第23回総会 議事録

平成14年1月17日開催

石会長

それでは、時刻になりましたので、税制調査会の第23回総会を開催させていただきます。まだお1人、2人お見えになっておりませんが、財務省の会議室でやるより、この官邸でやると、圧倒的に集まる時間がパンクチュアルで、なかなかいいかなと思っています。

今日は、すでに塩川大臣、片山大臣がお見えでございますが、後ほど内閣総理大臣・小泉さんと福田内閣官房長官がお見えになります。大体45分ごろとお聞きしておりますが、それまでにいろいろ事務的なことは終わらせておきたいと考えております。

今日この総会に総理大臣がお見えになる経緯をちょっと御説明しておきますが、昨年の暮れ14日に、来年度の税制改革をまとめましたので、届けに行きましたときに、来年早々にも、予断なく予見なく税のあるべき姿を議論してくれと。これは小泉構造改革の一環だと思いますが、そういう形で我々に御依頼がございました。そこで、それなら第1回目の年初早々のときに御出席いただいて、直接問題提起をお願いしたいということで、御快諾をいただいて、今日、小泉首相自らお見えいただくということになったわけであります。

そういう意味で、今年のこの1月から早々でありますが、抜本税制改革に向けて第一歩を踏み出すという日が今日でございますので、後ほど首相からいろいろ御説明をいただいたあとに、しばらく時間を取れると思いますので、積極的に皆さんからも、御意見なり御質問なりを首相自らにお寄せいただけたらと考えております。

その前に、ちょっと事務局の異動もございましたので、総務省関係でございますが、税務局長・瀧野さん自らお代わりになりましたので、最初に自己紹介をされて、あと事務局のほうの交代の御紹介をいただけますか。

瀧野自治税務局長

ただいま御紹介いただきました総務省の自治税務局長を拝命いたしました瀧野でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

私どもの事務局で異動がございましたので、御紹介させていただきます。

私の前任者の石井前税務局長がこのたび消防庁の長官のほうに異動したところでございます。

それから、税務担当の官房審議官・田村は、自治大学校長に転出いたしまして、その後任に前の企画課長の小室が就任いたしております。

それから、小室の後任の企画課長でございますけれども、前都道府県税課長の岡崎が就任してございます。

それから、岡崎の後任でございますが、前内閣府大臣官房タウンミーティング担当参事官の木内が都道府県税課長に就任してございます。

以上でございますので、前任者に引き続きよろしくお願いいたします。

石会長

ありがとうございました。

それでは、まだちょっと時間もございますので、本日閣議決定されました「平成14年度税制改革の要綱」、それは財務省関係でございますが、それから総務省関係の「平成14年度地方税制改正(案)要旨」につきまして、大武、瀧野両局長から御説明いただこうかと思います。時間が結構ありますから、使ってください。

大武主税局長

それでは、袋の中に入っておりますが、上のほうに「平成14年度税制改正の要綱」という冊子と、一番下に、先般12月におまとめいただきました14年度の税制改正に関する政府税制調査会の答申とが入っております。政府税制調査会のこの答申に基づいて、簡単に御説明をさせていただきたいと存じます。

12月におまとめいただいた答申に沿いまして、今回の税制改正は基本的につくらせていただいてあります。税制改正の答申の4ページをお開きいただきたいと存じます。

上から「平成14年度税制改正」「基本的考え方」とございますが、その2行目に「『国債発行額30兆円以下』との目標の下、基本的に税制改正全体として減収とならないような方針で臨む必要がある」という御示唆に対しまして、一応今回の改正は、トータルで初年度170億円の減税にとどめてあるということでございます。

それから、次に4ページの下でございますが、連結納税制度に関しましては、下から5行目のところにありますように、「21世紀のわが国経済のインフラとなる連結納税制度を構築することが適当である」。そして、5ページ目の上から2行目に、「平成14年度当初からの適用が可能となるよう準備を進めていくべきである」。これにつきましては、一応、準備作業の関係で法案自体の提出は連休明けぐらいになりますけども、要綱としてはすでに国会のほうに出させていただいて、このいわば税制改正要綱の中にかなり細かめにつけさせていただいているところでございます。

それから、同じ5ページ目の下から6行目のところに、この連結納税制度の導入に伴って発生する税収減への対応としては、「まずは租税特別措置の見直しや課税ベースの拡大といった法人税制全般についての見直し、連結納税制度の適用開始前に生じた欠損金額の繰越控除の否認などを講じられるべきであり、その上で連結付加税の導入を図るべきである」という御示唆に沿って措置をさせていただいて、レベニュー・ニュートラルということにさせていただいたわけでございます。

それから、ちょっと飛びますが、7ページをお開きいただきたいと存じます。下から7行目のところに交際費課税がございます。この点につきましてだけ若干御意見とは違っておるのですが、「交際費課税については」というところで、「交際費は企業の経済活動において必要な側面を有しているといった意見」というようなことを受けた形になるわけですが、答申では、「少なくとも現行の制度を維持すべきである」とあったわけですが、当方としましては、中小企業への配慮から、資本金5,000万円以下の企業に対しては、一律これを400万円まで80%損金算入にするということで、若干拡大をさせていただいているという点がございます。

