第54回総会 議事録

平成12年7月14日開催

加藤会長

ただいまから、第54回総会を開会いたします。

本日は、「中期答申」の最終的なとりまとめをお願いしたいと思います。

まず、宮澤大蔵大臣と中谷自治総括政務次官にご出席をいただいておりますので、御挨拶をいただきたいと思います。

それでは、宮澤大蔵大臣、よろしくお願いいたします。

宮澤大蔵大臣

税制調査会第54回総会が開催されるに当たりまして、一言御挨拶を申し上げます。

税制調査会の委員の皆様におかれましては、平成9年5月に、内閣総理大臣から、「21世紀へ向けて、わが国経済社会の構造変化や諸改革に対応した、望ましい税制のあり方について審議を求める」との諮問を受け、これまで精力的に御審議を進めていただきましたことに対し、厚く御礼申し上げます。

本日は、その成果として、「わが国税制の現状と課題-21世紀に向けた国民の参加と選択-」と題する「中期答申」をおとりまとめいただく運びであると承っております。

21世紀の経済社会を展望すれば、近い将来、税制全般についての抜本的な見直しは避けられないと存じます。今後の税制のあり方については、国民一人一人が論議に参加し、責任ある選択を行っていくことが何より重要であります。本答申では、このような国民の「参加と選択」の重要性を説くとともに、その際に必要となる判断材料を、租税の役割といった基礎的な部分から、各税目の検討課題に至るまで、幅広く、かつ、わかりやすく提供していただいていると伺っております。

この答申により、税制についての国民の理解が一層深まることを期待いたしますとともに、政府としましては、この答申を、今後の税制を検討する上での指針とさせていただきたいと考えます。

最後になりましたが、加藤会長をはじめ委員の皆様方の多大なる御尽力に改めて厚く御礼申し上げまして、私の挨拶とさせていただきます。

長い間、ありがとうございました。

加藤会長

どうもありがとうございました。引き続きまして、中谷自治総括政務次官、よろしくお願いします。

中谷自治総括政務次官

委員の皆様方におかれましては、長期にわたりまして、地方税の関係につきましても熱心に御審議を賜りまして、まことにありがとうございます。いま、地方分権というふうに言われておりますけれども、地方分権を実のあるものにするためには、国と地方の関係を整理しなければなりません。地方の自立的な行財政の運営、地域住民の参加・参画、課税自主権の活用など、税の面からの変革、その仕組み自体の議論が必要でございます。

今回、地方税関係では、地方分権の進展のもとでの地方税のあり方、国と地方の税源配分の見直し、税源の偏在が少なく税収が安定した個人住民税、地方消費税、固定資産税、そして全国知事会から要望されています法人事業税への外形標準課税の早期導入などにつきまして、幅広い観点から御審議をいただきまして、適切な御答申をお示しいただけると思っております。心から厚く御礼申し上げます。

自治省といたしましては、本日の答申の趣旨を十分尊重いたしまして、今後の制度の改正に取り組んでまいる所存でございます。

加藤会長、松本会長代理、石小委員長をはじめ委員の皆様方の多大な御尽力に対して、心から厚く御礼申し上げまして、挨拶とさせていただきます。どうもありがとうございました。

加藤会長

どうもありがとうございました。

ここで、御都合がございますので、退席されます。御了解をいただきたいと思います。大臣、次官には、大変お忙しいところをありがとうございました。

〔大蔵大臣・自治総括政務次官退席〕

加藤会長

それでは、答申案の審議に入ります。

皆様方のお手元に、本日、皆様方に御審議いただく案ができ上がっております。これは、我々の考えてきたこと、いままで税制調査会で論じたことなどを含めて整理をしようということが一つの基本になっておりますので、大変分厚いものとなっております。石さんの御助言で、なるべく立つくらいに厚いものにつくれ、こういうお話でございました。ことしはタツ年でございますから、大変いいのではないかということで、こういう分厚いものになりました。

まず、答申の題名でございます。表題につきましては、いろいろといい御意見がたくさん出されたわけでございますが、結果的には、「わが国税制の現状と課題-21世紀に向けた国民の参加と選択-」という題名にしてはいかがか、と考えております。

この題名につきまして、いろいろな言い方があるのですけれども、新聞などを見ておりますと、まだ最初の段階で、題名がはっきりしていないときに見ますと、「21世紀に向けた」というのが先に出てきていました。そして、「わが国税制の現状と課題」が後ろに来ているのが、大体いままで新聞に出てきている表題でございます。そこでこれを逆にいたしますと、新鮮味が出るのではないかということでございます。

