第32回総会 議事録
平成11年4月23日開催
〇加藤会長
それでは、ただいまから税制調査会の第32回総会を開会いたします。
本日は、まず議題を最初に申し上げておきますと、初めに、平成年度税制改正関連法案の国会審議の状況など、昨今の税制をめぐる状況について事務局より説明を受けまして、これに対する質疑を行いたいと思います。
次に、年度答申以降も審議を続けております地方法人課税小委員会の審議状況について、石小委員長から報告を受けたいと思います。
最後に、小委員長報告に対する質疑を含めまして、自由討議を行いたいと思っております。
年度税制改正関係法案の要綱といった資料を配付いたしましたので、御参照いただければと思います。
時半ごろになろうかと思います。その時はちょっと審議を中断いたしまして、御挨拶をいただこうと思っております。
本日の審議に入る前に、事務局で人事異動がありましたので、御紹介を申し上げます。
お一人は片山善博前府県税課長が退職されまして、武田文男前固定資産税課長が後任の府県税課長になられました。
なお、御存じの方も多いとは思いますけれども、片山前府県税課長は、さきの統一地方選挙で鳥取県知事に当選されました。頑張っていただきたいと思っております。
また、岡崎浩巳前文書課長が武田前固定資産税課長の後任になられました。御報告いたします。
それでは、本日の審議に入りたいと思います。
年度税制改正関連法案をはじめとする国会審議において、どのような問題が取り上げられたかにつきまして、事務局より説明を受けたいと思います。
月には自民党と公明党との間で予算案の取扱いをめぐって、政策に関する確認書が取り交わされたことは、報道などですでに御承知のことと思います。これらの中で取り上げられております税制に関する事項についても、あわせて説明をいただきたいと思っております。
それでは、尾原主税局長、よろしくお願いいたします。
〇尾原主税局長
昨年末、委員の皆様方におかれましては、小渕総理の公約でございました恒久的な減税をはじめといたします平成11年度税制改正について、精力的に御審議いただきまして、税制改正の答申を取りまとめていただきました。
その後の経緯でございますが、今年に入りまして、「平成法案が閣議決定され、国会に提出されたわけでございます。
その後、国会において審議を経まして、日から施行されているわけでございます。
お手許の資料といたしまして、「総」『国会の審議過程における主要討議事項』というのがございます。これに即しまして、国会におきます税制改正に関連する主な国会質疑を御紹介させていただきたいと思います。
世紀の初頭における財政・税制の課題について、根本的な視点から必要な措置をとらなければならない」という答弁がなされております。
それから、総論の一つ置いて下にございますが、「恒久的な減税の『的』の意味は」という質問がございまして、総理の方から、「税制というものは、絶えず見直しをしていくべきものであり、恒久減税というものはあり得ないが、今回の減税は単年度でなく、期限を定めず継続するという意味で恒久的としている」と答弁がなされております。
それから、恒久的な減税はいわゆる恒久的減税法におきまして、個人及び法人の所得課税の抜本的な見直しを行うまでの間の措置として定められているわけでございます。また、法律上、将来抜本的な見直しを行うということは明確にされているわけでございますが、「その抜本的な見直しの時期と内容はどうか」という質問がございました。これに対しまして総理から、「個人及び法人の所得課税のあり方につきましては、今後の経済状況等を見極めつつ、我が国の経済社会の構造的な変化、国際化の進展等に対応する抜本的見直しに向けて、腰を据えた検討を行っていく」という旨の答弁がなされております。
年限りの特別減税と恒久的に効果が持続する減税を単純に比較することは適当でない」という答弁がございました。
万人が納税者でなくなった。こういうたくさんの人が納税者でなくなるのは、所得税の姿として適当でない。また、その限りで所得税の累進構造が消えてしまう。こういうものも適当でなくて、まさに定額減税のようなものは、続ければ基本的な税制改正はできなくなる」というような答弁がされました。
それから、次のページに入りまして、消費税関係でございます。消費税につきまして、「景気対策として消費税の時限的凍結あるいは3%への引下げを行うべきではないか」という質問がございましたが、総理から「消費税率の引上げを含む税制改正は、少子・高齢化の進展という我が国の構造変化に税制面から対応する、我が国将来にとって極めて重要な改革であって、消費税率の引下げは困難である」と答弁がされております。
また、その下に消費税の福祉目的化についても繰り返し質疑がございました。この点については、また後ほど紹介させていただきたいと思います。
それから、相続税の見直しについても質問がございました。これにつきまして大蔵大臣のほうから、「個人所得課税の抜本的な見直しの際には相続税も検討することになるだろう」という答弁がなされております。
次のページでございますが、上のほうに「確定拠出型年金制度導入に向けた税制上の措置について」という質問がございました。大蔵大臣から、「退職金課税と給与課税のバランス、その他の金融商品に対する課税とのバランス、年金制度の中での位置づけ等を考慮して、適切な課税のあり方を考える必要がある」と答弁されております。
それから、住宅ローン減税につきましても、「なぜ住宅ローン利子控除制度でなく、税額控除制度の拡充という方式によったのか」という質問がございました。大蔵大臣のほうから、「利子所得控除は高額所得者に有利になってしまうなどの問題があるのに対して、税額控除は中堅所得者に効果が大きいということなどを踏まえて、この方式を採用した」と答弁されております。
それから、後ほどこれも紹介させていただきますが、総合課税化の質問がございました。総理のほうから、「納税者番号制度を含めた所得把握体制の取組みも含め、理論面、実態面から十分検討を進めていく必要がある」と答弁がなされておりますし、大蔵大臣からは、「資産が世界を転々とする現状でもあり、総合課税を目指すのがいいのか、それとも分離課税のほうがいいのかということについては、両方の議論がある」という答弁もなされているところでございます。
納税者番号制度導入につきましても、質問がございました。総理のほうから、「制度の目的、プライバシーの問題、経済取引への影響などについて、議論をさらに深めていく必要がある」と答弁されております。
法人の活動実態をまず十分見極める必要がある。その上で、寄附の公益性が担保できる仕組みができるのかどうか、慎重に検討していく必要がある」という答弁がなされているところでございます。
時間の関係で全て御紹介できませんでしたが、それ以外にもここに書いてあるようなたくさんの質問があったわけでございます。
日に消費税の福祉目的化について、両党の合意に至ったわけでございます。
眺めていただきますと、ここに経緯が書いてございますが、消費税収の国分の使途を基礎年金、老人医療及び介護に限定する。具体的なやり方でございますが、使途の限定を予算総則に明記するということで、明記したわけでございます。
福祉目的化の趣旨でございますが、消費税収を広く国民の老後等を支えるための予算に使うということを明らかにし、消費税に対する国民の理解を一層深めるということでございます。この趣旨から、消費税収の充てられる経費でございますが、広く国民の老後等を支える基本的サービスでございます基礎年金、老人医療、介護というふうになってございます。
兆円ほどの姿になっております。
今の福祉目的化については国会でも当然のことながら質疑がございまして、今申し上げた趣旨で答弁がそれぞれ総理、大蔵大臣からなされております。
また、これに関連いたしましては、「消費税の使途を法律で規定するというような福祉目的税にすべきではないか」という質問もございましたが、総理からは、「今後の少子・高齢化の進展を踏まえ、社会保障給付のあり方とその財源をどうするのか、中長期的な税構造はどうあるべきか、いわゆる目的税につきましては、税調答申を含め、これまで指摘されてきた様々な問題がございます。これについてどう考えるかといった諸点について、幅広い観点から十分検討が必要」と答弁されておりますし、大蔵大臣のほうからは、「社会保険のあり方、給付と負担のバランスといった論点もあり、よほど税の目的とその使途が非常にはっきり結びついているのでない限り、目的税とすることはいかがか」という趣旨の答弁がなされてございます。
でございますが、「その際、支給対象者に対する現行の所得税及び個人住民税における扶養控除制度並びに現行児童手当制度を廃止することの是非についても併せて検討する」というふうになってございます。これらの問題につきましては、今後、個人所得課税の抜本的な見直しに向けた検討の中で、税制調査会におきまして、幅広く御議論いただきたいと思っております。
以上が国会における審議状況と最近の情勢でございます。
なお、最後に、経済戦略会議の報告を、先ほど会長からお話がございましたが、またこれも御覧になっていただければと思います。
〇加藤会長
ありがとうございました。
次に、地方税関係の国会審議の状況について、成瀬税務局長、よろしくお願いします。
〇成瀬税務局長
それでは、恐縮ですが、資料「総32‐2」の5ページをお開きいただきたいと思います。地方税に関します国会の審議過程におきます主要討議事項について御説明をさせていただきます。
まず、地方税関係の法律案でございますが、本年の日公布をされております。
続きまして、審議過程におきます主な討議事項について御説明をいたします。
まず、全体の感触からお話をさせていただきますと、今日、地方分権推進ということで、幅広くいろいろな議論が行われておるわけでございますが、そうした観点から、今後は地方税源を充実確保すべきであるという質疑がかなりの部分を占めておりまして、また、事業税への外形標準課税の導入や、あるいは地方消費税のあり方などに関しましても、質疑が多く出されたところでございます。
ページでございますけれども、この地方税源の充実に関しましては、分権を推進していく上での地方税源の充実確保策、とりわけ国から地方への税源移譲に関します質疑が多く出されております。
番目のところでございますけれども、「地方財政が悪化している中で、各自治体の自助努力には限界がある。喫緊の課題である地方税財源の充実確保を図るために、どのような方策を具体的に考えているのか」といった質問に対しましては、「地方税財源の充実確保は、分権を推進する中で極めて重要な課題だと認識している。分権の進展に伴って、国と地方公共団体との役割分担を踏まえつつ、国と地方の税源配分のあり方についても検討しながら、地方税の充実確保策を講じていくべきだというふうに考えている。この場合には、地方分権推進計画にもうたわれているところでございますが、所得・消費・資産等の間における均衡がとれた国・地方を通じる税体系のあり方等を踏まえつつ、税源の偏在性が少なく税収の安定性を備えた地方税体系の構築について検討する必要があると考えている」というように答えがなされております。
また、税源移譲に関する質疑といたしましては、分権するなら税源移譲すべきだといったような提案が多くございまして、これに対しましては、「少しでも多くの団体が国からの財源に依存することなく、自主財源である地方税によって、自立的に財政を営むことができるようにすることが目指すべき方向であろう。そういった中で、国と地方公共団体との役割分担を踏まえつつ、国と地方の税源配分のあり方についても検討しながら、そうした中で地方税の充実確保を図るべきと考える」というように答えがなされております。
の恒久的な減税に際しての議論でございますが、まず、総論的なお話といたしまして、「今回の恒久的な減税は、地方分権の流れと国と地方の税源配分の見直しという観点から見れば、基本的には国税での減税で対応すべきではないか」という質疑がございました。これに対しましては、「今回の減税については、厳しい地方財政の状況や分権推進の要請を踏まえて、減税は基本的に国税で行うべきであるとの考え方に立って検討してきたところでありますが、その結果、減税の国と地方の分担割合につきましては、地方の厳しい財政状況も踏まえつつ、ぎりぎりの措置として今日定められたような、それぞれの負担割合が決められた。また、それによる減収を補てんするため、たばこ税の国と地方の配分割合の見直し、その他のいろいろな財源措置が講じられることをあわせ考えれば、一応分権の流れにも沿っているものと考えている」というように答えがなされております。
