第20回総会 議事録
平成13年12月4日開催
〇委員
まだお見えになってない方もいらっしゃいますが、時間になりましたし、きょうは盛りだくさんの議題がございますので、始めさせていただきます。20回目になります。
きょうは、お手元におのおの通し番号で打っている資料が2つあると思いますが、片方は「論点整理メモ」、もう一つが「答申素案」でございまして、この中身をこれから順次詰めたいと。その間に1つ、外形課税のほうの話が入ってきておりますので、これは別途ご説明いただく。つまり、「論点整理メモ」の一環として取り扱いたいと考えております。
そこで進め方でございますが、最初に、会長代理を中心として、基礎小委員会のメンバーと同じ起草小委員会でおまとめいただきました2つの資料、これをまず事務局のほうから読み上げていただきまして、これについて、半分ずつ時間を使いまして、きょうは皆さんから幅広いご議論をいただいて、持って帰って、もう一回基礎小を開いて、来週もう一回やるという段取りでございますので、きょうは、いろいろな角度から結構でございますから、ご意見をいただきたいと思います。
それでは、この取り扱い方等々につきましては後ほど諮るとしまして、まず最初にお読みいただくと。
それから、ここに判こが押してございますように、会議終了後お返しいただくというのは例年の決まり文句でございますので、まだ中途半端でございますので、これはきょう途中でご退席の方も机の上に置いていってください。
では、早速でございますが、事務局のほうから、この「論点整理メモ」から読み上げていただきます。よろしくお願いします。
〇事務局
では、読み上げさせていただきます。
このメモは、これまでの総会等において、委員各位から出された主な意見等について項目ごとに論点を整理したものであり、税制調査会としての意見集約を行ったものではない。
検討に当たっての視点
【これまでの税制改革の点検】
イ ここ数年、景気への配慮を最優先した結果、わが国の租税負担率は極めて低く、租税の果たすべき公的サービスの財源調達機能が極めて不十分になっている。今後は、政策減税ではなく、将来の抜本改革に向けた議論を行う必要がある。
ロ 恒久的な減税などにより現在の国民負担率が極めて低くなっていることについて、国民が十分に認識する必要があるのではないか。
ハ 将来的には、恒久的な減税の見直しや、諸控除の簡素化・合理化など、課税ベースの見直しを含む個人・法人の所得課税のあり方、消費税のあり方などの課題について検討する必要がある。
【最近の経済・財政状況等】
イ わが国経済は、輸出、生産、設備投資が減少し、雇用情勢も悪化するなど厳しい状況にある。先行きについても、世界経済が同時的に減速するなど、懸念が強まっている。こうした中、わが国経済の基本的な成長力を高めるよう構造改革を積極的に推進していく必要がある。
ロ わが国財政は、巨額の赤字を抱えている。平成14年度予算は、財政構造改革の第一歩として、国債発行額を30兆円以下とするとの目標の下、歳出の思い切った見直しと重点的な配分に取り組むこととしている。
ハ 地方財政は、特に、この3年間は10兆円前後の収支不足になるなど、数年にわたり大幅な財源不足を生じており、来年も非常に厳しい状況が続くものと考えられる。平成13年度末の借入金残高は約 189兆円に達する見込みであり、個別の団体の財政状況も、いろいろな資料を取っても、いずれも非常に悪化してきている。(P1)
ニ 自主財源である地方税を拡充し、国からの補助金、地方交付税などの依存財源への依存度を縮減する方向を目指すべきであり、その際には、偏在度の少ない税収の安定性を備えた地方税体系の確立が必要である。
ホ そう遠くない将来に税制全般についての見直し改革が必要になることとの関連にも留意しながら国から地方への税源移譲も含めた、国・地方の税財源配分の見直しといったことにも取り組むべきである。
平成14年度の税制改正
【基本的考え方】
イ 「国債発行額30兆円以下」との目標の下、平成14年度税制改正全体では減収にならないようにする必要がある。
ロ 経済社会の構造変化に適切に対応するとともに、近い将来、税制全般にわたる見直しが必要なことを踏まえ、今後のあるべき税制の姿を見据えた改正を行う必要がある。
【法人課税】
(連結納税制度)
イ 「連結納税制度の基本的考え方」に基づき、実務的な作業を進めるべきである。
ロ 連結納税制度は企業減税を目的とするものではないことや、現下の厳しい財政状況を考慮すれば、制度創設に伴う税収の減少は補填する必要がある。
ハ 税収減への対応は、連結付加税や欠損金の繰越制限等の措置を講ずることが考えられるとともに、租税特別措置の見直しや課税ベースの拡大といった法人税制全般の見直しを行う必要がある。
ニ 制度創設に伴う税収減は、企業の組織再編成や国際競争力の維持・強化という観点から、あくまで、法人課税全体の中で、課税ベースの見直しなどにより対応すべきであり、連結付加税は導入すべきではない。
ホ 平成14年度当初からの円滑な適用が可能となるように対応する必要がある。(P2)
(課税ベースの適正化)
イ 課税ベースの適正化は、わが国法人税における重要な課題であり、そもそも、連結納税制度の創設とは別に議論されるべき課題である。連結納税制度の導入に伴い、法人税制全般の見直しを行う際には、その一層の適正化に取り組む必要がある。
(外形標準課税)
イ 外形標準課税は、非常に合理的であり構造改革に資するもので、その導入は当然の正しい方向であり、議論を待たない。賃金課税であっても別に構わない。要はそのタイミングが問題である。
ロ 地域のサービスの受益をどの企業も受けているので、外形標準課税導入の際にあまり妥協を図るべきではない。
ハ 雇用問題の解決は、新しい事業所が次々と起きることを通じて解決すべきで、税制を仕組む際に、雇用問題の観点からいろいろと配慮するのはおかしい。
ニ ごく一部の企業に税負担を課している現状から、受益との関係からもっと薄く広く負担する外形標準課税化は、活力ある成長力のある企業の税負担を軽減する一つの方策であり、外形標準課税によって事業展開を積極的にして、牽引力のある企業や産業を支援する潜在力を引き出すような税制を実現すべきである。
ホ 抜本的な改革前に極力早い時期に整備されることが望ましい。
ヘ 資本割については、資本等の金額よりも売上高を課税標準とすることも考えられる。また、資本等の金額の部分と法人住民税均等割部分の整理がうまくできていないように思われ、資本等の金額を用いるのであれば、分割基準についても再検討するべきである。
ト 資本等の金額は中期答申の4類型の1つとして、所得基準や他の外形基準と組み合わせて用いるよう検討すべきであるとされており、課税標準として適当なものである。
チ 理論的には、加算法の付加価値が優れていると思うが、今回の案は、賃金課税であるという意見に対し、法人の事業活動の規模をある程度示すとともに、担税力を示す面も有すると考えられる資本等の金額を課税標準として補完的に併用することで給与部分の割合が大幅に引き下げられており、理解を得やすい。(P3)
リ 外形について工夫すればするほど、理論的な面や導入の時期についていろいろ議論がおこる。理論的な面では、去年は賃金課税、今年は資本の充実の阻害という意見が出ている。ただ、赤字法人に課税するのは当然であり、外形は、いつ導入するかということが解決すべき問題である。
ヌ 理論的には、去年の案の方が優れているが、今回の案を理論的に説明すると、去年の案のままでは、現行の業種別の税負担の構造から変化しすぎることから、資本等の金額を入れてそれを緩和したものと理解できる。
(その他)
イ 同族会社の留保金課税制度は、間接的に配当支出の誘引としての機能を果たしつつ、法人形態と個人形態における税負担の差を調整しようとするものであり、現行の法人税と個人所得課税の基本的仕組みを前提とする以上、今後とも必要な制度である。
ロ 同族会社の留保金課税制度については、金融機関の慎重な貸出し態度など、現在の中小企業を取り巻く厳しい経営環境を踏まえて、検討する必要がある。
ハ 交際費課税制度の緩和については、不要不急の支出を促進し、公正・透明な取引を阻害するなど構造改革の点からも問題が多く、現行の制度を維持すべきである。
ニ 大学が受ける寄附金、大学の受託研究については、現行制度上優遇措置が設けられており、他の公益法人等とのバランス、寄附金の支出状況などを踏まえて検討する必要がある。
ホ 特殊法人、公益法人等の見直しの論議を踏まえ、非営利法人課税について検討すべきではないか。
へ NPO法人を含めた非営利法人課税全体のあり方を検討すべきである。
ト 諸外国の例なども参考にしながら、公益法人等の見直しやカジノ・ゲーミング法の制定などを通じて納税者層の拡大を図るといった幅広い観点も重要ではないか。
【租税特別措置等の整理・合理化】
イ 租税特別措置等は、「公平・中立・簡素」という租税原則に反するものであり、常に見直していく必要がある。(P4)
ロ 租税特別措置等の見直しは、個人・企業の経済活動に中立的な税制とし、経済構造改革の一環として効率的な資源配分に資するという点にその意義がある。また、増収効果や課税ベースの拡大に資するという観点から見直すべきである。
ハ 歳出の思い切った見直しに取り組んでいる中、実質的には隠れた補助金である租税特別措置等についても、聖域なく見直すべきである。
ニ 政策目的・効果の検証、他の政策手段との比較、利用実態、特定業界・企業等の保護になっていないか等の観点を基準に見直しを行うのが適当である。
ホ 見直しに当たっては、企業の国際競争力の維持・強化といった個々の租税特別措置等の目的、必要性を十分に検討する必要がある。
ヘ 中小企業に係る政策税制については、既存の措置を徹底的に見直した上で、真に有効な措置について検討する必要がある。その場合、法人の約7割が赤字であり、政策減税の効果が限定的であることに留意する必要がある。
ト 租税特別措置等の整理・合理化については、国税と共通の問題も多いが、社会保険診療報酬の問題など、地方独自の問題もある。それぞれ、長い色々な経緯があるが、「聖域なき見直し」という小泉内閣の方針にも基づき、しっかり取り組む必要がある。
チ 事業税における社会保険診療報酬の見直しについては、いろいろな利害関係が絡んで難しい面はあるが、声を上げ続けていくというのが大事であり、あきらめず政府税調で努力を積み重ね、強いトーンで撤廃を主張すべきであり、基本的な改正の前に整理しておく必要がある。
リ すぐに撤廃することが困難なものについては、段階的に見直すことも考えられる。
【金融・証券関係税制】
(株式譲渡益課税)
イ 今回の株式譲渡益課税に係る改正のうち、100万円特別控除の適用期限の延長、暫定税率の設定、緊急投資優遇措置については、本来、期限を区切った特別の政策税制であり、これを延長されては意味がなく、適用期限経過後は規定どおり廃止すべきではないか。(P5)
ロ 個人の株式投資を優遇するという観点からは、過渡的な経過措置として、思い切って税率を引き下げることも考えられるのではないか。
ハ 税の公平性の原則に反する安易な投資優遇は行うべきではなく、株式譲渡益や預貯金利子など、資産性所得を含めた所得課税の総合課税化を先行させるべきである。
ニ 申告分離課税への一本化の際には、投資家が簡便に申告を行えるよう工夫が必要である。
ホ 今回の株式譲渡益課税に係る改正のうち、取得価格の不明な場合の取得費の特例の創設は、申告の簡便化に向けて大きな意義がある。
(貯蓄優遇税制)
イ 貯蓄優遇税制は、「貯蓄優遇から投資優遇への金融のあり方の切り替え」の方針に加え、「租税特別措置の聖域なき見直し」の観点から、根本的に再検討する必要がある。
ロ 少額貯蓄非課税制度等及び生命保険料控除制度・損害保険料控除制度については、従来から見直しの必要性を指摘しているにもかかわらず、実際の見直しが行われていない。その意味では、具体的措置を講ずることが重要であり、時限を付して「サンセット措置」へ移行することは、終期を明らかにする意味でも有効ではないか。
ハ 少額貯蓄非課税制度等は、高齢者の貯蓄水準が高いことや、所得に占める利子所得の割合が限られていることからみて、高齢者相互間のみならず世代間の税負担の公平を確保する観点から、見直す必要がある。
ニ 高齢者の所得分布は二極化しており、少額貯蓄非課税制度等の廃止については、こうした高齢者の生活実態をよく見て、慎重に検討する必要がある。
ホ 金融のあり方の切り替えとの観点だけではなく、歳入確保の観点から、少額貯蓄非課税制度等の見直しの必要性を説明すべきである。(P6)
へ 現行の保険料控除制度については、保険加入率が相当の水準に達していることなどから、これ以上の誘因効果は期待できないこと、様々な貯蓄手段のうち、特に保険に限って優遇することは、金融商品間の税負担の公平性及び中立性等に照らし問題があることなどから、廃止に向けて検討を進める必要がある。
ト 保険料控除制度の見直しは、老後の生活において自助努力の支援や相互扶助の観点が存在することとの関係等を含めて、慎重な検討が必要である。
(株式投資信託(公募型)に対する税制)
イ 投資信託は専門の仲介機関を通じて資産運用等を図る仕組みであり、一般の個人投資家にとっては、株式へ直接投資するよりは本来はなじみやすい側面を有すると考えられる。
ロ 株式投資信託の運用状況は、一般の個人投資家の期待に沿っておらず、一般の個人投資家にとってなじみやすい商品とは言えないのではないか。
ハ 株式投資信託に対する課税のあり方について、収益を「利子並み」に扱いつつ、譲渡時には譲渡益課税を行うなど、税体系上の整合性を考慮しない取扱いは適当とは言えず、採るべきでない。
ニ 「貯蓄優遇」から「投資優遇」に方向が転換していることや、投資信託はその時々の時価により評価され得る商品であることを勘案すると、株式投資信託に対する「利子並み」課税を変更し、収益に配当課税を行い、譲渡時には譲渡益課税を行うといった課税の仕方が適当ではないか。
ホ 株式投資信託の株式の組入比率はゼロから100%まで様々であり、株式と同一視することは必ずしも適当ではないのではないか。
ヘ 株式投資信託は、資産運用を職業とする専門家が金融サービスを提供する商品であるなど株式と商品性が異なることや、これまで「貯蓄類似商品」として広く普及してきた経緯等、一般の個人投資家の間に「リスク商品」という認識があまり無いと考えられることから、現行制度(収益に対する「利子並み」課税)が合理的なのではないか。(P7)
ト 集団投資スキーム全体を通じて課税の整合性を図る観点から、証券投資信託に対してファンド段階での課税を行った上で、損金算入の手当てを講ずるなどの措置を検討すべきではないか。
チ 証券投資信託に関する税制一般を検討していく上では、金融税制のみならず所得税制全体のあり方にも関連するものであり、更に検討が進められる必要がある。
(その他)
イ 配当課税のあり方について検討する必要があるのではないか。
ロ 少額配当については個人住民税が非課税となっているが、課税の公平・適正化の観点から、問題である。
【資産課税等】
(相続税)
イ 今後、各種の特例措置の見直しを含めて、税率構造や課税ベースなどについて幅広く検討する必要があり、新たな特例措置については、慎重に検討すべきである。
ロ 死亡保険金の非課税制度は、適用を制限するなど、そのあり方を見直すべきである。
ハ 相続税は、すべての財産を平等に扱うことが課税の公平上強く求められること、課税時期が人の死亡(相続の開始)という偶発的な事象により決定されること、一生涯において課税される機会がごく限られていること等から、時々の政策手段として用いることにはなじまない。
ニ 中小企業の事業承継については、既に、事業用の土地に係る相続税の課税価格の特例や取引相場のない株式の評価など、十分な配慮がなされていること、相続税自体、課税対象が限られていることなどを踏まえ、本当に税制が事業承継を阻害しているのか実態をよく把握した上で、特例措置について吟味する必要がある。
ホ 相続税の負担が円滑な事業承継を阻害しているかについては、調査結果が区々であり、どちらとも言い難い。(P8)
ヘ 農地の納税猶予の特例と同様の措置を中小企業の事業承継に適用することについては、納税猶予制度自体が様々な問題を抱えていることに加え、企業は農業と異なり、「承継」についての客観的な判断が困難で、税制として仕組みにくいこと、事業の承継が要件となることにより時代の変化に対応した事業の転換を妨げること、などの問題があることから、慎重な検討が必要である。
(贈与税)
イ 贈与税については、相続税のあり方との関連で検討する必要がある。
