第32回総会 議事録

平成14年9月3日開催

石会長

時間になりました。しばらくぶりでございますが、総会を開催いたしたいと思います。前回は7月の真ん中でございましたから、1カ月半ぶりということになるかもしれません。

それでは、その間に起こりましたいろいろなことも含めまして、今日は盛り沢山の議事予定を考えております。四つほど大きなトピックスがございます。一つは、経済財政諮問会議も含め、経済財政運営一般につきまして事務局から御説明を受けます。

それから、昨日、那覇で行いました対話集会で11回すべて終わりました。そういうことも踏まえまして、対話集会関係の御説明。

それから、先日、男女共同参画会議の大澤会長から、ある意見書をいただきましたので、この御紹介をしたいと思います。

最後に、これが今日のメインでございますが、基礎問題小委員会の審議状況を踏まえまして中間的な論点を整理いたしましたので、その案文を今日御審議いただくというのが一番大きなトピックスでございます。

それから、前回も御紹介いたしましたが、税調では、メールとかファクスとかさまざまな機器を通じまして意見を集めております。前回、4月から6月までに8,600件、7月以降で4,900件。大半が、そう言っては何ですが、組織的な問題でありまして、三つ案件があって、課税最低限の引下げと消費税率引上げ反対、それから、消費税の中小特例見直し反対ということでどうも意見がまとまっているようであります。道路特会の一般財源化反対も入っていると思いますが、入り口にございますから、お時間があるときにぜひお目をお通しいただきたいと思います。……すみません。4万9,000件で、1けた違いました。前回が8,600件で、今回は4万9,000件ですか。我々のやっていることがだんだん世の中に知られて、それに対するリアクションもあるということですね。失礼いたしました。1けた違いました。

それでは、審議に入りましょう。

最近の経済財政をめぐる幾つかの動きにつきまして、永長調査課長から御説明いただきます。

永長調査課長

調査課長でございます。お手元に、資料番号つけておりませんが、「15年度予算の全体像」という紙と、8月6日付の「内閣総理大臣の発言」という1枚紙がございます。

現在、諮問会議におきましては、6月25日に閣議決定されました、いわゆる「骨太第2弾」、この推進についての御議論を行っておられます。まずは、15年度予算編成のスタートに当たりまして、マクロ経済との整合性を踏まえつつ、諮問会議において15年度予算の全体像を議論されまして、8月2日、お手元の資料でございますが、この文章が諮問会議として了承されております。

この1ページ目の2ポツのところでございますが、「15年度予算の目標」ということで、経済の活性化、それから、質の高い小さな政府を目指して財政健全化をさらに進める。そのためにということで、税につきましても、持続的な経済活性化・民間需要の拡大に寄与する減税が不可欠と、このようにされております。

1ページ、2ページ、お送りいただきまして、3ページ目に、歳入面ということで記述がございまして、ご覧いただきますように、[1]法人の税負担の軽減等々、四つの減税項目を挙げておられます。

この全体像についての御議論を踏まえて、8月6日、15年度予算の概算要求基準についての御論議が行われ、この日の御議論の締めくくりとして、1枚紙でございますが、小泉総理大臣から御発言がございました。そこで、15年度予算編成や税制改革についての基本的なお考えが示されたわけでございます。

時間の関係上、下線を引いてございます。ここが税金プロパーのところでございますが、かいつまみますと、一つとして、シャウプ以来の税制改革により、経済活性化に資する「あるべき税制」を構築する、1兆円を超える規模の先行減税である、それから、多年度税収中立、税制改革全体をいわば税制改革法とも呼び得る一括の法律案にまとめる、と。その下のほうの下線では、15年度に税制改革を行う、臨時国会では行わない、ただし、15年1月に遡って適用させることはあり得る、このようなことを総理はおっしゃっておられます。

その後、8月末でございましたが、3日間、7人の大臣からそれぞれの省の制度、政策についての改革方針、「大臣イニシアティブ」と呼んでおりますが、これが表明されまして、集中的な審議が行われました。その機会に、税につきましても、減税措置や増収措置のあり方について幾つかの御意見の表明がありましたが、時間の関係もございまして、それ以上の論議は行われておりません。今後の機会に委ねられているということでございます。ちなみに、今月9月は9日と20日、この2回、諮問会議が行われる、こういう予定になっております。

以上でございます。

石会長

ありがとうございました。

いまの御説明に御質問もあろうかと思いますが、あとでまとめて時間を設けたいと思います。

議事に入ってしまったのですが、総務省のほうで人事異動があって、その御説明をするのを、私、失念いたしておりました。

では、瀧野さんから御紹介ください。

瀧野自治税務局長

それでは、総務省で人事異動がございましたので、御紹介させていただきます。

8月2日付で、三宅義彦前市町村税課長が、総務省の中で総合通信基盤局のほうへ異動となりまして、その後任に、吉崎正弘前情報通信政策局情報通信政策課長が参りましたので、よろしくお願いいたします。

また、7月19日付で、宮地前税務企画官が異動いたしまして、和歌山県の総務部長になりました。後任に、境勉前大臣官房秘書課の課長補佐が参りましたので、よろしくお願いいたしたいと思います。

以上でございます。

石会長

ありがとうございました。よろしくお願いします。

それでは、次の議題に入らせていただきます。対話集会に関する御説明でございます。「総32-1」、まとめというのがございますので、1ページ目をちょっと開いていただけますか。私のほうから、昨日終わりました沖縄の対話集会について御説明したあと、西田企画官から、これまでのさまざまな情報の整理をしていただいた資料を御説明していただくことにいたします。

実は、一番上に書いてございますように、7回目から11回目まで、第2ラウンドとして対話集会をやってまいりました。昨日、沖縄に参りまして、これが11回目ということで最後でございました。7回目から11回目の大きな特色は、6月に出しました我々の「あるべき税制の構築に向けた基本方針」、これについて説明をし、いろいろ議論をし、意見をまとめたということでございますので、我々の立場をはっきりさせて、それについてコメントをいただいた。そういう意味で、1回目から6回目の状態とは全く違うことをやってまいりました。

そこで、後ほど詳しい情報を御説明いただきますと、どういうことをやったかおわかりいただけるかと思いますが、基本的には、「小泉5項目」に示された、いうなれば我々のあるべき姿論から見ると、まず手始めにやるべきことだということにつきましての具体的な質問をし、意見をいただきました。それから、トータルとして、あるべき税制の考え方、つまり10年、15年先にはやはり税負担の引上げはやむなしであろうということにつきましても、率直にアンケートを求めました。

正直言って私は、将来とはいえど税負担引上げをこれほど率直に申し述べた公の答申はないので、たぶん、かなり反発があろうかと思いまして、大武局長などとは、個人的には2、3割支持があればいいなと、こう考えておったのですが、これが、これからいろいろ分析が必要なのですが、7割ほど支持、あるいは、どちらかといえば支持というのが集まりまして、我々の基本的な考え方の方向は、一応対話集会に関する限りお認めいただいたということになっております。そういう意味で、はなから議論しないというのではなくて、しっかり整理し、しっかり我々の考え方を述べて国民の方々に対して意見を求めれば、それなりの相通ずるところがあるというのが印象でございました。

結論的には、これから応分の負担をしてもいい、あるいは、老後の生活をしっかり保障してくれるなら負担もいいよと、そういうトーンが最終的な結果でないかと思います。何でもかんでも減税せいという声はさほどマジョリティーではございませんで、したがって我々としては、歳出カットなり行革なりを踏まえつつ納得づくで納税してもらう環境をつくることが、これから大きな仕事ではないかというのが私の印象でございました。沖縄においてもやはり同じでございました。そういう意味では、5カ所の第2ラウンド、それから、1回目から含めて11カ所のところはほとんど地域格差はありませんでした。そういう意味において、全国的に情報が集まったというふうに理解しております。

それでは、西田さん、この資料につきまして少し時間をとって御説明ください。

西田企画官

総務課企画官の西田でございます。対話集会の第2ラウンドの結果につきまして、「総32-1」の資料で御説明申し上げます。

1枚おめくりいただきまして、開催実績が1ページに書いてございます。第7回7月19日の秋田から昨日の那覇まで、5回行いました。大体の進め方といたしましては、公募していただきました意見発表者の方、各会場3名、資料の8ページに出ておりますが、いろいろな方から御意見をいただきましたあと、今回の対話集会におきましては、1時間以上にわたりまして、フロアにおられます一般の参加者から手を挙げていただいて、さまざまな御意見をいただいてございます。その上で、いまから御報告申し上げますアンケートを記入していただくという形で、税制についての意見をいただいたというのが大体の進め方でございます。

以下、アンケートの結果を中心にいたしまして、御説明申し上げます。

資料を1枚おめくりいただきまして、まず、参加者。どういう方が参加をしていただいたかでございますけれども、秋田から那覇までの合計で計833 名の方に御参加いただきました。男女比で言いますと、男の方が8割強、女性が2割弱、16%という形になってございます。ちなみに、春行いました6回の対話集会の合計で、1,069 名の方が参加していただいておりますので、11回合計で1,900名ちょっとの方がこの対話集会に御参加いただいたという形になってございます。

年代別に見ますと、一番右の平均の傍聴割合のところでございますが、40代の方が24%、50代の方が30%ということで、40代、50代ぐらいの方が中心に参加をしていただいたという形でございます。

もう一つ下、職業別ということでございます。これは会場によって多少ばらつきがございますけれども、平均で56%、半分強の方が会社員、団体職員、いわゆる勤めをされておられる方。それから、商工業者、自営業者の方が2割弱という形での職業別の参加割合になってございます。

以下、アンケートの中身の話につきましてでございますけれども、1枚おめくりいただきまして、3ページ、「第一部・税制一般について」という質問で、総論的な質問を3問投げかけてございます。まず(1)の、「あなたは税金についてどのような要望がありますか」という問いでございます……ちょっと戻りますが、税制一般について、それから、第2部の各論にわたりましていろいろなアンケートをしてございますけれども、先ほど石会長からお話しございましように、5会場の数字を見ますと、多少のばらつきはございますけれども、傾向としてはほぼ同じような数字の傾向が出てございます。地域差はあまりないというふうに感じてございます。

戻りまして、(1)の税金についての要望でございますけれども、[2]の「不公平をなくしてほしい」、それから、[3]の「わかりやすい税制にしてほしい」、いわゆる簡素の要望、これが二つとも平均で約4割ということで、公平、簡素という要望が非常に強いという結果になってございます。

(2)の「税負担のあり方として、どのようなものが望ましいとお考えですか?」ということでございますけれども、これは、[2]の「少子・高齢化社会の下では、今まで以上に、皆で税の負担を広く分かち合う」という選択肢が、6割強という形の平均での選ばれ方になっているということでございます。

(3)でございますが、「将来の税制としては、どのような税の役割を高めるべきとお考えですか?」というところでございますが、これにつきましても、[3]の「消費一般に対して広く課税する消費税の役割を高めるべき」という選択肢を、6割弱の方が選択していただいているということでございます。

1枚おめくりいただきまして、「第2部」ということで、ここは、各税目ごとにやや具体的な質問を基本方針に沿って会場の皆様に投げかけたということでございます。

まず1番目、個人所得課税の(1)という質問でございます。「個人所得課税では、家族構成という事情に配慮して、本人に対する基礎控除、配偶者に対する配偶者控除、子どもなどに対する扶養控除が設けられています。これらの基礎的な人的控除の見直しとして、三つの考え方があります。あなたの考え方は、これらのうちどれに近いですか?」。これは、基本方針にございます三つの考え方を、そのまま選択肢としてアンケートとして投げかけているということでございますが、この結果は、那覇を除きます4会場では、[1]の「現状どおり、基礎控除のほか、配偶者控除、扶養控除を残す」というものが一番多く、次いで、[2]の「配偶者控除を廃止し、扶養控除についても児童及び老年者のみを対象とする一方、基礎控除を充実させる」というのが2番目、それに比べてやや少ないという形になってございます。那覇だけは[2]のほうが一番多くなっておりまして、[1]が2番目ということでございますが、平均しますと、[1]が4割強、[2]が3割強という御回答という形になってございます。

