第31回総会 議事録

平成14年7月12日開催

石会長

それでは、時間になりました。第31回総会になりますが、開催いたしたいと思います。

今日は、尾辻副大臣に御出席いただいております。よろしく。

まず、御礼でございますが、年明け以降、御熱心に御審議いただきました例の「あるべき税制の構築に向けた基本方針」が、この間やっとまとまりまして、1カ月前ですか、今、いろいろな反響を伺っているところであります。

それを受けまして、「税についての対話集会」、19日、秋田を皮切りに5回やる予定でございます。それを聞きながら、そこからいろいろな意見をくみ上げながら、2003年度の税制改革に向けてこれから本格的な議論が始まりますので、今日は、新しくこういうことをするよという意味でお集まりいただいたわけでございます。

今日は、第2ラウンドの対話集会の進め方の御紹介と、それから、直近でさまざまなデータの資料が出ておりますので、それを事務局から御説明いただく。例えば、13年度税収決算額とか、第2弾「骨太の方針」が経済財政諮問会議から出ました。そういうことを踏まえまして、今日は議論をいただきたいと考えております。

それで、入り口に大変分厚な資料がございますが、これは、郵便とか電子メールでこの税調に対する御意見を伺ったものでございます。ざっと8,600件あるとか言っていましたが、それには、例えば課税最低限を引き下げる、消費税率引き上げる等々についてのさまざまな抗議もございますし、同じ文面がいっぱい並んでいる文章も来ております。これは組織的ではないかなと思っておりますが、帰りがけに、入り口の方にございますから、大変分厚い資料でございますが、お目通しいただけたらと思います。

委員が1人、交代になりました。松田委員から、読売新聞の三山秀昭委員で、きょう初めて御出席でございますので、ちょっと立ち上がって会釈ぐらいしていただけますか。お願いします。

三山特別委員

一昨日、この委員に加えていただきまして、初めて参加させていただきます。三山でございます。よろしくお願いいたします。

石会長

よろしくお願いします。

事務局の方にも人事異動がございましたので、主税局長の大武さんから、簡単に御紹介いただきたいと思います。

大武主税局長

それでは、事務局の異動を御紹介させていただきたいと存じます。

審議官をしておりました木村が、東京国税局長に就任いたしまして、その後任に、同じ審議官から石井がなりました。さらに、石井の後任に、総合政策課長をしておりました加藤が就任いたしました。

税制第一課長をしておりました川北が総合政策課長に就任しまして、その後任に、税制二課長をしておりました古谷が就任いたしました。税制二課長には、税制三課長をしておりました道盛が就任しまして、税制三課長には、ただいまちょっと外出しておりまして、後ほど参りますが、調査課長をしておりました稲垣が就任いたしました。また、調査課長の後任には、国際局の為替市場課長をしておりました永長が就任いたしました。

それから、国際租税課長をしておりました杉江が、国税庁の個人課税課長に就任し、その後任に国際局の地域協力課長をしておりました浅川が就任いたしました。

いずれも、前任者同様、よろしくお願いいたしたいと存ずる次第でございます。よろしくお願いいたします。

石会長

どうもありがとうございました。

それでは、早速今日の審議に入りたいと思います。

最初に事務局から、13年度の税収決算額の概数が出ましたので、その報告、並びに、「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2002」という、いわゆる「骨太の方針」が出ましたので、事務局から御報告をいただきたいと思います。清水さんと、岡崎さんの方から。

清水総務課長

お手元の資料「総31-1」、平成13年度の税収決算額の概数につきまして先般発表いたしましたので、御報告申し上げます。

平成13年度の税収につきましては、当初予算50兆7,270億円と見積もっておりましたが、昨年秋の第一次補正のときに1兆1,020億円減額いたしまして、49兆6,250億円と見ておりましたところ、5月末までに収納いたしました税収の決算(概数)では47兆9,439億円ということで、補正後から1兆6,810億円の減収ということでございます。これは、収納いたしました数字を全体取りまとめたものでございますので、具体的な申告書との突合により確定する段階で若干の異動がございます。下にこれまでの経緯がございますように、3年ぶりの補正後からの減収となっております。

中身につきまして、要因を見ていただくために、2ページ目をお開きいただきます。税目ごとの異動の状況をお示ししてございます。

主なものといたしまして、まず所得税でございます。源泉所得税、補正の時点でも4,500億円ほど減額しておりましたが、雇用者数の伸び悩み、あるいは、賃金の伸び悩みということを反映いたしまして、約1,700億円の補正後予算額に対する減収となっております。

また、申告所得税につきましては、13年分の確定申告ですが、特に土地の譲渡所得につきまして、件数、あるいは価額といったものが落ち込みまして、これが見込みを下回ること等によりまして、約1,400億円弱の減収となっております。

以上、合わせまして、所得税で3,095億円、補正後に対する減収でございます。

法人税につきましては、昨年の補正の段階で、そのときの状況、ヒアリング等も踏まえまして、6,500億円弱の減額をしたところでございます。さらにこの時点で、9月の同時多発テロの影響も、必ずしも十分企業サイドでも織り込めなかったところもあると存じますが、企業収益の一層の悪化によりまして、全体として9,351億円の減ということになってございます。

