第50回総会 議事録

平成12年5月30日開催

加藤会長

それでは、ただいまから税制調査会の第50回総会を開催いたします。きょうは最後の総会になりますので、ご議論がいろいろあると思いますから、時間がおそらく12時に終わらないでオーバーするかもしれませんので、お急ぎの方は先にご発言していただければと思っております。

今お手元に一枚紙で総50-1というのが配られておりますが、これは今までどういうことを議論したかという項目だけが挙がっております。きょうはこの中で一番下の四角に囲んであります今回の検討項目、「納税環境整備」と「税務行政」、この2つは実は先週やるつもりだったのですが間に合いませんでしたので、きょうこれをおくらせてやることになりました。そして全体といたしましてこれから中期答申を取りまとめていきたいと思っておりますので、そのために、この2つの説明を受けました後、中期答申では、構造変化が起こっているということを前提にいたしまして、その構造変化に伴った税制はどうしたらいいか、「経済社会の構造変化と税制のあり方」といった総括なテーマについて幅広く議論を行いたいと思っております。

また、以前の総会で「地方税財政のあり方」についてかなり議論が行われましたけれども、やはり総括の最後といたしましてもこれをまとめておきたいと思いますので、自治省から資料の説明を受けまして議論を積み重ねたいと考えております。

最後に、中期答申の取りまとめを前に、委員の皆様方からご自由にご意見をいただく機会が今回が最後でございますので、今後、その取りまとめをどういうふうにしたらいいかということで皆様方にお諮りをしたいと思っております。

初めに、まず事務局から関連の資料に沿って説明をしてもらった後、「納税環境整備」と「税務行政」及び「経済社会の構造変化と税制のあり方」、それから2番目には「地方税財政のあり方」の2つに分けて自由討議を行いたいと思っております。

それでは、事務局から、まず簡単に説明をしていただきたいと思います。田中税制第三課長、池田調査課長、小室企画課長、よろしくお願いいたします。

田中税制第三課長

それでは、資料に沿いましてご説明いたします。お手元の基小20-5「納税環境の整備」という資料でございます。手短にご説明させていただきます。

まず2枚おめくりいただきまして1ページでございますが、「最近における適正な申告水準の維持向上策」ということで書いてございます。「記帳、記録保存関係」が1番でございますけれども、白色の申告者に対する記帳義務、それから「記録保存義務」についての最近の措置が書いてございます。2番が「資料収集」、それからその次にいきまして3番が「不適正申告に対する措置」ということで、加算税の関係、罰則の関係が書いてございます。少し戻りますが、2ページの一番上が最近の措置でございまして、「国外送金等の調書」ということで、金融機関等が取り扱った顧客の国内送金のうち 200万円を超えるものについて税務署長に報告しなければいけない、調書を提出しなければいけないということになってございます。

3ページ以降は今のそれぞれの制度について諸外国との比較をした表でございますが、まず3ページは記帳・帳簿等の保存義務についての比較でございます。特徴的なことは、日本の場合は青色申告の制度がございまして、最終的に記帳だとか保存の義務に違反した場合には、一番大きなサンクションといたしましては青色申告を取り消すということがございます。実際にはあまり行われておりませんけれども、それが大きなサンクションとしてございます。それを回避するために、納税者がきちっと義務を守るという形になっているということでございます。白色につきましては、推計課税を行うということが事実上のサンクションになっているということでございます。ほかの国は、過料ですとか罰則での担保ということになっているようでございます。

それからその次のページが法定資料の内容でございます。もう1ページおめくりいただきまして5ページでございますけれども、いわゆる法定資料の義務づけにつきましては、ドイツのように、ほとんど法定資料の義務づけがないという国もありますし、それからアメリカのように、かなり法定資料が充実している国もありましてばらばらでございますが、例えばアメリカで言いますと、アメリカの欄をごらんいただきますと、国内送金、国外送金ともに、いわゆる金融機関からの、先ほどちょっとご紹介したような、日本でつくったような送金の調書が税務署に提出されるということになっておりますし、あるいは預金口座の開設につきましても、これは税務署に即報告ということではなくて、顧客の納税者番号を書いたものをその銀行の店舗に保存しなければいけないという義務が入ったりしております。

それから7ページ以降がそのアメリカの極めて広範な法定資料の中身でございますが、以前、調査課長のほうからご説明する機会があったと思いますので飛ばさせていただきまして、16ページをお開きいただきたいと思います。

もう一つ、税務署の資料情報として大事なのが、官公署からいろいろな情報を得るということでございますけれども、日本は、この16ページに書いてあります内容を後でじっくりごらんいただきますとわかりますが、極めて官公署等の協力義務が弱いという形になっております。日本の欄をごらんいただきますと、「税務職員は……の調査について必要のあるときは、官公署等に、当該調査に関し参考となるべき簿書及び資料の閲覧又は提供その他の協力を求めることができる」という条文になっておりますが、これが相手方の守秘義務を解除するという意味を持っているかといいますと必ずしもそうではなくて、したがいまして、現場ではこの官公署等の協力を得るというのが難しい場合がかなりあるということでございます。

ほかの国をごらんいただきますと、かなり広範な情報申告義務がほかの官庁に課されている場合とか、あるいは、いわゆる守秘義務を解除するということが明確になっている国がほとんどでございます。

それから17ページは加算税でございます。申告がおくれたり申告が少なかったりする場合の加算税でございますが、これは国によってさまざまでございまして、例えばイギリスのように、追徴税額の範囲内で加算税を課す。特に過少申告加算税、重加算税の区別なく、言ってみれば 100%の加算税があるという国もありますし、また別の国もあるということでございます。

それから18ページが脱税に対します罰則の比較でございますが、これは日本の場合、昭和56年に罰則を強化いたしまして、懲役刑について3年から5年にするという改正を行いまして、大体各国並みになったのかなという感じがいたしております。

それから19ページでございますが、脱税犯に対する判決状況でございます。50年から飛び飛びの比較をしておりますが、少し実刑が増加してきている、あるいは3年以上の懲役刑というものも言い渡されるようになってきているということが見てとれるかと思います。

それから20ページは、裁判になりました際の立証責任でございます。ごらんいただきますと、日本のように、一般的に税務当局に立証責任があるという国、フランスがそうでございます。アメリカ、イギリス、ドイツにつきましては、基本的には納税者側ですが、例えばドイツなんかは、収入については税務当局が立証責任を負い、経費や、あるいは税務上の特典、納税者側に有利なエレメントについては納税者側が立証責任を負うということになっている国もございます。

ただ、これはいわゆる税法の規定だけで、実際に税法の規定だけを考えて立証責任の、実際どこにある、どっちが持っているかということは判断できないわけでありまして、いわゆる判例の中でどういう取り扱いがされているかということにも注意する必要があろうかと思っております。

その判例に当たりますものが23ページ以降。日本の場合、全部税務当局が立証責任を負うということではなくて、一定の場合に納税者側が立証責任を負うのだという判決が出ております。例えば23ページの一番下の平成6年の東京地裁での判決でございますけれども、下線部「更正時には存在しない資料等に基づき、原告が当該支出が必要経費に該当すると主張するときは、原告において経費該当性を合理的に推認させるに足りる程度の具体的立証を行わない限り、当該主張が経費に該当しないとの事実上の推定が働く」というようなことが書いてありますし、似たような判決が前後入ってございます。詳しく説明いたしませんが、後でごらんいただければと思います。

それから、これも時間の関係で説明いたしませんが、26ページ以降に、今ご説明しました納税環境の整備のそれぞれの項目につきまして、過去の中期答申、過去の税調でいただきました答申での記述の内容が書いてございます。

それから税務行政の実態等につきましては、5月16日に基本問題小委におきまして国税庁から説明がありました。きょうは時間の関係で省略いたしますが、関係資料につきましてはお手元に配付されております。

以上でございます。

加藤会長

それでは、池田調査課長、お願いします。

池田調査課長

お手元の説明資料、総50-2をごらんいただきたいと思います。先ほどもご紹介ありましたが、経済社会の構造変化ということで、昨年の秋の総会でもご紹介した資料と重なる部分も多うございますので、なるべく重ならない範囲で手早く説明したいと存じます。それでは、総50-2の1ページ目をごらんいただきたいと思います。

最初のうちは少子高齢化にかかわる資料ということになります。年齢構成の変化、これはすでにご承知のとおりですが、真ん中辺に2000年がございまして、これから先の推計値をごらんいただきますと、65歳以上人口のウェイトがどんどん高まっていく。2050年ですと3分の1近くになるといったところが出てまいります。総人口の減少というのも目前に迫っております。結果として、生産年齢人口、あるいは労働力人口の減少が見込まれるわけでありまして、社会全体のあり方に相当の影響を与えるということが言えようかと思います。

2ページ目は省略いたします。

3ページ目をごらんいただきたいと思います。高齢化に伴いまして、財政につきましては、社会保障関係の経費、社会保障給付の金額が大変なスピードで増えていくという資料でございます。高齢化のスピードの速さがこの給付費のボリュームの大きさの増加のスピードとリンクしておるわけでありまして、その財源をどうやって調達するかということがこれからの大きな課題になろうかと思います。

4ページ目でございます。現在の社会保障給付とその財源の構成でございますが、4ページ目左側の社会保障給付費が69.4兆円ございます。年金、医療、福祉関係で69.4兆円ございますが、その財源の大半は社会保険料で賄われております。54.8兆円。これに国庫負担が17.1兆円、地方負担 4.6兆円ということになっております。

5ページは飛ばさせていただきます。

6ページをごらんいただきたいと思います。高齢化の問題の中で世代間の不公平ということが最近とみに言われるようになっておりますが、その辺について定量的に議論するということで最近よく議論される一つに、世代会計というものがございます。これは今後、現在から将来にかけまして、政府の収入、支出を世代別に分解してみて、生涯を通じて見た受益と負担の間の純負担を割引現在価値で計算してみるという手法でございます。大変新しい手法でございますので、いろいろと統計上の制約もございますし、対応困難な部分もあります。したがいまして、これだけで結論づけるのは難しいということはございます。

もう一枚おめくりいただいて7ページでございます。少し古うございますが、経済白書の中で、この世代会計について推計された結果でございます。真ん中の折れ線のところが負担か受益のほうが多いかということでございまして、40代になりますと0から下に入る、すなわち受益よりも負担のほうが多いという姿になっておりまして、現在の高齢者の方は比較的相対的に受益のほうが多いというふうなことでございます。こういう姿をもって、世代間の不公平がかなり大きい、特に日本の場合には今後の高齢化のスピードが非常に早うございますので、結果としてこの程度が諸外国に比べて大きいということが言われております。

8ページ以下は、国際化、情報化に関する資料でございまして、ヒト、モノ、カネの移動というのが大変スピードも量も大きくなっているという資料でございます。前回ご説明しておりますので、飛ばさせていただきます。

12ページをごらんいただきたいと思います。個人の生活におきましても、一言で申しますとライフスタイルの多様化と言われますように、さまざまな変化があらわれております。世帯形態、世帯の構成につきましても、数字で見ますと、単独世帯というのが実は一番大きなウェイトを占めるようになってきております。夫婦と子供という世帯は、子供の数を合わせていきますと相変わらずもちろん一番大きなウェイトを占めておりますが、その程度は少しずつ下がりつつある。

それが、13ページをごらんいただきたいと思いますが、将来推計をしてみますと、夫婦と子供という構成の世帯の割合が幾分か、徐々にではございますが、下がる傾向が見てとれるわけでございます。

また14ページは、雇用形態、就業形態の多様化ということに関する資料でございまして、一番下の大半を占めております、終身雇用を前提とするいわゆる正規職員のウェイトは最近少しずつ下がっており、この折れ線グラフに見られますように、むしろパート、アルバイト、あるいは嘱託・その他といった方々のウェイトが、2割を切っていたものが25%になるという形で大きな変化が見られつつあります。

それから女性の社会進出ということで、資料1枚で論ずるには少し大きな問題でございますが、15ページをごらんいただきますと、やはり雇用者に占める女性の割合というのは一貫して上昇しております。

16ページ以下は、「日本経済のストック化」と言われることに関する資料でございます。

17ページをごらんいただきたいと思います。 1,300兆円と一言で言われますが、日本の個人の金融資産の総額は11年12月末現在で 1,365兆円を数えるに至っております。その中では、諸外国に比べて預貯金のウェイトが高い等の特徴がございますが、これだけの資産を抱えている国というのはほかに例を見ないわけであります。

また18ページでその経年の推移をごらんいただきます。こちらでは、下のほうに住宅、あるいは土地資産という実物の資産の評価も書いております。非常に目立ちますのは、バブルのころに土地の価格の上昇を受けて土地の資産のウェイトが非常に高まったということがございまして、その後、土地資産のウェイトは下がっております。しかしながら、全体としての資産は、平成に入りましても横ばい傾向、すなわち、金融資産は着実に拡大を続けているということがこの表からは見てとれるわけでございます。

19ページにまいりまして、その金融資産をそれでは一体どういう世帯が中心となって保有しておるかということにつきましては、これも下から上に最近だんだん年次は新しくしておりまして、高齢者、60歳以上の世帯の金融資産のウェイトが一貫して上がっているということ。もちろん高齢者の世帯の数が増えるという効果と、またそこに集中するということが二重に起こっておるということでございます。

20ページ以下につきましては少々新しい資料でございます。基本問題小委ではご説明したことがございますが、総会では初めてなので少し時間を使いますが、最近の傾向の中で、所得格差、資産格差ということが少し言われるようになっております。20ページはいわゆるジニ係数というものをもってその推移を見ております。ごらんいただきますように、数字が上のほうにあれば、所得格差といいますか、所得の世帯ごとの分散が広がりつつあるということを意味しております。一番上にある数字、各資料を見ますと、80年ごろまでのいわゆる高度成長時代までは幾分か下がる傾向、すなわち平等化が進む傾向が見てとれますが、それ以降、どの指標を見ましても少し上昇傾向にあるということで、そういう意味で、最近は所得の格差が広がりつつあるのだということが言われます。