それから(2)、これは「各種の割増措置、特別な控除等による配慮について」ということでございまして、配偶者特別控除、その他、さまざまな各種の特別な控除の中で、「廃止・縮減をしてもよいと考えられるものはどれですか?」ということで、複数回答も可ということでマルをつけていただいてございます。この結果を見ますと、平均しますと、配偶者特別控除につきましては、半数強の方が「見直してもよいのではないか」という選択をしてございます。それから、特定扶養控除、[7]番の勤労学生控除、これが30数%。それから、[3]の老人扶養控除、[5]の老年者控除、[6]の寡婦控除、これが、20数%の方が「見直してもよい」という選択をしているということでございます。

もう1枚めくっていただきまして、次に、法人課税でございますけれども、「(3)諸外国と比較して、法人税の負担が重いとの議論がありますが、今後の法人税の見直しについてどうお考えですか?」ということでございます。これにつきましては、[2]の「現在の財政状況からすれば、これ以上の負担の軽減は適当ではない」ということを、平均で4割程度の方が選んでおられます。[3]の「利益の出ている法人からは、もっと税負担を求めるべき」という方が24%でございますので、「これ以上軽減はいかがか」というふうな選択をされている方が合わせて60数%でございます。一方で、[1]の「企業活動のグローバル化の下では国際的な整合性が重要であり、他の税に負担を求めてでも、負担の軽減を図る方向で見直すべき」という選択をした方が3割強になってございます。

それから、「(4)外形標準課税の導入について、どうお考えですか?」という質問でございます。これにつきましては三つの選択肢でございますけれども、[3]の「赤字の零細法人などに特例を設け、過度の負担にならぬよう配慮すれば、導入してもよい」という選択肢が一番多く、44%。次いで、「赤字法人といえども、地方の公的なサービスを受けているので、広く薄く公平に負担を求めるために導入すべき」という方が39%。合わせて80%強の方が、「導入してもよい」というような形の選択をしてございます。一方で、[1]の「零細法人や赤字法人に過度な負担となるおそれがあるので反対」という選択をされた方が14%となってございます。

もう1枚めくっていただきまして、6ページ、消費課税、消費税についてでございますが、5番目の質問、これは、一定規模以下の事業者の納税義務を免除する免税点の問題、それから簡易課税の問題、中小事業者に対する消費税の特例措置について見直すべきかどうか、という質問でございます。これにつきましては、[1]の「消費税に対する不信感をなくすために見直しが必要」という選択をされた方が8割以上にのぼってございます。

下の質問、資産課税でございますが、相続税・贈与税の一体化でございます。「生前贈与を現在より行い易くするために、相続税・贈与税を一体化すべきだという考え方について、どういうふうに考えるか」という質問でございますが、これにつきましては、[1]の「生前贈与による資産の移転が行い易くなるよう、一体化をすべきだ」という選択をされた方が67%。一方で、「生前贈与を行い易くするために一本化すると、結果として資産家が過度に優遇されることになるので、導入すべきでない」という選択をされた方は27%という形になってございます。

最後に、総括、7ページでございますが、「政府税調は、今後10~20年を視野に入れた『あるべき税制』の姿として、大幅な歳出削減を前提に、皆で負担を分かち合いながら、増税もやむを得ない選択だとしています。このような考え方についてどうお考えですか?」という質問でございます。これにつきましては、[1]の「賛成」が27%、[2]の「どちらかといえば賛成」が46%ということで、合わせて平均で73%の方が、「どちらかといえば賛成」ないし「賛成」という選択をしているということでございます。

最後に、「本日の対話集会について」ということで、対話集会の意義でございますけれども、これにつきましてもご覧いただきますように、「[1]非常に有意義であった」「[2]まあ有意義であった」ということで、意義を認めていただいた方が80数%にのぼっておりまして、一定の対話集会での意義を認めていただいているという結果になってございます。

以下、9ページ以降には、意見発表者なり一般参加者から、その会場の場で述べられた意見、それから18ページ以降には、アンケートに文字の形でいろいろと要望なり意見なりを記入していただいた方がたくさんおられまして、その意見の概要という形でまとめさせていただいております。紹介は避けさせていただきますが、後ほどお目通しいただければ幸いでございます。

私からは以上でございます。

石会長

ありがとうございました。

いま、アンケートの結果を中心に整理いただきました。アンケートでございますから、参加者がほぼ全員記入してくれたという意味において、その会場の全体の雰囲気はここにあらわれていると思いますが、ただ、フロアからオープンに議論した--ここのときは会場ごとに違いますけれども、7、8件から10件ぐらい、10人ぐらい手を挙げてワンワン言っていただいたのですが、そこになりますと、当然のことながら、かなり激しい意見の発表等々ありまして、私の見る限り三つ大きな争点があったと思います。

一つは、争点という意味は、反対、賛成が双方から出たという意味です。配偶者特別控除、これは会場によって多い少ないありますが、必ず双方から反対、賛成、これが出る。まあ、これは当然のことだと思います。

二つ目が、外形課税。これは、圧倒的に反対という感じもありましたし、賛成という感じもあるのですが、外形課税については、賛否かなり分かれるという性格のものであった。つまり、意見を発表した方の動向におきましては。

三つ目が、消費税の益税の問題です。これについては、益税などないという実際の小売店の方々と、消費者の側から見て、益税ある等々、これは三つ大きく分かれまして、そういう意味でこの三つがおそらく関心は高かった。

ただ、そういうことを踏まえたあとにアンケートしていただいたわけですから、そういう意味では会場全体の雰囲気から見ると、外形を入れてもいいし、益税は直してもいい、それから、配偶者特別控除も見直していいということを言っていましたから、それなりの全体の空気はアンケートに出ていると思います。

申し遅れましたが、お忙しいところを御参加いただきました委員の先生方、ありがとうございました。それから、事務局、主税局、自治税務局、人的にも大変サポートしていただきまして、かつ、地方の受け皿になりました各地の財務局、本当に献身的に設定していただきまして、これだけうまくいったのもそういうサポート態勢が充実していたからだと思います。

これが以上の御報告でございます。何か御質問があったら、あとでまた時間をとります。

次は、対話集会関係ですが、「32-2 『税についての若者集会』について」という紙が入っているかと思います。これは、先ほど5回の参加者の中できわめて明確だったのは、40代、50代の人が過半を占め、男であった、学生はゼロであったということなのです、職業別に見ていただきますと。男は全体で8割であったということでありまして、これでは、これからの税制改革を論議するのにどうも母集団がおかしいのではないか、これから若者はおそらくかなりの負担をしてもらわなければいけないので、若者の生の声を聞きたいと思いまして、ここに書きましたように、学生を中心とした対話集会を10月22日・17時から3時間ほど時間をかけてやりたい。東洋大学の御厚意によりまして、スカイホールというのをお借りできることになりまして、一応我々4人が責任を持って対話をしようと、こういう格好になっております。

そこで、これから申込み等々をして具体的に行いたいと思います。この間の対話集会は8割方男性でありましたが、今度は女子学生に期待して、半分ずつくらいの割合になればいいのでないか、こう思っておりますけれども、どうなりますやら。ただ、若い人たちに、今度は5分と言わず10分ずつくらい、各大学から選抜チームを出してもらって、時間をとって意見を述べてもらおうかということもいま考えております。また近くなりまして、何かありましたら御報告したいと思います。

これで、一回切りましょうか。いままでの御説明、経済財政諮問会議等の報告以下、対話集会につきまして御説明いたしましたが、何か御質問なり御意見なり、今後の進め方について御示唆をいただけることがありましたら、ぜひ御発言をいただきたいと思います。どなからでも結構です。

何か御感想等々でもよろしいのですが、よろしゅうございますか。あるいは、対話集会のアンケートの結果の読み方として、こういうものがあるではないかというようなこともあるかもしれませんが、よろしゅうございますか。

では、もう少し進めていって、また、その段階で前に戻っても結構でございますから、御意見をいただきたいと思います。

続きまして、いまの若者集会の次に1枚紙が入っていると思いますが、「男女共同参画会議影響調査専門調査会会長・大澤眞理」と書いてございます、私宛ての申入書、意見書がございます。見つかりましたでしょうか。ここに書いてありますことは、配偶者特別控除並びに配偶者控除そのものの見直しをしてくれ、してはどうか、という御提案でございます。大澤先生にはここにお出ましいただきまして、1回、お話を聞いたことがございます。それを改めて文章にしてお出しいただいたということだと思います。

ポイントは、「記」の1の下のほうに書いてございますが、男女共同参画社会という点から言うと、いま問題になっております配偶者特別控除だけではなくて、配偶者控除そのものも廃止すべきである、こう考えられているということです。やり方としては、国民への負担というものが急激にあってはいけないので、いろいろなことを勘案しつつやってくれと。

それから、我々の考え方に一時ございました「家族控除」、こういうことも、扶養される配偶者という特定のライフスタイルを前提にした形で、よくないという意味で見直すべきであるということを申し入れられました。具体的な手順、つまり、何をどうしてとか、どのぐらいの期間でやるかということについてはぜひ政府税調でお考えいただきたい、こういうことでありました。

税制に関する要望というと、まず100%減税要望なのですが、今回みたいに増税の方向でもこういう御意見をいただいたというのは、私、初めてでありまして、世の中少し変わってきたかと思っていますけれども、こういうことも参考にしつつ、我々、今後議論をする必要があるかと思っております。

以上でございますが、これについても何か御質問ございますか。よろしゅうございますか。

それでは、実は今日はもっと大きな問題がありますので、トータルで最後に御質問を受けるという形で先に進めさせていただきます。

次は、基礎問題小委員会で議論いたしましたことを、これから、資料に即しまして各担当者から御説明いただくことにいたしますが、その前に、何をやってきたかということだけ簡単に御説明いたしておきます。

今日は9月3日ですね。ここで総会をやっておりますが、8月の最後の週に2回、基礎問題小委員会をやりまして、この総会に後ほど出します中間的な整理をいたしまして、意見書をまとめる作業をいたしました。これは、確か6月7日に「総理指示」というのができまして、5項目にわたって来年度税制改革の具体的な項目をお出しいただいたわけであります。同時に、6月14日のこの総会で塩川大臣から、今回の税制改革について、今後の方向性が透けて見えるようなメモを出してくれと、そういう御注文がありました。それ以来、「透けて見える」という言葉がえらく流行っているのですが、それを用意したということです。

5項目につきましていわば「中間整理」をしたというのを、これから文書にしたものをお出ししますが、その前に、少しバックグラウンドを御説明しないとおわかりいただきにくいと思いますので、それも踏まえて、いまから、配偶者特別控除以下、ここに挿絵がございますが、これを使いまして、順次、事務局から御説明をいただくことにいたします。

項目は、「配偶者特別控除・特定扶養控除」がひとくくり、「研究開発減税・投資減税」が二つ目のくくり、三つ目、「外形標準課税」、四つ目が「消費税の免税点制度等」の話、最後に「相続税・贈与税」の一体化の話。この五つにつきまして順次御説明いただきましょう。

