第38回総会 議事録
平成11年11月19日開催
〇加藤会長
それでは、お忙しいところ、ありがとうございました。
ただいまから税制調査会の第38回総会を開催いたします。
本日は、大蔵省の林政務次官に御出席いただく予定でございますが、まだ国会が終わっておりませんので、おいでになりましたら御挨拶をいただきたいと思っております。
本日の議題でございますが、はじめに法人課税小委員会の審議状況について、石小委員長より報告をしていただこうと思います。
その次に、基本問題小委員会における議論を、前回の総会以降、個人所得課税、消費課税並びに地方税全般を議題として計2回開催いたしましたので、その審議状況について報告をした上で御審議をいただきたいと思います。
前回に引き続きまして今回も5時までの時間をお願いしております。大変申しわけございませんけども、途中、折のいいところで5分程度の休憩をしたいと思っておりますが、長時間でございますので、お許しをいただきたいと思います。
それでは、本日の議題に入らせていただきます。
法人課税小委員会において、10月22日の第3回会合と11月16日の第4回会合で、連結納税制度に関する主要検討項目を取りまとめていただきました。また、時価法や、あるいは会社分割に関する税制についても議論をしていただいておりますので、その審議状況とあわせて報告していただこうと思います。
それでは、石小委員長、お願いいたします。
〇石特別委員
議論が佳境に入ってきまして、だんだん難しくなってまいりました。
お手許に4分冊あると思いますが、『時価法等関係資料』「法小3-1」、『連結納税制度関係参考資料』の「法小3-3」と、「総38-1」でございます。それから、あと会社分割に絡みます「法小4-1」、この辺の議論を15分ほどでかいつまんで御説明をいたしたいと思います。おそらく主要な資料は、「総38-1」の『主要検討項目』、ここで連結納税関係の一応サマリーバージョンがついておりますので、これを御覧いただけたらと思います。
テーマは3つございまして、連結納税、時価法、会社分割法制、この3つにつきまして順次御説明いたしますが、やはり皆さんの御関心も連結のほうにあろうかと思いますので、やや連結納税に関しましては、この『主要検討項目』の内容に触れまして、審議の中身を御紹介いたしたいと思います。
3回目、4回目、2回とも連結納税は取り扱いました。そこで、「総38-1」の『主要検討項目』の1ページ目をお開きいただきますと、項目が一応整理されております。括弧で囲ってある大見出しが8項目、それから、個々に勘定いたしまして黒点で書いてあるのを含めますと、28項目ぐらいございまして、洗い出しを行いまして、これが主要論点であるよというふうに整理をしたわけであります。
内容を若干御説明いたしますが、1枚おめくりいただきますと、2ページ目に連結納税制度の導入の必要性等があり、その下に企業経営の実態とか商法等の改正等々並んでおります。例えば、導入はなぜ必要かというところで、重要な点は、税制の中立の観点から納税制度を入れないとまずいだろうと。つまり、企業の組織変更に対してディストーションが起こってはいけないという点とか、それから、いま企業の組織再編の視点から、持株会社のための独禁法の改正や、あるいは会社分割法制などが商法上の整備で進められておりますから、それとの絡みで連結納税というのは必然的に導入の意義が問われてくるという点もございます。
それから、おそらく皆さんの御関心であります類型として、ページ3を見ていただきますと、ここに2つ、アメリカ・フランス型、あるいはドイツ・イギリス型と並んでおりますが、後ほど申し上げますように、我々は企業集団を単一の主体としてとらえて行う、いうならば連結課税所得を計算するような本格的なものを目指すべきだということで合意に達しておりまして、単なる損益の振替型の制度でありますドイツとかイギリスというのは、子会社の権限とか責任が不明確になるという点も踏まえ、一応とれないのではないかと考えております。
そこで、いま申し上げた点が一番重要でございまして、本格的なアメリカ・フランス型をやりたいということと、それから、企業の組織変更に対して、やはり中立を守らなければいけない。そういう視点から連結納税制度を考えたいということであります。
そのほかに、これは逐次説明していきますと長いので、あとは省略いたしますけれども、各項目についていろいろございますので、あとは御覧いただけたらと思います。
あと、若干問題になった点では、商法上、確定決算主義に基づきまして課税所得を計算するといういわゆる確定決算主義をとっているのでありまして、これと連結はどうするかとか、あるいは連結グループの加入や離脱、それから、欠損金を利用した租税回避行為というのは当然起こり得るわけでありまして、これをどう考えるか。あるいは連結いたしますと、税収減の問題が起きてきますので、これもどのような対応をしたらいいか等々、まだ細かいところまでいっておりませんが、項目は一応並べ、かつ、論点が整理されていると思います。連結につきましてはそういう議論をいたし、こういう形でまとめましたので、あとから主要検討項目の項の項目につきまして、お目通しいただけたらと思います。
それから、第2は時価法でございまして、この第3回会合で連結とあわせて議論をいたしました。時価法というのは、要するに金融商品に適用される企業会計上の変更でございまして、平成12年4月、来年の4月から金融商品に対して時価法になりますので。法人所得の課税所得を計算するときに、評価の問題と絡めて課税ベースの大小の決定に絡んできますので、これは非常に重要な問題でございます。
そこで、時価法関係の資料は「法小3-1」というのがございます。ここにいくつか時価法のそもそもの意味であるとか、ヘッジ取引であるとか、デリバティブを使ったときの利益調整等の事例などがいくつか並んでおりますが、なぜこんなことが必要だというあたりは、2ページ以降さっと見ていただきますと、導入の必要性が簡単にまとめられていると思います。要は、有価証券やデリバティブ等の含み損益、これまで含めませんと、法人の企業活動の成果が所得にあらわれないということで、含み損益、これも入れましょうというのが時価法の狙いであります。と同時に、デリバティブを利用して期間損益を調整するといった租税回避行為というのは、当然あり得るわけでありまして、そういう意味で、金融商品の含み損益も所得に入れる必要があるだろうし、それから、企業会計におきましても、売買目的とか有価証券のデリバティブ等について時価評価されることになりましたので、税制上もと、こういうことであります。つまり、時価法に対してどういう形で税制が追っかけるかといいますと、企業会計も時価法を使うようになるので、税制上も使いましょうと。やはり課税の公平から時価法を使わないと、課税所得の計算ができない。低価法等は課税の適正から問題があるではないかと。
それから、デリバティブとヘッジの問題が絡み合いますと、いろいろな形の損益計算ができますので、評価損益をヘッジ対象の評価損益と相殺するような形で対応させなければいけないとか、テクニカルにはいろいろ難しい問題がございます。これは時価法でありまして、主として企業会計のほうの概念を引用しつつ、いろいろ議論をいたしました。
それから、第4回のところでは、ここに会社分割の「法小4-1」というのがございますが、『会社分割関連資料』の中にこの問題点、それから、会社分割がそもそもどういうことであり、どういう形の税制を仕組まなければいけないか等の論点が整理されてございます。
なぜこんな話が起こったかというのは、実は小委員会を始めるときには予想しなかったと言ってもいいのですが、その後、外界の変化によりまして、例えば平成11年11月11日、経済対策閣僚会議で「経済新生対策」が出まして、この中で、要は成長分野や事業活動の基盤に係る規制緩和とか制度改革によって、会社の資産とか負債を複数の会社に分割して、いうなれば企業が経営資源を効率的に活用しようなんていう項目が入ってきまして、そういう意味で、次期通常国会で会社分割制度を出したいという狙いを持っておりますし、それから、ちょっと前でありますが、11年6月11日に緊急雇用対策及び産業競争力強化対策という形においても、また会社分割制度の導入という問題意識がございます。そういう形で必然的に会社分割も我々の検討項目に入ってきたと。これは陰に陽に連結納税にも絡んでくる話であります。
分割というのはどういうことかというのは、いまお示ししました「法小4-1」のたしか2ページぐらいに図が出ております。ここには6通りぐらいの類型がありますし、3ページ目はアメリカの会社分割の概要が書いてございます。いくつかこういう形態があって、こういう分割が起こったときに何が問題かということになりますと、この資料の5ページ目ぐらいに、「会社分割に係る税制の主な検討の視点」ということで、いうなれば合併・現物出資等の資本等取引と整合性のある課税、つまり資本等取引が行われたときに、それがコンシステントな形で税制に反映されなければいけないという点、それから、株式譲渡益とかみなし配当課税になりますと、今度は株主、つまり個人株主、法人株主の範囲にまで入ってきますので、法人税とか所得税のほうにも議論が絡んでまいります。そういう複雑な問題があるのでありますが、そういう点を税制上しっかり押さえたい。
それから、各種引当金とか納税義務とかというものは、いうなればこの分割とも絡んでくるわけでありますし、分割を利用して様々な租税回避行為というのもあり得るわけでありまして、それに対してどういうふうに対応するかということをいま議論を始めたわけであります。何よりも商法のほうでこの会社分割の議論が始まりますので、税制上の対応というのがそれに遅れてはまずかろうという形で、実は議論が急に入ってきたという面はなくもないわけであります。
いくつか会社分割に関して、まだ緒についたばかりでありますけれど、重要な点として一、二申し上げれば、実は商法とか企業会計の世界で、この会社分割という話を行っているわけですが、課税の繰延べであるとか、各種引当金等の引継ぎ等々の問題は税制の問題になりますけれども、やはり商法とか企業会計のところで、会社分割が是か非かという一定のある基準を出してもらわないと、全部税制の世界に投げ込まれても困るだろうと。そういう意味で、法制審議会とか企業会計審議会にちゃんとその辺の一定の基準を使って、会社分割をするときの基準をつくってくれというようなことを、こちらから申し入れる必要があるのではないかというような議論が出ておりますし、それから、会社分割には何分にも租税回避という点、それを防止するという観点が必要でございまして、それをこと細かく租税法定主義でちゃんと押さえてやるのか、そうなるとかなり複雑になるので、実質課税の原則でやるとするのか、この辺もちょっと議論が分かれております。
そういうわけで、企業分割、議論が始まりました。連結とも絡めて、これから同時並行的にこの議論を押さえていきたいと考えております。何分にも会社分割のほうは商法のスケジュール、来年の通常国会へ出したいと言っていますので、それとの絡みもあるので、まさに連結納税の重要性と同じように、緊急度においても、会社分割の税制も大きくなったということで、我々の仕事が何か急に増えたような感じもしますけれども、口幅ったいのですが、我が小委員会は、税法、企業会計、財政学という学際的な学者クループと、それから、税理士、公認会計士等々商法の人もいらっしゃいます。学際的なエキスパートがそろっておりますので、何とかこなせるかなとは思っておりますが、ちょっとした作業になるかなという覚悟はしております。
以上であります。
〇加藤会長
ありがとうございました。
それでは、ただいまの御説明につきまして、何か御質問があれば、どうぞしばらく時間をいただきますので、お願いいたします。
〇佐野特別委員
石さん、質問です。
年金会計、これも来年から任意で始まる。再来年からは強制。
〇石特別委員
時価法の関係ですか。
〇佐野特別委員
いや、年金。
〇石特別委員
だから時価との関係ですか。
〇佐野特別委員
そうです。もう少し具体的に言えば、退職給与引当金が退職給付引当金になる。これの税制の対応をどうするか。ちょっとそこら辺が資料にもないし、どういう議論になっているのか。
〇石特別委員
そこはまだ全然していません。いずれその御指摘の点は多分重要になってくると思いますので、いずれ視野に入れてと思っていますが、まだいまのところ、この種の議論は始まったばかりなのです。だから、まだいっぱい落ちこぼれがあると思いますので、これからやっていきたいと思います。
〇森下委員
連結納税制度の検討は、いま石先生がおっしゃった会社分割法の問題、いろいろと絡みが出てくると思うのですが、いずれにしても、連結納税制度ということが少なくとも2001年ターゲットですね。2001年のターゲットを1つ置いておく。そこでいろいろ御検討していただくというようなことにしないと、いろいろなものが絡んでくると、全部を整合させますと、ずっとあとへ行ってしまいますので、そういう意味では、連結納税制度をひとつ御検討いただく中で、ターゲットを2001年度に焦点を合わせていろいろと御議論いただくというようなことを、ちょっと御議論申し上げておきたいと思います。
〇石特別委員
河野さんも同じ御質問だと思いますが、2001年度というターゲットは、2001年度ですから、4月から翌年の3月まであるのかもしれませんけど、とりあえずいまから1年数か月、半年先ぐらいになりますかね。どういうのができるかわかりません。しかし、極力努力をして、2001年度にしかるべき結論は出さなければいけないと思っています。これはやはり事務局も大変なんですね。いろいろなところの資料整理なり、いま申しましたように、商法の目配り、企業会計制度の目配り等々、ほかの審議会とも絡んでいますので、大変だと思いますが、大いに努力して御期待に沿うようにしたいとは思っています。
〇松田特別委員
これは税法を優先すると、商法に不都合が生じるというケースがあると思うのです。そういうのがあってもいいと思うのです。要するに、税をよくするために商法のこの部分を変えてほしいという意見を、税調として出してもいいのではないかと思いますので、その点も御検討ください。
〇石特別委員
検討はしますけど、商法学者もおるし、企業会計学者もおって、いろいろその辺のバランス関係というのは確かにあるのでしょう。つまり、商法とか企業会計である決まった仕組みから出てくる税制が我々の検討なので、税制から向こうにボールを投げかけるというのは、多分あるとは思います。具体的に出てきたところでそういう議論をしてみたいと思いますが、何が何でもこっちが優先順位が高くてというふうになるのかどうか、ちょっとそれはほかの専門家とも議論はしてみますが、その問題意識はあってもいいのかなとは思っています。
〇竹内委員
先ほど企業集団を単一の主体としてという、本格的な形とおっしゃいまして、それで、ドイツ・イギリスのようなものは、子会社の権限と責任が不明確という御指摘がございまして、連結決算というものからすれば、それぞれの事業分野とか、事業会社とか、あるいは持株会社の下にくっついている子会社とか、そういうところがいろいろな損益を出す。そういう状況と、単一主体として連結納税を考えるというこの考え方が、どういうふうに結びついていると考えたらよろしいのでしょうか。
〇石特別委員
どこの子会社、つまり持株でいって100%でやるのか、90%でやるのか、85%でやるのかわかりませんけど、とりあえず緊密なる企業集団、これをあるグループ化して、その中で課税所得を計算して税率をかけましょうと。いままで個人所得でもそういうケースがあるわけですね。個体でやるか、それとも夫婦合算でやるのか等々、これは考え方によって両方あるわけで、どっちを取るかという議論ですが、いうなれば集団、グループという概念で企業活動をとらえないと、いまのグローバル化した世界では、企業家のほうの側から見ても耐えられないという御要望が強いわけですね。そういうわけで、個々ばらばらにばらすこれまでのやり方を、やはり一主体、そのあと大きな企業の塊として考えちゃって、その中に個々のサブカテゴリーみたいなのを入れつつ、しかし、緊密度の高いやつだけくくると、こういう発想なんでしょうね。だから、結局は財務諸表やなんかだと50%以上の企業が入ってくるから、それは落として、いわゆるコアの部分だけの、まさに企業を一体としてやるところだけ拾い上げましょうと、こういう発想だと思いますね。竹内さんの御質問に的確にお答えしていないかもしれませんけど、緊密なものだけ固めましょうということだと思います。
〇橋本特別委員
連結納税制度の資料の税収減の問題のところに、税収減への対応として、アメリカの連結付加税を参考としてもよいのではないかと。
〇石特別委員
おっしゃっているのは『主要検討項目』の10ページですね。
〇橋本特別委員
ええ。そういう意見があったというふうに記載されておりますが、これはもう少し詳しく言うと、どういうものでございますか。
〇石特別委員
これをおっしゃっている方はそう何人もいるわけではないのですけど、とりあえずアメリカが入れたとき、数%、いわゆる連結をした結果減収になる分を補てんする意味で、まさに付加税、サータックスですね、税率として何%か記憶はありませんけど、2~3%かもしれませんが、それをのっけて取ったという経験があるというメンションをされている方がいたので、ここに載せたわけです。事実としてそういうことがあったということですね。
〇橋本特別委員
小委員会としてそれを採択したというわけでは……
〇石特別委員
いやいや、まだそこまでは。ここはみんな「どうするか」と書いてありますから、議論はこれからです。
〇佐野特別委員
連結納税の資料、『主要検討項目』の3ページから4ページにかけて、商法、企業会計との関係、いわゆる確定決算主義との関係をどうするのだと。ここでは一応両論出ていますね。いまのところの論議の経過では、どちらのほうが優勢というか、有力なんですか。
〇石特別委員
そこまで議論していませんよ。つまり、商法というのは、余りこちらと問題意識がぴったりしていない世界の話なので、ちょっと困っている面もあるわけですよ。そういうわけで、この辺はこちらからボールを投げることも考えまして、実は正直申しましてまだ議論していません。佐野さんはどんどん先のほうを言ってくるから(笑)。
