第38回総会 議事録

平成15年1月17日開催

石会長

おはようございます。皆さんおそろいと思います。福田官房長官は1、2分遅れます。そして、小泉総理大臣は15分ぐらいにお見えになるということでございます。

年初早々お忙しいところ集まりいただきまして、ありがとうございます。今年最初の総会ということでございまして、いうならばスタートアップするというわけでありまして、いろいろなことをお諮りしたいと思っております。

今日は、小泉総理大臣、福田官房長官のほかに、塩川財務大臣、片山総務大臣、それから谷口副大臣もお見えいただいておりまして、これから一緒に議論を進めてまいりたいと思っています。

6月には我々の3年間のいうなれば卒業論文みたいな、俗に言われています中期答申、基本的な答申というものを出したいと思っていますので、それに備えてこれからかなり頑張って答申をつくるべく議論をしたいと思っています。

昨年11月に年度末の答申を持っていったときに、総理から直接、今年も1月から議論を始めてもらいたいというお話がございました。くしくも昨年も1月17日でしたよね。阪神・淡路大震災の日と同じにたまたまなっておりますが、今年も17日から、昨年と同じような形で議論がスタートするわけであります。

総理からも、お見えいただいたときに一言御挨拶いただきますし、それから、10分ぐらい時間をいただいておりますので、皆さんのほうからもまたいろいろ御意見があれば、直接お出しいただけたらと考えております。

では、議論に入る前に、事務局のほうに異動がございました。最初に、総務省の板倉自治税務局長より御紹介いただきますが、板倉さん自身、今日が初めてのことでございますから、御自分の紹介も含めてよろしくお願いします。

板倉自治税務局長

ただいま御紹介をいただきました自治税務局長、本日付で拝命をいたしました板倉でございます。大変税制全体が難しい時期でございまして、先生方の御指導を得ながら、よりよき地方税制の構築に向けまして、誠心誠意全力を挙げて努めてまいりたいと考えておりますので、ぜひよろしく御指導のほどをお願い申し上げます。

それでは、異動がございましたので、御紹介をさせていただきます。

本日付で瀧野欣彌前自治税務局長は、総務省の大臣官房長に異動いたしました。

課長でございますが、木内喜美男前都道府県税課長は、総務省の大臣官房参事官でございます。

株丹達也前固定資産税課長が、そのあとの都道府県税課長に就任いたしました。

そのあとの固定資産税課長は、鹿児島県で総務部長をしておりました佐々木敦朗でございます。

さらに、企画課の税務企画官をしておりました境勉は異動いたしまして、鹿児島県の総務部長。

稲岡伸哉前都道府県税課の理事官がそのあとの企画官でございます。
よろしくお願いいたします。

石会長

それでは、総理がお見えになるまでまだ時間がございますので、平成15年度税制改正に関しまして、概要を事務局から御説明いただこうかと思っています。税制調査会で議論した検討事項がどのように反映されたかというのを含めまして、清水総務課長と株丹都道府県税課長から各々御説明いただきたいと思います。

清水総務課長

総務課長でございます。

政府税調におかれましては、昨年、平成15年度の税制改正の御議論の中で、昨年の6月に「あるべき税制の構築に向けた基本方針」をおまとめいただき、それを踏まえまして、11月に「平成15年度における税制改革についての答申」をとりまとめ、頂戴したところでございます。15年度の税制改正につきまして、政府としても取り組みまして、具体的な内容をまとめまして、さらにそれについては、本日、「平成15年度税制改正の要綱」ということで、閣議決定をしたところでございます。

具体的な内容については、『資料』という縦長のものにとじてございますが、めくっていただきますと、平成15年度税制改正案の概要、国税関係がございます。お時間の関係もございますので、簡単に御紹介させていただきたいと存じますが、この最初の箱書きのところでございます。現下の経済・財政状況などを踏まえつつ、持続的な経済社会の活性化を実現するための「あるべき税制」の構築ということで、具体的には、我が国産業の競争力強化のための研究開発減税・設備投資減税の集中・重点化、次世代への資産移転の円滑化に資する相続税・贈与税の一体化及び税率の引下げ、「貯蓄から投資へ」の改革に資する金融・証券税制の軽減・簡素化、土地の有効利用の促進に資する登録免許税の軽減、人的控除の簡素化などの観点から配偶者特別控除(上乗せ部分)の廃止、消費税に対する信頼性・透明性を向上させるための免税点制度等の改革、酒税・たばこ税の見直しなど、一体として講じるということでございます。

これらの措置によりまして、平成15年度において、1.5兆円程度の減税、国税・地方税を含めますと1.8兆円程度の減税ということで、多年度においては税収中立ということでございます。

詳細につきましては、別途平成15年度の税制改正の要綱というものがございます。23ページにはその増減についても数字がついてございます。御参照いただきたいと存じます。

この税制改正の要綱に基づきまして、政府といたしましては、2月早々にも所得税法等の一部を改正する法律案ということで、通常国会に提出するべく作業を進めているところでございます。

それから、今後の中期答申に向けた御議論ということで、この資料集をおめくりいただきますと、A3のものが綴込んでございます。これは昨年の6月にとりまとめいただきました「あるべき税制の構築に向けた基本方針」でございます。全般にわたりまして、いろいろな基本的な方向をおまとめいただいているところでございます。15年度の税制の論議を経まして、なお議論を残しているものとしては、これを照らし合わせてみますと、高齢者に関する控除などいくつか項目がございます。それを抜き出してみますと少子・高齢化と税制、金融資産性所得の課税の一体化、非営利法人課税等、国と地方、その他といったような課題が残されているかと存じます。これらについて、今後御議論を深めていただきたいと考えているところでございます。

