第35回総会 議事録

平成14年11月5日開催

委員

時間になりましたので、35回目になりますが、総会を開催いたしたいと思います。

今日は、「答申素案」というのがお手元にございますように、これを御審議いただく。時間も2時間半ほど休みなくやる予定でございますので、その点、御留意いただきたいと思います。

今日は案文の審議でございますから、非公開にしております。ただし、今日の議事録は、発言者の名を伏せて後日公表になりますから、その点だけ御承知おきください。それから、審議のあとに、何をしたかということは、かいつまんで私のほうから記者会見で説明してこようかと思っています。

それから、お手元に、非営利法人課税ワーキンググループの名簿が出ていると思います。このような方々にメンバーになっていただきまして、ワーキンググループを立ち上げまして、11月1日、すでに審議を始めていただいております。座長は、水野忠恒委員にお願いしてございます。

今から40分ぐらいかかるらしいのですが、「素案」を読み上げていただきます。この素案の性格でございますが、基礎問題小委員会の委員の方に起草会合を兼ねていただきまして、代理に座長を務めていただきまして、皆様の御協力をいただきつつ代理と私で最終的に判断をし、ここにまとめたという形であります。

最大のねらいは、来年度税制改革に関しまして国民に対して明確なメッセージを送りたいということでありまして、簡潔に、かつ明瞭にということを念頭に置いたつもりでございます。そういう意味で、両論併記という、どちらがどうかわからないようなやり方はとっておりませんで、ストレートに書いてあるかもしれませんが、いろいろ御議論いただいたのは、次に「答申に盛り込まれていない主な意見」という冊子がございまして、ここに盛り込まれております。ただ、これはまだ全面的にすべて網羅しているというわけではございませんし、自分の言ったところが落ちているという御不満もあろうかと思いますが、今日、またお出しいただけたらと考えております。

それから、「答申」の内容でございます。これもずいぶん基礎問題小委員会の方々で御議論いただきまして、ある人の意見はここにストレートに反映されているかもしれないけれども、どうも俺のが入っていないという御不満の方も当然あろうかと思います。それはそれで、今日おっしゃっていただけたらいいのかなと思っておりますので、その点は御留意いただきたいと考えております。ひと通り読んでいただいたあとで、議論すべきポイントにつきまして、議論を始める前に私のほうから再度御説明したいと思います。

それでは、「答申素案」を、事務局からお読みいただけますか。よろしくお願いします。長文でありますが。

事務局

当調査会は、本年1月の内閣総理大臣の指示を受け、中長期的な視点からのわが国税制の抜本的な改革に向けた本格的な審議を始め、6月に「あるべき税制の構築に向けた基本方針」(以下、「基本方針」という。)をとりまとめた。3月から10月にかけては、幅広く国民の意見を聞く観点から、全国12か所で「税についての対話集会」(以下、「対話集会」という。)を開催した。

内閣総理大臣からは、当調査会に対し、平成15年度税制改正において検討すべき具体的事項が示され、これらの事項を中心に、「基本方針」で示した「あるべき税制」のうち平成15年度税制改正で実現すべき当面の課題について検討を行った。

検討過程においては、9月に「対話集会」の結果等を踏まえ議論の状況を整理した「「あるべき税制」の実現に向けた議論の中間整理」をとりまとめた。さらに、10月には「研究開発減税・投資減税の基本的枠組み」を当調査会会長談話として公表した。

本答申は、平成15年度税制改正に当たっての指針を示したものである。

第一 基本的考え方

一 「あるべき税制」の構築に向けて

国民の間で経済社会の先行きに対する閉塞感が深まる中、持続的な経済社会の活性化の実現には、構造改革の断行が急務である。「基本方針」では、税制についても、構造改革の一環として、少子・高齢化、グローバル化などの急速な経済社会の構造変化に的確に対応し、中長期的な姿としての「あるべき税制」を着実に実現させ、持続的な経済社会の活性化を図っていく必要があるとの考えを示した。

さらに、21世紀のわが国を支える「あるべき税制」に求められる視点として、以下の5点を指摘した。つまり、?個人や企業の自由な選択を妨げず経済活動に中立で歪みのない税制を基本とすること、?経済社会の構造変化に対応しきれず、税負担の歪みや不公平感を生じさせている税制上の諸措置の適正化を図ること、?納税者にとり分かりやすい簡素な税制とすること、?安定的な歳入構造の構築に資すること、?地方分権の推進と地方税の充実確保を図ること。

また、「基本方針」では、極めて厳しい財政状況を踏まえ、将来的には租税負担水準の引上げが不可避であることとともに、現下の経済事情から引上げ自体が当面の課題になり得ない場合にも、改革がこの方向性に反しないことが最低限必要であることをあわせて指摘した。(P1)

平成15年度税制改正においては、個人所得課税、法人課税、消費税、相続税など広範にわたる各税目について、上記の視点に基づき、「基本方針」で示した「あるべき税制」の構築に向けて、第一歩としての改革を一体として進める必要がある。

具体的には、

(1) 個人所得課税については、人的控除の簡素化・集約化を進めていく第一歩として、経済社会の構造変化に対応させるため、配偶者特別控除や特定扶養控除について、廃止を含め、制度をできる限り簡素化する。こうした取組みを通じ、個人所得課税の「空洞化」の状況を是正し、基幹税としての機能回復を図る

(2) 法人税については、わが国企業の競争力強化と構造改革を促進する観点から、21世紀をリードする戦略分野の成長を支援する研究開発税制、設備投資税制を集中・重点的に講じる

(3) 消費税については、将来その役割を高めていくための前提として、消費税に対する国民の信頼性、制度の透明性の向上を図る観点から、事業者免税点制度を大幅に縮小し、簡易課税制度については原則廃止とする方向で抜本的な改革を行う

(4) 相続税・贈与税については、高齢者の保有する資産の次世代への移転の円滑化に資する観点から、相続税・贈与税の一体化措置を導入する。これにあわせて、相続税について最高税率の引下げを含む税率構造の見直し及び課税ベースの拡大を図るとともに、贈与税について相続税に準じた見直しを図る

(5) 法人事業税については、税負担の公平性の確保、地方分権を支える基幹税の安定化等の観点から、外形標準課税の導入を図る

(6) 固定資産税については、連年の地価下落の状況にも留意して、その安定的確保と課税の公平の観点から、負担水準の均衡化・適正化を一層促進する

(7) 土地税制については、都市再生等、土地の有効利用の促進に資する観点から、登録免許税・不動産取得税の軽減を図る

(8) 金融・証券税制については、金融商品間の中立性を確保するとともに、簡素で分かりやすい税制を構築する

ことが必要である。

税源移譲を含めた国と地方の税源配分のあり方については、国庫補助負担金、地方交付税と三位一体で検討することが閣議決定されている。今後、当調査会においては、各関係機関の議論の状況に応じ検討を行うこととする。(P2)

二 平成15年度税制改正の実施に当たって

平成15年度税制改正を取り巻く経済情勢については、輸出や生産など、一部に緩やかな持ち直しの動きがみられるものの、金融・経済情勢の不確実性が高まっており、政府は税制改革を含む構造改革の取組みを強化することが求められている。また、わが国の財政の現状を見ると、平成14年度予算では財政構造改革の第一歩として、歳出の思い切った見直しと重点的な配分に取り組んだ。しかし依然として歳出と歳入には大幅なギャップが生じており、政府は、平成15年度予算においても引き続き財政構造改革を推進することとしている。

このような状況の下、内閣総理大臣は第155回国会の冒頭で、「税制については、持続的な経済社会の活性化を実現するための「あるべき税制」の構築に向けて、抜本的な改革に取り組みます。現下の経済情勢を踏まえ、一兆円を超える、できる限りの規模を目指した減税を先行させます。公正かつ簡素で分かりやすい税制を目指し、多年度税収中立の枠組みの下で、全体を一括の法律案として次期通常国会に提出すべく検討を進めます。」との所信を表明した。

当調査会としては、先に述べた各税目の措置は、「あるべき税制」の構築の一環として、基本的には、平成15年度において一体として実施すべきだが、現下の経済情勢を踏まえ、その実施時期をずらすことにより、全体として減税を先行させることも政策的判断としてやむを得ないと考える。

これまでの累次にわたる減税の経験や対話集会の論議に鑑みれば、減税が投資や消費の活性化といった経済社会の活力回復に向けて本来期待される効果を発現させるには、財政の持続可能性について、安心できる将来展望を国民に示すことが不可欠である。したがって、減税を先行させるに当たっては、財政規律を維持することにより国民の将来不安を払拭し、改革を一体として進める必要がある。このため、内閣総理大臣の上記所信のように、一定期間での税収中立を図るとともに、全体を一括法とすべきである。このことは、言うまでもなく平成16年度以降において、更なる税制改革に取り組むことを妨げるものではない。

第二 平成15年度税制改正における個別税目の改革(P3)

一 個人所得課税

1.検討の方向

わが国の個人所得課税(国税:所得税、地方税:個人住民税)は、累次の減税の結果、主要国と比較して税負担水準が極めて低く、基幹税として本来果たすべき財源調達や所得再分配などの機能を喪失しかねない状況にある。本年6月の「基本方針」では、今後、こうした「空洞化」の状況を是正し、基幹税としての機能を回復させ、経済社会の構造変化への対応を図ることが課題であるとし、次のような「あるべき税制」の構築に向けた改革の方針を示した。

(1)諸控除

わが国の個人所得課税は、家族構成など個々人の生活上の事情を納税者の担税力の減殺要因とみて、様々な控除を設けている。このような控除のあり方について、「広く公平に負担を分かち合う」との理念の下、[1]社会保障等の生活関連の「インフラ」整備等の進展を考慮すれば、税制としては、できる限り簡素化・集約化する、[2]経済社会の中で行われる個々人の自由な選択に介入しないような中立的な税制にする、[3]「空洞化」を是正するため課税ベースを拡大する、との視点から見直す。このうち、基礎控除、配偶者控除、扶養控除からなる人的控除の基本構造については、更に検討を深める。

(2)税率構造

わが国の個人所得課税は、これまでの累進緩和(フラット化)や諸控除の拡充により、所得税でみると、納税者(民間給与所得者)の約8割が最低税率(10%)の適用のみで済むなど、大多数の納税者に対し極めて低い水準で負担を求めるものとなっている。個人所得課税が本来果たすべき財源調達機能や所得再分配機能の発揮の観点から考えれば、これ以上の税率の引下げは適当でなく、むしろ、最低税率のブラケット幅を縮小することが今後の選択肢として考えられる。

2.人的控除の簡素化・集約化

これまでの税制改正において、税負担の軽減のため、人的控除に係る各種の割増・加算措置の拡充等が講じられてきた。これらの措置については、経済社会の構造変化に即応して、個々人の自由なライフスタイルの選択に介入しないような中立的な税制にする観点から是正を図り、人的控除の簡素化・集約化を進める必要がある。(P4)

このような観点から、平成15年度税制改正においては、内閣総理大臣からの指示も踏まえ、配偶者特別控除、特定扶養控除の廃止・縮減に取り組むべきである。

(1)配偶者特別控除が創設された際には、主に専業主婦世帯を中心に税負担を軽減することが念頭に置かれていた。その当時は、専業主婦世帯が最も典型的な家族類型であったが、その後の経済社会情勢の変化により、現在では、共働き世帯数が専業主婦世帯数を上回るようになってきた。女性の就業状況にも世帯主の補助的な就労から本格的な就労への移行傾向が見られるようになっている。こうした経済社会の構造変化も顧みれば、配偶者控除に上乗せして、言わば「二つ目」の特別控除を設けている現行制度は、納税者本人や他の扶養親族に対する配慮と比べ、配偶者に過度な配慮を行う結果となっている。したがって、当調査会としては、配偶者特別控除は廃止すべきであると考える。その際には、負担増に配慮して段階的な縮減も考えられる。また、パート労働者の就労を阻害しないよう、税引き後の手取りの逆転現象に対する所要の配慮措置を講じる必要がある。

(2) 特定扶養控除などの人的控除に係る割増・加算措置等により、納税者の個別の諸事情に対して政策的な配慮を行うことにはおのずと限界がある。また、割増・加算措置等が追加されてきた結果、税制が複雑になっていることは否めない。したがって、これらの割増・加算措置等については、廃止を含め、制度をできる限り簡素化すべきである。

特に、特定扶養控除については、創設当時、中堅所得者層の負担感が強かったことへの配慮として、一定年齢(16歳以上23歳未満)の扶養親族を有する者に対し、扶養控除の割増措置を設けることとしたものである。しかしながら、一概に16歳以上23歳未満の扶養親族といっても、その実態は様々であるほか、特定扶養控除の創設当時と比べ、最低税率のブラケット幅の拡大等がなされた結果、中堅所得者層の税負担水準は大幅に低下している。以上のことを踏まえ、特定扶養控除は廃止・縮減することが適当である。