また、主な税目としては、消費税ですが、国内消費の伸び悩みといったことから、3,652億円の減収となっております。

酒税につきましては、ビールの課税額が引き続き下回って、発泡酒にシフトしていったようなこともございまして、576億円の減収。

それから一番下ですが、印紙収入につきましては、不動産取引の登録免許税の伸び悩みといったことから、761億円の減収を反映しまして、一般会計分税収全体といたしましては、1兆6,811億円の減収となってございます。

なお、歳入歳出を通じた決算の概数につきましては、3枚目にございます。ただいまご覧いただきましたように、税収の減1兆6,810億円に対しまして、税外収入、円安による評価の関係などで、予算に対して日銀納付金が8,895億円のプラス、他方で土地売払代が1,100億円程度下がったことで、合わせて7,350億円。

また、歳出の不用は、金利が予想を下回って済んだということで、国債費、あるいは予備費の余り等で9,412億円の不用がございます。公債費は30兆円めいっぱいということで、全体としては概数で47億円の不足となってございます。

ここから、地方交付税など、税収の余りがあるときは逆に差し引くことになりますが、税収が減しておりますので、歳入歳出決算上の不足として47億円ということでございまして、これにつきましては決算調整資金から組み入れる。決算調整資金、いま残高はございませんので、国債整理基金から繰り入れるという状況になっているところでございます。

続きまして、お手元の資料で、番号をつけておりませんが、「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2002」、いわゆる骨太第2弾でございます。これについて簡単に御紹介させていただきたいと存じますが、経済財政諮問会議を踏まえまして閣議決定されてございますが、全体として、経済活性化、税制改革、歳出の改革、全体としての基本方針になっております。

1ページ目、第1部で、構造改革を昨年に引き続き推進するということで、一番最後のところに、これまでの1年を上回る改革第2弾ということで、いわば「基本方針第2弾」という整理がされてございます。

3ページに飛んでいただきますと、引き続き改革を推進するということで、3ページの下の方うのパラグラフ、第4のところにございますように、「『改革と展望』で示した中期的な歳出改革を加速するとともに、『経済活性化戦略』、経済社会の活力を引き出す包括的かつ抜本的な『税制改革』を三位一体で推進することなどにより、中期的に民間需要主導の着実な経済成長を実現する」。また、「構造改革を進め、デフレを克服しながら民間需要主導の持続的な経済成長につなげていくことにより、経済の活力を再生する。」といったような全体としての整理がされてございます。

そのあと、第2部は「経済活性化戦略」でございますが、いわゆる構造改革特区みたいなことを含めまして、経営資源と技術資源の選択と集中による産業競争力の強化とか、あるいは、規制改革の推進による民業拡大といったことを基本思想にしたことが整理されてございます。

飛んでいただきまして、第3部、22ページ、ここで税制改革についての基本方針が示されております。全体として「税制改革の必要性」がまず第1番目にございまして、ポイントだけ申し上げますが、税制が常に時代の変化に対応し、企業と個人の活力を支えることが必要だということで、「包括的かつ抜本的な税制改革が求められている。」という認識が示されています。

2番目に、23ページですけれども、「目指すべき経済社会と税制改革」ということを整理した上で、「3.税制改革の視点」ということで幾つかの切り口が示されております。

「第1に、日本経済の活力の回復を最重視する。課税ベースを広くし、税率を低く抑えることを基本とする。

第2に、多様なライフスタイルという状況の下で、…ライフスタイルの選択に中立的な社会制度の構築を進める。

第3に、歳出改革と一体として進める。

第4に、社会保障制度改革と整合性をとって進める。

第5に、地方行財政制度の改革と一体として進める。

第6に、すべての人・企業が公正に負担すると同時に、真に必要な場合には、低所得層等に配慮する。」といったような視点が示されております。

次の4ポツですが、「税制改革の進め方」ということで、「今次税制改革は、2003年度(平成15年度)に着手し、"広く薄く"等の理念の下、本格的かつ構造的な税制改革に取り組むとの考え方に立ち、可能なものから順次実施していく」ということが言われております。

また、(2)ですが、「財政規律を重視しながら行うこととし、税制改革の財源は、原則として国債には依存しない。」といった進め方が示されております。

ページをめくって25ページでございますが、税制改革の具体的な検討項目ということで、5ポツに整理されてございます。

第1は、「持続的な経済成長を実現するために」ということで、「『広く薄く簡素に』の観点から、所得税・住民税・法人に対する課税の負担構造を検討する。法人に対する課税については、その実効税率の引下げと課税ベースの拡大を検討する。その一環として、法人事業税の外形標準課税について、『改革と展望』に示した考え方に沿って検討する。研究開発投資やIT投資等を税制でも促進できるよう検討する。金融資産課税の見直しと有効利用を促す土地税制を検討する。」
第2は、「多様なライフスタイルのために」ということで、「就労などの選択に歪みを与えないよう、配偶者に関する控除等に関し検討する。相続と生前贈与の選択を歪めない税制を検討する。また、寄附等に対する課税の見直しを検討する。」
第3ですが、「長期にわたる安心の確保のために」ということから、「急速な人口高齢化等に対応するため、安定的な歳入構造をつくる。公的年金をはじめとする社会保障制度を抜本的に見直すとともに、年金課税の見直しを検討する。また、道路等の特定財源については長期計画や今次税制改革と一体的にそのあり方を見直す。地球環境に配慮した税制を検討する。」といった点を指摘しています。