石会長

ありがとうございました。

では、地方税関係、株丹さん、お願いいたします。

株丹都道府県税課長

引き続きまして、地方税の関係、改正概要をごらんをいただければと存じます。いま国税のほうでご覧をいただきました資料、若干戻っていただければと存じますが、最初の何枚かが国税の関係、ただいま御説明があったものでございまして、そのあとに「平成15年度地方税制改正(案)について」という紙を入れてございます。3ページほどにまとめさせていただいておりますが、地方税につきましても、あるべき税制の構築に向けまして、15年度の税制改正について取り組んだところでございます。

その内容につきましては、基本的に11月に頂戴をいたしました本税制調査会における15年度の税制改正についての答申に沿ってございます。特にご覧をいただいております1枚目の「一 法人事業税への外形標準課税の導入」につきましては、これまで本税制調査会におきまして、長い期間、大変御熱心に御議論を頂戴したものであると考えてございます。具体的には、平成15年度に資本金1億円超の法人を対象といたしまして、外形基準の割合を4分の1とする外形標準課税制度を創設をいたしまして、平成16年度から適用をさせていただくという内容でございます。

以下、次のページには、土地流通課税等の大幅な軽減、あるいは土地にかかります固定資産税負担の調整措置の維持といった土地税制の関係、さらに、金融・証券税制についての軽減、簡素化といった内容をあわせまして、2月上旬にも地方税法等の改正法案といたしまして、この通常国会に提出をさせていただくよう、現在鋭意作業を進めているところでございます。

そのほかの関係、資料につきまして、先ほどもご覧をいただきましたA3の「あるべき税制の構築に向けた基本方針」のところで、アンダーライン以外の部分、国税のみならず地方税の関係もあるところでございまして、その内容は、一番最後の「経済社会の構造変化への税制上の対応の主な課題」にございます。既に御紹介がありましたように、少子・高齢化と税制、あるいは国と地方、こういうような各項目につきまして、今後議論をさらに深めていただければということでございます。

今年につきましても、よろしくお願いをいたしたいと考えております。

石会長

ありがとうございました。

総務課長、清水さんから追加で御説明があるようですが、まだ首相がお見えになるまで5、6分ありますので、清水さんにこの時間を提供するから、うまく時間を使って御説明ください。もし余れば、増減税の表などを御説明いただいても結構ですから、よろしくお願いします。

清水総務課長

恐れ入ります。先ほど15年度の税制改正の概要について御説明申し上げました。これは12月の中頃に具体的な中身をとりまとめたものがございますが、そのときに、石会長のほうから、今日お手許にございます資料の一番下にあるかと存じますが、「所感」という形で1枚紙を出されておられます。具体的にとりまとめられた税制改正の内容につきまして、政府税調から頂戴した答申に基本的に沿っているということで、抜本的な税制改革の取組みということで、評価しておられる所感をいただいているところでございます。

石会長

どうしましょうか。総理は15分ごろにお見えになるということでございます。まだ2、3分ありますから、では、お手許の資料などをぱらぱらおめくりいただきまして、とりあえず総理から直接いろいろなお話をいただいたあとのほうが本格的な議論はいいと思いますから、しばらくそういう形で時間を使わせていただきます。

(小泉内閣総理大臣 着席)

総理がただいまお見えになりました。どうもお忙しいところ、ありがとうございました。

それでは、早速ではございますが、小泉総理大臣から御挨拶をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

小泉内閣総理大臣

新年おめでとうございます。昨年はいろいろお世話になりました。今年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

昨年、税制調査会の皆さんに対しまして、例年と違って、1月から「あるべき税制改革」を議論していただきたいとお願いいたしました。その結果、1月早々から熱心に議論をいただきまして、例年より早く11月に答申をいただきました。おかげさまで大幅な税制改革案を今国会に提出することができました。これはひとえに皆さんの御尽力の賜物でありまして、厚く御礼を申し上げます。

しかしながら、まだ取り残されたといいますか、まだまだあるべき税制に向かって議論をいただき、一つの方針を出さなければならない点においては、まだかなりの課題が残っていると思います。特に少子・高齢化、社会保障、お互い税の負担なくしては、いかなる政策も実行できないという観点から、いろいろ取り上げられなければならない課題も残っておりますので、今年もあえて、1月ではございますが、こうして早期に議論をいただきまして、来年度のあるべき税制改革へ向けて不断の努力をしていかなければならないと思っております。

財政状況が厳しい中、先行減税、そして後々の財政規律を考えて、税収中立という未だかつてない多年度にわたるバランスのとれた答申を出していただきまして、その実現に向けて、今通常国会で私も精いっぱい努力をしてみたいと思います。

残された課題といたしましては、私は中央から地方へ、官から民へということを言っていましたけども、中央から地方への動きが、特に税制面においてもっと考慮しなければならないと思っております。昨年も外形標準課税の議論が起こってきたときに、私は、知事がそれだけ要求するのだったら、県議会に権限を与えればいいじゃないかと言ったんです。

