第18回総会 議事録

平成13年11月20日開催

石会長

お待たせいたしました。時間になりましたので、第18回目の総会を開催いたします。

今日は、塩川財務大臣と片山総務大臣においでいただいて、御挨拶いただく予定でしたが、片山大臣のほうが国会審議のため御欠席となりました。そこで、小坂総務副大臣にお願いするという形にさせていただきます。

では、塩川さん、最初によろしくお願いいたします。塩川大臣から御挨拶いただきます。

塩川財務大臣

税制調査会第18回総会が開催されるに当たりまして、一言御挨拶申し上げます。

石会長をはじめ税制調査会の委員の諸先生には、先般、「証券税制等についての意見」及び「連結納税制度の基本的考え方」をお示しいただくなど、精力的な御審議を進めていただいておりまして、心から感謝申し上げます。

このうち証券税制に関しては、証券市場の構造改革に資するよう、株式譲渡益課税について所要の措置を講じました。また、租税特別措置法の一部を改正する法律案を国会に提出いたしまして、これを審議していただいておるところであります。

さて、本日から平成14年度税制改正に向けての御審議を行っていただくことになっておりますが、現下の経済情勢、財政状況等につきまして、一言申し上げたいと存じます。

平成14年度予算編成については、財政面における抜本的構造改革の第一歩として、国債発行額を30兆円以下に抑えることを目標として、歳出の思い切った見直しと重点的な配分に取り組むことといたしております。

また、歳入面において、各種租税特別措置については、実質的には補助金の裏返しであり、課税の公平・中立を害するとともに、減収要因となっております。この租税特別措置の聖域なき見直しについては、基礎問題小委員会でも取り上げていただき、廃止を含め大幅な整理合理化に向けて取り組むことといたしております。委員の先生方におかれましては、御多忙なこととは存じますが、現下の経済情勢や厳しい財政状況等を踏まえまして、あるべき税制の姿を見据えながら、平成14年度税制改正につきまして、適切な御指針をいただきますようお願い申し上げまして、私の御挨拶といたします。

なお、ちょっと付け加えさせていただきますと、いま補正予算を成立させていただきまして、ついては二次補正をという声が非常に強くなってきております。しかし、私たちのいま政府の中で考えておりますことは、二次補正の問題と、構造改革、規制緩和、あるいは公社・公団の改革、こういうものはやはり一体として考えるべきだという考え方が非常に強くございまして、その件につきまして、今日も夕方、経済財政諮問会議におきまして意見の統一を図りたいと思っております。

あくまでも総理が言っておりますことは、財政措置によるところの景気回復、それと並行して構造改革を進めていく、そういうことをセットにした考えをとってほしいということを総理から要望されておりますので、その方向に向かって我々も考えてみたいと思っております。

つきましては、税制調査会の先生方におきましても、税制を通じての構造改革に資するような、そういう観点からひとつ積極的な御意見を賜れば幸せだと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたしたいと存じます。ありがとうございました。

石会長

どうもありがとうございました。

では、引き続きまして小坂副大臣、よろしくお願いいたします。

小坂総務副大臣

先ほど石会長から御紹介ございましたように、片山総務大臣、参議院国会審議のために参れません。私、小坂でございますが、かわって大臣の御挨拶を申し上げたいと存じます。

本日から平成14年度の税制改正の御審議を賜りますので、一言御挨拶を申し上げたいと存じます。

委員の皆さま方におかれましては、日頃から地方税制につきまして熱心な御論議を賜りまして、心から御礼を申し上げる次第でございます。

さて、現下の地方財政は、地方税収入の落ち込みや地方交付税の原資となる国税収入の低迷、国債費の累増などによりまして、引き続き大幅な財源不足を生じており、平成13年度末で借入金残高が189兆円に達するものと見込まれるなど、極めて厳しい状況にあります。その一方で、雇用対策への取り組み、生活関連社会資本の整備、総合的な地域福祉施策の充実等の重要政策課題に関しまして、地方公共団体が担うべき役割とその財政需要はますます増大するものと見込まれているところでございます。

このような中で、重要な課題として地方の行財政改革があります。特に市町村合併の推進、あわせて地方交付税の改革に取り組むことといたしております。地方分権の歩みを進め、地方公共団体がより自立的な行財政運営を行うには、地方への税源移譲も含めた地方税源の充実確保が極めて重要であります。また、法人事業税への外形標準課税の導入につきましては、税負担の公正・公平、また地方分権を支える基幹税の安定化、経済の活性化、構造改革の促進等の観点から、早期導入に向け全力を挙げて取り組む所存であります。

委員の皆さま方におかれましては、限られた日程の中で御審議をお願いすることとなりますが、地方自治の基盤となります地方税の重要性に深い御理解をいただきまして、適切な指針をお示しくださいますようお願い申し上げまして、簡単でございますけれども、御挨拶にかえさせていただきます。どうもありがとうございます。

石会長

どうもありがとうございました。

それでは、両大臣は日程の御都合もありますので、これで御退席になります。

(塩川財務大臣、小坂総務副大臣退席)

それでは、本日の議事の審議に入りたいと思います。すでにお手許に御案内がいっていると思いますが、今日は4つほど大きなテーマがございます。

1つは、すでに両大臣からのお話にもございましたように、平成14年度の税制改正答申に向けまして、今日から議論がスタートいたします。

そこで、まず第1に来年度の税制改正、その審議を行うわけですが、その基盤となります、あるいは前提となります経済情勢、財政状況、あるいは税収動向、これを事務局のほうからまず御説明を受けたいと思います。

第2に、前回の総会以降行いました基礎問題小委員会並びに税調・財政制度等審議会の合同会議の審議状況を、私のほうからごくかいつまんで御説明をいたします。

第3に、やはり税制改正の議論に一番根っこになります所得税、法人税の現状につきまして、調査課長のほうから御説明いただき、簡単な質疑応答を行いたいと思います。

最後に、第4点といたしまして、来年度税制改正におきます主要な検討項目を、財務省、総務省の両局長のほうから御説明いただき、これが今日のスタートアップでございますので、皆さんの忌憚のない御意見を伺いたいと、このように考えております。

では、最初に、最近の経済情勢及び今後の見通しにつきまして、内閣府の大臣官房審議会の薦田さんにお越しいただいておりますので、御説明をお願いいたしたいと思います。

薦田さん、どうもお忙しいところすみません。よろしくお願いします。

薦田審議官(内閣府)

お手許の資料、横長の『月例経済報告等に関する関係閣僚会議資料』というのと、それから、その次の縦長の資料について、簡単に御説明させていただきます。月例の資料を流用させていただいております。

横長をめくっていただいて1ページ目でございます。我が国経済の基調判断。個人消費につきましては、弱含んでいる。雇用情勢が厳しいというのが真ん中にありまして、失業率の高さ、あるいは求人、残業時間。それから、輸出、生産が大幅に減少し、企業収益、設備投資も減少しているということから、景気は一段と悪化しているという判断をしておるわけでございます。

先行きにつきましては、下にありますように、同時多発テロ事件等の影響もあって、世界経済が同時的に減速するなど、懸念が強まっているという認識をしているところでございます。

次のページでございます。政策の基本的態度。これは6月に出ましたいわゆる「骨太の方針」「今後の経済財政運営及び……」という長いもので、基本方針と呼んでおりますが、それを受けまして9月に「改革工程表」というのを取りまとめました。構造改革を強力・迅速に遂行するために、先行して実施すべき施策というのを「改革先行プログラム」として10月の下旬に決定しております。補正予算が11月9日に国会へ提出し、これが16日に成立したところでございます。

諮問会議の席上におきまして、総理から、「内外の情勢を絶えず監視・分析し、様々な状況の変化に対して、構造改革の推進をはじめとする新たな政策対応ができるよう予め検討をする必要があるので、経済財政諮問会議においてよく議論をしてくれ」という御発言がありまして、そのことがここに書いてございまして、経済財政諮問会議において、今月のうちに何回か集中審議を行うということになっておるわけでございます。

それから、3ページ目、ごちゃごちゃした表で恐縮でございます。世界の経済ですが、2.5%というところに横にすっと線が引いてあります。これは(注3)をちょっとごらんいただきたいのですが、そういう意味で2.5というところに線を引いてあるわけでございます。

世界のGDP成長率の折れ線グラフ、右のほうでは黒い三角を追っていただければ、2000年のところではこの2.5のラインよりは上でございましたけれども、2001年では、これは黒丸と重なっておりますが、それを下回っている。それから、2002年もそれより下にあると。

それから、OECD諸国の成長率、これは半期ごと、黒い四角、右のほうでありますが、これがだんだん下がっていって、2001年の下では ゼロを下回るところにあるというような状況でございます。

次のページは、アメリカの消費者マインドの推移ということで、左は長期ですけれども、短期的に見ましても、同時テロ事件の前から下降に入っていて、そして、テロ事件を受けてガタッと下がっているというのがお見取りいただけると思います。

次の5ページですが、アメリカの個人貯蓄率。左は長期ですが、右の短期のところを見ていただきますと、ぐっと上がってきているということでございます。

では、これからアメリカの経済がどうなるのかというのが6ページでございます。ブルーチップのコンセンサス予測というものを掲げてございます。黒い四角が点線でつながっているところが同時テロ事件前のコンセンサス予測でございます。年で見ますと、上にありますように1.6%で、四半期で見ますと、このように点線をたどるのではないかというのがコンセンサス予測だったわけでございます。それに対しまして、同時テロ事件後の予測では、年間でも1.6から1.1に引き下げられております。それから、第4四半期については、マイナス1.9とかということでございます。ただ、その先来年の第1、第2四半期にかけて上がっていくというのがコンセンサス的な見方でございます。

それから、2枚ほどとびまして、9ページ目、10ページ目には、テロ事件のアメリカ経済あるいは日本経済に統計で見た影響ということで、これは後ほどご覧いただければと思います。

日本経済の雇用の問題を次に11ページでございます。右のほうで見ていただきますと、求職理由別の失業者数の推移でございます。自発的な離職者が結構多いという時期がありました。ごく最近では、この太い実線、非自発的離職者も増えているということが非常に厳しい状況を示しているということであります。

次の12ページにありますように、棒グラフが失業期間1年以上の失業者数でございます。これがずっと増えてきていまして、今年の8月で92万人、失業者全体に占める比率も27%になっておるということでございます。

それから、消費の裏づけとなる給与、次の13ページでございます。これは右の1999年あたりから見ていただきますと、2000年にかけて上がっていったと。給与も名目で見ても上がる感じだったのですけれども、それがそのまま上がっていかないで、下がってきているということを読み取っていただけると思います。

次は2ページほどとびまして、16ページでございます。これは世帯主の年齢が60歳以上の世帯と全体の世帯の貯蓄の分布というものを表示したものでございまして、世帯主が年齢の高いところというのが貯蓄が高いということを示しているわけでございます。

とびまして18ページ、これが日本経済の見通しについて、民間機関のをまとめさせていただいております。右のほうに(参考1)と字で書いてあるところ、これが年度について2001年の本年度についての37社の平均値が-0.9、明年度につきましては、平均値が-0.2ということでございます。左の絵の中に8社と書いてあります。これは四半期ごとの数字を掲げている調査機関の平均ということでございます。