3.個人住民税

個人住民税の人的控除の見直しに当たっては、その負担分任の性格から、控除の水準が所得税より低くなるように見直すべきである。また、生計同一の妻に対する非課税措置をはじめ、均等割のあり方を見直すべきである。(P5)

4.引き続き検討すべき項目

(1) 少子・高齢化が進行する中、高齢者と現役世代との間の公平確保を図ることが喫緊の課題である。かかる点を踏まえ、高齢者に対して適用されている老年者控除や種々の割増・加算措置のほか、公的年金等控除についても、平成16年度には年金制度改革が予定されていることも考慮し、その見直しを検討すべきである。その際、退職所得控除についても、雇用環境や慣行の変化を踏まえつつ、税負担の公平・中立を確保するよう見直すべきである。

(2) 給与所得控除については、わが国の個人所得課税の「空洞化」の大きな要因となっており、引き続き、縮減を図る方向で検討すべきである。

(3) 生損保控除や住宅ローン控除など、特定の政策目的のために設けられている控除については、税制の歪みを助長し、「空洞化」の一要因となっていることから、引き続き、厳しくその妥当性を吟味の上、廃止を含め見直しを行う。

二 法人課税

1.法人税

(1)検討の方向

法人税は、国際的に整合性がとれ、企業活動に対し歪みの少ない中立的な税制であることを基本とすべきであり、今後とも、経済社会の活性化のために、このような基本的考え方で法人税の改革を行っていくべきである。

国の法人税率については、累次の引下げにより既に先進国並みの水準となっており、開発途上国の水準を念頭に置いて、現在これ以上の税率引下げを行うことは適当ではない。所得税、消費税と並んで基幹税である法人税の負担水準の見直しについては、今後他の先進国との税率のバランスを踏まえ、所得税、消費税を含む税体系全体のあり方の見直しの中で、検討すべきである。

他方、わが国企業の競争力強化や産業構造の改革を進めるため、既存の租税特別措置等の統廃合を大胆に進め、真に有効な政策税制を集中・重点的に講じる必要がある。あわせて、活力ある中小企業の経営基盤を強化する中小企業税制の見直しを行うとともに、経済社会の変化に対応して、寄附に関する税制について見直しを検討する必要がある。(P6)

(2)政策税制の集中・重点化

[1] 研究開発税制

厳しい経済状況の下、研究開発の分野でも合理化・効率化が進められる中で、研究開発支出が「増加」した場合に税額控除を行う現行制度が有効に機能しなくなっている面がある。このため、研究開発支出の「総額」の一定割合を税額控除する制度を導入する。

その際、研究開発支出を増加させるインセンティブを高める観点から、基本的に売上高に占める研究開発支出の比率が高いほど、税額控除率を高く設定する。また、研究開発は21世紀のわが国を支える産業・技術の創出につながることから、制度の基幹的部分は期限を区切らない措置とする。

[2] 設備投資税制

一般的な投資促進税制は、企業が過剰な設備・債務を抱え、キャッシュフローを借入金の圧縮に充てている中で、設備投資の増加につながるか疑問である。また、競争力を失う産業にも優遇措置を与えるため、構造改革に逆行しかねない。したがって、真に有効な分野に集中・重点化した投資促進税制を創設する。

イ.IT投資の促進は、短期的な需要創出効果が見込めるだけでなく、広くわが国企業全体の事業効率化、付加価値向上につながることが期待できる。このようなIT投資に対し、集中的に政策効果を高める観点から、期限を区切り、重点的な政策税制を講じる。

ロ.研究開発を設備投資の面からもさらに支援するため、期限を区切り、研究開発用の機械、設備等の取得に対して支援措置を講じることにする。このような措置を採ることにより、特に、いわゆる重点4分野(バイオ、IT、環境、ナノテク)をはじめとする先端分野に係る設備投資が促進されるものと考えられる。

(3)中小企業税制

中小企業を取り巻く環境が厳しさを増す中で、活力ある中小企業の経営基盤を強化する必要がある。そこで、特に研究開発税制において配慮し、同族会社の留保金課税を見直すなど、中小企業の税負担を軽減する措置を講じる。

(4)寄附に関する税制

広く企業や国民各層からの寄附活動を促し、教育、文化など公益活動の展開に資する観点から、NPO法人の実態を踏まえつつ、認定NPO法人の認定要件を見直すなど、必要な措置を講じる。(P7)

(5)その他

公益法人等に対する課税については、公益法人制度、中間法人制度、NPO法人制度の抜本的改革の動向を踏まえ、非営利法人課税全体のあり方の中で幅広く見直しを検討する。その際、公益法人等の収益事業課税や公益法人等及び協同組合等に係る軽減税率のあり方についても見直しを行う。また、新たな法人制度の姿に対応した寄附金税制のあり方についても、あわせて検討していく必要がある。

2.法人事業税(外形標準課税の導入)

法人事業税への外形標準課税の導入は、税負担の公平性の確保、応益課税としての税の性格の明確化、地方分権を支える基幹税の安定化、経済の活性化・経済構造改革の促進などの重要な意義を有する改革である。

外形標準課税については、厳しい景気の状況を踏まえ慎重に対処すべきとの意見もあったが、受益と負担の関係を明確にして真の地方分権の実現に資するため、早急に導入すべきである。

3.租税特別措置等の統廃合

租税特別措置等は、特定の政策目的を実現するための政策手段の一つであるが、「公平・中立・簡素」という租税原則に反する例外措置である。政策税制の集中・重点化を図るに当たっては、既存の租税特別措置等について、本格的な統廃合を行う。

このため、政策目的に国民的合意があるか、政策手段として税制を用いることが適当かどうかなどについて、十分に吟味していく必要がある。加えて、創設後長期間にわたっていないか、利用実態が低調になっていないか、特定の者、地域に偏った利益を与えていないか等の視点から、大胆に統廃合を進めていく必要がある。

また、事業税における社会保険診療報酬に係る課税の特例措置の見直しについては、長年、当調査会の答申において指摘してきた。これについては、税負担の公平を図る観点から、速やかに撤廃すべきであり、少なくとも段階的な見直しを図ることが必要である。(P8)

〔4.金融機関の不良債権処理と税制〕

三 消費税

1.検討の方向

消費税は、世代間の公平の確保、経済社会の活力の発揮、安定的な歳入構造の確保の観点から、今後、その役割を高めていかざるを得ない。そのためには、消費税に対する国民の信頼性、制度の透明性を向上させるための措置を講じる必要があり、中小事業者に対する特例措置等について、以下の方向で抜本的な改革を行う。また、消費者の便宜のため、価格の総額表示(含む税額明記)が促進されるよう適切に対応していく必要がある。

2.中小特例制度等の抜本的改革

(1)事業者免税点制度

事業者免税点の水準(課税売上高が3,000万円以下)は、消費税の創設当初から長期間にわたって据え置かれ、依然として6割強の事業者が免税事業者となっている。このため、消費者の支払った消費税相当額が国庫に入っていないのではないかとの疑念を呼び、これが消費税に対する国民の不信の大きな背景となっている。また、わが国の免税点水準は諸外国と比べても極めて高くなっている。

こうしたことを踏まえ、免税事業者の割合を現在の6割強から相当程度縮小させるべく、現行の免税点制度を大幅に縮小する。その際、法人については、既に法人税法に基づき申告・記帳の事務を行っていることから、免税事業者から除外すべきであろう。

(2)簡易課税制度

簡易課税制度については、これまで二度にわたり適用上限の引下げやみなし仕入率の改正が行われてきた。しかしながら、基本的にはすべての事業者に対して本則の計算方法による対応を求めるべきである。また、中小事業者の多くが納税額の損得を計算した上で適用している実態が認められる。こうしたことから、免税点制度の改正に伴い新たに課税事業者となる者の事務負担に配慮しつつ、簡易課税制度を原則廃止することが適当である。(P9)

(3)申告納付制度

申告納付制度については、これまでも消費税の預り金的性格に鑑み、いわゆる運用益問題の解消に資する観点から改正が行われてきた。このような消費税の性格を考慮し、納税者の事務負担や税務行政コスト等にも留意しつつ、申告納付回数の増加を図ることとする。

四 資産課税等

1.相続税・贈与税

(1)相続税・贈与税の一体化措置

高齢化の進展に伴って、相続による次世代への資産移転の時期が従来より大幅に遅れてきている。また、高齢者の保有する資産(住宅等の実物資産も含む)の有効活用を通じて経済社会の活性化にも資するといった社会的要請もある。かかる状況の下、相続税・贈与税の改革については、生前贈与の円滑化に資するため、生前贈与と相続との間で資産移転の時期の選択に対して税制の中立性を確保することが重要となってきている。こうした状況を踏まえ、相続税・贈与税の一体化措置を平成15年度税制改正において新たに導入する。この一体化措置は、従来の相続税と贈与税との関係を大きく見直すものであり、両税の抜本的改革として位置付けられるものである。

相続時点でなければ各相続人別の正確な相続税額は確定しないというわが国の相続税制度の特徴(遺産取得課税方式と遺産課税方式のいわゆる併用方式)を踏まえ、この一体化措置は、相続時の累積課税方式とすることが適当であり、相続時精算課税制度(仮称)として具体化を図ることとする(参照 別紙)。

一体化措置の具体化に当たっては、住宅投資の促進にも資するとの観点にも留意すべきである。その際、現行の相続税・贈与税を前提とする住宅取得資金に係る贈与税の特例については、民法との関係で問題を助長するおそれ等もあり、この一体化措置との間で整理が必要である。

(2)相続税の課税ベース及び税率構造

[1] 課税ベース

「基本方針」で指摘したように、相続税については、経済のストック化、社会保障の充実、高齢化の進展を踏まえ、従来より広い範囲に適切な負担を求める必要があり、基礎控除の引下げ等課税ベースの拡大を図る。(P10)

[2] 税率構造

相続税の最高税率については、個人所得課税の最高税率(50%)との較差が大きく、諸外国の例に比しても相当高いことに鑑み、現行の70%から引き下げることが適当である。

累進構造については、個人所得課税を補完し、富の再配分を図るとの相続税の役割を踏まえれば、最高税率を引き下げるものの、全体として現行程度の累進が適切なものと考えられる。

税率の刻み数については、簡素化の観点及び遺産額に応じたある程度滑らかな負担の変化を確保する観点を踏まえて見直す必要がある。

(3)贈与税(暦年課税)

一体化措置の対象とならない暦年課税の贈与税については存続することとなる。この場合、生前贈与による相続税の回避防止という性格は変わらないこと及び第三者に対する贈与についても課税対象となっていることを踏まえ、その累進構造については、相続税に比べて累進度の強い現状を維持するべきである。税率構造については、相続税に準じて見直すことが適当である。

2.固定資産税

(1) 固定資産税は、どの市町村にも広く存在する固定資産に課税しており、税源の偏りも小さく市町村税としてふさわしい基幹税目であり、今後も本税の安定的な確保が重要である。また、土地・家屋・償却資産を通じた適切な評価に引き続き取り組む必要がある。情報開示については、制度改正を踏まえて積極的に推進すべきである。

(2) 地価公示価格の7割を目途とした評価水準については、全国的な評価の均衡化・適正化の観点からこれを維持することとする。負担水準の均衡化については平成9年度以降ある程度進展しつつあるが、依然として地域や土地によって相当のばらつきが残っている。平成15年度以降の固定資産税の税負担については、これまでの負担調整措置を基本に、評価替えの動向、負担水準の状況や市町村財政の状況等を踏まえ、負担の均衡化・適正化を一層促進する措置を採る必要がある。(P11)

3.土地税制

土地税制については、土地の公共性や資産としての特性を踏まえ、税負担の公平を確保する観点から、土地という資産の取得・保有・譲渡の各段階において適切な税負担を求めていくことが重要である。

個人・法人を通じた土地譲渡益課税については、バブル期の対応として課税強化された部分は既に廃止・停止され、バブル以前の制度に戻っている。

登録免許税・不動産取得税については、土地に関し、課税標準である固定資産税の評価が、平成6年度評価替えにより地価公示価格の7割を目途に引き上げられたことから、それ以降、累次の負担調整措置が採られてきた。しかしながら、今日、土地市場が個々の土地の利便性、収益性を重視する方向へと構造的に変化している中、都市再生等土地の有効利用の促進に資する観点から、登録免許税・不動産取得税の軽減が求められている。

登録免許税については、上記の要請に応えるとともに、各種登記間の負担のバランスの是正を図る方向で、不動産に係る同税全般の見直しを検討する。

また、不動産取得税については、住宅及び住宅用地について既に大幅な軽減措置が講じられていること、都道府県財政を支える主要税目であることに配慮し、必要な軽減策を検討する。

特別土地保有税については、バブル期の対応として課税強化された部分は既に廃止されるなどそれ以前の水準まで戻っていることに留意し、申告手続など納税者負担の軽減策を検討する。

