第7回総会 議事録
平成12年12月1日開催
〇石会長
まだお見えでない委員の方がいらっしゃいますが、時間になりましたので、第7回目の総会を開催いたしましょう。
前回、大変白熱した議論がございまして、積み残しのトピックスもかなりございますので、今日は残ったものを一括して慎重に審議をいたしたいと思います。
お手許に『本日の審議の進め方』と書いた紙が1枚配られていると思いますが、こういう形でやっていきたいということで、まず事務局から60分程度、6つの項目につきまして連続して御説明を伺います。その後、3つのグループに分けまして、30分ずつ取りまして議論を進めたいと、このように考えております。このとおり行くかどうかわかりませんが、とりあえずやってみましょう。
そういうわけで、まず御議論いただくのは、金融・証券関連税制からであります。
それから、大分委員同士の間で議論が行われるようになったのは非常に歓迎すべきだと思いますので、どうか、相手の言われることがわからない等ありましたら、大いに委員同士で御質問あるいは意見を交わしていただいて構わないと思いますので、ぜひやっていただきたいと思います。それから、両脇の方、申しわけありませんが私それほど視野が広くないので、私が指名しないときには声を出してください。この座長はかなり視野狭窄症ではできないような状態になっていますので、よろしく。
それでは、早速、小手川さんのほうから金融・証券、住宅・土地、相続・贈与、それから税理士法、租特。酒税は真砂さんにやってもらいますが、それ以外のものはすべて御説明いただくことになっていますので、小手川さんと自治省のほうから御説明いただきます。
〇小手川総務課長
それでは、最初私のほうから、まずお手許の説明資料の7-1に「金融・証券関係税制」というものがございますが、それに沿って説明させていただきます。
目次をめくっていただきまして1ページ目のほうに、近年の金融証券市場の動きと金融関連の税制の動きということで、このペーパーの右側のほうに、いろいろな動き、金融システム改革等の動き、それから左側のほうに金融関連税制の動きということで、今日問題になりますキャピタルゲイン等につきましてもいろいろと入っておりますが、ここはちょっと全般の話なので、1ページ目、2ページ目はざっと目を通していただくことにいたしまして、3ページ目のほうに株式譲渡益課税の最近の動きについて入っております。
ここにございますように、平成元年度に消費税の導入と同時に、原則非課税から課税ということになってまいりまして、それと同時に、実はこの流れが一番右側の有価証券取引税の税率とか廃止の問題とずっと連動してきたという関係が入っておりますが、それぞれのところで有取税の税率の引下げがあり、最終的に平成11年度の改正におきまして、その右のほうですが、有取税が廃止されると同時に一体としまして源泉分離課税の廃止についての決定を行う。すなわち申告分離課税の一本化ですが。ただ、この実施につきましては、ここにございますように、平成13年の4月ということになったという流れでございます。
1枚めくっていただきまして4ページのほうでございますが、これが現行の源泉分離課税と申告分離課税の内容を簡単に図示したものでございます。ポイントは左側のほうの源泉分離課税につきまして、その棒の一番下のほうですが、括弧書きにございますように、売値×5.25%というものを譲渡益というふうにみなしまして、それに20%の税率をかける。すなわち、最終的な売値の1.05%というものを税として払えばいいという形になっておりますのが左側の源泉分離課税でございます。
一方、一番右の棒にございますように、申告分離課税のほうにつきましては、譲渡益×26%ということで、この26%の中には住民税部分の6%が入っているということでございます。
1枚めくっていただきまして5ページのほうでございますが、いわゆる通常の給与収入、それから株式譲渡益収入が同額とした場合、その金額がこの図でございますと左のほうから500万、700万、1,000万、2,000万、5,000万、1億円と増加していくといった場合に、計算上、この税率等をそれに当てはめますと、どういうふうな税額になってくるかというのを比較したのがこの図でございまして、全体のスケールの関係上、右と左に分離しているのですが、例えば一番下の収入のほうが同額で500万円の場合に、株式のほうは5.2万円の税額、それに対して給与収入の部分は6.4万円ということですが、これが一番右のほうにいきまして収入が1億円になってまいりますと、株式のほうで源泉分離を選択した場合には105万円の税額に対しまして、給与収入の場合には3,070万円の税額ということになってくるということになっております。
1枚めくっていただきまして6ページに、日米の比較ということですが、一応日本については申告分離というものを挙げておりますけれども、アメリカにつきましては、右にございますように、長期の保有株式については一種の優遇税制という格好で、連邦税20%に地方税が乗っかるということになっております。短期のものにつきましては、真ん中にありますように連邦税のほうが15%から39.6%、それに地方税が乗っかってくるという形になっているわけでございます。
それから、アメリカ以外のそのほかの国についての説明が次の7ページに図で簡単に説明させていただいておりますが、いろいろ総合課税とか申告分離とかありますけれども、日本のようないわゆる源泉分離で、特にみなしという、譲渡益をある一定の水準にみなすという制度を持っているものはないというのが現状でございます。
1ページめくっていただきまして8ページのほうに、株式の譲渡益、株式の配当、預貯金の利子というものについて、どういうふうな性格の違いがあるかということについての簡単な説明が入っております。実はこの辺の詳しい説明につきましては、本年の7月の中期答申の中にも、どのように違うかということについて詳しい文章が入っているのでございますが、例えば、この表の真ん中ぐらいに入っておりますように、株式の譲渡益につきましては、課税対象となる所得というのが売り値から買い値を引いたものですので、単純に外見的な収入に対して源泉課税するということはなかなか難しいとか、そのような問題があるということが中期答申においてもいろいろと指摘されているところでございます。
それから、この表の中で1つだけポイントとしましては、一番下の欄の備考というところに、株式のところで個人株主数、約3,000万人(延数)ということで、実数としまして約700万人という数字、それから、その一番右のところですが、(参考)のところで預貯金につきまして約15億口座、これも延数ですが、ということが入っております。
1枚めくっていただきまして9ページのほうでございますけれども、いわゆる申告の問題で、では、どれぐらい現在所得税について申告を実際にやっていらっしゃる方がいるか、ということを数字を拾いましたのがこの9ページのほうでございまして、最新の数字では、申告納税額のある方が全体で740.1万人、それから還付の方が981万人云々ということで、その下にございますが、給与所得者で確定申告を実際に行った方が大体851万人ぐらいいらっしゃるという状況でございます。
それから10ページ以下は、個人株主のシェア、それからこれが保有株式ベースとか売付け高で入っていますが、11ページのほうに最近のそれの動きがずっと入っておりまして、大体保有株式ベースですと、25%ぐらいのシェアを持っていらっしゃる。一方で売付け高につきましては、このところ下がってまた上がったのですけれども、一番高い頃の37%ぐらいから現在は22%ぐらいになっているという状況でございます。
12ページ目以下ですが、では、いわゆる所得の階層別に、どういう方が株式を保有しているかということなのですが、この12ページの棒グラフにありますように、右から2番目の第5階級、年収の階級で1,050万円以上というところの方が一番株式を保有しているという姿になっておりまして、一方、この表の一番下のところに(参考)というのがございますが、預貯金の割合というところを見ますと、これは当然かもしれませんが、いわゆる所得の階層によっては、あまり差がないという姿になっております。
13ページに移りまして、それを第I分位と第V分位で比較した場合に、株式等の年間収入階級別の保有シェアの状況ということで、一番左側のいわゆる銀行預貯金につきましては、第I分位と第V分位の間で4.1倍ぐらいなのに対して、株式の場合には12.3倍という状況になっているところでございます。
14ページ、15ページがオンライン取引の関係でございます。最近、日本におきましてもオンライン取引というものがどんどん入ってまいりまして、いま普及してきている状況ですが、現状は、14ページにありますように、まず口座数でいきますと、左下にありますように、12年の9月末で133万口座ぐらいあるということですし、それからその右のほうですが、株式取引の売買代金に占めるオンライン取引の割合ということでは、3.8%という状況になってきております。
そういう状況ですが、次の15ページを見ていただきますと、実はオンライン取引といいましても、まだ現状では相当程度オンラインになっていない部分が随分ありまして、15ページで、例えば一番左の欄で口座の開設というところで、オフラインというところを見ていただきますと、本人確認の書類等の送付、これは郵送等のオフラインでやっているとか、右から2番目のところですが、代金決済のところで、購入代金の振込みについては、証券総合口座からの充当ということで、オンラインにはなっていないというのが現状でございます。
それから16ページのほうに、最近の日経平均株価の動きがざっと入っておりますが、16ページの真ん中のちょっと左ぐらいのところに、11年度自民党税制改正大綱決定、これが平成10年の12月16日ですが、その頃に1万4,000円であったということ、それから、その右のほうで税制改正法の成立の時点で1万5,000円とか、最近の日経平均株価の動きがざっと入っております。
あと、17ページは先般の経済対策の文章ですので、これは省略させていただきます。
それから18ページ目のほうからは、これは別のトピックですが、いわゆる少額貯蓄の非課税制度というものです。この18ページで1点だけ申し上げますと、例えば真ん中のところを見ていただきますと、老人等の少額貯蓄非課税制度、マル優につきまして、右から2つ目の欄が非課税の限度額、元本が350万円ですが、実際に使われている枠を見てみますと、その右のほうで196万円ということで、全部は使い切っていないという状況でございます。
それから、19ページ以下が生命保険料控除とか損害保険料控除ですが、これもポイントだけ申し上げますと、20ページのほうを見ていただきますと、左側のほうに民間給与所得者、申告納税者につきまして、一番右のところに適用割合という数字があります。ここにございますように大体80%から86%ぐらいの割合ということで、これも中期答申に入っているのですが、本来、このような制度によって、生命保険に入る人を支援するという格好で入っているわけですが、もう全体の8割以上の方が入っているということで、一応その使命は終わったのではないかというような意見もあるところでございまして、その点が、次の損保についても従来から言われてきているところではないかと思います。
22ページのほうにまいりまして、先物取引についての現在の税制の取扱い、一番右のほうですが、総合課税の姿が入っております。
それから23ページには、最近のいろんな論点としまして、新たな金融商品というものがいろいろ入ってきておりまして、例えば一番左側にありますように、デリバティブとか先物、スワップ、オプション、それからちょうど真ん中ぐらいですが、special purpose vehiclesということで、特別目的会社とか信託といったものがあり、それから右のほうで、いわゆる租税回避の観点から課税の繰延べとか、国際課税のほうで、所得の源泉地についての転換をやってきているとか、そのような新しい問題が生じてきているというところでございます。
金融関係はざっと以上で、あと「総7-2」のほうに参考資料が入っておりますが、そちらのほうは省略させていただきます。
次に、住宅関係でございますが、資料につきましては6-5というのが配付されていると思います。資料の6-5の説明資料が住宅関係でございます。
1ページ目のところに新設住宅着工数の推移ということで、一番左側のほうですが、持家、分譲、その他に別々に分けまして数字が入っております。最近の数字につきましては、右にございますように、毎月の数字を年率換算でやっておりまして、大体このところは、年率換算で120万戸ぐらいのところで推移しているという状況でございます。
それから、2ページ目のほうに、住宅ローン減税の最高控除額と新設住宅着工戸数の推移ということで、右のほうの目盛りが新設住宅着工戸数の対前年比率ということでございます。最近の数字を見ますと、例えば平成11年度はプラスの3.9、少しそれが前のほうに来ますと、平成10年はマイナスの12.0、平成9年がマイナスの17.7、平成8年がプラスの9.8といったような状況になっているという姿でございます。
一方、棒グラフのほうは、この住宅ローン減税の最高控除額の数字でございまして、これは目盛りがこのグラフの左のほうですが、平成9年、10年と6年間で180万円ということだったのですが、平成11年度から、これは基本的に一両年中に景気回復ということを頭に置いて、15年間について、合計587.5万円までの住宅ローン減税の最高控除額がいま現在入っているところでございます。
次のページ、3ページ以下は、最近の世帯数とか住宅戸数の推移でございますが、3ページにございますように、いわゆる持家の比率につきましては、このところずっと大体6割程度で前後してきていると。一方、下のほうの、ちょうど真ん中ぐらいの折れ線グラフですけれども、空家率につきましてはずっと上昇しておりまして、1998年、平成10年では、11.5%というところまでこれが増加してきているというところでございます。
それで1枚めくっていただきまして、4ページのほうに住宅需要構造の変化ということで、人口問題研究所等のあれですが、ちょうど真ん中ぐらいのところに2000年というのがありまして、これを15年前の1985年と比較しますと、このグラフの右のBにありますように、842万世帯が増加したということになっております。今後の見通しですが、2000年から次の15年、2015年につきましては、Aのところにありますように、286万世帯の増加というような見通しでございまして、相当程度増加が鈍化する。それから、もう1つ右の文章の中に入っているのですが、右の文章のほうの「また」以下の下のほうのパラグラフの下から4行目ですが、「今後の世帯数の増加は高齢者世帯数の増加であり、それ以外の世帯は減少に転じることが推計されている」という状況でございます。
その趣旨が次の5ページのほうにも、これは住宅宅地審議会のほうの報告ですけれども、この答申の中で、一番下のアンダーライン部分ですが、「こうしたことから、世帯増加の鈍化、人口移動の安定化等を背景として、今後、新規住宅建設に対する需要はマクロ的には次第に減少していくものと考えられる」というところでございます。
それから、6ページのほうには、持家の世帯とそれ以外の世帯につきまして、平均所得の比較がその下のほうの棒グラフにございます。全世帯ベースで見ますと、持家世帯については平均所得が809万円、それ以外の世帯については586万円という形になっております。
それから、次の7ページ以下、7、8、9あたりに、平成13年度の税制改正につきましての要望が入っております。7ページの一番右側のほうに棒が2本立っておりまして、これはいま要望としまして、現在の11年、12年という時限的な減税措置を、ある意味で恒久化するような格好で、15年または10年という選択制にしてほしいという要望が入っております。
それで8ページのほうに、平成9年、10年という従来のものと、それから11年、12年、それからマンションについては13年の前期ということなのですが、今回、いわゆる景気対策で入りました、15年間で合計限度額が587万円というものの個別の内容が入っておりますし、次の9ページのほうを見ていただきますと、今回の税制改正の要望ということで、2つの方式の選択について、その上のほうを見ていただきますと、物件の面積がマンションについてですと75平米以上、それから戸建てでは125平米以上という大きなものについて、これは建設省の説明では、いわゆる第二次的な取得といいますか、買替え等の需要と言っているのですけれども、これについて選択ができるということで、10年間ですけれども、最初のほうについて高い控除率を適用するとかというような案がいま要望として入っているところであります。
10ページ目以下は、現在のいわゆる景気対策としての住宅ローン控除の結果、実効税負担率がどれぐらいになっているかという図でございまして、ここにありますように夫婦子2人の場合には、太い実線のほうで934.8万円というのがいわゆる課税最低限になっているというところでございますので、端的に言いますと、例えば主税局の税制一課長さんとか二課長さんが現時点で家を購入すれば、15年間は税金を一切払う必要がないという形になっているわけでございます。
詳しい数字が次の11ページ目のほうに、家族構成の違いに伴っての数字の違いが入っておりますし、今回の税制改正要望の数字がその下のほうに参考で入れてございます。