(参考3)のところにありますように、IMF、国際機関の見通しですが、ここに暦年、これはカレンダーイヤーですが、-0.5%というのを書いてございますが、実は直近に改定をされまして、たしか11月の15日ですか、2001暦年が-0.9という数字が出されております。それから、2002暦年につきましては、+0.2ではなくて、-1.3というふうな見通しが出されております。非常に日本経済の先行きも厳しいということでございます。

内閣府といたしましては、もう一つの資料でございます。縦長の資料。本年1月に閣議決定をいたしました経済見通しにつきまして、見直しを行いました。11月9日に公表したものでございます。

1のところにありますように、IT関連産業の業況悪化というものが契機となってアメリカ経済が減速をしておったと。さらにそれに加えてテロ事件が加わったということでございます。したがって、年度の実質成長率でいいますと、1.7%という見通しの成長率の達成は困難な状況にあるということで、改定試算というものをいたしました。先ほど申し上げました「改革先行プログラム」の実施による効果というものも見込まれるわけでございますけれども、輸出が減少、あるいは国内の生産、設備に波及してということで、外需・民需が大幅に落ち込むということでございます。

数字の姿としては次の2ページでございます。左側が当初の経済見通し、右側が今回の内閣府試算でございます。年度の実質成長率は-0.9というふうに見通しております。消費につきましても、当初の1.5に対して0.5のプラス、企業設備については、プラスからマイナスに修正をしたというようなことでございます。失業率につきましても、4.5という見通しをしておりましたが、非常に厳しいということで、年度で5.2ということでございます。

次のページはもっと細かい表なので省略をいたします。

最後のページ、4ページ目は、従来でありますと、見通しの改定とあわせて対策の効果試算というので、GDPの影響というものを出しておりますが、今回につきましては、「改革先行プログラム」が非常に需要追加型ではないということで、もう少しミクロ的なというか、雇用創出効果、それから2のところでは、その中にある社会資本だけを取り出すと、名目で0.2%、実質0.1%ぐらいの効果があるということを発表したものでございます。

以上でございます。

石会長

ありがとうございました。

いまお話を伺っていますと、日本経済もアメリカ経済も大変な局面だなということがよくわかりますね。せっかくでございますから、薦田さんのほうに内閣府の試算等々につきまして御質問等々あれば、ちょっと時間を取りたいと思っていますので、いかがでしょうか。

田中委員

景気見通しで循環的な要因をどう評価されているのかだけ伺いたいのですが。昨年から今年にかけて、9月の11日以前においても大幅に悪化いたしました。でも、これは昨年夏の時点で、いくつかのモデルをつくって拾い上げてみますと、アメリカのITを中心とした1つの上昇サイクルを拾い上げていましたから、日本経済も近隣アジア諸国とともに。それが終わった段階で循環的な要因は下方に向かうということがある程度わかっていたと思うのですけれども、この世界経済全体の循環的な要因について、まあ日本経済の構造的な要因については、これはまたいろいろ議論があると思いますが、循環要因についてどのような評価をされているのか伺えればと思います。

薦田審議官(内閣府)

私ども、今年度の見通しの作業をした時点におきましては、アメリカ経済をはじめとする世界経済についても、もちろんITの急速なあれというのは是正されるだろうというふうには考えておったわけでありますけれども、このように急速に下がっていくということは予想をしていなかったわけでございます。

ただ、テロ事件とかそういう特殊要因を除いてということでお話の御趣旨だと思いますけれども、やはりITのバブル的な要素がある程度整理をされれば、持ち直していくのではないかというのが循環についての見方として考えておる次第でございます。

石会長

田中さん、よろしゅうございますか。

それでは、ほかにもなければ、薦田さん、お忙しいところありがとうございました。今後もよろしくお願いいたします。

(内閣府薦田審議官退席)

それでは、次の説明を伺いたいと思いますが、まず最初に、財政状況、税収状況につきまして、総務課長の松元さんと瀧野審議官、よろしくお願いいたします。

松元総務課長(主計局)

主計局の総務課長の松元でございます。

お手許の資料の『我が国財政の現状』というのがございますが、それに従いまして御説明させていただきます。

まず、平成13年度補正予算が先週成立いたしておりますが、1ページおめくりいただきまして、こちらが11月7日、概算決定をいたしましたときの資料でございます。

全体像は、2枚おめくりいただきまして3ページをご覧いただければと存じますが、歳出、左側の一番上のところ、かぎ括弧で[改革先行プログラム関係]とございます。これが小計のところにございますように、1兆円ということでございまして、「骨太の方針」の中から改革を先行して行っていく部分、これは規制改革とかそういったものもございますが、そのうちで予算に関係する部分というのがここに出てまいっております。

内容的には、この改革を行ってまいります際に、失業ですとかいろいろな問題が伴ってまいります。現下の経済情勢にかんがみてもということで、雇用、中小企業等のセーフティネット、これが大きな柱ということでございます。

具体的には雇用対策で5,500億円、中小企業等対策費で2,500億円。しかしながら、その他に、2のところにございますが、(1)から6つ、電子政府ですとか学校の情報化、あるいは保育所・放課後児童受入体制整備、廃棄物、これはダイオキシンでございますが、地域経済再生イノベーション、産学が連携しての地域での活性化あるいはPFI、こういった事業につきまして、緊急構造改革加速施策対策費ということで、1,989億円という姿になっております。

その他のところで、3番目の緊急テロ等対策費、あるいは4番目の牛海綿状脳症対策費、いわゆる狂牛病でございますが、こういったものにつきましても所要の経費を計上いたしまして、追加歳出の全体像、それ以外に毎年出てくるような災害対策費ですとか義務的経費もございますが、こういったものを合わせまして、追加歳出の計が下のほうにございますが、2兆9,955億円といった姿でございます。

この歳出を賄いますのに歳出面での既定経費の節減、あるいは予備費の減等が左側の下のほうにございますが、他方、歳入のほうでは、税収が最近の経済状況を反映いたしまして、1兆1,000億円余りの減収になってくるということでございまして、税外収入を積み上げてまいりますが、公債金収入としては30兆円。総理の来年度の公約として、公債発行30兆円、今年度についても同じ考え方でということでございますが、これを30兆円ぎりぎりまで発行させていただきまして、さらにそれでも足りないという部分がございますので、前年度剰余金、この平成12年度は実は税収も上振れをしたりということで、予想以上に歳入があったといったようなこともございます。前年度剰余金がございますが、この前年度剰余金につきましては、財政法6条では、その2分の1を下らざる額をこの国債整理基金に繰り入れるという原則がございますが、特例法を出させていただきまして、全額歳入に充てるといったことで、歳入歳出バランスする姿といたしております。

4ページのところは、「改革先行プログラム」、ただいまの御説明で最初に御説明いたしました部分、10月26日に経済財政諮問会議で決定されております姿でお示ししているものでございます。

この結果、財政事情がどうなるかといったあたりが5ページ以降でございますが、5ページのところおめくりいただきまして、公債発行額30兆円、建設公債、特例債の内訳が(注1)のところにございますが、公債依存度は35.8%になってまいります。

この時系列を見ていただきましたのが6ページのところでございまして、さらに7ページのところで歳入歳出それぞれどういった推移になっておるか。補正後の姿で、11年、12年に比べますと、落とした姿ではございますが、当初見込んでいましたところからいたしますと、約1兆円上に振れまして、83兆7,000億円という姿になっております。

8ページ、残高ベースで見てということで、公債残高の累増でございます。13年度388兆円という姿でございますが、これは結果的に申しますと、今年度当初予算をつくりましたときに見込んだ数字と同じ数字になっております。これは昨年度が剰余金が出るという状況の中で、公債発行を抑制いたしたということがございました。今回の公債の増加分とその分がちょうど相殺されたような形となっております。

9ページは利払費の推移でございますが、10ページのところが残高ベースで地方も合わせたところでどうなっておるか。ただいまの御説明と同じ形になりますが、国・地方合計、右下のほうの下から2段目をご覧いただきますと、666兆円という数字がございます。これは今年度当初予算を決めましたときと同じ数字になっておりますが、地方につきましても同様の姿となっておりまして、結果的にはここの数字は同じ666兆円という姿になっているということでございます。

簡単でございますが、以上でございます。

石会長

どうもありがとうございました。

ただいま松元さんから国の財政状況について伺いましたので、地方のほうに行く前に、引き続いて、国の税収動向を清水総務課長のほうから御説明をお願いします。

清水総務課長

お手許の「総18-4」『税収動向について』をご覧いただきたいと存じます。

まず、1ページ目ですが、13年度の税収、現行、足元の年度の税収でございます。いま主計局のほうからも御説明がありましたように、補正予算におきまして、補正の編成時点までの課税実績あるいは経済の状況、ヒアリングを含めまして、税収について補正をさせていただいております。源泉所得税、これは4,560億円の減額となっておりますが、雇用あるいは賃金の状況の伸び悩み等を主として反映いたしまして、このような減額をさせていただいております
また、法人税につきましては、前年度、平成12年度については補正後からさらに増収がございましたが、一転いたしまして、企業収益が悪化してきております。大法人を中心としたヒアリングなども含めまして、来年3月期までの予測等をヒアリングを踏まえて見ますと、6,460億円の減額ということで、一般会計といたしましては、1兆1,020億円の減額をさせていただいたところでございます。

2ページ、3ページとちょっと長期的な国税収入の推移がございます。2ページでは、全体の一般会計税収の推移、それから、その税目の内訳がございます。詳しくは触れませんが、最近の景気の情勢に加えまして、恒久的減税などによって全体としての税収が低下してきているわけでございますが、一転、所得税のところを2ページで見ていただきますと、11年度からまた12、13とくくっと上がっておりますけれども、これは郵便貯金について、平成2、3年頃に集中的に預け入れがありまして、これが満期がまいりまして集中的な払い出しが来る一時的な源泉の利子税収によるもの、これが12年度には3.4兆円、13年度には2.8兆円ほどあったものでございます。

4ページをお開きいただきまして、それでは、13年度の補正後から14年度に向けて、この税収の趨勢がどうなっているかということで、ここでは機械的な試算ということですが、少し示させていただきました。

13年度については、ただいまご覧いただきましたように、1.1兆円補正をして減額したところで、全体として49兆6,000億円でございます。このうち郵便貯金、定額貯金の集中満期が来ることによりまして、一時的に税収が見込まれているものが2.8兆円ございます。したがいまして、これを差し引いた残りの部分というのが46兆8,000億円ということになるわけでございます。

ところで、来年度、14年度につきましては、この定額郵便貯金の集中満期の部分、大幅にこれがはげ落ちをいたしまして、0.8兆円程度と見込まれるところでございます。したがいまして、それ以外のこの郵貯の要因を除いた税収として見ればどうなるか。これは14年度における経済の動向によってくるわけでございます。今年の補正後からこの定額郵貯分を除いた46兆8,000億円が経済の動き等でどのようになるか、そういうことを機械的に±α、これに郵貯分を来年の0.8兆円を加えまして、47.6兆円±αという形で機械的な試算の形でお示しさせていただいています。もちろん、個々の税収、例えば雇用の状況、生産、消費といったものを個別の税目の積み上げでございますが、全体として14年度における経済動向によって、この47.6兆±αという税収の水準が左右されて来るという状況でございます。