それでは、税制一課長の古谷さんと、市町村税課の吉崎さんから、まず簡単に御説明をいただきます。よろしく。

古谷税制第一課長

税制一課長の古谷でございます。お手元の「基礎小17-3 所得税関係」の横長の説明資料をお開きいただきたいと思います。配偶者特別控除と特定扶養控除等、諸控除の簡素・集約化という形で小泉総理から指示をいただいているテーマでございますけれども、6月に基本方針をおまとめいただくまでの間にご覧いただいた資料が中心でございますが、若干おさらいという意味でざっとご覧いただきたいと思います。

目次のあとの2ページをお開きいただきますと、6月の「基本方針」の中で「家族に関する控除」ということで、まず、人的控除の簡素化・集約化という形でおまとめいただいております。(ロ)、真ん中より下のほうにa、bとございますが、「特定扶養控除、老人扶養控除等の様々な割増・加算措置、勤労学生控除や寡婦(夫)控除等の特別な人的控除は、廃止を含め、制度をできるかぎり簡素化すべき」という方向をいただいております。

配偶者特別控除につきましても、配偶者について世帯主本人に二つの控除が適用されているといった問題ですとか、先ほど出ました男女共同参画社会の形成という観点からは、男女の社会における活動の選択に対して中立的にすべきであるといったことで、基本的にこの配偶者特別控除については、「制度を廃止することが考えられる。なお、その際、税引後手取りの逆転現象について税制上何らかの配慮は必要であろう」、こういった御指摘をいただいておりまして、先ほどの対話集会での御意見も、配偶者特別控除や特定扶養控除を中心に、こういった基本方針の考え方に沿った意見が出ておったかというふうに思います。

それに加えまして、次の3ページでございます。こうした加算割増措置以外のいわゆる基礎控除、配偶者控除、扶養控除の基本的な3控除につきましては、三つの考え方を例示してございまして、これが対話集会を通じて国民の議論に付されたというところでございます。基本方針でのおまとめの感じは、まずはいろいろな加算・割増措置の簡素・集約化に取り組んだらどうか、という御指摘ではなかったかというふうに理解いたしてございます。

いまの点を7ページの絵でご覧いただきますと、現在、基礎控除、配偶者控除、扶養控除が38万円でそろっているわけでございますが、配偶者につきましては配偶者特別控除が38万円で乗っかっている。それから、特定扶養控除というのは、16歳以上23歳未満の扶養親族に対して25万円の割増の控除を認めて、38万足す25万で63万円ということでございます。

それから、老人扶養控除。これも、70歳以上の御老人を扶養されております場合には10万円の加算があるということで、この黒く塗りつぶした、乗っかっている部分がいわゆる割増加算ということでございます。

このうち配偶者特別控除でございますけれども、1枚お飛ばしいただいて、9ページでございます。よく見ていただく、ややこしいポンチ絵でございますが、通常の配偶者控除に加えまして、配偶者を奥様と仮定して進めますが、専業主婦である場合には、配偶者特別控除が38万円乗っかります。奥様がパート等、働きに出られますと、配偶者の給与収入が70万円までのところは38万円の配偶者特別控除が乗っかっておりますが、その後、配偶者の収入が増えていきますと、配偶者特別控除がだんだん低減しまして、103万円でゼロになります。

103万円を超えますと、根っこの配偶者控除自体がなくなって配偶者特別控除が復活する形になりますが、これも奥様の収入の増加に通じて低減しまして、141万円でなくなるということでございますが、この左側の上に乗っかっている部分が、その下にございますように942万人の方が適用されている。それから、右側に出っ張っております、いわゆる就労調整に対応して低減していく配偶者特別控除のほうですが、これが53万人の方が利用しておられるということでございまして、主として基本方針での問題意識は、この上に乗っかっている特別控除のほうが二重であるという御指摘であったかと考えております。

それから、いろいろな資料がございますが、時間の関係でもう1枚だけ、ちょっと後ろのほうになりますが、16ページをお開きいただきますと、「共働き等世帯数の推移」という折れ線グラフがございます。4月に先ほどの大澤眞理さんが基礎問題小委員会に来られまして、御披露いただいた表でございます。見ていただきますと、1980年代あたりを境目に専業主婦の世帯が低減してきておりまして、雇用者、自営業者、共働き世帯のほうが専業主婦世帯を上回っている社会状況になっているということでございまして、男女共同参画会議のほうからは、こういった世の中の状況を踏まえて、先ほどのような意見書が出ているものというふうに承知いたしてございます。

簡単でございますが、残余の資料はご覧いただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

石会長

ありがとうございました。

それでは、吉崎さん、お願いします。

吉崎市町村税課長

市町村税課長の吉崎でございます。個人住民税関係について御説明いたします。資料は「17-5」をご覧ください。

住民税関係の控除につきましても、所得税と同じような考え方に基づいてございます。ただ一点違いますのが、この1ページのアンダーラインを付したところでございまして、個人住民税につきましては、個人住民税の負担分任の性格、すなわち、地域社会の費用を住民がその能力に応じ広く負担を分任するという性格が所得税と違ってございますので、所得税に比較してより広い範囲の納税義務者がその負担を分かち合うべきものということで、控除の水準を低く設定すべきということであり、かつ、いたしてございます。

具体的にどのようになっておりますかが、2ページでございます。所得税と同じように、配偶者控除の上に配偶者特別控除が乗っかっておりますが、所得税が38万円に38万円が乗っかっているのに比べまして、住民税のほうは、33万円に33万円が乗っかっているということでございます。特定扶養控除、老人扶養控除につきましても、同じように二層構造になっておりますが、控除の額が低く設定してあるということでございます。

3ページの資料も、所得税と同じような考え方になっておりまして、配偶者控除の上に配偶者特別控除が乗っかり、だんだん低減して、そして103万円からまた復活して低減していくという形になっております。

以下の資料につきましては、所得税とほとんど同じでございまして、控除の額が異なるというところだけが相違でございますので、御説明は省略させていただきます。

以上でございます。

石会長

ありがとうございました。

それでは、法人税の研究開発減税・投資減税につきまして、税制第二課長の道盛さんから御説明いただきます。お願いします。

道盛税制第二課長

それでは、法人税関係につきまして、お手元の資料「総32-3」に基づきまして御説明させていただきます。もう一つ、「総32-4」というのがございますが、この二つの資料につきましては、基礎小委員会に提出させていただいた資料から、一部、説明資料、「32-3」から「32-4」のほうに移させていただいております。これは、御説明の時間の関係で一部資料を移させていただいております。

「32-3」のほうをお開きいただきまして、目次をおめくりいただきまして、1ページに6月の「基本方針」、念のためということで、法人税関係のところを載せさせていただいております。アンダーラインのところだけざっと見ていただきますと、1ページ目で、「中立的な税制であることを基本」という上で、2ページをおめくりいただきますと、上の4行のアンダーラインの部分で、「税率の引下げについては、これを行うことは適当ではない。今後の法人税率の水準については、税体系全体のあり方との関連などを踏まえて、今後、検討していくべきである」。それから、下の4行のアンダーラインの部分では、その一方、「21世紀をリードする産業・技術を見据えた明確な国家戦略を前提に、政策の集中投入が必要である」ということで、「その一環として税制についても租税特別措置の整理・合理化を大胆に行いつつ、研究開発分野等真に有効な分野に重点化していくことを考えるべきである」という御指摘をちょうだいいたしております。

3ページ、4ページは、法人税率等の推移、前にも見ていただいた表でございます。3ページ、法人税率が軽減されてきた推移、4ページで、その結果でございますが、平成10年、平成11年とそれぞれ4%近く、あるいは5.5%程度の実効税率の引下げがございまして、現在は40.87%という実効税率の水準。国レベルで見ますと、G5と同じようなレベルにございますし、国・地方を含めた40.87%という数字もアメリカ、ドイツといったところとほぼ同等の水準になっております。

5ページをお開きいただきますと、実効税率という概念ではなく、こちらでは、法人税の負担率ということで試算してみた負担の水準の比較でございます。ここで申します法人税の負担率でございますが、一番下の出所というところを見ていただきますと、日本とアメリカの課税統計を用いまして、注のところの1行目を見ていただきますと、分母に各産業ごとの課税所得の合計額、分子のほうに法人税額を置きまして、割算をしたものが法人税の負担率ということで、産業ごとに日米を比較いたしております。産業ごとに日米ともデコボコしてございますが、こういった水準の結果、一番下のところに平均とございますが、日本が30.2%、アメリカが33.0%というところでございます。

6ページをお開きいただきますと、いま私が申し上げました30.2%という数字と33%という数字が、上の二つの折れ線グラフの右端のところでございます。年度が若干ズレてございますが、下のほうにございますが、わが国におきましては平成10年と11年に法人税率の引下げを行いまして、その結果が反映された水準で見ると、一番右端にございますが、30.2%という法人税負担率になっているという推移でございます。

7ページをお開きいただきますと、「我が国国内法人の設備投資等の推移」。これは、一番下にございますが、経済産業省が作成されまして研究会に提出された資料でございます。点線のAというところを見ていただきますと、キャッシュフロー自体は1990年代を通じて増加基調にございます。一方、Bの実線の折れ線グラフ、設備投資額を見ていただくと、1990年代を通じて低下傾向ということで、AマイナスBという差額が棒グラフにあらわされておりますが、これを資金余剰額。すなわち、ここのところ、企業の資金はずいぶん潤沢に手元の流動性があるという状況が示されております。つまり、キャッシュフローが潤沢にありながらなかなか設備投資のほうには回らない。その結果がどこに行っているかと申しますと、一番下のほうに出っ張っていく「有利子負債の増減」という折れ線グラフを見ていただきますと、いわば借金の返済に企業の手元にある現金は回ってきているという状況を示しております。

8ページ以降は、試験研究の分野につきまして資料を幾つかお付けいたしております。8ページは、現在のわが国の試験研究費の税制の仕組み、増加試験研究費という制度でございます。右端にございますが、直近5年間、過去5年間のうち上位3年間の平均額をとりまして、これを基準といたしまして、この基準よりもたくさん使った試験研究費につきまして税額控除を仕組んでいるというのが日本の現行の税制でございます。

9ページをお開きいただきますと、その一方、試験研究費自体は、昭和60年代は大変増加基調を続けてきたわけでございますが、平成3年以降、おおむね横ばい基調が続いてございます。その途中、平成11年に増加試験研究費の制度を若干改正いたしまして、ここにございますが、過去5年のうち3年の平均を基準とする。それ以前は最高額が基準だったわけでございます。こういった改正をしておりますが、引き続き、試験研究費自体はそれほど大きく伸びていない状況にございます。

10ページをお開きいただきますと、主要国で研究開発関連税制を比較してみたものでございます。一番左に、いまの日本の制度、増加試験研究費の制度がございます。日本に最も類似しておりますのが右端のフランスでございまして、これも、増加試験研究費、試験研究費の増加に対しまして特例措置がございます。一つ横のドイツは、そういう研究開発関連税制は存在いたしません。

一方、研究開発関連に大変熱心な国としてはアメリカとイギリスがございます。まずアメリカのところを見ていただきますと、[1]で、「当期の試験研究費のうち基準額を超える額の20%を税額控除」。基準額を下のほうに見ていただきますと、注の4のところで若干の計算がございますが、基本的には過去の一定時期の基準を基準といたしまして、それよりも増えていった場合に税額控除をする。その意味では、日本と同様の試験研究費の増加分に対します税額控除を基本的には仕組んでおりました。

