第21回総会 議事録

平成13年12月11日開催

委員

まだ5、6人おみえになっておりませんが、それでは、時間になりました。21回目になりますか、開催いたしたいと思います。

総会もいよいよ大詰めになってまいりました。御存じのように、年度改正というのはある縛りがあって、14日までに上げて総理に持っていくというお尻が決まっていますから、できたら今日実質的な審議を終えて、私と会長代理に修文等々御一任いただければ、これでうまくまとまるという段取りでおります。

そこで、今日は起草小委員会でおまとめいただきました2つの文書、その文書の前に若干事務局から説明がございますが、『答申案』と『主な意見』、これを議論をさせていただきます。

ただ、その前に、最近、経済財政諮問会議等々からいろいろな文書が出ておりますし、かつ、新聞紙上でもお気づきと思いますが、具体的な連結の財源措置の数字とか、あるいは老人マル優、発泡酒等々につきまして、ある案を事務局がつくっておりますので、その御説明を受けたあとで今日の本題に入りたいと、このように考えております。

それでは、さっそく経済財政諮問会議の文書につきまして、事務局からごく簡単に御説明いただきましょう。よろしく。

事務局

お手許に2つ資料があるかと思いますが、『平成14年度予算編成の基本方針』というものと、『構造改革と経済財政の中期展望』というものでございます。これにつきまして御報告させていただきます。

この平成14年度予算編成の基本方針でございますが、これは例の6月に決まりました「骨太の方針」の中で、透明性の高い予算プロセスを目指すということで新たにつくられたものでございます。12月4日に経済財政諮問会議の議を経まして閣議決定されたものでございます。

その中で私どもの税制の関係でございますが、恐縮でございます、2ページ目をめくっていただきまして、ここに「平成14年度予算の基本的考え方」というところがございまして、この中で平成14年度予算につきまして、最初の部分で、「財政構造改革の第一歩として、『国債発行額30兆円以下』との目標の下、歳出構造を抜本的に見直す『改革断行予算』と位置付けられる」ということが書いてございまして、ここで歳出の面につきまして、それから、その次の3ページ目でございますが、行政改革につきまして書いてございます。

その続きといたしまして「税制改正等」ということでございまして、読み上げさせていただきますが、「税制については、平成14年度予算の『国債発行額30兆円以下』との目標の下、我が国の持つ潜在力を発揮できるよう経済社会の構造改革を推進していく観点から、社会経済情勢の変化等を踏まえ、公平・中立・簡素といった基本原則に基づき、適切に対応することとする」。

その次、以下2つでございますが、やや具体的なところに踏み込んでおります。「このような考え方の下、租税特別措置については、聖域なく徹底した見直しを行い、廃止を含め整理・合理化を行う」。

一文税外収入の話がございます。

その次、なお書きでございますが、「連結納税制度については、国際的に遜色のない、21世紀の我が国法人税制としてふさわしい制度を構築すべく、所要の財源措置を講じることを含め、平成14年度創設を目指し検討を進める」ということでございます。

引き続きまして、『構造改革と経済財政の中期展望』という長い題でございますが、この概要につきまして、これも同日の12月4日でございますが、経済財政諮問会議のほうに出されまして、基本的にこの方向で作業を進めていくということで了解が得られているものでございます。これも6月に出されました骨太方針に基づきまして、あのときは中期的な経済財政計画をつくって、中長期的に見たマクロ経済等の運営と予算の整合性を図っていくということでございまして、これが具体的に題名といたしまして、縮めまして「改革と展望」というような言い方をしておりますが、これになってまとめられると。

さらに、これは概要となっておりますが、14年度の予算編成を受けまして、年末あるいは年始になろうかと思いますが、ここで決定されるという予定だと聞いております。

1枚おめくりいただきまして目次のほうでございますが、大きく分けましてパーツが3つに分かれておりまして、1つが日本経済についての現状認識、それから、2つ目が目指すべきといいますか、中期的な経済社会の姿、3つ目の塊が、それに向かっていきます経済財政政策のあり方というところでございます。

この中で税制につきましては2か所ほどで触れられておりまして、恐縮でございます、7ページ目でございます。これは中長期のあるべき姿を示したところでございますが、「効率的で持続可能な財政への転換」ということでございまして、少し飛ばしながら読ませていただきますが、「『改革と展望』期間中の政府の大きさ」、これは全体としての歳出規模のGDP比でございますが、ここは「現在の水準を上回らない程度とすることを目指す」。この続きでございますが、「また、受益と負担の関係についても引続き検討を行う」というところでございます。

ちなみに、その下のパラグラフでございますが、数字がまだ入っていないのでございますが、計画5年程度の最終年度におきましては、プライマリーバランスの赤字のGDP比が、ここはちょっといま計算中ということでございまして、何%かになるということでございますが、重要な部分は次の文章でございまして、「さらに、『改革と展望』の対象期間の後も、その期間と同程度の財政収支改善努力が続けられ、民間需要主導の着実な経済成長が継続するとすれば、2010年代初頭にプライマリーバランスは黒字化することとなる」ということが書かれております。

それから、もう1か所、経済財政政策のあり方といたしまして、13ページ目でございます。いま読み上げさせていただきました部分とほぼ同じことが書いてあるわけでございますが、「政府の大きさ」につきましては、「現在の水準を上回らない程度」。それから、その次の部分、「国民負担のあり方」でございますが、「歳出面の改革を推進しつつ、受益と負担の関係についても引続き検討を行う」。

それから、その次、「21世紀にふさわしい税制」ということで、これは税制の中身に立ち入った部分でございますが、「税制は、政府活動のための財源を調達する基本的な仕組みであり、持続可能な財政の確立に向けて、経済の市場化、国際化、少子・高齢化という観点から、貯蓄・消費行動、投資・起業行動、労働供給・就業形態に対する誘因をも考慮しつつ、公平・中立・簡素の原則を踏まえた税制改革を行っていく必要がある。その際、所得、消費、資産等の適切な課税ベースの選択、できるだけ広い課税ベースの確保、政策目的に対して有効な政策手段であるかの検証等、幅広く税制を見直していくことが不可欠である」ということが言われております。

それと、この審議の過程で出てきました、報道されておるのですでにご承知かと思いますが、小泉総理のほうから、年明け早々にでもあるべき税制の姿について検討を始めて、15年度予算に反映できるようにやっていってほしいという話がございまして、まだこれは具体的にどうするかという話に至っていないわけでございますけど、また年明け早々お煩わせすることになるのかと思いますので、御紹介させていただきます。

以上です。

委員

ありがとうございました。何かこれにつきまして、御質問等々ございますか。

事務局、これ項目だけ並んでいるページもありますよね。これはまだ入っていないんですか。それとも、12月4日現在で入っていないんですか。

事務局

12月4日現在はまだ概要ということでございますので、ここにつきましては、実際出るときには、もうちょっと全体としても長い文章になって、数字もきちっと入って、それから、項目のところも文章化されて出てくると聞いております。

委員

いつ出てくるんですか。

事務局

予算編成が終わってからということで、おそらく年末から年始にずれ込んでしまう確率が高いだろうと思われます。

委員

わかりました。というわけで、中間作品みたいなものでありますが、一回お目通しいただければと思います。よろしゅうございますか。

それでは、次の議題に移らせていただきます。連結納税とか酒税とか、あるいは老人マル優等々につきまして、新聞紙上で若干報道されておりますことにつきまして、事務局のほうから御説明ください。

事務局

それでは、ただいま関係省庁、関係方面と具体的に提案させていただいている案を御紹介させていただきます。

まず、3枚紙でとじてありますが、1枚目、『連結納税制度の創設に対する財源措置(案)』ということで、この連結納税制度の創設による減収額は、さきにも御紹介申し上げましたが、上場企業等のアンケート調査に基づいて試算いたしますと、全体で8,000億円程度でございます。これにつきまして、全体としてこれに対して財源措置を講ずるということで、いくつかの具体的な財源措置を提案させていただいております。

まず第1に、連結納税制度の仕組みの中での増収措置ということで、1つは、初年度におきます新規子会社の加入制限。持株比率100%未満の子会社を100%子会社にして入ってくる、その制限については初年度において制限することが1つです。それから、子会社の連結のグループを組む前に持っていた繰越欠損金の持込制限、こういったものが連結納税制度の仕組みの中の措置として、ご覧のような数字で考えられるわけです。

それから、法人税の一般的な課税ベースを見直すことによって講じられる財源措置としては、退職給与引当金につきましては、原則4年間で段階的に取り崩すことによって廃止をする。あるいは受取配当の益金不算入措置の縮減、会社間の配当、会社が受け取る配当については、8割益金不算入、利益に計上しないということになっていますが、その割合を縮める。8割を5割にする。あるいはこの受取配当の額を計算上の項目として特定利子という仕組みがありますが、そういったものを廃止することによりまして、全体としてこの益金不算入制度の縮減による部分。あるいは特別修繕引当金の取崩期間の短縮。これは原則廃止にはなっていますが、経過措置で一定期間にわたって取り崩すことになっておりますのを、短縮するといったことがございます。これらが法人税の課税ベースの見直しによるもの。

以上の措置を講じても、さらにその上で連結納税制度を選択した法人に対しまして、付加税率2%の付加税による部分というものが挙げられているわけです。これは連結納税制度の中、それから一般的な連結納税制度を選択するかどうかにかかわらず、課税ベースの見直しによる財源措置、そういったものとバランスも考慮して、連結を選択した選択メリットを受けている法人にも負担していただくというものです。あわせまして、租税特別措置の縮減によって、全体として財源措置を図っていこうというものでございます。

なお、これらの措置については、引当金の取崩し等その4年間で行われますので、その時点でさらに財源措置を将来見直す必要があるということで、提案させていただいております。

2枚目でございますが、発泡酒に係る税率の見直しでございます。発泡酒がビールとその品質等が近似しているということで、「同種同等のものには同様の負担」という基本的な考え方に照らして、ビールと同様の負担を求めるものでございます。さらに、近年はビールから発泡酒へのシフトによって、酒税収入が毎年500億円程度大きく減少が続いておりまして、歯どめをかけるといった観点から、見直しをするというものでございます。

現行のビールの税率並みに引き上げるものでございますが、消費者の負担の激変を緩和する、それから製造者の商品開発努力等に配慮しまして、3年間にわたって導入するということで、平成14年度においては、現行の税率格差の2分の1の引上げを行う。それから、平成16年、現在のような発泡酒が出てきてから10年ぐらいになる時期ですが、残りの2分の1の引上げを行うというものでございまして、下に税率の引上げ、具体的には麦芽比率25%未満のところが話題になっているわけでございますが、これはキロリットルなので、下の参考の欄にありますように、350ミリリットル缶でいきますと、現行発泡酒については36円75銭、ビールが77円70銭ですので、40円程度の格差がございます。これをこの2段階、20円ずつ程度引き上げるというものでございます。

それから、3枚目でございますが、老人マル優(少額貯蓄非課税制度)でございますが、これまでも方向を出していただいておりますように、貯蓄優遇から投資優遇という金融のあり方の切り替え、これは「骨太の方針」でもうたわれているものでございます。それから、租税特別措置を聖域なく見直すということから、貯蓄優遇税制のあり方を見直すということで、制度を段階的に廃止する。具体的には、平成15年1月以降は、新たな非課税枠の設定追加を認めない。したがって、14年度末時点で老人等に該当していない人は、15年1月以降非課税制度は利用できないといったこと、それから、平成17年末には制度自体を廃止するということで提案させていただいています。

その際には、17年末に制度廃止になりますので、18年1月以降に支払利子が支払われるときには、制度が廃止される17年末まで以前の期間に対応する部分については、課税しない、非課税と。それから、18年1月以後の期間に対応する利息分については、非課税制度がなくなりますので、課税をするということで提案させていただいているところでございます。

以上です。

委員

ありがとうございました。

これにつきまして、いろいろ御質問もあろうかと思いますが、今日行います答申案、あるいは主な意見の議論の中にこの問題はもろに入ってきておりますので、ここでこの案についてもし御質問、御意見があれば承りたいと考えております。我々の答申の中には、これほど数字を入れた詳細なことは書いてございません。質的なことで方向を示しているだけでございますが、こういう形で現に各省庁ごとで議論が進んでいるというので、今日は御紹介をいただきました。これ自体に賛成しようとか反対しようとか、そういう意味ではございませんので、念のため。この議論の中で生かしていただけたらと思います。そういうわけで、これは今後の議論に含ませていただきます。

それから、今日、皆さんのお手許の資料の中に、委員から、連結付加税についての御反対の趣旨の意見書が来ておりますので、これも今の議論に引っかけてまたお読みいただけたらと思います。

それでは、お手許に『答申案』というのと『主な意見』、これは前回までは「論点整理メモ」という言葉遣いをしておりましたが、「主な意見」のほうがいいだろうと思いまして、名前を変えてもらいました。これにつきまして議論を進めたいと思いますが、実は前回、かなり時間を取りまして各々朗読をしてもらい、そこで議論いたしましたので、今日初めての方もいらっしゃるかもしれませんが、審議の継続性という意味で、今日はそのときの議論、あるいは起草委員会での議論を踏まえて、直したところを、まず事務局に順次御説明をいただきます。その後で、『答申案』と『主な意見』をワンセットにいたしまして、前半、後半と分けまして、皆さんの御意見を伺いつつ、さらなる審議を深めたいと、このように考えております。

と申しますのは、『主な意見』で議論したものを『答申案』で吸い上げておりますから、両者は極めて密な関係でありますので、一体化して議論したほうがいいだろうということであります。

それから、再度もう一回念のため、この答申案文の作成の基本方針を申し上げますが、今回、国民に対して明確なメッセージを出したいということで、基本的に両論併記の従来のパターンはやめております。そういう意味で、自分の意見が入っていないという御不満の方もいらっしゃるかもしれませんが、それは『主な意見』のほうで個別に意見が紹介されておりますので、こちらで補っていただく。なにぶんにも私、14日に小泉さんのところに持っていきますが、我々の出す先の小泉さんは、かなり明快なことをお望みの方でありますので、従来の税調みたいに、ああでもない、こうでもないという議論をやっていくと、怒られるのではないかと思いますので、ストレートに議論を展開するというほうが、我々の意見を言うのにいいのではないかと判断しているわけでもあります。

それでは、さっそく事務局、よろしくお願いをいたします。

事務局

事務局説明(参考参照)

委員

ありがとうございました。丁寧な御説明をいただきました。

そこで、進め方でございますが、『答申案』の目次をごらんいただけますか。9ページの真ん中ぐらいまで、租特の整理・合理化が出てきております。ちょうど真ん中はこの辺ではないかと思いますので、金融・証券関係税制の直前までを前半のパーツとして前半の時間を使いたいと思います。それから、後半は、この金融・証券関係以下最後までという形で後半の時間に充てたいと考えております。同じような仕切りは『主な意見』のほうでも区切りたいと思いますので、御質問、御意見いろいろあろうと思いますので、まず前半の租税特別措置の項目まで、両方の資料、『答申案』と『主な意見』の両方、左右対称させながら、どっちでも結構でございますし、ここに入れるのがどうだとか、あるいは落ちているとか、いろいろ御議論がありましょう。どうぞお出しいただきたいと思います。どなたからでも結構です。

ありませんか。何だか拍子抜けですな。これで終わってしまうわけにもいかないでしょう。

委員

質問です。

委員

どうぞ。資料のどっちかを言ってください。

委員

まず、『答申案』のほうの出だしの2ページの部分で、「税負担の現状と今後の対応」というところの項目のポイントは、まさに税制全般にわたる抜本的な改革というふうにうたっておりまして、今回の答申案の初期値はこれだと思うのですが、それに対応する具体的な税調としての議論の成果といいますか、そういうものについて、いくつかポイントを確認したいと思うのですけれども、例えば、租税特別措置についての整理・合理化というのは、ページとしては約1ページぐらい割いてございますが、原則の(1)(2)(3)とか、その原則論はあるのですが、何もないというか、何もないと言っては変なのですけれども、中身がないのですけれども。

委員

つまり、どの租特を整理するとか、具体名という意味ですか。

委員

ええ、具体的にどの租税特別措置についてここで抜本的に議論したいのか、したのか、ここの部分がはっきりしない。何かごちゃごちゃ限定的になっているとか、そういうことは言ってあるのですけれども、ではどれを整理・合理化するのかということについては、何もないので……。

委員

そういうことを言うと、全部ないんじゃないですか。僕の言いたいのは、租特で具体的な、Aという租特、Bという租特、これはもう要らないのではないかという形でメンションしろというような御意見だと、ほかを見ると、そういう個別の項目で、まあ発泡酒ぐらいは入っているかもしれませんが、大体「骨太」で概略御説明して、方向を示していますから、個々具体的な、党税調がやるような形で入っていないと言われれば、そのとおりだと思います。

ただ、ここで議論したのは、たしか79の準備金も挙げました。それから、個人・企業各々関係する租特の例も出しました。しかし、ここではプリンシプルを決めて、これからどう削っていこうかというところが具体的な話でありまして、できるかできないかわからない個別の具体名を出すと、おそらく議論が拡散する、あるいは関係省庁はしゃかりきになって何か言ってくる可能性もありまして、そういう意味で、もっと上のほうのレベルで、大所高所から議論したというふうに御検討いただけますか。

委員

確認だけです。

委員

ほかにいかがでしょう。委員、おとなしいけど、ないですか。

委員

いや、ありますよ。たくさんあります。

言ってください。今日は時間を提供しますよ。

どなたでも結構です、委員が考えている間に。ずっと継続して御審議いただかないと、わかりにくいかもしれませんね。部分的な御説明で終わってしまったから。

委員

時間つなぎみたいに簡単なことなんですが、1ページの「ロ」です。「国民が十分認識する必要があるのではないか」、これは本文のほうを直したので……

委員

待ってください。どっちの資料ですか。『主な意見』のほうですね。

委員

論点整理メモ、1ページの一番上の「ロ」、「十分に認識する必要があるのではないか」、前のとおりになっているのですけれども、本文と言葉を合わせたほうがいいのではないか。要するに、政府のほうでよく国民にわかってもらうような広報活動等をしなさいというふうに直したのですから。

委員

これは、一人一人が自覚しろなんて強いことを言ったので、それは直すべきだという強い意見が出たんですよね。起草委員会あるいはどこかで出たと思いますが、そこで、本文では広報活動というふうに視点を変えて言ったわけで、こっちは生の意見が出ているわけです。別に構わないんですよ。

委員

生の意見が出たあとに、これは政府の高姿勢すぎるのではないかという意見もまた……。

委員

出ているんですよ。ですから、委員の御意見は、また本文を変えろということですか。

委員

いや、本文は変えなくて、この論点のほう、『主な意見』のほうを。

委員

ああ、こっちを変えたほうがいいと。ただ、生の意見は出しておいて一向構わないんじゃないですか。ここも広報活動云々に変えろということですか。

委員

はい。

そういう御意見ですか。わかりました。ちょっとあとで検討させていただきましょう。

なんでしたら10分ぐらい時間を取りましょうか、皆さんが精読してどこか自分のポイントを探す時間を。

委員

17ページの一番最後のところですが……

委員

どっちの資料ですか。

委員

これは『答申案』です。

委員

何ページですか。

委員

17ページ、一番最後です。法定外税なんですが、最後の3行が、税制調査会が言うよりは、地方制度調査会か何かが言うように、ちょっと税制調査会から逸脱しているのではないかなと。もうちょっとトーンをやわらげたほうがいいのではないでしょうか。