以上でございます。

石会長

ありがとうございました。

それでは、地方のほうの財政状況と税収状況を自治財務局の瀧野さんと小室さんにお願いしようと思います。瀧野さん、よろしくお願いします。

瀧野審議官(自治財政局)

自治財政局の審議官の瀧野でございます。地方財政の状況について、御説明を申し上げたいと思います。

「総18-5」の資料をご覧いただきたいと思います。1ページでございますが、地方財政の現状についてまとめたものでございます。1番目の点線でくくっているところをご覧いただきますとおり、地方財政は数年にわたりまして大幅な財源不足を生じているわけでございまして、特にこの3年間は10兆円前後の収支不足という状況でございます。来年も、いままでの御説明にもございましたけれども、非常に厳しい状況が続くと考えておるわけでございます。

その結果、IIにございますとおり、非常に地方も借入金残高が多額に上っておる状況でございますし、IIIにございますとおり、個別の団体の財政状況は、いろいろな資料をとりましても、いずれも非常に悪化してきているという状況にあるわけでございます。

2ページは地方の借入金残高でございます。13年度末補正後で189兆円程度の見込みでございます。中身は3つぐらいございまして、地方債のほか公営企業の分、それから、交付税特別会計の借入金という3つの要素から成り立っているという状況にございます。

こういう非常に借入金が増えてきた状況にかんがみまして、3ページでございますが、本年度地方財政対策の見直しというのを行ってございます。3ページの真ん中のところをご覧いただきたいと思いますけれども、当面、13年度から15年度の措置でございますけれども、財源不足が地方に生じた場合に、国・地方が折半で負担する。その際、交付税特別会計の新たな借入金はやめようということで、国のほうは一般会計からの繰り入れによりまして地方交付税を増額するし、地方のほうはその負担分につきまして、特例地方債の発行により補てんしていくという見直しをしておるところでございます。

こういう状況の中で来年度の見通しでございますが、6ページにとんでいただきたいと思います。現在の状況で見通せる来年度の地方財政の事情をまとめてございます。

まず、地方税でございますけれども、後ほど事務局のほうからお話があると思いますけれども、ここでは一応13年度をベースに±Xということにしてございますけれども、非常に厳しい状況であるというふうにお聞きしております。

地方譲与税、地方特例交付金につきましては、概算要求の段階の数字を置かせていただいております。

それから、地方交付税でございますが、非常に不確定な状況であるわけでございますけれども、現在の段階でわかっておりますことといたしましては、12年度は繰越しというものが交付税会計の中であったわけでございますけれども、それが5,000億円程度14年度に向けましては減になるであろう。あるいは、法定率分につきまして、先ほど補正で国税の税収見直しがございましたけれども、それが交付税の減にはね返ってくる分がございまして、それが4,000億円程度減っていくだろうというような、現在の段階でも減になる要素が見込まれるわけでございまして、明年度も今年と同様に非常に厳しい見通しになるかなと考えております。

地方債につきましては、概算要求の段階で国の公共事業につきまして1割カットというような方針が出されておりますので、現在の段階である程度の絞り込みをしておるところでございます。

歳出につきましては、地方一般歳出につきましては、今後の国の予算編成と密接に絡んでまいりますので、そこのところは不確定ということで、±Zというもので置かさせていただいております。

それから、公債費につきましては、現在の見通しで明年度7,000億円程度の増という見通しでございます。その結果、一番下の財源不足額のところにございますとおり、いろいろなプラスマイナス、あるいは不確定の部分、見通せない部分もございますけれども、やはり13年度と同じ程度の財源不足額が生じざるを得ないのかなという見通しを持っておるところでございます。

こういう中で7ページでございますが、14年度の地方財政につきまして、我々現在考えております基本的な考え方でございますが、(1)にございますとおり、国の歳出予算と歩を一にして徹底した見直しなり重点的な配分ということに心がけていきたいということが1つでございます。

それから、(2)にございますとおり、地方財政計画規模を抑制いたしまして、ただいま申し上げました地方財源の不足額を圧縮して、借入金をできるだけ抑制していきたいと考えております。

主要経費の扱いはそれぞれ給与関係経費等書いてございますが、特に一番下でございますが、投資的経費の地方単独事業の部分につきまして、国と同一の基調によりまして、事業規模を前年度比1割程度は削減したい。その中でも特にいろいろ批判もございますハコものにつきましては、抑制をしていきたいと考えております。

ただ、8ページにございますとおり、地方団体の行政は、国が法令で基準を設定したものとか、あるいは実施を義務づけているもの、この8ページの図でいいますと、色塗りをした部分がそれに相当するわけでございますけれども、非常に多い部分は国のほうで義務づけておるというような状況にあるということも御理解いただきたいと考えております。

以上でございます。

石会長

ありがとうございました。

では、小室さん、引き続いてお願いします。

小室企画課長

資料の「総18-6」ですが、1ページ目を開いていただきますと、13年度の地方税収でございます。左手に税目がありまして、Aの欄、地財計画額3,000団体ベースの税収見込みで、今年度35兆6,000億円を見込んでおります。一番右のところに対決算見込、12年度決算に対して1.6%の伸びを見込んでいるところでございます。それに対しましてB欄、調定額とございますが、実際の課税がどれほどかということで、9月末の実績がBにございます。この9月末同士を比べたのが右から2つ目の欄、調定額累計ということで、地方税計で1.9%いま伸びているわけです。

内訳としまして、個人住民税、これは地財計画よりも落ちております。これは12年中の所得の伸び悩みでございます。

法人のほうは、現在のところ、すなわち13年3月決算の5月に入る税収分、これは堅調である。今後見込みはかなり難しいところがございます。

地方消費税は調定額が減になっておりますが、国より2か月遅れていまして、これはほぼ回復されるというふうに見込んでございます。

固定資産税のところも、やはり地価の下落等、予想を上回っておりまして、地財計画見込みに達しないのではないかと。

それから、その他のところでは、先ほど御紹介ありました郵貯の定額貯金の大量満期、これの分が利子割に反映されるのですが、その分を含んでおりまして、年度の全般に入ってまいりますので、ここが大きく出ておりますが、最終的には落ち込んでしまうという意味で、その利子割の要素を除いたのが一番下の欄で、計画では2.1%の伸びを見込んでおりますが、調定からすると0.9ぐらいかなと。そういう意味では、1ポイント強、やはり地財計画に届かないのではないかと懸念してございます。

2ページお願いいたします。各税目の長期的な傾向ですが、下のほうに法人2税ございますが、11兆円近いところから、現在では6兆円台まで、また、個人住民税についても、11兆円台までいっていたのが、現在は10兆円を割り込んでございます。固定資産税が堅調に推移しておりますが、固定資産税も11年度から12年度に対して初の減少、そういったような状況になってございます。

3ページは、瀧野審議官のほうから申し上げました地方財政の単年度、それぞれの年度の財源不足を棒グラフにしたものでございま す。

そこで、4ページ、14年度どうなるのかという見込みでございますが、現時点ではっきりいたしませんけれど、要素といたしまして、13年度の計画額35兆6,000億円、このうちには集中満期分が9,000億円入っております。これが臨時の部分ですが、来年度3,000億円に減りますので、35.6兆円から35兆円までまず落ちる。それから、マイナスアルファがございます。このマイナスアルファは、国税の場合には、先ほど御紹介がありましたように、所得税、法人税で1兆1,000億円今年度の補正減を立てております。これが地方の場合には14年度税収として効いてきますので、1兆1,000億円の半分とか、そういった要素で減要素が立つ。それに加えまして、来年度の経済動向、あるいは税制改正の動向が±βということで示させていただいているところでございます。

最後に5ページのところですが、いままでの経緯が書いてあります。下のほうの表を見ていただきますと、地方財政計画として見込んだA欄、それと決算、それについての対比が一番右にございます。11年度のとき、たしかこの税調でも7,000~8,000億円減収かなということで7,480、それから、昨年の場合には、地財計画の見込みを達成できるかどうかということで申し上げたところが、▲116億という見込みでございます。13年度は、先ほど申し上げましたように、35兆6,000億円ですが、個人住民税あるいは固定資産税といった減要素で、この額の達成は難しいのではないかと見込んでいるところでございます。

以上でございます。

石会長

ありがとうございました。

国と地方の財政状況なり税収動向の現状、あるいは見通しを伺いましたが、いささか憂うつになる数字ですね。

それでは、少し時間を取りまして質疑応答をしたいと思います。どうぞ国のほうでも地方のほうでも、あるいは全体でも結構でありますから。

松尾委員

財政赤字が非常に深刻化しているということは、いまの説明でよくわかったと思います。

それで、財政赤字も循環的な赤字と構造的な赤字があるわけですね。循環的赤字、構造的赤字、これはそれぞれ国・地方別にどれぐらいの割合なのか、それから、最近どういう推移をたどっているのか、教えていただければと思います。

それから、構造的赤字発生の原因を、簡単で結構ですから、ついでにちょっと御説明いただければと思います。

石会長

いま数字が出るかどうかわかりませんが、では清水さんのほうから。

清水総務課長

歳入歳出両方のところによって財政の赤字が出てくるので、主計局のほうからも補足があるかと思いますが、税収のほうから申しますと、この『税収動向について』の3ページを見ていただきますと、2つ折れ線グラフがあって、上のほうが一般会計の歳出総額で、下のほうの黒い折れ線グラフが税収の水準でございます。また、平成の初め、2、3年の頃はバブルがあったわけですけれども、その後の経済の停滞、それから、後ほど所得税や法人税の現状について御議論いただくかと思いますけれども、その中で、この間いろいろな制度的な減税ですとか、さらに近年は景気の現状に配慮いたしまして、かなり大規模な特別減税、恒久的な減税が行われ、これが続いているところでございまして、そういったものを合わせましても5兆円程度、例えば所得税などを見ましても、そういった規模の減税も行われてきておりまして、したがいまして、こういった部分については、ある程度一時的な減収というよりは、税収の水準を引き下げる要因になっているのではないかと考えております。

石会長

ありがとうございました。財政赤字を構造的、循環的に分けるのは非常に難しいと思いますが、松元さんのほうも何か情報がございますか。

松元総務課長(主計局)

歳出面で不況になってきますと出てくるという観点から申し上げますと、主計局の資料「総18-3」の3ページ、先ほど御説明しました補正予算の骨格がございますが、その中の左側の7番目、義務的経費の追加8,000億円余りとございますが、このかなりの部分が生活保護費、あるいは国民健康保険。これは失業されたりしますと、社会保険から国民健康保険のほうに移ってこられる。国民健康保険になりますと、この国庫負担が2分の1といったような世界が出てまいりますので、その分で膨らんでいる部分というのがございます。でありますので、この景気の循環に従って景気が悪くなってきたということによって膨らんできている部分というのは、こういったところに現れておるのかなと。ちょっと全体でいくらというような把握はいまいたしておりません。