そのほかいろいろあると思います、議論しなければならないのは。市町村民税とか都道府県民税、これも県議会、市議会に権限を与えてもいいじゃないか。ゴルフ場利用税だって、地方の問題だけども中央が決めているんでしょう、国会は。入湯税、お風呂に入る、温泉、あれだって地方で決めていいものを、何で国会で決めなければならないのか。地方に裁量権を与えるということをもっと考えていいんじゃないかと。それは補助金、交付税、そして税源、財源移譲、これを私は総務省ももっと地方に自主権を与えるということに積極的になってもらう必要があると思います。現に総務省は前は自治省、その前は地方自治庁だったと聞いています。実際は中央集権省だ。何でもかんでも中央で決める。もっと本来の自治を、税というのは一番自治にかかわる問題ですから、その点を今回税制調査会でもしっかり議論してもらいたい。地方に税源、財源を移譲する。そういう点もよく考えて議論していただきたいと思います。

いろいろ要望は多いわけでありますが、お忙しい中を熱心にこうして皆さんが参加いただくということは、大変ありがたいことでございます。国会からは、国会議員を軽視して民間人を重視しすぎると批判がありますけども、むしろいろいろなお仕事を抱えながら、公的な役割、国の発展のために、少しでも自らの見識なり力を出したいという皆さんの意見を尊重することも大事だと思っております。どうか  今年もよろしく御指導、御鞭撻お願いします。ありがとうございました。

石会長

どうもありがとうございました。年の初めから大変鋭い問題提起をいただきました。

それでは、若干のお時間をいただきまして、税調のメンバーの方々から御意見なり御質問があれば、承りたいと思います。時間もございませんから、どうぞ。

島田委員

一言申し上げます。昨年のちょうどこの日に、総理は50年ぶりの改革ということで、「誰もが負担し、努力の報われる税制」という基本方針を示されました。それに基づいて関係者の大変な御努力があって、ある程度の進歩があったと思いますが、3つのポイントだけちょっと触れたいと思います。

さらに進めるべきポイントは、1つは、わかりやすい、もっと簡素な税。つまり、それについては様々な歴史の役割を終えたような控除はずいぶん整理をなさったので、大変いいと思いますが、もっともっと簡素にする。そうすると、今度は逆に社会保障とか教育とか住宅とか、これは税の控除で面倒をみるよりは、直接の政策で面倒をみる方向へ進めるべきだというのが一つあると思います。

もう一つは、今般、塩川大臣の大変な御努力で、私もよく見ておりますが、大変な御指導で、無駄な歳出を圧縮されましたですね。ですから、政府予算そのものは額は大きくないのですけど、筋肉質の予算になってきたかなと。これをもっともっと進める。そうしますと、本当に必要な弱者とかニーディーな人たちに真の支出ができるのだということがあると思います。そういうふうにした上で、活力、つまり努力、リスクに報いる税制ということが必要だと思うのです。

今般、エンジェル税制について、これまでは損益が確定しないと全然使えなかったのを、最初の投資の段階で使えるようにしたというのは、大変な進歩ですけども、もうちょっと広く、もうちょっと額を深くして、実は国内の投資家ばかりではなくて、世界の投資家が日本は投資しやすい国だと思えるような構造をつくるというのが、私は今年の大きな課題ではないかということを、総理にぜひ申し上げたいと思います。

石会長

ありがとうございました。

二、三質問をまとめて承ってから総理に御意見を伺いたいと思いますが、どうぞ、村上さん。

村上特別委員

昨年の税調答申、それから、その後の大綱の決定の過程で、デフレ対策に資する税制という観点からいくと、いろいろな議論があると思うのですが、これからの議論で、総理がデフレ対策としての概略、また、どういうことを期待されているか、それをお聞かせいただければと思います。

石会長

ありがとうございました。

ほかに。どうぞ、水野さん。

水野(勝)委員

15年度予算の一つの特徴は、国税が全体の歳出歳入規模の51%、半分しか占めていないという、非常にこれが印象的な姿でございます。こういうことでは、国税というものの位置づけがこれでいいのかどうか。税というものの役割、基本的に考えるべき瀬戸に来ているのではないか。プライマリーバランスとかそういった問題以前の問題ではないかと思うわけでございます。個別に項目をどうするということとともに、国税の位置づけ、これを考える。これが今後の一つの大きな仕事ではないかと思うわけでございます。

それに関連して、総理からお話がありました国税と地方税との関係、特に地方税の独自性を発揮するという、これはもう本当にそういうことではないかと思うわけでございます。例えば、国税の3割なり4割を交付税として1人当たりで均等に分ける。あとは、どういう税をどういう税率で決めるということも、すべて県なり市町村で決められたらいい。それはもう選挙を通じてそれの責任が問われる、また自主性が発揮できるわけでございます。

その際よく問題になりますのは、税源移譲ということですけれども、国税はいま申し上げたような厳しい状況にあるわけですから、それとは別に、とにかく最低限の交付税を配慮したあとは、どういう税、どういう税率で、それはもうそれぞれの自治体が自主性を発揮して決めるという、そうした思い切った方向といったものが考えられるのではないかと思うわけでございます。

石会長

ありがとうございました。

もう一つだけ。では三山さん、どうぞ。

三山特別委員

消費税のことについて一言。昨年の暮れから年明け、消費税の税率アップ論議が非常に高まっています。非常にいいことだと思います。また、総理も、議論はどんどんやってくれと。ここまではいいのですが、自分の内閣中はやらないとおっしゃると、議論が議論のためになるのかなという感じもしますし、小泉内閣がそんなに短く終わるとも思わないので、そこらあたりについて、総理の、自分の内閣中はやらないという部分について、もうちょっと何かお考えができないものかなと、そう思います。