その内容について分析したものが22ページにございます。これはジニ係数が上がる要因の分析としまして、1つには高齢化があるのではないかということでございます。先ほど申しましたように、ジニ係数というのは世帯ごとの所得の分散をはかっておりますので、高齢者の世帯が一般的には勤労・現役の世代に比べて所得が下がるといいますか、引退して下がる、年金を中心とした収入になります。そういった世帯のシェア、ウェイトが上がれば結果として分散が広がってしまうということが言えるのではないかということで、この表は、左側に実際のジニ係数の上昇、真ん中に、もし仮に世帯主の構成割合が85年当時と変わらなかったとすればということで見てみますと、そのジニ係数が大きく下がるというところが見えまして、これは要するに高齢化によってジニ係数が上がっている部分がかなり大きいようだということを示しているわけでございます。

23ページをめくっていただきます。今度は若い層の中でもジニ係数が上がっているということが言われておりまして、これは20代だけのジニ係数をはかっております。一番左側、やはりかなりの上昇が見られますが、実は20代の世帯の中で単独世帯、すなわち、20代ですから結婚していない単独世帯のウェイトが上がることによって、晩婚化が進むことによって、結果としてジニ係数が上がっているのではないかということで、同様に、この20歳代の単独世帯の中のウェイトを変えないとその上昇の程度が下がらないということで、晩婚化もジニ係数を上げる方向にどうやら寄与しているようだということでございます。

1枚飛ばしていただきまして25ページをごらんいただきたいと思います。つまり、高齢化や晩婚化が表面的なジニ係数を上げているにすぎない。したがって、大きな所得の格差は必ずしも生じてはいないのではないかという意見もございます。その辺を例えば賃金センサスで、男性の各年齢ごとの中で何倍ぐらいの差があるかということを見てみますと、当然、高齢者になれば倍率が大きくなるのでございますが、経年変化を見てみますと、横に一線になっているという意味で、賃金格差自体は、年齢の差はあるけれども、経年の変化によってはあまり変化がないということを示しております。

しかしながら、1枚おめくりいただきまして26ページには、少しわかりにくい表ですが、同じ男性の賃金センサスのデータの中から大卒男子に限って見ますと少し姿が変わってまいりまして、若いころの賃金格差はさほど大きくなっていないのでありますが、40歳代を超えてまいりますと、この表でいいますと、90年以降の右側のほうで、少しずつ上に上がるという傾向が少し見えております。すなわち、大卒男子40歳代以上では賃金格差が上がるという傾向が見てとれるわけでございまして、大卒男子をもって何を論ずるか難しゅうございますが、各会社の幹部候補生、幹部になる人たちの間では、年俸制の導入でございますとか、終身雇用に伴う年功序列型の賃金体系というのが幾分か崩れつつあるということが見てとれる、そういう形の資料でございます。

このように、所得格差、全体としてはジニ係数については高齢化や単独世帯の増加ということが大きな要因として言われておりますが、一方で、足元では雇用形態の変化、終身雇用の崩壊に伴う一定の変化の胎動が見られるというふうに見ることもできようかと思います。

次に30ページに飛んでいただきまして、財政に関する資料でございます。これもすでにご承知のとおりでございまして、平成に入りましてから財政のギャップは拡大しております。特に近年の景気対策や景気の悪化ということで、歳出、歳入の乖離が大幅になっているという資料でございます。

31ページは、その中でも主要な税目ごとの税収を掲げてございます。所得税等につきまして、相変わらず基幹的な税金ではございますが、減税や不況の影響で税収の減が見られます。

32ページですが、一般会計の中で交付税等を除いた国のいわゆる手取りの税収は33兆円ということが12年度で見えます。一般会計での借入金、公債の発行額とほぼ同等程度しか実際には実収がないという姿になっている資料でございます。

33ページでは、国と地方の歳入を並べてございます。左側、国の姿は、85兆円の歳入に対しまして税収が48.7兆円で6割を切っておりますが、そこから地方交付税ということで、国としては実収にならずに右側の地方の歳入のほうに移っております。したがいまして、国としましては、実収としては48.7兆から14.9兆を除いた33.7兆円程度がいわば手取りでございますし、地方といたしましては、地方税にこの地方交付税及び特会借入分を加算した58兆円が地方一般財源ということになっております。

34ページは国と地方の債務残高でございます。

35ページ以降は所得・消費・資産のウェイトの表でございますが、すでにご承知のとおりでございますので飛ばさせていただきます。

37ページ、国民負担率の国際比較の表でございます。これも何度も見ていただいた表でございます。日本の場合、租税負担率22.5、国民負担率36.9ということで、諸外国に比べてかなり低い水準にございます。特に所得税のウェイトが低いことが主な要因と言っても過言ではないかなという感じがいたしております。また、日本の場合、財政赤字が非常に大きくなっておりまして、これを加えた潜在的負担率といいますのは、36.9が実際にはほぼ50%ということになります。この数字は実はヨーロッパ並みという評価もできようかと思っております。

38ページ以下、これもやはり1年ほど前にご紹介したことがございます。各世帯ごとの所得に応じまして、所得税の負担、実効税率についての表というのは何度も見ていただいているかと思います。

39ページの表でございますが、これに、社会保険料の負担、それから消費課税についても幾分かの前提を置いて家計ごとの負担を足し込んでみるという試みでございまして、これを42ページでごらんいただきたいと思います。

順番に見ていく必要がありますが、42ページの表では世帯ごとの所得に対しまして、所得税の負担、それから社会保険料の負担、さらに消費課税の負担を推計したものを足し込んでおります。結果、やはり所得税負担の低いこと、消費税率の低いことを受けまして、日本の負担というのはどの所得階層でも諸外国に比べてかなり低いという姿が出ております。フランスなどは、所得税負担だけで見ますと、日本並み、日本にごく近い姿になっておりますが、やはり社会保険料、消費税の高さをもってかなり上のほうの負担になっているということが見えようかと思います。

48ページまで飛んでいただきたいと思います。最近の所得税、個人住民税の減税の内容についての表でございます。これも説明は省略いたします。

49ページ以下は、最近10年、あるいはシャウプ勧告以来の税制の主な動きについてまとめた資料でございます。ご参考にしていただきたいと思います。

以上です。

加藤会長

ありがとうございました。では小室企画課長、よろしく。

小室企画課長

資料のほうは「地方税務行政」、それからもう一つ「地方税財政制度関係資料」、2つをお願いしたいと思います。初めに「地方税務行政」基小20-8という横長のものをご説明させていただきます。

まず1枚めくっていただきますと目次がございます。大きく分けましてIの「地方税務執行体制」というのは、国税庁の資料に見合うような形で、納税義務者数ですとか、あるいは地方の場合ですと徴収確保対策として連携している、こういった資料を用意させていただいております。そこで実際の納税環境整備等についてはII以下ということで、7ページをまずお願いしたいと思います。

7ページが簡素効率化等の関係でございますが、ご案内のとおり、国税と、地方税は道府県税、市町村税ありますので、三税協力と言っておりますが、例えば、そこにございますとおり、所得税の申告のときにワンライティングで書いていただきますと住民税のほうも申告を出したものとみなされる、こういった協力がございます。

ちなみに、確定申告 349万件受け付けておりますが、市町村の窓口で受け付けたものが2割程度ございます。ただ、地域的に見ますと、町村部を中心に大変率の高いところもあるといったような状況を7ページでお示ししているところでございます。

次の8ページにつきましては、資料を閲覧・交換しているとか、あるいは情報交換ということで、今後、電子申告等が進みますと、所得税と住民税、今のようなお話の協力というのも必要になってくるかと思います。

9ページのところでは、資料の共同発送ですとか相談、あるいは広報、特に消費税、地方消費税の滞納未然防止、こういったところが一緒に歩調をとってやらせていただいております。

10ページが様式の統一の関係でございます。一番下のところに自動車税、自動車取得税の申告書というのが12年度末で、実施は14年度ということですが、次の11ページにございますように、バーチャルエージェンシーとの関係で、自動車関連の手続のワンストップサービスのプロジェクトといった中で、自動車税、取得税について様式の統一化というものをステップにして進めていこうということで、それの関連でございます。

それから最後に、適正な申告水準の維持向上策ということで12ページから、基本的に国税とパラレルに行っておりますが、13ページの(4)は軽油引取税についての故意不申告の罰則創設ということで、14ページに内容を示してございます。

これが税務行政の関係でございまして、次に「地方税財政制度関係資料」、縦長の総50-3というのでご説明させていただきます。

まず1枚めくっていただきますと目次がございます。大きく分けて3つに構成しております。先日来ご議論がございました交付税の関係で申し上げますと、総額をどのように決定していくかというのが一番初めの「地方財政計画」のグループのところで申し上げようとしていることです。それから2点目の「地方交付税」のところでは、決まった交付税をどのように配るかという観点です。そして最後に分権と地方税ということで3つのグループでございます。

早速ですが、1ページのほうをお願いしたいと思います。地方財政計画と申しますのは、3,000団体、地方がありますが、これを1つのものとしてとらえて、収入、支出を見込んでいこうということで、法律上の位置づけがそこにございますが、役割として、中ごろにありますように、3つの点を考えてございます。

予算、あるいは国民経済の運営との関連で地方の関係を整合性をとっていくというのが1点。それから 2にございますように、地方団体が仕事をするに当たってその財源を保障していく。ただ、その水準というのは、そこにありますように、標準的な行政水準ですから、下のように、超過課税で賄う分とか、法定外の分、あるいは出のほうでは国の水準を上回る給与とか、そういったものを捨象して標準的な水準の行政が保障されるようにという点が2点目です。と同時に3点目に、指針としての役割を果たしてございます。

そこで実際どのように組まれるかということで、2ページのところに、地方財政計画、実際には見積りを立てていくと、下にありますように、地方財政、どうしても穴があいてございます。歳入、歳出を積み上げていって、12年度の場合ですと、下にございますように、9兆 9,000億の財源不足、あるいは減税のほうは 3.5兆円分ある。したがいまして、これはバランスを失しているので何とかしなければいけないということで、地方財政対策、結局は地方債の借入れを増やすとか、あるいは交付税の増加、実際には借入金が大部分でございますが、こういった形で歳入、歳出のバランスをとる。この過程は、予算編成とあわせて、言ってみれば自治省、大蔵省それぞれ突き合わせながら、国の予算との調整を図った上でこれを決めていくということになってございます。

そこで3ページのところでございますが、交付税というのはもともと5税、かつて3税ですが、一定率ということですが、それが十分機能していればいいわけですが、実際に今見ていただいたように過不足が出てくるということで、大幅な過不足が3年続くということになりますと、制度自体を変えるとか、あるいは交付税率を変更していくことによって中期的な調整を図っていくということが定められているわけでございます。しかし実際、平成8年度からこの状況に至っているわけですが、交付税率の変更、引上げというものはなかなかできませんので、下にございますように、借入れを行って、その借り入れた分については半分ずつ折半するというような形での制度改正ということでしのいでいる状況にございます。

4ページの方は、急に悪化したというのは、先ほど来お話がありましたように、景気の状況、これは税、交付税の低下とか、あるいは減税、それから歳出の増となりますので、この棒グラフの分だけ特例的な借入れがあって残高が増えているということを示しております。

そこで経済対策の関係ですが、5ページのところにございますように、国・地方を挙げて対策を行っておりますが、その際、1つは、公共事業として、いわば補助金が出てくる部分、これはその補助金に見合う地方の負担分というものを手当てするというのが1点です。それからもう一点は、中ほどにございますように、地方単独事業ということで、補助金を受けずに地方がより事業量を拡大するということで協力している部分というのがあるわけですが、残念ながら、10年度の11月の時点から、この単独事業でのご協力というのはなかなかできないような状況に至っているというのが今日の姿でございます。

そうしますと、財源不足というお話を申し上げておりますが、そもそも、6ページにありますように、歳出というものを抑制した上でそういった計算をしなければいけないということで、6ページには総額の抑制等、国・地方を通じて、これは財政当局と議論しながらこういった抑制策をとっているということでございます。

実際に積み上げられた歳出の分析を7ページに示しておりますので、ごらんいただきたいと思います。7ページは歳出の積み上げの中でどういった構造になっているかということで、給与、行政、投資、公債費に分けてございますが、1つは、国庫支出金、補助金ですとか負担金、こういった関連で、事業の経費自体がセットされている部分、これが給与でいえば小・中学校の義務教育職員の経費ですとか、一般行政ですと生活保護ですとか、あるいは公共事業の部分が直接的に国の補助金でセットされている。それから単独、補助がない部分ですが、その中にも、法令で基準を設定している、例えば警察官、消防、高校職員、こういったのは政令でもってこういう水準にということが決められてますから、それは地方の方としてはこなさなければいけないという部分。

そのほかにも、単独として実施を義務づけられている部分。基準、水準ということではありませんが、実施を行うものとして、例えば給与の中で言えば、戸籍とか住民台帳費、保健所、福祉関係の経費、さらに土木とか農林の職員費なんかはこの中に入ってございます。さらに一般行政で言えば、社会福祉関係の補助のない部分ですとか、商工関係、農林関係、さらに義務教の運営費、こういったものも一般行政の単独に入っているという意味です。さらに投資的経費で言うならば、実は各種公共事業の5カ年計画の中で単独事業についても設定がされてますので、そういったものを反映する部分というのがございます。

以上、そうした補助のあるもの、基準を設けているもの、実施を義務づけているもの、こういったものを合わせて、分母に公債費、これは財対債とかいったものがあるわけですが、公債費を除いた一般歳出に占める比率を見ると、概ね7割である。したがって残り3割でございますが、この3割の中には青少年保護ですとか、環境対策とか、あるいは私学助成、高齢者の生きがい対策等々いろいろなものが入ってございます。それが直ちにどうこうできるということでもございませんが、いろいろな経費が含まれているということでございます。

そして法律的に見ますと、8ページのほうをお願いしたいと思いますが、法律上は、一番上にありますように、地方団体がそうしたように義務づけられている場合には、国のほうとして、国庫支出金ですとか、交付税、あるいは地方税といったもので措置を講じるという仕組みになってございます。下のほうに移っていただきますと、3に地方団体は合理的、妥当な水準を維持するように義務づけられた規模と内容を備えるようにということで、こうした法律が交付税法の中にあって保たれているわけでございます。

