第39回総会 議事録

平成15年3月18日開催

石会長

お待たせしました。それでは、時間になりましたので、総会、39回目になりますが、開催いたしたいと思います。

議事予定につきましては、お手元に既に配られたとおり、2つの案件をご報告したいと思います。1つは、基礎問題小委員会でやりました状況報告、それから非営利法人課税ワーキンググループの報告、この2つを軸にいたしまして、総会の皆様からいろいろご意見を伺いたいと、このように考えております。

その前に、この税調は税制全般に対しまして、いろいろ郵便なり電子メールなりで意見を募集いたしております。そこで、入り口にいつも置いておるのですが、あまりお目通しをいただいてないようなので、今日は回覧しようと思ってますから、分厚いものが回っているかもしれませんが、付箋が張ってある等々のところがご覧いただくに適したページかと思いますので、ぜひご覧いただきたいと思います。

昨年の8月から2月まで、半年間で約3,100件来ております。主として課税最低限の引下げ、消費税の引上げ、それから消費税の中小特例の見直しに対して反対ということで、どうもかなり組織的な動きが目立っているというようなことでございます。そのほか、たばこ税等の税率引上げに反対とか、道路特会の見直し反対とか、反対一色のようでありますが、そういうものが来ておりますので、回っていった先でちょっとご覧いただけたらと思います。

それでは、今、少子高齢化と、あるいは社会保障と税制という形で、基礎問題小委員会、大分話が進んでおります。それにつきまして、過去2回ほど行いました議論につきまして、私のほうからまずご説明をいたしたいと思います。

お手元に2つ資料がいっているかと思います。2つというか3つというか。つまり、国立社会保障・人口問題研究所の阿藤所長、それから慶応大学の清家教授、お二人から、実は1回ずつご意見を伺いました。これは大変参考になるお話を聞いたと思いますので、概略ご説明をいたしたいと思います。

まず、2月4日でございましたが、阿藤所長に来ていただきまして、「超高齢・人口減少社会の到来とその諸問題」ということに関しまして、これから来る、来るべき超高齢化社会の実態につきまして学んでまいりました。資料が統計編と一緒についていると思いますので、後ほどお時間がありましたらお目通しください。特に阿藤さんの資料は最近の人口推計に基づいて行われておりますので、一番新しい情報を入手できるかと思っております。

議論は、まだまだ高齢化が進んで、21世紀前半においては超高齢化社会になるだろうと言っております。今世界最長の長寿国でございますが、さらにまだまだ人生、余命が伸びて、2050年には女性は90年、男性でも80年と、まだ平均寿命は伸びるそうでありまして、まだまだ我々大変だなあという感じがいたしますが、そういう長生きをすると。それに比べて例の出生率がえらく落ちるという2つのことがありまして、長寿化、高齢化社会になるだろうと。

それからもう一つ大きな理由は、未婚化、晩婚化、最近、晩産化という話があるようでありまして、これは別に「最後の晩餐」の「晩餐」ではなくて、遅く産まれるという意味の晩産化でありますが、これによって出生率が非常に低くなっていると。そういう意味で、今後どうしようかということが大きな話題になるというご判断をいただきました。

それで生産年齢人口が、高齢化が進んでどんどん減るわけでありますから、当然のこと、マクロ的に見た経済の成長にはよくない。そういう意味では、おそらく労働力は減るであろうし、それから貯蓄量も減るだろうという意味において、今後、悲観的な見通しが大体多いのでありますが、あえて楽観論をいえば、人口過密問題が緩和するのではないかとか、人口が減ることによってエネルギーの消費が減って、言うなれば環境保全に寄与するのではないか、等々あるというお話がございましたが、何といっても、高齢化、少子化、これにニーズが偏った形になりますので、これから大きな構造変化が起こるだろうというお話をいただきました。

そういうわけで、これから例えば年金を完全な賦課方式で、そういう形で支えようとすると、やはり若者の負担が非常に大きくなって、それについてどう考えたらいいか、これが大きな問題であるという問題提起をいただきました。その辺の資料を踏まえたご議論があり、随分膨大な人口関係の資料が出ておりますので、ぜひお目通しをいただきたい。

絶えず人口推計というのは、たしか5年おきにやるのですが、悲観的なほうに悲観的なほうにいくのですね。逆にいえば、その時々には楽観的な推計をするのですが、その後になると、一番低位推計のほうにいってしまうと、こういう格好になっておるということが現実であります。

それから清家さんの報告も、これは非常に興味があったのですが、清家さんはどちらかというと少子化ではなくて高齢化に焦点をあわせたお話をしてくださいました。清家さんの資料も出ていると思いますが、キーワードは「生涯現役社会」という形でありまして、要は、働く意欲があり能力がある人は引退しないで大いに働いたらいいではないかと。したがって、定年制などを設けるのは反対だという主張ですよね。これからは高齢化社会を、仮に年金とか介護とか医療とかいうもので支えつつ生かそうとすると、どうしても給付を削減するか負担を上げるか、2つしかないのだけれども、働き手を増やすという意味において生涯現役にすれば、言うならば給付される側が拠出に回るのだから、そのほうがいいのではないかというあたりがポイントでございまして、いろいろデータを見ますと、日本の高齢者、非常に就業意欲が高いのですね。高いうちにそういう現役社会の仕組みをつくってあげたほうがいいだろうというのが清家さんの一番のご主張であったと思います。

したがって、そういう現役として生きる社会にとって税制がマイナスになるような格好のものは一番いけないのではないかと、それから年金というものもマイナスになるようではいけないのではないかというのがご主張であります。

それから、端的にいえば、退職金課税などというものは、言うなれば給与の後払いが退職金でありますが、それが過度に優遇されているので、年功賃金制度の改定の動きを阻止するとか、あるいは年金も賃金の後払いでありますから、過度に年金に甘いのはやはり問題ではないか。要するに、拠出、運用時、支給のところも今ほとんど課税が行われてませんので、それは課税するほうがいいであろうというご主張ですね。

そういう税のほうの問題もさることながら、やはりこれからは、これだけ高齢化が進みますと旧来の賃金体系ではとても対応できないだろうと。どういうことかといいますと、男性の一家の稼ぎ手が子ども2人に奥さん、合計4人を支えるために、言うならば企業は賃金払ってますね。それはおそらくもたないので、これからは奥さんが働く、あるいは子どもたちも18歳になったら独立するとかいう形の体系にして、みんな現役社会を生き抜いたらいいではないかという、言われてみればそうかなと思いますが、なかなかしんどい社会になるのかなと思いつつ聞いたことを記憶しております。まあそういうご提案もあったということですね。

したがって、年金の課税の問題、年金そのものの問題、それから退職金の問題、それから相続税、これをどうするかというご提案もございました。機会の平等という視点から見ては、やはり相続税等々重くすべきであるというご主張が背後にあったように覚えております。

やはりこれから乗り切ろうとしたとき一番難しいのは、今まで年功序列的に、あるいは年をとるに従って賃金もポストも上がるという仕組みを日本はすぐ変えられるかということですね。これがおそらく一番難しいのではないかということと、それからエイジズムですね。言うなら年齢主義というものをやはり急には日本の社会はカルチャーとして変えられないのではないかということになりますと、かなり生涯現役社会というものは難しかろうということも出てくるわけですね。

それに対して委員の中からは、そうは言ったって、あまり年寄りに生涯現役なんていってのさばられると、若者の出る場所を奪うからよくないのではないかという議論があったりしまして、かなり活発にいろいろな議論をし、お互いに得るところがあったと考えております。

というわけで、少子化のほうは阿藤さん、それから高齢化のほうは清家さんのほうから積極的なご意見をいただきまして、ここにいただいたような資料をもってあるイメージを描いたわけでございます。

そういうわけで、今度は基礎問題小委員会は、これから少子高齢化と税制はこのまままたいろいろな形で進めたいと思いますが、そのほかに環境問題と税制、特に環境税の問題も、京都議定書の締結、メカニズムに関連して起きてきますし、それから国と地方の税源配分のあり方も議論になると思いますので、そういうものを少しというか大いに入れて、4月以降は頻度も多くして、基礎問題小委員会、これから続けていきたいと、このように考えております。

これが大体基礎問題小委員会で行いました議論でございますが、ただ、従来からこの問題はかなり税調でも取り扱っておりますので、過去の税調の議論を整理していただくということも事務局にお願いいたしましたので、これを今からさっと永長調査課長のほうからご説明いただこうかと思います。

じゃ永長さん、ちょっとご説明ください。

永長調査課長

お手元の横紙になってございます、「少子高齢化・社会保障に関わる税制調査会の主な考え方」と数ページにわたっておりますが、会長のご指示でまとめたものでございます。去年の6月頂戴いたしました「あるべき税制の構築に向けた基本方針」、その骨格がこの1ページ目に書いてございます。「経済社会の構造変化」といろいろ並んでおりますが、その中の一番最初に出てくる言葉として、「少子高齢化」という言葉が出てまいります。

この構造変化、これをどう税制としてとらまえるかということで、「あるべき税制」というキーフレーズでございますが、こうした構造変化に的確に対応し、あるべき税制を構築する必要がある。

その視点ということで、4点頂戴しております。1つ目が、「個人や企業の自由な選択を妨げず経済活動に中立で歪みのない税制を基本とする」。その次が、「構造変化」という言葉も入っているフレーズでございます。「経済社会の構造変化に対応しきれず、税負担の歪みや不公平感を生じさせている税制上の諸措置の適正化を図り、納税者にわかりやすい簡素な税制を構築する」。3つ目、「国民の将来不安を払拭するため、安定的な歳入構造を構築する」。そして4つ目の視点として、「地方分権の推進と地方税の充実確保を図る」。こういうあるべき税制の構築を行い、目的とするところは「持続的な経済社会の活性化」。