石会長

わかりました。地方でいまみたいなことで何か御説明いただくことがありますか。

瀧野審議官(自治財政局)

地方財政につきましても、基本的には国と同じようなことかと思いますが、特に地方団体の場合、我々、借入金残高の増というのを非常に危惧しているわけでございます。

先ほど御説明しました資料の2ページをごらんいただきたいと思いますが、その上のほうに少し分析をしてございます。非常に借入金残高が増えて、公債費負担が累増しておるわけでございますが、その分析をいたしますと、ポツの2つ目のところにございますけれども、景気が非常に落ち込んで、それを起債で賄うとか、あるいはいろいろな財源が不足するのを臨時的な起債を出すとか、そういうような部分が半分以上を占めているという状況にあるわけでございまして、やはり全体の借入金というベースで見たときに、半分ぐらいは、循環的というお言葉にそのまま適合するかどうかわかりませんけれども、こういうような規模になっているということでございます。

石会長

小室さん、何かありますか。

小室企画課長

一言。地方の収入面で見ますと、税のほうは法人関係、住民税関係、国税とほぼ同じ動きですが、地方税だけでなくて、逆に国税が減った場合に、交付税のほうへはね返ってくるという意味で、その辺はダブルで来るので、例えば資料18-5の4ページの下のほうに、恒久的減税の影響で3兆4,000億円とかありますが、地方税ダイレクトなのが2兆円あって、国税のはね返りが1兆4、5,000億円とか、そういった構造になっております。その中には制度的なもの、あるいはもちろん循環的なものも同じような構造になっております。

石会長

ありがとうございました。

ほかに何か論点がございますか。

松本委員

地方の立場でちょっと申し上げておきたいと思いますが、本日、税収関係の状況の説明があったわけでございますが、地方にとっても非常に厳しい状況になってきているのではないかと思います。地方税の減収、国税の減収とともに交付税にはね返ってくるわけでございます。地方にとっては大きな影響が出ることを懸念されるわけでございます。

先ほど国民健康保険のことがちょっと出たのですが、我々地方団体として、いま国保関係が高齢者、リストラによって職を失った人、これが非常に増えてきております。そういうことで保険料が取れなかったり、それから、一般会計から大分支出が出てきております。制度的に保険料を払わない人は失格者ということで出しておりますが、これは弱い者いじめというような格好になっておりますので、我々も一般会計から出したりしているわけですが、そういうふうにして、地方関係が一般歳出について7割ぐらいが義務的な国の施策によって歳出があるわけでございます。そういうことで、国の施策関係でもやはり十分に配慮したこと、こういうこともお願いをしたいような気がいたします。そういうことでよろしくお願いしておきたいと思います。

石会長

ありがとうございました。御説明と御意見と聞いておきます。よろしゅうございますね。ほかによろしゅうございますか。

それでは、次の議題に移りたいと思いますが、お忙しいところ、松元さんと瀧野さん、どうも御説明に来ていただきまして、ありがとうございました。

(主計局松元総務課長、自治財政局瀧野審議官退席)

それでは、次の議題に移りたいと思いますが、それは基礎問題小委員会と税調・財政審の合同会議の審議状況を、ごくかいつまんで私のほうから御説明をいたします。

私、基礎問題小委員会の小委員長もやっておりますので、この御説明をする責任があろうかと思いますが、前回の総会以降、第3回目を10月26日に、第4回目を11月16日、2回行っております。第3回目のほうは、租税特別措置の個人関係並びに地方税関係をまとめて議論いたしました。さらにサブのテーマといたしまして、環境問題に対する税制面の対応、言うなれば環境税ですね。そういう議論をいたしました。

この租税特別措置に関しましては、第2回目に企業関係をやっておりましたので、今回は個人関係のほうに重点を移しましたが、老人マル優も含めまして、政策的な目的が薄れたものがずいぶんあるし、かねてよりこの税調は、見直しということを絶えず言っているわけでありますから、例年以上に今年は徹底的な見直しの姿勢を明確にすべきではないかという御意見が圧倒的に多かったと思っております。当然のこと、新規の項目を認めるということについては非常に難しい。

また、農地にかかわる相続税・贈与税の納税猶予の問題との絡みで、中小企業の事業承継の問題もございました。これもまた税調でずいぶん議論しておるのですが、基本的に農地と異なり、中小企業、事業の場合は把握が難しいということもございますし、他の所得との公平とか中立といった視点から見て、これを大幅に認めることは難しかろうと。取引相場のない株式につきましては、評価見直しなどを重ねてやっておりますので、その点も十分考慮に入れてもらいたいという議論。

それから、地方税に関しましては、税率だけでなくて課税方法とか課税対象についても大幅に裁量があってもいいではないかという御  意見とか、27年に創設されました事業税に関する社会保険診療報酬に係る特例措置、これは国税のほうは終わっているのですが、地方税が残っておりまして、これについては本格的な見直しをすべきではないか等々ございました。今後、この種の問題は、今日以降の年度改正の議論でも再度取り上げて議論すべきだろうと思っています。

それから、環境税のほうは、実は中央環境審議会に地球温暖化対策税制専門委員会というのができまして、そこにこの税調からも数人の委員が御参加でございます。そこで、当日、奥野さんのほうから、この専門委員会の第1回目の会合の状況につきましてお話を伺いました。我々としては、いろいろもう議論が大分出てきておるのですが、優先順位をつけて選択肢というものを出してもらいたいと。つまり、環境税のみが地球温暖化対策ではなくて、いろいろな対応の仕方もあるわけでありまして、また、環境税の中にもいろいろな選択肢がございます。そういうわけで優先順位があったほうがいいじゃないかという御意見。

それから、とかく環境に配慮する税制というのは、まけてやるほう、つまり優遇措置のほうに税制を使おうという議論になりがちでございますが、やはり環境税の本来の姿勢というのは、制裁的、あるいはペナルティを与えるというほうで使うべきであるという御意見。そろそろそういうほうを徹底的にすべきではないかということですね。理論的にいくつか議論があっても、実践的にはよほど詰めて議論をしないと、実現は難しかろうという御議論がございました。この環境税につきましても、今後引き続き議論をしなければいけないと考えております。

それから、前回の第4回目の基礎問題小委員会では、1つ2つ大きなテーマがあったわけでございますが、最初にバブル期以降の税制の流れにつきまして総括いたしました。つまり、今後中期答申というのをこれから議論するわけでございますけれども、やはりバブル期以降の税制がどうなっているかというのを、もう一度我々の視点なりに整理しておかなければいけないだろうという形で、事務局から大部な資料を御説明いただきまして、一通り頭にもう一回入れ直したつもりでございます。つまり、所得税・法人税は、特別減税や恒久的減税が行われ、意に反して大幅な減税になってしまって、これがいまの税収不足につながっているという面も当然あるし、結果として租税負担率が先進国でアメリカと並んで非常に低い。非常にというか、甚だ意に満たないところまで落ち込んでしまったということ。それから、消費税というのが主力でございますが、これとて先進国の中では最低の税率でございます。そういうこともあって、今後、控除面、あるいは課税ベースの適正面等々から、所得税・法人税ともに議論をしなければいけないだろうと。

課税ベースの適正化に並んで、例の課税最低限の議論ですね。これも大分いたしました。いずれにいたしましても、年明けからこのバブル期以降の税制の流れをもう一回見つつ、我々議論を深めていきたいと考えております。

そのほかにその議論の過程の中で、消費税の表示は内税がいいのではないかとか、納税者の意識がどうもまだ必ずしも十分でない。そういう点で教育的な配慮も必要ではないかとか、あるいは資産課税、やはりデフレ傾向で金融資産の実質価値が高まっているわけでありますから、こういうものについて資産課税をもう一度見直すことがあり得るのではないかというような議論も重ねて行いました。

それから、第2の点が法人事業税の外形課税化の問題でございまして、実はこれはもうかねて数年前からやっておりまして、税調としては一応の結論は出ております。つまり、外形課税については、合理的な考え方であると。ただ、導入に当たって景気等々あって、タイミングが難しかろうという姿勢を昨年もとっておりましたが、今回もこの姿勢は変える必要はなかろうということで、今後の雇用とか景気の状況を見ながら、これは政治的な問題になると思いますが、導入のタイミングを図るべきだということを議論いたしました。

それから、法定外税というのをこの外形にくっつけて、また資料を出していただきました。例の法定外普通税と目的税、2ついまあるわけでございますが、その中身を探っていきますと、やはり他の自治体から流入してくるものに押し付ける、あるいは企業を課税の対象にするという意味で、地元の住民に対して応分の負担をしていない。これはどうも法定外税の1つの問題ではないかという点で、これは問題提起をしたいという形で我々意見を交わしました。これが第2の問題点。

それから、第3が、これは新聞でも大きく報道されたと思いますが、猪瀬さんのほうから、カジノゲーミング法と税制についての御意見を伺いました。日本だけこの種の税がない。俗に言われますギャンブル税という言葉を使われますと、ちょっとイメージが暗いのですけれども、猪瀬さんのお考えは、もっと明るい、要するにゲーミングという視点からこういう税は仕組めないかと。これは特殊法人改革等々にも絡むわけでございますし、石原東京都知事は副都心にもやりたいといったようなことを言っておりますし、論点はいくつかはっきりしているのですが、ただ、これは税制の議論だけではございませんで、地域振興の問題もあるし等々で、どういう形で今後議論するかというところまで至っておりませんが、問題意識はお互いに持ったという形でございます。これが2回にわたる基礎問題小委員会。

それから、かいつまんで大急ぎで合同会議の状況を御説明しますが、これは11月9日の金曜日、夕刻に、今井会長、財政審のほうの代表、それから税調のほうから私と、そのほか各々の調査会から数名ずつ御参加いただきまして、自由に議論を交わしました。

今回は、いくつか大きな論点があったのですが、やはり1つは、経済財政諮問会議の議論のやり方と、財政制度等審議会並びに政府税調、この関係をどうするかということにかなり時間を割きまして議論を交わしたと思います。従来は予算なり税制改革は、ともに2つの審議会なり調査会がやっていたのですが、今度は経済財政諮問会議が大枠を決めるという形で来ましたので、その相互の関係に何かぎくしゃくしたところが出てきているのではないかということも含め議論を交わしました。

しかし、結論的にいえば、大枠等々はやはり経済財政諮問会議でつくってもらって、実践的なところは税調なり財政制度等審議会、つまり予算編成に絡めて議論するという形で、そこはなるべくこっちの意見も早く言って、向こうのほうに反映させようと、先手必勝がいいじゃないかというような議論も出ました。そういうわけで、このやり方は今年初めて変わるので難しいのですけれども、そこは十分に踏まえつつ、双方のぎくしゃくしないような格好で今後進めたいということであります。