なお、一番下の国庫負担金事業ということですが、十条から十条の三というのは、後ほど24ページにございますが、いわゆる奨励的な補助金ではなくて負担すべき経費として国が挙げているものについては、その地方負担分については地方財政計画だけでなくて、交付税の需要額にも入れるということが規定されてございます。

そこで、今どうして大変苦しい状況になっているかというのをイメージで言いますと、9ページのところですが、景気対策、あるいは、本来であれば中ほどにあります白地の部分、国でいえば国税が入ってきて、それを地方への補助金にも回せるし、一部は、先ほど話がありましたように、交付税として地方のほうへ配分する。したがって、地方のほうでもAという事業について補助金を受けて、その地方負担については交付税だとか地方税で相賄っていけるというのが本来の姿なわけですが、今お話があったように、下のほうに国債、それも赤字国債ということで地方への補助金が出ていった場合には、それに見合う交付税、あるいは地方税も減っておりますので、投資的経費、公共投資の経費であれば地方債ということもありますが、経常的な経費の場合には特別会計の借入金、一般財源で補っているという状況になってございます。

これを全体の流れで示しましたのが10ページで、左の国のほうで特例公債がございますので、それを含めて国の歳出として支出金が組まれるわけでございます。一方、交付税のほうは既定分が14.9兆という中で、足りない部分、網かけしてございますが、借入れをしてやむなく賄っているというような状況にございます。

以上が総額がどういうふうに出てくるかという議論で、11ページから実際に配る交付税の直接の仕組みということでお話をさせていただきます。11ページの上の四角の一番初めのポツは今お話ししたとおりですが、2ポツ目のところで、需要額の算定でございます。下のほうに柱が横に4つ並んでおります。一番上が地財計画の歳入ということで、このうち使い道が限定されてない一般財源というのが普通交付税と地方税等でございます。それを地方税については8割なり75%というものを収入額とする。これは需要額のほう、一番下ですが、歳出の中で、一般財源ベースで、かつ各団体が等しくやっていくべきものということで、この需要額というのを算出しまして、それに対して収入額を引いたものを普通交付税で手当てする、こういう基本的な仕組みになってございます。

そこで、地方交付税の仕組みについて、不透明ではないかというご議論があるので、ちょっと12ページで法律的に補足させていただきますが、目的については、そこにありますように、財源の均衡化、一般財源ということですが、国が地方にかわって徴収する地方税、いわば地方の固有、あるいは共有の財源という位置づけがなされております。

それから総額のところは、一定率というのは決まっているわけですが、先ほど来申し上げているような借金をする場合には、その借入額、あるいは償還額についても法律できちんと手当てしなければそういうふうにならないということは1点申し上げておきます。

次に算定ですが、下にございますように、基準財政需要額から収入額を引いた額ですが、基準財政需要額を算定するに当たりましては、測定単位、これは人口ですとか、あるいは警察官の数、それらについて、例えば給与で都市手当が出ているとか、そういったような調整を補正係数で掛けて、一人当たり幾らという単位費用を掛ける。その中で単位費用なり測定単位というのは法律で決められております。補正係数についても、その種類は法律で書いておりますが、具体の細かい数値、そこら辺については省令で明示しているところでございます。したがいまして、法律、あるいは部分的に省令といった形で明示しているということでございます。

実際に算定がどうなるかということは13ページをお願いしたいと思いますが、基準財政需要額が 100億の場合に、A、B、Cそれぞれ税収が違うわけでございます。例えばAであれば税収が20億しかない。それについては15億円は収入額となりますが、5億円については留保として基準財政需要額以外のことに回せる。したがって 100から15を引いた85億が普通交付税で、これらを合わせますと 105億の事業ベースがある。Bの場合には、税収が 100億あれば、収入額が75億で、交付税で25、留保財源25となりますので、125の一般財源を持っている。Cの場合には税収の75%、基準財政収入額が需要額 100億を上回りますので、ここは不交付団体ということになります。

実際の各県の税額の偏在状況というのは14ページの「一人当たり都道府県税額」で、いつもお示ししているものでございます。

そこで15ページのほうでは、市、町村のほうまで含めまして、地方税の部分が白、それからその隣が地方交付税でございますから、県、市、町村それぞれ合わせると大体5割強のところの一般財源を確保されているということでございます。

その推移については16ページにございますが、柱のほうが実際の額で、折れ線グラフ、左のほうですが、決算で歳入のうちの5割程度で推移しておりますので、最近特に一般財源が甘いといったようなことはございません。ただ、平成元年のあたりで飛び出しておりますのは、これはいわゆるバブルのときに税収が上がったということで、したがいまして、これから地方税と交付税というのはトレードオフのような関係にあるということも類推できるかと思います。

17ページからは全体のまとめに入ってまいりますが、地方財政の議論をするときに、当然ですが、地方と国がどういうふうな役割分担をしているかということで、17ページ、地方の場合には、教育、社会福祉、あるいは基盤整備といったものが主なところでございます。

その中で18ページのところは、国の場合は社会保険料、社会保障基金というほうが増えているわけですが、地方の場合にはそういった資金移転ということでなくてサービスの提供ということで非常に福祉系統費が伸びております。国庫支出金が一部はまっておりますが、全体として伸びている状況がこれからも続くかと思います。

そこで19ページは、何度かお話しさせていただいておりますが、サービスの部分、いわば国・地方を通じた歳出をどうするかというご議論があろうかと思います。そしてそれを賄うために、地方税だけでは足りませんので、交付税、あるいは国庫支出金を移転しているという状況にございます。

こういった状況について、分権の計画でどのような勧告を受けた計画を政府のほうで決めているかということについて、20ページからございます。1つは「国庫補助負担金の整理合理化」ということで、真に必要なものに限定して見直しをしていくというのを20ページで書いております。下のほうには、その中で補助金と負担金とをしっかり区分して整理すべきだと、計画的削減について触れられております。

21ページのほうにお進みいただきたいと思いますが、したがいまして、上にありますように、国庫補助負担金の廃止・縮減、これの事務・事業が廃止できれば国費も地方費も両方とも減らすことができるわけですが、そういった事業自体はやめられないけれども補助金をやめるというときには何らかの手当てが必要だということが書かれております。

中ほどは地方税について、歳出規模と地方税収入の乖離を縮めるようにとの計画でございます。その際、住民の受益と負担の対応関係ですとか、国・地方の役割分担を踏まえてと。それから中ほどのところでございますが、外形の後に、「これらの検討と併せて、地方税と国庫補助負担金、地方交付税等とのあり方についても検討を加える」ということですが、これは分権のために増税を図るという趣旨はないわけですから、地方税が充実されていけば当然、国庫補助負担金、あるいは交付税等、そちらのウェイトが変わってくる、減ってくる、そういう議論を踏まえて議論すべきということを示唆してございます。

以下、事務・権限の委譲が行われた場合にも補てんすべきだと。下のほうは法定外税等の話でございます。これらを踏まえて法律を政府は出しましたが、前回、諸井委員のほうから経緯についてお話がありましたが、分権の段階では税財源の話については総論にとどまっているということで、国会のほうの議論で最終的に付されたのが 251条。衆議院で、地方税財源の充実確保について、経済情勢の推移を勘案して検討し、必要な措置を講ずる。参議院のほうでは、その検討・措置については、乖離を縮小する観点から抜本的な検討ということで、23ページのところでございますが、国会の議決がございます。したがいまして、先日、分権委員会のほうも、監視と同時に税財源の検討を行うということで、1年間の延長が決定されたところでございます。

次の24ページは、先ほど来の負担金と補助金、具体的にどんなものかということです。負担金のほうは公共事業とか義務教育の職員のものですので、必要なものに絞って確実に、逆に奨励的・財政援助的補助金については税の代替のようなものを除いて圧縮するという方針になってございます。

25ページのほうは、この国庫支出金の割合というのが地方財政計画の中でシェアがどういうふうになっているかということで、最近は安定してございます。かつて2割を超えていた部分がございますが、若干下がってきている。ただ、この場合には補助の割合を下げて減ったという面でございます。

それから26ページ以下は、勧告、あるいは計画で決めました交付税の透明化でございますが、地方団体から意見の提出の制度化、あるいは補正係数から単位費用へ転換していくべきだと、補正係数の整理、こういったことについて対応がなされております。

27ページのほうでは、地方債についても協議制度への移行ということで決定してございます。

28ページからは税の関係で、何度もご説明しておりますが、29ページのところでは、どういった税目、安定性とか普遍性といった観点から書かせていただいております。

法定外税の関係がございまして、31ページのところ、法定外、大分新聞等で報道されておりますが、条文として書いてございます。自治大臣に協議し、同意、その際に大蔵大臣に通知、異議があれば受ける。それから同意のときには、261条にありますように、「国税又は他の地方税と課税標準を同じくし、かつ、住民の負担が著しく過重となること」、あるいは、二のところにありますように、団体間の物の流通に重大な障害を与える、さらに、国の経済政策に照らして適当でない、こういった場合以外は同意するということになってございます。

32ページ、超過課税の関係、33ページが行革の関係で、東京と大阪を大きくしてございます。下のほうにございますが、地方の場合には、特に最近では給与関係についての、国の場合、人勧制度があって完全実施しておりますが、都道府県、政令市あたりでは、20団体を超えるところでそういった何らかの抑制が始まってございます。

以下、34ページ、35ページを飛ばしまして、最後に合併の動き、全国の状況をつけさせていただいております。

説明が大分飛び飛びになりましたので、後ほどご質問等あればお答えをお許しいただきたいと思います。以上でございます。

加藤会長

ありがとうございました。それでは、皆様方のご意見をいただこうと思いますが、大きく分けまして、初めに「納税環境整備」と「税務行政」「経済社会の構造変化と税制のあり方」についてご意見をいただきまして、地方税財政については後ほど広範に議論したいと考えております。

なお、中期答申に向けてでございますのでいろいろな論点があると思いますが、きょう特に取り上げなかった議題につきましてもご意見をお出しいただいて結構でございます。またお手元に、きょうご欠席の小長さん、高梨さん、塙さん、森下さん、吉田さんの5人の方のご意見が出ておりますので、それもご参考にしていただければと思っております。ということでございますから、どうぞまた、皆様方、ご意見がございましたら書面でお出しいただいても結構でございますが、まずきょう議論を先にさせていただこうと思います。中西さん、どうぞ。

中西委員

前回、私、欠席いたしましたものですから、前回、外形標準課税の議論がありましたそうで、この辺についてちょっと意見を申し上げたいわけです。外形標準課税の課税標準案というのはいずれも問題があると思うのですが、まず、今回、事業活動価値として賃金を課税標準にされるというふうな話が小委員会、その他で出ておるようですが、私は、結論を申し上げれば、経済界の総意としてはいろいろな経済団体の意見も聴取しましたが、これは根本的に反対であると。したがって、21世紀の基幹税制を支える重要な課税標準として極めてこれは不適切であると私は言わざるを得ないと思いますね。

理由は3つありますが、その一つは、これは毎回言っていることですが、この大不況の中で21世紀に向かって日本経済が再生していくためには、どうしても第二の創業をやらざるを得ない。その第二の創業をやるには人材への投資をやらざるを得ないわけですね。ベンチャーなんかが花開くかどうかは、少なくとも7~8年、リターンが来るまでかかるということは、アメリカあたりの統計でも出てますし、我々、実際に事業をやっている人間の体験でも、新規事業というのは7~8年かかるのですね。そういうところにもろにこういうものの課税がかかるということは、これは意欲ある経済活動、企業活動を阻害する以外の何ものでもないと言わざるを得ないわけでして、一部に、黒字法人は税金が下がることになるのだからいいではないかというご議論もあるやに聞いておりますが、きょうこれをぺらぺらっと見てましたら、黒字企業、日本の優良企業の森下さんのところ、松下も出てますし、法人会からも意見が出てますし、必ずしも黒字企業で賛成というわけにまいらんわけでして、私どもも同じ意見ですから、これはひとつご再考願いたい。

それから第2の理由は、私は、これをやったら雇用形態を劇的に変化さすことになるのではないかと。その要因は、これは現場で実際に仕事をした人でないとなかなかわからんですが、請負制度というのがあるのですね。あるいはアルバイト化して人を使うという方式もある。税調では、人材派遣の場合は派遣先の負担にすればいいではないかということのようですが、個人事業者は外形化の適用を受けませんから、そうすると、個人の人を請負のもとにして、いかようにもそういった契約形態はなるのですね。何とでもなる。ということは、雇用は確実にこれをやらんと地下経済化するだろうという危険が非常にあるわけでして、欧米でも、賃金に課税するのは、タックスヘッジということで最も避けるべき手法だと言われておるわけですから、この愚かさを日本がやるというのはいかがなものかというのが第2の理由ですね。

それから第3は、赤字法人に課税したらどういうことになるかというと、えせ赤字法人はそういうことはないでしょうが、本当の赤字法人、今この大不況でほとんど実態は赤字だと思うのですね。これになおかつ賃金に課税された場合に、逃げる道としては賃下げをやるか首切りをやるか、どっちかですよね。ご承知でしょうが、12年度で失業率が5%に乗ろうかというところまで来ておりますから、これをやったら、私は失業率はまた加速すると。それから賃下げを赤字法人がどんどんやり出したらまた消費に影響するということで、これは今の経済を浮上さすという大命題に大きくマイナス要因に働くと言わざるを得ないということです。

それから、第2の問題を今指摘しているのですが、これは、小委員会の報告では全事業者は大体 600万おるのですが、個人事業主には課税しないということのようですが、個人事業主は約6割ですから 360万ですね。そうするとどういうことになるかというと、中小企業のおじさんたちは何と言うかというと、一つの町の中で弁護士や医者は外形標準課税がかからないではないかと。だけど有限会社やっている酒屋はかかるというのはまことに不公平だという意見が必ず出ると思うのですね。そうすると、中小企業、要するに中小企業基本法で限られている資本金幾ら幾らという範囲内の、これが大体 230万ぐらいいるのではないですかね。これは黙っていませんよ。これは当然政治に働きかけて、これもおそらく除外にならざるを得ないのではないですか。となると、残るのはほんの数万社、3万社ぐらいではないですか。中堅企業と大企業にかかってくるということになるわけですね。これを不公平と言わずして何と言うかということでしてね。これは非常に私は不公平税制と言わざるを得ないと思います。