それから12ページ目のほうに、現在の住宅ローン控除による減収額が入っております。一番左側に入っておりますが、住宅ローン控除としまして、5,590億円という減収額が立っております。
ちなみにちょっと1点だけ、真ん中のほうに老人マル優6,560億円という非常に大きな数字があるのですが、実はこれは平成12年の非常に特殊要因で、10年前の郵貯が大量満期ということで非常に増えたことがありまして、この12年、13年についてのみ、大体、源泉所得税で3兆円前後の郵貯の大量満期に伴う税収増になっております。これが非常に特殊な税収増なのですが、それに伴いまして、老人マル優部分の減収額が非常に大きくなっておりまして、通常年ですと6,560億円というのが大体500億円程度の数字になっておりますので、そのことを考えれば、住宅ローン控除というのが現在最大の減収項目になっているというところでございます。
その下の(参考)のほうですが、11年度改正につきましては、11年、12年の2年間でございますので、単純に5,590億円というのを2倍しますと、約1.2兆円の減収になるというのがこの12ページの図です。それから次に13ページのほうには、今後もしもこの15年というようなものが恒久化されてきますと、将来のある時点で毎年毎年の減収額が順番に入居何年目ということでたってきまして、どれぐらい増えるかということで、現在のほうは13ページの左側にありますように、平成7年に入居した者から合計6年分なのですが、これが右にございますように、15年間にわたってずっとたまっていきますと、相当大きな金額になってくるのではないかという姿が入っております。
1枚めくっていただきまして、14ページ以下がいわゆる土地譲渡益課税の関係でございまして、14ページが全体の図でございます。この全体の鳥瞰図の詳しい説明が次の15ページ以下あるいは参考資料のほうに入っておりますが、主要な部分だけまず申し上げます。
15ページのところが現在の個人の譲渡益課税の変遷ですけれども、一番のいまのポイントになっておりますのが、真ん中ぐらいのところで8年度改正後というところ、それからそのすぐ上の平成7年度の改正後というところで、39%と32.5%。それが8年度で39%、32.5%、26%というふうに金額によって変わってきまして、それから10年度改正後ということで、まず平成10~12年度までの譲渡に係る時限措置ということで、6,000万円を真ん中で割って32.5%と26%となったのですが、それがさらに景気の関係もあって、11年度の改正ということで、全体が26%という姿になっておりまして、これが平成11~12年度までの譲渡に係る時限措置ということになっているのが現在の基本的な姿でございます。
次に、では現状でどれぐらいの取引があってというのがこの16ページなのですが、一番上にありますように、土地譲渡所得の課税状況ということで、11年分につきましては、譲渡価額が19.0兆円ということですが、そこから棒の一番左側のほうで、8.5兆円の取得費とか譲渡費用を差し引きまして、譲渡益が10.5兆円ございます。これに、例えばいわゆる収用等に係る5,000万円控除とか、そういうふうないわゆる特別控除等が6.9兆円ありまして、したがって、右のほうの斜線部分だけが税金がかかっていく部分になりまして、うち軽減税率の適用分が0.8兆円、一般適用が2.8兆円ということで、課税所得が合計しますと3.6兆円ということになってきますので、その下の参考にございますように、実効税率というものを計算いたしますと、6.7%ということになっているというのが現状でございます。
17ページ、18ページと、最近のいわゆるバブル後の土地価格の下落ということもありまして、非常に課税の部分が減ってきているということについて、まず17ページのほうで、これは11年分ですけれども、左側のほうが譲渡益、特別控除等の適用前ですが、これが右のほうでは、特別控除を適用しますと、課税所得があるというのが全体の26%ということになっている姿。
それから、次に18ページのほうにまいりまして、平成3年と、平成11年ということを比較いたしますと、課税所得があるという部分が全体の約半分の5割から26.2%まで減ってきているという姿でございます。
それから、19ページのほうに個人の土地譲渡件数の推移等がございますが、この辺は省略させていただきます。
住宅・土地税制については、主要な説明のポイントは以上でございます。
次に、お手許の資料で「総7-4」というものが、相続税・贈与税ということで説明資料がございます。
1ページ目のほうに最近における相続税の主要な改正の経緯がずっと入っておりまして、主要なポイントとしまして、真ん中のところで基礎控除のところがどんどん上がってきている。それから、一番上のところですと、税率構造につきましても刻みがどんどんフラットになってきているということ。それからもう1つ、一番下のほうですが、小規模宅地の課税の特例ということで、この適用対象面積がどんどん大きくなっているとか、減額の割合が非常に大きくなってきまして、現在、一番右下にありますように、減額の割合が事業用、居住用ともに継続する場合には80%減額されるということになっておりまして、その辺の土地に関する相続の関係を実際の事例に当てはめましたのが次の図でございます。
次のページですが、相続税の実際の負担ということで、個人で電器店を営むAさんのケースということで、これは以前一度説明させていただいたのですが、ポイントは、一番上の遺産総額のところで、11.4億円のうち土地が10億円ある。これがまずポイントでして、土地が大きいと、その下のところですが、路線価は公示地価の8割でまず8億円に減り、それから、その次のところが一番大きなポイントなんですけれども、小規模宅地等の課税の特例によりまして、評価額よりも8割軽減されるということで、その下の棒にございますように、課税価格の合計額のところで土地のところが1億6,000万ということ。したがって、ここから出発しますものですから、一番右下のところですが、種々の計算をやっていきますと最終的な相続税の負担につきましては、遺産額の2.1%という数字になるというところでございます。
実は、前回の総会におきまして福原先生のほうから、これが土地でなくて、例えば全部非上場株式だったら右下の遺産額の2.1というのが相当大きくなってくるのではないかという御指摘がありました。私どものほうでいろいろな事例を見させていただきまして、実は数字で絶対こうなるという一般的なものはなかなか難しいのですが、ポイントは次の点でございます。
1つは、この図にございますような土地なのですが、要するに実際に商売をやっている底地の土地が、所有者が個人になっているか、それとも法人になっているかというのが非常に大きなポイントになってまいります。といいますのは、個人でございますと、ここにありますように、小規模宅地の課税の特例ですと、8割軽減が効いてまいるのですが、これが法人の所有になっておりますと、この法人のいわゆる非上場株式に土地の価格が反映されてきますので、したがって純資産価値として、遺産の中にその価値が入ってくるのですけれども、残念ながら株式については、この8割軽減が効かないということになってまいりますので、そうすると相当程度税額が増えてくるというところがございます。
ただ、1つだけいろいろ調べてみるとありましたのが、例えば上のお店は法人なんですが、下の底地は個人で持っていらっしゃるという例が相当多いようでございまして、そういうふうに底地は個人で持っていればこれと同じような形になってまいります。
それからもう1つ、いま言ったような非常に難しいケース、すなわち法人が底地を持っている場合でありましても、実は昨年の改正でやりました、同じような規模の同業種の人と比較してという、純資産でいくのか、それとも株価について比較してそれをそのまま適用するかというのがございまして、それで場合によって、そういうふうな同種業者の株価であったほうが相続税負担が減少する場合が相当ございます。
では、どういう場合が減ってくるかといいますと、これも非常に細かいのですが、その土地の簿価が低くて、すなわち20年、30年前にその土地を買ってあった。それからもう1つは、現在やっていらっしゃる商店のほうがあまり利益が発生していないという場合には、株価の評価がそう高くないものですから、そうするとそうは大きくならない。ただ、最近その土地を買われて、それでなおかつ非常に利益が上がっているという場合には、やはり相当程度負担が増加するという状況でございました。
以上、御報告させていただきます。
それから、次、1ページ飛ばしていただきまして4ページのほうですが、相続税の課税状況の推移ということでございます。平成10年の姿で見てみますと、一番下の左から4つ目の欄でございますけれども、5.3、すなわち死亡者数93万6,484人に対しまして課税件数というのが4万9,526件ということで、約5%という状況になっている。それから、その場合、右から4つ目ですが、合計課税価格としまして、被相続人1人当たりの金額としまして2億6,747万円ぐらいになっているという状況でございます。
5ページをめくりますと、先ほどのような制度の改正等、それからバブルの終結ということがありまして、相続税収につきましても、ピーク時が平成5年、約3兆円弱だったのですけれども、最近は1兆6,000万円ぐらいまで減ってきているというところでございます。
次の6ページですが、上のほうに所得課税の動き、真ん中に消費課税、一番下に資産課税ということで、最近、所得課税について、税率構造等についての累進の緩和というのがずっと進んできております。そのように、一番上のほうで所得課税の累進の緩和というのがある中で、では資産課税というものについて、いわゆる再分配機能ということを考えた場合に、どう考えていくべきかというのがこの流れの言いたいところでして、次の7ページのところを見ていただきますと、最近の家計資産残高等の推移ということでございますが、真ん中の折れ線グラフの三角の部分、これがいわゆるフローの雇用者所得の最近の動きでございます。それから一番上の四角の入っている、これがネットの家計資産ということで、昭和44年から見ますと、ちょうどバブルのときに、特に資産のほうがぐっと増加しまして、その後減少等もあったのですが、まだ現時点で見ますと、昭和44年をスタートとすれば、いわゆる雇用者所得のほうは4倍弱なのに対しまして、ネットの家計資産のほうは5倍ぐらいになってきている。
それから、もう1つは、金融資産と実物資産ということを見ますと、実物資産のほうがこのところ減少とか横ばいの中で、金融資産のほうはずっと増えてきているという状況でございます。
次の8ページ目のほうに、年齢階級別にそれがどうなっているかということですが、このところの動きを見ますと、ざっと見まして下から2番目の棒で昭和55年というのを見ていただきますと、一番右の一番濃い部分、60歳以上の部分が21.5%だったのですが、これが平成11年ですと、49.5%まで増えてきているという状況でございます。
それから、9ページ目のほうは最近の地価公示価格の指数ですので、これは省略させていただきます。
大体地価の動きと並行しまして、次の10ページ、11ページですが、相続税の負担というものが同一の地点で見た場合に、どんどん減ってきているという姿でございます。
12ページ目のほうですが、今般の社会保障構造に関する有識者会議の報告というところでも、この2つ目のポツにございますように、「資産の保有や相続に着目してより広く税負担を求めることは」云々というところが入っているところでございます。
13ページには、中期答申におけるこの部分を抜粋してございます。
それから、14ページ目が先ほど申し上げましたところで、平成12年度の改正としまして、下のほうですが、取引相場のない株式の評価方法の適正化ということで、1行目にございますように、各比準要素のうち利益金額に比重を置いた方法とするということで、したがって、利益が上がっているところは税金をたくさん払っていただくのですが、利益があまり上がっていないところについては、あまり資産などに重きを置かないということで、そこのところが緩和されるという姿でございます。
15ページのほうに、現在の贈与税の仕組みというのがございまして、ポイントは受贈財産額というのが一番左側のほうにありますが、そのすぐ右のところで基礎控除が60万円、これは少額不追求ということですが、それを引いたものが課税財産額ということで、税率の姿は右のほうに10%から70%まであるというところでございます。
それから、1ページめくっていただきまして16ページ目のほうに、この贈与税のうち住宅取得資金の贈与に関する特例ということで、16ページの左上ですが、特例の概要ということで5分5乗によって贈与税額を計算するということで、計算方法等は次の17ページのほうに図が入っておりますが、細かい計算は別にしまして端的にいきますと、左から2番目の棒のところで、いわゆる基礎控除部分が単純に5倍になる。したがって、現在の60万円の場合には、この5倍の300万円までは非課税ということになってくる状況であります。
それから、18ページ目は、中期答申の贈与税に関する部分でございます。
それで最後、もう1つ私のほうから、税理士法関係でございますが、一番下のほうに「総7-6」という資料がございます。税理士法と租特の整理・合理化でございますが、税理士法のほうにつきまして、最初のページに、税理士法の第1条、税理士の使命ということで、「税理士は、税務に関する専門家として、独立した公正な立場において、申告納税制度の理念にそって、納税義務者の信頼にこたえ、租税に関する法令に規定された納税義務の適正な実現を図ることを使命とする」ということが入っております。
次のページのほうに、現在の検討項目というのが入っておりますが、まず最初のところで税理士資格制度の整備、税理士試験の受験資格要件の緩和ということで、現在、一番短いものは3年間特定の業種につくというのがあるのですが、いろいろな業種でもっと長い、5年とか10年その業種についておく必要があるとなっていますが、それを緩和してはどうかと、すなわち、期間を短くしてはどうかという話でございます。いま実は税務職員だけが一番短い、3年になっていますが、そこは触らずに、その他の業種についてもう少しそこを短くしてはどうかというような話でございます。
それから、あと大きいポイントだけ申し上げますと、3番のところで税理士法人制度の創設というのがございまして、これは本年の春に弁理士さんにつきまして法人化ができるというふうな法律改正があった関係もありまして、税理士についても法人制度を導入してはどうかと。
それから、4番のところで日税連、税理士会の自主性の向上という観点から、ここにございますように、税理士会による紛議調停制度の創設等について現在検討されているというところでございます。
私のほうからは以上であります。
〇石会長
ありがとうございました。
引き続きまして、自治省の市町村税課長の石川さん、地方税関係をお願いします。
〇石川市町村税課長
では、お手許の「総7-3」『地方税関係説明資料』に基づきまして説明申し上げます。
資料の1ページでございますけれども、株式等譲渡益課税の概要でございます。[2]にありますとおり、源泉分離課税を選択した場合には住民税は非課税ということでございますけれども、これまでの個人住民税関係の経緯を申し上げますと、2ページ目以降でございます。最近の税制調査会の答申等を御紹介しておきます。1、金融課税小委員会の中間報告(平成9年12月)についてでございますけれども、真ん中の[2]のところで、「現行の源泉分離課税方式については」ということで問題点を指摘しておりますけれども、下から3行目で「地方税が非課税となっている、といった点において問題があることは否定できない」とした上で、3ページ目の9行目でございますけれども、「申告分離課税に一本化することが適正化の方向と考える」とした上で、しかしながら源泉分離課税を「直ちに廃止することは適当でないとの強い意見があった」ということで、「この場合」ということでまたちょっと置きまして、「課税の公平性、中立性を確保する観点から、地方税における課税の適正化も図る必要がある」とされておるところでございます。
続きまして、下のほうの平成10年度の税制改正に関する答申におきまして、4ページをお開き願いたいと思いますけれども、この場合に、申告分離課税の一本化が適正化の方向としながら、源泉分離課税を存続させる場合には、「地方税における課税の適正化に努める必要があります」という御指摘をいただいております。
また、平成11年度の税制改正に関する答申につきましても、下から4行目でございますけれども、「個人住民税が非課税となっている株式等譲渡益などについては、課税の適正化について、利子割方式も参考にしながら引き続き検討する必要があります」というふうにされていたところでございます。
続きまして、利子・配当等課税制度についてでございますけれども、5ページでございます。利子・配当等課税制度につきましては、住民税につきましては大体は国税と並んでおりますけれども、真ん中のところにありますが、1回の支払配当の金額が5万円以下のもの、いわゆる少額配当につきまして非課税。また、一番下にありますが、割引債の償還差益、これについても非課税というふうになっております。