委員

前半、後半と言いましたが、いま委員は全く無視して一番最後のところをおっしゃいましたから、どうぞ、もうどこからでもいいですよ、御議論ください。わかりました。いまの点は少し修文のとき考えます。

委員

いまの委員に続けて同じところですが、2行目に、「特定の者や区域外の者だけを対象にするような税を導入しようとする事例が見られることには問題がある」と。ただ、これをやりますと、大体税金というのは、特定の者なりが対象になるわけですね。そうすると、例を挙げると、熱海市の別荘税なんいうのは完全に特定の者であり、また区域外の者にもなってくる可能性がある。東京都のホテル税などが念頭にあると思うのですが、これは何かにもうちょっとくっつけないと。例えば東京都の銀行税みたいに、ここだけ違った課税標準で同じ税金をかけようとして、ほかのものは別の課税標準でありながら、ここだけ課税標準をとりかえてかける。それがまずいということですから、その技術的なところをどう表現したらいいかなと思っておりますが。

委員

ここは、企業を狙い撃ちはいけないという御発言があったんですよね。特定の者とか区域、結果として企業になるかもしれませんけどね。そういう御趣旨でございましたが、修文のときにいま委員がおっしゃった点も、まさにこれだったら、別荘税、ホテル税、ヨット税等々が全部入ってしまうから、それはちょっとまずいかもしれませんね。わかりました。

委員

後ろのほうですが、16ページの道路特定財源の件ですが、この『答申案』と『主な意見』、これはどういうふうに……。『主な意見』のほうには出ているんですよね。それで、『答申案』には一般財源化ということで、検討ということになっているわけですが、我々地方の立場だと、やはりまだ道路関係のニーズは高いものですから、特定財源関係もちょっと触れるわけにはいかないでしょうか。これだけが表面に出てくるわけでしょう、『答申案』だけ。

委員

わかりました。ほかのところで経過説明のところに反対の御意見を紹介していますが、ここだけがちょっと薄いということですね。

委員

こっちには出ているが、ちょっと何か地方の立場を入れてもらいたいような感じがするわけですが。一般財源化で検討していただくのは結構です。何か我々の立場でちょっと、地方の立場もちょっと入れてもらいたいような……。

委員

いつの間にか落っこちてしまったのかな。地方の道路事情から見て云々というようなことがあればということですね。わかりました。

いかがでございますか。

委員

2、3ありますけど、本文の4ページ、「基本的考え方」で大変重要な指摘がいくつかあって、経済の基本的な成長力を高める観点、抜本見直しが必要であること、構造改革に資すると、非常に重要な論点が出ていていいのですけど、全体をちょっと通読して、もうちょっと基本的な視点にこたえる骨太のまとまり方になっているといいのではないかなと思うところが2、3ありますので、ちょっと申し上げます。

1つは、5ページの、なかなか難しいところだと思いますけど、最後の地方税の[4]の上の4行ぐらいですけど、連結納税制度の適用開始前に生じた、要するに連結納税制度を導入するときに付加税の措置をどうするかというこの書きぶりですよね。ここのところは、要するに 1つは法人税制全般についての見直し、もう1つは繰越控除の否認などと、やや特定の問題ですね。「などが講じられるべきであって、その上で連結付加税の措置を講ずることが考えられる」ということなので、答申としてはだから何をするのだというのがちょっと読みにくい感じがするんです。もうちょっと整理できるのではないかなと思うんです。つまり、多分、答申は連結付加税を入れたいわけでしょう。入れたいけど、条件整備を厳密にやって、問題点をできるだけ排除して、その上で入れるんだということですよね。

委員

事務局から御説明いただいた最初の『連結納税創設に対する財源措置(案)』の一番下には入っていますよ。

委員

本文ではどういう扱いをするんですかね。

委員

まさにこのとおりですよ。順番からいえば一番あとですよ。

委員

考えられると。

委員

入れるとすればという意味ですよ。

委員

「考えられる」でいいんですか。

委員

どういうことですか。もうちょっと積極的な言葉を使えという意味ですか。

委員

ではないかなと。つまり、「考えられる」というのは……

委員

及び腰であると。

委員

税調としてはちょっと……。

委員

いや、及び腰で書いたんですよ、ここは。

委員

そういう感じがする。

委員

そういう感じで書いたんです。最後のラストリゾルトで考えたわけですよ。

委員

いいです。委員長のそういう御説明はわかりますけど、したがって、「骨太」でそのためにいろいろな意見を別に書いているわけですから、拾っているわけですから、税調としてはこれで行くんだということなのかどうか。

委員

そういう趣旨で皆さんの意見はまとまったと思いますけどね。

委員

「考えられる」ですか。

委員

つまり、「考えられる」というニュアンスは、真っ先に先頭に立って付加税であるという意見はなかったんですよ、と思います。それで、委員の書かれているように、法人の世界でいろいろやってみる。足りなくてやむを得ないときには、まあ付加税ですかねと。

委員

しようがないと。

委員

それから、もう1つは、やはり連結で恩恵をこうむっている人がある程度負担していいじゃないかという議論も片やあるようです。

委員

そうすると、書き方はもうちょっと弱くなるんじゃないですか。むしろそれを入れる条件をきちっとやって、そっちが先であって……

委員

だからここに書いてあるように、順を追って書いてあるわけですよ。税収減の対応としては、租特、課税ベースの拡大、全般を見渡して、それでその次は連結の中に入り込んできて、欠損、否認、その次だと書いてある。まさにこの順番で書いてあるんです。財務省が使った減収のリストアップ並みに。そういうことですよ、これは。

委員

それはそうなんですけど、非常にマージナルな扱いというふうな、万感こもっているのはよくわかるんですがね。

委員

わかりました。もうちょっと考えましょうということでしょう。

委員

私は、そういうものを入れる前に、課税ベースや何かをきちっと見直していくということで、本来はこれはちょっとアドホックなんですよ、ここに入れるというのはね。

委員

そうそう。消しちゃえという意味ですか。

委員

消しちゃえとは言わないけど、もうちょっと扱いを弱められるかなと。

委員

いま格上げしろと言ったんじゃないの?

委員

いや、そうじゃなくて、どっちなんですかということをまず確認して。

委員

だから、考えられるんですよ、いま。委員の御意見は、どっちに修文したらいいですか。

委員

僕の意見は、本来は課税ベースをきちっと整理して、こういうものは本当は入るべきじゃないだろうと。

委員

わかりました。トーンダウンするということですね。

委員

どっちかというと、整理するなら。

それから、もう1つは、課税ベースの適正化ということは、その次にしっかり書いてあるわけですよね。6ページですけど。確かに法人税、国際的な状況を見ながら、日本の法人税は高すぎるので下げていこうという議論をどんどんやったわけですけど、それとあわせて課税ベースの見直しというのを、かなり構造的な問題ですから、数年かけて努力していこうということになって、やってきているわけですよね。ここの書き方はもうちょっと具体的でいいのではないかなと思うんですが、最後のところ、「平成10年度税制改正において残された課税ベースの見直し」、例えば項目を3つか4つ挙げる。その退職金の問題もありますし、いろいろありますし、これはみんなわかっているわけですけど、もう一回書いてもいいんじゃないですか。どうせ1行ぐらいの間に3つ、4つ書けてしまうと思うんです。ちょっと親切な感じではあります。

それから、8ページ目の下から7、8行目で、下から3つ目のパラグラフですか、「経済社会が急速に多様化する状況においては、個人・企業の自由な活動を通じて、効率的な資源配分が可能となる環境を整備することがより重要であり」、そのとおりだと思うんですが、その次の文章が「むしろ、これが経済社会の活性化に資すると考える」というのは、ちょっと意味がわからないんです。つまり、「むしろ」というと、強めではなくて、こういう書き方をすると、むしろ弱まって解釈される。ストレートに効率化がいいに決まっているわけですね、と私は思います。そうすると「むしろ」なんて要らなくて、これ取ってしまっていいんじゃないですか。「重要だ。だから見直しを通じて」ということでいいのではないか。「むしろ」というのがどういうのかちょっとよくわからない。そういう提案です。

それから、次のページで、これも二度議論されましたけど、政策目的の効果、政策手段といくつかあるんですけど、(1)だけ「例えば」と書いてあるんです。何かちょっと奥歯に挟まった感じがするんですよね。ほかは全部原理で書いてあって、ここだけ「例えば」というんだけど……

委員

「例えば」になっていないんですね。

委員

「例えば」になっていないんです。僕は先の委員のように、「具体的には」というふうに書き込むほどの余地はここにはないと思うんです。スペースもないし、そういうことではないと思うんだけど、これは書かなくてもいいんじゃないか。この原理が本当にこういう原理ならね。という感じがいたします。

それから、戻ってしまって恐縮ですが、外形標準課税、7ページ、(4)のすぐ上ですけど、確かに外形標準課税の導入は、現状は景気状況がこれだけ厳しいですから、とにかくちょっといまはそういうのはやめておいてよという議論があるのはよくわかります。あるのはよくわかりますけど、それを認めた上で、早期に導入すべきであるというこういう文章を書くわけですから、そのメリットを整理して書いているわけですよね。だから不公平の是正と。いま3割ですか、払っていないのが。いろいろありまして、不公平の問題がある。それから、税収の安定化もある。私はもう2つ議論があったのではないかと思うんです。

1つは、不公平の問題というよりも、努力する企業が報いられるというような意味で、経済の効率化に実は資する税だと私は思うんです。

委員

効率化とか活性化ですね。

委員

活性化ですね。努力する企業が報いられるということだと思うんです。

それから、もう1つは、これずっと議論があったんですけど、税というのは民主主義の教室だという言い方がありますけど、地方が自信を持って外形標準課税を納税者、企業に課すということは、地方自体が情報公開するべきですし、自分の行政というものの中身を非常に透明にして、十分に説得性のある課税をしないと、納税者はとてもじゃないと思うんです。

ですから、そういう切磋琢磨を通じての本来の地方の自治に役立つのだという、これ一言で言うのはどうしたらいいか。「透明な自治の実現」というぐらいの書き方になるのかなと思いますけど、そのメリットは私は実は非常に大きいと思っているんです。ずっとそういう議論があったと思います。いきなり外形標準、例えば石原さんがいきなり銀行税を入れた。中身はどうなんだ、東京はほかにもっとやれることはあるのではないか、ちゃんとやっているのか、という議論はありますよね。いまそれは係争をやっているわけですけど、本来、税というのはそういう議論を通じて、お互い透明に示して、努力をして、理解し合って納めていくということですから、真の地方自治の実現に資するはずなので、その2つですね。効率化と真の地方自治。これせっかく1行の中にいわゆる正当性を全部言ってしまっているわけですから、4つぐらい入れたほうがいいのではないかと、私の意見でございます。

委員

終わりですか。

委員

以上です。前半ですから。

委員

4つ並べると、ピンボケになるということもあり得るから、ちょっと修文を考えてみます。つまり、こういう理由があると理由を列挙する手もあるかもしれないし、早期導入のね。

委員

そうですね。これ1行だけで扱うべきなのか、先生おっしゃるように、もうちょっと広げるべきなのか、重要な論点なので。

委員

わかりました。

ほかにございますか。

委員

あとのほうでもいいですか。

委員

どうぞ。

委員

16ページの上のほう、道路特定財源云々のところです。この3行目に、「わが国の燃料課税の負担水準は、国際的にみても高くない水準にあることから、これを引き下げることは適当でない」と。ここの部分ですが、これは一般財源化との関連で、何か税負担水準を下げろという圧力が絶えずかかってきますので、この表現は必要だろうと思うのです。これは重要なところだと思います。

それで、結局下げるとどういうことになるのか。CO2が増えるということになるわけで、環境対策の視点が含まれるわけですね。ですから、「環境対策の視点もあわせて」という文句を入れたほうが本当はわかりやすいような気もするのですが、そこまであえて入れなくてもいいということなのかどうかですね。できれば入れたほうがわかりやすいかなと思います。

委員

すぐ下に「環境問題への対応」というのを別につくってしまったものだから、この上は環境抜きで議論したという点もありますが、ちょっと考えてみましょう。

委員

10ページで、マル優に対する書きっぷりと生損保というのは、ちょっとすっきりしないと思うんだ。マル優は、「本制度は基本的にその廃止に向け検討することが適当である」と書いてあるんですね。それから、さっき事務当局から説明があったマル優については、経過措置を入れながらという、かなり穏当な廃止論というのが紹介されていて、これがやはり過渡的な措置なのだということはわかる。しかし、ここにそれほど書くことはないと思うけども、ここで「基本的にその廃止に向け検討することが適当である」というのと同じように、11ページの最初で、生損保もそう書いてある。「このような実態を踏まえれば、本制度は基本的にその廃止に向け検討することが適当である」、同じ言葉なんですよ。ただ、そこから先またぐだぐだぐだぐだ、あってもなくてもいいようなことが書いてあるんだね。本当はこの「さらに」というのはおかしな話で、「基本的にその廃止に向け検討することが適当である」と切ってしまっていいので、もし「さらに」以下の文章をどこかに入れるのなら、前のほうへ持っていくべきですよ。そうするとすっきりする。結論は基本的に廃止。こちらも基本的に廃止。生損保について「さらに」以下を入れるなら、上のほうのどこかへうまくつながるようにして入れるのが一番適当だと思いますね。ここに「経過的な手当てを考慮しつつ」と書いてあるんでしょう。それならマル優だって「経過的な措置を考慮しつつ」と書いておいたらいいんですよ。まさにそういうことを考えているわけだから。

委員

いや、これは両方かかっているんですよ。少額貯蓄非課税と生損保と2つに経過的措置がかかっているんです。両方入っているんですよ。

委員

ああ、そうか、なるほど。それが2つにかかって経過的な手当てね。なるほどね。

委員

ここでは、長年、当税制調査会でやってきたけど無視されたという怨念がこもっているわけです。そういう意味で書いてあるんだけど、前に持ってくるのは、文章がうまくおさまれば、それも1つの方法だと思いますから、検討してみます。

委員

5ページの連結納税の「[3]税収減への対応」というところで若干気になるところがあるのですが、1つは、平成12年度の法人所得・欠損に基づく機械的な試算で8,000億円程度の減収額となって、先ほど財務省のほうから提出された案、連結納税制度に対する財源措置、これも8,000億円を前提とされている。これはずっとこれで来てしまったので、しようがないのだろうけども、平成12年度というのは、かなり企業収益が回復していた、つまり近年では高水準の時期だったわけで、その翌年、今年度、平成13年度はかなりの減益、つまり企業収益の変動がかなり激しいときに、一昨年、前々年の実績に基づく試算というのが、果たして来年度の推計においてどれほどの意味があるのかということを、ずっと気にしていたわけですが、ここでやはり8,000億円という数字が使われている。これはいまさらしようがないというような気もするのだけども、一言申し上げておくと、この試算はいまの企業収益の激動期、変動期において、果たしてよかったのかどうか。しかも、これは単なる試算ではなくて、これをもとに税収減への対応という財源措置を講じるということが、果たしてよかったのか、正しかったのか、ということであります。もちろん、これは変えろとか何とか、いまさら変えろといってもそうもいかないと思うので。

委員

委員はどっちにぶれると考えているんですか。少なくなると見ているんですか。

委員

私は少なくなると思います。

委員

ところが、多くなるという人もいたんですよ。それで、後ろにくっついていたのを消してしまったんですけど。まあ、12年度と断ってありますからね。

委員

それと、ここが気になるところ、議論があったところで、[3]の最後のところ、「その上で連結付加税の措置を講じることが考えられる」と。この「その上で」というのがどういうことを意味しているのか。つまり、当座はといいますか、最初は租特の見直しや課税ベースの拡大だと、あるいは欠損金の繰越控除否認だというようなことでやっていって、「その上で」というのは、やはり付加税をやりますよというのか、租特、課税ベース、それから繰越否認、こういうことで間に合えば付加税はやらなくていいですよという意味なのか、非常に「その上で」という表現が両面にとれる。どうも財務省の財源措置を見ていると、何が何でもやるんだというような意味での「その上で」というような印象があるんですが、これでいいのかなと。税調における議論を聞いていると、付加税はやめたほうがいい、ほかのことで頑張りましょう、というような意見のほうが大勢だったように思うので、この「その上で」という表現の意味を少し明確にしておきたい。

委員

そうしたら言葉を変えるしかないですね。つまり、「その上で」というのは、おっしゃるとおり二通りとれるわけですよ。二通りとれるように書いておくのも手かもしれないし。私はどちらかというと、前から言っているように、できたら下げたらいいと思っていましたよ。ただ、そういう意味での「その上」というのは、委員のおっしゃった後段ですね。ただ、前段でどれだけ確保できるかによるんですよね、ひとえに。だから、この「その上」を何とか別の言葉で変え得ることがあれば……。ただ、どっちで書くかですよね。

委員

だから、私の申し上げたいのは、万一やむを得ないというニュアンスがもう少し出ないかと、こういうことですね。

委員

なるほど。何かいい言葉がありますか。

委員

1点ちょっと言わせてください。私も全く同じ感想でさっき言ったんです。わからないので。私も委員と同じトーンですよ。本来、こう言ってはなんですけど、税当局に悪いけど、こういうのは筋が悪いですよ。そもそもの連結納税の制度を壊しますよ、こういうことをやっていると。ただ、経済状況がきついし、30兆円という制約がかかっているから、いろいろ大変なんだろうとは思いますけど、やはりそれは本当に例外的な緊急避難的なことだということを、もうちょっと書いたほうがいいんじゃないですか。

委員

わかりました。

委員

10ページから11ページの本文のほうなんですが、老人マル優の廃止と生損保の特例の廃止とが同じトーンで書かれていまして、先ほどどなたかがおっしゃったように、「本制度は基本的に廃止に向け検討することが適当である」というのが両方とも同じになっているのですが、どうもこの税調としても、生損保のやつはもう毎年毎年言ってきていているわけでして、マル優はちょっと違いますし、そもそも老人を対象にするものと、特定の業界あるいは金融商品間の公平性とかいろいろな問題がありますから、特に生損保の問題については、もう少しトーンを強めていただければと。例えば、「このような実態を踏まえて速やかに廃止をすべきである」とか、廃止に向け何とかするという、ちょっとこの辺が同じようなトーンはいかがかと思いますので。

