平成11年度答申における今後の検討課題

平成11年6月22日
総34-4

平成11年度の税制改正に関する答申(抄)

平成10年12月16日
税制調査会

三 今後の検討課題・抜本的見直し

1 わが国の財政

わが国の財政状況は、景気低迷の長期化を背景とする大幅な税収減、累次の経済対策における歳出増や大幅な減税により急速に悪化してきています。平成10年度の国税の収入は、特別減税後の補正後予算を6.9兆円下回る50.2兆円と、10年前の昭和63年度税収(決算額:50.8兆円) を下回る水準まで落ち込むと見込まれます。また、地方税も大幅な減収が見込まれています。

この税収減に前述の施策による歳出増や減税が加わり、国の平成10年度の公債発行額は34兆円、公債依存度は過去最高の38.6%にものぼり、年度末の国債残高は一般会計税収の約6年分にも相当する規模の約299兆円に、国及び地方の長期債務残高は名目GDPを上回る 560兆円に達すると見込まれるなど極めて厳しい状況になっています。

諸外国と比較しても、平成10年度の国・地方の財政赤字の対GDP比は9.8%と、主要7カ国中最悪となり、ブラジル(7.7%)をも上回る危機的な状況となっています。

減税の財源については、本年8月の総理の所信表明演説において「徹底した経費の節減、国有財産の処分などを進めながら、当面は赤字国債を充てることといたします。長期的には、今後の経済の活性化の状況、行財政改革の推進等と関連づけて検討すべき課題」とされています。財政構造改革法を凍結せざるを得ないほど景気低迷が深刻な現状では、景気対策として、赤字国債の増発に頼った大幅な減税を行うことはやむを得ないとしても、確たる財源の裏付けがないまま大幅な減税を恒久的に行うことは、将来の財政に大きな問題を残すこととなります。見方を変えれば、現在の世代のために将来の世代に負担を先送りすることに他ならず、世代間の公平の観点からも問題があります。

当面、徹底した経費の節減や株式等を含め国有財産の売却を進めることは不可欠であり、その上で、いずれ経済が回復軌道に乗った段階において、再び財政構造改革に取り組まざるを得ません。その際は、歳出・歳入両面から具体的にどのような取組みをしていくかが大きな課題になるものと考えます。

なお、大幅な税収減自体が、いわばビルト・イン・スタビライザーとして、景気の安定化に寄与しているとも考えられ、これに加えて赤字国債による大幅な減税を行うことには疑問なしとしないとの意見がありました。

2 個人所得課税

平成11年度税制改正に当たっては、当面の経済状況に最大限配慮して、恒久的な減税を実施することとなりましたが、今後、経済状況、財政状況等を見ながら、課税ベースの見直しをはじめとする抜本的改革に取り組んでいく必要があります。

今後の見直しに当たっては、社会経済の構造変化に税制がどのように対応していくか、政府の規模や役割についてどう考えるか、といった論点についての国民の選択等を踏まえつつ、21世紀にふさわしい個人所得税制を構築していく必要があります。

また、検討の観点として、少子・高齢化の進展、グローバル化に伴うヒト・モノ・カネの国際的な移動の自由化・活発化、電子的な方法による取引の普及などの情報化・電子化の進展、個人と企業の関係の変化などの経済社会の成熟化等、社会経済が様々な面で構造的に変化している状況を踏まえ、公平・中立・簡素で、国民の勤労意欲・事業意欲を引き出すような所得税制を構築するとの観点が重要です。

個人所得課税は、わが国の税体系において基幹税として位置づけられていますが、主要先進国と比べて、課税最低限が高いことや最低税率が低いこと等から、低中所得者層の税負担が最低の水準になっており、個人所得課税の税収の国民所得に対する割合も最低となっています。

以上の点を踏まえ、個人所得課税のあり方については、本年10月に2つのワーキング・グループにおいてとりまとめられた、各種控除のあり方などの課税ベースの適正化、所得分類、課税方式の見直し、個人住民税のあり方、納税者番号制度の導入問題などの広範な論点について、理論や実務に立脚しつつ掘り下げた検討を行う必要があります。その際には、税体系をめぐる基本的な問題も視野に入れながら、将来のあるべき税制について議論を深めていく必要があると考えます。