次に、個人住民税の関係でございますけれども、最初のでは、税源移譲あるいは納税者番号制度に関するもの等の質疑が多くありました。
この中でも、番目になろうかと思いますが、「個人住民税の負担分任の考え方から見れば、今回の最高税率の引下げはいかがなものか」という質疑がございまして、これに対しましては、「個人住民税は地域社会の費用を住民がその能力に応じて広く負担を分任するという性格を持っている税であり、このため課税最低限は所得税よりも低く、また、税率も緩やかな累進構造となっているところである。そうした中で、今回の最高税率の引下げは、我が国の将来を見据えて、国民の意欲をできる限り引き出す観点から、個人所得課税の見直しの一環として、所得税とあわせて行うこととしたものである」旨の答弁がなされております。
次の%の部分を住民税に移譲するという考え方をどう評価するか」といった所得税から住民税への税源移譲に関する質疑もあったところでございます。
次に、法人関係税でございますけれども、今国会におきましては、地方税全体の中でも特に目立ちましたものが、に書いてございます外形標準課税に関する質疑でございました。
まず番目になりますけれども、「地方税財源の充実確保の観点からも、法人事業税の外形標準化が大きな課題であるが、今後どう進めていくのだ」という質疑がたくさんなされまして、これに対しましては、「地方の自主財源をどのように安定強化していくか、これが長年の課題であり、少なくとも地方行政サービスが安定的でベーシックなサービスを要請されていることから、基本的には、景気変動にも強い税収構造、安定的な税収構造であることが望ましい。政府の税制調査会におきましても、外形標準化につきまして、望ましい方向性であり、非常に大事な検討課題であるといった答申もあり、ぜひ地方税収の安定性を念頭に置いた事業税の応益課税化に努力してまいりたい」というように答えをいたしております。
それから、番目の「事業税への外形基準の導入についてどう考えるか」というような質問に対しましては、「外形基準の導入は都道府県の税収の安定化を通じまして、地方分権の推進にも資すること、応益課税といった税が本来持っております性格の明確化にもつながること、広く薄く税負担を分担していただくことといった意義を有するものであり、特に地方税のあり方として望ましい方向であると考えている。今後、外形基準の導入に伴います税負担の変動、経済活動への影響、中小法人の取扱いなどの問題への対応を含め、精力的に検討を進めていく必要があると考えている」旨の答弁がなされております。
そして、月ごろを目途に報告を取りまとめる方向で審議を進めているというふうに伺っておりますので、報告の内容も踏まえつつ、できるだけ早い機会に実現できるように努力いたしたい」というような答弁がなされております。
このほか外形標準課税に関しましては、「外形標準課税についての反対意見は、具体的なイメージがわかないことに起因すると思われるので、具体的なイメージをいくつか提起した上で議論を進めていくべきではないか」、あるいは「基礎年金の国庫負担率の引上げにより、企業の社会保険料負担が軽減される部分に外形課税を導入すべきといった議論があるが、これについてどう考えるか」、あるいは「外形標準課税の導入に当たりましては、景気に配慮するとともに、特に中小企業の意見を踏まえた対応が必要ではないか」といった質問が多く出されておったところでございます。
その他、地方消費税関係では、下から5番目になろうかと思いますが、「地方税源の充実のため、消費税率を5%に据え置いたまま、地方消費税を2%に拡充するといった方策は考えられないか」とか、あるいは「地方の福祉を後退させないために、地方消費税への配分割合を引上げ、福祉分野に優先配分すべきではないか」といったような質疑も見られたところでございます。
大体地方税関係の主な討議事項は以上でございます。
〇加藤会長
ありがとうございました。
続きまして、中央省庁等改革における審議会等の見直しの中で、税制調査会の取扱いについても議論がなされたと聞いております。これについて、事務局より状況報告をお願いいたします。
伏見総務課長、よろしくお願いいたします。
〇伏見総務課長
関連の資料は「総32‐5」でございます。中央省庁等の改革に関連しまして、いわゆる審議会全体のあり方が議論をされてまいりました。昨年の税調で途中経過のような形で御報告をさせていただきましたが、その後整理がなされておりますので、結果を御報告させていただきたいと思います。
いわゆる中央省庁等改革基本法というのが昨年の日ごろになろうかと思いますが、内閣法、それから国家行政組織法、各省設置法等の関連法案を閣議決定いたしまして、法案を今国会に提出するということで、いま最終的な作業に入っているわけでございます。
このうち審議会の関連でございますけれども、途中いろいろな議論がございましたけれども、この税調につきましては、基本的に総理の諮問機関として引き続き存置をされるという形になってございます。ただ、形式的には、いわゆる総理府がなくなりますので、現在総理府に設置されておりますものが内閣府に移設されるという形になります。それに応じまして、必要な法改正等行われますが、基本的には引き続き税調が存置されるということになりました。
月、中央省庁等改革推進本部の顧問会議というものに提出されました『審議会等の整理合理化に関する基本的計画』というものを配付させていただきました。内容等の御説明は省略をさせていただきますけれども、これに応じまして、今後また審議会の運営その他必要がありましたらば、御報告をさせていただきたいと思いますし、また御相談をさせていただきたいと思っております。
〇加藤会長
ここでしばらく中断をいたします。いまカメラが入ります。
月に就任されました野田自治大臣がおみえでございますので、一言御挨拶をいただきたいと思います。
野田自治大臣、よろしくどうぞ。
〇野田自治大臣
税制調査会第32回総会の開催に当たりまして、一言御挨拶申し上げます。
委員の皆様方には、地方税制につきまして熱心な御論議を賜り、適切な指針をいただいておりますことに対し、心から御礼を申し上げます。
さて、現在の地方財政は、多額の財源不足が続き、借入金残高が平成11年度末には176兆円に達するものと見込まれるほか、地方税収が落ち込み、また公債費の割合が著しく増加するなど、極めて厳しい状況にあります。地方税は地方自治の基盤をなす極めて重要な役割を担うものであります。今後、地方分権を推進していくために、地方税源の充実強化が不可欠であり、税源の偏在性が少なく、税収の安定性を備えた地方税体系の構築に努めてまいりたいと考えております。
そうした中で、政府税制調査会におかれましては、法人事業税への外形標準課税の導入についての御検討をしていただいておりまして、特に昨年5月からは、地方法人課税小委員会を設置され、専門的、理論的な検討に取り組んでいただいております。
外形標準課税については、今国会の地方税法改正の審議などにおきましても、その導入を求める意見が多く出され、またその早期実現に努めるよう両院の委員会において附帯決議もなされたところでございます。私としましても、地方税制のあり方として、望ましい方向であると考えておりまして、政府税制調査会においてぜひとも実り多い御検討を賜りますようお願いを申し上げます。
委員の皆様方には、地方財政の状況や地方公共団体の役割と、それを支える地方税の重要性に深い御理解を賜りますようお願い申し上げまして、簡単ではございますが、私の御挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。
〇加藤会長
ありがとうございました。
自治大臣は日程の御都合もございますので、ここで退席をされます。
野田大臣、本日はお忙しいところありがとうございました。
それでは、引き続き審議を始めさせていただきます。
続きまして、地方分権推進委員会の勧告に基づくいわゆる地方分権一括法案が国会に提出されているようでございますが、これについて事務局より説明を受けたいと思います。
桑原企画課長、よろしくお願いします。
〇桑原企画課長
それでは、お手許の資料「総32‐6」に基づきまして、最近の地方分権の推進に関する動きについて御報告させていただきます。
お手許の資料は、『地方分権一括法案(平成月に閣議決定いたしました地方分権推進計画に基づきまして、各省庁で抱えております国と地方との関係に関する法律等々につきまして、これまでの議論を具体化するための一括法案を国会に提出したところでございます。
関係の法案はページ目は、その中の地方税法改正関係の概要でございます。
分権推進委員会の勧告は、地方税につきましては、大きくつは、地方税源の充実確保ということでございます。これにつきましては、税制調査会の毎年度の年度改正の答申あるいは中期答申の中で幅広く御検討、御議論いただくことと思っております。
もう一つ、地方公共団体の課税自主権を拡充する旨の勧告もいただいておりまして、これにつきましては、過去の地方税法の年度改正ですでに措置したものもございますが、残りのここに書いてあります大きくつは法定外普通税の許可制度の見直しでございます。地方公共団体が地方税法にない税を独自に課税する場合、現行は自治大臣の許可制度となっておりますが、それを自治大臣の同意を要する協議制に改正しようというものでございます。
番目は、現在、制度上ありますのは法定外の普通税でございますが、受益と負担の関係をより明らかにしようということで、法定外の目的税という制度を新たに創設しようというものでございます。手続関係は法定外普通税と同様でございます。
それから、下のほうに米印で書いておりますが、税制調査会でも時々話題になりましたが、現在、地方財政法におきまして、地方税を標準税率未満で課税している地方団体については、地方債の発行が全くできないという、ここに書いてありますようなものについてはできないというような制度になっておりますが、これを財政運営上支障がないと認められる場合には、自治大臣の許可を経て発行できるような制度にしようという改正があわせて行われることとなっております。
2ページ以降は、その一括法の全体の概要でございます。2ページ目は、国と地方団体の役割の明確化、それから、少し飛びますが、5ページは国と地方公共団体の関係、国の地方団体への関与の見直しといったものでございます。
ページの[1]は、市町村の合併を推進するための制度改正でございまして、合併についての住民の意思を尊重するための制度の拡充、あるいは都道府県知事の合併に対するリーダーシップを強くする制度、それから、合併を推進しますための交付税あるいは地方債の特例、財政上の優遇措置を講ずる措置等々が内容となっているところでございます。説明は省略しますが、御参照いただければと思います。
〇加藤会長
ありがとうございました。
それでは、以上、事務局の説明がいくつかございましたが、その中で何か御質疑あればどうぞお願いいたします。どなたからでも結構でございます。
〇石特別委員
小さなことなのですが、桑原さんの御説明いただきました地方分権一括法案のところの法定外普通税、法定外目的税が、許可から同意を要する協議になったというのですが、この日本語の意味がよくわからないのですが、どう変わるのですか。
〇桑原企画課長
現行は許可制度ということになっておりますので、基本的に講学的に申し上げますと、原則的に禁止されているものを一定の要件に該当する場合には、自治大臣が許可するということでございますが、今回の制度は、新たに発想を少し変えまして、国と地方公共団体がいわば対等・協力の立場に立って、合意に向けて協議をしていこうという考えに基づきまして、国と地方との関係を1つ新しいシステムをつくったわけでございます。そうした国と地方との協議という形でもってこの制度を運用していこうということでございます。
〇石特別委員
やはり同意されなければだめなのでしょう?