〇佐野特別委員
この連結納税と連結決算というのは、いわゆる新しい会計基準で税制がどう対応するか、確定決算主義から離れるのか、守るのか。原理原則論で非常に私個人としては興味があるところ。だから技術論ばかりでなくて、原則論も非常に重要視しているので、よろしくお願いします。
〇石特別委員
わかりました。
〇島田委員
検討項目の3ページのところですが、さっきの議論ともちょっと関係するかもしれませんが、アメリカ型あるいはフランス型と、ドイツ・イギリスが損益振替型ですか、これについて御議論の中での評価は、これを読むと、ドイツやイギリス型は単なる減税であって、子会社の権限と責任の不明確さを助長するのではないか、アメリカ・フランスは本格的な連結納税だと、こういう評価になっているように読めますけれども、ちょっと教えていただきたいのは、企業が戦略的な目的で関連会社をつくって展開していこうというときに、最初は立ち上がりのときは赤字が出るかもしれないと。それを本体が一緒になってやっていくと、そこのところが戦略的に育てやすいというか、そういうことがあるのではないかという議論が背景にあったと思うのです。そのときに、損益振替型のほうが親会社がストレートにいま立ち上げようという段階の比較的力の弱い企業に支援をしていくわけですから、実質的には意味があるのでないかなと、そういう議論は前にあったと思うんですね。逆にアメリカ型のは、そういうことでやられていればいいけども、たまたま赤字を出して、何をやっているかわからないような企業をとにかく単一に扱ってやる、ということのほうが問題があるのではないかという議論が前にあったと思うのですけど。この評価を見ているとそうではなくて、むしろ損益振替型のほうが何か判然としないというふうになっているように思いますけど、ちょっとこの辺はどんな議論だったのか教えていただけますか。
〇石特別委員
まだそれほど詰めた議論はしておりません。島田さんのおっしゃったような視点も確かにあるでしょう。ただ、おそらく租税回避というような視点から見ると、また逆な評価も出てくるかもしれないし、そこでいくつかケース・バイ・ケース的な議論もこれからしなければいけないかと思っています。ただ、どう見てもイギリス・ドイツ型というのは、便法的な、連結決算とは言いつつ、本当の連結課税所得をつくっているわけでもないし、黒と赤のところをちょっと相殺するような格好のようなものでもいかんのではないかと。要するに、21世紀の法人税制体系ががらっと変わるような大きな仕組みを考えているわけですから、本格的なものをやはりつくるべきではないかという視点があって、いま島田さんのおっしゃったようないろいろなそこの功罪、これをちょっとこれから議論しなければいけないかなと思っています。その段階でまた御説明する時期もあろうかと思います。
〇水野(勝)委員
連結納税制度を導入することによって、税収減が非常に大きいのかどうか。大きい場合には、先ほど付加税といった構想があるということのようですけども、やはりこれは制度としては税収中立的に考え、いまの財政状況等も考えるときに、税収中立的で、別に付加税ということでなくて、その機会に実効税率は変わらないわけですから、法人税率そのものを見直すということもあってもいいのではないかという気がいたします。
それから、あとは質問ですけども、企業グループを一体としてとらえるというときには、国をまたがる場合はどうするか。そこまではいかないのか。それから、企業買収なんかの場合には、かなりな連結調整勘定が生ずることがある。そこまで全部課税所得の計算上引いてくれるのか。いまの状況ですと、あまり連調勘定は引かない、そこまでは付き合えないという、どうもそんなニュアンスもあるようですけども、そこらはかなりな金額が出た場合にどうするのか。そこらの点につきまして……。
〇石特別委員
まだ完全に詰め切っておりませんけれども、やはり国内の企業がメインにならざるを得ないのだと思っています。国際課税の世界まで伸ばすのかどうか、海外の支店等々までカバーして連結をつくるのかどうか。そこまでやっているところはないのではないかと思いますが、ただ、いまの世の中ですから、少し考えなければいけないのかもしれません。
それから、税率のことは、単体で行われていた法人税率をそっくり連結課税所得にかけるのか、それとも連結税率みたいなのがあるのかどうか。それはまさにおっしゃった税収の中立性とも絡む話ですよね。それもこれからの議論だろうと思います。
水野さん、国際課税のほうは含めないのが普通でしょう。それはどうですか。
〇水野(忠)委員
どの国もいわゆる連結につきましては、外国の法人は加えていないわけですね。ですから、簡単に言えば、国内の企業は合算して、国外の子会社との取引はどうなるかというと、今度は移転価格税制というものが適用されて厳しく課税されるという、非常に矛盾する状態がいま現在の国際課税の状況ですので、これは将来的にはどちらかの方向へ向かうかと思うのですが、我が国の状況におきましても、現在の段階で連結に外国子会社を加えるというのは難しいのではないかと思っております。
〇石特別委員
ただ、検討課題にはなるかもしれません。
〇水野(勝)委員
それから、調整勘定については、そこまで議論はまだですか。
〇石特別委員
ええ、いってません。でも、いずれ何かしなければいけないかと思っています。
〇加藤会長
ほかにございませんか。よろしゅうございましょうか。
それでは、これで法人課税小委員会の御報告を終わりまして、また何かありましたらお出しいただこうと思いますが、あと5分ほどで政務次官が到着されることになっておりますので、事務局の説明のほうを少し先にしたいと思っています。
今度は基本問題小委員会の審議状況の報告でございます。基本問題小委員会の小委員長を私も兼ねておりますので、そこで、小委員会の審議事項を私のほうから簡単に御説明をしたいと思っております。
小委員会は11月5日に消費課税についてやりまして、それからまた11月16日には個人所得課税及び地方税全般について、それぞれ議論を行いました。具体的には、消費課税については、消費税をはじめとして特定財源問題とか、あるいは環境関連の税制などの議論も行いました。それから、個人所得課税については、ワーキング・グループの委員の皆さんも交えまして金融課税などの議論を行ったほか、地方税全般について、地方税総論のほか法人事業税の外形標準課税などの議論を行いました。
また、さらに、最近話題になっておりますエンジェル税制や自動車関連税制のグリーン化などについても議論が行われましたので、今後の年度改正に向けた議論を行っていく上で、粗ごなしができたのではないかと考えております。
前回の総会では、個人所得課税の基本的なあり方や課税ベース全般、資産課税等について議論いたしました。本日はこのあと開催されました2回の小委員会の報告を行うことになるのですが、大きく分けまして、消費課税が第1、それから、第2番目が個人所得課税と地方税全般という2つに分けて議論をしていきたいと考えております。
お手許の資料を御覧いただきますとおわかりになっていただけると思いますが、小委員会では制度の細かい点まで含めて、大部な資料に基づき議論しております。本日は総会ですから、小委員会での議論を踏まえまして、総会としての議論を行いたいと思っております。
それから、小委員会における議論については、後ほど私から簡単に紹介させていただきますが、まず事務局より資料について説明していただきたいと思っております。
では、ちょっといいところですから、ここで政務次官においでいただこうと思います。
(林政務次官 着席)
それでは、お忙しい中を政務次官においでいただきましたので、一言御挨拶をと思っています。どうぞよろしく。
〇林政務次官
遅れてまいりまして、まことに恐縮でございます。座って御挨拶をさせていただきます。
このたび大蔵政務次官になりました林 芳正でございます。まずもって税制調査会におかれましては、中期答申に向けまして精力的に御審議をいただいておりますことを、厚く御礼を申し上げておきたいと思います。
遅れてまいりましたのは、いま中小企業国会ということで、中小企業基本法、いま参議院のほうに来ておりまして、私にも質問が当たりまして、まさに御審議をいただいております税制について、いろいろ厳しい質問が野党から飛んでまいったところでございまして、いま一生懸命政府税調でも御議論いただいているからという答弁をしてきたところでございます。
ぜひそういう意味で、大変に21世紀の我が国の経済に向けて大事な局面を迎えておるという認識でございますので、そういう意味で、また国会の答弁、また党内での議論にも役立つものと考えまして、本日は会長の御配慮によりまして出席を許していただきました。皆さまにおかれましては、引き続き精力的な御審議をいただきますことをお願い申し上げまして、御挨拶にいたします。どうもありがとうございました。
〇加藤会長
どうもありがとうございました。
政務次官はこのあとまた、いまお話にありましたように、国会にまいってまた議論をしなければならないわけでありますが、私どものほうでそれを今度は受け継いでまた議論をさせていただきたいと思いますので、ここで御退席になります。どうもありがとうございました。
(林政務次官 退席)
それでは、いま私が申し上げてまいりましたが、ここで事務局からの報告を少しいただこうと思いますので、お聞き取りをいただきたいと思います。
それでは、まず消費課税について、関連の資料について、真砂税制第二課長、武田府県税課長より、ポイントを絞って説明していただきたいと思います。よろしくどうぞ。
〇真砂税制第二課長
二課長の真砂でございます。
それでは、資料、2つ目の大きな塊の一番上に乗っております『説明資料(消費課税等)』「基小9-3」でございますが、これに基づいて、時間の関係ではしょった説明になるかもしれませんが、お許しいただきたいと思います。
目次と1ページをとばして2ページ目からでございますが、まず2ページ目、個別の消費課税の税目に入る前に、マクロ的な負担の諸外国の比較でございます。一番左側が国民所得比、いわゆる国民負担率36.6%、御案内の数字でございますが、そのうち消費課税、一番下の黒く塗っているところでございます。7.1%ということで、これは国税、地方税込みの数字でございます。諸外国と比べますと、一番右にアメリカがございますが、アメリカは所得税100兆円という直接税中心の国なものですから、それは日本より多少低うございますけども、ヨーロッパと比べてまだ相当低い水準にとどまっているというのが2ページ目でございます。
この7.1%の内訳でございますが、次のページに7.1%の内訳としまして大きく2つ、1つは、消費税、地方消費税、これが3.4%。それから、それ以外にいずれの国も酒、たばこ、石油、自動車等に課税がされているものですから、そうした個別間接税の国民所得に対する割合というのが3.7%という形に分かれるわけでございます。ヨーロッパと比べてみますと、付加価値税の部分、ヨーロッパですと9%とか10%、あるいは11%に近いということでございまして、そこで比べてみると、約3分の1ぐらいの国民所得に占める割合かなと。
それから、個別間接税でも、ヨーロッパは5%とか、あるいは7%近くございまして、個別間接税の世界で見ても、国民所得に占める割合というのは低い水準にとどまっているというのがマクロ的な数字としてお見取りいただけると思います。
次、4ページ目でございますが、これはいつも御説明申し上げています財政赤字の状況でございますけど、一番上の折れ線グラフが歳出総額、その次の折れ線グラフが税収ということでございまして、だんだん拡大をしているということで、一番右側は11年度、これは当初なものですから、補正後になりますと、もう少しこの拡大が広がるということでございまして、下の棒グラフの公債発行額が現在当初予算で31兆円という姿になっているというものでございます。
その次が3本の大きな税の税収の推移でございますけども、各年、棒グラフを3つ書いております。一番左側が所得税でございますが、これが11年度で15兆円ということで、平成3年に26兆円というのがございますので、ピークからいいますと、約11兆円の減になっております。次の法人税が10兆4,000億円ということでございまして、これもピークから9兆円の減ということで、直接税、2つの税目で20兆円減る中で、消費税については、一番右側の棒グラフでございますが、安定的に推移して10兆円のレベルまで来たというのがいまの11年度の予算でございます。
その消費税についてでございますけど、6ページでございます。まず、消費税の使途に関しまして、御案内のように、本年度の11年度予算では、予算総則によりまして、消費税をそこに書いております歳出の基礎年金、老人医療、介護、これに充てるということを明らかにしたわけでございます。歳出総額としては8.8兆円。充たります消費税というのが7.3兆円というものでございます。
この結果、全体の消費税がどうなっているかというのが7ページでございまして、その結果、全体の消費税の使途に関しまして、一番左側に地方消費税まで含めた消費税4%、それから地方消費税1%と、全体の税収があります。そのうち地方消費税、これは地方税でございますし、それから、消費税のうち29.5%、これは地方交付税として地方の財源になるものですから、全体としましては、右側のほうにございますように、地方分といいますか、地方に行きます財源が43.6%、残りの56.4%というのが国の分でございますけども、これが先ほど申し上げたように、予算総則でここに書いております3つの分野に充てるということを明らかにしたというわけでございます。
次のページが、これもよく御説明させていただいております税収の構成等ということでございますが、左側の棒グラフ、歳入総額でございますけども、全体の中で税収が47兆円にとどまっているということでございます。しかも、この税収のうち一定の歳出と結びついているものがもうすでにあるわけでございまして、真ん中のほうの棒グラフですけれども、上から特定財源ということで、一定の歳出に結びついているものがある。それから、地方交付税交付金ということで、地方に行くことが決まっているものがある。さらに加えて、いま申し上げた消費税について、11年度予算では、右側にあります基礎年金、老人医療、介護という3つの分野に充てることを決めたわけでございますので、いわばそこに、少し黒くなっております23兆円という残りの部分、一般の使途に充て得るいわば一般財源というこの23兆円の税収で、右のほうにあります54兆円、これは特定の財源がない歳出の分野でございますけども、これを賄うという形の相当ひどいアンバランス状態になっているわけでございます。これを今後どうバランスさせていくかということが大変な課題でありますし、加えまして、消費税を充てるという社会保障の分野も今後急速な高齢化の進展に伴って急増するという状況にあるわけでございます。
ちなみに、消費税の使途に関しましては、別に資料として置いておりますけども、御案内のように、与党3党の間で消費税を福祉目的税に改めるという旨の政策課題が先般合意されたところでございます。
続きまして、2枚ほどとんでいただきまして、11ページでございますが、次に、ミクロの消費税の負担ということで、階級別税負担。平成9年分ですから、税率をアップしたあとの数字でございますが、総理府の家計調査に基づいて、左側が実収入に対する税負担額ということで、収入階級第I分位から第X分位、ここではI、IIIということで間引いておりますが、ごとに実収入額と、その中で税負担、さらには消費税ということでグラフにしたものであります。例えば右側の第X分位ですと、実収入額が1,265万円、そのうち税の全体の負担が203万円、それから消費税が23万円ということでございます。
この消費税のところを見ていただきますと、第I分位では9万円、それから、だんだん増えて最後は23万円ということで、所得が多いほど消費が多い。したがって、消費税の負担額が多いということになっているわけですけれども、右側のほうに、これを実収入額で割るということで、税負担率というものを求めてみますと、第X分位で消費税の負担率が1.8%、第Iになりますと、これが少しずつ増えていまして2.4%ということで、収入の低い階層ほど負担率が高くなる、いわゆる逆進性の指摘があるわけでございます。ただ、税合計というところを見ていただきますと、税制全体の数字ですけれども、第I分位が6.8%、第X分位へいきますと16.0%ということで、相当の累進性が税全体で見ますと確保されているということもお見取りいただけるのではないかと思うわけでございます。
次のページに詳しく、説明は省略いたしますが、加えて低所得者等への配慮ということで、社会保障の分野で、ここにありますように、平成9年の税率引上げの際にはこのような対策を講じたわけでございます。
以下、資料のほうは消費税の具体の仕組みに関する資料をつけておりますが、時間の関係で詳しい説明を省略させていただきまして、資料のありかのみ申し上げたいと思います。
次のページの13ページでございますが、これは消費税の課税対象、逆に言いますと非課税取引についての資料でございます。
それから、2枚とばしていただいて15ページでございますが、単一税率なのか、あるいは複数税率なのかという、いわゆる税率構造についての平成5年の中期答申の考え方でございます。
それから、17ページは、仕入税額控除の改正の経緯ということで、御案内のとおり、帳簿方式から始まりまして、現在、請求書等保存方式になっていると。
それから、18ページは、その関係でヨーロッパの主な国のインボイス制度の概要をまとめたものでございます。
それから、21ページでございますが、消費税の中小特例の見直しの推移ということで、免税点制度については、上限3,000万円は変わりませんが、右のほうに資本金1,000万円以上の新設法人は不適用にする。それから、簡易課税制度については、適用上限を5億円、4億円、2億円と落としてまいりましたし、みなし仕入率についても、2区分から現在50%を含む5区分にしている。それから、限界控除制度については、その制度を廃止したということでございます。
