[総40-5] 基本問題小委員会において出された意見

(注)本資料は、11月16日の基本問題小委員会において出された意見を、総会での検討の便宜のため、掲載したものです。なお、小委員会としての意見を集約したという性格のものではありません。

個人所得課税関係

金融課税等

  • 金融ビッグバン等金融を巡る環境は大きく変化している。金融課税の見直しは個人所得課税の抜本的見直しの中でも重要な課題であり、課税方式、税率、執行のあり方というような金融課税の基本的なあり方を含めて議論を進めていくべきではないか。
  • 金融課税のあり方については、金融取引の複雑化・多様化を踏まえ、金融商品間の中立性や公平性、簡素性等を考慮しつつ、検討を進めるべきではないか。
  • 金融取引の複雑化、多様化に伴い、課税繰延、所得帰属主体の変更、所得源泉地の転換、所得種類の転換や複合化等による租税回避行為が生じると考えられるが、税制としても制度、執行両面での適切な対応を検討すべきではないか。
  • 株式等譲渡益課税のあり方については、リスク性・売却時点の選択可能性といったその商品性や保有者の所得階層における金利商品との違い、配当収益課税との関連等に留意しつつ、課税のタイミングの観点、負担の公平の観点等を踏まえた理論的な分析も必要ではないか。
    また、本年、有取税等の廃止とともに、申告分離課税への一本化といった株式譲渡益課税の適正化の法改正が行われたが、この措置の実施状況を見ていくべきではないか。
  • 個人の資産運用から生じる損失については、損失の相殺の範囲を限定するということには理由があるのではないか。
  • わが国の債券流通の実態を考えると、真の所有者が判らないため源泉段階の一律課税は現実的な方法である。また、最近、多様な公社債が発行されており、債券課税については本格的な検討が必要ではないか。
  • 集団投資スキームやストラクチャード・ファイナンスの投資ビークルに対する課税にあたっては、単に外形的な法的仕組みにのみ着目するのではなく、投資活動やリスクと投資の関係の本質を見極めて、ビークルの特性に応じた課税制度を仕組むことが重要である。
  • 生・損保控除などについては他の金融商品との課税の公平、中立の観点から課税のあり方を見直すべきではないか。
  • エンジェル税制については、株式譲渡益について分離課税制度をとっている下で、一般の所得との損益通算を認めることは、税の公平の観点から問題があり、また、株式投資のリスクを税制で配慮することには、自ずから限度があるのではないか。
  • 金融関連の所得に対する適正な課税を実現するためには、源泉徴収制度、調書制度の充実、さらには挙証責任、税務当局における資料徴求権、帳簿保存義務、納税者番号制度の検討、税務行政の国際協力など執行に係る制度の充実が必要ではないか。
    また、納税者側からの観点として事前照会制度についても検討すべきではないか。

地方税全般

外形標準課税

  • 法人事業税への外形標準課税の導入については、具体化していくように中期答申に向けて検討していくべきではないか。
  • 連結納税制度が導入されると事業税の地域帰属などに問題が生ずるので、外形標準課税については、連結納税制度導入のタイミングをも念頭において具体的な議論を進めるべきではないか。

地方税の充実確保等

  • 国・地方の税源配分のあり方を検討するべきではないか。その場合、地方の主体性の確保に鑑み、地方税の基本となるべき所得課税である個人住民税により重点を置いて考えていくべきではないか。
  • 現在の財政状況を考えると、国から地方への税源の移譲は、事実上不可能ではないか。
  • 国・地方の税源配分のあり方を検討するに当たっては、その基本として、国・地方の財政機能の違い、行政事務配分等を重視すべきではないか。
  • 地方税の充実確保を議論する場合には、地方交付税のあり方も併せて議論すべきではないか。
  • 地方税の議論をするに当たっては、地方団体の課税自主権をどのように考えていくのか十分な検討が必要ではないか。