なお、個人住民税については、地域社会の費用を住民がその能力に応じ広く負担を分任するという独自の性格を有していることから、課税最低限は所得税よりも低く、税率も緩やかな累進構造となっていることなどを十分踏まえて検討を行う必要があると考えます。

3 相続税

今回の個人所得課税の最高税率の引下げにあわせて、相続税についても、税率の引下げを検討すべきではないかとの意見もありました。

しかし、わが国では土地が相続財産の約7割を占めており、バブル経済期の地価高騰により税負担が増加したこと等から、3度にわたり減税が行われました。その後、地価が大幅に下落したため、税負担は相当程度緩和されています。さらに、相続税の問題は景気対策と直接関係がないことをも併せ考慮すれば、直ちに税率の見直しを行う必要はないと考えます。

相続税には、富の再配分を図るという機能があるほか、所得税の補完税としての役割があります。個人所得課税の負担軽減や累進構造のフラット化が進む中、このような相続税の役割をどう考えていくのかについて検討が必要です。

したがって、相続税については、今後、個人所得課税の抜本的見直しとの関連において、税率構造や課税ベース等について幅広く検討を行っていくことが適当と考えます。

4 法人課税

(1) 外形標準課税

法人課税については、まず、本年5月に設置した地方法人課税小委員会で重点的に検討を進めている法人事業税の外形標準課税の導入の課題について、引き続き検討を深めることが重要です。

法人事業税については、平成11年度税制改正において、その税率を10年度に引き続き更に引き下げる一方で、現下の経済情勢等に鑑み、外形標準課税の導入については見送ることとされたところです。

しかしながら、外形標準課税は地方に適した税体系の一つであり、導入を急ぐべきであるとの意見が多く出されており、当調査会としては、都道府県の税収の安定化を通じて地方分権の推進に資するものであること、応益課税としての税の性格の明確化につながること、税負担の公平化に資すること等の観点から、早急にその方向性を示すべく、引き続き検討を進める必要があると考えます。

そのため、引き続き、地方法人課税小委員会を中心に、法人事業税に外形標準課税を導入することについて、具体的な外形基準のあり方や税制度の簡素化の工夫、企業経営や雇用への影響などの諸課題を含めて、精力的に検討を進めることとします。

(2) 法人税

法人税については、平成11年度においては、景気に最大限配慮し、その税率のみを平成10年度に引き続き大幅に引き下げることとされました。今後は、経済の国際化や経済構造改革の進展する中、課税の公平性を確保し、経済活動に対する税の中立性を高めるという観点から、法人課税小委員会において指摘されている残された課題などについて引き続き検討を深めていく必要があります。また、企業会計においては、金融商品に対する時価評価・ヘッジ会計の導入などに向けた検討が進められており、これに伴う法人課税のあり方について検討していく必要があると考えます。

(3) 連結納税制度

分社化や持株会社化など企業の組織形態の多様化に対応する観点や、経済の急速な国際化が進展する中、国際競争力の維持・向上に資する観点などから、企業集団をいわば一つの「課税単位」とする連結納税制度の導入を求める意見があります。

一方、わが国の法人税制は、商法などの現行諸制度を基礎として、個々の法人ごとに課税することとしており、企業集団を一つの課税単位とする連結納税制度とは基本的な考え方が大きく異なっています。仮に連結納税制度を導入する場合には、法人税の課税体系全般を根本的に再構築することが必要となります。

