第35回総会 議事録

平成11年7月9日開催

加藤会長

それでは、ただいまから税制調査会の第35回総会を開催いたします。

今日は大きく分けまして、1つは事務局から報告事項が、税収の決算とか、あるいは産業活力再生特別措置法の問題とか、説明をいたします。

さらに、昨年の5月から精力的に御審議をいただきました地方法人課税小委員会の報告がまとまったようでございますので、石小委員長より報告をしていただこうと思います。

まず、本日の議題に入る前に、事務局のほうで人事異動がありましたので、尾原主税局長から御紹介をいたします。

尾原主税局長

昨日付で大蔵省の人事異動がございました。主税局の異動状況を御紹介させていただきたいと思います。

伏見泰治前総務課長が退官しまして、加藤治彦前税制一課長が総務課長になりました。

清水治前税制二課長が税制一課長になりました。今日国会がございまして、ちょっと欠席しております。

それから、真砂靖前税制三課長が税制二課長になりました。

田中一穂前調査課長が税制三課長になりました。

池田篤彦前広報担当の企画官が調査課長になりました。

それから、谷口和繁前国際租税課長が国税庁の徴収課長に転出いたしまして、そのあとの新国際租税課長に杉江潤前税制一課企画官がなりました。

それから、まだ着任しておりませんが、藤田利彦前大阪国税局査察部長が税制第一課の企画官になりました。

さらに、渡辺智之前調査課企画官が一橋大学助教授に転出いたします。後任に上田衛門前大阪国税局課税第一部長がなることになっております。

以上でございます。引き続きよろしくお願いいたします。

なお、審議官の福田、審議官の木村、それに私、引き続き務めさせていただきますので、これまで同様よろしくお願い申し上げます。

加藤会長

どうぞよろしくお願いいたします。

それでは、本日の議題に入りたいと思います。

まず、事務局から3点ほど報告事項がありますので、御質疑はその報告のあとでお願いしたいと思っております。

初めに、平成10年度の税収決算が発表されているようでございますから、その概要について大蔵省から、また、平成10年度地方税収の決算見込額(速報値)がまとまったようでございますので、その概要を自治省から報告をさせていただこうと思います。加藤総務課長、武田府県税課長、よろしくお願いいたします。

加藤総務課長

それでは、お手許に『平成10年度の税収決算額(概数)について』「基小4-1」というマークのついた資料がございますので、御参照いただきたいと思います。

税収の歳入見積もりにつきましては、補正後予算額でこの上段の真ん中にございます50兆1,650億円を見込んでおりましたが、概数の決算額といたしましては、49兆4,179億円ということで、約7,500億円見積額よりも減収となりました。税収総額50兆円を下回る結果となったわけでございますが、これは昭和62年度以来11年ぶりという低い数字にとどまったものでございます。

それでは、7,500億円の減収の内訳ということで、2ページ目をちょっとお開きいただきたいと思います。源泉所得税につきましては概ね見込みどおりでございましたが、申告所得税がやはり経済情勢等の観点で不調なために、約2,000億円見込みを下回っております。

それから、同じく法人税も見込みを約3,000億円下回りました。これは特に不良債権処理の関係で、特別損失を計上した企業がかなり多く出たということが主な要因になっております。

それから、相続税につきましては、地価の低調な状況を反映して約1,500億円の減。

消費税も1,400億円見込みより下回っておりますが、母体が10兆円を超えておりますので、それほど大きな誤差というものではございません。

あと、最後の印紙収入が見込みを500億円ほど上回っておりますが、これは昨今マンションとか住宅等で、若干登記が動き出したということが見込みを上回った要因ではないかと考えております。

あと、参考にいくつか資料がついておりますが、最後の5ページを見ていただきたいと思います。いまの税収も含めまして、平成10年度の決算概要でございます。先ほど説明しましたように、歳入面で税収は約7,500億円の減でございましたが、いわゆる税外収入、これは日本銀行の納付金の増が中心でございますが、これが見込みを上回ったため、歳入面でも若干のプラス、778億円のプラス。それから、歳出面で不用等で8,700億円の節減ができましたので、最終的には9,500億円の剰余金が出ました。したがいまして、今般、補正予算が提出されましたが、こういった資金を活用するということで、赤字公債の発行等は行われずに済んでいるという状況でございます。

以上でございます。

武田府県税課長

続きまして、地方税関係の決算見込みにつきまして御説明申し上げます。お手許に今日付の資料といたしまして、「総35-1」という2枚紙があるかと思います。それを御覧いただきたいと思います。

この「総35-1」の資料の上のほうに区分がございますが、一番左の平成10年度地方財政計画額A欄というものが、平成10年度の当初見込んだ税収でございます。都道府県の税につきましては、17兆4,454億円を見込んでおりました。これに対してその右のB欄、決算見込額の速報値でございますが、これにつきまして15兆円余ということで、15兆906億円という見込みを立ててございます。差し引きいたしました地財計画と決算見込みとの差のB-Aというところを見ていただきますと、2兆3,548億円のマイナスという見込みでございます。

税目別で御覧いただきますと、上のほうの道府県民税、これは個人と法人それぞれ三角が立ってございます。個人の住民税関係につきましては、特別減税による影響がございました。また、法人関係税につきましては、景気の動向の影響を受けているということで、かなり落ち込んでいるということでございます。特に事業税のうちの法人分につきましては、1兆円を超えるマイナスということでございます。

その他、地方消費税、不動産取得税、あるいは自動車取得税、軽油引取税等々、景気の影響等ございまして、マイナスが立っているということでございます。

それから、市町村税のこれも速報値の決算見込みでございますが、地方財政計画額A欄に対しまして、B欄がやはりマイナスということでございます。B-Aで御覧いただきますと、市町村税全体で7,272億円のマイナスとなる決算見込みでございます。

主なものは市町村民税のところでございますが、個人、法人でそれぞれ3,000億円余のマイナスが立ってございます。特別減税の影響あるいは景気の影響等が大きなものということでございます。

下のほうの表で見ていただきますと、この地方税収と地方財政計画額との決算額の推移ということで、元年以降の推移をつけてございます。今回、平成10年度の決算見込みということでございますが、下から2つ目の欄でございます。県分と市町村分を合わせました地方財政計画額A欄38兆4,752億円に対しまして、米印をつけておるところでございますが、B欄の決算見込額35兆3,932億円ということで、トータルいたしました右のB-A、これが3兆820億円の税収不足という現時点での決算見込みの速報値となったものでございます。これは、この平成元年以降のB-A欄を御覧いただきますとわかりますように、これまでで最大の税収不足ということでございまして、平成5年に1兆5,000億円余のマイナスがございましたが、それの倍を超える大きなマイナスが出たという状況がこれで御覧いただけるかと思います。

なお、この平成10年度の決算額は、現時点における速報値ということで、今後、精査の結果、異動を生ずることがございますので、御承知おきいただきたいと思います。

次に、2枚目を御覧いただきたいと思いますが、10年度の当初の計画額、次に年度途中の景気対策による減税後の見込額、そして、いま御説明申し上げました10年度の決算見込額というものを並べました。一番右が平成11年度の地方財政計画額を棒グラフで示したものでございます。最近の特に法人関係税、事業税あるいは法人の住民税ということで、この法人関係税の落込みが税収全体に大きく影響しているという状況がここで現れているかと思います。

地方税収関係は以上でございます。

加藤会長

ありがとうございました。

次に、第2の報告でございますが、産業活力再生特別措置法案、これは仮称でございますが、これに関する関連の税制改正の検討状況について、事務局から簡単に説明をしてもらおうと思います。

なお、御参考までに、『産業活力再生特別措置法案(仮称)の骨子』もお手許にお配りしてあります。

清水税制第一課長、武田府県税課長、よろしくお願いいたします。

加藤総務課長

ちょっと清水一課長が国会で遅れておりますので、私から代わって御説明させていただきます。

資料「総35-2」『産業活力再生特別措置法(仮称)に係る税制上の措置について』という1枚紙と、それから、資料のマークがついておりませんが、いま会長から御紹介がありました『産業活力再生特別措置法案(仮称)の骨子』という2枚を御参照いただきたいと思います。

まず、法案の骨子のほうをちょっと見ていただきたいと思いますが、これはいま通産省のほうで法案化を進めておるこの法律の骨子でございます。基本理念は省略しますが、具体的に大きく分けて3つの措置からなっておりまして、第1が企業の事業再構築へ向けた取組支援ということで、このかぎでくくってあります『事業再構築とは、自らの得意分野の強化及び生産性の低い分野の譲渡・廃棄等を通じた「事業構造の変更」』。実際にいろいろな種類の事業をやっている、その事業の種類ごとのウエイトが変わってくる。これが基本的に事業構造の変更でございます。それから、新しい分野への進出と、新しい経営方式の導入という、これが一種の「事業革新」。この2つのものを事業再構築ということで使いますが、いずれにしても、事業再構築計画というのを主務大臣が認定して、その認定の基準に合致したものがいろいろな支援の措置を受けることができる。ということで、ここに商法特例とか債務の株式化、ストックオプション付与の対象及び上限拡大とか、金融上の措置、税制上の措置とあります。ここの中の税制上の措置ということで、今回、政府及び与党の中でいろいろ調整いたしました。別紙の1枚がその内容でございます。あと、第2、第3は直接、税制とは関係ございませんので、省略をさせていただきまして、「総35-2」を見ていただきたいと思います。

先ほど申し上げましたように、事業再構築ということで、大臣の認定を受けた者がいくつかのこういう特例措置を適用になるわけですが、具体的には左のほうに6つの丸がございます。つまり事業再構築にもいろいろな類型があるわけで、その類型ごとにどういう税の問題があるか、それから、どういう税の特例が適用になるのかということが変わってまいりますので、こういう区分に応じて措置が講じられておるわけでございます。

最初に、新分野への進出、新しい事業への進出をするということで、設備投資を伴います場合には、右側に書いてございますように、いわゆる特別償却、特に中小企業については、特別な配慮もございますし、それから、事業構造変更を伴う場合には、深堀りをする。こういう形で特別償却を認める。

