第34回総会 議事録

平成14年10月29日開催

石会長

時間になりました。総会を開催いたしたいと思います。

今日は報告事項が2件と、それから、前回の基礎問題小委員会での審議状況を受けて、この総会でご報告して、またご審議を賜ると、こういう手順でおります。

今日は、確か草野委員からご意見が出ておりますので、資料としてつけ加えてございますので、後ほど目を通してください。

それでは、いずれにいたしましても、15年度税制改正に向けての答申作業というのを着々と進めているわけでございますから、今日、個別の案件につきましては最後になるかと思いますが、かつ、最後に、できたら、15分か20分時間をとって自由な論議ということもお伺いしたいと思いますので、そういう段取りでやっていきたいと思っています。

最初の報告事項は、18日に開催いたしました臨時国会の冒頭で小泉首相が所信表明をされましたが、その中で税制改革に関する所信もありましたので、簡単にそれを調査課長の永長さんからご説明いただきましょう。よろしく。

永長調査課長

調査課長でございます。

お手元の白い、「第百五十五回国会における小泉内閣総理大臣所信表明演説」という冊子でございます。

1ページ、表紙からおめくりいただきまして、(はじめに)ということでございますが、もう一ページお繰りいただきまして、2ページの後段から、(日本経済の再生)という項目でいろいろなことが論ぜられております。冒頭、いわゆる日本経済の再生が重要であるということで、「早急に、総合的な対応策を取りまとめます」というところから始まりまして、その後、金融のお話、それから、次のページになりますが、セーフティネット。その次に、傍線をつけておりますが、「税制については」ということでご言及がございました。持続的な経済社会の活性化を実現するための「あるべき税制」の構築に向けたものであると。それから、現下の経済情勢を踏まえ、1兆円を超える、できる限りの規模を目指した減税を先行させますと。それから3つ目、多年度税制中立、4つ目、全体を一括の法律案として次期通常国会に提出すべく検討を進めますと。このように、今次の15年度の税制改革の基本的な考え方を述べられておりまして、その後、幾人かの議員からのご質問に対しても、このラインで総理はお答えになっておられます。

以上でございます。

石会長

ありがとうございました。何かご質問がありましたら、もう一つの報告事項の後にお願いいたします。

もう一つは、去る22日に「税についての若者集会」を開催いたしました。そこで、詳しい報告は企画官の西田さんから後ほどご説明いただきますが、私のほうから簡単に印象を申し上げますと、東洋大学のあるホールをお借りしまして、200人を優に超える若者が一堂に会しました。若者といっても大学生が念頭でございますが、院生、それから一般の方もお見えになっていたと思いますし、お年寄りという方もちらほら見えられまして、和田さんも入っていられました。すみません。お年寄りの中に入れてしまって(笑)。そういうわけで、非常に老若男女さまざまな方からありましたが、もっぱら若者の意見が圧倒しておりまして、一般の対話集会よりはるかに発言希望者が多くて、どんどん手が挙がりまして、時間も限られておりまして、随分打ち切ったのですが、一応24か25、ご発言をいただきました。

その前に、意見発表者という形で、3つの大学から一人10分を限定にいたしまして問題提起をしていただき、若い世代から見て、今の税制改革はどうかというような議論を展開してもらいました。年金の話もありましたし、今の財政再建は必要であるというようなご意見もありましたし、様々あったということは後ほど詳しく聞かせていただきます。そういうわけで、塩川大臣も後半お見えいただきまして、パンチの効いたご発言をいただきまして、大いに盛り上がりました。

そういう意味では、11カ所やりました全国各地の対話集会とはまた別な意味で、いろいろな情報が集められたし、いろいろな意見を交わせたというふうに、そういう意味では、大変また事務局にはご苦労いただきましたけれども、いい集会であったと思っております。何ぶんにも、また予算でご無理をお願いいたしまして、トータライザーを入れたということは、やはり情報を目の前であっという間に集計してもらうという意味において、特に若者受けしたのではないかと、このように考えております。

それでは、西田さん、数字的なことを含めて簡単にご説明いただけますか。

西田企画官

それでは、お手元に総34-1という資料がございますが、これによりましてご説明申し上げます。

今、会長からご紹介ありましたように、東洋大学のホールで10月22日に開催いたしまして、1枚目の5番に書いておりますけれども、傍聴者数は229名、男性179、女性50ということでございます。20代前半の方が人数的には中心であったと思いますが、各年齢層の方がおられました。

進め方といたしましては、会長からお話がありましたように、税調委員の方からご推薦をいただきました意見発表者3名の意見発表と、あと会長からのご説明、その後、フロアーとの意見交換という形で進めさせていただきましたが、会長からお話しありましたように、フロアーからの意見が、全員がご発言いただけないほど手が挙がるほどの盛況でございました。

意見といたしましては、1ページ目に「概要」、それから2ページ目以降にもう少し詳しいものをつけておりますので、お時間あるときにお目通しいただければと思いますけれども、総論では、受益と負担の関係等を中心にお話があったほか、個別税目についてもいろいろなご意見が出てございます。

以下、アンケートをその場で実施いたしまして、機械を使いましてその場で集計するという方式で行いましたので、その結果につきましてご説明を申し上げます。後ろから4枚がそのアンケート結果でございますので、お開きいただければと思います。

「若者集会アンケート(集計結果)」という資料でございますけれども、数字の右側に、(参考)税についての対話集会ということで、括弧に入った数字が書いてございます。これは今回の若者集会と同種の質問を、春ないし夏に全国各地で対話集会を行った、その際の数字と対比するために参考でつけております。

問1、問2は国民負担についての問でございますけれども、問1は、国・地方の債務が700兆円近くになっていることについてどう考えるのかという問でございますが、[2]の「現世代の負担を後世代が負担するのはおかしいので、財政措置は慎重に行うべき」という答えが55%に対し、[1]の景気の下支えのためには、ある程度の財政措置が必要ではないかというのが31%という結果になってございます。

それから問2は受益と負担についての関係でございますけれども、これにつきましては、[1]の「公的サービスは、現在の水準を維持するべきであり、税、社会保険料の負担が増えてもやむを得ない」というのが67%でありまして、3分の2近くがここについておるということでございます。

ちなみに、対話集会、春に行ったもので同じ質問が出ておりますが、このときには[2]の公的サービスの水準が下がってもやむを得ない、負担が増えては困るので水準が下がってもやむを得ないというほうが46%、負担増もしようがないというのが37%であったのに対しまして、負担増はやむを得ないというほうが今回の場合には非常に多くなっておるというのが特徴的でございます。

それから問3、問4、問5は税についての基本的な質問でございますけれども、税についての要望、これは対話集会と同様に、[2]の「不公平をなくしてほしい」、[3]の「簡素にしてほしい」というところにマルがついているということでございます。

それから問4の税負担のあり方についてでございますけれども、これも対話集会と同様、[1]の「少子・高齢化社会のもとでは、今まで以上に、皆で税の負担を広く分かち合う」というところが59%という数字になってございます。

それから問5の将来の税制でございますけれども、これも対話集会での傾向と同様に、[3]の「消費税の役割を高めるべき」と半分ぐらいの方が思っておるというような結果になってございます。

1枚おめくりいただきまして、2枚目以降が各税目についての質問でございます。まず2枚目は「所得課税」についてでございますけれども、問6、これは各種控除等によって課税最低限の水準が上昇してきておりますけれども、これについてどう考えるかということでございます。これにつきましては、[1]の「『広く公平に負担を分かち合う』との観点から、各種控除の見直しを行うべきであり、課税最低限は引き下げられるべき」という答えが75%という結果になってございます。

それから問7、これは配偶者控除、配偶者特別控除等についての質問でございますけれども、これにつきましては、[2]の「配偶者に対する一定の配慮は必要であるとしても、現状では他の控除とのバランスに欠けるため、配偶者控除は残し、配特は廃止すべき」というのが53%。次いで、[3]の「働く女性との不公平をなくすために、配偶者控除、配特とも廃止すべき」というのが31%という結果になってございます。

それから問8でございますが、これは学生が中心の集会でございましたので、勤労学生控除という制度は知っているかという質問でございますけれども、これはほぼ半々でございました。

それから問9、それに引き続きまして、勤労学生控除については、簡素化すべきという意見があるけれども、これについてどう考えるかということでございます。これは[1]の廃止を含め簡素化すべきだと思うという答えが41%となってございます。

それからもう一枚おめくりいただきまして、次に「法人課税」につきましてでございますが、法人税の負担についての質問が問10でございます。これにつきましては、[2]の「現在の財政状況からすれば、これ以上の負担の軽減は適当ではない」というのが38%、[3]の「もっと税負担を求めるべき」というのが18%でございまして、合わせて56%。一方で、さらに軽減すべきではないかという[1]が36%という結果になってございます。これは右にあります対話集会とほぼ同傾向の数字になってございます。

それから問11でございますけれども、これは外形標準課税についての質問でございます。これも[2]の「広く薄く公平に負担を求めるために導入すべき」というのが30%、[3]の「赤字の零細法人などに特例を設け、過度の負担にならぬよう配慮すれば、導入してもよい」というのが62%、合わせて9割超になってございまして、一方で、反対だという[1]は6%ということで、対話集会と同傾向というか、やや数字が強まっている感じになってございます。

それから問12、問13は消費税についてでございますが、問12は消費税について、今後の社会保障支出の増大、財政構造改革を考えると、税率を引き上げ、その役割を高めていく必要があるという意見についてどう考えるのかという質問でございますが、これにつきましては、[1]の「税率の引上げはやむを得ない」というのが59%という結果になってございます。

それから問13、これは免税点制度や簡易課税制度を見直すべきであるという意見についてどう思うのかという質問でございますが、これにつきましては、[1]の「不信感をなくすために見直しが必要」というのが83%と、対話集会と同様、圧倒的な数字になってございます。

それから最後のページでございます。問14、15、「相続税・贈与税」でございますけれども、問14は、相続税の税負担については、今現在、ごく限られた一部の資産家層のみが対象になっておりますけれども、こういう現状についてどう思うのかという質問でございます。これは[1]の「より多くの人に負担を求めることが望ましい」というのと、[2]の「現状のように、一部の資産家層が負担することが望ましい」というのがほぼ半々に分かれたという結果になってございます。

それから問15、相続税・贈与税の一体化についての質問でございますが、これは「早期に資産が移転することは望ましい」という[1]が71%という結果になっております。

それから問16、「総括」でございますけれども、税調が今後10年から20年を視野に入れた「あるべき税制」の姿として、大幅な歳出削減を前提に、皆で負担を分かち合いながら、増税もやむを得ない選択だとしていることについてどう考えるのかということでございます。これにつきましては、[1]の「賛成」が45、[2]の「どちらかといえば賛成」が37、合わせて82ということで、対話集会ではここは73でございましたので、それを上回る賛成に近いほうの支持が多かったということでございます。

最後のものは省略させていただきますけれども、おおむねアンケートの結果は全国各地で行いました対話集会と、一部違うものもございますけれども、同じような感じのものが多うございます。ただ、より若い世代ということで、はっきりした感じが出ている部分もあるという印象を受けてございます。

以上でございます。

石会長

冒頭、私、あいさつの中で強調したことは、10年、15年先を我々は目指して税制改革をやっていると。どう考えたって、私なぞ、そこは80なのですよね。そうすると、今20歳ぐらいの学生諸君が35から30代後半でありますから、本当の納税者なのですね。そういう意味で、よく考えてくれということを強調したわけです。

そこで1つ印象に残っているのは、我々の世代が持っている消費税に関する悪い感情、悪いと言ってはおかしいけれども、消費税に対して何やらちょっと身構えるところがありますよね。例えば、今から13年前に竹下さんが導入したのですけれども、あのときもなんかごちょごちょと導入したし、その前は何といっても中曽根さんの売上税騒動というのがあって、嘘つき発言とかなんかあった。その前にまた大平さんの、1989年か、そういうものを経験している世代から見ると、今ある消費税は何となくしっくり来ない面もあるなという人が多いのですよ。なんかそれがない感じですねえ、今の世代は。そう言っていいかどうかわからないけれども。