これが頂戴いたしました「基本方針」の大きな骨格でございます。

次のページ、おめくりいただきますと、この少子高齢化、さらに社会保障という言葉が出てくるところを原文のまま引用したものがこの後数行にわたる部分でございます。この左に「課税の適正化・簡素化」からずっと並んでおりますが、こういったテーマが今後ご審議いただく際の論点のようなものになろうかと思います。それぞれにつきまして、去年の6月、どのような答申を出していただいたかということで、原文を忠実に引いておるわけでございます。

「課税の適正化・簡素化」ということでは、「少子高齢化などさまざまな構造変化に対応しきれず」と、先ほど申し上げたことを書いてございまして、その次に国民の税制への信頼、社会参画への意欲を失わせ、社会の活力を低下させてはいかんと。「社会共通の費用を国民皆が広く公平に分かち合うという観点から、こうした措置の適正化を図っていく必要がある」。基本的な考え方がございます。

「安定的な歳入構造の構築」。ここにも「少子高齢化」という言葉が入っておりまして、2行目あたりでございます。「少子高齢化の進展に伴い、今後、年金・医療給付などの増大は避けがたいと見込まれる。他方」ということで租税負担率の話がございまして、「このような状況は、財政の持続可能性に対する懸念を通じて国民の将来不安を招く一因ともなっている」と、このように書いております。

この後、各税に移るわけでございます。まず「個人所得課税」でございます。「わが国の個人所得課税は」ということで現状について触れていただいた後、5行目になります。「同時に」ということで、「少子高齢化など経済社会の構造変化の中で、税負担に歪みが生じている面があればこれを是正するとともに、根強い『不公平感』にも対処していかなければならない」。

こういう基本的な考え方のもとに、各論的になりますが、2つ目の●、特定扶養控除、老人扶養控除等のさまざまな割増・加算措置、それから特別な人的控除、これは「廃止を含め、制度をできるかぎり簡素化すべきと考える」と。このように頂戴しております。

次の3つ目の●でございますが、老年者控除。これは65歳以上の方、年間所得1,000万円までの方でございますが、所得税で50万、法人住民税で48万、控除をポンと乗っけているものがございます。この老年者控除については、「その適用所得要件――先ほど申し上げた年間所得1,000万でございますが――を見直すなど、真に配慮すべき高齢者に対する控除としての位置づけを明確にすべきである」。

次のページ、おめくりいただきます。公的年金等控除についてはこのように頂戴しております。「公的年金等控除については、――その下に●がございますが、――社会保険料控除がある以上、本来不要とも考えられる。しかし、当面、少なくとも世代間の公平を図る観点から、定額控除の割増――実は定額控除、65歳未満が50万、65歳以上が100万円となっているわけですが――と老年者控除との関係を整理するなど、大幅に縮減する方向で検討する必要がある」。

こういう各制度につきましては、4月以降ご説明申し上げる機会があろうかと思いますが、この公的年金等控除、簡単に申しますと、63年分所得から適用になりまして、それまでは年金所得、これは一定の定額控除をいたしました後、給与所得に合算して、一緒にして給与所得控除の対象になっておったのです。それを昭和63年分所得から、いわゆる給与所得から切り離しまして、雑所得というふうにいたしました。そのかわり、給与所得控除の対象から外れると同時に、この公的年金等控除というものを新しく作ったわけでございます。

以前は、この給与所得控除の対象、1本であったわけでございますが、現在は他に給与所得があられる方は別途給与所得控除もある。それから年金所得、収入についてはこの公的年金等控除もある。こういうふうになっておるわけでございます。公的年金等控除については、「大幅に縮減する方向で検討する必要がある」と、このように頂戴しております。

次の●「社会保険料控除――これはいわゆる保険料を払った、掛けた段階での控除でございます――等については、年金制度が多様化し、任意性の強い拠出も見られてきているので、その対象範囲を吟味していかなければならない」。

その次の●、退職金課税でございます。「就労や退職金支給の実態を踏まえつつ、税負担の公平・中立を確保するよう見直す必要がある」。退職金につきましては、いわゆる退職所得控除というものがございます。その控除をした後2分の1でかけるという制度になっておるわけでございます。この控除が勤続20年までが1年当たり40万、それを超える分については70万というふうな掛け算になっておりまして、長く働けば働くほど、この控除がたくさん効くという制度になっております。

それから個人住民税につきまして、最後の●ですが、「負担分任の性格を有するとともに、地方公共団体が少子高齢化に伴い提供する福祉等の対人サービスなどの受益に対する負担として、対応関係が明確に認識できるものであり、……地方税の基幹税として充実確保を図る必要がある」となっております。

個人所得課税、以上でございまして、次に「消費税」でございます。「消費税は」ということで、「少子高齢化社会において、勤労世代に過度の負担を求めず、経済活動に対し中立的である等の性格から、世代間の公平の確保、経済社会の活力の発揮、安定的な歳入構造の確保のため極めて重要な税である。社会保障支出の増大や財政構造改革を展望すれば、今後、税率を引き上げ、消費税の役割を高めていく必要がある」。

その次の●が「地方消費税の充実確保を図っていく必要がある」と、このように頂戴しております。

その次に資産関係でございますが、「相続税・贈与税」。[1]として、「経済のストック化の進展により、今後、相続による資産移転の増加が見込まれる」[2]として、「社会保障の充実」[3]、「高齢化の進展により、相続による財産取得が相続人のライフスタイルのより後半にシフトしていく結果」ということで、今回の15年度税制改正において対応した例の一体化の措置の基本的な考え方もここで頂戴しております。最後の行、「従来より広い範囲で適切な税負担を求める必要がある」となっております。

「金融税制」につきましては、「金融資産からの所得に対する課税については、経済のストック化――先ほど[1]で出てまいりましたが――を進展する一方、少子高齢化に伴い勤労性所得の相対的減少が見込まれており、今後より重要性を高めることとなる」と記されております。

以上が昨年の6月の「基本方針」でございます。昨年の6月の「基本方針」においては触れられていなかった論点として、次のページ、(参考)ということで、3年前、平成12年7月に頂戴いたしました「わが国税制の現状の課題」という分厚い答申でございますが、その中で「税と社会保障」というチャプターがございまして、そこから抜き書きをしてございます。

最初の4つは、いわゆる税と社会保険料の関係についての記述を頂戴しております。1つ目の●「社会保障制度は」ということで、「国民に生涯健やかで安心できる生活を保障するため、国民の生活の安定が損なわれた場合に生活を支える給付を行うものです。生活上の不安を取り除くための方策は、自助、共助、公助と区分することができますが、社会保障制度は、年金・医療といった共助を中心とする分野と生活保護などの公助の分野とを含んでいます。社会保障給付は多かれ少なかれ、租税によっても賄われています。公助については基本的には租税で賄われ、共助については社会保険料を基本としつつ制度の安定的運営を確保する観点から租税も組み合わされています。これらの財源によって給付を行うことにより、社会保障制度は所得再分配を行っています」。これが一番基本的な考え方でございます。

2つ目の●で「租税と社会保険料とは」ということで、共通の性格もあるのですということで、「両者を合わせた負担の水準が国民負担率ということで捉えられています。このため、税制を検討する際には、社会保険料の負担をも勘案することが必要」であると、このようになっております。

その次が「社会保険料は」ということで、「自立した個人が社会連帯の精神を基礎として支え合うもので、給付を受けるために納付が求められるなど、給付と負担が強く関連づけられている点で、租税とは異なる性格を有しています」と。社会保険料の税との違いをこのように書いていただいております。

その次の●でございますが、「高齢化の進展に伴い、引き続き年金・医療・介護といった社会保障給付は大幅な増大が見込まれます。このことを踏まえ、社会保障の給付の水準やこれに見合う負担の水準についてどのような選択を行っていくのか」、社会保険料と租税の組み合わせといった点について、「国民的な議論が必要となります」と。

次の●、ページまたがりますが、これはいわゆる全額税方式というのが当時課題になっておりまして、それについてのご答申でございます。「社会保険制度は、『保険』という言葉が示すとおり、基本的には、加齢に伴う稼得能力の減退や疾病といった国民に共通するリスクに対し、各自があらかじめ保険料を負担しておき、実際に老齢になったり病気になったりした時に給付を行うことによって、そのリスクの分散を図る仕組みです。したがって、予防的性格が強く、自立した個人の自己責任を基礎とし、その社会連帯、相互扶助によって支え合うという考え方に――いわゆるこの社会保険制度というのが――適う制度です」と。その下の2行でございますが、「給付と負担の関係が明確で、給付における国民の権利性が明らかな仕組みといえます」と。また、「コスト意識に基づく制度改革インセンティブも期待できます」と。

「これに対し」ということで、次の●ですが、税だけを財源とする場合には、2行目、結果としての救済の性格、先ほどでいうと公助でございますが、「社会保障制度の性格は現行の『共助』から『公助』に変わることとなります。その場合には、給付の要件として負担の有無が問われませんので、負担能力の乏しい人も含め必要性に応じたより確実な保障を行い得るのではないかという指摘もあります。一方、一般財源による場合には、生活保障という政策目的に照らした給付の必要性が問われることや他の歳出分野との優先度の問題が生じることから、所得が少ないなど一定の要件に該当する人々のみを給付対象とする制度となる」と。いわゆる共助ではなくて、公助になってしまうというご議論でございます。

その次のテーマ、国民負担率でございます。先ほど申し上げたように、租税と社会保険料足したものが国民負担率でございますが、2行目、「国民負担率は長期的にはある程度上昇していかざるを得ないと見込まれています。一方、国民負担率が過重となることは、個人・企業の経済活力を阻害することとなりかねず、好ましくありません。このため、国民負担率の上昇を極力抑制していくことが必要です」となっております。