ずっととんでいただきまして恐縮でございますが、28ページでございます。今度は申告・納付制度の改正の推移ということでございまして、導入当初は年1回と年2回ということでございましたが、運用益問題の解消の観点から、納付回数を増やしまして、年4回というものを入れました。さらに、平成9年、税率の引上げの際に、この水準そのものは、ここに書いてある金額は年間の税額でございますが、これを据え置いた上で、消費税分を考慮するということで、水準を5分の4のレベルに引き下げてきたわけでございます。その改正の推移を書いております。
29ページでございますが、これは直接税制とは関係ない世界でございますけども、消費税の価格表示の方法ということで、これは平成5年の中期答申を抜粋させていただいていますが、消費者の便宜の観点から、最終的な支払総額が何らかの形で表示されるのが望ましいのではないのかというような御指摘をいただいているところでございます。
消費税につきましては以上でございまして、そのあと国の消費課税ということで、酒税、たばこ税が続きますけども、これも省略させていただいて恐縮でございますが、42ページ、特定財源に移らせていただきたいと思います。42ページはいわゆる特定財源と言われている税目の一覧表でございます。揮発油税から4つ、自動車重量税まで、これが道路の特定財源。以下、航空機燃料税は空港でございますし、電源開発促進税、電源開発のための税、それから、石油税というのが石油対策あるいは代替エネルギー、省エネというものの特定財源でございます。
ものの考え方としましては43ページに、昭和46年の特定財源の基本的な考え方ということで、特定財源というのは、一般的な原則であります応能負担の原則の例外なわけですけれども、一番下3行目でございますが、受益者ないし原因者の範囲が明確、それから、受益の程度と税負担の間に直接的な関係はなくても、かなり密接な対応関係が社会的に認識し得るということが前提となるであろう、という考え方が政府税調で示されているわけでございます。
それから、44ページでございますが、その特定財源の中でガソリンにかかるのが、日本でいいますと揮発油税と地方道路税がかかりますけれども、これが国際的に見て高いのではないかという議論もあるものですから、これはIEAの「エネルギー価格と税」という資料をそのまま表にしたものでありますが、下から税負担額が大きい国から順番に上のほうに積み上げていっています。ちょうど真ん中よりちょっと上のあたりに日本というのがございますが、全体で27か国OECDの加盟国がありますけども、日本は税の重いところから数えて16番目ということでございまして、見ていただきますと、負担率でいいますと、その左側に60.6%というのがございます。60.6%の負担率でいいますと、実は日本よりも低いところというのは4か国しかございませんで、上のほうにメキシコ、アメリカ、カナダ、ニュージーランドというところが50%までの国でございます。あとのヨーロッパの諸国はすべて70%、イギリスにいたりましては、一番下、最も税負担額の多い国ですけれども、85.2%というのが税金ということになっているわけでございます。
45ページでございますけども、このガソリンの間接税の税率の推移ということで、1980年、これを100にとりまして、現在どうなっているかということで指数化したものでございますが、日本は揮発油税、地方道路税というのは増減税しておりませんので、100のままでありますが、いずれの国も相当引き上げてきている。イギリスは、調べてみますと、例えば物価上昇にプラス何%ということで、自動的に引き上げるスキームも採用されていると聞いております。炭素排出の削減という観点から、燃料課税を強化しているということだろうと思います。
それから、46ページでございますが、今度、特定財源の中で自動車に係る税金が、諸外国と比べてこれまた日本が高いのではないかという話があるものですから、試算をしたものでございます。試算の前提は2,000ccクラスの自家用車で、さらに下のほうにその前提を書いております。日本が一番左側でございますが、自動車に係る税金としては、燃料課税の部分と車体課税の部分がございますが、燃料課税の部分は、ヨーロッパに比べて、さっき申し上げたように低い水準になっている。車体課税、年間10万円ということですけれども、ドイツが9万9,000円ですので、大体同じぐらい。イギリス、フランスは12万円から12万5,000円ということで、日本よりも高いという形になっております。
47ページ、恐縮でございます。その関係で自動車重量税に関して、年度改正要望ということで、運輸省、環境庁から、自動車重量税の中に燃費基準あるいは排出ガス基準を入れて、例えば燃費でいいますと、左側ですけれども、2010年の新燃費基準を達成した車については減税をする、古い基準を一定割合以上、下回る車については、増税をするというような年度改正要望が寄せられております。それについて、以下検討すべき事項ということを資料として添付しております。例えば48ページでございますが、車種別のCO2排出量ということで、実は運輸省の改正要望の中では、2.5トン以上のトラックが対象外になっているわけでございます。理由は、2.5トン以上のトラックには燃費基準がないということのようですが、そのトラックが排出するCO2の量というのを下のほうに書いております。33.3%という数字でございます。
それから、49ページでございますけども、各種乗用車の燃費とNOXの関係ということで、実はいまの技術水準ですと、この燃費をよくすればNOXが増えるといういわゆる逆相関になっておりまして、そうしたCO2を減らせばNOXが増えるという現在の技術上の問題を図示したものでございまして、書いておりますように、少しの燃料で走ろうとしますと、その分空気をたくさん使うということで、空気の7割は窒素なものですから、どうしてもNOXが増えるという関係にあるというものを図示したものでございます。
以下いろいろ資料をつけておりますが、ちょっと時間の関係で以下省略させていただきます。
ちなみに、52ページ以降に環境関連税制関係ということで、近年の環境政策の主な取組み、例えば環境基本法ですとか、それから、平成9年の京都会議の関係の資料も添付しておりますので、御参照いただければと思います。
私のほうからは以上でございます。
〇武田府県税課長
続きまして、地方税関係について御説明させていただきます。
「基小9-5」『地方税関係資料(消費課税等)』という横長の資料を御覧いただきたいと思います。
目次をとばしていただきまして、まず1ページでございますが、地方における消費課税、この場合にはOECDの歳入統計の区分によります消費課税関係を分類させていただいております。
2ページには、現在、地方財政は非常に厳しい状況にあるということで、地方の借入金残高、平成11年度末では176兆円の借入金残高が見込まれる。こういう状況を示したものでございます。
3ページには、個別の各団体におきまして、公債費の負担比率、これが高いほど財政運営の硬直性が高まるということになってございますが、現在、15%、いわゆる警戒ラインと言われているものを突破している団体が1,853団体あるということで、かなりの団体におきまして、大変厳しい状況が続いているということでございます。
次に、4ページで地方税の主要税目の税収の推移を棒グラフで示してございます。棒グラフのうち一番左が個人住民税。これにつきましても平成4年度あたりをピークにいたしまして伸び悩んでおります。減税等の影響があろうかと思います。それから、左から2つ目が法人住民税、3つ目が法人事業税でございます。このあたり、平成元年から3年あたりをピークにいたしまして、こちらのほうはかなり落込みが大きく出ております。景気の変動等によるものが大きな影響を与えていると考えられます。固定資産税につきましては、堅調な推移を示してきているというところでございます。
なお、平成9年度以降、一番右のところに、最初に平成9年度0.8兆円ということで、地方消費税がこの年から創設をされました。10、11年度とほぼ平年度化いたしまして、約2.5兆円程度の税収ということになってございます。
続きまして、5ページ、地方税収の構成等についてということで、地方における歳入歳出の全体像を御覧いただきたいと思います。この中で、左側の昭和63年度の決算を見ていただきますと、歳入のうち地方税の占める割合が44.3%ということでございました。右の平成11年度地財計画におきましては、地方税の割合が39.9%ということで、4割を切っている。こういう状況がございます。
次に、6ページでございますが、平成9年度から創設をされました地方消費税の概要をつけてございます。消費税率に換算いたしますと、1%相当分ということになってございます。
次の7ページに地方消費税の申告納税、そして払込みの仕組みを簡単に書いたものでございます。最終的には県のほうに納付されましたあと、その2分の1が市町村に交付をされる。こういう形をとってございます。
次に、8ページ、地方消費税に関する政府税制調査会の答申、関連部分を抜粋としてつけさせていただきました。地方分権の推進等を図るという観点から、地方消費税の創設が図られたという記述でございます。
続きまして、9ページはゴルフ場利用税の概要ということで、全国計で約1,000億円程度の税収があるゴルフ場利用税、これは県税でございますが、所在市町村1,334市町村の財源としても大変貴重な税であるということでございます。
続きまして、10ページ、消費課税における特定財源の概要ということで、自動車取得税、軽油引取税、これがそれぞれ道路財源として使途が特定されております。そのほか入猟税、入湯税といった特定財源がございます。
次の11ページは、この道路特定財源の1つであります軽油引取税の税率の推移をつけたものでございます。
それから、12ページは、自動車税、軽自動車税に関しまして、年度改正の要望といたしまして、運輸省、環境庁から出ております要望の概要をつけさせていただきました。左側は、いわゆる低燃費の車については税率を軽くする。逆に燃費の悪い車については重課するという考え方で要望がなされております。右のほうの排出ガス規制等による軽課・重課ということ、こちらのほうは環境庁から出されているということでございます。
次に、13ページ、それとの関連で、いわゆる自動車税・軽自動車税と、その税率の区分の仕方、そしてCO2排出量との関係が、現行の制度上どうなっているかというのを見ていただくための資料でございます。このうち棒グラフはそれぞれの排気量区分ごとのCO2排出量の平均値を示したものでございます。この場合にはガソリン、乗用車でAT車についての値でございます。それから、折れ線グラフのほうは、各排気量区分ごとの税額を示したものでございます。
ここで見ていただきますと、ほぼこの棒グラフが大きくなれば、折れ線グラフのほうも大きくなっているという関係にございまして、それぞれ現行の税率区分におきましても、CO2の排出量と税額との関係には、ある程度の相関が見られるのではないか。そういうふうな評価が可能ではないかと思われます。
続きまして、14ページに、これは平成11年度の税制改正によります低燃費車、低公害車に係る自動車取得税の軽減措置の概要をつけさせていただきました。
それから、15ページ以下は、いま申し上げました自動車税の概要をつけております。
それから、16ページは軽自動車税、これは市町村税でありますが、つけさせていただいております。
17ページは自動車取得税の概要でございます。
18ページは、排気量別のCO2排出状況、これを乗用車等燃費一覧のほうから抜粋をさせていただきました。
それから、19ページは、今年の7月に地球温暖化対策推進本部から出されました推進大綱のフォローアップの概要を抜粋いたしております。
最後に20ページ、環境関連と地方団体の取組みとの関連につきまして、御説明させていただきます。地方団体におきましては、そこにございますように、廃棄物対策をはじめとして各種環境対策をやっておるところでございます。都道府県におきましては、40の都道府県で環境基本条例をつくっている。政令指定都市では10の指定都市で条例を制定している。また、環境総合計画につきましても、ほとんどの都道府県、政令市で対応をしているという状況。市町村レベルにおきましても、それぞれ関係の環境関連の条例、かなり制定をしたり、あるいは環境影響評価についても取組みを進めてきているという状況がございます。
(参考)のほうにございます地方団体における環境保全対策経費、これは平成9年度の決算の数字でございますが、6兆円を超える対策に取り組んでいるという状況がございます。今後、環境関連税制を御検討いただく際には、このような地方団体における環境対策への取組みも踏まえた上でいろいろと御議論いただければありがたいと考えております。
以上でございます。
〇加藤会長
ありがとうございました。
それでは、『基本問題小委員会において出された意見』というメモがございます。お手許に「総38-3の2」というのがございます。「3の1」のほうは前回議論いたしたところでございますので、今回は「総38-3の2」というのを中心にして議論をしたいと思いますが、若干報告の要点といいますか、ポイントだけを申し上げておこうと思います。
簡単に申し上げますと、1つは、最初の「消費税・地方消費税関係」といったところに消費税総論というのがございますが、消費税総論からまいりまして、これは減税というのがすでにもう行われてきておりますので、いままで直間比率の是正ということを言っておったけれども、しかし、それだけではなくて、今度はどういうふうに消費税をセットするかということを考えるべきではないかという御意見があるわけです。そういった意味で、今度は消費税は逆進性もあるわけですから、かえって資産課税は強化するということのほうが意味があるのではないかという御意見もありました。
それから、次に段落がちょっとありますが、目的税化というところでもって、福祉の目的税化という議論が出たわけでありますが、これは議論といたしまして、私ども小委員会では、どちらかというと、議論を深めるために、あるいは理解を深めるために、消費税充実の必要性ということから目的税化ということは考えられるけれども、しかし、それはむしろ資源配分を歪めることにもなるのではないか。それから、ある意味では福祉関係の歳出増と消費税負担との対応関係をはっきりとさせていく必要もあるのではないか、というようなことで、我々としては、若干福祉目的税化というふうにきちんとしてしまうことに対しては、躊躇する意見がございました。
それから、また、地方消費税というのは、もともと一般財源であったものが中心になって、例えば消費税創設時には地方間接税の廃止を行いまして、そして、消費譲与税の廃止とか、あるいは住民税減税の財源として創設されておりますので、もともと一般財源だと。そういうことから考えると、この消費税を目的税化するということは、適当ではないのではないか、という御意見も出ておりました。
さらに、次にまいりまして、今度は「消費税の更なる定着のため」というところがございますが、全体としてこの部分は消費税制度の改革のことを言っているわけでありまして、大体皆さま方の御意見では、インボイスを採用するということのほうが妥当なのではないかという御意見、さらに、非課税部門を設けるということは、これは問題が多い。ゼロ税率はもちろん問題になりますが、しかし、食料品の非課税というのもかなり疑問があると。しかし、2桁になった場合は、検討課題として考えてもいいけども、1桁の場合には単一税率を基本として議論すべきではないかという御意見が中心になっていたように思います。
それから、中小特例の問題につきまして、免税点の引下げとか、あるいは簡易課税制度の見直しを行うべきではないか、という御意見がありましたし、また、価格表示についても、先ほど説明がありましたが、総額表示方式をやはり広める方向でいくべきではないか、という御意見もありました。
それから、特定財源の問題につきましては、これは非常に財源の硬直化を招いてしまうという問題はもちろんのこと、環境問題については、先ほどまた御説明がありましたけれども、何かグリーン化ということを言っているけれども、自動車関連税制のグリーン化という点は、どうも説明が不十分。NOXがかえって増えてしまうようなことになるのではないか、あるいは大型トラックの問題が入っていない、というようなことがありまして、これも慎重に検討すべきであるという意見のほうが強いように思います。
ということで、私が勝手に申し上げておりますので、少し方向が出てしまったような感じもいたしますけれども、これはお許しをいただきまして、こういうようなことが議論されましたので、今度はこの小委員会の問題を踏まえまして総会で御議論をいただきたい。こんなふうに思いますので、どうぞ皆さま方から御意見をいただきたいと思っております。いかがでございましょうか。なるべく基本問題小委員会に入っていらっしゃる方の御意見よりは、入っておられない方の御意見を優先いたしますので、どうぞそういう方々から御発言ください。
〇松浦委員
昨今のダイオキシンの問題等がございますけれども、いま地方団体というのは、この問題について大変苦労しております。特に都道府県、また市町村においても同様なんですけれども、廃棄物リサイクル対策、また緑化の推進など、そうした自然環境保全の問題、それから、環境対策が全体の行政の中で大きなウエイトを占めてきているという問題がございます。従来から地方は、生活廃水対策としての下水道整備、そうしたものを中心として多額の環境の保全の経費を負担してきているところでございますけれども、その財源を確保していく意味でも、地方税におきまして環境関連税制というものが考えられないものか、これを真剣に検討していくべきではないかと思っております。
例えば、エネルギーの消費に対する課税、また廃棄物等の汚染物質の排出に対する課税とかは、仕組み方を工夫すれば、地方税になじむものではないかと思います。このような観点から、税調でもぜひ御検討いただければと思います。