これにつきましては6ページでございますが、これは中期答申でございますけれども、下から2行目でございますが、「割引債の償還差益、所得税で確定申告不要制度が採られている一定の少額配当については現在個人住民税が非課税となっているため、その適正化を図る必要があります」というふうに指摘されているところでございます。
続きまして7ページでございますけれども、生命保険料控除、個人住民税の場合は最高3万5,000円まででございます。
また、1ページ飛びまして9ページ目でございますけれども、損害保険料控除、これにつきましては住民税の場合は長期で最高1万円、短期で最高2,000円でございますけれども、これにつきましても、今年度の中期答申におきまして、10ページでございますけれども、下から2行目、「また、生命保険料控除、損害保険料控除といった貯蓄の奨励など国家的な政策の見地からの控除については、地方税である個人住民税においては極力整理すべきであると考えられます」というふうに指摘をいただいているところでございます。
11ページでございますが、地方税の主な非課税等特別措置による減収額1兆1,420億円の内訳でございますけれども、これにつきましても国税と同じように老人マル優が一番多ございますけれども、これはやはり郵貯の大量満期という特殊要因がございますので、通常の年であれば、例えば昨年のベースでは229億円でございます。ということで、老人マル優に続きまして生命保険料等の控除、あるいは右のほうにありますが、社会保険診療報酬の所得計算の特例が非課税による減収等が多いということでございます。
続きまして12ページでございますけれども、この事業税における社会保険診療報酬に係る特例措置についてでございます。下から2行目を見ていただきたいと思いますけれども、これも中期答申におきまして、「累次の当調査会の答申などにおいて示されているとおり、税負担の公平を図る観点から、その見直しを検討することが必要です」というふうに指摘をされているところでございます。
続きまして13ページでございますけれども、地方税における非課税等特別措置の整理合理化の状況ということで、ごらんのとおり毎年整理合理化を図ってきているところでございます。
以上でございます。
〇石会長
ありがとうございました。
では、最後に二課長の真砂さんから、酒税のほうにつきまして御説明いただきます。
〇真砂税制第二課長
最後に残りました『説明資料(酒税)』に沿って簡単に説明させていただきます。
1枚おめくりいただきまして、まずお酒に関する税金の張り方でありますが、これを見ていただきますように、清酒以下お酒を大きく10種類に分けまして税率を設定いたしております。清酒、合成清酒以下こういう酒が並んでおりますが、一番下にその他の酒ということで雑酒という分類がございますが、最近消費が急増しております発泡酒というのは、この雑酒に位置づけられておりまして、ここにありますように、麦芽の比率によって税率を変えているというものでございます。
次の2ページ目が酒税の最近の課税実績でございますが、平成9年、10年、11年と掲げさせていただいておりますけれども、それぞれの区分ごとの税収であります。合計のところを見ていただきますと、まず課税数量のほうは1,000万キロリットルということで、概ね安定的、横ばいでありますが、税収のほうは、例えば平成9年の税収が1兆9,000億円、これが毎年少しずつ減っておりまして、平成11年度は1兆8,700億円ということで、2年間で1,000億円酒税の税収が減っているということになっております。
次のページが、いま申し上げた1,000万キロリットルのお酒の変化でございますが、まず上のほうの折れ線グラフがビールでございます。ビールは平成6年がピークでありまして、741万キロリットルからどんどん落ちてきて、現在、平成11年度で582万キロリットルのところまで来ております。この穴を埋めておりますのが下のほうから上がってきております雑酒、これが発泡酒でございます。ビールの減少を発泡酒の増加が埋めている。発泡酒が増加してビールが減少しているということでございます。
それから、清酒のほうは昭和48年がピークでありまして、長期低迷を続けております。
それから、下のほうはちょっと見にくくて恐縮ですが、焼酎の甲、乙、これは後で御説明しますWTOで大分増税になったわけですけれども、増税にもかかわらず比較的消費が堅調でございます。それから焼酎の甲と乙の間にリキュール類というのが伸びておりますが、これがテレビ等でよくコマーシャルしております缶チューハイ、これの消費が多少出てきているということであります。
それからワインですが、ワインは10年度、例の健康志向でポリフェノール効果というので伸びまして、輸入のし過ぎで現在在庫調整で11年度は落ちておりますが、過去から見ますと着実に伸びてきておりまして、ワインも日本に定着してきたということかと思います。
それから、次のみりんというのがございますが、みりんは本来調味料に使うものですから低税率を張っているのですが、最近、11年度あたりから、この低税率を利用した焼酎風みりんという飲むみりんというのが出てまいりまして、この隙間商品を埋めるべく、平成12年度、この間の改正で一部増税をしたのですが、またその隙間をぬって出現しているということで、13年度税制改正でもさらに見直しをしていきたいと思っております。
次のページでございますが、酒税につきましては中期答申で答申をいただいておりまして、例えば「ロ」のところですけれども、「消費課税については、税制の中立性や公平性の観点から同種・同等のものには同様の負担を求めることが要請されます」ということで、最近出ている隙間商品等々の問題にも対応していく必要があるというような答申をいただいているところでございます。
5ページ目でございますが、最近の酒税の税率改正ではWTOの勧告による税率の改定がございました。ウイスキーの税金を大幅に下げて焼酎の税金を相当上げるということで、先々月の10月1日に焼酎の乙の最後の増税がございまして、これでウイスキー、それから焼酎甲乙、3%のデ・ミニミスの差はありますが、基本的に1本のアルコール度数課税ということで統一されたわけでございます。従来は焼酎は大衆酒なので税金が安く、それからウイスキーは高級酒なので税金が重いと、そういう公平観で税を設定していたわけですけれども、WTOで同じものには同じ負担だということで統一されたわけでございます。
その結果、6ページ目でありますけれども、ビールを除く酒の種類のアルコール1度当たりの税金を棒グラフにしたものであります。右のほうに蒸留酒、これはウイスキー、焼酎、スピリッツとありますが、いま申し上げたように基本的に一本化したと。それから混成酒というのは醸造酒と蒸留酒の混ぜものでありますけれども、リキュールについてはWTO勧告の対象でございましたので、ここにありますように、アルコール1度当たりキロリットル9,924円ということで、これは焼酎並びになっております。
それから、その隣の甘味果実酒でございますが、これはポートワインですとか、それから赤玉ポートワインのように、ワインにお砂糖を入れる、あるいは10%以上ブランデーを入れるというようなものでありますけれども、これは従来、リキュールと同水準の税率を設定しておりましたけれども、たまたまWTO勧告の対象外だったということで、現在リキュールより低い水準になっているものでございまして、本来的にはリキュール並み課税をすべきものでございます。
それから、その左側の合成清酒でございますが、これは米がない戦前、戦中に焼酎をベースに5%の米麹を味付けに使いまして、清酒のような味を付けたお酒でございます。そのつくり方から見て、私どもはリキュール並み課税が筋だと考えております。なぜ低税率かといいますと、一升瓶でいきますと清酒の半分ぐらいの値段で、従来、所得の低い方が飲まれるということで、そういう公平観から低税率になっているわけでございますが、同じようなものであれば同じような負担という考え方からすれば、そのつくり方から見て本質的には焼酎が大半でございますので、リキュール並み課税が筋だと私どもは考えているわけでございます。
それから、醸造酒のほうは、1つ清酒が白い部分と灰色の部分がございますけれども、清酒の場合、米からできたアルコールだけのいわゆる純米酒から始まりまして、3増酒と言われていますが、3倍醸造、米からできたアルコールにその倍の添加アルコール、焼酎を入れて容量を3倍にする。これは戦争中、満州で開発された製造方法だと聞いておりますけれども、そういう製造方法でできている清酒もございます。それで、そのアルコールがある程度多いものについては、先ほど申し上げたように、その中身から見てリキュールではないかということで、その税率はリキュール並み課税が筋ではないかと私ども考えているわけでございます。
そうしますと、最後残ったところが白い部分でございますが、ワインと清酒の税負担格差というのは現在2倍ございます。ワインについてはこれまで5万キロとか10万キロと数量が少なかったものですから、低税率ということでありましたけれども、先ほど申し上げたように、定着してきたということであれば、本来、税負担格差というのは是正されるべき問題ではないかと考えているところでございます。
7ページ目が、具体的なイメージを描いていただくために、ボトル1本の税負担であらわしておりますが、左側がワインボトル1本、720ミリリットル、現在40円の酒税になっております。清酒、本来15度が多いのですが、ここでアルコール分を合わせて12度換算で同じワインボトルに詰めますと80円ということで、ワインの清酒並み課税ということを実現すれば、40円の増税になる。新聞等で確かに2倍ということでございますが、数字そのものは40円が80円になるというものでございます。
それから、右のほうは一升瓶を描いたつもりなのですが、一升瓶で見ていただきますと、リキュール、合成清酒、清酒とありますが、清酒のアル添の多いものをリキュール並み課税にするということでございますと、一升瓶当たり252円が267円ということで15円の増税。それから合成清酒をリキュール並み課税にしますと、142円が267円ということで、125円の増税になるということでございます。
8ページ目がワインについての中期答申の記述ですが、飛ばさせていただきまして、9ページ目、いま申し上げたように、ワインといいますのは何回かのワインブームがございます。最近ですとバブルの頃にボジョレ・ヌーヴォーのブームがございましたし、直近ですと先ほど申し上げたポリフェノールが健康にいいということで赤ワインブームもございまして、現在少し在庫調整をしておりますが、基本的なオーダーとしては5万、10万のオーダーから、いまや30万キロリットル。30万キロリットルといいますと、大体焼酎の乙のレベルにまで定着をしてきたということでございます。
それから、10ページ目が清酒のアル添の状況でございます。いくつか棒グラフをかいておりますが、一番左側が米だけでできた純米酒といわれるもの、それから一番右側が満州で開発されたという3倍醸造、3増酒といわれるもので、米からできたアルコール1に対して2のアルコールを添加しているものでございます。その間にいくつかありますが、左から2つ目に果実酒並びというのがございます。ワインの場合10%以上アルコールを添加しますと、これは甘味果実酒ということで、本来はリキュール並み課税になるということになっておりまして、そのバランスから考えれば、やはりある程度アルコール添加の多いものはリキュール並み課税を求めるのが筋ではないかと考えているわけでございます。
1枚めくっていただきまして、11ページ目がビールについての中期答申の記述でございます。
12ページ目でございます。12ページ目は発泡酒の資料でございますが、ビールと発泡酒の課税数量の推移であります。発泡酒の製造方法は、私、工場見学に一度行ってまいりましたが、全く同じ工場で全く同じ釜を使って、ビール、発泡酒交互につくっているというようなものでございまして、あるいは飲んでいただいても、品質から見ても、ビールに極めて近似しているというふうに考えております。この棒グラフは各年のビールと発泡酒を足したものでありまして、総量全体は横ばいといいますか、安定しておりますが、これがビールから発泡酒にどんどん変わっていっているというのがお見取れいただけるかと思います。
比率でいいますと、下に発泡酒比率というのがありますが、現在、先月の10月の実績で25%、4本に1本が発泡酒ということになっておりまして、現在、大手4社のうち1社がまだ発泡酒を出しておりませんが、記者発表によると、来春からは発泡酒を出すということでございまして、この比率はどんどん上がっていくのではないかと思っております。
次のページが、発泡酒の売れる理由が価格が安いということで、価格が安いということは大変結構なことだと思いますが、その主因が税金にあるというのを書いた表でございます。缶ビールと缶発泡酒で比べておりますが、左側がビールでございます。ビールは消費税抜きの小売メーカー希望価格で218円、それに対して右側が145円ということで73円の差がございます。そのうち、缶の部分ですが、酒税を見ますとビールが77円70銭、それから発泡酒のほうは36円75銭ということで、41円の差がございます。ここで41円違いますと、小売マージン等々が入りますから、50円ぐらいの差になるわけですけれども、それが税金による価格の差、あと20円がコストを下げているか、あるいは利益を圧縮しているかということで、現在の発泡酒が売れているわけでございます。
こういう税金の違いが出るのは、麦芽比率によって税金を変えているわけでございまして、14ページに現在の発泡酒に係る課税制度の概要を書いております。全体に左側にありますように麦芽比率でもって税率を設定するということで、麦芽の比率でこうした税負担格差を設けているという国はございません。例えばドイツですと、ドイツの場合は16世紀にビールの品質法というのができまして、ドイツでつくられるビールというのは麦芽100%でなければいけないと。したがって、麦芽とホップと水以外は使ってはいかんということになっているわけですけれども、税法上はどういう麦芽比率であっても一本の税金ということで、こういう形で税負担格差を設けている国はございません。
平成6年に発泡酒というのが最初出まして、そのときに出ました発泡酒というのは、ここの麦芽比率でいいますと、67%の下のあたりで発泡酒が出たわけでございます。そこで、平成8年にその部分の手当てとして、50%以上まではビールと同じ、キロリットル当たり22万2,000円という改正をさせていただいたわけでございます。そのときに下まですべて22万2,000円ということでさせていただければよかったのですが、25%のところは多少増税いたしましたが、10万5,000円ということで、ビールの半分以下の税金に設定をしたと。現在出ている発泡酒はすべて25%未満のものだということでございまして、先ほど申し上げたように、製造方法あるいは品質から見て、同じものであれば、公平性からの観点からも、あるいは隙間商品を生まないという中立性の観点から見ても、ビール並み課税、ビール並みの負担を求めるのが筋だというふうに私ども考えているところでございます。
次の15ページですが、15ページはビールと発泡酒の課税額、税収の推移であります。発泡酒が登場しました平成6年から、ビールの課税額とそれから発泡酒の課税額を合計したものが、一番上の折れ線グラフでありますが、平成6年が1兆6,300億円ございましたのが、先ほど申し上げたようにどんどん落ちてまいりまして、平成11年度で見ますと、1兆4,400億円ということで2,000億円の税収減になっております。発泡酒のビール並み課税が実現すれば、2,000億円の増収になるということでございます。
最後に、先ほどみりんの話をいたしましたが、一番最後16ページでありますけれども、みりんというのは調味料だということで低税率に置いているわけですけれども、この表はエキス分、エキス分というのは甘味と思っていただければいいかと思いますが、甘味とアルコール度でそこに清酒風みりんとか焼酎風みりんという隙間商品が平成11年から出てきたものですから、その黒い部分を焼酎並みに実質増税をして、そういう隙間商品を退治しようということで、平成12年度税制改正でやりましたが、今度は低税率で残された部分で、なお、こうした飲むみりんというと変ですが、焼酎もどきのみりんが出ているということで、これはいま業界と、さらに低税率、すなわち白い部分を縮小する方向で検討しているところでございます。
以上でございます。
〇石会長
ありがとうございました。税調の委員たる者、お酒のつくり方にも熟知していないと、公平なる議論ができないということですかね。
いままで1時間10分ほど使いまして、8項目につきまして御説明を受けました。そこで、残った時間をまず3つのグループに分け、30分ずつ使いまして、そのあと再度全体を振り返りまして、オーバーオールに議論したいと考えております。ただ、途中で退室される方もあろうかと思いますから、別に仕切りにこだわらなくても結構でございますが、基本的にはやはり順次議論したほうが混線しないと思います。
そこで、最初にまず金融・証券関連税制から議論をいたしたいと思いますので、30分ほど取りまして、これが終わったあとで短い休憩を取りたいと、このように考えております。
それでは、早速議論を始めましょう。どうぞ、どなたからでも結構でございますから。
〇奥本特別委員
