格好にいたしたいと思います。
今日、ある意味では、次回の総会に出します、言うなればアウトライン的なものを作りたいと、その下準備的な要素もあるものですから、問題なく大体基本的な方向がさっと出てきたということ。それから、幾つか相対する意見が半ばしたという議論もあります。
これから議論を詰めていこうと思いますが、難しそうだと思っているのは外形。これは、これまでの累次の税調の報告書では一応、早急に導入ということが書いてございますが、景気がこれだけ悪くなった、景気との関係で導入が早急にはできないだろうというこについては、かなり説得力は出てきたかなと思いますが、ただ段階的に入れようと言っていますので、その辺のこれからの調整は必要かと思っています。
それから、生前贈与につきまして、幾つか議論がございましたけれども、これは基本的に我々みんなの中で共有の財産として、これはしっかり制度を作って、これから導入に向けたらということだろうと思っています。これが2つ目ですね。
3つ目は、やっぱり今の現下の株式市場の問題もあるし、金融市場の問題もあるし、デフレ的傾向もあるでしょう。土地と証券、ここに皆さんの関心は集まってきているなと、このように思います。土地については、登録免許税と、それから不動産取得税、2つ具体的に挙がっておりますが、何らかの形での見直しということがあるだろうということは避けられないかなという感じは持っております。これがどれだけの効果があるかどうかわかりませんが、期待が高まってきたという以上、それは議論としてはあり得るだろうと思います。
それから、証券については、経済界の方から、お三方だったかな、株式譲渡益課税非課税等々出ましたがこれは基礎小に持ちかえってちょっと議論をしたいと思いますが、短期的に何か効果は多分あるんだろうとは思いますが、これでもって今の株式市場のかさ上げができるかどうか、やはり基本的に問題だし、税の議論からいうと、これは偉大なるという言い方はおかしいな、非常な不公平税制をさらに導入するということですから、これはそう簡単には議論はしにくいだろうと思います。長い目で見て、金融所得課税の一元化ということは奥本さんも推進しておられました。ただ申告というものについて、全く避けたいというような金融所得課税一元化というのは難しかろうと思いますので、基本的には株式でそれだけ投資をしたら、そのリターンに対してはちゃんと申告し、ロスについては面倒を見てもらうといったようなリスクのとり方をしっかりでき、それがやはり基本的な姿勢であり、申告に対応してもらうということ以外にはあり得ないのではないかと、このように考えています。
あとの段取りは大体もう先が見えてきたんですが、残った酒、たばこ、エネルギー関係、その他国際的な問題、税務行政上幾つかある問題は、次の22日だったかな、基礎小で一応粗ごなしにというか、大体議論いたします。
これでパーツがすべて一応議論ができますので、それを文章化する前段の審議では、ボキボキといいますか、そういうようなある程度のアウトラインをまとめたようなものから議論を初めて、起草に持っていきたいと考えています。29日に総会を開きますので、そこから、そこでご承認をいただいた先の作業として、そういった基礎を答申文の作成に当てて、来月中旬を一応めどに来年度税制改正のある方向を出したいと考えております。その中で、やはり当然のこと、中長期的なあるべき姿というものをスタンスに置いて、来年度税制改正もコンシステントに、一貫性を持って議論を整理したいとは考えています。
そんなところですね。あと、総会で皆さんお聞きのとおりだと思いますから。
以上です。
〇記者
最初に数点伺いますが、冒頭でワーキンググループのお話があったんですが、ご紹介いただけますか。
〇石会長
ワーキンググループは、例のNPOとかそういった非営利法人関係の課税をやろうという意味で、正式には「非営利法人課税ワーキンググループ」というのを基礎問題小委員会の下に作りたいと考えております。
これは、今、外側といっては何ですが、内閣官房で行政改革推進事務局あたりで中間法人、NPO、さまざまな新しい形態の法人の、これは公益法人という大きなくくりの中ですが、議論しておりますので、その税制問題というのが浮上してまいりました。恐らく、寄附金税制等々もここで議論したいと考えておりますので、これは来年3月末までに一応公益法人制度等改革大綱というのが閣議決定されるようなので、その中において、税の問題も恐らく出てきますので、したがって、短期決戦的な意味合いを持ってくると思いますが11月、あるいは1月からこの議論を始めて、それに間に合わせたいと考えています。
〇記者
これは、主に公益法人課税の問題とNPO課税の問題で、NPOには当然寄附金も絡んでくると、そういう理解でよろしいんでしょうか。
〇石会長
そう理解してください。