それから、道路の特定財源の問題でございますけれども、これは額が大きいと言われておりますけれど、まだまだ道路整備は不十分でございまして、その必要性は非常に高く、他へ回す余裕はないものと考えております。私ども高崎市におきましても、いま、地方は特にそうなんですけれども、まだ公共交通が不十分でございまして、自動車、そういうものに頼る率が大変多ございます。朝晩の渋滞というのは、まだまだ地方は大変なものがございます。そうした意味で、いま私ども国道17号、国道をアンダー化しようというようなことも考えておりまして、これが実施が始まっているわけでございますけれども、そういう渋滞箇所の解消、また道路ネットワークの整備、そうしたことで安全で活力に満ちた社会・経済生活を実現し、環境もよくしていくことが私は正しい政策ではないかと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。
〇松本(和)委員
いま市長さんのほうから出たのですが、我々の町も34号線筋というのはいっぱい詰まっているんです。やはり国道の4車線、またバイパス関係というのが必要になってきているわけなのですが、そういうことで、ニーズがものすごく高いような気がいたします。中央道関係も大分遅れをとっておりますので、道路特定財源については、ぜひともやはり堅持をお願いしたいというのが1点でございます。
それから、地方税全般、地方税財源の充実確保について申し上げたいと思いますが、実は私の町のことでちょっと申し上げたいと思うのですが、人口は約9,000人、税収が7億6,000万円で、歳入全体の21%、そのうち固定資産税が51%、個人住民税が31%となっております。そういうことで、この2税で8割以上でございます。地方交付税関係は16億1,000万円で、歳入全体の44%、国庫支出金は1億8,000万円で、歳入全体の5%でございます。ほぼ地方税の資料にあった町村の平均的な姿に似通っているのではないかと思います。その立場で地方税財源の問題について言わせていただきますと、まず、町村の二大税目であります固定資産税、また個人住民税は、今後ともきちんと充実確保できるように制度の組立てをしていただきたいということ、それと同時に、交付税についても、財源保証の役割を持っている以上は、一定の水準の総額を確保いただかないと、立ち行かないような気がいたします。
また、地方税財源の充実確保は、地方税が基本であるべきとは思いますが、町村部で税源がないところでは、国によって交付税による調整、あるいは財源保証は当然行われるべきであり、地方交付税を含めた一般財源の充実確保が、地方税の次に考えられるべきであります。そして、地方全体として一般財源の充実に対応して削減していくとすれば、それは紐付き財源である国庫補助金等からすべきであると思います。
以上でございます。
〇中西委員
今後、直間比率の是正というのが社会的な趨勢でございまして、我が国も直接税の累進税率をぐっとここのところ抑えてきまして、我々の卒業論文である来春の中期答申で、私は間接税、消費税のアップというか、それを打ち出すというのは、これは1つのものの考え方の整合性上もっともであると思っていまして、これに異論はないのですが、問題は消費税の持つ逆進性ですね。これを一体何によって、いかようにカバーするかという問題が実はあるわけですね。
そこで、前回私出なかったのですが、資産課税が議論されたと思うのです。その逆進性のカタといいますか、資産課税、特に相続税など、これを1つ充てるべきだという議論があるわけですね。特に最近小委員会で出たようですけど、現行の相続税が中小企業の事業承継を困難にしているということを盛んに商工会議所その他言われておるのだけど、どうも実態が不明であると。トータルとしての減税だけではなくて、これは最高税率だけを引き下げておいて、逆に課税ベースを広げて、レベニュー・ニュートラルの税収中立で行けと、こういう意見があるわけですね。その理由が、土地もかなり下がったからだと、こういうことのようですが、これは平成6年、ちょっと古いのですが、東京都の労働経済局の調査で、約61%の中小零細企業が、事業承継が相続税のために非常に困難を来しておるというまぎれもない調査の結果が出ておりました。若干土地が下がったからといって、大筋において私は変わってはおらないのではないかと見ております。しかも、90年代に入りまして、物納件数がものすごい勢いでうなぎ上りに増えているわけですから、やはりかなりその辺が事業承継上困難であるという状況は変わっていないのではないかと考えています。
したがって、これはやはり企業経営の意欲を削がないという視点からいけば、私は最高税率の引下げとともに、累進構造の緩和と区分金額の引下げ、それから、株価評価の際の類似業種比準価格方式にかかわる減額率を、現行30%ですが、50%以上にするとか、あるいは三大都市圏での事業用宅地などの対象面積、現行100坪ですけど、これを大幅に拡大して、例えば300坪にして、それ以下はゼロ課税にするとか、そういった対策を、最高税率だけ下げるだけではなくて、同時に行うべきではないかなと考えています。
あえて理屈を言えば、相続税減税については、レベニュー・ニュートラルでいいのだという意見があるようですが、そもそも論で言えば、そもそも相続税の創設はマルクスが共産党宣言で言い出したことであって、営々として他人が築いた富を何で権力によって私有財産を再配分しないといけないのだ、という基本的な問いかけに対する理論根拠はまだはっきりしていないですよね。
ですから、これはよく企業界、事業界が言われているように、営々と個人が努力したものが、本人の人生の退場とともに、かなりの部分国に持っていかれるということは、いま我が国のカルチャーを変えようと、一言で言えば、努力した者が報われるというカルチャーに変えていかないと、経済競争に勝てない。そういう経済の活力の源はやはり人間の意欲ですから、そこのところがいま我が国の大きな国のカルチャー変更の舵を切る方向を向いているわけですね。これとどうもちょっとなじまないと。これをやったのでは、またまた意欲が喪失するのではないかと思っていまして、この資産課税、消費税アップに伴って、当然逆進性が出てくる。そこで税の公平性、税理論上は、まさに資産課税を強化するというのが理屈に合うわけですが、やはりこれは、私はあえて整理すれば、水平軸で考えるとそういうことだろうけど、時間軸を入れて、時間軸を縦軸としまして、それを考えると、どうもこれは自由経済の活力を損なうことにつながることであって、幸いにして小渕総理も自民党税調も、少なくともこの現行相続税については、最高税率を下げて税負担を軽減するという方向が出ているわけですから、これはいろいろな意見があるのでしょうが、私は我が税調もそういう方向で御検討をいただきたいと、こう思うわけでございます。
〇石特別委員
僕は基本問題小委員会の委員でありますが、消費税のとき欠席しておりまして、発言の機会がなかったから、簡単に消費税関係で意見を述べさせていただきます。
会長がおまとめになりました意見の一覧、僕はこのとおりでいいと思いますが、2、3強化したいのですが、おそらく消費税は、創設以来それなりに制度的に僕はだんだんよくなってきていると思うのです。簡易課税を少なくしたり、あるいは限界控除をなくしたり、税率を上げたり等々していますので、私はこれはグローバルスタンダード的なところに近づいているので、あえて言うなら、非課税水準3,000万円は不満ですが、これはなかなかいじれないということもあるのでしょう。
そこで、やはり焦点は税率をどういう理屈でどうアップするかということと、やはり目的税化のところなんですね。一時促進のような声もありましたけど、今回の意見の中では、大分トーンダウンしておりまして、私はこれはポリティカルエコノミーの世界ではあり得るのだと思いますが、ただ、課税の理論上、例えば財政学のテキストブックであるとか学術的なことで、福祉財源に付加価値税を充てるなんていう国はどこもないし、理屈も成り立たないんですよ。あえて目的税というのは、ガソリンと道路の関係ぐらい密着度があるところでしか入れないので、僕はよくよく慎重に考えるべきであって、いくつか議論がありますように、極力私は目的税化というのはうたわないほうがいいのではないかと思います。
それから、もう1つ、環境の話が今回クローズアップされてきて、これが我々の中期答申に出るのは結構なことだと思います。これはたしか河野さんの御発言から本格的になってきたのだと思いますが、ただ、いま運輸省と環境庁が出しておるのは、確かに先鞭をつけたという意味では私は評価してもいいかとは思いますが、中身はまだ大分稚拙でありまして、本当にやるなら、私は燃料消費課税だと思いますよ。環境税、特にCO2を削減したいという狙いを持つならば、当然のこと、化石性燃料の消費を減らすという意味において、そこにかけなければ炭素税の意味がないと思いますね。
当然、そのときには、いま地方の首長さんの方が道路特定財源に触れられましたけど、あそこに化石性燃料の塊があるわけでありまして、私はあえて反論をしておきたいのは、道路のデマンドが強いというのは、僕は100年たっても起きてくる議論だと思っているんです。そもそも昭和28年に目的税化して、もう50年近くやっていて、僕はすごく道路整備はできてきたと思っているので、2車線で満足しないで4車線になるとか、地下化するとかいえば、エンドレスなんですね。そういう意味で、私は環境税という要素を仕込むなら、やはり道路特定財源まで含めた意味で、道路というのは環境汚染物質をまた増幅しているようなものですから、そこに余計金を入れるというのは、ちょっとおかしいなという気もしますので、やはりこれは21世紀の税制として、私は環境要素というのは、国税・地方税ともに入れて、かつ、新税とともに既存の個別消費税体系の中にも環境的要素を入れるべきだと思っていますので、この強調の仕方はいいと思います。
最後に、中西さんの御意見が出ましたが、やはり私は相続税というのは大事にすべき税であって、相続税というのは生涯清算して、親父さんが一生懸命頑張って、そのままそっくり息子がもらうというのは割に合わない。つまり、一生懸命頑張ったのをそのもらうほうの側は何もしないでもらうところの清算だという意見があるし、それから、フローの課税の漏れをストックでもう1回再調整という部分もあるし、かつ、資産再分配もあるのですが、いろいろ経済に対してダメージを与えているという御意見もあるのはわかっております。ただ、所詮、対象は100人死んだ人で6人ぐらいかな。東京で10数人だと思いますが、その程度の広がりなんですよね。しかし、シンボリックには非常に重要でありますし、やはり再分配というものの視点から、見逃せない税であります。
いろいろ御意見はあるのは重々承知でありますが、マルクスの共産党宣言が何か言ったか僕は勉強していませんけど、相続税というのは、もっとずっと前からある話でありまして、中西さんの御意見はあっていいのですが、一方的にあれだけが税調の意見だと思われるのもちょっと問題だと思いますので、反対のほうで、大いに重視して、逆にいって、中小企業の活性化等々にそれほどあれを減税したからといって効果があるかどうか疑問を持っていますので、その点ちょっとすみません。中西さんとはいつも衝突することが多いのだけど、そういう形で意見を述べておきたいと思います。
〇森下委員
間接税のことで、特に地方財源の問題が論議されているのですけども、その論議の過程で、やはり地方の行政改革ということが片方になければいけないのではないか。1つはそういう論議の過程で、地方財政の改革ということが論議されているのかどうか。もしされていなければ、これは一方財源と同時に地方の改革、特に市町村ですね。これを統合合併という問題を具体的にしていかないと、少子化がどんどん進んでいって、いろいろないままでの枠組みが無駄になってきている点が非常に多いという点で、やはり地方財源とあわせて行政改革を、特に市町村の統合、効率化という問題を同時に意見を出していくべきではないかということを、もし討議がなければ意見として申し上げておきたい。
〇和田委員
先ほど御説明ありましたように、基本問題小委員会において出された意見、それから、前々から出されております意見なり、答申の中で書かれておりますことでも、消費税のウエイトを上げていく、はっきり言えば税率のアップということが出されております。ただ、所得税の最高税率の引下げをはじめ、非常に所得税がフラットになっております。それで、所得の格差というのが確実に拡大しているというところで、どう考えていくのかなということを考えなければいけないと思います。
それで、所得税については、努力した者が報いられるという言葉があちこちに出ております。これを否定するわけではないのですけれども、スタートラインが必ずしも同じではないということがあると思うのです。全くスタートラインが同じで、人の倍どころか5倍も10倍も努力したのだから、それが報いられるというのならば、確かにそうだなという気はするのですけれど、スタートラインがいろいろあるところで、高額所得あるいは資産形成された方が、いま税率が高いから、言われているように、働く意欲も事業を頑張る意欲もなくなるというのは、本当にそうかなという疑問も感じております。
それで、そういうふうに所得の格差が広がる中で、消費税をどう考えるかということになると思うのですけれども、今日の資料の11ページに、収入階層別の、これは平成9年ですけれども、実収入に対する税負担率、これが第I分位から出ておりまして、先ほどのお話のように、そのほかの税全体で見れば、こういうふうに累進性になっているではないかというお話がありました。
ただ、私、前にも発言していると思いますけれども、平成5年でしょうか、6年でしょうか、逆進性ということが言われているけれども、消費税だけを取り出すのではなくて、ほかの税目が累進になっているのだ、それから、社会保障のいろいろ手当が相当されてきたのだからということが書いてあるのですけれども、これだけフラット化、しかもこれからももっとフラット化を目指すべきだという方向が出されているところで、この逆進性の問題というのを考えてみますと、ここの第I分位の2.4%、それから、第X分位の1.8%というものの第I分位の生活の実感なり負担の重さというのを考えますと、その上のところの6.8%と16.0%と、こういうふうに累進になっているのだということだけの数字の比較だけでは言えないことがあるのではないかなということを感じております。
これは高齢者だけの問題ではありませんけれども、昨年度の厚生省の出しております国民生活基礎調査ですが、これで高齢者世帯の平均所得というのは、平均所得ではなくて私は中央値を見たいと思うのですけれども、240万円が中央値になっているわけですね。細かい御報告はいたしませんですけれども。最近どちらかというと、高齢者は裕福なのだと言われておりますけれども、それは裕福な人があるのは否定しませんけれども、本当に大変な思いをしている人がたくさんおりますので、そこで所得税はフラット化して、しかも、これからひたすら消費税のアップ、消費税のウエイトを高めていくということに対しては、納得できないということをいまの段階で申し上げておきたいと思います。
それで、介護保険につきましても、もう相当段階まで来たところで、私ども介護保険については、いろいろな問題点があると思っておりますけれども、いま地方自治体なりそういうところで査定の段階まで入ったところで、政治的な配慮からおかしなことになってしまったということがありまして。そういうふうに負担のところとか、給付のところも本当にまだ具体的にわからないことがたくさんあるところで、消費税の税率のアップなり、どうなるか先行きがわからないところで消費税のことが出てくるというので、ますます将来に対する不安というのか、わからないということでの、いま景気の回復、いろいろな言葉が使われておりますけれども、ますます不安が解消しないので、財布の紐はゆるみにくいというようなことにつながっていくのではないかなという気がしております。
それと、環境問題に対するいろいろな税制、これから出てくると思うのです。これは非常に大事なことだと思います。京都会議で出されておりますように、日本がとにかく6%減らしていかなければいけないという目標達成、大変だろうと思いますので、いろいろなところで検討されるのは大事だと思いますけれども、いま言われております自動車に対する燃費での仕分けというのは、これはここだけで見ますと、もし本当に自分がいまどうしても自動車を買わなければならないときに、どちらを選ぶのかなという、そこだけを取り出してみれば、1つの意味はあるのかもしれないのですけれども、自動車という全体を考えてみたり、道路の問題、それから、CO2、NOX、いろいろなことを考えてみますと、やはりトラックの問題であるとか、ディーゼル車の問題であるとか、もっと広い意味で考えていかないと、これだけを取り出してというのは、もうちょっと慎重に考える必要があるのではないかなと思います。
ですから、例えば運輸部門でいえば、もっとできるだけ公共交通を整備して、そちらのほうへできるだけ利用を移していくというようなことが大事であって、いま実際には自動車のセールスマンが、「いまこれをお買いになれば、これだけ税制が……」というような言い方で売り込んできているんですね。そうすると、自動車の台数そのものを全体にしてどうしていくのかとか、それから、自動車を購入するところではなくて、本当にCO2を考えるなら、走らせるか、走らせないかの問題であって、それだけを取り出して考えるのは疑問ではないかなという気がしております。
〇加藤会長
地方税について、先ほどのは何か税務局長から御説明ありますか。
〇石井税務局長
あとで、個人所得課税ですか、この話をいたしますときに、その中に資料がもともとありますので、そのときあわせて説明させていただきます。地方の行革とか合併の問題ですね。
〇加藤会長
わかりました。
それでは、竹内さんどうぞ。
〇竹内委員
いくつかの点について申し上げたいと思います。
1つは、道路財源の話が出てきまして、先ほど市町村の首長さんからかと思いますが、できれば補助財源的なものから一般財源的なものの方向のほうが重要だという御意見もありまして、私は道路財源は地域環境の整備のために、一般的な利用も含めて考えていくほうが望ましいのではないかと思います。
他方、福祉目的税というのは、これからの高齢社会を見据えていきますと、一定程度やむを得ないかなと、そういうふうに思っています。