いろいろ反論もあると思うのですが、事業活動価値は賃金と賃料と利子と利潤という付加価値の構成要素に対して均一に負担を求めるのだから、これは課税標準としては非常に中立的ではないかという意見もありますし、あるいは、東京都、大阪府がついに今度銀行課税を強行したわけですね。そうするとほかの自治体もこれをやるだろうとなるから、混乱を防ぐ意味でも、税制中立を前提にして、全国一律の外形標準課税を導入すべきという意見があるやに聞いておりますが、これも、事業活動価値というといかにも聞こえはいいですが、中身は実は7割が賃金ですね。あとの1割前後が利潤、あとの1割前後が利子、あとは賃料ですか。その程度ですよ。そうすると、7割の賃金にかかる。そして不動産業の支払い賃料にはかからない。銀行業のメインである支払い利子にはかからないとなると、これまた非常に不公平と言わざるを得ないですね。製造業には非常に過大にかかることになるわけですから、そもそもこういう不公平な取り扱いが、かつて昭和26年にこの法が一時あったのですね。これが廃止になった理由はこの辺にあったということをここで一言申し上げておきたいと思います。

それから銀行の課税ですね。皆さんご案内でしょうが、これは全国規模で仮に実施しても 2,000億程度なのですね。これによって交付税交付金の減少がなりますから、当然それを差し引きますと、たかだか 1,200億の増になる程度なのですね。こういう程度なら、これは全国一律のこういう外形標準課税を導入しなくても、法人住民税や事業税の超過課税などの現行税制の範囲内で十分対応できるのではなかろうかと。だから、これも少しご再考願いたいということです。

言いたいことは、要は、我々中小企業を適用除外にしろというエゴイズムのエゴの議論をしているわけではございませんで、個人事業者も中小企業も平等に適用される税制をつくるべきであろうということを私は主張したいわけでして、一部の事業者にしか適用されない税制のそういう不公平さこそが、結局欧米でもこれは廃止されているのですね。もともとない国もありますし、今アメリカのミシガン州でも、それからフランスあたりでも99年度からこれを廃止していこうという動きがほとんどですから、やはりその理由がこの不公平さにあるということでございますので、どうぞひとつもう一遍、100年も 200年も前の税制の化石をここで引っ張り出してやるということはいかがなものかということを、くどいようですが、前回も申し上げたのですが、ここで申し上げたいと思います。

加藤会長

ほかにいかがでございましょう。島田さん。

島田委員

3つほど申し上げたいのですが、1つは中期答申のあり方に関することですけれども、基本的な考え方として、経済活力というものを強く踏まえてまとめるということを強調したいと思うのですね。税の原則は中立・公平・簡素ということですけれども、私は、中長期の日本経済社会を考えたときに、活力ということはやはり強く認識してまとめる必要があるのではないかと。具体的に言うとこういう考え方ですね。つまり、税の負担はみんなで広く負担をする。そして努力する者は報われると。この大原則だと思うのですね。それが活力の原則になると思うのです。ですから、所得税の問題にしても、最高限界税率はさらに下げるほうが望ましいと思いますし、広く負担するという意味では、これは課税の項目にかかわることですが、結果としてなるかと思いますけれども、課税最低限が下がるということがあっていいのではないかと思いますね。それから間接税がやはり基本的な、より充実する税になってこざるを得ないのではないかと思います。

今、外形標準課税について中西さんから議論がありましたけれども、中西さんの議論もよくわかるのですけれども、私は、じゃあこれまでの、利潤に対してかけられる地方事業税がいいのかと。これはやはり原点に立ち戻って活力というところから考え直す必要があるのではないか。つまり、みんなが広く負担をして、努力する者は報いられるという税は一体何なのか。中西さんのご指摘になるような問題点は大いに考慮する必要がありますけれども、もう一度原点に立ち返って考える必要があるのではないか。

2番目のポイントは社会経済の変化についてのことなのですが、高齢化にかかわることですけれども、きょうの資料のご説明にもありましたが、高齢化をしていくと、高齢化の社会的費用が当然増加していくのだという議論が無批判的に行われているように見えてならないのですね。この前も厚生省の方々がご説明いただいたのですけれども、ブランコから落ちないセーフティネットが必要だというふうに確かおっしゃったと思うのですね。セーフティネットというのはブランコから落ちた人がけがをしないようにするのがセーフティネットなので、落ちないようにしたら、モラルハザードになるのですね。

ということでございまして、たくさん申し上げませんけれども、一つの例をとると、この介護保険の在宅介護の問題ですが、在宅介護がどのぐらい非効率かというのは現場の皆さんがみんなよくご存じなのですね。つまり、単価 4,020円を取っている。しかし、ホームヘルパーの皆さんは 1,000円そこらしかもらえない。それは何だというと、交通渋滞で効率が悪いからということ。これは施設介護がいいに決まっているのですね。そういうものは問わずして在宅介護をどんどん拡大していく。介護保険は保険ですから、これは低所得者にもかかってきますけれども、そういう低所得者の保険料負担というものを、出口の方を非効率にしておいて、低所得者にそういう負担をかけて、そして税の問題については、課税最低限を下げるということについては非常に神経質になるというこのアンバランスはどうなのか。

つまり、ポイントは、低所得者を本当に救わなければいけないわけですけれども、その救い方が、支出の先の在宅介護の非効率みたいなものをどんどん拡大することがどのぐらい低所得者、あるいは国民全体にむだな負担をかけることになるか、税調で議論ができるかどうか難しいところだと思いますが、その支出の中身について、やはり中期答申は触れておくべきではないかと思います。

3点目は、恐縮ですが、私ちょっと先に失礼するので地方税について言わせていただきたいのですが、交付税の問題です。交付税の問題で私どもが考慮すべき最大のポイントは、あの仕組みが肥大していることによって、むだ使いが行われるとか、モラルハザードが起きる、財政規律が弱くなる、あるいは自己責任感覚がなくなるということなのではないかと思うのですね。先ほど自治省からご説明があって、現状の仕組みを前提にしたときに、交付税だけ減らしたらどういうことが起きるかというと、現に地方自治体、かなり努力しておって、事業も縮小してますし、地方債の発行も非常に遠慮しているということで、事業活動そのものを縮めているわけですね。このことは果たして本当に、ただマクロで事業を縮めていればいいというものではないと思うのです。逆にいうと、地方の果たすべきサービスというのはあるわけですから、あるいはインフラ整備もあるわけですから、今行われていることはそういうことになる、努力しているということは私は理解しておりますけれども、問題は、それではトータルで事業規模を縮めていくということはしているけれども、果たして自己責任のある、モラルハザードのない事業に向かうような仕掛けになっているかどうかというと、やはりそうではないのですね。

ですから難しい問題は、交付税を減らせばすべてよくなるかというとそうでもない。つまり、交付税を機械的に減らせばおそらく結果として国の負担が増えるという格好になるのでしょうから、一番の問題はそうではなくて、システムとしてモラルハザードが起きないような、自己責任、財政規律を持たなければならないような仕掛けというのをつくっていく必要があるのですね。

そこで、ぜひこの中期答申に書き込んでいただきたいのを3点ばかり指摘したいと思いますけれども、1つは、自治体が支出について自由度を持つ。つまり自由度がなければ自己責任で頑張ろうというインセンティブは働かんわけですね。自由度を抑えている最大の理由は何かというと、先ほどもご説明がありましたが、資料の7ページに出てきておりましたけれども、7割、8割の支出が国の細かい基準、あるいは政令、その他によって支出内容が厳格に決められていると。これでは自由度がないから、節約しても節約できないというモラルハザードがここで起きるわけですね。ですから、これは難しい問題で税調で書き込めるどうかよくわからないけれども、やはり財政支出の基準について自由度をできるだけ拡大できるようなことができないかどうかということですね。

ちょっと極論で、私いつも言っているのですが、例えば財政力指数の高い地方自治体というのは基本的な歳出の項目の中身について大きな自由度を持つようなことはできないだろうか。財政力指数がうんと小さいところはそれはほとんど難しいのですね。ですから、本当は財政力指数が7~8割以上もあるような自治体と、3割から5割のところと、1割もないようなところでは全然自治体といっても形は違うので、この辺を分けて扱うということができるのかどうか。大変な議論だと思いますけれども、書き込めるかどうかわかりませんけれども、そういう構造的な問題を解決しないとモラルハザードというのは解消しませんし、インセンティブも出てこない。

もう一つは、努力すればそうやって自由度が活用できるけれども、努力しないとパニッシュがあると。だから、地方倒産制度というのを整備できないのだろうかと思うのですね。今、財政再建団体指定というのをやってしまいますから、過保護ママが転ぶ前に手出してしまうという格好があって、自治体に自覚がないのですね。ですから、倒産制度というのを設けてしっかりとパニッシュする。しかし、国全体としてはその倒産団体を救えるような仕掛けをつくるということはできないか。

3番目に、最後に強調しておきたいのは、基本的に重要なことは地方自治体の情報公開なのですね。そして厳正な評価が行われて、納税者も財政当局もそれがよくわかるということだと思います。交付税の仕掛けというのは、国庫が負担したものを地方が負担したら、その分についてはまた交付税算定の基準財政需要の基準になるなどというような仕掛けが入っているために、二重三重に複雑になるので見えないのですね。ですから、自治体の人々もよくわからないで、納税者は全然わからないでぶら下がっていると思いますが、このモラルハザードをどう防ぐか、そして自己規律のインセンティブをどう高めるかということをせめてこの中期答申の中には書き込んで、その制度的受け皿がないと、交付税を減らすだけでは意味がないと思います。

加藤会長

ありがとうございました。ほかにございませんか。竹内さん。

竹内委員

3ページ、4ページ、5ページあたりの日本のこれからの社会保障の中の年金と医療の問題について、一人当たりの支出、負担がここにおいては60万というような数字になっているのですけれども、根本的にシステムとして考えた場合に、後ほど、地方の場合も介護職員の増加というような話が出てくるのですが、最大の疑問は、なぜ老人に資産がたまっていて、なおかつ年金を払っていて、なおかつ、施設に入った場合に1人月に60万ぐらいかかると。60万に12掛けると 700万ぐらいですか。 700万プラス、年金を年間で 300万ですから、1,000万ぐらいかけて一人の老人にお金を払っているという国がどこにあるかと。つまり、最大の問題は、年金は個人のポケットに入ると私的財産だからタッチできない。したがって、実物のサービスは税金で全部やらなければいけないという日本の考え方、おかしいのではないかと。

つまり、本来ならば持っているお金でサービスを受けるというのは当然の話であって、どうしてもできない部分は日本の国が、あるいは地方がカバーするという考え方はあると思いますけれども、自分のポケットで介護のその費用を賄うという考え方はできないのか。これはダブルコストになっている。年金払って、介護払って、両方2倍払って日本が破産しないわけはないと思うのですけれども、これはおかしい話ではなくて、十分可能なのですね。つまり、介護施設をつくって、グループホームをつくったときに、その収入をちゃんと年金から払えるという仕組みをビルトインすれば、今みたいに、追い出されてしまうとか、お金払わない人はだめだとかいう考え方、本当にひどい人は別の形、生活保護施設をつくればいいのであって、出なければいけないから自殺しなければいけないというのは、まさに介護というのは国がやってあげるものです、地方行政がやってあげるものですという考え方を広め過ぎてしまったところに問題があるのではないか。

私はヨーロッパでも幾つも見ました。つまり、年金が入ってきたら、その地方行政の社会保険事務所からちゃんと施設に払い込まれる。そうすると、月に20万ぐらいちゃんと施設に入るのですね。そうすると、その人は問題なくその施設にいられるわけで、それをなぜ2倍払わなければいけないようなシステムをつくったか。これは税調の問題ではないですけれども、これは社会保険給付費は低く見積もり過ぎていると思います。

加藤会長

ほかにございませんか。中西さん。

中西委員

それではきょうの本題の地方税制、財政の問題をちょっと話したいのですが、私は、この問題、前回も申し上げたのですが、地方税制を議論する、財政、財源を議論するときの一番深いところにある原因というか遠因というか、その辺はどこにあるかといいますと、私は、一言でいうと、今の仕組み、中央政府と地方政府の関係ですね。これがまさに、地方の側から言うと中央政府に対する依存体質といいますか、そういう体質が根本的な地方改革の、ここを変えていかないと、税制を議論しても何しても話にならないという根本のポイントではないか。

その依存体質をつくっておる、要するに地方側から見ると依存、たかりというか、中央から見るとばらまきというか、そういうものをつくらせておる制度の根幹がやはり交付税交付金制度、あるいは補助金ということにあるのでないかなと思います。したがって、この問題の議論を抜きにして地方税制論議をやっても、私は意味ないのではないかというのが1つですね。

今島田先生もおっしゃったのですが、いま一つのポイントは、例えば財政力指数の非常に低い自治体があるとします。高いところはある意味で努力しているわけですよね。努力している自治体に対しては交付金を少なくして、努力しなかったというか、財政力指数の弱いところには非常に手厚く交付金をどんどんやる。横並びで何とか平等にやる。この行政哲学は広くあまねく公平・平等という理念で、これは間違ってはおらんでしょうが、そこを無理に平等に横並びを求めるというか、その行政哲学にそろそろ反省のメスを入れるときが来ているのではないか。

そうしないと、島田さんのおっしゃった、まさにモラルハザードが起こっているわけでして、そこのところを、例えば道路や橋を公共事業でやる場合でも、これは俗に半分は補助金でいってますね。あとの半分は自治体が本当は自力でやらなければいかんわけですが、それは金ないですから、当然地方債を発行する。地方債は借金ですね。その地方債の借金の利子償還も、今この実態はどうやら交付税交付金で全部面倒見てもらっているということですから、これは地方自治体にすればたからにゃ損ということになるわけでしてね。この辺のモラルハザードが起きるような仕組みをやはり一掃しないと、努力した自治体はそれはそれでちゃんと恵まれる、努力せんものが、たかればそれで同じようにされるのだという、ここのところの哲学を私は変えないといかんと。これが第2。これは島田さんがおっしゃったことですね。