したがって、問の最後にある12を見たって、「税率引上げはやむを得ない」というのが6割ぐらいいるとか、それから、一番若い世代の感覚がそれ以外の世代と違っているのは問2ですよ。やはり高福祉・高負担でいいという発想なのですね。つまり、社会保障などはやはりやってくれと。そのかわり負担はやむなしと考えている人が圧倒的に多いのですよね。それが一般の対話集会、大体40、50の中高年層が多かった世代の答えと違うのですね。

そういう意味で、僕は問2が、今回若者集会をやったときの一番違った世代間の相違ではないかと、こういうふうな印象を受けました。

以上、簡単にご報告しましたけれども、以上2件の報告事項につきまして、何かご質問なりご提言ございますでしょうか。

よろしゅうございますか。――それでは、今日はまだ案件がいろいろありますので、先にいかせていただきます。以下、審議事項に入ります。

これからお諮りしたいのは、基礎問題小委員会でやりました、この間の22日で終わったのですが、具体的な項目で残っているものを今日ここでご説明し、ご審議を賜りたいと考えております。そこで、今からの項目として、法人税以下、幾つか残っておりますので、概略、私が問題点の所在を指摘した後で、再度、簡単に資料を使いまして、担当者からご説明いただいてという段取りを踏まえていきたいと考えております。大きくいいますと、3つぐらいの固まりに分かれるかなあと思ってます。

まず最初が法人税と相続・贈与税、この世界でございますが、実は研究開発投資等々の話はすでに前回やりまして、法人税で残っているところは中小企業関連税制のところと非営利法人のところでございます。これも、本体から見ますと残った問題としては少なめでございますが、ただ、中小企業にとっては例の同族会社の留保金課税の問題とか、さまざま残った問題もあるという形で議論をいたしました。それから、非営利法人の場合には認定NPO法人の資格認定、少し緩めてもいいのではないかという議論、寄附金の問題と絡めましてそういう議論もございました。そういう形で、非営利法人課税全体を見直そうという動きがあるということで、後で資料をご覧いただけたらと思ってます。

それから相続・贈与は、例の一体化という形で、生前贈与の議論をこの間大分いたしましたが、実は本体、生前贈与以外のところですね。相続税の本体、それから贈与税の本体、この議論がまだ残っております。そこで、この議論を少し整理して、そのご議論をいただきたいと思います。その後で、今急に話題になってきました不良債権問題と税制の問題を、我々としても看過するわけにいきませんので、それについてまた具体的なご提案があれば、議論をここでちょっとしたいと、このように考えております。

それでは……その前に1つ忘れてましたね。若者集会のさまざまな情報等々はホームページのインターネットに入っておりますし、それから会場で記載してもらったアンケートは1冊にまとまって会場の入り口にございますので、ぜひ、ご関心のある方はご覧いただきたいと思います。それでは、もとに戻ります。

最初に、二課長の道盛さんのほうから、法人税関係、まずご説明ください。

道盛税制第二課長

それでは、お手元の資料34-3に基づきまして、残りました法人税の問題につきまして、簡単にご説明をさせていただきます。

目次をおめくりいただきまして1ページでございますが、こちらに「基本方針」の関連部分を載せてございます。イで、同族会社の留保金課税、パートナーシップ等の問題、それからロ、ハで、NPOや中間法人等の公益法人等の問題、あるいは寄附金税制の問題といったことにつきましてご記述をいただいております。

2ページをお開きいただきますと、その中から、まず公益法人制度の問題でございますけれども、ことしの3月に、2ページに載せました閣議決定がございまして、アンダーラインのところだけ読ませていただきますと、「公益法人制度について、関連制度を含め抜本的かつ体系的な見直しを行う」ということになってございまして、2.で、上記見直しに当たっては、内閣官房を中心とした推進体制を整備し、関係府省及び民間有識者の協力の下、平成14年度中を目途に、つまり、15年3月を目途に「公益法人制度等改革大綱」を策定し、改革の基本的枠組み、スケジュール等を明らかにする。また、17年度末までを目途に必要な措置を講じる、という閣議決定がなされております。

3ページをお開きいただきますと、中小企業関係でございますけれども、1点、前回、会長のほうから発表していただきました談話の中で、アンダーラインの部分でございますが、研究開発税制につきまして、「経営基盤の弱い中小企業の研究活動を支援する観点から、同じように一定の配慮を行う」というご記述をいただいております。

4ページ、同族会社の留保金制度でございますが、一番下にございますとおり、「制度の趣旨」ということで、間接的に配当支出の誘因としての機能を果たしつつ、法人形態と個人形態による税負担の差を調整しようとするものとして仕組まれております。この点につきましても、現在の経済情勢などを踏まえまして議論がございます。

5ページをお開きいただきますと、以下は新たな資料ということで、不良債権問題につきまして、簡単に資料を幾つかおつけしております。不良債権につきましての税制上の措置でございますが、2つに大きく分かれまして、5ページの左のように、債権そのものもなくて償却する直接償却、それから右のほうに、債権は残しながら引当金を積んでいく間接償却、2つの制度がございます。

下のほうにございますが、その判定基準といたしましては、直接償却のほうにつきましては、1つは、法律上の貸倒損失といった、会社更生法、破産法といった一定の法律上の事実に基づきまして、決められた金額を引く場合と、2つ目にございますが、事実上の貸倒損失として、債務者の資産状況、支払い能力等を見て計上する場合がございます。

右の間接償却のほうにつきましても、下のほうにございますが、一括評価をして、貸し倒れの実績率を掛けて計上していただく一括評価の部分と、それから個別の債権ごとの回収不能見込額を見て引当金を積んでいただく個別評価の部分とがございます。

6ページをお開きいただきますと、このような税務上の処理と会計上の処理というのが場合によっては異なってくる場合がございまして、それが今よく話題になっております税効果会計というものでございます。先ほど申し上げましたが、最近よく言われます言葉で有税償却ということがございます。税法上、無税の要件がございますけれども、あえてこの無税の枠を超えて、企業は企業会計上は費用等を計上しながら、税務上は損金を否認する形で有税償却をするという処理があるわけでございます。

そういうふうになった場合には、現在の仕組みといたしましては、税効果会計がそれを結んでおりまして、左のほうから見ていただきますと、つまり、有税償却をするというのは、将来、利益が発生しましたときに、その有税償却分の1回払った税金を取り戻す権利があるという意味で、いわば税金を取り戻す権利、資産があるというふうに観念されまして、税務上の資産のほうが会計上の資産より多いという形になります。その40%、いわば実効税率分を掛け合わせました部分を、一番右にございますが、貸借対照表上、繰延税金資産として計上されるわけでございます。

一方、損益計算書上は、その部分を法人税等調整額という形で、下のほうにございますが、法人の税引き前の利益から法人税を一旦引いていただきますが、それに足し合わせる形で、つまり、あたかも税金をその部分については払わなかったような形で、企業会計上の利益を計算していただくという仕組みでございます。

現在、税効果会計の議論の中で、繰延税金資産に頼らない体質をつくるために、無税償却の基準を見直すといった意見もあるわけでございます。あるいは、不良債権の処理に対して有税償却というのが壁になっているのではなかろうかというような議論がございます。それから現在の金融機関の経営状況を前提にいたしますと、実は住専処理以来、金融機関というのは基本的には主要行ほとんどが赤字経営を続けられておりまして、法人税を払っておられないわけでございます。いわば有税償却といっても、税金を、法人税を払っている銀行はほとんどないというのが現状でございます。

そういう現状のもとでまいりますと、この表で見ていただくと、左のところに税務上と会計上の相違、貸倒引当金の損金算入限度超過額というのが書いてございますが、これが有税償却でございます。銀行は有税償却を今するとしますと、有税償却を名目に税金繰延資産を計上されるわけでございます。

一方、無税償却をされるといたしますと、現在、そもそもが赤字でございますので、赤字が拡大する。つまり、繰越欠損が拡大するという形になりまして、その下にございますが、繰越欠損金というのも、将来の税金を減らせるという意味において、同じ繰延税金資産でございます。そういう意味では、少なくとも今の状況を前提にする限りは、有税償却をすれば、有税償却として繰延税金資産が計上される、無税償却をすれば、繰越欠損金として繰延税金資産が計上されるという意味では、大きな違いはないというのが今の実態になっているわけでございます。

7ページはその文字の説明をいたしております。

それから8ページにまいりますと、もう一つ出てまいります議論といたしましては欠損金の繰り越しでございまして、左にございますが、現在、5年でございます。これを例えば10年に延ばしたらどうかといったような議論がございます。

ただ、この点につきましては、下のほうに(参考)を載せてございますが、帳簿書類の保存期間とやはり密接な関係がございます。日本の場合は、アメリカなどと違って、税務上の費用といったものを税務署側が立証する責任がございまして、そういう意味では、納税者のところに帳簿が残っていないと実態がわからない。アメリカなどは帳簿保存義務を超えても、納税者側が立証しない限りは、その費用というものが認められない形になってございますが、その立証責任の観点からいたしまして、日本の場合ですと、帳簿書類の保存期間とこの繰越期間の関係というのは非常に関係が深いものになってくるという問題がございます。

それから右のほうにまいりますと、欠損金につきまして、繰戻還付という制度がございまして、1年間の繰戻還付が認められてございますが、平成4年から、右下のほうにございますが、赤字法人にも何らかの負担を求めるべきではないかという指摘、及び厳しい財政状況を踏まえまして、現在は適用されないという状況になってございます。これをもとに戻してほしいという意見もございます。

以上でございます。

石会長

今の点について、すぐご意見があろうかと思いますが、もう一つの相続・贈与税のほうを終えてから、まとめてご議論いただきたいと思います。

では川上さん、相続・贈与につきましてお願いします。

川上企画官

それでは、お手元の総34-4という資料に基づきまして、相続税・贈与税の本体のほうのご議論、手短にご説明申し上げます。

相続税・贈与税の本体につきましては、6月の「基本方針」におきまして、基礎控除の見直しなど課税ベースの拡大、あるいは最高税率の引下げといった方向をすでにお示しいただいておりまして、去る10月22日の基礎小委におかれましては、その方向について確認的なご審議をいただいたと承知しております。

1枚おめくりいただきまして、6月の「基本方針」の復習でございます。線を引いているところでございますけれども、相続課税につきましては、経済のストック化の進展、あるいは社会保障の充実、高齢化の進展等の状況を踏まえて、従来よりも広い範囲に適切な税負担を求める必要があると、課税ベースの拡大が必要であるというご指摘。その際、負担の適正化の観点から、最高税率については引き下げる一方、累進は現行程度の水準を維持することが適当であるというようなご指摘をいただいております。

1枚おめくりいただきまして、2ページ目にその各論、(2)に[1]「課税ベース」、[2]「税率構造」と書き分けて、ご指摘をいただいております。線を引いているところ以外も含めまして、課税ベースについては3つ、ここでご指摘いただいております。線を引いてあるところで、「基礎控除については、『基本的考え方』及び地価の下落等を踏まえ、『広く薄く』の観点から引下げの方向で検討すべきである」。それから、線を引いてございませんけれども、あと2つ、課税ベースにかかわるものとして、死亡保険金・死亡退職金の非課税措置の問題、あるいは3番目にございますが、小規模宅地等の課税の特例を初めとした事業承継関連の特例措置の問題、ここら辺もご指摘をいただいているところでございます。

それから[2]でございますが、税率構造につきましては、「最高税率については、個人所得課税の最高税率(50%)との較差が大きく、諸外国の例に比しても相当高いことに鑑み、引き下げることが適当である。累進構造については、『基本的考え方』や、最高税率の引下げで高資産家の税負担は相当程度軽減され得ること等を勘案し、現行程度の累進を維持すべきである。税率の刻み数に関しては、相続税は臨時・偶発的に発生するものであるため、遺産額により税負担を大きく変動させるのは適当でなく、遺産額に応じたある程度滑らかな負担の変化を確保することが望ましい」等々のご指摘をいただいているところでございます。

3ページ目は現在の相続税の課税状況でございますけれども、時間の関係で省略させていただきます。

4ページ目でございます。先ほど、課税ベースのご指摘をいただいている第1点目、基礎控除等の関係でございます。ご覧いただけますように、バブルの地価高騰に伴いまして、これまで3度にわたり基礎控除の引上げを行ってきております。その後、地価につきましては、平成3年度以降、継続的に下がってきているところでございまして、下の箱の中に過去の改正時点からの地価の下落幅等々も書いてございますが、この数字を眺めていただきますれば、地価下落に伴う負担調整という観点からは、基礎控除について一定の見直しの余地があるのではないかという問題提起があるわけでございます。