次に「消費税と社会保障」でございます。消費税といわゆる高齢化についてのかかわり合いは、去年の6月に、先ほどご説明申し上げました点について、答申をいただいておりますが、ここでは特に目的税化のお話が触れられております。ここは若干結論的に申しますと、4行目、いろいろな理由がありますことから、「消費税を福祉目的税とすることについては、慎重に検討すべきであるとの意見が多数ありました」。「他方」ということで、「検討に値する考え方であるとの意見」もある。また、パラグラフの4行目、「少なくとも社会保障経費については、将来世代に負担を先送りするのではなく、消費税の充実によって対応していくということでなければ、目的税化する意義は見出せないのではないか、といった意見もありました」。

このように頂戴しております。今後ご審議いただく際のある種出発点ということでございますが、この全般の、いわゆる各税についての少子高齢化に関連して設けられている諸措置についてのご論議のための資料、こういったものを今現在つくっておるところでございます。

以上でございます。

石会長

ありがとうございました。

前回、1月17日に総理官邸で小泉総理とお目にかかったときに、少子高齢化と税制というものが重要なテーマであるということを直々ご説明、あるいは指示を受けたわけであります。そこで、6月に、あるいは7月になるかもしれませんが、中期答申をまとめるに当たって、この少子高齢化と税制というのは非常に大きなテーマでございます。

そこで、今日あたりから総会の皆さんからもご意見を伺いつつ今後詰めていきたいと思って、事務局にお願いして、これまでの我々の答申、2回ございますが、これを少子高齢化という切り口から切って、税制全般の問題、かつ個別の税制について何が問題なのかというところを整理いたしました。

今日は、今から40分か45分ぐらい時間をとりまして、自由にこの問題についてご発言をいただきたいと思います。とりわけ所得税の控除の問題で、少子高齢化から見て幾つかの問題があるということは、公的年金等控除も踏まえ、すでに幾つかここに出ております。それから、やはり消費税についてはこれからどうしても高齢化と切り離しては議論できない。とりわけ、福祉目的税、是か非かなどという議論も、今ご説明いただいた平成14年では両論併記になっておりまして、なんかぐちゃぐちゃと言っているだけでありますが、我々としても、ある方向が打ち出せたら、この福祉目的税についても議論を固めていかなければならないという時期がいずれ来ますので、今から問題意識を持っていただいて、積極的にご自分の意見を開陳していただきたいと、このように考えております。

今、永長さんからご説明いただきました、幾つか項目が並んでおりますが、どこでも結構でございます。総体的な話でも結構ですし、個別のところでも結構でございますから、個別の税に関するところでも結構ですから、ご自由にご発言をいただきたいと思います。それでは、しばらく時間をとりますが、どうか積極的にご発言をいただきたいと思います。どなたでも結構ですから。どうぞ、津田さん。

津田委員

この少子高齢化の問題は、もちろん、年金等の成熟化、あるいは医療保険の問題、非常に深刻な事態を抱えておりますが、それと同時に、いわゆる社会福祉サービスをどうするかということも非常に重要問題になってきておるので、やはり総合的に考えなければいかんのではないかと思います。

最近言われておりますのは、要するに老後生活不安は、経済面よりもむしろ、どうやって介護を受けるかと、家庭あるいは社会からどういうような公的サービスを受けるか、そういうように議論が出されてきております。数字的にも、寝たきり老人は、もうかねてから70万ぐらいいると。それから痴呆性老人というのは、この間の新聞では200万と言ってましたか。そういうような状況で、これは経済面だけではなくて、やはり福祉サービス、地域、あるいはボランティア、あるいは民間事業者を活用した、こんなような福祉サービスの問題というのが非常に重要になってきておるし、特に、そういうようなサービスを必要とする75歳以上の後期老年者というのですか、これはおそらく今年あたりでもう1,000万人ぐらいになって、いわゆる老人と言われるものの4分の1ぐらいは要するに後期高齢者、介護を必要とする準備みたいな格好になってきておるような状況です。

ここいらをいわば手抜きしていたというのか、立ちおくれていたというのが例の社会的入院というような問題で、老人医療費問題、非常に深刻化しておりますし、さらに家庭の介護責任といっても、家庭も崩壊するのではないか。端的にいえば、少子化の問題等で、親を介護する長男のところには嫁の行き手がないというような事態も出されてきて、少子化の問題にもつながってきておるのではないかと、こういうふうに思います。

その担い手は市町村を中心とする地方団体ですけれども、いわゆる民間事業者、NPOを中心とするボランティア、そこいらと、そしてまた財源としましても、租税なのか、社会保険料なのか、受益者負担なのか、そこの見極めというのを当税調でも十分審議していただきたいと、かように思います。

それから税制の立て方にしても、いわゆる老人扶養控除などもどう見るのか、子どもに扶養義務というのをどの程度まで負わせるのか、そういうような観点からも吟味する必要があるのではないか。こういうふうに思いますが、よろしくお願いたします。

石会長

財源問題のみならず、サービスの供給のほうからも接近せいというご意見ですね。わかりました。どうぞ、村上さん。

村上特別委員

このまとめられたそれに関連してですけれども、所得税ですけれども、これは15年度税制改正についていろいろな議論があったわけですけれども、結果的には配特のみと言っていいのではないかと思うのですよね。ところが、基幹税としての所得税のあり方、それから所得再分配機能というようなことを考えますと、この続編がないとまずいのではないかなあということで、どうしてもここには特定扶養控除、老人扶養控除とか、高齢者に対するあれとか、それから年金控除、そういうものにウェイトがかかっているように思うのですけれども、これも大事なことだと思うのですが、やはり全体として最低税率の適用範囲が80%に及んでいるという一番根幹の部分、そこにメスを入れない限り、国民はみんな、こんなものでいいのだと、税金の負担というのはこんなもので国家は動くのだというふうに考えてしまうと思うので、そういうことをきちっと言った上でないと、消費税の議論とかそういうことはできないのではないのかなと思いますので、要するに税収全体としても4割しかとれていない、賄えていないのに、そのうちの非常に重要な部分の所得税がこういう状況だということをもう一度きちっと訴える必要があるし、それを踏まえた議論でないといけないのではないかなあと思います。

石会長

今日は少子高齢化という切り口から所得税を切っておりますが、村上さんおっしゃるとおり、そもそものあり方からいうと、税率とか控除とか、これを議論しなければいけないと。これはまた基礎問題でも、所得税のあり方論について広く議論して、また、こちらの総会にもご意見賜るような機会を設けたいと思います。

松本さん、どうぞ。

松本委員

少子高齢化になって、経済社会の構造変化が出てきたわけでございます。そういうことで、町村関係の財政負担というのが非常に大きく、単独事業なんかも大分あります。そういうことで、ちょっと例を申し上げたいと思うのですが、平成12年度の高齢化比率ですが、全国平均は17.5%、町村の平均が21.8%、市の平均が16.16%になっております。

実は私の町は炭鉱閉山で人口が大分減って過疎の町になったわけですが、私の町では14年度は23.5%に、5年間で2%ぐらい上がっております。そういう状況があって、高齢化の問題で17事業、県の補助もありますが、やっているのですが、ちょっと主なものを申し上げますと、生きがいに対する活動支援、こういうこともいろいろやっております。それからボランティア活動もやっていただいて、それからシルバー人材ということで、庭の手入れとか公園の草むしり、剪定、そういうことで4時間か5時間程度、シルバーの人に働いてもらっております。それから、介護保険はちょっと別にしますが、老人クラブの活動関係、それから生きがい教育ということで、高齢者に生涯学習、我々も講師に呼ばれて1年に1回行くのですが、いろいろな講師を呼びながら。それからスポーツ関係の教室とか健康相談、それからホームヘルパーサービスとかショートステイ、それから緊急時に通報の連絡をとるということで実はベルみたいのを持たせているわけですが、病気になったら連絡をとるとか、こういうこと等で17事業、高齢者の生活支援という形でやっております。

そういうことで町単独で大分財政負担をやっているわけでございますが、少子化の問題で申し上げたいと思うのですが、実は私が小学校を出るときはまだ炭鉱の全盛期でございましたから、1学年、四百数十人いたのです。それが、5年ぐらい前は400人ぐらいいたのが、今年度入学、87名、こんなに減っているのです。それで人口の対比を見てみますと、人口の減ったのが、全盛期から比べれば58%の率になっております。子どもたちはどうかといえば、21%しか現在はいないような状況になっております。

そういうこと等において、少子化の問題で、町で単独事業でやっておりますが、乳幼児の医療費助成というのは3歳まで県がしております。それで4歳まで1年、町単独で増やしました。それから保育料関係の減額等もやっております。それから各地区に小規模の遊園地の整備で、公園等、遊び場所なんかをつくったり、それから放課後の子どもたちに、役場の横に1つ建物を建てまして、青空学級ということで、先生のOBを2人雇いましてやっております。

それから出生祝い金、なかなか子どもを産まないものですから、1人出産いたしますと3万円、2人の場合が5万円、それ以上10万円ということでやっているのですが、これをしていてもあまり効果がないようでございますから、町単独で今度見直しをしようということで、これは大分下げます。それで、今、町単独ではいろいろ限界が来ておりますから、我々は郡で合併をするということで、6町合併に向かっているわけですが、こういうことは見直しを今度するつもりでございます。

そういうこと等で、少子高齢化の問題で、非常に町単独の財政負担があるということですね。そういうことを考えながら、今年度は地方交付税も大分減りましたから、基金の取り崩し等も出てきたわけですが、こういうところの見直し関係も今後やるつもりでおりますが、なかなか大変な地方の財政状況に少子高齢化とともになってきたということもご理解願いたいと思います。