ロ これまで社会の中で平等の重要性が強調されてきたことの反動もあり、贈与税等の軽減を求める意見が出ていると考えられるが、これらは、機会の平等の確保の観点などから問題ではないか。
ハ 高齢者の保有資産の若年世代への移転という点については、100万円未満の貯蓄しかない高齢者世帯が3割に達するという統計もあるなど、高齢者間の資産保有の格差が大きい実態に留意する必要があるのではないか。
ニ 個人金融資産を消費に向かわせるという観点からは、例えば富裕税のような形で、資産所得に対する課税の強化を行うことが効果的なのではないか。
ホ 家計の資産選択を預貯金中心の貯蓄から証券投資に促すという観点から、一般の上場株式に係る贈与税の特例措置について検討すべきである。
(固定資産税)
イ 市町村の基幹税目である固定資産税の安定的な確保が重要である。平成6年度の評価替え時からの地価公示価格の7割評価については定着してきたところであり、次回平成15年度評価替え以降の税負担についてはこれを維持し、引き続き宅地に係る税負担の均衡化・適正化を推進する必要がある。
ロ 固定資産税に対する納税者の関心が高くなっており、これまでは自己の資産に関する部分に限定されていた固定資産課税台帳縦覧制度について、市町村内の土地・家屋の縦覧帳簿を新たに整備して納税者に開示するなど、情報開示を一層進めていく必要がある。(P9)
ハ 相続税、贈与税、固定資産税等については、総体的、全体的に、じっくりと検討していく方向を出すべきものである。あまり目先の諸々の政策的要請で、手を加えるのはいかがなものか。
(その他)
イ 土地基本法の理念は現在も意義を有していることから、この理念に沿って、土地保有に対する課税を重視した現行の土地税制の基本は堅持すべきであり、近年、課税ベースが狭められてきている土地の譲渡、保有への課税については、今後、適正化を図っていく必要がある。
ロ 地価の下落は、時価会計の導入など税制以外の要因によるものであり、地価の1%程度の負担である登録免許税が土地取引を阻害しているとは考えられないことから、土地流動化を促進するために登録免許税を軽減することは適当でない。
ハ 登録免許税は、高額の土地取引の背後にある経済取引に担税力を見出し課税するものであり、手数料とは性質が異なるのではないか。
ニ 不動産取得税は一般市民にあまり関係なく、不動産取引を行うような税負担能力がある者に対して課税されており、その負担は全体でも地価の3%程度であり、また様々な軽減措置も講じられているので土地取引を妨げる問題とはなっていない。
ホ 国も地方公共団体も厳しい財政状況の中で、登録免許税、不動産取得税のような今ある制度をわざわざ変える必要はないのではないか。
ヘ 流通税は土地取引の阻害要因となっており、登録免許税は手数料化し、不動産取得税は廃止するなど、そのあり方を見直す必要があるのではないか。
ト 不動産取得税や事業所税など不動産関連税制のあり方については、厳しい地方財政の下で、都市再生など地方団体が取り組むべきさまざまな課題があり、また一方で地方税の充実確保が緊要な課題であることを踏まえて議論するべきである。
【酒税】
イ 発泡酒や果実酒などの醸造酒を中心に生産・消費の動向にかなりの変化が見られることから、同種・同等のものには同様の負担を求めるという消費課税の基本原則に照らし、その課税のあり方について検討する必要がある。(P10)
ロ 発泡酒は、品質・性状において、ビールと同様であることに加え、製品化されてから相当期間経過しており、企業の製品開発努力を理由に税負担格差の是正を先送りすべきではない。また、近年の発泡酒は技術開発により生まれた新たな商品であり、こうした新商品については、技術開発の進展とともに課税のあり方を見直す必要がある。
ハ 酒などの嗜好品の課税について、よく「庶民のささやかな楽しみを奪う」といった批判があるが、現下の財政状況を考えると、もっと税率を上げてもよいのではないか。
ニ ビールから発泡酒へ急激に需要がシフトしており、財政収入に与える影響を考えれば、同一の税率とすべきではないか。
ホ 発泡酒が日本独自のものとすれば、ビールより低い税率にしていることはWTOとの関係で問題とされるおそれがあるのではないか。
ヘ 発泡酒は、消費者ニーズに沿った商品開発という企業努力により生み出されたものであり、そうした商品開発努力には一定の配慮が必要ではないか。また、発泡酒は現在消費量が伸びている数少ない商品であり、税負担増を求めることは適当でない。
ト 発泡酒などの増税は、国民のささやかな楽しみを奪い、現下の経済情勢の下、家計に負担を及ぼし消費に悪影響を与えるのではないか。
【その他】
(納税者番号制度)
イ 適正・公平な課税の実現や納税者の税制への信頼の向上に資するものであり、導入に向けた検討を進めるべきである。
ロ 金融証券税制の構築に際し、納税者番号制度が存在しないことが一定の制約要因となっていることは否定できず、制度の導入に向けて具体的な検討を促進することが必要である。
ハ 導入に伴うコストや効果、諸外国の例などを具体的に示すことで、国民の理解を得ることが重要である。また、プライバシー保護の問題に対する国民の受け止め方を考慮しながら、検討すべきである。(P11)
(電子申告等)
イ 電子申告等を進めるに当たっては、納税者の信頼を得られるような個人情報の保護にも留意する必要がある。
(環境問題への対応とエネルギー関係諸税等)
イ 京都議定書の発効に向けて、地球温暖化問題をはじめとする環境問題への関心が高まっているところであるが、税制面での対応が必要とされる場合には、税調として前向きに対応する必要がある。
ロ 汚染者負担の原則(PPP)に立って、検討を行うべきである。また、理論的な検討は相当進んでいることから、今後は、道路特定財源との関係などを含めて、実践的な検討を行う必要がある。
ハ 環境問題について、税制面での対応を行う場合には地方団体が地球温暖化対策等を含め幅広く環境保全対策を行っており、あるいはPPP原則に沿ったマイナスの応益課税という面もあるので、地方の環境関連税制としても取り組むという面がある。
ニ 道路特定財源等について、そのあり方を検討する必要があるのではないか。
(国際課税)
イ 国際化の進展に伴い、外国企業のわが国への進出形態は多様化する傾向にあり、事業体の活動や構成員たる企業・個人に関する情報を把握することが重要になるなど、今後、企業活動の実態の変化に対応する形で、外国の事業体に対する課税のあり方を検討していく必要がある。
ロ 金融やサービスなどのいわゆる「足の速い」経済活動を外国から誘致するために税制上の優遇措置を設ける「有害な税の競争」への対応については、OECD等における国際的な取組みに積極的に参加していくことが重要である。
(その他)
イ 個人住民税については、低所得者層の税負担に配慮するため、生活保護基準の引上げに対応して、均等割及び所得割の非課税限度額を見直すことが適当である。(P12)
〇委員
ありがとうございました。
この後引き続いて外形標準課税のご説明をいただきますが、その前に、せっかく読み上げていただいた後なので、印象の鮮明なうちにちょっとこの文章の性格についてご説明をさせていただきます。
これは、総会、あるいは基礎問題小委員会、あるいは起草小委員会で皆さんのご意見を伺って、いろいろな論点を整理したわけです。当然、相反する意見も整理されております。この中の大半を取り入れまして、以下読み上げます「答申素案」ができておりますが、当然のこと、「答申素案」とは相反する意見もこの「論点整理メモ」にはついているわけでございます。そういう意味で、これからこの内容をご議論いただくとき、いろんな意見があまりここに盛り込まれてない、つまり、答申には落ちているけれども少数意見という形で述べたものもここに入れてほしいという意味において、ぜひ落ちたものを入れてくれという指示もございましょう。そういうわけで、議論の中身、文章の中身と言うよりは内容をご検討いただきたいと思います。
なぜこんなことを考えているかといいますと、「論点整理メモ」はいずれ、「主な意見」という形で答申と一緒に公表したいと考えております。何回か申し上げましたが、今回の答申は一本化して、両論併記というのを極力やめようという形にして、国民に対するメッセージを明確にしたいと思ってますので、答申の中で、総会の中の議論をああでもないこうでもないと説明するのではなくて、その一本化した背後にある事情は全部ここで盛り込みたいと考えておりますので、この「論点整理メモ」はある意味では非常に重要でございます。そういう意味で、外形標準課税のご説明が終わった後、一括してご審議を賜りたいと考えております。
では、ご説明ください。
〇事務局
きょうは外形標準課税の関係資料、3つ入っております。「改革案のポイント」「改革案のねらい」、それからもう一つ大きい横長の「外形標準課税説明資料」。この横長の厚いほうでお話をさせていただきます。全部説明するわけにいきませんので、目次のところにどういった資料が入っているかということをまとめております。
それでは、早速ですが、4ページに入っていただきたいと思います。4ページのところが昨年末の当税調でのご議論をまとめたものでございます。アンダーラインを付しておりますが、当時の自治省案は、税収中立の考え方のもと、中立性の高い課税標準で公平な課税を図ろうとするものであり、所得課税よりも望ましい。あるいは、[4]の前ですが、さまざまな議論を参考としつつ、引き続き各方面の意見を聞きながら、景気の状況等を踏まえ、外形標準課税の早期導入を図ることが適当、というのが結論でございます。
その後5ページでは、6月の分権委員会の報告、さらに6ページへ進んでいただきますと、この6月、いわゆる「骨太の方針」ですが、下のほうに線が引いてあります。「法人事業税の外形標準課税については……各方面の意見を聴きながら課税の仕組み等についてさらに検討を深め、景気の状況等も勘案して導入を図る」というふうに閣議決定されているわけでございます。
そこで7ページへお進みいただきたいと思いますが、私ども、今年に入りまして、主要な経済団体、あるいは労働団体、それらの代表者の方々と何度も議論の機会を設けていただきまして、ご意見を伺ってまいりました。その主なものをここに並べております。
まず1つは、改革の理念、趣旨等についてはおおむねご理解いただいたかと思うのですが、課税の仕組みについては、そこにございますように、人件費課税は雇用に悪影響を及ぼすのではないかと、あるいは給与分のシェアをもっと下げるとか、雇用安定控除など制度が複雑であって、もっと簡素化すべきとか、中小企業への配慮は必要だけれども、大企業と中小法人で率が違うのはいかがなものか、等いただいております。
さらに次のページへいっていただきますと、そのほかにも、導入のタイミングですとか、あるいは法人の道府県民税均等割の引上げでの対処、さらに繰越欠損金の利用制限の対処、さらに国際的な流れに逆行するのではないか、このような貴重な意見を賜っております。
そこで今回の改革案というのが9ページでございますが、具体的なポイントだけ申し上げますと、1つは、「賃金への課税ではないか」、あるいは「担税力にも配慮すべきではないか」という意見に配慮しまして、資本割を補完的に入れさせていただく。すなわち、全体の半分が外形課税ですが、そこの部分のうち3分の1、全体から見れば6分の1、資本割を導入しているということです。
これによりまして、法人事業税額全体に占める給与分の割合というのが大幅に引き下げられて2割程度になる。あるいは[2]にございますように、大法人・中小法人の税負担割合を変更することなく、課税の仕組みを簡素化、すなわち、同一税率、あるいは雇用安定控除といったものをなくしていけるという趣旨でございます。
11ページへ飛んでいただきますと、今申し上げました現行、旧自治省案、改革案のイメージで、そこにありますように、昨年申し上げました事業規模額(付加価値額)による課税、これを圧縮して資本割を入れている。税率は、大法人1.6、中小法人1.0というものに対して、今回が0.66、また資本割のところは0.48ということでご提案申し上げております。
14ページへ進んでいただきたいと思います。幾つかの論点、2~3だけ申し上げますと、まず付加価値額、これは昨年から入れているわけですが、その中立性ということで、その図をごらんいただきますと、報酬給与額、純支払利子、純支払賃借料と単年度損益がありますので、報酬給与額を減らしますと、ほかの要素を変えないということであれば、単年度損益のほうで利益が上がってくるという意味で、4つを足し合わせたものですので、事業活動の規模をはかるという意味で、これが中立性を持っているということで、黒く塗ってありますように、報酬給与額を減らしても、税額が減るという形ではないということでございます。
次のページ、2点目でございますが、実際の会社のうち130万社、約半分ほどが1,000万円未満の法人ということで、簡易外形税額、定額年4万8,000円を選択可能ということで、そういう観点から見ますと、賃金課税とダイレクトなところではないという趣旨でございます。
19ページへ飛んでいただきたいと思います。諸外国の関係については、年末、あるいは中期答申のときにいろいろご議論いただきましたが、若干新しい要素なり新しいところだけ拾ってみますと、オーストラリアの支払給与税ですとかオーストリアの賃金総額税というのは、給与そのものを課税標準に含んでいる例でございます。
次の20ページで、イタリア、あるいはフランスでも、公共交通機関税が支払給与額にダイレクトにかかるといったことがわかりました。
進んでいただきまして24ページをお願いしたいと思います。今回、資本ということを導入したわけですが、それの関連としては、カナダの資本税、あるいはスイスの州自己資本税等がございます。
そこで26ページですが、一番論点になるかと思いますが、「景気の状況と外形標準課税」ということで、現在の景気が、雇用情勢を含めまして厳しい状況であることは十分承知しておりますが、我が国の潜在的成長力を引き出せる、将来を見据えた税制の構築という観点から言いますと、応益課税である外形課税化ということで、所得に係る税負担を軽減することが必要ではないかと。もちろん、その際には中小法人などについて十分な配慮を講じることが必要と考えております。
そこで具体的に、今回の提案がどういったスケジュールをということで、27ページをお願いしたいと思います。今回提案しておりますのは、14年度の改正で制度化していただいた場合ですけれども、導入自体は15年度から、そして大法人が先行して、2年遅れて中小法人が、すなわち17年から中小が入っていくということですが、初めの3年間は2分の1ではなく4分の1という形でまいります。したがって、中小が2分の1フル課税になるのが平成20年、2008年度ということで、それまでには、下にございますように、不良債権の問題ですとか、あるいは、今朝発表になりました経済財政白書でも、構造改革が進んで、しっかりした基盤が回復してくる。この間に順次導入するというようなことをご提言申し上げている次第でございます。
それでは具体のイメージとしてどんなものかということを一言お願いしたいと思います。31ページで、幾つかの規模に分けておりますが、資本金1,000万円未満の法人の場合、これは平均してみますと、有限会社等ですが、資本等の金額が360万円で、従業員7人、売上高8,400万円、こんな平均像が浮かび上がるわけですが、この場合に、欠損法人、赤字法人の税負担というのは、簡易外形税額という意味では4万8,000円になる。一方、このグループの中で平均的な利益法人の平均といいますと30万円。さらに法人税、住民税合わせますと約180万円を納税していただいている。こういう中で赤字法人に4万8,000円お願いするという趣旨でございます。
それからもう少し大きいところが32ページで、資本金で1,000万から5,000万のところですと、そこにございますように、1,450万円の資本等の金額、18人で、4億円。これは計算していきますと、赤字法人の場合ですと37万円程度お願いする。利益法人の平均額は、税負担はそこにあるとおりでございます。さらに5,000万から1億円の法人について、その下に書いてございます。
もう一枚おめくりいただきますと、もう少し大きいところで1億円から10億円のレベルで、資本等の金額が3億円で、売上が80億円、そういったところに550万円程度、赤字法人の場合もお願いする。一方で、利益法人では1億5,000万円近く納めている。10億円以上のところがそこにひとくくりにしてございます。