それから、今後の地方財政のあり方について、私は国税から地方税への税源の移転というのはもう不可能であると見ておりまして、国の歳出のほうから見ましても、34.9%、約4割近い赤字の財政の中で、ただ国税から地方税へという移転論議は、これはほとんど不可能に近いと。逆に、課税自主権というような考え方は、これからもっと検討していくべきテーマであると。他方で、これからの地方の自立的な経済、ないしは持続的な経済ということを考えますと、地方交付税を拡大していくという方向もこれは不可能であると考えておりまして、むしろ地方交付税は減らしていくべきであると。逆に税源がない部分については、これからは地方のサービス体系、いろいろな施設、スポーツ施設、介護施設、そういうものの相互利用という点で考えれば、特別目的税のような料金体系を充実させることによって、住民が相互に行政単位の地域の境を越えて、使った分に対してなるべく対応関係をはっきりするような税源を工夫していくというような形によって、地方財政のリスクの拡大が国家財政に非常に直接的にリンクするような状況を避けられるのではないかと考えておりまして、より地方サービスが機能的に今後充実していくべきだと考えるのであれば、交付税的なものでそれをカバーしようという方向は間違っている。よりこれを減らして、住民のニーズに合わせた課税の取り方のようなものを検討すべきではないかと考えます。
〇加藤会長
いまおっしゃった福祉目的化というのは、「福祉目的税化」をやむを得ないとおっしゃったのですか、「福祉目的化」はやむを得ないとおっしゃったのですか。
〇竹内委員
福祉目的化。
〇加藤会長
「目的税」じゃないんですね。わかりました。
〇大田委員
私も基本問題小委員会の委員なのですけど、出席できませんでしたので、簡単に申し上げます。
まず、消費税ですけど、これは福祉目的化のうちはまだよかったのですが、目的税化にするというのは、率直に言って信じられない話なんですね。高齢化というのは定常状態に達するまでの過渡期の問題ですから、常にその間で財源というのは見直していく必要があって、現に年金も5年に1回財政再計算をするわけですね。その過渡期の問題、常に移行過程にある問題を、財源を固定化してしまうというのは、理屈の上だけではなくて、実態からいっても信じられないぐらい望ましくない話だと思います。ある程度目的化という、それは当然そうなる話ですし、これはいいのですけれども、目的税としてしまうことには反対です。
それと、消費税に納得を得るためには、福祉目的化以外に、消費税そのものを合理化する、透明にするということが必要で、私は税率を上げることより、インボイスの導入とか合理化のほうが政治的には難しいのではないかなと思っておりますので、早い段階でインボイス方式に変えていくということが必要だと思います。
それから、2番目に道路財源の話で、これは道路が要るか要らないかという議論ではなくて、目的税をそのままにするかどうかという議論なんですね。特定財源というのは私はもうやめるべき時期だと思います。特定財源はやめて、道路の中で優先順位を厳しくはかっていく時期を迎えておりますので、特定財源というのはやめるべきだと思っています。むしろ目的税の弊害のほうが大きくなっていると思います。
それから、3番目に相続税で、お隣に中西さんがおられて、ちょっと反論しにくいのですけれども、実態がわからないというのは、大変なんだというアンケート調査はいくつもあるんですね。大変だというのはあるのですけど、大変だった、大変で承継できなかったというのがよくわからないんですね。どういうことなのかよくわからないのですが、実際に承継できなかったという実態を知りたいわけです。
それから、中西さんはかなりの部分を持っていかれるとおっしゃったのですが、いまの感じでいきますと、持っていかれないのではないかと思うのです。少なくとも個人事業主の場合は土地が中心ですから、そんなには持っていかれないのではないかなと。ここもあわせて実態をきちんと押さえて、不当に高いかどうかを議論すべきと思います。
それから、事業承継できるかどうかが経済の活力とか意欲に結びつくというのは、私はどうしてもわからないんですね。親が事業主だったから簡単に承継できて、途中から参入したり事業を起こしたりする人は起こしにくいということのほうが活力は削ぐわけで、能力のある人が経営していくという社会に切りかえるというのがいまの転換点だと思っています。
もう1点相続で、事業承継ではなくて、いまは相続税が課税される人が被相続人の5%なわけで、残りの95%の中での公平というのは全く議論されていない。全く手がついていないわけなんですね。私は、だんだん高齢化になってストック化が進むと、95%の中の公平というのもある程度は考える必要があると思いますので、事業承継だけではなくて、全体的な税率刻み、私はもう少し広く薄くかける方向での改革が必要ではないかなと思っています。
〇水野(勝)委員
いまもお話がございました消費税の目的化、あるいは目的税化の話でございますけれども。この消費税は、先ほども会長からのお話もありましたように、それまでのいろいろな一般財源的な個別間接税などを廃止する、あるいは所得税の減税をする、そういったことと一体となって導入されてきたわけでございます。それによりまして、先ほど説明もありましたように、10兆4,000億円。これは法人税と並ぶ国の基幹税となっておるわけでございます。そういったものを簡単に目的化、あるいは目的税化することは、ちょっと考えられない。今後、時期を得れば財政構造の健全化、改善をしていかなければいけないその中で、一般財源的な柱を失うということは、大変惜しいわけでございます。
それから、消費税は昭和52年なり53年ころ、税制調査会で答申をまとめていただき、一般消費税というのを世の中に打ち上げたのが昭和53年でございまして、しかし、実現するのは10年間の歳月がかかったわけでございます。そういった意味からいたしますれば、これをここで簡単に紐付きにしてしまうということは、到底考えられないわけでございます。しかし、一方、福祉財源が非常に厳しいということであれば、現在ある5%の消費税、これはこれで普通財源、一般財源として続けていく。この消費税に特別部分というのをつくって、消費特別税といったものをつくっていくのが1つの現実的な方向でもあり得るのではないか。
例えば、たばこにはたばこ税というのがかかっておるのですけども、これがおととしでございますか、たばこ特別税というのがかかって、このたばこ特別税部分というのは、国鉄の再建あるいは森林特会のほうにいくという紐付きになっているわけでございますが、納税者というか、たばこをお吸いになる方については、別にそれを2つに分けて飲んでおられるわけではなくて、1本で納税されておるわけでございます。それから、揮発油税というのは、これは形式的には一般財源でございます。ただ、事実上は道路財源に使われております。一方、地方道路税というのがある。これは揮発油税のある一部分を増長しているわけでございますが、これははっきりと道路目的財源に指定されている。法定されているわけでございます。
そういった意味からすれば、消費税というのがあって、消費特別税というのがあって、それが特別税部分は介護であれ年金であれ老人医療費に使われる。それはそれで結構ではないか。しかし、それだけ10年かかって積んできた5%部分、これはぜひ一般財源に残していただきたい。そして、もし紐付き財源が必要だと、それが消費税的な形がいいというのであれば、そこから関係者が汗をかいていただいて、5年かかるか、あるいはわかりませんけれども、そうしていただかないと、どうもせっかく税制調査会として10年かけてつくり上げた消費税、これは到底考えられないことでございますので、ここはもう1回原点に立ち返って、検討し直して、必要ならばそういった方法も考えられるということ、そういった具体的な展開もあっていいのではないかと思うわけでございます。
それから、介護に関連して相続税の話になるわけでございますけれども、昔は次世代、子供の世代は親の面倒をみた。介護に努力したわけでございますから、そこへ相続財産がいくというのも1つの成り行きかもしれませんが、だんだんこのごろは介護は公的制度で補完される、あるいは実施分担されるということであれば、相続税というのは、本来、相続というのは本当にあっていいのかどうかという原点までいくのだと思いますけれども、税制の面からいたしましても、それなりの課税の根拠がある。
それから、今後、消費課税を充実していくのだということであれば、所得のうち消費された部分は消費課税を御分担いただく。しかし、消費されないで残った部分が相続財産だとすれば、消費税部分というのは、そこで抜けているわけでございますから、そういった意味におきましても、今後の税制を考える上では、相続税というのは大事に考えるべきではないか。しかし、事業承継に本当に障害があるということであれば、それは実態に応じた対処はしていく必要がある。しかし、一般的にはこれも大事な税として相続税を考えていくほうがいいのではないか。こんなふうに思うわけでございます。
〇吉田特別委員
とりあえず消費税にかかわって一言申し上げておきたいと思います。
先ほど加藤会長が、小委員会の議論を要領よくおまとめになったその方向は、中長期的税制改正として、私はそうあるべきだろうと、これは方向としてはそうだろうと思っております。
ただ、昨今報道されている中に、大変消費税の滞納が増えているんですね。これは今日の小委員会の中にも意見が出されておるわけでありますが、申告納付回数は、中長期的展望というよりは、やはり滞納をいくらかでも少なくしていくという意味合いから、これは早期にやれる問題ではないか。
それから、もう1つ、総額表示方式、内税ですね。これは中長期というよりは、早くやれるのではないか。こういうところから手をつけていく。そして、中長期の観点から、抜本的に消費税の改革をするためには、やはり先ほど来御意見が出ておりますように、福祉全般、年金等も含めて、これの青写真がはっきりしてこないと、なかなか税率アップ等は難しいのではないか。
それから、同時に行革というものをしっかりやっていただくということが前提でないと、消費税の税率アップというのは、なかなか言うべくして難しいのではないか。そういう意味合いでは、そういう幅広い観点から、税制調査会の増税論議ばかりではなくて、そちらの方の前提をつけながら抜本的改革をまとめていくべきではないかと、こんな感じがいたしております。
その他また別個の問題では、後ほどまた発言させていただきます。
〇平田委員
消費税関係で申し上げたいのでありますが、私は皆さん方の御論議の中で一番肝心なところが抜けているのではないかと。それは従来から非常に言ってきました直間比率の是正という観点が最近は余り言われなくなっている。この消費税というものが他の所得課税の税金に対して非常に少なかったという経緯があるわけでありますが、その所得課税自体がいま非常に減税の問題がありまして、どんどんグロスが小さくなっているということがあって、相対的に消費税のパーセントが上がっているということだけでありまして、実際の議論の根幹は、やはり直間比率の是正ということでスタートをしなければいけない話ではないかということであります。
ですから、当然、3%から5%へ来まして、それがまたさらに大きな形で、増税と言う言葉ではなくて、まさに直間比率の是正でこれは達成をしていかなければならないということを私は申し上げたいわけであります。
それにつきまして、いろいろな改善方策があるわけでありますが、私は特に消費者の皆さん方に、消費税は消費者が負担するんですよということが、消費税法の中にうたっているわけですね。それはもちろん言葉どおり消費税と言っているわけでありますから、消費者の方に転嫁をすることができるという言い方で税制的にはつくっているわけでありますけども、現実は売上、すなわち商品の価格の中に入っているわけでありますから、それは事業者が例えば同じ商品を売るのであっても、競争力の関係で全部商品の表示価格が違ってしまうわけであります。ですから、先ほど吉田委員がおっしゃっておりますように、総額表示方式に変える方法をぜひやっていただきたいと思うのです。内税まではいきませんけれども、内税の手前の総額表示方式をぜひいまのうちに広めておかれたほうがいいと思うのです。
というのは、特定の個別の間接税でも、大変なパーセントの間接税を実際に我々は負担をしているわけでありますけれども、例えばガソリンの中にどのぐらいの税金が入っているかとか、それから、ビールの中にどれだけ税金が入っているか、たばこの中にどの程度の税金が入っているかというのは、ほとんど使っていらっしゃる方はわからないわけでありますから、まさに商品の価格の中に消費税が入っているということを、改めて1つ原点に帰っていただいて、事業者の方にも教え、また消費者の方にも教えていかなければいけないのではないか。それによって、まさに直間比率の中で消費税が大きな役割を示すようになるのではないか。
それから、もう1つ申し上げたいのは、この消費税の論点の中で依然として出てくるお話が、EC型のインボイスが必要ではないかという論点が多いんですね。これは実際実務をしているほうでいいますと、非常にいま会計のソフトもよくなっていまして、1つの個別取引がありますと、それを消費税と本体価格に分けるようなソフトがほとんどきちんと販売をされているということでありまして、まさに現行の帳簿方式で十分対応できるわけでございまして、EC型のインボイスなどの議論というものは、ある意味では、いまのようなコンピュータシステムがここまで発達をしなかった時代の話ではないかなと思うぐらいであります。
それから、仕入控除という問題がありまして、我々の使っております消費税は、多段階の付加価値税方式でありまして、必ず前段階の税額を控除するわけでありますが、そのときには、日本語の言葉では仕入れと言っておりますけれども、売上に対する仕入原価だけを引いているわけではありませんで、すべての資産の譲渡に係る税額を控除しているわけでありまして、例えばインボイス方式にいたしますと、大変なインボイスを証拠として保存をするというふうな手間がありますし、また、インボイスから計算をするということは大変な手間でございまして、現在の請求書、領収書ないしは会計事実というものから、1つの所得課税の計算をする上で、そのまま消費課税が計算できるような形の現行法が一番いいのではないかということであります。
〇佐野特別委員
この前の基本問題小委員会、消費税のときに出られなかったのですが、どうも慎重意見が多かったという新聞報道を読みまして、それについて一言。
ここでも目的税化に慎重な意見が多いようですが、ちょっとバランスをとる意味で、私は検討していいテーマだと前々から思っております。1つは社会保障の現状をどう見るかという視点がやや希薄ではないかと。つまり、大蔵省サイドは目的税化は嫌だと。厚生省サイドも目的税はごめんこうむると。どうすればいいのだということであります。もっと広く、21世紀の財源問題としてとらえる、そんな考え方が必要ではないか。つまり、これまでも言った覚えがあるのですが、これからは高齢者に応分の負担をしてもらわなければどうにも立ち行かないという時代が来るわけで、その場合、社会保険料なり直接税というものが高齢者に対して負担を求められるのかと。やはり消費税というものが一番円滑に負担を求められる税金ではないかということから、私は高齢者時代に即応した税として消費税の役割に期待するわけであります。それならば、何かしらの理由が必要であって、その1つはやはり福祉目的に使うのだという説得材料が今度は納税者に対して、あるいは税の負担者に対して必要になるのではないか。もちろん、目的税化というのは、議論していて、それぞれみんな目的税化のイメージが違うと思うのです。それはさておきまして、基本的な考え方として、高齢者に負担をしてもらう。
それから、もう1つ、今の社会保険方式というのをこれ以上進めていくと、実際問題、社会保険はもうはっきりいって負担はそろそろ限界に来ている。そうそう簡単に上げられない状況になってきている。次に起きるものは何かというと、給付の削減ということでありまして、いまもっぱら給付の削減ということが社会保障の論点になっている。しかし、これはよくよく考えると、社会保障そのものの公平性といいますか、皆保険制度を壊してしまう懸念もあるということで、何かしら財源をそこに注ぎ込むとすれば、やはり消費税という結論になってくるのではないか。
それから、もう1つ、逆進性の問題というのが消費税の発足当初から言われていたのですが、私はこの逆進性というのはもうそろそろ、逆進性ならば逆進性として、そういう性格の税だということで肯定していいのではないか。
それから、もう1つ、社会保険料というのがあるわけですが、これとの対比ということも必要になってくる。実は私は社会保険料というのは、例えば国民年金の保険料は人頭税でありまして、消費税なんかよりもはるかに逆進的。そういう負担というようなものを、税の世界の外の話ですが、そういう負担という様式もこの世には存在しているわけで、では社会保険料と消費税の負担がどっちがいいのだという比較ということも必要になってくるのではないか。そんなふうに考えております。
〇今野委員
相続税のことについてお話ししたいと思うのですが、私もいろいろな日本の経済団体に属しておりまして、その中のいくつかの税制委員会にも名を連ねていたりするのですが、だからといって、そういう経済団体の税制委員会の意見というのは、いつも一枚岩であるわけではもちろんないわけですね。先ほどから大田さん、和田さんが相続税のことについてお話をなさいましたけれども、そういう経済団体の方々の中にも、意見はいろいろだと、当然のことですけれども思います。
いつも私も大変その辺で迷いがあるというか、違和感があるのは、さっき大田さんもおっしゃいましたように、その相続税によってどのように実際のいまの事業の意欲を削ぐことになるのか。また、全体にとって中小企業の活力にどのような影響が与えられ、または21世紀の日本経済にどのように影響し貢献するのか。その辺が私たちの中でも非常に温度差はばらばらであるわけなんですね。
当然、私たちアントレプレナーと呼ばれているグループは、ゼロ以下のところからスタートしているわけですから、そういう人たちの中にも、成功してすでに継承すべき財産をたくさんおつくりになった方々と、そうでない人たちとの間にも温度差があるのかどうか知りませんけれども、そういうゼロからスタートを切ったアントレプレナーたちとどのような違いがあるのか。そしてまた、今後もどういう差を生んでいくのかというあたり、本人同士でもよくわかっていないのではないかと思います。それから、税の公平・公正という点でも、どういう問題があるのかということとか、そういうふうに考えますと、相続税といっても、まだ本当のところは、みんな議論している人たちもその辺のことはよくわかっていないままに、何となく自分たちの思いが先行して語っているところがあるのかもしれない。中西さん、ごめんなさい。