それから、いろいろ地方でやられる事業というのは国がらみのものもあるのですが、国がらみのものは国に責任もあるでしょうが、地方独自の単独の事業というのがあるのですね。投資活動もそうでしょうし、経済一般の行政の経費でもあるでしょうが、この辺が大体30兆弱ぐらいあるのではないでしょうか。ここも結構、さっきどなたかが触れられたが、福祉なんかのばらまきはかなりあるのではなかろうかと。私は詳しくはそこのところ、専門家ではないから見てませんが、その辺をやはりこの辺で議論していかなければいかんわけでして、少なくとも地方債は12年度で38兆 5,000億ぐらいの借入れがあったのではないですかね。だから、まず初めに歳出ありきで、そしてその財源は交付税で足りなければ地方債出してそれで借入れをどんどん増やしていく。だから、今や国債に負けないぐらい地方の公債というのがどんどん増えて大変な問題になっていることは新聞、その他で論じられているわけですから、私はこの辺をしっかりと議論していって、中期答申ですから、前回も言いましたけれども、その辺の哲学をやはりきちっと税調で言う必要があると思うのですね。

だから、首長さん方いろいろご努力なさっていることは高く評価したいと思いますが、本当の意味で首長さんのリーダーシップ、どなたがやられてもなかなか無理だろうなと。やはり唯一一番いい手法は、市民なり県民に行政サービスとその負担、財源ですね、これを2点ワンセットで見せるということ以外にないのではないでしょうか。そして、なるほどと、幾ら我々のところ、税金が高くなっても結構よと、立派な庁舎ができるのは賛成だと言うなら庁舎を建てればいいだろうし、いや、反対と言われれば庁舎はおんぼろでいいのですよね。そこのところをみんなたかる、中央にたかればそれで何でもできるという仕組みになっておるから、これは容易なことでは、首長さんのリーダーシップだけにそれを求めてもこれは酷というもので、私は2点ワンセットの課税自主権を自治体に与えることこそ、本当の意味でのリストラというか、改革はできるのではないかと思います。

それをやらないと、国鉄の親方日の丸のような状態がいつまでも続く。これは加藤さん、昔おやりになったが、今の地方債の増え方は、公債の増え方は、かつての国鉄の何十兆の赤字と同じではないでしょうか。諸井さんのところの分権委員会がいよいよ、今までは総論で終わっていたけれども、今度、税財源の議論に踏み込むということですから、私はいい機会だから、まさに税調からシグナルを送るべきであると思います。

加藤会長

どうぞ、榎本さん。

榎本委員

きょうは中西さんのおっしゃったことと大体基本的に賛成です。ただ、指数の高いのは自治体の努力の結果というのはちょっと実態とは違うと思いますけどね。これは自治体の置かれている条件のほうが大きい。幾ら頑張っても、財政力指数を1に持っていくというのは到底不可能だと。つまり、自分のところの税収が1割もないようなところがありますからね。でも、基本的な考え方は全く賛成です。つまり、お金を使う段階で国から地方に大量の資金が移動する。これは交付税と補助金ですね。これが地方の側の甘えや依存をつくっているというのは全く事実だと思います。ただ、それは地方の側の甘えと依存。国の側からすると、国の省庁の側からすると、強い言葉で言えば地方に対する支配の道具ですね。少し弱めれば過剰な関与と。この2つは実はセットなのですね。ですから、この関係を基本的に変えていかないと、自治体が財政運営を含めた自己責任を自覚して、その結果責任もきちんと負う、住民に対する説明責任も負っていくということに対して基本的な改革になっていかないのではないか。そういう点で、基本的に全く一致です。

さてそうすると、その2つ移動するお金のうち、交付税も補助金もいずれも改革が必要なことは事実ですが、この間の議論の中で、第2臨調以来、分権推進委員会の勧告もそうですし、それに基づく地方分権計画、さらに地方分権一括法の附帯決議の中でも、補助金の整理合理化と地方税財源の充実、こういう言葉でくくられて、この限りではすでに立法府の意思は明確になっていると思うのですね。実際はだけどどうなのかということになると、ほとんど進んでいないというのが実情ですね。分権推進委員会、私自身もある時期までメンバーとして議論に参加させてもらいましたが、こと、税財源、特に税源の移譲ということになると頑として省庁は受け入れられない。ご案内のように、地方分権推進委員会は省庁との合意したものを勧告するというやり方をとりましたから、そうするとどうしても地方分権推進委員会の勧告の中ではそこへ踏み込めなかったというのが実情ですね。ですから、ここの問題を解決しないと地方分権推進委員会の仕事というのは実は推進法の求めたところまで完結しないということなので、中西さんがおっしゃるとおり、ぜひ諸井委員長を初めとする分権推進委員会を軸にやってほしいなと。

その場合、やはりこういった経過からすれば、国庫補助金を大胆に削減する。それと同時に、それに見合う部分、所得税から住民税、例えば10%部分を移動する。あるいは消費税から地方消費税への税源移譲などを行って、この点も総論的には全体的に合意されているのではないか。つまり、使う段階と入りの段階の甚だしい乖離を少なくとも1対1にすべきではないかというふうな議論ですね。これは附帯決議の中でもこの乖離を埋めるために具体的な措置をとれということが国会の中でも示されていますから、そういうことを行うことによって、中西さんがおっしゃるように、地方がみずからやっていることについて市民に向かってきちんと自己責任がとれるような、そういったことをやっていくことが、僕は全体としての歳出構造の抜本的な改革になり、結果としては財政再建になるというふうに考えます。

加藤会長

石さん、どうぞ。

石特別委員

中期答申にどういうことを書き込むかというとき、間違いなく1つ大きな重要なポイントは、地方分権と地方税財源であろうと思います。2週間前、私たまたま出なかったのですけれども、この地方交付税をめぐって大変白熱した議論のやりとりがあったと聞いておりまして、そのとき発言できなかったので、それを受けるわけではありませんけれども、いろいろな議論を聞いておりますと、現行制度をやはり見直さなければいけないということでは私は意見は一致しているのだと思いますね。

それで、現行制度については、今小室さんのほうから、自治省のほうから大変丁寧な説明があって、地財計画の中における地方交付税制度というのががっちりビルトインされてまして、説明を受けて言うなら、結果として、しりぬぐいと言ってはおかしいですが、ギャップを埋める役割が地方交付税にあるわけですからね。これは地方交付税だけ単発でいじくって、それを全体に及ぼすという戦略もあるのかもしれないけれども、今の制度をそのまま温存する形で地方交付税の見直しは難しいですよ、はっきり言って。

そうなれば、皆さんおっしゃっているように、やはり地方交付税をとっかかりにして、今ある地財計画そのものまで組み込んだ形で何か見直さなければいけないという基本哲学をやはり打ち出すべきでしょうね。というのは、地方分権ということと地方交付税というのはそもそも矛盾しているのですよ。地方分権というのはまさに地方の自主性を認めてやりなさいと言っているのに、言うならば、集めた金が不足していて、さはさりながら中央に決めてもらったあるモデルによって、これだけやりなさいという行政サービスの数字を与えられて、そっちは全く中央のほうの意向に沿ってやると。ギャップは埋めてもらいましょうということは、言うならば地方の自主性がないわけですよ。

私ははっきり言って、地方分権下の地方交付税のあり方というのが非常なテーマになって、地方分権をどんどん進めるなら、ギャップを埋めるという発想はそもそも矛盾しますよ。逆なことを言えば、基準財政需要を満たすという発想も、地方分権にはなじまない考え方ですね。しかし、ある程度までナショナルミニマムが必要だという議論もあったし、それを貫いてきた時期もあったし、しかし、戦後50年それをやってきたわけですから、21世紀、もうそろそろ来るわけで、いつまでも同じスタイルをとるかとらないか、一回振り返って眺めて、将来どうするかという時期だと思いますね。

一人当たりの府県税収のばらつきを見ましたけれども、原理的に言うなら、私は地域格差があり税収格差があるのだから、そこは国が面倒を見る、これは当然だと思いますけれども、面倒見てもらった後、格差が縮まった後、どう縮めるか大きな問題ですけれども、あと歳出のほう、公共サービスのほうは地方の自主性に任せるというのが私は本来の地方分権だろうと思いますし、でこぼこがあるのは、地方分権を言う以上しようがないと割り切る時期もおそらく来るだろうと思いますね。

そういう意味で、私は、簡単に言えば、交付税というのはまさに歳出のほうではなくて歳入、税収のほうの面倒を見るぐらいで割り切るなら地方分権の世界において両立すると思いますけれどもね。だから、これから自治省の方、いろいろご検討しなければいけないけれども、地方分権と言いつつどこまでその格差を、特に歳出のほうの格差を埋めなければいけないかと考えられているのか。おそらく 100%見なければいけないということではないと思いますが、今ある出口で14兆円ぐらいしか要するに交付税の財源がないのに、22兆ぐらい、借金までしてやらなければいけないかというところまで今話が来ているのだと思いますよ。3年間ギャップがでか過ぎたら見直すというけれども、もう随分長いことやって、このギャップは特会から借り入れてそのままどんどん積んでいくというのはなんか先延ばしですよね。

したがって、いろいろな現状から見ても大きな曲がり角に来ているのは、恐らく地方の側から見ても問題提起されてますので、提案は、一税調だけでは私はとてもこの問題は手に負えないと思いますよ。おそらく、役所で言うなら主税局のほかに主計局、それから当然のこと、自治省で言えば税務局であるし財政局であるし、それから今後地方分権推進委員会がどう絡むかわかりませんけれども、やはり根っこにある、強力な発言力を持ち、これまで積み重ねてきたところのいろいろな審議会がある場をつくってこれから議論せいということしかないのだと思います。あと1~2カ月でこの議論、決着なんかとてもつけようがありませんからこういう問題意識を持っているから、こういった形でやりなさいというのは僕は中期答申で書くべきスタイルだろうと思いますよね。そこに行き着くと思いますので、問題意識を明確に、問題点を明らかにする場をつくるということを提案しておきたいと思いますね。

島田委員

石さんがおっしゃったことにちょっと質問的なこともあるのですが、今自治省に考え直せというお話がありましたけれども、地財計画は全省庁ですよね。ですから、日本国家そのものみたいなものでね。

石特別委員

全省庁というのは、国庫支出金のところでしょう。

島田委員

ええ。地財計画の中に社会保障も教育もみんな入っているわけですよ。ですから、はっきり言って7~8割は自治省がどうこうできる話ではないだろうと思うので、これは国家そのものだから、さっき石先生もおっしゃったし、中西先生もおっしゃったけれども、要するに国民の中の格差を認めるのかどうなのか、努力というものにどう報いるのかどうなのかという問題ですよね。例えば猪苗代町なんていうのがあります。それから東京というのがありますけれども、猪苗代町は広いところで人口少ないですから、人並みの生活をさせようと思ったら相当な費用がかかるのですね。インフラに費用がかかるのです。それはあの町の税収では不可能ですよね。それは、だから財政力指数の低いところは国家管理のような、天領ではないけれども、国家直轄地にしてやるというようなことにして、逆に東京みたいなところは完全自由独立国家にするというぐらいの自治体の構造によった分け方をしないと問題は決着つかないのではないか。

石特別委員

島田さんからご提起あった問題について言うなら、天下国家まで広げて議論するのは一番いいけれども、それは何も出てこないでしょうな。結果としておそらく、40人学級がどうだ、50人学級どうだというのは文部省の管轄だし、あるいは福祉どうだこうだは厚生省等々とありますけれども、財政のレベルでまさに基準財政需要というのは計算しているわけでしょう。補正係数ぶっかけたり等々してね。それはある高い水準のナショナルミニマムで結果としてあるモデルをつくってやっているわけですから、僕は、財政当局の責任として、こういう格好のところだけ満たして、あとは自分でやりなさいという言い方もできると思いますよ。

島田委員

1つだけ。そこなのですけれども、今の大所高所論、非常に必要で、どこかで書き込む必要があると思いますが、もう一つは、私は実は随分市町村と何年もつき合ってひどい目に遭っているのですけれども、と言ってはいけないけれども(笑)、努力してきたのですが、やはり市町村の方々の役所の考え方は、事業するときにどういう財政方式が使えるのか、そして幾ら手に入るのかということのみと言っては言い過ぎだけれども、ほとんどそうしか考えてないのではないかなと思われるようなことをやるのですね。そして、やはり市長の皆さん、政治家ですから、選挙の期間というのがありますから、そういうものに全部かかわってそういうことになる。このモラルハザードをどう防ぐかということなのですね。

実は沖縄でそういうことをやっていたわけですが、そのときに、チーム未来という市民の団体をつくって、市町村のやる事業の中身を一緒になって考えてくれと言ったら、市民の考え方は全然違うのですね。というのは、彼らは政治家ではないですから、3年、5年という単位ではないから、一生ここにいるのだから、とんでもないことになったら大変だという考えがあるのですけれども、その考え方と財政方式と額だけで競争しようというメカニズム、このモラルハザードは実はギャップがあります。ですから、むしろ健全な住民の考え方を育てるというようなところにもう一つのチェックポイントがあるのではないか。だから、情報公開なのだろうと思いますね。行政評価なのだろうと思います。その点もちょっと書いていただくといいのかなと思います。

石井税務局長

今それぞれ大変貴重なご意見をいただいたのですが、1点だけ、もうよくご存じのことですけれども、地方財政計画というのは、先ほど課長もご説明いたしましたが、要は毎年毎年、予算編成の一環として決まるわけですね。ですから、例えば交付税が多過ぎるという議論がよくありますけれども、今の仕組みでやろうとすれば、交付税を減らすなら、例えば公共事業の規模を主計局さんが勇を奮って、1割でも2割でも落とせばその地方負担も減るわけですから、当然必要な交付税も減ると。こういう関係になるのですね。

それから、この間もちょっと申し上げましたが、教育でも福祉の分野でも、いろいろな国の厚生省さんや文部省さんがおつくりになって、といっても、これは国会で法律で決まっている部分もたくさんありますけれども、例えば40人学級を例にとれば、貧乏なところは50人でいいではないかと、60人でいいではないかと皆さんが納得されれば、そういうふうにお決めになれば保障すべきナショナルミニマムが下がりますから、したがって、そうすると補助金も減る、交付税も減る、こういう仕組みになっているのです。