ところが、その下のコメ印を見ていただきますと、「上記に代えて」云々と。「試験研究費の2.65%~3.75%の税額控除を選択することができる」という制度が導入されまして、これは基本的には、試験研究費の全体の額、いわば根っこに対しまして税額控除をする仕組みも選択的に導入されております。この割合を一定にするのではなく、試験研究費をたくさん使う法人に税額控除割合を高くするという仕組みでございます。

一方、イギリスを見ていただきますと、イギリスは二つございます。一つは、上のほうにございますが、研究開発用の機械等につきまして、初年度に全部100%の償却を認めるという制度が一つ。それから下のほうでございますが、試験研究費の損金算入特例ということで、中小法人は試験研究費の額の50%増し、大法人は25%増しで損金算入ができるという制度でございます。これは、イギリスでは基本的には税額控除制度というのがほとんどございませんで、単純に申せば、50%損金算入が増えるということは、これ掛ける法人税率--イギリスの中小法人の特例は大体20%の税率でございますので、50×20、したがって10%の税額控除に相当するような措置が講じられているということでございます。

11ページ以降は、設備投資関係の数字を並べてございます。11ページに、設備投資があまり伸びていないという数字。

12ページをお開きいただきますと、設備の稼働率が最近低下傾向にありまして、設備一般としてはむしろ余剰の状態にありまして、設備投資が必要だという状況には直ちにはないわけでございます。

13ページ以降には、「骨太方針2002」を示しておりますが、ここに書いてございますような産業のITをはじめといたします戦略分野に、措置を、選択と集中していくべきであるという考え方が、13ページの下のほうから14ページにかけて載っております。

以上、法人税関係の御説明を終了いたします。

石会長

ありがとうございました。

では、次、外形に行きましょう。都道府県税課長の木内さん、お願いします。

木内都道府県税課長

それでは、「基礎小16-3」という資料をご覧いただきたいと思います。外形標準課税につきましては、1ページをご覧いただきたいと思います。これは、いわゆる「中期答申」で記載されたものでございます。外形につきましては、平成10年に地方法人課税小委員会を設けていただきまして御議論をいただいたわけですが、この中期答申でも、一番下にございますとおり、「早期に導入を図ることが必要」としていただいたところでございます。

2ページ目は、外形基準として望ましいものにはどういうものがあるかということで、中期答申に掲げられたものでございます。まず、事業活動価値。これは加算法による所得型付加価値でございますが、これにつきましては、事業活動規模をあらわすものとして最も理論的、そして、各生産手段の選択に関して中立的という御評価をいただいたところかと思います。そのほかに、給与総額、物的基準と人的基準の組み合わせ、四つ目に、資本等の金額を挙げていただきました。この資本につきましては、ある程度事業活動規模を示すものであると。ただ、一番下にございますとおり、他の課税標準等との組み合わせで用いるべきというお話でございました。

こうしたことを踏まえまして、3ページでございますが、一昨年、平成12年に自治省案を示させていただきました。自治省案につきましては、四角の中に囲ってございますとおり、所得基準と外形基準を2分の1ずつ併用するということでございまして、その外形基準といたしましては事業規模額というものを用いております。報酬給与額と純支払利子、純支払賃料、そこに単年度損益をプラスマイナスするというものでございますが、下にマルで書いてございますとおり、資本金1,000万円未満の法人は「簡易事業規模額」、税額にしまして年4万8,000円を選択可能としたところでございます。さらに、報酬給与額の割合の高い法人につきましては、雇用安定控除を適用するということで雇用への配慮をしたところでございます。

そして4ページでございますが、この自治省案につきまして、政府税制調査会の13年度答申で掲げていただいたものでございます。[3]にございますとおり、自治省案は云々かんぬんで、「税収中立の考えの下、中立性の高い課税標準により、薄く・広く・公平な課税を図ろうとするものである」ということで記述いただいております。

この自治省案につきましては、その後経済団体等からの御意見を伺い、それらを踏まえて、5ページでございますが、昨年、平成13年に総務省案というものを提出させていただいております。これは、従前は事業規模額ということで加算型の所得型付加価値ということでございました。それと同じものを付加価値割というふうに位置づけましたが、その付加価値割だけではなくて、外形の部分に3分の1程度でございますが、資本割というものを入れさせていただいております。

それで、6ページにその総務省案のポイントをまとめさせていただいております。まず、中小法人等に対する配慮ということでございますが、1点目は、中小法人全体・大法人全体の税負担は変わらない。要するに、それぞれについて税収中立ということにしてございます。それから、1,000万円未満の小規模法人は、外形部分について4万8,000円という定額を選択可能だということでございます。

それから、雇用に対する影響ということが言われるわけでございますが、利潤と給与総額は代替的な関係にある。要するに、生産要素の選択に中立的であるということでございます。それから、資本割を併用することによって、給与分の割合は低下しているということでございます。

導入のやり方でございますが、段階的に入れるということでございまして、下にございますとおり、導入が決まってすぐ入れるというわけではなく、外形部分をいきなり2分の1ではなく、まず4分の1で入れていく。さらに中小法人については、大法人に遅れること2年で導入していくといった配慮をしているところでございます。

7ページでございますが、この総務省案につきまして14年度答申で記述をいただいておりますが、真ん中あたりに「この総務省案は」というのがございます。その下あたりでございますが、「外形部分について、付加価値額を基本としつつ、資本等の金額による課税方式を補完的に併用するものである。資本等の金額は、中期答申において望ましい外形基準とされた4類型の1つである」ということ。そして、「これによりまして」ということで、「法人事業税全体に占める報酬給与額に係る部分の割合が大幅に下がることとなった。また、税率が一本化され、『雇用安定控除』も不要となるなど、担税力に配慮しつつ、課税の仕組みが簡素化された」としていただいたところでございます。

これらを含めまして、8ページでございますが、「外形標準課税のねらい」ということでまとめさせていただいております。まず、「薄く広く誰もが負担する税制」ということでございます。現状、7割の法人が赤字という状況にあるわけでございますが、やはり事業規模に応じて御負担をいただきたい。事実、そういった企業であっても都道府県の行政サービスを受けているのではないかということで、受益と負担の関係の明確化にも役立つのではないかという趣旨でございます。

それから、努力した企業が報われる税制ということでございます。所得に係る税率を半分にいたします。結果といたしまして実効税率も下がる。そういう中で、活力ある企業の新規投資等を通じまして、経済活性化にも役立つのではないかという趣旨でございます。そして、地方税収の安定化もねらいの一つということでございます。

そういう中で9ページでございますが、平成14年1月には閣議決定をいただきまして、「15年度税制改革を目途に導入を図る」としていただいたところでございます。

10ページは、「基本方針」の記述でございます。

以上でございます。

石会長

ありがとうございました。

それでは、次、消費税に移りましょう。企画官の美並さん、どうぞ。

美並企画官

それでは、消費税関係について御説明します。資料は「基礎小16-5」でございます。目次を飛ばしていただきまして、1ページ目に、6月の「基本方針」で消費税の中小特例に関する記述の部分を掲げてございます。下線の部分でございますけれども、中小事業者に対する特例措置につきまして、「制度全体に対する国民の信頼性、制度の透明性を向上させる観点から、早急に抜本的な改革に取り組むべきである」とされております。具体的には、事業者免税点制度につきましては、「現行の免税点制度を大幅に縮小すべきである」。簡易課税制度につきましては、「制度の廃止を含めた抜本的見直しを行うべきである」というふうにされていたところでございます。

2ページ、3ページは、いずれも、ご覧いただいている資料でございますので、飛ばして、4ページをご覧いただけますでしょうか。「事業者免税点制度の適用状況」ということでございまして、免税事業者、売上高3,000万円以下でございますけれども、売上高階級別にどういうふうに分布されているかということを示した資料でございます。事業者の合計、右下の数字、593万3,000者とありますけれども、この事業者全体を100%としまして、免税事業者の割合は62.0%、367万7,000者でございます。この内訳が網かけ部分でございまして、左から売上高が1,000万円以下の事業者、個人事業者は全体の31%、法人の事業者は8%でございまして、合わせて売上高1,000万円以下では39%でございます。1,000万円~2,000万円以下の層は、個人事業者が10.2%、法人が4.4%で合計14.5%。累積割合、0~2,000万円のところでは全体の事業者の53.5%になるということでございます。2,000万円を超える事業者は、個人が4.6%、法人が3.8%で、合計8.4%。合わせたところで62%、これが免税事業者の状況でございます。

次に、5ページを飛ばして6ページに、免税点制度の主要国の状況がどうなっているか御説明したいと思います。日本は、先ほど申し上げましたように売上高3,000万円が免税点の基準になっておりますけれども、フランスにつきましては、300万円強。これは前暦年と当暦年の両方の基準で判断しますけれども、大体300万円強で判断をする。ドイツについては、前暦年200万円弱、当暦年の売上見込額600万円弱、この水準で判断するということでございます。イギリスは3カ国の中で一番高うございますけれども、それでも1,000万円前後で判断するということでございまして、日本の免税点3,000万円が、諸外国に比べてきわめて高いということがおわかりいただけるかと思います。

以上、免税点制度でございます。

次、簡易課税制度でございますけれども、7ページの資料を飛ばしていただいて、8ページに「簡易課税制度の適用状況」という資料を用意させていただきました。これは、課税事業者、右隅に225万5,000者とありますけれども、消費税の課税事業者合計、これを100%といたしまして、簡易申告者の割合が106万3,000者で、47.1%になります。これが、先ほどと同様に売上高階級別にどのように分布されているかというのが網かけ部分でございまして、売上高が3,000万円以下の水準では、個人事業者3.6%、法人4.5%で、合わせて課税事業者全体の8.1%の方がいらっしゃいます。3,000万~5,000万以下の層には、個人、法人合わせて14%、累積で申し上げますと22.1%でございます。5,000万~1億以下の層には、個人、法人の合計で15.5%。ここまでの累積割合は37.6%になる。1億を超えたところで9.5%で、合わせて47.1%というのが簡易課税を申告されている方の状況でございます。

簡易課税制度につきましても、諸外国の状況の資料を10ページに用意しております。日本は、いま申し上げましたように課税売上高2億円というところで判断しますけれども、まず、フランスについては簡易課税制度に類する制度はございません。ドイツには類する制度がございますけれども、簡易課税を適用するかどうかの基準は売上高706万円という基準でございます。イギリスについても2,000万円前後で判断するということで、やはり日本の水準が相当高いということがおわかりいただけるかと思います。

11ページ以下に申告納付制度と総額表示についての資料がありますけれども、これも一度ご覧いただいていた資料なので、説明は省略させていただきます。

説明は以上でございます。

石会長

ありがとうございました。

それでは、最後のトピックスでございますが、相続税・贈与税関係、川上企画官からお願いします。

川上企画官

一課の資産税担当企画官の川上でございます。お手元の「基礎小17-1」という資料に基づきまして、御説明させていただきます。

1枚おめくりいただきまして、6月の「基本方針」の該当部分でございます。ここでは二つのことを言っていただいておりまして、相続税本体の話、それから、相続税・贈与税の一体化について触れていただいています。本体につきましては、経済のストック化の進展、社会保障の充実、高齢化の進展等々を踏まえまして、課税ベースの拡大、最高税率の引下げ等おおむねの方向を示していただいているところでございます。

一体化についてでございますけれども、「高齢化の進展に伴って相続による次世代への資産移転の時期がより後半にシフトしていることから、資産移転の時期の選択に対する中立性を確保することが重要となってきている。高齢者の保有する資産が現在より早い時期に次世代に移転するようになれば、その有効活用を通じて経済社会の活性化に資するといった点も期待されよう。このような観点を踏まえて、一体化を検討すべき」という御提言をいただいているところでございます。