それから、得意分野へ特化する、不得意分野を整理するというようなことで、営業を譲渡して別の分野を譲り受けるというような場合には、いわゆる買換え特例――譲渡をすると、本来ですとそこに含み譲渡益があれば課税が発生するわけですが、それを将来へ繰延べを認める。80%分は繰延べを認めるということでございます。一定の要件に該当すれば、9割まで認められます。それから、あと譲渡等で登録、登記が必要な場合は、登録免許税の一部軽減。それから、地方税のほうもあとで御説明がありますが、一部措置がございます。

それから、3つ目の丸が共同出資子会社の設立ということでございます。これは昨今分社化ということで、不採算部門を子会社化して経営の効率化を図るということをよく言われますが、従来から100%子会社、それに準ずる子会社については、現物出資をした場合に、譲渡益の繰延べをしております。しかし、今回この措置は、複数の者が同じ事業を共同で集約するというような場合には、共同出資子会社ということで、出資比率が例えば25%以上であれば、100%子会社、それに準ずる子会社と同様に譲渡益の繰延べを認めて、その子会社による経営の合理化をしやすくする。それから、それに伴う登録免許税も同様に軽減をしております。

あと、合併は、もともと合併登記の場合の登録免許税は、ここに書いてありますように、本則も低いのですが、さらにこの事業構造再構築ということで、この法律の認定を受ければ、さらに軽減が行われます。

それから、債務の株式化、これもいわゆるデッド・エクイティ・スワップということで、貸付金を資本に振り替えていくというわけで、当然、資本の増加の登記の問題になりますので、それについても軽減を図ると。

最後に、大規模な設備廃棄、これが非常に大きな赤字が出た場合に、本則であります5年繰越しではさらに赤字が残るということも十分予想されますので、それを7年まで延長することによって、一定の支援を行う。

一方、前年度黒字の企業につきましては、翌年の赤字が出た場合に、その赤字に応じて前年の法人税を繰戻し還付するという制度があるわけですが、現在、これは一般的に停止しておりますが、この計画の認定を受けた場合には、この1年間の繰戻しの適用を認める。ただし、7年の繰越しを選ぶのか、1年の繰戻しを選ぶのか、これは選択適用ということで措置がなされることになります。

以上、いずれも平成13年3月31日までの時限の措置ということで、早期に事業再構築の努力を行う企業を側面から支援しようということでございます。

(注2)はストック・オプションの特例の適用拡大ですが、これは制度が改正されますと、自動的にストック・オプション税制も適用になりますので、念のために書かせていただいております。

以上が現段階で政府与党のほうで調整して、今回の産業活力再生特別措置法に係る税制措置として今国会に提出する租特法案に盛り込む内容でございます。

以上でございます。

武田府県税課長

次に、地方税に関しましても同じペーパーで御覧いただきますと、左のほうの上から2つ目の丸でございますが、営業の譲渡に係るところの一番下に、不動産取得税の軽減というのがございます。これは、今回の法律のスキームに基づきまして、事業構造変更及び事業革新を行う旨の計画の認定を受けた事業者から営業の譲渡を受けた者が、その譲渡に係る一定の不動産を取得した場合において、その不動産取得税の6分の1を軽減する特例を創設するということでございます。これにつきましては、(注1)にございますように、平成13年3月31日までということで、この期限までの間の認定に係る取得について適用をするという予定でございます。

なお、地方税独自の対応はこの不動産取得税ということでございますが、それ以外に、いまお話がありました国税の中で、法人税あるいは所得税に係る措置が講じられました場合に、それに伴いまして、地方税におきましてもその所得計算の例ということで、同内容の効果が影響を受けるというものがございますので、その場合にも同じような影響が出てくるということを、あわせて御報告申し上げます。

地方税関係は以上でございます。

加藤会長

ありがとうございました。

第3番目の報告は、前回の総会で河野委員から要求のありました資料「総35-3」「総35-4」がお手許にお配りしてありますので、これについて池田調査課長、武田府県税課長より簡単に説明してもらいたいと思います。

池田調査課長

それでは、前回、河野委員から御請求のございました税収の構成、あるいは所得・消費・資産の構成の推移について、わかりやすい資料をということでございました。2、3調製いたしましたので、御紹介したいと思います。

「総35-3」の資料でございます。『税収の構成等について』というタイトルがついております。最初の1ページ目は、まず一般会計におきます歳出と歳入についての大きなイメージを持っていただこうと思って作った資料でございます。右側に3本縦に並んでいるところが平成11年度予算をグラフにしたものでございます。歳出総額、ちょっと記述がございませんが、総額で81.9兆円になっております。それに対しまして歳入予算は税収ベースで47.1兆円。この差額のほとんどを公債によって賄っている。非常に大きな割合が公債になっているということは御承知のとおりでございますが、この大きなアンバランスが歳出入の間にあるというだけではなくて、もう1つ考えておくべきことは、税収の中でも、歳出サイドでの使い道を特定される、いわゆる特定財源の部分、あるいはその他使途がほぼ決められてしまう部分というのが、かなりのウエイトを占めているということでございます。

11年度予算で見ます47兆円の歳入のうち、もちろん一番大きいのは一番下にございます消費税10.4兆円、所得税15.7兆円、法人税10.4兆円でございます。そして、その一番上に特定財源ということで3.3兆円というのがございます。これはいまに始まった話ではない、ずっと昔からある制度ではございますが、道路特定財源をはじめエネルギー関係の特別会計に、一般会計に一旦入るけれども、直ちに歳出をして支出されるもの、これが3.3兆円ございます。

それから、もう1つ国の財布という意味で大きいのは、消費、所得、法人、酒その他の税から一定の割合を地方の一般財源として交付するもの、これが地方交付税でございますけれども、13.5兆円になっております。

そして、今年11年度の予算から始まりましたことでございますけれども、いわゆる消費税の福祉目的化ということでございます。消費税は、一番下にございますように、地方消費税を除いた国税としての4%部分の歳入として10.4兆円を見込んでおりますが、このうち先ほど申しました地方交付税へ29.5%が回ります。それを除きましたいわゆる国分といいますものが7.3兆円でございます。この7.3兆円の使途を福祉目的化、老人のための福祉関係予算に使う。すなわち基礎年金の国庫負担分、老人医療費、介護保険ということでございます。7.3兆円はこの3つの歳出、現在11年度で8.8兆円になっているものに充てられるということでございます。8.8兆円に比べて1.5兆円ほど不足はしておりますが、ここに優先的に充てなければならない。全額充てなければならないということでございます。

結果、47兆円のうちからも半分を超える歳入につきまして、使途が最初から特定されるというシステムになっておりまして、実は特定財源的なものを除いた部分というのは、国が自由に歳出に配分できる、自由に歳出先を選べるというものは、23兆円にとどまるということでございます。

片や先ほど歳出サイドの81.9兆円の中から、特定財源見合いの歳出その他地方交付税等を除いて、23兆円で賄わなければならない歳出というのが、11年度予算では54兆円に上っておりまして、この54兆円と23兆円の落差が実は公債発行額の31兆円になっているというのが現在の歳出と歳入の間の大きなアンバランス、その中でも特に特定的な歳出、歳入を除いてしまうと、こういう姿になっているというものでございます。

ちなみに、63年のほう、左側をちょっと御覧いただきたいと思います。簡単に申し上げます。同じような計算をしてみますと、当時の歳出61.5兆円のうちから特定的な歳出・歳入を除いてしまいますと、歳出サイドが42兆7,000億円。これに対しまして、消費税はまだ導入されておりませんでしたが、地方交付税その他を除いたところで国が自由に使えた歳入が35兆6,000億円ということで、これはカバレッジは84%程度ということでございます。ちなみに、11年度は43%弱ということで、半分に満たない姿になっている。ここに大きな問題が潜んでいるように見えるわけであります。

それでは、1枚おめくりいただきたいと思います。所得・消費・資産の税収構成につきまして、20年前程度からちょっとさかのぼって棒グラフにしてございます。最初の20年前、昭和55年、1980年でございますが、歳入は28.4兆円でございました。当時の消費課税のウエイトは7兆円ということでございます。これが60年、63年と変化を見ていただきますと、所得課税のうち法人に対する法人課税が8.9兆円から12兆円、18.4兆円とかなり経済の成長に合わせまして着実に拡大をする。個人所得課税におきましても、10.8兆円から15.4兆円、18兆円と着実に拡大を見せるのに対しまして、消費課税におきましては、さほどの拡大がない。7.1兆円が8.5兆円、9.9兆円という程度にとどまっております。この結果、所得課税のウエイトが大幅に伸びる一方で、消費課税のウエイトがかなり下がったという姿になったわけでございます。

これを抜本改革により消費税の導入を図り、これが平年度化した最初の年が平成2年でございます。この年はバブルの最盛期と言っても構わないと思います。歳入は60兆円を超えておりました。したがいまして、個人所得課税を中心に非常に大きな伸びがございましたので、ウエイトの変化がさほど目立っておりませんが、ここで消費課税が9.9兆円から13.8兆円に拡大しているところが1つ注目されることだと思います。

その後、消費課税につきましては、18.2兆円、今年の予算では19.5兆円まで拡大が図られております。当然、その間に税率の3%から5%への改定、さらにその平年度化ということが起こっております。

片や所得課税につきましては、法人、個人ともに大幅な減税が行われてまいりましたとともに、11年度につきましては、景気後退の影響もあり、大幅に小さな数値となっておりまして、そのレベルたるや、20年前とは申しませんが、15年前の昭和60年とほぼ同レベルという程度にとどまっているわけでございます。

なお、この表から読み取るべきことのもう1つは、11年度の姿を見ますと、消費課税のウエイトがかなり高まっている。すなわち所得・消費・資産というバランスから見ると、非常にいい姿になった、バランスのとれた姿になったというように一見、見えるわけでございますが、この棒グラフの上に57.6%という数字を11年度について掲げております。これは歳出を税収でどの程度カバーしているかという数字でございます。歳出に対しまして47兆1,000億円というのは、実は57%にすぎないということでありまして、税の役割の中で、第一にどうしても来るのは、財政需要を十分にカバーするだけの十分な税収を上げるというところに1つの大きな眼目があるはずでございますが、その役割を全く果たしていない。そういう状況の中でのバランス、消費課税のウエイトの拡大ということでございます。