4.金融・証券税制

少子・高齢化と経済のストック化が進展する中、金融資産に対する課税は、今後、より重要性を高めることとなる。その際、広く公平に負担を分かち合い、簡素で分かりやすい税制を構築することを基本とすべきである。また、度重なる税制改正により課税関係が頻繁に変更されることは、決して望ましいことではない。今後の見直しに当たっては、制度の安定性にも配意すべきである。

こうした観点から、金融・証券税制については、今後、利子・配当・株式譲渡益に対する課税について、金融商品間の中立性を確保するとともに、できる限り一体化する方向を目指すべきである。この場合、将来の改革の方向として、金融所得の一元化、二元的所得税についても、総合課税とあわせ検討すべきである。(P12)

平成15年度税制改正では、こうした方向性を視野に入れて、配当課税や株式投資信託に対する課税について、簡素化・合理化を図る。また、既存の株式譲渡益に係る優遇措置は複雑で分かりにくいとの批判があることから、できる限り簡素化する方向で改善していく。同時に、特定口座制度についても、投資家利便の向上に資する観点での見直しを行う。

五 その他の税目

1.酒税

酒税法上の酒類の分類は、消費者の商品選択や商品分類の基準となっている。酒類の区分(10種類)については、こうした点も踏まえつつ、税負担のあり方の検討とあわせ、酒類の原料、製法、性状などに着目して簡素・合理化を図ることが適当である。

酒税の負担については、税制の中立性や公平性の観点から、「同種・同等のものには同様の負担」という消費課税の基本的考え方に則って、厳しい財政事情等も踏まえ、酒類間の税負担格差の縮小を図ることが適当である。

2.たばこ税

欧米主要国においては、近年、たばこの税負担が引き上げられてきている。

たばこの税負担のあり方については、小売価格に占める税負担割合の状況、消費動向、諸外国の動向、財政状況などを総合的に勘案し、税率引上げの是非を検討していく。

3.エネルギー関係諸税等

揮発油税、石油税等のエネルギー関係諸税等は使途を特定されている。特定財源は、特定の公的サービスからの受益と負担との間に密接な対応関係が認められ、そのサービスの財源を制度的に確保する必要がある場合、その財源確保に有効な仕組みではある。しかし、一方では資源の適正な配分を歪め、財政の硬直化を招くおそれもあり、常にその妥当性を吟味していかねばならない。

揮発油税等の道路特定財源等について、当調査会は、上記の観点を踏まえ、一般財源化を含め、そのあり方の見直しを行うべきと考える。しかしながら、適用期限を迎える揮発油税等の暫定税率については、環境の保全を考慮し、当面、現行の水準を維持することとする。(P13)

また、エネルギー対策に充てられる石油税等の特定財源については、使途の妥当性を吟味した上で、そのあり方を検討すべきである。

4.環境問題への対応

京都議定書の目標達成に向けて、この3月に見直しが行われた地球温暖化対策推進大綱においては、「税・課徴金等の経済的手法については、他の手法との比較を行いながら、様々な場で引き続き総合的に検討する」こととされている。いわゆる「環境税」の導入も含めた環境問題に対する税制面での対応については、国民に広く負担を求めることになる問題だけに、国民の理解と協力を得て、今後、積極的に検討を進めていくことが望ましい。この際、国・地方の環境施策全体の中での税制の具体的な位置付けを踏まえ、汚染者負担の原則(PPP)に立って幅広い観点から検討していく必要がある。また、既存のエネルギー関係諸税等との関係についても検討すべきであろう。

5.国際課税

国境を越える取引の多様化・複雑化が急速に進展する一方、課税に関する税務当局の権限が及ぶ範囲には限界がある。かかる状況において、わが国において適正な課税を確保するためには、こうした取引に関する情報を税務当局が的確に把握することがますます重要となっている。例えば国境を越える関連者間の取引について、取引内容の正当性を検証するための資料情報に対する税務当局のアクセスを一層充実させることが必要である。

また同様の観点から、租税条約に基づく情報交換など国際協力の枠組みを積極的に活用する必要性も高まっている。わが国においては現在、条約相手国からの情報提供要請に応じるための税務当局の情報収集権限は認められていない。このため、租税条約が相互主義を前提としている結果、わが国が条約相手国から得られる情報の範囲が制約されている。条約相手国からわが国の必要とする情報の提供を受けることができるよう、わが国としても条約相手国からの情報提供要請に応じて情報を収集するための制度を早急に整備すべきである。(P14)

みなし外国税額控除については、開発途上国からの強い要請を受け、これらの国々の経済状況等も踏まえ、租税条約において認めているものである。しかしながら、課税の公平性や中立性の観点から、近年締結・改正した条約においては適用期限を付するなどできる限り見直し・縮減を図ってきている。その他の租税条約に規定されているみなし外国税額控除についても、今後、条約改正の機会を捉えて廃止・縮減に努めるべきである。

六 納税環境整備

1.電子申告

情報化・電子化を活用して納税者利便の向上等を図る観点から、電子申告や電子納税の導入を目指し準備が進められている。申告や納税は国民生活に密着したものであることから、システムの安定的な稼動やセキュリティの確保等に留意しつつ、円滑な導入を図ることが必要である。

2.公示制度

昭和25年に導入された公示制度は、主として第三者による監視という牽制的効果により、適正な申告の確保を図ることを目的としている。しかしながら、同制度については、所期の目的外に利用されている面があることや、犯罪や嫌がらせの誘発の要因となり、個人のプライバシーへの配慮の観点からは問題が多いと考える。また、第三者による監視という制度本来の意義に疑問が呈されており、今後、制度の廃止を含めて検討する必要があろう。その際、国民一般から見て申告納税制度の信頼度が低下することは好ましくないため、公示制度の廃止の代替という観点からも、グローバル化や電子化・情報化の進展と対応して、資料情報制度の充実等納税環境整備についてあわせて検討する必要がある。他方、高額納税者が社会的に評価されることの重要性についても何らかの方法で配慮する必要があろう。(P15)

委員

ありがとうございました。長文の朗読、大変だったと思います。

大体15ページで収まっています。できるだけコンパクトにと思っておりますので、冗長な部分は削ったつもりです。それから、付録が1枚半くらいつきますので、少し追加的な個所がございますが、15枚から長くても20枚ぐらいにはおさえたいと考えております。

それでは、今から逐条的に御議論いただきますが、その前に、御留意いただく点を二、三、申し上げておきたいと思います。

まず最初は、この「答申素案」のスタイルの問題です。起草会合でも、いま、デフレ対策とかデフレ絡みで先行減税等々が出ているので、その辺を「あるべき税制の姿」論より前に出して強調しては、という御議論もありました。

ただ、これまでの我々の議論を考えてみますと、少なくとも9月、10月までは、「あるべき税制の姿」論で積み重ねてきて、中長期的な中で短期的な対応も考えたらというスタイルでずっと来ておりますし、そのほうが税調として問題意識の持ち方としては正しいのではないかと我々は判断いたしまして、従来のスタイルを変えるという方法はとっておりません。ただ、内容的には、減税の個所もずいぶん出てきているわけでありますから、その辺の書き方はある意味では好みの問題かもしれません。

例えば、2ページに八つ項目が並んでおります。いまのスタイルを変えるということは、先行減税的なところを前に出して、デフレ対策的な色彩をもっと前に出せという御指示もあったのですが、そうではなくて、ここは、税のいうなれば伝統的といいますか、所得税以下、普通の税の並べ方で書いてあるので、あるべき税の姿と基本的な理念をおさえたいという意志で書かれているということ、この点をまず最初にお断りしておきます。

ただ、今みたいなデフレ云々に配慮せいということは、「答申に盛り込まれていない主な意見」の冒頭に書いてございますので、そういうところで意見があったという紹介をさせていただきたいと思います。

第二点は、すでにお気づきと思いますが、不良債権処理と税制の関係はまだ文章化されておりません。9ページ目の冒頭で、「4.金融機関の不良債権処理と税制」というのができておりません。これは、一部議論はなされましたし、これから、特に時間を区切ってこの問題の資料の説明を受けて議論したいと思いますが、今日はその点非常に重要でございますから、十分な御議論をこのパーツについてはいただき、文章化して書きたいと考えております。

もう一つは、連結付加税はこの本文の中に明示的に書かれておりません。「主な意見」のほうには1行、書いてあると思いますが、これは基礎問題小委員会でも問題提起がございましたし、この総会でもございました。そこで現在の位置づけは、すでに制度が発足していて2年続けるよという段階で、途中でやめましょうという議論なんですよね。したがって、法律上、制度ができて動いているわけで、それについて特段の強い意見がなければ続けるというスタイルから言えば、現状を是認するという意味でここで書いていないということで、今日は、それについても御議論幾つかあろうかと思いますから、お出しいただいて、ここでもう一回議論するということもあり得べしでございます。これは起草会合でもそういうお約束をいたしましたので、書いていない理由はそういうことでございます。

そういう意味で、本文の修正、そして、「主な意見」のほうで御自分の意見が漏れている場合には、私は主な意見だ、主なほうに強調して入れろという御指示があっても結構でございますから、これから順次項目ごとにやっていきたいと思います。

それから、今回は事務局の御努力によりまして、5行から30行までちゃんと番号が入っておりますから、これはご指摘いただいた委員には十分にお応えできると思います。何ページ何行目に俺はこう言いたいというような形で出していただきますと、皆わかると思います。途中御退室の方もいらっしゃると思いますので、順を追っていきますから、おしまいのほうに御自分の発言の個所があれば遠慮なく申してください。

では、冒頭申し上げましたように、不良債権の処理につきまして、10月30日に政府から、今お手元にございますが、「改革加速のための総合経済対策」、あるいは金融庁から「金融再生プログラム」が公表されております。いずれも不良債権問題と絡め、かつ、税制に対する要望も来ております。そこで、我々の未完のパーツについても、この種の議論を踏まえて議論しなければいけませんので、最初、少し時間をとりまして、このパーツだけ集中審議をしたいと考えております。

それでは、事務局から、この辺の事情を御説明ください。お願いします。

事務局

それでは、お手元の「答申に盛り込まれていない主な意見」の下に「改革加速のための総合対策(10月30日)」ということで、これは政府としての対策をまとめたものでございます。その下に「金融再生プログラム(10月30日)金融庁」という文書がございまして、これが、金融担当大臣の下、金融庁が不良債権の処理等についてまとめましたペーパーでございます。

その8ページのところに税制関連の記述がございます。8ページをお開きいただきますと、このペーパーの7ページから「新しい金融行政の枠組み」ということで、「(1)資産査定の厳格化」、8ページに「(2)自己資本の充実」とございます。その(ア)といたしまして、「自己資本を強化するための税制改正」ということで、「以下の措置を関係府省に強く要望する」。一つは「引当金に関する新たな無税償却制度の導入」ということで、「破綻懸念先以下の債務者について、銀行、金融機関の自己査定の結果を以って無税とする」。銀行については、自己査定の結果がそのまま無税対象とするような制度の導入を要望する、といった指摘がございます。

おめくりいただきまして、9ページには、[2]といたしまして、繰戻還付制度の凍結措置解除の要望、それから三つ目には、欠損金の繰越控除期間の延長の検討といったことが要請として書かれてございます。

なお、そのすぐ先の(イ)に「繰延税金資産」に関する記述がございまして、これについては、「算入上限について速やかに検討する」という表現になっております。

この点につきましては、前回も資料を用いまして簡単に御説明させていただきましたが、わかりにくいという御意見もございまして、今回、もう一度簡単に御紹介させていただきます。

その次に、資料「不良債権関係」という紙をおめくりいただきまして、このペーパーのうちかなりの部分は前回と同様で恐縮でございますが、大変専門的・技術的な部分にわたる部分が多うございますので、もう一度御説明させていただきます。

不良債権の償却の関係でございますが、直接償却、債権自体をなくしていく場合と、間接償却、債権を残したまま引当金を積むというやり方がございます。下のほうにございますが、いずれにつきましても、一定の割合で認められるものとして、例えば法律上の貸倒損失という一定の事実をもとに直接償却をする方法と、それから、左の下のほうにございますが、事実上の貸倒損失ということで、実際の債権を評価した上でそれに対する償却を行うものの2種類がございます。間接償却のほうも、個別評価、それぞれの債権の評価をした上で引当金を積んでいただく場合と、一括評価として、実績率でボンと割合で掛けた上で引当金を積んでいただく場合がございます。これは、いずれも税法上の措置として認められているものでございます。

よくアメリカ並みという議論もございますが、アメリカにつきましては、直接償却、間接償却、両方とも制度としてございます。企業会計上も税務上もございますが、銀行については、間接償却を認めないという形、直接償却を認めるという形で措置されているわけでございます。

2ページをお開きいただきますと、無税償却の基準を緩和すべきであるという議論、先ほども御紹介いたしました。例えば銀行が自己査定した結果、そのとおりを税務上も認定するという仕組みにつきましては、ここにございますが、現在、企業間信用といたしましては、金融機関ももちろんございますが、右のほうにございます、その他の法人、商社ですとか、ノンバンクですとか、さまざまな法人が企業間信用を行っております。それから、企業間信用以外の側面でも、中小企業を含めさまざまな会社が売掛金債権といった形で、同一の債務者に対して債権を保有しているわけでございます。