石会長

そのご理解の先ですが、どうしたらいいのですか。ご理解を賜りたいという意味は、どうせいということを……。

松本委員

町単独の費用が大分出るものだから、やはり、本当をいえば税源移譲していただきたいです。

石会長

税源移譲というように話を持っていくわけですか。今のご議論の中でね。

松本委員

まあそういうことです。

石会長

わかりました。ほかにどうぞ。

幸田さん。

幸田特別委員

やや抽象的なことを申し上げて何ですけれども、少子高齢化と税制との関係で私がお願いしたいのは、中期答申ということになると、3年とか5年とかという、やや目の前に近いようなタームの問題になりがちだと思いますが、もうちょっと長い目で見ていただいたほうがいいのではないか。今オギャーと産まれた人間がいれば、もうそれで20年後の生産年齢人口は決まるわけですから、そういう意味で、10年か15年かわかりませんが、そういう視点でひとつあるべき税制を、せっかくお考えいただくのなら考えていただいたほうがいいのではないか。

いずれにしても、税負担が増えて、この少子高齢化の問題は国民生活に直結するわけでありますから、例えば具体的なことを申し上げれば、退職金の、20年までは40万円、20年超えると70万円というものに手をつけるとすれば、今年退職した人は70万円だけれども、来年はゼロというわけにいきませんから、当然何らかの経過的な措置も必要ですし、それぞれの人生設計にかかわる問題でありますから、ある程度具体的なイメージを持つような青写真をこの問題については早めに示してやるということをやらないと、社会的な混乱が起こるのではないか。

政府税調の任務とどの程度調整できるかという問題がありますけれども、ある程度やっていかないと、公的年金等控除にしましても、50万、100万のやつをあるときから極端に減らすということ、あるいは1988年以前のように合算するということをやるならやるで、ある程度アナウンスをしてやらないと、これは非常に大きな問題になりかねない。そういう意味で、漠然としたものも必要ですし、同時に、そこへ至る道筋のようなものをある程度形で示していかないと、国民は不安に駆られてしまうのではないかなあと。

そういう意味で、この少子高齢化に対応する税制、扶養控除の問題を含めてできるだけ早く、一日も早く手をつけなければならないけれども、ある程度長いインターバル、タームを持って考えて、大体こんな方向に15年後にはいくよと示すようなことを全体的にお考えいただかないと、この問題はなかなか国民の納得が得られないのではないかなと思います。

石会長

貴重なご意見、ありがとうございました。

松尾さん。

松尾委員

今の幸田さんのご意見とも多少関係あるのですけれども、私は、今日、調査課長から説明していただいたこのペーパーはよくまとまっていると思うのですね。問題点が的確に出ていると。具体的に老年者控除の問題とか公的年金等控除、社会保険料控除、退職金課税、こういった問題は税制自体にやはり問題がありますから、こういう点はきちっと検討していく必要があると思います。

そこで問題なのは、少子高齢化の進展の中でどういう社会保障制度にしていくのか、その青写真がやはりはっきりしてないと思うのですね。したがいまして、税としてあまり独走はできないのですけれども、どうも検討中の問題もはっきりしない点が多過ぎると。これは非常に気になるわけです。例えば基礎年金の税財源を2004年までに3分の1から2分の1にするというのですけれども、それが既定の前提条件として考えていいのかどうか。本当に税財源の比率を2分の1に上げるべきなのかどうか、なぜ2分の1なのか、はっきりしないのですね。

それと、厚生労働省が昨年12月に出しました年金改革のたたき台にしても、非常に厳しい批判があるわけです。こんなものが本当に抜本的な改革案なのかと、もっといろんな選択肢があるだろうという意見があるわけですね。だから、厚生労働省、一体何考えているのか、ヒアリングする必要があるのではないかと思います。

石会長

最後におっしゃった点、私も問題意識を持っておりまして、つまり、外側のほうからさまざまな改革のアイデアが出てきたとき、我々どう受けとめるかということについては、おっしゃるとおり、いろいろな形で意見を聴取しつつ我々の意見にしたいと思います。どうぞ、菊池さん。

菊池特別委員

僕は団塊の世代の真ん中なものですから、270万のところでございまして、少子化というのは非常に良いことであり、うらやましいと。高齢化というのも、当然、不老長寿という人類の目的ですから、この良いことと良いことを合わせると悪いことになるというのは、どこに問題あるかというとシステム自体に問題があると。要するに、子どもはたくさんいて年寄りはあまりいないというときに作ったシステムをそのまま持ってきてずうっといるから、それは当然、年金幾らもらえると、払うやつのこと考えないで幾らもらえると言っているから、そういう賦課方式の今のシステムが崩壊するというか、もうすでに崩壊しているわけで、過去にためたやつを取り崩しているだけということですので、そのシステムを変えなければいけない。システムにあわせて世の中を変えようというのはそもそも不届きな考えであると思ってます。

それで、この年金というか社会保障料、保険料のほうは、どういうわけかわからないのですが、足りないと増やしたいというのが通ってしまう。この通してしまうやり方が上手だったのだとは思いますが、通ってしまうということでどんどん上がっていく。現実には余っているわけですよね。200兆円も余っている。それがいつか足りなくなるから先々増やしていくと。片方の税金のほうを見ると、すでにして、大きくいえば700兆円足りないわけですね。そっちのほうは、足りないから、まあ足りないままでいけやというふうになってしまったというところに非常に大きな問題があるのではないか。

もう一つ考えると、この税金がなかなかとれないというのは、片一方で社会保険料というのが増えているから、払うほうにしてみれば同じですから、お金を見ることもなく、天引きでなくなってしまうわけですから同じであるという関係をもうちょっと重視して考えてはどうだろうかなと思います。というのは、この社会保険料というのを減らすということイコール、税金がまともな額になるということだと思うからです。

あともう一つ、消費税のことですが、目的税化するというのは非常に危険が伴い、政治的には社会福祉のために増やすと言わなければ増税できないだろうという気持ちはわかるのですが、国民はそれほどばかではなくて、目的税化することに対する危険性のほうをちゃんと認知しているのではないかと僕は思います。

その危険は2種類あって、厚生労働省の財源になってしまうということですし、これは道路財源と同じということになるわけで、もう一つは、巨額に増やせる可能性があるというのは消費税しかないわけですから、これで何とか埋めていくしかないと。なおかつ、この消費税というのがスポッと抜けますと、残りの税金、法人、個人の所得税と、これの額はほぼ公務員の人件費に見合うわけですから、そうすると、国というのは公務員の人件費だけ税金で集めて、それ以外は全部借金でやっているというのが数字的に明確になってしまう。そうなると、国の存在自体が危うくなるのではないかと私は思います。

石会長

ありがとうございました。

じゃ水野さん。

水野(勝)委員

少子高齢化はこれからがむしろ本番ではないか。と申しますのは、少子、だんだん子どもが減ってきている。一方、お年寄りが増える。合わせた従属人口、老年従属人口と年少従属人口を合わせた従属人口全体で見ると、今がある意味では一番恵まれている時期ではないか。今後従属人口が本格的に増加していくということですから、この時点でまさに腹決めて対処すべきではないかと、基本的にまずそう思うわけでございます。

その中で、それではすぐにそれが税でどうこうということもありますけれども、やはりまず給付なり歳出の面で相当まだまだ考える余地があるのではないか。例えば高齢者でいえば、今17.4%、従属人口になっているというのですけれども、これはまさに生涯現役的な発想でもあるのですけれども、老齢従属人口はむしろ全体の10%ぐらいの人を要するに社会で面倒見るというあたり、そうした環境がどんどん変わってくれば、そうした従属人口概念自体も定率的に抑えていって、具体的に、そうしますと年金の給付年齢の引下げというか引上げというか、そういったことになろうかと思うわけでございますが、そういったことで基本的に考える余地がないのかどうか。いつまでも、65歳以上は全部面倒見るというのでなくて、上から5%なり10%を社会が共助する、あるいは公助的に見るという発想があってもいいのではないか。

それは年少人口でもそうな気がします。私ども、小さいころは50人学級が普通でしたけれども、今は40人、30人学級だと。あるいはもう20人学級になってきている。そうした面も、相当歳出の面で、給付の面でいろんな再考の余地があるのではないかと思うわけでございます。

ですから、税のほうも考えるべき点はたくさんあると思いますけれども、そういう給付なり歳出の面で、まず基本的に考えるべき点があるかないかをあわせて検討してもらったらいいのではないか。

それから税の面では、先ほど幸田委員からもお話しありました、やはり関係者に不安を抱いてもらってはあまりよくないだろうと。確かにおっしゃるとおりだと思います。ですから、長い期間を見た展望を示すということも一つの方法でございますし、あるいはまた制度改革に当たっては、例えば老人控除なり公的年金等控除、現在適用を受けている人はまずまずの適用状況にしつつ、経過的に、新しく給付を受ける人とか新しく70歳になる人とか、そうした人たちから段階的に実施していく。しかし、将来の方向はこうですということを示し、しかし、できるだけ早くそれを実現していくために、経過的なもろもろの配慮措置も含めながら考えていったらいいのではないかと思います。

石会長

ありがとうございました。ほかに。どうぞ、神津さん。

神津委員

税のことと直接関係あるかどうかわからないのですけれども、少子高齢化が進んでいけば、社会保障の財源が増えていくというのは当然で、そうすると将来世代が負担をしていくということもそのとおりで、そうすると経済のストック化が進むと。そのときに、金融税制とか相続税、贈与税、あとは年金のこととかそういうもので、ちょっと変な言い方ですけれども、北風的なことをやるのか太陽的なことをやるのかというところが私は非常に問題だと思うのですね。北風を吹かせて、少しは吐き出すかもしれないけれども、そうしたら余計にストック化が進むのではないかという感じを私は抱くのですね。だからといって優遇しろということではないのですけれども、だから、吹かせ方、とっても難しいような気がするのです。