5ページ目でございます。今、地価との関係を申し上げました。相続財産はもちろん土地だけではないわけでございますけれども、なお、ご覧いただきますと、6割強が土地の分であるということでございます。

それから6ページ目は今の課税ベースの2点目でございますが、死亡保険金、死亡退職金に係る非課税限度額の推移を掲げさせていただいております。これは働き手を失った遺族への生活保障というようなことで始まって、これまで拡大してきた経緯があるわけでございますけれども、公的な社会保障の充実でありますとか、他の金融商品とのバランスの中で、今後どう考えるかというようなご指摘があるわけでございます。

それから7ページ目は事業承継の関係。これもいろいろご議論があるわけでございます。ここも、一番上の小規模宅地等の特例、バブルの地価高騰の中で拡大してまいりました。それをどう考えるか。

それから下の2つでございますけれども、取引相場のない株式等についての特例、あるいは山林に対する特例、14年度改正で加わっております。これらもどう考えるかということでございます。

それから8ページ目でございますが、現在の相続税と贈与税の税率の比較表を掲げさせていただいております。先ほど、2ページの「基本方針」でご覧いただきましたように、6月の「基本方針」におきましては、左の相続税の税率でございますが、最高税率の引下げ、あるいは現行程度の累進の維持、それから税率の刻み幅については、ある程度滑らかな負担の変化を確保するといったような方向を示していただいているところでございまして、これをどう考えるか。

それから、右のほうに贈与税の税率も掲げさせていただいております。ここは従来、生前贈与による相続税の回避を防止するという観点から、相続税よりも強い累進度を維持してまいりました。これは先日ご説明申し上げました、一体化には入らない、暦年課税のほうの税率の件でございますけれども、ここは今後とも相続税との相対関係については変わらないと考えておりますけれども、今申し上げました相続税の最高税率の引下げ等、相続税のほうの税率構造の見直しがございましたら、贈与税についても、そこのバランスをとる必要はあるのではないかという問題意識でございます。

9ページ目は諸外国との比較ということで、特に今、最高税率のことが話題になりましたが、下から2行目のところで、最高税率、各国の水準はこのようになっているということでございます。

以上でございます。

石会長

ありがとうございました。

それでは、法人税関係、相続・贈与税関係、新たに不良債権の処理との絡みで、法人税の中で今説明してもらいましたが、この辺のあたり、少し時間をとりまして議論をいたしたいと思います。どうぞ、どなたでも結構です。

本間さん、どうぞ。

本間委員

今、会長が問題点の中で挙げていただきました繰延税金資産の問題について、今の現行の金融機関の利益が出ていない状況を前提にすれば、今のやり方、無税で償却した場合は差異がないということを道盛さんはおっしゃったのですが、そうだとすると、無税償却、これは与党も言っておりますし、経済財政諮問会議でも、無税償却をしたらどうだと、こういう指摘があるのですが、それに対して、できないということの理由は何かあるのでしょうか。

石会長

できないと言っているわけではないでしょうけれども、効果がないという意味ね。

本間委員

微妙な問題があるみたいですが。

道盛税制第二課長

無税償却の基準につきましては、実は数年来、経団連、あるいは全銀協と国税庁の間でいろいろな話し合いをしてまいりまして、例えば昨年も、私的整理のガイドライン、つまり、法的な手続に乗らないで、この企業が手続される場合にどうするかということについて、経団連と銀行界がつくられたものについて、国税庁としては、それに乗っかってきたものは、これは無税扱いになりますといった形で、さまざまなご要望を受けて対応してきているわけでございます。

それで、今年、私ども、確かに新聞のいろいろ報道を拝見しておりますけれども、現段階では、金融庁から、この点についてここを直してほしいという要望はまだいただいておりません。したがいまして、この辺が本当にあるのかどうかというのは、私どもとしては、要望側の金融庁の動向を見て議論していく課題ではないかと思っております。

石会長

ほかにいかがでしょうか。

室町さん、何かありませんか、今の問題で。

室町特別委員

ただいまご説明いただいた点はそのとおりだと思います。やはり収益力を上げない限り、本当の意味での資本の質といいますか、それは了解しているわけでございまして、金融界としても、無税化ですべて解決するとは決して思っておりませんし、いわゆる不良債権の処理、それからやはり収益力の強化、それが何よりも必要だと、そういう理解はしております。

石会長

そうすると、これについて特段、別に要望とか……

室町特別委員

要望ということは特にしていない。いないというか、いないと言ったらおかしいですが。

石会長

しようがないということですか(笑)。

室町特別委員

あまり強調してないと思います。

石会長

1点、私、個人的に、5年から10年、欠損金、繰越金を延ばすときに、帳簿の保存義務が延びるから大変面倒ではないかという議論が片やあるのですけれども、それについては何かご意見ありますか。そんなに大変ですか。

室町特別委員

もちろん、この点につきましては要望しているところもございまして、当然、要望する以上、帳簿の保存とか、それはやはりついて回る問題でありますから、それは避けて通れないと思っておりますので、やらなければいけないのではないかと思っております。銀行におきましての書類の保存期限というのはいろいろ種類がございまして、結構長期にわたって整備しているものもございますので、それはそういう覚悟で言っているということだと理解……。

石会長

じゃ5年から10年に繰越期間が延びても、銀行によってもあまり問題はないだろうという、そういうご判断ですか。

室町特別委員

正確に私もちょっとわかりませんけれども。

石会長

そうでしょうね。細か過ぎますね、議論が。はい、わかりました。

室町特別委員

ただ、ついて回っている問題だということは理解しております。

本間委員

今の関連でよろしいですか。

石会長

どうぞ。

本間委員

事業会社と、それから金融機関の問題、この無税償却の問題は絡んでいるのだろうと思いますが、今、道盛課長のほうから金融庁というお話が出ましたけれども、やるとしたら金融機関に限定的な形で考慮すると。もし出てきた場合に。そういうダブルスタンダード的なことが若干問題があるというような認識は持たれているのですか。

道盛税制第二課長

おっしゃるとおりでございまして、その点はやはり、税務の面から見ますと、同じような、同じ企業に対する債権が、片や銀行の場合は償却されて法人税を減らせる。片や、ほかの商社ですとか、あるいは中小企業ですとか、そういうところは減らせないといったことがいいのかどうかというのは、これはかなり議論が必要な問題だと思っております。

石会長

ほかの点でいかがでしょう。中里さん、どうぞ。

中里特別委員

欠損金による繰延税金資産が繰延税金資産なのは、短絡的な言い方ですけれども、過去に税金払ったからということだと思うのですね。アメリカの欠損金の繰り越し、繰り戻し、見てみますと、欠損金の繰り越しは20年、繰り戻しは2年だったところを5年に延長して、同時多発テロによるバブル崩壊に備えて、2年を5年にするという暫定的な措置をとったわけですけれども、繰延税金資産の自己資本として見る率を抑えるということが出てくるとすれば、当然、無税償却化とも絡むのですけれども、繰り戻しをしろという議論は理屈としては当然あり得る話で、シャウプ勧告によって1年間というのがあるのか、むしろアメリカはそれを延長したように、日本では停止したという、かなりこれは深刻な話で、もちろん、1年繰り戻したところで、去年も赤字だよというところも多いのだと思いますけれども、有税償却を無税償却にして欠損金を増やし、かつ、繰り戻しをかなり長く認めろというような、国から公的資金投入するよりは、払った税金、払い過ぎているから繰延税金資産が拡大するのだから、それは戻せという議論は今後出てくると思うのですが、それに対して税調がどう考えるかということに関して議論はしておく必要があるのではないかと思います。

石会長

中里さんのご意見は?

中里特別委員

経済状況によっては、繰り戻しを停止するというのはいつまでもつのかなという気はしております。

石会長

つまり、マクロで見ると、確かに全部欠損になるけれども、個別の企業によれば、使えるところもあるねと、こういうご議論もありますね。多分ね。

ほかにいかがでしょうか。ほかのところでよろしいのですよ。例の中小企業のところでも結構だし、別な法人でもよろしいし、NPOでも結構だし、相続・贈与のところでも結構だし、いかがでしょうか。

どうぞ。

本間委員

NPO税制に関連してですが、これは幾ぶん、条件緩和していただいているという話は聞くのですけれども、実態としてなかなか使えないと、こういう批判も現場ではまだ根強くあるのですね。これは今の検討状況を教えていただきましたら、例えば与党等、あるいは国会等との関係とか、議論の進展状況をちょっと教えていただきたいと思います。

道盛税制第二課長

まだ与党の議論などは基本的にはほとんど始まっておりませんので、細かい議論は始まっておりませんので、まだ省庁間の議論でございます。私ども、関連の省庁から、例えばパブリック・サポート・テストのこういう部分を直してほしいとか、幾つかご要望をいただいておりまして、それについてはこれからしっかり議論させていただきたいと思っております。

石会長

これからだということですね、議論はそれでは。よろしゅうございますか。

それでは、また後で、自由時間を設けておりますので、また思いつかれたらそのときにご発言いただければいいかと思ってます。

それでは、次の大きな固まりは個別間接税でございまして、酒税、たばこ税、エネルギー関連諸税等々が議論になろうかと思ってます。これも6月にある方向を打ち出しておりますので、それ以上、議論が本格的にどこまで進展したかというのはこれからの議論でありますが、酒に関しましては、酒類の分類を簡素化して税負担の格差ということを考えたいと。これはある意味では発泡酒が念頭にあるということ。それからたばこ税については、税率引上げの是非について検討したいとか、それは書き込んでございますから、これをさらにもう一段いくかどうかの議論がありますね。

それからエネルギー関係諸税は、例の道路特定財源の一般財源化というのは我々もう長年言い続けておりますので、これを下げるということはおそらく我々の態度を変えることになりますから、それは必要ないと思ってますし、それから環境への対応ということで、この道路特定財源等々は密に絡んできますから、そういう議論を踏まえてこれから答申を書くということになってこようかと思いますが、それでは、資料もちょっと用意してもらってますので、稲垣さんと岡崎さん、ちょっと国税、地方税に絡めてご説明をしてください。

稲垣税制第三課長

では、恐縮でございます。お手元に資料の基礎小22-6という少し厚めの資料があると思いますが、これを、飛ばしながらで恐縮でございますが、簡単におさらいさせていただきたいと思います。

酒税でございますが、1ページ目をお開きいただけますでしょうか。今、会長のほうからもお話しございましたように、「あるべき税制の構築に向けた基本方針」の中では、酒につきましては、現行の酒類の区分、10種類あるわけでございますが、この簡素化、それと酒類間の税負担格差を縮小する方向での見直しというご指摘をいただいているわけでございます。

まず分類のほうでございますが、飛びまして3ページ目、現行、種類-10種類と品目-11品目から酒税法上の分類が成り立っているわけでございますが、これを見ていただいてもわかりますように、少し複雑になっているということで、次の4ページ目に諸外国の例がございますけれども、それと比べましても、もう少し大くくりにする余地はあるのではないかという問題意識でございます。

それと税率の格差のほうでございますが、飛びまして8ページ目でございます。これも、ここ3年ほど議論しているところでございますけれども、一番大きな問題といたしまして、ご存じのように、ビールと発泡酒の税率格差という問題がございます。本税調の場におきましても、発泡酒につきましては、大変なイノベーションであるので、それは尊重しなければならないのではないかというご意見の一方で、ここにございますように、ビールと発泡酒、足しました合計の数量は実は移っていないということで、発泡酒につきましては単に値段が低いということで需要がシフトしているだけではないかというような両論がございまして、ここについて議論していかなければならないということでございます。

それから次が、飛びましてたばこの話でございますが、たばこ税につきまして、11ページ目でございますが、「基本方針」、先ほど会長からもご指摘ございましたように、諸々の事情がございますが、これを総合的に勘案いたしまして、「今後、税率引上げの是非を検討」というご指摘をいただいているところでございます。その勘案すべき状況といたしまして、1つが14ページ目でございます。