ちなみに、この57.6%という数字は、振り返ってみますと、この表の一番左側の昭和55年では61.9%で同じように低うございますが、55年、56年あたりが61.9%、61.7%、あるいは52年に59.6%という数字がございます。これが既往最低、ワーストでございます。そのワーストの数字を平成10年、11年とあっさり下回るという形になっておるのも記憶にとどめる必要があるのではないかと思います。

3枚目を御覧いただきたいと思います。もっと長くということでございまして、もっと古くから、シャウプ勧告以降ということで大雑把に見てまいりたいと思います。一番上、昭和26年度、シャウプ勧告後の日本の税制の発足期でございますが、個人、法人の所得課税が56.6%、消費課税が39.7%と消費課税のウエイトが大変高うございますが、内容的には酒、そして専売納付金、すなわちたばこでございまして、酒、たばこというところに大変大きな税収を仰いでいた時代でございました。これが40年、50年、あるいは63年と高度成長が続いた結果、所得課税のウエイトが大変に高まった。片や消費課税の世界では個別の物品、酒あるいは物品税、たばこといった関係の税収では大変ウエイトを下げていくということでございました。これを消費税の導入並びに税率の改定の結果、平成11年度では39.7%まで回復しているという姿でございます。

もう1枚おめくりいただきたいと思います。繰り返しになります。いま御覧いただいた細かい税目を除いて、資産課税、消費課税、法人所得、個人所得と所得課税の3分割ないしは4分割のグラフでございまして、同じような傾向が見て取れます。一番右側、消費課税がかなりウエイトを高めておりますが、これは繰り返しになりますが、実は法人、個人の所得のウエイトが下がった結果消費課税のウエイトが上がっているというところに注意しなけれがならないのではないかと思います。

最後のページは国税プラス地方税でございますので、説明は省略したいと思います。

以上です。

武田府県税課長

続きまして、地方税収に関しまして、同様の『地方税収の構成等について』という資料をつくらせていただきましたので、御説明申し上げます。「総35-4」という4枚紙でございます。

まず、1ページを御覧いただきたいと思いますが、地方における歳入、歳出の全体の規模を平成11年度の地方財政計画と、10年前の昭和63年度決算で比較をしたものでございます。左のほうが昭和63年度でございますが、歳出総額が66兆4,000億円、それに対しまして地方税が30兆1,000億円ということでございます。それから、右の平成11年度の地方財政計画におきましては、歳出総額88兆5,000億円、それに対しまして地方税収入35兆3,000億円ということで見込んでいるものでございます。

この10年間を比較をいたしますと、歳出の総額の伸びというものが3割以上の伸びになっております。66兆円から88兆円ということでかなり伸びておりますが、地方税につきましては、そこまで至っていない、17%程度の伸びということでございます。

さらに、例えば11年度、右のほうで見ていただきますと、歳出総額に比べまして、地方税収入が非常に小さいということが御覧いただけるかと思います。88兆円規模の歳出のうち、それを賄う地方税というのは35兆円だということでございます。もちろん、これの歳出総額と地方税収入の差が直ちに財政赤字になるということではございません。例えば地方交付税とか国庫支出金等もその上に点線のところでつけてございますが、そういうものもあるわけでございますが、基本的に地方の歳出の規模に比べまして、地方税収入のウエイトが極めて小さいということから、地方分権の推進計画の中でも、この歳入と歳出との乖離ということで、地方税収入の充実確保を図る必要性があるという指摘があるところでございます。

次に、2ページに所得・消費・資産等ということで、構成の推移を見ていただきたいと思います。昭和55年度から平成11年度地財計画までの税収の動向を並べたものでございます。一番上の棒グラフの上に数字が四角で囲ってございますが、これは、それぞれの年度における歳出総額に占める地方税収の割合を示したものでございます。

この中では、例えば、下から2つ目の法人所得課税、点々のところのグラフでございますが、これが非常に経済状況の影響を受けまして、増減が非常に大きくなったり小さくなったりしているということがわかるかと存じます。例えば、平成2年度あたりは10.9兆円ということでございましたが、11年度ではそれが7.1兆円ということで、かなりいまの景気の動向を受けているということがおわかりいただけるかと思います。

次に、3ページを御覧いただきたいと思いますが、地方税収入の構成比を、これは昭和26年度以降並べたものでございます。これにつきまして見ていただきますと、特に真ん中辺のところに消費課税のところで、少し細かいいろいろな税がございますので、ちょっと見にくうございますが、そういったものが過去から消費課税としていろいろございました。これにつきまして、例えば、電気税、ガス税というのがございますけれども、これが昭和63年度と平成11年度の間に、平成元年度における抜本改革のときに、消費税導入に伴いまして、地方の間接税を整理をするということが行われまして、例えば電気税、ガス税等が廃止になったという状況がございます。その後、平成9年度になりまして、地方消費税が導入されたということで、現在はこの消費課税の中で地方消費税が大きなウエイトを占めてきている。こういう状況がおわかりになるかと思います。

それから、最後の4ページでございますが、これを大まかに所得――所得も個人と法人と分けまして、それから、さらに消費課税、資産課税の昭和26年以来の構成比の推移を並べたものでございます。この中で消費課税、いま申し上げましたように、抜本改革のときの見直しがございまして、例えば昭和40年度あるいは50年度というのは、20%を超えておりましたが、平成元年の抜本改革における整理がございまして、平成2年度は12.3%と低くなっております。その後、地方消費税の導入といったことがございまして、11年度では20.8%ということになったものでございます。

法人所得課税、先ほど申し上げましたように、景気の動向を非常に受けやすいということで、後ほど御報告いただきます外形標準課税等もこういった議論が背景にあるわけでございます。昭和63年度には、この下から2番目の法人所得課税、32.4%、平成2年も32.6%を占めておりましたが、一番新しい11年度におきましては、19.8%ということで、2割を切る状況になっている、こういったあたりが大きな特徴ではないかと思います。

以上でございます。

加藤会長

ありがとうございました。

では、3つの報告が終わりましたので、何か御質問があれば、どうぞおっしゃってください。

水野(勝)委員

2点ちょっと教えていただければと思います。

1つは、平成10年度の税収でございますが、国の場合は消費税におきましても、先ほどの話で予算に対して1,400億円の赤でございます。道府県税の場合も地方消費税は4,300億円の赤。これで見ると、地方のほうが3倍になっていますが、これは国のほうの消費税はおそらく当初予算から減額した補正後予算額だからだろうと思います。消費税、当初予算でおそらく10兆8,000億円ぐらいだったのではないかと思いますので、そうしますと、当初予算に対しては8,000億円ぐらいの赤字かなと思いますが、それに対して地方消費税が4,000億円というのは、半分ぐらいの大きさになっている。税率からすると少し合わないなという感じがしますが、これはどういう原因か。4%と1%の税率からすると、少し数字が離れすぎているということが1つでございます。

第2点は、中期的な税収の動向の中で、1つ法人課税について見ますと、国のほうの2ページの表でいきますと、法人課税で昭和60年と平成11年とを比較すると、国は12兆円が10兆4,000億円になって、2兆円ぐらい減っておる。これに対して地方の場合は、やはり2ページでいきますと、6.8兆円が7.1兆円に増えておる。法人税を減税した場合には、法人住民税も同じ割合で減税になるのだろうと思いますが、逆の方向にいっているというのは、そうしますと、事業税があまり減らなかったということなのか。そうすると、事業税が景気に対して安定的でないということとどういう関係なのか。あるいは何か別に原因があるのかもしれません。その点を教えていただければと思います。

武田府県税課長

それでは、御説明申し上げます。地方消費税につきまして、先ほどの数字で、実は平成9年度に導入をされまして、9年度が初年度ということで、まだいわば完全な1年間の数字にはなっていないということがございます。それから、10年度はその2年目ということでございますが、実は9年度からずれ込む分といいますか、完全な形での平年度化はしておりませんで、むしろ初年度入らなかった分が10年度に入り込むということで、完全平年度化はまだ今年度以降になるかと思いますが、そういう意味で、若干税収見込み自体が国税における消費税と完全にはリンクしていない部分があります。

そういうことで、例えば平成9年度の地方消費税と10年度の数字を見ていただきますと、大体3倍ぐらいになっているということでございますので、全体的な影響の度合いといいますか、景気の影響を受ける度合いが国税と必ずしも同じ比率になっていないというあたりが、このマイナスの数字が比例的になっていないことの原因かなと思います。基本的には、国税の4分の1といいますか、その数字に長いスパンで見れば当然合うということで考えていただければと思います。

それから、法人関係につきまして、これは毎年度ずっと表にしてみればまた別なのかもしれませんが、たまたま少し年度を飛ばしまして表をつくっております関係で、実は同じ年度におきましても、法人税と法人の事業税との間で、いわゆる申告期間といいますか、納税の期間のずれがございます。その関係でおそらく数字的に若干の違いが出てくるのかなと。これも長いスパンで毎年並べてみれば、少しずつずれながら、増えるときは増え、減るときは減るということで、法人税が増えたり減ったりしたときは、法人事業税も同じようにやはり、いま所得を課税標準にしておりますので、増えたり減ったりという関係にございますので、たまたまこの何年度かに一度のグラフにしたものですから、そういうふうな結果になっているのだろうと考えられます。

竹内委員

資料を出していただきたいという1つの要望なんですが、一応税収のほうは道府県税と市町村税の2種類に分かれていまして、それで地方法人税の改革にも関係あるのですが、この法人事業税というのを、道府県税のほうに入れて、これを改革しようという問題だと思うのですが、実際に地方債を発行したり、地方交付税をたくさん必要としているのは、市町村のほうのケースもあるのではないかと私は理解しておりまして、こういう場合に歳入と歳出を県と市町村と両方に分けて財政の深刻度を示していただけると、どういう税金が必要なのかということがもう少し明らかになるのではないかなと思うので、それを1つ請求したいと思います。