それは何でかというと、例えば少子化とか、それから高齢化のことを考えたときに、少子化のことに関して、それから公的サービスとか社会保障に関してはずっと太陽政策してきているわけですよね。社会基盤整えるとか手当をあげるとか。だけど、子どもが増えたかといったら、増えてないわけですよ。太陽政策をしても、こっちは太陽の当て方が違うものだから、ピントがずれているので、子どもが増えない。先ほどに楯突くわけではないですけれども、10万円くれても子どもは産まないわけですよね。そういう意味では、保育所ができても子どもは産めないわけですよ。だから、そういうところに太陽政策を幾らやっても、子どもは現実には増えない。

それから公的サービスもすごく充実してきました。だから応分の負担が必要だと、こういうところの論議では必ず出てくるのですけれども、皆さん、ご自分が入るかもしれない施設って行ったことありますか。ご家族で介護抱えている方が、ここは男の方が多いけれども、いらっしゃいますか。自分が入るかもしれない施設に行って、ベッドに寝て、そこでどんな食事が出てくるかというのを一度やはり見ていただきたいと思う。それでも社会保障が充実している、公的サービスが充実しているというふうに思えるかどうかというところ。だから、幾ら言葉で、こんなに社会保障が充実してますよ、だから応分の負担をしなければいけないのですよと言葉が出て、それは当然で、私は数字で見れば本当にそのとおりだと思うのですけれども、現実に例えば給食サービスでうちに届けられるお弁当とか見たときに、私、これ食べるぐらいだったら要らないやというものだってあるわけですよね。

だから、私は、ちょっと抽象的な言い方になって申しわけないですけれども、まず1つは、北風でやるのか太陽でやるのかという部分、太陽を当てるのだったら、やはり当てる方角を間違えないようにしないと、ただのむだ使いになってしまう。この大切な財源をむだ使いするために使うのは、私はやはりとても苦しいという感じがしています。

だから、具体的なことでなくて申しわけないのですけれども、太陽にするか北風にするか、太陽にするのだったらどこの方角にするかということをやはり関係省庁と、それからもう少し一般的なものの見方をしている人たちの意見を吸い上げて、的確なことをしていただきたいと思っています。

石会長

確認ですが、北風というのはある意味ではムチのほうで、例えば公的年金等控除を見直すとか、労賃を見直すとか、太陽はどっちかというと公共サービスを手厚くやってやりましょうと。そのバランスですね。

神津委員

バランスです。

石会長

なんかだんだん臨場感があふれてきた発言でしたが、ほかにどうぞ。

佐瀬さん。

佐瀬特別委員

基礎問題小委員会でも申し上げたことですが、総会なので念のためにもう一度。

これまで、主に少子高齢化の中の高齢化にどう対応するかという税制にかなり力点があると思うのですが、一方の、少子化を阻止する、さおを差す、今そういう国家的な取り組みもあるわけですから、税制も考えなければいけないのではないかと私は思っております。

例えばこの間の、極めて最近の内閣府の調査によると、女性が子どもを何人持ちたいかというと、希望は3人であると。しかしながら、現実には2人以下になっているという現実ですね。ですから、人口問題研究所の阿藤先生の講義でもありましたが、基本的には子どもを産みたいのだけれども産めない状況になっていると。それは、いろいろ問題がありましょうが、例えば教育費が高いとか、住む部屋がないとか、しかし一番大きいのは、女性が働きながら子どもを育てるという環境が極めて厳しいということだと思うのです。

厚生労働省が企業に対してファミリーフレンドリー制度とかいうのがあって、例えば子どもを育てているお母さんに対しては短期間の勤務をさせるとかいうようなものに対して表彰しているらしいのですね。しかし、これは表彰すればそれなりにイメージアップになるとは思いますが、例えばそういう問題をちょっと税制でカバーアップする必要はないのか。あるいは子どもを産みたいけれども部屋が狭いとかいう場合に、住宅ローンの、子どもに応じた優遇をするとか、仮の話ですけれども、そのような何か対応がやはり必要ではないかと思います。子どもを産まないということは、やはり長期的には相当深刻な問題であろうと思うからです。

石会長

ありがとうございました。

和田さん。

和田特別委員

今日いただいた資料の中でも、安定的な歳入構造の構築というところで、租税負担率が主要国の中で最低であると。これは計算の上からこういう文章になってきますけれども、租税負担率に今度は社会保障の給付ということを考えてみたときに、世界で比べてみてどうなっているのかというのはもうちょっと検討していく必要があるのではないかなと思います。

それと、個人所得課税のところにも空洞化という言葉があり、それから基幹税としての機能を回復する必要があると。これは確かに個人所得税というものをどういうふうにとらえていくかということが必要だと思いますし、それから、今日は少子高齢化というところからの資料が出ていますので、空洞化というところはあまり細かく検討する場ではないのかもしれませんけれども、前にも申し上げましたように、空洞化というのが、働いている人の4人に1人は税金を払ってないと。それがイコール、課税最低限が高いからと。しかもその課税最低限が、何度も申し上げますように、その世帯が本当に標準世帯と言えるような数をとても持っていないような数。さんざんそれを申し上げて、やっといろいろな家族構成の資料が出てきて、それによれば、世帯によっては決して世界で一番高いわけではないということが現実に出ているにもかかわらず、やはりその後も議論するときには標準世帯というのが、同じ世帯が使われているということも含めまして、やはりあっさりと空洞化ということを、もう少し細かく納得のいくような形で見ていかなければいけないのではないかなという気がしております。

そして、どう考えても、所得と資産と、その格差というのは開いてきております。これはいろいろな学者の方々の言われる点でもあり、それから私たちの周りを見ていても実感しております。介護保険制度、一応できてはおりますけれども、本当に生活の厳しい人たちは、リハビリなりホームヘルパー、もう一回来てほしいのだけれども、1割負担であってもそれが払い切れないと言ってリハビリの回数を減らしている、ホームヘルパー、2度来てほしいのだけれども1回にしているという人たちが非常に多いという現実をやはり見ていかなければいけないと思います。

ですから、今まで平準化ということで進んできましたけれども、やはり垂直公平というのをもう少し重く見てもいいのではないかということを痛切に感じております。

石会長

ということは、フラット化をあまり過度にやったらいかんという、そういうご意見ですね。

和田特別委員

そうです。

石会長

それから冒頭、負担と給付とおっしゃったのは、負担はいいのだけれども、その負担と給付が見合っているか一遍チェックしろということですね。

和田特別委員

負担のところと給付を一緒に考えたときに、本当に世界的に日本が非常に、ただ軽いとだけ言ってしまっていいのかということです。

石会長

わかりました。ほかにいかがでしょうか。

どうぞ草野さん。

草野委員

直接税の問題とは関係ないかもしれませんけれども、先ほど少子高齢化、今日のテーマでもありますけれども、率直にいって、少子高齢化の対策という言葉が本当にいいかどうかわかりませんが、政策的にほとんどとられてこなかったというのが今の状況ではないかと思うのですね。そういう意味で、やはり国全体を考えた場合に少子高齢化というのはいろんな面で大変な問題を抱えることになるわけですから、この少子高齢化をどうしていくのかという対策を本格的にこれからやっていかなければならないのではないかということがまず第1点だと思います。

それから2つ目には、税の場合は当然、所得再配分の機能があるわけですけれども、東大の神野先生によれば、日本の所得再配分をした結果のジニ係数の変化率というのは一番弱いのですね。スウェーデンとか欧米諸国に比べた場合に。これは先生の本に書いてありますので。このこともやはり、税を考える場合には非常に重要な視点としてとらえておかなければならないのではないかというのが2つ目ですね。

それから3つ目には、負担と給付のあり方、これも今のお話と絡むわけでありますけれども、先般も石会長もおっしゃったと思いますが、いろんな所得控除等を廃止した場合には2つの問題点があると。1つは、先ほども話題になりましたけれども、激変緩和措置をとっていかなければならないということと、控除でやるか給付でやるかと。このことをあわせて考えていかなければならないというお話があったので、そういうこともこれから考えていく一つの視点に置いていく必要があるかなと。

最後、4点目ですけれども、私どもサラリーマンの立場から見ますと、やはりトーゴーサンピンとかクロヨンとかいう、いわゆる所得捕捉の問題については全く改善されてないと、むしろ広がっているのではないかというような認識を持っておりますので、そういう視点もぜひこれからの議論の中に加えていただきたいと思います。

石会長

ありがとうございました。

柳島さん、手が挙がってましたね。どうぞ。

柳島委員

先ほど、実態を見てくれという議論があったので、私もそのとおりだと思いますけれども、結局、今の制度で、清家先生が言うように、生涯現役で働いてバタンと最後死んじゃうならいいのだけれども、いざ特養に入ろうと思うと、1人15万円ぐらいかかるのですよね。夫婦で入ると30万円かかると。そうすると、年金で賄えるかねというと年金ではだめだということですよね。だから供給側の、それをもっと民間参入で安くするとか、そういう手当てでもしないと、やはりこれは……。確かに税の公平から見れば、いろんな控除を削っていくので、やはり老人も削らなければいかんというのは納得できるのだけれども、実態を見ると、恵まれてない人というのは特養にも入れないというのが今の実情なのですよね。

あともう一つは、もっと重度になると、月100万近くかかって入れている人もいるのですよね。だから、やはりそういうことも考えて、これは一概に税の合理性だけではちょっと割り切れない問題というのがあるのではないかなあという気がしているのです。

確かに、1,000万以上もらって、それで年金も一緒にもらっているというのは制限していいと思うのだけれども、だからそれは応分の負担だろうと思うのですけれども、福祉の現場を見ると、日本はまだお粗末なのでね。本当に困った人というのは、税でこれまたやられると非常に困る。これはちょっと感情論になるのですが、この辺の問題を改善しないと、やはり国民の理解というのは得られないのではないかなという感じがしております。