それから、8ページ目から9ページにかけてでございますが、「租税特別措置等の整理・合理化」ということで、8ページの一番下でございますが、「ゼロベースからの見直しを含め、従来にない大幅な整理・合理化を行わなければならない」という御示唆に沿いまして、昭和55年度以来の10項目の租税特別措置の廃止を行いまして、それから、整理・合理化割合としては、全租特の43.6%を合理化させていただくという形で処理をさせていただいたところでございます。

それから、10ページに入るのでございますが、9から10に関しまして、「株式譲渡益課税について、源泉分離課税の廃止と申告分離課税への一本化、更に、税率の引下げ及び損失繰越制度創設の検討を提言した」。このあたりはもう秋の臨時国会で処理させていただいておりますが、さらに10ページの真ん中あたりに、この申告納税制度のもとで、「申告が簡便にできるよう、関係業界も含めた取組みが期待される」というところがございますが、ここに関しましても、特定口座内の上場株式等の譲渡に係る所得計算及び申告不要の特例制度というのを創設いたしまして、その御意見に沿う形で処理をさせていただいてございます。

それから、貯蓄優遇税制につきましては、いわゆる老人マル優等の見直しというものにつきまして、10ページの下から3行目にありますように、「本制度は基本的に廃止に向け検討を進めるべきである」ということで、その御趣旨に沿いまして、いわゆる老人マル優というのを廃止いたしまして、障害者等に限定する形で少額貯蓄非課税制度を改めるという改正を織り込ませていただいているわけでございます。

それから、ちょっと飛ばさせていただきまして、最後になりますが、15ページに酒税がございます。酒税につきましては、酒税の6の欄の終わりの5行ほどですが、発泡酒の課税のあり方についてということで、「税制の中立性・公平性の確保のため、ビールとの負担の均衡を図っていく必要がある」と御指摘をいただいたのですが、これについては、いまの景気状況等もあって、発泡酒の増税ということになってしまうものですから、14年度は見送る。そのかわり15年度に酒税全体の見直しということを課題として明記し、取り上げるということにしたところでございます。

以上、御説明しましたとおり、基本的には政府税調答申に沿いました改正に徹しているということでございます。

石会長

ありがとうございました。

では、地方税関係、瀧野さんから御説明いただけますか。

瀧野自治税務局長

それでは、地方税関係について御説明をいたします。

まず、御答申の6ページをお開きいただきたいと思います。外形標準課税関係でございます。これにつきましては、御答申で7ページの「(4)その他」の上のところで、「早期に導入すべきである」という御答申をいただいておったわけでございます。この点につきまして、与党の税制改正大綱におきましても、「今後、各方面の意見を聞きながら検討を深め、具体案を得た上で、景気の状況等も勘案しつつ、平成15年度税制改正を目途にその導入を図る」というような形で取りまとめられておるということでございまして、我々も15年度税制改正に向けまして、その成立に向けましてさらに努力していきたいと考えております。

それから、13ページに飛んでいただきたいと思います。13ページの下のほうに固定資産税関係が掲げてございます。これの14ページの上のほうに「情報開示を一層進めるべきである」という御答申をいただいておるわけでございます。これにつきましても、この御答申を踏まえまして、縦覧対象範囲の拡充というようなことの措置を講ずるということとしておるわけでございます。

それから、最後でございますけれども、個人住民税におきまして、株式等譲渡益課税に係ります申告不要の特例を、国税と同様地方税においても設けるという方向にしておるところでございます。

以上、簡単でございますが、御説明とさせていただきます。

石会長

ありがとうございました。別に質問の時間は設けません。

それから、もうすぐ首相がお見えになると思いますので、ここでまたいろいろな議論をしてしまいますと、うまく区切りがつきませんので、もうしばらくお待ちください。

(小泉内閣総理大臣 御着席)

石会長

ただいま小泉首相がお見えになりました。

どうもお忙しいところありがとうございました。では、さっそくでございますが、最初に御挨拶をいただけますでしょうか。よろしくお願いします。

小泉内閣総理大臣

どうも新年おめでとうございます。

税制調査会としては異例の姿となると思いますが、新年早々、15年度予算に向けて本格的な税制改革に取り組んでいただきたいと思っております。いままで税制改革といいますと、年末1か月、2か月そこらで結論を出さなければならない。しかし、21世紀、新しい時代に対応するようなあるべき税制改革とはどういうものかと本格的な議論をするためには、2、3か月の議論では足りないと思います。そういう意味から、あえて国会が始まる前、予算審議中でも本格的な税制改革に取り組んでいただきたいという気持ちで、新年早々からこうしてお願いした次第でございます。

所得税、法人税、消費税、地方税、それぞれ徴税機構側、納税者側、そして経済活性化にどういう税制が望ましいのか、あるべき施策をするためにはどういう国民の負担が必要なのか、それぞれ多方面、広い角度から議論が必要だと思います。各界各層からの有識者の皆さま方がこうして積極的に、また意欲的に取り組んでいただくことに対しまして、厚く敬意と感謝を申し上げたいと思います。皆さま方の議論、そして結論というものを15年度予算に生かしていきたいと思いますので、格段の御指導、御鞭撻をお願いを申し上げたいと思います。本当に御苦労さまでございます。