石会長

まとめてよろしくお願いいたします。

小泉内閣総理大臣

いろいろ御議論いただきましたが、要点だけお話ししたいと思います。

まず、島田委員からのは外資。これは今、すぐ外国の企業が日本の企業を資本投入とか買収すると、外国に乗っ取られるとか警戒論が強い。逆だと思います。

今回、外国人旅行者、出るのが1,600万人を超えているのに、外国から日本に来るのが500万人に達していないと。かつて、来るのが500万人足らずのときに、倍増しよう、1,000万人にしようと。外国に出ていく目標はもう1,600万人を超えたわけです。今度は逆に、外国人が今500万人足らずですから、これを倍増して、1,000万人日本に来てもらおうという計画を、今目標を立ててこれからやっていこうということであります。

同時に、外資警戒論ではなくて、外資歓迎。先進国に比べると、サミット参加国に比べると、日本は外国企業、外資の割合は10分の1、20分の1、30分の1です。警戒論よりもむしろ歓迎論。外国企業にとっても日本が魅力ある市場にしていかなければならないという点について、観光だけではなくて、総合的に考えていく必要があるという点を、政府としても考えていかなければならないと思っております。

また、村上委員のデフレ対策ですが、これは私は即効薬、「これだ」というのはないと思います。金融改革、税制改革、規制改革、歳出改革、総合的に取り組む必要がある。今回の税制改革だって、そういう意味において、貯蓄から投資とか、あるいは土地にしても、相続税・贈与税にしても、そういう観点から、活性化にあるべき税制改革を皆さんが議論している。いわば即効薬はありません。みんな「これだ」と期待していますけれども、これをやればデフレが直るんだ、そんなのはありっこない。総合的な改革を地道に進められていくのがやはりデフレ対策だろうと思っております。

それから、水野委員の地方税。これはもう本当に今考えると中央集権なんですよ。地方も知事も、増税してくれというときは、自分たちはやらないから、してくれしてくれと言う。それじゃあ、増税も減税も自由にできるように県議会でやればいいじゃないか。これはもっと本当に真剣に考えてもらいたい。ゴルフ場利用税だってそうでしょう。入湯税だって。本当に地方の問題でしょう。

それから交付税の問題。これは全国ある。もっと本当に地方の議会で権限を与えないと、自治なんか生まれませんよ。さっき言ったように、本当に自治省じゃない。中央集権省だ。これは片山大臣も真剣に考えてもらって、大幅に地方に税源、財源を移譲して、地方の特色を出してもらいたい。

すでに介護保険なんていうのは地方の特色でやっているんですから、かなり権限もやっている。中央の基本的なものと、地方に特色を出してもらう。そういう競争をし合うことによってやらないと、本当の自治は育たないですよ。減税だけやって、増税は国会議員がやってくれと。減税は地方がやるというのではなくて、両方バランスをとって、給付と負担、それぞれが住民が考えてもらうということにおいて、私はこの県議会、市議会、地方にもっと税源を移譲していいんじゃないか。交付税の関係がありますから、東京だけできるというような状況はよくないと思いますけども、それにしても各地方が特色を出せるように、ぜひとも今年はそういう点も考えていただきたいと思います。

それから、三山委員の消費税ですが、これは私は、議論は結構ですが、私の在任中は消費税を上げません。議論は封じません。なぜならば、削るところはたくさんありますよ。今から消費税を上げると言ったら、歳出の見直しが緩んでしまいます、手綱が。道路民営化にしても、郵政民営化にしても、これは将来、必ず大きな税金の無駄遣いをなくす。民間に移譲して、税源が上がってくる。大きな芽が出ているんです。この果実を上げるのは、私が退任してから必ず出てくる。それを今やっているんですから。

それをやらない段階で、足らないから税金を上げる。消費税を上げる。消費税だけじゃないです。所得税もほかにもたくさんあります、間接税も、議論するのは。それをまとめて議論していただきたい。消費税の議論は封鎖しませんけども、私は消費税を上げる前に、歳出の見直し、無駄遣いを徹底してやる。役所がやらなくてもいい仕事はたくさんある。民間に任せればもっと税収が上がってくることはたくさんある。そういう点を私の在任中は徹底的にやりたい。議論は歓迎しますが、私の在任中は消費税を上げません。だから、所得税もほかの議論があるから大いにしていただきたいと思います。

石会長

ありがとうございました。大変率直な御意見を伺えたと思います。我々の議論の活性化にこれが大いにつながっていくと考えております。

総理は次の御予定もございまして、大変お忙しい中おいでいただきまして、ありがとうございました。今後よろしくお願いいたします。

小泉内閣総理大臣

よろしくお願いします。

(小泉内閣総理大臣 退席)

石会長

それでは、しばらく時間をとりまして、自由な討議をいたしたいと思います。そのあとで塩川大臣と片山大臣から、いろいろ御意見もあろうと思いますので、御意見を開陳していただくという形で閉めたいと考えております。

10分か15分ぐらい、今の総理の御発言を受け、かつ、事務局から来年度税制改革の詳しい情報もいただきました。そういう意味で、今年の6月から7月にかけて、我々の任期がちょうど3年で終わる時期に合わせて答申をまとめなければいけない。これは年度改正の答申ではございませんで、やや長めの、これから先を見据えた形の基本的な方向を示唆するというか、それをまとめる答申でございます。そういうものとの関係でどういう議論をしたいかという点、あるいは、対話集会を去年やりましたけれども、それについて今年もどうしたらいいかとか、いろいろ御意見はあろうと思いますので、どうか自由に、テーマを限定いたしませんので、御発言をいただけたらと思います。