「地方の自立と活力のために」は、第4部のところに述べる考え方に沿って検討を進めるということで、後ほど触れさせていただきます。

最後に、「負担に対する国民の理解のために」ということで、「IT化に対応した申告・徴収を進める。サラリーマンの申告納税の拡大・納税者ID制度等の検討によって、より信頼できる徴税と納税の環境を整える。消費者の理解を得るために、消費税の免税点制度等の見直しを検討する。」といった点が示されているところでございます。

次に第4部では、「歳出の主要分野における構造改革」ということで、第1点目は社会資本整備ですが、重点化、効率化ということに触れてございます。

第2が、27ページ以降、社会保障制度ですが、ここでは、社会保障制度の改革に積極的に取り組む、国民負担率の上昇を極力抑制していくといったようなことが示されています。

29ページにまいりますと、3として「国と地方」ということで、先ほどちょっと出てまいりましたところですが、「地方行財政改革については、これを強力かつ一体的に推進する必要がある。先ず、国の関与を縮小し、」ということで、それについて「年内を目途に結論を出す。」というところが(1)。

(2)ですが、「これを踏まえ、国庫補助負担金、交付税、税源移譲を含めた税源配分のあり方を三位一体で検討する」ということで、「改革案を、今後1年以内を目途にとりまとめる。」といった点が示されております。

「4.その他」ということで、食料の問題等ありますが、32ページで、特定財源について触れられてございます。32ページの一番上ですが、「道路等の『特定財源』については、長期計画や今次税制改革と一体的にそのあり方を見直し、可能なものは平成15年度から具体化する。」といったことが示されております。

それから第5部で、「15年度経済財政運営の基本的考え方」ということで整理されておりますが、33ページの冒頭、この1月の「改革と展望」についての紹介が(1)、(2)とございますが、「(3)構造改革の推進と今後の検討について」ということで、進め方に触れております。その一番下のところですが、「税制改革については、本方針の下、政府税制調査会等において具体的に検討され、経済財政諮問会議においては、経済と税制、歳出と歳入の整合性等の観点からの検討を行いつつ、改革の進捗状況についてフォローアップを行う。」といったことが示されております。

36ページの3ポツ以下で、「平成15年度財政運営のあり方」ということで、主として歳出の問題ですが、37ページなどでは、「歳出改革の加速」ということで、「一般歳出及び一般会計歳出全体について実質的に平成14年度の水準以下に抑制することを目標とする。」といったことが示されてございます。

最後に私の方から、入り口のところにも置かせていただいておりますが、御審議いただいた連結納税制度につきましては連休明け5月10日に法案を提出させていただいて、去る6月26日に可決成立いたしまして、7月3日に公布されております。法案自体は、改正分だけでも1,019 ページということで、1,000ページを超える大部なものになってございます。このぐらいのものを委員会に配らせて審議いただいたわけですけれども、公布されたということで、この4月から始まって来年の3月に終わる決算法人については、9月までに申請をすれば適用できるということで、これから準備をしてまいるという状況でございます。

以上、御報告させていただきます。

石会長

ありがとうございました。

では、岡崎さん。

岡崎企画課長

私からは、地方の税収の動向につきまして、「総31-2」という横書きの表で御説明いたします。

「平成13年度地方税収入決算見込額」、これは、実はまとめたばかりのほやほやでありまして、取り急ぎ御報告いたしますが、個人住民税等は国と同様、個人所得の伸び悩みによりまして、13年度の地財計画額8兆5,043億円を1,451億円下回っているという状況でございます。

法人の関係につきましては、3月決算法人の帰属年度が国と地方ともありまして、傾向は若干違いますが、やはり思ったほどの伸びが見られませんで、若干の減となっております。

それから、地方消費税は国と同様の傾向で、901億円届かなかったということであります。

固定資産税は、9兆2,600億円ほどの計画に対しまして、やはり都市部等を中心に地価下落の影響等が予想以上に出まして、1,550億円の三角ということ。

その他も、軽油引取税、あるいは自動車税等の伸びが思ったほどなかったということで、1,000億円強の減になっております。

合わせまして、地財計画では13年度は、12年度に対して5,500億円ほど増の35兆5,810億円と見込んでいたわけでありますけれども、決算見込では35兆193億円ということで、5,617億円ほどの三角が立ったということでございます。

2枚目は、平成4年以降の計画額と実際の決算額の推移を記載させていただいております。

それから、先ほども申し上げた、13年度の税収のやや細かい税目別の状況を3枚目につけてございますので、御参考までにご覧いただけると思います。

それから、いま清水総務課長からありましたが、法律の関係では、「地方税法の一部を改正する法律」も連結関係で提出いたしております。基本的には、連結納税を採らずに、単体法人を納税単位とすることを地方税としては採るという内容の法案でございますけれども、国と同様に6月26日に本会議で可決いただきまして、7月3日に公布をしたというところでございます。

