金融課税

  • 金融税制について、これから議論になると思うが、資金調達を行っている企業の立場からも関心が高い問題であり、議論していきたい。
  • 金融関連税制に関しては、規制と税制を同様に取り扱っている向きもあるが、金融のために税制があるのではなく、税制は税制として確たる地位があって、それなりの使命を持っており、規制と一体化されても困る。そういう意味で自由化されればされるほど、税制の役割は別の意味で重要になる。
  • 金融システム改革に関連する自由化規制緩和というものは、税制の公平中立簡素という立場とフリクションを起こす問題である。今までの税制調査会の答申では金融については公平一本でやってきたが、これからはその立場を再確認するのか、修正するのか、是非十分な議論をしていきたい。
  • 金融派生商品に対する課税の問題の中には、従来の課税理論では追いつかないものもあり、こういった問題も検討する必要がある。そのためには、金融システム改革において、金融取引を課税対象とする場合にはどういう論点があるのか、包括的かつ体系的に問題点を整理し、それに対して税制はどう取り組んでいくのか、基本的な方向を出せるような議論をしていきたい。
  • 総合課税という考え方もあるが、ある面では分離課税とか源泉徴収型の課税が逆に見直されているケースがある。また、現行税制の中で色々な選択性が効き過ぎて明確でなくなっているケースもある。いい意味の選択が残っているのは良いが、曖昧な選択が残っている分野があるので、金融ビッグバンに向けてグローバルなわかり易い税制にしていくためにどのような基準を設けていくかについて、この3年間の新しい議題として行きたいと思う。
  • 金融関係税制の議論については、拙速はいけないが、なるべく早くフォローすることを考慮して検討してほしい。
  • 金融課税の議論の前提には、日本国内の金融資産をどのように活用してもらうのか、日本の市場をどのような市場にしていくのかという観点があり、ヨーロッパ型を目指すのか、あるいはアメリカ型を目指すのかによって、税制の論点も異なってくる。
  • 金融関連税制の議論は、有価証券取引税とキャピタルゲインの議論から手を着けて、次に納税者番号とか金融新商品に対する課税の問題など順々にこなしていくこととなるが、結論までは得なくとも、議題は前広に設定して議論をしていきたい。
  • 金融関連税制は所得税本体にかかわる問題もたくさん含んでいるので、拙速に結論を出すのではなく、3年間十分議論しながら、現実的な問題を処理するという姿勢が重要である。
  • 税制は理論的に整合的であるというだけでは機能しないものであり、どうしても執行可能性が担保される必要がある。したがって、金融課税の問題では、無記名債の問題や株取引の名義とその背後にある本当の受益者の問題、更には資料情報制度、挙証責任などの税の執行面を担保するための問題についても議論していく必要がある。
  • 利子と配当との課税の均衡の問題など、配当課税の問題を視野においた議論をすべきではないか。
  • 海外送金の話は一体放っておくとどの位のスケールで脱税とか税金の回避がおこるのか。
  • 資料情報制度の関連諸制度を各国比較すると、挙証責任については、アメリカは納税者側、フランスは課税庁側、イギリスは納税者側、ドイツは所得は課税庁側、経費は納税者側、日本は課税庁側となっている。9月の法案化のときどこまで踏み込むのか。
  • 資料情報制度の議論に当たっては、所得課税とともに資産課税の面からも、適切な制度を構築していく必要がある。
  • 海外預金利子について申告するインセンティブを高めるため、総合課税ではなく、例えば申告分離課税とすることは考えられないか。
  • ユーロ市場は国際的かつ特殊であるため、本人確認を販売時の1回とした方がよいのではないか。いずれにせよ、実務的な、具体的な面で市場に大きな影響が無いような方向で検討するのが適当ではないか。