そこで最後に34ページのところで、10億円以上、今ひとくくりしましたので、より具体的に大きな会社のイメージということで、これは実在の会社ですが、資本等の金額900億円、従業員数7,000人、こういった規模の会社をとらえてみますと、たまたま所得470億円という形で、法人所得課税210億円。これは所得の出方いろいろあると思いますが、一方で、ここが問題ではなくて、右のほうの、これと同規模の赤字法人の場合にどれぐらいになるかということで、法人事業税、今の外形で導入した場合に6億円、トータルで6億円ということですので、税負担の公平化という観点から見て、これは決して無理な額ではないのではないかと、こういったイメージをご紹介させていただきました。
以上です。
〇委員
ありがとうございました。今なぜ総務省からこのようなお答えがあったかということですが、若干説明しておきますが、先週の金曜日に起草小委員会を開きましたときに、この新しいご提案を含んだ外形標準課税のご説明をいただいたわけであります。実は総会でやっておりません。そういう意味で、きょう最後の答申をまとめる段階ではありましたが、とりあえず答申のほうに盛り込みたいということもございまして、きょうご説明をいただいたという段取りになっております。
したがって、以下はすべて外形標準課税を織り込んだ形で、「答申」、あるいは「論点整理メモ」のご議論をいただきたいと考えております。今、事務局からご説明をいただいたものについて、直接ご質問もあろうかと思いますが、これは「論点整理メモ」の中に既に法人課税という項目があって、そこに、今要約いただいておりましたけれども、外形標準課税のいろいろな基礎小で議論したことをも含んだ形で書いてございます。したがって、ここでご議論いただければと考えております。
それでは、あと50分ほど時間をとって、休憩の前でございますが、この「論点整理メモ」の中身についてご議論いただきたいと思いますが、これはここに書いております議論を集約するというのではなくて、この論点の整理で漏れがないか、あるいは自分で言ったことは必ずしも的確に表現されてないとか、あるいは自分がかつて発言したことがもろに落っこっているとか等々で、論点を整理するという視点でご議論をいただけたらと考えてます。したがって、反対する意見、あるいは賛成する意見、併記されておりますから、当然のこと、その中の調整は以下の「答申素案」でやっていただくということでありますので、内容よりは項目の拾い落とし等々についてご配慮いただきたいと思います。
最初に、これは12ページございますから、ちょうど5ページのところで切りましょうか。【金融・証券関係税制】というのがちょうど5ページ目で終わっておりますので、最初、前半についてご議論をいただき、しかるべき、後で5ページ以下12ページまでの後半の部分でこの「論点整理メモ」の内容をチェックいただくという形にいたしたいと思います。
それでは、どなたでも結構でございますから、最初の5ページあたりまでについてご議論、あるいは何かちょっとご質問なりご意見があれば伺いたいと思います。どうぞ。
〇委員
最初の点でございますが、租税負担率が低いということ、これはまさにそのとおりだと思います。一方で社会保険の負担、これは個人にとっても企業にとっても多くなっているわけですし、医療保険、介護保険、年金、そのほか。したがって、国民総負担率として、何年後にどのぐらいになるかという目安を考えておく必要のもとに租税負担率を考えることが必要ではないかという意見でございます。
〇委員
わかりました。ちょっとそういう趣旨を加えてここの中身を充実してくれという話ですね。
〇委員
はい。
〇委員
わかりました。ほかにございますか。
〇委員
前に方針、たしか言っておられたと思うのだけれども、これは政府税調と党税調がパラで走っていって、いろいろ、前はよく調整をしておさめたわけだけれども、会長になられてから、こっちはこっちで正論をぶっていくのだと、結果として党税調と違っても構わないというようなことを言っておられたように思うのだが、その方針は今どういう考え方ですか。
〇委員
皆さんのご意見もお聞きしたいと思いますが、私は、今、委員が要約してくれたようなつもりでおります。それで、実は党税調の会長には2度ほど会って、新聞で対談したこともございますけれども、双方やりとりいたしております。そこで、おそらくきょうの新聞あたりも、発泡酒の問題、あるいは老人マル優の問題等々出ておりますが、私は、あまり向こうに気兼ねすることはなくて、政府税調は政府税調独自で議論を展開していって、結果として我々の意見が通らなくても、それでいいのではないかと思ってますけれどもね。何かそれについて強いご懸念の点でもあればまたご開陳いただきたいと思いますが、そういう考えでやっております。
〇委員
私は賛成ですね。
〇委員
そうですか。ありがとうございます。ほかにどうでしょうか。前段のところで。
〇委員
今まであまり出席してないで申しわけないですが、金庫株のことについて全然触れてないのですけどね。来年の4月から金庫株は処分可能になるわけですが、法務省令で、商法上はこれは資本取引ということになっておりますし、それから企業会計審議会でも、会計上も資本取引等して整理が進められているわけです。したがいまして、税制上でも、この金庫株の取り扱いは資本取引として非課税であるということを明確にしておいていただけないかと思うのでございますが。
〇委員
今のお話はおそらく、「金融・証券関係税制」のキャピタルゲインの後あたりで議論を取り交わしたときに、たしか金庫株の議論があったと思いますが、ただ、随分前なのですよね。総会とか、あるいは基礎問題小委員会とか起草小委の最近の状況ではあまり金庫株は取り上げておりませんが、おっしゃるとおり、かつて議論もあったことでありますから、この論点の6ページあたりのほうに、金庫株のことを意見としてあったということも、それでは整理させていただきましょう。
〇委員
よろしくお願いします。
〇委員
まず1点は連結納税のところでございますが、2ページですね。ハのところで、「税減収への対応は、連結付加税や欠損金の繰越制限等の措置を講ずることが考えられるとともに、租税特別措置の見直しや課税ベースの拡大といった法人税制全般の見直しを行う必要がある」という文面が入っておりまして、ニのところで最後に「連結付加税は導入すべきではない」。これは両方の意見があるという併記になっているのですか。
〇委員
ここはいいのです。意見の開陳を並べているだけですから、それで結構なのです。ご趣旨に沿わないところも当然書いてありますよ、ここには。よろしいですか。そういう性格のものですから。
〇委員
それと時期等についてはどこかに出ているのですかね。
〇委員
ここでは、例のおくれるとか、あれはちょっとこちらの「答申素案」のほうで書き込むかどうかの議論を踏まえてご議論いただきたいと思いますが、おくれそうになったのを阻止して早めろといったようなご意見ありましたよね。それをもしか書くならば、ここにそういう議論があったという紹介は可能かと思いますが、入れますか。
〇委員
やはり意見としては、ぜひとも14年度……
〇委員
14年度中にやれという強い意見があったということですね。
〇委員
はい。それは強い意見だと思いますので、お願いしたいと思います。
〇委員
わかりました。
〇委員
それから続いて3ページですけれども……
〇委員
2ページの一番下、ホに「平成14年度当初からの円滑な適用が可能となるように対応する」と入ってますね。ごめんなさい。
〇委員
はい。3ページ、外形標準のことについては、今までの論議の中から急に出てきたような感じがしますので。
〇委員
きょう初めて目に触れる方もいらっしゃいますから、どうぞご意見おっしゃってください。
〇委員
先ほどからもるるご説明がございましたけれども、1つは、昨年度の提案から人件費的な、賃金的なものと資本割のところに、少しこの率が変わったということが大きな問題だと思いますが、いずれにしても、企業からすれば、雇用問題というものが非常に、昨年の同時期と今と比べれば世の中が様変わりになっているという雇用情勢が1つあるということ。
それと資本金等の課税については、これから、再編、統合、分割等々でいろいろな意味で資本というものが非常に変化していくというふうなところへまた資本割を入れるというのはいかがなものかということの両方とも、今のご時世からいえばちょっと逆行しているような感じがすると思います。そういう意味では、やはり反対であるというふうな意見をぜひ併記、入れていただきたいと思います。
もう一方、反対するばかりではいけませんので、外形標準は特に地方税との問題があります。国と地方の問題でありますので、もう少し抜本的な、先ほどから平成16年とか17年とかいうのであれば、今これからもっともっと根本的な論議をして、もっと国と地方とのあり方とを含めた、いわばあり方と税制というものを基本的な論議をしてやったほうが早道ではないか。
いずれにしても、今現在こういうことを導入しても、そんなに抜本的に国と地方の税制は改革にならないと思うのですね。そういう意味では、あまりビルド、ビルドばかりではなしに、やはり一遍、21世紀型の国と地方のあり方と、そしてそれの税のあり方というような根本のところからスタートしたほうが根本解決になるのではないか。それで、タイミングもそのほうがかえって早道ではないか。そういうふうな抜本的な国と地方の税制のあり方という意見もあるということもちょっと入れていただきたいと思います。
〇委員
ありがとうございました。
〇委員
今のご意見に対して、国と地方の税源移譲の問題を含めて、将来の税のあり方というのは確かに大きな議論にこれからなると思うのですが、そういう視点からいっても、法人関係の税というものはやはり国のほうに主としていくべきであって、地方のほうは応益課税で、外形標準という形におさまるのが、そういう観点からいってもやはり将来の姿ではないかと思うのですよね。ですから、住民税とか消費税とかいうのは比較的地方のほうへ持っていくべきものであって、法人税についてはやはりそういう外形標準的な応益課税という形をとっていくべきものではないかと。
これも何遍も何遍も出しているわけで、こういうふうにすればこれがだめだと、ああいうふうにすればこれがだめだということだと、いつまでたってもこれはできない。これはやはり僕はやるべきことではないかと思いますけどね。
〇委員
将来の先取りだという。外形課税はね。
〇委員
ええ。あるいは将来整理する前に、ここのところを整理しておいたほうがいいと思います。
〇委員
そういうご意見ですね。
〇委員
今の問題に関連してですけれども、外形標準課税の導入自体については、「中期答申」とか「骨太」だとかでもうさんざん議論した上で、方向としては望ましいということを書いてあるわけですね。したがって、そういった中で、聖域なき構造改革で正しい方向へ一歩踏み出すのだという以上は、さっき説明がありまして、平成20年度でないとフルに実現できないというタイムスケジュールになっているようでして、私自身はこれはいかがなものかという感じさえするのですが、方向としてはこのようなタイムスケジュール、おっしゃるように、経済状況等も勘案した方向として、政府税調としてはこの際きちんとしたタイムスケジュールを示すべきではないかと、このように思います。
〇委員
平成20年ではちょっと遅過ぎるから、もうちょっと前倒ししてほしいですか。
〇委員
そこはいろいろ議論が後段であると思いますが、少なくともこの論点整理の中ではですね。
〇委員
そういうご意見があったということですね。
〇委員
はい。
〇委員
ほかにどうぞ。
〇委員
ただいまのお話と大筋一緒かもしれませんけれども、外形課税、もう昭和39年以来の課題でございます。この論点メモにもありますように、将来のいずれ近い時期に抜本的な税制の見直しがあると。その中でやるべきだという観点もあると思いますが、その前にやっておいたほうがいいのではないかという気もするわけでございます。
この外形、突き詰めてまいりますと、前に議論を申し上げたことがありますが、これは一体だれが負担するのか、転嫁するのかしないのかということでございますが、おそらくこれは転嫁しない企業自体が応益税として負担すると。結局それは資本課徴ではないのかということを申し上げたことがあります。
そういった意味におきましては、今回、資本部分を入れて考えるということではある意味では理論的にすっきりと詰めた形になっていると思うわけでございます。これはある意味では法人課税とは別な話でありますし、また消費課税とも別でございます。消費課税のほうはいわば控除型付加価値税、こちらはある意味では加算型付加価値税です。しかし、抜本的な税制の見直しをやっていくというときには、法人課税をどうするのか。さっきお話がありましたように、国に持っていくのか、地方にウェイトを置くのかという議論がある。消費税をどうするという話は当然出てきますが、そのときに、この外形等の関係はどうなるのだという話も出てまいると思います。そういった意味においては、近い将来に見込まれる税制の基本的な見直しの前に処理しておいたほうがむしろすっきりとした対処ができるのではないかという気がするわけでございます。
本来これは、平成11年に行われた法人課税の見直しのときに、課税ベースの見直しとともに外形の問題も同時に処理すべきであった課題ではないかと思うわけでございますが、課税水準の引下げだけが先行して時期を失してしまったという面があるのではないか。今回も、抜本的改革との関連で、時期を失する、あるいは混乱を招くということも心配されますので、できれば早い機会にこの問題は対処しておいたほうがいいのではないかと思うわけでございます。
〇委員
先の委員がお出しになった論点と似ているわけですね。
〇委員
おおむねそんな感じでございます。
〇委員
わかりました。それでは、後半のほうももう含めて、時間が押してきましたので、どうぞご自由に。
〇委員
まず、今の前半のほうから申し上げますと、3ページのハのところですが、雇用問題の解決の一番最後のところに、「配慮するのはおかしい」という表現がとられているのですね。こういう表現を本当にとった論議があったのかどうか。これがまず1つ。
それから中身的には、賃金への加増ではないかという部分について、給与分のほうについて大分配慮がされたということについては、100%満足ではないけれども、幾分の評価はさせていただきたいと思います。
それから後ろの部分ですが、6ページのところの貯蓄優遇税制の関係で、ロ、ハ含めてですが、「少額貯蓄非課税等」という、この「等」の問題です。老人マル優の部分についてはクローズアップされているのだけれども、寝た子を起こすようでちょっとまずいですが、例えば年金財形、住宅財形の部分ですね。ここのことについては、私は、今サラリーマン、これしか残ってないので、ぜひ存続させてほしいと。だから、何もしないでばっさりというのはやめてくださいと。
それからその次が、同じように7ページのところの保険料の問題ですけれども、ここについては、上から2つ目のトの部分、これは慎重な検討というよりは、今回の場合にはいじらないほうがいいというのが私の意見です。
それから11ページにいきますが、発泡酒の関係でありまして、これは11ページのヘとトのところにそれぞれの考え方が出てますので、考え方としてはこれでいいのですが、あえていえば、アイデア賞的なものに対して何かインセンティブを残すということが必要ではないかと思ってますので、そういう配慮をぜひお願いをしたいと思います。
〇委員
雇用の問題は当然委員が一番ご発言多かったのですが、委員の専売特許ではなくて、こういうことを言った方もいらっしゃいますのでしたためました。あとの点につきましては書き加えさせていただきます。ほかにいかがでしょうか。
〇委員
外形標準課税の問題はもう先の委員が言われたことで全く賛成で、もっと強く表現していいのではないかと思うのですが、僕は、4ページの(その他)の例のカジノ・ゲーミング法のところですけれども、これは「公益法人等の見直し」ではなくて、特殊法人等。公益法人も特殊法人なので、これは誤植みたいなものですけれども、もうちょっと、「見直し」というより「整理・合理化等」というふうにやってもらったほうがいいかもしれませんが、要するに、特殊法人で公営ギャンブルやっているので、それの見直しに絡めてカジノ・ゲーミング法だということです。
細かいことですが、よろしくお願いします。
〇委員
ここは委員の専売特許のところですから、おっしゃるとおり。「整理・合理化」ですね。わかりました。ほかにいかがでしょうか。
〇委員
ちょっと気がついたのですが、外形標準課税で、景気の状況を踏まえて早期導入」という表現になってますけれども、景気状況を踏まえて平成20年に本格導入というのは論理矛盾ではないかと。平成20年の景気動向なんぞ今の段階でわからないのではないかと思います。それだけです。
〇委員
どこに書いてあるの? 景気動向云々?