「わが国の税制の現状と課題」ということにつきまして、かた苦しいという御意見もあると思います。しかし、いろいろと見てまいりますと、答申というのはちょっとかたい感じの題名がつきまして、副題でその中身を表現する、こういう方向でございます。私も、結局、今度の答申の中身を言うのには一番いいのではないかという気持ちになりまして、「わが国税制の現状と課題-21世紀に向けた国民の参加と選択-」ということにさせていただこうと思いますが、よろしゅうございましょうか。

〔「異議なし」という声あり〕

加藤会長

ありがとうございました。それでは、こういう題名に決めさせていただきますが、次に、お手元にお配りしております答申案、要約案がございます。12日、水曜日でございますが、起草小委員会におきまして最終的な御審議をいただいたものでございます。

総会は11日・火曜日でございましたが、その11日の総会のときにいろいろな点の御指摘がございました。そういう御指摘を含めまして、事務局からこういう形の文章が出てきたわけでございますが、これを簡単に説明してもらいまして、引き続いて、答申案について最終的な御確認をいただきたい、こんなふうに思っております。

前回の総会からの修正点について、事務局から説明していただきたいと思います。それでは、池田調査課長、武田府県税課長、よろしくお願いいたします。

池田調査課長

それでは、前回総会からの修正点について申し上げます。

所得課税のところで、110ページから始まる「事業所得」に関する記述でございます。修正は112 ページでございまして、上のほうに、個人事業者に関する交際費等の問題についての記述がございましたが、これだけでは不足でありまして、法人形態での経営形態との差異や、それとの中立性等について十分な記述が必要であるという御意見をいただきました。

したがいまして、112 ページの二つ目のパラグラフが新たな記述となっております。もともとは下の「注」にまぎれ込んでおりました部分を、二つ目のパラグラフとして独立させております。

簡単に読ませていただきます。「事業の経営形態については、わが国では、いわゆる『法人成り』が多く見られ、実態が個人企業と異ならない法人が多くなっているのは、役員報酬への給与所得控除の適用などにより、法人形態の方が税負担が軽減されているためではないか、経営形態の選択への中立性にも十分配慮すべきではないかとの意見があります」ということで、以下は、もともと「注」にあった記述を本文に昇格させたということになっております。

以上でございます。

武田府県税課長

続きまして、法人事業税に関する部分の修文を御説明申し上げます。

まず、206 ページを御覧いただきたいと思います。「外形標準課税の意義」のところで、「経済の活性化、経済構造改革の促進に資することが期待できる」という部分でございます。それに対して、そうとばかり言えない、そういう見方もあるのではないか、という御意見がございました。その部分を追加させていただいております。

上から7行目の「なお」のところでございますが、「外形基準の採り方によっては、経済の活性化を妨げるのではないかという意見もありました」という文を追加させていただいております。

続きまして、208 ページでございます。真ん中あたりに「g.」というパラグラフがございます。この中の記述で、事業活動価値の算定の際に、売上高から仕入高を控除する方法によってやることが考えられるのではないか、という意見がございました。この記述につきまして修文いたしておりますので、読ませていただきます。「なお、売上高から仕入高を控除する方法により事業活動によって生み出された価値を算定し、これに基づいて課税する仕組みが外形標準課税として考えられるのではないかとの意見がありました。この方法は、制度的に消費者に負担を求める消費課税とならざるを得ないのではないかと考えられ、企業課税としての法人事業税の外形標準課税に含めて検討することはなじまないものと考えます」という修文でございます。

続きまして、216 ページでございます。「今後の課題」という中で、雇用への配慮について記述した部分でございます。この点に関しまして、雇用への影響に留意することは重要である、その影響を極力少なくするような今後の検討が必要である、ということで修文をいたしております。上から二つ目のパラグラフ、7行目のところからでございますが、「一方、外形基準に給与総額を用いる場合に、雇用に関するコストアップを招き、雇用や給与水準に影響を及ぼすのではないかという点に留意することは、重要であると考えます。外形標準課税の導入に当たっては、雇用への影響を極力少なくするよう十分留意し、具体的な課税の仕組みを検討することが必要であると考えます」という修文でございます。

それから、同じ216 ページの一番下のパラグラフでございます。外形標準課税の導入に当たって、都道府県の取組みの姿勢、法人に対する理解を得るための取組みが重要である、そういうことで修文いたしております。読ませていただきます。「外形標準課税の導入に当たっては、導入に伴う税負担の変動、中小法人等の取扱いなどの諸課題に対応するとともに、課税団体である都道府県が納税者である法人などに対し外形標準課税に関する理解を得るための取組みを一層積極的に進めることが重要であると考えます」という修文でございます。