これは国内の紙巻たばこの平均価格と税負担割合でございますが、平成10年のたばこ特別税の創設以降、おおむね、従来の負担水準でございます6割を回復いたしまして、その後、デフレ傾向の中で価格は安定しているということもございまして、これを保っているという、これがいわば負担の歴史でございますが、負担の地理と申しますか、国際比較が次の15ページでございます。

15ページは、先進5カ国のたばこの価格につきまして比べたものでございますが、これを見比べていただきますと、我が国のたばこ価格というのは決して高いものではないということでございます。

それと、念のために付言でございますが、アメリカにつきまして、従来からニューヨーク市をとっておりましたが、ご存じのように、大変、ニューヨーク市税自体が上がりましたので、念のためにヒューストン市、これは全米50州の中の25番目の税率水準の州でございますが、ここの数字を取り上げさせていただいております。

16ページ目、その次でございますが、諸外国につきましては、おおむね、このところ、たばこ税の税負担については引き上げる傾向にあるということでございます。

たばこに関しましては以上でございます。

それから最後、エネルギー関係諸税でございます。これは19ページを、恐縮ですが、ご覧いただけますでしょうか。ポイントといたしましては、1つは、道路特定財源等につきまして、「一般財源化を含め、そのあり方の見直しを行うべき」というご指摘で、その際、「道路特定財源等を含むエネルギー関係諸税等については、わが国の自動車に係る税負担全体が国際的にみても高くない水準にあり、自動車の社会的コストや環境の保全の観点に鑑みれば、その税負担水準を引き下げることは適当ではない」というご指摘をいただいております。

それと、もう少し大きな「環境問題への対応」ということにつきましては、「環境問題に対する税制面での対応については、国民に広く負担を求めることになる問題だけに、国民の理解と協力を得て、今後、積極的に検討を進めていく」というご指摘をいただいております。

次の20ページ目でございますが、これは経済財政諮問会議のほうで議論されまして閣議決定されました「骨太方針2002」、新しい骨太方針でございますが、この中におきましても同様の趣旨がうたわれているということでございます。

あと、恐縮でございますが、25ページまで飛びまして、これは税率の推移でございますが、ここにあらわれておりますように、このところ、累次の道路整備5カ年計画にあわせまして、5年単位でございますが、いわゆる暫定税率ということで、揮発油税等につきましてはおおむね倍の負担水準をいただいているということで、ちょうど本年、この切れ目に当たるということでございます。年末までの間に、道路整備の5カ年計画、長期計画のあり方、それと絡めまして、暫定税率のあり方というのが議論される状況にあるというご紹介でございます。

それと、あともう一枚、31ページ目でございます。これは大変この段階で申しわけないのですが、やや漠然とした話ということでご容赦いただければということでございますが、去る8月末の経済財政諮問会議におきまして、平沼経済産業大臣から、エネルギー政策についての歳出面、歳入面での見直しを行うというご発言がございまして、実をいいますと、必ずしも事務方のほう、経済産業省の事務方のほうでございますが、十分な準備がなかったわけでございますが、この大臣の発言もありまして、スピードを早めて、今鋭意検討を進めているところでございますけれども、いまだに完全な形で、私どものほう、お話しいただけてないということでございます。

ということで、今回、大臣のご発言のご紹介にとどめさせていただきたいと思いますが、ポイントとしては2つございます。そこにございますように、1つは石炭、今まで負担を求めてなかった石炭についても、エネルギー財源として負担を求めるということ。もう一つ、歳出面での見直しでございますが、地球環境対策シフトということで、特に必要な部分につきましては、環境省との共管とするということがうたわれているわけでございます。

以上でございます。

石会長

それでは、岡崎さん、お願いします。

岡崎企画課長

基礎小22-7という「地方税関係資料(エネルギー関係諸税等)」というもので、ごく簡単にご説明いたします。

1ページは特定財源の関係で、地方税と地方譲与税の一覧でございますので、ご参照いただければと思います。

それから2ページでございますが、道路特定財源の関係で、国と地方の若干の事情の違いというのをここでご説明させていただきます。上の表、右側に14年度とありますけれども、国費の場合には、国の場合には特定財源の比率がかなり高くなりまして、今96.7という状況になっておりますが、地方費につきましては、ちょっと薄墨のところですが、32.7%。そういうことで、オーバーフローみたいな問題が 地方ではないということであります。

それから2ページの下のほうは、改良率等も、地方道の場合はまだまだ整備水準が低いということでございます。

それから3ページ、4ページ、5ページは、今環境関係のお話が若干ありましたのでつけておきましたが、現実に3ページの下の図のように、廃棄物対策等を含めて相当な環境対策の経費を地方が投じているのが今実際にありますということと、4ページ、5ページ以下は、環境基本法等でも、地方団体の環境施策の位置づけがなされているということでございます。

簡単ですが、以上でございます。

石会長

ありがとうございました。今のお二人の説明につきまして、ご質問、ご意見あればお願いいたします。

よろしゅうございますか。もうすでにかなり議論は、6月段階もやっておりますから、よろしゅうございますか。

じゃ、最後にとりました自由討論のところでまたご発言いただくということあり得べしで、次の問題に入らせていただきます。

それでは次は、国際課税と納税環境整備、一括いたしましてご説明を受けて、その後議論をと考えております。国際課税はこの間初めて問題提起をいただきまして、基本的な話から議論を説き起こしまして、国際的な取引について適正な課税を確保するのにどういうことが必要かという意味で、課税当局間の情報の的確な把握であるとか、あるいは例の外国税額控除におけるみなしの問題、これも随分議論いたしました。そんなところが1つポイントかなあと思ってます。

それから納税環境整備につきましては、新聞でかなり取り上げられました公示制度を見直そうと。見直すというのは廃止の方向の意味でありますが、これについても、大きな流れは、そろそろ役割終わったのではないかという議論、それからほかにかわるべき、何か税務当局上の納税環境をよくするほかの手段があるのではないかと。あえて公示に頼らなくてもですね。そういう議論があったと思います。それから高額納税者に対して、一種の評価という点もまんざら無視できない点もあるから、その辺は少し考えたらいいのではないかというあたりが議論であったかと思っております。

では、この点につきまして、資料も用意していただいておりますから、企画官の上斗米さん、それから古谷税制第一課長、ちょっとご説明ください。

上斗米企画官

主税企画官の上斗米でございます。担当課長の浅川が海外出張中でございますので、私が代わりまして、国際課税について若干補足的に説明させていただきたいと思います。

会長からお話しがありましたように、先日の基礎問題小委員会におきまして、国際課税についての問題として2点ほど議論をいただきました。

1点目がまず、増大する国際的な事業、それから投資に係る取引につきまして、適正な課税を確保するために、税務当局が取引に関する情報をどのようにして的確に把握していくかという問題、もう一点が、いわゆる二重課税を防止するための外国税額控除制度のうち、課税の空白を助長するような制度、具体的にみなし外国税額控除でございますが、これについて見直す必要があるのではないかと。その2点について主にご議論いただきました。その点につきまして、基礎小22-4の「説明資料(国際課税)」を使いまして、若干説明させていただきます。

まず情報アクセスについてでございますが、12ページをご覧いただけますでしょうか。12ページに「税務当局による情報アクセスの確保」と題名がついておりますけれども、「取引形態の多様化・複雑化に対応して、税務当局の情報アクセスをどのように確保するか」ということで、具体的には、外国税務当局との情報交換、関連者間取引に係る資料情報、本支店に係る資料情報、海外投資に係る資料情報の4点のアクセスの強化が述べられておりますけれども、このうち外国税務当局との情報交換につきましては、海外での活動についての情報を得る際に、主権の問題がありますので、日本の税務当局が海外で調査することは困難であるため、各国との間に租税条約が現在ありますが、その租税条約に基づいて、税務当局間同士が情報交換を行うということが現状行われているわけでございます。

ただし、現在、情報交換につきましては2種類ありまして、1つは、まず手持ちの情報をお互いに出し合うということが一つ、それからもう一つは、外国当局の要請に応じて、自国で必ずしも利益がなくても、外国当局のためにある意味で調査をしてあげて、その情報を提供してあげると、この2種類に分かれるわけでございますが、現行の日本の国内法上は、国内の利益がある場合についての調査は認められておりますけれども、外国の要請に応じて調査を行うことは認められてないということでございますので、条約は相互主義に基づいておりますから、日本側がそういう情報が欲しくても、こちらが出せる体制にないと向こうからもらうこともできないということになっております。その点につきまして整備を図っていく必要があるのではないかというのが1点目でございます。

それから続きまして、みなし外国税額控除についてご説明申し上げますが、資料をちょっと戻っていただきまして8ページをご覧いただけますでしょうか。8ページに「みなし外国税額控除の仕組み」という表がございますけれども、具体的に、例えば日本の企業がA国という海外においても事業を行っているというケースを考えてみますと、海外で支店の所得が50、日本で本店が50ということになりますと、全世界で見ますと、その企業は100、所得があるということになるわけでございます。

それに対しまして、日本の法人課税、実効税率40%程度でございますけれども、これを掛けますと、税額が40ということになりますが、日本で40払って、かつA国で、そこでの税率40%としますと20払いますと、両方で60払うということになって、二重課税が生じてしまうということとなります。このため、日本で払うべき40のうちから海外で払った20を差し引いてあげる制度、これが外国税額控除でございます。

これにつきまして、例えばA国で海外の投資を誘致するために、本来、税率40%を0%にしてしまったということになりますと、A国では法人税を払う必要がなくなるわけでございますけれども、そのままですと、全世界所得100ありますので、日本で40、今度は払うことになる。みなし税額控除というのは、途上国の発展を助けるために、海外で払わなかったとしても、払ったものとみなして、日本で40払うべきところを20にしてあげると、海外であたかも20払ったような形にしてあげるという制度でございます。

これにつきましては、当然、途上国の国情にもよるわけでございますけれども、途上国間の税の公平の観点、ある国では有利になり、ある国では不利になるというような問題、また、有害な租税競争プロジェクトの関連でどんどん徒らに税金が下がっていくということになるとの牽制効果という問題もございまして、1991年の3月以降の条約におきましては、すべて5年とか10年とか、経過規定、サンセット条項を置いた形で措置しているわけでございまして、もともとは19カ国、こういった規定があったのですが、現在実質的に適用があるのは、9カ国のみになっております。こういったものについては引き続き見直しを図っていく必要があるのではないかと、そういった議論がなされたところでございます。

以上で説明を終わらせていただきたいと思います。

石会長

どうもありがとうございました。じゃ古谷さん、お願いします。

古谷税制第一課長

税制一課長でございます。

基礎小22-8の資料をお開きいただきたいと思います。「納税環境の整備」と書いてございますが、いわゆる公示制度、俗に長者番付と言われておるわけでございますが、これにつきましては、1ページにございますように、6月の「基本方針」におきまして、一定の問題提起をしていただいております。アンダーラインを引いてございますように、「所期の目的外に利用されている面がある」、あるいは、公示があることによって犯罪や嫌がらせの誘発といった問題もあるといったことから、「個人のプライバシーへの配慮の観点からは問題なしとしない」ということでございますが、その一方で、この公示制度を仮に廃止いたしました場合に、「国民一般から見て、申告納税制度の信頼度が低下することは好ましくない」といったご指摘もいただいておりまして、「公示制度の存廃については、高額納税者が社会的に評価されることの重要性を踏まえつつ、これにかわる制度を含め、今日的視点から検討する必要があろう」という整理をいただいております。

2ページをお開きいただきますと、この公示制度と申しますのは、所得税の場合、その左にございますように、税額で1,000万円を超える方の氏名、住所、所得税の額を公示しておるわけでございますが、同じような制度が法人税や相続税・贈与税についてもございます。

3ページでございますが、これまでの公示の対象人員の推移が掲げられておりますけれども、昭和57年までは所得ベースで1,000万円を超える方を公示するということで、納税者の6.7%、44万人が公示されておったわけですが、それが税額ベースに直りました現在、1.1%でございますが、なお8万人の方が長者番付として出ているということでございます。

4ページでございますが、諸外国を見ますと、こういった公示制度がある国は比較的少数でございまして、アメリカ、イギリス、ドイツにはございません。ただ、アメリカ、イギリスの場合には、下から2番目の箱でございますが、第三者通報制度という形で、第三者が課税情報などを税務当局に通報してきた場合に報奨金を支払うといった制度がございます。これは日本も昭和20年代にございましたが、廃止をしたという経緯がございます。