石会長

どうもありがとうございました。

大変力強い決意表明を受け、我々も大いにやる気が出てきたのではないかと思っております。

税調の皆さんからも首相に少し意見を言いたい方もいらっしゃるでしょうし、あるいは質問をされたい方もいますでしょうから、若干時間をいただきまして、質疑応答の時間を設けていただきました。それでは、多数の方が御意見を言いたいと思いますので、どうか手短に、1人1つの論点でとりあえず首相に聞くというようなルールを決めましょう。そうしませんと、なかなか皆さんの要望にこたえられませんので。どうぞ、さっそく御質問のある方、お手をお挙げください。どうぞ、松尾さん。

松尾委員

松尾でございます。

総理は日ごろ、構造改革についての決然たる意志を表明されていらっしゃって、私も意を強くしているところでございます。

そこで、今日は1つ質問させていただきたいのですが、政府税調と経済財政諮問会議との関係でございます。諮問会議のほうでは、マクロ経済との整合性の観点から、税制改革も取り上げるという話でございまして、私自身は、税制について全国民的な議論が必要ですから、これは取り上げていただいて大いに結構だと思うのです。それ自体は結構であると思います。政府税調としましても、経済財政諮問会議から助けていただく点も多々あるかと思います。ただ、自ずから役割分担があるのではないかと思います。この点について、総理はどう考えられていらっしゃいますか。伺いたいと思います。

石会長

お願いします。

小泉内閣総理大臣

経済財政諮問会議と政府の税調と、メンバーも違いますし、また、財政という面から考えましても、より現実的な、また予算編成等ということも、政治家が経済財政諮問会議には入っておりますから、国民の目を常に意識した議論になってくると思います。また、政府税調のほうは、むしろ経済財政諮問会議よりもかなり個別の専門的な議論になっていくのではないかと私は想像しております。

どういう役割分担があるかはわかりませんが、それぞれの機関があるわけでありますから、お互いの領域を侵犯したということなく、重複しても結構、重複しなくても結構、縄張り争いはやめようと。経済財政諮問会議としては、それぞれの民間の委員、政治家の議論として哲学や理念やあるべき税制を議論すると思います。また、政府税調もそういう議論があると思います。重なってもいいと思います。それは議論がある段階で到達すれば、自ずから私は整理できていくのではないかと。とかくいまから役割分担しようと思いません。また、お互い俺の領域だからけしからんとかいう議論は、当税調もしないでもらいたいと。自由に議論していくうちに、あるべき姿、また来年度予算に絡んだ議論が集約されるのではないかと思っています。まずは、かくあるべしというのは税制改革本体の姿でありまして、この会議はこうやれ、この役割はどうだという点について、私がとやかくいまの時点で言うつもりはございません。

石会長

ありがとうございました。

それでは、村上さん、どうぞ。

村上特別委員

私もいまの質問の役割分担についてお聞きしたいと思っていたのですが、いまお答えいただきましたので。やはり希望としては、政府税調というのは、非常に各層から委員が出ていますので、同じ納税する立場でもいろいろな意見がございます。それは公平・簡素・中立という立場で議論をしやすいだろうと思いますので、政府税調の意見をかなり重視していただければということでございますが、その際に、1つ多分議論が分かれると思いますのは、総理のおっしゃっている構造改革、日本再生と言ってもいいかと思いますが、それと景気との関係、そこのところのスタンスのとり方によって議論が違ってくるのだろうと思いますので、その辺はかなり政治的な判断も必要ですから、経済財政諮問会議などでスタンスを決めていただくほうがやりやすいのかなという気がいたします。

石会長

今野さん、どうぞ。

今野委員

私は32年前に全く日本にないニュービジネスをつくり出したニュービジネスベンチャーの1人でございますが、この国でベンチャーとして生まれて、たくさんの規制に囲まれ、そしていろいろな税制と向かいながら、おかげで大変鍛えられまして、何とか21世紀まで生き延びるエネルギーを身につけてこられたと思うのですけれども。でもここに来て21世紀の日本の経済発展を考えますときに、どうしてもベンチャーがこれから頑張って、新しい基幹産業として成長していかなければならないと思いますし、また、総理が随分力を入れてくださっている雇用の問題にいたしましても、これまでどおり大企業に雇用を期待するのは非常に難しいのではないかと思っております。

ベンチャーは大変小さなサイズでございますけれども、これは伸ばしようによっては本当に大きな力になっていく可能性を秘めていると思います。いま非常に暗い話が多い中で、私たちベンチャーの立場からすると、いまほどいろいろな可能性に満ち満ちているよい時代はこれまでかつてなかったと思って、大変心ときめきながら新しいビジネスモデルを立ち上げようと頑張っております。

そういう意味で、いま周りを見回しますと、人々に本当に真の豊かさをつくり出す、また、安心・安全な社会をつくり出す、そういう意味で眺めますと、ニュービジネスの芽はいっぱいあります。その辺は島田先生のお得意の分野でいらっしゃいますけれども、そういう意味で、これからもベンチャーが出やすい環境、税制にしても、規制にしても、どうしたらそういうものをもっと支援することができるかという立場から税制も考えていっていただきたいと思っておりますが、そのあたりに関する何か御意見がいただければ、大変うれしく思います。