それから、国債発行30兆円の枠をどういうふうにしようかという議論も第2の論点としてずいぶん詰めました。今日、塩川財務大臣からもこの辺について強い決意表明があったと思いますが、第二次補正等々いま問題になっておりますが、実はこの30兆円とも陰に陽に絡んでくるわけでありますが、これはどうなるかわかりません。我々の合同会議では、やはり構造改革のシンボルとしてこの30兆円があるのだから、やはり守るべきであろうと。その結果、経済成長がマイナスになる、あるいは失業率が高くなる等々があっても、これは小泉構造改革の姿勢として甘受せざるを得ないのではないかと。それはそれで国民の判断を仰ぐしかないではないかという形で、この点は一応30兆円枠を堅持、サポートするという形になりました。

そのほか、記者会見のところでいろいろ発泡酒の問題、あるいはたばこ健康税と公明党が言っておりますが、たばこ増税の問題、あるいは医療制度改革みたいな問題もあって、議論をそこで私と今井会長で交わしたということがございます。

これが以上かいつまんで2回にわたる基礎問題小委員会と、それから、合同会議の状況でございます。別にこれは御質問があればあとでお伺いしますが、時間を取るほどのことでもないと思いますので、次の議題に移らせていただきます。

次は、所得課税、法人税の現状につきまして、これは非常に重要な問題をはらんでおりますので、稲垣調査課長のほうから御説明を受けたいと考えております。稲垣さん、よろしく。

稲垣調査課長

では、お手許の「総18-7」という『説明資料』と書いて出しておりますものでございますが、これに沿いまして私のほうから、数値データから見ました所得税、法人税の課税の現状について御説明させていただきます。

恐縮でございますが、目次がついておりますので、その中じきのところをめくっていただきまして、2ページというところでございます。所得税の納税者数という資料がございます。真ん中の3つ目の箱から見ていただきたいのですが、総人口1億2,000万人余のうち、働く意思を持っていらっしゃる方が、そこにございますように6,500万人ほど、不幸にして職を得ていない方が300万人ほどいらっしゃるわけですが、この6,500万人近い人のうち、下から2つ目の箱でございますが、私どもで推計いたしましたところ、納税者の数というのが5,000万人足らずということでございまして、残りの約4分の1の方、1,500万人ほどの方は働いていらっしゃいますが、所得税は納めていらっしゃらないということでございます。

ちなみに、その下のところでございますが、納税者の中身でございますけど、給与でお払いいただいている方が4,500万人ほどということでございます。重複がございますけれども、申告所得でお払いになっている方が740万人ほどという現状でございます。

1枚めくっていただきまして、3ページ目でございますが、これは民間のほうで給与を得ていらっしゃる方で、1年間を通じて御勤務された方の納税状況でございます。単純な平均でございますけど、給与で400万円以下の収入の方でございますけど、これが大体全体の5割弱、45%程度でございますが、その平均の納税額、所得税でございますが、7万6,000円ということでございまして、10万円をいきかねているという状況でございます。

1枚めくっていただきまして、このうち配偶者控除、扶養控除のない納税者の方、これは残念ながら独身者の方というのがとれないのでこういう統計でございますけれども、このうち400万円以下の収入階層に属していらっしゃる方が約1,400万人弱、全体の65%でございますが、この方の源泉所得税額も平均いたしまして8万円ということでございまして、やはり10万円いきかねているというのが現状でございます。独身者の方、消費の力も強くて、かなりいらっしゃるということでございますが、現状といたしましては、1,000万円ほどの方というのがここにはまってくるのかと思われます。

5ページ目でございます。駆け足で恐縮でございますけれど、これが夫婦子2人のいわゆる標準世帯につきまして、モデル計算いたしました所得税と住民税を合わせた納税負担額でございます。そこに平成6年と平成12年を並べてございますが、これは平成6年が、左の四角書きにございますけれども、課税最低限が327万円、平成12年は制度減税等がございまして、課税最低限が384万円まで上がっております。ここで見ていただきますと、全階層、当然のことでございますけれども、納税額が大きく減っておりますが、先ほどから注目してまいりました400万円の収入階層のところで見ていただきますと、平成6年の現状では、モデル計算いたしますと、9万2,000円所得税、住民税を合わせて納税いただいていたものが、平成12年では3万円というところまで落ちてしまっているということでございまして、その後、この階層ですと、500万円から700万円ぐらいというところが恐らく平均的なところだろうと思いますが、その500万円のところで見ていただきましても、平成12年のモデルでは11万5,000円ということになっているわけでございます。

これを国際的に比較いたしましたものが6ページ目でございます。左のほうにございますのが夫婦子2人のモデルでございますが、アメリカ、イギリス、ほかのG5諸国と比べてみましても、給与1,000万円のところまで出してございますが、かなり低いということでございます。

実は右の下のほう、これは独身者をまた国際比較したものでございまして、日本は家族には割合温かくて、独身者には税負担が重いというようなことが言われておりますが、この独身者のところで比べてみましても、国際的に見て非常に低い水準にあるというのが見ていただけるかと思います。

その次でございます。これは先ほどからお話しいたしておりますように、諸所の景気状況に対応するために減税を行ってきたということで現状を迎えているわけでございますが、その減税の経済効果、これがどれほどだったのかというのはなかなか検証がしづらいのですが、他山の石といいますか、他国の状況でございますけれど、御存じのように、本年度、アメリカのほうでブッシュ政権が、今後どうなるかわかりませんけれども、ずいぶん黒字状況にあるということもございまして、これを納税者にお返しするということで減税を行ったわけでございます。

今年の7月から9月にかけまして、小切手の形で納税者の方に最高600ドルまでお返しするということがあったわけでございますが、その使い道につきまして、ギャラップという世論調査の会社でございますけど、ここが調べたものがございます。御存じのように、9月にテロがございましたので、その前の8月の調査でございますが、質問といたしまして、「減税の還付小切手をどのように使いましたか」ということに対しまして、下線が引いてございます。小切手を受け取らなければ購入しなかったであろうものの新規の消費に充てた分、これが11%ということでございまして、その他の方は、その上にほうにございますけど、借金の返済、あるいは貯金に回した。それから、日用品、要するに減税小切手がなくても買っていたであろうものを買っているということでございまして、マクロのデータで見ましても、個人貯蓄率というのが下から2欄目にございますが、大体2000年から2001年の初めにかけまして、個人貯蓄率1%程度でございますが、これが減税小切手が配られました7月、8月、右のほうにございますが、見ていただきますと、2.5、4.1、4.7というふうに上がっておりまして、やはりこれを見ましても、貯金のほうに回ってしまった分がかなりあるのではないかということでございます。

ちなみに、個人消費の動向を見ていただきましても、9月はテロの影響でございますが、顕著に7月、8月と上がっているというふうにもうかがわれないということでございます。

それから、次に法人税の関係でございます。「法人税収、経常利益及び法人税率の推移」というのが9ページにございます。この薄い実線で引きましたものが法人税率でございまして、基本的に 9年度までは37.5%という税率でございましたが、その後、10年の法人税改革、それから、11年の恒久的な減税ということで、34.5%から30%まで下がっているわけでございます。

他方、この点線を引きました部分が経常利益の水準でございます。見ていただきますと、平成12年でございますが、ここはバブル期に近い水準まで戻っているわけでございます。ちょうど税率の下げと経常収益の回復、10年、11年、12年のところでございますけど、回復がちょうどクロスするような形になっておりまして、10年から13年にかけまして、これは見込みでございますが、余り大きく変動していないような格好でございますが、この間は減税と、むしろ上がっていく経常収益との間でクロスがあったということでございます。

これを見ていただきますと、11年から12年にかけて、経常利益が急回復しておりますが、法人税のほうはあまり伸びていない。それほどは伸びていないというのがうかがわれるかと思いますが、これはいくつか要因があろうかと思います。

その要因でございますけれど、1つは経常収益でございますので、最終的な利益につきましては、むしろ変動を小さくするような方向である程度決算調整のようなことが行われているということがうかがわれますのと、1枚めくっていただきまして、10ページ目でございますが、実は法人税につきましては、これもよく御存じのことかと思いますが、赤字法人は関係ないということでございまして、基本的にこのグラフにございますが、水面下、ゼロのところより上にある方、これが私どものほうに納税いただいている企業の所得の金額ということでございまして、これは全体としてマクロで見た収益ほどはぶれない。むしろ、見ていただきますとわかりますように、真ん中の薄い黒のところ、ここが当期の欠損金額でございますが、年を追うごとにだんだん膨らんでいるということとあわせまして、これの結果でございますが、一番黒い下に向かってはえている棒でございますけれど、これが累積の欠損でございます。これがどんどん地下のマグマのようにたまってきておりまして、実際、経済がもとに戻って収益が戻っても、この欠損の部分で打ち消されてしまうという部分が大きくございまして、このあたりが効いているのではないかというようにも思えるわけでございます。

次、11ページ目でございますが、これは欠損法人割合の推移ということでございまして、これも見ていただきますと、バブルの時期は少し下がっているのでございますが、バブル崩壊以降、一貫して上がり続けておりまして、全体の法人の中で欠損状態になっているのは69.9%、約7割、逆に返してみますと、納税いただいている企業の数は全体の3割ということでございます。これは申すまでもございませんけど、数といたしましては中小法人のほうが多いので、中小法人の影響が大きいわけでございますけれど、大法人も実はこの69.9%、11年の数字が資本金1億円以上の法人でも49%ということでございまして、大法人の5割がやっと法人税を納めていただいているという状態にあるわけでございます。

その次のページ、12ページ目でございますが、これは先ほど申しました経常収益の動きでございますけれど、黒、赤差し引きになっておりますので、変動が激しいわけでございますが、実はこれは取引所の上場企業の税引き前の利益と損失を、言葉は悪いのですが、勝ち組と負け組に分けて示したものでございます。見ていただきますと、実は税引き前利益だけ足し上げた部分が上の部分でございますが、これはもちろん変動はしておりますが、そんなに顕著に動いているという格好ではございません。中を見ていただきましても、例えば下に輸送用機器とございますが、これは自動車等でございますけれど、比較的安定的。それから医薬・化学といった株式市場でいいますとディフェンス銘柄、ここも比較的安定的ということでございまして、あと、卸・小売業、ここのところもあまり大きな変動はしていないという姿がうかがわれるかと思います。

ただ、ご覧になっていただきますとわかりますように、下のところ、これは全体といたしましても、9年度あたりから税引き前損失のマクロで見た数字が膨らんでいる。それから、見ていただきますと、多分、11年度の輸送用機器、ここは自動車で御存じのように日産等、大きな欠損を出したところがあるということで、膨らんでいるのではないかと思われますが、あるいは卸・小売業につきましても、先ほど見ていただきましたように、利益は安定しているわけでございますが、欠損企業につきましては、下の方の数値が膨らんでいるというのがうかがわれるところでございます。

その次の13ページは、毎年発表しております申告所得の上位十傑の推移でございまして、個別の企業の名前を挙げるのはどうかと思いますが、そこのいろいろ印をつけております企業につきましては、大体常連というようなことがございまして、そこも二極分化ということの現れなのかなということでございます。