以上でございます。

加藤会長

ありがとうございました。

いま、事務局から読んでもらいましたように、この前の総会で出ました議論で、一つの強い御意見、あるいは、それに対してそうではないとする意見とか、いろいろな争点がございましたが、それを何とか入れる形で修文させていただきました。この修文につきまして、皆様方、いかがでございましょうか。

いろいろ御不満の点もあるかと思いますが、修文いたします場合の表現の問題でございます。前回の総会で御一任をいただきましたので、修文ということにはなかなか難しくなりましたが、しかし、特に御意見がありました場合は、本日の記者会見の際に、そういう御意見も強くあったということを御紹介したいと思っております。もしございましたら、ひとつ御意見を出していただきたいと思います。

塙委員

いろいろ申し上げた意見を取り上げてこれだけ修文していただきますと、私個人としましては、かなり取り上げられてよかったと思っています。感謝申し上げます。

加藤会長

ありがとうございました。そのほかございませんでしょうか。

それでは、皆様方に長い間にわたる御意見をいろいろいただきまして、検討を重ねてまいりましたが、この答申案、大変幅広い議論が展開されております。私も、いままで税制調査会でやってきたこと、検討すべき問題点などについてはかなり集約することができたのではないか、こんなふうに思っております。

これでもって、「案」という字を取りまして、正式なものとしてもよろしゅうございましょうか。

〔「異議なし」という声あり〕

加藤会長

ありがとうございました。

それでは、この「案」という字を取らせていただきまして、これを決定させていただきます。原案どおりということになりました。

この答申については、後に、「案」をとったもの、本当のものをお送りさせていただきますので、そのときにまた御覧いただきたいと思います。

なお、このあと午後5時ごろでございますけれども、私と松本会長代理とで、官邸におきまして、総理に答申を手交することになっております。

したがって、記事の解禁は総理に答申をお渡しした後になりますので、その点お許しいただきたいと思います。

それでは、この本文については御承認いただいたことにいたしまして、要約版もついております。皆様方御覧になったとおりでございまして、本文を要約した形で書いてあります。それにつきまして、これも長いものでございますから、税制調査会として一体どういうことを言ったのかということで、税制調査会「会長談話」を作成させていただきました。ここで、「会長談話」を皆様方に御覧いただきまして、何か御意見があれば言っていただきたいと思っております。

まず、事務局から読み上げさせていただこうと思います。

〔事務局読み上げ〕

加藤会長

大変拙いものでございますが、少なくとも、この本文がどういうふうにしてつくられているかについて述べたつもりでございます。意を尽くさない点については、私も、記者会見で若干触れていきたいと思っております。

そういうことを念頭に置いて私も申し上げておきたいのでございますが、この答申は言うまでもなく、私どもがこれからの税制を考えていくときに、どういう条件があって、どういう条件のときにこの道を選択できるのか、あるいは、選択できないのかということを、一つ一つ論じてきたのが私どもの趣旨であったと思っております。

そういう点からまいりますと、自画自賛ではございませんけれども、事務局の方々の御努力と先生方のいろいろな御指摘がありまして、いままでの問題点を整理した非常にいいものができたのではないだろうか、こんなふうに私は勝手に解釈しております。皆様方、お読みになりましてどういうふうにお考えになるかは、皆様方の感じでございますけれども、少なくともこれを読みますと、自分が考えている、あるいは21世紀にはこんな税制であったらいいなという選択肢が、私の頭の中には浮かんでまいりました。

その点について若干申し上げたいのでありますが、いま日本では選択肢の一つとしまして、財政問題が大きくなっております。今回の答申は、普通の税制白書に比べますと財政の問題をかなり含んで論じております。その点は、いまの時代に適した一つの税制の問題ではないかと思っております。

なぜならば、もちろん税制改革が一つのきっかけにはなり得ますけれども、税制だけをいくら改革いたしましても、日本経済全体の動きを動かすことはなかなか難しいわけでございます。そういう意味で、財政政策の一環として税制を考えなければならないというのが私の基本的な姿勢でございます。そういうことからまいりますと、いまの混迷している財政に対して私どもは発言することが必要なのではないか、税制から見て少なくともこういうことは言っておかなければいけないのではないかという気持ちがございますので、今度の答申ではかなり財政に踏み込んだ発言をしているように思います。