6ページにお進みいただきまして、やや図式的な絵になっておりますけれども、「納税者の信頼確保に向けた基盤整備」ということで、公示制度もさまざまな納税環境整備のための手法の一角として位置づけられているわけですが、今日的な視点、すなわち、電子化・情報化の進展ですとか、経済活動が国際化していることを踏まえて、我が国においてどういう納税環境を今後整備していけばいいかということで、いろいろとマルをつけてございます。

仮に公示がなくなりました場合に、資料情報の問題、あるいは立証責任の問題、納税者番号、記帳義務、帳簿保存、そういった点でかわり得る措置は何かという問題意識でございます。この点は多方面からご議論いただく必要があろうかと思いますが、1点だけ、やや割り切った表をつくってございまして、11ページをご覧いただきますと、主要各国の税務行政を支える諸制度の比較ということでございますが、日本とアメリカをお比べいただきますと、日本もアメリカも申告納税を旨とする国でございますが、納税者番号、日本はなし、アメリカはあり、法定資料、アメリカは網羅的な法定資料制度、日本の場合には、利子に源泉分離課税がございますこともあって、必ずしも調書は多くございません。それから公示制度が、日本があり、アメリカがなし、第三者通報制度は逆になし、あり、立証責任は、日本は課税庁側にございますが、アメリカは納税者側にある。賦課権の除斥期間というのも、悪質な脱税事案の場合には、日本は7年に対してアメリカは無制限ということで、国民の納税に対する意識の問題等いろいろあろうかと思いますけれども、企業活動が国際化しております場合に、日本とアメリカでここまで好対照な納税環境であっていいのかどうかといった点も含めて、今後、公示制度にかわる新しい納税環境整備の手法といった点もご議論いただきたいということで、基礎小でご議論いただいたところでございます。

以上でございます。

石会長

ありがとうございました。

以上2点、国際課税と納税環境整備につきまして、ご質問、ご意見ございましたら。どうぞ、水野さん。

水野(忠)委員

納税環境の整備ということで、電子申告の問題ですけれども、この夏場の「基本方針」、7ページにもちょっと出ておりますけれども、それから、今日いただいた資料の6ページに電子化というのが少し入ってますけれども、たしかこれは2003年度を目途に採用に向けてということですが、その状況など、いかがなのでしょうか。ちょっとお教えいただければと思います。

永長調査課長

調査課長でございます。

ご存じのように、電子政府というのが平成15年度からということで、政府全体として、行政の電子化を進めておるところでございます。申告、それから納税につきましても、この電子化の作業をいたしております。この準備をしております過程においていろいろな議論をしておるわけでございますが、いずれにしましても、個人、法人ひっくるめて、おそらく将来的には100万件を超えるような、そういうオーダーでのご利用が想定されます。安全・確実なサービス、これを提供しなければいかんということが1つございます。

いずれにしましても、税金、税務なものですから、国民の生活に密着しておるということで、システムの安定的な稼動ということを最優先に、繰り返しになりますが、先ほど申しましたように、15年度の電子政府の実現目標、これを踏まえながら今慎重に準備を進めていると、こんなところでございます。

石会長

ありがとうございました。よろしいですか。ほかにいかがでしょうか。

どうぞ。

福原委員

先ほど、有害な税の競争というご説明がありますが、有害な税の競争というのは、もう少し説明するとどういうことなのでございますか。それからもう一つは、有害でない税の競争というのはあり得るのですか。

石会長

じゃ説明してください。

上斗米企画官

有害な税の競争についてでございますけれども、実はこれはOECDでプロジェクトを行っておりまして、そこで使われている概念なのですが、結局、例えば金融取引とかそういった、あるいは資本に係るような、移動が非常に容易なものにつきまして、その国の国内ではなくて、もっぱら海外の市場を、マーケットを対象にして、あえてそこに拠点だけを置いて行うような活動、ある意味でコバンザメみたいな活動をするようなことが可能になるような事業というのがございまして、そういったものを誘致するために、あえて非常に低い税率、あるいは無税の税制をとっている国々、カリブの国とか、有名な国が幾つかありますけれども、あるいはヨーロッパの中におきましても、一部の国においてそういった税制をとっているということで、これはOECDが、OECDの加盟国、あるいは加盟国以外につきましても、こういった税制は有害であるというような指定したレポートというのを出しております。

そういった、本来の国内の経済とは関係ないような形で、ある意味で、他国の課税に関する権限を侵食することを狙いとするような税制につきまして、今申し上げたような有害な税の競争と、そういうような言葉を使っております。

福原委員

わかりました。それでは、先ほど例に挙げられましたA国なんかの場合に、みなし課税が適用されるということですが、そちらのほうは必ずしも有害とは考えられないことになりますか。

上斗米企画官

先ほど申し上げたみなし外国税額控除につきましては、これは各租税条約の中で実は規定しているものでございまして、主に途上国を対象にしたものでございますので、イギリスにつきましてどうこうというような、そもそもそういった制度が条約の中に入っておりませんから、ございません。

資料の9ページに出ておりますけれども、現在、みなし外国税額控除が依然としてサンセット条項もなしで残っておりますのは、パキスタンであるとか、スリランカ、ザンビア、ブラジル、フィリピン、中国、インド、タイ、バングラデシュ、こういった国々になりますので、ちょっとご質問されたようなケースとは異なるものだと思っております。

石会長

公示制度等々についても何かご意見ございませんでしょうか。ご関係の方もいらっしゃるかもしれないから(笑)、残したほうがいいというご意見もあろうかと思いますが、今のところは廃止の方向でというほうがなんか大勢のような気もいたしますから、このままいくとそっちへいく可能性もありますが、いかがでしょうか。よろしゅうございますか。

どうぞ。

中里特別委員

基礎小でも申し上げたのですが、この国際課税の問題も、それから納税環境整備の問題も、課税庁がどのように情報を入手し、それを整理して実際の調査に入っていけるかという申告納税制度の根幹にかかわる話で、申告納税制度というのは、すべての申告をそのまま信じるという意味ではなくて、あと事後的に課税庁のチェックが入るということを前提としているわけですから、後から事後的に申告をチェックするためには、しかるべき情報が課税庁に、プライバシー等の問題はあると思いますが、しかるべく入るということを前提としてしか成り立たないわけですね。

やはり日本の情報収集は、国際課税に関しても、それからもっと一般的に考えても、非常に弱いのではないかと。それを職員の努力でカバーしているというところがあるものですから、そこはもうちょっときちっと、アメリカほど強大にすべきかどうかはちょっとわかりませんけれども、整備していく必要があるのだろうと思います。

特に節税商品が売られた場合の節税商品開発者に対する情報提供義務とか、節税商品顧客リストの情報提供義務とか、アメリカはかなり、過激と言っては何ですが、積極的な情報収集をやってますから、節税商品の顧客リストを出せと言ったって、何が節税商品かの定義とかあると思いますが、アメリカで定義しているわけですから日本もできると思いますので、考えたらいいのかなあと思ってます。

石会長

ありがとうございました。よろしゅうございますか。どうぞ、津田さん。

津田委員

たしか、この資料、納税環境のほうですか、13ページで、一番上に「国外送金等の調書」というのが、これは平成9年にやったのですけれども、正直いって、税調で議論したのより実際問題としては甘くなってしまったのではないかと、こういう記憶があるのです。それで、200万がいいのかどうかは別としまして、ほかの外国に見られるように、もうちょっと下の金額でも、少なくとも書類は残しておけと。申告、報告までさせなくても、書類は残しておけということができないかということと、もう一つは、贈与税・相続税の一体化の問題に絡んで、この資料でいえば、15ページの海外資産保有という問題を、ほかの国ではもう大分進めておるのにかかわらず、日本ではまだやってないで、もちろん法人税が中心だと思いますけれども、ああいうような贈与税・相続税の一体化や何かの関係からいっても、この際、もう一度検討してみたらいかがかと。

石会長

強化せいということですね。今ので何かありますか。追加的なご説明、よろしいですか。――ほかによろしゅうございますか。

それでは、今の問題も踏まえてくださって結構ですが、ちょっと時間をとりまして自由に、これまでの議論を踏まえて、来年度税制改正に関してご意見を賜りたいと思います。実は個別の案件につきましては今日が最後になります。したがって、これから当調査会といたしましては起草に入っていくということになりますので、11月に向けてこれからいろいろな作業をしたいと思ってますが、総会として、この点はぜひ留意してくれといったような、そういうご注文もあろうかと思いますし、ご意見もあろうかと思いますので、今から、できたら20分かそれ以上の時間をとりまして、どこでも結構でございますから、ただ、あるべき姿というのは、長いほうの話より、来年度税制改革に関して、短期的な対応としてどうするといった点に特に配慮してご意見をいただけたらと思います。どうぞ、森下さん。

森下委員

前回、意見書でも少し触れておりますので、ポイントだけ意見を申し上げます。特に法人課税の関係で、研究開発税制のところでも大体まとまりかけておるのでございますが、1つは、恒久的な扱いをぜひ研究開発でお願いをしたい。それと、研究開発に対する、例えば10%なら10%という控除率を明確にしていただきたいということ。それから、長期的に考える場合、未使用分について、繰り越しをしていくということもぜひ入れていただきたいというのが研究開発でございます。

そしてIT関連の投資減税ですが、従来は、これは時限的なことになろうと思いますけれども、ハードではなしに、今はもうソフトを入れないとITは効果が出ないということがございますので、釈迦に説法でございますけれども、IT促進税制につきましては、ハード、ソフトの一括をぜひお願いいたしたいと思います。

それと3つ目は法人実効税率でございますが、法人実効税率は各国に比べて少し高くなってきておりますので、ぜひ軽減の道筋を明確にしていただきたいということ。

最後に、昨年、連結納税で最後に2%付加されまして、現在のところ、160社ぐらいということで、本当の一部のところしかそれを適用されないという実態でございますので、15年度の中でぜひ付加税の撤廃をお願いしたいと。

石会長

研究開発、ITに関しましては、おっしゃったとおりのことが全部盛り込まれてますから、後でご検討いただけたらと思います。それから実効税率は、いずれ将来の課題として当然考えなければいけない問題で、射程距離に一応入っているのですが、来年度となると、財源の関係、税源の関係がございますから、議論はしなければいけないと思います。連結納税、付加税についてもそうだと思います。一応議論の対象になると思います。

じゃどうぞ、村上さん。

村上特別委員

2つ3つお聞きしたいと思いますが、1つは、これから起草に入るに当たって、デフレ対策との関係で、政府税調の方針というか、考え方、どういうふうにしていくかということですけれども、最近では土地税制の、特に流通系の軽減ということが話題になってますけれども、政府税調としても何か、例えば登録免許税のようなものは軽減措置がありますが、あれは土地に関してですが、建物に広げていくとか、あるいは地方税に関しても、そういう取得・保有の系統で何か考えることができないかと。そういう点についてちょっと議論する必要があるのかなと思います。

それからもう一つ、外形標準課税に関して、石会長がこの間の記者会見でややニュアンスの違う発言をされたように読んでいるのですが、今までの政府税調の流れは、やはりここまで来たものはやるべきだということだと思うのですけどね。私もそう思うのですが、発言の数が、慎重論と賛成論の数が拮抗したというようなことであるいはおっしゃったのかもしれませんが、その辺のところ、ちょっとそのニュアンスを伺っておきたいと思います。

石会長

外形についてお答えしますが、今こっちで、道盛さんかな、手挙げていた? 例の研究開発や何かの話でしょう。

道盛税制第二課長

はい。

石会長

じゃちょっとご説明ください。

道盛税制第二課長

簡単にご説明させていただきます。

今、森下委員のほうからご照会のありました点でございますが、研究開発減税につきましては、恒久的な扱いという点につきましては、本制度の基幹的部分は期限を区切らない措置とするということが会長談話に盛り込まれております。それから率につきましては、具体的には会長談話の中では触れられておりませんが、研究開発としての総額の一定割合を税額控除する制度を導入するという指摘をいただいております。

それから未使用の繰り越しの点がございましたが、これにつきましては、基本的には石会長談話の中には何も触れられておらないわけでございますけれども、私どもの事務的な詰めの段階では、これらの税額控除の制度というのは基本的に繰り越しではなくて、その年の利益の範囲内でやっていただくという制度として仕組みたいと考えております。

それからIT投資のほうにつきましては、ハードウエアのみならず、ソフトウエアも含む投資全体を対象とするとお書きいただいております。

石会長

村上さんに対してちょっとお答えしておきますが、外形についての私の記者レクの言いっぷりでありますが、我々として長年やってきた、早期に導入を図るという点については一切変える気もないし、そのとおりであると。ただ、景気情勢に対して判断が非常に厳しくなってきているから、景気動向いかんによっては厳しくなるかもしれない、厳しくなっているなという印象を申し上げたのです。ところが、景気悪いと思っている記者諸君が多いから、結果としてこれは難しかろうというほうに話を持っていったかもしれませんが、6月の段階での早期導入を変える必要はないと言ってますから、それはそこで歯止めが効いていると思います。

それから土地税制につきまして、今から事務局からご説明いただきますが、今、問題になっている登録免許税、あるいは不動産取得税等々についても、これから議論を深めていくという段階ですから、まだ確定的なことは言えませんが、川上さん、何かある?