委員

わかりました。確かにそういう御議論もありましたね。

委員

別の点でいいですか。

委員

今のは承って、採用させていただくかどうか議論したいと思います。

どうぞ、委員。いいですよ、別のところで。

委員

先ほど、今年度の予算編成の基本方針等のトーンと、いま我々が出すこの答申案のトーンの違いというか、それについて地方財政のところで、いくつかちょっと指摘したいと思います。

まず、本文の3ページです。「地方財政の状況と地方税」のところですが、こちらの予算編成の基本方針のほうの地方財政というところ、ここは9ページなんです。それで、予算編成のほうは、行財政改革とともに事業規模の縮小というのがきちっと書いてあるんですね。こういう行財政改革と事業規模の抑制に取り組むことが求められていると、1つは私の案ですが、きちっと言う。

それから、次の点ですが、「地方税の充実確保を図ることが重要である」と書いてある。そのあとに、「その一環として、国と地方の役割分担の見直しを踏まえつつ、国庫補助負担金の整理合理化や地方交付税の見直しとともに」と書いてあるのですが、この見直しというのは、つまり補助基準が厳しくなるということなんですね。したがって、そのあとに補助基準が厳しくなるということは、自治体が本来自主的な経済運営を促すという必要があるんですよ。しかし、ここに書いてあることは、「税源移譲を含め……税源配分について根本から見直しそのあり方を検討すべきである。その際、……自治体に与える影響を踏まえる必要がある」。つまり、税源移譲を見直すのだけど、見直してほしくないというような結論になってしまっているわけです。これでは全然言っていることがトーンが違う。つまり、自主的な財政運営を促すというのがまず第1であるというので切って、そのあとに、これをどうしても入れたいのならいいのですけれども、こういう言い方をするから、地方財政と税制の問題がいつもあいまいに終わってしまう。

もう1つだけ、最後のページ、やはり同じ問題なんですけれども、ここの最後の2行の前に、法定外税についてのこの最初の3行の言い方が、「望ましいが何々に問題がある」というのは、望ましいというほうがよっぽど強い問題なんですよ。よっぽど重要な点なので、切ってくれと。つまり、ここについては、「もっと積極的に」というぐらいに言ってほしいわけです。まあ「ただし」ぐらいですね。「ただし、一部」ぐらいで、これはマイナーな問題で、この「特定の者」というのは取ってほしい。地方自治体というのは特定の者しか相手にしていないので、これは取る。むしろ、最後の2行のところに、「住民自治の趣旨からは、まず、住民に正面から向き合って」と書いてありますが、この主語がないので、「自治体は」なんですよね。「自治体は正面から向き合って、自らの責任と負担」、この辺が何を言いたいかちょっと……。「自らの責任と負担で施策を進めると同時に、それに対する負担を住民に求める」とか。

委員

要するに、わかりやすく書いてくれということですよね。

委員

きちんと、うわなりをするのではなくて、自治体が、税制であれ、料金であれ、きちっとした、財政に責任を持つのだということを書かないと、何を言いたいかわからない。

常にこちらの社会資本整備のほうも、上水道であるとか、いくつか地方自治体関係の分野の問題提起がされていまして、つまり、今後、補助金などを当てにしないで、自ら何らかの資金調達というか、財源調達をしなければならないと書いてあるところがありまして、そういうことを考えると、ここがあまりにもあいまいなために、いつもこのあいまい議論で終わる。要するに、料金でも何でも、特別予算のところは、主に独立採算でできる事業体は地方自治体にはたくさんありますし、郵政の民営化もございまして、実際に民営化できるところもたくさんある。それに応じた財源調達機能というのを自治体は持っているわけですから、それを積極的に活用すべきという、こんなトーンで書いていただければと思います。

委員

いまの委員のおっしゃったのは、閣議決定の平成14年度予算編成の一番最後のページに書いてあるあれですよね。地方にできることは地方に任せるという、そういう趣旨をここに反映できないかという御提言ですね。

委員

そうです。

事務局

いま委員からいろいろいただいたのですけど、確かに地方財政全体の話はまだ議論が進んでいないので、そういう意味で、3ページのところで、まさにこれまで御紹介してきた例の「骨太」ですね、あそこに集約された話を主にセットで持ってきて、そこから先へ進んでいないというのは確かなので、それは議論はまたこれから必要なのですが、いまの段階で、予算編成で触れているところまで細かく税調として触れるわけにもいかないので、3ページはそういう趣旨で、「骨太」のベースでもって書かせていただいています。

それから、後段の一番最後のところ、法定外税というところは、課税自主権、あるいは負担と受益とか、その辺のところをいろいろ御注文いただきましたので、後ろのほうは、様々な角度からいただいたのをよく考えてみます。

委員

10ページから11ページ、議論をもう一回なぞるような感じですが、老人マル優と生損保です。さっき委員も言っておられましたが、もうちょっと整理できるのではないかなというか、やはりかなり基本的に性質の違った問題を一緒に並べるものですから、印象が混乱するような印象なんですよね。こういうふうにできませんかね。つまり、老人マル優というのは、議論としては、高齢者の所得分布が二極化して、本当に生活が苦しい方もいらっしゃるから、この人たちは温かくいろいろしなければいけないというのは事実なんですけど、それと老人マル優はかなり実態が違うのではないかという議論ですよね。大体、名寄せすればわかるのでしょうけども、相当資産を持っている人がこれを活用してしまっている。本当に恵まれない方がこれでどのぐらいメリットがあるのか。むしろ、その税制優遇措置ぐらいだったら、その人たちの生活をもっと直接的に支えるようなやり方というのは、いくらでもあり得るのだと思うんです。だから、これは非常に歪んだ仕組みでしょう。そういうことなんだというのを、もうちょっとわかりやすく書いていいんじゃないですか。二極化しているから、それは御意見はよくわかるのですけど、だけど実は高所得者の人のほうが実態はたくさんそれを活用しちゃっていて、低所得者のほうにはそういう意味では効果がなくて、だからこんなものは整理してしまって、むしろ直接にそういう方々を支援するということのほうが重要だ、という議論だと思うんです。

もう1つの生損保は、これは大昔は、特に生保ですけど、貯蓄優遇で来たんですけど、いまはみんな持っているわけで、優遇というのは意味がないし、それから、これほど新しい時代で、いろいろな金融商品が出ている中で、何で昔からやっていたからずっと特典があって、新しいものに特典がないのか。大体、特典なんておかしいわけですよ。様々な金融商品について公平と、それは見事にここへ書いてあるので、金融商品間の税負担の公平性、中立性、これで十分なので、その次にパラグラフが1つくっついているから、ちょっと混乱するので。ただ、会長は多分怨念があるから、こういうふうに書いているのだと思うけど、俺は何度もずっと言ってきたのに、効かないから、時限措置ぐらい入れたいんだよというポイントなんでしょうけど、お気持ちはわかるけど、ちょっと書き方が、読んだ印象がぴしっとこないんですよ。

マル優の考え方に関係することなんですが、8ページの最後の2番目のパラグラフ、もうちょっと私はこれを強化すべきだと思うんです。つまりこう書いてあるんですね。租特って何だという議論をしているんですね。租特があまりよくないのは、補助金の裏返しであるとだけ書いてあるんです。私は、それもそうですけども、実は租特の問題点というのは、もうそろそろ大なたを振らなければいけないのは、何で何もかも税金なんだよということなんですね。例えば産業振興が税金だ、何が税金だ、全部租特で何かする。そんなことよりもっと直接的な政策手段があるはずなんですね。税というのはそんな変なものを乗っけてはいけないのであって、もっとシンプルにしろと。だから、ここは時代の変わり目なんだからやるんだよということを、やはりここへはっきり書かれたほうがいい。単に補助金の裏返しですからというような、何か言葉尻みたいなのだけではなくて、もう正々堂々と、租特の時代ではありませんと、何もかも税にくっつけて、税の体系をごちゃごちゃにわかりにくくしてしまって不公平にするのは、もういいかげんにやめよう、というふうに太い線で書かれたほうがいいんじゃないですか。

委員

老人マル優の二極のところは、実は委員がかねてそういう御議論があったとは思いますが、やはり直近のほうで述べられた議論がかなり影響を持ってきていまして、つまり起草に入った段階での意見でこれをやったので、委員がいまおっしゃた意見をどこまで組み入れられるかどうかわかりませんけど、そういう情報も少し入れられたら入れますけど、そういうわけで、ちょっと委員の意見が薄いかもしれませんね。

委員

租特を整理するというのは……。

委員

租特は結構ですよ。

委員

またもとへ戻って申しわけない。5ページ、連結と財源の問題でございますが、連結納税というのは1つの立派な旗印になっておる。その旗印のもとでなら、とにかく何でもできる。そのためには若干の穴があいてもというわけでもないだろうと思います。これだけ税収なり全体の財政が厳しいときですから、そういう大変な制度ではありますけれども、やはりそこは税収的に穴のあかないようにしていただく。

この時点ですから、ほかの分野でもいろいろ税制上、優遇措置を景気対策として望む分野がかなりいろいろある。そうした人たちから見れば、やはり連結ならいいのだというわけにはいかないだろうと思いますので、そこは財源措置はしっかりすると。そして、いろいろやって付加税が要らないというのなら、別に無理にやる必要はない。「その上で」というのは、その上でやはりやるのだという意味ではないだろうと思います。そこはもう修文の問題は、会長のほうの御判断だと思いますけれども、とにかく、財源措置はしっかりしてくださいと。その中には、必要があれば付加税も入るんですよ、必要がなければ無理にやることはない、という趣旨だろうと思いますので、そこの趣旨だけははっきりさせていただければと思います。

委員

わかりました。難しいですね。

委員

『答申案』の12ページですが、金融・証券関係税制の一番最後に「その他」として、「所得税で確定申告不要制度が採られている一定の少額配当については」云々と記述があるわけです。先般もちょっとお願いした部分なんですが、片一方の論点整理メモでは、その間の論点をいろいろ書いていただいています。「配当課税については、納税者の9割以上が少額配当特例を受け」云々、それから、「ロ」として、「証券市場の裾野を拡大し、広く一般の国民の市場参加を促進する観点から、配当課税のあり方について検討する必要があるのではないか」と。配当課税については、おそらくいろいろな議論が出されたのだと理解します。その中で、これだけぽつんと「その他」として入れる必要があるのかということについて、若干疑問を持つのですが、これは取るといいますか、これを書くならば、もうちょっと配当課税についての、例えば「イ」と「ロ」の部分につきましても、何か加えていただけたほうがよろしいのではないかという気がします。

委員

もうちょっと『主な意見』のほうの意見を加味した形で書いてはということですね。わかりました。

委員

いろいろ御意見の出ております老人マル優と生損保料の控除制度のところですが、老人マル優のほうは、10ページの下から7、8行目に、「高齢者世帯の所得に占める利子所得の平均割合は総じて1%前後である。これらを踏まえれば」とありますけれど、1%前後というのは、非常に利率が低いですからこうなっているわけで、本当に所得や貯蓄の少ない生活の厳しい人たちにとっては、これがもう少しあったときには、ちょっと何か、今度利息が入るからと思っていたのが、もうほとんど楽しみがなくなったということを言うぐらいで、「1%前後である、だから」というのは、どうしても私は、文章としてというよりも理屈の上で、利率が下がってしまったからそうなっているのに、「これらを踏まえれば」と言われるのが納得できないというところです。

それで、先ほども高所得者あるいは資産のたっぷりある人たちがこれを利用して、むしろ生活の厳しい人たちには、それなりの直接的な手当てのほうが必要ではないかというお話がありましたし、新聞でたしかそういうことを大臣が言われたというようなこともちょっと読んだことが、新聞情報ですから正確がどうかわかりませんけれど、ありました。それから、数年前にもやはりこれの廃止の話が出ましたときに、「むしろまとまった金額を社会保障に使ったほうがいいのではないですか」と言われて、「ただ、それに使われるという保証は全然ないのではないですか」と申し上げたのを、いま改めてまた思い出したのですけれども、やはりここは一番最後に「経過的な手当てを考慮しつつ」という先ほど御説明のことだけではなくて、やはり何かちょっと高齢者にとっての、特に低所得者にとって非常に酷であるということを感じております。

文章のどこを修文すればということが、私はそもそも、あるいは高所得者の人が使うのかもしれないけれども、いまストレートにすぐに廃止というのは、やはり非常に酷だなということを発言もし、それから、書面も出しましたけれども、例えば高所得者あるいは非常に資産がたっぷりある人は応分の負担というのは、ここまではたびたび申し上げますように否定しませんけれども、生活の低い人にとって、いまのままでしたら、もう外される以外何も残らないということで、そこのところを経過措置だけではなくて、何かできないのかな、何か書けないのかなという気がしております。

それから、生損保の保険料控除については、これは私は決して業界のために言っているわけではなくて、保険の加入者としての消費者の立場、納税者の立場で言っているわけでして、これをストレートに租特と言うのが本当に適当なのかどうか、という議論も小委員会のほうではあったように、資料をちょっと拝見したときにはそんな感じもいたしました。そして、「保険の貯蓄としての側面に着目すれば」という文章がありますけれども、確かに一部の保険についてはこういう側面があることを否定しませんけど、保険そのものと貯蓄とをイコールで比較することは、ちょっと無理ではないかなという気もしております。

それで、やはりこれについても、いまの文章よりもむしろ厳しくというお話もありました。ここの租特の9ページのところに、「一定期間利用実態の低調な、いわば形骸化した措置について」ということがありますけれども、生命保険については、加入率は高い。決して低調ではないわけで、むしろもう少し保険にたくさん入りたいけれども、なかなか入れないという若い人たちも多いわけで、その辺を考えると、少なくともいま以上に厳しい文章にするということは、やはりちょっと認めることはできないという意見でございます。

委員

ありがとうございました。御意見を伺っておきます。そういう御意見も踏まえて、例の「所得分布が二極化しているため、その実態を踏まえ慎重に」なんていうのは、ちょっと抽象的ですけど、そういう趣旨で書いたり、あるいは10ページの下から3行目に、損保の、あるいはその前の生保についてもいろいろ書き込んだり、御意見は紹介しているんですが、ただ、和田さんのお立場からいうと、最後のところがばっさり切られた感じになっていますから、前段でいくらごたごた言われても、何やらすっきりしないと、こういうことだと思いますよ。わかります、それは。何かその辺でできるのかできないのか、難しいんですけど。それで確認は、1%前後、これを踏まえてという、こういう数字を入れることはちょっと問題であるという御趣旨の御発言があったわけですね。

委員

ファクツを2つばかり教えていただきたいのですけど、事実を。事務局に教えていただきたいのですけど、老人マル優でもしこれを撤廃したら、増収になるという額はいまだといくらぐらいかということです。1,000億円いきますか。昔はすごく大きかったんですよ。

委員

定額が吹っ飛んだら1,500億円ぐらいでしょう。

委員

それで、もう1つ伺いたいのは、300万円を入れておられる、低所得者の方はせいいっぱいそのぐらいだろうと思うのですけど、それを入れていたときの租特によって浮かばれる減収はどのぐらいか、23円とかそんなのではないですか。わざと言っているんだけど。

委員

もう一回言ってください。2番目がよくわからない。

委員

300万円入れたとするでしょう。老人マル優の適用。

委員

350万円ね。

委員

老人マル優の適用を受けて。老人マル優制度がなかったら税を払いますから。

委員

それがどのぐらい負担になるかということですね。

委員

老人マル優があることによって、どのぐらいの収入のプラスになるか。

委員

それは個人の?

委員

個人、いま350万円で。何十円とプラスがありますか。何百円ありますか。たばこ1箱ぐらいいきますか。もうちょっといきますか。

事務局

とりあえず先に減収額のほうをお話しさせていただきます。あと数字の350万円のほうは別途答えてもらいますが。

たまたま現在は、例の定額郵貯の大量満期に遭遇していますために、形上、非常に大きな額、6,000億円を超える額になっておるわけです。ただ、実態は、この分は当然過去の分でして、いまの状態でいきますと、1,000億円強ぐらいの減収額になるということでございます。

委員

先生、事務局よりも……。

委員

ちょっと待ってください。

委員

いや、事務局が言うよりは……。

委員

ああ、そう。どうぞ。

委員

それを先の委員がかねがねおっしゃっていたので、老人マル優を廃止すると、老人が非常にお困りになるというような御発言を何回か承って、計算しみたんですけど、大した計算ではないですけど、300万円で0.4%、これは相当高いほうでしょう。年の利子が1万2,000円。そうすると、その20%ですから、年に2,400円、月に200円で老人が困りますでしょうかね。おそらく老人マル優廃止の一番の問題というのは、これは効果がないから、こんなものを持っていたってしようがないということなんじゃないかと思うんですね。効果がないものを置いておいて、租税特別措置で老人が助かるという言い方自体が論理的に成り立たないので、原理原則からいうとこれは大変な特別措置ですから、それは廃止したほうがいいというのは租税理論として当たり前の話で、もし効果があるのであれば、また話は別かもしれませんが、例えば100万円しか持っていない人ですと、年に4,000円の利子で、利子は年に800円ですよね。800円減税になったから、それは一定の人にとっては大金だということはわかりますが、別のやり方でやったほうが、これは当然なんじゃないかと。原理原則を歪めてまで800円減税して意味があるかということだと思います。

委員

そのポイントを受け継ぎたいんですけど、つまり、800円の話がありますけど、実はこれを活用しているのは、むしろ高資産家なんですよ。だから高資産家が恵まれない方の名前を活用して、自分たちが何万円も得しているということのために、国家が1,000億円も2,000億円も減収になるということに問題があるので、私はむしろ低所得者の方々が安心というのは、じゃあ一体何が一番心配なのかということですけど、たばこを数箱買えるという楽しみもあるかもしれませんけど、やはり医療とか、介護とか、生活保護とか、失業のときのその問題ですね。ですから、医療改革というのは非常に重要なんですけど、ただ、介護なんていうのは、やはり基本的に日本はものすごく恵まれない方のほうに重点的に施設介護のサービスが提供されますので、これは中層階級はほとんど手に入りませんから。生活保護は当然のことですけど。そういう意味では、全体像を、直接サービスとそういうものを税にかけたほうがいいのか、その税を恵まれない方の名前を語って、高資産家のほうが得しているというその歪みが国家の税収を少なくしている、こういう問題なんだろうと。私はそんなふうに思っています。

委員

いろいろ多局面に議論が広がっていますが、どこにポイントを当てて、どこに焦点を当てるかによって、議論が大分違ってくると思いますから、おそらく先の委員の当てているところと、今の委員の当てているところは、多分一致していない面があるのでしょう。