それで、例えば相続税に関しても、私がいつも思いますのは、納税の形、例えば物納の形ということにもう少し知恵を出さないと、例えば街を壊し、環境を破壊していく。そういう面にももう少し配慮が欲しいと思います。常に税制を語るときに、数字とかパーセンテージで議論するのではなくて、そのことが何を壊し、何をつくっていくかということに、もう少し思いを注いでいただきたいと思います。
今日は石先生から会社の分割のお話も伺いましたし、それから、先日来、エンジェル税制の話も出ておりますが、そういうときに常に私は、一体現場の実態がどれくらい小委員会の中で調べていただいているのか、本当の生の声を聞いていただいているのかというところが、とても気になることです。ですから、とても大事なことですし、本当にこれからの中小企業の様々な活力をつくっていくための税制でなければいけませんので、その辺の実態をもう少し細かく調べて考えていただきたいと思っております。
〇松本(和)委員
地方の市町村の立場でちょっと申し上げたいのですが、行革関係、これは行革大綱によってどこの市町村も見直しはやっております。事務事業を見直したり、組織、職員数、それから給与の適正化、カットとか延伸とか、そういう態勢で臨んでいるわけです。また大きなところの投資関係には、ごみあるいは消防、また介護の問題も入れてですが、そういうところで広域化ということで、効率化を目指しながら取り組んできております。
また、今後の合併問題についても、やはりあちこちで話も大分出てきております。しかしながら、効率化ばかりではやはりいかない面もあるのです。感情問題とかいろいろ出てくるわけです。しかしながら、だんだんと進んでくるのではないかと思います。
それと同時に地方交付税関係なのですが、これはやはり自治体関係の不均衡化をなくすという……
〇加藤会長
その問題はこのあとすぐやりますので、そのときまた御意見を、まだお帰りになりませんね。
〇松本(和)委員
そうですか。ちょっと先に出たものですから、すみません。
〇榎本委員
ちょっと関連して、いいですか。
いまの合併の問題なのですが、先ほど森下さんから地方課税と絡めて合併の促進をという趣旨のお話がありました。当然ながら、自治体がより適正な規模に再編されるということは望ましいことですけど、問題はそのプロセスや方法だと思うのです。過去の事例からしますと、いたずらに合併を外から強要したその結果というのは、必ずしも効率的でない。つまり効率というのは、住民のニーズと地域の活性化という視点、このことに行政的にどう対応していけるのかということが効率ですから、その点では逆にマイナスの結果をかなりの地域で生んでいるということは事実ですね。ですから、そういう点でいくと、やはり合併の問題と税を直結させて議論するということは、税のあり方の議論にとっても、合併の議論にとっても、両方にとって僕はよくないと思います。
〇加藤会長
この議論は、個人所得課税の金融課税問題と、それから、その次地方税問題と、もう1つこのあとやりますので、そのときまた御議論いただきたいと思いますし、消費税についてもまたそのとき御議論いただいても結構でございますが、差し当たってちょっとここで5分ぐらい休憩させていただいて、それから続けたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
(休憩)
〇加藤会長
それでは、5分たちましたので、始めさせていただきます。お席にお着きください。
時間が押してしまって、大変私が不手際で申しわけなかったですが、皆さま方の御意見を一通りいただいておりましたが、さらに残った問題がちょっとございまして、それは前にも申し上げましたけれども、個人所得課税で特に金融課税ですね。それから、地方税全般の問題というのを取り上げたいと思っていますので、先ほど御意見が十分おっしゃれなかった方もどうぞおっしゃっていただきたいし、また、消費課税に戻っても結構でございますので、いろいろと御意見をいただきたいと思います。
まず最初に、個人所得課税及び地方税全般について、ポイントを絞って事務局から説明をしてもらおうと思います。税制第一課長、市町村税課長、企画課長、よろしくお願いします。
〇清水税制第一課長
税制一課長でございます。所得課税の特に金融課税等について、資料「基小10-2」で御覧いただきながら、簡単に御説明させていただきたいと存じます。
目次をとばしていただいて1ページ目に、金融証券市場の動きと金融関連税制のここ20年ぐらいの大きな年表がございます。一言で申し上げますと、金融市場のいろいろな自由化ですとかビッグバンといった動きの中で、税制面においては、2つの大きな流れがございまして、1つは抜本改革、それから、その後の改革の中で、利子課税、株式譲渡益課税の適正化の流れがございます。一般的な非課税制度からマル優の廃止、あるいは利子の源泉分離課税、株式譲渡益の原則課税化、それから、11年度から有価証券取引税、取引所税の廃止とあわせまして、株式譲渡益の源泉分離選択課税の廃止といった適正化の流れ、それから、一方で金融の実態がいろいろ動く中で、様々な新しいタイプのいろいろな金融活動、金融取引等に対応した税制上の流れ、自己株式、ストックオプション、あるいは外為法の全面改正に伴います国外送金に関する調書ですとか、あるいは金融持株会社の問題、あるいは円の国際化に関連した問題等々、大きな2つの流れがございます。
2ページ目に、個人金融資産の資料をおつけしていますが、いわゆる個人金融資産、最近1,300兆円でございますが、預貯金が半分以上、それから有価証券、保険といったような状況になっております。
とばしまして4ページですが、主な金融商品と所得の区分、課税方法でございますが、預金、債券、株式、保険といったいろいろな金融商品、そこから発生します果実なり所得の性格、種類に応じまして取扱いが決められております。預金や債券、公社債の利子などのように、その収入そのものが所得になるもの、利子所得、それから、株式につきましては、配当といった形、それからキャピタルゲイン、譲渡の形で出てくるものについては、収入から取得費を引くといったような計算が行われる等々、取得の計算方法が定められておりまして、また、それぞれの金融収益につきまして、課税の方法が定められてございますが、例えば、利子につきましては、利子所得、金融の大量性とか、あるいは中立性、あるいは把握の問題等を勘案しまして、現在、源泉分離課税が行われてございます。
株式の配当につきましては、原則総合課税でございますが、少額の配当については、源泉徴収でもって申告不要となる仕組みがとられてございます。
株式の譲渡益課税については、後ほど出てまいりますが、申告分離、源泉分離の選択、これが申告分離へ一本化されるように適正化が行われてございます。
とばしまして、8ページ目ですが、預金等の実態ということで、これは一言、御覧いただきますと、個人預金の口座数あるいは郵便預金の口座数、9億円とか6億円とかというオーダーになっております。
9ページでは、勤労者世帯の収入階級に応じました貯蓄の保有状況ですが、預貯金、保険、それから有価証券というように分けてございますが、有価証券等については、高位の所得階層で大きくなってきている。それから、収入・貯蓄比率は下にありますけど、おおむね150%から160%台という感じになっております。
10ページでは配当の支払いを受ける人員、6,000万人ぐらいのところになってございます。
11ページでは、株式譲渡益課税制度でございますが、先ほど申し上げましたように、申告分離課税と源泉分離課税を取引の都度に選択できます。申告分離におきましては、実際の売り値から買い値を引いた譲渡益に20%、地方税6%、合わせまして26%の負担をいただいている。それから、源泉分離課税は譲渡代金の5.25%を所得とみなして20%の源泉徴収で課税が完了する方式でございますが、これまでの税制調査会でもみなし利益率と適正化の御議論がございまして、平成13年3月末で廃止ということになってございます。
それから、14ページでは、財形貯蓄、財形住宅貯蓄、財形年金貯蓄、それから、いわゆる老人マル優等の非課税貯蓄制度が掲げてございます。これまでもこういったものについてどう考えるかという御指摘がされております。
15ページでは、課税の繰延べの問題。満期に一括して利払いが行われるような場合に、毎期払いの商品と比べた課税のバランスの問題でございます。
それから、16ページから4ページほどは、生命保険料控除、損害保険料控除、ここに仕組みの概要と普及率がございます。普及率につきましては、かなりの水準まで来てございます。それぞれ国際比較もつけてございます。諸外国ではかなりこういったタイプの控除はもう行われなくなってきているという状況でございます。
20ページでは、生損保控除あるいは老人マル優、財形等に関連する特別措置の減収額、減税額が示してございます。
とばしまして22ページ以下では、こういった金融関連税制を支える仕組みとして法定資料の問題、あるいは挙証責任の問題等整理してございます。法定資料につきましては、アメリカ、イギリス、フランス、かなり網羅的な法定資料または資料要求権がある。それから、納税者番号の有無といったような問題もございます。また、挙証責任について見ますと、アメリカなどでは、日本が課税庁側にございますのに対して、アメリカでは納税者側にあるといったような点が見られます。
25ページでは、源泉徴収方式と納番による名寄せ方式の国際比較が出ております。利子や配当を通じまして源泉徴収がかなり行われている。アメリカ、カナダは納番による申告というようなことになっております。
それから、はしょりますが、27ページ以下に最近の新しい金融取引なりそういったものに対する税制の対応が出てございますので、簡単に項目を指摘させていただくのにとどめますが、27ページではストックオプション税制、株式のオプションですね。そういったものについての仕組み。それから、28ページ以下では、資産の証券化、流動化、あるいはSPC、特別目的会社を使いました資産の証券化の仕組み。29ページは会社型投信、証券投資法人の仕組みでございます。一定の条件のもとでいわゆる導管性ということを認めまして課税を行っているというものでございます。
30ページは、従来からの契約型の投資信託ですが、最近では私募型といったようなものも出てきております。
それから、31ページ、32ページでは、円の国際化に関連して利付国債、あるいはTB・FBに関する改正が行われておりますが、一定のブックエントリー、振替決済制度のもとでの源泉徴収の免除といったような対応が行われております。
それから、33ページは外為法の改正に伴います国外送金等に係る調書制度でございます。
34ページでは、様々な金融商品が新しいものが出てきて、複雑化、多様化しています。その中には、かなり多数に対するいわゆるレディメイドの商品以外にもオーダーメイドのものとか、いろいろなものが出てきていまして、そういう際の1つの論点として、これまでワーキング・グループ等で御指摘いただいているのは、課税の繰延べ、費用を前倒して計上するとか、人為的に損失をつくり出して損益通算をする、あるいは関連社間の取引等を使いまして、所得の帰属主体を変更する、あるいはクロスボーダー取引などによる所得源泉地の転換、あるいは会社を使って資産の譲渡を株式の譲渡に転換するとか、あるいは利子・配当キャピタルゲインに転換するといった、いろいろな租税回避的な問題、あるいは実態把握の問題についてどう考えていくか、対応していくという論点が御指摘いただいております。
35ページ以下では、そういった租税回避についての例を参考にしてございます。とばさせていただきます。
また、38ページ以下で、最近の問題としまして、ベンチャーに対する税制、その中でいわゆるベンチャー企業に投資します個人投資家、エンジェルの問題を掲げてございます。ベンチャー企業に関連するものは、税制面も含めましていろいろな施策がございますが、このエンジェルという観点から見ますと、ベンチャー企業が成功して、株式の公開益が生じた場合には、ベンチャーに対する投資家、エンジェルのいわゆる創業者利益については2分の1課税という配慮が行われています。
一方で、ベンチャー企業がうまくいかずに、投資が失敗して投資損失したときには、エンジェル税制ということで、その損失につきまして、3年間ほかの株式と繰り越して相殺してならす、リスクの高い株の世界の中での平準化が図れるようにしています。今日、中小関連国会で中小・ベンチャー法の改正が行われていまして、この対象になるベンチャー企業の範囲も拡大される法案が提出されてございます。
他方で、39ページですが、エンジェル税制の関係では、このような株の損益の中での相殺、平準化ということではなくて、給与や事業など一般所得とのベンチャー株投資損失の通算の問題が税制改正要望で出てきております。これにつきましては、現在、源泉分離、申告分離で黒と赤、任意に選択できるわけですが、申告分離課税のもとでも、益につきましては26%の分離課税ということになっている中で、一般所得との損益通算ということになりますと、最高50%までの累進課税を負担していただいている給与や事業と相殺することについての課税の問題、あるいはそういったハイリスク・ハイリターンの株式の投資損失について、そういった税制面の配慮がどの程度必要なのかという問題がございます。
それから、41ページ以下では、土地の譲渡所得関係でございますが、42ページに従来から御覧いただきましたように、土地の譲渡所得につきましては、その取得費のほかに特別控除等でかなり課税ベースが様々な配慮により狭くなっているという点を図示させていただいています。
43ページでは、土地の譲渡益課税の変遷でございますが、バブル期に色が濃くなっているところが端的に重くなった部分ですが、バブル期以前より軽減された状況になっているということでございます。
以上でございます。
〇井原市町村税課長
市町村税課長の井原でございますけれども、続きまして、住民税の金融課税の関係につきまして、所得税との相違を中心に簡潔に御説明いたしたいと思います。ただいまの資料「基小10-2」でございますけれども、その5ページをお開きいただきたいと思います。利子・配当等課税制度の概要のところでございます。
利子につきましては、住民税は一番右の欄に書いておりますけれども、源泉分離課税5%でございまして、配当につきましては、基本的に総合課税とされておりますが、1回の支払配当の金額が5万円以下のもの、この少額配当につきましては、非課税とされております。
それから、証券投資信託の収益の分配、金融類似商品、懸賞金付預貯金等の懸賞金等につきましては、所得税と同じ源泉分離課税でございますが、一番下の割引債の償還差益につきましては、非課税とされておりまして、一方、所得税につきましては源泉分離課税とされているところでございます。この非課税措置等につきましては、昨年10月のワーキング・グループの取りまとめにおきましても、地方税における課税の適正化という御指摘をいただいているところでございます。
次に、11ページを御覧いただきたいと思いますが、株式等譲渡益課税制度の概要ということで、ただいまも説明がありましたように、申告分離課税、源泉分離課税、選択できることになっておりますが、申告分離課税につきましては、住民税につきましては、26と20の差の6%。源泉分離課税につきましては、住民税は非課税ということにされておりましたが、源泉分離課税が13年3月31日をもって申告分離課税に一本化されるということで、この点については適正化が図られているところでございます。
次に、21ページを御覧いただきたいと思います。地方税の主な非課税等特別措置による減収額の内訳ということで、個人住民税につきましては、生命保険料・損害保険料控除が1,120億円、老人マル優等が230億円、その他960億円ということで、2,310億円ほどになっておりますが、その他の税目につきましても、御覧のとおりお示ししているところでございます。
最後に、43ページをお開きいただきたいと思いますが、個人の土地譲渡益課税の変遷ということでございまして、所得税と足並みをそろえて変遷をしてきているところでございます。この「住」と書いたところが住民税ということでございますが、所得税と足並みをそろえて変遷をしてきているところでございます。
以上、簡単ですけれども、御説明にかえさせていただきます。
〇小室企画課長
引き続いて、地方税関係資料「基小10-3」をお願いします。時間がないのでとばしていきますが、「基小10-3」『地方税関係資料』でございます。
目次、それから、地方税体系、概要等をとばしていただきまして、8ページのところをお願いしたいと思います。地方税収の推移ということで、特に下のほうに最近の地方財政計画額と決算額の推移とございますが、平成9年度1兆4,000億円の財源不足、10年度は3兆円不足しまして、11年度も御案内のとおり35兆3,000億円というふうに地方財政計画では見込んで、相当抑えたわけですが、なおこのまま推移しますと、7,000~8,000億円程度の税収不足になると見込まれております。
それから、1枚おめくりいただきまして、9ページに中期答申を主に拾ってまとめてございますが、2~3紹介させていただきますと、はじめの9ページの上に39年12月の答申がございます。(4)のところにありますように、「国と地方団体の行政事務の配分を明確化し、可能な限り国庫補助負担金を整理し、国と地方団体の税源配分を通じ、一般財源化の強化、独立税を重視することが適当である」と、これから始まって次のページへまいりますと、10ページの下から3分の1ほどですが、「受益と負担との対応関係を明確にすることにより住民の理解と関心を深め、ひいては地方行政の効率化にも資する」、さらには1枚おめくりいただきまして、11ページの上のほうにも「納税者が身近なところで税を納め、それがどう使われているのかを監視をしていく」、受益と負担、そういった関係が出てございます。