どなたでも結構でございますから、どうぞ。

河野特別委員

今年に入って、政界と、財界というのか産業界というのか、一斉に消費税論議というのが盛り上がってきたんですよね。僕は十数年間この問題で全く強い北風の中で議論をやってきたという印象しかないので、えらい様変わりだなという感じがするんですよ。どう考えたって、所得税と消費税というのが柱になることは間違いないんだ、これから。それについてかなり肯定的な空気が広まっていることは大歓迎なんですけど、しかし同時に、今の議論の立て方というのに対して、若干の危惧の念がある。総理はそればっかりやっていると、歳出のほうでと今最後おっしゃっていたけど、もちろんそれもあります。それもあるけど、やはり所得税のほうだって、これは石さんが一番御存じのように、我々積み残しもたくさんあるわけで、公的年金の控除の問題だとかややこしい話は、我々は全部先へ送ってきた。今度消費税議論を福祉目的税的な意味の議論をする方もあるし、いろいろあると思うけど、やるんだったら、そういうことを総合的に考えないと、具合が悪いのではないかと思うのです。

今の一部に見えるフォローの風、まあ歓迎すべきだと思うけども、ちょっとやはり上っ調子になりかかっているんじゃないかという気持ちもいくぶんかある。

それで、さっき会長が今年の6月か7月ごろ、我々は中期答申みたいなものをまとめるとおっしゃいましたよね。総理は隣りで、任期中は相変わらず税率を上げないんだということをおっしゃって帰られちゃったので、まあそれやこれや考えてみれば、政府税調というのは、やはり腰を落として、いろいろな角度からこの話をしっかりと夏ぐらいまで議論して、そこでペーパーを書くならペーパーを書いて、最後の勝負は、今年の末、あと1年間ぐらいあるのだけども、そのときに、いつごろから、何ぼの規模で、どういう目的で何をやるのだということについて、きっちりした答申を書ければいいと思うんですよね。だから慌てることはないと。順風は吹いてきたけども、危うい話もたくさんあるから、多角的に議論しましょうねということを申し上げておきたいのです。いかがですか。

石会長

ありがとうございました。私もそのように考えておりますが、おそらく皆さんも今の御発言に共感するところが多々あるかと思います。どうぞ、いろいろ御意見があったほうがいいと思いますので、御発言ください。今日は内容に入るより、どういうことかといいますと、これからどうしようかというような意気込みなり、プロセスなり、そういう辺でいろいろ御発言いただいたほうがいいと思いますが、いかがでしょうか。

菊池特別委員

水野さんがおっしゃったことと同じといえば同じなのですが、やはり政府として使うお金の半分しか税金が集まらないというのは、よくでかい顔してそれで政府やっているなというふうに一般的には思うのですが、その税制というのを、一応制度として責任がこの税制調査会にあるわけであって、制度的に欠陥商品なんじゃないかというふうに僕なんかは感じるのですよ。

その中で、ちまちました話も重要なんですが、トータルとして圧倒的に足りないという中で、単純にいえば、全部倍にしなければ正常な格好ではないわけですよね。別に国債ゼロというのが理想ではないにしても。倍にしても借金が減るわけではない。そこからまた増やさなければどうにもならない。そこまで来ているという認識は、もうちょっと強めていいのではないかなと思います。

石会長

ありがとうございます。財源の問題を積極的に取り上げようということだと思いますが。どうぞ、今野さん。

今野委員

両大臣がいらっしゃるところでぜひ聞いていただきたいのですが、昨年この場で総理は、「汗をかいた者が報われる国にしたい」とおっしゃっていただきました。私、いまニュービジネス協議会という全国3,700社のニュービジネス、ベンチャーの団体をやらせていただいておりますが、みんなその総理の力強い言葉を本当に信じて、知恵を出し、汗をかいておりますが、御存じのとおり、依然として開業率を閉業率が大きく上回っていくという状況は変わっておりません。そんな中で失業率もどんどん増えていっているのは御存じのとおりです。

先ほど島田先生もおっしゃいましたが、今回、エンジェル税制を見直していただいたことは、本当に感謝します。

本来、地域のそういうニュービジネス、中小企業のよきパートナーである銀行は、いまや本当に我々中小企業、ベンチャーの存続を脅かすような存在になってきていると思います。本当に残念なことですし、といってもこのまま日本は活力をなくすわけにはいきませんので、引き続き私たちはお互いに励まし合って頑張らなければいけないのですが、本当にもっと根本的に、いま我々が置かれている状況がどんなにひどいものかという認識をお持ちいただいて、今後とも本当に知恵を出し、汗をかいた者が報われる日本づくりにお力添えをよろしくお願いしたいと、心からお願い申し上げます。

石会長

ありがとうございました。

それでは、ほかにまだ……。どうぞ、柳島さん。

柳島委員

これは前から出ている議論なのですけど、先ほど総理も言われたとおり、やはり取る人と使う人が別なのが、歳出削減が進まない最大の原因だと思うのです。だから税調としても、財政審その他あるのですが、アメリカ方式で、昔やったグラム・ラドマン・ホリングスがいいかどうかはわからないですけど、やはりそういう非常事態のことをやらないと済まないのではないかと。税金だけでは赤字はどんどん拡散していくのではないかという感じがしまして、財務省でも財政の支出のほうと密接に連動して考えないと、これは国・地方を通じて。そうしないと、この国はもたないのではないかと。だから、やはり税調としてもそういう視点で今年は、それは財政審がありますけど、その両方を見渡して議論する必要があるのではないかと、このように考えます。