〇桑原企画課長
そうですね。
〇石特別委員
すると、どう言ったって許可と似たようなものではないですか。
〇桑原企画課長
いまの資料の5ページを御覧いただきますと、国の関与等の見直しの考え方が書いてあるわけですけれども、その下の参考のところに、関与の基本原則というのが書いてありまして、特に[3]公正・透明の原則ということで、関与に関する手続について、書面の交付だとか、あるいは協議の過程の経過を明らかにするとか、そういった従来の一方的な許可制度と違う考え方に基づいて組み立てておりますし、それから、6ページを御覧いただきますと、下の参考というところにありますが、仮に万が一、国と地方公共団体の協議がうまくいかなかった場合には、ここに書いてあります国地方係争処理委員会というところに諮るという制度もあるわけでございまして、従来の国と地方、上下関係的な立場からの許可制度とはかなり発想の違った制度を導入したというふうに理解しているところですが。
〇加藤会長
諸井さん、何かございますか。
〇諸井委員
門前払いではないということですね。これは相当苦労したところですから。
〇松本(和)委員
国会での議論について、税務局長から説明があったわけでございますが、いま統一地方選挙が行われているところでございます。そういうことで、地方分権や地方の税源の充実強化の実現が問われているのではないかと思います。実りある地方行政を進めるためにも、よき代表を選ぶこと、これは当然でございますが、その受け皿となる税財源基盤をつくり上げることも大事ではないかと思います。事業税への外形基準の導入の議論や地方消費税、個人住民税の税源移譲の議論は、いずれもそうした地方税の新しい姿を描こうとするものであり、国会にもそうした地方団体の思いが伝わっているのではないかと思います。ぜひともそういう方向で検討をしていただきたいと思います。
また、分権というからには、課税自主権の充実も重要でございます。地方分権一括法案で法定外普通税の許可制度の改正や、法定外目的税の創設が盛り込まれていることは、大いに歓迎いたします。こういうことを起爆剤として、住民との議論を経て、新しい税収構造のあり方、受益と負担について考える場ができてくるのではないかと期待しております。
そういうことで、委員の皆様にも、この統一地方選挙を機会に、市町村、そして都道府県の税源がいかに充実すべきか、ぜひとも御一考願いたいと思います。
〇加藤会長
ありがとうございました。ほかにございませんか。
よろしゅうございますか。まだ御議論がおありかと思いますけれども、最後の自由討議の時間でお出しをいただいても結構でございますので、それでは、地方法人課税小委員会の審議状況の報告を受けたいと思います。
小委員会における審議状況については、昨年10月27日に石小委員長から総会への報告を行っていただきましたが、小委員会は本年に入ってからも1月から再開しまして、毎月1回のペースで審議を続けております。この間の審議の状況について、石小委員長より報告を受けたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
〇石特別委員
お手許に「総32‐7」と書いてございます『地方法人課税小委員会におけるこれまでの意見等について』というやや薄めの資料と、『外形標準課税関係資料』というかなり分厚な資料と2冊用意してございます。この分厚いほうの資料につきましては、後でゆっくり御覧いただきたいと思います。これは我々が審議に際しまして使った基礎的なデータが盛り込まれております。事務局に御面倒いただきまして、これだけそろえたわけでございまして、これは何かと参考になろうかと思います。
そこで、審議状況につきましては、この薄いほうの資料につきまして御説明いたします。
1ページ目、2ページ目、お開きいただきたいと思いますが、これはいま会長からも御説明いただきましたように、昨年の5月19日から行われました1回目からの一応ずっとやってきた経緯が書いてございまして、6回目ぐらいにつきましては、すでに御説明をしておりますので、きょうは7回目以降のことにつきまして、ごく簡単に議論の内容につきまして御説明をさせていただきたいと思います。
7回目、8回目、9回目につきましては、委員のレポートあるいは関連機関のヒアリングを受けました。7回目、これは井上委員のレポートでございますが、井上委員は、基本的には外形課税は反対であると。中小企業の負担になるということが主たる論拠でございまして、必要な財源は行革等で生み出したらいいではないかと、そういう御提案でございました。
それから、関経連、全国法人会総連合からも各々の代表をお招きいたしまして議論いたしましたが、関経連の方は、地方税の中で所得課税のレートが高いのが問題であると、したがって不安定であると、これを中長期的には事業税を外形課税化することによって補完すべしであるという、基本的に外形化に御賛同いただきましたし、それから、全国法人会の榎本さんからも、応益課税と言うなら所得課税でないほうがいいだろうと、基本的には業種間の格差が少ない簡便なものであれば、外形課税を考えるべしという御意見でございました。
それから、いま、法人事業の実態から見て、やや特異な形でかけられております電気とかガスとか保険関係の代表といたしまして、電気事業連合会の代表をお招きいたしまして御議論いただきましたが、収入金課税だとどうしても所得基準より重いので、税負担が高いから、ほかと一緒に所得課税にしてもらいたいという要望がございまして、理論的に収入課税ではおかしいのだという発想よりは、どちらかというと、税負担の軽減をしてくれということが表に出た御意見陳述であったと承っております。
それから、10回目、11回目、12回目はこれから御説明いたしますが、具体的にだんだん煮詰まってきた段階で、外形基準の絞り込みというようなことを図りましたので、それを踏まえて、委員の討議があったということでございます。
そこで、お手許の3ページ以降に「地方法人課税小委員会における主な意見の概要」と書いてございます。これは、賛成もあるし、反対もあるし、様々な意見を整理したということでございまして、小委員会の見解を取りまとめたものではないということであります。それをちょっと御注意いただきたいと思います。つまり例示でございます。ただ、ここに丸で出ている項目を後でお読みいただければ、どういう雰囲気で、どういう内容のことが検討されているかということは、御理解いただけると思います。
そこで、かいつまんでポイントごとに整理した点の中で重要なものだけ御説明をいたします。
やはりそもそも、なぜこういう外形課税化をやらなければいけないかということですね。この一種の基本的な意見なり基本的な哲学が必要でございまして、これにつきまして、「外形標準課税の考え方について」というのが最初のポイントのところでございます。やはり都道府県というのは、法人企業に対して様々な便宜を享受している。企業のほうもそれを受けて活動を行っているわけでありまして、いうなれば、応益という視点から見て企業は応分の負担をしてもいいのではないか。つまり応益原則ということが根っこにある。とはいえ、最近、地方のサービス内容が個人を中心にした福祉に偏っているので、どうも応益に対して企業が負担するのが多くなっているのではないかという御批判もある。それから、やはり大きな問題は、府県税の4割ぐらいになっております法人事業税の現行が極めて不安定になっていて、いまの不況の波をもろに受けて、税収減の最大の要因になっているわけでありまして、やはり外形課税というのは、税収の安定という視点から検討すべきである。いうなれば、応益性、税収の安定性といったあたりが導入に当たっての大きなねらいではないか、というあたりの議論がここで行われております。ということは、6割を占める赤字法人についても、応分の負担をしてもらうということでいいのではないかというのが出てくるわけであります。
それから、そうはいっても、外形標準課税をしますと、様々な経済活動に影響を及ぼすわけでありまして、ポイントの2といたしましては、経済活動への影響につきましてどう考えるかと。経済活力を削ぐようなことはいけないし、かつ、企業にインセンティブスを与えるような税制が望ましいという視点から、これを構築すべきであるというのが基本的視点でございますが、さはさりながら、外形課税というのは、いまあります企業の収益以外にほかの基準でかけるとなれば、おそらく企業の雇用とか投資活動を抑制するおそれがあるので、それに十分配慮すべきであるし、かつ、労働集約的な中小企業の税負担が重くなるというような税体系になると、これはまた問題ではないかといったような心配も、中小企業の代表者を通じて出されているわけであります。
それから、5ページ目に外形課税の選択ということに関しまして、いくつかのポイントが出ております。どういう基準を選ぶかというので、様々な具体的な実例があるのでありますが、ここには具体的に書いておりませんが、一応、ほどの基準が出ておりまして、そこからどういうふうに組み合わせて、何を選ぶかというところの問題として、この5ページ目の上に書いてございますが、課税客体の地域定着性、安定性、普遍性といったような条件を満たすべきではないか。こういったのがやはり基本的なポイントではないか。と同時に、税源の偏在があまり大きくなっても困るし、かつ、複雑で納めるほうが困るという、そこで納税協力コストみたいなものが非常に高まっても困るだろうし、望ましいのはシンプルな形で外形課税ができないかということですね。
それから、いま分割基準というのをやっているわけですが、分割基準というのを本当に必要な形で仕組むかどうか、これも一つ問題だろうということであります。
