第11回総会 議事録

平成12年12月13日開催

石会長

それでは、ただいまより税制調査会第11回総会を開催いたします。

今日は、これまで御審議いただきました「平成13年度の税制改正に関する答申」を、最終的に御確認いただくわけでございますが、議論に先立ちまして、宮澤大蔵大臣、片山自治大臣、お見えになりました。それと同時に、村上大蔵総括政務次官、若林大蔵総括政務次官、さらに、遠藤自治総括政務次官が一緒にお見えになっております。

まず、両大臣から御挨拶をいただきたいと思います。

では、宮澤大蔵大臣、よろしくお願いします。

宮澤大蔵大臣

歳末押し迫りまして、御多忙のところありがとうございました。本日、第11回総会が開かれるに当たりまして、一言御挨拶を申し上げます。

委員の皆様におかれましては、日頃から平成13年度税制改正について、いろいろ御検討、御配慮をいただいておりまして、年も押し迫りましたが、改めて厚く御礼申し上げます。

この調査会におかれましては、現下の経済情勢、あるいは厳しい財政状況等を踏まえるとともに、21世紀初頭の望ましい税制の姿を見据えつつ御審議をいただいてまいりましたことと存じます。

本日はその成果であります「平成13年度の税制改正に関する答申」をお取りまとめいただく運びであると承っておりますが、もとより私どもといたしまして、御答申に対しましては十分尊重をいたしまして、また勉強して対処してまいりたいと考えております。

なお、ただいま平成13年度の予算の編成に当たっておりまして、ほぼ最終段階に入っておるわけでございますが、私はかねてこの秋、年末にいわゆる公需から民需へのバトンタッチが大体できるという期待をいたしておりましたが、民間設備投資、企業活動のほうは昨年の今ごろから動意がございまして、今日までまずまず満足な経緯をたどっておるわけでございますが、普通のときと違いまして、これが雇用あるいは家計消費になかなか転嫁されていないというきらいがございます。ちょうど先般7-9月のQEが出たところでございますが、この中で民間消費はゼロ、ゼロでございまして、昨年も年末はあまりよくございませんでした。今年末がどうでありますか、ボーナスを見ておりますと全体として1%未満ではないかと、まだ半分しか済んでおりませんが、早く妥決した方が悪い方のようでございますけれども、全部見ますとそのぐらいではないかという感じがいたします。

消費あるいは家計がいつ活気づいてくるのか、消費の方は数字で申しますと、完全失業率は5%に達するということはなかったわけでございますが、有効求人倍率は少しずつ良くなってきておりましたから、数字の方では別に悪いとは申し上げにくいんですが、しかし、どうも片一方でIT革命ということがいろいろ言われておる中で、アメリカと違って雇用がそれに対応するのにいろいろ苦労があるのではないかと、アメリカは御承知のようにああいうことをいたしますから別でありますけれども、したがって普段の時とここで雇用の構造あるいはいろいろな雇用の習慣が変わるところにきておるのではないかと気もしておりまして、これは分からないことを分からないまま申しておるんですけれども、その場合には、少し雇用、消費のバトンタッチがかなり遅れるということになるかもしれないということを、予算編成をしつつ、少し考えております。悪くなるということを申し上げているのではないんですけれども、どうもそういう問題を考えておく必要があるかなと思っているところでございます。

いずれにしましても、財政そのものの効率化あるいは質的改善にも努めまして、公債発行額、新規発行額は、何とかして目に見える程度圧縮をしてみたいと思っておるんですけども、まだまだ完全に健康体になっていないということから、いろんなことをやや考えなければならない点もあろうと思います。そんなことで予算の編成をやらせていただきまして、何とか21世紀のスタートをいたしたいと思っております。

石会長をはじめ皆様には今年も大変御厄介になりまして、厚く御礼申し上げます。どうぞ良いお年をお迎えくださいますようお祈りいたします。

石会長

大変ありがとうございました。

引き続きまして、片山自治大臣から、お願いいたします。

片山自治大臣

12月5日の内閣改造で、自治大臣を拝命いたしました片山でございます。本日は、税制調査会第11回総会に当たりまして、一言御挨拶を申し上げます。

本日は、先ほどお話がありましたように、当調査会としての「平成13年度の税制改正に関する答申」をお決めいただけるようでございますけれども、これが決定に至ります過程で、私どもが関わっております地方税についても、熱心な御審議を賜りましたことを心からお礼を申し上げたい、こういうふうに思います。

