第11回金融小委員会 議事録
平成16年6月15日開催
〇委員
ただいまから、第11回の金融小委員会を開催させていただきます。
本日は、前回の小委員会で申し上げましたとおり、報告案のとりまとめを行いたいと思います。お手元にお配りしております報告案は、前回の報告案について、いただいたご意見、ご指摘をできる限り盛り込んで修正したものです。
とりまとめた報告については、本日午後の総会に報告することになっております。その意味でも、議事にご協力いただければ幸いです。
まず、事務局から、前回からの修正点などについて説明をいただきたいと思います。
では、事務局、お願いいたします。
〇事務局
お手元に委員限と書いてございます。平成16年6月15日の日付の入ったものがございます。全体で7ページになっています。前回からの修正点を中心に、目で追いながらご覧いただきたいと思います。
まず、1ページでございます。冒頭9行にわたりまして、今回、金融小委員会でのご論議の背景というか、経緯が書いてございます。最後のところ、「今般、金融所得課税一体化についての基本的な考え方を理論的に整理し、総会に報告することとした。今後、本報告で示した基本的な考え方をもとに、実務面を踏まえた検討を進めていく」ということで、事務局においてもこの報告を頂戴いたしまして、この夏以降、作業に入りたいと考えております。
中身でございます。漢数字の一、「一体化の意義」でございます。このあたりは主立った変更点はございません。第1パラグラフでは、貯蓄率の低下といったマクロ経済面での背景、コンテクストについての記述がございます。
21行目からの記述、特に、「金融・証券税制についても、いわゆるプロの投資家だけでなく、今まで「貯蓄」を中心に資産運用を行っていた一般の個人にとって、より一層「投資」を行い得る環境を整備する政策的要請がある」、ここは大事なところかと思います。
24行目からは、いわゆる課税の中立性、簡素でわかりやすい税制、さらに、一般の個人投資家が投資を行いやすくするために、「投資リスクの軽減を図ることも必要」と書いてございます。
次の2ページでございます。一番上のところ、「一般の個人の「投資」対象である上場株式や公募株式投資信託に対する投資利便性を高める」と2行書いてございまして、今回の金融小委員会におけるご議論の主眼と申しますか、テーマと申しますか、土俵、これをここに書いてございます。
5行目でございます。変更しておりますのは、「新しい金融商品を開発し所得の発生・実現時点を操作することなどにより、キャッシュフローを様々な所得分類に加工する」。現在、いろいろな金融の分野で行われております動きを書き込むべきであるというご指摘を踏まえまして、「所得の発生・実現時点を操作することなどにより」、このように書いてございます。
10行目からの「税制論からみた位置付け」でございます。便宜上、17行目からの「一体化は、二元的所得税論の立場から主張されることもある」というパラグラフもございます。二元的所得税についてもご議論賜ったわけでございますが、結論としましては、28行目、「北欧型の二元的所得税については、今後、わが国の経済・財政状況や税体系を踏まえ、引き続き検討」。このように二元的所得税については引き続き検討としつつ、今の第1パラグラフ、11行目からのパラグラフでございますが、この14行目、「現下の「貯蓄から投資へ」の政策的要請を受け、一般投資家が投資しやすい簡素で中立的な税制を構築する観点から、現行の分離課税制度を再構築する」。一旦二元的所得税についての議論をこちらに置きながら、現行の分離課税制度を政策的に再構築するという位置付けを、ここで書いていただいております。
漢数字の二が31行目からございます。一体化の具体的内容は、課税方式を均衡化することと損益通算の範囲を拡大する、この2つの内容があるわけでございますが、その第1の課税方式についての記述が32行目から書いてございます。(1)配当所得、このあたりについては修正点は特にございません。第1パラグラフに現行制度の説明がございまして、次の3ページ、6行目からボトムラインが書いてございます。「配当所得について、一般投資家の金融所得という性格に着目」ということで、「他の金融所得との中立性の観点から、20%の税率による分離課税とすることが考えられる」と書いてございます。
なお、11行目でございます。「一般投資家の金融所得という位置付けで分離課税とするならば、配当控除や負債利子控除の位置付けについて再検討が必要となる」。再検討をせよというご指摘をいただいております。これは前回、配当については会社法のいろいろな動き等々もあるというご指摘を頂戴いたしました。