金融機関のみについて自己査定の結果をそのまま税務上反映させるという制度につきましては、金融機関とその他の法人との間で取扱いが違うことになることをどう考えるか、という問題がございます。

3ページをお開きいただきますと、一方、無税償却、有税償却ということに絡みます現在の実態を、この表は簡単に御説明をいたしてございます。このページの下のほうにございますが、無税償却基準の緩和による影響でございます。いま金融機関の場合はほとんどが赤字法人になっておられますが、赤字法人の場合にはもともと法人税を負担しておられませんので、有税償却が無税償却に振り変わったとしても、法人税の負担減につながるものではございません。この法人税の負担減にはつながらない分を、繰延税金資産という、最近有名になりました、将来税金を取り戻す、減らす権利があるという意味で資産に計上するという形をとっているわけでございます。

有税償却という形で処理がなされますと、左上のほうにございますが、将来無税になった段階で税金を減らせるという意味で資産でございまして、有税償却による繰延税金資産として計上されているわけですが、これを無税化いたしますと、この部分が減ります。一方、無税償却を行いますと、その分、現在は税金を支払っているという状況ではございませんので、欠損が拡大することになりまして、繰越欠損金が拡大する。繰越欠損金も将来の税金を減らすことができるという意味で、同様の繰延税金資産として計上されてございますので、一番下にございますが、その分繰越欠損金による繰延税金資産が増加することになっているというのが、現在の状況でございます。

4ページは、もう一度この繰延税金資産のことを言葉で書いたものでございます。

5ページ、欠損金の繰越しにつきましての延長という話が「金融再生プログラム」に出てございます。1にございますが、現在5年の繰越しということで認められているわけでございます。「参考」にございますが、欠損金の繰越期間の延長は、帳簿保存期間、あるいは除斥期間との整合性が必要な問題でございます。過去の欠損金が適切かどうかを確認するためには帳簿の保存が必要でございまして、税務署が、例えば10年前なら10年前の欠損金が実際に適切かどうかを確認できることが必要になりますが、帳簿保存期間を延長することになれば、すべての企業に相当の事務負担となるという問題がございます。

また、課税庁が不適切な点を確認した場合には、それを更正決定できるようにしておく必要がございます。これを除斥期間と申しますが、これを延長することになれば、すべての企業がより長期間にわたって更正決定の対象となり得ることになるという問題がございまして、一金融機関の問題にかかわらず、企業全体の問題としてこの辺をどのように考えていただくかという問題がございます。

6ページをお開きいただきますと、欠損金の繰戻しでございます。ここにございますように、現在は1年繰戻し、還付が認められてございますが、平成4年から、2のところに書いてございますが、赤字法人にも何らかの負担を求めるべきではないかとの指摘、及び財政状況を踏まえて適用されないということで、不適用ということになってございます。これにつきましても、還付を受けるには、繰り戻す年度に納税額があることが必要でございますし、また、これがきわめて長期間にわたった場合には、前の繰越しのほうに書きましたが、帳簿保存期間等との関係も問題になってくるという問題がございます。

以上でございます。

委員

それでは、しばらく時間をとりまして、今の御説明を踏まえ、我々は答申としてどう書くべきかという点の御判断をいただきたいと思いますが、ポイントは、金融庁から出されたように具体的には三つあると思います。

間接償却はそのままにしておいて、直接償却、つまり無税償却の基準を緩和して、より選択の幅を広げるという方法を模索するということ。それから、例の貸倒引当金、繰越金の年限を5年以上延ばすかどうか。それから、欠損金繰戻し1年というのがもとに凍結されていますが、戻すかどうか。具体的に言えばそんな三つぐらいのボールが来ていますから、税制でどう扱うか。ただ、金融庁のほうでも、税効果会計どうするこうするもまだ決まっておりませんから、全体のスキームが決まられない中で税制がどこまで動くかということについては、基礎問題小委員会でもずいぶん議論がございました。慎重論、少し前向き論、いろいろございます。総会で御議論いただきつつ、今日は御議論をいただくだけで、次回、文章をまとめていきたいと思っていますが、その参考になるような御意見を賜りたい、このように考えています。

では、どうぞ。どなたでも結構です。何かあれば。

委員

ただいま御説明がございましたように、金融機関、不良債権処理がここのところ続いておりまして、欠損が続いているというのが実情でございます。そういう意味では、ただいま御説明ございましたように、無税償却による直接的な効果というのはやはり投資と言わざるを得ないということかと思います。すでに税効果会計という形で、償却を促進するような対応は進められていると私は理解いたしております。

それから、繰延期間の延長とか、繰戻しのさらに拡大というようなこと、これも、そういう銀行の状況から言いますと、望ましいということで要望はいたしておりますが、当然のことながら、金融機関だけということでは済まないだろうという問題も含めまして、この辺は皆様の御検討をお願いしたい、こういうことでございます。

委員

ありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。起草会合に出られている先生方も、再度、最近の情報を踏まえて御議論を賜っても結構ですが、いかがでしょうか。

どうぞ。

委員

結局、会長が今挙げられた3点だと思うんですよ。ただ、「いろいろ前提が」とおっしゃるように、この「金融再生プログラム」でもだいぶ表現をぼかしているところもありますし、ここに書いていない、もっとポイントになるようなことも中にはある。一つは、金融庁の指導というものがここの問題にはあるわけですね、引当率というのですか。それが税制税務とどういうふうに関連しているのか、ここが非常に不明確。違う役所がそれぞれの判定というか、制度の運用をしているというあたり、これは事務局のほうで、どう考えたらいいのかちょっと説明していただけますか。

委員

事務局、その辺の整理をしていただけますか。

事務局

償却基準のことだと思いますが、その点についてお話しさせていただきますと、もともと昔、大蔵省の時代がございましたときには、検査の現場の職員、検査官が発行いたしました「償却証明」というものをもって、基本的には税務上無税と取り扱うという取扱いがなされておりました。その当時は、税務上の基準というものを尊重した形で検査当局のほうでも御判断いただくということで、その時代は、いまここに出ておりますように、一致していた時期があったわけでございます。

ただ、平成10年だったと思いますが、当時の大蔵省が大変問題になりましたときに、財金分離、あるいは不透明な行政といった指摘がいろいろございまして、むしろ金融当局側の要請からそういう結びつきを断った過程がございます。その後、御承知のとおり最近時点に至るまで、金融行政のほうは、金融システムの安定性、あるいは金融機関の健全性という観点から、厳しい引当をすべきであるということで、それまで他の企業とのバランスも考えながらやっていた時代から、いわば金融行政が離れていく形で、査定基準を厳しく見ていくという流れで、ここ数年間、行政が転換されてきているという位置づけかと存じます。

委員

金融関係のこれは、基本的には税制の問題ではなくて、税の運用の問題ではないかなという気がしていますので、制度を変える必要は全然ないという考えですが、そうはいっても、世の中、何かやれと言っているのに何もやらないと、おまえ、冷たいんじゃないかと言われるのも具合い悪いかなという気もしますので……。

それで見ると、この5年というのをもっと延ばすというのは、10年もずっと赤字でいる気かよという感じになるから、かえってよくないのではないかなという気がします。

あと、無税償却というのは、それをやって結局その企業がずっと生き延びてしまったとき、どういう措置をするのか、ちょっとそれはわからないから聞きたいなと思います。もしそれが生き延びたら、あとから税金を取れるようになるのだろうかというのがよくわからないところなので、それをお願いしたい。そんなところですかね。

委員

無税償却はオフバランスですよね。ライトオフして、RCCとか、しかるべきほかの機関がそれを引き受けるということでしょう。そういう意味では銀行からは離れる。しかし、その後の処理について、どれだけそれが価値が出てどうなるかということですが、例えばRCCの買い方の値段いかんによっては公的資金の導入も必要になってくるかもしれない。そういう意味で、将来税金を払わせるぐらい再生化すればそれはもっけの幸いですけれども、それは切り離す、そろそろ不良債権として断を下すということでしょうから、そういう理解でよろしいと思います。

委員

そうすると、短期間に処理を済ませるという意味で無税償却を全部認めてしまうと。

委員

持ちこたえて、いうなれば間接償却で積んでおいて、あとで、税効果会計の繰延資産というのがいま問題になっているけれども、そうでなくて、なるべく早めにライトオフさせるという見切りを早くつけるということ。しかし、そうなると、宣言されたほうの企業が、再生の見込みがないという判断ですから、処理に回されるということでしょうね。それは、産業再生機構とか何かでまたいろいろ議論があるのでしょうけれども、そこはちょっと違うことでしょうね。

委員

そうすると、例えば税調としてそれをオーケーすると。そのかわり、未来永劫そうだよということにはいかないと思うのですが、制度として。

委員

ですから、時限的にやるのか、それとも、例えば金融だけに限ってアメリカみたいにやるというのか、その辺の判断が今後できるかどうかということだと思います、問題としては。

委員

それをやると不良債権処理を促進させると。

委員

加速させる一因にはなるでしょうね、早くケリをつけるという意味においては。そこはいいかどうかわかりませんよ。

どうぞ。

委員

ポイントは、有税・無税償却、繰越し、繰戻しという3点でございますが、先ほどの御意見にもありましたように、これは銀行、金融機関だけの問題ではなくて、法人税全体に絡む問題だ、そういう観点から判断をしていくべきではないかと思うわけでございます。

そして、法人税全体の観点から見ますと、現状では全体の利益が31兆円、欠損金が33兆円、繰越欠損が90兆円あるという全体の姿の中では、これ以上課税ベース縮小につながる措置はいかがかという感じがいたします。また、企業の関係者である株主、経営者、法人税をいただく国、この三者のバランスをどう考えるか。経営者や株主さんたち、こういう人たちにとっては、何年かをツーペイして繰越し、繰戻しして利益分配を調整するということもないわけですから、国の立場としては、極力その年、その年度の経営成果に基づいて納税をいただくのが、ほかの利害関係者とのバランスから見て必要であり、妥当ではないか。

また最近、地方事業税については外形課税ということが言われる。香川県あたりでは、繰越欠損を否認した事業税を、法定外といいますか、特別税としてお願いをしていると。そういう考え方と、国の繰越し、繰戻しを狭めていくという問題とを、どういうふうなバランスで調査会で考えるかという点もあろうかと思うわけでございます。

しかし、金融機関として、現在、戦後未曾有というか、非常に大きな問題を抱えている。その中でも、例えば税効果会計をどういうふうに処理するか、これは今後の検討課題とされているようでございますので、そうした将来の検討の中で、その一環として税も検討されていくべき問題かと思うわけですので、今後ともなお、いろいろな観点から関係者で検討をされたらいかがか。そうした方向をある程度見極めた上でないと、税制としてもこうだという点は出しにくい点がある。今後、十分検討をお願いしたいと思うわけでございます。

委員

ありがとうございました。

委員

不良債権処理に関する税制上の措置ですが、これは税効果会計の見直しと関連して出てきた話ですね。ところが、この税効果会計のほうは、実施時期を明示しないで事実上先送りしたということですね。その中で税のところだけ残っているような印象があるのですけれども、これはどうも理解しにくいところであります。

無税償却基準の緩和にしても、欠損金の繰越期間の延長にしても、それから、欠損金の繰戻し還付の停止措置の解除にしましても、すべて、不良債権の処理を加速して自己資本の充実を図ろうということでしょうけれども、実際には無意味だろうと思うんですね。結局、無税償却の基準、銀行だけ特別扱いするということになりますと、当然、ほかの企業はどうしてくれるんだということになりますし、これはやはり無理があるというふうに思います。しかも、銀行のほとんどは赤字で法人税を払っていませんから、そういう中で緩和してみたところで、結局、不良債権処理の加速にはつながらないわけです。ということで、銀行が黒字になった場合も、内部留保として蓄積してしまう可能性が強いから、やはり自己資本の充実につながる保証はないということだと思います。

それから、欠損金の繰越期間の延長は、アメリカの20年並みにしろということなのでしょうが、これは立証責任がアメリカと日本では違う。アメリカの場合は納税者に立証責任がありますから、そういった帳簿保存期間と除斥期間との整合性も必要である。大体、10年間も帳簿を保存するというのは企業にとっては大変なことで、事実上、無理だろうと思うんですね。それと、欠損金の繰戻し還付の停止措置を解除するといっても、解除してみたところで還付を受けられる銀行はほとんどないということですから、実際問題として意味がないというふうに私は思います。