口火を切らせていただきます。ただいま、縷々金融・証券税制に関しましての御説明をちょうだいしたのですが、特に株式の譲渡益課税についてでございます。平成11年度の税制改正で、これがもうすでに13年4月から廃止ということで決まっているということにつきましては、そのとおりだと思うのですが、そのあとの2年間でかなり情勢の変化があったのではなかろうかと。まず、現実に平成元年にこの制度が導入されてから、簡素でわかりやすいということで、国民各層に広く定着している。他の金融商品と違って、申告課税ということに一本になれば、やはり年に一度の確定申告に税務署まで行く必要があるということに対する拒否感といいますか、そういったものがやはり強い。つまり、一般大衆の株式離れを引き起こすことになるので、ぜひこの制度を存続してほしいと思います。
また、諸々の具体的な細かい点での混乱というのも当然起こってくるのだと思います。いまの御説明にもあったのですが、株式のいわゆる累積株主、単位株以上でございますけれども、3,000万人、実際には3,140万人か3,160万人かですが、この3月で3,200万人弱という個人株主の数字。これは現実に多いのか、少ないのかという議論にもなるのかもしれませんが、少なくとも13年前、昭和62年の数字と比べますと、株主数は完全に約倍になっているわけです。
それから、いまも御説明がありましたけれども、インターネットというものがこの2年間の間に急速に普及した中で、この9月末で130万口座ができ上がっている。この130万口座の中での取引というのは、ここに全体の取引の中のシェアが書いてございましたけれども、何のために全体の取引で比較されるのか意味がわかりませんが、個人の取引の中で現実にもう20%のシェアを占めているというこの現実。これは20%という数字が多いのか、少ないのかということですが、現在、アメリカではもう4割を超えていまして、お隣の国韓国では、個人売買の中でのインターネットのシェアというのが6割を超えていると言われております。おそらく現在130万口座、手数料が大変軽減だということもあるのですが、実は大変使い勝手がいいといいますか、いろいろなデータが自分1人で取れるというような利点もございまして、おそらく我々の推計では、もっとこれからも増えてくるだろうと。つまり、広く大衆が参加するような形になっている中で、やはり申告課税一本にするのは少し乱暴ではなかろうかと。
また、次の問題としまして、1つは、株式市場にいかにしてリスクマネーを導入してくるか。次の時代を背負う産業への資金供給ということは、やはり株式市場を通じてどうしても必要な部分であって、それに対する円滑な供給としての株式市場、それの育成といいますか、そういったものがどうしても必要なときに、この株式市場を活性化のためには、やはり幅広く個人の参加がなくてはでき得ないものでございますので、そういった方策を考える必要がどうしてもあるのではなかろうかと。
ここでいまさら申し上げるまでもありませんけれども、アメリカの繁栄は、アメリカ自身が喧伝しているように、株式市場の振興に大きく起因しているところでありまして、昨今、この2~3年のヨーロッパの各国の動きを見ましても、やはりこの株式市場の活性化といいますか、育成といいますか、それに官民挙げて取り組んできている中で、日本がその例外であって本当にいいのだろうか。そういった意味では、やはりここで株式市場をもうちょっと育成する考え方で対処していただきたい。
もう1つ日本の特殊事情としまして、法人間の持ち合い解消という動きがこの2年の間に急速に出てまいりました。会計基準の変更とか、あるいは都市銀行を中心とする金融機関の合併、独禁法上の制約等によるものでございますけれども、やはり受け皿としての個人投資家の参加ということが、どうしても必要になってきているのだと思います。
先ほど御説明いただいた資料で、各国の数字等がいろいろ出たりしていますけれども、何か御説明資料がちょっと一方的すぎるのではなかろうかと。例えば、日本でしか分離課税制度はありませんというような御説明でしたけども、それは事実でございますが、すべてほかの国は金融商品全体が総合課税になっているわけで、総合課税にすべての商品がなっているならば、株式が総合課税であることに対して、私ども何も反対するわけではない。ほかの商品が分離課税であるにもかかわらず、なぜ株式だけが総合課税でなくてはいけないのか。あるいは、そうすることによる大衆の離反といったことをお考えいただけないのかと。
あるいは、いま御説明ございませんでしたが、ちょっと私ぺらぺらとめくりましたら、参考資料2というのには随分いい資料がいっぱい載っています。いかに各国の税が違うかとか、あるいは先ほど説明がありました5分位階級の1世帯当たり云々も、こういう数字だけではなくてグラフにしていただきますと、いかに平均的に株式というのが各層に持たれているかということが一目でわかるような仕掛けになっております。
現在、1,400兆円になろうという金融資産も、いまや個人の金融資産のうちの株式のシェアはもう6%になってきた。アメリカの20数%と比べるまでもないとしても、これとていまから11年前の1989年のデータでは、日本もアメリカも12%から13%という、個人金融資産に占める株式と同じシェアだったわけです。その間にアメリカは20数%に持っていくだけのそういった株式市場振興策をとりながら、それでこれだけの成長を遂げたわけで、そういった事実ということもやはり考えた上で、税というものについても考えるべきではなかろうかと、このように思います。長々すみません。
〇石会長
今日は多数の方が御意見を御開陳になると思いますので、奥本さんが終わったあとで恐縮ですが、なるべくポイントを絞って、テレビではありませんが、2~3分でまとめてください。それでお互いに議論するほうが……。何回手を挙げられても結構でございますから。
では、どうぞ。
〇松本委員
いまの件ですが、株式譲渡益課税について、地方の自治体として申し上げたいと思うのですが、申告分離課税の一本化によって、個人住民税が源泉分離課税で非課税であるという極めて不公平な制度、これが廃止され、地方の長年の懸案事項であったわけでございますが、解決するような方向が出てきたわけでございます。したがって、課税の公平性、あるいは適正化の観点から、地方税の課税ができるように、申告分離課税の一本化を行っていただきたい。
仮に源泉分離課税を残さざるを得ないということになった場合には、累次の答申等の指摘もありましたように、道府県民税利子割と同様な課税方式、それによって都道府県が6%で源泉分離課税し、そのうち4%を市町村に対して交付するなど、地方税の課税ができるような公平な制度を創設していただきたいと思います。
〇石会長
ありがとうございました。
では、どなたかほかの方。
〇水野(勝)委員
この問題につきましては、2年前のいまの時点で概ね議論を尽くされたところでございますので、できれば淡々粛々と予定どおりいかれたらどうかと思うわけでございます。
1つ他の金融資産との扱いの差というのもあるわけですけれども、先ほどありましたように、銀行預金は10億何口ということでございます。現在、金融資産は1,300兆円、1,400兆円と言われ、世帯平均ですと2,000万円弱、その中での定期性預金はその半分ぐらいですから、いまの利率からすると、利子は年間に1万円か2万円でございまして、こうしたものについては、大量性やその利の薄いところからして違うのではないか。また、銀行の預金というのは、資産を保全しておくという消極的な運用、運用とも言えるかどうか。それに対しまして、株式の保有というのは、もっと積極的な財産運用ではないか。そこには差があってもおかしくはない。また、フローの面からいえば、利子は源泉分離、しかし配当でも、先ほど説明がありましたように、ほとんど20%の申告不要という制度が利用されているのではないかと思いますので、そこは変わりがないのではないかなと思います。
そして、実際に本当に積極的に資産運用しておられる方、これはもう消極的な資産保全ではなくて、1つの営業行為ではないかという気がいたします。先ほど、申告件数、約1,700~1,800万件確定申告をされる方がおるということですけども、あの中で本当に中小企業を中心とした営業所得の申告者というのは150万人ぐらいでございまして、その人たちが申告する所得、これは4兆円ぐらいで、1人300万円ぐらいでございます。1人300万円ぐらいの方でも、税理士さん等の御指導を受け、税務署とも相談しながら申告をしておられるわけでございます。おととしの数字で、株式の申告をしておられる方も約2万人おられるのですけれども、その人たちの所得というのを見ますと、1人当たりで2,000万円近い。これは中小企業者が税務申告している金額の5~6倍になるわけでございまして、それだけの大きな収益を上げ、そしてまた、本当に積極的に投資活動をしておられる。それは普通の営業所得者以上に営業行為として確立しているものですから、そこは御自分たちの記録の整理なり、あるいは税務専門家との御相談によって十分税務申告ができる階層であり、そうした事業執行者ではないかと思いますので、あまり心配することはないのではないかという気がするわけでございます。
それから、先ほど2年前からの株式の市況の推移等も御説明がありましたけれども、あれも1つの数字ですけれども、あれは今年になっていろいろな事情から下がっている面がある。それに対しまして、例えばトピックスなんかを見ますと、あの当時、2年前は1,100ぐらいだったのが、現在は1,360ぐらいと、この2年間で2割ぐらい上がってきている。ここらが実勢ではないか。したがって、そう市場も元気がないというふうに心配しなくてもいいのではないかという気がするわけでございます。したがいまして、ここは予定どおり、淡々粛々、もしいろいろ御心配があれば、税務当局も十分御協力をして、例えば取得価額、非常に簡便な、新しい制度に移行する、ではその前日の価額でもって取得価額とするというぐらい踏み切ったっていいではないか。ここは大きな1つの移り変わりであるとすれば。しかし、そんなに心配しなくても、営業所得者、中小企業者を中心とした申告状況からすれば、そう心配ないのではないか。また、総合課税のアメリカでも株式は非常に活況を呈しているわけでございますから、そんなに御心配はないのではないか。いろいろな工夫もしながら、予定どおりいけたら幸いであると思うわけでございます。
〇石会長
ありがとうございました。
菊池さん、どうぞ。
〇菊池特別委員
3年前に決めて実施するということで、準備期間を設けていろいろ準備しなさいということになっているわけですから、それを実施するのは当然と思います。これだけではなくて、いま何となく日本全体のモラルが崩壊しつつあるという大きな原因は、ペイオフ延期に始まって、それ以外たくさんあるのですけれども、一旦決めたことを事情が変わったといってやめてしまうというところにあると思いますので、この申告分離課税までやめてしまったら、またモラルを崩壊させるという、もっと抜本的なところに傷がつくような気がしますので、ぜひこのまま実施してほしいと思います。
個人株主の話は、税金がどうなるから増えないということとは私関係ないと思いまして、3,000万と言いますけど、実数は700万しか個人株主を集めることができないという証券業界の怠慢にあると僕は思っています。ですから、株は要するに上がれば人気が出るわけですから、株価が上がらないというところに本質的問題があるのでありまして、それはこういう決めたことを延期するということ自体、そういうことの繰り返しがいまの株価の低いのにつながっていると思いますので、トータルで考えれば、もっと広い目で見れば、こういうことを実施していって、証券会社のサービスとしてこの申告分離課税をやってあげるというようなことをやっていけば、何ら問題はないと思います。
〇石会長
ありがとうございました。
では、本間さんどうぞ。
〇本間委員
奥本委員とは場外バトルを何回かやっておりまして、ここで改めて申し上げるのはいかがかという気もいたしますけれども、正式なリングに上がって打ち合うということをやっておりませんので、一度ここで正式に私の意見を申し上げたいと思っております。
私、金融課税小委員会の委員長といたしまして、2年前に有価証券取引税及び取引所税の見直しを、金融のビッグバンとの関連の中で議論をいたしました。そのときに、証券業界の代表の方の御意見は、取引関連の諸税があるがゆえに株式市場が阻害されると、こういう言い方の中で、源泉課税的なるこの有価証券取引税等を中心にして、これを廃止しろと、そういう御議論を展開され、その上で我々はそれを認める形で段階的に2段階を踏んでこれを廃止したという経緯がございます。
その経緯の中でこれを考えてみますと、この2年間の間に今度はそういう源泉を残せということ、これは実質的に税率軽減の意味しかないわけでありまして、取引関連の諸税というような形で廃止を求めていくからには、論理一貫性とすれば、それはこの問題については、申告的な形で筋を通されるのが、私は時間的な整合性からいっても、正当な議論になり得るのではないかという気がいたします。
しかも、税調といたしまして時間をかけて議論をし、正式に法律として仕上げて、実行の段階の直前において、またぞろこれを蒸し返しするということは、税調の権威にもかかわってくる問題でありますし、そのことはいまの景気の問題、あるいは株式市場の低迷の問題に引き寄せて議論を蒸し返すというのは、私はアドホックな議論としてはあり得る話だろうとは思いますけれども、これは基本的には、論理的にあまり正当性を持つ議論ではありませんし、政府に対する信頼性の問題、これは単に国内だけの問題ではなくて、国際的に見ても、朝令暮改し、日の目を見ぬうちにこれを抹殺するというのは、我々の政策意思決定のプロセスにおける正当性からいっても問題があるのではないかと。
そして、先ほど3点廃止についての御論を説明されましたけれども、その3点とも私はそれほどの経済的論理性というものがないのではないかということを申し上げて、私は、我々の立場としてはこれを淡々と実現をしていくということが、やはり税調の権威を保つことになるのではないかという気がいたします。
〇石会長
ありがとうございました。ほかに類似の御意見ございますか。
では、村上さん。
〇村上特別委員
この株式譲渡益課税については、もう十分議論を尽くされていることで、私が新しいことを言うわけではないのですが、いずれこれは党税調とか政治状況とかそういうもので最終的な取扱いが決まってくるものだと思いますし、そういう意味で、政府税調でせっかく議論しても、非常に虚しい結果に終わる可能性もあるわけですよね。その場合に、政府税調のあり方としてどうすればいいかということになれば、これはやはり筋論をきちっと通していく、あるいは中長期的なあり方をしっかり述べていくしかないのだろうと思います。
そういう意味では、こういう金融税制全般ですけども、最終的には総合課税を目指していると。それは過去のものに書かれているわけで、皆さんそういうお気持ちでこられたということであれば、それに一歩近づける形でスタートさせるべきではないか。申告分離がもしできないとすれば、総合課税は夢のまた夢というような性質のものだと思いますし、それから、いわゆる株価の上下、あるいは手続の煩雑さというようなことは、こういう株式投資を行うという人たちからすれば、解決できない問題ではないはずなので、そういうことはむしろ政治判断の領域の話であって、政府税調のこういうあり方論議の中では、第二義的な問題ではないのかなという気がいたします。
〇石会長
ありがとうございました。
政府税調としては淡々と進めるということは、外の党税調なり政治的動きに支配されるなということだと思いますが、そのとおりだと思います。我々はあまり外のほうを気にしないで、淡々とし、結果として何が出てくるかはその時その時の問題だと思っていますので。
〇猪瀬委員
もう付け加えることはあまりないのですけど、前にスポーツ新聞に、光通信のあれが700億円のが7億円払ったのが出ていましたよね。スポーツ新聞にそういうのが出てしまうぐらいの、そういうことであれば、筋論としてやはりこれはおかしいのではないかと、そういうところはやはりきちんと通したほうがいいだろうと。当たり前のことですけど、あえて付け加えました。
〇石会長
ありがとうございました。よろしゅうございますか。
それでは、予定した時間、ちょうど第1ラウンドが終わったところへ来ましたので、ここで5~6分、ちょうど3時40分まで休憩して、次の住宅・土地、相続・贈与のほうに入りたいと思いますので、ちょっと休憩を取りましょう。今日は5時までやりますので、少し一服入れたほうがいいでしょう。
(休憩)
〇石会長
予定した休み時間も過ぎようとしていますので、再開いたしましょう。
それでは、第2グループの住宅・土地税制、相続税・贈与税等につきまして、また30分ほど時間を使って自由に討論いたしたいと思います。
どなたからでも結構でございますから、いまの2つのテーマ、住宅・土地のグループと相続・贈与のグループ、これもまたいろいろ議論があろうかと思いますので、どうぞ。
〇水野(勝)委員
住宅・土地につきまして、前にもちょっと申し上げたことがございますけど、これは地方税の固定資産税とも関連するわけですけども、先ほどお話ございました8割軽減といった問題、これは固定資産税でも2分の1から4分の1になり、現在は6分の1課税になっている。これは地価が暴騰したときのいろいろな地価対策として行われたという面があるわけですので、こういったものが沈静化しつつある現在は、固定資産税の課税方式をも含めて、機会を見て4分の1にする、あるいは8割を4割なり5割にするなり、検討されてもいいのではないかなと思います。