その点につきまして若干整理させていただきますが、いま、一兎を追うか、二兎を追うか、ということが問題になっております。しかし、いまの情勢を見ますと、一兎も二兎も実は追っていないのでございまして、ただ木の切り株に兎が頭をぶつけて、どこかで獲物がとれないかと考えているのがいまの日本の財政ではないかと思っています。このような態度では日本経済はいよいよ困窮していくと考えています。

そういうことを打破するためにどうしたらいいのか。それは、一兎か二兎かという問題ではなくて、いまやらなければいけない構造改革をやりながら景気を刺激していくことでございます。構造改革というと、いろいろな「構造」という言葉が出てまいります。政府の財政構造、企業の財政内容、産業の構造、経済の構造、いろいろな言葉が使われると思いますけれども、いろいろな言葉が使われる中で、いま日本にとって必要な構造改革は、将来21世紀に一つの主たる産業になることは間違いございませんが、IT革命でございます。IT革命を実現するためにどのように財政は動いていくべきであるか、ということになるかと思います。

これは一つの構造改革でございますけれども、その構造改革をやることによって景気も刺激されてくるわけでございまして、ここで二兎を追うことが可能になるわけです。しかも、日本の国有財産とか、そのほか、ここに書いてありますPFIを実行するとか、そういうことを通じて日本の経済をより活性化することが可能でございますから、これを早期にやることによりましてプライマリー・バランスを達成することがまず必要である。これを達成しないのでは、それから先に進むこともできません。

その意味で、プライマリー・バランスの均衡を私どもは念頭に置いているわけでございますが、そのあとさらに、歳出カットを行い、その歳出カットを行うに当たっては効率化をし、NPM(ニュー・パブリック・マネジメント)を行いながら歳出を検討し、それでもなお日本経済を支えるために、税制がどの程度の協力・支援をすることができるかということを考える。ここに私は、日本のこれからの税制の方向があるように思っております。

このようなことをもし皆様方に御承認いただけますならば、そのような税制はどうあるべきだろうか、これからどんなに税制が変わっていっても、国民がそれを支持して納得できる税制にならなければならないと思っています。

よく新聞記者の方からは、消費税は上げるのですか、上げないのですか、消費税を上げるとすれば一体いつですか、税率はどのくらいですか、という質問がすぐ来るのですが、そうではない。税率を上げるか、上げないか、あるいは現状でいくのか、それはそのときの結果であって、むしろ消費税がみんなに受け入れられて、消費税を通じて私たちが社会を支えていく、そういう力を持つ消費税にしていくために私たちはどうしたらいいか、ということを考えるわけです。上がるか下がるか、あるいは現状でいくのかということは結果であって、消費税をここで上げるだけが目的ではないのです、ということを私は説明しているのでございます。

今回の場合もおそらくマスコミの方は、なぜ消費税を上げると書かないのか、こうおっしゃると思うのです。これは大変うれしいことでございまして、そこまで皆さんが消費税を上げろ、上げろとおっしゃってくださるなら可能でございますけれども、おそらく、「私たちは上げると書いています」、こう申し上げたらば、それでは大変だというので、全国的にショックが走るといって新聞が書くだろうと思うのです。そういうことが実は間違いでございまして、消費税はショックではなくて、当然の納税の義務として私たちが受け入れられる、そういう消費税になっていなければいけないというのが私の考えでございます。

したがって、消費税をやるに当たりましては、単に引上げになるのはいつかという時期を待つ、あるいは、どのくらい上げるのかという量だけを考える、そういう考えではなくて、消費税をみんなが喜んで出そうという気持ちになる、そういう条件整備をしなければいけないと私は考えております。

その条件整備は言うまでもなく、中小特例をどうするか、あるいは価格表示をどうするかということについて、私どもはこの答申でも述べました。やがては複数税率についてはどう考えたらいいのかということまでも論じまして、さらに、目的税ではなくて目的化したほうがいいのだ、ということも書いてまいりました。それは、これからの消費税を考えるときの大きな一つのポイントだと思っておりまして、単なる税率の引上げがどうという問題ではないことをあえて強調させていただきました。

さらに、個人所得税についての私どもの選択は、やはり従来型では無理だろうと思っています。それは個人申告型になるべきではないかと思っています。個人申告型になってまいりますと、課税最低限をどうするかということにつきましても、消費税を含めた全体の税収の中で考えていかなければならない問題であろうかと思っております。法人課税につきましても、ここでもって欧米並み、アメリカよりも低い税率になったわけでありますから、これは一つの大きな前進でございます。