委員

委員のお話を聞いてから、ちょっと一服しましょう。

委員

ちょっと伺いますけど、いまおっしゃっていましたその2,400円、300万使ったとして2,400円。

委員

300万の貯蓄で0.4%ですと、2,400円が税額ですね。

委員

2,400円というお話がありましたね。2,400円というのが、その人にとってどれだけの意味があるかどうかというのは、そう簡単に切り捨てるわけにいかないのと……

委員

もちろんそうですよ。

委員

それから、いま申し上げましたように、それがなくなって、それが本当に直接にいろいろなあれに使われるという約束がどこにもないんですよね。それで、いま税制と違うかもしれないけれど、なおかつそういう人たちが医療改革、それから介護保険の保険料、そして、今度は実際に介護を受けるときの1割負担が払い切れないという、そこにつながってくるんです、本当の話。ですから、2,400円というのは、何でもないじゃないかということは、なかなか言い切れない面がありますし、それから、高額所得者の人も300万円なら300万円、これは利用できるのは同じわけですよね。ですから、際限なく使えるわけじゃないですから、別に高額所得者なり高額の資産を持っている人が、際限なくこれを使って、非常にとんでもない得をしているということにはならないのではないかなと思いますけど。

委員

名寄せの問題等々があるということをおっしゃっているんです。

委員

名寄せですよ。

委員

つまりダブって不正に……。

委員

嘘の名前を使っていますから、数倍は使っています。

委員

先の委員の意見に賛成です。先の委員の意見を支持します。

委員

税制論議をやっていて、この税制のロジックが、気持ちとして温かい税制なのか、冷たい税制なのかというのは、しょっちゅうあるんだね。いまの話は基本はそこですよ。細かい数字を出されれば、やはりおたおたしてしまうわけだから、それでもなおかつ、ねばり強く主張されているのは結構だと思うし、別に反対しないけれども、しかしやはり現実の数字をベースに考えるということが根っこにないと、情緒纏綿なる議論になりがちなんですね。だけども、当税調がこのテーマについて、お互いにもう15分ぐらいしゃべっているんだ。これはなかなか温かい人が多いんですよ。そういう気持ちを持ちたいという人が現実には多いわけだ。ただ、委員が言ったみたいに、我々だって自分で計算してみれば、僕もれっきとした72歳の老人だからわかるけど、こんなものあっても関係ない、そんなことは。国がそういうところについて若干の気持ちを持っているというメッセージをこれに入れたいという党派的な議論があるなら、それはそれで構わない。そういう主張があっても構わない。しかし、我々は冷酷かどうか全然わからないけれども、とにかく1つ割り切りがあるじゃないかという話だと思います。これは消費税を入れるときから、この議論は何ぼやったかわからない。

委員

委員は、あえてまた何か言われることがありますか。セコンドするということですね。

委員

先の委員の意見を支持します。

委員

わかりました。

委員

この文章、「平均貯蓄残高は高水準にあり」と、これはいま委員も言われたことで、もしこれが人々の生活を本当に重んずるメッセージだったら、これはよくない表現だと思いますよ。平均なんか問題にしているんじゃなくて、本当に恵まれない人はいるんです。この人たちは直接的に救わなければいけないんです。ということだと思いますね。

委員

この税調で温かくしなければいけないという声も根強くあるのは十分承知しております。今回の答申は渋いとか暗いとかというのを当初から御意見をいただいた場合もございます。ただ、税調としては、私は基本的には税制の理論というのがおそらくあって、かつ、それをベースにして書かざるを得ないのだろうと思います。

それで、いまの御議論の大半は、状況判断のいうならばジャッジメントで、どこにどうするという御議論で、これもまた重要だとは思いますけど、それを全部ここに書き込むわけにいかないわけで、これまで総会あるいは起草等々、面々とこの答申案を作成する過程において出てきた議論のマジョリティというか多数意見は、ここに書いてあるような書き方で、ちょっと不十分ですが、皆さんの合意を得られるだろうということで書きました。論点のほうには、先の委員等の御意見のものも書いてございますので、いまいただきました点で、平均割合のところが1%とか等々のところで、ちょっと不十分な点、反対の方から見るとかなり不十分な点もあろうと思いますが、これちょっと修文させていただきます。ただ、全体のトーンは、やはりこれはこれまでの議論でございますから、廃止ということは、もう毎年毎年というか、この間の前税調の時代の中期答申にもはっきり書いてあるわけでありますので、これは書かせていただきますが、前段の事情の説明のところだけは、もう少し慎重に書きたいと思います。

ベンチャー等いろいろあると思いますが、ちょっと休みませんか。

いまの点ですか。ではあなたが最後ね。

委員

先の委員等の御意見は、私なりに気持ちとしてはよくわかるのですが、率直に言って、これは租税特別措置とほとんど同じものだと思うのです。租税特別措置というのは、私の定義によると、水平的公平ということを満たさないものが租税特別措置だと。つまり、例えば男だけに課税して、女には課税しないというのは、これは性だけに課税しているわけですよね。それから、職業である職業だけに課税する。これもほかの職業には課税しないという意味で、水平的公平を欠いているわけですね。老人マル優というのは、ある世代だけに課税を免除するわけですね。そういう意味で、これは非常に水平的公平を欠いている措置だと。

先の委員が所得制限を出しなさいと、そのかわりに年齢制限を廃止しなさい、そういうおっしゃり方をされるのであれば、私はそれはよくわかります。しかし、年齢をこのままにしておいて、それで残せと。そうしたら、例えば40代、50代、あるいは母子家庭、そういう家庭で本当に所得がない方に関しては、どういうことをお考えになっていらっしゃるのか、私にはわからない。だから、そういう意味で、こういう老人マル優という措置は、やはりおかしいということ。言い方はもう少し変えたほうがいいかもしれません。私が書くのであれば、老人ということをもっと強行に書きますが、そういうことをお考えになって、場合によっては修文された上で、この部分の基本的なメッセージに関しては、私は残すべきだと、報告案に賛成であるということであります。

委員

母子家庭、身障者はこれに入っているんですよ。

委員

ああ、ごめんなさい。

少し10分ぐらい休みましょう。少し頭がカッカッしてきた点もありますから。4時再開ということで、少し外の空気でもぜひ吸ってきていただきたいと思います。大変に白熱した議論になってきまして、後半が楽しみでありますので。

(休憩)

委員

それでは、前半とか後半とかパーツを分けないで、残ったところを残った時間で処理したいと思いますので、一応、そのタイムリミットは5時と考えておりますが、その前に早く終わることは一向構いません。

それでは、さっそく、ベンチャーでしたね、どうぞ。

委員

いつも同じテーマですみません。

委員

何ページですか。

委員

『答申案』の9ページです。これは政策目的というところで取り上げていただいているわけですけれども、まさにそうで、いま日本は、申し上げるまでもなく、いまもってまだ開業率を閉業率のほうが上回ったままですし、これを何とかしなければいけないということで、やはり私たちベンチャーとしては、いまこそベンチャーが頑張る時代というふうに考えております。ですから、自分の仕事だけではなくて、たくさんのベンチャーたちを育成するように頑張っておりますけれども、非常にいまもって難しい。それは雑誌とかマスコミに取り上げられるようなそういう有名なベンチャーにはいっぱいお金がいくと思いますけれども、一般のベンチャーにはなかなかそれがない。御存じのとおり、銀行からの融資、そういう間接金融というようなものは、いまほとんど望めないような現状です。その中で、直接金融への道を開くというのは、ベンチャー支援というテーマにとっては、不可欠だと思います。

ここの書き方を見ますと、「利用実態」の上から3行目のところに、「中小企業、ベンチャー企業を優遇する政策税制については」と書いてありますけれども、これは少し時代錯誤ではないかと思います。ベンチャー企業を優遇するというのではなくて、本当にいま日本の国にとって、大きな政策の1つとして、ベンチャー企業を支援していかなければいけないという認識が、私はこの政府税調には少し欠けているという気がします。

ベンチャー支援をなぜしなければいけないのかという説明を、いま私がする必要はもう全くないと思いますけれども、これだけいろいろな大企業が店じまいをして、たくさんの人たちが輩出してくる中で、何とかしてベンチャーが頑張って、雇用の場を開いていかなければいけないと私は思っておりますし、その道はいろいろあると思っております。いま社会から求められている生活支援型サービスというのは、実に多彩・多様なサービスがいっぱいあります。それを例えば女性ベンチャーたちも頑張って企業にしようとしておりますけれども、その直接金融への道が開けないと、それは非常に困難なんですね。ですから、そういう直接金融への道を思い切って開くためには、やはりエンゼル税制にしても、もっと中途半端じゃなくて、ここにも政策目的や効果を常に検証していく必要があると書いておられますけれども、この政策目的や効果は、いまのエンゼル税制その他では、全く効果が上がっていないと思います。政策のための税制だと考えておられるのならば、その政策が実効あるものにしていかなければ意味がないのではないかと思います。

そういう意味で、その「利用実態」の上から5行目のところに、「上記の視点から既存の措置を徹底的に見直した上で、真に有効な措置についてのみ存置する必要がある」と書いておりますけれども、これは有効な措置だけ残すという発想ではなくて、まだまだ足りないものを本当に真剣に考えて、つくっていかなければいけないと思っております。不平を言うつもりはありませんけれども、やはりこの政府税調、皆さん大変立派な方々が多くて、私のような本当にマイナスから立ち上がってきたベンチャーという人たちがほかにおられないというので、何度このテーマを持ち出しても、あまりわかっていただけないという悩みがあります。ぜひ御検討をよろしくお願いしたいと思います。

委員

具体的に、中小企業、ベンチャーを並べて書いていますから、共通項で優遇する政策税制という言葉でくくられていますが、中小企業を優遇しているというのは紛れもない事実で、企業関係の租特の減収額のうちのかなりの部分、6,000億円のうちの4,000いくらか、3分の2ぐらいは優遇税制になっているわけですが、おっしゃっていただいたのはベンチャーの取扱い方ですね。

委員

そうです。

委員

何かうまく、中小企業とベンチャーというのを使い分けることが可能かどうかわかりませんが、趣旨のことはわかりました。

委員

やはりこれは書き分けるべきだと思います。

委員

ちょっとその辺は、従来のやり方で書いてきたのでこう書きましたけど、ちょっと考えてみましょう。

委員

よろしくお願いします。

委員

連結納税制度ですが、連結付加税のことを言っておられた委員の方々がお帰りになってしまったのですが、もともと連結納税制度は、立場もありますので御説明しますと、いわゆる企業の一体的な経営ということを拠りどころに、そういった法人については、グループで計算することを認める、そういうことでありますし、また、世の中持株会社が進んできた以上、やはり1つに集めて計算するということも合理性があるだろうということですが、実際にやはり連結財務諸表のイメージとダブるところがありまして、連結財務諸表というのは、世界中の自分の企業に関連した経済活動を把握して、収益がどのくらいになっている、それとともに債権者や投資家を保護するという意味がありますけれども、連結納税というのは、あくまで税金を納めるための計算の仕組みで、しかも内国法人だけに限っていますので、それほど皆さん言われていたほど、何かすごい、基本的考え方にはそう書いてありますけど、書いていない部分もないわけではないのですけれども、21世紀のインフラストラクチャーですごい立派なものだと、こういうイメージとは違いまして、税金を納める手段であるということですね。

それを考えた場合ですが、いわゆる特別措置の整理、あるいは個人の所得税のいまお話しになっているような問題が片付いていく。他方で、連結納税によって、さてこれが時期が問題ですけれども、申告がなされた場合に、けがの功名で事業税というのが単体で残っておりますので、事業税レベルで納める所得金額をお受けして、こっちで連結で納める金額、これがはっきりと差が出てくるわけですね。それも会社がマスコミ等で報道された場合に、何で大企業だけこんな減税を受けるのだと、そういうような社会的批判がおそらく必ず出てくると私は考えているわけです。そういうようなことに対しましても、やはり一定限度の連結付加税といった形である程度カバーしていただく、そういう姿勢がむしろ必要ではないかと思うのです。これは本当にごく特定の大企業、あるいは同族会社だけが使う制度ですので、やはりいま連結財務諸表のイメージで浮かんでいますけれども、何か現実に本当に納める税額が出てきた場合に、はっきりいってそれが結論として出ますので、それに対応するという意味でも、連結付加税の可能性というのは、ぜひ残しておかなければいけないのではないかと、こう思っております。

委員

ありがとうございました、状況説明をいただきまして。具体的に例の「その上」とか、何か修文のところでそういう気持ちをあらわすか、それとも、具体的にごく一部の、本当の数%の、法人の課税は数%だと思いますけど、それが恩恵をこうむるというのを書くかどうか、これは会長代理とも議論させてもらいますが、御趣旨はよくわかりました。

委員

議論をまた蒸し返すようですが、老人マル優のところで、要するに、これまで税調が廃止ということを主張してきたというのはわかります。したがって、その主張の繰り返しであるという説明もわかります。

ただ、この答申の書き方がいいのかどうかということで、若干意見があるわけです。というのは、先ほどから委員がおっしゃっているような、困っている人だっているのだという議論と、それから、課税の理論からすれば、公平の議論からすれば、やはり廃止というのが適当ではないかと、そういう2つの意見があって、その中で、いわゆる実態の数字がどうのこうのという議論もございましたが、要するに、こういう問題というのは非常にデリケートというか、ある意味では高齢者たちをどう見るのだと、こういうことにもかかわってくるわけであります。したがって、結論は結論としても、税調としては、そこら辺の事情はよくわかっているという姿勢は出しておくべきではないか。

そういうことからすると、この所得分布の二極化論だけで慎重論を代表するのがいいのかどうか。私はかねがね申していますが、やはり老後資金1,050万円という、複数の口座を持っている云々の話はありますが、1,050万円というのは、長い老後を過ごしていく上での妥当な貯蓄水準ではないか。逆にいうと、それを持っていない人は、生活保護にかかったり、社会の保険料を払えなかったり、社会的入院を繰り返したりということが、別の意味からの財政負担というものをもたらすわけで、そういう意味では、1,050万円ぐらい持っていてもらったほうが、国の財政としてはかえっていいのではないかという見方もできるわけであります。細かい書き方は会長に一任いたしますが、私は老後資金の蓄えを推奨するという意味も若干あるのではないか。少し情緒的になるかもしれませんが、そういうあたりも慎重論に入れておいたほうがいいのかなと思います。もっとも、最後でありますから、あまりこだわりません。お任せします。

それから、もう1点だけ。先ほどの租税特別措置、9ページでありますが、租税特別措置について、個別のどれを残すとか、どれを廃止するとかというところには、なかなか踏み込めない。したがって、一般論でこの問題は処理するということは、しようがないのかなという気がいたします。

ただ、この書き方という問題で、9ページ、いろいろ基準を、一般原則を並べているわけです。政策目的、効果、対抗手段としての適正性、それから利用実態、この3原則を列挙しているということで、そこはわかるのでありますが、(1)の「政策目的・効果」、ここのくだりの書き方がこれでいいのかどうか。つまり、あくまでも政策手段であると。目的や効果というのは常に検証していく必要がある。これはこのとおりなんですが、そのあとに「特定の業界・企業等の本来業務に必要不可欠な資産などに対する優遇措置は政策効果がないと考えられる」という、これが何か急に出てきたなということで、これは何を具体的に指しているのか、どういう例を想定しているのか、何かここが突飛な感じがするわけであります。

例えば、これは入れるかどうかでありまして、目的や効果ということを検証していくのだと。例えばわかりやすいのは、輸入促進税制なんていうのは、もういいのではないかと。政策目的自体が変わっているのだからということになると、非常にわかりやすいのだけれども、「本来業務に必要不可欠な資産に対する優遇措置は政策効果がないと考えられる」ということがいきなり出てくると、何が言いたいのか、つまり、政策目的・効果という(1)の説明として、これが何かしっくりするのかどうかということで、ちょっと理解に苦しむ。

もう1つは、その文章の中身自体、「必要不可欠な資産などに対する優遇措置は政策効果がないと考えられる」、これはどういうことなのか。じゃあ、必要不可欠じゃない資産に対する優遇措置は効果があるということなのか、というちょっといじわるな見方もできるわけで、ここはちょっと検討したほうがいいような気がいたします。

委員

これは基本資産というのを消してしまって、要するに航空業界の航空機みたいな話ですよ。それを消してしまって、本来業務に必要不可欠な資産なんて書いたから、まさに鋭い御指摘をいただきましたけど、わからなくなったんです。もう一回それは考えてみます、わかるように。そういうことが背後にあってこうなってしまったので、直すとかえってわからなくなってくることも多々あるんですよ。ちょっとこれ検討します。

委員

『答申案』のところの最初の部分、1ページ、2ページあたりのことなんですけれども、「検討に当たっての視点」というふうに書いてあります。そのあとに2つあって、税制改革の点検と最近の状況というふうに2つに分けているわけですね。税制改革の点検のところに、税制の流れと、そして税負担の現状と今後の対応と、また2つに分かれているわけです。

これを読んだときに、ちょっと構成的なことで思ったんですけれども、2ページの「税負担の現状と今後の対応」の前のところ、その上の部分の何行かなんですが、流れを書いているのだとしたらば、この下の3行は下に送ったほうがいいのではないかという気がするんです。つまり、その(1)のところは、いままでの税制改革の流れをずっと書いてきて、ここで「この点も含め租税の現状について積極的な広報に努める必要がある」云々というのが出てくるのですが、流れを書いているのだったら、流れだけを書くほうが気持ちはいい感じはするんですね。そのあと(2)で「税負担の現状と今後の対応」のところに、「以上のような税制の流れを経て」こうなったという現状を言っているわけですから、この現状を言ったところで、こういう現状に積極的な広報に努める必要があるというふうにして、そして、これからますますこういうふうになっていくだろうからというところで、今後、この簡素化、合理化、課税ベースの云々の抜本的な見直しを検討しなければいけないのではないかというふうに、この上に書いてあることは、かえって下で(2)の「税負担の現状と今後の対応」のところに入るべき文言なのではないかなという印象があります。

委員

わかりました。上に書いてあるのは、恒久的減税と言われるいわゆるすぐ上に書いてある定率減税等々が継続しているから、これを理解してもらいたいという趣旨で書いたのですが、いまおっしゃるとおり、全体の流れから見て、これまで減税を過度にやりすぎたというようなニュアンスも前に書いていますから、それが税負担に響くという書き方はいいかもしれません。ちょっと考えてみます。そういう書き方も1つあり得ると思います。

委員

委員がおっしゃったことですけれども、連結の付加税についてですが、やはり連結納税を導入する企業というのは、すべての企業ではなくて特定の企業になるわけですから、特定の企業が連結のメリットを享受する以上、そこに対して何らかの付加税なりの措置があるということは、決しておかしいことではない。30兆円という縛りがある中で、税収が極端に減るということに対応する措置というのを考えること自体を、それがそもそもけしからんと言うこと自体はできないのではないかと思います。

その関連で、私、法律家なのでちょっと心配なのは、遡及適用ということなんですけれども、連結納税制度は納税者にとって有利な制度だから、遡及適用してもいいということに簡単になるのかどうかがちょっと心配です。というのは、例えば、租税回避行為の否認規定については、この規定については納税者にとって不利だから遡及はできない、なんてなりますと、やりたい放題ということになる可能性もございまして、遡及の話については、法的に詰めなければいけない点がいっぱいあるのではないかという気がちょっといたしております。