最後、14ページ目でございますが、さらに3割の利益法人と申しましたが、その法人税の納税状況でございますが、そこに資本金階層別に分けてありますが、100億円以上の企業が利益法人として672社ございます。ここで法人税額の35.1%、約3分の1はこの上の672社でお納めいただいている。さらに、真ん中のあたりに線が引いてございますけれど、資本金1億円以上の法人でございますが、ここが累積割合で見ていただきますと65.2%、約3分の2は1億円以上の企業でお納めいただいているということでございまして、先ほど申しました3割の利益法人のうちで、さらに中核的なところで大部分といいますか、かなり大宗を納税していただいているというのが実情だということでございます。

以上でございます。

石会長

ありがとうございました。

いま、稲垣課長のほうから、我々の税制の二大項目でございます所得税と法人税の現状を聞きました。いろいろな御感想をお持ちと思います。これはこれからの議論で、メッセージをどう受け取るかということを皆さんから御意見を聞きたいと思っています。

議論に入る前に、来年度税制改正は一体どんなところが主要な論点かということを、やはり議論に先立ちまして問題意識を両局長から御開陳いただいたほうがいいと思いますので、ごく簡単に大武さんと石井さんのほうから、主要検討課題につきまして御説明いただきたいと思います。よろしくお願いします。

大武主税局長

それでは、お手許に「総18-8」という1枚紙、『平成14年度税制改正における主要検討項目』というのを置かさせていただきました。これは一応事務局として整理したものでございます。

まず、検討に当たっての視点でございますが、これまでも税制全般にわたる見直しを進めてきているわけですが、ここ数年は特に深刻な経済状況を背景といたしまして、平成11年度に恒久的減税を行うなど、景気への配慮を最優先した。その結果、ただいま調査課長が御説明しましたように、わが国の租税負担率は主要先進国中最も低く、かつ、各主要税目ともかなり低い水準になり、公的サービスの財源調達機能という点では、極めて不十分になってきている。そういう意味では、近い将来、税制全般にわたる抜本的な改革が必要になっていくのではないかと思っているわけです。

わが国の経済状況は、先ほど内閣府から説明がありましたとおり、厳しい状況にございます。そして、先行き懸念も強まっている。そういう状況の変化に細心の注意を払いながらも、ただいま申した中長期的な視点に立って、いわゆる構造改革を積極的に推進していく必要がある。

そうした中で、財政状況のほうは、これも主計局が御説明しましたとおり、極めて巨額な赤字を抱えていまして、財政改革に取り組む必要があって、14年度予算は財政面における抜本的構造改革の第一歩として、国債発行額を30兆円以下に抑えるということを目標とするとともに、歳出歳入両面の思い切った見直しに取り組むというスタンスに立っているわけでございます。

そこで、基本的考え方といたしましては、14年度税制改正に当たっては、やはり国債発行額30兆円以下という方針のもとに、14年度の税制改正全体では減収にならないようにするということが必要なのではないだろうかと思います。また、先ほど大臣も申しましたとおり、経済社会の構造改革に税制面でも適切に対応するとともに、近い将来、税制全般にわたる見直しが必要なことを踏まえて、今後のあるべき税制の姿を見据えた改正にしていく必要があるということかと思っております。

まず、法人課税でございますが、国税の部分ということで、連結納税制度につきましては、10月16日の総会で、法人小委から「連結納税制度の基本的考え方」をお取りまとめいただいたわけでございまして、今後はこれに基づいて実務的な作業を進めていくということになっているわけです。

連結納税制度の導入に伴います税収減、これは主税局の試算でいいますと、約8,000億円というような減収が予想されるということで、これへの対応につきましては、やはり先ほども申し上げた国債発行30兆円以下という方針のもとでは、やはりそうした財政需要を踏まえて検討をしていく必要があるということかと思います。ただ、いずれにしましても、この連結納税制度は、法人税法を約2.5倍にするような大改正でございまして、実は実務上大変難しい問題も抱えているという状況でございます。

それから、中小企業に係る政策税制ということにつきまして、これは法人税の中小企業に係る政策税制につきまして、いろいろな御意見が出ているわけですが、その下に出ております租税特別措置の整理合理化との関係もあり、真に有効な措置について、やはり限定的に考える必要がある。しかもその場合、先ほど調査課長も御説明したとおり、法人の約7割が赤字である。政策減税の効果がかなり限定的であるということも御留意いただく必要があるのかと思っております。

租税特別措置等の整理合理化は、先ほども大臣が特に御発言させていただきましたとおり、この場や基礎問題小委員会等でも御議論いただいてまいりましたけど、やはり公平・中立・簡素、租税の原則の観点から、また、経済構造改革の一環として、租税特別措置の見直しについて、基本的考え方を整理いただけたらと思う次第であります。

それから、続きまして金融・証券関係税制でございますが、これも金融小委員会で先般御意見を取りまとめていただき、この場でも御議論いただいた株式譲渡益課税につきまして、現在、改正法案が衆議院は通過いたしまして、現在、参議院において審議を始めるという段階でございますが、年度答申においては、これまでの御議論も踏まえ、改正の経緯、考え方についても整理していただく必要があるかと思っています。

金融小委員会では、この取りまとめのあと、貯蓄優遇税制と投資信託に係る税制について議論していただいているわけですが、特に貯蓄優遇税制については、貯蓄優遇から投資優遇への金融のあり方の切り替えの方針に加えまして、先ほど申しました租税特別措置の聖域なき見直しという方針も踏まえて検討していく必要があるのかと思います。

それから、続いて資産課税でございますが、まず相続税に関しては、特定の資産保有の誘導の観点ですとか、事業承継という問題でいろいろ意見が出てきているわけでございますが、これまでの御答申における御指摘などを踏まえまして、相続税を政策手段として活用することの妥当性、あるいはこれまで講じてきた措置との関連も含めて検討をいただく必要があるのかと思っております。

それから、贈与税に関しては、上場株式に係る贈与税の特例措置などの御意見が出ているわけですが、相続税のあり方と密接に関連する問題でもあり、あわせて検討する必要があるかと思っております。

それから、土地税制に関しては、資産デフレ対策の一環として、譲渡益課税や流通税について種々の御意見が出されておりますけど、地価の推移あるいは各種控除により、この課税ベースが極めて狭められているというような現状も踏まえまして、費用対効果など広い範囲からの御議論をいただければと思っている次第であります。

それから、酒税につきましては、先般の中期答申及び昨年の13年度答申におきまして、ビールや果実酒などの醸造酒を中心に、生産、消費の動向にかなりの変化が見られることから、やはり同種同等のものには同様の負担を求めるという消費課税の基本原則に照らして、その課税のあり方について検討する必要があるという御指摘をいただいているわけで、こうした御答申も踏まえて、さらに今年も検討する必要があると思っている次第であります。

「その他」と書かせていただきました。これは必ずしも14年度改正ということにすぐなるかどうかわかりませんけども、納税者番号制度あるいは環境に対する税制面での対応、国際課税あるいは電子申告というようなものにつきましても、御議論をいただけたらと思う次第です。

以上、とりあえず、これは国税についてでございますが、事務局として、平成14年度、税制改正に関する答申に向けた審議において、検討いただきたい項目を説明させていただいた次第でございます。

石会長

ありがとうございました。

では、石井さんのほうから、地方税に関しまして。

石井自治税務局長

地方税関係の年度改正の検討項目について、御説明申し上げたいと思います。

いま、大武局長からお話があった同じペーパーで御説明申し上げたいと思いますが、まず、検討に当たっての視点でございますけれども、先ほど総務省の自治財政局からも御説明申し上げましたけれども、国家財政も大変でございますが、現下の地方財政も大変厳しい状況にございまして、先ほど来お話がありましたように、特にこの3年は、通常収支で毎年10兆円不足、それから、恒久的減税も含めますと、毎年13兆円から14兆円の不足というようなことが続いておるわけでございます。

そこで、国のほうも大変なのですけれども、国・地方を通ずる行政の構造改革が必要だと。これはまさに総理の方針でもありますので、その中で民間にできることは民間に、それから、地方にできることは地方にと、総理も非常に強く構造改革、その柱としての地方分権というふうにおっしゃっておりますので、こうした考え方を受けた新しい地方税体系の確立というものを目指していかなければならないと思っております。

この基本的な考え方のところでございますが、そうした趣旨からいいますと、私どもは今後、従来以上に地域住民が負担を分かち合う税制、それから、努力した者が報われる税制、地方分権を支える安定した税制といった3つの観点からこの地方税制に取り組んでまいりたいと思っております。特に負担の公平ですとか、受益と負担の関係の明確化ということをポイントに考えておりまして、昨年の政府税調中期答申でもおまとめいただきましたように、そのためには自主財源である地方税を拡充していく。それから、国からの補助金でありますとか、地方交付税でありますとか、そのような依存財源への依存度を縮減していくといった大きな方向を目指していきたいと考えているわけでございます。もとよりその際には、偏在度の少ない税収の安定性を備えた地方税体系の確立が必要だと思っております。

いま大武局長からもお話がありましたように、いずれそう遠くない将来に税制全般についての見直し、改革が必要になるということになるのではないかと私ども思っておりますけれども、そういったこととの関連にも留意しながら、この国から地方への税源移譲も含めた国・地方の税財源配分の見直しといったことにも取り組んでまいりたいと思っております。

各論でございますけれども、ここにありますまず法人課税で申しますと、連結納税制度につきましては、先ほど大武局長からお話があったとおりでありますけれども、地方税につきましては、幸い、経済界また金融小委員会での御審議でも御理解をいただける方向になっていますが、地方税は単体課税ということを基本にして対応してまいりたいと思っております。

それから、外形標準課税の問題ですけれども、昨年末のこの当調査会の答申で、「地方税としては望ましい方向の改革である。引き続き各方面の意見を聞きながら、早期導入を図ることが適当」という御答申をいただいたところでございますし、それから、今年に入りまして、去る6月のいわゆる「骨太の方針」で、やはり中小法人への取り扱いでございますとか、雇用の配慮とかいろいろなこともございますが、関係方面の意見を聞きながら導入を図るというふうに閣議決定をしていただきまして、外形課税導入につきましては、先ほど石会長からもお話がございましたように、政府としての方針は固まったところでございます。

こういった経緯からしますと、私どもはまず、いろいろな御意見がございますので、昨年、中期答申で大きな骨格を決めていただいた加算型の付加価値を中心とする外形標準課税の仕組みというのは、非常にいいのではないかといまでも思っておりますけれども、いろいろな御意見がございますので、そういった御意見も踏まえて、どういう形にしたら一番関係方面の御理解が得られるかといったような観点から、いまいろいろと検討を深めております。幸いにして総務省としての成案が得られましたならば、この当調査会においても御審議を賜りたいと思っておりますので、その際にはよろしくお願いを申し上げたいと思っております。

それから、租税特別措置の整理合理化の問題ですけれども、国税と共通の問題が多いのですけれども、先ほども会長のお話にもございました社会保険診療報酬の所得計算の特例の問題ですとか、地方税独自の課題もございます。長い長いいろいろな経緯がございまして、残された課題がまだかなりあるわけでございますが、小泉内閣の方針、聖域なき見直しをするということでありますので、しっかり取り組んでまいりたいと思いますので、またこの当調査会でもお取り上げいただいて、御議論を賜ればありがたいと思っております。