6ページ目にいくつかの実際の基準の選択に当たって、どういうことを考えたらいいかということの中身について触れるような議論がありますが、一番上には所得型付加価値税がいいのではないかということ、それから、そうなると、今度は国境税調整とかそういう問題が出てくるので、逆にいってこれは問題だという議論ですね。あるいは、いま政令指定都市に事業所税というのがありまして、これは給与とか床面積についてかけているのですが、この事業所税的なことを想定して検討してはどうかとか、あるいはまた下のほうに書いてございますが、事業税そのものを廃止して、法人住民税、要するに均等割を拡大する方向で何か議論はできないかとか、税負担が非常に変動するということに留意すれば、可能なところから資本とか給与とかといったものを入れてもいいのではないかとか、こういう議論が外形基準の選択に関する意見としてここで出ているわけであります。
それから、7ページ目以下は、制度の簡素化とか事務的コストの観点等についてというところ、あるいは中小企業や創業期の、ベンチャーですね、こういう企業についての税負担のあり方等以下は、実際に施行するに当たって、どういう点を配慮したらいいかということの議論でございます。
特にやはり簡素ということの大きなねらいには、納税者が納税しやすいという点もございます。それから、また、行政側のほうで実際に徴収するときの手間暇の点で、簡単なほうがいいだろうと。特に今度は府県税という形で導入されるわけでありますから、受け手のほうが行政的に耐えられなければ困るだろうという視点から、シンプル・イズ・ベストであるといった原則を言うべきだというような議論もここに出ているわけであります。
やはり賃金、給与ということが念頭になったときには、この範囲の特定化について、そう簡単ではないよという議論もこれまた出たということであります。
それから、先ほど野田自治大臣は、前向きにかなり踏み込んだ御発言をいただきましたが、仮に導入という運びになるとして、何が障害かというと、やはり中小企業の、あるいはベンチャーといったものへのリパーカッションといいますか、影響、この辺をどういうふうに考慮しなければいけないか。つまり特例的な優遇措置が必要かどうか。これもまた議論が分かれるところだと思います。つまり法人の数でいいますと、90何%以上がおそらく中小企業に入るわけでありますから、中小企業の果たしている役割というものに対して、大きな阻害効果ができてはいけないだろう。そういう意味で、7ページ目の一番下のほうに政策的配慮としていくつか優遇税制だとか控除制度とか、あるいは所得基準と外形基準を併用あるいは選択といったような形で処理できないか。
それから、次のページで、ベンチャーというのは創設期平均して年の間は赤字になるのが普通ということでありますので、そこで赤字法人課税に当たります外形基準が入ったときに、かなり問題が大きくなるのではないかといったような、そういう点が配慮すべきであるという声が強いということであります。
それから、欠損法人、赤字法人、当然これがかかったときに果たして受け入られるかという議論も考慮しなければいけないだろうと。
それから、我々のテーマは法人事業税ではございますが、個人の事業税というのも関連しないことはない。そういう意味で、個人事業税につきましてもいくつかデータを出してもらいまして、議論はいたしました。そこで、これはこれからまだ本格的に詰めなければいけないのですけれども、外形課税に当たって、存続の必要性も議論すべきではないかとか、あるいは個人についても事業活動をしているのだから、事業活動に着目した税負担があってもいいのではないかという視点、両方から出ているわけであります。
それから、最後に残ったポイントといたしまして、いくつか問題が並んでおりますが、例えば現行の地方税法の72条19というものにのっとってやる気ならば、外形基準というのはできるのです。ただ、できるとはいいましても、これは各府県が独自にやっても、ほかの府県との、2県以上にまたがる場合には様々な問題が出てくるのは事実でございまして、いまの現行制度で個別の県に主体的に合わせるよりは、全国で統一的な基準でやらないと、この種のものは無理であろうと。そういう意味で、我々はこの72条の19に頼らないで、全国的なルールで、法人税、事業税を見直しを企てているということであります。これにつきましても当然のこと、現行制度の絡みも議論をいたしました。
それから、委員の中にも、この外形課税化が増税の手段にされるのは非常に問題であって、警戒心も強くて、そういう意味で、地方の行革であるとか市町村合併、あるいは地方職員の削減といったようなことで、仮に財源ということを問題にするなら、そっちを中心にすべきであると、こういう議論ですね。
それから、昨年、ドイツ、フランス、オーストリア等々に視察に行きましたが、外国の例を見ると、いろいろな事情がございますので、日本とは比較できないのですけど、ドイツの営業税とかフランスの職業税などは、やや縮減の方向にあるのではないか。そこに書いてございませんが、逆にイタリアなどは拡充の方向にあります。そういうことで、各国の例と比較しつつ、いろいろな議論は出るのでありますが、やはり各国独自の事情、独自の税制に対する要望によってこの種の議論はしなければいけないのかなと、こういう形で議論が行われております。
あとは、一応、6月末ぐらいをめどにと考えておりますが、小委員会の報告をまとめたいと思っております。あと4~5回やらなければいけないかなと思っておりますが、具体的には、外形基準をどうとるか、あるいは現行の法人事業税の全体をそっくり取り替えるのか、部分的に取り替えるのか、あるいは新しいものを仕込んだときには、既存の他の税との接触もございますので、既存税制との関係もこれもまたどう詰めるかといったような問題もございまして、まだ具体的になってくるといろいろな問題があろうかと思いますが、議論といたしましては、次回あたりたたき台的なものを出してもらって、具体的に外形課税化の中身を詰めていくという作業をしたいと、このように考えております。
これがこれまでの経過でございます。
〇加藤会長
ありがとうございました。
非常に小委員会で熱心に御議論をいただきまして、こういうふうな経過でいま進んでいるということであります。まだまとめというのは出ておりませんが、方向は次第次第に合意を得つつあるようなことも私も感じておりますが、皆様方のさらに御意見をいただいて、いろいろな点から検討していきたいと思っておりますので、残りました時間は、どうか皆様方、御自由に御意見をいただきたい。また、先ほどの事務局の説明の中でも、不審な点あるいは御質問になりたい点はどうぞおっしゃっていただきたいと思います。
それでは、どうぞ、どなたからでも結構でございます。
〇塙委員
いま石先生からお話を伺ったことなのですけど、随分長いことこの小委員会で外形課税を御議論されているわけですが、やはり基本的な問題点は、応益課税だということと、それから、赤字法人課税をするのかというその対立がずっと平行線で来ているということなのでしょうか。それとも、またいろいろと新しいアイテムが入って、交差する議論の中身がかなり変容しているということなのでしょうか。その辺ひとつお聞かせいただけたらと思います。
〇石特別委員
この法人事業税の外形化というのは、大げさなことを言えば、シャウプ勧告が出て以来、地方税の中にある未解決な問題としてもう4、50年続いている話なんですね。これはどういうふうな形でとらえたらいいかということですが、やはり税収が非常に変動してしまうということと、それから、所得基準、つまり法人収益だけでかける狭い課税ベースですと、応益原則というものが貫徹しないのではないかということですね。そういう意味で、課税ベースというのを広げる。そして、税収の安定確保に努める。これがどうしたらいいかという形で、長い間議論してきたと思いますが、ただ、難しいことは、国税の段階で、例の課税ベースの広い間接税という話がずっと30年来来てしまったものですから、地方でも同じような、例えば加算的な付加価値税とか、所得型付加価値税と言っていますが、その種の議論と陰に陽に絡まってしまうものですから、まず国税が先に議論され、その後でこの種の外形課税化が議論になったということがあって、長い歴史があるのですが、中身が本格的に議論されたのは今度が初めてでありますので、そういう意味では、別に新しい問題が出てきたということよりは、昔の宿題をいま整理しているとおとりいただいていいと思います。
それから、直近の例でいうと、あまりにも不安定、変動的な税なものですから、府県財政がどうも困っている。そういう意味では、これをどうにかしなければいけないなという喫緊の課題があるということだろうと思います。
〇中西委員
きょうは第1回ということでして、今後、この小委員会、石委員が委員長でいろいろ御苦労をいただいて、いま御報告を聞きまして、非常にいい内容を詰めておられるので、これはこれで評価したいのですが、私、きょうは初めということで、総体的な視点から2つほどポイントを申し上げたいと思うのです。
いま石さんもおっしゃったように、外形標準課税是か非かという議論は、それこそずっとシャウプ以来議論してきている問題で、それだけに重要であり、かつ非常に難しいということなんですね。私は、この中の報告にもありましたように、1つは、これは加藤さんもおっしゃっておるのですが、我が国の収入と支出、財源と歳出との関係を1つで議論しないと、もうここに来て非常に複雑で難しい問題が起こってきているので、この問題も同じことだと思うのです。したがって、やはり財政審議会と税調を1つにすべきだということを、加藤さんが何かの雑誌でも御意見を言っておられますが、私もこの会で何度もそれを申し上げているのです。
結局、大きな視点からとらえると、我が国の一般会計70兆円を超える金額の、これは国債の償還を除くと、地方自治体に向かって配分されているのが過半数なんですね。これは交付税、交付金という名において、その他、補助金その他膨大な金が地方に行っておる。ここのところの仕組みを抜本的に踏み込んで掘り下げていかないと、この問題は、簡単に外形標準が応能がいいのか、応益がいいのか、やれ線引きをどこでするのかという、具体的なテクニカルな議論も非常に大事ではありますが、私はなおそういうグローバルな総体的な視点から1つ大事な問題があるのではないか。