以上でございます。

石会長

ありがとうございました。

国税も地方税ももう一つパッとしないという結果でございますが、来年度以降、好転することを期待いたしましょう。

さて、御質問もあろうかと思いますが、まだ御報告するべきことがございますから、すべて御報告して、あと一括で御質問、御意見を賜りたいと思います。

「税についての対話集会」、この内容につきまして、私の方からかいつまんで、どういうことをやり、どこで何をするかということを含めて御報告いたしたいと思います。

「総31-3」という1枚紙で開催日程の図があろうかと思います。第6回目までは、3月、4月で帯広から鹿児島まで横断的に全国を回りまして、議論いたしてまいりましたが、今回は第7回目から第11回目ということで5回を予定しております。ここに書いてあるとおりでございまして、秋田、金沢、広島、長崎、那覇。今回は、8回目と10回目、金沢と長崎は土曜日の午後を考えております。と申しますのも、前回はすべて平日の午後やりまして、やはりサラリーマンの方は出にくいのではないかという御批判もあり、それならば土曜日ということを考えたのですが、といって、この5回全部を土曜日にやるのも、地元の方で助けていただく方々の勤務状態もございますので、とりあえず今回は5回中2回、午後やる。この結果、どのように参加者の構成が変わるかというのは、一つ関心というか、我々、興味のあるところでございます。

対話集会には、大臣、副大臣、大臣政務官、この5回におのおの分けて御出席いただけることになっております。特に秋田会場は、今日ここに御出席の尾辻財務副大臣と、総務大臣政務官の滝さんにお見えいただくという形で、対話集会の実態をよく御按察いただきたいと考えております。

そこで、あとどういうことをやるかでございますが、「31-4」にまずプログラムがございまして、「31-5」に、会場のアンケートが出ております。従来と同じなのですが、従来と今回の大きな違いは、予算の都合がございまして、例のトータライザーというリモコン式の集計機が使えなくなったという、いささかわびしい話があるのですが、これはしようがないですね。もう少し我々の実績をあげて、予算の方で面倒を見てもらいたいと思います。

さはさりながら今回の大きな目的は、国民の方々が、どのような形でこのあるべき姿、あるべき税というものについて評価していただけるかということなので、極力会場から御意見を賜りたいと思っております。そこで、会場アンケートPart1、Part2というのも用意いたしてまいりました。「31-5」に会場アンケートの具体的内容がございますが、Part1は3項目、ごく一般的な話を聞こうかなと。例えば、税金についてどのような要望があるかとか、税負担のあり方としてどういうやり方がいいかとか、どんな税で今後税の機能を高めていくかというような話を総括的に聞きたい。

おめくりいただきまして、Part2の方は、かなり議論を進め、私も30分ほど時間をもらって説明し、意見発表者の意見を聞き、かつ、会場から御意見が出たあとに考えておりますので、我々が提示しております「あるべき税制」の輪郭なり骨格がわかったあとでの質問であります。

そこで、個人所得税関係については、人的控除の見直しにつきまして、やや立ち入った質問になりますが、具体的な基礎控除、配偶者控除等々の議論もしたい。

それから法人課税につきましては、法人税負担が重いという議論もあるけれども、今後どういう形で見直したらいいかというような質問。

おめくりいただきまして、外形課税につきましては、ストレートに賛成か反対かという書き方で議論を聞いてみたいと思いますし、消費課税の場合には、中小事業者の特例、俗に言われます益税になりますか、そういうことについてどういう格好のことを考えたらいいか。

資産課税につきましては、相続・贈与の一体化というのを軸にいたしまして生前贈与の是非を問うてみたい、このように考えております。

3枚目に「総括」というのがございます。実はこれが私、個人的には一番関心事なのですが、問7で、「あるべき税制」の姿という形で基本方針を出したわけで、大幅な歳出削減を前提にして、皆で負担を分かち合おうというのが基本哲学であります。したがって、まだ先の話でございますが、少子・高齢化、あるいは、借金体質の日本の財政を建て直すために、ある程度増税はやむを得ない選択だと我々は打ち出したわけでございまして、これについてどういうお考えかということを、「賛成」「どちらかといえば賛成」「どちらかといえば反対」「反対」「その他」、こういう形のものを聞いて、総括としての出席者の評価を受けたいと考えております。

ここで、「[1]賛成」「[2]どちらかといえば賛成」が一体何割ぐらい来るかというところは、一つ、我々の出した方向に対しての率直な意見になってくると思います。ただ、まだ議論がそう浸透しておりませんので、当然のこと、私は個人的には、賛成の票の方がかなり少なかろうというふうには考えております。これは、ふたをあけてみなければわからないということでございます。

そこで、何といいましても今後の税制改革というのは、国民の方々の参加のもとで議論しなければいけないというのは基本姿勢でありますから、それを繰り返し説明したいと思いますし、税制というのは国民一人ひとりの責任においてよくも悪くもなるわけでありますから、この辺を踏まえて積極的な意見を聞いていきたいと考えております。

それから、スライドを用いまして、我々がやりました議論の一端を紹介したいと思いまして、「総31-6 スライド資料」というのもお手元に配ってあろうかと思います。これは例のパワーポイントというもので、OHPではなくて、自動的に画面に現れ、かつ、新しくさまざまな数字を説明の過程で加えられるというきわめて進んだものでございますが、一、二、御紹介いたします。