川上企画官

今、村上委員のほうからご指摘いただきましたように、確かに今の負担調整措置と申しますのは土地に限って、固定資産税の評価額を基準に、3分の1の課税標準の特例というのを設けております。その意味では、建物のほうはそういう特例はございませんので、そこがアンバランスになっているというご指摘は確かにあるかと思います。

この特例につきましては、12年の中期答申におきましても、問題意識としては、中期的な問題意識としてはございまして、このあたりを15年度改正で載せていくのかどうかということは今後の議論にはなるかと思います。

石会長

岡崎さん、悩みをちょっと言ってくださいよ(笑)。不動産取得税の。

岡崎企画課長

今、不動産取得税、固定も中心ですけれども、地方税のかなり基幹的な税目ということで土地関係税、位置づけておりまして、したがいまして、今のデフレのような、村上委員のご指摘のような方向からの強いご意見もありますが、一方で、全体的な、安定的に確保しなければいかんというようなご意見も地方団体側からありますので、その辺を十分我々しんしゃくしながら、また、この場でのご議論等を踏まえて、どういう表現でまとめるかというのをこれから検討したいと思っております。

石会長

といったような状況のようです。

じゃ貝原さん、水野さん、津田さん、どうぞ。

貝原委員

今日お配りいただきました小泉内閣総理大臣の所信表明の5ページのところに、国と地方のあり方についての記述があるわけですね。総理としては、国庫補助負担金、交付税、税源移譲を含む税源配分のあり方を三位一体で検討し、一部は平成15年度予算に反映させるという意思を明確に表明されているわけです。おそらくこの背後にあるのは、経済財政諮問会議の場でしょうか、片山総務大臣が個人的な私案を発表されておりまして、あれがやはり三位一体論になっているわけですね。あれがそのとおりもちろん行われるという意味ではないのでしょうが、そういう一つの提案がなされているということを前提として、総理がこういう発言をされているということ。

それからもう一点は、地方分権改革推進会議のほうで、国の負担金の削減の問題、それに伴いまして、財源移譲をどうするか、財源をどうするかというような議論もなされているやに新聞報道で私見たのですけれども、もしこういうことが、15年度予算、三位一体という以上は、税が直接さわらないにしても、考え方としては出されるとすれば、やはりこのことについて税調の場でも考え方を出すべきなのではないか。

もちろん、6月の中期答申の中で、基本的な方向としては、一定の前提を置いてそういう方向にいくべきだという記述をなされてますので、今回もどういう前提になるのかわからない段階では非常に書き方として難しいのかもしれませんけれども、考え方としては、三位一体で税源移譲を進めていくのだということについて、ぜひ税調でもご議論いただき、記述をいただきたい、このように思います。

石会長

はい、わかりました。それでは、水野さんかな。

水野(忠)委員

また先ほどの土地に戻って申しわけないですが、ちょっと確認しておきたいのですが、最初に会長がお話をされた「これまでの審議状況」の5ページ、「土地税制」の下の段ですけれども、「都市再生等土地の有効利用に資する観点からの登録免許税・不動産取得税の見直し」となってますが、これは、例えば都市計画法だとか首都圏整備法といったような土地法制との関連で何とかするとかいうことなのでしょうか。それとも、そうではなくて、もう登録免許税全般について一つの整理のし直しをするということなのでしょうか。どういう方向を考えたらよろしいのでしょうか、ちょっとご説明いただけますでしょうか。

石会長

川上さんに説明してもらったほうがいいかな。後段のほうの説明に関連すると思いますが。どうぞ、もしか今の考え方についてあれば。

川上企画官

「有効利用に資する」というところをどこの範囲までとるかというお話かと思います。前回、土地税制の資料をご説明申し上げましたときに、各省の要望として、この都市再生についてのいろいろな租税特別措置の要望というのがございまして、それに対応するというのも1つだと思います。

それから全体で、今の土地のマーケットの状況ということでいいますと、やはり土地に対する収益力というのが低下してきている中でどういう税制を考えるかという中では、この取得課税も、1回きりのご負担ではございますけれども、それなりのご負担ではあるだろうということでいえば、この取得課税の部分をある程度見直すということが、全体として土地の有効利用、あるいは収益性の向上ということにつながる部分もあるかと思います。そこは、どの範囲をこの範囲として考えるかというのはいろいろなご議論があるのではないかということかと思います。

木内都道府県税課長

不動産取得税の関係でございます。都市再生という観点からという記述があるわけでございますけれども、私どもといたしましては、不動産取得税、先ほど企画課長のほうからも話がございましたとおり、地方団体にとって非常に重要な財源であるということ、それから住宅とか住宅用地についてはかなりの軽減措置がなされておるといったようなことに留意して考えなければいけないのではないのかと。そういう中で、都市再生というお話、各省庁からもご要望あるわけでございますので、そういったものについては、私ども、いろいろ検討させていただきたいと考えておるところでございます。

石会長

ありがとうございました。

和田さん、どうぞ。

和田特別委員

個人所得税のことで、前回もちょっと発言いたしましたけれども、空洞化ということがよく言われております。そして、ここに審議状況の中での論点として、「空洞化」の是正(基幹税としての機能の回復)というのは大事なことと考えております。

それで、よく言われますのが、空洞化、4人に1人は税金払ってないと。もう本当に単純にそれが言われまして、時によっては、その理由が、課税最低限がどんどん上がってきたから税金払ってない人が増えてしまったと、そういう言い方がわりと多いのですね。短い言葉で言ったり見出しになったりすると、そういう言い方になっているのです。

それで、私どももちょっとこの点について財務省のほうにいろいろ伺ったりしまして、今日資料を持ってくるのを忘れたのですけれども、例えばサラリーマン、1年以上継続して勤務している人は、81%ですか、納税はしているし、1年未満でも、たしか五十数%は納税しているということになりますと、そうすると4人に1人というのは、課税最低限が高くなってきたから税金払わなくなったということではなくて、今の就業形態を見ましても、たしか、いつかの資料に、正規の雇用の増え方は非常に少なくて、人材派遣とか、アルバイトとか、いろんなそういう形態のほうがどんどん伸びているという資料がありましたけれども、結局、そういう人たちが働いている人が多いので、就業人数というのが全部入りますから、という感じがしたのです。それで、やはり言葉というのは大事にしなければいけないなあと思っておりました。

それで先日の、さっきお話のありました若者集会で、これはちょっと脱線しますけれども、私も、集会、初めて伺ったものですから、ほかでの集会との比較のしようがないのですけれども、やはり発言者の3人の方、それから会場からの発言も非常にしっかりした発言をしてらっしゃるなあという気はしました。

ただ、アンケートになりましたら、非常に質問が早いものですから、とっさに答えるのが原則になってますので、ちょうど帰りに、私の前、3人ぐらい女性の方が歩いてらして、「考える時間なかったのよね」という言い方しているのを聞きまして、それが実態かなと思いながら帰ってまいりましたが。

それで、今日、若者集会の資料の終わりのほうにアンケートの問題が出ているのですけれども、終わりから3ページ目のPART2の一番上に所得課税がありますが、ここの表現がまさに「各種控除が拡充されてきました。その結果、課税最低限の水準は上昇し、就業者の4分の1が非納税者となっている」という言葉になっているのですね。やはりもう少し、こういうところの問題というのはそう長々と書くわけにはいかないかもしれませんけれども、もう少し丁寧に言う必要があるのではないかなという気がいたしました。

ですから、これは若者集会のことだけを問題にしたのではなくて、先日、ちょっと疑問があっていろいろ伺って、これは課税最低限が上がったからということは必ずしも正しい表現ではないなと思ったものですから、発言いたします。

石会長

課税最低限云々というよりは、業種ですね。フリーターとかなんとかという、そういう特殊事情のほうが、この空洞化と言われている中身の説明に十分寄与しているのではないかというご判断ですね。実は正式にまだお願いしてないのですけれども、就業者の中身を少し業種別に洗ってもらって、かつ、低、中、高までいかないかもしれないけれども、フリーター等々の実態などがこの議論にどうかかわるか、ちょっと事務局にお願いしてやってもらおうかと思って。永長さんよ、何か言ったよなあ。言ったけれども、まだやられてないよなあ(笑)。正式に言ってないから、僕は。いずれご検討ください。その辺ね。

和田さん、2度目のご発言になりますが、絶えず私も気にしておりますので、その辺は少し正確に議論したいと思います。どうもありがとうございました。

じゃ松尾さん、どうぞ。

松尾委員

金融機関の無税償却の基準緩和問題ですが、これはやはり来年度税制改正で相当大きな問題になると思うのですね。これは先ほど道盛さんからの説明もありましたけれども、やはり金融機関だけの問題に限らないという、ほかの企業、企業全般にかかわる問題でありますから、これは公平の原則がやはりあくまでも守られる必要があると思うのですね。金融機関にとってもどういう意味があるのか、あまり意味がないと思われますけれども、いずれにしても、これを緩和してしまうと、金融機関だけにとどまらない、こういう問題はやはりはっきりさせておく必要があるだろうと思います。

それからもう一点、たばこなのですけれども、このたばこ税については、税率引上げの是非について検討するということになっているのですが、この言葉では、できればやはり上げたいというニュアンスですよね(笑)。これは財政所管物資ですから、これまでかなり頻繁に上げてきた実績があるわけですね。かなり安易に上げてきたという印象も実際問題としてあるわけです。それでもいいのかどうか、ちょっとわかりませんけれども。

ただ、これは景気情勢と非常に絡むと思いますし、タイミング悪いと、やはりたばこの消費の減少に拍車をかけるだろうと。税源としては大きいですね。2兆2,000億円ですから、非常に大きな税収がありますし、元も子もなくなることがないような配慮が必要であろうと。その辺慎重に検討する必要があると思います。

石会長

前半のやつは、金融のみに限定しにくいから、一般業種にかかわるから、だから何なのですか。注入しろと言うのですか、やめろと言うのですか。

松尾委員

だから、そこは金融機関にとってはあまり意味がないということですね。いずれにしてもね。結局、繰延税金資産の中身が振りかわるだけで、実態的な意味がない。しかも、これをやるとすれば、金融機関だけの問題にとどまらない。結局、企業全般にかかわってきますから、金融機関だけやっていいのかという問題がありますね。

石会長

ネガティブなご意見ですな。

松尾委員

ええ、そうです、そうです。

石会長

わかりました。どうぞ、室町さん。

室町特別委員

先ほどの問題、私は要望してないというようなニュアンスのことを言ったかもわかりませんが、基本的には、やはりできることならそういうことはやっていただきたいということで、要望はしておりまして、ちょっと誤解しておりまして……。これはトータルでは、おっしゃるように、振りかわるという側面が多分にありますが、やはり個別の金融機関等々の問題がございますし、そういうところでちょっと訂正しておきたいと思います。そういう意味で、仕組みとしてはやはりあったほうがいいと考えております。