ですから、これは、石先生の言葉で、もちろん主計局、主税局、あるいは私どもの税務局、あるいは財政局も含めて、自治、大蔵両省でも議論すべき点が多々ありますけれども、先ほどお話に出たように、突き詰めていくと、本当に日本の国、例えば21世紀の日本国を考えたときに、交付税制度なり地財計画は結局格差是正という面と、それから一定のものはどんな貧乏なところでも保障してあげようではないかという哲学があっての仕組みですから、そこを本当にどうされるのか、そこを議論していただかなければいかんという点だけ重々お願いしたいと思います。

加藤会長

橋本さん、どうぞ。

橋本特別委員

地方財政の問題に関連して外形標準課税に戻って一言申し上げたいのですが、といいますのは、きょう大阪府の本会議で東京式の銀行課税が可決される見通しが濃厚だという新聞報道があったわけですが、ほうっておくと、住民の反対が少なくて、取りやすいところから取るというようなこの種の税金が伝染病のごとく広がるおそれがあるのではないかと。しかも、これに対してなかなかそれをとめる有効な決め手が今のところないという現状から、そういう状況を背景として全国一律的な外形標準課税の議論が今ずっと行われてきているわけですが、さっき中西委員もおっしゃいましたけれども、その結果として、今の不公平な銀行課税をモディファイしたような不公平性が残る、あるいは一部の人にとっては非常に増税になるというような外形標準課税ができてしまうと、これは非常に困ったことになるのではないかなあという危惧を持っているわけです。

と申しますのは、外形標準課税の導入に当たって、激変緩和をするとか、あるいは個人事業主は対象外にするとか、あるいは中小企業に対しては何らかの配慮をするとかいうようなことを積み重ねてやっていきますと、まともに課税されるのは非常に少数の企業だけになってきて、しかも税収をニュートラルに保とうとすると、そういう企業の負担が現在よりも結果としてかなり増えるのではないかと。悪くいうと増税になってしまうのではないかと。今、税率を幾らにするかというところまで議論がいってませんからわかりませんけれども、だから、あくまでもやはり税収としてはニュートラルであるということを基本に、外形標準課税の当初の本質であるところの広く薄く平等に課税していくと、行政サービスに応じて支払うのだという本質がどこかへ飛んでしまわないように考えるべきではないかということが第1点。

それから第2点は、この前も申し上げましたが、法人はすでに外形標準に伴ういろいろな法人住民税であるとか固定資産税だとかさまざまな税負担を特に地方税の分野で非常にやっているわけですから、もしも外形標準課税を導入するのであれば、税体系の簡素化という見地からこれらをどうするのかということもあわせて検討していただかないといけないのではないか。

それから課税標準の決め方について4つの類型があって、だんだんと最初の一番目のオーソドックスな付加価値、これに絞られてきつつあるようでありますが、4つのうちの3つの中心的な構成要素になるのはやはり人件費だろうと思うのですが、この人件費というのはどういう範囲でこれを把握するのかというのは非常に難しい。昨今行われている雇用形態の変化からいたしますと、さまざまな人件費の支出があるわけなので、人材派遣をした場合にどうなるかとか、あるいはフリンジベネフィットはどうかとか、あるいは退職給与は入るのか入らないのかとか、いろいろな境界領域に属するような分野があると思うのですが、そこのところは適切な対応をしていかないといかんのではないか。ここのところは実際の税を組み立てていくについて実に難しい問題が残っているなあという感じがいたします。

加藤会長

竹内さん、どうぞ。

竹内委員

地方財政の問題で、今、税務局長のほうから、突き詰めれば国家全体の問題だというお話があったのですけれども、私はちょっと違う感覚を持っておりまして、それはプランニングの話であって、マネジメントの領域から見ますと、現在の地方交付税、地方単独補助事業の問題は、要するに地方財政における不良債権化の問題をどう考えるかというミクロの問題なのですね。現在の赤字の問題の背景にもちろん補助事業の問題もありますけれども、ご存じのとおり、地方単独事業と第三セクターの肥大化という問題は、まさに今後極めて大きい負の資産として残ってくる問題であって、地方単独をやめたからこれで問題が終わりというわけではなくて、30兆から40兆のこれをどうやって返済していくかという問題がかなり残っているわけで、これをきちっとミクロの問題としてどうやって返済資金を確保していくのかという認識。

それから、今、人件費の問題でどうしても手当てをしなければならないのが基準財政需要のお話だとおっしゃいましたけれども、地方の現状を見てみますと、そういうまさにミニマムの問題ではなくて、とにかくものすごい数のハコモノをつくった。そのメンテナンス、人件費等々が全部残っていると。この部分を考えてみますと、これはかなり、ミニマムの問題ではなくて、今までのストック資産をどうやって活用していくか、あるいはそれを処分していくのかということをきちんと議論していただきたい。

それから3番目に、先ほど介護ヘルパーで 5,000人雇ったというお話がありましたけれども、ヘルパーは民営化でやるはずだったのだから、これで 5,000人増えましたというのは論理としておかしいのではないかと。

加藤会長

本間さん、どうぞ。

本間委員

地方税財源を充実させていかなければならないということは大方の理解だろうと思います。その際に地方交付税をセットにして考えなければならないということもそのとおりだろうと思います。しかし、私は、地方の課税自主権と交付税だけに限定した場合には、結果として、国のいわば支配が地方財政に実は増大させてしまう危険性があるということを十分認識しておく必要があるのだろうと思います。これは地方財政計画の中に織り込むときに、当然のことながら、各省庁の補助の問題がこの地方財政計画の中に織り込まれていくということになるわけで、それが結果として基準財政需要額を膨らませるという構図になるわけですから、現実においても、地方交付税というのは、自主財源と言ってますけれども、補助事業の裏財源を実は担保しているということであって、第二補助金的な性格を持っている。しかも、その傾向は財政赤字、地方債でそれを財源補てんをしているということでさらに強まっているという現状を認識した上で、我々は制度というものを再構築していかなければならないのだろうと思います。

その際に、地方交付税の基準財政需要額の算定のあり方というものが、1つは、こういういわば他の補助事業等との関係の中で、常に水膨れする部分のところを一体どのように考えるかということが、ナショナルスタンダードとナショナルミニマムの中における一つの論点であるわけでありまして、これは経済計量的に推計しますと、地方交付税というのはまさに99%近く人口と面積で説明できる。そしてその残差の部分はいわば調整係数、あるいは特殊な要因でこれは左右されるわけでありまして、この部分があるから、外形的な形での基準財政需要額の算定のあり方は現状を変えなければならないというご議論が一部にあるわけですけれども、私は、実はそういう外形的な形で基準財政需要額をまず設定し、そしてその開差というものがどのような合理的な理由があるかどうかということを精査することによって、実はこのモラルハザードの部分のところをいわば減少させていくということがまず第1点重要なのだろうと思います。

そしてその上で、補助金の部分のところが基本的に手をつけられずに、交付税と自分の税金の部分だけで議論されていくことになりますと、結果として、補助金の部分が、いわば国と地方の業務内容の精査にもかかわらず、お金の面のところでそこの部分のはりつけができておりませんので、結果として裁量的な形での各省庁の補助金の支配度というものが出てくるわけで、私は、地方財政計画、あるいは交付税のレベルだけではなく、補助金と一体になって、補助金というのはネガティブ・インカムというような言い方ができるわけで、税金のタックスエクスペンディチャーという言い方もできるわけで、これは全く税と裏表の関係にあるわけですから、補助金事業の部分のところもいわばバランスをとるような形で、整合的な形での議論というものをしていく必要があるのだろうと思います。

これはおそらく財政審、地方財政審議会、さらには資金運用審議会等でどのように担保するかという問題が郵貯の民営化等の関連の中でも今出てきておるわけでありまして、こういう部分のところを抜本的に関連する審議会等で議論せずに、つまみ食い的な形で議論するということは非常に、実はかえって曲がった議論になってくる危険性があるということを十分我々自身が税の議論の中で認識する必要があるのだろうと思います。

加藤会長

今野さん、どうぞ。

今野委員

まず、外形標準課税について私もたくさんの方々からヒアリングしてみました。今さら言うまでもないことですけれども、今この時点でもどんどん開業率を閉業率が上回っておりまして、全都道府県で事業者数が減少の一途をたどっているわけですね。その減少率も毎年大きくなっている。当然、その結果、雇用にも大きな影響がありまして、失業率も今最大になっているわけですけれども。というふうに考えますと、将来、これから有望な納税予備軍たちが今どんどんつぶれていってしまっているということだと思います。

まずベンチャーの人たちを考えますと、先ほど中西さんもおっしゃっておられましたが、どう考えても最初の3年は赤字、どんな健全な経営をしてもそれぐらいの赤字は続くわけですね。それで資金調達に苦しんでいるその時期にさらに課税することによって、さっき言ったような、企業の数が減っていくという現象に拍車をかけていくのではないかと思います。税制というのは、どういう国をつくりたいのか、どういう地方をつくっていくのか、そういうグランドデザインの基本になるべき考え方だと思いますので、ぜひともこれからそういう新しい納税の担い手たちが元気に生まれて育っていくような税制を考えるべきだと思います。

かといって、地方税制に全く無関心であるわけでは全くないのですけれども、でも、改めて、きょうも総50-3の地方税制の関係資料なんか拝見しますと、3ページなんかを見ますと、財源がどんどん減っていくし、その不足していく率も本当に気が遠くなる、けたたましい率で不足していっているわけですね。それの対応を見てみますと、相変わらず先延ばしにしたり借入金を増やしたりということで、私たち企業経営者から見ると、こういう数字の中に、そういう言い方は失礼と思いますが、汗と涙の跡が全く感じられないと思うわけですね。

それで先ほどいろいろな方からのお話がありますけれども、なぜこんな状況の中でさらに金持ち老人にお金を出すのかとか、それから、最近いろいろな人から聞くことは、自分がやっている事業に大きな補助金が次から次へとついて全く驚いていると、こんなにもらってしまっていいのかしらという話をいろいろなところから聞いております。最初は、こんなうまい話がこの世の中にもあったのだと喜んでいたのですけれども、よくよく冷静になって考えてみたら、これは私たちが出した税金ではないかと。そういう、本当にもらった人が驚くような税金のむだ使いというのは調べてみればいっぱいあるわけですね。ですから、よくわかりませんけれども、地方財政計画、地方財政法なんかがそういうものを縛っていて、地方の独自のビジョンとか活力が生かされないような構造になっているとしたら、そんなことも含めて、もっとみんなが意欲が出るような、独自の努力とか知恵が報われるようなやり方を根本的に考えてみる必要があるのではないかと思います。民間にやらせることもいいでしょう。私なんかも、過去、本当に民業圧迫されて、何のために、民業圧迫するために大きな税金を使うのかと思ったことが数限りなくございました。そういうことをぜひとも見直した上で今後のあり方を考えていただきたいと思います。

加藤会長

石さん、どうぞ。

石特別委員

すみません。退席の前に1~2分おかりして外形課税についていろいろ評判の悪い話が出ておりますので、私は小委員長を承っておりますので、若干事実経過をご説明したいと思っております。

昨年7月に中間報告を出してしばらく間を置いていたのですが、5回ほど改めてまた小委員会を設けまして何をやったかといいますと、今、中西さんとかその他の方から出されましたようないろいろ懸念等々、もう一回、実務的なレベルまで戻って議論したわけですよ。それで、我々の問題は、今の現行制度、法人事業税、これはやはり問題だろうというところから端を発しているのですが、で、新しいものをつくろうとしているわけですね。ところが、反対の方は新しいほうの攻撃ばかりして、古いほうは果たしてそれを擁護するのか擁護しないか、全然議論ないのですよ。中西さんに聞きたかったのだけど、帰ってしまったので。そこの議論がないから、やはり新税は悪税になってしまうのですけどね。これからの、地方分権であり応益という原則から言えば、やはり給与というのは一つの基本的なベースになるわけですよね。企業がその地域の公共サービスを受けていろいろやるときの具体的なメジャーになる。

ただ、おっしゃるように、雇用の問題等々もあるから、生々しく給与総額だけ使えない。だからいろいろなものを組み合わせてという案をつくったのであって、この4案についてこれからご議論いただくというところでありまして、すべて一からげで、今の段階でだめよという話は、いささか我々としては心外であるということだけ言っておきたいと思います。

それから中小企業に対する配慮の問題、あるいは、今の今野さんからのベンチャーのことも随分我々も考えておりまして、ベンチャー、それから給与の計算、橋本さんおっしゃった、フリンジベネフィットどうする等々も一応具体的な納税ということを考えて、こういうところは上げてとかいうことも十分精査したはずでありまして、といっても、最後まで反対という視点から見ると幾らでもぼろが出てくるわけですよ、新しいことは。最後はある程度で割り切りもしなければいけないところがあると思いますが、今ある既存の税制と比して遜色ないところまで出てきたと思ってますので、これから具体的にご議論いただければ、冷静に見ていただければ、そんなおかしな税ではないと思ってますし、またいろいろな議論に参加してくれた委員の方も--当然、その中でもありましたよ、反対も。反対もありましたけれども、私は議論としては十分成り立ち得るところまで構築したと思ってますので、そこだけ、ちょっとすみません、余分ですが、発言させていただきました。

加藤会長

諸井さん、どうぞ。

諸井委員

今、石先生がおっしゃったとおりで、外形標準課税については、現在ある法人事業税よりははるかにいいと思います。それで、確かに給与に今かけるというのは多少問題があると思うから、それはほかのもので緩和をする、あるいは現行税制とミックスして緩和するとか、あるいは初めスタートする時期をいつにするか、そういう判断だろうと思います。しかし、今度の中間答申にはぜひそういう具体的な方向を含めて書き込んでいただきたいと思います。