〇委員
「景気の状況を踏まえて外形標準課税の早期導入を図る」と。去年のあれですけれども。
〇委員
きょう新しくこの外形についてご意見賜って結構なので、平成20年などわからんと書いたほうがいいのではないですか。どちらかといえば。
〇委員
平成20年ぐらいにやるなら、今から話をしても何の意味もないから、やるなら来年からとか、そういうふうにしてほしいと。
〇委員
ただフルに、フル企画になるのが平成20年ですからね。
〇委員
それにしても、幾ら何でもそんなに間延びさせる必要はどこにあるのかというのはちょっと理解に苦しむと。
〇委員
わかりました。
まだほかにございますか。いかがでしょうか。起草小の方々で、もう一度、ご説明でも結構ですが、よろしゅうございますか。
それでは、この「論点整理メモ」はいずれ後でご議論申し上げたいと思いますが、「主な意見」というタイトルに変えて、答申と一緒に公表するという格好で、この審議会の状況を、税調の審議の状況を世に報告するという格好にさせていただこうかと思います。まだもう一回総会があり、そこでまたご意見をいただく機会がございますから、そこで再度お出しいただいても構いません。よろしゅうございますか。
どうぞ。
〇委員
ここでもいいのですけれども、発泡酒の話のときに、同じでなければならんというのだったら、何も発泡酒上げないでビールを下げればいいではないかという議論をした覚えがあるのだけれども、まあそれはくだらん議論だからのけたのでしょうけれども。
〇委員
いやいや、入れておきますよ、そうしたら。もろに、本体ビールを発砲酒まで下げるというご議論ですよね。
〇委員
いや、発砲酒を上げてビールと一緒にするという議論もあるかもしれないけれども、ビールを下げて発泡酒と一緒にしてよと。
〇委員
だから、ビールは大減税になるということですよね。たしかおっしゃいましたよね。
〇委員
ええ。
〇委員
わかりました。
〇委員
それが書いてあれば問題ないです。
〇委員
いや、それは書いてないです。そういう趣旨のことを言う人は委員だけだったから、書いてないと。
〇委員
それで、発泡酒のことについて一言だけ。
〇委員
どうぞ。
〇委員
私は、いわゆる企業努力というか、新機軸というものに対するインセンティブを阻害するという意見を言いましたけれども、これはいわゆるただの新製品開発ではなくて、税制という枠、税に対して挑戦した新しい商品なのですよね。それを税を決める側が、そんなもの、おまえら、もうかり始めたからとるというのは、どう考えても、立場と受ける側からしておかしいというふうに私は思うので、はやり出したので、同じ種類の、ほとんど同じなのだから同じ税制だというのは、それは聞こえませぬだろうというふうに思うのですよ。ただ、いわゆるアイデアとか新機軸だけではなくて、税制に対して挑戦。つまり、軽自動車だったら、このぐらいの税制と言われて高速道路の料金払っていったら、途中から変わって、出口へ行ったら、軽自動車というのはなくなったので、高いほうをいただきますと言っているのと同じだということだと思います。
〇委員
それは11ページのヘぐらいに、「商品化努力に一層の配慮が必要」というところに、税制に対する果敢な挑戦があったという趣旨だね。
〇委員
そうです。
〇委員
その発泡酒について新聞報道では、総理がそういうチマチマしたことはやめとけということを財政当局におっしゃったという報道がありますけれども、総理はこの税制調査会に諮問しておきながら、個別の問題についてそういう決定的な発言をされるというのはいかがなものかと思いますので、税調でそういう発言が出たということをおっしゃっていただきたいと思います。
〇委員
それはどういう形で申しましょうかねえ。
〇委員
結論は、もちろん党でも議論がありますし、政府でもお決めになることですから、総理がその段階でいろんなことをおっしゃるのは、それは結構なことですが、総理の諮問機関に諮問しておきながら、個別の問題について明快なことをおっしゃるというのはいかがなものかということです。
〇委員
わかりました。ただ、今トップダウン型でやっているというのが小泉さんのやり方でありますから、もう聖域なくどんどん言っているわけですよ。
〇委員
ただ、あの人の意見であって。
〇委員
わかりました。しかるべきところに、ちょっと書き込むというのはあれでしょうから、こういう意見もあったとね。わかりました。
〇委員
今の発泡酒のところですけれども、税に対する挑戦というのは確かにそのとおりでして、企業が税に対して挑戦して、それから利益をとるというのは当然やるべきことだし、そのこと自体全く非難するいわれはないと思うのですけれども、逆に税制当局は、そういうものをつくられたら税を変えるというのも、これまた当然な対抗手段だと思うのですね。
それは金融商品にしたってそうですし、それから身近な例では軽油の例があるのですね。軽油引取税というのはわりと高い税率がかかってますので、これのまがいものというのが常に出回るわけですね。どうするかというと、A重油と灯油と足し合わせると大体軽油と同じようなものになる。それ以外にアルコールを入れたりなんかいろいろやって、軽油引取税を回避しようとする行為は常にあるわけですね。
これは地方税法では、つくった人が頭がいいと見えて、炭化水素油という定義でその税の遺漏を防いでいるわけです。そうしないと軽油引取税の税収が落ちるわけですから。だから、開発するのも当然だけれども、それを税務当局が防ぐのもこれまた当然だと。どこが悪いのだというのが私の意見です。
〇委員
いろいろ意見があるということで承っておきます。ほかにございますか。
〇委員
道路財源について、なくすべきだという議論と維持すべきだという議論があったのは事実なものですから、やはりこれには少なくとも書きおくべきではないか。本文のほうは……
〇委員
道路財源の一般財源化のお話ですね。
〇委員
ええ。
〇委員
これは一番最後に、あり方について考える、つまり、12ページのニに書いてあるぐらいでは、あり方の検討というのでは弱いということですね。おっしゃる意味は。
〇委員
そういうことです。積極論と廃止論と両方あったと。廃止論と、それから維持論といいますか。だから両方書いておかないとおかしいのではないかと。
〇委員
わかりました。
またぼつぼつさみだれ的に議論が出てきましたけれども、よろしゅうございますか、この「論点整理メモ」。もしくは、これで一とおり、きょうの段階はこれでいいということならば、まだちょっと時間余っておりますので、きょうの本論でございます「答申素案」を読み上げていただいて、それでちょっと休憩をとるという格好にしたいと思いますが、これは30分ぐらいということですから、30分頑張って聞きましょう。
では、すみません。よろしくお願いします。
〇事務局
読み上げます。
当調査会は、昨年12月に「平成13年度の税制改正に関する答申」を取りまとめた。その後、本年5月に金融小委員会を設置し、今後のあるべき金融の姿を展望しつつ、証券税制のあり方について検討を行い、9月に「証券税制等についての意見」を取りまとめ、総会に報告した。
法人課税小委員会においては、昨年の会社分割・合併等の企業組織再編成に係る税制に引き続いて、連結納税制度の導入に向けた検討を深めた。10月に「連結納税制度の基本的考え方」を取りまとめ、総会における審議を経て公表した。
7月に設置した基礎問題小委員会においては、総会との連携を図りながら、租税特別措置等の見直しなど当面の課題について検討を行うとともに、現在、中長期的な税制のあり方について検討を進めている。
総会においては、こうした審議も踏まえ、11月下旬から、当面の課題である平成14年度税制改正について検討を行った。
この答申は、平成14年度税制改正に当たっての指針を示したものである。
一 検討に当たっての視点
1.これまでの税制改革の点検
税制の流れ
今後の望ましい税制の姿を展望しつつ、平成14年度税制改正を検討することに先立ち、まず近年の税制改革を振り返ることとする。
昭和62年から63年にかけて、高齢化社会の到来などを見据え、所得・消費・資産等の間でバランスのとれた税体系の構築を図るため、シャウプ勧告以来の抜本的な税制改革が行われた。具体的には、旧来の個別間接税が廃止され、消費税が創設された。その一方で、個人所得課税の税率構造について累進緩和・簡素化が図られた。同時に、利子課税の見直し等により資産性所得に対する課税が適正化された。
また、平成6年には、少子・高齢化の進展などに対応するため、個人所得課税の税率構造の一層の累進緩和などにより、主に中堅所得者層の負担軽減が行われた。他方、消費課税の充実を図るため消費税率を5%(新たに創設された地方消費税1%分を含む。)に引き上げるとともに、中小事業者に対する特例措置等の抜本的な見直しが行われた。その際、経済状況に配慮して、消費税率の引上げ等を平成9年4月実施と先に延ばしつつ、個人所得課税については、平成7年(度)以降に制度減税、平成6年(度)から8年(度)に特別減税が実施され、先行減税が行われた。(P1)
その後、平成9年秋以降、金融システム不安等が実体経済に深刻な影響を及ぼし、その結果、平成10年度には実質経済成長率がマイナスとなるなど、わが国経済は深刻な状況に陥り、景気回復を図る観点から税制面でも最大限配慮することが求められた。このため、平成10年(度)には個人所得課税について二度にわたる特別減税が実施され、他方、法人課税についても、企業活力や国際競争力を維持する観点から、課税ベースの適正化と併せて税率の引下げが行われた。
さらに、平成11年度税制改正においては、個人所得課税及び法人課税について6兆円を相当程度上回る恒久的な減税が実施された。景気への配慮から、個人所得課税について定率減税が行われたほか、法人課税について課税ベースが見直されることなく一層の税率の引下げが行われるなど、負担軽減となる措置のみが実施された。現在も、こうした個人所得課税の定率減税などの措置が継続していることを、国民一人一人が十分に認識する必要がある。今後、諸控除の簡素化・合理化など、課税ベースの見直しを含む個人・法人の所得課税のあり方について、抜本的な見直しを検討する必要がある。
税負担の現状と今後の対応
以上のような税制の流れを経て、わが国の租税負担率(対国民所得比)は22.6%(平成13年度見込み)と、主要先進国中、最も低い水準にあり、社会保障負担率を加えた国民負担率で見ても、諸外国に比べて低い水準にある。例えば個人所得課税については、恒久的な減税や各種控除の累次の拡充等の結果、働く人のうち概ね4分の1程度が非納税者となっており、個々の納税者の負担水準も国際的に見て非常に低いものとなっている。
公的サービスの水準が上昇傾向にある一方、租税負担を含む国民負担が低水準に留まっている結果、歳出と歳入のギャップが拡大傾向にある。現在、明らかに租税の果たすべき公的サービスの財源調達機能は極めて不十分な状態に置かれている。21世紀のあるべき経済社会を展望し、租税は公的サービスを賄うのに十分な財源を国民皆が広く公平に分かち合うものであることを改めて認識した上で、少子・高齢化、国際化・情報化、ライフスタイルの多様化など、経済社会の構造変化と調和のとれた望ましい税制の構築に向けて、今後、税制全般にわたる抜本的な改革が必要となると考える。(P2)
こうした点を踏まえ、現在、基礎問題小委員会において、現行税制の歪みや不公平と指摘されている点について、理論的・基礎的検討を行っている。今後、公正で活力ある社会を実現していくため、経済社会の構造変化に適切に対応し、公平・中立・簡素といった租税の基本原則に則った望ましい税制の構築に向けて、更に議論を深めることとする。
2.最近の経済・財政状況等
経済・財政状況
世界経済が減速している中で、わが国経済は、輸出、生産、設備投資が減少し、雇用情勢も悪化するなど、厳しい状況にある。このような中、政府は、本年6月に経済財政諮問会議の審議を経て決定した「今後の経済財政運営及び経済社会の構造改革に関する基本方針」(以下「基本方針」という。)に基づき、わが国経済の基本的な成長力を高めるよう、構造改革を積極的に推進していくこととしている。
一方、わが国の財政は、バブル崩壊後、景気回復に向けた諸施策に伴う歳出の増大や恒久的な減税など税制面での措置の結果、歳出・歳入ギャップが拡大し、国及び地方の長期債務残高は平成13年度末約666兆円に達すると見込まれるなど、危機的な状況が続いている。平成14年度予算は、財政構造改革の第一歩として、国債発行額を30兆円以下とするとの目標の下、歳出の思い切った見直しと重点的な配分に取り組むこととされている。その後、持続可能な財政バランスを実現するため、「構造改革と経済財政の中期展望」(仮称)を策定しプライマリ-バランス黒字達成に向けた道筋を示すこととされている。
地方財政の状況と地方税
地方財政は、借入金残高が累増し、個々の団体においても公債費をはじめとする義務的経費が増加するなど、極めて厳しい状況が続いている。地方公共団体の財政面における自己決定権と自己責任をより拡充することを基本とし、引き続き徹底した行財政改革に取り組むことが求められている。
地方行財政の効率化を前提に自主財源を中心とした歳入基盤を確立し、税源の偏在性が少なく、税収の安定性を備えた地方税体系を構築するとの観点から、地方税の充実確保を図ることが重要である。その一環として、国と地方の役割分担の見直しを踏まえつつ、国庫補助負担金の整理合理化や地方交付税のあり方の見直しとともに、税源移譲を含め国と地方の税源配分について根本から見直しそのあり方を検討すべきである。その際、国・地方それぞれの財政事情や個々の自治体に与える影響等を踏まえる必要がある。(P3)
二 平成14年度税制改正
1.基本的考え方
平成14年度税制改正については、以上のようなわが国の財政状況や租税負担の現状等を考慮すれば、「国債発行額30兆円以下」との目標の下、基本的に税制改正全体として減収とならないような方針で臨む必要がある。
また、中長期的な視点に立ち構造改革を積極的に推進することにより、経済を効率化し、わが国経済の基本的な成長力を高める観点から、税制面においても、経済社会の構造変化に適切に対応する必要がある。
さらに、近い将来、税制全般にわたる抜本的見直しが必要である。平成14年度税制改正において、その妨げとならないよう、今後のあるべき税制の姿を見据えた検討を行うことが重要である。
こうした基本的考え方に基づき、平成14年度税制改正においては、経済・産業の構造改革に資するという観点から、連結納税制度の創設や租税特別措置等の見直しについて検討を行うとともに、証券市場・金融システムの構造改革の一環として、金融・証券関係税制について検討を行った。加えて、最近の社会経済情勢等を背景とした税制に関する議論も踏まえ、検討を行った。
2.法人課税
連結納税制度
[1]制度の意義
経済の国際化や長引く景気低迷の下、わが国企業の経営環境が大きく変化している。近年、企業グループの一体的経営の傾向が強まってきていることから、当調査会は、わが国においても、21世紀のわが国経済のインフラとなる連結納税制度を構築することが適当であるとし、検討を行ってきた。
会社分割・合併等に係る税制に引き続いて連結納税制度を創設することは、企業の組織再編成や、わが国企業の国際競争力の維持、強化と経済構造改革に資することになると考える。(P4)
連結納税制度の創設は、これまでの法人税の体系を大きく変えるものであり、また、企業組織再編税制を踏まえた精緻な仕組みとならざるを得ないが、平成14年度当初からの適用が可能となるよう準備を進めて行くことが適当であると考える。
[2]基本的仕組み
連結納税制度の狙いは、一体経営がなされ実質的に一つの法人とみることができる企業グループについて、これを一つの納税単位として課税することにある。その結果、実態に即した適正な課税が実現されることになると考えられている。
こうした観点から、連結納税制度の対象となる企業グループは、その実質において単一の法人とみなしうる一体性を持ったもの、すなわち、親会社とその100%子会社を対象とすることが適当である。また連結納税制度は、個々の法人を前提としたわが国法人税の課税体系の中に、企業グループを一つの納税単位とする新たな課税体系を創設するものである。広範な論点について検討が求められていたが、特に、株式の取得・譲渡等を通じた企業グループへの加入や企業グループからの離脱が流動的に行われることから、租税回避行為に対して十分に対応できる仕組みを構築せねばならない。
[3]税収減への対応
連結納税制度は、企業グループの所得と欠損の通算等を行うことから、その創設により継続的な税収の減少が生じる。事務局が行ったアンケート調査に基づき、平成12年度の法人の所得・欠損金額に基づく機械的な試算を行った場合には、8,000億円程度の減収額が生じるとされている。
連結納税制度は単なる企業減税を企図するものではなく、現下のわが国の厳しい財政事情を考慮すれば、連結納税制度の創設により生ずる税収の減少については、これを補填する必要がある。この対応としては、これまでも課題とされてきた租税特別措置の見直しや課税ベースの拡大といった法人税制全般についての見直しを行うとともに、連結納税制度の適用開始前に生じた欠損金額の繰越控除の否認、連結所得に対する法人税率の付加的な上乗せ(いわゆる連結付加税)等の措置を講ずることが考えられる。