そして、12ページのところが一番新しいところでございますが、3年前の平成9年のが上のほう、それから、下のほうは昨年末年度答申ではございますが、分権との関係について、「歳出規模と地方税収入の乖離を縮小するという観点に立って、役割分担を踏まえつつ、中長期的に、税源配分のあり方についても検討しながら、偏在性が少なく、安定した地方税体系を構築していくことが必要」と答申をいただいております。さらに、課税自主権の拡充等について、下のほうで書かれてございます。
13ページでございますが、主な地方税の構成比ということで、右のほう、上が道府県税で、法人関係税が多ございます。下の市町村税についていうと、固定資産税、個人市町村民税が非常に大きいということがわかるところでございます。
14ページ、15ページはとばさせていただいて、16ページをお願いします。所得・消費・資産等のバランス、これは地方税についてでございますが、下のほう、63年から平成2年にいくところに、消費課税が縮まってございますが、これは消費税創設のときに、電気税、ガス税、木材引取税を廃止して、地方譲与税に切り替えたものでございます。それから、9年に至るときに経済の落込みがございますが、地方消費税が創設され、さらにはその後、恒久的な減税、地方税のほうもありますので、バランスがこのように推移してございます。
次の17ページですが、いろいろ御議論いただくときに、地域差とか税の偏在の御議論が地方税のほうはございますので、人口1人当たり税収の額というのを、全国平均を100として各都道府県別に地方税収の合計ですとか、住民税関係、法人税関係、地方消費税については清算後の数値でございますが、そういったものを整理させていただいております。
それから、もう1つの観点として18ページですが、いろいろな規模を考えて議論をしなければいけないということで、道府県、市町村、1人当たりの歳入額あるいは構成比、黒の部分が1人当たりの地方税収入でございます。大都市、中都市のあたりが一番大きいわけです。また、シェアとして見ますと、大都市よりも中都市のほうが49.5%と高くなっている。このようなところが特徴的なところでございます。
19ページは、分権の勧告を受けて昨年5月に閣議決定いたしました分権推進計画でございます。地方税のところでは、歳出純計に占める地方の割合が3分の2ですとか、租税のほうでは3分の1で、地方のほうの歳出と地方税収の乖離があると。あるいは中ほどにまいりますと、所得・消費・資産等の均衡がとれた税体系、あるいは偏在性、安定性の議論がございます。下のほうは、法定外普通税、目的税の御議論でございます。
20ページのところに図がございますが、租税90兆円の国・地方、あるいは歳出につなげての移転の関係、それから、歳出に占める地方税収入の問題でございます。
とばしますが、22ページには分権一括法の中で衆議院の議院修正、附則がつきました。あるいは参議院の附帯決議を付してございます。
とばさせていただいて、25ページをお願いします。あと1点、法人事業税の外形標準課税でございますが、地方の法人課税、住民税と事業税とございますが、法人事業税のほうは、法人の事業活動と地方の行政サービス等の幅広い受益関係に着目して事業に対して課されるわけですので、法人の事業規模をできるだけ適切にあらわすものが課税標準としてふさわしいわけですが、2の(3)にございますとおり、電気、ガス、保険業以外は法人の所得にかかるという形になっているわけです。
この点については、次の26ページにございますように、ずっと長い間御議論がございました。ただ、一番新しいところで、今年の夏にこの税調の中で、地方法人課税小委員会のほうで報告をまとめていただきました。
その内容が27ページでございます。一番上にございますように、意義として4つ、景気変動が非常にきついものですから、分権を支えるために安定的な税とする。また、サービスは安定して供給されるわけなので、その応益課税としての明確化、さらにもう1点は、欠損法人が63%にも至っているわけですが、そういったところは事業税を納めていないわけで、税負担の公平性の確保、さらには収益性の向上ですとか経営の効率化、経済構造改革の促進も期待されると。こういう意味で、2つのあり方をベースに4つの類型が示されました。さらに諸課題についても御整理いただいて、下にございますように、できるだけ早期に導入を図ることが望ましい。導入実施時期は景気の状況等を踏まえて判断するということで、ちょっと資料をとばして33ページに一番新しい大臣の国会での答弁を下のほうにつけさせていただいてございます。
以下、住民税、地方消費税、固定資産税等の資料を入れてありますが、とばさせていただきまして、46ページに、先ほど来御議論が出ておりますが、行革等の関係でございます。御案内のとおり、行革大綱というものをつくって、各地方団体、現在行革に取り組んでおります。事務事業の見直しですとか、事業の民間委託、さらには受益者負担の使用料・手数料の値上げ等々あるわけですが、一番元になります給与の関係も、そこにございますとおり、平成10年4月1日、なおラスパイレスが下がってございます。この10年4月1日以降、次のページ47ページでございますが、給与の抑制がそれぞれ県等で行われております。ベアを止める、あるいは普通昇給を止める。さらに一番下のところには、福岡の切下げ、あるいは東京都のほうでも議論が進んでいる。こういった状況にございます。
もう一方の公務員の数というのを48ページに減少状況をまとめてございます。
最後に49ページでございますが、市町村合併について、これまでいろいろ議論をしておりましたが、議論の段階ではなくて、実際に法律改正を平成7年に続いて11年、分権一括法の中でも行っております。その法律が通過したあと、直ちに自治省のほうで合併の指針を作成して、現在都道府県において、市町村合併推進要綱、この中には市町村合併の組合わせパターンも含めたものをつくるようにお願いしているところでございます。思い切った財政措置によってこれから支援しようということです。直ちに合併というのには至っておりませんが、11月1日現在で合併に向けての法定協議会が11、任意協議会が4、そのほかいろいろ合併の動き等が約700団体においてあるということで、これまでタブー視されていたものに、実際に合併についてようやく動き始めたと、こういうことを報告して私のほうからの御説明にかえます。
〇加藤会長
ありがとうございました。時間を圧縮していただいて、恐縮でありました。
主税局長から一言。
〇尾原主税局長
いま補正予算につきまして最終的な調整作業を行っておりますが、本日、税収減少額と公債発行額につきまして、概略が取りまとまりましたので、御参考までに申し上げさせていただきたいと思います。
税収は今年度1兆4,000億円程度の補正減を行わなければいけないのではないかということでございます。したがいまして、47兆1,000億円から45兆7,000億円というふうになるわけでございます。昭和62年が46兆8,000億円ぐらいでございますので、12年さかのぼる規模かと思います。
それから、公債発行額でございますが、7兆5,000億円強の追加発行となる見通しになっております。この結果、公債依存度は43%台となるわけでございます。
なお、公債発行につきましては、5年利付債の導入を含めまして、中短期債の追加を中心として対応する方向にしているということでございます。
以上、簡単に説明をさせていただきました。
〇加藤会長
ありがとうございました。
小委員会の御報告をしておきたいと思います。
いま御説明いただきました個人所得課税関係の金融課税、さらに地方税全般についての小委員会が11月16日に開かれまして、この中でもっていくつかの議論がありましたので、それを二言、三言申し上げておきたいと思います。
1つは、金融取引の問題につきましては、非常に金融が多様化してまいりましたので、その多様化していくことを通じて、よほど制度とか、あるいは執行両面を対応していかないと、租税回避が起こってしまう。こういった点に留意をしてやるべきだという御意見が出ておりました。
それから、生損保控除に対しましても、金融商品に対する課税の公平・中立の観点から、課税のあり方を見直すべきだという御意見もありました。
それから、エンジェル税制につきましては、先ほどもちょっと出ましたが、これは一般の所得との損益通算を認めるということが税の公平から見てどうかという御意見がありました。
それから、ハイリスクをハイリターンでというか、税制で配慮するということには限度があるのではないかという疑問がありました。
それから、外形標準課税につきましては、いまもありましたように、なるべく実行できるような方向で考えるべきだという御意見がありました。
それから、地方税の充実については、個人住民税により重点を置いたほうがいいということで、国と地方の税源配分の見直しを考えるべきだという御意見がありました。
さらに、地方交付税の考え方をもっと検討すべきである、明確にすべきであるという御意見がありました。課税自主権についても、どう考えていくかを明確にしてほしい、ということの御意見があったということをお伝えいたしまして、皆さま方の御意見をいただきたいと思いますが、どうぞ、河野さん。
〇河野特別委員
このテーマだけ私前回出られなかったので、2時間黙っているのはきついものだから、一言しゃべらせてもらいたい。
まず、私、地方分権委員会にいるので、ここに福井の知事の栗田さんとか諸井さん、これは委員長だから……
〇加藤会長
忘れましたが、諸井さんと栗田さんから、欠席するのでここに意見書を出してあるとなっておりますので、ぜひ御覧になっていただきたいと思います。
どうぞ。
〇河野特別委員
それは一応読みました。それから、榎本さんとか松本さんとか松浦さんとか論客がたくさんいるから、先制攻撃ではないけども、私の考えを述べて、反論でも何でも聞きたいわけだ。
まず第1に、分権委員会の議論で4年間やったのだけども、権限は委譲した、しかし税財源は来ないよというのが、これは総合的な判定なんです、いまのところ。ここまではそういう議論になっていることは間違いない。それで、地方税の充実。それには国税から地方税への財源の移譲ということを含んだ主張が全部書いてある。ここにも書いてある。諸井さんも書いている。
それで、それはそれで議論の流れとしては間違いないのですよ。同じような議論がこれから出ると思うけどね。問題は、いまたまたま局長が言われたから、なおさら痛感するのだけど、地方の税制の収入の面の拡充強化というのは、当然、議論としてあってしかるべきなのだけど、あわせて国のほうの財源の充実強化も同時に問題なんですよ。それを抜きにしていけば空論だからこんな話は、誰が言ったって。両建てを考えなければいけない時期にそろそろ来たわけだ。分権委員会の議論の流れで言うなら楽なのだけども、考えてみれば、それも考えなければいけない。
もう1つは、根本的に議論を巻き起こすのだったら、やはり景気が相当程度戻っていないと、現実の議論にならない、どう考えても。これはタイミングの話。
もう1つは、るるいままでも議論があったけども、国も地方も歳出の合理化という古い言葉だけど、それも入れないと、全部議論をまぜ返して何も前に進まない。この3点だけはどんな地方税の強化論者も僕は同じだと思っているんだ。これを確認してもらいたいんです。その上で議論をやらなければいけないと思っているんだ。
それで、僕はもうここまで来れば極めて具体的なことを申し上げたい。第1は、いま当面、我々は中間答申にものを書くわけだから、書くことは、とにかく4~5年ぐらいのレンジで考えるのかな、中期というか、もうちょっと短いのかもしれないけども、そこでやるべきことは、国も地方も現在の持っている税制をよりよくするチャンスがあるかもしれないから、とりあえずはね、地方税に関して言えば、最後の説明で、法人事業税の外形標準化という話もちょっと触れられていたけども、それももちろんあるのだけど、僕はこの前も言ったけども、住民税の均等割の話だとか固定資産税だとか、いろいろな議論はあるけれども、これはやはり原則をしっかり守らなければだめだと。さらに強化するということが絶対必要だと。つまり、現在の地方税の税のあり方について、これこそまさに強化論を自分のところでまずやるべきだと。それがないと、話を国に振ってもしようがないから。それが当面やるべき仕事であるという気がするのです。
第2は、しかし、さはさりながら、長い時間で見れば、やはり国から地方への税源移譲という言葉がえらい短絡的に言われているが、そんな簡単な話ではないのだけど、国と地方の税財源のあり方という議論は、いずれ本格的にやらなければいけない時期が来るかもしれない。そのときには地方交付税から何から全部洗い直さなければいけないですよ。それを全部含めて、それだけの覚悟を持ってこの議論をやらなければ前へ進まない。
そこで、もう1つの議論をやるのだったら、ここは加藤会長が税調でいろいろやっているけど、私の実感では、この話は地方制度審議会から税調から財政審からいくつかの重要な審議会が全部絡む話。そうすると、税金の面だけここでやっても議論にならない。そのとき誰が総理大臣になっているか知らないけども、総理大臣が本当にそれをやるという、機が熟したと考えるならば、それが主導権を持って、こういう特別の審議会をつくってやろうという議論を起こすなら、それは政治判断ですよ。だけど、いまとにかくすぐそれを、とにかく国税から地方税に税源の移管ということを、正しい議論をすべきだというのは、竹内さんはもういなくなっちゃったけども、彼女が言っているみたいに、現実的に無理な話なんだね。だから、時間を考えて、タイムテーブルを考えて、議論を整理してもらいたいんだね。それが本当の意味での地方の財源の拡充強化論ということに、そこによって初めてたどり着くんですよ。それを抜いた議論というのは現実性がないと思うのですが、いかがですか。
〇榎本委員
直接のお話だったので。いま河野さんの言われたいくつか考えるべきこととして指摘されたことは、私もそう思います。国のほうの財政を考えないで地方のことだけ考えていればいいとは思わないし、財政の累積債務でいえば、国のほうが大きいわけですね。ただ、破産制度がないから、国はまだ積み重ねていますけど、地方団体ですと、すでに財政再建団体のスケールですよね。ですから、それを放置しておいていいということにはならないと思います。
それから、地方の歳出削減努力ということも当然だし、現に相当血の出る努力をしていることも、先ほど報告があったとおりです。
それから、いつ手をつけるかというタイミングの問題。これは宮沢大蔵大臣も言われているように、いまちょっと遡上に乗せるのは、景気との関係で無理だよと。そういう条件あるいは政治的な環境というのは、それは必要だろうと思いますね。ですから、考え方としては、私はそれ自体で直接そう違わないと思います。中身の問題だと思うのですけど、御案内のように、分権一括法でかなり画期的な制度改革がなされたけれども、しかし、国から地方へのお金の移動を通じた国の側の誘導と支配、地方の側のそれに対する依存の関係というのは、そのまま残ってしまったわけですね。これはやはり問題があるわけで、したがって、先ほど来資料説明にありましたように、この間の地方分権推進計画でも、あるいは附帯決議の中でも、これらの問題について、抜本的な検討をすべきだということが言われていますし、当税調自身も過去にかなりそうした抜本的な再配分を含む検討をすべきだということはあるわけですね。
そういうことが1つと、もう1つ、地域の現場から見ますと、やはり少子・高齢化にかかわって、社会保障制度の改革が否応なしに迫られてくる。社会保障というのは、御案内のように、負担とサービスの関係というのは、否応なしに問われるわけで、ないものねだりで社会保障が充実しませんよと。これはそういう点でいくと、住民に見えるところに選択肢があったほうがいい。そういう観点からいっても、この社会保障改革と税財源の分権的な改革というものは、セットで実行しないと、私は進まないと思う。
そういう点からいうと、どの時点でというのはあるにせよ、例えば具体的には、所得税の10%の比例税率部分を住民税に移す。あるいは消費税の地方分といいますか、地方消費税部分を1%を2%にする。その分は国から地方へ行っているお金を減らす。そういう点でいえば、国の出るほうを減らしてということですから、国自身にその結果として財政負担がいくわけではないですね。つまり、お金の使い方の地方の側の自主性を高めるだけの話ですから、そういう点で私はきちんとやるべきだと。
2つ目に、地方財政危機の問題とかかわって、いま説明がありましたとおり、年度末では176兆円、これはもっと増えるかもしれないいまの趨勢ですね。極めて深刻な事態であります。当然ながら、この数年来、歳出削減の大変な努力があって、私ども自治労という自治体の労働組合からすれば、ちょっと耐えがたいほどの、つまり本来ならば制度が保障したことまでも切り込まれた。つまり公務員の賃金決定の原則さえ侵した形でこの間賃金の削減などもなされている。こういう状況にあるわけです。
そういう点で、まだまだ歳出についての見直し、検討は必要だと思いますが、いまこれ以上やろうとしたときに、例えば必置規制などによって、国が定数基準を定めて、それは否応なしに地方の側は埋めなければならないというものもかなりたくさんあります。これは制度のほうの問題ですが、補助金を主たる財源とした事業というのも多々ある。こういったものを、つまり歳入の側の自主性を高めていかないと、歳出の自主性が高まらない。歳入の自主性がないところで歳出をこれ以上カットしろと言われても、これは難しいわけですね、否応なしに。
そういう点からいっても、やはり財政危機だからこそ、むしろ国・地方の税財源の再配分について、できるだけ早く抜本的な検討を開始すべきだ。それは決して国のほうの、つまり出るほうと入りをセットにしてやるわけですから、国のほうの取り分を減らせということとは、僕は違うのではないかと考えています。
〇松尾委員
いま栗田さんと諸井さんの御意見を拝見したのですけれども、地方も苦しいでしょうけど、国も非常に厳しいわけですね。地方以上に国の財政が厳しい。そういう状況からしますと、単に地方税だけでなくて、国税、地方税の双方を充実して、税の機能を回復するということが一番大事な視点だろうと思うわけであります。