ということは、言いたいのは、いま民間企業はすさまじいリストラをやりまして、合併、再編、いろいろ新聞で報じられているように、相当血を流していますね。そうすると、地方自治体も自由党の小沢氏が言っているように、3,300を300にするということで、思い切って再編・統合をやれば、相当の歳出減になるはずだと思います。民間の学者グループで、地方自治体研究学会か何か、正確な名前は忘れましたが、ここが提言しているのは、地方自治体のコスト、ゴミ収集にしても、学校給食にしても、ほぼ半減、半分はコストダウンできると提言しているのです。この辺、現実的に是か非かということは、これまた議論のあるところでしょうが、いずれにしろ、まだ詰めるべきものがあるのではないか。民間企業のそれと同じ例にしたがってね。
だから、地方財源が苦しいから、こういう外形標準課税を使って地方法人税を強化していくという視点は、一つの方向としては私はもっともだと思いますが、いまのような視点で考えていく必要があるのではないかということと、もう一つは、これもこの中にありましたが、ベンチャーの育成ということが非常に我が国の大事な課題だと思うのです。ベンチャーというのは、何もゼロから起こるベンチャーではなくて、中小企業既存の数百万社ある、製造業で言えば数十万社でしょうが、これが企業内ベンチャー、要するに第2の創業に挑戦する場合、これは大体「桃栗三年柿八年」で、あるシーズを発掘して、そのシーズを一生懸命育てて、市場にPRをして打って出て、そして一定のリターンが返ってくるまでに、大体7~8年かかるのです。これは大変な赤字部門としてその事業部門を企業は抱えざるを得なくなる。課税をこれで強化されたのでは、赤字でもどんどん課税強化されたのでは、もちろんゼロからのベンチャーも到底一人歩きできない。そのうちつぶれるでしょうし、既存のそういう企業内ベンチャーも大変な負担になるんですね。ですから、その辺を経済への圧迫というか、負担増というか、その視点をどう考えるのか、これをやはりしっかりと議論していかないと、日本の産業構造の転換が、いま競争力会議あたりで、鉄鋼なんかはなるほど1億5,000万トンもあるものが8,000万トンしかもう需要がないわけですから、このデフレギャップで設備を廃却するという議論がされていますが、私は順序がむしろ逆であって、新しい産業を創出するほうを先に、若干引っ張られるというよりは、そっちのほうが先に走っていて、ちょうど雇用問題もうまいぐあいにバランスするのではないかと。それを先に廃却をやったのでは、大体逆なのであって、そこのところを、少なくともそれに対してブレーキをかけるような税制というものは、これはやはりじっくりと考えて対応していかなければいけないのではないか。そこが1つの問題点。
きょうは最初ですので、ちょっと大きな問題点だけ。
〇吉田委員
ちょっと石先生にお伺いしておきたいのですが、いまのいただきました資料の8ページに、個人事業税についての部分がありまして、丸の2つ目のところに、「外形標準課税の導入の際には、個人事業税の存続の必要性も論議すべきではないか」とあるのは、法人のほうは外形標準課税のほうに持っていくが、個人はそのまま個人事業税の形で置いておいたほうがいいのではないかという御意見が出ておったということでございますか。
〇石特別委員
まず、外形課税を導入するとしても、既存の税を100%外形課税するか、それとも、自治省の資料に出ておりましたように、フィフティ・フィフティにするかとか、その辺もまだ決まっていないのです。という形になりますと、法人のほうのでき具合によって、個人事業税の取扱い方も、まさに全部やるなら、個人事業税を残すなら、100%外形にしなければいけませんけれども、ちょっと法人と違うので、個人事業税というものをどう考えるかということで、といってこれ全面的に廃止するということを声高に言っている人はいないのですけど、そもそも個人事業税というものについて、その性格を検討という意味で、存続の必要性もという、そもそもを少し議論してみましょう、という意味合いにとっていただければいいと思います。
〇吉田委員
そういうことを前提に置きながら、私はかねがね、法人企業に対する事業税の外形標準化、これは一定の理解を示してきておるつもりでありますが、法人事業税は内国法人であろうと、外国法人であろうと、区別なく法人の行う全ての事業に課税するというふうになっているんです。ところが、個人事業税というのは、個人の行う事業活動のうちのある一定のものだけにこれを課税対象にしている。
実は、大変具体的な話で恐縮なのですけれども、1つの例を挙げますと、はり、きゅう、あんま、マッサージ、あるいは助産婦、こういう方は課税対象になっているのだけれども、同じ事業所得者という範疇に入っておりながら、芸能人であるとか、あるいはプロ野球その他プロ選手、あるいはフリーライターやフリーカメラマン、あるいは生保の外交員の人達、これは30万も40万もおられて、こういう方は事業所得者の範疇に入っているのだけれども、事業税は課税されていない。
実は最近流行りの脱サラ、SOHOですね、在宅勤務、こういうカタカナ族が大変増えてまいりまして、申告の方が増えてきているんですね。私どもも現場でいろいろと御指導申し上げている声を聞いておると、この方々は事業所得者なのですけれども、この方々の中にも事業税のかかる方とかからない方がいる。東京都に確認してみましたら、まさしくかけておる場合もあるし、かかっていない場合もある。でありますから、こういう例を見ると、国税で事業所得者という範疇に入りながら、個人事業税はまさしく恣意的になっている。そして、そのためにどうも合理性がない。しかも不公平だと。こういう声が実は大変多いのです。
実は、私事を挙げて恐縮ですけど、私の向かい側に税務署のOBの方が自宅にささやかな看板をかけて税理士業務をなさっている。お客の出入りしているのをあまり見たことないのですけれども、この方はやはり事業税の課税対象者なんですね。私自身は給与所得者の範疇でありますから、これは課税対象にならない。お向かいのそのお方は、一体都道府県から私に比べてどれ以上のサービスを受けておられるのだろうか。こういうことを考えますと、私はいまの個人事業税というのはあまりにも限定的であるし、その限定も必ずしも理屈があるようでない。したがって、税制は中正であるべきですが、そうでないし、不公平だし、不合理だ。
そのような意味から見て、私は個人事業所得者に課税されているこの事業税というものは、この際、サラリーマンにはかかっていないことは御案内でありますから、これは撤廃すべきだ、なくすべきだ。そして、外形標準課税を検討する際には、法人として登録されているその企業に対する課税をするべきだ。それを、ここに書いてありますように、事業活動に着目した税負担はあってよいのではないか、こういう議論は一方にあるかと思う。そういう観点から企業課税的に法人事業税を外形標準課税のほうへ持っていこうとするならば、個人にもそういう観点であっていいのではないかというのならば、国税のほうの事業所得の計算の場合にも、法人企業並みの観点を入れてもらいたい。つまり企業として課税する、事業所得を企業として課税するとおっしゃるのなら、国税のほうもしかるべき配慮があっていいではないか。昔だったらみなし法人課税、これが復活していいのではないか。
そういうことを総合勘案する際に、ぜひ、外形標準課税をする課税対象の事業というものは、一体何を言うのか。この機会に、個人のサラリーマンにかかっていない個人の事業所得には、本来課税するべきではない。もし課税するのなら、国税の方もそういう観点から組み直しをしてもらいたい。私はそう思うのです。
〇石特別委員
吉田さんの御指摘の点、十分に検討はいたしたいと思いますが、ただ、正直申しまして、吉田さんのお出しになった視点というもの、あるいは検討内容というのは、我が小委員会のそもそもぴったり合っているテーマかというと、どうも違うように拝聴いたしました。というのは、あくまで我々法人事業税の外形課税化をやっているわけでありまして、事業税という点において個人形態をとるか、法人形態をとるかということで、個人事業税が出てきたということで、いま御指摘のように、個人事業税はいろいろ課税ベースの狭さ、あるいはかけ方において、アンバランスが出てくるのは事実のようでありますから、それなればまず最初に個人事業税そのものを見直すべきであって、これは僕は総会マターなり、あるいは企画の方でやるか、という形で、とりあえず我々のほうで受け取る前に、それをちょっとやっていただかないと、やにわに外形か、外形でないかという議論は、ちょっと我々小委員会ではしにくいなと思っております。
そういう意味で、本当を言えば、法人事業税のみに限定して我々小委員会は議論させていただくのが一番すっきりしていると思いますが、いま吉田さんのおっしゃった点の事業という点につきましては、これまた関係がないわけではないので、十分委員の中で問題意識を持ちつつ、そこをどう処理するか、少し考えさせていただきたいと思います。
〇河野特別委員
きょうは最初の総会なので、基本的なことを申し上げたいのですけど、これは石先生への質問も若干含まれるのだけれども、確認してもらえばいいのですが、要するに法人事業税の外形標準化という議論をする場合に、あくまでも、どういうふうに改革しようとも、負担者は事業主だ。ということは、何を言外で言いたいかというと、どういうふうに組み直そうとも、この事業主、ややこしい話が余計あるから、地方消費税でうまいこといかないか、というのはあるんですよね。小委員会の中でこの件についてはどういう議論があったか、後で教えてもらいたいのだけど、いずれにしても、いまの議論の流れは、やはり応益原則というのを一応、頭から認めなければまた別なのだけど、濃淡いろいろあるけれども、濃という立場に立つのはなかなか難しいと思うのです。だから、どう改革しようと、改善しようと、いずれも事業主負担になるのだと。それが赤字法人に部分的に及ぶということは避けがたい話なんですよね。ここが政治的に大問題なんだけど。ということを確認しておかないと、議論がずれていって、本筋を外れる可能性がある。