〇石会長
ありがとうございました。どうぞ、佐瀬さん。
〇佐瀬特別委員
住宅ローン減税についての印象ですけども、いまの制度をまず元にすっきり戻すというのは、チャンスの公平さからいって、これまでに買った人とこのあとに買った人の差があまりに大きすぎるという点から、いかがなものかと思っております。
それから、住宅というのは衣食住の非常に大事な部分でありまして、しかも価格が高いということで、買う人はぎりぎりのところまでお金を工面して買うことが多いと思うのですが、最近、消費税が5%に上がって、この分がかかってくるので、大変負担が厳しくなっている。そういう点から、何らかの住宅に対する支援というのは必要だし、日本の最も遅れている部分は住宅ということですから、そういう点からも、建設省案がどうかというのは別として、激変緩和の意味も含めて継続、ある程度の対応が必要だと思います。
それから、簡単にもう1つ。相続税のほうは非常に高い税率を適用される人が極めて少数だということで、金持ち優遇という声もありますけども、高額の資産に対してどうするかということは、1つは日本の社会が努力してお金を貯めたとすれば、その人をどう扱うかという問題に関係する価値観の問題であると思います。いかにも一番上が7割というのは、あまり金を貯めるなという制限的な意味もあるし、それから、子供や孫のために頑張るという人もいると思います。それが1つの社会の活性化になっておると思います。というわけで、この点についても緩和をするのがいいのではないかと私は思います。手短には以上です。
〇石会長
前段の住宅ローンは、基本的には現状維持、見直しの方向で少し変えるというようなトーンですか。
〇佐瀬特別委員
大蔵省の考えでは全くやめてしまうということですから、それはいかがなものかということです。
〇石会長
ということは現在程度でもいいということですか。少しは……。
〇佐瀬特別委員
そこはなかなか難しい。
〇石会長
わかりました。難しいところだということで抑えておきます。どうぞ、柳島さん。
〇柳島委員
いまも意見を言われたのですけど、結局、いまなぜ住宅をみんな建てるかというと、いま建てたらおそらく得だろうと思うから建てるので、やはりこういう個人の判断というのは尊重したほうがいいと思うのです。バブルのときと違って、これでまた儲けようとかそういう話ではなくて、これでいいところへ住みたい、通勤圏の遠いところから近いところに住みたいという話だろうと思います。だから、こういう個人の判断というのは尊重すべきだと思うのです。5,000何百億減収になるというけど、むだな公共投資に比べればはるかにましだと私自身はそう考えております。だから、これはやはり何らかの格好で存続すべきだというのが結論です。
それから、もう1つ、事業継承の相続税の話は、何年か前に大蔵省が資料を示したときに、この資料はおかしいという話をしたのですが、結局、株価にかかってくるとかそういう話で、大蔵省の神田の電気屋さんの話というのは一番うまくいったときの例で、中規模宅地とか、個人にかかるとか、いま小手川課長が説明されたとおりなのですけど、結局、零細の業者というのは生きられなくて、それは全部生き延びるのは難しいと。そういう中でどういう方向をこれから誘導していくか、そういう方向の中でこの相続税制というか、事業継承税制というのも考えるのがいいのではないかと思います。
〇石会長
ありがとうございました。どうぞ、福原さん。
〇福原委員
先ほどの住宅ローン減税については、私も激変緩和の考えであります。というのは、もしこれを経済政策としておやりになったのだとしたら、やはりいま現在もう少し経済政策としては延長すべきではないか。それから、先ほどお話しのように、ついこの間までの方々との不公平という問題があるので、あれと同じではなくてもいいけれども、2年ぐらいは続けるべきではないか。
それから、もう1つは、住宅に投資することによって、あらゆる産業が、例えば電気屋さんから、電気の配線から、電話から、すべての産業がかなり大きくなるので、いまお話しのように、個人の設備投資としては一番有望なものではないかと考えるわけです。
それから、さっき小手川課長さんからお話のございました事業承継についての考え方というのは、あれは大蔵省の示されたモデルがあまりにすっきりしたものであって、その全く対極のを私がお示ししただけで、事実上はその中間にあるだけでございます。
一番言いたいことは、日本で非常に大事なことは、中小企業というのが日本は富士の裾野のように長いわけで、そこを崩してしまうと日本の経済が成り立たなくなってしまう。それがお父さんが死ぬことによって事業が続かなくなる。しかも儲かっている会社ほど、例えば類似業種比準方式でいえば、あるいは純資産方式、どっちをとっても、儲かっている会社ほど株価が高く評価される傾向にある。そうすると、その方々は普段税金を払っているのに、これだけ税で国に貢献しているのに、さらに死んだときまでそこで評価が高いというのはおかしいではないかと、こういう意見があるので、いまの未上場株の評価をされて、それに対して、例えば10年間なら10年間の延納を認めるとか、あるいは10年間その業を続ける場合には、国税のほうでこれを預かるとか、その場合の例えば利息はどうするとか、そういうようなことでお考えいただければありがたいわけでございます。
〇石会長
ありがとうございました。
では、佐野さんどうぞ。
〇佐野委員
住宅・土地税制については、住宅ローン控除制度の延長ということ、いろいろ御意見が出ていますが、私も同じでありまして、ここでやめるというわけにはなかなかいかないだろう。そもそも、私はこの制度が2年前に議論されたときに、これは恒久的な制度にすべきであると。つまり、住宅・持家を支援するというのは、21世紀の政策として決して恥ずかしい政策ではないわけでありまして、公平の問題等々いろいろそのときも議論が出ましたけれども、金持ち優遇というようなこと、そういう面からばかりこの問題を見てはおかしいということで、原則継続ということを改めて主張したいと思います。
それから、これと関連して相続税の話をちょっと申し上げたいのですが、つまり、小規模宅地等の課税の特例の8割軽減という制度が果たしてこのままでいいのかどうかということ。つまり住宅ローン控除というようなことで、3,000万円とか5,000万円とかという家を建てるのに汲々として、ちょっと税金がまかると喜んで建てようと。そういう国民感情の中で、親から何億円という家をもらっても、8割軽減でほとんどそれは課税最低限以下になってしまう。ただ同然で手に入る。これはいかにも不公平ではないかと。
もう1つの不公平としては、100坪、330平米以下という面積基準だけでありまして、これが例えば東京の都心と田舎とでは、同じ100坪といってもかなり違う。地域によって優遇措置とか優遇額が極端に変わってくるのが税制としていかなるものか。したがって、8割軽減というのはなかなか動かせないとすれば、ここに何らかの上限を設ける。1億円までとか、7,000万円までとか、そういう何か歯止めみたいなものを検討する余地があるのではないかと思います。
それから、もう1つ、これはしばしば出ていますし、中期答申でも若干触れられているわけですが、この相続税の事業継承の絡みで、死んだ以降どうするか云々ということと同時に、事業継承というのは、経営者が生きているうちに事業継承の足場を固めておきたいという経営者心理に何らかの応える方策がないものかどうか。そこで生前贈与の拡大という方法があるわけですが、それは当然、贈与税、相続税一体としての見直しになる大作業になると思いますが、何かしら答申では一歩進んだ記述にできないものかどうかというふうに思っております。
〇石会長
ありがとうございました。
どうぞ森さん。
〇森委員
相続税は簡単に御意見を申し上げますけれども、最高税率70%は確かに高いと思いますから、これは一応考えるべきではないかなと思います。
それから、課税最低限はもう少し幅広く下げてもいいのではないかなと思うのです。ということは、実際にやっておりまして、相続を開始して相続税を払う人が一番少ないんです。だから最高税率を下げても、もう少し課税最低を下げて、広く薄くというような方策を考えられてもいいのではないかなと、これは実際にやっておりましてそう思うわけです。
それから、非上場会社の相続の、いわゆる非上場会社の株式評価ですけれども、これはいろいろ手当てはしていただいているわけでありますけれども、ただ、相続開始の前年の決算ですから、それの貸借対照表で株式評価するわけですから、企業というのは生きたり死んだりしているわけですから、そのときはよくても、3年、5年先にまたどんと欠損になって、非常に会社の財政情勢が悪くなるということもあり得るわけですね。そういったときにどうするのかというような問題もあるわけです。例えば、延納なんかをしておった場合に、下がった場合には、それは非上場会社というのは売れません。上場会社であれば売れますけれども、非上場会社の株式は売れませんから、非常に資金繰りが苦しいということになります。また非常に事業承継という面からでも問題があるのではないかと思いますから、この辺は思い切ってひとつ措置していただきたいなと思います。
〇石会長
ありがとうございました。
松田さん、どうぞ。
〇松田特別委員
住宅ローン減税ですけれども、私はこれは大幅に縮小すべきだという考えです。いま現在の減収額というのは大したことはないのですけれども、これが15年累積した暁のことを考えると、とんでもない減収額になるわけですね。15年後に、あのときあれを決めたのは誰だといって、後ろ指は指されたくない。だから、ここは全廃するぐらいの覚悟でやって、そうすれば、慌てて建てる人は建てるでしょうから、景気刺激効果もあるのではないかと考えます。
〇石会長
ありがとうございました。
それでは、どうぞ松尾さん。
〇松尾委員
住宅ローン減税でありますけど、これは創設される前から私は慎重論をとなえていたのですが、どうもやはり心配したとおりの状況になってきていますね。一旦この種の税制をつくりますと、やはり期間内に終えられない。必ず延長しろということになるわけです。最初から非常に優遇された措置で、手厚すぎる。最近どういう状況になっているかといいますと、住宅業界の販売を促進するための税制になっている面、これはあるわけですよね。その点を十分留意する必要がある。控除期間が15年、平成12年・平成13年前期居住分が15年というのですから、これはまさにあきれるほどの長さですね。最高50万円の所得税額控除、税額控除ですからね、所得税額控除を適用すると、標準世帯の課税最低限が934万8,000円ですか、これはちょっと異常だと私は思うのです。家を建てると所得税がゼロになるというのも、他の一般の納税者に比べていかにもバランスを失していますね。
個人資産形成に国が援助するには、自ずと限界があるわけです。こうした措置をいつまでも続けますと、一般の善良な市民はどういう反応を示すか。やはり税制そのものに対して不信感を持ってくると思うのです。こういう措置をいつまでも続けるべきではないと私は思いますし、可及的速やかに廃止すべきだと思います。
それから、相続税ですが、これは個人所得課税の抜本的見直しとの関連で見てみますと、中期答申でも触れておりますが、個人所得課税も相当フラット化してきています。消費課税も充実してきているということで、やはり相続税の持つ富の再配分機能、これはやはり改めて注目せざるを得ないわけです。個人所得課税の抜本的見直しとの整合性を重視しなければならないと思います。相続税の最高税率を是正するのが既定路線になっているのですが、その際、やはり経済のストック化が進んで、税負担能力を持つ階層が相当広がってきていること、これは事実そうですね。少子・高齢化が進んでいること。こういうことを考えますと、課税ベースは拡大すべき方向にあると私は考えます。
それから、贈与税ですが、これは高齢化が皆さん御承知のように相当進んでいますし、被相続人、相続人、双方とも年齢がかなり高くなってきているということですから、親子の間では早く財産を移転させたほうがいいということになりますね。それは確かに経済活性化にもつながると思います。その際、60万円の基礎控除をどうするのか。自民党サイドから聞こえてくるのは、基礎控除を100万円に引き上げろとか、さらには参議院選挙を意識してか、もっと200万円ぐらいにしたらどうかという、非常に威勢のいい話であります。このまま放っておくと、青天井になるのではないかという心配もするくらいでありまして、これはやはり行き過ぎであると私は思います。
基礎控除を拡充するということは、言い換えますと、相続税の課税ベースを狭めることになりますし、そうなると、相続税の補完機能としての贈与税の役割も低くなってしまう。これはやはり十分留意する必要があると思います。基礎控除の拡充には自ずから限度があるわけでありまして、この点は自民党にしっかり釘をさしていただきたいと思います。
〇石会長
ありがとうございました。
では、和田さんどうぞ。
〇和田委員
住宅ローン減税につきましては、これが創設されましたときに、私は反対までは言いませんでしたけれども、やはり慎重にというか、これがずっと長い期間取り入れられていくようなことが続いたときにどうなるのかなという懸念を持って発言もいたしました。それから、ある一定規模以上ということで、私の周りなんかは、「好んで小さいマンションを買ったわけじゃないのよ」というような若い人たちからの話もありまして、少なくともいまのままの減税をそのまま継続するということには、問題があるのではないかなと考えております。
それから、相続税につきましては、先ほど御説明がありましたように、基礎控除が最近、当然ですけど大分上がってきておりますし、累進も緩和されておりまして、最高税率のところは実際に適用される方の人数というのは非常に少ないというお話でしたけれども、個人所得税なんかの横並びで下げるようにというのは、いかがなものかなという気がしております。
贈与税につきましても、60万円というところが、引き上げるという金額がいくつか出てきておりますけれども、中期答申の議論の際に、機会の平等というのが大分話に出ております。私はすべてについて悪平等と言われるところまでの平等というのは申しませんけれども、いま所得格差が確実に開いておりますときに、このようなところにさらに格差が広がるというようなことはどうかなという感じがしております。
それから、もう1つさっき申し忘れましたけれども、相続税につきましての事業継承につきましては、やはりケース・バイ・ケースでいろいろ対応を考えなければならないことがあるとすれば、それはもう少し検討していく必要があるのではないかなと思っております。
〇石会長
ありがとうございました。
では、本間さんどうぞ。
〇本間委員
それぞれの見直しの1つ1つを取り上げますと、それなりの正当性があるような感じもいたしますけれども、私、実は学生に質問を受けました。「いまの税制改正の動き、相続税、贈与税というものを軽減して、そして景気対策になるのでしょうか」という質問。それから、もう1つは、「そういう減税的な部分と対比して、酒税を発泡酒において増税する。これは新保守主義的な形でいま税制改革をやろうとしているのでしょうか」と、こういうような質問。さらには、「住宅資産形成に対して、若い人々は最近は賃貸派に移っているという現状があります。依然としてこれを続けてさらに加速をさせて、賃貸派というものは全く税の控除の対象になっていかないという、こういう問題をいかに考えるのですか」と。しかも、「これを全部組み合わせますと、親の資産保有者から毎年毎年お金を贈与してもらって家を建てて、そして、軽減的な形で自己資金が少なくていい人が、今度はさらに親が亡くなったときに、相続の税金をまけていくということの、こういう世代的な問題に対して、どのように歯止めをかけるのでしょうか」と。先ほど和田委員がおっしゃったように、「ストックの格差というものが広がっている。フローでもそうでしょう。こういうことが一体どういう経済的なインプリケーションを持つのでしょうか」ということに対して、すべて私は実は答えられなかったというのが現状であります。ここら辺のところは、政治的な判断はともかく、リマークとして税制改正の論議の中に留意点というものをぜひ書いていただきたいと思います。
最後に、事業継承のところでも質問がありました。これは、ベンチャー的な無から出発する人々が非常に業を起こすということが難しいのに、親がたまたま事業をしているからといって、それに対していわばサブシディーを与えている制度が、若い世代間のインセンティブに対してどのような影響を与えるのかと、こういう点も十分に配慮する必要があるのではないかと。この辺のところをぜひ税制改正の論点の中に明記をしていただきたいと思っております。
〇石会長
ありがとうございました。
それでは、河野さん。
〇河野特別委員
住宅の大減税は、緊急事態に日本経済が直面して、民間の力で盛り上げるとか、なるべく盛り上げてもらおうと、公共のほうもやるけれども、という話だったんですよね。いま時間が経って、いろいろ数字を教えてもらえば、何がしかの効果があったことは明らかだと思うのです。そこまでは普通認められる。そのことに異議はまたいろいろあると思うけれども、とにかく効果はあったと。
問題はこれから先どうするかという話ですよね。僕はこの税制改革が一番効いているのは東京ではないかと思うね。地方でいま利用する人はいますよ。しかし圧倒的に多いのは東京であって、しかもマンションであって、遠くから都心に帰ってくる人たちの話ですよね。