石会長

何かございますれば。

小泉内閣総理大臣

危機はチャンスだと私は思っています。非常に可能性のある時代ですから、暗い話ばっかりが目立ちますけれども、そうではないと。東南アジア諸国をめぐってみまして、それぞれ各国難しい問題を抱えています。日本だけじゃない。やはり危機はチャンスだという意識を持つことが大事ではないかと、そう思います。

石会長

僕もそう思いますね。

では、島田さんどうぞ。

島田委員

先ほど総理が抜本的な改革ということを強い決意を示されたので、本当に強い印象を私ども受けているわけですが、税制の根本的な考え方、公平・中立・簡素という原則がありますけど、私は日本の経済社会が非常に大きな歴史的な転換点をいま迎えようとしている、あるいは過ぎようとしている。つまり人口がずっと増えてきたのがこれから減っていくという、したがって、高度成長の時代は完全に終わって、低成長が続かざるを得ない状況の中で、もう一つの原則、活力というのがあってもいいのではないかと思うのです。そういう観点から、誰もが税を負担する、そして努力が報いられる社会というのをつくる観点から、個人所得税、法人課税、消費税、資産課税、資本市場諸税というものについて、根本的な議論をすることが期待されているかなと。私どももやりたいなと思っているのですけれども、そういうことに対して、総理がもしお考えがあれば、あるいはいまでなくても結構ですが、お聞きしたいと思います。

小泉内閣総理大臣

いまの一言は一番いいと思いますね。「誰もが負担する」「努力が報われる」、こういう税制改革、ぜひともしてほしいと思います。

石会長

では、貝原さん。

貝原委員

本題からずれますが、今日は阪神・淡路大震災からちょうど7年目を迎えたことになります。当時兵庫で知事をしておりました者といたしまして、総理はじめ御出席の皆さま方に大変な御支援をいただきましたことに、御礼を申し上げる次第であります。

さて、税制の問題でありますが、私は地方税について意見を申し上げたいと思います。いま島田先生から税の基本原則について、公平・中立・簡素という御指摘がございましたが、そういう観点から見まして、我が国の地方税制は先進国の中ではかなり特異なものになっている。財政構造と言ったほうがいいのかもしれませんが、要するに、納税者が納めた税金が国に入って、そこから地方へ行く部分が非常に多いということに関連いたしまして、極めて国民の目から見てわかりにくい税制になってしまっている。そのために自治体関係者に、あるいは中央政府におきましても、責任の所在もかなりあいまいになってしまっているという部分がありまして、私は、できるだけ税が使われる行政体に国民が税を納めるという簡素なわかりやすい税制にすべきなのではないかと、このように思っておりまして、そういった意味では、地方分権が進んでおりますが、それとあわせてこのような税源の配分について、首相が進められております行政改革につながるような税体系のあり方を今後ぜひとっていくべきだと思っておりますので、よろしく御理解をいただければと思います。

石会長

何かございますればお答えいただきますけど、よろしゅうございますか。

小泉内閣総理大臣

税制改革が構造改革の大黒柱ですから、よろしくお願いします。

石会長

はい、わかりました。どうぞ、猪瀬さん。

猪瀬委員

先ほど政府税調と経済財政諮問会議の関係がどうかということがあって、総理のお答えでは、重複して結構じゃないかと、僕はそう思うんです。それも入れますと、特殊法人改革も税制の面からきちんと見ていく必要があると思っておりまして、だから税調の委員として特殊法人改革も行革断行評議会としてもいろいろ重ねて考えていくところが必要だということで、例えば特殊法人がこれだけバックして、公共事業における投資効率が悪いということで、国民のタックスペイヤー意識が低いからだということがありますから、当然、これは課税最低限の引下げというか、均しく、痛税感というか、税金を払っているという痛みを感じるという、そういうことでは課税最低限の引下げが必要だろうということがあります。

それから、これはあとでお答え願えればと思いますけれども、道路特定財源の中で重量税なんかは一般財源化していくということは、もう具体的に始まりましたけれども、これをどの程度、今年度の中で来年度の予算までにどのくらいやるかという、道路公団に3,000億円投入をやめたということで、民営化の方向がはっきり出てきているわけですけども、そういうスピード感をぜひ税制改革のため見せていただきたいということであります。

それから、痛税感ということを先ほど申し上げましたけれども、一方で、税金というのは遊んでいるうちに取られると一番簡単でいいわけですけれども、カジノゲーミング法というものを考えて、これで一方でたくさん税金を払っていただくというふうなことも考えていただきたいなと。これは、税収増になるということだけではなくて、雇用対策としても30万人ぐらい雇用できるということがありますから、双方の面から考えると、もちろん個人消費を活性化するということにもなる。

さらに、本当は一番言いたいのは、特殊法人の、この間12月に整理合理化計画が出ましたけれども、これで公営ギャンブルという欄は一応空欄になっていましたよね。自転車振興会とか船舶振興会とかこういうところは、「当面特殊法人とするが、集中改革期間内の組織の見直しを検討し、結論を得る」ということで、ちょっと空欄になっているわけですけれども、論点は1つというのは、特殊法人という意味で1つなんですけれども。それで、ここのところでカジノゲーミング法によって、いわゆる公営ギャンブルも全部解体しながら統一していくということはできるのではないかというふうに、前向きに考えていくということが必要である。