これを基本にいたしまして、以下、政府・与党におきましても、2ページが例の「骨太2002」でございますし、3ページ目で、与党3党首の合意におきましても、この一体化を15年度改正の中できちんとやれ、そして原則15年1月1日に遡及して実施せよと、こういうようなことが言われているわけでございます。

4ページ目以下は、すでにご覧いただいている資料でございますので、9ページまで省略させていただきます。10ページ目、これが今回の一つのポイントになろうかと思いますが、30日の基礎小委で、夏の間の事務局の検討結果として御報告させていただきまして、基礎小委の段階では、この方向に沿って今後具体案を作成するようにということで、御了承いただいている紙でございます。以下、これを中心に御説明させていただきたいと思います。

まず、頭書きでございますけれども、いまご覧いただいたような御趣旨に基づきまして、「『あるべき税制の構築に向けた基本方針』に基づき、生前贈与を通じた次世代への資産移転の円滑化に資する観点から、現在の執行体制の下で可能な相続税・贈与税の一体化措置を導入するためには、以下のような方向に沿って、その具体案を検討する必要がある」ということで考えております。

4項目ございますけれども、まず1項目でございます。「生前贈与を受けた者については、選択により、相続時に、それまでの贈与財産と相続財産とを合算して計算した相続税額から、既に支払った贈与税相当額を控除することにより、贈与税と相続税との間の精算を行うことのできる新たな制度を導入する」。

今回の一体化措置の性格でございますけれども、毎年の贈与時における累積課税ではございませんが、相続時における累積課税ということで仕組みたいと考えております。11ページにそのイメージ図を掲げさせていただいております。今回の制度でございますけれども、欧米のように、毎年の贈与ごとに過去からの贈与を積み上げて税率をそのつど適用いたしまして、過去すでに支払った贈与税額を毎回差し引いていくということの繰り返しはいたさない方向でございます。毎年の贈与額につきましてそれなりの贈与税をいただいておきまして、相続時に限り1回、それまでに受けた贈与財産を累積・合計いたしまして、これと相続財産と合算して税額を計算し、そこからそれまでに支払った贈与税額を控除する、こういう仕組みを考えております。

このような制度を今回お示ししております理由でございますけれども、これは、わが国の相続税の一つの特徴を踏まえております。御案内のことでございますけれども、欧米の制度と異なりまして、わが国の相続税は、各相続人等が相続または遺贈により取得した財産の合計を、一たん法定相続分で分割したと仮定して相続税の総額を算出いたしまして、それを実際の遺産の取得額に応じて按分するという計算の仕組みをとっております。したがいまして、相続時点ではじめて、各相続人別の正確な納付税額が算出されるという仕組みになっております。

このような日本の相続税の制度を前提といたしますと、今回の一体化措置におきましては、毎回の贈与時に精緻な贈与税の累積課税を行うことは必ずしも必要としてございません。むしろ相続時に限った累積課税を行う、そして、後ほど御説明いたしますけれども、一定年齢に達した高齢者、その存命期間全体を通じて最後に精算を行うことにいたしますと、資産移転時期の選択についての中立性を、より少ない事務負担で効率的に実現できるというふうに考えておりまして、こういう考えを示させていただいているということでございます。

基礎小委の段階で、特にドイツ、フランスの10年累積課税との比較の御議論も若干ございましたが、いま申し上げたような日本の相続税の仕組みは、ドイツ、フランスとは若干違っております。ドイツ、フランスでは、相続税と贈与税は基本的に同じ課税方式をとっておりまして、毎年の贈与時の累積課税をずっと続けていきますと、例えば、仮に生前贈与ですべての財産がすでに移転された場合におきましては、贈与段階で課税関係が完結することになります。日本の場合は、そこの仕組みが違っておりますので、そうなりません。贈与時までやっておりましても、最後はまた相続段階で精算し直すということが必要でございますので、いま、ここで御提案しているような考え方の方が合理的であろうと。

さらに、ドイツ、フランスですと、累積の期間が10年に限られているわけでございます。これもいろいろ御議論があるわけでございますけれども、そういたしますと、相続開始前10年を超えた資産移転と10年以内の資産移転では、資産の移転時期についての選択の中立性が保たれないということがございます。そういうことも勘案いたしまして、むしろこういう制度が日本型の累積課税としてはふさわしいであろうということで、こういう考え方を示させていただいているわけでございます。

二つ目のポイントでございますけれども、「選択により」ということがこの1項目にございます。選択につきましては、現在、贈与者ごと。贈与者といいますと、お父さんとお母さんがいるわけでございますが、それごと。それから、受贈者ごと。例えば兄弟ですと、お兄さんと弟と、選択する者と選択しない者があるということを可能にする方向で考えております。

それから、この1項目の三つ目のポイントといたしましては、贈与財産と相続財産との合算ということでございますが、合算する贈与財産の価額につきましては、その贈与を受けたときの時価によるということで考えております。

四つ目のポイントといたしましては、相続税額からすでに支払った贈与税相当額を控除するということでございますが、仮に、すでに支払った贈与税のほうが多い場合でございますと、還付もする方向で考えております。

大きな2項目めでございます。「本制度の適用を受ける生前贈与については、贈与を受けた時に支払う贈与税を軽減する」ということで、もともとこの御議論の出発点といたしまして、現行の贈与税率が、一般的に生前贈与による相続税逃れを防ぐために、いわば禁止的な高い税率になっているということがあるわけでございますが、これを現行の水準よりも軽減するということでございます。具体的な仕組みをどうするかということにつきましては、最後に相続税と精算するということを前提に、中立性・簡素性との観点からいろいろなお考えがあり得るかと思います。今後の検討課題と思っております。

大きな3番目でございますけれども、「本制度の適用に当たっては、贈与者は65歳以上であること、受贈者は子である推定相続人であることなど、一定の要件を設ける」ということで掲げさせていただいております。贈与者に65歳以上の年齢要件を設けることとした理由でございますけれども、もともとこの制度、今回の趣旨は、高齢化の進展に伴いまして、相続による財産の移転時期がライフサイクルの後ろにシフトしてきている、こういうことへの対応でございますので、ある程度高齢の方がこの制度にのってくるのが適当であろう。もちろん、長期管理の手間というものもございますけれども、その制度の趣旨から言ってそうであろうと。そして、いま、高齢者ということで基準を見てまいりますと、例えば年金の受給資格の65歳。それから12ページに、いままでの税法等での高齢者の基準も掲げさせていただいておりますが、税法では65歳ないし70歳というのがいままでの基準になっておりますので、ここは65歳ということで掲げたということでございます。

2番目のポイントといたしまして、受贈者の要件でございますけれども、いま申し上げました趣旨、次世代への資産移転の円滑化、そして、相続税との一体化ということでございますので、対象となり得る受贈者は次世代であって、かつ、将来において相続人となり得ると推定される者ということになろうかと思います。13ページに、民法の相続人の規定を掲げさせていただいておりますが、民法上、第1順位の相続人は子と配偶者でございます。あと、直系尊属、兄弟姉妹とございますけれども、次世代に該当するものはこの中では子であろうということでございます。

そして、基礎小委でも若干御議論がございましたけれども、例えば配偶者という御議論がございますが、配偶者はもともと贈与者と生計を一にしている存在でございますし、次世代という意味では該当しないだろうと。さらに申し上げれば、65歳以上でございましても、離婚・再婚等の変動もかなりあるだろうということで、今回、受贈者からは除外する方向で考えております。

孫という御議論もあり得るかと思うわけでございますけれども、相続税との一体化ということでございますと、孫はそもそも相続人ではない。いまご覧いただきました民法の基準からもそうでございますし、いまの制度の趣旨から言って、若過ぎるのではないか等々もございまして、これも受贈者から除外する方向で考えております。

養子の問題がございます。養子は子であるということから、基本的に受贈者になると考えておりますけれども、いわゆる孫養子等の問題につきましては、租税回避防止等の観点から今後の検討課題になろうかというふうに思っております。

その他、「など」の中身でございますけれども、例えば受贈者の年齢要件等も今後の検討課題としてあろうかと考えております。

大きな4項目めでございます。「なお、本制度の適用に当たっては、租税回避防止措置など、適正な課税を確保するための措置を講ずる」ということで、例えば、すでに6月の「基本方針」でも触れていただいております除斥期間の延長ですとか、あるいは先ほど、受贈者ごと、兄だけ弟だけ選択できるということを申し上げました。そういたしますと、例えば兄だけがこの新しい制度を選択しているというときに、弟の方が、選択した兄の申告内容がわかるように、例えば開示請求をするとか、こういうシステムが必要ではないかということで、この辺も検討しているところでございます。

全体としまして、先ほどの仕組み、贈与者の死亡時、相続時に過去の贈与税の申告実績を的確に把握してチェックができる体制ということで考えております。

以上が、これまでの検討結果ということでございますが、本措置は、相続・贈与税制の根幹にかかわるかなり抜本的な改正でございます。昨年の連結ほどではないにいたしましても、法案化には相当な作業を伴うことが予想されます。そのために、他の部分より先駆けまして、秋のうちからかなりこの中身を固めていく必要があると考えております。

そこで、今回、現段階での勉強の結果を御報告いたしまして、基礎小委の段階で、おおむねこの方向で詰めていくということに御了解いただいて、後ほどご覧いただきます「中間整理」にもこれを織り込んでいただいております。本日、御理解いただきましたら、今後、これに沿って事務局として具体案の策定に向けてさらに詰めていきたいと考えております。

以上でございます。

石会長

ありがとうございました。

以上で、だいぶ時間をとりましたが、事務局からの御説明をいただきました。少し眠気を催してきた人もいるようでありますが、これから本番でありますから、目を覚ましてください。

以上の項目につきまして議論して、「中間整理」というのをいまお配りしておりますが、これにしたがいまして、今日、この文書を総会で御承認いただきたいと考えております。これは、俗に言われます、塩川大臣の「透けて見える」というものに該当する文書かもしれませんし、それ以上に、我々が今後、対話集会を終えて、さらに本格的な制度設計をしなければいけないときの出発点になるということでございます。それから、小泉首相の5項目にも関連する幾つかの項目がここに盛り込まれておりますので、いまから15分ぐらいかかるらしいのですが、大急ぎで読み上げていただきまして、この内容を御検討いただき、きょうの成果にしたい、このように考えています。

では、時間もございませんので、すみません、事務局、朗読いただけますか。

事務局

「あるべき税制」の実現に向けた議論の中間整理(案)

~総理指示5項目を中心に「対話集会」を踏まえて~

当調査会は、本年1月の内閣総理大臣の指示を受け、6月14日に「あるべき税制の構築に向けた基本方針」(以下、「基本方針」という。)を公表した。そのとりまとめに先立ち、6月7日に内閣総理大臣より当調査会に対し、15年度税制改正において検討すべき主な事項について指示があった。更に、8月6日には内閣総理大臣より、経済活性化に資する「あるべき税制」の実現に向けて、多年度税収中立の下で、1兆円を超える規模の先行減税を含む税制改革を一括の法律案にまとめるとの方針が追加的に示された。

当調査会は、3月中旬から9月上旬にかけて全国11か所で「税についての対話集会」(以下、「対話集会」という。)を開催してきた。「基本方針」の公表を受けて、7月以降の「対話集会」では「基本方針」を説明した上で、主な論点について会場の参加者からアンケートを実施するとともに意見交換を行った。