僕はサラリーマンはとっくに卒業しちゃっているけど、自分の娘婿の話を考えてみれば、それ自体は悪くない。しかし、この機会にと思っている人たちは、いままでの期間に相当程度利用したと思うんだな、ぼんやりしていなければ。わかっているわけだから、こんな話は。これからこれをかなり長期間にわたって延ばしたって、そんなにこれを利用する人が増えるとは思わない。むしろ、僕は建設省の諸君によく言っているのだけど、公共事業論も同じだけど、景気のために公共事業、景気のために住宅何とか減税というのは、そろそろやめろと。公共事業は基本的には景気のためにやっているのではないんだという視点でものを考え直せと言っているんです。「それはよくわかります」と向こうは必ず言うわけです。間もなくそんなことでは通用しなくなることは役人だってわかっているから。これも同じですよ。そうなれば、この先考えるべきことは、恒久的に中堅サラリーマンの諸君がしかるべき時期に人生計画を立てて、住宅を建てるということについて、税法上どういうふうな面倒を見るのが公正なのかという議論をもう一回やらなければいかんのですよ。これはただ単に延ばすのではなくて。だから、今度のを仮に、これまた政治決定の話に属する話だと思っているから、いろいろな結果が想定されるけれども、税調としてはむやみに延ばすという話にそう簡単に乗るわけにいかない。乗る必要もないと思うんですね。
さっき発言しそこなったのだけども、株の話に関連して、石さんがそうおっしゃったから、なおさらそういうふうに感じたのだけれども、ひょっとすると外部の意見と相当違った線を多数意見として我々は書く。少なくとも総会の空気を我々答申作成委員として考えるならば、反映すればそういうことになるんですね。それはそれで1つの筋の通し方だと思いますね。それに比べれば、この住宅のほうは、それほどガチンコではない。もうちょっとまだ余裕があるような話ではないかという気がします。
もう1つ、相続税で生前贈与の話は、前から私が言っている話で、この前水野さんがいろいろなことをおっしゃっていて、それは全く合理的な話だと僕は思うので、生前贈与について、いまの60万円というのを、時間の経過、物価の上昇、その他万般のことを考えて、何がしか手直しをするのは当たり前だと、そんなことは。ただ、どこに線を引くかということは、それは税務当局のいろいろな理論の立て方もあると思うから、やったらいいと思うけども、ある程度やることは当然のことだと思いますね。
〇石会長
ありがとうございました。
では、堀田さん、お待たせしました。
〇堀田委員
乱暴な意見を申しますけれども、これは社会保障有識者会議でも申し上げた意見ですが、私は相続財産というのは、原則、全部国のほうでもらって、それを高齢者のための社会保障費用がどんどんかかっていくわけですから、こっちに使えばいいではないかという意見です。これは中間答申の方向と反することを承知で言うのですけれども。
全部というのは非常に乱暴で、事業用に使っている資産については、適切な配慮をする。それから、配偶者の居住用資産、これはやはり配慮する。そういう合理的な配慮は要ると思いますけれども、それ以外の財産は子供に譲ってもろくなことにならない。私はいまは福祉の現場におりますし、ずっと犯罪、非行の現場におったわけですけども、親の財産を当てにして育つような子供というのは自立しません。そういうのが社会の活性化を削ぐし、ろくな行動をしないわけでありまして、初めから財産は子供に行かないという仕組みにきちんとしておいたほうが、私はよっぽどしっかりした自立した子が育つだろうと思います。
それから、贈与税の問題が出ておりますけれども、これも生前贈与をして経済が活性化する点は、私は大変首を傾げるので、もらうほうも、もうかなりのお年に達しているわけですから、これは自分できちんと生活設計を立ててきておって、自分のつくった資産で生きていかなければいけない。そこへ親から思いがけない金が入って、何に使うのか。ろくなことに使わないだろうと。しっかりした人なら貯めておくだけだろうと私は思います。ですから、どうも経済効果説も納得できないのでありまして、大変乱暴な意見でありますけれども、そういうふうに思っております。
〇石会長
体験談を踏まえると迫力がありますね。
では、猪瀬さんどうぞ。
〇猪瀬委員
先ほど本間さんがとても重要なことを言われたと思うのですけれども、つまり、若い人が賃貸派が増えていると。これは、昔は当たり前ですけれども、持家というのは投資効果があったから、貯金よりいいだろうということがあって、持家というのが進んでいったわけですけれども、若い人はお父さん、お母さんが家を持っていますから、賃貸で都心の好きなところへ住んだりとか、そういうふうなライフスタイルが変わってきているわけですね。ですから、そういう賃貸派が増えているということは重要なことで、それを前提にしてお話しますけれども、住宅ローン減税というのは景気刺激策でやったということで僕は聞いております。それから、去年のいまごろに半年延ばしたということで、来年6月まで延ばしたということになりましたけれども、これは景気刺激策ということでやったわけで、こういうのは期間限定のバーゲンセールですね。だから、バーゲンセールを延々とやっていたら、駆け込み需要というのはないわけでありまして、12月過ぎるとまたバーゲンがありますけれども、そういうことでバーゲンセールをずっとやっていたら、先ほど言いましたけど、これを10何年続けていったら大変なことになるわけで、誰がこんなことを決めたんだということになりますね。そういうことを考えると、景気刺激策ですから、終わらせるときは終わらせるということです。
もう1つ、これは重要なことなんですけれども、もちろん住宅を欲しい人に対する持家の支援というのは必要なんですけれども、生前贈与の場合に60万円までですけれども、住宅取得の場合は300万円まで無税で、500万円でも20万円ぐらいですね。そういうことが別にありまして、親から頭金をもらえるようになっているわけですね。
この特例措置というのがいつできたのかなと思ってちょっと調べてみたら、84年の中曽根内閣が、総選挙をやってだめで、新自由クラブと連立しなければならなくなったときにやったんですね。特例措置でつくって、住宅資金の300万円ですね、60万円を5倍にして300万円にするというやつですけれども、それが特例でずっと来て、いまも特例のまま来ていて、今年いっぱいで特例は終わるはずだけど、また特例を延ばすんでしょう。そういう特例、特例で来るわけですから、もし住宅ローン減税をやっていったら、切りがないですね。
いずれにしろ、そういうことで300万円はもらえることになっている。これはやはり大きいですね。こういう支援があるわけですから、若い人にはこれはすでに十分にインセンティブになっているんです。そこのところを考えれば、これ以上やる必要はない。
それと、実際に経済効果があったと河野さんはおっしゃる。僕もそうだと思いますけれども、そのあと、このところ前年比落ちていますよね。だから、もういいんじゃないですかということなんですけれども。
それと、60万円の生前贈与ですけれども、これも僕は増やす必要ないと思うのは、子供が2人いて、その奥さんにもやって、その子供2人と8人になって、計算すれば、それで1年間480万円になるわけですね。これで10年やったら4,800万円ですが、これを2倍に120万円にしたら、1億円所得を移転できるわけですね。だから、その辺60万円ぐらいでいいのではないかと。とにかく、持家促進については、住宅取得の資金のための300万円があるということを忘れないでこの際やっておいたほうがいいだろうと、そういうことでございます。
〇石会長
ありがとうございました。
この際、次のテーマに移ってよろしゅうございますか。住宅・土地、相続・贈与、大分議論がいろいろ交わされましたが。
それでは、またあとで戻っていただいても結構ですから、第3のグループの酒税、税理士法、租特のほうの整理合理化につきまして、少し話題を移しましょう。特にお酒の税金に関心がある方もいらっしゃるかと思いますから、どうぞ。
〇大宅特別委員
発泡酒の課税ですけれども、さっき安いから売れると。その理由は税金が安いからだとおっしゃったのですけど、これは逆さまでございまして、税金が安いから安いものがつくれると考えて開発された商品なわけですよね。新商品開発というのがいま日本で一番大事なことで、今日もさっき石さんも御一緒で、ハーバードの先生から、日本は競争力があるか、勝てるか、という講義を聞いていたわけですけれども、イミテーションからトータル・クオリティになって、これから必要なのはイノベーションだと。発泡酒がイノベーションというのはちょっときつくなくもないですけれども、つまり、数少ない元気商品なわけですよね。人と違う何かを考え出すというか、知恵というか、アイデアというものが評価されないとなると、どう考えても元気になれると思えないですね。だから、人と違ってこういうのを考えたよ、とやってきたその活力を削ぐと私は思います。たかだか2,000億のものに、130兆円かけても元気になれないのに、意識の問題のほうがよっぽど大事なので、これは、私は庶民のささやかな楽しみとか、そういう話ではなくて、いかに日本で人と違うことをやっても得しないか、という話になってしまうのを一番怖れます。
それと、さっきから額が少なかったからかけてこなかったとか、売れ出したからかけるとか、大衆と贅沢という線引きとかという話があるのですけど、そういうのもほとんど説得力がないと思うのです。物差しは、決めたのならちゃんと決める。さっき住宅の話もありましたけど、全部チャラにして、本当に一回ちゃんと決めて、これでもう変えないというぐらいにしないと、だめなのではないかなと。その時々でワインが売れ出したからかけようというのでは、今度東京都も新しい税金をいっぱい入れるようですけれど、まるで悪代官で、お上が考えたら何でも税金というのは取れるのかい、という感じで、本当に税に対する不信感が増すのではないかという気が私はします。そもそも大衆だとか贅沢だというのも線引きはほとんどできないで、エルメスのスカーフをする人もユニクロのフリースを買う時代なんですから、それも全部チャラで考え直さなければいけないことで、何しろ元気を削ぐことはやめていただきたいと思います。
〇石会長
元気な発言です。
では、こちらの水野さん。
〇水野(忠)委員
先ほど真砂課長から御説明のあった酒税ですけども、いまの大宅先生の話にかかわりますが、発泡酒がなぜ安く売れるかということは、キリンの「端麗」なんかは宣伝していますけれども、品質は決して落ちておりませんで、税金が安いからですと、これを売り物にするわけですね。企業が節税を売り物にするとどういうことになるかというと、いわゆる企業意欲という言葉を使われますけれども、現実に非常に逆効果が大きくなってくるように思われるわけです。
例を挙げますと、アメリカが1970年代、1980年代になかなか経済がうまくいかなかった。なぜかというと、これは会社の取締役、役員は、配当可能利益を多く出して、株主に配らざるを得なかった。そのときに設備投資だ何だということよりも、まず節税、どうやったら税金を安くして利益を大きくするかと、そういうような操作に走ったために、設備投資が遅れてしまったと、このようなことが専門書にあったのですが、いまの大手のビール会社の発泡酒の考え方というのはまさにそれで、生産工程だとか原材料を工夫して、原材料はお砂糖が入るのによってちょっと違うのだと思いますけれども、いわゆる生産工程を工夫するなりいろいろ工夫した上で、でき上がったら低コストで、なおかつ高品質のものができたと、これが企業意欲というもので、税法をにらんで、ここをこうすれば大きく安くなるなというのは、非常に企業にとって悪い例ではないかと私は思うわけです。これが第1点です。
もう1点は事務局に伺いたいのですが、酒税は、私、全然お酒も飲めないので、あまり検討していないのですが、酒税というのは一体何を課税の、消費には違いないので、移出行為に課税するわけですけれども、さて、何が課税ベースになるのだろうと。また、そのときに税率をかける根拠ですけれども、これは所得税でも同じことでありますが、ちょっと伺っていてわからなくなってきたのは、移出行為に対してこれだけの金額に何パーセントと、こういう話だと思うのですけれども、こちらで度数が書いてありまして、1度につきいくらという計算が出てくるのですが、一体全体として酒税を見たときに、税率の一覧をどういうふうに、こういうふうな形でこれを基準にしてこういう税率になっていますと、そのことについてちょっと御説明いただけますでしょうか。
〇石会長
真砂さん、どうぞ。
〇真砂税制第二課長
WTO後のわが国もそうですし、それから国際的に見ましても、まずアルコールに意味がある蒸留酒、この蒸留酒はアルコール度が20度とアルコール度が40度であれば、40度のほうに意味があるわけですから、これは国際的にもアルコール度数課税で一本化するということは、統一された考え方であります。日本の場合もWTO後はそういう形になっています。
片や醸造酒のほうは、ビールであれば、5%前後でないとああいう味が出ないですし、ワインであれば、12%前後のワインしか存在しないわけですし、清酒であれば、大体15%ぐらいのものが主流を占めるということで、10%のビールというのは5%のビールの倍価値があるかというと、そういうことではないわけですので、醸造酒のほうはそういうアルコール度数課税という考え方が必ずしもとられているわけではなくて、それぞれの農業生産とも相当かかわっていますので、それぞれの国で区々の税率の張り方をしているというのが現状でございます。
〇石会長
水野さん、納得しましたか。
〇水野(忠)委員
ええ、ありがとうございました。
〇水野(勝)委員
酒税については、御説明ありましたように、一貫して大きな流れとしては、同じものには同じように課税をするというふうに来ているのではないかと思うわけでございます。60年代、昭和の時代までには、非常に高価な重課税制度というのがあった。高いお酒には高い税率、重課税でかけるということがあったわけですけれども、63年に消費税が入ったときに、そういったものはすべて廃止したわけでございまして、それから物品税も廃止しました。ですから、スカーフを高いものを使おうと、何であろうと、とにかく、そういったものは、まさにいまのお話のように、一律の消費税でいまは課税されている。ただ、嗜好品については、特別な課税が残っている。しかし、その嗜好品の中でも、平準化していくように、次の段階としてはWTOの話があった。しかし、WTOというのは最近の話で、その前のガットからすれば、10何年の論争でございましたけれども、これは何とか先ほどの御説明で、平成10年の改正で一本化されたわけでございます。そして今度の中期答申、同種同等のものは同じ負担をお願いしていく方向で検討をしたらどうかと。そういう方向で淡々と進めていったらどうかと思うわけでございます。
それにつけても、ではなぜビールと発泡酒というのはいままで違っていたのか。アルコール度数の観点からなのか。いまお話を聞くと、そうでもないような気がする。それでは麦芽で差をつける。ではなぜ麦芽で差をつけてきたのか。しかし、それはもういまや適当ではないというのか。そこらの点について、もういまや製法も同じ、味も同じということなら、同種同等のものなのだということで、税制としての考え方を確立していく。そうした上で、関係者あるいは消費者の皆さんに納得のいく説明を丁寧にしていくということが必要になるのではないか。
WTO、ガットで焼酎の問題が取り上げられたときに、これは大変なことになるのかなという気がしたのですけれども、10年かけてやってきて、ほとんど一本化された。そして、関係者もいまは収まっておるし、焼酎業界もそこそこの事業規模、事業展開を維持しているということで、やり方をうまく説得力を持ってやれば、こういうことにもなるわけでございます。したがって、ビール、発泡酒の問題、考え方はこうなんだと、ここらが税制としての基本的は要請なのだというあたりを、十分に関係者、社会に御説明をしていくのが必要ではないか。そうした上で淡々粛々と中期答申の方向を進めていかれたらいかがかなと思うわけでございます。
〇石会長
中里さんが大分待たれていますから、どうぞ。
〇中里特別委員
マニアックな話ですけれども、税理士法とか酒税は随分一生懸命勉強したものですから、少しだけ意見を申し上げさせてください。
税理士法についてですけれども、申告納税制度の日本における円滑な発展のために、この制度の果たした役割というのは大変に大きなものがあるのだろうと思います。今後ますます租税の問題というのが国民の間の重大な関心事になっていくということは、これはもう明らかなことですので、納税者サービスの向上という視点から、地方にまで満遍なくプロフェッショナルの方々が存在して、適切なアドバイスを納税者に、時々適切でない場合もあるかもしれませんが、与えられる状況があるというのはいいことですから、税理士法については、非常に前向きに建設的な方向で改正しなければいけないのではないかと思っております。
それから、酒についてですけれども、酒を単なる消費物と見てはいけないのではないか。あれは危険物、薬物でございまして、薬物であるがゆえに中毒も生じ、20歳以下の者は飲んではいけないという、人権に反するような規制がなぜかけられているかというと、危険物、薬物だからなんですね。その薬物についてのコントロールがある程度きついのは、これは仕方のないことでございまして、社会的規制ということなのだろうと思います。