また、連結納税制度を導入する場合においても、全ての法人が連結対象法人となるわけではないことから、わが国の法人税の課税体系は、現行の個々の法人を課税単位とする体系と、企業集団を一つの課税単位とする体系との双方が併存することになります。このような課税体系の下では、連結納税を行う企業集団と単体企業との間の課税の公平をどのように図っていくのかという問題があります。したがって、連結納税を行うことができるようにするために措置しなければならない連結納税制度固有の問題のみならず、個々の法人を課税単位とする体系と企業集団を一つの課税単位とする体系との間の課税関係の整合性を確保するための措置など広範な論点について、専門的・実務的な観点から、十分かつ慎重な検討を行うことが不可欠です。このような検討が十分に行われないまま制度を構築する場合には、様々な形で租税回避が行われるおそれがあります。

(参考)例えば、次のような論点について検討が必要となります。

  • 納税義務者を親会社一社とするのか各構成会社とするのか。
  • 連結対象となる子会社の範囲をどうするのか。
  • 内部取引に係る損益をどの範囲まで消去するのか。
  • 連結対象法人の中に中小法人が含まれている場合や、中小法人のみが連結した場合の適用税率をどうするのか。
  • 連結グループへの加入・連結グループからの離脱があった場合には様々な技術的問題点が生ずるが、この場合に課税関係の継続性をどのように図っていくのか。
  • 法人税と法人住民税が一体として制度設計されている現在の外国税額控除制度の取扱いをどうするのか。
  • 個々の法人が課税単位であることを前提としている各種租税特別措置についての適用関係をどうするのか。

さらに、仮に連結納税制度が導入されるとした場合には、企業集団内の取引が内部取引化され未実現のものとして取り扱われることや、法人の利益が他の法人の欠損金と相殺されることから、約65%の法人が赤字法人であるというわが国の現状に照らせば、大きな税収減が生ずることは避けられないと考えます。

連結納税制度については、以上のような論点を含め、法人課税の体系全般に及ぶ検討を行う必要があり、まずは、専門的・実務的な観点から、法人課税小委員会において本格的な分析・検討を行うことが適当と考えます。

5 年金課税

(1) 平成11年の年金財政再計算に向けて、年金制度改革についての検討が行われています。年金課税や高齢者に対する課税についても、今後益々進展する少子・高齢化に税制として適切に対応するため、公平、とりわけ世代間の公平の観点、中立・簡素の観点から検討を行う必要があります。

(2) 公的年金に係る課税については、拠出段階では社会保険料控除により全額課税ベースから除外されるとともに、給付段階では公的年金等控除や老年者控除により勤労世帯よりも税負担が軽減されています。このような課税の現状を踏まえ、課税問題ワーキング・グループの中間とりまとめにおいては、拠出(入口)、運用、給付(出口)の各段階の課税のあり方を含めた総合的な観点から検討する必要があるのではないか、公的年金等控除の性格についてどう考えるかなど幅広い論点が提示されています。

この問題は、引き続き当調査会において、課税問題ワーキング・グループにおける専門的な検討を踏まえつつ、個人所得課税の課税ベースや課税方式などの問題とあわせ、総合的に検討していく必要があります。

(3) 企業年金及び個人年金については、課税問題ワーキング・グループの中間とりまとめにおいて、「公的年金の上乗せとなる自助努力のための制度としての性格を踏まえ、年金制度全体の中での位置づけや他の金融商品とのバランスとの関係で、その課税のあり方をどう考えるか」という問題提起がなされており、これを踏まえ、引き続き幅広い観点から検討することが必要です。

また、より自助努力を重視する公的年金制度改革の流れや、現行の確定給付型の企業年金の運用成績の悪化、雇用の流動性の高まりなどを背景に、確定拠出型年金制度の取扱いに関する議論がなされています。この問題については、退職金を原資とする企業年金は本来その給付額が労働協約により確定しており、これを確定拠出型に振り替えることには反対である、支払保証制度の整備が先決問題である等、確定拠出型年金制度の導入の是非自体について議論があります。仮に今後、確定拠出型年金制度が導入される場合の課税のあり方については、年金制度改革の状況も踏まえつつ、年金制度全体の中での適切な位置づけを検討した上で、退職金課税や給与課税とのバランス、他の金融商品に対する課税とのバランス、貯蓄課税の適正化との整合性など幅広い観点から、拠出・運用・給付の各段階における適正・公平な課税の方式について検討を進めていく必要があります。