さらにもう少し言うなれば……

石会長

もうちょっと、時間がありませんから、もう趣旨はわかりましたから。

猪瀬委員

はい。それで、こういう公営ギャンブルみたいなものは、みんなお金がへそくり予算で社団・財団法人へ配られていくわけですから、この社団・財団法人に対する、公益法人に対する税の軽減税率をやめるとか、あるいは監視を強化してきちっと取っていくというのをやってもらいたいと思っています。

最初に言った一般財源化というのはいかがですか、道路特定財源。時間的な問題ですか。

小泉内閣総理大臣

それは私は条件はつけません。特定財源も十分議論していただきたいと、そう思っています。

石会長

それでは、あと5、6分しか総理の時間はありませんので、4人ほどいまお手が挙がっていますから、順次簡単にご発言いただいて、まとめて何か首相の反応をお聞きするという格好にしましょう。どうぞ、水野さん。

水野(勝)委員

今年の租税負担率、国民所得に対して22.6%、これはちょうどシャウプ勧告の行われた昭和25年度も22%で、ほとんど変わっていない。これはこの間の高度成長やら政府、国の施策が飛躍的に充実されているのに、負担は同じということは、ある意味では非常にすばらしいことではないかなと思います。

また、ミクロ的に見ましても、いまのサラリーマン、平均収入460万円ぐらい。この人の所得税が、もし4人所帯とすると4万2,000円。0.9%で1%未満でございます。一昨年から介護保険が始まりましたけど、介護保険料、所得250万円から5万3,000円になります。それよりも2、3割低い。これは非常に結構なことで、マクロ的にもミクロ的にも日本は税の楽園ではないかという気もするわけでございますが、一方、国の台所を見ますと、平成14年度、税金46兆円で81兆円の歳出、46万円の月給で81万円の生活をしているようなものでございます。これはどうも負担や痛みというものを伴わないで、結果を受益できる、エンジョイできる風潮というか、傾向というか、現象、こういったものがしばらくの間続いてきている、定着してきている、このせいではないか。これは国と国民の皆さんとの間、国と地方との間、同じではないかと思うわけでございます。

石会長

水野さん、質問があればまとめてくれませんか。

水野(勝)委員

こういうことを国民は本当に歓迎していると思いますけれども、しかし、冷静に考えれば、こういう財政運営、これは続くはずがない。不安や不信がいっぱいある。そうすれば、やはり個人で自分で生活を防衛する。それが結局は経済の沈滞を招いているという気もします。

それから、先ほど総理のお話、税制を通じての経済の活性化というお話もございましたけれども、いまのような負担水準の状況やら財政運営に対する必ずしも十分な信頼が寄せられていないということからすると、いろいろな施策を講じても、なかなか活性化に結びつくことは難しいという面がある。そういった面を考えると、地についた、負担と受益の密着した税制というものを考える必要があるのではないかということでございます。別に、意見を申し述べただけでございます。

石会長

わかりました。御意見いただきました。

では、今井さんどうぞ。

今井委員

私は、総理は歳出構造改革から手をつけられて、歳入構造のほうは少し後回しになるかと思っていたのですが、今回、抜本的な改正をなさると御決断されて、大変歓迎でございまして、税の空洞化が叫ばれておりますので、そういう意味では大変結構だと思います。

来年度の予算にも反映するというお話なのですが、そこで、これは考え方としては、税収をニュートラルで考えるのか、それとも増税もやむなしとお考えなのか、その辺の方向性だけをちょっとお伺いしたい。

石会長

わかりました。あとでお伺いしましょう。

では、和田さんどうぞ。

和田委員

この何年かの税制改革を経まして、私たちの生活の実態を見ますと、所得も、それから資産も格差が拡大しているということを、実態もそうですし、それを痛感しております。生活の厳しい人たちにとりましては、やはりその厳しさというのがより厳しくなっている。特に介護保険の保険料、それから医療費の自己負担も増えておりますので、その辺のところに対する配慮というのは、税制を通じても、いつのときにも忘れてはならないことだと考えておりますので、できれば総理のお考えを伺いたいと思います。

石会長

そうですね。それでは、柳島さんでしたか、手を挙げていたのは。どうぞ。最後にさせていただきます。

柳島委員

私が申し上げたいのは、やはり国家戦略としてこれから税をどう考えるかということが一番重要ではないかと思うのです。先ほどどなたかが申し上げたのですが、一部の人たちがいままで税というのを負担しすぎて、戦後50年、安普請の家に建増しを繰り返しているように、土台が、税そのものがぐらぐらになっているので、やはりここで建て直さなければいけないという感じがしているのです。

それで、具体的な例は控えますが、やはり4人に1人働いている人が税金を払っていないとか、そういう事態は異常だと思うのです。あと相続税にしても、払う人というのは大変限られており、やはり課税ベースの拡大というのがこれから大きなキーワードになっていくのではないかと思うのです。

あと、住民税の均等割にしても1人2,000円で、今時2,000円なんていうのは、渋谷でもすぐ使ってしまうような額で、やはり青年になったら1人1万円ぐらい払ってもらう。それでないと、税金の使い方というのはみんな全然関心しないんです。若者に関心がないから、これはやはりある程度応分の負担をしてもらう必要があるのではないかと、そういうふうに考えます。