つまり県の方が増えても、非常に依存度が高いのは市町村のほうですと、県は税収分を今度市町村に払うという格好になるのかなという、将来ですけれども、そういう議論も発生するので、歳入も歳出も両方分けて出していただきたいと思います。

加藤会長

では、またいずれお願いいたします。

水野(忠)委員

最初に御説明いただきました産業活力再生特別措置法(仮称)、これは非常におもしろく伺ったのですが、具体的には、例えば事業の再構築ということで営業の一部を譲渡するとか、新しくジョイントベンチャーをつくるとか、そういったときの資産の移転に対して値上り益があるわけですけども、その資産の取得に対して圧縮記帳を行って課税を繰り延べる。これはそのとおりでよろしい措置だと思うのですが、1つ気になりましたのは、この2枚目のほうでしょうか、『産業活力再生特別措置法案(仮称)の骨子』というところで、中に2の「具体的措置」というところで、菱形の2つ目に、事業再構築計画を主務大臣が認定し、以下の支援措置を講ずるということになっておりますが、これは具体的には、主務大臣というのはいかなるものになるのかということをちょっと伺いたいと思いまして、その場合に、そうしますと、税制上の優遇措置といいますか、特例措置すらもこの主務大臣の認定によって自動的に与えられることになるのか、このあたりはいかがなのでしょうか。

加藤総務課長

この点については、政府与党内でもいろいろ議論がありまして、事業所管の大臣ということなので、主務大臣というのは事業の種類によって変わります。確かに恣意的に認定が行われるということは非常に問題がある。いろいろな支援措置がありますが、したがいまして、なるべく客観的な認定の基準をつくって、認定といってもいわばその基準に該当するかどうかの確認ぐらいまでのレベルでやれるようにということを、政府与党のほうからも強く言われておりますので、いまその具体的な基準づくりを通産とうちできちっとつくるということになっております。いままだそこのところは調整中でございますが、いずれにせよ、先生御指摘のような不十分なことにならないようにということは配慮して対応していく予定でございます。

水野(忠)委員

ありがとうございました。といいますと、こちらに出てきます税制上の措置、できるだけ、あくまで税制の立場から税務署なり国税局のほうで認定をした上で適用を認める。そうではないのですか。

加藤総務課長

これは税務署が認定するのではなくて、あくまでも産業再生の見地から、税だけの話ではなくて、いろいろな支援を、いろいろな方策を組み合わせて、ここに書いてあるような商法の特例とか、いくつかの支援をするということなので、税の見地からだけでチェックするということではなくて、あくまでも産業再生のための措置です。そのかわり認定の基準自体は税法の特例が適用になることもありますし、ほかのことも含めて客観的な措置、例えば、大規模な設備廃棄という場合に、総設備量の何%とか、そういうようななるべく客観的な基準でチェックしていこうと、こういうようなことをいま議論しております。

平田委員

税収の構成でちょっとお聞きをしたいのでありますが、国税です。63年と11年度予算の中で、歳出の中に公債費の支出がどの程度あるのかということであります。すなわち、借金返済並びに利息分の負担、これが相当のウエイトを占めておりますから、多分、例えば11年度予算で23兆円が54兆円に対応するということの中には、公債費が大変多く入っているのではないかという気がするのであります。

それから、もう1つ数字でお伺いしたいのは、2ページ目に、消費課税で19兆5,000億円となっていますが、これは11年度の消費税が10兆4,000億円、さらにその他どういう税が入って19兆5,000億円になるのか。その2つをちょっとお尋ねしたいのでありますが。

池田調査課長

まず、あとのほうから申しますと、消費課税の分野では、いわゆる消費税がもちろん一番大きな税目でございます。御承知のように10.4兆円ですが、それ以外に酒税、揮発油税、たばこ税等々が主たる消費課税の税目というふうに考えていただけたらと思います。その辺は3枚目のところにございますが、消費税以外に次の斜めのところが酒税、たばこ税、それから揮発油税といったところ、その他少し細かい消費課税がございます。

それから、公債費でございますが、平成11年度のほうでは、国債費が19.8兆円、63年度のときは12兆円というふうに概数なっております。

本間委員

資料は非常に有益な材料を提供していただけたと思うのですが、この変化がどういう要因によって起こっているのか、量的及び質的中身の問題について、もう少し立ち入った分析というのは、そろそろ必要ではないかという感じがいたしておりまして、1つは、これは景気動向等の影響というものがどのようにボリューム及び中身に対して影響しているかという問題。2番目には、この10年間強、税制改正あるいは景気対策等でさまざまな制度改正を伴っている要因が、ボリューム及び質に対してどういう影響を及ぼしているのか。さらには産業構造上の変化が金融サイド、実物サイドの変更、資産化、ストック化に伴う影響と、さまざまな要因がこれはあるわけで、図表でお示ししていただいている部分がその総体として出てきているわけで、そこの部分についてより立ち入った考察がなければ、実はこのインプリケーションをどう読むかという問題は、非常に難しくなってしまうというのが実態だろうと思います。

しかも、国税と地方税の按分あるいは影響等というのが、必ずしもいまの制度と違っているというような状況、水野委員の御指摘はそういう要因が複雑に絡んで起こっている問題で、先ほどのお答えだけでは十分に納得できないという側面があるわけで、ぜひこれは国税、地方税との関係においても、十分に大蔵、自治両省で調査をしていただけないかというのが私の希望でございまして、追加的な資料要求という具合に御理解いただければと思います。

加藤会長

ありがとうございました。それでは、池田さんと武田さん、また次の機会によろしくお願いいたします。

大田委員

産業活力再生特別措置法の税制上の措置で2つ質問させてください。

まず、1つ目のこの新分野への進出ですが、特定の新規設備投資を行う場合の特別償却は18%で、事業構造変更を伴うものは24%となっていますが、この事業構造変更を行わない新規設備投資、というのは、いままでやっていなかったことを全くやる場合なのかどうか、ちょっとここがわかりにくいのですが、それが1点と、もう1つは設備廃棄の欠損金の繰越し・繰戻しですが、大規模な設備廃棄というこの「大規模」というのはどうとらえればいいのか。

加藤総務課長

1点目でございますが、まさに先生おっしゃったとおりで、18%の部分というのは、まさに新しくやると。もともとこの事業革新法という既存の制度がありまして、そこを取り込んだ部分なものですから、その要件に合致すれば、事業構造変更をしなくても一定の新分野に出ればいいということで、ここのところは従来の枠組を引き継いでいるというふうに御理解いただきたいと思います。構造変更ということもあると、プラスここに深堀りが来ている。

それから、もう1つのほうは、ちょっと先ほど御説明が舌足らずだったかもしれませんが、「大規模」というのをきちっと定義しないといけないということで、いま数量的に、これは全くいまの段階で一定の総設備のうちの何%を超える、そういうふうな数量基準をいま議論しておりますので、そういうことで「大規模」というのを判定をしていく。そういうことで調整しております。

佐野特別委員

産業活力再生特別措置法でちょっと伺います。私は個人的に、事業再構築計画を主務大臣が認定する、このくだりはあまり感心しない。やや感情的かもしれませんが、こういうことはあまり政府がやるべきではないということを感覚的に考えております。

それはそれといたしまして、いくつか質問をしたいわけですが、1つは、この事業再構築計画というのは、どのくらいの範囲のものを求めるのか。つまり、ここに設備廃棄ということがあるわけですが、それだけなのか。雇用とかファイナンスとか海外生産とか、かなり多岐にわたる計画内容を求めることになるのか。これが第1点。

それから、第2点として、事業再構築計画の主な類型が6つばかりあるわけですが、それぞれ違うわけですね、微妙に物事の性格が。そうすると、それぞれに、例えば新規分野に進出するだけという場合も事業再構築計画が必要なのか。設備廃棄をするだけという場合も計画の提示が、あるいは承認を受けることが必要なのか。これが第2点。

それから、第3点として、フォローアップをどうするのだという問題があると思います。特に事業再構築計画というのは、最近リストラというのが株価との関係もありまして、かなり思い切ったものを出すという傾向があるわけです。認定を受けやすいということからいっても、かなり大胆な計画を提示すると。ただ、事業活動というのは、状況によって変わるものでありまして、例えば廃棄しようと思っていたのだけども、そこの廃棄しようと思った商品群の需要が回復してきたという場合、これは取りやめる、あるいは事業を縮小するというケースも当然予想されると思うわけです。そういう場合、例えば繰戻し還付をもうすでに受けてしまった。ところが、そのあと、いや、待てよ、そのまま継続しようやと、むしろ撤退しようと思っていた部分をもっと増強しようと、こういう場合がある。これも想定しておかなければいけないケースだと思うのですが、そういう場合はどうするのか。政府部内での詰めがまだ残っている、あるいは法案の国会審議を通じていろいろな問題点が出てくるということはわかっておりますが、現段階でどのような、そこら辺について、お考えをお持ちなのか、ちょっと伺いたいと思います。

加藤総務課長

まず、第1点目の認定の範囲というか、どこまで認定を受ける必要があるか。これは、今日お配りしております具体的措置のかぎの括弧に書いてございますような、いわゆる事業再構築に該当する、こういうことをやりますという具体的な措置を申請する。それが認定の対象。ですから、形態として先ほど、次の問いに絡むわけですけれども、6つの形態を示しておりますが、これはその事業再構築ということを達成するための手段としての形式がこういうやり方があり得るということで列挙してあるわけですから、すべてが事業再構築の結果、そういう事業再構築という結果をもたらすかどうかというのは、認定の対象、つまり判断になります。ですから、あくまでも6つ並べているのは、それぞれがこういうことをやることによって事業再構築が達成できるかどうかということをきちっと示すということであると思います。

それから、認定のあと、その後どうするか。これはいま詰めているところです。認定を取り消すということは、いま法律で考えております。認定を取り消すという結果、それに対して税をどういうふうに対応するかというのは、検討しているところでございます。

加藤会長

それでは、そろそろ次の議題に移らせていただこうと思います。

すでに先ほど申し上げましたが、地方法人課税小委員会で外形標準課税の課題を中心にいたしまして、精力的に御審議をいただきましたが、報告がまとまりましたので、今日はその報告を受けたいと思っております。