アンケートによると、総論的には、税金についての要望として、公平、簡素を求める回答が多く、また、今後の税負担のあり方については、「今まで以上に、皆で税の負担を広く分かち合う」との回答が約6割を占めた。更に、将来の税制においては、「消費税の役割を高めるべき」との回答が約6割であった。そのほか、当調査会が、「今後10~20年を視野に入れた「あるべき税制」の姿として、大幅な歳出削減を前提に、増税もやむを得ない選択」としていることについては、「賛成」、「どちらかといえば賛成」の回答を合わせて約7割の方が選択した。総じて、将来世代への負担の先送りとならないよう応分の負担を分かち合うとの考えが広まってきているものと思われる。

次に、内閣総理大臣より15年度税制改正において検討すべき主な事項として指示された項目を中心に、「対話集会」の結果等を踏まえた現在の議論の状況を整理すると、以下のとおりである。

1. 配偶者特別控除、特定扶養控除等

(1) 個人所得課税における諸控除の見直しについては、「基本方針」では、(イ)税制としてはできる限り簡素化・集約化する方向を目指すこと、(ロ)ライフスタイルの多様化、少子・高齢化の進展といった構造変化に対し、税負担に歪みが生じないような、また、経済社会の中で行われる個々人の自由な選択に介入しないような中立的な税制とすること、(ハ)課税ベースを拡大する方向で諸控除のあり方を見直すことといった視点を示した。

(2) これに関し、「対話集会」におけるアンケート等では、税制が複雑なのでわかりやすい税制にしてほしい、少子・高齢化社会の下では今まで以上に皆で税の負担を広く分かち合うことが望ましい等の意見・回答が多く出されており、諸控除の見直しはこれらと方向性を同じくするものと考えられる。

その中で、配偶者特別控除や特定扶養控除をはじめとする各種割増・加算措置等については、国民の生活上の諸事情に直接関わる事柄であり、慎重に検討すべきとの意見があった。その一方、男女共同参画社会の形成の観点からも配偶者特別控除の見直しを進めるべき、ライフスタイル等が変化している中、複雑な各種割増・加算措置の見直しも必要との意見が出されるなど、「基本方針」で示された考え方に対し、賛成する意見が多かった。

(3) これらの意見等を踏まえ、今後、「基本方針」の考え方に沿って、以下のとおり見直しの具体化に取り組む。

[1] 配偶者特別控除については、基本的に制度を廃止する方向で見直しを行うこととし、税引後手取りの逆転現象に対しては所要の配慮措置を検討する。

[2] 特定扶養控除をはじめとする各種割増・加算措置等については、廃止を含め、制度をできる限り簡素化する方向で検討する。

2. 外形標準課税

(1) 外形標準課税については、「基本方針」では、「税負担の公平性の確保、応益課税としての税の性格の明確化、地方分権を支える基幹税の安定化、経済の活性化・経済構造改革の促進などの重要な意義を有する改革である」とされ、「外形標準課税は、受益と負担の関係を明確にして真の地方分権の実現に資するため、早急に導入すべきである」とされている。また、「外形標準課税を導入すると、法人所得課税の実効税率は下がることとなる」ものである。

(2) これに関し、「対話集会」においては、外形標準課税の導入に関するアンケートで、「赤字法人といえども、地方の公的なサービスを受けているので、広く薄く公平に負担を求めるために導入すべき」、「赤字の零細法人などに特例を設け、過度の負担にならぬよう配慮すれば、導入してもよい」との回答が約8割を占めた。「零細法人や赤字法人に過度な負担となるおそれがあるので反対」との回答は1割強であり、全体として「基本方針」の方向性に理解を示す意見が大勢であったと判断される。

(3) また、外形標準課税については、昨年、総務省から、外形基準の部分について付加価値額を基本としつつ、資本等の金額を補完的に併用する具体案が示されたが、これに対し、当調査会では、「担税力に配慮しつつ、課税の仕組みが簡素化されており、「薄く・広く・公平な課税」という考え方を堅持しつつ、各方面から寄せられた意見を取り入れて、工夫された案となっている」としたところである。

(4) これらを踏まえ、外形標準課税については、その内容について必要な検討を加え、その意義の更なる周知に努め、早急に導入すべきである。

3. 研究開発減税・投資減税

(1) 法人税のあり方については、「基本方針」では、「国際的に整合性がとれ、企業活動に対し歪みの少ない中立的な税制であることを基本とすべき」とされ、税率水準については、「累次の引下げにより、国の法人税率は既に先進国並みの水準となっており、開発途上国の水準を念頭において、これ以上の税率引下げを行うことは適当ではない」、「今後の法人税率の水準については、わが国の租税負担全体の水準や税体系全体のあり方との関連、更には先進国との税率のバランスを踏まえて検討していくべき」とされている。

(2) これに関し、「対話集会」においては、法人課税の負担に関するアンケートで、「現在の財政状況からすれば、これ以上の負担の軽減は適当ではない」との回答が約4割、「利益の出ている法人からは、もっと税負担を求めるべき」との回答が約2割を占め、「企業活動のグローバル化の下では国際的な整合性が重要であり、他の税に負担を求めてでも、負担の軽減を図る方向で見直すべき」との回答は約3割であった。

(3) 他方、「基本方針」においては、「わが国企業の競争力強化や産業構造の改革を進めるためには、21世紀をリードする産業・技術を見据えた明確な国家戦略を前提に、総合的な政策の重点分野への集中投入が必要である」、その一環として、「政策税制を研究開発分野等真に有効な分野に重点化すべきである」とされている。また、閣議決定された「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2002」においても、重点4分野(バイオ、IT、環境、ナノテク)など戦略分野に政策措置の選択と集中を行うとの考え方が示されている。

(4) これらを踏まえ、既存の租税特別措置の統廃合を大胆に進めつつ、真に有効な政策税制を集中・重点的に講じることとする。以下の考え方に基づき、研究開発減税・投資減税の集中について、検討を進める。

[1] 研究開発税制

厳しい経済状況の下、研究開発の分野でも合理化、効率化が進められる中で、試験研究費の額が「増加」した場合等に税額控除を行う現行制度が有効に機能しなくなっている面があり、見直す必要がある。このため、英米等の例も参考としつつ、新たな研究開発税制を設ける。

[2] 設備投資税制

一般的な投資促進税制は、企業が過剰な設備・債務を抱え、キャッシュフローを借入金の圧縮に充てている中で、設備投資の増加につながるか疑問がある。経済社会の活性化や構造改革のために、真に有効な戦略分野に集中・重点化した投資促進税制を設ける。

4. 消費税の免税点制度等

(1) 消費税については、「基本方針」では、「消費税制度に対する国民の信頼性、制度の透明性を向上させるための措置を講じる必要」があり、中小事業者に対する特例措置について、「早急に抜本的な改革に取り組むべきである」とされている。

(2) これに関し、「対話集会」においては、中小事業者に対する特例措置に関するアンケートで、「消費税に対する不信感をなくすために見直しが必要」との回答が約8割に達した。また、「事業者免税点制度は、本来特例措置であるにもかかわらず6割強の事業者が免税となっている現状はおかしい」という意見が出されるなど、全体として、「基本方針」に示された消費税制度に対する国民の信頼性、制度の透明性の向上を求める声が大勢であったと判断される。

(3) これらの意見等を踏まえ、以下の方向で抜本的な改革に取り組む。

[1] 事業者免税点制度

事業者免税点の水準は、消費税制度の創設当初から長期間にわたって据え置かれたままであり、また、諸外国と比べても極めて高い。このことを踏まえ、免税事業者の割合を現在の6割強から相当程度縮小させるべく、現行の免税点制度の大幅な見直しを行う。

[2] 簡易課税制度

これまで二度にわたり簡易課税制度の適用上限を引き下げてきた。しかしながら、全ての事業者に対して本則の計算方法による対応を求めることが消費税制度のあるべき姿であるので、基本的には、廃止の方向で検討する。

(4) なお、申告納付制度及び総額表示方式のあり方については、「基本方針」の考え方に沿って、検討を行う。

5. 相続税・贈与税

(1) 相続税・贈与税の改革については、「基本方針」では、次世代への資産移転の時期の選択に対して中立性を重視する観点から、相続税・贈与税の調整のあり方を検討し、現在の執行体制の下で可能な相続税・贈与税の一体化措置の導入を検討すべきとしている。また、相続税については、最高税率を引き下げつつ、現行程度の累進を維持する一方、基礎控除の引下げ、非課税措置の廃止・縮減、特例措置のあり方を検討すべきとしている。

(2) これに関し、「対話集会」におけるアンケートでは、生前贈与を通じた資産の世代間移転の円滑化に資する観点から相続税・贈与税を一体化することについて、賛成の意見が約7割を占めた。

(3) 高齢化の進展に伴って相続による次世代への資産移転の時期が相続人のライフサイクル(生涯)のより後半にシフトしていることから、資産移転の時期の選択に対して中立性を確保することが重要となってきている。また、高齢者の保有する資産が現在より早い時期に次世代に移転するようになれば、その有効活用を通じて経済社会の活性化に資するといった点も期待される。「基本方針」で提案した相続税・贈与税の一体化措置は、このような社会的要請に応えるものである。

このような観点から、今後、「基本方針」を踏まえ、以下のような方向に沿って、一体化措置の具体案を作成し、それを基にして審議を行う。

[1] 生前贈与を受けた者については、選択により、相続時に、それまでの贈与財産と相続財産とを合算して計算した相続税額から、既に支払った贈与税相当額を控除することにより、贈与税と相続税との間の精算を行うことのできる新たな制度を導入する。

[2] 本制度の適用を受ける生前贈与については、贈与を受けた時に支払う贈与税を軽減する。

[3] 本制度の適用に当たっては、贈与者は65歳以上であること、受贈者は子である推定相続人であることなど、一定の要件を設ける。

[4] なお、本制度の適用に当たっては、租税回避防止措置など、適正な課税を確保するための措置を講ずる。

(4) なお、相続税の最高税率の引下げ、控除の見直しについては、「基本方針」の考え方に沿って、一体化の枠組みの具体化と併せて検討を行う。

6. その他

以上のほか、「基本方針」の考え方に沿って、土地税制、金融税制等についても、更に検討を行うこととする。

今後、当調査会は、内閣総理大臣の方針を踏まえ、15年度税制改正において、「あるべき税制」の実現に向け、更に検討を進めていく。

石会長

ありがとうございました。

この文章をご覧いただくとおわかりのように、小泉5項目について1から5まであり、「その他」というのが最後についております。その5項目ごとに、まず最初に、我々が6月に出しました「基本方針」で何が言ってあるかという簡潔なサマリーをして、その次に、対話集会でどういう意見があったかというその辺の反響を整理し、さらに若干の説明がある箇所もございますが、最後に、(3)あるいは(4)で、具体的にどういう形でこれから改革を進めていくかと。「透けて見える」というのは、どれだけ透けて見えるか、個々人の眼力によりますが、ここに大体の意向が組み込まれている、こういうふうな段取りになっております。

私のほうから原案を示しまして、基礎問題小委員会で、これをしかと御議論いただきました。最終的に文言の整理等々は私に一任していただいて出した、こういう形でございます。

それでは、まだ30分ほど時間がございますので、これに即しまして、御質問の点、あるいは御意見等々を賜りまして、できますればこの総会でこの文書をお認めいただいて、今日、公表したいと考えておりますので、御議論いただきたいと思います。

どうぞ。

福原委員

「中間整理」についてでございます。今お話をいただいた、1兆円の先行減税ということがございましたが、それに対応する文言はどこにあるのでございましょうか。

石会長

それは、「一括の法案にまとめる」と書いてございますね。そこが、いずれそのニュアンスが入っているというふうに御理解いただいたらいいと思います。

福原委員

それは、これからということで考えてよろしいわけですか。

石会長

そういうことでございます。

福原委員

ついでによろしいですか。

石会長

どうぞ。

福原委員

先ほどの消費税の件でございますが、現在のようなデフレの状況では、中小事業者は、実際に消費者に転嫁できているかどうかということについてどの程度把握されておられるのでしょうか、ということが一つ。