石会長

ありがとうございました。

もう時間が来ておりますが、1、2分で結構でございますから、小泉首相のほうから何かお答えをいただければ。

小泉内閣総理大臣

税金を負担していない人でも、負担しているでも、日本は税金が重い重いというのが一般的ですよね。

石会長

そうですね。そうですよ。

小泉内閣総理大臣

特に負担していないほうがいろいろ声が大きい。統計で見ると、日本というのは先進国で一番税負担が低いですね。しかしながらこの重税感。誰もが言う。こういうことを考えると、税制改革というのはいかに難しいかというのは承知しております。

特にこれから、税制中立かどうかという話もありましたけれども、これは税制でできることと歳出でできること、あるいは両方調整するということがあります。全部税制でやれと言っても無理です。歳出と負担、財政と税制、密接に関連がありますから、そういう面において、いま税制中立かどうかというのは、どの程度の支出に対して、国としてどの程度の手当てが必要か、施策が必要かということから、どの程度の負担が必要かという観点も必要なのであって、いま税制中立かどうかということは、私はあえて言わないほうがいいと思います。財政面、税制面、経済状況、そういうのを勘案して予算編成に生かすのが内閣の仕事ではないかと思っておりますし、それぞれの皆さんの御意見というものが現実に生かされるように、ぜひともあるべきいい結論を出していただきたいと思います。

石会長

わかりました。大変お忙しいところありがとうございました。それでは、我々、首相がお帰りになってからまたそういう議論をしたいと思いますが、どうもお忙しいところおいでいただきまして、本当にありがとうございました。(拍手)

(小泉内閣総理大臣 御退席)

官房長官もありがとうございました。塩川大臣と片山大臣はお残りいただけるようでありますので、首相に代わって質問を投げかけても結構かと思います。

あと6時半ごろまで時間を取りまして、今後の我々の議論の進め方等々を、現段階において御要望なり御注文があれば伺い、それを今後生かしていきたいと思っています。

資料といたしまして、昨年の9月に基礎問題小委員会で、どういう論点が重要かということで、アンケートをしたような資料も出ておりますので、かつ、また税制上の基礎資料も参考資料で載っておりますので、こういうものを適宜ご覧いただきながら、今後の御議論を進めるに当たっての御忠告をいただけたらと思っております。こちらから予定をさっと言ってしまう前に、皆さんのほうから御意見を賜ったほうがいいと思いますので、どうぞ。では、水野さん。

水野(忠)委員

先ほど御質問に、経済財政諮問会議とこちらの税制調査会の役割について御質問がありましたところ、総理は、いわゆる縄張り争いはいけない、重なっても構わないということでお話がありましたが、私心配しておりますのは、いわゆる重なるとかそういう問題は、それは最後の決着をつければいいわけですが、税制調査会にどういうボールが投げられてくるのか、また、どういう段階でボールが投げられてくるかということで、例えば、前にあった話ですが、これはもう古い経済戦略会議のころでしたが、住宅取得についての利子の控除といった具体的な問題が投げかけられてきまして、税制調査会でも随分議論をしたのですが、そういう形ではっきりと、いわゆる諮問会議からの意見であるという形でポンと投げられるのは、対応のしようがあると思うのですが、個々の議員の方で、いわゆる大方の方はみんなこの意見に傾いているという形でポンと意見を出されますと、非常に対応が難しい。ですから、そういうところの仕切りといいますか、ルールというものをはっきりさせるといいますか、そのあたりははっきりとさせていただいて、プランみたいなものについてはどう対応するのかとか、ちょっと技術的な話にはなりますけれども、それによって随分税制調査会の議論の時間などもいろいろと影響を受けると思いますので、そこをはっきりさせていただければと思っております。

石会長

密かに諮問会議等々あたりからいろいろな意見が出てきて、税調はどう考えるのだというような話が来たとき、どうしようかということでしょうね。そのときはそのときで考えようかということでございますが、いまの首相のお話にもありましたように、自由にやれよと、縄張り争いはやらないほうがいいよ、というわけでありますから、我々も積極的に議論して、これを諮問会議のほうに投げかけるということがあってもいいのでありまして、そこは双方でいろいろやればいいかと思います。

あとで、いまの段階でも結構なのですが、諮問会議との連携を強めるという意味で、向こうが税制の議論をするときには、私が税調の意見を紹介しに行く、あるいは意見をお伺いしに行くということをやりたいと思いますし、また、諮問会議の委員の方にも、時期を見ておいでいただいて、状況を御説明いただくというような、双方の交流をこれから深めたいと思っていますので、水野さんの疑問は当然でございますので、その中で解消できる問題もあるかなとは思っております。

ほかにいかがでしょうか。どうぞ、佐野さん。

佐野委員

先ほど諮問会議との関連性が何人かの方から提出されたのですが、私も同感のようなところがあります。できれば閣僚のメンバーの竹中さんにも折を見ておいでいただくというような機会があってもいいと思います。