[4]地方税
法人事業税及び法人住民税については、地域における受益と負担との関係等に配慮し、単体法人を納税単位とすることが適当である。(P5)
課税ベースの適正化
主要先進国において、法人課税について、企業間・産業間の税の中立性の確保及び経済の活性化などの観点から、「課税ベースを拡大しつつ、税率を引き下げる」という法人税改革が1980年代半ばから行われてきた。公正・中立で透明性の高い法人税制を構築するとの観点から課税ベースを見直すことは、企業活力の発揮や新規企業・産業の創出、経済全体の効率性の向上など、経済社会の構造改革に資すると考えられる。
わが国においても、同様の観点から、平成10年度税制改正において、法人税の課税ベースの大幅な見直しと法人税の基本税率の引下げが併せ行われた。しかしながら、平成11年度税制改正においては、景気情勢に配慮し、課税ベースの見直しが行われないまま税率の引下げが行われ、現在でもこの一方的な減税措置が継続している。
課税ベースの一層の適正化への取組みは、わが国法人税における重要な課題であり、特に連結納税制度といった新しい制度の創設に当たっては、法人税制全体の見直しが不可欠である。こうした観点から、平成10年度税制改正において残された課税ベースの見直しを進めていく必要がある。
外形標準課税
法人事業税への外形標準課税の導入は、税負担の公平性の確保、応益課税としての税の性格の明確化、地方分権を支える基幹税の安定化、経済の活性化・経済構造改革の促進などの重要な意義を有する改革である。
平成12年11月に旧自治省が示した具体案は、所得基準と外形基準を併用することとし、所得に係る税率を現行の2分の1に引き下げ、残りの部分について、加算法による付加価値である「事業規模額」による課税方式を導入しようとするものである。この旧自治省案は、税収中立の考え方の下、中立性の高い課税標準により、薄く・広く・公平な課税を図ろうとするもので、現行の所得課税よりも望ましいものである。(P6)
本年11月、旧自治省案に対して各方面から寄せられた意見を踏まえ、外形標準課税に関する総務省の新たな具体案が示された。この総務省案は、旧自治省案で2分の1導入することとした外形基準の部分について、付加価値額を基本としつつ、資本等の金額による課税方式を補完的に併用するものである。資本等の金額は、中期答申において望ましい外形基準とされた4類型の1つであり、法人の事業活動の規模をある程度示すとともに、担税力を示す面も有するものである。これにより、法人事業税全体に占める報酬給与額に係る部分の割合が大幅に下がることとなった。また、大法人と中小法人との税負担割合を変えずに税率が一本化され、「雇用安定控除」も不要となるなど、担税力に配慮しつつ、課税の仕組みが簡素化されており、「薄く・広く・公平な課税」という考え方を堅持しつつ、各方面から寄せられた意見を取り入れて、工夫された案となっている。
外形標準課税のまとめの記述は(P)
その他
法人課税に関しては、最近の社会経済情勢を背景に以下の議論があるが、これらについては、以下のとおり考える。
同族会社の留保金課税制度については、昨今の中小企業の厳しい経営環境の下、内部留保の充実を図る観点から、制度を廃止すべきではないかといった意見がある。本制度は、同族会社に対して通常の法人税のほか、一定額を超える内部留保に対して追加的な課税を行うものである。それは、間接的に配当支出の誘引としての機能を果たしつつ、法人形態と個人形態における税負担の差を調整しようとする狙いをもっている。現行の法人税と個人所得課税の基本的仕組みを前提とする以上、今後とも必要な制度である。
交際費課税制度については、景気情勢に配慮し、課税の緩和を図るべきではないかといった意見があるが、制度の緩和は不要不急の支出を促進し、公正・透明な取引を阻害するなど構造改革の点からも問題が多く、少なくとも現行の制度を維持すべきである。
私立大学等に関する税制上の措置について、民間資金の導入を図る観点から減税措置を検討すべきではないかとの意見がある。私立大学等は、法人税法上、学校法人である公益法人等として扱われており、公益法人等の中でも、以下に述べるように特に優遇措置を受けている。寄附金については、現行制度上、指定寄附金制度や特定公益増進法人制度により特別の配慮を行っており、現在の寄附金の支出状況を踏まえれば、現行制度の一層の活用の余地がある。また、受託研究については、民間との競合性のある収益事業として課税されているが、寄附金とみなされる収益事業部門から非収益事業部門への支出(いわゆる「みなし寄附金制度」)も含めた寄付金の損金算入限度額について、他の公益法人等に比べ優遇されている。こうした点を踏まえて検討する必要がある。(P7)
なお、公益法人等に関する税制上の措置については、特殊法人、公益法人等の見直しの議論を踏まえ、NPO法人を含めた非営利法人に関する税制全体のあり方の中で検討する必要がある。
3.租税特別措置等の整理・合理化
租税特別措置等は、特定の個人・企業の税負担を軽減することにより、経済政策、社会政策等の特定の政策目的を実現するための政策手段である。このため、「公平・中立・簡素」という租税原則に反する例外措置として設けられている。
上記の租税原則の観点から、租税特別措置等を常に見直し、課税ベースを拡大していく必要があると言えよう。その際、全法人の約7割が欠損法人であるほか、恒久的な減税や各種控除の累次の拡充等により、個々の納税者の負担水準が低下し、働く人のうち概ね4分の1程度が非納税者となっている状況の下では、租税特別措置等の政策効果が限定的となっていることに留意せねばならない。
また、経済社会が急速に変化し多様化する状況においては、個人・企業の自由な活動を通じて、効率的な資源配分が可能となる環境を整備することがより重要であり、むしろ、これが経済社会の活性化に資すると考える。したがって、租税特別措置等の見直しを通じて、税制を個人・企業の経済活動に対して中立的なものとすることが極めて重要である。
さらに、今後財政赤字を縮減していかなければならないことを考えると、実質的に補助金の裏返しである租税特別措置等は、ゼロベースからの見直しを中心に、従来にない大幅な整理・合理化を行わねばならない。
見直しの際には、そのための明確な基準が必要である。以下のような視点から基準を設け、個々の措置の必要性を具体的に判断していくことが重要である。
政策目的・効果
租税特別措置等は、あくまで政策手段であり、その政策目的や効果を常に検証していく必要がある。例えば、特定の業界・企業等の基本資産などに対する優遇措置は政策効果がないと考えられる。
政策手段としての適正性
他の政策手段との比較において、特定の政策目的を達成するために最適な手段かどうかについて検討する必要がある。(P8)
利用実態
利用実態の低調な措置については廃止すべきであると考えられる。
中小企業、ベンチャー企業を優遇する政策税制については、これまでもこれらを支援する観点から各種の特例措置が講じられてきたが、更なる優遇措置を講じるべきではないかとの意見がある。これらについても、上記の視点から既存の措置を徹底的に見直した上で、真に有効な措置についてのみ存置する必要がある。
事業税における社会保険診療報酬に係る課税の特例措置については、過去の当調査会の答申において指摘されてきたとおり、税負担の公平を図る観点から、速やかにこれを撤廃すべきであり、少なくとも段階的な見直しを図ることが必要である。
4.金融・証券関係税制
株式譲渡益課税
株式譲渡益課税のあり方については、当調査会はこれまで累次にわたり、現行の源泉分離選択課税方式について、次のような問題点を指摘してきた。
[1]諸外国に例のない「みなし利益」へ課税するものであり、所得課税としてふさわしくないこと[2]意図的な税負担調整が可能となること[3]課税に対する匿名性があること[4]個人住民税が非課税であることから適正化が必要であること。
金融小委員会においては、本年9月に取りまとめた「証券税制等についての意見」において、株式譲渡益課税について、源泉分離課税の廃止と申告分離課税への一本化、更に、税率の引下げ及び損失繰越制度創設の検討を提言した。また、その中で、一般の国民が短期売買ではなく、長期・安定的な資産運用を図ることが可能な場として、証券市場の健全な形成を目指していくことの必要性を強調したほか、証券会社の営業姿勢の改善や市場監視・取締りの抜本的強化などの「インフラ」整備の重要性を指摘した。
その後、国会での審議を経て可決・成立した株式譲渡益課税に係る改正法は、基本的に上記意見に沿った内容となっており、評価し得るものである。
しかしながら、「緊急投資優遇措置」の創設や100万円特別控除の適用期限の延長、暫定税率(10%)の設定は、必ずしも小委員会の「意見」に沿ったものとは言い難い側面があり、特別の政策税制として位置付ける意味でも、適用期限を限定することが適当である。(P9)
申告納税制度の下では、本来、申告は投資家本人の自己責任の下できちんと行われる必要がある。今般の法改正により取得価額が不明な場合の取得費の特例が創設されたが、その他にも申告が簡便にできるよう、関係業界も含めた取組みが期待される。
貯蓄優遇税制
わが国家計には、証券投資より預貯金中心の貯蓄を重視する傾向がある。貯蓄重視指向の要因としては、これを優遇してきた各種制度の存在が指摘されている。貯蓄優遇税制についても、「租税特別措置の聖域なき見直し」の観点や「貯蓄優遇から投資優遇への金融のあり方の切り替え」(「基本方針」)の観点から、根本的に再検討する必要がある。
少額貯蓄非課税制度(老人マル優)等については、高齢者世帯(世帯主が65歳以上の世帯)の所得分布は二極化しているため、その実態を踏まえて慎重に検討すべきであるとの意見も出された。しかしながら、その一方で、高齢者世帯の平均貯蓄残高は高水準にあり、また、生活に与える影響という観点でみると、そもそも高齢者世帯の所得に占める利子所得の平均割合は総じて1%前後に過ぎない。これらを踏まえれば、高齢者相互間・世代間の税負担の公平確保の観点や課税ベースの拡大を図る観点から、本制度は基本的にその廃止に向け検討することが適当である。
生命保険料控除制度・損害保険料控除制度については、老後に備えた自助努力の支援や相互扶助という観点に留意が必要であるとの意見もあった。しかしながら、制度創設後長期間が経過し、保険加入率は相当の水準に達しているほか、大半の納税者に対し適用されており、これ以上の誘因効果も期待できないと考える。また、保険の貯蓄としての側面に着目すれば、様々な貯蓄手段のうち、特に保険に限って税制上優遇する本制度は、金融商品間の税負担の公平性及び中立性等に照らし問題があると言える。このような実態を踏まえれば、本制度は基本的にその廃止に向け検討することが適当である。
さらに、少額貯蓄非課税制度等及び生命保険料控除制度・損害保険料控除制度については、長年、当調査会において、その廃止・縮減に向けて見直しを行うべきとの考え方を度々示してきた。しかしながら、制度創設以降、実際にそうした見直しは行われてこなかった。こうした過去の経緯を踏まえ、少なくとも時限を付した「サンセット措置」へ移行するなど、何らかの具体的な措置を講ずるべきであると考える。(P10)
株式投資信託に対する税制
株式投資信託は、資産運用を職業とする専門家が金融サービスを提供する商品である。その運用状況が必ずしも期待に沿っていないとの指摘はあるものの、ファンド内で分散投資されるなどの点において、一般の個人投資家にとっては、株式へ直接投資するより本来はなじみやすい側面を有している。
株式投資信託(公募型)に対する課税のあり方については、金融小委員会で幅広く検討された。その中では、収益分配金の性格を配当所得として捉える以上、収益に配当課税を行い、譲渡時には譲渡益課税を行うといった株式に対する課税と同様の方式へ変えていくべきといった観点、一方、これまで「貯蓄類似商品」として広く普及してきた経緯等を踏まえれば、従来どおり、利子に対する課税と同様の方式を採ることが合理的であるといった観点が提示されている。
いずれにせよ、株式投資信託に対する課税のあり方については、収益分配時の課税は利子と同様の方式を採る一方、譲渡時には株式と同じ譲渡益課税を行うといった取扱いは、整合的でなく採るべきではない。
さらに、集団投資スキームの各類型を通じて課税の整合性を図る観点から、証券投資信託以外の「集団投資スキーム」に講じられているように、ファンド段階での法人税課税を行った上で、収益の分配については課税所得の計算上、損金算入の手当てを講ずるなどの措置について、今後検討することが求められる。
証券投資信託に関する税制一般を検討していく上では、金融税制のみならず、所得税制全体のあり方にも関連する多岐にわたった論点が存在しており、今後、検討が一層進められるべきである。
その他
所得税で確定申告不要制度が採られている一定の少額配当については、現在、個人住民税が非課税となっているため、その適正化を図る必要がある。(P11)
5.資産課税等
?相続税
当調査会がこれまで累次の答申で指摘してきたように、相続税については、個人所得課税の抜本的見直しとの関連において、税率構造や課税ベースなどについて幅広く検討を行う必要がある。その際には、近年、一貫して拡充されてきた基礎控除や各種の特例措置を見直すことに加え、公的な社会保障制度が充実してきていることなどを踏まえ、死亡保険金、死亡退職金の非課税制度などについても、見直しを行うべきである。
特定資産の保有を誘導するインセンティブとして相続税を活用することについては問題が多い。相続税は、すべての財産を平等に扱うことが課税の公平上強く求められること、課税時期が人の死亡(相続の開始)という偶発的な事象により決定されること、一生涯において課税される機会がごく限られていること等から、時々の政策手段として用いることにはなじまず、その政策的な活用は適当でない。
中小企業の事業承継について更なる配慮が必要ではないかとの意見があるが、これについては、相続税の税率構造や課税ベースなど、幅広い見直しとの関連で検討していかねばならない。既存の優遇措置は、事業の円滑な承継を通じて中小企業の活性化につながる点は認められるが、次のような問題点も存在する。
[1]自ら起業する者と事業を承継する者との機会の均等[2]次世代の経営能力の如何を問わず事業資産が移転され、資源配分の効率性を損なうこと[3] 事業用資産を持たない給与所得者の相続税負担とのバランス。
したがって、公平性や構造改革の観点、「すべての財産を公平に課税する」という基本原則に照らし、吟味していく必要がある。
このことに関連し、農地の納税猶予制度と同様の措置を事業承継一般にも拡大すべきとの意見があるが、これについては、次のような問題点を指摘したい。
[1]納税猶予制度は農地に係る財産権が法律上厳しく規制されていることなどを踏まえた異例の措置であり、そのあり方について検討が必要であること[2]事業の「承継」、「継続」を客観的に把握することは困難であるなど、税制として仕組みにくいこと[3]事業の承継を要件とすると自由な事業転換の妨げとなり、産業構造の改革を阻害するおそれがあること(P12)
贈与税
贈与税については、昭和50年以来据え置かれていた基礎控除の水準(60万円)を、贈与税の機能や、所得税の課税最低限の水準との関係等にも配慮し、当面の措置として、平成13年度税制改正において大きく引き上げた (110万円)。
現在、高齢者の保有する多額の個人金融資産を若年・中年世代へ早期に移転させて消費拡大等を図る視点から、贈与税の軽減を求める意見がある。しかしながら、贈与税は相続税の課税回避を防止するという基本的な機能を有している。また、相続税の課税対象者がごく一部の資産家に限られており、贈与税の軽減が世代間の財産移転を促進する効果も非常に限定的と考えられる。こうしたことから、贈与税については、相続税の幅広い見直しの一環として検討することが適当である。
固定資産税
固定資産税については、引き続き地価公示価格の7割を目途とした全国的な評価の均衡を図ることが適当である。平成15年度以降の税負担については、評価替えの動向、負担水準の状況や市町村財政の状況等を踏まえ、負担の均衡化・適正化をさらに一層促進する措置を取る必要がある。
また、納税者の理解と信頼を確保するため、固定資産課税台帳縦覧制度の拡充等、情報開示を一層進めるべきである。
その他
[1]土地税制のあり方
土地税制のあり方については、現在、土地の保有・流通に係る税目などについて様々な意見がある。この点については、譲渡益課税を含め、幅広い観点を踏まえ、適正化も視野に入れて考えていく必要がある。とりわけ、土地基本法の基本理念、地価の推移、課税ベースが各種の特例措置等により大きく侵食されていることなどに留意すべきである。また、公的サービスの費用を広く公平に分かち合うために、限られた基幹税目のみならず各種の税目を組み合わせるという観点も重要である。