石会長

とおっしゃったのは、特養に入るために年金の給付等々も少し考えろということと、それから、やはり税でいろいろ控除減らしていく等々には慎重にせいと、こういうご意見ですね。

柳島委員

ええ、そうです。

石会長

わかりました。ほかにいかがでしょうか。どうぞ、河野さん。

河野特別委員

皆さんみたいに体系的にしゃべるほど詰めた考え方してないのですけれども、1つ2つ印象があって、私ももう大変な高齢の人間の一人なのだけれども、高齢者をどうサポートするかということについては、少子をどうするかということに比べたら、私は相当程度楽だと思うのですよ。どう子どもを余計つくるかということのほうが大問題で、年寄りをどうこうするなんていうのは、今何人かの方がおっしゃったみたいに、確かに明らかに所得格差が広がっていることは僕もよくわかるのだ。実感してね。それに応じた対策を今よりも急速に急テンポにやるということは当然必要。資金の配分の問題だから。

しかし、子どもをどうするかというのは、これは本当にあまりいい知恵がないのですね。聞けば聞くほど、さっき神津さんいろんなこと言っていたけれども、なかなか難しいのですよ。個人の女性、男性の若い連中の自覚が足りないのだという説教たれたって始まらないし、多少手当てしたって全然効かないという話だから、それじゃしようがない、もうギブアップするかという心境に近いのです。年寄りをどうサポートするかはいろいろ知恵が出てくるのです。これからだって。つまり、少子の対策のほうがはるかに困難を極めるということがまず1つあるのですね。

もう一つは、常々いつもここで座っていて感ずることは、一体、例えばこの少子対策に、少子超高齢化でも構わないけれども、税制の役割はどの辺までなのだと。不景気になれば、証券だろうが何だろうがすぐ減税の話に持ってくるしね。とにかくツケは全部税金に回すのが、政治家でも言論人でも似たようなものなのだ、これは。地方財政もそうですよ。国もそうですよ。税制にツケ回すの、一応簡単だから。一口言っておけばいいのだから。しかし、税制がそんなに要請を全部負担できるほどの力が今あるのかと。ありませんよね。大減税を繰り返した結果、収入は今これしかないのだから。

そうすると、全体として、これは国家戦略として、今、超高齢化、少子社会対策というのでやっているのだと思うのですね。そうすると、一体税制は、個別企業は、個別カップルは、地域社会は、それから地方自治体はどういう分担でお互い総合戦略やるのかということをある程度概念的に決めておかないとだめなので、何か税制が全部責任負うようなことになったって、できもせん話なのですよ。

結局、役割分担をどうするかということについて大まかに、我が税調はこの問題についてはこういうふうな枠内で、しかし一生懸命やりますよというふうなメッセージが出せればいいと思うけれども、難しいのですよ。しかし、そこが基本だと僕は思っているのですね。

もう一つ、今日は消費税の議論、あまり表へ出てないのだけれども、最近の消費税論議を見ていてつくづく思うのは、確かに15%だ、19%だという威勢のいい話もあって、それをやれば、法人税から財政の赤字を消す話まで全部カバーできるかのごとくなっていて、計算上は確かにそのとおりなのだけれども、これも消費税に対する期待過剰ではないかと思いますね。それを突破するためにどれだけの政治的エネルギーが要るかなんていうことはあまり考えてないわけだ。やらないのは政治家が悪いということになっているのだけどね。

つまり、いろんなところに壁があることは我々るる申し上げて、おまえの話は生産的でないと言われればまさにそのとおりなのだけれども、とにかく集約すれば、税制というのはこの問題についてどこまで主体的に協力できるのか、ここから先はもうここの仕事ではない、仕分けをやらないと、こんなもの全部ひっかぶって、責任持って回答を我々に出せと言ったって、出せませんよ、そんなことは。というふうに思います。

石会長

いやいや、難しい問題を投げかけられましたけれども、これはまたお互いに議論して考えるしかないですね。とりわけ税制というのは、税を払ってない人には影響が及ばない話ですからねえ。少子高齢化というのはかなり税と納税者と関係ないところで動いている面もありますからね。

さて大分時間たちましたけれども、保険でやるか税でやるかなんていうのも、今日は立ち入った議論をしておりませんし、今後の課題でもいいのですけれども、この際何か言っておこうという方いらっしゃいますか。よろしゅうございますか。

それでは、今日は最初の総会での第1ラウンドでございますから、今後この種の議論は何回もやりつつ次第に固めていきたい。特に河野さんの最後おっしゃった税制の役割なんていうのは、議論を重ねる中である方向が出されてくる性格の問題だと考えております。

じゃ次のテーマに入りたいと思いますが、非営利法人課税ワーキンググループで公益法人等の課税の問題を随分議論いたしました。新聞でお読みいただいたかと思いますが、必ずしもうまくいってない面もありまして、今ちょっと中断せざるを得ないという状況でございます。その辺の事情を座長を務めていただいた水野さんと、それから事務局のほうからご報告いただきまして、皆さんからご意見があれば伺いたいと思います。

じゃ水野さん、ちょっと説明してください。

水野(忠)委員

今会長からお話しいただきましたように、非営利法人課税ワーキンググループ、これは基礎問題小委員会の下に作っていただいて、去年の秋から審議を進めてまいりました。6回ほど集中的に会合を開催させていただいたわけですが、会長からもちょっとお話しありましたように、もともとは、これは公益法人制度改革の問題で、具体的には昨年の3月に閣議決定をして、この3月に公益法人制度改革の大綱を出すようにという話でありました。

具体的には、内閣官房の行政改革推進事務局というところで受け皿になって公益法人制度の改革を議論すると。仮に公益法人という制度がなくなってしまいますと、法人税の問題にも大きな影響が出てきますので、その内閣官房の方針に大体沿いまして税制のほうも議論をするということでまいったわけです。

具体的には、公益法人制度、それからNPOですね。あと、共益的な部分が含まれる中間法人ですが、この3つを合わせて一つの非営利法人という形でくくろうというのが内閣官房の考え方で、基本的な方針として出されまして、税制のほうもそれを基礎に置いてかなり検討させていただきました。どういう要件のもとに課税をするか、あるいは非課税にするかということも検討しましたが、本来ですと3月11日火曜日に基礎問題小委員会にご報告する取りまとめの案をまとめたいと思っておりましたが、前日の3月10日に、内閣官房の行政改革推進事務局のほうから、法人制度そのものをもう一度見直したいというお話がありまして、税制調査会のワーキンググループにおける公益法人を中心とした税制のあり方、この検討はしばらくとめておいていただきたいと。こういうようなことになりまして、残念ながら今日はこういう手続、経緯のことしかお話しできないわけでございます。

こちらのワーキンググループとしましては、かなり非営利法人の課税の仕組みについて取りまとめのための基本的な考え方、いろいろ文章も練って修文の段階だったわけですけれども、内閣官房からの、公益法人制度そのものを再検討したいというお話ですので、ちょっと中断の状況でございます。

詳しくは税制二課長の道盛さんのほうでお話しいただきたいと思います。

石会長

じゃ道盛さん、少し時間がとれますから、今日、総会で初めてご説明しますから、内容をちょっと詳しめにご説明ください。

道盛税制第二課長

それでは、お手元の資料、基礎小24-3に基づきましてご説明させていただきます。

ただいま水野座長からお話しございましたとおり、1枚めくっていただきまして、14年3月、ちょうど1年前の閣議決定というのが始まりでございます。1.のところにございますが、1つには、アンダーラインのところを見ていただきますと、「民間非営利活動を社会・経済システムの中で積極的に位置づける」という観点が1つ。それからもう一つ、以前から行政改革の中で公益法人についてさまざまな諸問題が指摘されてきたということに適切に対処する観点が1つ。こういう2つの観点から、「公益法人制度について、関連制度(NPO、中間法人、公益信託、税制等)を含め抜本的かつ体系的な見直しを行う」こととされたわけでございます。

下の2.にございますとおり、平成14年度中、つまり15年3月を目途に、閣議決定を想定いたしまして、大綱を策定するということで、この中で「改革の基本的枠組み、スケジュール等を明らかにする。また、平成17年度末までを目途に、これを実施するための法制上の措置その他の必要な措置を講じる」。18年3月が最終的な法制上の措置等の期限の目途ということで検討を進めることになりまして、政府税調の基礎小におきましても、ワーキンググループを設置してご議論いただいてきたということでございます。

1枚おめくりいただきまして、そのベースとなりますのが、やはり公益法人制度、法人制度自体がまずどうなるかということがベースとなりまして、それをもとに税制上どのような措置を考えるかという順番になりますので、その法人制度自体の検討は内閣官房の行政改革推進事務局というところで行われておりました。

もう一枚おめくりいただきまして、その1ページでございますが、1.の「非営利法人制度の創設の考え方」というところに4つ〇がございます。そのうちの最初の○にございますが、非営利活動については、将来的にも今まで以上に活発化することを予測いたしまして、3番目の段落にございますが、そうしたことを促進するため、できるだけ簡易な方法で法人を設立できるようにする必要があるのではないかということで、2つ目の○にございますが、一方、現在、公益法人、あるいはNPO法人というのは、公益性を判断基準に制度設計されてございますが、2つ目の○の最初の段落にもございますが、公益性というものが時代により変化していくであろうと。2つ目の段落にございますが、現在の公益法人やNPO法人のような仕組みですと、公益性を失った法人については法人格の前提がなくなり、法人格自体がなくなってしまうということで、3段目の段落にございますが、かなり硬直的な運用になり得るということがございました。

そこで、3番目の〇でございますが、法人格の取得と公益性の判断を切り離し、公益法人制度、中間法人制度、NPO法人制度に共通する非営利性等に着目いたしまして、準則主義による新たな非営利法人制度を創設するということを内閣官房のほうで検討されていたわけでございます。