それからその次に、外形標準課税についてでございます。赤字法人は行政サービスを受けていないけれども、何らそれに対する応益の負担をしていないということでありますけれども、赤字法人でも、法人住民税の均等割ですとか、固定資産税、事業所税というふうにございますので、中小企業庁推計だと、地方税における所得外課税総額6.3兆円のうち4.5兆円は赤字法人が負担しているという実態があるわけです。それで、それは市町村税になっておりますので、市町村税と国税と地方税、これをどう振り分けるかという作業はこれからどのようになされていくのでしょうか。

石会長

後段について、赤字法人課税でもどのぐらいの税額を負担しているかというのは、基礎問題小委員会でもずいぶん検討いたしました。例の均等割があったり、固定資産税の分野があったり、それも、国・地方等々にまたがっていることも十分念頭に入れて議論いたしました。ただ、こと外形に関しましては、要するに儲かっているところに税負担が行っているということについて、公平ではないではないかという議論があり、かつ、対話集会等々でも議論があったということを受けて、議論をしたわけでございます。

福原さんがおっしゃったとおり、その点は、今後、制度設計の中でどう仕組んでいくかということでございます。当然、今日、またほかの方からもその点御指摘があろうかと思いますが、一応そういうことを踏まえてこういう文書にしたということです。

それから、最初に言わせていただきました、転嫁しているかしていないかということについて、実は導入時期においては調査したこともございます。ただ、今回は時間的な制約もあって、アンケート調査、実態調査はいたしておりませんが、対話集会等々で、消費者の立場からはこの益税問題に対する指摘というのは鋭くあるんですね。ですから、もう一回何かの形でやったほうがいいかもしれませんが、100%転嫁していないというのは事実でございましょう。ただ、それをもって、全部転嫁し切れていないからこういう制度を残していいかどうかという、また別な問題もあろうかと思います。

同時に、ちょっと私、印象的なことを申し上げると、どうも3,000万円があると、それを目がけて調整して、自分で非課税業者になったり課税業者になったりするのではないかと、そういう御不満も実はあるんですよね。だから、制度自体として、こういうことを高めのほうで残すのがいいかどうか。これは仕組みの問題でありますので、実態をもう少し、おっしゃるとおり、少し情報があればと思っております。ありがとうございました。

どうぞ。

室町特別委員

外形標準課税について、二つばかり。まず、(4)番の最後に「早急に導入すべきである」と。これは、15年度税制改正というのを念頭に置いて、15年度改正で導入すべきであると、こういうふうに読めるかと思うのでございますが、この辺につきましてはいろいろ意見があると思いますし、業界でもございます。特に景気がこういう現状である中で、あまり得策ではないのではないか、こういうことがありますので、これは慎重であるべきではないかと思うわけです。

それから、(3)のところに総務省案として、「資本金等の額」というのが、どちらかというと工夫された案という形で肯定的に評価されている。それはわかるのですが、これは、持株会社を採用しているところ、いろいろ問題がございまして、実は銀行界でいま持株会社形態での再編が進んでいる。言ってみれば、そもそも銀行の資本金それぞれが大きいということがございますが、そのほかに、持株会社と銀行の間で、ほとんど株主移転によって設立されたにもかかわらず、両方にかかってくるという二重課税的な問題。

それから、持株会社のほうは、せいぜい人数も100人ぐらいの、いわば子会社の管理だけの機能を持っているというふうに、銀行法上、そうなっているわけですが、それにもかかわらず、これを、外形標準の受益の尺度である事業活動規模としてとらえられるのかどうかという点では、非常に問題があるのではないか。この辺は、今後、業界の再編が進む中で持株会社制度というのがあるいはどんどん出てくる、そういった場合にどういうふうな扱いになるか、これが一つ疑問だと思っております。

石会長

事務局から説明してもらいますが、前段の「早急に導入すべき」というのは、実は前々のころには、「景気回復に入る」とか、「景気の動向に」とあったのですが、今回、急ぐということもあって、それは取りました。そうはいっても、その辺の配慮はおそらく欠かすわけにいかないと思いますが、15年度を目指すということで、ある意味では、基礎問題小委員会でも話題になりましたが、これはラストチャンスではないかというふうな話もあって、とにかく頑張ってみようという意味でここに書いてあるということです。

それから、持株会社等々について、木内さんのほうから何か御説明ください。

木内都道府県税課長

持株会社につきましては、全銀協さんともお話しする機会を設けさせていただくことにしておりますし、そういう意味で、また各方面の御意見を伺いながら、検討させていただきたいと考えているところでございます。

石会長

具体的にはどういうことを検討するのですか。

木内都道府県税課長

総資産に占める子会社の持株の割合、そういったものが一定程度のものについてはどうするかといったような形で、案を考えてみたいと思っております。

室町特別委員

実質的に、同一の資本に二重にかかってくるというような印象ですね。

木内都道府県税課長

はい。その点検討してまいりたいと思います。

石会長

それでは、何らかのものがあるのではないですか、向こうは考えていると言っていますから。

では、中里さん。

中里特別委員

外形標準に資本等の金額が入るということに関して、私、いまの意見に非常に賛成でございまして、持株会社の問題は、どういうテクニカルな解消の方法があるのか、ちょっとわかりませんけれども、非常に深刻ですし、それから、銀行・金融機関は自己資本の充実というのを至上命令にしておりまして、自己資本を充実すればするほど税金が重くなるというのは、金融改革に正面から反する。特に、資本等の金額というのは銀行をねらい撃ちにしているような感じがあって、銀行税を廃止するからこれだというところもあるので、そういうこともあるのかもしれませんけれども、金融の課税を専門にしていますと、ちょっとお考えになったほうがいいような気がいたします。

石会長

総務省案そのものをとるというよりは、ここに「必要な検討を加え」ということも書いておりますので、その辺も十分配慮したいと思います。どうぞ、牧野さん。

牧野特別委員

この「中間整理」は「基本方針」にほぼ沿ったものだと思いますので、私は全体的には結構だと思います。ただ、先ほど福原委員が冒頭申されたことと関係するのですが、総理の、1兆円を超えた規模の減税を先行減税して、何年かでこれを埋め合わせていくのだということとの関係が、必ずしもよくわからない。つまり、ここに書かれているのは、基本的には将来のあるべき姿として結構だと思いますけれども、例えば研究開発税制とか投資減税とか、こういったものは報道等によれば、すぐやれと、こういうことになっているわけです。これをやって、例えば配偶者控除であるとか、益税の問題とか、こういうことで将来埋め合わせていけと、こういうことと関連しているのかどうか、ここのところがよくわからない。

といいますのは、これは、将来の方向として減税になるものもあるとは思いますが、かなり増税になるものもある。増税になるのは、私は別にまずいと言っているのではないですが、ただ、いま言ったように、先行減税と、あとからこれが効いてきてレベニュー・ニュートラルになるということであるとすれば、例えば地方税等を見ますと、当然、配偶者特別控除とか益税によって、地方税は将来増収になってくるわけです。これは、私は決していけないと言っているわけではないのですが、先行減税で、ある程度現在の景気対策とかいろいろなことを何とかしなければいけないということであるならば、研究開発税制とか投資減税以外にも、当面、減税を行うことがあるのかどうか。いや、私はそうしろと言っているわけではありませんけれども、こういうところの議論が基礎小でどうだったのか。あったのかどうか、伺いたいと思います。

石会長

いや、全くございません。これからなんですよ。と申しますのは、「中間整理」(案)の1ページ目に書いてございますように、我々、例の総理5項目の制度設計を議論したわけですね。そのあと、8月6日に、1兆円を超える先行減税、増税一体化という話があとから追加されましたので、我々、制度設計がより重要であると考え、そっちを先行させていますから、いま牧野さんがおっしゃった、あるいは福原さんがおっしゃった1兆円の先行減税、あと増税で、あとどうだこうだ、あるいは、塩川大臣が2兆、1兆だとか、3年、5年だとか、いろいろおっしゃっていますけれども、そういうものを踏まえてこれから具体的にまとめた段階で、もしできるならば秋以降の議論にさせていただきたいと思います。それはこの含みだというふうに御了解ください。よろしゅうございますか。

では、どうぞ、榊原さん。

榊原委員

いま言われたこととも関係するのですけれども、総理の8月6日の御発言で、「多年度で税収中立を図ることにより、財政規律を堅持する」と言われている。政府税調では、こういう考え方をいままでもとってきたのかどうなのかということが一つです。

それから、「1兆円を超える規模の先行減税を含む税制改革の具体化を進めたい」といって、そのあとに、「いわば税制改革法とも呼び得る一括の法律案にまとめたい」、こう言っています。ここで、この5項目がこの税制改革法ということを言っているのか、それ以外に、最後に「その他」がつきましたよね。それも含めて言われていることなのか。それによって、私たちのやる作業というのはすごく変わりますよね。15年度へ向けて、どこまで、何をやればいいか、そういう問題とかかわるものですから、小泉首相が来て説明してくれたら一番いいのだろうと思うけれども、そこをお聞きしたい。

それからもう一つ、今日は「中間整理」(案)ですけれども、これを今日ご確認いただきたいと言っている意味は、こういう5項目について今後議論を深めていくという意味で言っているので、ここで書かれている文言一つひとつをここの総会で確認してほしいと言っていることとは違う、というふうに確認しておきたいと思いますが、その点いかがですか。

石会長

後段はその確認でよろしゅうございます。私もそういう意見で出しております。それから、前段の、過去において多年度税収をやったかどうかというのは、御記憶のように村山内閣のときに、先行減税、所得税を5兆5,000億円かな、平成4年にやって、それから平成7年に、3%から5%に上げたという実績がございます。あれが成功したか、成功しなかったかは、各人、この税調の委員もいろいろな意見がありますから、わかりません。過去にそういうことはありましたし、現に認めてやったという経緯がございます。

それから、あとのほうの、「その他」まで入れてトータルでやるかどうか、局長に御説明いただいたほうがいいと思いますが、さっきも説明しましたように、多年度税収というアイデアはあとからボーンと来たんですよね。我々が5項目の中身を一生懸命やっているときに来まして、制度設計、増税、減税というのは、どちらかというと政治的マターがずいぶん絡んでいる。諮問会議等々もいろいろ議論されているようですが、それについてはこれからの議論だと思っています。

では、局長のほうから。

大武主税局長

前段の御質問の一体的というところは、6月にいただいた「あるべき税制の構築に向けた基本方針」の3ページ、「安定的な歳入構造の構築」というところで、政府税調からも言われている点……これは実は、それ以前に塩川3原則というのが流れたことがあると思います。それをたぶん御考慮にいただいていたと思うのですが、このように書いてあります。「現下の経済事情から、租税負担の引上げ自体が当面の課題になり得ないにしても、税制改革の推進に当たっては、この方向性に反しないことが最低限必要である。仮に、経済社会の活性化のために真に有効な措置として減税を行う場合であっても、そのことが財政の悪化を招くことのないように、具体的な増税と一体として措置すべきである」というのが、6月の政府税調答申にもいただいておりまして、これを総理のほうにも御報告してあったという背景が、実はあるのだろうと推測いたしています。