さっき自治大臣の挨拶に出たけれども、彼の国会答弁なんかを読んでも、この枠から逸脱した議論をやろうという気にはなっていない。自治省もそうだと思うのだけども。だから、とにかく、事業主がどういう形かしらないけれども、より公正で公平な負担の仕方を探りましょうということだと思います。
2番目に、いま吉田さんが各論をやられたけれども、各論の議論は、さっきの石先生の話によれば、6月にもうちょっと、これはかなり観念的に整理してあるから、具体的にどういうふうな姿になるのですか、ということを示してもらわなければ、我々はあまり議論できないです。それが6月には出てくるという話なので、そのときにいま吉田さんの言うような議論を含めて、各般の議論をやったらいいと思うのです。ここは政府税調ですから、秋口、清々と税制のあり方として、地方税制のあり方として、小委員会で示していただいた選択肢をベースにいろいろな議論を進めたらいいと思うのです。
問題はもう一つあって、いずれにしても、この法人事業税の外形標準化という問題は、2つの外部要因が固まらないと、実現できない。税制論は税制論で粛々やればいいので、我々の責任なのだけれども、その先のことをちょっと考えてみると、2つあって、1つは政権党の安定、2番目は景気が回復軌道に乗ったかどうかが確認できること、この2つの外部要因がはっきりしなければ、理論的に詰めることは我々の仕事だからそれは詰めていいのだけども、その先のことを考えてみれば、この外形標準課税、部分的にしろ赤字法人にかかるのは当り前なのだけれども、それをいまの政権がそのまま「よし、じゃ全部引き受けた」と言えるかどうか。これはいつも悩ましい話なんです。それは我々の判断するところではないけれども、それが我々の議論の進め方にも関係があるのだろうというのです。
もう一つは景気の話。これが何とかなっていないと、反対勢力はもっと強くなる。これまた現実の話だと思うのです。そこで、そこから先の提案なのですが、私はそういうことがあるだろうと思うから、結局、年末までに具体案をまとめきって、年末答申を我々12月中旬以降に書く。これ1つの選択ですよね。一番大臣も早くやってくれと言っていたし、そうなることは政治的に政権党が安定する、景気がいくらかよくなる、それはどっちにしてもウェルカムなんですよ。そうなることが一番望ましいことは間違いないですね。しかし、そうなるかどうかはわからない。総選挙がいつになるかもわからない。ということを含めて考えてみれば、税制の議論は堂々とやるけれども、我々の議論も年末にはまとめてしまうけれども、しかし、それを年末答申に書けるかどうかは全く外部状況次第だと。我々税調はそれをどうこうできませんからね。そうすると、我々の任期というのは、来年の4月まで、1年ちょっとです。もう1年ないのか。3年目に必ず中期答申を書くというのが、当税調のいままでの慣例なんです。だから、年末答申に書けなければ、来年3月か4月か5月か知らないけれども、中期答申の中に、ほかの重要なアイテムもありますけれども、並べて、大きな方向について、我々はここまで議論を積みましたということを盛り込むか、我々の選択は2つです。どっちになるかわからないです。前者になることがいろいろな意味で望ましい。しかし、望ましい状態が政治的に経済的にできるかどうかはわからない。とすれば、そういう観点をお互い共通の認識を持ちながら、個別の具体策についていろいろな議論を戦わしたらいいと思うのです。それならば、税調としては我々の責任を果たせるという気がします。
〇石特別委員
最初の河野さんの御指摘の点だけお答えしておきます。委員の中にも地方消費税を増やしたらいいではないかという御意見の方は、はっきり申しましていらっしゃいます。というのは、外形課税化が赤字法人に及ぶ、あるいは中小・ベンチャー、いろいろな影響を及ぼすので、これは非常にインパクトが大きすぎる。地方に安定した税源を渡すなら、地方消費税でいいではないかと、こういうことをはっきりおっしゃる方もいらっしゃいますが、ただ、あらかたの意見は、地方消費税というのは所詮消費税で、消費者が最終的に負担する税。一応いまおっしゃったように、形の上では事業課税でありますから、この法人事業税の外形化というのは、企業の負担になるだろうという発想に立っておりますから、この事業者負担になるのを消費者の負担に切りかえるようなことは、税の理屈としてはおかしいと思っておりますので、一応我々の任務は、いまある現行の法人事業税の一種の構造改革、課税ベースを見直すとか、それに付随して税率をどうするかこうするかとやるわけでありまして、あくまで事業税という範囲でやるべきである、ということには意見が一致しておりまして、それは確認をとられても結構かと思います。
それから、ついでに、分厚いほうの資料のぐらい多分出ていると思いますが、この種のものを単体でやるか、組み合わせでやるかというあたりが大体我々の答申の核になるということで、あらかじめ皆さんの御関心があれば御検討ください。
〇佐野特別委員
総論と各論と2つ申し上げたいことがあって、まず各論のほうから申し上げたいのですが、この「地方法人課税小委員会におけるこれまでの意見等について」という資料を読んで感じることは、これは地方税の代表的な税金の改革であるはずなのですが、そこら辺の意識がもうちょっと出てもいいのではないかなという印象です。
結論から申し上げますと、事業税あるいは外形標準課税はかくあるべきだという何か一つのものにベストなものを見出そうということで、一生懸命議論をされている。議論の方向がどうも唯一絶対のものを見出すのだと、こういう感じで進んでいるような印象を受けます。地方税であるからには、例えば課税標準のとり方一つとっても、いくつかの類型を用意して、後は自治体の選択に任せるという方式もあってもいいのではないかという気がいたします。あるいは税率等々についても、自治体の選択肢というものを認めるというやり方があってもいいのではないか。賃金をとる云々の話が大分意見が出ているようですが、賃金も重要な課税標準のつとかという類型を地方税法では示し、後の選択は自治体に任せるというやり方をもう一つ加えてもいいのではないか。それが新しい地方税の一つのあり方ではないかなという気がいたします。そこら辺、議論をちょっと触れていただきたいということです。
もう一つ、これは総論の部分なのですが、なぜこういう事業税の問題がこれほど時間をかけて議論をされているかということですが、直接の動機は、自治体に金がない、しかも不安定である、こういうことではないか。しかし、先ほども意見が出ましたけれども、納税者の企業のほうも金がないので、こっちも金がないのだということで、これは堂々巡りで、どうしても議論が際限なく続くということになりかねないわけであります。
そこで、重要なことは、なぜこういう議論が行われているのか、なぜ税収の確保・安定ということがいま早急に求められているのかということを、いま一度原点に帰ってはっきりさせるということが必要ではないか。つまり、これからの地方自治のあり方としては、自分たちの金はできるだけ自分たちで賄っていくのだと、負担と支出のリンクというものをはっきりさせるのだという理念がないと、なかなか、エゴのぶつかり合いということで終わってしまうのではないか。その点について、地方財政というものに少し視野を広げて議論されてはどうか。
例えば、この税金の改革が行われた場合、地方交付税というのはどうなるのだと。個別問題で言えば、外形標準課税の税収というのは、交付税の財政収入をどうカウントするのだということ、それから、もっと広く、交付税全体をどうやっていくのだと。そこら辺がはっきりしないと、これだけ汗かいて税収を上げたり安定させたりということは、誰もしない。相変わらず交付税で面倒みてくれるというなら、誰も汗をかかないということになってしまう。逆に言うと、汗をかかなくても、交付税で面倒みてくれるという状態が続くと、いまのままでいいのではないかというようなことにもなりかねない。そこら辺のバランスだと思うのですが、歳出あるいは地方財政全体の議論というものも少し踏まえた上で、これからの審議をしていただきたいと、これは注文でございます。
〇石特別委員
第2点は全く同意見なのですが、そこまで話を広げた中で、外形課税化というのが議論できるかどうかというのは、ちょっと心配なので、そこはちょっとペンディングにさせていただきます。
それから、第1点は、我々は唯一絶対なベストなものをつくろうという気はございませんし、多分ないと思います。したがって、3つぐらい選択肢を出して、御議論いただこうと思いますが、佐野さんの議論を延長させると、その3つを3つとも認めて各府県の選択に任せると、こういうアイデアもあるということですね。多分あるんだと思いますが、実はこれは今の現行制度でできるんですよ。第72条の19というのを使えば、勝手にやっていいよと。それも検討しましたが、ただ、いまでも分割基準というのがありますように、複数の県にまたがった業務形態をしている事業者に対して、ある県はこれ、別な県はこれというふうに、勝手にやらしたときの弊害がかなり大きいだろうと我々見ているのです。だから、その辺のことを処理できるということになれば、佐野さんのアイデアも地方分権の流れに沿ったものだと思いますが、いまのところ技術的にかなり難しいということで考えております。ただ、もう少し検討してみます。
〇中村特別委員
基本的には外形化に賛成であります。同じ規模の税収を取ろうとした場合、やはり外形税制のほうが大きなメリットがあると思われます。ただし、その導入については、いくつかの条件を厳しく設定しておく必要があるかなとは思います。