石会長

じゃ中里さん、どうぞ。

中里特別委員

核燃料税についてお聞きしたいのですけれども、福島県の核燃料税について、総務大臣の同意が9月27日に出たかと思うのですけれども、この同意には、「同意する」とだけ書いてあるのではなくて、下のほうに2つおまけがついていて、もっと納税者と話し合えと。それから2つ目、場合によっては見直せと。こういうのを同意と言うのかどうか非常に難しいのですが、だから、総務省の置かれた苦渋の立場というのでしょうか、非常に担当者の方は大変だったのではないかと、むしろお気の毒にというのか、心情をご推察申し上げる次第ですけれども、そういうことが起こるのも、憲法違反であっても、3要件に該当しなければ、3要件にひっかからなければ、同意を与えなければいけないというような法律のあり方がおかしいのではないかという意見が当然出てくると思うのですね。

もっと話し合いをしろ、場合によっては見直せというような同意を出すぐらいだったら同意しないほうがいいという考え方もあり得るわけですが、現行の条文のもとでは同意せざるを得ないとすれば、何かそれは、憲法違反の課税に対しても同意が出せるというような、これは前提、仮定の話ですが、そんな条文というのはおかしいのではないかということで、税制改革、条文の改正を考えたほうがよろしいのではないかという点が1つ。

それからもう一つは、核燃料税は過去の経緯がございまして、普通税として課税しているわけですが、あれは目的税だろうと。昔は普通税しかなかったから法定外普通税として課税していて、それがたまたま法律が変わった後も普通税のまま残っているだけで、今後切りかえるときには目的税にしなければおかしいのではないかと。特定の電力会社だけ、1社だけを念頭に置いて、そこから普通税をとるという発想が、場合によっては県税収入の10%も1社から挙げちゃおうなんていう、そんな普通税があるのか、おかしいのではないかというのが2点目の質問です。

3番目は、柏崎市と鹿児島県川内市で、市でも欲しいと言っているわけですが、県でもとって市でとるということがどうなのか。どうしてその調整がつかないのか。これも何か法定外税のあり方そのものがどこか問題あるのではないかという気がします。

4つ目は課税標準の重なり合いですけれども、重さにかけて、値段にかけて、そのうち色でかけろとか、体積でかけろとか、何でも、ちょっと変えれば課税標準違ってしまうという、そういう子どもだましの理屈で、子どもだましと言っちゃ失礼かな、非常に法的に練れた技術的な理屈で違う税金が次から次へと出てくるとしたら、これは収奪に近いのではないかという気がしまして、エネルギー政策については、いろいろ立場はありますから、これは総務省の責任では全くない話なので、こんなこと聞かれても困ると思うのですけれども、ご意見をお聞かせいただけたらと思います。

石会長

ご担当の方いらっしゃいますか。

岡崎企画課長

福島県の件でございますけれども、実は、ご承知のように、過去11道県ですか、原発があるところでは税をかけておりまして、今度の福島の件に関しては大臣の意見をつけたというのはそのとおりでございまして、正確に申し上げますと、さらに東電に対して十分な説明を行いなさいということと、課税の理解を得るための最大限の努力を行いなさいと。それが1点。それからもう一点は、今後、諸情勢の変化等も踏まえ、本県条例の内容の妥当性についてさらに検証を重ね、必要に応じ、その見直しを含め検討することと、こういうふうにつけております。

我々の判断としましては、このベースになりましたのは、いかにも納税者である東京電力への説明期間、あるいは協議の期間というものが十分でなかったという認識は大臣も我々もはっきり表明しておりまして、やはり特定の納税者から相当額の税収が上がるような法定外税の場合には、十分に時間をかけて説明をした上で制度の改編を図るべきではないかというところが根っこにあって、こういう意見をつけたわけでございます。

ただ、同意の内容につきましては、一方で、例えば今までほかの、この福島県、実は2番目にこの税を52年につくりまして、昭和51年に一番先発したのが福井県でございますけれども、福井県のほうが関西電力と話し合って円満に、今行っております10%の核燃料税に比べて、いろいろな観点から我々検討しました結果、かつ、それは担当の省庁とか、あるいは東電、その前にもいろいろ質問しましたけれども、必ずしも負担というものは高いということにはならないのではないかと。今度の案で。ということがございまして、そうしますと、一方で合意して円満にやっている程度の税負担でおさまるのであれば、これ自体は、いろいろなエネルギー政策等、阻害するほどの支障があるものではないのではないかということで、この3要件から見て同意をしたということでございます。そういう意味で、我々、これはいろいろな議論がありますが、少なくともこれが憲法違反に当たるような……

中里特別委員

いや、この話ではないです。

岡崎企画課長

ええ。福島ではないと思いますので、明らかに憲法違反となる税が出てくるとは思えませんが、そういうものが来たときにどうするかという議論は当然あろうかと思いますけれども、この件に関しては、そういうような判断をしなくても同意していいのだろうと思っております。

もう一つ、2番目の、目的税だろうというお話ですけれども、確かに、これは普通税でありながら、財政需要がこれだけありますよという説明を一生懸命しておりますので、そこは一つの議論のある点だろうと思います。

ただ、法定外目的税というものができたのが12年4月の改正からでありますので、いろんな実例を積み重ねて、すでにもう目的税も出てきておりますけれども、たまたまこれはずうっと普通税できたということもありまして、中身についての説明は、それなりにどういうことに使うかは納税義務者にも説明しているようでありますけれども、普通税できているということであります。これを強制的に、目的税、すなわち使用目的を書けということを言えるかどうかというところは、今の制度上は難しいということであります。

それから市でもとるのではないかということにつきましては、同じような税で重なれば、これは3要件でもひっかかるかと思いますけれども、全く違う税という形をとってきたときにどう考えるかという点はあるかと思います。

いずれにしても、これは市と県で、その前にもちろん納税義務者も入れて十分ご相談をすべきではないかということで、我々、今お話があればそういうことを申し上げておりますけれども、今のところ、市のほうで、今々すぐにそうかけてこようというところにまではきてないと思っております。ただ、十分相談が必要であると思います。

それから重さ、値段ということにかけて、今度色にもかけるのはどうかというのは、わかりませんが、これはやはり、かつてのたばこ税なりでも、値段と本数にかけているということがありますので、かけるのは私は必ずしも二重課税ではないと思って判断をしておりますが、ただ逆に、値段にかけるのが合理的なのか。例えば幾ら安いものでも、これだけの分量が総課されれば、それはそれなりに不安といいますか、そういうものはあるのだということでいいますと、量にかけるというのも一つの合理的な考えかもしれない。

ただ、今までずうっと値段できているのに、何で急に量でかけるのを合わせるのだというあたりは説明が不十分だろうと思っております ので、何でもかんでもいろんな要素でかけるということではなくて、やはりある程度、なぜ重さにかけるかという理論的な整理というものは、今若干申し上げましたが、必要なのではないかと思っておりまして、どんなものでもいろんな課税標準を使えば自由だということではないと思います。

ただ、何せ、先ほど制度の話が出ましたが、12年4月に改正してから、だんだん実例を積み重ねて、我々としては、そういうものを踏まえた上でいろいろな指標なりを示していきたいと思っておりますけれども、今の制度自体は、従来に比べまして、財政事情とか何かも含めて、すべて地元の議会で十分議論して判断した上で持ってきてくれよと。我々は3要件で判断するという制度になっておりますので、ご指摘の点は踏まえて、これからいろいろな事例を見ながら、積み重ねを踏まえて検討はしてまいりたいと思っております。

石会長

よろしいですか。どうぞ、佐野さん。

佐野委員

冒頭の不良債権処理に絡む話ですが、いろいろなご意見が出たわけですが、はっきりした方向性というか、ニュアンスが明確になってない。会長、今日の議論をどうやっておまとめになるのか、若干お困りだろうというような感じがいたします。そこで、私は、この不良債権処理、あるいは償却問題、税効果会計問題に絡みまして、はっきりとした慎重論を申し上げたいと思うわけであります。

一番わからないのは、税効果会計が導入された当初の議論を振り返ると、要するに、企業、あるいは金融機関の経営の実態、資産、負債の実態をより実態に即して明らかにするということから、この税効果会計というのが導入されたというように記憶しているわけであります。最近になってくると、この税効果会計が実は実態を反映してないという議論が優勢になっておりまして、一体どっちが実態を反映しているのだという根本の議論がないままに、実態を反映してないという前提のもとに何やら議論が進んでいる傾向がある。ここはもう一回原点に戻って、どちらが実態に近いのかということをじっくりと考えてみる必要があるというのが1点。

それから、先ほど無税償却の話が出ましたけれども、もちろんこれは金融機関だけなのか、一般の事業法人まで含めた話なのかということのほかに、現在問題になっている無税償却か有税償却かという一番のポイントは、実は要管理先債権ということで、これを、一括評価だけど、無税でいいやということになると、じゃ要注意先はどうなるのだというように果てしなく議論が広がっていくというあたりも踏まえて、この問題は議論しなければいかんということ。

それから、先ほど中里委員も言われましたけれども、こういうことをやるのなら、欠損の繰戻しということも考える必要があるのではないか。竹中チームあたりでは、5年か1年かという議論があるようでありますが、1年を採用しているアメリカでは繰戻しという制度がある。アメリカに近づけるのなら、こっちのほうも近づけなければいかん。もちろん、基本的には、1年で回収が済むというのは非現実的な想定でありまして、私はやはり回収というものの確実性を見込むならば、5年程度のタームは必要ではないか。あるいは、この問題をさらに広げていくといろいろ付随する問題があるわけであります。

例えば債権譲渡の際の売却損の扱いをどうするのか。これはほとんど議論されないまま今日に至っている。あるいは株式の強制評価減の扱いをどうするのか等々、議論を始めると果てしなく広がるということで、なかなか収束はつかない。いや、要するに、果てしなく広がるという前提のもとで議論をしなくてはいけないということ。

もう一つは、これは現実的な問題でありますが、この問題を突き詰めていくと、株価への影響というのは甚だ甚大なものがある。もうすでにその現象は出ているわけでありますが、株価への影響というものもじっくりと踏まえた上で議論しなければいかん。

等々から、私は、この問題について、軽々に、税務会計の分野から先走って結論を出すということには極めて慎重でございます。

もう一つ、ついでに申し上げると、「不良債権処理の加速」という、「加速」という言葉が使われているわけでありますが、私は、加速すべきは税制の分野でほかにいろいろありまして、例えば道路特定財源の問題についても、これは「加速」という表現をぜひ使ってもらいたいと個人的には思っているわけであります。

要するに、去年、あるいは今年と状況の変化は、つまり道路予算が削られているということでありまして、道路予算そのものと、それから道路特定財源とのオーバーフロー現象が起きている。このオーバーフロー部分をどうするのだと。おそらく来年度もオーバーフローが見込まれる。これをどうするのだと。少なくともオーバーフローが出た分は、私は、一般財源にする、つまり、道路整備特会からは切り離して一般会計に入れるべきだと思っているわけですが、そういった議論が足りない。

ついでに、加速すべきだということをもう一点申し上げると、例のみなし外国税額控除。この辺は確かに条約上の難しい問題があるかもしれませんけれども、すでに90年代以降締結された条約では期限到来しているケースがこれから出てくる。そうすると、例えばマレーシアでは適用されないけれども、中国、タイではそのままと。地域的な不公平というのが今後顕著になってくる。それを防ぐために、ぜひ外交的な努力というものを加速すべきであると思うわけであります。

石会長

確認ですけれども、慎重論、よくわかりました。ただ、今何もしなくていいという意味の慎重論ではないのですね。やるのなら、いろいろ範囲を広げた中で慎重に議論ということですね。だから、竹中チームが発足する前の段階に戻るという意味ではないですね、それは。

佐野委員

そういうことです。ただ、1点強調しておきたいのは、やはり株価への影響というのをこの議論から外すことはできないということです。

石会長

ほかによろしゅうございますか。どうぞ、松尾さんと和田さん。

松尾委員

この欠損金の繰戻し還付の問題ですけれども、今停止しているわけですね。ただ、これは解除しても一体どういう効果があるのかという問題があると思うのですね。銀行は赤字続きなのですから、これを解除してもらっても、実際にその還付を受けられる銀行は果たしてあるのかどうか。あまりというか、ほとんどないのでしょうね。だから、これは解除する意味がそもそもないのではないのかと思うわけですね。