財政構造改革に際しては、国と地方の役割分担、地方の行政サービスのあり方、その財源については国民的な議論をしなければいけないと私は思うわけです。そのタイミングはいまの時点はもちろん難しいと思いますけど。
それと、その際、地方交付税交付金と国庫補助金の見直しですね。それと、地方の効率的な行政の推進、そういった地方行財政の総合的な見直しを前提とする必要があると思うわけです。それで、国と地方の役割分担を変える場合は、歳出、歳入とも変えなければいけないということですね。国から財源を地方に移転するなら、同額は地方交付税からカットするのは当然であると思うわけです。
それと、いま地方消費税の税率の引上げの御意見があったのですけども、この地方消費税の都道府県、市区町村への配分方式を見ますと、一種の交付税交付金ですね。ですから、これを増やしまして地方分権云々というのは、ちょっとおかしいのではないのかと思います。地方分権推進の観点から課税自主権の尊重ということを言われるわけですが、そういう要請から最もかけ離れたのがこの地方消費税の税目ではないかと思うわけです。
〇松本(和)委員
いま地方の合理化問題等、あるいは財源問題でお話があったわけでございますが、地方のほうも本当に合理化にいま一生懸命取り組んでおります。また、財源問題で先ほど言おうとしていたのですが、地方交付税関係、これは国税の、5税あるのですが、32%ということになっているわけですね。たばこ税だけが25%だったと思います。それで、地方公共団体の財源が不均衡で、その調整役が地方交付税であるわけでございます。そういうことで、国民に一定の行政サービスを提供する。そういう立場で調整的に交付税があるわけでございますので、この点について、地方分権等が出てきておりますが、附則にも財源関係は十分に今後検討していただくということでございます。それと同時に、この地方交付税関係には、やはり32%、これを確保していただきたいと思います。
〇松浦委員
河野さんからいまお話がありましたが、河野さんのおっしゃるとおりだと思うのですけども、我々地方といたしましては、介護保険の問題なんかを見れば一番よくわかるわけですけれども、国の方針に従って我々地方団体は法律にのっとって運用していくわけですけれども、介護保険のように一方的に我々に何の相談もなく介護保険に移行して、それで今度はまた、我々が準備が不足というような形、高崎市なんかはそんなことないわけですけれども、準備が不足だというような形でもって、半年先送りだとか、半年後はどうなるかわかりませんけど、そういうようなこと。これまた一方的に国で決めているわけでございまして、全く我々地方団体としては遺憾の極みだというふうに思っています。
そういうことで、やはりそれには地方が実力といいますか、税源をもっと持っていないと、介護保険と同じようなことが私は起きるのではないかと思います。そうした意味で、いま非課税の問題等がございました。これは5ページの問題ですけれども。それから、12ページにも、先ほど説明の中にもございましたように、地方税における課税の適正化、そして課税方法が今後どのようにそうした検討がしていかれるのかというような問題とか、地方税全体、また地方税の自立確保、そうした問題につきましても、今後ぜひ私どもはもっともっと頑張っていかなければいけないと思っています。
我々高崎市の例をとりますと、大体税収は42%入っておりますけれども、その42%の中の地方交付税はどのくらいかというと、私どもはたったの2%でございます。我々20万人以上の街で自立できるような税収がなければ、やはり何事もできないのではないかというふうに私どもは思います。そうした意味で、地方税源の確保というのは、私はやはり諸井さんや栗田さんがおっしゃっているような、もう少し地方の税源を確保させていただきたい。そういうことを申し上げたい。
それと、いろいろと固定資産税の問題等もあるわけでございますけれども、いま何か不動産業界では、固定資産税をもっと減らせというような話、それから、家屋の固定資産税も大幅減税をしているようでございますけれども、この点につきましても、我々市町村にとりましては、固定資産税というのは欠くことのできない税の大宗を成すものでございますので、その点につきましても、この減税は絶対にしないでいただきたいと思っております。
〇岩瀬特別委員
金融課税について御説明はいろいろございましたけども、意見が出ていないので、私のほうから一言申し上げさせていただきたいと思うのですが、今年の3月末で有取税と取引所税が廃止されたというのが、日本の証券市場の活性化あるいは国際競争力との点で大変意義があったということで、大変評価されることだと思うのです。ところが、株式等譲渡益課税については、いろいろ問題を抱えている。これはお話もございましたように、平成13年3月末での源泉分離課税廃止予定を控えまして、申告分離一本化へのいま移行の過程にあるわけでございますが、いろいろ問題がある。
1つ申し上げると、現行の金融商品に係る税制全体の課税方式の中で、預貯金、公社債の利子所得並びに投資信託収益分配金、この税率は20%の源泉分離課税になっている。これは国税15%の地方税5%。配当所得は中心は源泉徴収で、申告不要の場合には国税の20%。これに対しまして、株式等譲渡益のみが平成13年4月以降は申告分離課税で、かつ、税率が国税20%、地方税6%の26%と、そういう税率になっているということを考えますと、こういう状況からは、税制における金融商品間の公平性、中立性の面で大変問題があると私どもは思っています。
それから、平成元年3月までは、株式等譲渡益課税というのは原則非課税でございました。そういうことと、それから、平成元年4月以降今日に至るまで、源泉分離課税の選択が可能であったということで、多くの個人投資者というのは、株式の売買取引におきまして、記帳を行う必要がないで来ている。ところがこの13年4月からは、申告分離課税に一本化されるということを勘案いたしますと、記帳慣行のない個人投資者に株式等の取得価額の証明を強いることは、申告手続とか徴税面で無用の混乱を引き起こす可能性が大変大きいということで、納税者の立場に立ちました課税の仕組みをいろいろ講ずる必要があるのではないか。この見地から、投資者が買付け時から証券会社に保護預かり等がなされていて、当該証券会社で譲渡益が把握できる場合には、譲渡益に対して当該証券会社が源泉徴収するということで、申告を不要とする制度が創設できないものだろうか、考えていただけないものだろうか、ということを1つ申し上げたい。
それから、取得価額が不明なために、株式等譲渡益の算出がどうしても困難な場合、現行の税務手続からいたしますと、譲渡代金の95%が譲渡益とみなされるということから、現在、個人投資者の間に少なからぬ動揺が生じているわけでございます。これに対する何らかの合理的な救済策を考える必要があるのではないかということで、例えば、株式等譲渡益が全面課税に移行する直前月、すなわち平成元年3月から遡及いたしまして一定期間の当該株式の平均価額をもって取得価額とみなすといったような、何か簡便な措置が講ぜられないものだろうかということを申し上げておきたい。
それから、時間を取って大変恐縮でございますけども、欧米諸国においては、いろいろ繰越損失の繰越控除制度が認められておりますし、例えばフランスの場合なんかですと、5年間の損失繰越控除が認められているというようなことで、この辺は大いに参考にしていただきたい。
それから、中期的な観点から申し上げますと、会長も何回もお触れになっておりますが、株式に限らず金融商品から得られます所得への課税は、できるだけこれから横断的、包括的な視点で検討していただきたい。これからの金融証券市場におきまして、これまでの所得分類ではとても想定できないようなハイブリッド、複合的な商品とか、デリバティブ、金融派生商品が登場してくるということでございまして、こういった変化を踏まえて、個別対応していくというのではなくて、いわゆる金融所得として統一的に課税するといった方向を目指す必要があるのではなかろうかということで、要は新たな金融商品の誕生に対しまして、税制がネックにならないよう御検討いただきたい。これが従来の間接金融型経済から直接金融、市場型経済へ移行を展望する我が国の金融ビッグバンの1つのあるべき姿ではないのかなということを、ちょっと申し上げたいと思います。
〇吉田特別委員
超過しておりますので、ごくかいつまんで。
今日は地方自治体の関係の方が大勢おられますので、その方々にちょっと伺っておきたいなと。それは、固定資産税の問題でございますが、確かに安定的な主要財源である。これは私どもそのとおりだと思うし、その確保を考えられるのも当然だろうと思うのです。ただ、来年評価替えの年に当たるのですけれども、都市部の方は、地方の農村地帯と言っては失礼ですけれども、地価が下落しながら負担がそれほど下がらないというのはどうであろうかと、これは本当に素朴なことであって、しかし、その素朴な意見はやはり違和感として残るんですね。
そこで、私は都市部の問題として聞いていただきたいのだけれども、1坪の単価が都市部と地方はものすごい違う。したがって、この負担は均衡化を図れと言うけれども、その必要があるのだろうかと。フローから払っていかなければいけませんので、ストックから払うわけではないから。所得格差というのは、いまの地価の格差ほど大きくない。つまり、言いかえれば、所得格差よりも資産格差のほうが大きいので、都市部の方は負担感というものが大変大きく、しかもいまのような状況の中で下がらないというのはどういうわけだろうと、こういう感触が残るんですね。
そういうことから見ると、これは両方絡めてうまく考えていかなければならぬ問題だと思うのですけれども、各自治体によって財政状況も違うのだろうと思いますので、したがって、ざっくばらんに言いますと、税率などは課税自主権で各自治体の中でお決めになるようにしたらどうなのだろうか。これを一律に標準税率か何かしらんが、束縛していく、均衡を図るという、こういう考え方は、地方分権から見ても、どうもひとつ納得しがたいものがあるのではないかと。やはり住民の理解と協力がなければ地方自治体は成り立っていかないと思うんですね。そういう意味合いから見ると、固定資産税の課税のあり方、これを私は考え直していくべきではないかなと、こう思うのですけれども、この辺ひとつ関係の皆さんからお聞かせいただきたい。
〇松本(和)委員
固定資産関係は町村というのは大きな財源、我々の町は50%近くですね。評価替えですが、毎年臨時とかいろいろテコ入れなさったわけですが、我々のところの固定資産というのは、ほとんど土地のあれは横ばいなんです。そういうことで、毎年毎年臨時とか何かで是正されるのは、我々はちょっとこれは困ったなという感じさえ持っております。
〇吉田特別委員
そのとき、私は裕福な市町村もおありだと思うんですね。固定資産税以外の税収が上がるので。そういうことから見ると、まさしく課税自主権で一律均衡方式というのはもう考え直していったらどうかと、こういうことを申し上げて、それでその財政状況の中で住民に理解を得ていくような努力を税制上していくべきではないか。
〇松本(和)委員
都会が下落して、我々は横ばいなんですね。それだから、余り調整ばかり出されては困るという考え方がありますので。
〇加藤会長
また検討いたします。
〇笹森委員
すみません、時間が押していますので、簡単にやります。
今日、国会の中はめちゃめちゃになりまして、介護保険、年金法案、政府案どおりでもって通すという日程を決めました。それで与党3党、野党3党、全部回ってきたのですが、考え方は全く同じ。先ほどある委員が言われましたけど、少子・高齢化に向かう負担をする分母の部分が少なくなる。助けてもらう分子の部分が極めて多くなる。その中で幹の部分は年金制度、そして枝葉の部分で介護と保険制度、これをどうやるか。そこに税体系をどういうふうに組み合わせるかという総合的なものの見方の中で全部を解決するべきだと。これはどこの政党も言うんですね。ところが、各論をやっていることは全然違う。だから、せめてこの中は、こういうふうにこれだけ全部出ているから、総体的にどういう負担と給付のバランス、それから、税方式なのか、保険法式なのか、このバランスをどうとるか。このことをぜひ抜本的にやって、政府に対して直させるようにやってほしい。
あとは箇条的に申し上げます。
消費税の関係ですが、福祉の充実のためというふうに導入のとき性格づけしたはずです。97年のときもそのことがあるからということで、ほとんどの人が税率アップを賛成したんですね。その意味からいうと、福祉需要を賄うための貴重な財源だというこの消費税の位置づけは守っていくべきだと思います。仮にも法人税や所得税のたらずまいの部分を補うということでの税率アップに使うようなことがあってはならない。
もう1つ、益税の問題なのですが、結論だけ申しますと、インボイスの方式が私はいいと思っております。
それから、拠出型年金の関係ですけど、いわゆる 401Kの問題、これは税制の優遇措置と生損保の控除の問題で申し上げたいと思うのですが、我々の立場からすると、401Kは極めて問題が大きい。したがって、老後の所得保障への選択肢の拡大をするということになれば、財形制度の拡大とか生損保の控除の拡大で対応すべきではないか。労働者の運用リスクに負わせるというのは、余りにも負担が大きいと思います。
それから、法人事業税への外形標準課税の導入の問題なのですが、赤字法人への課税からの検討は必要だと思っています。しかし、どのような類型がよいのかというのは、正直申し上げて判断できかねます。これは1つ支障としては、導入した場合の税負担、これがどういう数値になるのかというのが、もし示してあるとすれば私の不勉強なんですが、示していただきたい。
それから、最後は連結納税と会社の分割税制の問題ですが、これは極めて働く側にとっては影響が大きくて、現実的にはいま個別の労使紛争の相談や訴訟が急増している。1996年、相談件数が15万件、98年度が19万件というふうに4万件も増えている。訴訟の場合には、96年が1,500件、いまの場合には1,800件、これも急増している。という状況の中で、生活を混乱させるような企業組織の変更にあえてメリットを与えるような税制が、本当に社会全体から見ていいのかどうか。この観点からの論議をぜひ慎重にお願いしたいと思います。
〇水野(忠)委員
時間が大幅に超過して恐縮なのですが、先ほど株式の譲渡益の課税のお話を岩瀬委員がなさったので、私もそのとき金融課税小委員会でいわゆる有価証券取引税を廃止する、そのかわりに申告分離課税一本化へということを中間報告書を出したわけですが、先ほど岩瀬委員、これは証券業協会の御意見だと思うのですけども、かなりいままでの税制調査会の答申の流れとは違った御意見を言われたので、ちょっと是正させていただきたいのですが、1つには、これは有価証券の譲渡益、非課税から先行きは総合課税へ向かってと、やはりそういう目標があって、その中での分離課税であるという、こういう位置づけは、最近では分離課税がいいということを言われますけども、私としてはやはり総合課税へ向かっての分離課税ではないかということで、これはこういう改正は行うべきではないかと思っているわけです。
それから、申告ですけれども、いわゆる所得税について申告をするというのは、これはいわゆる所得の把握をするというのは、どの所得分類の人にも行われていることですので、いままで株式について見逃されていただけの問題でありますので、特に申告するということは悪いことではなくて、むしろ当然のことではないかということです。
それから、3番目に中立性の問題を言われたのですが、これが非常に我が国の税制を混乱させているわけですけれども、我が国の所得税は分類所得税をとっておりますために、どうしても所得ごとに負担が違うことが出てくるわけです。これが合衆国のように最終的に個人の総合課税をして、個人の累進課税で適用するということになれば、こういう問題は起きないと思うわけですが、先行きそういうこともありまして、やはり総合課税ということになると思うわけですが、当面、やはりそれぞれの所得の性質に応じた負担を求めるというのが適当であるわけですね。ですから、これを利子所得というものに合わせて、いわゆる利子並み課税ということが言われてしまうわけですが、どうも我が国の金融課税の議論を聞きますと、利子所得を中心として、その20%に合わせることが、何かいかにも中立性であるような印象を持ってしまうわけですが、これは本来違うわけで、やはり個人の所得を一本化して、それにその人の所得階層に合った税率を適用する。これが本来の中立性のあり方でありますので、これは従来から税制調査会の答申にも繰り返し言われてきたことであると思いますので、このことだけは話しておきたいと思います。
〇加藤会長
ありがとうございました。
まだ御意見があるかと思うのですけれども、この次の総会が11月26日に行われます。このときは基本問題小委員会と合同で開催いたしますので、前半の1時間半は中期答申に向けての個人所得課税の見直しの検討をやりたいと思っています。したがって、いまの問題も含めまして課税方式とか納税者番号制度も含めまして議論を行うことにしたいと考えています。そして、後半の1時間半で今度は来年度答申に向けた立上げの審議を行うという形で進めたいと思っておりますので、まだ御議論のある方は、そのときにお出しをいただきたいと思います。したがって、この次も総会は3時間ぐらいを考えておりますので、大変長丁場でございますが、よろしくお願いいたします。
また、総会は30日に行いますが、30日は午前中でございますが、さらに12月3日、7日、10日と開催することにしております。このように日程がまだ固まっていないところもございますけれども、火曜日と金曜日以外もやらなければいけないという状況になってくるかと思いますので、大変日程が過密になりますが、ぜひ御協力をいただきたいと思います。
本日は大変お忙しいところありがとうございました。
〔閉会〕
(注)
本議事録は毎回の総会後、速やかな公表に努め、限られた時間内にとりまとめるため速記録から、大蔵省主税局及び自治省税務局の文責において作成した資料です。
内容には正確を期していますが、税制調査会議事規則に基づき、事後の修正の可能性があることをご承知置きください。