しかし、地方のほうが、まだ法人事業税に頼っていたのでは無理だということで、外形標準課税ということが出てまいりました。外形標準課税についても努力を重ねていただきまして、大変すぐれた理論が展開されたのでございますが、これを実行するに当たりましては、みんなが喜んでやっていくんだという気持ちを持っていただかなければ応益税の資格がございません。

そういうことで、私は、外形標準課税がここで書かれていることはいいと思っておりますが、しかし、外形標準課税をやったところで決して地方財政の悪化を直すことはできません。地方財政の現在の状況は、補助金、そのほか、地方交付税を含めた問題が残されておりますから、これを新たなる局面として取り上げていくべきだろうと考えております。

21世紀の税制は、いま言ったように選択が幾つかございますが、その選択肢を一つ一つ検討し乗り越えていくことによって、望ましい税制体系が確立されるのではないかと考えております。そういうことを念頭に置きまして、税制調査会「会長談話」をつくらせていただいたわけでございますけれども、これを私が十分に説明し切れる能力もございません。したがって、皆様方のお力をかりまして、これからの日本は新しい税制はこういうふうになるのだということを皆様方のお言葉で示していただければ、この答申が生きてくるのではないだろうか、こんなふうに私は思っているわけでございます。

こんなことを申し上げまして、この答申についての税制調査会「会長談話」をつくらせていただいたわけでございますが、何か御忠告がございましたら承りたいと思います。いかがでございましょうか。

それでは、こういうことを記者会見で申し上げることにさせていただこうと思っております。

私どものこの調査会、平成9年の5月に総理から諮問を受けました。以来、延長が1回ございまして、7月31日が終わりでございます。7月31日まで皆様方に大変ご迷惑をおかけすることになりました。御迷惑をおかけしたにもかかわらず、皆様方は、日本の21世紀の扉を開こうという御熱意があり、それを事務局も支えまして、こういう立派なものができたことを私は大変ありがたく思っているわけでございます。皆様方のお力でもってここまで来たことについて、心からお礼を申し上げたいと思っております。

そこで、7月31日に任期満了でございますので、任期満了パーティーというのがあります。従来から、委員の任期末に内閣総理大臣主催によるパーティーを開催していただいております。7月末に任期末を迎えることになりましたので、総理から、7月31日・月曜日、午後6時からパーティーを開催したい旨の御連絡がありました。詳細につきましては、後日、正式な招待状をお届けすると聞いておりますが、皆様方、ぜひ時間を繰り合わせて御出席いただければ大変ありがたいと思っております。

以上、特に御意見ございませんでしょうか。

諸井委員

実は、3年前の税調の任期のときに加藤会長に感謝の言葉を申し上げたのですが、ちょっと茶化したようなこともあって、会長から顰蹙を買ったわけであります。今回は私も最後だと思いますので、まじめに感謝を申し上げたいと思います。

この3年、加藤会長、松本会長代理、石小委員長、非常に熱心に、そして中立・公平に誠実に取り組んでいただいて、業績としてもかなりのものがあったのではないかと思います。所得税や法人税の制度減税のようなものができましたし、土地税制の関係も一応整理ができたわけです。特に今度の「中期答申」で、残った課題についての方向性がかなり示されてきたということで、非常に立派な業績をあげていただいたと思います。それこそ21世紀に向かっての税制の方向を示していただいたということで、心からまじめに感謝を申し上げます。どうもありがとうございました。(拍手)

加藤小委員長

諸井委員さんのお話を伺って、今度は顰蹙いたしません。本当にありがとうございました。諸井さんの御協力も大変多くて、特に地方の問題につきましては自治省に大変頑張っていただきまして、いままで触れていなかったところまで触れて、あえて私たちに協力していただきました。自治省に対してお礼を申し上げます。

もし、よろしいようでございましたら、きょうは、この答申を決定したということでもってここに解散させていただきます。いずれ私自身も皆様方にお礼を申し上げなければいけないのですが、これは7月31日までとっておくことにいたします。それまでは、ここで皆様方にこの会のお礼を申し上げて、解散させていただきます。

本日は、お忙しいところをどうもありがとうございました。

〔午後2時48分閉会〕

(注)

本議事録は毎回の総会後、速やかな公表に努め、限られた時間内にとりまとめるため速記録から、大蔵省主税局及び自治省税務局の文責において作成した資料です。

内容には正確を期していますが、税制調査会議事規則に基づき、事後の修正の可能性があることをご承知置きください。