また、審議の過程で、地方税の充実・強化のあり方、法人事業税の外形標準課税の導入等につきましても、いろいろな検討、議論をいただいたようでございまして、適切な指針がお示しいただけるのではなかろうかと考えている次第でございます。

いずれにせよ、答申していただきましたら、私どものほうはそれをしっかりと受けとめまして、来年度の税制改正に取り組んでまいりたい、こう思っておりますし、引き続いて、地方税の充実・強化や、地方税体系として偏在の少ない安定的な地方税制のあり方についてさらに努力してまいりたい、こういうふうに思っている次第でございます。

石会長、上野会長代理をはじめ、委員の皆さんのこれまでの熱心な御審議に伴います御努力や御苦労に、心から重ねて謝意を表しますとともに、宮澤大蔵大臣も言われましたが、どうかいいお年をお迎えになりますように私からもお願いして、御挨拶といたします。ありがとうございました。

石会長

どうもありがとうございました。

それでは、両大臣並びに政務次官の方々、公務の関係で御退室になります。御多忙中のところをどうもありがとうございました。

村上大蔵総括政務次官

どうもお世話になっております。私は戦後生まれでございますが、財政と経済と教育の建て直しが一日遅れれば遅れるほど、次の世代が痛むだけだと考えております。両大臣のもとで一生懸命やりたいと思いますので、会長、ドラスティックなものを来年は提示していただくように切にお願いします。ありがとうございました。

石会長

強力なサポーターがあらわれまして、我々、大いに意気揚がるところでございます。どうもありがとうございました。

〔両大臣、両政務次官退席〕

石会長

それでは、審議に入りたいと思います。

お手元に、「案」という形で答申案がまとめられております。これを今日、正式にお認めいただくわけでございます。そこで、これまでやってきました数々の議論を思い起こしつつ、いま朗読してもらいますので、特に御関心の箇所は十分ウォッチされてお聴き取りいただきたいと思います。30~40分かかるかもしれませんが、最後でございますので、ぜひお聴き取りいただきたいと思います。

それでは、事務局から読み上げていただけますでしょうか。

〔事務局読み上げ〕

石会長

長文の朗読、ありがとうございました。

それでは、いまお読みいただきましたことの観点で取りまとめたいと思います。いろいろ思いのある文章もいっぱい並んでいると思いますし、我々、ずいぶん議論いたしました。ここに至るまでに多数の方の御協力並びに妥協もいただいて、この文章になったわけであります。まだまだ御不満の点もあるかとも思いますけれども、一応こういう形でまとめましたので、取りまとめたいと思っておりますが、いかがでございましょうか。この際、御発言という方がありましたら、どうぞ。

〔「異議なし」という声あり〕

石会長

ありがとうございました。それでは、これで取りまとめさせていただきます。

これは、上野さんと2人でこれから首相官邸に赴きまして、森首相に直接お渡しするという形になっております。この記事は、総理に答申をお渡ししたあと解禁ということでございます。同時に、これはいずれ事務局から、案というのを取り除いて正式な文書をお手元にお届けいたします。

それから、今日、この場を借りまして、お諮りしたいことが三つほどございます。

一つ目は、来年1月6日から中央省庁等の再編が行われますので、新議事規則の制定につきまして御説明いたしたいと思います。

二つ目は、小委員会の審議の公開についてでございます。

三つ目は、かねてからここで議論いたしております、インターネットによる総会の審議を中継する件でございます。

それでは、事務局から御説明し、皆様から御意見を伺いたいと思います。

小手川総務課長、よろしくお願いいたします。

小手川総務課長

お手元に三つの種類の資料を配付させていただいております。一つは、横紙で、「税制調査会議事規則(案)」というものです。もう一つは、一枚紙で、「審議会等の整理合理化に関する基本的計画(抄)」というものでございます。もう一つは、第1回の総会で配付いたしました、「税制調査会の設置、運営に関する資料」、この三つでございます。

まず、小委員会の公開の問題から説明させていただきたいと思います。審議会の公開につきましては、いま見ていただいております、お手元の一枚紙の「審議会等の整理合理化に関する基本計画」、これの「審議会等の運営に関する指針」というものにおきまして、「会議又は議事録を速やかに公開することを原則とし、議事内容の透明性を確保する。なお、特段の理由により会議及び議事録を非公開とする場合には、その理由を明示するとともに、議事要旨を公開するものとする」というふうにされているところでございます。

