本問題小委員会において出された意見
平成12年4月28日
本問題小委員会において出された意見
(注)本資料は、3月10日及び4月18日の基本問題小委員会において出された意見を、今回の検討の便宜のため、掲載したものです。なお、小委員会としての意見を集約したという性格のものではありません。
環境関連税制
- 環境政策、エネルギー政策等の観点から、他の関係審議会等においても、いわゆる環境税について検討が行われつつある。税調においても、税制の観点から正面から議論していくべきではないか。
- 環境問題への対応について、税調で本格的に議論するのは意義深いことであり、主観的なイメージに基づく意見を述べあうのではなく、実現可能性を視野に入れた具体的な議論を行うべきではないか。
- 一口に環境問題と言っても地球規模の環境問題から地方の行うゴミ処理、下水道など身近な環境問題まで様々なものがあり、それぞれの性格に応じて、規制的手法、自主的取組み、経済的手法のメリット・デメリットを勘案しつつ、これらを適切に組み合わせることが必要ではないか。
- いわゆる環境税を検討する場合、
- 規制による対応と税制による対応とどちらが適当と考えるのか、
- 現在、道路特定財源等となっている燃料課税等の既存税制のあり方をどのように考えるのか、
- 税収の使途を環境対策経費に特定するのか、一般財源とするのか、
- 国と地方の役割分担をどのように考えるのか、国税としてふさわしいやり方、地方税としてふさわしいやり方があるのではないか、
等の論点について検討が必要となるのではないか。
- 地球温暖化問題は国際的取組みが必要な問題であり、炭素税については、諸外国でも国税によって対応されている。
- 抑制効果の点から、流通・消費段階の課税であるかつての電気税、ガス税や現行の軽油引取税等地方税の活用も選択肢の一つとして検討すべきではないか。
- 各省庁等の財源ありきという議論からはじめるのではなく、環境政策の理念や税のあり方に照らし、環境保全に資する税制を構築する観点から税調の場において議論を行うべきではないか。
- 環境問題への対応の検討に当たっては、国際的な整合性や産業活動との関係についても議論が必要ではないか。
- 税制は社会共通の費用を分かち合うためのものであり、賄うべき社会的費用について論ずることなく、単に政策的な観点からCO2排出を抑制することのみを目的として税制を用いることについて納税者の理解を得るのは難しいのではないか。
基本問題小委員会において出された意見
(注)本資料は、3月24日の基本問題小委員会において出された意見を、今回の検討の便宜のため、掲載したものです。なお、小委員会としての意見を集約したという性格のものではありません。
税と社会保障
- 国民皆年金、皆保険という仕組みそのものが少子・高齢化を迎える中で維持できるかどうかを含めて、国民に分かりやすく示しながら、議論すべきではないか。
- 年金等の社会保障の財源論として、社会保険方式と税方式があるが、これは単に財源をどう調達するかという問題ではなく、給付の性格も含めた制度の基本設計をどうするかという問題であることに十分留意すべきではないか。
- 国民年金の未納未加入問題が税方式論に関連して指摘されているが、未納未加入問題に対する適切な対応が重要であり、具体的な取組みを強化すべきではないか。
- 年金等の社会保障給付と、税制(年金税制、消費税)により高齢者にも応分の負担を求めることとも関連させながら、世代間の公平を考えることが大切ではないか。
その際には、年金の賦課方式、積立方式といった問題や、相続税のあり方等とも関連するのではないか。 - 一定年齢以上の者を一律に高齢者と捉えて保護を加えるのではなく、高齢者の健康や生活意欲の向上といった実態をも踏まえた検討が必要ではないか。
- 今後の社会保障のあり方について、給付と負担を総合的に関連させ、国民に選択肢を示しながら検討していく必要があるのではないか。
- これまで、行政の縦割りの中で、国民の老後の安心はトータルに論じられてこなかった。官邸に有識者会議が設けられ、社会保障の各制度について横断的な観点から検討が行われることになったことは、誠に意義深いものではないか。
基本問題小委員会において出された意見
(注)本資料は、4月7日の基本問題小委員会において出された意見を、今回の検討の便宜のため、掲載したものです。なお、小委員会としての意見を集約したという性格のものではありません。
資産課税等
(相続税)
- 税体系として見た場合、フローへの課税の面では、所得課税のフラット化が進んできている一方、消費課税が重要性を増してきていることを踏まえると、今後、資産課税が担う富の再分配機能に期待される役割は一層重要になっていくのではないか。
- 今後、消費課税の比率が上がっていくのであれば、残った部分である貯蓄・資産に対する課税の重要性が高まっていくともいえるのではないか。
- 相続税・贈与税等の資産課税は、経済効果において歪みが少ない税であるという点で優れているといえるのではないか。
- 相続税の今後のあり方を考えるにあたっては、これからの社会像をどう考えるかという点も議論する必要があるのではないか。
- 相続税については、ストック化の進展等の経済社会情勢の変化を踏まえ、広く薄く課税する方向で見直しを検討していくべきではないか。
- 相続税の有する富の再分配機能に着目すると、高齢者層の資産分布状況等にかんがみ、課税最低限・非課税財産等を見直し、課税ベースの拡大を図っていくべきではないか。一方、相続税の最高税率については、個人所得課税の最高税率や諸外国の状況を勘案すると、ある程度引き下げることが適当ではないか。