[2]登録免許税
土地の流通を阻害するといった観点から、登録免許税の負担の大幅な軽減や手数料化すべきとの意見が出された。しかしながら、地価が大幅に下落しているにもかかわらず、土地の需要が低迷している現状において、登録免許税の現行1%程度の負担を軽減しても、土地に対する需要を十分に喚起するとは考えられない。
また、登録免許税は、基本的に登記などによって生ずる利益に着目するとともに、高額の土地取引等の登記・登録などの背後にある経済取引に担税力を見出して、それに応じて課税するものであり、手数料とは性質が異なると考える。
現下の厳しい財政状況の下、貴重な財源である登録免許税(平成13年度予算で約8,000億円)は引き続き不可欠な存在である。(P13)
[3]不動産取得税
不動産取得税の負担軽減も土地の需要を十分に喚起するとは考えられない。また、その負担についても既に一定の住宅・住宅用地については実質的に非課税、住宅用地や商業地等の宅地評価土地の取得については課税標準が2分の1とされていることを念頭に置く必要がある。長く都道府県財政を支える主要税目であること(平成13年度地方財政計画ベースで約5,600億円)から、不動産取得税の役割は引き続き重要である。
[4]特別土地保有税
特別土地保有税については、その果たしている役割などに照らして、必要な見直しは行いつつ、今後ともその基本的な仕組みは維持していくべきである。
[5]事業所税
事業所税は、今日、緊要な課題となっている都市再生や都市環境整備事業の貴重な財源であり、今後ともその基本的仕組みは維持していくべきである。
6.酒税
酒税については、中期答申及び13年度答申において指摘したように、発泡酒や果実酒などの醸造酒を中心に生産・消費の動向にかなりの変化が見られることから、「同種・同等のものには同様の負担」という消費課税の基本原則を踏まえ、税制の中立性や公平性の確保の観点から、その課税のあり方について検討する必要がある。
特に発泡酒については、現下の経済状況や商品開発のために払われた努力等にも配慮すべきではないかとの意見も出された。しかしながら、ビールとの間に現在のような税負担格差を設けるほどの違いは存在しない。したがって、税制の中立性・公平性の確保のために、ビールとの負担の均衡を図っていくことが適当である。(P14)
7.その他
納税者番号制度
納税者番号制度は、適正・公平な課税の実現、税務行政の効率化・高度化、さらには納税者の税制への信頼の向上にも資するものである。現在、金融・証券関係税制の構築に際して、納税者番号が存在しないことは明らかに一定の制約要因となっている。加えて、近年における国際化・電子化の進展という視点を踏まえた検討も引き続き不可欠である。
納税者番号制度については、制度の意義や、付番方式のあり方、導入に伴うコストと効果、プライバシー保護の問題などの様々な論点がある。これらについての国民の受け止め方や考え方を念頭に入れて、資料情報制度のあり方など納税を支える他の諸制度のあり方とも併せて、その導入について、今後、積極的に検討を進めていく必要がある。
電子申告等
情報化・デジタル化の進展や普及を背景に、e-Japan重点計画等に基づき、行政全体として申請・届出等手続の電子化に向けた取組みが行われている。このような取組みの中で、税務行政の分野における申告、申請、納付等の手続についても、納税者の信頼を得られるセキュリティの確保に配慮しつつ、電子化を図っていく必要がある。
環境問題への対応とエネルギー関係諸税等
環境問題に対する税制面での対応については、国民に広く負担を求めることになる問題だけに、国民の理解と協力が得られることが不可欠である。国・地方の環境施策全体の中での税制の具体的な位置付けを踏まえ、汚染者負担の原則(PPP)に立って幅広い観点から検討していく必要がある。特に、地球温暖化問題については、京都議定書の締結に向けた国内制度の整備・構築の準備が本格化している。このような中で、規制的手法、自主的取組み、経済的手法といった各種手法の適切な組み合わせが検討されると考えられるが、税制面での対応も必要とされる場合には、当調査会としても具体的な検討を進めていくこととする。その際、既存のエネルギー関係諸税等との関係についても検討する必要がある。
既存のエネルギー関係諸税等のうち特定財源等については一定の合理性を持ち得るとしても、他方、資源の適正な配分を歪め、財政の硬直性を招く傾向があることから、常にその妥当性を吟味していく必要があるとこれまで当調査会でも指摘してきている。
そうした観点を踏まえ、道路特定財源等については、そのあり方の検討を行っていくことが適当である。(P15)
国際課税
国際化の進展に伴い、外国企業のわが国への進出形態は、子会社や支店の開設といった方法に加え、外国のパートナーシップやSPC(特定目的会社)等の集団投資スキームを利用した方法が採られるなど、多様化する傾向にある。こうした事業体を利用してわが国で得た所得に対して適正な課税を行うには、事業体の活動や構成員たる企業・個人に関する情報を把握することが重要になる。今後、企業活動の実態の変化に対応する形で、外国企業等に関する課税のあり方を検討していかねばならない。
また、国境を越える取引の拡大により、各国の税制の差異等を活用した租税回避の可能性が増加している。こうした動きに対しては、国際的取引に係る情報への適時・適切なアクセスを確保するなど、制度・執行の両面で対応していくことが必要である。さらに、いわゆる「有害な税の競争」をはじめ、様々な国際課税の問題について、今後ともわが国がOECD等の場での国際ルール作りの議論に積極的に参加していくことも重要である。
(P16)
〇委員
長文の朗読、ありがとうございました。
それでは、我々の審議も大分長くなりましたので、ここで5~6分休みましょう。ちょうど3時45分まで6分ありますから、少しここで息を入れてください。じゃ6分ほど休みましょう。また45分にご参集ください。
(休憩)
〇委員
それでは、まだお出になってない方、あるいはいなくなってしまった人もいるかもしれませんけれども、いよいよきょうのハイライト、この「答申素案」の中身を議論いたしたいと思います。
そこで、冒頭ご説明いたしましたように、結論は一本に絞っておりますので、ただ、意見の開陳、意見の紹介をしてありますので、そこで少数意見というか、結論になってない意見はできるだけ紹介したつもりでありますし、先ほど申し上げた「論点整理メモ」でまた詳しく述べてありますので、おれの意見が盛り込まれてないという形でご不満がある方はお出しいただいて一向構いませんが、趣旨は一本化して骨太で書くということを貫いたつもりであります。
そこで、内容、あるいは修文、表現等々についてご議論いただきたいと思いますが、また2つに分けましょうか。これは全体16ページございますから、9ページの金融・証券税制のちょうど上ぐらいまでを第1ラウンドといたしまして、しばらく議論いただいた後で後半に移るという格好にいたしましょうか。
前半の前半はかなり総論的な部分を長く書き込みました。これはこれからの税制論議につなげるためでございますので、これも踏まえてご議論いただきたいと思いますが、前段の税のほうは法人課税と租特ですね。それでは、どうぞ、どなたでも結構でございますから。
〇委員
この財政状況の深刻化については、比較的よく書いてありますのでこれでいいと思うのですが、国民の立場から見ますと、いかに財政状況が深刻化しているかということをあまり肌では感じてないのですね。あまり肌身で感じているわけではないわけでありまして、そこは国民が納得のいくように、繰り返し繰り返し、くどくてもいいですから、説明していく責任があると私は思います。
政府税調の総理大臣に対する答申は国民に対するメッセージでもありますから、やはり意を尽くして説明する必要があると思います。お上の権力臭ぷんぷんというような間違った印象を与えないよう、くれぐれもやはり注意する必要があると思います。
そういう観点から、2ページの真ん中あたりに「現在も、こうした個人所得課税の定率減税などの措置が継続していることを、国民一人 一人が十分に認識する必要がある」、いきなりこういう表現が出てくるわけです。これはどういうことなのか。やはり忘れてもらっては困りますよということなのでしょう。ただ、このニュアンスは、あまりよくないのですよね。何かお上が家来に叱っているような感じがするわけです。こういう点はやはり注意したほうがいいと私は思います。
〇委員
わかりました。
申し忘れましたが、きょう遅刻されるということで、別紙のご意見が書面で出ておりますので、マル優のところと生・損保控除のところでありますので、別途、議論のときにはご参照ください。
どうぞ。
〇委員
連結納税のところで、何回も申し上げて恐縮でございますが、5ページです。先ほどの論点メモのところで併記になっているのです、あの付加税の問題が。見直すことも必要である、また導入すべきでないという。これ、両方入っているのですね。論点メモの中には。最終のこの答申でいきますと、5ページの「税収減への対応」の一番最後のほうでございますが、下から4行目、「租税特別措置の見直しや課税ベースの拡大といった法人税制全般についての見直しを行うとともに、連結納税制度の適用開始前に生じた……の否認」、そこまではいいのですけれども、「連結所得に対する法人税率の付加的な上乗せ等の措置を講ずることが考えられる」と、何か一方が書かれているような気がするので、もう少しここを、なかなか答申には両方の意見というのは書きにくいと思いますけれども、何か文面上ちょっと工夫をしてもらいたいと。
〇委員
確かに、連結付加税について極力下げるべきだとかなんとかいうご意見があったのは事実でございますから、そういう意見もあったという紹介をさせていただいて、そこでそういう意見をくみ上げ、しかし、全体の意見はやはり連結の措置を講ずるというところに重きを置かれたので書いたのですがね。
〇委員
しかし、課税ベースとかいろんなところで詰めていっていることは事実なのでしてね。
〇委員
じゃもう少しここは工夫させていただきます。
〇委員
そこが落ちていきますと、併記されている意味がちょっと……。
〇委員
わかりました。
〇委員
1つ補足させていただきたいのですけれども、私どもとしては、これが非常に努力されて、「平成14年度からの適用が可能となるよう準備を進めていくことが適当であると考える」というのを入れていただいて大変結構だと思っているのですが、導入する以上、やはりみんなが喜んで導入しないといけないわけですから、そういう意味では、この財源につきましては、課税ベースの適正化ということから誠意を持って対応するということをベースにしておりまして、付加税の導入についてはやはり極力避けると。新しい制度を入れて、初めから付加税だというのはどうもやはり非常に国際的によろしくないという意味から、極力避けるという趣旨を入れていただきたいと。
〇委員
わかりました。先の委員と同じ意見ですね。
〇委員
はい、同じ意見です。
〇委員
それからもう一つお願いします。
〇委員
どうぞ。
〇委員
論点メモのところに、外形標準の項目の6ページから7ページにかけてですが、特に7ページの、全体にそうですけれども、きょうは私が初めてこの「論点整理メモ」で反対意見を言っておりますので、だから、この素案からいきますと、きょうの前半の発言ですから、特に次回のときに「答申素案」をつくられるときには、先ほど私が申し上げた反対の賃金とか資金とかいうものは、今の情勢ではあまり昨年と変わらないということで、もう少し抜本的な税の討議をしていくべきであるというふうなことで、この案については反対であるということもどこかで入れていただきたいと思います。
〇委員
今おっしゃったのは「答申素案」のほうの6ページあたりの話ですね。外形課税のところですね。
〇委員
そうです。
〇委員
わかりました。
〇委員
それは先ほど私が申し上げたことですから、これはきょうのきょうですから、次回のときに入れていただきたいということです。
〇委員
わかりました。
中座いたしますので、総論的な部分のところについて意見を述べさせていただきます。
私、この税調の答申、例年見ておりまして、経年的にずうっとオブザーブいたしますと、その時々の論点というのは出ているわけですが、どちらかといいますと、その特徴づけというのがよくよく見てみないとわからないような内容になっていると。その点で、やはり今後この税調の答申のイノベーションというものも考えていく必要があるのではないか。
これは時系列的な一貫性の問題もあります。あるいはプライオリティづけの問題があります。非常にペダンティックに書いておりますけれども、その点で一工夫がないと、なかなか税調の基本的な考え方というものが世の中から理解されにくい。単年度でこなすというだけの意味しか出てこない危険性があるわけでありまして、ぜひこれは、ことしすぐにやるということはなかなか難しいかもわかりませんけれども、世の中相当、政策形成論議の中で動いているということを考えますと、私は、非常に緊急を要する問題、あるいは十分検討すべき問題等をA、B、Cぐらいのランキングをつけて、プライオリティづけをするくらいの具体性を持ってもいいのではないかというぐあいに考えますので、これは今後ご検討をお願いいたしたいと思います。
それからもう一つ、中身の問題でございますけれども、租特の問題のところで、非常に利用の低いものについては廃止すべきであると。9ページの3行目のところでありますが。一方に生保の部分のところでは、保険加入率等の部分で、もう随分使っているからやめるべきだと。こういうことは若干論理一貫性がないわけで、使われないということは、非常にハードルが高くて使われない場合と、非常に普及した形での問題というものの時系列的な要素がありますから、ここの問題についてはもう少しその中身についてきちんと検討した上で、改廃するのか、そういうようなものを少しはっきりと整理していただければと思います。
〇委員
前段のほうは、委員のお話しになったのは重要ですが、4ページのほうの「基本的な考え方」の中に、平成14年度税制改正、今書いているわけですが、しかし、それは今後あるべき税制の改革というのを見据えた上でいろいろやるので、それとさわらないようなことというのは一応念頭に置いて書いたのですが、それをもっと具体的に書けということでしょう。
〇委員
ええ。
ちょっと考えてみましょう。
それから、今のご指摘は、例の生・損保のところが使い過ぎでいかんと言い、こっちは利用形態が少ないからと9ページのところで言ってますが、これは本当にほとんど利用してないのですよね。だから、ちょっと次元が違う問題という気が我々しているのですよ。だから、それもちょっとご指摘の点をもう少し踏まえて書くようにいたしましょう。
ほかにどうぞ。
〇委員
どこに加えるべきか、あるいは加えるかどうかさえそもそもわからないのですけれども、地方税の法定外税について、特定納税者をねらい撃ちにしたり、投票権を持たない域外者のみをねらい撃ちにするあまり品のよくない課税があちこちで提案されておりますので、地方分権と特定のものをねらい撃ちにすることとか、域外のものをねらい撃ちにすることとは何の関係もありませんので、そういうことに関して、あまり言ってはいけないのかもしれませんが……
〇委員
いや、いいのではないですか。
〇委員
非常に心配しておりまして、税調で、もしかしてこういうところに含めてもいいのかなあという気がしております。
〇委員
どこかしかるべきところに、「その他」とか、地方税ではめられればちょっと検討して、次回に出させていただきます。
どうぞ、ほかに。
〇委員
さっきの委員の意見に、私、全く同感です。あそこにガーッとアンダーラインを引いていたのですが、この税調というのはだれが何にどういうことを言うものなのというのが、この言葉にすごくひっかかりました。さっきの酒税のところでもそれにかかわるのですけれども、税制だけ見れば、もちろん同じようなものに同じ税制かけるというのはそれでいいのでしょうけれども、今の日本の状況全体を見たときに、本当に数少ない元気印の商品、企業がやっと自信を持ってやればもうかる道もありという例をつぶすのは日本全体のためにはならないのではないかという、税制だけではなくて全体を見た見方が要るのではないかと。
ただ税制だけで、お上は税をとることだけ考えているのねと、税調はその片棒を担ぐだけなのねと。国民の意見を私は反映するのが審議会だと思っているのですが、税を取り立てる側の理論強化のお手伝いをすると思われたら、私はちょっとそれは違うというふうに思う。
もう一つあるのが、7ページですが、交際費のところに「制度の緩和は不要不急の支出を促進し」と、なんかすごい悪いことみたいに書いてあって、「公正・透明な取引を阻害するなど」と。それは役所はだめですよ、公明・透明にしていただかなければ。だけど、企業というのはいろいろコネ使ったりやってやっと生き延びていくものでありまして、これは交際費そのものも否定するお考えなのでしょうかという、どうもちょっと何か……。
〇委員
前段の発泡酒のは、14ページで、委員のおっしゃったようなことは書いてあるんだよ。これで不十分と言うの?