あと、委員がおっしゃった、一番最後のページのところでございますけれども、「特定の者」というのを取るべきであるということをおっしゃいました。先ほど委員にも御説明いたしましたけれども、地方公共団体は特定の者を相手にしているという意味で、委員はおっしゃったのだと思いますけれども、ここの「特定の者」というのは、その中のさらに特定の者、あるいは外部の特定の者を狙い撃ちにするという意味だと思うのです。特定の者を狙い撃ちにする租税というのは、罰則の色彩を帯びてきますので、それをもはや租税と言えるかどうかは、かなり問題な場合があります。もちろん、すべての者に課税できないで、特定の者だけに課税するということはあり得るわけですが、例えば10社とか20社とか、そういうのを、これも例外的には許される場合があると思いますが、とにかく狙い撃ちというのはあまりいいことではないというような趣旨でここは書かれているのだろうと思いますから、特定の者や区域外の者だけを狙い撃ちにするというような形で表現を変えるとかして、残したほうがいいのではないかと思います。

それから、後半の「住民に正面から向き合って自分の責任と負担で」というのは、要するに、自分で必要な税金は、自分たちの中から取りましょうという意味だと思いますが、まさかそうも書けないので、こういうソフトな表現になっているのではないかと思います。このこと自体、特に問題があるとは私は思いませんで、むしろ投票権のない者を狙い撃ちにするということは、いかに民主主義の世の中で、ノータクセーション・ウイズアウト・リプリゼンテーションですから、これは本質に反するということを、特に東京都のやり方などはひどいものだというようなことについては、東京都と書く必要はないでしょうけれども、ということです。

それから、15ページの下のことなんですが、「既存のエネルギー関係諸税等のうち特定財源等については一定の合理性を持ち得るとしても」というのは、何の合理性もない制度は入るわけないのですから、だけどいま合理性があるかどうかなんだろうと思いますので、それは賛否両論いろいろあると思いますけれども、わざわざこれ……

委員

書く必要はないかもしれない。

委員

こだわりませんが。

委員

遡及云々のことは、言葉としては使っていないんですよ。それで、5ページの上から2行目に書いてあるだけですよ。「平成14年度当初から適用が可能となる準備をすすめる」というだけで、ここにさらに何か具体的に限定をしたほうがいいという御意見ですか。これぐらいなら許容範囲ですか。

委員

これでいいと思いますが、気持ちの上では。

委員

わかりました。まあ、いまのことは心に秘めておけということですね。

委員

はい、そういうことです。

委員

いまも議題になりました一番最後の法定外税の問題ですが、御承知のとおり、地方自治体の自主課税権ということにつきましては、いままで非常にお粗末な状況でありまして、ただ、地方分権が進む中で、やっとこの自主課税権というような議論が出てきて、いま地方自治体も真剣に取り組んでいるわけですね。ここに書いてある「特定の者や区域外の者だけを対象にする税」というのが、具体的に何なのか。東京都のホテル税だって、東京都民がホテルに泊まったらやはりかかるわけでしょうし、果たしてこれがこういうことで、ここに書いてある「地方税法や公平・中立などの税の原則に則る」というふうに断定できるのかどうかです。私はちょっと異論がございまして、だから、東京都の銀行税がちょっと問題があるというのだったら、それだけをここへ書くというわけにもいかないでしょうし、私としては、税制調査会でこの際、こんな法定外独立税についてブレーキをかけるような表現をいま言わなければいけないような実態にあるのかどうか。皆さん方がそう御判断になっておれば、私あえて異論は申し上げませんが、私の個人の意見としては、こういうことをいま書くような時期なのではないのではないかと。むしろ、どんどん奨励をして、地方自治体でも議論をしていただいて、悪税というのは住民の意思で淘汰されていくと、こういうような方向を目指すべきなのではないかというような気がしますので、できれば「その他」の部分はこの際は見送っていただくか、あるいは表現をもっともっと限定的に書いていただくかするべきではないかというようなことが1点。

それから、もう1点は、答申の7ページの外形標準課税の導入の最後のセンテンス、これは会長が修文をしていただくということで先ほど結論が出ましたが、そのとき、前の6ページで、公平性、応益課税、安定化とか経済の活性化とかずっと書いてあって、それから、もう1つ下から6行目ぐらいのところで、「税制中立の考え方の下」と、税制中立というのは一般の人にわかるかどうか、ちょっとあれですが、やはり増減収ゼロなんですよということを、景気が厳しい中でも、しかし導入するという1つのポイントしては、修文されるときに御考慮いただいたらいかがかと思いますので、よろしくお願いします。

委員

委員、前段のところで、例の選挙権がない企業に狙い撃ちするのはいけないというのが先の委員の言い方で、僕もそう思っているんですよ。それがまさにこの趣旨なんですよ。だから、住民の選別とか言うけれども、投票権のない企業等々は、意見もものも申せないわけですよね。それはどうですか。

委員

だから、その点は、法人自体は投票権はないわけですから、そうすると法人について、そういった法定外普通税は対応できないということがあるんでしょうか。

委員

できないというより、そこのみに集中すると我々は絶えず苦言を言っているわけです。個人住民税、個人のほうにかけないで、企業だけ狙い撃ちするのはけしからんというのが我々学者グループの意見なんですよ。

事務局

いま委員が言われた点で、ちょっと背景だけを申し上げますと、この「特定の者や区域外の者だけを対象にするような税」というのは、私どもの想定としては、なかなか団体名は言いにくいのですが、確かに先ほど来出たような、いわゆる銀行新税の話ですとか、それから、例えば「住民に正面から向き合って自らの責任と負担で施策を進めるという姿勢が必要」というこのくだりは、横浜の馬券税について、国地方係争処理委員会で裁定をいただいたときの、係争処理委員会の中でそういう注意喚起があったんです。ですから、必ずしも例えばホテル税みたいなものを念頭に置いた、あれは都民もホテルに泊まれば払うわけですから、そういうわけではないのではないかなと思っております。ということだけ申し上げておきます。

委員

確かにそういう問題はあると思います。したがって、地方税法というちゃんと地方税に対する大枠を決める法律が決められているのであって、もしそれに問題があるとすれば、地方税法の中でこういうことをきちんと書くのかと、そういうことまで議論した上でここの部分が記述がしてあるのであれば、私もそれはそれで納得いたしますけれども、どうもそこまでの議論ができていないのではないかというように私は思います。

現に、私も当事者でしたから、あまり大きなことを言えませんが、唯一いままで地方自治体としての増収をする方法としては、超過課税という制度がありまして、これはほとんど法人関係税だけの超過課税になっているんですね。あれはだめなのかというようなことまで……

委員

個人にもかけたらということを我々は言っているわけですよ。

委員

そこまで税調で言うのかということですね。私はそれはちょっと言いすぎではないかというのが私の意見です。

委員

お伺いしておきます。

委員

2点あります。

第1点は、さんざん今日問題になりました老人マル優ですけれども、私は老人マル優について、この『答申案』の表現でいいと思うのです。これ以上強くするのは非常に問題があると思います。やはり税制はそれ自体冷酷な論理だと思うのです。しようがないわけです。

ただ、老人をめぐる状況はやはりよくないですよね。介護保険にしろ、年金にしろ、医療保険にしろ、どんどん包囲網が狭まっているわけですよね。その中でマル優もということになるわけです。これはやはり社会保障制度とあわせて検討する必要があると思うのですけど、その辺がはっきりしない。非常に不明確である。これはまさにそのとおりですね。しかも、いまの世の中、老人に対する思いやりがないんですね。非常にないですね。これははっきりしていますね。よっぽど教育が悪くなっているのか、家庭のしつけも悪いと思うのですけど、電車に乗っていてもそういうのを毎日のように感じるんですね。この問題はそういう文脈で受け取られますよね。理論上の問題だけではないですよね。だから、そういう一般の感情を大切にするという姿勢は、税制調査会でも必要だと思うのです。ですから、私は委員の発言の趣旨に共鳴するところがあるわけです。だから、これ以上厳しく書くような表現は反対します。

それから、もう1点ですが、外形標準課税、7ページのところですね。外形標準課税の結論として、「課税の不公平を是正し、税収の安定化を図るため、早期に導入すべきである」と、この表現ですが、これは委員から反対の意見書が出ておりましたね。前回の起草会合でもここは結論を見送っているところですね。だから、こういう表現でいいのかどうか。ちょっと強すぎるのではないのかなという気もしますが、いかがでしょうか。

委員

わかりました。あとで修文のときに参考にさせていただきます。

委員

14ページ、酒税のところ、発泡酒のところなんですけれど、頭の3行はこういうことでいいのでしょうか。生産・消費の動向の変化に応じて、税金というのは変えるべきものなんですか。たくさん売れ出したら税金を高くするという意味ですか。

委員

それはすぐとは言わなくても、それはそれなりに消費パターンに応じて税制は決まりますよ。逆に言えば、委員の発想は、ずっと固定でいいということですか。全然変えなくていいということですか。

委員

そうすると、何か物があまり売れないほうが、税金は安くて済むということですか。

委員

まあ、それはそうですよ。

委員

そうですか。だって量が増えれば、絶対量として増えるじゃないですか。税率を上げる必然性というのはあるんですか。

委員

お酒の場合はあります。

委員

それは1つちょっと疑問で、中立とか、同じものに対しては同じ税率ということはまだわかるんだけど、そういう話もあったのかというのは、私にとっては新しい発見だったので。

それと、この3行なんですけど、同じことを2回言っているみたいなので、これ1行に多分できると思います。因数分解していただければ、1行に多分なると思います。

それから、私はこれに反対なんだけれども、「必ずしも適合していない面が見受けられる」というのは、腸ねん転みたいなので、もうちょっとさっぱりやってください。

それと、それの次なんですが、私は企業努力と税制に挑戦した努力に対して、例えば、この間は高速道路と言いましたけど、剣道だったら、面というのがこれは一本じゃないとされていたから、面にドーンと入れたら、いまから急に面は一本になったんだと言われているみたいで不愉快だというのがあるわけでして、そこで、ここに「しかしながら、ビールと発泡酒との間に現在のような税負担格差を設けるほどの違いは存在しない」、これすごく第三者のようにふんぞり返って言っているんですけど、この税負担格差を設けるほどの制度が間違いだったわけですよね、そもそもね。だから、この間謝れという話が出ましたけど、やはり参ったという雰囲気が出たほうが私はいいと思うんですよ。私の案は、「ビールと発泡酒との間に税負担格差を設けるほどの違いは存在しなくなった現在、税制の中立性、公平性の確保のために」としたらどうですか。

委員

最後に建設的な意見が出ましたね。わかりました。おっしゃるとおり、謝れということを随分考えたんだけど、まさかここで「ごめんなさい」とは書けないじゃないですか。趣旨はわかりました。参った。

委員

いまの「ごめんなさい」の話ではなくて、さっきの外形標準課税の話で、松尾さんから、有力な委員から最後のところで一発くらったから、ちょっとやはり反論しておかなくてはいけないかなと。私はむしろ「早期に導入を検討」ではなくて、来年にでもやれというふうに言いたいぐらいなんですよ。これは何回も何回も先延ばしされて、いろいろ直しても直してもまた文句が出てくる。この状況は僕はやはりちょっと異常だと思いますね。企業課税については、かなりいろいろ優遇されてきているわけなので、これしかも増税しようという話ではなくて、応益課税で安定化しようという話なのだから、そろそろやってもらわないといけないので、委員は反対なのはわかるけれども、私も企業人の1人ではありますが、これはやはりちょっと、せめてこのぐらいにはしておいてもらわないと、ということで申しわけありませんが。

委員

先の委員と同じ意見じゃないんですか。委員の意見が強すぎるから問題だとおっしゃったんでしょう。

委員

そういう意見が出たのだけど、今日は企業代表の方の発言がなかったので、いいんですかということなんですよ。

委員

ああ、そういう意味ですか。

委員

会長がそう取ったんだったら、言うこともなかったんだ(笑)。

委員

1つ11ページなんですけど、本当はこれは金融・証券税制全体なんですけども、9ページのところの株式譲渡益課税については、これはかなり強く思いを込めて書かれたなという印象があって、それから貯蓄の話になって、それから投資信託の話になって、投資信託のところはなかなか難しいですよね。非常に難しい。だから利子課税的な扱いにするのかなという、ただいろいろあって、これちょっと難しい書き方ですよね。

それで、最後の文章なんですけど、11ページの一番下で、「証券投資に関する税制一般を検討して行く上で」ということなんですけど、我々の考え方は、この答申そのものの基本の視点にかかわるんですけど、経済の成長率を高め、抜本的な構造改革と、そういう精神でずっと書いているわけでしょう。それを資本市場のところで受けると、何が欠けているのかというのを、ちょっと書いておかれるといいのかなと思うんですね。最後のところ、多岐にわたって論点があるので、一層進められるべきであるという、それはそのとおりなんですけど、何か骨太の明快な感じがちょっとしないですね。

委員

貯蓄税制から投資税制というのがスローガンになっているけど、その一環で例の証券投資信託というのをもう少し評価に値するとか、そういう言い方ですか。

委員

実はこういう考えが背景にあるべきなんだろうと思います。日本が基本的にいままでの間接金融から直接金融に移りたいと。それが構造改革であり活性化だと。太い線はみんなわかっているんですね。だけど、実は今般の証券税制では、そこまで踏み込めなかったわけですよね。だから、踏み込めないけど、万感込めて評価するなんて書いてある。本当は評価できないと思いますけどね、今回のやつなんかは。だけど書いてあるわけですね。我々はいろいろいいことを言ったのに、それを踏まえてくれたというのは反語かなという感じがしていますけど、でもそんなことは書けないんですけど。ですけど、やはりこの政府の答申の最後に、我々は基本的な考え方から何を本当は検討したいのかというような感じが、もうちょっと残ったほうがいいと思います。

そのポイントはこういうことなんですよ。直接金融の進んでいる国というのは、東京の一部市場というようなトップの公開市場は、実はリスク資本市場のトータルの構造の中では、本当に氷山の頂上なんですね。そこに至るまでに、プライベート・イクイティ・ファイナンスをはじめとしてずっと大きな裾野があるから、それで個人の金融資産がリスク資本市場へ流れるようになっている。そこで人々が情報の透明性とか説明とか受託者責任とかいろいろなものがあって、それが氷山の頂上として花が咲いているわけですね。日本は全然そうなっていなくて、頂上だけいまごちゃごちゃやっているわけですね。だから、本当はリスク資本市場全体の裾野から構築するようなことをやる。それを促進するような、税だってそれは深くかかわるわけですけど、そういうこともやるべき、という視点から検討を進めるべきであるぐらいのことがあっていいかな。

委員

全部委員の言葉を使えないかもしれないけど、その趣旨ね、なるべく、わかりました。

委員

2行ぐらい、何かできないかなと思います。

それから、もう1つ、17ページですけど、さっき委員もおっしゃったことで、会長のお考えもよくわかりますけど、これやはりずっと読んでいくと、ちょっとこの文章は品格がないんですよね。妙に品格がないんです。

それで、3つぐらいの中身がしっかりありますので、ちょっともう一回理解したいんですが、1つは、課税自主権を活用するというのは望ましいと書いてあって、これは委員が言われたことを忖度すると、ただ望ましいとすらっと言うだけではなくて、実はいろいろな都道府県で結構一生懸命いろいろなことをやっているんですよね。例えば、企業に環境をよくしませんかと言って、それについて美化のためにわずかのものを出していただいて、それで環境をよくするというようなことをやっている県もありますし、ですから、そういうのは自主権だからいいんだよというだけではなくて、かなり望ましい姿というのもあると。ところが、一部に銀行税みたいな、レプリゼンテーションのないところへいきなり石原さんみたいに乱暴なことをするというのがある、ということですよね。だから、自主権の活用というのが望ましいという言葉に、もう一言形容詞があって、何かのために望ましいみたいな面もあるが、というふうに書いたほうがいいかなと。

それから、その次に、最後のところは全く適切であって、「住民に正面から向き合って自らの責任と負担」、これはさっき言いました地方自治のあるべき姿ですから、自治体が自ら税を考えて、説明して住民から納得を得ていただくというのは民主主義の根幹ですから、これはいいことなんですけど、「地方税法や公平・中立などの税の原則に……」、この文章は言わんとしているのは逆じゃないですか。「もとる」と言いたかったんじゃないですか。「のっとる」ですか。これは変ですね、書き方としては。いま気がついたんだけど。問題があるとまず言ったでしょう。問題があるのだから、次には責任を持ってやれという文章になっているわけですよね。だから、これはおかしいですよ。私は、提案は、「地方税法や公平・中立などの税の原則に則ることはもとより」というところを取ってしまえと。これを取ってしまうと、結構明快になります。事例が見られることには問題がある。それで地方分権や自治の趣旨からは、正面から向き合ってやれと、それだけでいいので、そうすると、委員のおっしゃった懸念はある程度払拭されて、もうちょっと公平な品格のある文章になると思うんです。

委員

どこが品格がないんですか。

委員

だって、何か変ですよ。

委員

それはわかりにくいという意味で、品格云々と関係ないんじゃないの。

委員

ここは、私の提案は消しちゃったほうがいい。

委員

私もその点を最後申し上げようと思ったのですけど、おっしゃることはわかるのですが、やはりプラスマイナス見れば、課税自主権を大いに活用していただくということは、非常にいいことではないか。それはその法定外税に限らず、超過課税、先ほどの法人にばかり偏っているという点もあると思いますし、大いにそうした課税自主権の活用をしていただく。税源移譲云々という前に、まず課税自主権の活用ではないかということでございますが、しかし、いろいろ最近の事例もあるということ。ですから、そういう議論があったということは、答申のレベルに行く話なのか、論点メモというか、そっちのほうに置いておいて、一応はいまは法定外税に対するチェックポイントというのはあるわけですから、そこをうまく現在活用されていることだと思います。そのあり方に問題があるなら、また見直さなければいけないと思いますが、この時点では、まだそこあたりかなという感じがいたします。

委員

わかりました。それも踏まえて少し考えてみます。

よろしゅうございますか。何か言い足りないんじゃないですか。よろしいですか。

委員

さっき300万円でいくらになるとおっしゃったのが、0.4%のあれで計算なさって2,400円という数字が出ているんですが、1%になれば6,000円という金額になります。

委員

そういうことですね。5%になればもっとになりますね。

ぼつぼつよろしゅうございますか。20分ほどまだ時間は残しておりますが、もう十分、それにお残りいただいて頑張っていられる方の数も少し少なくなってきたから、どうも御苦労さまでした。

それで、今日皆さんの御意見をちゃんとメモしておきましたし、極力、会長代理たちと議論して直したいと思いますが、この修文等々、あとはお任せいただけますか。ただ、14日に出てきて怒らないでくださいよ。俺のが載ってないなんていうのは困るから、念を押しておかないと。極力、皆さんの御意見を踏まえさせていただきます。

では、あとの予定を概略つまんでお答えいたしますが、次回14日、最後の日になって、大臣も御出席いただく予定でございます。そこで、もう一回答申案を読み上げて、御確認いただいて、答申という形にしたいと思います。それをその後、小泉首相に持っていくという役割がありますので、総会終了後にそういうことをさせていただきます。