その第1点は、ここに行政サービスと法人の事業活動の関係、いかに公益を企業が受けているかという実例が列挙してありますね。これは極めて一面というか、ある面しか見ていない。というのは、応益もあるけれども、その逆に「応損」、損をかぶっている。益ばかりではないわけですよね。例えば、交通渋滞とか、行きすぎた行政サービスとか、不必要な施設とか、いろいろマイナスの面があるわけです。この54ページ以降のところは、足し算だけしているわけですよね。引き算をちゃんとしていかないと、やはり共感は得られないなという感じです。その引き算をする過程で、自治体のあり方について厳しく注文をつけるべきかなというような気がいたします。あまりにも教科書的に社会契約的な利益というものを列挙しすぎている。おそらくそこを忘れて導入すれば、非常に大きな反発が起きるのではなかろうかと思われます。
それから、2つ目は、その延長の話でございますけれども、薄く広くというその税制は非常に優れていると思いますけれども、消費税のときに言われたように、安易にそのあと税率を上げられたらかなわないわけですよね。だから、導入と同時に自治体も小さな自治体、効率的なサービスに努めるとか、それは厳しく歯止めをつけておくべきだと思います。
3点は、すでに指摘されておりますけれども、景気情勢との関係ですね。再び大失敗を繰り返すことがないようにということでございます。
〇平田委員
石先生が本当に大変御苦労なさって、いろいろ聞かせていただきました。私は税務の一番の執行している立場でございますけれども、基本的に法人の事業税を全部廃止をして、いま検討していただいている外形標準課税にするというような基本のところが決まっていないと、なかなか議論は進まないのではないかという気がいたします。と申しますのは、外形標準のいろいろなアイテムが11か12挙がっていますけれども、これらは大体において、例えば均等割の課税であるとか、それから、企業独自の固定資産税とか不動産取得税とか、地方税においていろいろな形を変えて、もうすでに取られている部分がございますから、多少二重課税になるおそれがある。しかしながら、新しい税というものを創設するということになりますと、私どもの立場からいうと、これはなかなかありがたいことというか、いいことだなという気がするわけであります。
それと、法人事業税自体が、申告納税制度によります経費になる税金だというところもぜひ皆さん方お考えになっていただきたいですね。所得課税とはいいながら、国税のものとか住民税等と違いまして、翌期の経費になるというところがこの法人事業税の独特のところでございまして、この辺をやはり外形標準の立場でもおとりをいただけるだろうと思っております。
それから、赤字法人課税がなんと言っても一番の問題でございまして、非常に欠損法人の数が増えているというこの現況は、やはり経費にはなるけれども、申告納税制度による法人事業税の現在の形では、全部の法人が負担をするという形にはどうしてもなり得ないということであります。
ですから、やはり地方税の財源確保という観点がいま非常に叫ばれている段階では、このような形の新しい税金を考えるということを、私も賛成をするということであります。
もう一つ、これは大きな話でございますけども、昨年の月から話が続いているわけでありますが、非常に国の収入、地方の収入ともに大変な大幅な赤字の状態をずっと引きずっているわけでありますね。地方債の発行、国債の発行等を合わせると、何十兆円というお金が国債、地方債で発行されている。こういったものを実際に将来の世代が税収で上げてくるということになると、まさに税制調査会がどういうことを言わなければいけないかということは、おのずとわかってくるだろうと思うのです。やはりいまの形というものをぜひ改革をしていかなくてはならない。いま意外に減税効果がいろいろな企業や国民の間に行われておりますけれども、皆さん方と話をしてみますと、やはり減税の恩典というのはよくわかっているんですね。わかっていまして、やはりそれでは収まらないだろうと。将来は何か形を変えてどうだこうだというお話も聞くわけでありまして、そういった国民的な合意というものもぜひ皆さん方の御努力によって形成をしながら、財政の健全化に向けて考えていただくということの視点をぜひ忘れないでいただきたいと思います。
〇諸井委員
いま皆さんおっしゃるように、国・地方を通して財政は大変窮迫した状況にあるということだと思うのですが、これを改善していく場合に、歳出の3分の2は地方が出しているわけですから、地方側がどうやってこの歳出を、どうしても必要な行政サービスというものを中心にして削っていくかということが、とても大事なポイントではないかと思うのです。いまのように、いろいろなものが地方交付税とか補助金とかでほとんどカバーされて、少なくとも地方で使っているお金の半分はそういう格好でカバーされている。これをいただくのには、いただくいろいろなコツがあって、そのコツをうまく働かせれば、別に自分のほうで苦しんだり苦労したりしなくても、カバーができるというような状態では、全体の歳出というのは合理的に節約されるような格好にはなっていかないのではないか。ですから、そういう意味でも、地方の財源というものが、なるべく自主的な自分で取る財源というものになっていかなければいけないのだろうと思うのです。
そういう視点で、ぜひひとつ、これからのこの税調での議論でも、根本的に国・地方を通しての税制をどういうふうにこれから変えていくのだと、当面今年どうの、来年どうのということはあると思うのですが、やはり一番根本のところをもうやらないと、いまのように先送り、先送り、今年の政治情勢ではできない、経済情勢ではできないというふうな形で延ばしていったのでは、いつまでたったってよくならないですね。ぜひそういう基本的な視点をしっかり置いた上でやっていただきたい。
その場合に、いまの外形課税の問題というのも、私かなり重要ではないかと思うのですけれども、地方の場合には、自主的な財源であるということと、もう一つは、安定した財源であるということが必要だと思うのです。安定した財源でないと、今年は景気が悪くて、税収が減りましたから、それじゃ交付税でみてくださいよと、どうしてもそういうような格好に慣れてしまう。ですから、外形課税できちっと安定した財源になるということは、私は大事なことだと思いますし、またやはり応益という視点も私は非常に重要ではないのかなという感じがいたします。
また、応益という視点が出てくれば、今度は地方の側の行政サービスというものもまた益であるような、さっき中村さんが言われた、損じゃないようなサービスというふうに考えざるを得なくなってくるのだと思うのです。そういう視点で、ぜひもう今年あたりは根本的な結論を出していただきたい。要するに、今年の税制改革ということであれば一番いいですけれども、そうでなくても、根本的な税調としての方向性をきちっと出してもらいたいというふうにお願いをいたします。
〇水野(勝)委員
ただいまの御意見とほとんど同じだと思いますけども、要するに、どこまで本当にやろうという気構えというか、腹構えがあるのか、そこら次第ではないか。先ほどのお話のように、シャウプ勧告以来ですけれども、特に昭和39年の税制調査会では、かなり突っ込んだ議論がされ、しかし、やはりそれからでも30数年たっているということでございます。そこのところは応益と言ってみたり、事業活動そのものに対する課税と言ってみたり、いや、それは転嫁されると言ってみたり、赤字課税だと言われると、ひるんでしまうというのでは、おそらくいつまでたってもあまり変わらないのではないかという気がするわけでございます。あくまで事業税というものを堅持する、それは事業活動に対する課税であるというのであれば、赤字課税だと言われようが、景気が悪いと言われようが、それは必要な歳入確保措置の重要な一環であるという、そこの割り切り方、腹構えではないかと思うわけでございます。そうであれば、いま今年は不景気だから、総理がやらないとおっしゃれば、すぐやらないということになってしまうということは、そういうふうにはならないのではないかなと思うわけでございます。
そういう意味においては、一体これは誰が負担する税なのかとよく議論をされるわけでございますが、いまの扱いは、事業の経費になっているのでございますけれども、本来事業活動そのものに対する税であれば、企業が負担をする税ではないかとも思われるわけでございます。したがいまして、それは最終的には企業の資本勘定の負担であると、それくらい割り切って腹固めをしたら、そこは前へ進むのではないかという気もするわけでございます。
したがいまして、35ページ以下に例がございますけれども、資本金または出資金というのが第1番目にある。資本金、出資金というのは一つの形式でございますから、ここはむしろ資本勘定というか、法人企業の自己勘定というか、そういったものも一つの候補としてあり得るのではないか。そして、それは徹底すれば、経費には見ないのだ、損金には算入しない、転嫁しない、自分が負担する、事業活動そのものであるということも貫徹されるのではないかと思うわけでございます。
それから、応益課税ということも徹底するということでありますけれども、一番端的な応益は、その地域で育てられた人間をどれだけ企業が使っておるかということ、これが一番わかりやすくて簡単ではないか。そういう意味におきましては、ここにある38ページの従業者数、あるいは次のページの給与総額といったものが極めて簡便ではないかと思うわけでございます。
しかし、いままで50年、40年議論してもなかなか前へ進まないというのは、本当のスパッと割り切った議論というのがなかなかできない背景がやはりあるのだと思います。さっきのお話のように、与党が非常に強い、あるいは景気も安定している、そういう時期はなかなかないだろうと思いますので、本当に基本的にスパッと事業税全体の問題としてやれるのかなという懸念は相変わらず残る。しかし、それはやはりそれぐらいの腹構えでやっていただければと思うわけですが、そこまでいかないとすれば、併用もしょうがないのかなと。応益課税として割り切れば、本当は純剰余というのはおかしいわけでございますけれども、応益の結果としての利益水準というのも一つの象徴かもしれません。したがいまして、39年の答申では、半分ずつとか、3分の1ずつとか、いろいろあったと思いますけれども、いろいろなものを組み合わせる。あまり理論的にはすっきりしないかもしれませんが、そういうことが現実的ではないかなと思います。しかし、本来であれば、本当の腹構えでひとつ割り切った事業税をつくっていただければ、非常に結構なことであると思うわけでございます。