そこで、税調について申し上げますと、総会審議については、すでにこの「公開の基準」を満たしているところでございます。今回問題になりますのは小委員会のほうでございます。現在、法人課税小委員会が設置されておりまして、法人課税小委員会につきましては、第一に、これは、総会から、専門的、実務的な観点から検討を小委員会に委嘱されているという性格のものでございまして、小委員会における審議事項は必ず総会に報告されるということがございます。

第二といたしまして、税制調査会としての意思決定は総会において行われる。

第三に、審議終了後には小委員会から議事の概要を記者レクするということで、実質的な公開をしているという理由から、従来、小委員会については、会議、議事録とも非公開としてきたところでございますけれども、来年の1月6日以降につきましては、この閣議決定による基準を満たすようにこれを見直す必要がございます。

その場合、会議または議事録を公開するか、公開しない場合には、理由を示して議事要旨を公開するのか、この二つのいずれにするかについて決定していただく必要がございます。これが、第一点の小委員会の公開の問題でございます。

次に、新しい議事規則の制定です。これは、来年1月6日からの中央省庁等の再編に伴いまして、この税制調査会は、現在、総理府の所管でございますけれども、これが内閣府に移管されまして、新しい組織となることから、議事規則も改めていただく必要がございます。議事規則につきましては、税制調査会令第9条によりまして、「会長が調査会に諮って定める」ということにされておりますことから、現在、会長とも相談させていただいた上で、新しい議事規則の案をお手元に配付しているところでございます。

これに沿いまして、現行規則からの主要な変更点を申し上げます。

まず第一が、先ほど申し上げました小委員会の公開の点でございます。一応議事録の公表を前提にした案でございますけれども、これは後ほど、もう一度この場で決めていただく必要がございます。具体的には、新しい規則の第7条及び第13条で、それぞれ第4条を準用しているということでございます。

第二でございますが、現行の規則3条に「総会における議決の定足数」ということが入っております。実は、この点につきましては、すでに改正されております税制調査会令第6条において、これと同一の内容が規定済みでございますので、これを削除しているところでございます。

第三は、現行の規則の第6条と第13条に「特別部会」という規定がございます。この特別部会につきましては、組織の簡素化の観点から、改正後の税制調査会令におきまして、部会と一本化することになっておりますので、これをその規則においても削除しております。

その他、所要の規定の整備でございますが、主要なところは以上でございます。

なお、この議事規則は、本日、総会で決定されれば、来年1月6日からの適用ということになるわけでございます。

第三点は、ネット中継でございます。先般、会長から、ネット中継についての技術的な問題を検討せよということでございました。省内等のネット関係の技術部門、専門家も交えていろいろ検討してまいったのですが、基本的に、技術面、それから安全面での問題は解決されるという結論に達しております。

具体的なネット中継の方針につきましては、いろいろな条件を勘案いたしまして、基本的にネット中継に必要な作業はすべて外部に委託するという形でやりたいと思っております。その場合に、会議の模様についての内部の中継、まさに実況中継を行うほかに、情報に対してアクセスする者の便宜を勘案いたしまして、例えばその次の総会まで、ないしは1カ月程度、録画でも見ることができるようにするのがベストではないかと考えております。

イメージで申し上げますと、会場にカメラを1台設置いたしまして、会長を中心に遠景を撮影する。資料については、総会後できる限り早くホームページで公開いたしますが、そのような格好でやりたいと思っております。

コストにつきましては、1回当たり50~100万円ぐらいかかるという感じでございます。この情報に対してアクセスしたいという方は、「リアルプレーヤー」という動画仕様のフリーソフトをインストールしておきまして、その上で大蔵省のホームページにアクセスし、税調中継のアイコンをクリックしますと、中継が見られるという形でございます。

以上でございます。

石会長

ありがとうございました。三点、いま小手川さんのほうからお出しいただきました。一つ目は、法人課税小委員会の公開の問題、二つ目が、存続の問題、三つ目が、インターネットで技術的にこうやれるという御説明でございます。