委員

わかりました。まだあるかもしれませんが、まだ先にいっぱいあるので……。

委員

要するに金融庁から税調にツケが三つ回っているわけです。それは、税制の立場から言えば、先刻別の委員が言ったのがごくバランスのとれた回答の出し方だと思うんですよ。問題は、竹中プラン全体の中で、金融庁が税調にツケを回してきたのがどの程度ウエートがあるのか。ほかにこれから詰める点がたくさんあると書いてあるわけだ。事実そうだと思うからね。それに比べれば税調に対するツケは、これをやらなければ全体が崩壊するならまた話は別だと思うけど、僕にはとってもそうとは思えないね、この話は。それなら、大局観としては委員の言ったことがずいぶん当たると思うんだ。

ただ問題は、別の委員が言ったみたいに、世間体もあるからね。これは、えらいくだらない、俗っぽい話だけれども、「継続審議」ぐらいにしておけばちょうどいいんじゃないかと思う。

委員

先に行きたいのですが、では、手短にどうぞ。

委員

今おっしゃっているようなことですよ。ただ一点、この「金融再生プログラム」を読んでいてちょっと感じるのは、債権譲渡ですか、いわゆる直接償却の手法、かなり対応すべきだと書いてあるので、この点、税務面の対応が……。つまり、売却資産をどうするかというようなところは、まだ検討の要があるなという印象を持っています。

委員

まだまだ掘るものがドッと待っていますから、先に行きたいのですが、慎重論、かつ、周りの状況がまだ成熟していないということもあるから、対応を十分考えろという御意見が圧倒的で、税制だけ突出して先をどんどんやれという御意見はなかったと。それは予想されたとおりのところで、そういうようなまとめ方をさせていただきます。

それでは、お待ちかねの方もいらっしゃいますから、これから、この「答申素案」につきまして、項目を少しずつ分けながら先へ行きたいと思います。全体で15ページほどございますから、4、5ページぐらいで三つ、四つのパートに分けて議論いたしたいと思います。

最初は、3ページまでの総論の部分。これは、我々の基本的なスタンスを決める意味で重要なので、まずここに限定して、御議論、御意見を賜りたいと考えています。今日は、御意見をおっしゃる方が多数いらっしゃると思います。手短に簡潔に御意見を御表明いただきたいと思います。どうぞ、どなたからでも結構です。

委員

最初に会長から断られたので、なかなか言いづらい部分がありますし、私も二度ほど欠席させていただいていますが、9月ぐらいまでは、税の「あるべき姿」を前面に押し出して議論してきたというのは私も承知しておりますけれども、昨今の経済情勢、それから、今御説明がありました、30日の総合対応策等々を見ますと、これからの経済に対しては国民の皆さんは大きな不安感を持っていると思います。しかも、今日の新聞を見ますと、総合デフレ対策については、75%の方が「期待できない」という状況から見れば、いまのメッセージとして、やはり減税を先行する意志をもっと明確に表弁すべきではないか、ということをまず申し上げたいと思います。

それから、もう一点ですが、税の空洞化ということ。特に所得税の空洞化というのは前にも議論があったと思いますが、勤労者の所得税の納入率はほとんど変わっていないというところから考えますと、この空洞化という言葉が果たして適切なのかどうかという点が一点と、前にも申し上げたと思いますが、いわゆるトーゴーサンピン、クロヨンという、所得捕捉の問題についての整理がされていないのではないかなという点について、何らかの指摘が必要ではないかと思っております。

以上です。

委員

文章的に、ここの個所に少しつけ加えろとか、余分だとかいうような御指摘をいただくほうが、仮に修文するとすれば……。今おっしゃったのは、3ページの15行目から25行目ぐらいのあたりですかね。そこに、「全体として減税を先行させることも政策的判断としてやむを得ないと考える」等々、一応書いてあるわけです。先行減税論そのものを否定されるわけではないのですね。

委員

それを否定するつもりはありませんけれども。

委員

これぐらいのトーンでは弱かろうと。

委員

はい。状況の変化を考えた場合に、もう少し強く主張すべきではないかという考えを私は持っています。

委員

そういうお考えだということをテイクノートしておきましょう。ほかにいかがですか。

委員

2ページの25行目、金融・証券税制についてです。「金融・証券税制については、金融商品間の中立性を確保するとともに、簡素で分かりやすい税制を構築する」。これはそのとおりで結構だと思うのですが、基本的な流れである貯蓄から投資へといいますか、貯蓄優遇から投資優遇へという文言というのでしょうか、そのトーンをもうちょっとはっきり入れていただく必要があるのではないかと思うのですが。

委員

これは一種のエグゼクティブサマリーでありますから、後半の13ページにも……。

委員

最後のところにも出てくる。

委員

ここで顔出しを強調してくれという御意見ですね。

委員

ええ。

委員

考えてみます。ほかにいかがですか。

委員

3ページの「平成15年度税制改正の実施に当たって」の20行目のところに、「これまでの累次にわたる減税の経験や」、こう書かれています。現時点でも、恒久的減税で20%の減税が続いているという点、これは、毎年でも構わないので、再認識しておく必要があるかと思うのですけれども、何か……。

委員

定率減税のことですか。

委員

はい。小渕政権以来のですけれども、ちょっと御検討いただければと思います。

委員

そういう言葉を使えということですね。

それでは、前に戻っても結構ですから、個別の案件の所得税ぐらいまでを含めて御議論いただきましょうか。6ページの真ん中ぐらいまで、どうぞ。

委員

ちょっと質問的なものも入りますのでよろしくお願いしたいのですが、まず、4ページの13行目の[1]です。これは税調として基本的な考え方ですから、ここを崩すわけにいかないということは十分わかった上で、私は、この「社会保障等の生活関連の『インフラ』整備等の進展を考慮すれば」ということについては、同意できないということだけ申し上げておきます。その理由を言えば幾つでも言えるのですけれども。

委員

1個ぐらい言ってください。

委員

例えば医療保険についての引上げとか、年金についても支給年度の開始が遅れるとか、そういうようなことは、私からすれば停滞ないしは後退という状況にあるというふうに思いますので。

委員

はい、わかりました。

委員

それから、「人的控除の簡素化・集約化」の中で、この6ページまでに書かれていない部分、例えば勤労学生控除というのがありますよね。そういう書かれていないものは、少なくとも15年度においては現状のままであるという認識であっていいかどうか。

委員

結構です。

委員

はい。それから、6ページに「4.引き続き検討すべき項目」とございます。この「引き続き」という意味は、15年度は現状維持だけれども、それ以降について検討すると言っているのか、来年度に間に合うように検討するということを言っているのか。

委員

前段です。つまり、これは来年度税制改正の我々の意見でありまして、所得控除見直しというのは、今おっしゃったように勤労所得控除もあり、給与所得控除、公的年金もあり、これを来年全部やれるとは皆さん思っていないでしょう。しかし、直近で2年後、3年後、順次やっていかなければいけないという意味において、翌々年度あたりからのテーマであると。ただ、きわめてスムーズにいけば、今言った勤労学生控除なんていうのは意外に前倒しで入る可能性もあるかもしれませんけれども、順番としてという意味で、「引き続き」は2年後以降と思ってくださって結構です。

委員

では、後ほどまた、ここについては意見を述べさせてもらう機会のときに……。

委員

ただ、総会はもう1回しかないんですよ、15日。ですから、今思いのたけを、あるならばおっしゃってください。

委員

勤労学生のほうは、出してしまったのはまずいなと思ったけれども、抜き打ち的にやられるとちょっと困るのでね。失礼ですけど、個人的に会長さんは、「なくてもいいのではないか」という……。

委員

なくてもいいと思っています、前から。

委員

発言されているというのを聞いたのですけれども、これからの知識社会の中で学んでいくということを考えれば、人数をどのくらい掌握しているかしていないかとか、少数ではないかとか、そういうようなことだけでこれをなくしていいかという問題が私はございます。特に先生という仕事をやっている職業上、そう考えます。

それから、4ページの(1)から(3)までですけれども、これについては、少子・高齢化社会、年金や医療の問題について今後ますます厳しい状況になっていくときに、やはり個人で自助というところについても、税制上も十分配慮していかなければならないと思います。この4のカッコに書かれていることについては、また別の機会で具体的に申し上げますけれども、私は、ここに書かれているような形で廃止するとかいうことについては賛成できないということを申し上げておきます。

委員

ありがとうございました。

ちょっとお断りしておきますが、4ページの上の[1]、「社会保障等の生活関連」、現時点でお話がございましたが、制度が創設された段階、つまり1960年代、70年代でやたらと増えた時期がございます。それは、社会保障制度がまだ完備していないということを受けて税制でやろうといった配慮がありますから、今とちょっと視点が……。今は、医療とか何かが切られたと、そういう御指摘での御批判ですが、それはちょっと時点が違うということだけ御承知ください。

それから、私は教師ですが、教師が勤労学生控除を否定していけないようなお話ですけれども、これは全然関係ない。関係ないという意味は、勤労学生って、今、いないんですよ。いるとすれば、自分のキャリアアップのために会社を辞めてもう一回ビジネススクールに入ろうとか、そういう視点の学生はずいぶん出てきたから、そういう視点で新しい控除をやろう等々はあり得ると思います。

ただ、これは昭和26年にできている話で、延々と勤労学生の名のもとに一体誰が使っているかというと、定かでない人たちが使っているかもしれないし、制度の衣更えが必要だろうという意味も含め私たちは議論しているので、別にこれがなければ苦学生でもう学業が続けられないなんて学生はいませんよ。大体、フリーターをやっていて親に仕送っている学生なんていっぱいいるんですから、今の時代は。勤労学生という言葉自体、もう死語ですよ。だから、別な衣更えをするということはあり得ます。それは文科省も言ってくると思いますから、それは考えてみたいと思います。そういう意味で、雑多な控除は極力減らしたほうがいいだろうという視点から挙がってきたということです。ただ、抜き打ち的にはやりません。必ずここで議論いたしますから、そのときにまたおっしゃってください。

委員

2ページの28行目、税源移譲関係です。私の町でも、今年度、前年度に比べて1億8,000万円、地方交付税が減ったわけです。そういうことで合併に向かって進めているわけでございますが、真綿で首を締められたような感じを地方自治体は持っているのではないかと思います。ここでは、三位一体で検討されるということになっているわけですが、我々は今、なかなか苦しい立場になっているものですから、調査会としてこの取組み関係はどうなっているか。今後、この動向を見ながら取り組むわけでしょうか。

委員

ここに書いてあります。そのとおりですよ。「当調査会においては、各関係機関の議論の状況に応じ検討を行う」ということですから、無視もしないし。

委員

前向きで検討していくという……。

委員

委員はどっちを言いたいのですか。やってもらっては困るの、それともやれというのか、どっちのことをおっしゃっているのですか。

委員

何しろいま、苦しい立場に……。

委員

だから、やれというのですか、やらないでくれというのか。

委員

結局、交付税ばかり責められているのではないかというような感じで。

委員

でも、これ、三位一体ですからね、別に交付税だけではないですよ。

委員

税源移譲をやってもらいたいという気持ちです。

委員

では、この文章はこれでいいんですね。

委員

はい、いいです。

委員

わかりました。

今日は、御意見もあると思うけれども、修文なり加筆等々が重要なので、答申を作成するという視点でなるべく御発言ください。御意見は御意見で、あとで「主な意見」のほうに載せたいと思います。よろしゅうございますか。

それでは、少し先にいきましょうか。所得税から法人税までいきましょうか。ここも含めて御議論ください。8ページまでです。どうぞ、お待たせしました。

委員

これは確認でございますけれども、6ページの24行目から25行目のところ、「所得税、消費税と並んで基幹税である法人税の負担水準の見直しについては」云々がございます。「先進諸国の税率バランスを踏まえ、所得税……検討すべきである」と。これは、将来のことについては、諸外国に比べて法人実効税率の見直しをということがにじみ出ているような文章と、そういう理解でいいですね。

委員

はい。

委員

それからもう一点。これは追加でお願いできればと思いますが、冒頭に会長からも、連結納税制度の付加税については昨年ついたのでということで、小委員会では出たけれども、あえてということでございましたけれども、7ページに、「政策税制の集中・重点化」のその次、(3)に「中小企業税制」がございますが、この間に3ぐらいの項目で、ぜひとも連結納税制度の付加税、15年度でひとつ撤廃をということの項目を入れていただきたいということでございます。

以上でございます。

委員

その点、御関心をお持ちの方もいらっしゃるかもしれませんから、御意見を集中的にいただいて、方向を定めて……。今日は御意見をいただくだけでありますから、委員の御意見を表明していただきました。

ほかに、これについて具体的に御意見をお持ちの方、いらっしゃいますか。どうぞ。

委員

小委員会でも申しましたけれども、今の委員と全く同意見で、1年でやめるべきである。連結納税制度を推進するためにも、一方で付加税をかけると制度そのものが……。あとは説明しなくてもわかると思います。