それから、もう一つ、これは新聞報道の段階なのですが、諮問会議で竹中大臣等々がインタビューに答えている箇所で、1つ注目すべき発言内容がある。それは、工程表方式を税制改革でも扱ったらどうかと。まだ竹中さんの私見かもしれませんけど、1つの大きな考え方になっていくのではないかと、個人的には想像しているわけであります。

この税制調査会も1つ、工程表というきっちりしたものであるかどうかは別にして、議論の整理という意味でも、というのは、1つ危惧するのは、全体としての議論は諮問会議がリードし、それに対して税調は、個々のテーマについて、ああでもない、こうでもないという継ぎはぎ的な議論になってしまうおそれがある。つまり、諮問会議であれ、税調であれ、体系的な議論、そしてすぐできるもの、中長期的にやっていくもの、そういった時間的な体系というのも1つ必要ではないか。その結果、税調と諮問会議が違った体系ならそれはそれで議論になるわけですが、体系もなく個々の問題について、発泡酒の問題みたいな、そういう問題について議論が奪われて、一体何を言っているのかわからない、むしろ諮問会議のほうが1つの税体系としての整合性があるというような事態を一番おそれるわけなのであります。そういう意味では、これからの議論の進め方として、そういった工程表的感覚というのを我々は持つべきではないかと思います。

石会長

それに関しましては、私、上野さん、あるいは事務局で一応粗ごなしに決めたスケジュール、税調の工程表と言うべきものかな、それが一応固まりつつありますので、ちょっとそれをいま申し上げて、皆さんから御意見を賜りたいと思いますが、基礎問題小委員会というのが、年度末の議論も行いましたし、主として議論しておりますが、これを大体1月末か2月から月2回ぐらい開いて、二度ぐらい終わったところで総会を開いて、一応、皆の共通の了解事項にしたいと思っています。

そして、その議題でございますが、やはり最初はまさに佐野さんの御指摘のように、いま首相もあるべき姿を追求せよということでございますから、総論的な部分から入るべきであろうと思いまして、そうなれば21世紀型の税制というのはどういうものだとか、それから、インセンティブスをどう考えたらいいか。島田さんから先ほど御説明がありました活力というのをどれだけ取り組むべきかという議論も当然あるでしょう。

そういう意味で、我々は租特の問題等々をやって、課税ベースの拡大というのが一応キーワーズになってございますから、そういうところから所得、法人、消費税、あるいは資産課税等々、あるいは環境税も入るかもしれないし、そういう問題をやりつつ、5月明けぐらいには、主要な現行税制が抱えている問題点というのがおそらく整理ができると思いますので、その整理をして、そしてその後、秋に備えて次の段階に入りたいと思っています。

その主要な論点がまとまり、基本的な我々の方向が固まれば、できたらの話でございますが、地方公聴会というようなものを開き、やはり国民の参加と選択というのが我々のもう一つの基本戦略でございますから、それを実践に移したい。これが7月、8月の段階かもしれません。そして、秋にはしかるべきものをまとめてくれと。それは、2003年度税制改革に絡む話で、いろいろやった結果、2003年度に間に合うというテーマもおそらくあると思うのです。そういう意味で、秋にまとめるものをまとめてということを考えております。

同時に、我々はあと1年数か月後に、当事の森首相から出されました答申に答える必要があります。これは「21世紀初頭のあるべき姿を検討して」ということでございますから、まさにいま小泉首相が言われたようなこととダブっているわけでありまして、そういう方向でもう議論をいまから始めなければいけない。1年数か月後でございます。そういう意味で、2003年9月に我々が書くべき中期答申に対する準備を始めたいと。そして、だんだん道路の話とか地方交付税の話とか、首相が御関心の点もございますが、そういうものも踏まえつつ、いうなれば我々の守備範囲も広げて議論をしていきたい。こういう段取りで考えております。

いかがでございましょうか。こういうことが我々のいうなれば工程表ですね。よろしゅうございますか。

(「異議ありません」の声あり)

ありがとうございます。それで、必ず2、3回やって総会で一応皆さんの御了解をいただきつつ、その間に私が諮問会議とうまく話がつなげれば、そこで説明に行ったり、説明に来てもらったり、時期的な関係もございますから、総会の前に向こうへ行って、基礎問題小委員会でやった議論を向こうに説明に行くというようなこともございますが、それはお許しいただいて、あとで事後報告的に総会に出すということもあり得べきかもしれません。

それから、もう一つは、基礎問題小委員会も少し専門家を、いうなれば学者グループで税を勉強される方を若干名少し補充したいと考えておりますので、まだ名前が固まっておりませんので、御披露いたしかねますが、次回の総会ぐらいにははっきりそれをお諮りしたい。あるいは、その前に行われます基礎問題小委員会にも出てもらおうと思っています。

ほかにいかがでございましょうか。今後の進め方、あるいはテーマの選び方、いまの工程表等々で。

大臣、どうでしょうか。塩川さん、こういう発想でやっていきたい。

塩川財務大臣

先ほど来問題になっております3つの機関がございますね。諮問会議でどう議論するかということ、それから政府税調。それから問題は党の税調でございます。私のほうには党の税調からも、党の税調としてのあり方について、非常にしっかりとした意見が来ております。昨年の12月のときには、党税調の扱い方というものがぞんざいであったということでございますので、それに対する今後の扱い方を非常に厳しく指摘されてきておるところがございます。