ここで書いてあることでございますが、準則主義というところが一つのポイントでございまして、これは登記をすれば法人格が取得できるという仕組みでございます。現在、公益法人、中間法人、NPO法人と3つございますが、公益を目的とする公益法人、あるいはNPO法人につきましては、それぞれ主務官庁の許可とか、あるいは都道府県知事の認証といった行政機関のチェックのもとに公益性のある法人がつくられる。一方、中間法人というのは公益を目的としない、幅広い非営利法人を対象といたしておりまして、こちらについては登記で設立できるという準則主義であったということで、この公益法人、中間法人、NPO法人を含めまして、登記のみで設立できるような形で法人格の取得を容易にしたいというようなことを内閣官房のほうでは検討されていたわけでございます。

ところが一方では、公益法人、NPO法人という、公益を目的とし、現在は収益事業のみが課税されている、つまり、収益事業以外は非課税の扱いをされている2つの法人と、中間法人という、もともと、現在、株式会社と同様の課税をされておりますものとが合体するということで、それに対する税の考え方ということが問題になるわけでございまして、制度設計のあり方においては、新しい非営利法人制度というのが中間法人のように公益に限定されない幅広い活動を予定していること、あるいは登記のみで設立されること、あるいは残余財産分配といったようなさまざまな法人の仕組みについても、基本的には中間法人をベースに制度設計されたということを踏まえまして、税制の検討というのを進めてきた。

このことが基本的には、もともと法人格が取得された段階で、そこで法人ができるわけですので、原則としては、そういう法人格を取得される法人については納税義務が生ずるというのが本来の姿でございまして、そのことと、今まで収益事業以外は非課税とされてきた公益法人、中間法人の活動を妨げないような形で、ワーキンググループにおいても、どういうふうに課税関係を整理するかということについていろいろなご議論をいただいてきたわけでございます。

そうした中で、2ページ目を過ぎてもう一枚、「非営利法人制度改革について(メモ)」非営利WG4-4という資料でございますが、課税関係の整理ということについてさまざまな意見が出ましたことを背景といたしまして、最初の〇にございますが、そもそも公益法人・中間法人・NPO法人という異なった理念の仕組みを一括りにして「非営利法人」制度とする積極的な理念や意義をどのようにとらえているのかと。あるいは1つ置いて3番目の○でございますが、公益的な活動を行う公益法人・NPO法人と共益的な活動を行う中間法人とは本来異質なものではないかと。あるいは4番目の○でございますが、公益法人とNPO法人は、公益的な活動という点では同じであっても、歴史も違いますし組織や活動の実態も大きく異なっているということで、これらを一元化することの是非について、国民的な理解があるのだろうかといったような議論もワーキンググループの中でしていただいたわけでございます。

そういう議論がある中で、それでも取りまとめ作業に向けてご議論いただいていたわけでございますが、その下、一番最後の紙でございますが、先週の月曜日、3月10日になりまして、自由民主党の行政改革推進本部公益法人委員会というところから、2つ目の〇にございますが、こういう公益法人、中間法人、NPO法人を一括りの非営利法人とするという方向性自体につきまして、2つ目の○で、NPO関係者のほうから、制度創設後数年の段階で一括化される、一括りにされることについて不安感が出ているということで、3つ目の○にございますが、当委員会としては、政府に対し、NPOを最初から一括りにすることはせず、新たな非営利法人制度の動向を見据えた段階で、発展的に解消する可能性が高いとの位置づけをすることが適当であるという申し入れが内閣官房の行政改革推進事務局のほうに行われまして、それを踏まえまして行政改革推進事務局のほうでは、再度、法人制度につきまして検討をしたいと、再検討したいということでございまして、ワーキンググループのほうに取りまとめをしばらく待ってほしいということがございまして、現在、その審議のほうを中断させていただいているという状況でございます。

したがいまして、現在の段階では、まず、もう一度、行政改革推進事務局のほうでどのような非営利法人制度の法人制度を設計するかということの検討を待って、それから再度議論をしていただく手はずになってございます。

以上でございます。

石会長

ありがとうございました。

以上の経過、あるいは内容につきましてお二人からご説明いただきましたが、特に何かご発言ございますか。どうぞ、福原さん。

福原委員

基本的な勉強不足と言われるかもしれませんけれども、認識を共通にしたいと存じますので、3月29日の閣議決定で、3行目なのですが、「指摘される諸問題に適切に対処する観点」の「指摘される諸問題」というのは具体的にどういうことなのでございましょうか。

石会長

じゃ、どうぞ道盛さん。

道盛税制第二課長

これは昨年の8月でございましたけれども、行政改革推進事務局のほうで中間論点整理というものをなさいました。その中間論点整理の中で出てきている視点を紹介させていただきますと、例えばこんな論点が指摘されてございます。「公益法人制度については、運営・指導・監督・ガバナンスなどのあり方について批判がしばし見受けられる」ということで、例えば主務官庁の自由裁量による許可主義ということがございまして、これが法人設立を極めて難しくしている。あるいはその判断基準が不明確であり、行政が自由裁量で判断しているのではないか。それから主務官庁による指導・監督権限ということを背景に、この指導・監督が強化されてきたが、そういう事前規制の仕組みが限界に来ているのではないか。あるいはマスコミなどでもよく報道されましたが、天下りといったことがその結果出てきているのではないか。それからディスクロージャーといったことがかなり不足しているのではないか、といったような指摘がされてございます。

福原委員

その多くは主務官庁側のほうにあるのであって、公益法人のほうにはないのではないかと思います。公益法人のほうに要求されることとしたら、透明性の問題です。例えば収入はどこからどのようにして入っているのか、あるいは支出はどのようにして支出されているのか、こちらのほうが問題であるので、今、それ以外の天下り等も含めて、これは政府側の問題であるやに思うわけですが、いかがでしょうか。

石会長

何かお答えになることありますか。

道盛税制第二課長

私、ちょっと今申しおくれました。次のページにもう一つございまして、公益法人の中には、現代的な見直しの観点からは公益法人とは言えない、本来であれば営利法人や中間法人に分類されるべきものが混在しているのではないか、という指摘もございます。

石会長

まあいろいろ公益法人絡みで不祥事起こりましたから、そういうことを含めて大きな意味で諸問題と言っているのだと思いますがね。そういう指摘もございました、ワーキンググループでは。公益法人絡みで何かよろしゅうございますか。どうぞ、草野さん。

草野委員

質問だけよろしいですか。

石会長

どうぞ。

草野委員

自民党のペーパーに対する質問で申しわけないのですけれども、一番最後のペーパーの、丸が3つございますが、その最後の丸の下から2行目で、「発展的に解消する可能性が高いとの位置付けをすることが適当である旨」、これはどういう意味でしょうか。

道盛税制第二課長

私ども、これを解釈する権限が直接あるわけではございませんけれども、そのときの議論では、一度、NPO法人を外して制度設計をして、制度設計の結果、細かい制度設計がなされた段階で、NPO法人としても、その中に一緒に取り込まれるのも非常にいいのではないかといったようなことになれば、参加することがあるのではないかといった議論がその自民党の公益法人委員会の中で先生方の意見として出されておりましたけれども、ここのところの解釈として何か一元的な解釈があるというわけでございませんで、それも含めて、どのような新たな非営利法人制度を設計されるかは内閣官房のほうで検討が進められているところと考えております。

石会長

これは発展的に解消するのだから、分解しちゃうというほうの意見じゃないですか。つまり、NPO法人は切り離して考えろという趣旨ではないのですか。また入れてしまうという話?

道盛税制第二課長

切り離して一度制度設計をして、制度設計されて制度ができて、それが非常に魅力的なものになると。

石会長

発展的に入れろと書くべきだよ。

道盛税制第二課長

という可能性もあるのではないかというような議論が自民党では出されたと。

石会長

というようにいろいろ難しい問題があるようであります。どうぞ、水野さん。

水野(勝)委員

これはお願いというかご要望ですけれども、いろいろ複雑な中でご審議が大変だと思いますけれども、やはり制度のほうが変わるときに一緒に税制も議論をし、方向づけしておかないと、税だけ後でということはなかなか難しい事態になるのではないか。そういう意味においては、官房、内閣のほうが検討しないと言うなら、もうストップですからそれでいいのですが、やはり検討する。その検討の中に、公益法人だけなのか、NPOも入るのか、そこらはよくわかりませんが、とにかく向こうで制度的に検討されるときにはやはり並行してある程度の方向を出して決めておかないと、後になって税だけと言われると非常にややこしい、難しい事態になることも予想されますので、そこらは、十分きっとお考えの上検討されると思いますけれども、お願いでございます。

石会長

じゃ水野さん、重々心しておいてください。どうぞ、河野さん。

河野特別委員

私、ワーキンググループのメンバーだから、ちょっと皆さんと違った印象を持っているかもしれないのだけれども、これは政治問題なのですよね。いいですか。事の本質は。こういう問題が提起されて、こういう議論が行われて、最後の段階になって、我々、最終的に意見をまとめようかというその前の日に、ちょっと待ってということになって、ほとんど構想が空中分解に近い状態で、今、今日迎えているわけだ。議論が棚ざらしになっているのですよ。

そもそも、こういうこと言うとさしさわりあるけれども、この問題やるときに、特定の法人、例えば宗教法人を除外する。いいですか。この意味は極めてでかいわけだ、実は。とかいろいろあって、そこから先、そもそも何でそんな狭い枠の中で議論するのだという、みんな不満を持ちながらも、内閣が決めたのならそれでいこうではないかということでやってきたのだけれども、ここから全部ばらして議論やるのなら、根っこから議論やったらいいと。しかし、これは連立内閣崩壊かもしれないからね、実は。簡単ではないですよ。だから、これは政治問題だということを申し上げたのです。