委員

わかりました。ほかにいかがですか。

委員

連結納税制度の話が出ておりますが、これ、もともとは連結で欠損法人と親法人と相殺して減収が起きるだろうという見込みで入っているわけですので、今年度の申告が出まして、そのときの状況、実際に予想したような歳入の結果が生じているかどうか、そのあたりまで見た上で判断したほうがよろしいのではないかと思います。もともと歳入を一部でも補うという話で出ていますので、それほどでもないのかどうか。すでに今年始まりますので。

委員

税収分の実績ですね。

委員

はい。

委員

わかりました。

委員

この問題はいろいろ経緯があるわけですね。ただ、2年間限定で認めたわけで、一たんつくった税法ですから、それを1年で見直すというのは、税法の安定性上いかがなものかという感じがするわけです。実際にこの連結納税についての企業の対応--企業が一体どういう対応なのか、どういうことを考えているのか。その実態を調査してみる必要があると思います。その実態を調査した上で検討したほうがよろしいのではないかと思います。

委員

調査に関しては、事務局が何かおやりになっているという話も聞いておりますけれども、事務局何かその辺で情報提供がありましたら。

事務局

実は、今年度から連結納税を適用したいという法人の場合には、その半年前、9月30日までに申請をしていただくことになってございまして、現在、それを踏まえまして、アンケート調査、実態調査を実施中でございます。上場企業を中心にして約4,700社に対しまして、連結納税を選択されたかどうか、あるいは、それをされなかったとすればどんな理由かということを、現在、調査しているところでございます。

委員

情報はいつごろを目途に入手できそうですか。

事務局

今、まさに御返答をちょうだいしてきているところで、取りまとめ作業に取りかかっているところでございます。おそらく1週間とか2週間とか、そういった単位で取りまとめます。

委員

どうぞ。

委員

税収を見てという部分ではなくて、まさに今おっしゃったように、選択を課したわけですから、選択の結果を見て判断すべきだと思います。4,000社のうちおそらく200社程度しか選択しないという情報も聞いていますので、ここは、税収のありなしの問題ではなくて、制度を推進するか、しないかという問題だろうと思います。

委員

先に言うならば、選択しなかった人が、この税のおかげかどうかというところがポイントだということでしょう、情報としては。

委員

はい。

委員

まさに今お話の、この制度の趣旨としてどう考えるかということではないかと思うわけでございます。欠損会社と利益会社とが連結で申告をされれば、税収としては減らざるを得ない。しかし、グループ企業の効率化という観点からこういった政策を進めようというのであれば、過渡期ではありますので、過渡期としてやむを得ず付加税を導入したということだろうと思います。そういう制度の趣旨から考えて、ほんの半年ばかり前に国会で成立した制度でございますので、特段のことがない限りは予定どおりの適用でいかがかと思うわけでございます。

委員

ほかによろしゅうございますか。どうぞ。

委員

5ページの20行目、特定扶養控除のくだりですが……。

委員

ちょっと待ってください。連結ではないのね。

委員

ごめんなさい。

委員

では、連結はよろしゅうございますか。賛否相半ばする中で、まだ情報が不足していることが一部ある。つまり、アンケートをやっていまして、連結付加税がどれだけ障害になっているかという情報がもうちょっと足りない。まだ時間がありますから、今日は情報をいただいたという形で、修文までいけるかどうかわかりませんが、そこで皆さんの御意見を反映させたいと思います。

では、お待たせしました。

委員

この特定扶養控除のところですが、書き方が、ともかく最初に廃止・縮減ありきというような印象をどうしても受けてしまう。

委員

いや、廃止・縮減ありきなんですよ。だって、「小泉5項目」に入っているんだから。

委員

小泉さんが言ったからといって、我々がそれを、はい、わかりましたといって、全部……。そしたら審議会なんか要りませんよ、会長。

委員

だから、いま審議して……。

委員

私、表現の問題を言ってるんですよ、表現の問題。そういうことだったら、私、発言できませんね。会長からそういうふうに言われると。

委員

いやいや、だから初めから……。

委員

最後まで人の話を聞いてから言ってください。

委員

わかりました、どうぞ。そう怒らないでください。

委員

あなたの言い方が少しあれなんですよ。人の発言を封じるようなことを言うから。

この特定扶養控除のところ、「創設当時、中堅所得者層の負担感が強かったことへの配慮」云々。これは現在でも、16歳とか、いわゆる高校生、大学生の負担感は相変わらず強いのではないですか。それはいいとして、強かったのは過去の話だから、過去形を使うのはしようがないとして、その次、「しかしながら、その実態は様々であるほか」、これはどういう意味ですか。「しかしながら、一概に16歳以上23歳未満の扶養親族といっても、その実態は様々である」と。

委員

それは、家計の構成も違うだろうし、所得水準も違うだろうし、だから、これがあるだけでやっていかないという議論でしょう。ファミリーにはさまざまなサイズもあるし、構成もある。要するに、これは一種の教育控除ですよね。明らかに高校生、大学生の。

委員

そしたら、「その実態は様々であるほか」というのは、つまり親の所得水準がいろいろあるとか……。

委員

そういうことでしょう。

委員

もう少し具体的に書かないと、わかりにくいという印象がありますけど。

委員

様々であるから、こういう特定扶養控除等で一律に税のほうで手当てはできないだろうという趣旨ですよ。これは、委員と根本的に意見がいつも違っているところだから。要するに税制を個別の事情において使うか、それとも税はまとめて歳出面でやるか、その辺の議論ですよね。

でも、修文等々ありましたらおっしゃってください。ご注文があれば。この「様々であるほか」というのは、もうちょっと具体的に書かないとわからないという御質問ですね。

委員

そういうことです。

委員

はい。では、ちょっと工夫してみましょう。ほかにどうぞ。

委員

個人所得課税のところですけれども、4ページの「諸控除」、10行目からのところで、最後に「基礎控除、配偶者控除、扶養控除からなる人的控除の基本構造については、更に検討を深める」とあります。そして、6ページに「引き続き検討すべき項目」とありますけれども、これは段階的に意味が違うわけですか。「検討すべき項目」というのと、4ページの「諸控除」の15行目からあります、「さらに検討を深める」というのは。

委員

諸控除の中で、人的控除を念頭に置きつつ最初始めて、三つあるわけですね。おそらくこのときの対象は、配特が今問題になっていますけれども、配偶者控除そのものについて見直しはという話も片やあって、人的控除全体の中で扶養控除をどうしようかとか、配偶者控除をどうしようかというのは、実は、対話集会のときに案を見積もっていって議論したので、それはまだ決着がついていないのです。ですから、そこはそことして一番コアの部分として議論しましょうと。

それから、「引き続き検討すべき項目」というのは、先ほどの委員に対するお答えで申し上げたように、所得控除の見直しとしてまだずっと続くものがあるだろうと、そういう趣旨で言ってますから、来年はおそらく配偶者特別控除がネットになっても、それ以降、男女共同参画等々いろいろ要望もあったりして、その次の次ぐらいには、来るべき項目が並んでいますけれども、その一環としてここも絡んでくるだろうと思います、私は。

委員

わかりました。それと、会長から先ほどお話がありましたけれども、6ページの「引き続き検討すべき項目」というのは、時間をかけてじっくり検討していただきたいとお願いします。

以上です。

委員

はい、ありがとうございます。ほかによろしゅうございますか。

委員

先ほどの発言ともちょっと関連することですが、3ページの24行目、「内閣総理大臣の上記所信のように」と書いてあります。これは、10行目以下の文章で、総理がこう言われて、税調としても賛成しますよというようなニュアンスですから、いいと思うのですが、5ページの冒頭にあります、「内閣総理大臣からの指示も踏まえ」というのは、もうなくてもいいのではないのか。

委員

すみません、何行目ですか。

委員

一番上の行です。なくもがなという感じがいたしますけれども。

委員

そうですか。はい、わかりました。お待たせしました。

委員

先ほどの委員が言われたところと同じですけれども、5ページの20行目、特定扶養控除の問題です。これは、先ほど会長もおっしゃったように、基本的には教育に対しての減税措置というのが創設の基本的な考え方だったというふうに思っております。今、教育費というのはむしろ負担は増えているのが現状ではないかと思いますので、配偶者特別控除の議論とは違う視点で考えなければいけないのではないか。冒頭で簡素か中立かという議論があったというふうに私も記憶しておりますけれども、税というのはたしかに中立であることが大事ではありますが、ある一定部分については、政策的な誘導も絶対必要ではないかというふうに思いますので、特定扶養控除についての廃止というのは、私は適切ではないというふうに思っております。

以上です。

委員

御意見を伺っておきます。ほかによろしゅうございますか。どうぞ。

委員

同じところですけれども、人的控除の廃止、簡素化、集約化というところには、基礎控除の拡充とか、何かそういうことと抱き合わせという可能性はあるわけですよね。

委員

はい。

委員

その部分というのは書かなくてもよろしいのかしら、という……。

委員

それが、簡素化・集約化の背後にある思想なんですね。どこかに書いてあったかな……。

委員

今、私も探していたんですけど。

委員

見当たりませんか。

委員

「あるべき税制」のほうにはたぶんあったと思いますけれども。

委員

ええ、「あるべき税制」のほうには書いてございましたね。

委員

はい。

委員

ちょっと落ちているかもしれません。

委員

ここでしょう。4ページ……。

委員

4ページのどこ?

委員

これはそういう意味ではないですか。

委員

「更に検討を深める」。あえて基礎控除という言葉を使っておりませんが、4ページの16行目、「人的控除の基本構造については、更に検討を深める」ということは、仮に配偶者控除を少し縮減すれば基礎控除のほうで上乗せするとか、そういう趣旨が……。

委員

ここに含まれているということですね。

委員

と理解しますが、もう少し明確にしたほうがいいかもしれませんね。

委員

のほうがいいと思います。

委員

はい、わかりました。

ほかによろしゅうございますか。お急ぎの方もいらっしゃいますから、後ろのほうまでカバーしましょうか。前にお戻りいただいても構いません。それでは、消費税、あるいは資産税までお含みください。いかがでしょうか。

委員

消費税のところで9ページの9行目、「消費者の便宜のため、価格の総額表示(含む税額明記)」とありますが、これは、税額は必ずわかるようにするということでしょうか。

委員

はい。

委員

わかりました。

委員

1,000円のトータルの価格で50円入っているよ、と。含む50円ですからね。そういう意味です。

委員

それが必ずわかるということ。

委員

はい。

委員

それと消費税のところで、「検討の方向の中では、役割を高めていかざるを得ない」と書いてあるのと、中小特例制度の改革というところ、2点に絞られていると思うんですね。

私は、初めのころの総会だったと思うのですけれども、消費税というのは逆進性があるのは誰も認めるところで、平成6年か7年の答申の中で、ほかの税目が相当累進が厳しくなっているのだから、消費税の逆進性だけを取り出すのは考え方として妥当ではない、全体で見なくてはいけないのだ、ということが言われていた。それから、所得税をはじめ累進がみんな平準化しているところで、あのときに言っていたことと、累進を緩和してしまって、そこのところをどう説明をつけるのでしょうかと質問して、そのままになっているのですけれども、その辺のところは一切触れられませんでしょうか、ということです。「答申に盛り込まれていない~」、そこを見ましても、入ってないです。

委員

あえて弁護いたしますと、消費税を導入して12年になるのかな、13年になるのかな、「若者集会」に出ても、ずいぶん消費税に対する感覚は違ってきてますね、若い世代の感触というのは。ここにいる世代が、まあ古いんだな、ここは。そういう意味で感覚は変わってきましたけれども、おっしゃるとおり相変わらず逆進性の問題はありますので……。数年前の答申は必ず、他の税と一体化して逆進性の緩和を図るとか、歳出面で面倒を見ると書いてきましたよね。おそらくその趣旨は活かされていると思いますが、ただ、所得税のほうの最高税率をずいぶん下げてきましたから、あえてそこで言うなら、資産課税の強化ということとタイアップするとか、そういう論旨になるのだろうと思います。そこは、逆進性の欠陥等々もこの辺で少し議論する必要があるかもしれませんから、修文の際に参考にさせていただきます。では、どうぞ。

委員

13ページ、最後の行でございます。揮発油税、暫定税率関係で、「環境保全」ということだけ入っているわけですが、地方の立場で、やはり我々の町にいたしましても、ちょうど高速道路のインターがございます。西のほうはバイパスができているのですが、3町のけて東のほうがバイパスができておりません。私の町、3町ができていないのですが、早くつなげていただきたいという願いが非常に高いのです。そういうことで、地方関係においてもまだまだ道路に関しては未整備なところが多いわけでございます。端的に言いますと、東九州道路、南九州高速道路、それから西九州道路、これも全部つながっておりません。そういうことで不便も感じているわけでございます。

従来から、依然として道路特定財源維持ということで申し上げていたわけでございますが、これはなんといっても道路整備を補うための受益者負担に基づいたものでございます。そういうことで、道路の整備の必要性、これを何とかここに入れていただけないだろうかなという感じがいたします。地方の道路整備は未だ道半ばでございますし、今後も道路特定財源を活用しながら道路整備をやっていかなければいけないのではないかと思います。「道路整備の必要性」というのをどこか入れていただけないかなという感じがいたします。