税率のほうですが、これは課税の基本からいって、ワインと日本酒、似たような、どこが似ているのかよくわかりませんけど、僕はワインと日本酒、どっちにしようかなとよく考えるので、僕の感覚からいうと、両者は似ています。つくり方も似ていますね。ウイスキーと焼酎が似ているくらいですから、ワインと日本酒のほうがもっと似ているだろうということですし、ビールと発泡酒に至っては、ほとんど差はございません。
これはWTO以前とWTO以後というのは全然状況が変わってしまったのだろうと思います。同じようなものには同じ課税をしなければ国際的にもたないのでございまして、発泡酒について、麦芽25%であの味が出せるのは、日本のメーカーだけだろうと。そうすると、日本のメーカーを保護するために特別低い税率をかけている日本の酒税制度はWTOに反するということで、外国のビールメーカーがまたWTO、ジュネーブで攻めてこられたら、また10年かかってしまう。そのときにはビールの税率が発泡酒まで落ちるのでしょうか。それはちょっとわかりませんけれども、同じものは同じにというのは税制の基本なので、これは譲ることはできない。もともと穴をねらったものですから、永遠に穴が続くと思ってはいけないわけで、それが企業努力というものだろうと。日本のビールメーカーというのは、実に志も高く立派なところだと思いますので、これは庶民がどうのという話ではなくて、WTO以後だということで御理解いただかないとだめなのではないかと思いますが。
〇石会長
ありがとうございました。
菊池さんが挙げていましたね。
〇菊池特別委員
世の中にこれだけたくさんの酒の種類があるのはなぜか、というのを一回調べたことがあるのですけれども、かなりの部分は税金のがれのために新種の酒を考え出すという結果、こんなたくさんになったということですので、このWTOで税金を一緒にするというのは、人類史上間違った考えだというのもあるのですが。
発泡酒については、やはりビールですから、いずれ同じになるとは思うのですが、まだ早いという気がしまして、このまま2~3年たてば、五分五分ぐらいにビールと発泡酒になる。放っておけば全部発泡酒になるというのは見えているわけですから、そのどこかの段階で、そろそろいいんじゃないのというところで同額にするというのが、世間的にも納得する増税ではないかと思います。
ワインの場合は全然違って、僕は1瓶200円ぐらいかかっているのかと思ったら、たった40円ということで、ビールはどこに行っても同じ値段で売っていますけど、ワインは店によって3倍ぐらい、あるいは5倍ぐらい平均に高く売っているわけですから、いくらでもその程度の税金を吸収する力はあると。だから、ワインは100円ぐらい上げていいのではないかなと思います。
ただ、酒税全体を見ると、あまりにもビールにおんぶに抱っこという、酒税のほとんどがビールだという状況は、やはり酒税というのを考えるならば、もうちょっと考え直してもいいかなと思います。そういう意味でも、ワインとかウイスキーとかは、もうちょっと税金を上げてもいいなと。
それから、焼酎というのは、かわいそうにWTOのおかげでワーッと上げられたのですが、結構そのあと、やはりおいしいと思う人が多いからなんでしょうね、実際おいしいかどうか知りませんけど、やはり努力すれば、税金を上げても飲むと。飲んべえの数は減らないから、トータルで飲む量は、どれを飲むかであって、同じではないかという気はするのですが。ですから、必ずしも税金を上げれば飲まなくなるということではないので、そこら辺はよく見きわめて、ワインは上げる、発泡酒はもう少し待つ。みりんを飲むというところまでやっている、それをいじめるのはまだちょっと早いという感じがします。
〇(不明)
こういうのを考えていると、時々わからなくなってしまうんです。どっちがいいのかなと思うことがあります。元気なところに途端に網をかけると、やはり萎むという気持ちはとてもよくわかるし、それから、中里さんみたいな御説明を聞いていると、やはり均等にかけたほうがよろしいなとも思うのですけど。
でも、発泡酒はうまくいきましたけど、焼酎風みりんとか清酒風みりんは、何か気持ち悪くてとても飲む気がしなくて……。やはり発泡酒は、私も発泡酒を飲んでいますので、これは飲めるなという感じがするので、この辺の企業努力はやはりとても大切だという気がします。ワインなんかの税率も、それからもちろん清酒風みりんや焼酎風みりんも上げるということになるわけですよね、そういうのも含めて、その辺はどこかでやったほうがいいのではないかなという気はしています。
ただし、感覚的なことで、そういうものはとても表面に出やすくて、また税金が上がるのかという感覚的な影響というのを、やはり私たちは見過ごしてはいけなくて、先ほど本間先生の中にもありましたけれども、感覚的にみんなが賃貸に流れているというものを、なかなかこういう税調なんかの中にいると見落としてしまうことがあって、いまの風潮がどういうふうに流れているのかとか、人の感覚、そうなったことによって現実のお金の動きではなくて、感覚がどういうふうに変化するかというところは、慎重に考えておかなければならない部分だろうなと思います。
堀田先生ほど人間性悪説ではないですけど、感覚的に何か上げると言われたときに、影響を受ける気持ちの度合いというのが、かなりいまは、特にこういう状況の中にいると大きいのではないかなと。忘年会も前だし、いろいろなことで気分的に滅入るということもあるなというふうに思っております。
〇石会長
ありがとうございます。
では、和田さんどうぞ。
〇和田委員
発泡酒につきましては、やはり周りの人たちの声を聞いていますと、取りやすいところから取るという、そういう感じが一番強くなっていまして、本当に企業が何とかしてという、これは税金が安いから安いのか、あるいはいろいろな努力をした上でやっといまの味が出てきたのか、いろいろな見方があると思いますけれども、やはり相当な量が出てきたから、単純に度数だけで合わせてしまうというのは、ちょっといかがなものかなという気がします。
WTOが焼酎のときをはじめとしていつでも出てくるのですけれども、私たちがそこのところをWTOで問題になるからといって、先にやむを得ないというところまで納得してしまうというのは、ちょっとどうかなという気がしております。
〇石会長
ありがとうございました。
では、松尾さん。
〇松尾委員
ビールと発泡酒、これは原料、製造方法は同じ。ただ、芽を出した麦を使うのか、それとも芽を出さない麦を使うのか、それだけの違いで税金が違ってくるということですね。何とかシェアを盛り返そうというわけで、こういった税負担格差に着目して発泡酒を開発したビールメーカーの営業戦略、これは私もあっぱれだと思うのです。ただ、芽を出した麦を使うか、芽を出さない麦を使うか、ただそれだけで税負担が違ってくる。これはやはりちょっとおかしいですよね。
発泡酒は庶民の味方と言えば聞こえはいいですけれども、客観的に見て、これは節税商品でありますし、隙間商品であることは間違いないわけです。こういう手口は、手口と言っては言い方が悪いですけれども、ますます横行する可能性もある。それを放っておいていいのかということになります。
私は古いビール党ですので、ビール会社の経営にこれまで何がしかの貢献をしてきたというつもりでおりますので、遠慮なく言うわけですが、同種同等のものに同様の負担を求めるという消費課税の原則があるわけでありますから、この原則に沿って、発泡酒とビールの間に税率格差をつけるほどの違いがあるのかどうか、これは冷静に議論する必要があると思います。政治の世界では早々とこの問題は先送りしたと伝えられておりますけれども、それのほうがおかしいのではないか。そういう先送りする態度は非常に奇異であります。
それから、蒸留酒は税率の調整はついているわけですけども、先ほどの御説明ですと、醸造酒のほうは非常にアンバランスがあるわけでありまして、ここにもいろいろな隙間商品もあらわれているようでもあります。やはりワインとか清酒とかみりん、そういった間の税負担をバランスさせるという、これはやはり税制の中立性、公平性を確保する上で、どうしても必要になってくると私も思います。
〇石会長
ありがとうございました。
河野さん。
〇河野特別委員
この話は実は奇妙な展開をしているんです。普通、こういう話を大蔵省が考えるのだったら、我々のこの席でまず発表して正規に持っていくのを、全然ここのところ素通りで、リング外で発表して公表して、自民党税調に持っていって、ほとんど叩かれて、新聞の半分ぐらいはもうおしまいだと書いている。半分ぐらいはまだおしまいだと書いていないという状況にいまあるんですよ。
考えてみれば、政府税調では、これほど一般庶民に関連のある話について、真っ当な議論は本日ただいまが初めてなんですね。ゲームオーバーしちゃっているかのごとき印象がある中で、何を始めるのだというのが率直な印象なんですね。
しかし、私はこう思っているんです。最初にこの報道を読んだときに、大蔵省はやっと真っ当な方向に向かって、無理を承知で歩き出したなと思ったんですよ。細かいことを別にすれば。方向だけは間違っていないと私は思っているんです。ところが、そのあとの事態の進展を見ていると、大宅さんと神津カンナさんが言って、お2人は私よく知っている人なので、なかなか反論しにくいのだけど、企業努力論というのがあるんですね。これは確かにうまいところに目をつけたと思うし、これだけシェアを拡大したのだから一般庶民の支持も得ている、ということはそのとおりだと思うけれども、しかしどう考えても、同じようなものに同じ税率を適用するためにステップを踏むというのは、そんなに間違った方向じゃないですよね。間違った方向ではないですよ。
お2人ともさすがに偉くて、「一般庶民のささやかな楽しみ」とか何とかあほなことを言わなかったから、それは立派なものだと思うんだ。本当にそのとおりなんだ。「地球にやさしい環境税」だとか、似たような話なんですよ、スローガンというのはね。そんなことじゃないんです、この話は。もし一般大衆に大衆課税することは間違いだと言ったら、あらゆることがこれからできなくなるから。消費税だってそういう異論がたくさんあったんだから、10年前我々が経験したことで言えばね。だから、企業努力論というのは、ある程度認めても構わない。しかし、それでもなおかつここまでのシェアを持てるようになれば、現実論として、この前の中間答申に我々書いたようなロジックで議論を展開することは、当然のことだと思うんです。
もう1つ、この話に関連して言えば、もっとでかい話があるんです。いずれ皆さん、会長以下腹の中でそう考えている、この3年間の政府税調の大きな仕事の1つは、おそらく、タイミングが来ないかもしれない、来るかもしれない、来なくちゃぐあいが悪いけれども、いずれどこかの時点で財政構造改革という大問題に突き当たるかもしれない。これは政治がリーダーシップを取れなければ動きが取れないけどね。そういう政治家が出ることを仮に仮定すれば、そういう時期が来るんですよ。そうなると、半分以上は歳出削減の話だから、向こう様でやってもらいたいけども、税金だっていじらざるを得ないですね。みんなそれを腹の中でわかっているわけだ。どういうふうにそのとき乗り切るかという話をやるときに、この2,000億円なんかの若干の増税ぐらいでけつまずいていたのでは、これは大きな話の入口をやっているわけだから、大蔵はそう思っているに違いないと僕は思っているから、これは第一歩なんですよ。そこで簡単に後退したんでは、先々思いやられると思いますね、本当の話。それが一番私の懸念事項で、だから、今日初めてここで議論させてもらうので一言言わせてもらえば、この話と、それから先につながる話を2つ頭に考えてみれば、そうそう頭から否定するような話ではないと思いますね。ほかにいろいろな方がいろいろなことを言われるということはよくわかっているけれども、私はそういう視点から了承したい。
〇石会長
ありがとうございました。
では、猪瀬さん。
〇猪瀬委員
発泡酒というのは切れがある。切れとコクでビールがあるのだけども、A社の切れがあるビールがあって、B社の発泡酒があって、それをテレビの企画でやってみたんです。飲ませてみた。そうしたら、当てた率が50%です。つまり半分は当たらないということですね。だから、母数はそんなに多くないのだけど、とりあえず、ぴったり50であった。だから、結局、A社の切れのあるビールと、B社の発泡酒は味が同じだということなんですね。これはやはり大事なデータで、同種同等のものは同様の負担ということであれば、結局、嗜好品ですから、大体最初に麦芽率がどうのなんて決めたのがおかしいのだから、そういうことであとから言うのも、だからちょっと大蔵省も問題なんだけど、麦芽率なんていうのは、決めなければよかった話なんだろうね、きっとね。
それはともかく置きまして、僕はいまたばこを吸っているけど、たばこで大体2兆円ですよね。地方税を入れてね。いまお酒のほうで2兆円のはずが、発泡酒のおかげで2,000億円減っている。本来は2兆円だったのだけど。大体嗜好品で2兆円という枠をある程度つくっておいたほうがいいかもしれませんよね。それなのに、国鉄の債務の3,000億円、たばこで突然3,000億円増えてしまったわけです。これは全然論理的じゃないですよね。そうすると、今度は1兆8,000億円で2,000億円足りない分を、今度はたばこにつけるのかというふうなことになるわけでしょう、結局。そうなるかわからないけどね。そういう曲がった論理ができてくると、僕は酒もたばこも好きなので、どっちもしようがない、どっちも払うしかないんだと思っているけども、そういうところで2兆円ずつなら2兆円ずつと、ある程度枠を決めておかないと……。味が同じだったらしようがないんじゃないの、ということはやはりあるわけです。
それから、節税を売り物にして価格に反映するということは、先ほど水野さんおっしゃったように、企業努力ではないわけですね。やはり味と価格で勝負ですから、生産工程で効率を上げて――護送船団じゃないけど、何でビールの値段がみんな同じなのかと。やはりワインみたいに高いワインと安いワインと、500円のワインと5,000円のワインがあっていいように、ビールだって高いビールと安いビールがあっていいわけだし、実際にその辺の飲み屋に行けば、ドイツのビールのほうが国産より高い値段がついて売っているわけですよね。そういう付加価値を付けているわけだから、そういうことで、本当に味で勝負だったら、値段も価格差があっていいわけですよね。そういうことも企業努力であって、節税だけを狙うのが企業努力ではないから、そういうことを考えたほうがいいだろうと思っております。
〇石会長
ありがとうございました。
では、大宅さん。
〇大宅特別委員
つくり方もアルコールの度数もほとんど同じなのだから、同じものはすべて同じ税率にするのは当然であるという、それはしごくごもっともだと思います。それは発泡酒というものができて、たくさん売れて、こういう事実があって出てきた話でして、私が言いたいのは、麦芽が多い少ないで税率が違っていたのは事実ですね。それを変えるというのであれば、「それは間違いでござんした」と、「大蔵省の間違いでした、ごめんなさいね」と、一言言っていただきたい。そのあと、今後はこういうことなので、こういうふうにしますと、それなしでだまくらかそうとか、何かこねまわして理屈をつけるというのだったら、絶対反対です。
〇石会長
皆さんうなずいているから、そうなんじゃないですか。
本間さん、どうぞ。
〇本間委員
麦芽で芽が出るか出ないかという議論をしていますけれども、私は実は経済学者としてはユニフォームに税率をそろえるということ、非常にやっていただきたい。それは賛成しているという意味ではなくて、シミュレーションがおそらくできるということで、経済学者の、メシが食えるだろうということで申し上げているわけです。つまり、税率は一方を増やし、一方を上げるということが類似商品間でどのような商品構成に対して影響を及ぼすかということは、非常に興味あるテーマであります。したがって、2,000億円という根拠がどういう計算でなされているのか。つまり、同じ率で上げたり下げたりしたときに、発泡酒が非常に下がって、しかし、ビールはそれほど増えなかったという状況になったときに、レベニューの意味で一体どうなるかということを、きちんと主税局が検討された上での2,000億円かどうか、技術的に質問をさせていただきたいと思うし、私は事後的にそのことを検証したいと思っております。
〇石会長
どうぞ、真砂さん。
〇真砂税制第二課長
本間先生の御質問ですが、2,000億円は、いま25%が発泡酒の比率なものですから、先生の高級な理論の前に、単純に25%のいまの比率をそのままビール並みにすれば、2,000億円という計算をしたところでございます。
〇本間委員
絵に描いた餅に終わりませんかな。
〇真砂税制第二課長
そこはいろいろ議論があると思いますが、先ほど棒グラフでお見せしましたように、総量が全然変わっていない、715万キロリットルという中で、発泡酒とビールが置き換わっているというのを考えますと、麦芽酒というか、ビールプラス発泡酒という総量は、多分今後とも変わらないのではないかという前提に立っているわけでございます。
〇石会長
何か危なそうだな。
〇本間委員
では、真砂課長と賭けでもしましょうか(笑)。
〇佐野委員