既存の公益法人は長い長い歴史があって、おりもたまっているしスキャンダルも多々出ているしという悪いイメージを相当程度持たれている。全体がそうだとひっくくれませんよ。しかし、社会のイメージはそうなっているわけだ。片方、NPOはまだスタートして、NPO法人、1万ぐらいになったかな、とにかく簡単にできますから、どんどんできる。いろんな種類のNPO法人が混在している。しかし、とにかく全般の印象は、これは中央、地方の自治体政府ができないことを相当カバーするのだと。先々伸ばさなければいかん。財界も、役所も、NPOと何か提携を結びながらうまくやろうではないかとみんな思っている。いいのです、そのとおりだから。

ということは何かというと、片方は既成勢力、片方は新興勢力、片方は性善説、片方は性悪説。つまり、社会のイメージってものすごくでかいのですよ。僕が聞いていてね。実態から浮いた議論を実はやっているわけだ。NPOが立派だというのも随分単純な発想だし、公益事業が全部パーだというのも、これも随分乱暴極まる話なのですよ。実態は。だから、そういう、簡単に処理できないものを一緒にしたというところにそもそも無理があった。だから僕は、ワーキンググループで最初から言ったのだけれども、そもそもこういう構成に無理があると言っていたら、そのとおりになったのですね、これね。みんなも思っている話なのです。私、常識論言っただけなのだから。

だから、水野さん、早く税金のことを考えろとおっしゃったけれども、それもよくわかるのだけれども、とにかく、これ、仕切り直しになったのですよ。要するに。この問題さばいているお役人の力が弱いということが1つあるわけだ。明らかに。大蔵がさばいたらもっとうまくやったかもしれないけどね。そんなこと言うと差別発言になるから言わないけれども、それもある。間違いなく。いろいろあって、しかし、まあ考えてみれば、政治問題に巻き込まれたという気の毒な話なのですよ。

一番単純なことは、この答えは、何人かの人がおっしゃったけれども、今の公益法人で問題あることは幾つかあるわけだから。民間と競業し過ぎる、天下り多過ぎる、何だかんだたくさんあるわけだ。内部留保が多過ぎる、めちゃくちゃだとかね。それを直そうと思ったら、それだけに集中すればかなり答えは単純に出てくると思うね。

NPOをくっつけるから問題になってしまうのだよ。NPOはあと5年ぐらいは……。いろいろ問題が、最近だってありますよ。中国に植林やって、大事業やって、ほめられたところは、なんか1億円金集まったの、内部留保だの、あんなこと、これからどんどん起こるわけだ、実は。すべてが善人のかたまりなんて、これも全くマスコミ的イメージ。だけれども、それ言っちゃおしまいだから、まあまあ伸ばしましょう、数年は。ということにしてさばくのがいいと思います。

今申し上げたことは私の、この税調の権限じゃないからね、印象論を言っただけだから。だから、そもそも無理があったということですよ、この話は。

石会長

今の解説で全貌がつかめたのではないかと思いますので(笑)、別に質疑応答はないと思いますが、いいのではないですか、あれで。ほかによろしゅうございますか。

どうぞ。

諸井委員

会長ね、今の話、どうなのだろう。原則無税にしておいて、そのかわり帳面はしっかりつけろと。それで、調べに入って、帳面をちゃんとつけてないやつとか、それから実は収益事業をやって全然届けてないやつとか、そういうやつは直ちに認可を取り消す、あるいは登記を取り消すというようなことにできないのか。

石会長

NPO?

諸井委員

今は主としてNPO。だけど、公益法人だって、結局本当はそうなのではないかと思う。

石会長

そういう意見も当然出て、いろいろ議論しました。

諸井委員

宗教法人だってそうだと思う。

石会長

いや、そうなのですよ。

諸井委員

公明党の問題あるのかもしれないけれども。

石会長

あるのです。どうぞ、松永さん。

松永委員

私も、本当に今のご意見に同意するのですけれども、最初の第1の少子高齢化社会の問題においても、一番今ここを下支えしようとしてくださっているNPOの、結局クオリティの問題。保育園の問題にしても、高齢者介護にしても、そこを本当に意識ある人たちがやろうとしているところにまで水を差す。だから、そういう意味では、ちょっと本当に分けて、自発的なそういう活力はそがないようにしていただかないと、今ちょっと変なニュアンスになっているかなと思います。

大武主税局長

誤解があるといけないのですが、実は公益法人もNPO法人も、まさに公益性があるということで、最初の道盛課長の説明でもあったように、ある種の何らかのチェックが働いているので、まさに原則非課税みたいな形になっているわけです。このテーマ、実は中間法人が一緒に入ったということなのです。

中間法人というのはまさに登記だけして、何のチェックも何もなく自動でできる。どういうものかといったら、同窓会です。一番簡単にいえば。学校の同窓会で、同窓会館建てて、自分たちで共益で遊ぶというたぐいの話ですから、とてもこれは非課税になるものではないわけです。これを、3つを一緒にして、非営利。確かに同窓会はもうけるためにもともとあるのではないというのはそのとおり。もっと言うなら、我々の仲間でいえば、社員旅行会とかこういうのもある意味で、組織化すればこの中間法人になるのですけれども、こういうものを全部一緒にしたときには、原則はやはり課税にというか、法人で経済活動する以上はやはりそこは網はつけざるを得ない。同窓会ですから、ある意味で、お金が余ったらみんなで分配しちゃいましょうと。残余の財産分配も自由なのですね。

これとを全部一緒にしているというところが非常に難しいのですが、多分、これは私どもが説明するよりは水野先生から、本当は時間があればご説明いただくほうがいいのですが、長年の民法の中における法人制度というのを根本的にどうとらえるか。公益か非公益か、営利か非営利か、四次元、実はでき上がるのですけれども、非公益で営利といえば、典型的には株式会社であるわけでしょうし、それぞれあるわけですけれども、それをどう整理するかという長年の民法のいわば課題があって、そちらはそちらで多分内閣官房のほうでいろいろご議論になってきたのだと思うのですが、その非営利だというところだけ着目して、中間法人、NPO法人、本来なら学校法人も宗教法人も全部ひっくるめて公益的なものも一緒に非営利ということでくくるとなると大議論に多分なるのでしょうけれども、とりあえず去年の閣議決定がその3つだったものですから、それを受けて議論させていただいてきたと。

ですから、我々も、何もNPOだとかなんかを個別に、今ある制度を課税に取り込もうと思って議論していたわけでは全くないので、中間法人と一緒くたになってそれを一緒に処理しろとなると、要するに、中間法人まで一切非課税でいいよ、もう帳簿だけあればいいよというわけにはちょっといかないのではないかというのが根っこにあったということであります。

いずれにしても、この話、先ほど来ご説明になってられるように、一から仕切り直しで、もう一回ということになると、多分、民法のほうの本質的な議論をもうちょっとしていただかないとならない、水野先生がご説明になったほうがよろしいのですけれども、というような気がしているところです。河野先生が言われているような、非常に政治的な難しさもあるのですけれども、それ以前に、もっと民法自体の大きな問題もあるのではないかと思っております。

石会長

といったように、さまざまな要因が複雑に絡まっているというところをご理解ください。したがって、仕切り直しで、土俵自体がどうもよくできてなかったと。そこで相撲とれと言われたところで、いろいろワーキンググループの先生方は苦労したということですね。そういう形で今一服しているという形で、いずれまたお諮りしてということになろうかと思います。

何か特にご発言ございますか。よろしゅうございますか。どうぞ、水野さん。

水野(勝)委員

今の続きですけれども、今NPO法人法の46条に、NPOというのは税法上は全部公益法人と一緒ですと書いてあります。そういう規定がありますよね。ですから、中間法人の問題は別にここでほうり出してもそれでいいのではないかと思いますけれども、せっかくある今のNPO法人法の46条、そこを大事にしていただければ万事解決できるのではないかという気がします。

石会長

万事解決かどうかは(笑)、ちょっとまたボールを投げて、もう一もみしてもらって、うまくまとまったところで次回は報告をさせていただきます。今日はまさに挫折した歴史を語っただけの話でありまして、苦労したということだけご紹介させていただきました。

それでは、予定した時間がほぼ来ますので、今後の予定についてお話しいたしまして終わりにしたいと思いますが、4月以降は少し回数を増やし、本格的な議論にしていきたいと思います。つまり、6月ないし7月には中期答申を出したいと思いますので、幾つか具体的な話もしながら固めていきたいと思います。

現時点では、4月1日と8日、火曜日ですが、基礎小を考えておりますし、金融小委というのも4月に入りましてから立ち上げる予定でございます。そういうわけで、それをやれば必ず総会で一回お諮りしてという段取りを組まなければいけませんので、また総会のほうも今まで以上に開催するという段取りになろうと思ってます。

それから、4月の末から5月の連休にかけまして、ごくごく少人数で北米と北欧のほう、具体的にはカナダ、アメリカの北米班とスウェーデン、デンマークの北欧班で、社会保障と税制とか、金融・証券税制とか、納番とか、そういうものにつきまして調査をしていきたいと考えております。これは中期答申に取り込むべきいろいろな問題を海外の経験を踏まえて整理したいという視点で考えております。

以上、予定いたしました、今日は4時までやるのか3時半で終わるのかちょっとわからないので、ちょうど45分ですからちょうどいい時間ではないかと思いますので、これで終わりにしたいと思いますが、よろしゅうございますか。

じゃどうもありがとうございました。

〔閉会〕

(注)

本議事録は毎回の総会後、速やかな公表に努め、限られた時間内にとりまとめるため速記録から、財務省主税局及び総務省自治税務局の文責において作成した資料です。

内容には正確を期していますが、税制調査会議事規則に基づき、事後の修正の可能性があることをご承知置きください。