16行目から、公社債の譲渡益についての課税の問題が書いてございます。変更点を先に申しますと、19行目、「マクロ経済の変動など様雑なリスク要因に応じた日々の金利の動きにより価格が変動する」。公社債についてもやはりいろいろなリスク要因があるのだというご指摘を頂戴いたしまして、「リスク要因」という言葉を挿入しております。
さらに27行目、公社債も課税の中に入れていくというご指摘を頂戴しているわけでございますが、「公社債の取引実態等を踏まえ、実務的な検討を」、前は「検討が必要である」とくくってあったのですが、「早急に進める必要がある」と。これは、昨今の国債の動きを念頭に早く検討せよというご指摘をいただきましたので、書いております。
(3)外貨建ての金融商品、為替差益の取扱いについて、ここは基本的に変更はございません。
次の4ページでございます。(4)の保険でございます。これにつきましては、保険についての書き振りがあっさりしているのではないか、生・損保控除のあり方等々いろいろ論点があるではないか、と。我々としても全く問題意識を共有しておりますが、ここでのコンテクストからは、生・損保控除云々まではちょっと書き切れないかなという相談をいたしまして、「保険も個人の金融資産の中では重要な位置付けを占めている」ということにしております。
以上が課税方式でございます。
19行、「2.損益通算等」のところでございます。ここでは21行目から、「経済的に見れば」と24行目にございますが、経済的に見ればくくるべきではないかというご論議が第1パラグラフ。それから29行目から、「一方、税制として見れば」というの第2パラグラフでございます。ここは33行目、「このような税制上の性格の違いから」ということで、前にご覧いただきましたものには、「譲渡所得と経常所得との間の損益通算を認めることは本来適当でない」という記述がございました。いろいろご論議賜りまして、その部分、全文を削除しております。「このような税制上の性格の違いから、主要諸外国においても」ということで、客観的事実を述べることにしております。
次の5ページでございます。先ほどの税制上の取扱いの性格の違い、これに加えて第1パラグラフ、「損失と利益との課税の均衡も必要」ということで、「税率の異なる所得の間の損益通算を認めることは適当でない」、こういったことが書いてございます。さらに、4行目からの税収の問題、これも前回同様書いてございます。
変わっておりますのは、7行目からのパラグラフでございます。「こうした税制上の留意点を踏まえつつ、「貯蓄から投資へ」という政策的要請に応えて、株式譲渡損失との損益通算を認める範囲を、利子所得も含め金融所得全般にわたり、できる限り広げていくことが適当である」。これは、「できる限り広い範囲で損益通算を認める」と淡々と書いてあったのですが、いわゆる株に対するドライブをかけるという趣旨及び利子もちゃんと射程に入れていることをはっきり書けというご指摘を頂戴いたしまして、繰り返しになりますが、「株式譲渡損失との損益通算を認める範囲を、利子所得も含め金融所得全般にわたり、できる限り広げていく」、このように書いてございます。
13行目からの、「(2)具体的検討」でございます。[1]が、同じキャピタルゲインロスである株と公社債についての記述でございます。[2]、株の譲渡損と配当との損益通算についての記述がここにございます。実は18行目、税制上の性格が異なることから、「ともに金融所得であるということだけでは直ちに認めることはできない」、こう書いてございました。ここも種々ご指摘を賜りまして、その部分全文を削除しております。[2]のパラグラフ、「しかし」というところ、「現下の「貯蓄から投資へ」という重要な政策的要請に応え」というところ、まさに配当と株のキャピタルロス、これの損益通算を「政策的に認めることが適当」というパラグラフでございます。
27行目から利子の話がございます。ここも、いろいろ書いてあったのを整理せよというご指摘を頂戴いたしましたので、ここは全文読み上げたいと思います。「利子所得も経常所得であり譲渡所得とは性格が異なるが、株式譲渡損失の損益通算の範囲を利子所得まで広げると、株式投資の一層のリスク軽減を図ることができる。そのためには、現行制度においては一律源泉分離課税とされている利子所得について、損益通算を行うための申告を可能とする制度に改めるとともに、支払調書制度を整備する必要がある。その場合、官民双方の事務負担も考慮すべきである。また、株式譲渡損失との損益通算を認める範囲を利子所得まで広げると、税収への影響が大きくなることにも留意しなければならない」。