石会長

ありがとうございました。

和田さん、どうぞ。

和田特別委員

もうすでにお話が出ておりますように、今年度の予算を見て、一般の人たちでも、これが尋常な形ではないということは、普通の話の中で出てきております。そして、自分の家の家計と引き比べて、「自分の家の家計だったら、こんなことしてられないわよね」というのが話の中に出ております。

それで、そういうことを考えて本当にやっていかなければいけない。そして、やはり歳出の無駄というのが相当手はつけられておりますけれども、まだまだ大きいところというのではなくて、細かいことの積み重ねでいろいろなことがあるのではないかということを、もっと見ていく必要があると思います。これが税調の仕事ではないということは承知の上で、やはりそういうところにもぜひ目配りが必要だということを感じております。

それから、一つ言えますのは、やはり国民の多くの合意を得ることのできるような税制ということが、いま何よりも大事なのではないかと思います。世代間の公平ということが言われますけれども、同世代であっても、いろいろなまた公平の問題というのが出てきております。次世代への資産移転とかいろいろなことが、これからどれぐらい実際に移転になるかどうかわかりませんけれど、そういうことを考えましたときに、やはりできるだけ多くの国民の合意を得る。そうでないと、やはり21世紀のこれからのあるべき姿ではないし、いろいろなところに不公平感があるというのは、やはり不幸なことだと思いますので、そういう視点から、これは社会保障の負担と、それから給付も含めて考えていかなければならない。今までの税調でやるだけの範囲のものではなく、もっと広く、どこの場になるのかわかりませんけれども、考えていく必要があるということを感じております。

石会長

もう一つ、二つもしあれば……。では、猪瀬さんどうぞ。

猪瀬委員

結局、政府税調といっても、役所単位でいろいろなことが動いているわけですが、年金の問題は、年金というのはある意味で税金みたいなものですから、ずっと前申し上げましたけれども、そのとき議論が中途半端で終わっていますが、200兆円ためておく必要はないんじゃないかという話をしたいわけです。そうすると、これは厚生労働省の縄張りだから、そっちのほうはそっちのほうで、政府税調は何も言えないのかよくわからないのですが、そういうことで縦割りになっていると話ができにくいので、「政府」という名前がついているのだから、政府税調で厚生労働省の人も来ていいと思うのですけど、要するに 200兆円を早く返してあげて、お金が足りないのなら、どんどん返してしまえばいいのであって、貯めておくメリットは全然ないわけですよ。貯めておくと寄生虫が発生して、あちこちで特殊法人はそれを食っているわけですから、社団・財団法人も。そういうことで、その200兆円をさっさと返して、この前そういう議論をしたときに、実際に年金の専門家によれば、理論的には貯めておく必要は全くないと。そりゃ1か月分ぐらいは貯めておく必要はあるけれども、今4年分ぐらい貯まっているんですか。4、5年分貯めておく必要は全くないので、それを全部返してしまえば、いくらでも景気対策でも何でもお金が使えるわけだし、国民のものですから、国民に返せば、企業のものであったり国民のものであったりするわけですから、何年間取る必要なくなるわけです。そういうことぐらい考えないと、消費税も結局福祉目的税みたいな話になってきますから、そうであるならば、今あるものをまず返すほうが楽だなというふうに思うわけですけれども、税調でそういう議論がなぜできないのかということですよね。省庁別の縄張りだとおかしいわけでありまして、結局国民から取っている金ですから。

石会長

大変多岐にわたる、かつ重要な論点を御示唆いただいたと思います。河野さんがお出しになった問題は、我々の税調としては一番重要な点だと思いますが、やにわに年金の目的税化するような形で消費税を始めても、問題が矮小化されますから、大きな視点から税体系の中で消費税を議論していったらどうだと。おそらくこれは税調の皆さんの共通する御関心だと思いますので、そういう形で今後取り計らいたいと思っておりますし、両大臣からもこの辺について御意見を伺いたいと思います。

それから、他の審議会との連携を深めてというのは、歳出をもっと見直せということ、それから、いま猪瀬さんがおっしゃった年金の積立金の話をどうするのかと。これはおそらく厚生労働省の縄張りと言われているものかもしれませんが、我々として、やはり積極的に他に向けて議論するという姿勢も必要でありましょうから、今年はそういう形で臨んでいきたいと思います。

それから、河野さんがお話しになった、一段と経済活性化の視点から様々な税制を考えるというのも、今年も引き続きこの論点が必要だと思いますし、和田さんの御指摘いただいた国民の合意を得るような税制、実はこれは非常に言葉の上ではやさしいのだけど、どうやって合意を得るかというのは、非常に難しいですよね。しかし、あえてそれに挑戦するという姿勢を税調は示すべきではないかと考えておりますので、こういう点も踏まえつつ、これから夏にかけて議論を展開したいと思います。

それでは、塩川大臣、片山大臣から所感を、あるいは御感想でもいいですが、年初、バンと我々に刺激を与えてください。お願いいたします。

塩川財務大臣

では、おこがましいことですけど、私から、自分の担当として考えていることでございますから、役所が考えているということではございませんので、御認識いただきたいと思いますが。

総理が繰り返して消費税に今手をつけるなとおっしゃっていること、これは私たちも十分と趣旨は徹底しておるのです。しかし、なぜそう言っているかということの、私はその真意をいろいろと議論してみました。そうしたら、平成16年に年金の抜本的改正を行うわけですね。しかも、この公的負担を3分の1から2分の1に上げろと、こういう問題。この財源問題は大変な議論になってくる。これをきっかけに社会保障全体をどう見るのか。いま介護保険も大変な赤字になってきておりますし、また、雇用保険も非常に危機的な状況、医療もそうです。そうすると、セーフティネットの財源というものを一体どう賄うのかというこの根本の問題。そこで、税を中心としたセーフティネットをやっていくのか、あるいは保険を中心としたそういう制度を維持していくのか、あるいは相半々の兼ね合いをやっていくのかという、この根本の議論が片づかないのに、消費税に先行してしまったら困ると、こういうのが総理の意向。我々もそれは十分承知しておるわけであります。