それから、今日の『主な意見』という形で別冊になっておりましたのも、当然、首相に持っていくときには、これをあわせて渡したいと考えております。

次回、2時ではなくて1時でありますので、14日金曜日、総会はこの下、3階の第一特別会議室になる予定でございますので、1時ということと場所ということを、ぜひお間違えないように。

それから、申しわけございませんが、会議終了後に御返却とちゃんと書いてありますので、『答申案』と『主な意見』のほうは、卓上にお残しください。

それでは、どうも今日は長い時間ありがとうございました。また金曜日ぜひお願いいたします。

では、これにて散会いたしましょうか。

〔閉会〕

(参考)第21回総会において審議された「答申案」及び「主な意見」

当調査会は、昨年12月に「平成13年度の税制改正に関する答申」を取りまとめた。その後、本年5月に金融小委員会を設置し、今後のあるべき金融の姿を展望しつつ、証券税制のあり方について検討を行い、9月に「証券税制等についての意見」を取りまとめ、総会に報告した。

法人課税小委員会においては、昨年の会社分割・合併等の企業組織再編成に係る税制に引き続いて、連結納税制度の導入に向けた検討を深めた。10月に「連結納税制度の基本的考え方」を取りまとめ、総会における審議を経て公表した。

7月に設置した基礎問題小委員会においては、総会との連携を図りながら、租税特別措置等の見直しなど当面の課題について検討を行うとともに、現在、来るべき抜本的な税制改革に向けて、中長期的な税制のあり方について検討を進めている。

総会においては、こうした審議も踏まえ、11月下旬から、当面の課題である平成14年度税制改正について検討を行った。

この答申は、平成14年度税制改正に当たっての指針を示したものである。

一 検討に当たっての視点

1.これまでの税制改革の点検

税制の流れ

今後の望ましい税制の姿を展望しつつ、平成14年度税制改正を検討することに先立ち、まず近年の税制改革を振り返ることとする。

昭和62年から63年にかけて、高齢化社会の到来などを見据え、所得・消費・資産等の間でバランスのとれた税体系の構築を図るため、シャウプ勧告以来の抜本的な税制改革が行われた。具体的には、旧来の個別間接税が廃止され、消費税が創設された。その一方で、個人所得課税の税率構造について累進緩和・簡素化が図られた。同時に、利子課税の見直し等により資産性所得に対する課税が適正化された。

また、平成6年には、少子・高齢化の進展などに対応するため、個人所得課税の税率構造の一層の累進緩和などにより、主に中堅所得者層の負担軽減が行われた。他方、消費課税の充実を図るため消費税率を5%(新たに創設された地方消費税1%分を含む。)に引き上げるとともに、中小事業者に対する特例措置等の抜本的見直しが行われた。その際、経済状況に配慮して、消費税率の引上げ等を平成9年4月実施と先に延ばしつつ、個人所得課税については、平成7年(度)以降に制度減税、平成6年(度)から8年(度)に特別減税が実施され、先行減税が行われた。(P1)

その後、平成9年秋以降、金融システム不安等が実体経済に深刻な影響を及ぼし、その結果、平成10年度には実質経済成長率がマイナスとなるなど、わが国経済は深刻な状況に陥り、景気回復を図る観点から税制面でも最大限配慮することが求められた。このため、平成10年(度)には個人所得課税について二度にわたる特別減税が実施され、他方、法人課税についても、企業活力や国際競争力を維持する観点から、課税ベースの適正化と併せて税率の引下げが行われた。

さらに、平成11年度税制改正においては、個人所得課税及び法人課税について平年度6兆円を相当程度上回る恒久的な減税が実施された。景気への配慮から、個人所得課税について定率減税が行われたほか、法人課税について課税ベースが見直されることなく一層の税率の引下げが行われるなど、負担軽減となる措置のみが実施された。現在も、こうした個人所得課税の定率減税などの措置が継続しているが、今後、この点も含め租税の現状について積極的な広報に努める必要がある。今後、諸控除の簡素化・合理化など、課税ベースの見直しを含む個人・法人の所得課税のあり方について、抜本的な見直しを検討する必要がある。

税負担の現状と今後の対応

以上のような税制の流れを経て、わが国の租税負担率(対国民所得比)は22.6%(平成13年度見込み)と、主要先進国中、最も低い水準にあり、社会保障負担率を加えた国民負担率で見ても、諸外国に比べて低い水準にある。例えば個人所得課税ついては、恒久的な減税や各種控除の累次の拡充等の結果、働く人のうち概ね4分の1程度が非納税者となっており、個々の納税者の負担水準も国際的に見て非常に低いものとなっている。

公的サービスの水準が上昇傾向にある一方、租税負担を含む国民負担が低水準に留まっている結果、歳出と歳入のギャップが拡大傾向にある。現在、明らかに租税の果たすべき公的サービスの財源調達機能は極めて不十分な状態に置かれている。21世紀のあるべき経済社会を展望し、租税は公的サービスを賄うのに十分な財源を国民皆が広く公平に分かち合うものであることを改めて認識した上で、少子・高齢化、国際化・情報化、ライフスタイルの多様化など、経済社会の構造変化と調和のとれた望ましい税制の構築に向けて、今後、税制全般にわたる抜本的な改革が必要となると考える。(P2)

こうした点を踏まえ、現在、基礎問題小委員会において、現行税制の歪みや不公平と指摘されている点について、理論的・基礎的検討を行っている。公正で活力ある社会を実現していくため、構造改革の一環として、公平・中立・簡素といった租税の基本原則に則った望ましい税制の構築に向けて、今後、速やかに議論を進めることとする。

2.最近の経済・財政状況等

経済・財政状況

世界経済が減速している中で、わが国経済は、輸出、生産、設備投資が減少し、雇用情勢も悪化するなど、厳しい状況にある。このような中、政府は、本年6月に経済財政諮問会議の審議を経て決定した「今後の経済財政運営及び経済社会の構造改革に関する基本方針」(以下「基本方針」という。)に基づき、わが国経済の基本的な成長力を高めるよう、構造改革を積極的に推進していくこととしている。

一方、わが国の財政は、バブル崩壊後、景気回復に向けた諸施策に伴う歳出の増大や恒久的な減税など税制面での措置の結果、歳出・歳入ギャップが拡大し、国及び地方の長期債務残高は平成13年度末約666兆円に達すると見込まれるなど、危機的な状況が続いている。平成14年度予算は、財政構造改革の第一歩として、国債発行額を30兆円以下とするとの目標の下、歳出の思い切った見直しと重点的な配分に取り組むこととされている。その後、持続可能な財政バランスを実現するため、「構造改革と経済財政の中期展望」(仮称)を策定しプライマリ-バランス黒字達成に向けた道筋を示すこととされている。

地方財政の状況と地方税

地方財政は、借入金残高が累増し、個々の団体においても公債費をはじめとする義務的経費が増加するなど、極めて厳しい状況が続いている。地方公共団体の財政面における自己決定権と自己責任をより拡充することを基本とし、引き続き徹底した行財政改革に取り組むことが求められている。

地方行財政の効率化を前提に自主財源を中心とした歳入基盤を確立し、税源の偏在性が少なく、税収の安定性を備えた地方税体系を構築するとの観点から、地方税の充実確保を図ることが重要である。その一環として、国と地方の役割分担の見直しを踏まえつつ、国庫補助負担金の整理合理化や地方交付税のあり方の見直しとともに、税源移譲を含め国と地方の税源配分について根本から見直しそのあり方を検討すべきである。その際、国・地方それぞれの財政事情や個々の自治体に与える影響等を踏まえる必要がある。(P3)

二 平成14年度税制改正

1.基本的考え方

平成14年度税制改正については、以上のようなわが国の財政状況や租税負担の現状等を考慮すれば、「国債発行額30兆円以下」との目標の下、基本的に税制改正全体として減収とならないような方針で臨む必要がある。

また、中長期的な視点に立ち構造改革を積極的に推進することにより、経済を効率化し、わが国経済の基本的な成長力を高める観点から、税制面においても、経済社会の構造変化に適切に対応する必要がある。

さらに、近い将来、税制全般にわたる抜本的見直しが必要である。平成14年度税制改正において、その妨げとならないよう、今後のあるべき税制の姿を見据えた検討を行うことが重要である。

こうした基本的考え方に基づき、平成14年度税制改正においては、経済・産業の構造改革に資するという観点から、連結納税制度の創設や租税特別措置等の聖域なき見直しについて、また、証券市場・金融システムの構造改革の一環として、金融・証券関係税制について検討を行った。加えて、最近の社会経済情勢等を背景とした税制に関する議論も踏まえ、検討を行った。

2.法人課税

連結納税制度

[1] 制度の意義

経済の国際化や長引く景気低迷の下、わが国企業の経営環境が大きく変化している。近年、企業グループの一体的経営の傾向が強まってきていることから、当調査会は、わが国においても、21世紀のわが国経済のインフラとなる連結納税制度を構築することが適当であるとし、検討を行ってきた。

会社分割・合併等に係る税制に引き続いて連結納税制度を創設することは、企業の組織再編成や、わが国企業の国際競争力の維持、強化と経済構造改革に資することになると考える。(P4)

連結納税制度の創設は、これまでの法人税の体系を大きく変えるものであり、また、企業組織再編税制を踏まえた精緻な仕組みとならざるを得ないが、平成14年度当初からの適用が可能となるよう準備を進めて行くことが適当であると考える。

[2] 基本的仕組み

連結納税制度の狙いは、一体経営がなされ実質的に一つの法人とみることができる企業グループについて、これを一つの納税単位として課税することにある。その結果、実態に即した適正な課税が実現されることになると考えられている。

こうした観点から、連結納税制度の対象となる企業グループは、その実質において単一の法人とみなしうる一体性を持ったもの、すなわち、親会社とその100%子会社を対象とすることが適当である。また連結納税制度は、個々の法人を前提としたわが国法人税の課税体系の中に、企業グループを一つの納税単位とする新たな課税体系を創設するものである。広範な論点について検討が求められていたが、特に、株式の取得・譲渡等を通じた企業グループへの加入や企業グループからの離脱が流動的に行われることから、租税回避行為に対して十分に対応できる仕組みを構築せねばならない。

[3] 税収減への対応

連結納税制度は、企業グループの所得と欠損の通算等を行うことから、その創設により継続的な税収の減少が生じる。事務局が行ったアンケート調査に基づき、平成12年度の法人の所得・欠損金額に基づく機械的な試算を行った場合には、8,000億円程度の減収額が生じるとされている。

連結納税制度は単なる企業減税を企図するものではなく、現下のわが国の厳しい財政事情を考慮すれば、連結納税制度の創設により生じる税収の減少については、これを補填する必要がある。この対応としては、連結所得に対する法人税率の付加的な上乗せ(いわゆる連結付加税)に安易に依存すべきでないとの意見が出された。税収減への対応としては、租税特別措置の見直しや課税ベースの拡大といった法人税制全般についての見直し、連結納税制度の適用開始前に生じた欠損金額の繰越控除の否認などが講じられるべきであり、その上で連結付加税の措置を講じることが考えられる。

[4] 地方税

法人事業税及び法人住民税については、地域における受益と負担との関係等に配慮し、単体法人を納税単位とすることが適当である。(P5)

課税ベースの適正化

主要先進国において、法人課税について、企業間・産業間の税の中立性の確保及び経済の活性化などの観点から、「課税ベースを拡大しつつ、税率を引き下げる」という法人税改革が1980年代半ばから行われてきた。公正・中立で透明性の高い法人税制を構築するとの観点から課税ベースを見直すことは、企業活力の発揮や新規企業・産業の創出、経済全体の効率性の向上など、経済社会の構造改革に資すると考えられる。

わが国においても、同様の観点から、平成10年度税制改正において、法人税の課税ベースの大幅な見直しと法人税の基本税率の引下げが併せ行われた。しかしながら、平成11年度税制改正においては、景気情勢に配慮し、課税ベースの見直しが行われないまま税率の引下げが行われ、現在でもこの一方的な減税措置が継続している。

課税ベースの一層の適正化への取組みは、わが国法人税における重要な課題であり、特に連結納税制度といった新しい制度の創設に当たっては、法人税制全体の見直しが不可欠である。こうした観点から、平成10年度税制改正において残された課税ベースの見直しを進めていく必要がある。

外形標準課税

法人事業税への外形標準課税の導入は、税負担の公平性の確保、応益課税としての税の性格の明確化、地方分権を支える基幹税の安定化、経済の活性化・経済構造改革の促進などの重要な意義を有する改革である。

平成12年11月に旧自治省が示した具体案は、所得基準と外形基準を併用することとし、所得に係る税率を現行の2分の1に引き下げ、残りの部分について、加算法による付加価値である「事業規模額」による課税方式を導入しようとするものである。この旧自治省案は、税収中立の考え方の下、中立性の高い課税標準により、薄く・広く・公平な課税を図ろうとするもので、現行の所得課税よりも望ましいものである。(P6)

本年11月、旧自治省案に対して各方面から寄せられた意見を踏まえ、外形標準課税に関する総務省の新たな具体案が示された。この総務省案は、旧自治省案で2分の1導入することとした外形基準の部分について、付加価値額を基本としつつ、資本等の金額による課税方式を補完的に併用するものである。資本等の金額は、中期答申において望ましい外形基準とされた4類型の1つであり、法人の事業活動の規模をある程度示すとともに、担税力を示す面も有するものである。これにより、法人事業税全体に占める報酬給与額に係る部分の割合が大幅に下がることとなった。また、大法人と中小法人との税負担割合を変えずに税率が一本化され、「雇用安定控除」も不要となるなど、担税力に配慮しつつ、課税の仕組みが簡素化されており、「薄く・広く・公平な課税」という考え方を堅持しつつ、各方面から寄せられた意見を取り入れて、工夫された案となっている。

外形標準課税の導入は、景気の状況が厳しいこともあり、国・地方を通じる税制の抜本的改革と一体的に行うことが適当との意見もあった。しかしながら、課税の不公平を是正し、税収の安定化を図るため、早期に導入すべきである。

その他

法人課税に関しては、最近の社会経済情勢を背景に以下の議論があるが、これらについては、以下のとおり考える。

同族会社の留保金課税制度については、昨今の中小企業の厳しい経営環境の下、内部留保の充実を図る観点から、制度を廃止すべきではないかといった意見がある。本制度は、同族会社に対して通常の法人税のほか、一定額を超える内部留保に対して追加的な課税を行うものである。それは、間接的に配当支出の誘引としての機能を果たしつつ、法人形態と個人形態における税負担の差を調整しようとする狙いを有している。現行の法人税と個人所得課税の基本的仕組みを前提とする以上、今後とも必要な制度である。

交際費課税制度については、景気情勢に配慮し、課税の緩和を図るべきではないかといった議論がある。交際費は企業の経済活動において必要な側面も有しているといった意見もあるが、平成8年度の法人課税小委員会報告においては、現行制度は、交際費を税制上経費として容認した場合には不要不急の支出を助長する面もあり、また、交際費の支出は公正・透明な取引を阻害する可能性がある点を考慮したものとされている。税制がこのような諸問題を助長することは、経済構造改革の観点からも問題が多く、少なくとも現行の制度を維持すべきである。(P7)

私立大学等に関する税制上の措置について、大学教育の重要性や民間資金の導入を図る観点から減税措置を検討すべきではないかとの意見がある。私立大学等は、法人税法上、学校法人である公益法人等として扱われており、公益法人等の中でも、以下に述べるように特に優遇措置を受けている。寄附金については、現行制度上、指定寄附金制度や特定公益増進法人制度により特別の配慮を行っており、現在の寄附金の支出状況を踏まえれば、現行制度の一層の活用の余地がある。また、受託研究については、民間との競合性のある収益事業として課税されているが、寄附金とみなされる収益事業部門から非収益事業部門への支出(いわゆる「みなし寄附金制度」)も含めた寄付金の損金算入限度額について、他の公益法人等に比べ優遇されている。こうした点を踏まえて検討する必要がある。

なお、公益法人等やNPO法人に関する税制上の措置については、特殊法人、公益法人等の見直しの議論や認定NPO法人の実態等を踏まえ、非営利法人に関する税制全体のあり方の中で検討する必要がある。

3.租税特別措置等の整理・合理化

租税特別措置等は、特定の個人・企業の税負担を軽減することにより、経済政策、社会政策等の特定の政策目的を実現するための政策手段である。このため、「公平・中立・簡素」という租税原則に反する例外措置として設けられている。

上記の租税原則の観点から、租税特別措置等を常に見直し、課税ベースを拡大していく必要があると言えよう。その際、全法人の約7割が欠損法人であるほか、個人所得課税において個々の納税者の負担水準が低下し、働く人のうち概ね4分の1程度が非納税者となっている状況の下では、租税特別措置等の政策効果が限定的となっていることに留意せねばならない。

また、経済社会が急速に変化し多様化する状況においては、個人・企業の自由な活動を通じて、効率的な資源配分が可能となる環境を整備することがより重要であり、むしろ、これが経済社会の活性化に資すると考える。したがって、租税特別措置等の見直しを通じて、税制を個人・企業の経済活動に対して中立的なものとすることが極めて重要である。

さらに、今後財政赤字を縮減していかなければならないことを考えると、実質的に補助金の裏返しである租税特別措置等は、ゼロベースからの見直しを含め、従来にない大幅な整理・合理化を行わねばならない。

個々の措置について具体的に見直す際には、以下のような視点からの明確な基準が必要である。(P8)

政策目的・効果

租税特別措置等は、あくまで政策手段であり、その政策目的や効果を常に検証していく必要がある。例えば、特定の業界・企業等の本来業務に必要不可欠な資産などに対する優遇措置は政策効果がないと考えられる。

政策手段としての適正性

他の政策手段との比較において、特定の政策目的を達成するために最適な手段かどうかについて検討する必要がある。

利用実態

一定期間利用実態の低調な、いわば形骸化した措置については廃止すべきであると考えられる。

中小企業、ベンチャー企業を優遇する政策税制については、これまでもこれらを支援する観点から各種の特例措置が講じられてきたが、更なる優遇措置を講じるべきではないかとの意見がある。これらについても、上記の視点から既存の措置を徹底的に見直した上で、真に有効な措置についてのみ存置する必要がある。

事業税における社会保険診療報酬に係る課税の特例措置については、過去の当調査会の答申において指摘されてきたとおり、税負担の公平を図る観点から、速やかにこれを撤廃すべきであり、少なくとも段階的な見直しを図ることが必要である。