〇記者
関連して、いわゆる新しい導管とかございますね。あの辺も…。
〇石会長
それも考えます。始めます。やっぱり、個人と法人の間にある法人と称するものの課税のあり方というのは、各国で非常に難しい、今導管とおっしゃいましたけど、アメリカは導管的な問題で個人にしていますようにね。そういう意味で、日本は法人成りや、その間にさまざまなタイプの個人、法人ちょうど両相兼ね備えたような形態もありますから、それは一応整理したいと考えています。
〇記者
それは、もう少し先の法人の課税の問題とも絡んでくるということですか。
〇石会長
公益法人だけではない、非営利法人の世界ですね。おっしゃるとおり。
〇記者
それと、今日の総会でも、土地税制の関係では、固定資産税の部分にある程度議論が集中したかと思うんですが、これは先ほど会長の方からは、登免税と不動産取得税についての言及はあったんですけれども、固定資産税については政府税調の場で何か見直しに向けた議論というようなことは行われるんでしょうか。
〇石会長
固定資産税は、ご存じのように、来年3年ごとの見直しがあって、固定資産税については、地価が下がるのになぜ税負担が上がるのか、根強い不満があって、税収の上がり具合を見ても、淡々と経済が不振にかかわらず税収は確保されているんですね、固定資産税というのはね。それはひとえに今から何年前かな、10年近く前に地価税創設のとき地価公示7割という形で固定資産税評価額を決めたときから端を発しているわけでありまして、10数年かけて7割に持っていこうという作業をやっていますから、景気変動等々関係なく、
地価と関係なくそう仕組んじゃっているわけですね。ところが、今、そういう想定が全く狂っているわけで変更したわけでありまして、その辺の少し見直しがあろうかというのが今日は委員からも出てきておりますので、地価が下がったときの調整の過程において、何
か新しい仕組みができないかどうか、これから議論もあろうかと思います。
それから、宅地について、あるいは商業地について土地についてはそれなりの議論をしていますが、やはり建物、家屋、償却資産、これについては新しい認識というか、問題意識も持っておりますので、基礎問題でその辺少し書き込めることがある、あるいは従来と
違った方法で評価見直しをするということがあるということは少しというか、議論してみたいと思います。
〇記者
もう1点、関連で、登免税にしても、不動産取得税にしても、見直しの方向というのは出ていると思うんですが、11月中旬の答申ということを考えますと、やや新しい制度の方向性をしっかり基礎小の中で出すとか、そういった意味での時間は足りないような気もするんですが…。
〇石会長
今言った2点について見直しというのは、これはあれですよね。税負担を軽減するということの見直しだよね。それについては、いろんな資料を出したり等々その議論がね、これまで結構議論もしておりますからそんなに難しくないと思いますけどね、時間的にはね。
〇記者
総会の中で、会長のご発言の確認なんですが、相続贈与のところで、現行の贈与税の引下げもあり得るというようなことを会長はおっしゃったかと思うんですが、これはどういう意味ですか。
〇石会長
贈与税率ですね。相続税の方は最高税率を下げるとも言っておりますし、そうなると全体のスキームが変わってきたときね、相続税と贈与税というのはやっぱり関係があるような、ないような、ですけど、一応一体化して考えていますからね。贈与税率が非常に高いという不満があるのは事実でありますから、相続税を見直すときには当然それも射程距離に入ってくるだろうという意味で申し上げました。ただ、贈与税率が、最後の仕上がりがどうなるか、ちょっとみんなと議論してみなきゃわかりません。つまり、110万円の基礎控除プラス厳しい贈与税率というスキームがかたやあって、今度は全く新しいスキームを作るわけですね。累積相続時精算等々、その新しいスキームを作るということとの絡みにおいて古い方を見直すかどうか、これも議論があると思いますけど、相続税を見直すということがもう、税率を見直すことが既定の路線でありますから、当然議論も来ると思いますから、私は個人的にそれは見直すという形で考えていいと思います。
〇記者
その場合は、相続税は最高税率の引下げというふうになっているんですが、贈与税の場合も一番高いところを下げるというニュアンスなのか、それとも全体としてブラケットを触ってというイメージがあるのか…
〇石会長
贈与税率は、随分長いこといじっていませんよね。そういう意味で、少し全体を見渡してみたいと思いますが、ただまだこれは本格的に議論していませんので今の段階で具体的にどうするか。つまり、最高税率を下げるのか、ブラケットをいじくるのかということはちょっと具体的にまだお答えする段階にないと思います。
(以上)