- 課税ベースに関して、相続税の基礎控除や生命保険金等の非課税財産は、現在のように法定相続人の数によって一律に設定する方式がいいのか、相続人ごとの事情をより重視して設定する方式がよいのかを検討する必要があるのではないか。
- 高齢者層に資産が集中し、今後とも高齢化社会が進展するという状況の下で、円滑な財産移転が可能となるよう、執行の実態にも配慮しながら、生前贈与に対する課税のあり方について検討していく必要があるのではないか。
- 相続税について課税ベースの拡大や税率の見直しを検討していく中では、小規模宅地の課税の特例等についても見直しを検討していくべきではないか。
- 公益法人への遺贈を利用した租税回避等について、実態を踏まえたうえで、課税の適正化を検討していくべきではないか。
- 資産課税を見直すにあたっては、資産性所得に対する課税についてもよく検討する必要があるのではないか。
(登録免許税・印紙税・不動産取得税)
- 流通税である登録免許税、印紙税及び不動産取得税については、バランスのとれた税体系を構築するという観点(タックス・ミックス)、貴重な財源となっているという観点も踏まえつつ、その存在意義を考える必要があるのではないか。
- 流通課税については、課税根拠をきちんと検証していく必要があるのではないか。
- 流通税である登録免許税、印紙税及び不動産取得税は、法律的な行為、文書の作成行為及び不動産の取得の背後には経済取引があり、そこに担税力を認めて課されている存在根拠のある税であり、また、外形的に分かりやすい仕組みであるという長所もあるのではないか。
- 登録免許税については、諸外国の負担状況やこれまでの制度改正の経緯を踏まえると、不動産登記、人的資格の登録については引上げを検討してもいいのではないか。一方、企業再編の動きが一層活発しつつある状況を踏まえると、商業登記については見直しが必要ではないか。
- 印紙税については、ペーパーレス化の動きを含め、経済取引の変化等に対応して必要な見直しを行っていくべきではないか。その際、イギリスの印紙補完税の例も参考にできるのではないか。
基本問題小委員会において出された意見
(注)本資料は、4月18日の基本問題小委員会において出された意見を、今回の検討の便宜のため、掲載したものです。なお、小委員会としての意見を集約したという性格のものではありません。
消費課税等
(電子商取引)
- クロスボーダーの役務の提供に対しては、現在消費税が課税されていないが、中立性の原則に照らし、OECD等における国際的な議論をも踏まえてどのように考えていくのか検討する必要があるのではないか。
- 電子商取引は急速に伸びている分野であり、時機を失することなく適正課税の担保のための執行面及び制度面の強化・整備を図っていくべきではないか。
- インターネット取引に適正に課税するためには、取引情報を適切に把握し得るような仕組みを新たに検討する必要があるのではないか。
- インターネット取引の特徴の一つに匿名性があるが、電子署名や電子認証等の取引の安全確保のための仕組みと併せ、適正課税担保に必要な本人確認をどのように図っていくか検討する必要があるのではないか。
- 電子商取引への対処は一国では困難な課題であり、国際的な新たな仕組みが必要となるのではないか。
(消費税・地方消費税)
- 消費税のあり方については、所得税や相続税の改正の方向が税制全体の再分配効果に及ぼす影響を踏まえて議論していくべきではないか。
- 消費税は消費を担税力の尺度とし、比例的な負担を求める税であり、仮に所得を基準として考える場合には、所得税や相続税等を含めた税制全体としては累進性が確保されていることや、社会保障を通じて所得の再分配が行われていることに留意すべきではないか。
- 食料品に対する軽減税率については、食料品にも基本的なものから贅沢なものまであり、合理的な区分は難しく、制度が複雑化するほか、農家に対して還付のための事務負担が生ずるなどの問題があるのではないか。
- 納税事務への習熟度合いを踏まえ、中小特例の見直しやインボイス方式の導入など中小事業者に対しても応分の対応を求めていくことが、制度の透明性を高めていくために必要なのではないか。
- 現行の仕入税額控除方式については、消費税創設当初よりもある程度改善されてきたものと評価できるが、引き続き、さらに見直すべき点があるかどうか検討していく必要があるのではないか。
- いわゆる益税問題に関連して、中小事業者に対する特例措置については、これまで大幅な見直し等を行ってきており、その経緯や効果について十分に説明していくべきではないか。
- 中小特例の見直しの方向は維持する必要があるが、小規模事業者の事務負担能力等には限界があることにも留意が必要ではないか。
- 申告・納付回数については、預かり金的な税の性格や事業者の事務負担を踏まえながら引き続き見直しを検討する必要があるのではないか。
- 一部の事業者が滞納していることを理由に申告・納付回数を増加させることについては、期限内に納付している多くの事業者の事務負担も結果的に増加することや税務行政上のコストの問題等についても考える必要があるのではないか。
- 消費税の適正な転嫁や表示のあり方についての周知、徹底を行う必要があるのではないか。
- 平成9年4月の消費税率の引上げが景気低迷の原因であるという指摘があるが、同年7~9月期の消費は増加していることに留意する必要があるのではないか。
(特定財源等)
- 特定財源制度については、時間をかけてでも、一般財源化を図り、使途を緩めていく方向で検討すべきではないか。