4.金融・証券関係税制

株式譲渡益課税

株式譲渡益課税のあり方については、当調査会はこれまで累次にわたり、現行の源泉分離選択課税方式について、次のような問題点を指摘してきた。

[1] 諸外国に例のない「みなし利益」へ課税するものであり、所得課税としてふさわしくないこと

[2] 意図的な税負担調整が可能となること

[3] 課税に対する匿名性があること

[4] 個人住民税が非課税であることから適正化が必要であること

金融小委員会においては、本年9月に取りまとめた「証券税制等についての意見」において、株式譲渡益課税について、源泉分離課税の廃止と申告分離課税への一本化、更に、税率の引下げ及び損失繰越制度創設の検討を提言した。また、その中で、一般の国民が短期売買ではなく、長期・安定的な資産運用を図ることが可能な場として、証券市場の健全な形成を目指していくことの必要性を強調したほか、証券会社の営業姿勢の改善や市場監視・取締りの抜本的強化などの「インフラ」整備の重要性を指摘した。(P9)

その後、国会での審議を経て可決・成立した株式譲渡益課税に係る改正法は、基本的に上記意見に沿った内容となっており、評価し得るものである。

しかしながら、「緊急投資優遇措置」の創設や100万円特別控除の適用期限の延長、暫定税率(10%)の設定は、必ずしも小委員会の「意見」に沿ったものとは言い難い側面があり、特別の政策税制として位置付ける意味でも、適用期限を限定することが適当である。

申告納税制度の下では、本来、申告は投資家本人の自己責任の下できちんと行われる必要がある。今般の法改正により取得価額が不明な場合の取得費の特例が創設されたが、そのほかにも申告が簡便にできるよう、関係業界も含めた取組みが期待される。

貯蓄優遇税制

わが国家計には、証券投資より預貯金中心の貯蓄を重視する傾向がある。貯蓄重視指向の要因としては、これを優遇してきた各種制度の存在が指摘されている。貯蓄優遇税制についても、「租税特別措置の聖域なき見直し」の観点や「貯蓄優遇から投資優遇への金融のあり方の切り替え」(「基本方針」)の観点から、根本的に再検討する必要がある。

少額貯蓄非課税制度(老人マル優)等については、高齢者世帯(世帯主が65歳以上の世帯)の所得分布は二極化しているため、その実態を踏まえて慎重に検討すべきであるとの意見も出された。しかしながら、その一方で、高齢者世帯の平均貯蓄残高は高水準にあり、また、生活に与える影響という観点でみると、高齢者世帯の所得に占める利子所得の平均割合は総じて1%前後である。これらを踏まえれば、高齢者相互間・世代間の税負担の公平確保の観点や課税ベースの拡大を図る観点から、本制度は基本的にその廃止に向け検討することが適当である。(P10)

生命保険料控除制度・損害保険料控除制度については、老後に備えた自助努力の支援や相互扶助、更には不慮の事故による損害に対して共同で備えるという観点に留意が必要であるとの意見もあった。しかしながら、制度創設後長期間が経過し、保険加入率は相当の水準に達しているほか、大半の納税者に対し適用されており、これ以上の誘因効果も期待し難い。また、保険の貯蓄としての側面に着目すれば、様々な貯蓄手段のうち、特に保険に限って税制上優遇する本制度は、金融商品間の税負担の公平性及び中立性等に照らし問題があると言える。このような実態を踏まえれば、本制度は基本的にその廃止に向け検討することが適当である。

さらに、少額貯蓄非課税制度等及び生命保険料控除制度・損害保険料控除制度については、長年、当調査会において、その廃止・縮減に向けて見直しを行うべきとの考え方を度々示してきた。しかしながら、制度創設以降、実際にそうした見直しは行われてこなかった。こうした過去の経緯を踏まえ、少なくとも時限措置へ移行するなど、経過的な手当てを考慮しつつ、廃止・縮減に向けて具体的な措置を講じるべきである。

株式投資信託に対する税制

株式投資信託は、資産運用を職業とする専門家が金融サービスを提供する商品である。その運用状況が必ずしも期待に沿っていないとの指摘はあるものの、ファンド内で分散投資されるなどの点において、一般の個人投資家にとっては、株式へ直接投資するより本来はなじみやすい側面を有している。

株式投資信託(公募型)に対する課税のあり方については、金融小委員会で幅広く検討された。その中では、収益分配金の性格を配当所得として捉える以上、収益に配当課税を行い、譲渡時には譲渡益課税を行うといった株式に対する課税と同様の方式へ変えていくべきといった観点、一方、これまで「貯蓄類似商品」として広く普及してきた経緯等を踏まえれば、従来どおり、利子に対する課税と同様の方式を採ることが合理的であるといった観点が提示されている。

いずれにせよ、株式投資信託に対する課税のあり方については、収益分配時の課税は利子と同様の方式を採る一方、譲渡時には株式と同じ譲渡益課税を行うといった取扱いは、整合的でなく採るべきではない。

さらに、集団投資スキームの各類型を通じて課税の整合性を図る観点から、証券投資信託以外の「集団投資スキーム」に講じられているように、ファンド段階での法人税課税を行った上で、収益の分配については課税所得の計算上、損金算入の手当てを講じるなどの措置について、今後検討することが求められる。

証券投資信託に関する税制一般を検討していく上では、金融税制のみならず、所得税制全体のあり方にも関連する多岐にわたった論点が存在しており、今後、検討が一層進められるべきである。(P11)

その他

所得税で確定申告不要制度が採られている一定の少額配当については、現在、個人住民税が非課税となっているため、その適正化を図る必要がある。

5.資産課税等

相続税

当調査会がこれまで累次の答申で指摘してきたように、相続税については、個人所得課税の抜本的見直しとの関連において、税率構造や課税ベースなどについて幅広く検討を行う必要がある。その際には、近年、一貫して拡充されてきた基礎控除や各種の特例措置を見直すことに加え、公的な社会保障制度が充実してきていることなどを踏まえ、死亡保険金、死亡退職金の非課税制度などについても、見直しを行うべきである。

特定の資産の保有を誘導するインセンティブとして相続税を活用することについては問題が多い。相続税は、すべての財産を平等に扱うことが課税の公平上強く求められること、課税時期が人の死亡(相続の開始)という偶発的な事象により決定されること、一生涯において課税される機会がごく限られていること等から、時々の政策手段として用いることにはなじまず、その政策的な活用は適当でない。

中小企業の事業承継について更なる配慮が必要ではないかとの意見があるが、これについては、相続税の税率構造や課税ベースなど、幅広い見直しとの関連で検討していかねばならない。既存の優遇措置は、事業の円滑な承継を通じて中小企業の活性化につながる点は認められるが、次のような問題点も存在する。

[1] 自ら起業する者と事業を承継する者との機会の均等

[2] 次世代の経営能力の如何を問わず事業資産が移転され、資源配分の効率性を損なうこと

[3] 事業用資産を持たない給与所得者の相続税負担とのバランス

したがって、公平性や構造改革の観点、「すべての財産を公平に課税する」という基本原則に照らし、吟味していく必要がある。

このことに関連し、農地の納税猶予制度と同様の措置を事業承継一般にも拡大すべきとの意見があるが、これについては、次のような問題点を指摘したい。

[1] 納税猶予制度は農地に係る財産権が法律上厳しく規制さ

れていることなどを踏まえた異例の措置であり、そのあり方について検討が必要であること(P12)

[2] 事業の「承継」、「継続」を客観的に把握することは困難であるなど、税制として仕組みにくいこと

[3] 事業の承継を要件とすると自由な事業転換の妨げとなり、産業構造の改革を阻害するおそれがあること

贈与税

贈与税については、昭和50年以来据え置かれていた基礎控除の水準(60万円)を、贈与税の機能や、所得税の課税最低限の水準との関係等にも配慮し、当面の措置として、平成13年度税制改正において大きく引き上げた (110万円)。

現在、高齢者の保有する多額の個人金融資産を若年・中年世代へ早期に移転させて消費拡大等を図る視点から、贈与税の軽減を求める意見がある。しかしながら、

現行制度の下で、既に相当の金額の贈与を毎年非課税で行うことが可能となっている。また、贈与税は相続税の課税回避を防止するという基本的な機能を有しており、相続税の課税対象者がごく一部の資産家に限られていることから、贈与税の軽減が世代間の財産移転を促進する効果も非常に限定的と考えられる。こうしたことから、贈与税については、相続税の幅広い見直しの一環として検討することが適当である。

固定資産税

固定資産税については、引き続き地価公示価格の7割を目途とした全国的な評価の均衡を図ることが適当である。平成15年度以降の税負担については、評価替えの動向、負担水準の状況や市町村財政の状況等を踏まえ、負担の均衡化・適正化を更に一層促進する措置を取る必要がある。

また、納税者の理解と信頼を確保するため、固定資産課税台帳縦覧制度の拡充等、情報開示を一層進めるべきである。

その他

[1] 土地税制のあり方

土地税制のあり方については、現在、土地の保有・流通に係る税目などについて様々な意見がある。この点については、譲渡益課税を含め、幅広い観点を踏まえ、適正化も視野に入れて考えていく必要がある。とりわけ、土地基本法の基本理念、地価の推移、課税ベースが各種の特例措置等により大きく侵食されていることなどに留意すべきである。また、公的サービスの費用を広く公平に分かち合うために、限られた基幹税目のみならず各種の税目を組み合わせるという観点も重要である。(P13)

[2] 登録免許税

土地の流通を阻害するといった観点から、登録免許税の負担の大幅な軽減や手数料化すべきとの意見が出された。しかしながら、地価が大幅に下落しているにもかかわらず、土地の需要が低迷している現状において、登録免許税の現行1%程度の負担を軽減しても、土地に対する需要を十分に喚起するとは考えられない。

また、登録免許税は、基本的に登記などによって生じる利益に着目するとともに、高額の土地取引等の登記・登録などの背後にある経済取引に担税力を見出して、それに応じて課税するものであり、手数料とは性質が異なると考える。

現下の厳しい財政状況の下、貴重な財源である登録免許税(平成13年度予算で約8,000億円)は引き続き不可欠な存在である。

[3] 不動産取得税

不動産取得税については、住宅用地や商業地等の取得について、既に大幅な軽減措置が講じられており、これ以上その負担を軽減しても、土地の需要を十分に喚起するとは考えられない。また、都道府県財政を支える主要税目であること(平成13年度地方財政計画ベースで約5,600億円)から、不動産取得税の役割は引き続き重要である。

[4] 特別土地保有税

特別土地保有税については、その果たしている役割などに照らして、必要な見直しは行いつつ、今後ともその基本的な仕組みは維持していくべきである。

[5] 事業所税

事業所税は、今日、緊要な課題となっている都市再生や都市環境整備事業の貴重な財源であり、今後ともその基本的仕組みは維持していくべきである。

6.酒税

酒税の課税制度については、各酒類の生産・消費の態様の変化に応じ適切に対応する必要があるが、現行の課税制度は、近年の発泡酒や果実酒などの醸造酒を中心とした生産・消費の動向の変化に必ずしも適合していない面が見受けられる。

こうしたことから、当調査会はかねてより、「同種・同等のものには同様の負担」という消費課税の基本原則を踏まえ、税制の中立性や公平性の確保の観点から、酒税の課税のあり方について検討する必要があると指摘してきた。(P14)

発泡酒の課税のあり方については、現下の経済状況や商品開発のために払われた努力等にも配慮すべきではないかとの意見も出された。しかしながら、ビールと発泡酒との間に現在のような税負担格差を設けるほどの違いは存在しない。したがって、税制の中立性・公平性の確保のために、ビールとの負担の均衡を図っていくことが適当である。

7.その他

納税者番号制度

納税者番号制度は、適正・公平な課税の実現、税務行政の効率化・高度化、更には納税者の税制への信頼の向上にも資するものである。現在、金融・証券関係税制の構築に際して、納税者番号が存在しないことは明らかに一定の制約要因となっている。加えて、近年における国際化・電子化の進展という視点を踏まえた検討も引き続き不可欠である。

納税者番号制度については、制度の意義や、付番方式のあり方、導入に伴うコストと効果、プライバシー保護の問題などの様々な論点がある。これらについての国民の受け止め方や考え方を念頭に入れて、資料情報制度など納税を支える他の諸制度のあり方や金融・証券関係税制のあり方も踏まえ、その導入について、今後、積極的に検討を進めていく必要がある。

電子申告等

情報化・デジタル化の進展や普及を背景に、e-Japan重点計画等に基づき、行政全体として申請・届出等手続の電子化に向けた取組みが行われている。このような取組みの中で、税務行政の分野における申告、申請、納付等の手続についても、納税者の信頼を得られるセキュリティの確保に配慮しつつ、電子化を図っていく必要がある。

エネルギー関係諸税等と環境問題への対応

[1] エネルギー関係諸税等と特定財源等

既存のエネルギー関係諸税等のうち特定財源等については一定の合理性を持ち得るとしても、他方、資源の適正な配分を歪め、財政の硬直性を招く傾向があることから、常にその妥当性を吟味していく必要があるとこれまで当調査会でも指摘してきている。(P15)

また、道路特定財源等については、厳しい財政事情や最近の道路整備の改善状況等を考慮すれば、一般財源化を含め、その見直しを検討すべきではないかといった意見が多く出された。わが国の燃料課税の税負担水準は、国際的にみても高くない水準にあることから、これを引き下げることは適当でない。

今後、特定財源等を含むエネルギー関係諸税等については、こうした点を踏まえ、幅広い観点から、そのあり方の検討を行っていく必要がある。

[2] 環境問題への対応

環境問題に対する税制面での対応については、国民に広く負担を求めることになる問題だけに、国民の理解と協力が得られることが不可欠である。国・地方の環境施策全体の中での税制の具体的な位置付けを踏まえ、汚染者負担の原則(PPP)に立って幅広い観点から検討していく必要がある。特に、地球温暖化問題については、京都議定書の締結に向けた国内制度の整備・構築の準備が本格化しており、このような中で、規制的手法、自主的取組み、経済的手法といった各種手法の適切な組み合わせが検討されている。当調査会としても、こうした状況を踏まえ、税制面での対応について具体的な検討を進めていくこととする。その際、既存のエネルギー関係諸税等との関係についても検討する必要がある。

国際課税

国際化の進展に伴い、外国企業のわが国への進出形態は、子会社や支店の開設といった方法に加え、外国のパートナーシップやSPC(特定目的会社)等の集団投資スキームを利用した方法が採られるなど、多様化する傾向にある。こうした事業体を利用してわが国で得た所得に対して適正な課税を行うには、事業体の活動や構成員たる企業・個人に関する情報を把握することが重要になる。今後、企業活動の実態の変化に対応する形で、外国企業等に関する課税のあり方を検討していかねばならない。

また、国境を越える取引の拡大により、各国の税制の差異等を活用した租税回避の可能性が増加している。こうした動きに対しては、個別に制度・執行の両面で対応していくとともに、包括的な租税回避防止策のあり方についても検討を深めていく必要がある。さらに、いわゆる「有害な税の競争」をはじめ、様々な国際課税の問題について、今後ともわが国がOECD等の場での国際ルール作りの議論に積極的に参加していくことも重要である。(P16)

その他

地方税の法定外税について、各地で様々な取組みが進められていることは、課税自主権の活用という観点から望ましいが、一部に、特定の者や区域外の者だけを対象にするような税を導入しようとする事例が見られることには問題がある。地方税法や公平・中立などの税の原則に則ることはもとより、地方分権や住民自治の趣旨からは、まず、住民に正面から向き合って自らの責任と負担で施策を進めるという姿勢が必要ではないかと考える。(P17)

主な意見

答申とりまとめの審議の参考とするため、委員各位から出された意見について項目ごとに整理したものであり、税制調査会としての意見集約を行ったものではない。

検討に当たっての視点

【これまでの税制改革の点検】

イ ここ数年、景気への配慮を最優先した結果、わが国の租税負担率は極めて低く、租税の果たすべき公的サービスの財源調達機能が極めて不十分になっている。今後は、政策減税ではなく、将来の抜本改革に向けた議論を行う必要がある。

ロ 恒久的な減税などにより現在の国民負担率が極めて低くなっていることについて、国民が十分に認識する必要があるのではないか。

ハ 社会保障負担を含めた国民負担のあり方について検討を行った上で、将来の税制改革論議を行う必要がある。

ニ 将来的には、恒久的な減税の見直しや、諸控除の簡素化・合理化など課税ベースの見直しを含む個人・法人の所得課税のあり方、消費税のあり方、特定財源のあり方などについて検討する必要がある。

【最近の経済・財政状況等】

イ わが国経済は、輸出、生産、設備投資が減少し、雇用情勢も悪化するなど厳しい状況にある。先行きについても、世界経済が同時的に減速するなど、懸念が強まっている。こうした中、わが国経済の基本的な成長力を高めるよう構造改革を積極的に推進していく必要がある。

ロ わが国財政は、巨額の赤字を抱えている。平成14年度予算は、財政構造改革の第一歩として、国債発行額を30兆円以下とするとの目標の下、歳出の思い切った見直しと重点的な配分に取り組むこととしている。(P1)

ハ 地方財政は、特に、この3年間は10兆円前後の収支不足になるなど、数年にわたり大幅な財源不足を生じており、来年も非常に厳しい状況が続くものと考えられる。平成13年度末の借入金残高は約 189兆円に達する見込みであり、個別の団体の財政状況も、いろいろな資料を取っても、いずれも非常に悪化してきている。

ニ 自主財源である地方税を拡充し、国からの補助金、地方交付税などの依存財源への依存度を縮減する方向を目指すべきであり、その際には、偏在度の少ない税収の安定性を備えた地方税体系の確立が必要である。

ホ そう遠くない将来に税制全般についての見直し改革が必要になることとの関連にも留意しながら国から地方への税源移譲も含めた、国・地方の税財源配分の見直しといったことにも取り組むべきである。

【基本的考え方】

イ 「国債発行額30兆円以下」との目標の下、平成14年度税制改正全体では減収にならないようにする必要がある。

ロ 経済社会の構造変化に適切に対応するとともに、近い将来、税制全般にわたる見直しが必要なことを踏まえ、今後のあるべき税制の姿を見据えた改正を行う必要がある。

【法人課税】

(連結納税制度)

イ 「連結納税制度の基本的考え方」に基づき、実務的な作業を進めるべきである。

ロ 連結納税制度は企業減税を目的とするものではないことや、現下の厳しい財政状況を考慮すれば、制度創設に伴う税収の減少は補填する必要がある。

ハ 税収減への対応は、連結付加税や欠損金の繰越制限等の措置を講ずることが考えられるとともに、租税特別措置の見直しや課税ベースの拡大といった法人税制全般の見直しを行う必要がある。

ニ 制度創設に伴う税収減は、企業の組織再編成や国際競争力の維持・強化という観点から、あくまで、法人課税全体の中で、課税ベースの見直しなどにより対応すべきであり、連結付加税は導入すべきではない。(P2)

ホ 平成14年度当初からの円滑な適用が可能となるように対応する必要がある。

ヘ 将来的には、外国子会社への適用も検討すべきではないか。

(課税ベースの適正化)

イ 課税ベースの適正化は、わが国法人税における重要な課題であり、そもそも、連結納税制度の創設とは別に議論されるべき課題である。連結納税制度の導入に伴い、法人税制全般の見直しを行う際には、その一層の適正化に取り組む必要がある。