最初に、我々の基本的な方向としてやりたいことはどうかということを、1ページ目に4項目に分けて書いてございます。中長期的視点である。しかし、4に書いてございますように、短期的な対応は中長期的な視点からやりたいとか、ミスマッチを直したいとか、安定したシステムを構築したい等々の話を書いてございます。

そして2ページ目は、税制を取り巻く環境として、やはり一番大きな関心事でございます少子・高齢化の進展の状況、それから、財政赤字の累増の状況、これを、前回はグラフなりいろいろな形で書きましたが、今回はさらっとこのぐらいに触れたいと思います。

3ページ目は、「広く薄く」の過去から今後を見通して、どうしようかという一連の図でございます。結論的に言えば、「薄く」というのは、所得税、法人税、非常に進んできた、あとは課税ベースの拡大という形で処理するという方が主力になるだろうということです。

4ページ目は、課税最低限、一応所得課税の控除は20ぐらいありますが、このうちの主要なものを列挙いたしまして、上から7つまでとりますと、課税最低限384万なにがしの話が出て、これが、各国の状況との比較において高いと言われているものであります。

それから、何といいましても配偶者特別控除の見直しというのは一つ焦点になる。これは、前回の対話集会でもかなりフロアからも御議論があったところで、それぞれ見直すべきだという議論もかなりあったわけであります。今後、ここに書いたような我々がしょっちゅう使っている図でございますが、[1]の配偶者控除という本体の38万円のところと、上に乗っている[2]、それから、例の逆転現象をなくす[3]、この辺をどういう形で見直していくかということを議論しなければいけませんので、現状の説明をこれを使ってしたい。

次の6ページ目は、例の「基本方針」の本文に書いてございました、考え方1、2、3というのを図に改めたわけであります。これは、本文の考え方が図になるとこうなるよということです。配偶者控除、扶養控除、これを「家族控除」という仮称でくくるか。あるいは、基礎控除を若干拡充することを前提に配偶者控除をやめて、扶養控除という意味で児童、老齢者、いうなれば社会に出て働く機能がない方々は扶養控除で面倒を見る。考え方3では、配偶者控除をやめるけれども、老齢者を除いて児童の方は税額控除で担税力を調整したい、こういう考え方です。これは本文を図に書いたわけであります。

7ページ目は、よく出てくる法人課税の実効税率の各国比較であります。これの高い低いが、今、いろいろ問題になっておりますが、これは法定レベルでの実効税率を比較したということであります。

8ページ目、外形の図を描きました。改革案と言っておりますのは、総務省案という形で出たものでありまして、これが確定しているとは思いませんが、ただ方向としては、半分、所得・利潤にかかわる課税を残して、半分、外形でやろうというこの案で、よく言われます赤字法人というのは利潤がないのでありますから、外形にしたら、左のほうにもう課税ベースがない。ただ、付加価値額とか資本等の金額は残りますから、これによって新しく赤字法人でも課税が実施される。

ただ、特例がございまして、資本金1,000万円未満の法人には、年4万8,000円程度でいいという簡易課税の方式を導入するつもりでありますので、4万8,000円というものが赤字の零細企業にとって払える金額なのか、払えない金額なのか、過酷なのか、ほどほどでいいのか、この辺も対話集会の一つの議論になろうかというふうに考えております。

9ページ目、これは消費税の改革方向で、免税点、簡易課税、申告納付回数、価格表示のあり方等につきまして、こういう格好でやるよという形であります。

10ページ目は、生前贈与を考えるに当たっての現行の暦年課税方式と累積課税方式(これはアメリカ、フランスでございますが)、こういう図を用いまして、いままでは単年度で切れているわけでありますが、これを、オーバータイムで累積していく過程において、こういうX、Y、Zあたりがトータルで議論ができるということを説明していきたいと思います。

11ページ目、これは個別消費税の世界であります。あるいは納番の世界でありまして、これはさらっと書いたということです。

それから、いままでの図でおわかりいただけますように、小泉首相の指示の5項目、これが、実は来るべき2003年度の税制改革の柱になるわけでありまして、これについて早急に内容をまとめろというのが小泉首相からの指示でございますので、それをどういうふうにやるかということを議論する前にこの5つを書いておいたということであります。配偶者特別控除等についてはすでに図で描きましたし、外形でも前に聞きましたし、ここで直接触れていない研究開発減税とか投資減税、これは口頭で説明したいと思います。4番目、5番目の消費税、あるいは相続税の話、これは前でもちょっと触れて、折々、これの説明もしていきたいと思います。

以上、合計で12枚、パネルを使って説明をしたい。前回はたしか11枚でありましたから、1枚多いのでありますが、何とか30分以内で終えられると考えております。

あと、せっかく用意した図でありますが、時間の関係で落としたものが多々あります。その中から三つ、参考資料として、参考1、2、3と後ろに3枚つけてございます。人的控除というのがいまどれだけ広がっているかという図と、それから、家族に関して、扶養控除というのがあるけれども、上積みになっている部分がこれだけあるよという図です。配偶者特別控除、特定扶養控除、老人扶養控除、このあたりの割増の図を描いたのがここにあります。最後に、法人は法人税だけではなくて社会保障負担等々もあるので、国際比較したらどうなるかと、こういうもので説明をしていきたいと思います。