いまの御説明について、御質問があれば、どうぞお出しいただきたいと思います。

どうぞ。

菊池特別委員

つまらないあれかもしれませんが、1回100万円というのは、ちょっとだまされているのではないですか。

小手川総務課長

実は、複数の会社に複数のオプションについて提示していただきまして、その中ではこれが一番安い案だったのでございます。

石会長

菊池さん、安くできるもっといいアイデアがあるのですか。

菊池特別委員

別にないですけれども、どう考えてもそんなにかからないのではないですか。

石会長

それだけ探していただいたので、これ以上コストを下げることにはならないかもしれませんが、重要なことは、100万円に値する審議をここでするということですよ。

それでは、インターネットのほうはそういう技術的な問題で、改めてここで御審議いただくこともないと思いますので、これはそのまま事務局にお願いいたしまして、来年から導入し、公開という段をもっと実質的にしたいと思います。

それから、もう一つの小委員会の公開でございます。これは、再度お諮りするほうがいいかと思いますが、いつだったか総会におきまして、すでにこの件をお諮りしてあると思います。そのとき、今日お見えになっていませんが、水野小委員長から、「会議を公開するのではなくて、事後的に議事録を公開する段から始めたい」ということで、一応メンバーはそこで了解をいただいていると思います。

理由は、小手川さんから、二つ、三つ出されましたが、議論が極めて技術的、専門的であるとか、小委員長が記者レクをしているとか、あるいは、総会に必ず報告されますから、まとまった段階ではありますが、総会を通じて小委員会の議論は知りたい人の耳に達する、こういう形で法人課税小委員会は議事録公開という段だけで今のところは止めたいと考えております。理由は今申したとおりでございますが、この点、再度お諮りするという形で皆さんの御承認を得たいと思います。どうぞ、佐野さん。

佐野委員

議事録の公開というのはどういう方法でやるのですか。

石会長

ホームページだと思います。

佐野委員

私は、何度か申し上げたことがあるのですが、小委員会の決定がそのまま最後の決定までいってしまうことが結構多いわけです。特に地方法人課税小委員会なんていうのは、既成事実化してしまったようなところがあって、私はやや忸怩たるものを感じているのですが、いずれにしろ公開というのは、インターネットもさることながら、少なくとも総会のメンバーには速やかに郵送なり何なりの手段を講じてほしいということ。

それから、小委員会の開催時期と総会の開催時期が必ずしも一致しない。小委員会でかなり煮詰まって、言ってみれば後戻りできないような状況になって、「こうなりました、御了承ください」というケースが考えられるわけです。議案の重要性にもよるとは思うのですが、そこは会長の御判断で、小委員会の審議の経過について、総会の意見を聞くという意味で、定期的なものではなくて、総会の意見を調整する場をもっと多く設けてもらいたいということを注文しておきます。

石会長

いま、総会の議事録は文書で皆さんに送っていますよね。小委員会の議事録も委員の方に送るのでしょう。送らないのですか。

小手川総務課長

先ほど申し上げましたように、現在は公表していないものですから、送っていないのですが、今度はそういう形で公表するということになりますと、お送りさせていただくことになります。

石会長

それと、総会での報告と小委員会の進捗状況に齟齬があった場合、総会に報告する場をもう少し増やしていいかと。これはまた事務局と相談いたしまして、その方向で図りたいと思います。

ほかに何かございませんでしょうか。

それでは、当面、議事録の公開という形で法人課税小委員会はさせていただきます。同時に、先ほどありましたように、1月6日からの省庁の再編で、小委員会の制度自体、存続するかどうかをもう一回お諮りしなければいけないのですが、言うまでもなく、すでに議論がだいぶ進んでおりまして、これを急に別な組織にするとか、やめてしまうわけにもいきません。非常に実のある議論をしておりますので、議事規則に基づきまして、形式的にこれをまた改めて、法人課税小委員会というのを設置して継続したい、このように考えております。これから連結納税のほうにも議論がいくわけでありますので、引き続き、同じメンバーで審議していただきたいと思います。

これもよろしゅうございますね。

それでは、用意いたしました三つの案件も済みました。今後のことは、またいずれ時間を改めて、事務局から議題設定等々で御連絡がいくと思います。

大変長時間、熱心な議論をいただきまして、ありがとうございました。どうにか来年度税制改革、まとまりました。心より御礼申し上げます。どうもありがとうございました。

よいお年をということで両大臣から言われましたので、我々も上野さんと2人で、強調を込めて申し上げます。

〔閉会〕

(注)

本議事録は毎回の総会後、速やかな公表に努め、限られた時間内にとりまとめるため速記録から、財務省主税局及び総務省自治税務局の文責において作成した資料です。

内容には正確を期していますが、税制調査会議事規則に基づき、事後の修正の可能性があることをご承知置きください。