(外形標準課税)

イ 外形標準課税は、非常に合理的であり構造改革に資するもので、その導入は当然の正しい方向であり、議論を待たない。赤字法人に課税するのは当然である。要はそのタイミングが問題である。ロ ごく一部の企業に税負担を課している現状から、受益との関係からもっと薄く広く負担する外形標準課税化は、活力ある成長力のある企業の税負担を軽減する一つの方策であり、外形標準課税によって事業展開を積極的にして、牽引力のある企業や産業を支援する潜在力を引き出すような税制を実現すべきである。

ハ 外形標準課税は応益課税であって、地方税にふさわしいものであり、また、昭和39年以来の課題であり、抜本的な改革前に極力早い時期に整備されることが望ましい。構造改革を進める観点から導入を図るのであれば、平成20年に本格導入というのは、ペースが遅すぎるのではないか。

ニ 資本割については、資本等の金額よりも売上高を課税標準とすることも考えられる。また、資本等の金額の部分と法人住民税均等割部分の整理がうまくできていないように思われ、資本等の金額を用いるのであれば、分割基準についても再検討するべきである。

ホ 資本等の金額は中期答申の4類型の1つとして、所得基準や他の外形基準と組み合わせて用いるよう検討すべきであるとされており、課税標準として適当なものである。(P3)

ヘ 理論的には、加算法の付加価値が優れていると思うが、今回の案は、賃金課税であるという意見に対し、法人の事業活動の規模をある程度示すとともに、担税力を示す面も有すると考えられる資本等の金額を課税標準として補完的に併用することで給与部分の割合が大幅に引き下げられており、理解を得やすい。

ト 理論的には、去年の案の方が優れているが、今回の案を理論的に説明すると、去年の案のままでは、現行の業種別の税負担の構造から変化しすぎることから、資本等の金額を入れてそれを緩和したものと理解できる。

チ 昨年よりも景気はずいぶん悪い。また、資本等の金額に課税する仕組みは、企業再編・統合という流れに逆行するのものである。この問題は、税制抜本改革時に解決すべきである。

(その他)

イ 同族会社の留保金課税制度は、間接的に配当支出の誘引としての機能を果たしつつ、法人形態と個人形態における税負担の差を調整しようとするものであり、現行の法人税と個人所得課税の基本的仕組みを前提とする以上、今後とも必要な制度である。

ロ 同族会社の留保金課税制度については、金融機関の慎重な貸出し態度など、現在の中小企業を取り巻く厳しい経営環境を踏まえて、検討する必要がある。

ハ 交際費課税制度の緩和については、不要不急の支出を促進し、公正・透明な取引を阻害するなど構造改革の点からも問題が多く、現行の制度を維持すべきである。

ニ 大学が受ける寄附金、大学の受託研究については、現行制度上優遇措置が設けられており、他の公益法人等とのバランス、寄附金の支出状況などを踏まえて検討する必要がある。

ホ 私立大学等に関する税制上の措置については、大学教育が日本の将来を担う大切な投資であるという側面も考慮する必要があるのではないか。

ヘ 特殊法人、公益法人等の見直しの論議を踏まえ、非営利法人課税について検討すべきではないか。(P4)

ト 認定NPO法人制度が施行されたところであり、その実施状況も踏まえて、NPO法人を含めた非営利法人課税全体のあり方を検討すべきである。

チ 諸外国の例なども参考にしながら、特殊法人等の整理・合理化やカジノ・ゲーミング法の制定などを通じて納税者層の拡大を図るといった幅広い観点も重要ではないか。

【租税特別措置等の整理・合理化】

イ 租税特別措置等は、「公平・中立・簡素」という租税原則に反するものであり、常に見直していく必要がある。

ロ 租税特別措置等の見直しは、個人・企業の経済活動に中立的な税制とし、経済構造改革の一環として効率的な資源配分に資するという点にその意義がある。また、増収効果や課税ベースの拡大に資するという観点から見直すべきである。

ハ 歳出の思い切った見直しに取り組んでいる中、実質的には隠れた補助金である租税特別措置等についても、聖域なく見直すべきである。

ニ 政策目的・効果の検証、他の政策手段との比較、利用実態、特定業界・企業等の保護になっていないか等の観点を基準に見直しを行うのが適当である。

ホ 見直しに当たっては、企業の国際競争力の維持・強化といった個々の租税特別措置等の目的、必要性を十分に検討する必要がある。

ヘ 中小企業に係る政策税制については、既存の措置を徹底的に見直した上で、真に有効な措置について検討する必要がある。その場合、法人の約7割が赤字であり、政策減税の効果が限定的であることに留意する必要がある。

ト 租税特別措置等の整理・合理化については、国税と共通の問題も多いが、社会保険診療報酬の問題など、地方独自の問題もある。それぞれ、長い色々な経緯があるが、「聖域なき見直し」という小泉内閣の方針にも基づき、しっかり取り組む必要がある。

チ 事業税における社会保険診療報酬の見直しについては、いろいろな利害関係が絡んで難しい面はあるが、声を上げ続けていくというのが大事であり、あきらめず政府税調で努力を積み重ね、強いトーンで撤廃を主張すべきであり、基本的な改正の前に整理しておく必要がある。(P5)

リ すぐに撤廃することが困難なものについては、段階的に見直すことも考えられる。

【金融・証券関係税制】

(株式譲渡益課税)

イ 今回の株式譲渡益課税に係る改正のうち、100万円特別控除の適用期限の延長、暫定税率の設定、緊急投資優遇措置については、本来、期限を区切った特別の政策税制であり、これを延長されては意味がなく、適用期限経過後は規定どおり廃止すべきではないか。

ロ 個人の株式投資を優遇するという観点からは、過渡的な経過措置として、思い切って税率を引き下げることも考えられるのではないか。

ハ 税の公平性の原則に反する安易な投資優遇は行うべきではなく、株式譲渡益や預貯金利子など、資産性所得を含めた所得課税の総合課税化を先行させるべきである。

ニ 申告分離課税への一本化の際には、投資家が簡便に申告を行えるよう工夫が必要である。

ホ 今回の株式譲渡益課税に係る改正のうち、取得価格の不明な場合の取得費の特例の創設は、申告の簡便化に向けて大きな意義がある。

(貯蓄優遇税制)

イ 貯蓄優遇税制は、「貯蓄優遇から投資優遇への金融のあり方の切り替え」の方針に加え、「租税特別措置の聖域なき見直し」の観点から、根本的に再検討する必要がある。

ロ 少額貯蓄非課税制度等及び生命保険料控除制度・損害保険料控除制度については、従来から見直しの必要性を指摘しているにもかかわらず、実際の見直しが行われていない。その意味では、具体的措置を講じることが重要であり、時限を付して「サンセット措置」へ移行することは、終期を明らかにする意味でも有効ではないか。

ハ 少額貯蓄非課税制度等は、高齢者の貯蓄水準が高いことや、所得に占める利子所得の割合が限られていることからみて、高齢者相互間のみならず世代間の税負担の公平を確保する観点から、見直す必要がある。(P6)

ニ 高齢者の所得分布は二極化しており、また、貯蓄が生活資金の備えとなっている側面を勘案すれば、少額貯蓄非課税制度等の廃止については、高齢者の生活実態をよく見て、慎重に検討する必要がある。また、高齢者の実態に対応する観点から、利子所得については総合課税を検討する余地もあるのではないか。

ホ 財形住宅貯蓄・年金貯蓄については、一般の勤労者への配慮が必要であり、見直しは適当でない。

ヘ 金融のあり方の切り替えとの観点だけではなく、歳入確保の観点から、少額貯蓄非課税制度等の見直しの必要性を説明すべきである。

ト 現行の保険料控除制度については、保険加入率が相当の水準に達していることなどから、これ以上の誘因効果は期待できないこと、様々な貯蓄手段のうち、特に保険に限って優遇することは、金融商品間の税負担の公平性及び中立性等に照らし問題があることなどから、廃止に向けて検討を進める必要がある。

チ 保険料控除制度の見直しは、老後の生活において自助努力の支援や相互扶助の観点が存在することとの関係等を含めて、慎重な検討が必要であり、適当でない。

(株式投資信託に対する税制)

イ 投資信託は専門の仲介機関を通じて資産運用等を図る仕組であり、一般の個人投資家にとっては、株式へ直接投資するよりは本来はなじみやすい側面を有すると考えられる。

ロ 株式投資信託の運用状況は、一般の個人投資家の期待に沿っておらず、一般の個人投資家にとってなじみやすい商品とは言えないのではないか。

ハ 株式投資信託に対する課税のあり方について、収益を「利子並み」に扱いつつ、譲渡時には譲渡益課税を行うなど、税体系上の整合性を考慮しない取り扱いは適当とは言えず、採るべきでない。

ニ 「貯蓄優遇」から「投資優遇」に方向が転換していることや、投資信託はその時々の時価により評価され得る商品であることを勘案すると、株式投資信託に対する「利子並み」課税を変更し、収益に配当課税を行い、譲渡時には譲渡益課税を行うといった課税の仕方が適当ではないか。(P7)

ホ 株式投資信託の株式の組入比率はゼロから100%まで様々であり、株式と同一視することは必ずしも適当ではないのではないか。

ヘ 株式投資信託は、資産運用を職業とする専門家が金融サービスを提供する商品であるなど株式と商品性が異なることや、これまで「貯蓄類似商品」として広く普及してきた経緯等、一般の個人投資家の間に「リスク商品」という認識があまり無いと考えられることから、現行制度(収益に対する「利子並み」課税)が合理的なのではないか。

ト 集団投資スキーム全体を通じて課税の整合性を図る観点から、証券投資信託に対してファンド段階での課税を行った上で、損金算入の手当てを講ずるなどの措置を検討すべきではないか。

チ 証券投資信託に関する税制一般を検討していく上では、金融税制のみならず所得税制全体のあり方にも関連するものであり、更に検討が進められる必要がある。

(その他)

イ 配当課税については、納税者の9割以上が少額配当の特例の適用を受け、既に利子以下の税負担水準となっている。したがって、株主重視の経営姿勢の確立など、まずは発行会社による株式保有の魅力を高める努力が重要ではないか。

ロ 証券市場の裾野を拡大し、広く一般の国民の市場参加を促進する観点から、配当課税のあり方について検討する必要があるのではないか。

ハ 少額配当については個人住民税が非課税となっているが、課税の公平・適正化の観点から、問題である。

ニ 金庫株の処分については、商法上及び企業会計上も資本取引とする方向であることから、税制上も資本取引として非課税とすべきではないか。

【資産課税等】

(相続税)

イ 今後、各種の特例措置の見直しを含めて、税率構造や課税ベースなどについて幅広く検討する必要があり、新たな特例措置については、慎重に検討すべきである。(P8)

ロ 死亡保険金の非課税制度は、適用を制限するなど、そのあり方を見直すべきである。

ハ 相続税は、すべての財産を平等に扱うことが課税の公平上強く求められること、課税時期が人の死亡(相続の開始)という偶発的な事象により決定されること、一生涯において課税される機会がごく限られていること等から、時々の政策手段として用いることにはなじまない。

ニ 中小企業の事業承継については、既に、事業用の土地に係る相続税の課税価格の特例や取引相場のない株式の評価など、十分な配慮がなされていること、相続税自体、課税対象が限られていることなどを踏まえ、本当に税制が承継を阻害しているのか実態をよく把握した上で、特例措置について吟味する必要がある。

ホ 相続税の負担が円滑な事業承継を阻害しているかについては、調査結果が区々であり、どちらとも言い難い。

ヘ 農地の納税猶予の特例と同様の措置を中小企業の事業承継に適用することについては、納税猶予制度自体が様々な問題を抱えていることに加え、企業は農業と異なり、「承継」についての客観的な判断が困難で、税制として仕組みにくいこと、事業の承継が要件となることにより時代の変化に対応した事業の転換を妨げること、などの問題があることから、慎重な検討が必要である。

(贈与税)

イ 贈与税については、相続税のあり方との関連で検討する必要がある。

ロ これまで社会の中で平等の重要性が強調されてきたことの反動もあり、贈与税等の軽減を求める意見が出ていると考えられるが、これらは、機会の平等の確保の観点などから問題ではないか。

ハ 高齢者の保有資産の若年世代への移転という点については、100万円未満の貯蓄しかない高齢者世帯が3割に達するという統計もあるなど、高齢者間の資産保有の格差が大きい実態に留意する必要があるのではないか。

ニ 個人金融資産を消費に向かわせるという観点からは、例えば富裕税のような形で、資産所得に対する課税の強化を行うことが効果的なのではないか。(P9)

ホ 家計の資産選択を預貯金中心の貯蓄から証券投資に促すという観点から、一般の上場株式に係る贈与税の特例措置について検討すべきである。

(固定資産税)

イ 市町村の基幹税目である固定資産税の安定的な確保が重要である。平成6年度の評価替え時からの地価公示価格の7割評価については定着してきたところであり、次回平成15年度評価替え以降の税負担についてはこれを維持し、引き続き宅地に係る税負担の均衡化・適正化を推進する必要がある。

ロ 固定資産税に対する納税者の関心が高くなっており、これまでは自己の資産に関する部分に限定されていた固定資産課税台帳縦覧制度について、市町村内の土地・家屋の縦覧帳簿を新たに整備して納税者に開示するなど、情報開示を一層進めていく必要がある。

ハ 相続税、贈与税、固定資産税等については、総体的、全体的に、じっくりと検討していく方向を出すべきものである。あまり目先の諸々の政策的要請で、手を加えるのはいかがなものか。

(その他)

イ 土地基本法の理念は現在も意義を有していることから、この理念に沿って、土地保有に対する課税を重視した現行の土地税制の基本は堅持すべきであり、近年、課税ベースが狭められてきている土地の譲渡、保有への課税については、今後、適正化を図っていく必要がある。

ロ 地価の下落は、時価会計の導入など税制以外の要因によるものであり、地価の1%程度の負担である登録免許税が土地取引を阻害しているとは考えられないことから、土地流動化を促進するために登録免許税を軽減することは適当でない。

ハ 登録免許税は、高額の土地取引の背後にある経済取引に担税力を見出し課税するものであり、手数料とは性質が異なるのではないか。

ニ 不動産取得税は一般市民にあまり関係なく、不動産取引を行うような税負担能力がある者に対して課税されており、また様々な軽減措置も講じられているので土地取引を妨げる問題とはなっていない。(P10)

ホ 国も地方公共団体も厳しい財政状況の中で、登録免許税、不動産取得税のような今ある制度をわざわざ変える必要はないのではないか。

ヘ 流通税は土地取引の阻害要因となっており、登録免許税は手数料化し、不動産取得税は廃止するなど、そのあり方を見直す必要があるのではないか。

ト 不動産取得税や事業所税など不動産関連税制のあり方については、厳しい地方財政の下で、都市再生など地方団体が取り組むべきさまざまな課題があり、また一方で地方税の充実確保が緊要な課題であることを踏まえて議論するべきである。

【酒税】

イ 発泡酒や果実酒などの醸造酒を中心に生産・消費の動向にかなりの変化が見られることから、同種・同等のものには同様の負担を求めるという消費課税の基本原則に照らし、その課税のあり方について検討する必要がある。

ロ 発泡酒は、品質・性状において、ビールと同様であることに加え、製品化されてから相当期間経過しており、企業の製品開発努力を理由に税負担格差の是正を先送りすべきではない。また、近年の発泡酒は技術開発により生まれた新たな商品であり、こうした新商品については、技術開発の進展とともに課税のあり方を見直すのは当然である。

ハ ビールから発泡酒へ急激に需要がシフトしており、現下の厳しい財政事情の下、財政収入に与える影響を考えれば、同一の税率とすべきではないか。

ニ 発泡酒は、消費者ニーズに沿った商品開発という企業努力により生み出されたものであり、そうした商品開発努力には一定の配慮が必要ではないか。また、商品開発後に、税制を変更することは不適当ではないか。

ホ 発泡酒などの増税は、国民のささやかな楽しみを奪い、現下の経済情勢の下、家計に負担を及ぼし消費に悪影響を与えるのではないか。また、発泡酒は現在消費量が伸びている数少ない商品であり、税負担増を求めることは適当でない。

へ ビールの税率を引き下げることで、発泡酒との間の税負担格差を是正するということも考えられるのではないか。(P11)

【その他】

(納税者番号制度)

イ 適正・公平な課税の実現や納税者の税制への信頼の向上に資するものであり、導入に向けた検討を進めるべきである。

ロ 金融証券税制の構築に際し、納税者番号制度が存在しないことが一定の制約要因となっていることは否定できず、制度の導入に向けて具体的な検討を促進することが必要である。

ハ 導入に伴うコストや効果、諸外国の例などを具体的に示すことで、国民の理解を得ることが重要である。また、プライバシー保護の問題に対する国民の受け止め方を考慮しながら、検討すべきである。

(電子申告等)

イ 電子申告等を進めるに当たっては、納税者の信頼を得られるような個人情報の保護にも留意する必要がある。

(エネルギー関係諸税等と環境問題への対応)

イ 道路特定財源等については、現在の厳しい財政状況等に鑑み、基本的には一般財源化の方向で検討すべきである。

ロ 地方の道路整備は立ち遅れており、依然として特定財源等による道路整備の必要性は認められることから、これを維持する必要がある。

ハ 京都議定書の発効に向けて、地球温暖化問題をはじめとする環境問題への関心が高まっているところであるが、環境問題に対する税制面での対応が必要とされる場合には、税調として前向きに対応する必要がある。

ニ 環境問題に対する税制面での対応については、汚染者負担の原則(PPP)に立って、検討を行うべきである。また、理論的な検討は相当進んでいることから、今後は、道路特定財源との関係などを含めて、実践的な検討を行う必要がある。

ホ 環境問題について、税制面での対応を行う場合には地方団体が地球温暖化対策等を含め幅広く環境保全対策を行っており、あるいはPPP原則に沿ったマイナスの応益課税という面もあるので、地方の環境関連税制としても取り組むという面がある。(P12)

(国際課税)

イ 国際化の進展に伴い、外国企業のわが国への進出形態は多様化する傾向にあり、事業体の活動や構成員たる企業・個人に関する情報を把握することが重要になるなど、今後、企業活動の実態の変化に対応する形で、外国の事業体に対する課税のあり方を検討していく必要がある。

ロ 金融やサービスなどのいわゆる「足の速い」経済活動を外国から誘致するために税制上の優遇措置を設ける「有害な税の競争」への対応については、OECD等における国際的な取組みに積極的に参加していくことが重要である。

(その他)

イ 個人住民税については、低所得者層の税負担に配慮するため、生活保護基準の引上げに対応して、均等割及び所得割の非課税限度額を見直すことが適当である。(P13)

(注)

本議事録は毎回の審議後、速やかな公表に努め、限られた時間内にとりまとめるため速記録から、財務省主税局及び総務省自 治税務局の文責において作成した資料です。

内容には正確を期していますが、税制調査会議事規則に基づき、事後の修正の可能性があることをご承知置きください。