それから、金融・証券関係税制ですけれども、ただいま大武局長からお話がありましたように、株式譲渡益課税については、金融小委員会を中心に大変貴重な御審議をいただいて、大変ありがとうございました。おかげをもちまして、申告分離課税への一本化の前倒しということが結論を政府与党として出していただき、地方税改正法案につきましても、現在、衆議院を通過しまして、参議院で今日あたりから議論をしていくということになっております。

今後、さらにこの関連で貯蓄優遇から投資優遇へという方向が出ておりますので、関連のいろいろな問題があると思いますけれども、私どもは地方税の充実確保が緊急な課題だという視点から、しっかり取り組んでまいりたいと思っております。

それから、資産課税につきましては、今回、固定資産税については本格的な議論にならないと思いますけれども、平成6年の評価替えのときから、地価公示価格の7割評価というのがおかげさまで大分定着してまいりました。なお税負担の均衡化、適正化というようなことをさらに進めろという方向がかねてから政府税調でも出していただいておりますので、鋭意その方向に沿っていま取り組んでおります。この方針で今後とも進みたいと思います。

また、あわせまして固定資産税の負担については、やはり非常に国民の皆さん関心が深いものでありますので、情報公開の面でもさらに一歩進めたいということで、地方税法の改正等も検討しておりますので、また当調査会においても御議論を賜ればと思っております。

それから、不動産関連税制、ほかに不動産取得税ですとか、事業所税の問題とかいろいろあるのですけれども、これも現下の非常に厳しい地方財政、しかし、一方で都市再生ですとかいろいろなことが課題になっておりますので、そういった当面する様々な課題を、さっき申し上げましたように、一方で地方税の充実確保が非常に緊要な課題だということも踏まえながら、私どもとしては取り組んでいきたいと思いますが、政府税調の場でもいろいろと御審議を賜ればありがたいと思っております。

それから、そのほかの問題として、いくつか主税局長からもお話が出ましたけれども、環境関連税制の問題について申しますと、昨年の中期答申で、税制面での対応を行う場合には、地方団体が地球温暖化対策等を含め幅広く環境保全対策を行っていることですとか、あるいはPPP原則に沿った応益課税、マイナスの応益課税という面もありますので、これは私どもとしますと、地方の環境関連税制としても取り組むという面があると思っておりますので、いろいろ研究会等も設けておりますが、これはいますぐということにならないかと思いますが、当調査会においても御議論賜ればと思っております。

なお、納税者番号、電子申告については、これは財務省と同じようなスタンスでおりますので、ひとつよろしくお願い申し上げます。

以上でございます。

石会長

ありがとうございました。

盛りだくさんの御報告をいただきまして、いささか疲れましたな。これから議論をしたいと思いますが、20分から30分取りたいと思います。

その前にちょっとアナウンスを。笹森さんから書面で意見が来ておりますので、勤労者の立場からの意見としてぜひとも御配慮いただきたいという点が書いてございますので、あとでご覧いただけたらと思います。

それから、お手許の資料の山の中に、白表紙で『平成14年度税制改正要望綴』というのがございまして、これは各省庁からのいろいろな税制要望が来ております。それから、資料には積んでございませんが、各種団体からの税調宛の要望書が、私まだ見ていないのですが、入り口のところで閲覧できるようになっておるので、ちょっと早めに来たとき、あるいはお帰りの節、ちょっと見ていただきたいと考えております。

それでは、いまから来年度税制改正の本格的な審議を始めたいと思いますので、いま両局長のお話、あるいは調査課長の法人税、所得税の現状分析等々につきまして、いろいろ御議論があろうと思いますので、時間も限られておりますが、議論をしましょう。どうぞ、どなたからでも結構でございます。御発言ください。

津田委員

前座を務めます。この主要検討項目に載っていないのですが、例のパート問題ですね。年末になると言われるのですが、税制調査会ではかねてから扶養控除を入れる仕組みにしたものだから、こっちは大体解決済みだよと言っておるのですが、正直言って社会保険料の問題、企業の家族手当ですか、そういうような問題が大きいのでしょうけど、やはり景気対策、雇用対策としては一番重要な時期なので、これをうまく解決すれば、雇用対策の1つのテーマになるのではないか。という意味で各省と精力的に、その辺は本当の問題はどうなのだと、それに応じてまた税制面での対応の仕方というのがあるのかどうか、この際、積極的に詰めていただきたい。これは石会長にもお願いしなければだめだと思いますが、ここの問題だけではなくて、政府全体として取り組んでもらいたいということです。

それから、もう一つ、外形課税の問題ですが、これはもう現在の経済情勢から無理だと頭から考えるのではなくて、先ほど説明がありましたように、ほんの一部の企業に税負担をかぶせておる現状から、もっと広く受益との関係で負担をしていただいて、活力ある、成長力のある企業の税負担を軽減する1つの方策で、むしろこれによって事業展開を積極的にしていただいて、現在の経済情勢を打開する牽引力になるというような意義を考えて、積極的に取り組むべきではないかと、こういう主張でございます。

石会長

ありがとうございました。特に前段のパート減税は、所得税の控除問題とも絡んでいますので、積極的に議論する時期かもしれませんね。

貝原委員

関連いたしまして、法人事業税の外形標準課税の問題ですが、前回、総会に欠席いたしましたので、この問題を検討課題として御議論いただくように書面でお願いをいたしましたところ、先ほど会長から、基礎問題小委員会で御議論いただいたということをお伺いいたしまして、感謝申し上げる次第であります。

この問題については、いま津田委員からも意見陳述がありました。私は本日は内容についてとやかく申し上げるつもりはございませんが、先ほどの小委員会の報告では、昨年と同じような導入の時期についての認識だという趣旨の御意見をお伺いしましたけれども、先ほど小坂総務副大臣もかなり強い早期導入についての決意の表明もありましたし、また、石井局長から、現在、新しくいろいろな意見を聞いた対応案を検討中であるということもお伺いいたしましたので、この外形標準課税について、昨年末の答申以降の政府の対応等の状況を御報告いただきながら、ぜひ議論として取り上げていただきますようにお願い申し上げます。

石会長

わかりました。ほかにございますか。

松田特別委員

増減税中立におさめるというのは、なかなか今年度の場合は難しいような気がします。特に私は連結納税の付加税は反対ですので、そうすると8,000億円減収が立ってしまう。そうすると、やはり減収額が大きくなりますので、どこかで穴埋めしなければならないと。隣に水野さんがいるので言いづらいのですけれども、たばこ、それから、酒税も発泡酒だけというみみっちいことを言わないで、酒全部増税。日本がもっと苦しくなって、仮にIMF管理というようなことになったら、真っ先にやられるのがそういう嗜好品課税ですので、IMFに先手を打って、そういう嗜好品のところで増税をして、節度があるところも見せておくというのが、国際の信任を維持する上でも一助になるのではないかと考えますので、酒、たばこは思い切って増税ということを検討したらいかがでしょうか。

石会長

そうすると、トータルで見て、やはり減税幅が大きいんですね、松田さんの御意見では。

松田特別委員

そうですね。

石会長

そういうことですね。わかりました。確認です。

河野特別委員

大武局長が言われた、来年度あたりから政府税調も、ここのところ数年間いろいろな理由があって大減税の積み重ねできて、税制上の措置によって減収になったという側面が、景気等の関連で減少したということももちろんありますけど、大きいんですよね。そろそろ先々のことを考えてみれば、この辺でかんぬきを入れなければ、いつまでたっても税制改正論議というのはずるずるいくと思うんですよ。だから私は、税制改正で減収が立つのだったら、今度は税制改正でまたそれを直さなければいけない、ぐらいのことは腹を決めないと、一般世間に向かって調子のいいことばかり言っているわけにいかない、いまの世の中、と思うんです、まず第一に。

ただ、郵便局の定額の満期が来て、ずいぶん落ちますよね。さっきの説明だと2兆円ぐらい落ちるのかな。それはもう別の話で、2兆円落っこちた分まで増税をやろうなんていう話はできっこないから、それは別の話で、税制改正で、理由はそれぞれあるわけですよ、改正で減税額を言うときには。それはそれでわかるのだったらば、別のところで補うようなことを腹を決めてやるというしかないと思うんですね。

一番でかいのは、ここのところ明らかなんだけれども、連結納税制度で-8,000というのが、この数字が正しいかどうか知らないけども、仮に近いとして、これは一番大物です。ほかに、今日財務大臣が来られたけれども、大臣も個別には政策減税をやったらどうだということを言っていらっしゃいますからね、大臣自らが。これまた税収がマイナスですよね。大臣の言うことが正しいかどうか知らないけれども、とにかく相当の減収が、8,000プラス何がしかができ上がることは覚悟しておいたほうがいいような気がするんですよ。

それで、どうするかという話になると、例えば私はたばことビールというのは多少たしなむ程度の話であって、がぶがぶ飲んだり、がぶがぶ吸ったりするあれじゃないんですけど、笹森氏のペーパーにも書いてあったけども、庶民のささやかな喜びを何とかというセリフは、よくマスコミは使うし、僕らもいままで便利だから使ってきたけど、たばこなんていうのは上げてもいいんですよ。水野さんに怒られるかもしれないけど、仕方ないんだ、この話は。どう使うかが問題だけどね、そこはね。

お酒は、まあこれは庶民の楽しみに近いかもしれないけども、それだっていつまでもそのセリフで言っていれば、未来永劫上がらないんだ、この話は。

もう一つは、マル優で老人マル優というのもあるし、それから、生損保のやつもあって、これも十数年間言い続けて、ぴたりとも全然動かないというテーマの1つです。言うこともあほらしいぐらいの話だけども、今回はそのことについても、非難ごうごうとなるかもしれないけど、減税をやったら非難は来ないけど、増税をちょっとでもやれば非難が来ますから、そんなこと覚悟するしかない、と私は長い長い税調生活の中でいつも思います。あまりにもいままで調子いいことを言いすぎたという気がします。

石会長

いやぁ、決意表明が出てきましたな。

水野(勝)委員

14年度改正についての基本的なスタンスとしては、先ほど両局長さんからお話がありましたように、いずれ近い時期に税制について抜本的な見直しの必要が出てくるであろうと予想される。そうした基本的な改正のじゃまにならないような改正をしておくということが、これはネガティブな観点からの留意点だと思いますけれども、あるいはそうした抜本的な改正の前にしておくべきことがあれば、できるだけ片付けておく。そういうことではないかと思うわけでございます。

そうした環境整備をした上で、先ほど御説明のあった所得税課税なり法人課税なり消費課税の問題に入っていくということではないかと思うわけでございます。そうした観点から立ちました場合、この整理されたリストによって申し上げれば、連結納税制度、こうしたものはやはり今年の段階で極力片をつける、整備しておく必要があるのではないかと思うわけでございます。