それから、さっきから議論になっている話、私、地方分権委員会をずっとやってきたことをいろいろ考えてみたのですが、今までの日本国全体のやり方というのは全部が中央集権で完全に仕切っていた。あらゆることをもう隅々まで中央で仕切っていた。それを今度ようやく機関委任事務制度を撤廃して、そのごく一部を地方が自分の裁量でやれるようにした。しかし、いまだに大宗の部分というのは中央の省庁のそれぞれの規制、あるいは監督、あるいは金の面でのチェックというものが働いているという状況ですよね。

ですから、さっきから皆さん言っていただいているように、地方の財政というのは地方だけで決められない部分が大部分ということなのだろうと思うのですけどね。それで、私どもは、それを一挙にひっくり返して全部を地方税でやれるようにしてくれということは到底現状できないと。今、県別の税収を見ても、国税と地方税と全部合わせて計算してみて、市町村と都道府県のその県の支出と比べてみたら、半分とか3分の1とかいうようなところが大部分ですから、そこは税源を全部地方へ移しても全く足りないということですよね。だからその辺は、結局は中央集権で非常に厳しくチェックをしていて、しかし末端の仕事は大部分地方にやらせている現在の制度そのものの問題になってくるから、やはり石さんのおっしゃったように、基本的な検討を加える必要があるのだろうと思いますね。

それにしても、やはり一歩でも二歩でもいいから税源を地方へ移していくことによって、自主性、あるいは自分のチェックを高めていく。その場合に、国のほうでは今財政が非常に逼迫しておって、とても税源を移すゆとりないよとおっしゃるのですが、我々の言っているのは、それを丸々ちょうだいと、今90兆歳出している、例えば5兆の税源をもらったら95兆の歳出をこっちでやりますということを言っているのではなくて、5兆税源をもらったらば、今補助金とか交付税でもらっている分のうち5兆は減らす、トータルとしては中立にするのだと。少なくとも国の財政に悪い影響は与えない、イーブンにするのですよということを言っているわけですね。さらに、そういうことをやることによって自主性が働き、住民のチェックが働いて、むしろ財政を再建していく方向へ向いていくのではないかということを言っているわけです。

さっき申し上げたように、税金が非常に地域別に偏在していますから、やはりできれば、これは個人的な見解ですけれども、消費税ですね、地方消費税のようなもの、あるいは個人所得税のようなもの、そういうような形のものをなるべく移していって、そしてまた法人事業税みたいなものはなるべく外形標準化していくという方向でやっていただければと思っております。

それから、今地方分権のほうで、さっき補助金のお話も本間先生から出ましたけれども、補助金のたぐいを全部整理をして、国が本来やるべき仕事を地方にしょわせているという意味の仕事、それは負担金という名前にして、それはだからきちんと確保しなければいかん。ですから、それは半分は補助金で見るとして、あと残りは交付税で見るという形でやっていかなくてはいかん。そうでない、各省がいろいろ奨励策をやっているようなものをいわゆる補助金。その仕分けをほぼ今終わってきたわけです。奨励的な補助金については今後各省と話して、毎年毎年少しずつ圧縮したような形をとっていくということも考えているわけです。

そういうような状況でございますので、これはやはり相当長い時間かかることだと思いますが、方向をひとつはっきりさせて、それで1年2年と一歩一歩進めていくということでぜひお願いしたいと思います。

加藤会長

和田さん、どうぞ。

和田委員

地方税の問題というのは地方分権を進められる中で非常にこれから大きな課題となっていくと思います。これはもう何人かの方からお話がありましたけれども、国と地方の役割分担全体をもっと考え直したところで検討していくことだろうと思います。ですから、地方交付税をどうするこうするという一つの税目だけを引っ張り出して議論できる問題でもないし、議論する問題でもないというふうに考えております。

税源の格差というのが、きょうの資料にもありますけれども、非常に、3.何倍ぐらい開いておりますし、これはそれぞれの地域の努力だけでは済まない問題を抱えているというふうに考えております。ですから、どこに住んでいても同じようなということはあるのかもしれませんけれども、その一定の水準というのはどこまでなのかというのはもっと議論を重ねていく必要があると思います。やはり原則的には、できるだけ身近なところで、納税者のほうから言えば税金を納める、税金を徴収するほうから言えば、国からもらってくるのではなくて汗を流して徴税をする。そのかわり、その税の使い方については情報公開を徹底する必要があると思います。

これは、情報公開法が昨年ですか、成立しまして、2001年から施行になっておりますし、それから各都道府県、それぞれちょっと名前は違いますけれども、情報公開条例のようなものを持っているところはありますが、私どもが、これは歳出の面ではなくて一定の項目について各都道府県でやってみようというので情報公開を求めてみたことがあるのです。そうしましたら、まさにそれぞれの地域で格差があるのですね。相当出てくるところもあるし、まるで、紙は出てくるけれども、墨で塗られた真っ黒なところのほうがはるかに多いというような情報の出方。これはそれぞれの役所の裁量に任されている面が多いということを私たちは問題にしておりますけれども、税金の面につきましても、使い方というのを、身近なところで納めて、そのかわり注目をして文句をつけていくという原則をきちんと立てていくべきだというふうに考えております。

それから2点目は、経済活力のために努力する者が報われるような税制というお話がありましたけれども、確かに高額所得者、あるいは法人でも個人でも努力してらっしゃる面はあると思いますけれども、低・中所得者の中にも営々として努力している人もいるわけで、その人たちがどちらかというと報われる面が少ない方向にこのしばらく来ていると。先ほど所得格差についていろいろな資料が出されましたので、これはまたゆっくり見てみたいと思うのですけれども、今言われておりますような消費税の相当大幅なアップであるとか、社会保険料まで全部含めまして、中・低所得者、それから高齢者全部とは言いませんけれども、年金に頼っている、高額の年金を受け取っている人でないところの高齢者の負担というのは確実に大きくなって生活が苦しくなっているということは言えると思います。

それから、前回欠席しましたのできょうでなければ言う場がないということでちょっと触れさせていただきますけれども、生・損保の保険料の控除、これの減額、あるいは廃止ということが出されておりますけれども、今、自己責任で自分の将来をということが言われるときに、この減額ないしは廃止というのはいかがなものかというふうに考えております。以前から、トータルの金額はちょっと忘れましたけれども、これだけをもっと有効に使えばもっといろいろなことに使えるのだというお話がありましたけれども、本当にどのように使われるのかということがわからない。だから全体で見ますと、本当にこれからの生活なり社会保障の給付のところでのいろいろな見えない面がありながら、確実に税金の面なり社会保険料で負担増になっていく面が大きいというところはきちんと見ていく必要があるのではないかと考えております。

それから一番最後に、財政支出について国も地方もと言いますと、よく給与をこれだけカットしているとか人数をこれだけ減らしているという大きなところが言われるのですけれども、私ども、家計を締めるときというのは非常に細かいところを締めていくわけです。果たしてそういうところまで各省庁なり地方自治体でもその立場にある人が本当にそれをやっているかというのは非常に疑問があると思います。

例えばの例を出しますけれども、私どものところにいろいろな省庁からパンフレットなりリーフレットとかポスターとか送られてくるのです。直接役所から来ることもありますけれども、どこかに依頼をして、委託先から来ることがあるのです。そうなりますと、例えばポスター1枚が大きな段ボールの箱に、何が入っているのだろう、空っぽみたいというとポスターが1枚入っているなんていう例があります。初めのうちは役所にそれを言っていたのです。でも、全然変わらないのです。自分たちが何か送るときには、私どもの団体なんかもう大変な思いをしてますから、これを送るのは郵便が安いのか宅急便が安いのか、ファックスを送るのも時間を考えたり、そこまでやっているわけですね。それから思うと非常にやはり、小さいことですけれども、のんきな使い方をしていると。

ポスターなんか、1枚が段ボール1つの箱に入ってくることがあるかと思いますと、何十枚のポスターをぼんと送ってこられるのです。私たち、団体多いですからある程度は渡しますけれども、正直なところむだになっていることがあります。各送付先でそういうことになっていると思うのです。最後はごみになるのです。今ごみを少なくしようとか、その費用をどうしようということがこれだけ言われるときに、おそらく、ポスターを何枚刷った、あるいはリーフレットを何枚配ったと言えば、その仕事というのは効果があったという評価になるだろうと思うのですね。翌年同じような予算がつくということにつながっていくと思うのですけれども、私たち家計をやっている人間から見ますと、もっと細かい、身近なところから見直す点があるのではないかと考えております。

加藤会長

時間がなくなってきましたので、簡単に。松浦さん、どうぞ。

松浦委員

今期、もう税調最後だということでございますので、私、2期6年税調の委員をやらせていただいておりますけれども、最初に出てきたときから、いわゆる地方の問題になると、地方はだらしがないとか、地方は何やっているのだとか、そういうご議論がたくさん今までございました。そのためにじっと我慢をしていたわけですけれども(笑)、6年ぐらいたったら一言ぐらい言ってもいいのではないかと思ってます。そういう意味で、きょうも諸井委員さんから大変地方に対してご理解あるお言葉をいただき、また、ほかの委員さん方からもいろいろとございました。地方というのは一生懸命やっているのです。ただ、地方から出てきていろいろ皆さん方先生方のご意見を聞いておりますと、中央の見方と申しますか、いわゆる東京の方の地方に対する見方というのはこういうものかなということを、私はいい勉強をさせていただいたというふうに思っているわけです。

ただ、今までいろいろと問題になった地方分権の問題なんかも、これは私は大きな今後のポイントだと思います。前回の税調の中期答申から大きく動いてきているテーマではございますけれども、税源移譲など地方税財源の充実・強化について、今後も真正面からこれを大きく取り上げていただきたいというふうに思います。大阪や東京もおやりになってますけれども、課税自主権を活用して地方団体も汗をかけと。大変これは聞こえのいい言葉ですけれども、例えば年額 2,000円とか 2,500円とかの個人の住民税の均等割、これは我々いただいているわけですけれども、これを数倍引き上げたって我々の市の財政を潤すなんていうところまでとてもいかないわけでございまして、財源確保について地方団体がばらばらに取り組みをする、これはやはりうまくないことだと思いますし、所得税の一部を住民税の所得割に移譲する、そういうものを制度としてしっかりと位置づけていただきたいと思っております。

交付税の問題も、不況の関係でいわゆる減税をしているわけでございまして、そうした意味で我々の地方自治体へ入ってくるあれが少ないから、交付税も自然に増えているところも出てきているわけでございまして、そうした意味で、ちゃんと税源移譲していただいて地方税財源を拡充しない限り地方分権は完結しないと私自身思いますし、地方6団体もそのような決議をしておりますので、その点について申し上げておきます。

加藤会長

大田さん、どうぞ。

大田委員

地方交付税の抜本的な見直しを地方税部分の最優先課題として書くというのは前回申し上げたとおりです。地方交付税の目的であるこの「財源の均衡化を図る」という、これを私は外すべきだと思ってます。「均衡ある国土の発展」という言葉が無際限に公共事業をばらまかせてきたように、もうそろそろ「均衡」という言葉は外さなければいけないわけで、交付税制度ではなくて、均衡化を図る制度ではなくて、ナショナルミニマムを確保する制度というのを新しくつくるべきだと思ってます。ナショナルミニマムを確保するのであれば、趣旨から言うと国庫支出金なのですね。これは使途を明確にして払う補助金ですから、補助金というか委託金のようなものですから、今の国庫支出金がいいとは思いませんけれども、私はむしろ国庫支出金というものをナショナルミニマムを確保する制度にきちんとして、地方交付税に関しては廃止を含めて検討していいと思います。経済戦略会議の答申に書かれましたように、離島など一部の地域を対象としたそれだけの制度にとどめて、ナショナルミニマムはナショナルミニマムとして確保する新しい制度をつくるべきだと思います。国税から地方税への移管というのはあくまでこれとセットであって、税財源だけの移管というのはあり得ないと思うのです。外形標準課税もこれとセットでして、法人事業税を外形化するということは国の制度として決めていいですけれども、税率は私は地方自治体が決めるべきだと思ってます。それぞれの地方自治体が地元企業と向き合って税を取るということがこれからの時代は重要だと思います。

それから1点、前半部分のところですが、徴税体制を強化する、ペナルティを強化するということはやはり書くべきだと思うのですね。幾ら行政改革ではあっても、事後的なチェックの部分、金融の検査、それから公取の役割、それから徴税、この3つは大々的に強化するということが、これは行政改革とセットで必要なことですから、そのことをしっかりと書くべきだと思います。それとあわせて納税の簡便さ。それはみなしで計算するようなご都合主義的な不透明な制度ではなくて、電子化が大分進んでいると思いますが、いつまでも手書きではなくてITを使って納税をする、それからグレーゾーンをなくしてわかりやすい税にするというようなことを書き込むべきではないかと思います。

加藤会長

神津さん、どうぞ。

神津委員

中期答申に向けてなのですけれども、税を取り巻く環境変化の中で、税調がどれだけそういう税を取り巻く環境の変化を把握していて、それに対して改革しようとしているのかという姿勢が多分問われる答申になるだろうと思っております。網羅的になってはいけないけれども、早急に改革するものと、それから今すぐというわけにはいかないけれども、やはり改革を視野に入れて建設的に考えていかなければいけないものをきちんと入れていただきたいなというのが私の基本的な考え方ですが、私が触れられる部分でちょっと申し上げることがあるとすれば、個人所得税の中で課税最低限のことが時々話題に出るのですけれども、資料をいただいて国際比較の表を見ますと、368.4万円というこの数字だけを見ますと、日本は比較的高いなという感じがいたしますので、それを引き下げるということに対しては、それでもいいじゃないかという感じにはなるのですけれども、ちょっとひっかかることが2つあります。

1つは、物価とか、それから申告の方法も異なる国際的ないろいろな国々のものとを比較したときに、果たして 368.4万円というのが高いのか安いのかというのは、ちょっと別の角度から見ると非常に把握がしにくい。例えば私の友達、イギリスに住んでおりましたりドイツに住んでいたりするのですが、慌ててEメールで幾らぐらい光熱費がかかるかとかいうようなのを問い合わせてみて返事をもらったりすると、東京なんかに住んで、夫婦と2人子供がいて 368.4万円とは大きくやはり実態が異なる。ということを考えますと、数字だけで考慮する、数字だけが見えてきてもなかなか見えないものがたくさんあって、実は今税制とかそういうことで国民から何となく文句が出てくるとすると、数字と実態、実勢との差というところに人々がやはりいらつきを感じるのではないかなという気がするのです。ですから、この数字と実勢の間を埋めるという努力をしていかなければいけないのではないかなということが1点。