なお、退職年金等積立金に係る特別法人税は、事業主の負担する掛金等について従業員の所得課税を年金受給時において行うこととし、その間に繰り延べられた遅延利息相当分について所得課税との公平を確保する観点から課税するものですが、この取扱いについては、現在の低金利の状況、企業年金の財政状況、退職年金等に係る新しい会計基準の設定等も踏まえ早急に検討すべきとの意見がありました。

6 納税者番号制度

納税者番号制度については、国際的な資金移動の活発化など経済取引のグローバル化の一層の進展や、今後の電子商取引の発達による経済取引の一層の多様化、複雑化等の経済社会情勢の急速な変化を踏まえれば、課税の適正化の観点から、その導入について、より具体的な検討を進める時期にきているのではないかと考えます。また、基本枠組ワーキング・グループの中間とりまとめにおいても、各種カードの普及に伴う番号利用の一般化、行政による全国一連の番号の整備の状況等を踏まえながら、納税者番号制度の具体的なケースを想定して、その得失について検討を進める必要があるのではないかとの論点や、タックス・コンプライアンス(税制への信頼と納税過程における法令遵守)という納税者や源泉徴収義務者の立場に立った観点も必要ではないかとの論点などが示されています。

納税者番号制度は、国民のプライバシーに関する感情や社会生活のあり方にも関わるものであり、その導入のためには、国民の十分な理解を得ることが必要です。納税者番号制度に対する国民の受け止め方や考え方を十分汲み取るため、より具体的な議論が行われることが重要であり、これまでも税務行政の機械化・適正化、利子・株式等譲渡益課税の総合課税化、相続税等の資産課税の適正化などの諸類型ごとに具体的なイメージを示しつつ、検討を行ってきています。

また、経済取引のグローバル化、多様化、複雑化等を踏まえれば、適正・公平な課税の実現の観点から、税務執行において資料や情報の充実が重要になってきており、これらの活用を図るために納税者番号制度の役割を考えていくことが必要であるとの意見がありました。

今後、以上のような点を踏まえつつ、国民の理解が更に深められるよう、経済取引への影響、民間及び行政のコストと効果、プライバシー保護等の課題を含め、より掘り下げて具体的な検討を進めていくことが必要です。

7 地方分権の推進と地方税

地方分権の推進に当たっては、地方の財政基盤を確立することが不可欠であり、地方における歳出規模と地方税収入の乖離を縮小するという観点に立って、課税自主権を尊重しつつ、地方税の充実確保を図っていくことが必要です。また、国と地方公共団体との役割分担を踏まえつつ、中長期的に、国と地方の税源配分のあり方についても検討しながら、税源の偏在性が少なく、税収が安定した地方税体系を構築していくことが必要です。

その際、地方公共団体においては、自ら強い自覚をもって徹底した行財政改革を推進するとともに、市町村合併や広域行政の推進についても積極的に取り組んでいくことが強く求められます。

地方分権を推進する際、地方公共団体の課税自主権を一層拡充することも重要です。地方公共団体がその課税権に基づき、住民の代表により構成される議会によって制定された税条例をもとに、自ら地方税を賦課徴収し、その財源によって住民に行政サービスを提供していくことは地方自治の原点です。地方税の充実確保が図られ、地方公共団体の行政サービスと住民の地方税負担との関係がより明確になることにより、地方公共団体の財政面における自己決定権や自己責任が増していくこととなります。したがって、地方公共団体の課税自主権を一層拡充していくとともに、各地方公共団体が住民の意向を踏まえつつ、自らの判断と責任において、その行政サービスと地方税負担のあり方を決定できるよう、国と地方の間の行財政システムの改革を進めていくことが必要です。

8 税制の簡素化

平成10年の通常国会において中央省庁等改革基本法が成立しました。この中で、税務行政の効率化、透明性の向上、納税者の利便性の向上の観点から、税制の簡素化、通達の見直し、国税と地方税の徴税の一元化といった検討課題が盛り込まれています。