それから欠損金の繰越期間の延長問題、アメリカは20年ということですけれども、結局これも立証責任の問題がありますから、立証責任が日本とアメリカではまるで違う、全然逆なのですから、これも実際問題として延長するのは無理であると私は思います。

和田特別委員

もう一点お願いしておきたいと思います。それは地方税の問題ですけれども、私ども、地方の会員がまいりますと、税調というのは国税ばかりやってるのと、地方税があまり出てこないんじゃないのということを言われまして、地方税のこと、頑張ってという声がよく聞かれます。それぞれの地方が本当に大変な思いをしているということをいろいろな立場で言われるのです。

例えばですけれども、消費者行政、これが42都道府県、予算と、それから人員配置と、これは先日、いろいろな消費者団体が各都道府県全部、担当部署をお訪ねして調べ上げて、そして、調べ上げただけだとあまりわかりにくいものですから、前年に比べて減っているのかどうかということである程度ランキングをつけて、去年も今年もそれを発表しているのです。あるいはお目にとまっている方がおありかもしれませんけれども。

でも、本当に消費者行政なんていうのは真っ先に後退してしまうほうですから、消費者センターなんていうのは、何カ所かあったところを統合して1カ所にして、機能は変えてないと言われるのですけれども、やはりそこまで出ていかなければならない。それなら電話で相談なんていうのは相当済むのですが、電話がかかりにくい。相談件数は、契約が非常に難しくなってますから増えているのですけれども、電話の件数というのがあまり増えてないのは、電話の件数が増えてないのではなくて、幾らかけてもお話し中だから(笑)、出る人がいないから、だから電話の相談件数が増えようがないわけですね。

ここで消費者行政の予算を増やしてくれと言ったって仕方ないのですけれども、ことほどさように、地方のそれぞれで苦労してますので、先ほどもお話が出ましたけれども、やはり国庫補助金の問題、それから交付金の問題、税源移譲の問題、ぜひ早急に具体的に取り組んでいただいて、そのかわり注文つけたいのは、地方自治体が工夫して、努力して、その回ってきたお金というのは生かしていただきたいということをお願いしておきたいと思います。

石会長

しかとテイクノートしておきましょう。

ぼつぼつ時間なのですが、貝原さん、福原さん、お二人でよろしいですか。じゃどうぞ。

貝原委員

道路特定財源の問題ですが、かねてからの税調の議論の経過、よく承知した上での私の意見ですけれども、今我が国の高コスト体質ということの大きな原因の一つは、私は神戸に住んでますから特にそういう感じがするのかもしれませんが、港湾のコストが高いということの中で、関連するフィーダーの高速道路の料金が非常に高いということが挙げられているのですね。

確かに、私も素人ながら、諸外国をいろいろ旅行しまして、日本ほど高い高速道路料金の国はないのではないかと。先進国ではですね。有料道路、確かにありますけれども、維持管理費用を有料としている国はあるようですが、建設費まで料金で回収しているという国は、私はほとんど知らないのですね。そして、過去の経緯から見ますと、結局、道路財源が足りないから財源が追いつかないので、有料道路として建設費まで償還するような仕組みを日本では作っていたわけですが、ここでオーバーフローということがあるとすれば、むしろ過去に借金をした部分の償還に特定財源を充てるということによって、先進諸外国並みの高速道路料金体系にしていくということも、私は非常に大切なことではないのかと。そういうことも踏まえてご議論いただきたいと思います。

石会長

ありがとうございました。じゃ福原さん。

福原委員

冒頭に戻って申しわけないですけれども、若い人の対話集会の表がございまして、この中身というのは大変すばらしい中身だと存じております。ただし、問11、これは赤字法人に対する外形課税のことですが、赤字法人というのは全く負担をしてないがごとき問の印象を与えるわけです。ところが、実はそれぞれの負担はご存じのとおりしておりますし、それから、将来これが景気・雇用に関連しないと言い切れないというようなことについて、どの程度若い人たちは認識しているだろうかというような気がします。

それから消費税、そのほか、福祉関係の問題については何となく、彼らもヨーロッパを随分旅行しているわけですから、常識として、消費税5%というのはちょっと低いという感じはしていて、それからもう一つは、アメリカ型とヨーロッパ型という対比はおかしいのですけれども、日本は福祉社会的な構造になっていくのではないかという何か直感みたいなものがあるのではないかという感想でございます。

石会長

前段の話は、一般の対話集会のときは必ずそのご意見、つまり、固定資産税もやっている、何もやっているというフロアーからの意見があって議論しました。ところが、学生はあまりそういう話は知りませんから、したがって、情報が若干違っているかなあという点はあるかもしれませんが、ただ、返答を見ますとそれほど大きな違いがあるのかな。まあ、ありますかね。これは今後こういう機会があるときには十分その点は注意しなければいけないと思います。

よろしゅうございますか。

上野会長代理

いいですか。

石会長

どうぞ。

上野会長代理

銀行の不良債権の処理の問題でちょっと教えてほしいのですが、今金融庁を中心にして議論されているのは、要するに、税効果資産を銀行の自己資本の計算上どういうふうにカウントするかという観点だけで議論されているということだろうと思うのですけれども、ここでいろいろ議論があったこととの関係でちょっとお尋ねしたいのですが、仮に不良債権の有税償却をした場合の税効果資産というふうに限って考えた場合に、金融機関が持っているそういう税効果資産の大きさと、それからそれ以外の事業会社等が持っている税効果資産との間の大きさの差がありそうな気がするのですけれども、これは、要するに等並みに扱えという議論との関連で知りたいのですが、どういう実情ですかね。大ざっぱでいいのですが。

石会長

今わかります?

道盛税制第二課長

最近よく、事業会社、商社などが非常に税効果資産の部分が大きいという報道を私ども拝見しておりまして、ちょっと正確には把握いたしておりません。

上野会長代理

それからその関連で、仮に有税償却の見合いの税効果資産という場合に、商社が持っている不良債権の整理、そういうものが不良債権の整理から出てくるのかどうか、銀行の持っている不良債権の整理と意味が全然違うのかどうかという、その辺ですね。事業会社でもやはり不良債権の整理ということをやったときに、おそらく有税償却をして税効果資産になっていくと、こういうことがあるのではないかと思うのですけれども、意味合いが全然違うものなのかどうかという点を知りたいのです。

道盛税制第二課長

おっしゃるとおり、税の観点からいたしますと、無税償却の拡充と言ったときに、どこまで視野に置いてやられるかというのは、今のところ、具体的な議論というのは全くございませんのでわからないのですけれども、それが金融機関の持っている貸付金を、その他の事業会社ですとか、そういった会社の貸付金と特別扱いするべきかどうなのかというのは大きな議論、もしもそういう内容だとすれば、議論になるだろうと私どもも思います。

それから、先ほど上野代理からご指摘いただいた今のご議論は、先ほどご整理なさられましたとおり、企業会計を変えていくという議論よりも、BIS規制、自己資本比率上、金融機関についての、金融機関に限っての税効果資産の参入率、参入割合をどうしていくかという議論をなさっておられるものだと理解しております。

石井審議官

ちょっとよろしいですか。

石会長

どうぞ。

石井審議官

ちょっと補足して。私ども、必ずしも十分全部把握してないのですけれども、今回のそもそもの金融庁なり竹中大臣がお考えになっておられる中身が、税効果会計、繰延税金資産の圧縮という場合に、それが単に銀行のBIS規制の8%の計算に当たっての計算方式を変えるということにとどまって、企業会計なり税制の面についてまで、これを何か変えるということまで含むのかどうか。我々もきちんとした話を全然聞いてないものですから不明確なのですけれども、新聞等でどうも拝見してますと、企業会計原則まで云々ということではなくて、BIS規制、要するに金融監督当局が自己資本比率規制を行う、8%というものを決めている、その8%の計算、自己資本の計算に当たって、繰延税金資産を今5年分なら5年分を圧縮していくということ、その世界での議論をあるいはしておられるのかなあと。

その場合に、本当に企業会計との関係、どう考えるのかとか、あるいは税との関係をどう考えるのかというところはまたその次の話として、全然いじらないということのような気もいたしますし、正直申し上げて、きちっとした案のご提示がまだ、議論の最中でないものですから、何となく、今申し上げたようなニュアンスで受けとめておりますけれども、必ずしも最終的にどうなのかよくわからない点がございます。

石会長

この問題は難しいですね。おっしゃるとおり、まだ具体案がない中で、みんな、予想のもとにいろいろなことを議論してますから、したがって、この税調、先ほど佐野さんがおっしゃったように、どうまとめるか、難しいですよね。しかし、慎重論、そして無税償却、あるいは繰越しの年限、延ばしてもいい、繰戻しを戻せとか、やや前向きのご議論もあったと思います。

いずれにしましても、まだ情報が不足してますね。と同時に、どこの範囲でどう議論するかという土俵が決まってないという中で、なかなか具体的な議論はしにくいとは思いますが、ただ、不良債権処理ということが1つ大きな経済問題になってますし、僕は個人的には日本再生のために非常に重要な問題だと思ってますが、そういうことを踏まえて、とりあえずこの議論は少し持ち越さざるを得ないし、できる範囲で、皆納得のいくような形で税の対応が可能なら、それはそれで僕はやったらいいと思いますし、それがあまりにもマイナス効果が多いというなら、それは考えなければいけないし、そういう意味では、今日の段階ではさまざまな議論が出て、とりあえずある方向には集約し切れてないけれども、議論は今後続けるというような格好でしか集約できないと思いますし、私、今の段階ではそれでいいと思ってます。

ほかの論点につきましては、もうほとんどこれまでやりました議論の延長上にございますから、あえて私のほうからこの方向でやるということの集約は必要ないと考えてます。

それより、今後のスケジュールを申し上げて、今日の総会を終わりにしたいと思いますが、今後どういうことをやっていくかということですが、少なくとも基礎問題小委員会の委員の方々の力を借り、私と上野さん等々を中心にしながら答申をまとめていきたいと思っております。

起草をこれからやるということと、それから次回の総会は、1回議論した起草の内容を踏まえて、11月5日火曜日、総会をやりたいと思います。ちょっと時間が変則的になりますが、1時から3時半ないし4時までを考えておりますが、そこで最初の案をご提示したいと考えてます。それまでに、基礎問題小委員会の委員の方が起草委員という形になって、議論を円滑に進めるべくご協力いただきたいと思ってます。

そこで、答申案に何を書き込むかということですが、いずれにいたしましても、平成15年度税制改革について、簡潔かつ明確に国民にメッセージがいくような形で書きたいと思ってます。もう大分従来のトーンは変わってきまして、はっきり一本化してものを申そうというスタイルになってきておりますから、それを引き続き踏襲したいと考えております。それ以外のいろいろなご議論があって意見が分かれたときには、少数意見的な位置づけになれば、意見の紹介という形で巻末にまとめるという従来の方法も考えております。

それから、次回の総会は一応案文の審議ということでありまして、まだ煮詰まってないということもございますので、一応マスコミの方々、それから各省庁の幹事の方々には出席はご遠慮いただくということにしたいと考えてますが、ただ、事後的には、私、記者会見も予定しておりますし、かつ議事録の公開ということもしたいと思ってます。これは発言者を伏せてやろうと思ってますが、そういう形の議事録は次回の総会も整理はいたしたいと思っております。

それから、前回お諮りいたしました非営利法人課税ワーキンググループ、これにつきましては着々と人事等の事務的なことを進めておりまして、第1回目、初会合を11月1日に開催したいと考えております。

それから財務省のホームページには、各団体から来ております税制改革要望が掲載されておりますし、それから要望書をまとめてそこの入り口にも整理してございますから、ぜひご関心のある方はご覧いただきたい、このように考えております。事務局のほうからよろしいですね。

それでは、長時間にわたりましたけれども、今日予定いたしました議事、みんな終わりましたので、これにて終わりにいたしたいと思います。どうも長時間ありがとうございました。ご苦労さまでした。

〔閉会〕

(注)

本議事録は毎回の総会後、速やかな公表に努め、限られた時間内にとりまとめるため速記録から、財務省主税局及び総務省自治税務局の文責において作成した資料です。

内容には正確を期していますが、税制調査会議事規則に基づき、事後の修正の可能性があることをご承知置きください。