それから、あと一点、ここで、財政の硬直化を招くおそれがあるということを書いてあるわけですが、我々の立場としては、受益者負担であり、国債を使ってないんですよね。そういうことで、何かこの言葉に対しては不本意がございます。

委員

ここは特定財源の一般論で書いてるんですよ、財政の硬直化というのは。

委員

一般論というと抵抗があるんですよね。

委員

いやいや、話は道路だけじゃないんですよ。今、さまざまな特定財源があって、石油と原子力とくっついているとか、さまざまなことがある。委員の頭の中は道路、道路でいっぱいでしょうが、ここに硬直化ということでございますけど……。

委員

この前も、1行入れていただいたのですが、今度のは環境の保全が前面に……。

委員

僕はかえってお聞きしたいのだけれども、いまの28~29行目のところは、これまでの我々税調の一般財源化ということを再度主張していて、環境云々のところは暫定税率のことだけ言ってるんですよ。暫定税率はたしかに道路の必要性があるから残したいという御希望がある。と同時に、今急にやめると環境がまた悪化するよという話もありで、その辺で、暫定税率のところだけで……。

委員

環境保全もいいですがね……。従量税というのはわかるのですが、揮発油税まで暫定税率を2倍かけているわけです。そういうことで、道路整備も必要だということをここに入れてもらえると。環境ばかりが表面に出てしまったような感じがいたしますものですから。

委員

ちょっと考えてみましょう。関連ですか。

委員

はい。私も全く地方族になってあれですが……。大変苦労されて新しいこの案文が出たと思うのですが、基本方針の、暫定税率をいま会長が御指摘になったところを見ますと、「自動車税の社会的コストや環境の保全の観点に鑑みれば」と書いてあります。3カ月か4カ月たって、環境だけになっているんですね。これは、基本方針のほうが認識が間違っていたのか、あるいは、事情がよっぽど変更になったのかなという感じに受け取れまして、私は、基本方針ぐらいの表現ですべきではないか、このように思います。

委員

どうぞ。

委員

道路をつくる必要があるから暫定税率ができたわけで、暫定税率をやめるというのだったら、それは……。

委員

やめちゃえと。

委員

そうそう。暫定税率に触れるなら、まずやめろと。それで、環境の問題なら、新たに環境税を設計しろということをだいぶ前に言った覚えがあるんですね。ここは、いま皆さんがおっしゃるように、環境の問題だけが出ていて、道路の必要性に全く触れていないというのはちょっとおかしいですね。

委員

どうぞ。

委員

先ほどの委員の言われたことで、今のことではなくて、9ページで「価格の総額表示(含む税額明記)が促進されるよう」というのですが、これはなかなか難しい問題がありまして、簡単に言えば内税表示になるわけですね。商品に貼りますと、今度は、もし消費税率が上がったときに商品を全部入れかえなければならないという問題が起きる。これは、税制上の問題ではないと思うのです。別な場で論議されるべきではないでしょうか。

委員

ただ、内税・外税表記問題というのは消費税を入れて以来延々と来ているんですね。そこでまさに、小売あるいは卸の方の表示の問題を含めて考えていますから。今、自由なんですよね。

委員

そうなんです。

委員

委員御自身はどういうお考えがよろしいのですか。つまり、内税でやっていると変更のとき大変だとおっしゃるわけですね。

委員

そうです。それで、もし表示するなら、カウンターのところに表示したらよろしいんじゃないかと思うんです。どこのお店でも表示カードありますからね。ただ、諸外国で、税金は幾らと表示しているところは私は見たことないです。

委員

内税と外税の中をとっているんですよ、これはある意味では。

委員

そうですね。

委員

両方のいいところを活かしたら--あるいは悪いところかもしれませんけれども、こういうのはどうかという議論が出たので。

委員

ここで、税制で促進するように対応するというのは、ちょっと具合が悪いのではないですか。

委員

ああ、そうですか。ただ、消費税のまさに根っこにある問題であることは変わりないんです。だから、触れないわけにいかないと思うんですけど、おっしゃるような御意見もあろうかと思いますから。

委員

うまく触れてくださいませんか。(笑)

委員

難しいな。どうぞ。

委員

10ページの23行目、「一体化措置の具体化に当たっては、住宅投資の促進にも資するとの観点にも留意すべき」と。素直に読めば、生前贈与で住宅投資にも使えという話だろうと思うのですが、これは、住宅投資に限ってもっと拡充しろとか、そういう意味も含まれているのでしょうか。

委員

例の550万円のところですか。

委員

ええ。

委員

今の贈与税の5カ年分を足したと。あれあたりと絡めての議論と私は理解していますけれども。それから、生前贈与してもらって何に使ってもいいわけですよね。

委員

私はそう思うんです。

委員

いや、そうなんですよ。

委員

だから、わざわざ住宅というのをここでなぜ持ってきたのか。

委員

今言った、旧来のところにあるやつとの整合性をどうするかということが残るんです。それも踏まえてというふうに私は理解しましたけれども。

どうぞ。

事務局

これは、先ほど会長からお話がございましたデフレ対策との関係、どれくらいここに頭出しをするかというお話と関係するのだと思います。それで、今の550万円の住宅特例は、御承知のように租税特別措置でございますから、この税調の議論でどれくらいやっていただくかということはあったのでございますけれども、今回、デフレ対策の中に住宅投資の促進という項目も入っておったものでございますから、私どもとしては、一体化措置の中では、住宅も含めてあらゆる資産、これは生前贈与の円滑化に資するわけでございますが、まずそこをきちんと固めていきたいとは思っております。今の550万円の租税特別措置との関係も、当然、デフレ対策の中では御議論になってくるだろうということで、先日、基礎小委でもここら辺の問題点の御指摘もございましたので、ここに頭出しをさせていただいているということでございます。

委員

委員、「改革加速のための総合対策」の5ページには、一応住宅関係は入り込んでいるんですよね。そういうことも踏まえて、まだ決め打ちはできませんけれども、頭出しをしておいたと。

委員

言葉は悪いけれども、何となく利権臭いようなにおいがしているので。税調としてはどうかなということで。

委員

ただ、550万のところはどうしても、制度的には残すのか、残さないのか、統合するのかという問題がありますので、そこと絡めてお考えいただければと思いますが、まだそういう御懸念があるならば少し考えてみましょう。どうぞ。

委員

私からは一言だけ。皆さん方おっしゃったので、道路の問題について一言だけ記述を入れていただきたい。それだけです。

委員

はい、わかりました。どうぞ。

委員

13ページの酒税、たばこ税です。酒税、たばこ税の増税は家計への負担を増やすということで、消費マインドを一層冷え込ませてしまうので、そういう増税は行うべきでないということを、6月の「基本方針」をつくるときにも申し上げたのですけれども、同じ考えであります。この酒税を見ますと、13行目のところから、「同種・同等のもの」となっていて、「厳しい財政事情も踏まえて、酒類間の税負担格差の縮小」という言葉を使っています。これは、高い税率を低いほうへ合わすということは考えられないので、引き上げるということを言っているわけであります。特に発泡酒とビール税のことはここでも議論されたのですけれども、すでにそれは実施済みであって、企業が努力をしてきた商品に水を差すようなことはしないほうがいいということで、私はこのところには同意できません。

それから、たばこ税についても、もうくどくどと言いませんけれども、すでに総合的な負担割合は60%に達しておりまして、他の課税物品との担税格差は拡大していて、これ以上のたばこに対する増税についても同意できません。

委員

実はこの酒税、たばこ税は「基本方針」の中に書き込んだトーンがそのまま活かされているのですが、今回の「主な意見」のほうには、今委員がおっしゃったような趣旨の意見は紹介されていますので、その辺との調整をもう少し考えさせてください。

委員

細かいあれですが、13ページのエネルギー関係の30行目、「当面」というのが何か気になるのですが、なくてもいいような気がするのが一つと、「環境の保全を考慮し」というのは、「環境保全と税収を考慮し」というような感じにしたほうがいいのではないかなと思います。

あと、同じページの4行目ですけれども、複雑でわかりにくいとの批判があるから直すという言い方は、批判なんかあちこちいっぱいあるわけで、批判があるから直すというなら、もっといっぱい直さなければいけないという気がしますので、こんな余計なこと言わないで、内心忸怩たる思いはあるのかもしれませんが、「簡素化する」と、ただ書けばいいような気がします。

委員

そうですか。ちょっとすみません、前段の環境保全と税収というのはどういうことをおっしゃっているのですか。もうちょっとクリアカットに言っていただけますか。

委員

何でもいいから税金が多いことはいいことだと思いますので、暫定税率だろうが、決まっている税率だろうが……。

委員

ああ、そういうことですか。

委員

そういうことです。せっかく払っているのを減らすことはないという。

委員

そういう趣旨ですか。わかりました。

委員

あと、10ページの25行目あたりの話ですが、相続関連で、住宅投資で相続税・贈与税をまけるというのでふと思い出したんですけれども、住宅ローン減税というものすごいのがありますよね。あれとこれと両方優遇してまで家を建てさせようというのはどうかと思いますので、これをもらった人は住宅ローンの減税のほうはやってあげないとか、そういう関係をつくってもいいのではないかという気がします。

委員

はい、わかりました。

委員

あと最後です。6ページですが、「引き続き検討すべき項目」というので、定率の「やめ」というのがどこにもないので。まあ、できませんけれども、どこかちょっと5文字ぐらい入れておいたほうがいいのではないかと。

委員

これは、来年度からという意味でおっしゃっているんですね。

委員

ええ。やめなくても、25万を15万にするとか、必要性が出てくる可能性はあるのではないかと思います。

委員

先ほどの委員から、連年の減税というところで入れてはどうかという御提案がございましたから、入れ方等々、あるいは「主な意見」で紹介するか等々を含めて、少し議論させていただきます。

先ほどの消費税の逆進性の点でございまして、非常に興味深い点でございます。この点は前にも申し上げたことがあるかと思いますけれども、所得と消費、一方は稼いだ時点で課税をし、一方はそれを支出する時点で課税をする。それぞれ、対等の立場でその地位を主張できる税ではないかと思うわけでございます。そして、所得税は累進税で課税最低限がある。消費税は基本的に比例税でございますから、比例的な負担はあるとしても、逆進的な負担にはなっていないと言えるのではないか。

しかし、先ほど会長のお話にあった資産の問題がある。消費しないで貯めておく、高額所得者はそれだけ蓄積を増やす、貯蓄を増やせばそれだけ消費税の負担は減るわけですから、たしかにその点では逆進的と言えるかもしれませんけれども、その蓄積された資産というのは、大数的にはその人の一生の間に支出されるわけですから、そういった意味では究極的に消費税は比例税であると見てよろしいのではないか。

そういう意味におきまして、9ページの5行目に「消費税は、世代間の公平の確保」という文言が入れられている。これは非常に興味深い文言でございまして、所得がなく、稼ぐ段階が終わってからでも高齢者はその負担をしていただけるということ。これは、逆進性という議論からすると、所得がないのに負担をするということになるわけですけれども、それはマクロ的に見て、稼得の段階と消費の段階とで大数的にそれぞれ分担されているという意味では、消費税を逆進税として意識してそこを強調する段階は過ぎて、今や所得税と消費税が対等な立場を獲得しつつあるというふうに前向きにも考えられるのではないか。

しかし、そこは会長のおっしゃったように、資産課税の問題も含めて強調していけばさらに説得的とは思いますが、消費税逆進性論というのは少しずつ新しい段階に入ってきているのではないかと思います。

委員

まだどなたも御発言のない、土地とか、固定とか、国際課税とか、公示価格というあたりも、いかがでしょうか。

委員

その項目ではなしに、前に戻って恐縮ですが、3ページの「平成15年度税制改正の実施に当たって」ということで、これは私は意見として申し上げておきますので、テイクノートしていただければと思いますけれども、やはりデフレが今の日本の経済社会には一番大きな問題なので、その点をもうちょっと強調できないものかどうか。私は修文能力があまりありませんので、あれですけれども、「答申に盛り込まれていない主な意見」の中にたしかにございますけれども、3ページを読むと、言っていることは言っているけれども、ちょっとまどろっこしいのではないか、こういう感じが一つ。

それからもう一つは、多年度増減税というところで、財政規律というのをちょっと強調し過ぎかなと。3ページで申し上げますと、23~24行目のところで、減税を先行するに当たっては、国民の将来不安を払拭するために財政規律を維持すると、こういう表現は言い過ぎなのではないだろうかと。その2点をお考えいただければと思います。全体のこの答申の基調になる部分でございますので。

委員

後段は、基礎問題小委員会で結構あったんですよ、こういう議論が。前段のデフレは文章の中に突っ込むことは可能かと思いますが、財政規律云々のところはずいぶん議論したものですから……。ちょっと考えてみます。