最初に、まずお手許にお配りしてある地方法人課税小委員会報告、大変分厚いのでありますが、事務局に朗読していただこうと思います。大体40分ぐらいかかるかと思います。引き続きまして、今度は審議の経過あるいは報告のポイントについて、石小委員長から説明を受けまして、その上で皆さま方の御意見をいただきたいと思っています。

なお、本日欠席の委員からの意見書もお配りしてありますので、あとで適宜御参照いただければと思います。

それでは、事務局から朗読をお願いいたします。

事務局

(『地方法人課税小委員会報告』朗読)

加藤会長

続きまして、石小委員長より、地方法人課税小委員会の審議の経過並びに報告のポイントについて説明をお願いいたします。

石特別委員

時間も大分押しているようでありますので、簡単にポイントを御紹介したいと思います。

いまお読みいただいたとおりでございまして、内容につきましては、お読みいただければわかるかなと思っております。

本小委員会は、昨年の5月以来17回開きました。そういう意味で、委員各位並びに事務局の努力は大変なものがありまして、やっとまとまったことについて大変喜んでおります。関係者に厚く御礼を申し上げます。

この総会におきましても、過去2回、4月23日、5月25日各々報告しておりますので、あらかじめ御了解いただいている方向に沿ってつくったかなと考えております。

そこで、いろいろな前提条件があったり、中身を議論していくときにいろいろなぶつかり合いがあったりしてやっとまとまったわけでありますが、一応検討の前提といたしましては、あくまで企業課税としての法人事業税、その中身を専門的、理論的に検討しようというところからスタートしたわけであります。そういう意味で、地方消費税という形で肩代わりしてもいいのではないかという議論も当然あったわけでありまして、この総会でもそういう御意見をいただきましたが、それは企業の負担から消費者の負担に変わるといったような大きな税の変更も伴いますので、その点につきましては、あらかじめ企業課税という中でこの外形課税を考えたということにいたしました。

それから、税収の規模も、いろいろニュートラルであるとか税収中立とか等々議論いたしましたが、これは諸般の事情から最終的に決めるべきであろうと思いますので、あえてそこをかたくなに考えてはおりませんが、ただ、税収規模が大幅に変わるようなことは考えていなかったというのが率直なところでございます。

それから、やはりなぜやるかという点がはっきりいたしませんと、この種の議論、この改革の方向は、いうなれば国民の側からは理解されないわけであります。そこで、地方税改革の中において、なぜ外形課税が重要かということにつきまして、4つほどこの報告書では書いてございますが、1つは、何といいましても安定的な税収確保というのが現下の情勢、例えば地方分権促進等々から見ても重要であろうという点が1つ。

それから、応益課税というのがやはり中心になるであろうと。これは諸外国を調査したところからも、そこから得た結論でございますが、やはり地方公共財の対価として、各企業はそれに応じて負担すべきであろうという税の性格の明確化もいたしました。

3つ目は、税負担の公平。公平という言い方はいろいろ難しいのですけれども、やはり利潤だけにかけておりますと、税を負担する企業と負担しない企業等々があって、どうもそこが問題ではないかと。そういう意味では、従来払っていない、しかし応益を受けているという企業にまで、具体的に言いますと欠損法人でありますが、負担してもらうのも結果としてはやむを得ないのではないかと。

それから、広く薄くかけるという意味において、第4点で申し上げたいのは、経済構造改革に資するのではないか、促進するのではないかと。つまり、これまでの利潤あるいは所得基準だけでやりますと、どうしても儲かっている一部の企業に負担が過重になる。そういう意味では、そういう企業の負担は減らして、しかし、欠損法人まで含めてみんなで負担してもらうというほうが、かえっていいのではないかという判断をしたわけであります。

そこで、詳しく申し上げませんが、4つの基準を我々は持ち出しました。この4つの基準につきましては、どれがいい等々の価値判断はいたしておりません。これはこれからの御議論をいただくことだと思っていますが、4つを決めるに当たっての留意したことは、あくまで法人の企業の事業活動規模という点に留意いたしました。先ほど申し上げましたように、応益性が重要でありますし、やはり広く取るというのが外形課税の1つのポイントであります。そこで、事業活動規模を、いくつか選択肢があったわけでありますが、実際に導入してどうかという視点から4つを選んだわけであります。中身につきましては、ここに書いてあるとおりであります。

ただ問題は、4つを全く新しくリニューアルしてしまうか、それとも既存のものと組み合わせるかという選択があって、これにつきましてはいろいろ議論をいたしました。第1番目の事業活動規模という形で持ち出しました、いうなれば利潤、給与、支払利子、賃貸料、これにつきましては、そっくり変わるというイメージはわきやすいのでありますが、2つ目以降の給与総額であるとか、人的基準、物的基準の組合せであるとか、資本等を念頭にかけるといったものは、これだけではちょっと偏った面もあるので、従来の所得基準であります法人事業税との併用、これも考え得るであろうという結論に達しました。それをどのぐらいの割合でやるということは、これからの実際的な議論の中で考えればいいと思っております。

それから、ここでもお出しいただきました議論に、個人事業税をどうするのかという議論がございましたが、事業税の性格からいたしますと、当然、個人も法人も区別する必要はないであろうという議論でございましたけれども、納税者はこういう新しいものを仕組んだときに、かなり事務負担が絡むであろうと。そういう意味では、当面、法人だけに限定するという意見に到達いたしました。

それから、電気、ガス、生保、損保の4事業につきましては、すでにもう外形課税をやっている。要するに収入ベースでやっております。それが今後どういう形で具体的に仕組まれるか、つまり新しいタイプの外形課税が。それによって収入課税も大分変わってくると思いますので、その時点でおそらく再考するということがあり得ますが、当面、現行の仕組みを推し進めようということになりました。

それから、実際に導入したときに、いろいろ議論があるわけであります。例えば税負担が現行とは大分変わるではないかと。これは当然のことであります。その結果、中小法人への配慮というのは必要ではないかとか、あるいは賃金というものが今度は明確に課税ベースに入ったときに、雇用への影響をどうするかといったようなこと、これにつきましても、いま読み上げていただきました本文にそれなりの対応を考えております。

それから、新聞等々で外形課税に対する批判として、いつ入れるかという議論があるわけであります。外形課税に対する反対の1つとして、いまの景気の悪いときにという議論があって、景気の配慮の点から反対という御議論がございますが、我々は、最後の結論にも書いてございますように、なるべく早く入れるべきだけれども、景気を無視してということは言っておりません。今日の諸井さんの意見にも書いてございましたが、いうなれば景気に対する配慮は十分行ってということでありますから、景気云々の短期的な視点からの御議論というのは、ちょっと我々の問題意識と外れているというふうにお考えいただいて構わないと思います。

一番配慮すべきところ、あるいは留意すべき点は、19ページから20ページの結びのところに書いております4点に集約されております。特に[4]、20ページの最後でございますが、長年の宿題を我々果たしたわけでありまして、これをベースに、今度は本格的に具体的にデザインするということをしていただきたいと。それには景気の絡みもございますが、やはり本格的な議論が、いうなれば都道府県をはじめ納税者である法人、それから経済界等々いろいろあろうかと思いますので、これから、いうなれば我々の提起した問題を受けとめていただきまして、国民的な合意形成に努めていただきたいと、こういうことが我々最後に強調しておきたいことです。

以上であります。

加藤会長

ありがとうございました。石小委員長はじめ小委員会のメンバーの皆さま方の御尽力に対しまして、厚くお礼を申し上げたいと思います。

それでは、今回の報告につきまして質疑をいたしたいのでございますが、時間があまりございませんので、あるいは今日はちょっと時間が延長されるかもしれません。その点お許しをいただきたいと思います。どうか御意見のある方、お願いいたします。

塙委員

御専門の方がさんざん議論されて、あらゆるアイテムが網羅されているということなので、なかなか反論も難しいのですけれども、率直な感想をちょっと申し上げさせていただきますと、この議論のというか、この考え方の背景にあるのは、重厚長大といいますか、いままで日本の経済を支えてきた、人も大勢使い、設備もたくさん持ちという、そういう産業がベースになっているというふうな感じがします。最近、そういう産業はどちらかといいますと、設備過剰で、何とか設備をもっと減らせとか、過剰人員をどう処理するかとか、そのことが非常に大きな問題になっているときに、そういうものを課税対象にするのは、公平であるとか、事業活動の規模を表しているというのは、ちょっと時代の動きと違うのではないかなという感じがいたします。

特に最近、インターネットがこれだけ発達し、電子商取引が中心になるかもしれないという、いわゆるソフトが価値を生む時代に、いままでのような設備とか人とか土地とか、そういったものを中心にしてそれに税金をかけるというのは、必ずしも妥当ではないのではないかという気がします。それをそのまま推し進めますと、むしろ地方税の安定というよりは、地方税の根本である、根元である企業そのものをなくしてしまうという可能性もあるので、もう少し利潤の出所との関係について、検討する必要があるのではないかという感じがいたします。

松本(和)委員

先ほど地方法人課税小委員会の報告を聞いていたわけですが、長い間地方団体関係者が願ってきました事業税の外形標準課税が、ついに税調のお墨付きを得て、実現に一歩近づいてきたのではないかというようなことで、感無量のような気がするわけでございます。この小委員会の報告書の取りまとめに御尽力いただきました石委員長をはじめ委員の先生方、また、自治省、大蔵省の事務局の皆さんに感謝申し上げるとともに、これまでの御労苦に対して大いに敬意を表するところでございます。

事業税は都道府県の税目であり、知事から発言いただければいいのですが、本日は残念ながら福井県の知事は県議会が開催中でございまして、それに出席しております。そういうことで、本日どうしても出席することができません。お手許のペーパーとともに委員の各位によろしく伝えてほしいという話があったわけでございますが、そういうことで、一言私のほうから申し上げさせていただきたいと思います。

分権推進一括法の国会審議でも指摘されていますように、地方税財源の充実確保の問題は、地方分権の推進にとって残された大きな課題でもあります。もちろん、将来的には国と地方の税財源配分の見直しなど、市町村税も含めた地方税の量的な拡充が必要と思いますが、当面は都道府県で最大の税目であります法人事業税の安定化を図ることが最重点の課題であると認識しております。そのためには、変動の激しい所得基準ではなく、外形基準による課税とする必要がありますし、それをすることで応益課税である事業税は、本来の姿を取り戻すことになるのではないかと思います。