平成10年度の税制改正に関する答申にもあるとおり、自由化、国際化が一層進む中で、納税者が予見可能性の高い経済活動を行う上でも、税制の簡素性、税制・税務執行の透明性の観点は、益々重要になってくると思われます。

国・地方の徴税一元化については、憲法の定める地方自治の本旨に反するのではないか、この問題は国・地方を通じた税制のあり方と密接不可分であり、まずは国・地方の税制それぞれを簡素化していくことが重要ではないかとの意見や、既に国税と地方税の執行の現場では納税者の利便性を考慮し可能な限り相互に協力して事務処理が行われているとの指摘がありました。このことに関連して、地方公共団体においては、地方税務職員の研修の充実等その育成に努めるべきではないかとの意見もありました。いずれにしても、当面まず、納税者の利便及び事務の効率の向上に引き続き努めるとともに、制度面・執行面の透明性の向上の観点から税制の簡素化に向けた努力を続けていくことが重要であると考えます。

9 国際的な税制論議とわが国の対応

(1) 国際的な税の引下げ競争

平成10年度の税制改正に関する答申でも指摘したように、各国間で有害な税の引下げ競争が生じると、金融・サービス等いわゆる「足の速い」経済活動が優遇される一方、消費・労働等の「足の遅い」経済活動に対し相対的重課となることが懸念されます。このような問題に対しては各国の税当局間の協調が不可欠です。本年4月OECDは「有害な税の競争」と題する報告書を公表し、これは5月のサミット蔵相会合でも強く支持されました。

本報告書のガイドラインでは、有害な税の引下げ競争を抑止するため、各国がそれぞれ有害税制の新規導入を行わないこと、既存の有害税制を縮減・廃止していくこと(原則2003年まで)をコミットするとともに、加盟国間の相互レビューを行うこととなっています。また、今後の主なフォローアップ作業として、タックスヘイブン及び各国有害税制のリストの作成が予定されています。

当調査会としても、政府が有害な税の引下げ競争を抑止する国際的な取組みに寄与してきたことに留意し、今後ともこのような国際的な協調作業に積極的に参加していくことを期待したいと考えます。

(2) 電子商取引

近年におけるインターネットや携帯情報端末の普及などに見られるような情報通信技術の発達に伴い、電子商取引の本格的な実用化の気運が高まっています。電子商取引は、グローバルな規模で経済の効率化に資する可能性や新たなビジネスチャンスを増やしていく可能性を有しており、わが国にとっても経済を活性化させる見地から、電子商取引の健全な発展が望まれます。

一方、電子商取引の発達によって、例えば、経済取引が複雑化・国際化し、誰が、いつ、どこで、どのような取引を、どれだけ行ったかといった、取引の実態を正確に把握することが今後一層困難になる可能性があります。また、電子商取引が本質的にグローバルな性格を有していることから、様々な国際課税上の問題が発生する可能性もあります。

したがって、電子商取引に対する課税のあり方については、国際的な検討を進めていく必要があり、OECDを中心に活発な議論が行われています。なお、本年10月にOECD租税委員会により「電子商取引:課税の基本的枠組」と題する報告書が公表されています。

(参考)「電子商取引:課税の基本的枠組」の骨子

  • 納税者サービスの向上や税務行政の効率化のために電子商取引に使用されている情報技術の積極的な活用を検討すべきである。
  • 電子商取引についても、公平・中立・簡素等の伝統的な課税原則が適用される。特に、電子商取引への課税について他の形態の商取引との均衡を保つ。現段階では既存の課税ルールを適用すべきである。
  • 税当局は、納税者の本人確認と情報アクセスの能力を維持すべきである。
  • 国際協力を推進する観点から、今後もOECDを中心として検討を継続すべきである。

以上を踏まえれば、今後ともOECDにおける議論に積極的に参加していくとともに、電子商取引をめぐる課税関係についての予見可能性を高めることにより電子商取引の発展する環境を整備する観点からも、その進展状況や実態の把握に努めつつ、課税のあり方について検討していく必要があります。