続きまして34行目、「「貯蓄から投資へ」の流れを進める観点から株式譲渡損失と利子所得の損益通算を可能とするために、上記のような諸課題の解決に向けて実務的な検討が必要である」。ここは、「諸課題の解決に向けて取り組んでいく必要がある」と書いてございましたが、これではむしろバックバナーに置く感じも出てくるという指摘がございましたので、ほかと合わせまして実務的な検討をせよという記述に変えてございます。
次の6ページでございます。資産滅失の話でございます。第1パラグラフで現行の取扱いが書いてございまして、第2パラグラフ、7行目、「証券取引所では上場廃止前の一定の売買可能期間において譲渡することにより譲渡損失を実現させ、譲渡益から控除することが可能である。しかし、一般の個人投資家は常に網羅的に把握しているとは限らない」ということで、「貯蓄から投資へ」の政策的要請ということを踏まえて、キャピタルロスと同様の扱いとすることが考えられる、このようなご指摘を頂戴しております。
15行目からはいわゆるペイオフについての記述がございます。結論を申しますと、「ペイオフ損失を税制上措置することは、「貯蓄から投資へ」の要請からは説明できない」、このような記述がございます。
21行目、漢数字の三、「納税環境の整備」でございます。(1)の申告についてのお話。どういう場合に申告が必要か等々、ちょっとわかりにくいというご指摘を頂戴いたしましたので、ここもパラグラフを入れかえる等の修文を行っております。読み上げさせていただきます。「現行の税制は、ほとんどの給与所得者が納税申告を行わないで済むという現状を前提に、納税者及び税務当局の事務負担や、投資家心理にも配慮して、源泉徴収を活用し、申告を不要とする仕組みが中心となっている。損益通算の範囲を現行制度よりも拡大した場合には、損益通算を行うための申告が必要となる。こうした申告機会の増加は、納税者が自ら申告する所得税の将来のあり方との関係では望ましい。また、納税者・投資家の利便性や適正な税務執行の観点からは、申告に先立って支払時点で徴収しておく源泉徴収制度が引き続き重要である」。
34行目から、番号制度についての記述がございます。第1パラグラフがいわゆるチェックの必要性ということで、次の7ページの4行目、ここを変えてございます。ここは、適正な納税実現という観点をもう少しはっきり書いたほうがいいのではないかというご指摘を頂戴いたしまして、修文しております。「その場合、官民双方にとってより簡便な方法による正確なマッチングを通じて適正な納税を実現するためには、何らかの番号制度を利用することが必要である」。社会的費用というような言葉がございましたが、この辺についてもいろいろご指摘を賜りましたので、「官民双方にとってより簡便な方法による正確なマッチング」、このような言い方に変えております。
次の7行目のパラグラフ、基本的に変更点はございませんが、おさらいのため見ていただきますと、そのパラグラフの2行目、「番号制度を一律に導入することについては慎重な対応が望まれる。番号制度を導入する場合には、損益通算の適用を受けようとする者は番号を利用し、そうでない者は番号を利用しなくてよいという選択制とすることが考えられる。選択制とする場合、これまでの「納税者番号制度」の論議において前提条件とされていた全国民を対象とする全国一連の番号である必要はなく」、このように書いてございます。
16行目から、最後のパラグラフ、プライバシー保護についての指摘でございます。個人情報保護法等の動きがここに書いてあるわけでございますが、そういった一般的な法制面での対応に加えてということで、結論部分、24行目、「必要に応じてこの番号に係る」。前の版では「特別な制度整備」というふうに単純に書いてあったのですが、プライバシー保護をしっかりするようにという指摘をはっきり書くようご指摘を頂戴いたしまして、「必要に応じてこの番号に係るプライバシー保護のための特別の措置を検討すべきである」、このように書いてございます。
以上でございます。
〇委員
ありがとうございました。
それでは、自由討議に移りたいのですが、念のために申し上げます。今回の報告案は、前回の報告案について、前回いただいた意見、指摘をできる限り盛り込んでつくったものです。これを本日の午後の総会に報告することになっておりますので、できるだけご協力をお願いできればと思います。
以上ですが、報告案について、ご質問、ご意見等ございましたら、どうぞ。
〇委員