このようなことから、私どもできるだけ早期に外形標準課税の導入をしてもらいたいと願っておりますが、一方では、産業界を中心にいろいろな不安の声が聞こえてまいるところでございます。しかし、報告書でも丁寧に記述されておりますように、外形標準課税が必ずしも経済活力や雇用に悪影響を及ぼすわけではないと思います。重要なことは、今後、反対の声や障害に対して、我々地方団体関係者が中心となって、地方が直接声を出してきちんと説明し、理解を得ていくために、その努力を積み重ねていくつもりでございます。

いずれにいたしましても、地方税の税目を単独で政府税調に小委員会を設けていただいて検討していただいたのも初めてだと聞いております。この歴史に残る貴重な報告書を無にすることのないように、事業税における外形標準課税が早期に現実のものとなることを、地方団体関係者はこぞって切に願っているところでございます。どうかこの機会に、どうか私が申し上げておりますように、よろしくお願いするところでございます。

榎本委員

多くは報告で触れられていることですけれども、改めて3点にわたって申し上げさせてほしいと思います。

1つは、いわゆる入りと出の矛盾の問題です。実際の提供する公共サービスは、言うまでもなく住民生活に密着をした不可欠なものでありますから、当然ながら安定性が求められる。不況だからといって水準を即ダウンさせるということは到底困難であります。しかしながら、歳入の中で最も大きく比重を占めるこの法人事業税については、すでに多く語られているように、景気変動に直結連動して、極めて不安定だ。つまり歳出は安定性を求められながら、歳入のほうは極めて浮き沈みの激しい不安定なものだ。この矛盾した構造を是非解決をしてほしいというのが1つです。

2つは、税の性格の問題ですが、地域社会の共通の利益を受ける地域社会の一員として、その利益に相応した担うべき負担というのがこの税の本来の性格でありますから、そうした応益性を持つ税でありながら、今日では3分の2の法人がこれを負担していない。平均的にも5割にはいっていない。ピークのときで5割程度でしょう。つまり、そういう点では応益負担という原則が機能していないわけですね。そういう点で、本来の税の性格にふさわしい方式に切り替えていかなければいけないというのが2つ目です。

3つ目の問題は、地方財政の窮状と地方分権の問題ですが、御案内のように、今年、当初予算を、これは選挙がありましたので、本格予算を組まなかったところがかなりありますが、本格予算を組んだところの大半は、前年と比べるとマイナス予算になっている。景気対策として国も地方も財政出動が社会的には要請されていながら、多くがマイナス予算になっている。これは景気対策に非協力なのではなくて、協力したくてもしようのないような窮状に特に都道府県、特に大都市を抱えている府県はあるわけですね。こういった状況にあることからしても、ぜひ府県財政を安定化させる上で、大変重要なこの外形標準化をしてほしい。

また、この報告でも触れられているとおり、昨日、参議院で分権の一括法案が成立をしましたけれども、その法案でも趣旨として言われているように、地方行政を支えるのは地方税収というのが基本だと考えますので、そういう点からもぜひこの報告に沿った税のあるべき道筋というものを、税調として鮮明に提示をしてほしいと思います。

柳島特別委員

一言言わせていただきたいのですけど、結局、地方団体が法人税に依存しすぎて、法人がぽしゃって、縮小して、税が縮小するというのは一般の企業では当たり前のことなので、それで何か欲しいということで、いろいろなことが出てきたのだろうと思うのですけど、まず地方団体のリストラというのをやってもらいたいなというのが、これは何回も申し上げているのですが、まず第1点で、それは重要なことだろうと思うのです。

それから、第2点目は、応能より応益というのはいいだろう。これはもちろんなのですけど、応益負担といっても、一体企業というのはどれだけ地方公共団体からサービスを受けているのかというのを、はっきり立証というか、これを求められた場合、どういうふうにやって説明するのかなという点が今後まだ詰まっていないのではないかと思います。だから、これから行革とか地方分権とか、いろいろ地方が機関委任業務というのが増えてくる。その場合、どれだけ企業というのにサービスするのかということをはっきり証明しないと、これは納得がすんなり得られる税目ではないような気が私はしているのです。

それから、もう1つは、税の簡素化ということからすると、いままでの事業税と併用して外形をやれば、帳簿というのは二重になったりして、こういう場合の税の簡素化というもの、そういうことに逆行する恐れもあるのではないか。今にわかに読んでこれだけなんですけど、以上です。

竹内委員

税収を確保するということが地方分権の1つの要件だというのはわかりますが、日本の都道府県、市町村にとって、もともとものすごい財源の格差がすでにあって、税収を確保できる力というのはものすごく格差があって、それを地方交付税という格好で、いろいろな形で再分配してきたということであれば、今後、こういう財政の確保をするということであれば、こういった地方交付税のような過度な再分配というか、この割合を減らしていくというふうに考えてよろしいのか。あるいは結果的にはもっと拡大する可能性があって、東京都などは、とにかくかける相手はたくさんいるので、税率を低くすると、たくさんまた集まってくるということもあり得るかもしれないので、それならもう地方交付税のような形はもっと削減し、財政投融資を使った再分配の規模を減らすということをセットにしていただけるとか何かしない限りは、地方自治体がより努力するという格好にはなりにくいのではないかなというのが1つ目の点です。

2つ目は、それでは本社が東京にあって、地方に事業所があるというような場合は、利潤がないので、とりあえず東京のほうは法人税が安く済んでいるという状況、いま連結とかいろいろあって、どんどん安い方向にあると思うのですが、結局、地方法人税をやると、現状よりは法人税が増えるということになるわけだから、本税のほうをもっと安くしていいということになるのか、それとも、現状どおりでプラスアルファで増税しますよという話なのか、原則論は賛成なのですが、そこがちょっとよくわからない点です。

松田特別委員

1点、例外4業種ですね、収入基準になっているこれについて、私の考えを述べさせていただきます。

収入基準になっているというのは、規制料金であって、売上が決まると大体利益が確定するというのが原因だと思うのですが、この4業種はいずれも自由化が進んでいまして、必ずしも売上高が決まれば利益が確定するという業種ではなくなりつつあるわけです。それで、個別に聞きに行くと、いまのままでいいという声が大半なようなのですけれども、なぜいまのままがいいかというと、いまのままのほうが有利だからのようですね。ですから、売上高基準でやっているほうが、所得基準になったよりも有利であるから、いまのままがいいと言っている気がします。ということは、他のいま現在所得基準でやっているところに対して優遇されているわけで、負担の公平を欠いているのではないかと思います。ですから、経過措置などとは言わずに、改善するのなら一気に全部例外4業種をなくすというのが正しい方向ではないかと考えます。

河野特別委員

いろいろな意見がこのレポートについていま出ていて、大体基本的に予想されたのはあらかた出ているんですよね。石先生が最初に言われたみたいに、企業課税という枠を外して考えるかどうかというのはポイントの1つですよね。石先生は、企業課税だという原則で、地方消費税に振り替えるということは我々の論議の対象にしなかったというお話だったですね。もう1つの話は景気との関連の話。これは大体合意ができているようなことだと思うんですよね。だから、内容をどうするかという話と、実施のタイミングをどうするかということについて、いろいろな意見があり得るんですね。

そこで、これはちょっと会長に提案しておきたいのですけど、中央省庁再編の法案が通りましたよね。あの過程で審議会の大整理問題というのが登場しているんです。それは当然そうあるべきだと思うんですね。審議会の審議の運営方法について、たしかいろいろなことを書いてあるはずなんです。僕は法案を読んでいないから、あとで大蔵省でわかっている人があったら教えてもらいたいのだけど、どういうことかというと、重要な審議会で政策を提言するときには、パブリックコメントにかけるというのがこれから原則ですよということで、法案はどういうふうになっているかわからないけれども、なっているはずなんです。それはもうすでに部分的に実行されているんですよ。インターネットで情報を流せば、それをベースに、締切りさえ決めておけば、膨大な、質のいい話から質の悪い話までたくさんあるけれども、集まってくるんですよ。

だから、どうせこの話は、今日はここで石先生から、総体的にこういう方向ですということを報告されたので、それはそれとして、どうせ秋口、10月、11月ごろになってこの話が、さっき地方代表から話があったけれども、どういうふうに扱うか。それはもっぱら主として改革の方法の話と景気の話との関連で2つで来るのだけど、それまでまだ時間が3か月か4か月あるんですね。政府税調がこれからこういう大きな提案をするときに、パブリックコメントにかけるという態勢をとるのかどうか。一般の審議会は全部とることになるんですよ、実は。ここは別なのかどうかというのがあって、これは大論争になると僕は思うんです。

例えば、消費税を導入するときのことを考えてみれば、あのときパブリックコメントがあれば、何万通の反対票が集まって、平均100%に近い反対票だったろうと思うんだね。そのときに、時の内閣と税調が、「いや、パブリックコメントを求めたら、あらかた反対だからやめました」ということが言えるかどうか。言えませんよね、こんなことは。とすれば、税調の場合には利害が非常にシャープに対立するので、パブリックコメントにかけるのはなかなか難しいのだけども、僕は技術的な話で、形式にすぐにかけるという意味ではなくて、現実的には3か月ないし4か月の間にはいろいろな意見が出てくるんですよね。新聞でも学者でも財界人でも産業人でも。特に課税対象になるところはいろいろな団体もあるわけで、いろいろな意見も出るし、行動も起こってくるでしょう。その全体像を自治省と大蔵省がよくつかんで、パブリックコメントにかけるわけではないけれども、実質的にいろいろな意見が外にはありました、内部はこうですということを、メンバーも自分で全部カバーできるはずはありませんから、一人一人の委員は、気をつけて。そういう反響を、秋のしかるべき時期に仕分けして報告してもらいたいんです。インターネットで流せば、大変ないろいろな反響が学者からも研究者からも団体からも業者からも出てきますよ。一般の納税者は自分のことではないと思っているから、ちょっと別なんですが、だからそういうことをこれから考えたらどうだと思いますけど、これは加藤会長と事務当局のほうにお願いをしておきます。