それから、第2点目の全体の話はまさに石会長が言われたとおりで、今回はあくまでも総理指示5項目を中心に対話集会をやっていただいて、それについての意見を踏まえて基礎小委でまとめていただいただけであって、さらに今後、たぶん11月下旬でございますか、政府税調でまとめていただく中では、ここにも書いてありますように、「その他」の、いってみれば土地税制や金融課税を含めて全体を御議論いただいて、あるいは寄附金税制とかそういうものも御議論いただいて、全体をパッケージとして税制改革法なるものにまとめていきたい、そういう趣旨かと理解しておる次第であります。

石会長

よろしいですか。

では、貝原さん、どうぞ。

貝原委員

私は、対話集会を精力的におやりになったということを大変高く評価したいと思います。いままで税制を議論する場合には、各種利害関係団体から、自分のことに関して、私も地方団体でしたからそういう点もあったわけですが、必ずしも自分はそういうつもりで発言しているつもりはないのですけれども、構造改革について、国民が非常に大きな支持をしていることは間違いがないことでしょうし、税のアンケート調査について見ましても、将来の財政のあり方からして、この際、基本的な骨太の部分についてはきちんと国民が負担をしていかなければいけないということが、この全体の流れの中からはっきりしてきているのではないか。

そういうことから考えまして、これは私の関係の分野に入るのですが、法人事業税の外形課税についても、シャウプ税制のあたりから、全体を応益課税として制度設計されているわけです。しかし、いろいろな沿革上の配慮があって、いまの総務省案でいきますと、2分の1を所得課税にして、2分の1を外形課税にすると。これも私から言わせると、非常に中途半端な税になっているのですが、そういう措置を取られ、しかも、先ほど総務省案の説明がありましたように、7年ぐらいかけて順次経過措置をとっていくというところまで譲歩した案になっているわけですね。これだけ国民が支持している方向への税制改正ですから、私は、この際きちんとした税調の態度を示していただきたい、このように思います。

石会長

外形の再設計をきちんとやれという御指示ですか。

貝原委員

15年度税制はどうかとか、時期を見るべきではないか、というような御意見が先ほど出ていましたけれども、私は、骨太の方針の考え方の中できちんとした考え方をすべきだという意見です。

石会長

わかりました。

では、佐野さん。

佐野委員

すでに何人かの方がおっしゃられていることですが、この「中間整理」(案)に即して言うと、これは絶対に1兆円の先行減税にならない。ほとんどこれは増税項目ばかりであります。1兆円の先行減税という総理の発言を無視するならともかく、尊重して、総理の意向に沿って、来年度、この重点5項目を検討しようとする基本姿勢を前提とするならば、この「中間整理」(案)というのはなぜこういうことになったのか。いきなり示されたので、私はちょっと理解に苦しむわけであります。

とりわけ、この5項目の中で唯一と言ってもいい減税項目である、研究開発、それから設備投資ですが、この段の設備投資税制について、一般的な投資促進税制は全然効きません、やるのだったら戦略分野に集中・重点化してやるしかないですねと、この書き方などはこれでいいのかなという感じがいたします。たしかに現状を言えば、企業が過剰な設備・債務を抱えている、借入金の圧縮を優先している、したがって投資という面での動意がないということはわかるわけですが、この税制というのは少なくとも2年や3年続くわけで、そのうち設備投資の動意が出てくるかもわからない。現在は動意が感じられませんというので、その措置をする必要はありませんね、というふうに言い切ってしまうのが果たしていいのかどうかということであります。

どなたかがおっしゃったように、この「中間整理」(案)というのは、これが確定であって、一歩もここから踏み出さずにこの路線の上をずっと通っていくのだということではなくて、あくまでもこれからの議論のたたき台であるという程度の認識を、この際、共通の認識とすべきではないかと思います。

石会長

おっしゃるとおりです。最後、もう一回確認しますけれども、その辺はあまり御心配いただかなくても。ただ、あまり緩フンでもいけませんから、ある方向を出そう、こう言っているわけです。

和田さん、どうぞ。

和田特別委員

この5項目を中心に対話集会を踏まえてということで、この文章の中で、参加者からのアンケートというのに非常に重きを置かれている。それには異議を唱えるわけではないのですけれども、アンケートの数ですね。これは、先ほどいただいた資料を見ますと、傍聴者数がトータルで833 ですけれども、アンケートの数は、トータルこれにはなっていないと思うのです。

石会長

800ぐらいですね。

和田特別委員

800ぐらいでしょうか。そのアンケートをもとにして、それぞれの項目のところで、例えば7割が賛成とか、8割がというような非常に具体的な数字が出ております。この「中間整理」が、前提というものが、どのくらいの対話集会があったのかとか、アンケート数がどのくらいかというようなことが、読んだ人があまりわからないままに非常にインパクトが強いのではないかなという気がするものですから、年代別とかそんな必要はないと思うのですけれど、アンケート数というものの概数を入れておいたほうがいいのではないかなという気がします。

石会長

当然、いまの御指示に従いまして、どのくらい詳しいものを入れるかはさておき、当然のことながらくっつけようと思います。どういう趣旨で、どこをやって、どうやったと。それから参加者の選び方ですね。完全公募で自由に御参加いただいたということを踏まえまして、おっしゃるとおり、つけ加えないと少し誤解があるかもしれません。ただ、800というのも結構な数字なんですよね。大体、テレビでは500ぐらいでやっているのが多いのですから。それから、1回目からずっと減税要望等々を踏まえると、1,900から始まっていますから、それなりのある程度の意見は言ってもいいのかなと私は個人的に思っています。

和田特別委員

先ほどお話のありました、一般的に寄せられている数が4万幾らというのを伺いましたので、必ずしもそれを分析する必要はないと思うのですけれども、その800をどう見るかというのはいろいろな見方がありますので、やはり数だけは記述しておいていただきたいと思います。

石会長

はい、わかりました。

4時に近くなってきましたけれども、御発言御希望の方、何人いらっしゃいますか。

では、柳島さんから、どうぞ。

柳島委員

法人課税の話です。研究開発・投資減税というのは大いにやるべきだと思うのですけれども、その半面、企業にとってみると、外形をやられると地方で……。私自身は外形をやるべきだと思っているのですけれども、研究開発投資で減税になった分、外形で持っていかれてしまうというようなことにはならないのでしょうか。そうならないように制度設計をやらないと、意味がないのではないかなと。それだけです。

石会長

そうですか、わかりました。

奥本さん。

奥本特別委員

石会長がおっしゃる重点5項目のこれからの検討ということは、よくわかるのですけれども、折も折とて、本日、日経ダウは新安値をつけております。私が出るときには相当厳しい環境でして、おそらくマーケットは騒然としていると思います。このような推移が続きますと、再び三たびの金融不安みたいなものが起こることは必至でございます。その中での先ほどから議論になっております、いわゆる景気対策としての1兆円減税先行というそのニュアンス。おそらくこれから記者会見をされるのでございましょうけれども、その辺のところは十分意識して御説明される必要があるのかなというふうに思います。

石会長

わかりました。そういう御意見ですね。どうぞ、福原さん。

福原委員

三たび恐れ入りますが、先ほどの、赤字法人といえども税金を全く負担していないわけではないということを、国民にわかるように説明することが必要ではないかと考えます。

第2は、日本商工会議所で、任意ですが、決して恣意的でなくて、1万3,000ほどの会社のシミュレーションをしてデータを取ってみたわけです。そうしますと、黒字でありながら、現在よりも税負担が増える法人は5,617 社、税負担が減少する会社は1,720社というわけで、トータルすると、もちろん赤字法人は増えますので、かなりな……。ここでは1社当たり負担額は161万円と。これはもう少し調べてみる必要がありますが、やはり何らかの税負担は増えてくるということが考えられるので、もうちょっとこれ、数を増やして、母集団を増やして、再調査することになりますが、いま、そういう状況であるということをお伝えしておきます。

石会長

7割が赤字法人ですから、その赤字法人が対象になるとなりますと、当然、数から言えば増えてくると思いますよ。ただ、トータルで……。

福原委員

しかし、この回答は、赤字法人は3,000社ほどしかないわけです。返ってきていないわけです。黒字法人でもって税負担が増えるのが5,617 社、こういうわけです。

石会長

それは日商のあれですか。

福原委員

そうです。

石会長

そうですよね。個々の個別のアンケートを計算させると、当然、そうなってくると思いますよね。ただ、トータルで、大企業、中小企業でレベニュー・ニュートラルでやっていますから、マクロではたぶん税収増にならないような仕掛けができるのでしょう。ただ、個別になったときには、先ほど申し上げたように、7割の新しい企業が税の捕捉の対象になりますから、数だけ言えば当然そうなる。それから黒字のほうも、おそらく組み合わせいかんによって、資本の多いところ、銀行なんか特にそうかもしれませんがね、いろいろあるのでしょう。それについては、これからまさに見直しの対象にもなると思いますから、十分配慮して議論しなければいけないと思いますね。

福原委員

そのことと、赤字法人といえども雇用をしているということを、ひとつ念頭に入れて。

石会長

そうですね。

いろいろ御議論賜りましたが、この際、ぜひと……。では、諸井さん、どうぞ。

諸井委員

私はこれを拝見して、非常に説得力もあるし、いいのではないかなと。ですから、私は原案に賛成です。なるべくこれでやってもらいたい。

石会長

別にいまから修正案等々という案は出すつもりはないんですよ。というのは確認の意味で、これは将来の議論の大まかなまさに税調の骨太案であって、おっしゃるとおり、核はこのまま残して、これから具体的なところで、いろいろいただいた原案の修正、あるいは増税、減税の組み合わせ、それから、どのくらいの期間でやるか、先行の程度、あと追いかけるほうはどうするか、これからの議論でありますので、今日は中間整理でありまして、最終整理ではございません。最終的なものは11月にやりたいと思っていますので、これから一層の御議論を賜りたい、こういうことであります。でも、諸井さんからそういう形で言っていただきますと、非常に安心感がわきますから。ただ、これにこれからつけ加えるものをいっぱい用意しなければいけないとは思っています。

よろしゅうございますか。まだまだこれからであります。そういう意味で以下の予定を申し上げますが、事務局が夏休みに精力的に特に相続税、贈与税あたりを勉強してもらいまして、これから具体的な制度設計に入ります。9月の後半から再度本格的な議論を立ち上げまして、11月の中旬ぐらいをめどにこの最終的な整理をし、そして、5項目以外のその他も踏まえて来年度税制改正に関する一つのたたき台を出したい、税調としての考えを出したいと思っています。

ただ、我々の道のりはこれから長いのでありまして、何分にも10年、15年先を目指してなどと言っているわけで、この税調もだいぶ高齢化しておりますから、10年、15年後、どうなっているか見届ける人がどのくらいいるかわかりませんけれども、若い人を中心に頑張ってもらわなければいけない。そういう意味で、決して今年の秋に出そうというだけで話が終わっているわけではなくて、これは、ほんの序説の序説程度の話であります。景気の問題も、奥本さんがおっしゃったように、いろいろこれから配慮すべき点も出てくると思いますので、その辺を十分配慮しつつ、最終的な仕上がりに持っていきたいと考えております。たぶん9月後半のしかるべき時、終わりに近いかと思いますが、決まり次第、また総会の御通知を差し上げたいと考えております。

事務局の方はよろしいですか。よろしいですね。

ては、今日はどうも長時間、ありがとうございました。

〔閉会〕

(注)

本議事録は毎回の総会後、速やかな公表に努め、限られた時間内にとりまとめるため速記録から、財務省主税局及び総務省自治税務局の文責において作成した資料です。

内容には正確を期していますが、税制調査会議事規則に基づき、事後の修正の可能性があることをご承知置きください。