そして、同時に、税の改正だけではなくして、もっとやるべき問題があるではないかと。やるべき問題の中の一つは、予算の歳出のあり方ということなのであります。

そこで、ちょっと申し上げまして、先ほど水野さんのお話にございました、いま予算が今年は15年度82兆円ですね。82兆円のうち42兆円が税金なんです。あと40兆円が、国債36兆円とその他の収入が4兆円、合わせて82兆円。こんなのはちょっと無茶苦茶な予算なんですね。これはやはり認識してもらわないといかんと思うのですが。しかし、そうだといって、それでは歳出削減をやれというんです。歳出削減はずいぶんとやりました。総額において、大体平均して14年度に比べて4%ぐらいやったろうと思うのです。その中身をどこでやったかというと、当然増が15年度で1兆5,000億円増えるんです。この当然増が毎年増えていくということを、これを議論の対象にしてもらわないと、予算の議論というもの、財政の問題は議論できないと思うのですが、それが一つあるということでございますのと、それから、歳出削減しようということ。

その結果、財政の中身をちょっと申し上げますと、義務的経費が非常に大きく占めてしまっておる。一般歳出予算全部で48兆円です。82兆円のうち、48兆円が一般歳出予算なんです。あとのは何かというと、国債が17兆円、それから地方交付税が17兆円でございますから、一般歳出は48兆円しかない。こんな状態の中でどれだけ削減するのかということの問題になってまいります。

しかも、その48兆円のうち、内訳をいいますと、公共事業は9兆円なんです。公共事業を切れとおっしゃいますが、公共事業は9兆円、ここまで切ってきたんです。私が就任いたしましたときには、11兆5,000億円だったのですが、これをいま9兆円に切ってきたんです。それから、義務的経費が34兆円。これが大きい。全部法律ですから、法律で括られておりますから、これは歳出をカットするわけにいかない。それから、裁量的、これはちょっと予算で削れるんです。裁量的経費というのが5兆5,000億円。大ざっぱなことを言いましたら、そんな数字なんです。

今度私たちが歳出削減を思い切りやったのは、公共事業で削減したことが一つ。それから、もう一つ裁量的分野でカットしたということが大きいんです。義務的経費のところにはなかなか手が突っ込めない法律がございますので、あるいは国会の審議がございますので、そういう状態でございます。

ですから、この15年度のこれからの我々の問題としては、義務的経費の中身を洗ってもらって、これを改正してもらわないとしようがない。だから税の問題と同時に、制度の改正に手をつけてもらわないといかん。これを税の問題だけで解決しようといってもできません。そこを税制調査会の先生方が、こういう矛盾があるんだ、この制度をこう変えろというところまで組み込んだ意見の開陳をしていただく。それを受けて、私たちも議論しやすいと思っておりますので、ひとつよろしくお願いいたしたいと思っております。

私一人しゃべってしまってはいかんので、あと総務大臣もありましょうから、どうぞ、ここで。

石会長

気合いの入ったお言葉をいただきました。どうもありがとうございます。片山さんはうずうずしているのではないかと思いますが、どうぞ。

片山総務大臣

総理からも、その他の委員の皆様からも、国と地方の関係、あるいは国税と地方税のあり方の関係、こういうお話がありましたが、いま国の財政が、塩川大臣が言われました82兆円ですよね。地方のほうは、毎年次の年度の地方財政のスケールがどうなるかやるんです。それを地方財政計画というんです。これが86兆何千億なんですが、決算ベースをしますと、おそらく90兆円になると思います。ということは、国の財政より地方財政のほうが大きいんです。しかも、実際使うのを見ますと、これは委員の皆さんはよく御承知でしょうけれども、6割以上は地方が支出しているんです。62~63%。国は37~38%なんです。実際の公のサービス、いろいろな支出。ところが、税は国税が6割で地方税が御承知のように4割です。4割しか収入がないのに、何で60何%もできるか。それは20何%が国から地方に流れてきているんです。そのうちの半分が地方交付税、半分が国の補助金なんです。補助負担金。しかも、地方の歳出の7割は、法令だとか、いろいろな基準だとか、通達だとか、補助金でがんじがらめにしているんですよ、7割は。国の影響下に7割あるんです。だから、この辺をひとつ直してもらわないといけないのです。

我々がいま税源移譲、税源移譲と言っているのは、実際使うのは国が60何%使っているのに、収入が40しかないと。国税で取ったものを補助金で流しているので、そういうややこしいことはやめて、すぐ地方の税金にしたらどうかと、こういうことを言っておりますけれども、そこのところはぜひお考えをいただきたいと、こういうふうに思います。

そこで、総理が中央集権、中央集権と、総理はあの言葉が好きなものですから、いつも言われるんだけれども、中央集権にしているのは全体の仕組みなんですよ、各省の。総務省を含めてかもしれませんが。我々はその中でできるだけ補助金を削れとか、いろいろな細かいことを言うのをやめろとか、法令を直すとか、やかましく言っているんです。ただし、全体の仕組みは、総理が言われるように、やや中央集権的な仕組みが残っていることは事実かもしれない。しかし、これは次第に直していかなければいけないと、こういうふうに思っております。