後ほどいろいろ御質問をいただきまして、この辺の感触もお聞きしたいと考えております。

そういうわけで、今回、前回と違って一番大きい点は、前回は白紙の状態で、我々がこれから議論するたたき台をつくるに当たっての意見を聞きたいという形で、いろいろな形を聞いてきました。今回は、ある程度方向を出して、それについて質問を受けるという格好になります。かつ、内容的には、10年、15年先とはいえ、国民の方々に痛みを要求するような格好にならざるを得ないという意味で、どういう反応が出てくるか、これを我々は今後どういうふうに生かしていくかということであります。

そういう意味で、出席者のフロアの人たちとの間の議論のやりとりがかなり熱くなる可能性もありますので、出席する予定の方は十分心して頑張ってもらわなければいけない面もあるかもしれない。あまり脅かしてはいけませんが。そういう意味で、生(なま)でぶつかって、生に声を聞いてくるというのがポイントでありますので、9月2日、沖縄が終わった段階で、その成果を皆さんに御披露して、それを受けて今後どうするかということを詰めていきたい、こういうふうな考え方で5回やっていきたいと思っております。

いずれにいたしましても、これからは小泉5項目の中身の検討を、この対話集会の成果を踏まえつつ、9月以降、もっと言えば8月下旬から9月にかけて、基礎小、総会等々開いて、この項目をまとめる過程で、秋の基本方針を受けた、もう少し細かい点について言及した来年度税制改革に向けての議論をしたい。できれば、10月末か11月でしょうか、それに向けてまとめたい、このように考えております。

今日は、3時までこの総会を予定しております。まだ15分以上ございますので、いま、長々と事務局並びに私の方から御説明いたしましたが、これにつきまして自由な角度から御意見を賜りたいと思います。決算状況の疑問でもよろしいですし、あるいは、「骨太の方針」の第2弾に対する御質問でも結構です。それから、私、個人的には、対話集会に臨む姿勢を御説明したわけでありますが、これについてのいろいろな御忠告なり御注文もあろうかと思いますので、残った時間、そういうことの質疑応答に充てたいと思います。どうぞ、島田さん。

島田委員

一つ基本的なことをお伺いしたいのですが、「内閣総理大臣発言」、これの意味ですけれども、二つ要望があると思います。「本日、私から、経済財政諮問会議において、税制改革に当たっての基本的な考え方を示したので、これを念頭において基本方針のとりまとめに当たってほしい」というのが一つございますね。もう一つは、「特に、来年度においては」といって、いま会長がおっしゃった5項目があるわけです。この5項目は、来年度税制改正の課題ということで理解しやすいのですけれども、「基本方針のとりまとめに当たってほしい」というのは、これはどこへ掛かるのですか。つまり、来年度税制改正について我々は具体的な答申を出しますよね、今年。

清水総務課長

総理が、税制調査会に対する指示事項ということでやられたのは6月7日でございまして、御案内のように、当調査会で6月14日に「基本方針」をお取りまとめいただいております。したがいまして、その段階で、税調で取りまとめるべき「基本方針」を6月7日の段階で取りまとめに当たってほしいし、さらに来年度税制改正については、別紙のような事項の具体化を含め検討いただきたいと。時系列を含めてそんな順序関係になっているのかと存じます。

島田委員

わかりました。ということは、第2パラグラフの基本方針というのは、6月14日に私どもが取りまとめた「基本方針」、こういうことですね。

以前に会長からも御発言があったかと思うのですが、我々の税調は、年度改正はきちん、きちんとやっていくのはあるわけですけれども、6月14日に「基本方針」をまとめたというのは、中期的な視野も展望に入れながらやっている。それこそ本格税制改正という意気込みですから、シャウプ税制以来ということでもありますので、私の理解では、今年、来年度税制改正はきちっとやるけれども、中期的な展望をさらに深く具体的に踏み込んだものをどこかでつくるかなと、どうもそんな印象で伺っていたのですが、それとの関係もあるのかどうか。

石会長

これからやるべきことのスケジュールは、11月になると思いますが、そこで1回、基本方針第2弾的なものを出す責任がありますね。

島田委員

それはおっしゃいましたよね。

石会長

それと、来年9月に我々税調の任期3年が終わって、その段階で卒業論文みたいな「中期答申」というのを出さなければいけない。だから、その二つを視野に入れてこれから作業をしようということですね。6月の「基本方針」は、島田さんがおっしゃったように、かなり我々としては中長期的な目配りをして書き込んだと思います。ただ、詳細設計がない部分がかなりございますけれども。そこで私は個人的には、それを出すと、秋ぐらいに、まさに来年度税制改革についての政治的な判断から小泉5項目みたいなものが来るのかと思っていたら、それが6月に来てしまったわけです、ドカッと。

そういう意味で、若干時間的に早く来たかなという感じは持っていますが、いずれにいたしましても、小泉5項目プラスアルファ、つまり、あの5項目だけではたぶんいろいろな意味で十分でないという判断も出てこようと思いますから、その5項目プラスアルファに関して、この8月以降、限られた時間でありますが、検討して、それで11月に出して、それが、ある意味では2003年度税制改革の我々の一つのまとめになると思います。したがって、毎年やっている12月の年末にかけての年度改正は、私は、早めて出すという意味においてやらなくていいと思っています。それで年が明けてからは、来年の9月に出すべき中期答申に向けて、もっと本格的に、取り残してある例えば二元的所得税の話とか、納番の話とか、あるいは、もっと踏み込んだ意味で法人税のいろいろなパートナーシップを含めての話とか、それをやりたいと思っています。