先般のいろいろな報道等を見ますと、例えば、連結制度の入る前の欠損金はカウントしないとか、退職給与引当金の見直しとか、その他諸々の租税特別措置によって、大体8,000億円が対応できるのではないかというふうな記事も出ていました。そうしたいろいろな面から御努力をいただいて、円滑に発足できるように御尽力が願えればありがたいと思うわけでございます。

外形の問題もそうだと思います。抜本的な改革に入りますと、それとの関連でまたいろいろな複雑な問題が起こってくる。極力早い時期に整備がされることが望ましいと思うわけでございます。

資産課税についていえば、こういう時期にいろいろな観点から、また相続税なり贈与税に基本的な部分に触れるような減税等が行われることは、極力避けておくべきではないかと思うわけでございます。

それに関連して先ほどお話のあった社会保険診療報酬の事業税の関連も、基本的な改正の前に整理しておく必要があるのではないかと思うわけでございます。

それから、もう一つ、ここにございませんけれども、いまいろいろ御指摘のあったたばこの問題でございますが、これは去年の中期答申と申しますか、長期答申に方向がはっきり打ち出されているわけでございます。こうした嗜好品課税、負担水準を随時見直して、適正な負担のあり方を確保すべきであるというのがこの答申に書かれております。そうした意味がありまして、平成10年度に、10数年間、昭和61年以来の改正として、1本1円の増税が3年前に行われたわけでございます。その間に負担水準が3%ぐらい下がってきた。それを回復するために10年に改正が行われて、その後、デフレ的な物価動向でございますので、負担水準はほとんど変わっていないわけでございまして、その検討時期にはまだ来ていないというのが現実であろうかと思います。

そして、この答申の基本的なスタンスとしては、そうした小売価格に占める税負担割合の状況、それが1点。それはいま申し上げました。もう一つ、たばこの消費動向、これは3年前の増税によりまして、大体100億本から200億本ぐらい減って、5、6%減っている。こうした消費動向でございますので、その時期ではなかろう。さらには、「財政状況などを」というふうに答申に書かれております。

こうした点からいきますと、現在は構造改革を踏まえての基本的な立場に立っての財政改革とまではいきませんが、予算編成を控えておる。そうしたときに、たばこであれ、酒であれ、増税ありきというもので、こういうものがありますよということを掲げていくということは、かえってそうした抜本的な構造改革に資するための諸々の制度見直しに、むしろマイナスになるのではないかと考えられるわけでございます。いずれにしましても、去年の9月の中期的な答申で方向が示されておりまして、その方向に沿って3年前に見直しが行われているのでございますので、現在はどうもその検討の時点ではないのではないかと考える次第でございます。

石会長

あと森下さんの手が挙がっていましたね。ほかに御発言の御希望の方は何名いらっしゃいますか。中里さんに津さんに和田さんですね。お三方でよろしいですね。ではその順番でいきましょう。

森下委員

先ほどの水野委員と話が重複するかもわかりませんけれども、連結納税制度のことでございますが、冒頭に石会長から、前回の総会の審議に沿って、あと実務的に税収減をどう詰めるかということでいきたいというお話がございました。それについていま水野委員もお話があったわけですが、その後の我々の経済界も詰めておりますのは、税収減については、1つは累損を持った子会社のほうは持ち込まないというふうなことで、おおよそ1,500億円ぐらいそれで落ち込みが少なくなるということと、それから、法人税全般の見直しの中で課税ベースを見直していくということで、大きいのは退職給与引当金、これを年額で大体4,000億円ありますので、それでいきますと5,500億円ぐらいであると。あと租特のところで見直していこうというところで、租特もいきますと、今度は中小企業の問題が出てきますので、その論議をしますと、またちょっと長引きますので、少なくとも中小企業のほうはいらわずして、最悪の場合、大企業の分類だけでも拾い出していくらか出てくるということで、大体5,500億円から6,000億円近いものが出てくるのではないか。8,000億円という根拠の問題と、それをどう詰めるかというのは、その辺が実務的に詰めていただくということになるのではないかということで、我々のほうもできるだけ税収減を何かの方法で埋めていって、今回の連結納税制度をぜひ導入をさせていただきたい。最後になって連結付加税が突如出てくるということだけは避けていきたいというような思いでございますので、あえて御意見とお願いを申し上げておきたいと思います。

石会長

前段の努力が一層重要だということですね。

では、時間がなくなってきましたので、手短に。

中里特別委員

財政状態が厳しい中で、30兆円の国債のどうのこうのというのが議論されているわけですが、今後、将来的に国債の消化等について、本当に金融機関に割り当てるというか、引き受けていただくということは、継続できるかどうか不安もあるわけでして、租税特別措置法8条の指定金融機関に対して、利子を払う際の源泉徴収の免除という規定があるわけですが、どこまで有効かどうか私わかりませんが、これを一部の事業会社に拡大して、例えば納税者番号制度等を事業会社等に振って、それを満たした場合には、別途厳しい手続的要件を課してもいいのですけれども、源泉徴収を限定的に免除するというようなことも考えていいのではないかという気がいたしております。情報を提供して、あとで申告を適正にする者に対して、かなり厳しい要件はもちろん要ると思いますが、納税者番号を振って、源徴を限定的に免除するということでもしませんと、国債の将来的な消化について、多少の不安があるということです。

他方で、外国法人の日本支店に対しては、わりと簡易な手続で全面的に源徴を免除してしまっているということとのアンバランス等もございますので、これは考えてもいいのではないかという気がいたします。

石会長

それは金融小委で一回改めてまた御提案いただいて、そこで議論するのがいいと思いますし、限定的納番の御提案ですよね。

津委員

検討の仕方について少し。ここ数年ここに出ていて、抜本的税制改正というのはよく言われていることなんですけれども、なかなかここ数年は経済状況、政策減税なんかがあって、身動きとれない状態というか、そういう状況が続いているかと思うんですね。

先ほど大武局長のほうから、14年度以降の問題点として、例えば環境税とか国際課税の問題とか電商取引とか、そういう問題も踏まえてというようなお話があったのですけれども、これから討議していくと、毎年いつも思うのですけども、この14年度の税制改正ですよね。でもその中で待ったなしのものと、いま触れないものと、いまのうちにちゃんと考えておかなければいけないものというのは、どうも私は素人ですので、頭の中でごっちゃになるんですね。ですから、その辺のところをもし事務局のほうにそういうお願いができるとすれば、とにかくいまできそうなもの、できそうなものというのはその方によってずいぶん違うのですけど、できそうなものとか、いまはとても触れないとか、でもいまここをやっておかなければいけないというようなものを、何かペーパーにしていただけると、考えていく上でとてもありがたいなというような気がしております。

石会長

ありがとうございました。それはいずれ議論の中で自ずからにじみ出てくる話かとは思いますが、事前に何か優先度ですか、そういうような議論も事務局のほうでお考えがあれば、お出しいただくことにしましょう。

和田特別委員

前回ちょっと欠席しまして、その前でしたか、高齢者の経済状況のこともちょっと発言いたしました。今日の「総18-1」という資料に、高齢者のがいろいろ出ているのですが、15ページの年間所得、そこのところがたまたまとびまして、16ページの貯蓄の分布というところが御説明があったんです。ぜひ15ページのほうの高齢者世帯の年間所得の分布、そこのところも十分に見た上でいろいろ考えていかなければならない。これで簡単に見ましても、国民生活基礎調査、今日はちょっと資料を持ってこなかったんですけど、たしか中央値が230何万円だったと思うのです。それで、約50%以下の人がそこに入っている。230万か40万のところに50%以下の人が入っていたと、私の記憶ではそんなふうに覚えております。

そういう実態を踏まえて、例えば60歳、65歳から、いま長寿になっていますので、そこまでいくら生活費が要るかという計算を簡単にしましても、ここに16ページの貯蓄の分布というところの、大体全世帯から思えば確かに高くはなっていますけれども、年間所得の分布を見ますと、これくらい持っていなかったら、とてもじゃないけれど不安で生活していられない。決して所得で十分毎月のものは賄っていけて、その上にこれだけの預貯金を持っているというわけではないのだというところを、十分に考えていかなければいけないと考えております。

それに関連して、先ほどからお話の出ています租税特別措置の例えば老人マル優の問題なんていうのも、その辺も考えた上で十分に慎重に考えていく必要があると思います。

それから、生損保の控除につきましても、確かに長いこと議論を重ねてきてはおりますけれども、これだけ、いつも申しますけれども、自助努力というものが強調されている中で、どういうふうに考えていくかというのは、やはり考える必要があるのではないかなと思っております。

それから、発泡酒につきましては、たしか去年私は、「反対まではしないけど、取りやすいところから取るんですね」という言い方をした覚えがあるのですが、あえて反対まではいたしません。たしか発泡酒につきましては、近々各主要メーカーが全部そろうそうですから、あえて反対はいたしません。たばこについても同様に感じております。

それから、先ほど会長のお話の中で、消費税について内税というお話がちらっと出ましたけれども……

石会長

という意見があったと紹介したんです。

和田特別委員

わかりました。去年の中期答申のところでも申しましたけど、トータルでいくらになるかということの表示は、それはそれである意味で必要かもしれませんけれど、やはり税額がいくらなのかというのは、わかるほうが、税というのは別に消費税の痛みだけではありませんで、例えば給与所得者の方たちが、いつでも最後のところしかわからないんだというようなことをおっしゃるのも、それについてはあまり望ましいことではないという話がしょっちゅう出ていますわけで、消費税だけではなくて、ほかの税額もわからないものがたくさんありますから、決して消費税だけがわからなくなるのが困ると言っているわけではありませんが、やはり税額というのははっきりわかって、自分がいくら負担しているのだというのは、自覚できるほうが望ましいと感じております。

以上です。

石会長

重要な御指摘をいくつかいただきました。ありがとうございました。今後の議論に生かしていきたいと思います。

それでは、時間も数分過ぎてしまいましたので、あとちょっと次回以降のアナウンスをさせていただいて閉会にしたいと思います。

今日をもって総会で来年度税制改正の議論を始めたわけでありますが、あと起草委員会がこれから開かれます。そこで、起草と総会と 行ったり来たりしますが、いまのところ総会は、来週27日、12月4日、12月11日と1週間おきに火曜日を使って、午後2時から、事務局の資料によると5時までやってくれということでありますから、例年でありますが、2時間では多分足らないだろうと思いますので、予め3時間を御予定いただきたいと考えております。今回はかなり回数を減らして、そのかわり1回ごとの時間を増やそうというスタイルで来ておりますので、そういう形にならざるを得ないと思います。後日また正式に御案内を差し上げたいと思います。いろいろな審議の仕方、あるいはまとめ方等々については、また冒頭皆さんの御意見を聞き、少し新しい方法も入れたいと考えております。

それでは、長時間になりました。どうもありがとうございました。今日はこれにて散会いたしたいと思います。

〔閉会〕

(注)

本議事録は毎回の総会後、速やかな公表に努め、限られた時間内にとりまとめるため速記録から、財務省主税局及び総務省自治税務局の文責において作成した資料です。

内容には正確を期していますが、税制調査会議事規則に基づき、事後の修正の可能性があることをご承知置きください。