それから、夫婦と子供2人の給与所得者というのが大体平均的になってよく出てくるのですが、きょうの表を拝見させていただくと、夫婦と子供2人というのは世帯構成の15%で、単独世帯が23%。もちろん夫婦で子供が1人から4人以上までというのを入れれば、夫婦と子供がいるという家庭は34%ですけれども、それでも単独世帯というのが23%もある。その中で平均値を夫婦と子供2人というところでとっていくということも、つまりこれは世帯を一つのロットとして税制を考えていくということの限界にももしかしたら来ているのかなあという印象をちょっと得ました。

ですから、そういう意味で、いろいろなところで変化が起こっている中でどれだけ税調がそこのところに目を向けているかというような部分を、もちろん外形標準課税、地方交付税、国際課税、いろいろな問題があるのですけれども、変化に対して抜かりなく目を向けているというような姿勢だけは見せた答申にしていただきたいなと思っております。

加藤会長

松本さん。

松本(和)委員

町村の立場でも申し上げたいと思いますが、いろいろ厳しい意見等が地方に対して出てきているわけでございますが、東京を初め大阪にいたしましても、行革関係、我々の町でも、今年度はやはり取り組んできているわけです。まじめに地方団体もやっているのではないかと思います。また、地方交付税について財源の保障関係でなくしたらいいというような意見等も出ていたわけでございますが、それについて国庫の補助金関係でやった場合にはやはり特定の事業になるわけでございますから、国の下請機関というようなことになってしまいます。そういうこと等もございます。住民のニーズにこたえながら我々はある程度やっていかなければいけないわけですが、先ほど、自由度ということも出てきました。何とか我々も地方分権とともに自由度を拡大してやっていきたいという気持ちを持っているわけですが、財政力指数、0.1のところもございます。これは何としてでも拾っていかなければいけないわけでございますが、また情報公開等においても、我々のところもやりましたし、今全国でもそういう動きになっておりますので、住民のチェック関係も十分にいくのではないかと思います。

それと同時に、町村部では人口が現在 2,750万、約2割、また面積で27万平方キロ、約7割を占めているわけですが、町村においては、食料にいたしましても、また水の供給にいたしましても、国土の保全、あるいは電気など国民生活に不可欠なものを供給しているわけでございます。そういうこともどうか考えていただいて、やはり身近な行政を預かっているのは市町村でございます。とりわけ町村にとっては地方交付税関係については必要不可欠なことでございます。また、先ほど説明がありましたが、地方財政の歳出の分析関係、これについても地方のほうが70~80%請け負いながら現在のところはやっているということもご理解を願いたいと思います。

それから、最後のあれということですから、この前も申し上げたのですが、道路関係も簡単に申し上げます。実は道路関係については、この前全国の町村会の常任理事会を開いた折にもその件を出したわけでございますが、理事会の折にも、国民的ニーズが高いからということで、ぜひとも一般財源ではなくて特定財源、また環境問題等もいろいろ言われているわけでございますが、渋滞関係を解消、また道路の整備をやった場合には、そういう関係も軽減されるのではないかと思います。そういうことで、道路特定財源については堅持を町村、地方自治体としてはぜひともお願いしたいということが強く言われているわけでございますので、その点もご理解を願いたいと思います。

加藤会長

もう3人でいらっしゃいますが、あとご相談したいことがありますので、お残りいただきたいと思います。どうぞ、松尾さん。

松尾委員

交付税制度の問題でありますけれども、地方財政計画で国が地方の歳出、歳入の収支じりを見ていると。これは財政的には国と地方自治体が親子関係にあるということを意味すると思うわけであります。ミクロでも財源保障しているわけですね。地方が勝手にやる単独事業まで、後年度の交付税措置とか事業費補正による交付税措置とかいうことで面倒見てますね。このどこがナショナルミニマムなのか、わからないわけです。それと、一定水準を保障するのだという先ほどの税務局長のお話ですけれども、税源偏在を調整する以上の調整をして歳出を保障している。これはまるでおんぶにだっこですね。地方交付税法でマクロ、ミクロの財源を保障していることがやはりモラルハザードを招いているわけでありまして、ここがやはり最大の問題だと思います。だから、量的に交付税を削減すればいいという問題ではない。これはまさしく島田委員のご指摘どおりだと思います。モラルハザードを派生させやすい仕組みを持っている、こういう地方交付税制度自体にやはり問題があると私は思います。歳出保障する交付税制度は地方分権と矛盾してますね。ですから、交付税制度をそのままにしておいて、地方分権とか課税自主権とか税源移譲とか言ったって始まらないと思うわけであります。

ということで、私は、交付税制度自体を廃止しようとは言いませんけれども、やはりこの対策は考える必要があると。ですから、やはり地方自治体の人口一人当たりの税収をならすという程度にとどめる必要があるのではないかと。そこまで政府税調としてはっきりものを言ったほうがいいと私は思います。

それから最後に法人事業税の外形標準課税化問題ですけれども、一言ですが、これは相手は選挙権のない法人ですね。選挙権のない法人、これで一たん導入すると税率がどんどん引き上げられてしまうかもしれないという大変危惧があるわけでありまして、そういった企業の危惧についてはやはり十分理解しておく必要があると私は思います。

加藤会長

栗田さん、どうぞ。

栗田委員

きょうは地方交付税の問題がかなり出てましたが、地方交付税、現在、国で赤字国債を出すといったようなことで、これによる補助金の見合いを地方でどう賄うかということで、交付税について特会で措置をしているといったような現状の中でこの交付税のことが論じられているわけでございますが、そういった状況はやむを得ないことなので、中西さんが言われましたように、努力している自治体が報われるようにという話ですけれども、財政力指数が小さい市町村では努力しても報われないわけでございますので、その意味での財政調整機能は十分果たしてもらう必要があろうと思います。

3,000の自治体がございますので、中にはむだ使いをしているのではないかと指摘されるような面もあるようでございますけれども、一般的に申し上げますと、自治体は非常に努力しているわけでございます。特に政策評価なり、あるいはパブリックコメントということで住民の意思を尊重するといったようなことも進めているわけでございますので、そういったことも勘案の上で、この地方交付税の問題、これは税調で議論するというよりは、例えば地方分権委員会であるとか、あるいは地方制度調査会といったようなところで十分な議論をしていただくべきではないかと思います。

それから税源移譲、地方税財源の充実の問題でございますが、フランスでも、あるいはドイツでも税源の移譲ということで取り組みをされているようでございますので、ぜひともそういったことに力を入れていただきたい。そして、国と地方の収入が3分の2対3分の1というような現状、これを改善していただいて、少なくとも国と地方1対1といったようなことに持っていっていただきたいと思います。

それから、そういう税源確保をする場合に例えば環境税、炭素税の議論も出ているようですけれども、それ全部国税でやるのかといいますと、地方税で一部課税をするということは、環境についての住民の理解も深まるといったような意味で意味があるのではないかと思います。

加藤会長

松尾さんにちょっと反論があるそうですから、どうぞ。

石井税務局長

反論ということではありませんが、地方財政計画については、先ほど私、基本的な考えを申しましたので繰り返しませんが、1点、単独事業について、ナショナルミニマムを取り上げたような議論がありました。これは前回、本間委員さんもおっしゃったように、地方団体に、要するに補助事業しかできないような財源措置をするのでは、それでは地方の創意工夫が全くないということになるので、それは国としてとれないということで、従来から一定程度の単独事業は地方財政計画上位置づけていると。特に竹下内閣以降は、やはり補助事業というのはどうしても国がいろいろなことをコントロールして縛ることになりますので、なるべく単独で、地域の創意工夫を生かしてやっていこうではないかと、そういう仕組みにしようではないかということで、それ以来単独事業に特に、ある程度力を入れてきたという経緯があります。ただし、最近、国も地方も財政事情、非常に厳しいですから、最近は、ご承知かと思いますが、単独事業も減らしぎみにしております。

それからもう一点、念のためですが、先ほど私どもの課長が経済対策の説明をしましたけれども、5ページの資料にありますように、ここ7~8年ずっと毎年のように経済対策をやっている。そういうときには補助事業をやれるようにするために補助裏の交付税措置もする、地方債措置もするというだけではなくて、これは政府として地方にぜひ単独事業もやってくれと。景気対策のためにですよ。そういうふうに言われて、何度も2兆円、3兆円とやってきた経過があるのですね。そういうふうに言う以上は、当面お金がないから地方債を当てはめて、元利償還は交付税措置するということになってきているわけで、そういったことも含めて、よく総合的なご議論をしていただければありがたいなと思っております。

加藤会長

平田さん、どうぞ。

平田委員

中期答申でぜひ書いていただきたいと思いますのは、行財政改革という旗印で随分やってまいりましたけれども、特に行政的な改革の旗印がいつの間にかあまり声高になってきていないということが見受けられるように思うわけであります。いろいろなところで行政の経費などを縮めるというようなご努力はしておられるけれども、歳出の規模自体はほとんど変わらない。しかも介護保険の導入などによって新しくそういうお金のかかるものが増えてくるということにもなりますし、ですから、ぜひその点を声高にひとつ書いていただければありがたいなと思う次第であります。

特にお国については、特殊法人とか財政投融資関係の改革の話が最近はあまり出てこないという気がいたします。それから地方に関しましては、第三セクターに代表されるような、民間事業に移管してもいいようなもの、それから公社・公団等の民間でやってもいいようなことをやらざるを得ないような仕組みが現在もたくさんあるということについて、やはりもうちょっとその歳出規模を縮めるという観点を、税調のほうが言うのは筋が違うのですけれども、常に歳出の規模が小さくならない限り税収の維持は難しいわけでありますから、ぜひその点を書いていただきたい。

それからきょうの話題の「納税環境整備」と「税務行政」に関係いたしますが、新聞等で拝見しますと、中期答申の題目が幾つか出てまして、消費税についてはインボイスをやるのだということまで書いてあるのですけれども、私はその点大丈夫かなという気がするのでありまして、消費税を将来的に上げていかざるを得ないよという書き方をなさるのでしょうけれども、その中に必ず、私が従来から言ってまいりましたように、外税ではなくて、内税まではいきませんけれども、税額表示方式を早急に導入して、そしてその後に消費税の値上げがあるというふうな納税環境をぜひつくっていただきたいなと思う次第であります。

それからもう一つは、確定申告の枚数が還付申告のほうがはるかに多くなってまして、あれなんかも、実際コスト的には、結局一枚一枚、100円でも間違いないように還付しなくてはなりませんから、コンピュータを使ったりなんかして今やってますけれども、何かこれもそういう還付の対象になるものを少しは整理整とんしていただいて、住宅取得控除なんかは経済不況対策で必要なのでしょうけれども、例えば医療費などはもうそろそろいいのではないかなという気がするのでありますが、その点も、いかがでございましょうか。よろしくお願いします。

加藤会長

ありがとうございました。ご意見をいただいたところで、実はきょうは、総会、これが最後でございますので、これからどういうふうにしたらいいかということにつきましてお諮りをしたいのでありますが、6月中に衆議院の解散・総選挙が行われるという報道がございます。多分そうなるのかなあという感じがいたしますが、もし総選挙が行われるということになりました場合には、その間審議は中断することにしたいと思っております。選挙終了後に起草作業に入りまして、7月上旬までには答申を取りまとめたい、こういうふうに考えております。

具体的な日程は決まり次第ご連絡を申し上げたいと思いますが、起草作業の進め方でございますが、従来、起草小委員会というのをつくっていたのでございますが、今回の中期答申は、これまで基本問題小委員会を中心に議論を重ねてまいりましたので、その基本問題小委員会をそのまま起草小委員会に振りかえまして、同じメンバーで審議をお願いしたいと考えております。ご多用のところでございますけれども、ぜひよろしくお願いしたいと思いますが、起草小委員長には、例年どおり、松本会長代理にお願いしたいと思っております。

それから中期答申をどんなふうにしたらいいかということにつきましていろいろとご意見をいただいたところでございますが、そういった点すべて、私たちも本当にそう思っている点がたくさんございますので、そういうご意見を取り入れていきたいと思ってますが、まず最初に、私どもといたしましては、21世紀に向けて税制をどういうふうに選択していくかということが大きな問題でございますから、そのために我が国の税制の現状と課題を網羅的に国民に提示いたしまして、そして税制について国民が考える上での判断材料を幅広く提起をしていきたいというふうに考えております。その意味で、前から申し上げております「参加と選択」ということが私どもの一つのキーワードになっております。

また、その際、中期答申は、ややもいたしますと専門家向けのものとなってしまいますので、今回の答申は、税とは一体何かといったような基本的な部分からわかりやすく書き込みまして、いわば税制の白書のようなものをつくりたい。図表なども、最後にまとめるのではなくて、文中に織り込んでいくとか、あるいは税制について今まで私たちがやってきたことについて改めて提示して、相当の変革を行ってきたことを理解してもらいまして、これまで世間で言われているような税制に関するさまざまな誤解を解いていきたいというふうに考えております。

そうなりますと、今回の中期答申はかなりボリュームが大きくなりますので、起草作業は選挙後に開始することになりますが、総会の皆様方及び起草委員会にはかなりタイトなスケジュールになるかと思いますので、よろしくお願いしたいと考えております。

なお、最後になりますが、次回以降は答申作成に向けまして審議を行うことになりますので、従来どおり、審議の公開は行わないことになると思います。また、各省庁幹事の方の出席についてもご遠慮願うこととしたいと考えているところでございます。

以上のようなことでよろしゅうございましょうか。--もしよろしいようでございましたら、そういうふうに進めさせていただきます。きょうは時間を大変超過いたしましたが、ありがとうございました。

〔閉会〕

(注)

本議事録は毎回の総会後、速やかな公表に努め、限られた時間内にとりまとめるため速記録から、大蔵省主税局及び自治省税務局の文責において作成した資料です。

内容には正確を期していますが、税制調査会議事規則に基づき、事後の修正の可能性があることをご承知置きください。