島田委員

私、ちょっと理解しにくかったのかもしれませんが、そうすると、この秋に、来年度税制改正はこの5項目を踏まえてきちっとやらなければいけないことは明確な課題ですね。前々から会長のお話で、本格的な中期的な展望を持ったものをやると。それは、卒業論文的には来年の9月でしょうけれども、ことしの秋くらいに第2弾というようなものをやるのかなという印象を私は持っていたのですが、それはそれでよろしいですか。

石会長

この6月に書いたやつでかなりそれには答えていると思っているんです、僕は。踏み込んで書いたから、そこから出てきた年度改正に対する特別な項目……先行して我々は構造改革に資する税制改革をやろうという方に踏み込むということで、11月に出るべきものは5項目プラスアルファのところに焦点が絞られると思う。そういう理解でいいと思います。

それから、もっと長めで見て、この6月に出した「基本方針」にもっともっといろいろな形で肉をつけ、骨組みをしっかりさせるというのは、来年度9月の我々の最終的な中期答申で十分世の批判に応えられるべきものをつくればいい、このように考えています。

島田委員

そこはよくわかりました。そうすると、11月に出すやつというのは、もちろん5項目には応えるけれども、プラスアルファのものを含んでいると、そういう理解……。

石会長

ただ、そのプラスアルファの意味は、基本方針の第2弾にしかと応えるほどのものではないだろうと理解しています。つまり6月に出したもの、これの中から5項目が出てきて、6項目めか7項目めがあるのかもしれないけど、それはわからない。したがって第2弾というと、イメージは、6月が粗あらのもので、11月がもっともっと詳細なものというイメージですけど、6月の段階でかなり踏み込んで書いたんですよ。だから、これをもう一段高めていくとなると、具体的な税率の問題とか、控除額の削減の問題等々の議論まで書き込むのが、おそらくイメージとしてそういうことでしょう、第2弾は。

島田委員

私のイメージは、細かくなるというよりは、おそらく先生が中期として考えておられるところで、配偶者控除の問題を一つとっても、どれをとっても、やや哲学的にぐっと深めなければならないような議論というのがあると思うんですね。それなのかなと、ちょっと期待していたのですがね。

石会長

いや、それは僕は時間的に無理だと思います、11月は。だって、5項目の方でこれからとっかかりになりますから、それは来年度の9月に……。

島田委員

もっていくというお考え。

石会長

そういうことです。

島田委員

わかりました。

石会長

いまの島田・石論争で概略はわかってきたと思いますが、ほかに何かございませんか。

島田委員

論争ではないですよ。

石会長

意見の交換で。

特に対話集会等々で、何か御注文なり御忠告があれば。どうぞ、菊池さん。

菊池特別委員

ちょっと細かいんですけど、第1部の質問の問2は「[1]も[2]も」というのがあると思うのですが。

石会長

アンケートの話ですか。

菊池特別委員

アンケートの話です。

石会長

第1部で問2。

菊池特別委員

問2。この[1]と[2]と[3]、どれか選べと。「[1]も[2]も」というのが一番欲しい答えのような気もしますので、どちらか選べというのにしては、もうちょっと書き方を工夫したほうがいいのではないかなと。

石会長

そうですか。要するに、富裕層も含めて全員が払えという意味ですね。

菊池特別委員

はい。

石会長

これはどちらかというと、[1]が、ごく少数のある富裕層をねらい打ち的に負担させて、多くの人が負担を分かち合わなくていいようなムードになりがちなものに対する問いで、[2]は、まさに富裕層も入れてみんなで分かち合いましょうということですよ。

菊池特別委員

いやいや、僕はわかるんですけど、返事する方として、これをポッと見せられるとちょっと……。

石会長

なるほど。そこは、司会者であります竹内さんなり大宅さんにしかと説明してもらいましょう。実は、これはもうパワーポイントが入ってしまっているから、制約があるんです、いまから直せと言われても。

諸井さん、どうぞ。

諸井委員

私はこれ、大体結構だと思うのですけれども、一つちょっと心配があって、これからアメリカの経済、日本の経済、かなりやばい状況になる可能性が3割ぐらいあるのかなと。この対話集会というのはそういう中で行われるケースもあり得るので、そういう場合にどういう対応をするかというのは、ちょっと何か考えておいたほうがいいような気がします。それだけです。

石会長

はい。それは、小泉5項目との兼ね合いもあるのですが、短期的な対応ですよね。デフレ対策をどうするか。

諸井委員

しかも、臨時的な対応。

石会長

これについて、さっき申し上げたアルファというのは、そういう部分が少し絡んでくるかなという意味で申し上げたので……。ただ、あまりそっちに行くと、我々の本来のほうの時間が割かれると困るから、極力そこはうまく回避したいとは思いますけどね。ありがとうございます。