〇塙委員
企業側としてのエゴということではないのですけれども、地方自治体の財政を安定させるということがかなり大きな目的であるとすれば、この法人税だけではなくて、あるいは事業税だけではなくて、消費税も含めたトータルとして、どうやって地方の財政を安定させるのかというふうに考えていただきたいと思います。
小委員会は非常に限定されたものでということで、先ほど石先生おっしゃって、そういうこともあろうかと思いますが、方法論として、外形基準のどのアイテムがいいかとか、これはこれで一つの大きな議論かと思いますが、赤字法人からでも取れるという前提で、取っても問題ないという前提でお話をすればそういうことにもなるかと思うのですが、赤字法人からどんどん税金を取って、いまでもかなり大きな企業が倒産しているわけですけれども、もっと大勢殺してしまえば、税金の種がなくなってしまうわけですから、だからといって企業から取らないでくれということではないのですけれども、やはりトータルとして、小委員会も立派な方々ばかりおられるので、ぜひ、地方税は別だとか、事業税だけだとか限定されないで、トータルとして御議論いただけたらと思います。お願いします。
〇森田委員
まず、かなりこの問題は政治に左右されるというのは、皆さんの言うとおりだと思うのです。ちょっとお聞きしたいのは、いま自民党の内部で外形標準というのはどの程度の優先順位になっているのか。それは税調は税調独自に考え方を出すのが本来の姿だと、それはいいのですけども、その状況をちょっと聞かせていただけますか。
〇成瀬税務局長
自民党の税制調査会でも、この問題につきましてはかなり掘り下げた議論をいろいろやっていただいております。一応、簡単に集約された考え方ということで、昨年の12月16日の自由民主党の税制改正大綱の中で、以下次のように述べられております。事業税の課税標準への外形基準の導入の検討ということで、「事業税については、都道府県の税収の安定化や税の性格の明確化、税負担の公平化を通じて、地方分権を支える地方税体系の確立を図る観点から、その課税標準に外形基準を導入することについて、中小法人の取扱い、税負担の変動、企業経営への影響等にも配慮しつつ、早急に結論を得るべく、引き続き検討を進める」ということで、前向きに検討するとした場合のいろいろな課題、問題点というか、当然クリアしていかなければならない課題というのがいろいろあろうかと思いますが、そういうものにつきまして、どういうような対処策、対応策が考えられるかというようなことにもあわせ配慮しつつ、できるだけ早く結論を出していく必要があるという旨の考え方が党としてはまとめられているわけでございます。
〇森田委員
でも本当のところは……。例えば、大きなポイントとしまして、いまの世界経済の中で、日本企業がどうやって生き残っていくかということが一番の大きなテーマだと思うのです。だから、いまのを見ますと、ブラジルあたり心配されたがやや金が戻ってきて、ウォール街もすごく楽観的になっていますけれども、中国ではバブルがもうはじけ始めているし、かなり経済が混乱が起きている。そういう全体の状況から見ると、かなり世界経済というのは危険な状況だと思うのです。そういう中で一体何が日本にとっての優先的な戦略課題なのか、その中で一体税制では何ができるのか、何をしてはいけないのかということになると思うのですが、そういう優先課題の中で、企業にとっては、例えば連結納税なんていうのはやはり早くやって、それをツールに企業は使いたいと思っていると思うのですけれども、そういうほかの課題と比べて、優先順位としてどういうところにあるのだろうかという質問なのですけど。
〇成瀬税務局長
大綱の中でも、個人所得課税、それから、2番目に法人課税という形で取り上げられておりまして、今年の税制改正でいろいろ各方面から要請のありました国・地方を合わせた法人課税の実効税率を40%程度に引き下げるということは達成をしたと。そういう中で、地方税である法人事業税につきましても、税率の引下げをあわせて講ずることにしたということで、その次に残されている課題が事業税の課税標準への外形基準の導入の検討ということで、私どもといたしましては、党の法人課税における課題認識としては、この外形標準課税の導入というのは、かなりウエイトとしては高いのではないかと。
それから、政権与党だけではございませんけれども、先ほどちょっと紹介させていただきましたけれども、国会における論議を通じましても、与党、野党を問わず、今日の地方財政、なかんずく都道府県の置かれた困難な状況を考えると、市町村の場合には固定資産税といった非常に安定的な基幹税があるのですけれども、都道府県の場合には法人所得課税に税収の割を依存しているということで、何かやはり地方税としては、あるべき税の姿からは相当乖離しているなということで、与野党問わず、もう少しそこのところを、税収を安定化させるために、かねてからの課題である外形基準の導入という問題を真摯に、それから、できるだけ早期に、もちろんクリアしていくべきハードル、課題はありますけれども、それについての対処策を考えつつ、何とか方向づけ、早期の導入に向けて考えるべきではないかというのが、政治の世界における共通認識としてほぼ理解はされつつあるというふうな状況にあると思っております。また、当然のことながら、優先的にもかなりプライオリティの高い課題ではないかと、そういうふうに認識されているのではないかと思っております。
〇加藤会長
ほかにございますか。よろしゅうございますか。
きょうは、そろそろ時間でございますので、まとめておきたいと思いますが、きょうは石小委員長から、小委員会の内容あるいは進め方についてのお話がございました。私は印象的に申し上げるのですけれども、まことに恐縮なのですが、シャウプ勧告以来の応益税かどうかということをめぐって、基本的な原則があるんですね。ところが、日本の政策の悪いところは、基本的原則というのをいつも後回しにしておいて、そして、起こった問題から解決しようとするものですから、ゴチャゴチャになってきてしまうのです。応益税という基本原則がありながら、さらに、地方分権になるものですから、地方税源をどこから得るかということでもって、安定収入のためにこれを考えようという動きが出てくる。そこへさらにレベニュー・ニュートラルといいますか、法人税を下げてしまったから、今度は事業税も下がるだろう。そうすると、その穴埋めはどうしようかとか、そういう目先の議論にどんどんなっていくんですね。これは議論を非常に混迷させます。私はその意味で、小委員会がそれを踏まえて、じっくりと基本的な構造はどうあるべきかということを考えてくださっていることは、大変ありがたいことだと思っております。
しかし、このことは別に申しますと、先ほどすでに出ましたけれども、政権がどれだけ自信を持っているか、あるいは全体として景気をどう判断するか、というような問題と絡んでまいりますから、私はこれはおそらく6月の、きょう小委員会がまとめを出さなかったというのは、勝手に私は推測しているのですけれども、おそらくここで出してしまうよりは、もうちょっと煮詰めてからのほうがいいという気持ちで、きょうはまとめにならなかったと思うのですけれども、しかし、6月の中旬ごろにはという感じがあるのですが、ただ、6月の17日がいまの予定でいきますと国会の終わりでございますので、国会中に出すということはどうもよろしくないという話もあるでしょうから、その辺のところも考えますと、どこら辺でこれを出すか、そして、きちんと原則はこうなのだ、トータルな税制から考えると、こういうふうにこの税制は考えなければいけない、というようなことをきちんと私たちも中期答申でまとめるくらいの腹づもりを持ってこの地方法人課税の問題を出さないと、ぐらついてしまって、いつも景気がいいとか、悪いとか、あるいは政府が安定しているとか、しないとか、そんなことが問題になってしまうと、これは非常に税制上は、私たちとしては困るわけであります。
そういう意味で私は、これから小委員会がさらに数回議論していただいて、自由討議をして、ある程度の選択肢が出てくると思います。私はおそらくこれは、佐野さんおっしゃいましたけれども、一つの答えをきちっと出すというものではなくて、どういうふうにやっていくと、こういうふうなモデルでもってこうなりますよ、このモデルでいくとこうなります、ということをいろいろ考えながら、その選択は政治でもってどう判断するか、という問題が最終的に出てくる。こういうような形で私は小委員会の答申が出てくるのではないかと思っております。
それを今度総会でもって先生方にいろいろと議論していただきまして、そして全体のトータルから考えると、こうあるべきではないかというような方向を出して、そして、それで十分に踏み込めないところは、中期答申でもってまとめる。こういうふうな形になっていくのではないかと大体想定しておりまして、私がこれは勝手に申し上げているので、事務局としてはそうじゃ困るよという気持ちがあるかもしれませんが、大体そんなところでしょうかね。というようなことで進めていきたいと私は思っておりますので、あと2、3回小委員会で議論していただきまして、次の総会のときにまた出していただければありがたいと思います。
きょうはそういうことで終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
この次は5月25日の火曜日でございます。午後2時から同じ会議室を予定しております。また詳細については御連絡を差し上げたいと思います。
〔閉会〕
(注)
本議事録は毎回の総会後、速やかな公表に努め、限られた時間内にとりまとめるため速記録から、大蔵省主税局及び自治省税務局の文責において作成した資料です。
内容には正確を期していますが、税制調査会議事規則に基づき、事後の修正の可能性があることをご承知置きください。