そこで、国から今、来年度なんかでいいますと、国の補助金、負担金が12~13兆円いっているんです。これをどうしても残すものは必要なんだけれども、しようがないんだけれども、それ以外やめられるものはやめたらどうかということを、財務省にもお願いして、そのために15年度で少し芽を出しました。目刺しじゃなくて芽出し。しかし、これを大々的にやるというのは、大変な議論がありますね。法律がある、制度がある、与党の政治が絡んでいる、議員さんが絡んでいると、こういうことでございますけれども、「2002基本方針」というのでやろうということを決めましたので、総理もやる決意ですから、ぜひこれを進めていきたいと、こう思っております。

そこで、また話が飛ぶのですが、いま国・地方を合わせると、常時30兆円穴があいているんです。もう自動的に。国債や地方債を出しても。これは簡単にいうと、行政サービスが過剰なのか、国民の負担が過少なのかですよ。ここは大いに議論しなければいけないので、行政サービスが過剰なら、過剰なものをやめるべきですよね。負担が少なければ、消費税はだめだとおっしゃるなら、ほかのいろいろなことを考えるか、あるいは消費税まで突っ込むか。これがないと、もうこのまま引きずっていくと、地方交付税だってパンクなんですよ。

地方交付税が大きい大きいと言いますけど、税源配分をちゃんとやっていないから、交付税に頼るんですよ。いま都道府県で不交付団体というのは東京都だけです。全国の市町村は3,200いくらありますけれども、市町村で不交付団体は100しかない。ということは、仕事の割に税源がないから、交付税で仕事をせざるを得ないんです。ここも直してもらわなければいけない。こういうふうに思っております。

それから、今の常時30兆円を超える穴をどうやって埋めていくかということなんですが、そこで地方税をもっと自由にしたらどうかと。ここで租税法定主義という憲法の大原則があるんです。法律は、基本的に国民に負担を一方的に課すのだから、法律でなければだめだと。国会でなければだめだと。地方は議会で条例ですよね。条例でどこまで授権されているかというのは、これは専門家の中でもいろいろな議論があるんです。今、伝統的に大きな税目や仕組みは法律で決める。税法で決める。地方の場合には地方税法で。ただ、その中で、税率をどうするとか、限度をどうするかということは、フレームの中で地方に任せようと。だから、それももっと崩したらどうかというのが一つの意見です。

そこで、いま法定外普通税や法定外目的税は、前よりはずっと自由にしたんですが、これがまたなかなか議論があるんです。いい税源は全部いま国税・地方税になっていますから、それ以外に新しい税をつくるというのは限度があるんです。せいぜい産廃だとか、馬券税を横浜市が考えましたけど、これは私どもでちょっとぐあいが悪いというあれなんですけれども、だからもう一遍税源配分のあり方を、国・地方の役割分担の中で考え直すということがどうしても必要ですよ。

それから、もう一つ、行政サービスがこれだけでいいのかどうか。行革というのは、仕事を減らすことなんですよ。仕事を残して、人だけ削る、予算を削るのはできっこないので、ぜひそこのところは、根本的な議論をぜひお願いいたしたいと、こういうふうに思っております。

石会長

もうそれで十分ですか。

片山総務大臣

12時になりましたので。

石会長

ありがとうございました。

年初早々に大変大きな問題を投げかけられまして、我々今年1年の議論は大変だなと思いつつ、激励をいただいたというふうに解しております。

両大臣、お忙しいところありがとうございました。今後もまた時折登場していただいて……

猪瀬委員

石さん、ちょっとだけ。

塩川大臣、先ほど公共事業が11.5兆円から9兆円まで減らしたということで、僕が何を言いたいかすぐわかると思いますけど、道路特定財源の問題は、だぶついているんですね、その道路特定財源が。だぶついているというのは、非常に問題なんですよ。何とか一般財源化というのを、前から小泉さんは言っていますけれども、結局は暫定税率の問題でそれができないということになって、道路特定財源は余っているから、それで結局はまた高規格道路という形で、どんどんどんどん高速道路を作っちゃうことになっちゃうんですよね。

さっき小泉さんに言おうと思ったけど、どうせわかっているだろうから言わなかった。それと、今井さんがお帰りになったので、ちょうど言いやすくなったんですけども、それまでは気を使ってたんです、ちょっとね(笑)。それで、これは本当にそこのところをきちっとやらないと、結局、今回の改革はざるになってしまいます。よろしくお願いします。

石会長

猪瀬さんの年来の御主張を聞きまして、ほかによろしゅうございますか。ちょうどもう時間でございますし、では、第1回目の総会、これで終わりたいと思いますが、基礎小委を2月早々から立ち上げまして、また基礎小でやった議論を総会で御議論いただくという形で、2月、3月、まだ国会開催中でありまして、いろいろ事務局にも御迷惑をかけるのですが、やっていきたいと考えております。いずれにいたしましても、この6月、7月あたりにある目処をつけた答申を作らなければいけませんので、それまで、お忙しいとは思いますが、またいろいろお願いすることもあろうかと思います。よろしくお願いをいたします。

では、どうも今日はありがとうございました。

〔閉会〕

(注)

本議事録は毎回の総会後、速やかな公表に努め、限られた時間内にとりまとめるため速記録から、財務省主税局及び総務省自治税務局の文責において作成した資料です。

内容には正確を期していますが、税制調査会議事規則に基づき、事後の修正の可能性があることをご承知置きください。