〇委員
いやいや、私のスタンスを申し上げただけ。
〇委員
わかりました。
〇委員
それと、さっきの委員と会長の、自民党税調とのあれですけれども、全然関係なくいくというのは格好いいようですが、とすると、向こうからしたら、はなから無視するということになりません?
〇委員
いいのではないですか。
〇委員
「着てはもらえぬセーターを眠気こらえて編んでます」という話は私はちょっと(笑)。私たちも、たくさんとは言いませんけれども、お手当をいただいて論議しているのに、私、一人の納税者としては、使われないかもしれないことが延々3時間も4時間も、年間何十時間も使ってやって何なのですかということになりません?
〇委員
ちょっとご説明しておきます。私は党税調とは分業すべきであるとかねがね思っておりまして、年度末のこの種のさまざまな政治折衝、向こうだってまだガタガタ動いているわけですよ。どうなるかわからない。酒の話あり、マル老の話あり、たばこの話、どんどん出てきますし、そのたびごとに動いてますから、向こうがどこに行くかなんて未整理で、こっちが迎合することはない。迎合というか、一緒でない。したがって、一緒に歩調は組めないのですよ、はっきりいって。僕は党税調会長と大分議論しました。したがって、項目は今大体同じような項目で議論してますから、その結果として逆になる方向もあろうと思いますよ。その結果、しようがないではないですか。そんなことまで一々向こうにおもんばかって議論していたら、こっちは腰抜けになってしまう。
我々は中長期な視点から企画立案能力を発揮したいと思ってますから、その委員のご心配だったら、年度改正、もうやめたらいいですよ。そういう議論に参加するのは。我々としては。そのように向こうはガタガタ変わるのに、こっちが筋通して議論しているのまで曲げてね。
〇委員
じゃ私たちのをいかに通すかという努力はどうするのですか。
〇委員
それは政治家に任せるしかないではないですか。と、はっきり割り切る。我々、別に政治家でもない。企画立案をし、国民の代表の意見をまとめようということでしょう。政府税調というのは。僕は、フィージビリティ云々よりは筋論でいくしかない。したがって発砲酒だって、同種・同等は同負担というのは、やはりそれは筋ですよ。そのほかに政策的に、委員の言うとおり、創業者利益を認めろとか、元気印やれ、それはまた別な議論としてありますけどね。税の議論としたら同種同等の議論が筋だと思いますよ、それは。と思いますけどね。
どうぞ、ほかに。
〇委員
外形標準ですが、最後のところ、7ページに「まとめの記述は(P)」と書いてあるのですね。このPはペンディングじゃないの?
〇委員
ペンディングの意味? どうぞ。
〇事務局
外形標準課税は、具体的な見直し案を出しましたのが先週の起草小委員会ということになってしまいましたので、今から事務方で何らかの案をつくれという、会長からのご指示はいただいたのですが、その結論まで私どもが書くのはいささか、今の時点でいかがかと思って、P、ペンディングということにしてありますけれども、きょうのご議論も踏まえて書き込むというつもりであります。
それから会長や委員から、さっきのような、自民党の税調とはまた別ということで、筋で書くのだというようなお考えですから、そういうこ とで、きょうのご議論を踏まえて原案を書かせていただくのかなと思いますけれども、同時に、なかなかあり得ないことかもしれませんが、例えば、今年度実施というふうに政治の側が決めたら一体どうするのかと。その表現どうするかということもありますし、それから政治の場で、どうも先送りだと。その先送りもいろいろな可能性があると思うのですが、そういったことももちろん、政府税調で筋を通した答申をまとめていただくのが基本ではないかと思いますが、さはさりながら、そこの政治の動きももう少し見てここに原案をお示しするということかなと考えております。
〇委員
どうぞ。
〇委員
それでは、さっき委員が反対論を言われたので……でしょう?
〇委員
賛成論と書いてある、ここは。連結はやろうと書いてある。
〇委員
連結でない、外形標準。
〇委員
どうぞ。
〇委員
それで、外形標準については、僕はもうなるべく早く、これはことしやるとどういうことになる? 来年からになるのかな。
〇事務局
今の案は、今年度もしやるというのを決めていただいても、大企業について15年度から実施する。中小企業は17年度。それで大企業はその間、15年度からスタートで、3年間は4分の1だけ導入して、4年目から2分の1。それから中小企業は17年度からスタートで、最初の3年間は4分の1。それから、おっしゃるように、20年度に2分の1。
〇委員
だから、要するになるべく早くスタートしてもらいたいという意見を言っておきます。
〇委員
それから7ページの委員の例の交際費、これはまさにおっしゃるとおり、少し修文を考えます。ややどぎつく書かれているかもしれませんから。ほかに。
どうぞ。
〇委員
その交際費の下のところの私立大学のところでございますけれども、私立大学の立場を弁護する方はここにはあまりいらっしゃらないのかもしれませんし、私立大学に冷たいと言われても何なので一言ですが、大多数の学生は私立大学に学んでおりまして、それから大学教育というのは日本の将来を担うヒューマンキャピタルへの非常に有効な投資だと思いますので、この書き方自体がどうこうということではありませんけれども、私立大学の教育にかかわる税制上の措置について、優遇措置が既に十分あるからそれでいいというふうに単純に切ってしまわないで、今後の教育全体の中でということだと思います。
〇委員
私も、私立学校の学長先生あたりにはしょっちゅう怒られてますので、(笑)ちょっと考えましょう。また修文して、皆さんのご意見を伺いたいと思います。いかがでしょうか。
それでは、最後までずうっと全体を通じて言っていただいて構わないと思いますから。
〇委員
事業税の課税、外形標準課税のことでまた私の意見を申し述べさせていただきたいと思いますが、この法人事業税というのはあくまでも応益税的なものであるということで位置づけられているわけです。同じように固定資産税が応益税としてあるわけですが、固定資産税とて、固定資産は持っているけれども、フローの所得がないという人は担税力がないと。そういった意味では、固定資産税という応益課税でも課税標準の中に所得を入れろというような話にさえなりかねないわけですね。
それとのバランスから考えると、法人事業税を応益課税としていく以上は、100%外形課税でいくというのが私は筋だと思うのです。ただ、その場合に所得が外形標準としての意味が全然ないのかというとそうではないわけですから、何割かは入れるということはあっていいと思うのですが、資料にもありますように、現在の状況では、欠損法人が7割近くもあるというような状況では、なかなか外形標準としての適正な指標にはならないと。
そういうことからいたしまして、本来、100%外形課税でいくべきだと思うのですが、先ほど説明があったのでは、2分の1は所得であると。それを何年もかけてやっとそこまでいくというのはちょっといかがなものかと。何年もかけて100%外形課税でいくというのだったらそれはそれで筋が通っていると思うのですが、そうはいいましても、現実の問題としては、先ほど来いろいろ議論がございますように、現下の経済状況、あるいは納税者の負担状況ということもありましょうから、いろいろ配慮すべきことはここにも書いてあるとおりですし、それとて、やはりタイムスケジュールをはっきりして、できるだけ早く、総務省の案にするとしても、それが実現できるような基本的な考え方を持ってこのペンディングの部分の記述をお願いしたいと、このように思います。
〇委員
15ページの一番下に道路特定財源等ということで、忘れられたように書いてあるのですけれども、この問題はやはりことしはホットイシューでありますし、意見を述べ合う、出てきた意見も相当多かったような記憶があります。ということで、この部分をその他の1にして、もう少しちゃんと書き込むと。これは環境問題のおまけではないのですよね。それで、その際、少なくとも自動車重量税については一般財源化を図ると、それぐらいのことをしっかり書き込むべきであると私は考えます。
〇委員
そこで、委員、その15ページのその上、エネルギー関係諸税云々、ここも道連れにして1項目立てるということはあるのですよ。エネルギー関係諸税と特定財源というような、ちょっと工夫したいのですが、どこに置くかは任せていただけますか。ここを4とするかどうかね。
〇委員
はい。
〇委員
どうぞ。
〇委員
今、道路特定財源のことが出たのですが、地方団体として、道路公団の民営化の形態についていろいろ言うことは私のほうではございません。しかしながら、道路に対して地方道がなかなかおくれているわけです。そういうことで、道路の整備については非常に地域はニーズが高いわけです。未整備が多いわけです。私の町をいいますと、長崎高速道のインターがあるわけですが、西のほうは実はバイパスができております。私の町から東にかけて3町だけがバイパスがない。それで県道が交差しております。朝晩が非常に多くなっているわけですが、3回待ちとかなんかしております。
そういうことで、今出ました重量税関係は、初めの税の形からいえばこれはしようがないと思うのですが、その他の道路財源関係、暫定税率をかけておりますので、特定財源堅持ということで、地方の立場ではそれはお願いしたいと思います。
〇委員
わかりました。そういうご意見があったことも書き添えつつ、今の委員のあたりをちょっと考えてみたいと思いますが。ただ、前税調会長以来、この税調は道路特定財源一般化ということはもう繰り返し言っておりますので、記載するときにはそれを述べるという格好にならざるを得ないと思いますので。ただ、今の委員のようなご意見も大分出されましたし、重要な点もあろうと思いますので、意見をちょっとご紹介しつつ、ちょっと修文させてもらいます。
〇委員
老人マル優と生・損保控除の問題です。老人マル優につきましては、私もこれは廃止したほうがいいと思います。最近の低金利で、効果はないのは明らかであります。ただ、一般のフィーリングがやはり違うというところがあるのですね、これは。日本を代表する識者、具体的にお名前申し上げませんけれども、最近その方とお話ししてましたら、やはり今老人マル優を廃止するのは過酷過ぎるよと、過酷だよと、こうおっしゃるのですね。そういう意見はあるのですよ、やはり。幾ら低金利でも。
それでも、高齢者にも、こういう少子高齢化社会ですから、応分の負担をしていただくのは当然ですが、礼を尽くして説得すると、そういう手続がやはり必要なのですよね。そこを期限を切って「サンセット措置」へ移行という表現はいかがなものですかね。これを読みますと、もう税調はこれまでさんざん言ってきたと。しかし、実際にそうした見直しは全然行われてこないではないかと。だから、これまでの経緯を踏まえて、少なくとも時限を付した「サンセット措置」へ移行と書いてあるのですけどね。こういう表現は私はいかがなものかと思うのですね。まるでかんしゃく玉を破裂させたみたいに、しかも、サンセットというのはアメリカの用語のようですけれども、私などは人生の日没を連想するわけです。サンセットと言うと(笑)。ということで、どうもイメージがよくないですよね。やはりちょっと表現には思いやりが必要であるということを指摘しておきたいと思います。
それから生・損保控除ですが、これはやはり包括的に所得をとらえる考え方、金融商品間の税負担の公平性・中立性に照らし、やはり問題があるというのが中期答申のスタンスですね。中期答申がはっきり言っているということです。
そこで、自助努力、社会的な相互扶助、その辺をどう考えるのか。これは先週末の起草会合でもご発言がありましたけれども、やはり社会的な相互扶助という点を考える必要があるということになると、単なる貯蓄とは違うということだろうと思うのですね。そうしますと、社会保障制度との関連でどう考えるのか。その点はやはり明確にしておく必要があるのではなかろうかと私は思います。
いずれにしましても、10ページの下から11ページの初めにかけてのこの表現は私はどうも気に食わないということをはっきり申し上げておきたいと思います。
〇委員
ただ、サンセットの支持者は随分あったのでね。
〇委員
いろいろな文章の書き方があって、今の委員の発言も、例えばマル優についてこうこうしかじかだと。しかしながら、しかじかと書いてある。発泡酒のこともそうですよ。委員みたいな意見もあったけれども、しかしながらと、こう書くやり方でね。問題は、今の発言を考慮するとするならば、「しかしながら」の前に大体2~3行でぶった切っているわけだ。それやってはいけないよというのに対しては、ズバッとかなり冷たいというか、かたい言葉で、だめよと書いてあるからね。それならば、そこにもうちょっとしっかり書き込んだらどうだと。情緒てん綿たる反対論もあるし、いろいろあるのですよ。それから業界が言っているロジックもいろいろあるわけだ。生保なんていうのは。それはそれでいいですよ、聞くのは。
だけれども、長い長い歴史があって議論したこともまた事実なのですな。だから反対論があっても一向に構わないけれども、いいところ入れるとすれば、「しかしながら」の前に、もうちょっと筋の通ったというか、言葉を尽くしたようなあれがあって、「しかしながら」でやるほうがいいかもしれない。そう思います。今の話に関連して言えば。
〇委員
委員は、サンセット、大分ご支持のご意見だったけれども、必ずしもここではさらに追いかけない?
