利子等の総合課税
- 総合課税にした場合、所得階層によって税引後の金融収益率が異なるという問題は、税率のフラット化によって解決するし、従来からある課税の把握もれが捕捉されれば、むしろ実質的な公平を維持することができるのではないか。
- 税額計算上の所得金額は種々の公共サービス配分の基準となっているが、源泉分離課税は一切所得基準から外されている。総合課税化は単に税制に止まらない問題であることにも留意する必要がある。
- 昭和58年頃から、世界中の税制に対する考え方がフラット化の方向へ進んでいった。フラット化により、総合課税の必要性は急速に低下しているのではないか。
- 税率のフラット化を進めれば総合課税は不要との意見もあるが、そもそもどこまでフラット化を進めるのかを議論する必要がある。フラット化には限界があるのではないか。税率を完全にフラット化し、総合課税せずに所得税率と源泉徴収税率を同水準にするのか、ある程度累進を緩和し、総合課税を志向するのか、所得税体系の議論を行うべきではないか。
- 金融資産収益については課税の公平性、中立性の確保という観点から総合課税化が議論されてきたが、最近ではクロスボーダー取引の増大、グローバライゼーションの進展に伴い源泉徴収の重要性が指摘されるようになっている。これまでとはかなり異質な考え方が求められることになるので、今後、考え方を整理していく必要があるのではないか。
- アメリカでは利子・配当に源泉徴収を導入しようとしたが、源泉徴収では早めに納税することにより運用益を失うという理由で反対され潰れた。金融商品の中立化にあたっては、国際課税でも同様、運用益の問題を考えておくべきではないか。
- 公平、中立、簡素の観点からは、総合課税、申告分離課税、源泉分離課税のいずれにも長所、短所があり、この点を具体的、総合的に考えていく必要がある。その場合、中立性が重要なポイントとなるのではないか。