水野(勝)委員

石先生の御尽力で確定的なものができました。これはシャウプ勧告、昭和24年、ちょうど50年目でここで集大成をされたと思います。そして、いろいろな議論を整理されておる。まさに20ページの最後にありますように、これを土台にあらゆる関係者、いまの河野さんのお話のようないろいろな手立てもあると思います。合意に達せられるよう関係者が今後努力をするということではないかと思います。

消費税について言えば、いまもお話がありました。いろいろな経緯がありまして、一般消費税の大綱ができましたのが昭和53年、実際に実現されたのは10年で、やはり10年ぐらいかかるのかなという感じ、それくらいのあれが必要ではないかと思うわけでございます。そういう意味での非常に重要な出発点だろうと思います。

その点でまず第1には、どういう理念で本当に納税者、関係者を納得させられるのか。その理念として応益税であり、事業活動量に応じた課税だということでございますが、応益税となりますと、それは本当に定量的に把握できるのか。それから、事業があることによって地方団体も雇用その他の面から受益をしている面もあり、それは一心同体ではないかと思うわけでございます。また、応益をしているのは事業そのものなのか、その事業が産出した財貨サービスを使う人が応益していると言えば、消費課税のほうの話にもなり得る。しかし、今回はそこはもう一線を画して整理をしたということでございますので、これはこれで1つの体系でございますが、いろいろな応益の問題があると思います。

それから、事業活動量に応じた課税である。事業活動量に応じて、それではその負担は一体どこに転嫁され、あるいは帰着するのか。事業活動の力が強い企業は好転し、前転するかもしれないし、そうでない企業は自分がしょい込む。それは資本過重になるのかもしれない。そこのところは、いや、そういう税ですということで徹底してどこまで事業者、納税者、納税代行者である事業に徹底をできるのか。そこがポイントではないか。そこのところは本当に徹底して、よく理解を得るようにする必要があるのではないかと思うわけでございます。

そしてまた景気の観点から言えば、現時点では景気が低下するために税収が激減する。しかし、景気がよくなると、今度はかなりな増大を示す。そのときになると、その熱意が失われるという面がこの数十年あったのではないかと思いますので、そういう景気の変動いかんにかかわらず、徹底した議論、広報活動が必要ではないかと思うわけでございます。

具体的な外形の基準としては、やはりほかの資料からもとれるというようなことからすれば、給与がいいのではないかと思うわけでございます。事業というのは本来、企業というのは利益を上げるのが最終的な目標なわけですけども、6割、7割の法人が利潤を上げていない。それは中小法人におきまして、それを利潤という形でなくて、給与なり役員報酬といった形で分散されておる。それによって事業としては、事業自体に利潤がなくても存続できてきているというところにも1つの原因があるのではないか。そういう意味におきましては、利潤とともに給与なり報酬なりといったものを勘案することが、事業活動のある意味では1つの成果ですから、そういう意味では、外形としては、理論的にはともかく、新しい資料とか新しい事務手続きをあまり必要としないという意味からも、給与、報酬、こういったものがいいのではないか。そんな感じがしますが、これもまた今後の幅広い御議論の対象であっていいというふうに考えます。

今野委員

私も先ほど竹内さんが質問なさったことと全く同じ疑問を持っております。つまり、外形標準課税が導入されることによって、行政改革は言うに及ばず、地方交付税が削減されたり、これまでのそういう税体系がきちっと見直されるのか、それとも、地方財政がマイナスであるから、それにさらに何かおまけをつけようというプラスアルファなのか、その辺は基本的なことではないかと思いますので、一言でもどなたかお返事をしていただけないでしょうか。

中西委員

この問題は私何度も言っていることなのですが、今日、石委員長から報告がありまして、これはこれで意義がある。基本的に、やはり今度の国会で地方分権一括法案が通ったと。結局、地方税収の安定化ということ、これは自治体の方々が非常に強くおっしゃっている。そういう意味では、応益課税として外形標準課税にすることはそれなりに私は意味があることだと思うし、もう1つは、受益と負担が一枚岩になって、今度の国会のあれもほとんど税源の裏づけのない話ですから、あれはある意味では機関委任事務だけが解除されるだけで、ほとんど意味がないので、これはやはり何らかの意味で地方自治体にそういう税源の確保を与えていくという基本方針は私は大事なことだと思うんですね。そうしないと無駄がなくならない。

だけど、一方、経済界は、通産傘下の4団体、全部真っ向から反対なんですね。結局、基本的に立っている、理論を主張しているその理念が違うわけで、産業界は産業活力、経済活力を削ぐというその1点で、いろいろ理論構成はありますが、この外国のフランスやドイツの例も、通産あたりが調べてきている解釈と今日ここに載っている解釈は大分趣が違うんですね。全く立っている基本スタンスのところが違うので、私はそこで、さっき河野さんが非常にいいことをおっしゃったなと思って聞いておったのですが、やはりパブリックコメントを広く求めて、さっきどなたかがおっしゃいましたが、私もこれは前から言っているのですが、中央政府と地方政府、自治体との、財政の基本的な組織あるいは配付の交付税なんかの状況とか、そういうシステムを抜本的に見直すということを国民に問いかける。それが是か非かということですね。そういうことまで議論しないと、税制という範囲内で議論しても、私はあくまで議論は平行線、エンドレスで続けていくことになるのではないかなと。だから、まさにそこのところ、それだけ広げて議論を国民に問いかけるということをやるべきときが来たのではなかろうかなと、こう思います。

本間委員

結局、皆さんがおっしゃっていることは、この報告がフレームとしてどういうことを前提にしているかということにかかわってくる問題で、石委員長が御説明されたとおり、いまの現行の税収とあまり大きく変わらないということを前提にしながら、現在の法人事業税を外形課税化したときにどうなるかというおそらくインプリシットな仮定が私はあるのだろうと思います。その仮定というのは、いま中西委員等がおっしゃったような大きな外に関連する財政調整等の組織部分のところについては、あまり影響を及ぼさない範囲の中で議論をしようというのが、おそらく暗黙のうちにあるのだろうと思うんですね。そういうような状況でパブリックコメントをするのか、あるいはこれだけ外形課税だけをやるということになれば、河野委員おっしゃったとおり、全部反対だと、特に増税含みで、フレームを増収するようなタイプで意見を伺ったら、全部反対をすると、こういうのはもう目に見えているわけで、おそらくパブリックコメントをする場合においても、いろいろな形でのフレームをもう少し鮮明な形で問いかける必要は、おそらく税調の中でもあり得る話なのではないかという気がいたします。

それを前提にした上で、私はこの委員会にあまり積極的な役割を果たせなかったということもあるのですけれども、問題は税収中立的な形で近傍でやるということを前提にしても、そうだとすると、問題は産業構造に対してどのようなインパクトをもたらすのかと、こういう活性化との関係。それから、赤字法人とそうでないものとの関係、さらには、最終的には、地方の行財政単位の中でどのような影響を及ぼすかと。おそらく3番目の部分のところで、矛盾した要請がひょっとしたらあるのかなと。つまり、大阪とか神奈川とか、あるいは東京等の財政が、都市型のところはいま非常にひどい状況。こういうものを解消するためにやっているのか。あるいは逆に地方分権だからといって、いわばその都市を含まない部分のところにおける財源を保証しようとしているのか。ここが全体を流れているトーンが使い分けられているような部分がありますし、そこでこれを入れたときの前後の影響というものが、これはいろいろなシミュレーションの前提は必要になろうかと思いますけれども、そこの部分が隠されているがゆえに、読みにくい。つまり地方分権という意味が一体何なんだということが、国と地方なのか、地方の中の問題なのか、これは実は両者密接に関係しているわけでして、おそらくこの議論を詰めていこうということになると、フレームの部分のところ、仮定の部分のところを明らかにしないであいまいな形でやったときに、私は袋叩きにあうのではないかという危惧を持っているということであります。その点のところをもう少し工夫が要るのかという感じがいたします。

和田委員

大変私などには難しいというか、理解が難しい課題ではあったのですけど、いままで何回か報告いただいたり、自分なりにいろいろな勉強をしまして、だんだんわかるようになってきたというところが正直なんです。

私も、先ほど河野委員おっしゃいましたけれども、これからの扱いについて、いまいろいろなところで、まとめとか報告書について、パブリックコメントを求めておりますので、どういう扱いなるのか質問しようと思っていたところなんです。やはり広く一般に意見を求めることは必要だと思います。正直なところ、一般の個々の納税者、消費者にとって、わかりにくいことですから、そういう立場の者からはどれだけ意見が出てくるかわかりませんけれど、やはりもっとそれぞれの地域に住む人間にとって、決して個々人にとってはあまり関係ないよということではなくて、積極的にこういうところにもかかわっていくことが大事で、いまそれぞれの地方分権の言われているときでもありますし、それぞれの地域の財政状況あるいは税制、それから使われ方について、もっと見ていこうという機運は確実に広がっておりますので、ぜひそういうところでの、一般の納税者からも声が出るような形にぜひ持っていっていただきたいなということを感じております。

いま、パブリックコメントを求めるのは、大体どうなんでしょうか、1か月というのが、決まっているわけではないのかもしれませんけれど、なっておりますけれども、正直なところ、その内容がわかるまでに相当時間がかかるんですね。ですから、もしそういうことが実施されるのでしたら、期間をもう少し延ばさないと、無理ではないかなというような気がしております。

以上、パブリックコメントのところだけに絞ってですけれども、意見を申し上げました。

岩瀬特別委員

大変詳しい作業をされたことに大変私は敬意を表したいと思います。ただ、税の問題であるだけに、地方税の歳入の安定化を図るということの目的のために、やや応益性ということが随所に強調されすぎてはいないのかと。税金というからには、やはり担税力との絡みということも大きなファクターだと思いますので、そういう意味では、やはりいろいろ産業界等々が大きな時代の変化を来している流れの中で、応益性だけでもって、サービスを受けているじゃないか、ということだけでもって、そういうやや強調されて、無視されてはいけないと思うのですけど、やや強調されすぎているので、そういう反論をすぐ出したくなるような感じが私はいたします。