〇委員
いや、語感論はわからないから。個人個人、その言葉がどう感じるか、普通、差があるからね。ただ、通常、補助金のむだを排除して、税金のむだ使いを抑制するという議論のときにはごく普通に使われている言葉ですよということだけは承知してますよ。
〇委員
2点あって、最初は今の保険料控除ですが、要するに租税特別措置という観点からだけ全部論理が流れてしまっているというような印象があるわけですよ。それと生命保険料控除と損害保険料控除、どっちも租特だからということで一緒くたにしてしまって、同じ理屈で、これはおかしいよと、もう廃止に向けて検討しましょうやと。そういうふうに一直線でいいのですか。
つまり、生命保険と損害保険というのはおのずと商品も違うし、特に損害保険の場合は自動車保険という大口があって、これは強制保険ですから、強制的に入れろと言っているもの、それを容易にするために若干の所得控除しましょうというのはよくある話で。それから一挙に廃止というのではなくて、保険の第三分野、保険の境界がよくわからないと。今の分け方、保険料控除の分け方でいいのかなと。そこら辺の控除の組み合わせみたいなものが中間項としてあるわけなので、そういう可能性は一切否定して、もう何が何でも廃止なのだと。生命保険も損害保険も。なぜならば租特だからだというこの言い方というのは少しストレート過ぎるかなという印象はいたします。
それからもう一点。ついでですが、14ページ、不動産取得税のところです。これは全体に負けろとかなんとかいう注文が多いので、それに対する切り返しが結構今度の答申案には多いのですが、不動産取得税で、実質的に非課税ですよと、それから課税標準も2分の1に大負けしてますよという一方で、5,600億円もあって、これは基幹税目ですと。これは、ほとんどとってませんからいいではないですかと言いながら、5,600億円あるから、大事な財源だからと(笑)。こういう言い方は、だれが見ても、何言っているのだと、こういうので、もう少しこなれた表現があってもいいのではないか。
〇委員
委員、損保と生保、伝統的に我々分けてないですよ、これまでね。今おっしゃったとおり、中身に下っていくといろいろあるでしょう。それから利用され方もちょっと違う。加入率もね。できればちょっと新しい側面を開拓してみたいと思いますが、ただ難しかろうなという印象は持つのですけどね。ちょっとトライしてみます。
〇委員
たびたび申し上げますけれども、納税者番号のやつね。ここまで書いていただいているのだが、もう一押しして、時限を限ってというふうな話にならないですかね。これだと、ちょっとなんかまだ腰が引けているような感じがするので。
〇委員
時限を限っての議論、これしてませんのでね。委員の頭だと2~3年後ですか。
〇委員
そうですね。そのぐらいの勢いでやっても相当時間かかってしまうと思うのです。
〇委員
「積極的検討を行い」がそこの意味合いだったのですけどね。15ページの。ただ、ここで時限をというのは一本化するのは難しかろうという気がしますがね。数年後とかなんていうような書き方は可能かもしれないけれども。少しアバウトにね。ちょっと次回まで考えておきます。
〇委員
その表現の仕方はお任せします。さっきのサンセットも、「時限を限って」と書いてあるのだから、サンセットと入れなくたっていいのだよね。
それからもう一つは特定財源の話だけれども、あの話というのは、下手をすると、道路に使わないなら減税しろという話につながる。だから、そこのところのロジックがちゃんとしてないで、すぐに一般財源化というのはちょっと危険ですよね。だからまた環境税のところに持ってきているのだろうと思うけれども、その辺は少し検討していただいたほうがいいのではないか。
それからもう一つ、発泡酒のところだけれども、こういう表現になるのはわかるけれども、何か一言、明治38年以来ほうっておいてごめんなさいというのがないの? 明治38年以来ずうっとほうっておいたわけでしょう。この税率は酒税で規定したわけですよね。ビールの。それに対して工夫をして、税率の差があるやつが出てきたと。だから、創業者利益の期間が5年なのか10年なのかわからんが、ある期間はもう置いたじゃないですかとかね。ちょっと「ごめんなさい」が一言あると随分気分が違うのだよ(笑)。お役人というのは絶対に「ごめんなさい」ということを言わないわけだよね。それでムカッとするのではないかと思うのだけどね。
〇委員
全く同感です。
〇委員
ちょっと考えましょう。
〇委員
そんなに原材料で差が出るはずだと思って税率を差つけていたわけじゃない。ここで見ると、税の差をつけるほどの差はなくしている。かなりの努力をしたからそうなったわけですね。
〇委員
そうそう。努力した結果、自分たちがワリ食っているのだよね。
〇委員
だから、同じようなものできてしまうところに違う税金をつくっていたのが間違っているのだから、私たちが悪うござんしたと。間違ってました、あなたたちの努力のほうがすごかったと。まいったと。でも、もう4年もたったから、かなりもうかったでしょうと。これ以降、やはり税の立場から言うと、同じなのだからとらせてくださいましなと言ってくれればよかろうということです。
〇委員
いやあ、要約して入れるの、難しいねえ(笑)。まあ考えてみましょう。
〇委員
先ほどのマル老に関連してのサンセットですが、サンセットというのも、あらゆる人に時限を区切って、もうなくなるのか。今の年寄りはもういいですよとでも言うのか。そこらはいろいろなやり方があると思いますので、サンセットというのをどういうふうな意味にとるのかも、いろいろ取り方もあると思いますから、時限を区切ってとか、あるいは適宜な経過措置を講じてとか、丁寧に言って、お年寄りにあまり心配かけないようにする方法は何かないかなと思うわけでございます。
それから「ごめんなさい」という点でございますけれども、消費課税は常に社会生活の実態の変化に応じて、適宜税制としても公平・中立に対処していくのが税の仕事だと思いますから、お願いをする、頭を下げるということが本当に必要なのかどうか(笑)。昭和63年に消費税入れる前は物品税というのがあったのですけれども、これは品目がそれぞれ掲名されている。大体それに似たようなので似た機能を持つものをどんどんおつくりになる。新しい線を考えられる。それについてはやはり何年かじっと見て、ある程度期間がたったところで課税のグループに入っていただきますということを繰り返してきた歴史がある。そういうことをやっているうちにだんだんもうわけがわからなくなった。最近なくなってきたと。
例えば乗用車はかけるけどライトバンはかけないということだったのですけれども、それでは非常にぜいたくなライトバンが出てきた。それでもかけないのかということで、途中からライトバンも入れるようになりましたけれども、ライトバンというのは一体じゃ何なのだと。荷物置く場所と人が乗る場所の面積が、どっちか大きいほうが乗用車で片方はライトバンだとか、いろいろやってみた。しかし、最後はトラックもある程度課税をするようになった。
しかし、それではもうとても社会の変化に追いつかないということで、そうした個別の消費税はやめて、すべて消費税一本にしたということで、税は社会の変化にはやはり随時弾力的に対応していかざるを得ない。アルコール課税も最後は結局は、例えばアルコール分1度について幾らとか、純アルコール1グラムについて幾らと、そこまでいけば徹底するわけですけれども、一挙に消費税みたいにそこまでいけないということもありますから、やはり弾力的に社会の変化に対応していかざるを得ない。それは税制の宿命だと思いますから、おわびをしなければいかんのかどうかは、どうもそこらはいろいろな考え方があるのではないかと感じます。
〇委員
どうぞ。
〇委員
なんかつまらん議論になってしまったかもしれないけれども、僕はやはり日本の官僚というのは無謬主義、非常に強いと思うのです。それはわからんではないのだ。官僚というものは責任がとれないですよね。責任のとりようがない。例えば金で賠償するのは、それは納税者の税金で賠償するわけですから、自分たちで責任がとれない。自分がやめることぐらいしかやれない。ですから、役所のやっていることは間違ってはいない。間違ったことはやってない。無謬主義というのはやはり相当確固たるシステムだと。そこがだから国民のほうから見るとムカッとするところで、まあそれはお立場はわかるけれども、なんかもう少し言い方がありそうなものだなと思うのですよね、常々。
〇委員
委員の常々のやつをどう生かすか難しいし、先の委員のそういうご意見もまた一理あるようで、ちょっと考えさせてください。
どうぞ。何かいいアイデアありますか。
〇委員
そこはちょっとあれですが、老人マル優の廃止のことですけれども、租税特別措置を整理すること自体は必要ですし、その意味で、この方向の改革はぜひとも必要なことだと思うのですが、もちろんそれですべてが済むわけではありませんで、そこはあくまでも出発点で、これからやっていかなければいけないことがいっぱいあるのだろうと思います。
というのは、老人マル優を廃止してしまって、そうすると、利子とかそういう資産性の所得について20%で分離課税がなされてしまうと。所得がほとんどない人にも20%の税金がかかるとか、たとえ800円でも嫌だとか、そういうふうになる気持ちもわからないではないわけですね。
ただ、特別措置自体は整理したほうがいいと思いますが。あの特別措置の問題は、年齢で切っていたということだろうと思います。豊かであるかどうかというのは年齢で決まる話ではありませんから、あくまでも所得で決まる話なので、本当ならば申告の方向に少しずつ持っていくためのステップとして、年齢で切るというものが一たん廃止されるということはそれなりに説明つくだろうと思うのですね。
ですから、諸井委員がおっしゃったことですが、納税者番号制度については、その意味からも、あっちを廃止というのだったら、こっちはしっかりしようということで、返してほしい人には返すというようなことも場合によっては必要かもしれません。
それともう一つですけれども、一番最後のページですが、これは私の専門なので気合い入ってしまうのですが、第1パラグラフの終わりのところに、「今後、企業活動の実態の変化に対応する形で、外国企業等に関する課税のあり方を検討していかねばならない」と書いてあるのですが、この「外国企業等の課税のあり方を検討していかねばならない」の前に、ぜひ「租税回避否認規定の整備も含めて」というのを、できるできないはともかく、気持ちとして入れてほしいという感じを持っております。執行が大変ですから。
〇委員
はい。
どうぞ。書面でいただいてますが、どうぞ。
〇委員
おくれてまいりましたので、今ずっと読ませていただきながらご意見を伺っておりましたけれども、書面で意見は出させていただきました。そして文章につきましては、先ほどからお話の出ております、貯蓄優遇税制、意見そのものはもう申し上げませんけれども、やはり相当多くの納税者がこれを読むということを考えますと、ここの言葉としての「サンセット措置」という言葉はどうしても必要なのかどうかということで、もう少し文章を考えるべき。私の意見は意見として、文章としてここはもう少し検討していただきたいと思います。
私は、意見書の中にちょっと出しましたけれども、所得も資産も裕福な人は何らかの応分の負担というのは、これまでは高齢者であるからそこまで否定するわけではありませんので、やはり利子課税の、今も名寄せである程度各金融機関のほうは済んでいるところだと思いますので、これは税制に関係なく、ペイオフの関係で各金融機関の名寄せというのが進んでいると思われますので、利子課税についての総合課税というようなことを考えていけば、本当に生活の厳しい人にとっては、それから非常に裕福な人にとっては応分の納税ということになるのではないかなと。
全体についての総合課税、あるいは納番というところまで決して頭に入れているわけではありませんけれども、その辺のところを頭に置いて意見は出させていただきましたので、この文章についてもう少し書きようがあるのではないかなということを申し上げておきたいと思います。
〇委員
金融所得のみの総合課税というのはかなりここでも議論になりました。そういう意味では、修文の中で生かせる方向があるかどうか、今の委員のご意見も踏まえて少し考えてみたいと思います。
いかがでしょうか。どうぞ。
〇委員
配当課税についてですが、11ページのところに「その他」として2行で、「一定の少額配当については……」。こちらの「論点整理メモ」を拝見しますと、配当課税につきましては、8ページのところにいろいろな議論があったということが、(その他)のところ、上のほうからイ、ロとありまして、「配当課税のあり方について検討する必要があるのではないか。少額配当」云々ということで、配当課税についての議論があったというふうに推察できるのですが、いささか、この配当についてこれだけの表現ではいかがなものかという感じがするのですが。
つまり、配当課税そのものについての議論というのはいろいろあるのだと思います。現在の配当課税、このままでいいのかという議論もあるはずですし、それがいわゆる個人住民税が非課税云々というだけで配当課税をくくられるのはいかがなものかという感じがするのですが。
〇委員
「答申素案」のほうの11ページの(4)のところの書きっぷりですね。
〇委員
そうです。
〇委員
そこに配当課税そのもの、つまり、少額配当云々の、個人住民税だけではなくて、もうちょっと広い意味で配当について議論したほうがいいではないかという問題提起ですね。
〇委員
そうです。
それともう一つ、委員がさっきおっしゃったいわゆる納番制について、これは大変賛成でして、もうちょっとはっきり出すべきだと。9ページのところは特に「金融・証券関係税制」というふうにくくられているわけですから、この中に納番制を入れてもいいのではないかという気がするのですが。
〇委員
ただ、納番はいろいろ最近は広い範囲で用途が昔と違って議論されてますので。国際課税も含めて。それもちょっと考えてみます。場所ですね。
ほかにいかがでしょうか。もうぼつぼつよろしいですか。少し早くやめましょうか。いや、早くずるけてやめるというのではなくて、十分意を尽くし議論をし、論客ももう十分言っていただいたという趣旨でやめましょうか。
それでは、本当に長い間ご苦労さまでした。きょう以降のスケジュールをちょっとご報告しておきます。きょうの修文、いろいろなご意見を踏まえて、今度の金曜日にまたもう一ラウンド起草委員会をやり、そこで最終的に一応議論をまとめていきたいと思います。それを受けて、12月11日午後2時からこの場所で、引き続き答申の最終的な詰めを行っていただきたいと思います。きょうお出しいただいた議論が全部うまく文章としてはまって、皆さんからあっという間に30分ぐらいでご賛同いただけるようになっていると非常にハッピーでありますが、なかなかそうもいかんでしょう。しかし、努力はいたします。
そこで十分ご議論いただいたということがもしか可能ならば、それを受けて12月14日、来週の金曜日になりますが、これが答申決定日ということで、おそらく党税調等々、いろいろな形の来年度税制改正の議論がまとまってくる頃だと思いますので、14日には最終的に案をまとめたいと思います。そういう意味では、次回の総会が実質的に最後の審議の場になりますので、ぜひ基本的にご了解いただくべくご議論いただきたいと考えております。
くどいようでございますが、ナンバーリングの打ってあります2つの資料につきましてはお手元にお残しください。
それでは、きょうは長時間ありがとうございました。
〔閉会〕
(注)
本議事録は毎回の審議後、速やかな公表に努め、限られた時間内にとりまとめるため速記録から、財務省主税局及び総務省自治税務局の文責において作成した資料です。
内容には正確を期していますが、税制調査会議事規則に基づき、事後の修正の可能性があることをご承知置きください。