そこで、私たちは財務省として主税局を中心にして考えましたことは、諮問会議、これには中心としては税に関する哲学的な問題を議論をしっかりしてもらいたいと。例えば、いま問題となってまいりますのは、これから21世紀にかけまして、公的負担と政府が提供するサービスとの関係、これをどの程度に、負担と給付でございますが、この関係をどう見るかということ。しかも、公的負担の中で税でみるか、あるいは保険料でみるのかということ等もいろいろございますので、そういうあり方を1つ考えてもらいたい。

それから、先ほどお話がございましたように、所得税、法人税、あるいは消費税といろいろな税を見ました場合に、空洞化が起こっておりますので、この空洞化にもどのようなアプローチをしていくかということもございますし、国と地方税のあり方ということもございますし、そういう基本問題について、これをしっかりと考え方をまとめてもらいたいと思っております。

そしてまた、政府税調におきましては、かねてから問題提起させていただきまして、課題として最終的な結論が出ていないものも大分ございますし、両論併記的なものもございますが、そういうものの一応政府税調としての考え方を1つ出していただいて、また、財務省のほうからも、こういう問題についてどのように考えたらいいか、扱ったらいいかということは、政府税調に対してそこは諮問をしていきたいと思っておりまして、そういうふうに扱ってもらいたい。

党との関係は、党のいろいろな要望がございますので、それなどを取りまとめて適時適切に政府税調につないでいくということで意見の交換をしてもらいたいと、こう思っております。そういうふうな大ざっぱな考えでございますが、そんな位置づけを主税局としては考えておるということを申し上げておきます。

石会長

はい、よろしくお願いします。

片山大臣も何か御見解を。

片山総務大臣

基本的にはいまの財務大臣と私も近いのですが、まあダブってもいいのですが、経済財政諮問会議のほうは大所高所、基本的な議論だと思いますね。そこで、私のほうの担当からいうと、やはり国と地方の関係というのは、税も1つありますが、歳出もあるんですね。その両方をつないでいるのが交付税なので、そういうまとまった議論としてはやはり向こうかなと、こう思いますが、税源移譲のストレートの議論はこっちでやっていただいて私結構だと思います。

そこで、会長が言われたように、相互乗り入れで、会長も行っていただいて、向こうからも誰か必要な人が来ていただいて。しかし、私は主役は政府税調だと思いますよ、税制は。そこはあるいは総理や財務大臣と違うかもしれませんが、ひとつそういうことをやっていただければありがたいと思います。

石会長

温かい声援をお送りいただきまして、ありがとうございました。あと5、6分予定した時間が残っていますが、両大臣への質問を含めて何か御発言の方はいらっしゃいますでしょうか。よろしゅうございますか。

竹内さん、何かありませんか。今日は沈黙を守られているようだけど。

竹内委員

よろしいですか、一言。

石会長

どうぞ。

竹内委員

景気の問題と財政の問題と、これからの将来の負担ということを考えた場合、非常に気になりますのは、税収減という問題が97年以降起きてきたときに、税収が低下していく段階で歳出が増えていく、この逆の現象が起きたときに、税調として、実際は国債と地方債と、そこで抜けた分は結局財投のほうに回っているわけですね。これはやはり税調の怠慢だと思うのです。つまり、空洞化した分は必ず財投でいま後始末といいますか・・・、この体制は絶対だめだとなりますと、もう一つの手は、その場合に国債と地方債を管理した場合に、では財投で頼れない部分を税制でどうやって対応するかということになれば、結果的に増収の問題を考えなければいけないと思うのです。税制の問題として。

それで、粛々と税制の議論をやるのもいいのですけれども、やはりここで軌道修正するために、どういう税制とどういう税金の取り方があるのか。ここはタブーをやめて、きちっと後始末を税制として取るというか、財投に投げない。小泉さんがお出になって、財投改革をこれだけやっているわけですから、税制の空洞化を財投に頼ることはやはりやめるとか、何か大きな前提を立てて、税制の守備範囲というか、これ以上頼ってはいけないという部分をむしろきちっとやった上で、地方税として、あるいは国税として、何をどこから税を取れるかという、このような議論をぜひやっていただきたいと思います。

石会長

ありがとうございました。当然、いま竹内さんのお話しになっている財投絡みの話もございましょう。それから、景気との関係、マクロとの動向をどう見るかというようなことも踏まえて、2月に入りましたら早々に議論を開始したいと考えております。

総会のほうは一応二度ぐらい基礎問題小委員会をこなしたあとで、一応論点を整理してお出ししたいと考えておりますので、来月の後半になるかもしれませんが、またぜひお集まりいただいて、議論に参加していただきたいと考えております。

よろしゅうございますか。今日は大変収穫のあった会合だったと思いますが、今年もよろしくお願いいたします。

両大臣、お忙しいところどうもありがとうございました。

〔閉会〕

(注)

本議事録は毎回の総会後、速やかな公表に努め、限られた時間内にとりまとめるため速記録から、財務省主税局及び総務省自治税務局の文責において作成した資料です。

内容には正確を期していますが、税制調査会議事規則に基づき、事後の修正の可能性があることをご承知置きください。