それで、別にいまの景気対策との絡みということではなくて、やはり企業の活力を失うような、つまり担税力とあまりにも異なったような税制をしくということは、活力を削ぐことになるということは、やはり大切なことではないかなと。その辺の激変緩和的なこともちょっとお言葉が入っていましたけれども、よく御検討いただきたいなと、そういうふうに思います。

吉田特別委員

時間が経過しておりますので、ただ1つだけ。石先生にちょっとお答えいただければありがたいのですが、この外形標準課税に移行するにあたって、配慮する課題という中に、中小法人に対する扱いがございますね。この扱い方いかんによっては、その前に法人事業税の部分がありますよね。それとの比較において、やはり不公平感は残ってくるのではないかと。したがって、今回は外形標準課税へ移行するのだと言いながら、応益課税に持っていくのだと言いながら、個人のほうは応能で残されている。この応能に残されている小規模法人以下の個人事業に対する配慮があり得るのか、ないのか、その辺、大変テクニックな問題ですが、伺っておきたいと思います。

加藤会長

それでは、よろしゅうございますか。そろそろ石さんに総括的にお答えいただきましょう。

石特別委員

パブリックコメントならぬ税調のコメントを大分いただきまして、やはりちょっと補足説明をしておいたほうがいいと思われる点が数点ございますので、それに限定して数分でお答えをいたしたいと思います。

欠損法人にかかるとか、あるいは重厚長大型にかかるとかという議論が、おそらくこれからいっぱい出てくると思いますね。ただ、あくまで我々事業活動規模という新しい物差しというか、まあこれは前からある付加価値ですけど、それにかけてやるわけであります。結果として欠損法人だったり、結果としてある特定の産業に従来と比較するとバラツキがあるかもしれません。ただ、重厚長大といえど、いうなれば、いままで儲かりすぎてうんと税金を払っていたところは、今度軽くなるわけですから、それだけ我々意識してここをやったというわけでなくて、結果の解釈だろうと思いますので、これ以上申しませんが。

それから、やはりないものねだり的なところもかなりあって、例えば応益をはかるといって随分やったんですが、そもそも無理ですね。公共サービスというのは、広く薄く、個人であれ法人であれいくわけですから、それを分割して企業の部分だけ応益としてくくり出せと言ったって無理なんですよ。そういう意味からいうと、大体大きな目で見て、例えば欠損法人だって、地域にいれば、公共団体がやっているさまざまな道路であれ港湾であれ、はたまた学校であれ保育園であれ、従業員がそこから間接的に得ているというならば、そういうこともあって、そこをかえって証明しろと言われても無理であろうと。ただ、明らかに何にも応益がないということは言えないだろうということは言えるわけでありまして、程度は難しいけど、応益は応益としてあるのではないかという判断に立ったわけであります。

それから、竹内さんと今野さん、女性の委員から2つ出された点は、まさに本間さんが言われたフレームの問題ですね。そこまで広げて議論することをやったら、おそらく十何回では終わらなかったですね。17回小委員会を開きましたけど。我々どちらかというと、法人事業税という枠内の中で専門的かつ理論的に詰めたということでありますから、実はそういう地方交付税との関係、あるいは国税法人税との関係等々、やるべきだったかもしれませんが、これはおそらく次のステップであり、基本問題小委員会の議論にまで格上げしたような議論ではないかと思います。初めから広げてしまうと、議論が拡散しますので、あえて自己規制的にフレームを小さくしたという点は御理解をいただきたいと思います。

それから、松田さんのお出しになった収入課税のところは、実は我々は全く逆の判断をしたんです。つまり、電事連をはじめヒアリングしましたときに、売上基準は不当であると、他業種に対して我々は不当に多く払っているから直してくれと、こういう議論だったんですよ。ですから、逆にいえば、喜んでいまの他の産業と一緒になるであろうというふうに話はいくと思いますね、この議論を詰めていくと。ただ、我々いろいろヒアリングした結果、確かに競争原理も入り、公益事業といえど昔とは違ったなという印象を持ちましたが、まだやはり他の一般の競争にさらされている企業に比べると、例えば配当は2割、予定した格好で売上げを組むとか何とか、やはりかなり地域独占的な要素もあるので、この辺はいまの現行を守りつつ、でき上がった姿がわかりませんから、その関係で考えましょうと、こういう議論をしたわけであります。

それから、水野さんのお出しになったそもそもの転嫁の問題等々は、今回はあえて触れなかったのは、この税は企業負担であるというふうに、わかったようなわからないような形で前提をしてしまったから。ところが、さらにいくと企業負担の中身が実は問われる。ただ、そこには先ほど申しましたフレームの関係で、議論はあえてそこで打ち切ったということであります。

それから、これは産業の活力を削ぐかどうか、これまた難しいんですね。中西さんはいなくなってしまったけど、これは難しいですね。かえっていいのではないかという議論も当然あるわけですよ。儲かっている元気なところに狙い撃ち的にいく税ではなくて、みんなで負担しようという税でありますから、これは今後見てみなければわかりませんが、かえっていいのではないかという反論もあったということだけ。

それから、応益がちらつきすぎるというのは、全くそうかもしれませんが、地方税でありますので、原理原則は応能より応益なんですね。そういう意味で、どれをとってもやや応能的な原則も出てくるかとは思います。そういう意味で、応益原則がいままであまりなさすぎるので、かえって振ったという点があるかもしれません。そういう意味では強くとられたのかもしれません。

吉田さんのおっしゃった個人事業税が応能かどうかというのも、これも議論があるところだと思いますが、いうなれば事業というものに対して、法人も個人もかけるという視点からいって、事業というのを社会で営んでいる点、社会全体から益を受けているという発想もあれば応能だと思います。ただ、今回は個人事業税そのものの、いろいろなこの間おっしゃったような、あん摩、はり、きゅうなんていうふうにバラツキがあるのはけしからんというところは触れておりませんが、それは個人事業税の世界でおそらく改革すべきだろうと思います。

中小企業の特例ということになってきたときに、この個人事業税が今度は外形課税にしないと言っているわけですから、当面は。その辺の関係は実はまだ煮詰め切っておりません。おそらく中小企業をどういうふうにこれから特例的に扱うかということの具体的な中身があって初めて個人事業主との絡みが出てくると思いますので、またそのとき具体的なことが出てきたときに、ちょっとその辺でまたコメントをいただければと思います。

加藤会長

パブリックコメントについて、ちょっと自治省の税務局長からお話があります。

成瀬税務局長

河野委員さんはじめ何人かの先生方からパブリックコメントについての意見があったわけでございますけれども、今度の小委員会報告の一番最後のところにも書かれておりますように、これから法人事業税の改革のあり方につきまして、都道府県、それから納税者であります法人、経済界等をはじめといたしまして、各界各層で幅広く活発な議論が行われることを私どもも期待をいたしております。そうした議論を踏まえながら、参考にしながら、中心はもちろん政府税制調査会ということになろうかと思いますけれども、十分に関係方面の意見を参酌しつつ、これからの方向について議論をさらに深めていきたいと思っております。

ただ、委員さんから言われた審議会の審議過程の手続きとしてパブリックコメントというのがあるのではないかという点は、私どもそういうような理解はしていないのですけれども。

河野特別委員

mustじゃないの?

成瀬税務局長

ええ。というようには理解していないのですけれども、またよく調べさせていただきます。

加藤会長

よろしゅうございますか。大変大幅に時間を超過いたしまして、申しわけなかったと思いますが、ただ、今日はまとめまして、そして夏休み前の総会はこれで終わりでございますので、どうしても今日やりたかったので、時間を大幅に超過いたしました。

今日の小委員会の御報告は、簡単に申しますと、本当に真っ暗闇の中にわずかな穴をあけただけでありまして、その穴がこれからどういうふうに広がるか、これはまだまだこれから先の話でございますので、それが10年かかるという御託宣もありました。しかし、9年ぐらいで終わるようにしたいという気持ちもありますが。いずれにいたしましても、こういう方向で少しずつ前進をしていきたいと、こんなことで御了承いただきたいと思っております。

この外形標準課税につきましては、今回の報告を踏まえまして、今後は総会でもって枠組を含めた広い議論を進めていきたいと思っております。

それから、最後に、前回の総会で申し上げましたが、法人課税小委員会が来週の13日に再開されることになっております。改めて小委員会のメンバーについて御紹介させていただきます。

お手許に名簿をお配りしてありますので、御覧いただきたいと思いますが、前回も申し上げましたとおり、基本的に従前の委員に引き続き務めていただくことになっております。

順に御紹介をさせていただきますと、まず、特別委員からは私に加え石 弘光さん、神田秀樹さん、平田公敏さん、それから本間正明さん、松本作衛さん、水野忠恒さん、専門委員からは安藤英義さん、貝塚啓明さん、小島 昇さん、神野直彦さん、関 哲夫さん、平川忠雄さん、吉牟田 勲さんとなっております。

なお、公認会計士の小島 昇さんは、今月1日付で専門委員に任命されております。

小委員長につきましては、引き続き石委員にお願いをしたいと思っております。今回のが終わったので、終わったと言ってはいけませんが、一応仕上がったことにいたしまして、次にまた引き続きお願いいたします。

それから、前回の総会で申し上げましたとおり、再開後第1回の法人課税小委員会は、今月13日の午前10時から大蔵省の会議室、廊下を挟んで反対側でありますが、開催されます。

次に、税制調査会においては、例年夏に海外調査を行っていますが、今年は法人課税小委員会における検討が来週から再開されることもありまして、年が明けてから検討することにしたいと思っております。夏休み前の総会はこれで終わりといたしまして、次回の税制調査会の総会については、改めて御案内を申し上げることにいたします。大変お忙しいところ、今日はありがとうございました。

〔閉会〕

(注)

本議事録は毎回の総会後、速やかな公表に努め、限られた時間内にとりまとめるため速記録から、大蔵省主税局及び自治省税務局の文責において作成した資料です。

内容には正確を期していますが、税制調査会議事規則に基づき、事後の修正の可能性があることをご承知置きください。