先ほどから発泡酒の議論で、論点も大分詰まってきたと思うのですが、1つは、これも若干同じような意見がもう出ていますが、平成8年のときに発泡酒に対する課税というのが一応決まって、それまでほとんど無税だったものに税金をかけますと。しかし税率格差は設けますということで、業界と大蔵省が手を打った。つまり休戦協定をそのとき結んだ。それから4年後にそれを破ろうとしている。こういうふうに業界は受けとめると思うのです。そこら辺の納税者との誠実性の原則みたいなのはどうなってしまうのかというのが若干あります。
私は基本的には酒税のこの話は、まあいいんじゃないかなという感じはするんです。つまり、これによって国民生活とか国民経済が影響を受けるかどうかということになると、税率の変更は吸収していけるものだと思いますね。ただ、そこら辺の、わずか4年前に結んだ休戦協定の問題というのはどうなのか。大宅さんも言われたように、ここは謙虚に、あまりどうのこうのという理屈を振りかざさないほうがいい。それから、同種同等であるなら、ビールの税率はそのままでいいのかどうか。ビールの税率を下げて発泡酒を上げる。これも同種同等の原則にかなうわけなので、ビールの税率、度数換算では飛び抜けて高いビールをそのままにしておいて、それで同種同等だといって発泡酒をその水準にまで一方的に引き上げるというのは、増収ということからすればそういうことになるのかもしれないけど、先ほどから聞いている同種同等という原理原則を踏まえるなら、ビールの税率下げがあってもいい。そこら辺をどうするんだと。
つまり、これはもう2,000億円欲しいんですということを正直に言って、あまり同種同等だとか、WTOがどうのこうのとかではなくて、「ともかくいただきたい」「ごめんなさい、いただきたい」というふうにやったほうが、私は国民の理解も得られるのではないかと思います。
〇本間委員
経済学者として賛成と言ったのは、論理的にそれに対して賛成だということを申し上げたつもりはないので、改めてちょっと申し上げたい点があるのですけれども、白川先生がノーベル化学賞をもらわれたときに、入れるべき濃度を変えたことによって、あのノーベル賞につながったと、こういうことがあるわけですね。そのときに、この場合ももちろん税の差があるということは当然あったのだろうと思いますけれども、麦芽のパーセンテージというものを変えることによって、仮に同じものができるということになれば、それはイノベーションであって、それをむげに節税商品という意味だけで、これに対してペナルティー的な形で、あるいは同質的なものは同率だという形で処理をするということは、これは私は、やはり価格の変化に応じてイノベーションを起こすというのは企業努力の最たるものでありますから、ぜひそういうことの芽をあまり摘まないような形で麦芽の議論は議論していただきたいと思っております。
〇石会長
どうぞ、諸井さん。
〇諸井委員
周りで聞く話は、同じにするならば、低いほうへなぜ合わせないんだという話なんです、大衆がいま言っているのは。これは低いほうに合わせたらえらいことになりますよね。だから、この問題というのはそういう議論を誘発する話なんです。要するに、ビールの税収が酒税の中で著しくウエイトが高いんですね。このこと自体が一体オーソライズされるのかというような問題も含んでいると思うんです。相当危険な話ですよね。いまの佐野さんの言ったような話のほうが通りがいいかもしれないね。
〇石会長
そうですか。どうぞ、森さん。
〇森委員
酒以外でもよろしいですか。
〇石会長
どうぞ。
〇森委員
簡単に申し上げますけど、まず租税特別措置法の整理・合理化ですが、これはひとつ思い切って、特に企業関係の特別措置につきましては、勇断を持って整理していただきたい。80項目であるわけですけれども、すでに目的の達成とか、長期化とか、あるいはその手段として税制がいいのかどうかということを十分に検討していただきまして、一遍やっていただきたい。
それから、税理士法ですが、中里さんから非常に御理解のある言葉をいただきましたので、私も黙っているわけにいきませんので、お願いしたいわけでありますけれども、現行の税理士法というのは、いわゆる 55年になるわけでありまして、20年前にできたわけであります。年数的にはかなり経過をしておるわけです。この間、経済社会の国際化、あるいは社会化、規制緩和等によって、税理士を取り巻く環境は非常に厳しくなってきているわけでありまして、また、大変国民のニーズといいますか、税に対する多様化というものが進んでまいっておりますので、そういったことで国民のニーズにこたえるべく、やはり税理士法を見直す必要になってきたということでございます。
そこで、現在、主税局と国税庁におきまして、次期の通常国会に提案・成立に向けて作業をしていただいているところでありますので、委員の先生方にもひとつ御理解いただきたいということをお願い申し上げたいと思います。
〇石会長
最後に、今日で個別の主要論点を終わりたいと思っていますので、今日8項目やりましたけど、実はその前に基本的考えと法人関係税制と2つあって、10項目をとりあえず我々2日間でそれなりに議論したわけです。振り返って何か言い忘れたところがあるとか、強調したいということがあったらどうぞ。
お2人挙がっていますね。堀田さん、どうぞ。
〇堀田委員
NPO税制の関係で、前回どうしても出れなかったものですから。議論の方向が認められるような方向に向いているように伺いました。私、大変喜んでいるのですけれども、1点申し上げたいのは、中間答申でも、NPOの実態を見てということが非常に強調されております。もちろん、実態を見ていただくことも大事ですけれども、政策的にNPOをどのように伸ばしていくのか、それが日本社会にとっていいことなのか、そういった政策判断もぜひぜひ、どの範囲で認めるかということについて加えていただきたい。
実態を言いますれば、それは公益法人と比べますれば、まだまだ萌芽期ですので、いろいろな首を傾げたくなることもある、おかしなやつも紛れ込んできておる。それは間違いないのですけれども、しかし、彼らはほとんどの人たちは、概ねただで日本社会をよくしたいと、昔なら行政にやれやれと言うところを、自分たちでやろうというので、頑張っておるわけでありますから、政府の立場から見ても、なかなか愛いやつでありまして、そういう連中を大いに力を伸ばしてやろうと。そのためにはある程度のマッチングギフトみたいなものもしようと。そういうことが政策的に私はいい判断ではないかと思いますので、そういう点を申し上げたいと思いました。
〇石会長
ありがとうございました。
では中里さん。
〇中里特別委員
前回途中で退席してしまいましたので、そのときの分ですが、まず事業税の外形標準課税について、地方法人課税小委員会のときの案と比べて、二重課税の点が排除されるなど、大変理論的にすっきりしたものになっているという点について、指摘させていただきたいと思います。
それから、2つ目は、タックスシェルター対策の方向性というのを少し打ち出しておく必要があるのではないかと思いまして、例えば差し当たりは外国税額控除の濫用、いま大阪地裁に事件がかかっていますけれども、あのようなものについて、何らかの措置をとっておかないと、これから本格的にそちらの方向に行くときに困るのではないかということです。
3つ目はNPOのことですが、これは国民生活審議会のNPOに関する委員会で、堀田先生にいろいろなことを教えていただいて、というか、税金の人間は僕1人だったので、単にいじめられに行っただけだったのでございますけれども、そこでの議論ですと、自分たちは特別な存在だから、優遇を受けて当然という感覚が蔓延しているわけです。ただ、気持ちは純粋なものでございまして、この気持ちはやはり何とか酌んであげないといけないのではないか。
ただし、シャウプ勧告のことも思い出していただきたいということで、シャウプ勧告を調べてきたのですけれども、これは税金のバイブルですから、いまは時代遅れのところがあるかもしれませんけれども。
まずNPOのようなものに優遇措置を入れるかどうかについて、できる限り課税の優遇規定は排除すべきであるというのが第一原則。第二原則は、仮に優遇を与える際には、設立後の当該組織について監督を強化すべきである。それから、優遇を与えるかどうかの唯一の権限は大蔵省に与えるべきであると、シャウプ勧告に書いてあるんですね。何か役所が泣いて喜ぶようなあれですが、でもとにかく書いてあります。それから、もう1つ、NPO等の行う収益事業の課税についてですが、過激なことが書いてありまして、私もびびったのですが、「現地調査によると、このような非課税法人の上げる利益金は、その活動をさらに拡張するほか、または饗宴のために消費されていることが明らかにされている。しかしてそのいずれもが免税を正当化するためには極めて薄弱ないし全く無価値なものである。非課税法人の収益事業によって得られるこの所得は、明らかに法人税の課税所得となるべきである」という点をリファーしたいと思います。
それで、具体的には、一定の優遇措置は必要だと思いますが、法人関係の優遇措置は問題外ではないかと、例えば軽減税率等、これはシャウプ勧告に反します。それからNPOの優遇を受けるかどうかの基準に関する認定が第三者機関というのは、この第三者機関のつくり方にもよりますが、場合によっては憲法違反になり得る話だと思いますので、役所が認定し、それに不服があったら裁判に行くというのがあり得べき方策だと思います。
それから、仮に課税優遇を受けたいのであれば、運営の組織や経理等が適正に行われていて、例えば会計士や税理士の監査のようなものがあるとか、あるいは情報をきちっと公開しているとか、パブリックサポートテストのように、多くの人から少しずつお金を取っているとか、そういうことに対するチェックはぜひとも必要で、これは介入ということではなくて、志を示すためには、李下に冠を正さずということなのではないかと思っております。
それから、それでも濫用が可能性がございますので、場合によっては、同族会社の行為計算否認規定の中に、NPOだけ含めると何か殴られそうですが、それに類することも場合によっては必要かなと。それはちょっと人が悪すぎるかもしれません。
〇石会長
ありがとうございました。
では津田さん。
〇津田委員
いままでの検討項目とは全く別なのですが、ちょっと地方税上の緊急の問題としましてお願いしたいのですが、1つは合併推進上の問題と、それから軽油引取税の脱税事件というのが、新聞や何かで見ておられると思いますが、それの対策ということです。
市町村合併の問題としては、大局的には、もうそんな問題はなくさなければいけないわけですが、均等割が人口規模によって違う。合併すると均等割合が上がってしまう。だから嫌だというような理屈に使われる。あるいは向こうの町は都市計画税をやっている。うちのほうはやっていない。一緒になると都市計画税をかぶせられるぞ、反対しよう、なんていう話が出てきています。
それから、事業所税も人口30万人以上だったと思いますけど、事業所税をかけられる。合わさって30万人を超えてしまうと、事業所税がかかるぞというようなことでの反対論に使われる部分がございます。ですから、こういうような問題につきましては、特例期間だとか移行期間をどうするかとか、若干その辺は対応を考えなければならないのではないかと思います。
それから、軽油の脱税事件ですが、要するに、輸入をして、すぐ売り払って、それで軽油引取税は2か月後に申告するのですが、もう2か月後のときには、ペーパーなものですから何もない。結局はどこかへ逃げてしまっているというような格好になっております。ですから、水際で押さえる算段をしなければならないわけで、保税区域から引き取るときに、そういうような課税関係ができるような仕組みをつくらなければいかんのではないか。それから、関税当局と県の税務課との間の連絡というようなことも緊密にやっていただかなければならないのではないかと、こういうような要請がございました。
各県、執行当局はいろいろやっているのですけど、なかなか捕まらないような状況も出ておりますので、制度改正まで踏み込んだものをつくっていただきたいと、かように思います。
〇石会長
今日対象にしました主要項目とは違いますけれども、新しい側面の問題提起は非常に重要でありますので、またこれから論点整理をする中で生かしていけたらと思います。
では本間さん。
〇本間委員
たびたび申しわけありません。NPO税制に関してであります。中里委員おっしゃいましたけれども、シャウプ税制が念頭に置いた社会といまの社会というのは非常に違っているわけで、それをバイブルと言われても、私はどうも納得できないというのが第1点であります。
それから、もう1つ、生まれてくる前に非常に厳しい監督の中に置いて、そして規制をしてしまうということはいかなるものかと。生まれたものの出来不出来は放っておいて、これをプラスの最下位に位置づけるというような扱いだけは、私はやるべきではないと思います。つまり、公益法人について言えば、もっとたくさんのカテゴリーがあるわけで、それとの関係の中でイコールフッティングをどのようにしていくかということは、非常に重要なポイントであって、それを十分に担保した上で我々はやるべきなのだろうと思います。
NPOの、きちんと見ていくということが、いかなる形でやられるかということ、税額控除の所得税制上、あるいは住民税制上の扱いと限定されるものではないわけですから、基本的にいかにほかの財団法人等とバランスをとっていくかということを、ぜひ、前回も申し上げましたけれども、これは単にNPO税制の問題だけではなくて、中間法人も含めて幅広い問題領域の中で御議論、御検討をいただきたいというのが私の意見であります。
〇石会長
わかりました。
さて、ぼつぼつよろしゅうございますか。ちょうど5時ですが、ちょっとお諮りしたいこともございますので、5分ほど延長させていただきます。
今日は大変活発な御議論をいただきまして、ありがとうございました。何かお酒の話が俄然活性化させたようでありますが、こういう論点を一応事務局のほうで整理してもらっていますので、一応論点整理という形で、次回以降は項目ごとにどういうふうに意見を集約していくかというほうに我々の議論を誘導していきたいと思います。
そこで、いまからお諮りすることは、1つは、従来の例に従いまして、臨時小委員会、つまり俗に言われる起草委員会ですね。来年度の税制改正に絡みまして、一応、ある文案をつくらなければいけませんから、それを専門家集団でおつくりいただく。それをつくったものをまた叩いて総会に出すという往復を数回やらなければ最終的な答申になりませんので、そういう段取りにさせていただきたいと思います。
そこで、臨時小委員会に御所属いただく方、これは議事規則によりますと、会長が指名するということになっておりますので、私のほうからいまから指名させていただきます。よろしゅうございますか。
以下に申し上げる方に、御多用のところ恐縮でございますが、ぜひお願いいたしたいと思います。
あいうえお順で、大田弘子さん、大宅映子さん、奥野正寛さん、菊池哲郎さん、河野光雄さん、佐瀬守良さん、佐野正人さん、島田晴雄さん、竹内佐和子さん、津田正さん、本間正明さん、松尾好治さん、松田英三さん、水野忠恒さん、水野勝さん、村上政敏さん、柳島佑吉さん。
これで何人になりますか。17人ですか。例年このような規模だと思いますが、小委員会の小委員長は会長代理の上野さんにお願いしたいと思っています。私も参加させていただきます。
早速恐縮ですが、第1回の臨小を来週の月曜日、12月4日、2時から開催いたしたいと思いますので、そのときからいろいろ論点を整理した資料を用意いたしまして、それに従いまして議論を積んでいきたいと思います。
総会のほうでございますが、来週は予定したとおり火曜と金曜、つまり12月5日、12月8日、2時から予定いたしておりまして、臨小で固めて議論をしてきたものを総会で受けとめるという形で議論を展開いたしたいと思っています。
この12月5日、12月8日はすでに御案内を差し上げましたので、皆さんのほうにもう御通知が行っていると思います。
なお、その次の週、再来週ですね。11日から始まる週はまだわからないのですが、議論の仕方、あるいは外部の影響等々で、決まり次第またお送りすることにいたします。そういうわけで、当面、臨小がベースになってまとめたものをこちらにお出しいただくという格好にしたいと思います。
それから、12月5日からは、今度はまさに起草に入るわけでございますので、さまざまな議論のやりとりとか、不確実というか未消化なもの、あるいはまだ固まり切っていないことをやりますので、審議の透明性を確保する意味で公開にしておりますが、12月5日からは一応公開は中止させていただきたいと、このように考えております。各省庁の幹事の方も一応御出席は御遠慮いただきたいという趣旨で申し上げております。
そういうわけで、来週が特にハードなスケジュールになりますし、年末で何かとお忙しいと思いますが、ぜひ万障お繰り合わせの上、特に起草委員会の方は起草と総会と両方ダブルで絡んできますので、すべて御出席できかねる方もいらっしゃると思いますが、極力御協力をいただきたいと、このように考えております。
よろしゅうございますか。長時間ありがとうございました。また来週。
〔閉会〕
(注)
本議事録は毎回の総会後、速やかな公表に努め、限られた時間内にとりまとめるため速記録から、大蔵省主税局及び自治省税務局の文責において作成した資料です。
内容には正確を期していますが、税制調査会議事規則に基づき、事後の修正の可能性があることをご承知置きください。