諸井委員

同感です。

石会長

どうぞ、神津さん。

神津委員

対話集会ですが、ちょっと幾つか意見を見させていただいたことがあるのですけれども、その中でよく出てくるのが、歳出の削減と抱き合わせだったら増税もというような意見て結構多いですよね。それで、このアンケートの中の総括でも、「大幅な歳出削減を前提に」というふうに書いてありますし、それから骨太第2弾のほうも「歳出の構造改革」というようなことで、歳出の削減ということはよく触れられているんですけど、大体こういう資料に出てくると、増税のことに関しては細かい数字まであるんですけど、歳出の削減というといつもボワンとしている。そっちと抱き合わせならとせっかく思っているのに、そっち側のものの形がはっきり見えないというのは、来ている人間は、私のような一般人の身としては、何となく話を進めにくいなという感じがするのですが。

石会長

そういう層が圧倒的に多いんですよ、対話集会は。

神津委員

でしょう。

石会長

したがって、歳出カット、歳出カットという声があって、これがちゃんと実現しないと税負担増は応じられないという声が圧倒的に多い。それに対しては誠実に答えなければいけないと思いますが、ただ、我々は歳出カットの具体的なプログラムを税調としてつくれないんですよね。だから、口頭でこれこれこれをやるようなのを、内閣なりちゃんとしたところであるターゲットを決めてもらって、そこまでやらなければ増税等々に向かわないとか、そういうことを言ってやるとか、言おうとかいう程度で、例えば社会保障何%、公共事業何%等々というのは難しいんですよね。

神津委員

ただ、そういう意見は吸い上げられないのですか。例えば、どのぐらいの歳出削減というのを望んでいるかというような。

石会長

ええ、聞きたいと思います。それから、歳出削減ということを言う方は、政府の内部にすごいむだ遣いがあって、何兆円もあって、それを削れば、自分たちが痛みを感ずる社会保障とか等々で来ないと思っている人がいるわけです。そこはちゃんと説明しないとまずいんですけどね。だから、その辺はある種の効果を持つと思いますが。その点、十分注意して議論していきたいと思います。

どうぞ。

島田委員

ちょっといまとの関連、諸井さんとの関連もあるんですけど、私、この前、北海道でタウンミーティングに出ていて、構造改革の説明をある程度していたときに、そんなものだめだと。まあ、それほどは言いませんけれども、そういう論調で、景気対策だけが必要なんだというような感じの議論が出るわけですね。そのときに、一つは、皆さんが全体像を見てないんですよね。ですから、私はあえて税収は歳出の半分強しかないという状況とか、じゃ国債を発行すればいいのか、と。国債をこの状況で発行すると、何が起きるかということですよね。そういうこととか、わりとわかりやすく説明したら、一部で拍手が起きたんですね。

つまり、いまの話もそうですけど、歳出削減というけど、わかりやすくトントンと説明してしまう、あまり時間をとらずに。そういう用意はしておいたほうがいいのではないか。それから、経済活性化戦略、デフレ戦略というのはそれなりに考えているわけですよ。きょうも御説明がありましたけど。あれの要点ぐらいをパッパッと示して、そういうトータルパッケージの中で税を考えているんだよということは、これは用意されたほうがいいのではないか。これは、会長、ひとつ明快におっしゃったほうがいいのかなと思います。

石会長

はい。私の責任において、よく頭に整理して、島田さんの顔も思い浮かべつつ、拍手が起こるようにやります。どうぞ、村上さん。

村上特別委員

いまの諸井さんと島田先生の発言の趣旨とほぼ同じなんですが、結局、税というと、いま、一般の人はデフレ対策のことだと。ところが、政府税調は逆のことを言っているのではないかとなりますから、そこはきちっと、短期対策としては政府税調はどういうことを考えているというのをあらかじめ整理しておいたほうが、私もどこかに出るのですけど、勝手なことを言ってしまっても迷惑がかかると思いますから、お願いしたいと思います。

島田委員

会長、これはパワーポイントを予備で用意できません?

石会長

できません。

島田委員

本当に?

石会長

もう決まっているんです。

島田委員

予備でですよ。ちょっとお考えになってみてください。会長、答えにくいですよ。

石会長

いまのことでしょう?

島田委員

ええ。会長、答えにくいと思う、それ。

石会長

わかりました。ちょっとそれ、考えてみます。

ぼつぼつ時間ですが、さらに何かという方、いらっしゃいませんか。

清水総務課長

すみません、資料を一点だけ。税調の番号をとっている資料ではございませんが、与党3党の間での合意ということで、6月17日に3党首の間で、「当面の経済活性化策等の推進について」というのをお配りしてございます中では、税制改革についても触れております。政府税調に指示した事項も含めて、「あるべき税制の姿を早期に明らかにする。」といったようなことも触れられてございますので、参考までお配りしてございます。

石会長

ありがとうございました。

それでは、9月上旬、おそらく総会は開催されると思いますので、追って御連絡を差し上げたいと思います。

このあと、対話集会に参加される委員の方で、お時間がありましたら、打合せを行いたいので、ぜひこの場にお残りいただきたいと思います。

では、今日はどうもありがとうございました。

〔閉会〕

(注)

本議事録は、毎回の総会後、速やかな公表に努め、限られた時間内にとりまとめるため速記録から、財務省主税局及び総務省自 治税務局の文責において作成した資料です。

内容には正確を期していますが、税制調査会議事規則に基づき、事後の修正の可能性があることをご承知置きください。