ほかにいかがですか。

委員

一つは質問ですが、国際課税のところです。いろいろ書いてございまして、最後のくだり、27~28行目で結論めいたところになっているのですが、「条約相手国からの情報提供要請に応じて情報を収集するための制度を早急に整備すべきである」という表現になっています。これは、基礎問題小委員会か何かで、具体的ないろいろな作業がされているというふうに理解していいのですか。

委員

具体的な作業はまだ行っておりませんが、そういう各国の現状の御説明を受けて、日本の現行制度がこの辺は少し未整備であるということから、改善したいということがあって書いたので、具体的に何か御提案ございますか。

委員

いえ、そういう意味ではないのですが、当然これは、金融課税という項目では一番大きな部分になってくると思っております。それで、13ページの一番上のところに戻るわけですけれども、平成15年度税制改正云々で「こうした方向性」と。こうした方向性というのは、その前にあります、「金融所得の一元化、二元的所得課税についても、総合課税とあわせ検討すべきである」ということだと理解しますが、こういったものを含めて早急にいろいろな議論が必要なのかなと思っています。

それから、先ほど他の委員からもお話がございましたけれども、「株式譲渡益に係る優遇措置は複雑で分かりにくい」と。これ、「分かりにくい」という部分をとってしまいますと、優遇措置というのが批判があるというふうにもとれるようにならないこともない。つまりこれは、別紙の「答申に盛り込まれていない主な意見」の中にあるんですけれども、この総会ではかなり議論になったと思うのですが、「現在の経済情勢を踏まえた、緊急措置としての譲渡益課税についての大幅な非課税措置」というような言葉を、この際ぜひここに入れていただけないかなということでございます。

委員

どうぞ、事務局、御説明ください。

事務局

実は、この問題は基礎小のほうで少し詳しめに御説明申し上げたのですが、ここに書いてございますように、とりあえず現行法では、それぞれの税法の中で、自国の課税利益がある場合に限って質問検査権という形で国税当局が情報を収集できる体制があるのですが、条約の相手国からの要請ということになりますと、必ずしもそのこと自体、自国に課税利益が必ずしもある場合とは限らないものですから、そのときには、現行法上、質問検査権を行使して情報収集をするという道が閉ざされているわけでございます。

昨今の状況に鑑みまして、ここにもございますが、そもそも資料情報収集というのは双方向のものでございますので、こちらが出さないと、なかなか相手も出していただけないというようなことが、現に条約の締結相手国との間で生じている。ぜひここは、国内法の整備も含めて、現在、何らかの法制化が必要ではないのかなということで部内で検討しているところでございます。

それで、今御指摘がございましたように、金融機関に特にターゲットを絞った規定ではございませんで、もちろん幅広く、一般に、必要に応じて、条約の相手国に提供するための規定を整備したいということでございます。ただ一つだけ、現行の自国に直接課税上の利益がある場合に比べまして、どうしてもわが国が裨益するという、利益の範囲が間接的にならざるを得ないことに鑑みまして、どの程度の受忍義務を納税者に要求すべきかというところで、今本問題に関しまして、どの程度の範囲で質問検査権を認めるべきかということを真摯に検討している、そういう状況でございます。

委員

私、金融機関にターゲットを絞ったというふうにとられますと、ちょっと心外でございます。金融商品が一番関係が出てくるというような意味で申し上げたので。

委員

ほかにいかがでございますか。どうぞ。

委員

11ページの固定資産税のところ、この(2)の表現ですが、どうもよくわからない。これを読んでスッと何を言っているのかわかる人は、そういないのではないかと思います。とりわけ最後のほうの2行ですが、「これまでの負担調整措置を基本に」、これはわかります。「評価替えの動向、負担水準の状況や市町村財政の状況等を踏まえ、負担の均衡化・適正化を一層促進する措置を採る必要がある」と。非常に抽象的ですね。要するにこれを書いた方は何を具体的に意図されているのか、わかりやすく説明してくれますか。

委員

相変わらず7割目指して頑張ろうということでしょう。それで、均衡化、適正化というのは一層やらなければいけないけど、諸般の事情があるよということだと思いますが、これはどうですか。

事務局

15年度につきましては、今、市町村のほうで評価替えの準備をしております。現状では、具体的にどれぐらいその結果によって税収が動くというのははっきりしておりませんけれども、土地あるいは家屋を含めまして、相当な減収になる。それを前提といたしまして、特に土地の問題につきましては、いわゆる7割評価を導入して以来、同じ値段の土地でございましても、実際の税負担が違っているという状況がございまして、その点について、特に相対的に低い水準の負担にある土地について、できるだけ早くその水準を上げていく、全体にバランスをとる。これが、今の制度の基本でもございまして、そのことを中心に言っております。

その際、市町村税の中で非常に重要な税、また、全体の半分程度が固定資産税収でございますけれども、そういうこともございますので、現在のそういう評価替えの動向なりを踏まえますと--当然踏まえて、最終的にどうするかというのはまだあるわけでございますけれども、全体的にさらなる制度的な減税というのは、なかなか難しいのではないかということを趣旨としては考えてございます。

委員

要するに今回は答申の時期が早めなので……例年より1カ月ぐらい早いのですか。固定資産税、評価替えの年ですと、通常、事務局から具体的な図入りの案か何かが示されて、こんな具合で行きたいという説明があるんですよね。ただ、今回は時期が早いので、そこまでの準備段階に入っていないのかなというのが一つあります。したがって、この表現がすぐ飛び込んでこないという面があります。

いずれ事務局案というのは出るのですか。それとも、もうあまり変えませんよということで、これでずっと行くわけですか。

事務局

本当であれば、先ほど申し上げましたような評価替えを踏まえて、どれくらいの減収になるのかということをはっきりお示しできますと、今のようなことも踏まえて案として出せるかと思っているのですが、そこが、今のスケジュール的に言うとなかなか間に合わない。

ただ、負担水準の低い土地については、今までの制度としてもだんだん上げていくということではあるのですけれども、少し時間がかかり過ぎる、こういうところがございますので、そこについて何かできないかなという段階でございます。

委員

具体的な修文の御希望はございますか。

委員

事務局のほうも準備がちょっとあれなので、もう一回言いたいのですが、一つは、「7割を目途とした評価水準を維持する」と。今、7割の評価水準云々ではなくて、むしろその下の負担水準の問題。課税標準の設定をどうするんだ、負担水準をどうするんだ、その負担水準をある程度オーバーしたものはどうするんだ、ということが具体的に納税者の関心を呼んでいるわけですね。7割を維持しますよというのは、これは一般論としていいんだけれども、具体論というか、納税者の関心は実際の負担調整措置というところにあるわけです。

だから、むしろ修文とすれば、こうなるのか知らないけれども、「基本的に従来の負担調整措置を継続する」ぐらいのことをはっきり書いたほうがわかりやすいというか。これは、なんかこう期待を持たせるようなところもちょっと感じさせるし、これまでだよというような印象もまた一方ではあるし、そこら辺がわかりにくいと申し上げているわけです。

委員

どうぞ。

委員

誰も問題提起しないので、一言だけ。14ページの環境対応のところでこういう文章になっているわけだよ。ちょっとこんなの聞くのも悪いんだけど、会長の見解で聞いておきたいと思うんだけど、環境税については、「国民に広く負担を求めることになる問題だけに、国民の理解と協力を得て、今後、積極的に検討を進めていくことが望ましい」と書いてあるでしょう。これは普通の文章だと、「今後、積極的に検討を進めていくべき」とかね。「望ましい」というのはどういう思いかね。書いた人の気持ちもわからないわけじゃない、状況は非常に複雑だからね。わかって質問してるんだけどね。(笑)これだと、大した腰の入った話じゃないということだろうね。

委員

委員のおっしゃるとおり、「望ましい」と書くと、ボールが来たけど、またどこかに投げたいということもあって腰が引けているというので……。「積極的に検討を進めていく」という、きりのいい、姿勢がはっきりするような文章をつくることは可能ですよ。ただ、フィージビリティーの問題でしょうね、現時点において。来年度税制改革、もう直近を見てますからね。すぐ話がいくかどうかですけれども、その辺で具体的な御提案はございますか。もうちょっと腰を据えてやれや、と。僕はそれはそれでいいと思いますよ。

委員

いやいや、半分いやみを言っただけでね。(笑)

委員

では、それをちょっと真剣に考え直しましょう。どうぞ。

委員

3ページの上から2行目、「金融・経済情勢の不確実性が高まっており」と。それはたしかにそうなのですが、どなたかもおっしゃいましたが、今の経済状況は非常に深刻だと。不況感が強いし、デフレ状況も現実にあるわけですから、そういう表現を少し入れたほうが、税調としても、現状は厳しく認識している、しかし、何でもかんでも税制と言われても困る、できることはやりますよ、ということだと思うんですよね。そこのところ、「不況感」とか「デフレ」というような文言が一言入ってもいいのではないかなというふうに思います。

委員

ありがとうございました。

だいぶ時間がたちました。あと10分ほどですが、この際、トータルな意味で何か御発言は。

どうぞ。

委員

二つほど。一つは、国際課税のところですけれども、20行目に、「資料情報に対する税務当局のアクセスを一層充実させる」というのがあります。その後、24行目に「情報収集権限」という言葉があって、27行目に「情報を収集するための制度」というふうにあって、こちらのほうがわかりやすいんですけど、最初に出てくる20行目の「資料情報に対する税務当局のアクセスを一層充実」。これ、何となくわかりにくいような感じがします。何にアクセスするのかが不明確というか、わざとそうしているのかもしれないんですけど。それが一つ。

それから、わざとじゃないんですけど、13ページに「エネルギー関係諸税等」というのがあります。私、だいぶ法律的な文章を見るのをこのごろ慣れてはきましたが、「エネルギー関係・諸税・等」みたいに、曖昧が三つ続くこういう感じって、文章を書くと本当に怒られるんですけど。例えば、「資本」と「資本等」ではうんと違うとか、「核物質核燃料」と「核物質核燃料等」ではうんと違うというように、法律的な中で「等」の中に含まれるものというのはいっぱいあるわけですよね、いろいろなものを見ていると。

それで、この「等」でごまかされることって非常に多くて、答申であるとかそういうものでは一切構わないと思うのですが、例えば「あるべき税制」ではないですけれども、一般に出すときは、皆さんはわかっていて「等」なんですけど、等の中に何があるのかということは、ときどき思い出したように明記をしないと、非常に誤解を生んでいってしまうことがあるのではないかなということをちょっと感じたので、「等」という言葉を使うときに、ちょっといろいろと思い出して文章を書いていただきたいなというふうなことを思いました。

委員

私も大賛成で、「等」というのをずいぶんバッサバッサと削りましたし、「見直し」という言葉も、どっちに見直すかわからないからこれはよくないという意味で、修文もずいぶん勝手にやりました。この場合のエネルギー関係諸税等というのは、諸という字があり、また等という字を使って、オーバーラップみたいにしているよね。

ただ、これはこれまでずっと使ってきた言葉で、ここの中身を少し精査しつつ、この言葉遣いをもう少しシンプルに明確にできる話があれば、ちょっと考えてみます。

ほかによろしゅうございますか。もう出尽くしましたか。

それでは、ちょうど時間になってきましたので、忘れないうちに、この二つの文書をお残しいただけますか。これからまだ修文等々ございまして、公表する前の重要な書類でございます。

あとの段取りですが、15日(金曜日)の2時から2時間ほど、最後の総会の予定でございます。そこでかためて御一任いただきたいと思います。その前に、基礎問題小委員会を中心とした起草会合をもう一回やりますので、今日受けたさまざまな修文なり御提案をもう一回起草会合で整理して、それを最後の総会にお出しして、皆さんの御承認をいただけたらと思っておりますが、そういう段取りで、できましたら議論は15日まで。19日(火曜日)に、「答申」を御承認いただく最終的な総会を、短期間でございますが、考えております。総会関係では15日と19日、ともに午後でございますが、これを御予定いただけたらと思っております。

事務局のほうから何かございますか。よろしいですか。

委員

時間は何時ぐらいですか。

委員

2~4時を考えていますが、19日は、おそらく20、30分で読み上げてという形でございますから、そんなにかからないと思います。最後はいつもどのくらいやってましたか、30分くらいか、そんなものだね。

では、19日は2時から、2時半か、長くても3時までにはならないと思います。そういう予定をしていただけたらと思います。よろしゅうございますか。

それでは、長時間、どうもありがとうございました。おかげさまで、どうやらまとまる目途がつきまして、私と会長代理はややホッとしているという感じでございます。また引き続き、いろいろな御提案があろうと思いますから、お出しいただきたいと思います。

どうもありがとうございました。

〔閉会〕

(注)

本議事録は毎回の審議後、速やかな公表に努め、限られた時間内にとりまとめるため速記録から、財務省主税局及び総務省自治税務局の文責において作成した資料です。

内容には正確を期していますが、税制調査会議事規則に基づき、事後の修正の可能性があることをご承知置きください。