2ページの5行目と6行目ですけれども、「特に新しい金融商品を開発し」ということと、そのあとに「金融商品からのキャッシュフロー」。金融商品と言ってしまっているわけですが、名前は金融商品でも、中身は金融商品ではない。申告書に付ける赤字の紙を売ってくれるお仕事ですよね。金融商品と呼ぶ必要はない。カッコ付きくらいで。ちょっと角が立つかな。
それからもう一つですけれども、17行目に「二元的所得税論」とあります。二元的所得税という制度はあるかもしれませんが、二元的所得税論というのは果たして理論としてあるのかどうか。私の大学では教えてないのですが、こういう誤った考え方があるというあれなので。理論じゃないでしょう、これは。
〇委員
何が理論であって何が理論でないかというと、ひょっとしたら、これを主張している方はまた怒り出すかもしれないですけれども、もちろん、これは理論ではないというお立場もあると思うのですが、どうなんでしょうね。ひょっとしたら委員は、経済学は学問ではないなんておっしゃらないでいただきたいと思うのですが。
わかりました。何かそのほかに。
〇委員
非常によくまとめていただいて結構だと思います。ちょっと意見と質問ですが、一つは、くどいようですけれども、3ページの8行目のところに、「大口株主については」云々とあります。「大口株主」というのは何なんだということが明確ではないということもあるし、それから冒頭に、「プロの投資家だけでなく、今まで「貯蓄」を中心に資産運用を行っていた一般の個人にとって」というのが前提としてあるわけですから、大口株主については云々というところは、むしろ削除してしまったほうがいいのではないかという意見であります。
それからもう一つは、5ページの31行目の「その場合」というところ以下です。その前は非常にきちっとしていいと思うのですが、「その場合、官民双方の事務負担(コスト)も考慮すべき」、あるいは、「税収への影響が大きくなることにも留意しなければならない」と。何かここで腰が引けてきたような印象を受けるのですけれども、その辺は事務局はどうお考えになってこういう表現をしているのかを、ちょっとお聞きしたい。
以上、二つです。
〇委員
ご質問なので、もし事務局がお答えできれば。
〇事務局
まず、先ほどの先生のご指摘でございます。2ページ目の「金融商品からのキャッシュフロー」、たしかに「金融商品とは何ぞや」というのは定義はなかなか難しいところがあると思うのですが、ここでのご議論の土俵がある種金融の話であるということで書いてあるわけでございます。いろいろな節税商品云々、我々もよく認識しているのですが、ここでのご論議の土俵という意味ではこういうことかなと思います。
それから、二元的所得税論。この間言ったかよくわからないのですが、時として使われる言葉であろうかなと考えております。
それから、大口のところでございます。これは、委員がおっしゃるとおりの面がございますが、今までいろいろご議論賜った点でもございますし、かつ、上場株式という中ではこの大口の話も入ってきてしまう、ここについてどう議論したのかというご指摘を受けた場合に、答える必要もあろうかなということで書いてございます。もちろん、この「大口株主」、これは定義が現行制度ではあるわけでございますが、今後の具体的な制度設計においては実態を踏まえたことを考えたいと考えております。
それから、5ページ目の利子所得のところでございます。「その場合」ということでございます。これは、官民双方の事務負担も考慮、それから税収への心配、こういったことをちゃんと踏まえて、それでも前向きに検討するようにという叱咤激励というふうに我々は認識しております。
〇委員
ほかに、ご意見等ございますでしょうか。
〇委員
すみません、議論の過程でどういうふうになっていたか、私も記憶にないので確認だけさせていただきたいのですけれども、一体化の中では課税方式の均衡化ということで、株式とか、公社債とか、外貨預金あるいは保険というのが入っています。これが損益通算の中身になると、株と公社債はあるのですけれども、外貨預金とか保険が入っていないというのは、どういう議論を経てこうなったのか。私、ちょっと記憶になかったので、教えていただければありがたいのですけれども。
〇事務局
たしかに網羅的に書き切れていないというご指摘は、そのように我々も考えておりますが、実は、保険とか外貨の差損益についてはまだ課税方式が均衡化していない。その上でようやく損益通算の議論ができるということでございまして、20%の分離課税にした上で、例えばみなしのキャピタルゲインロスにするというような作業を通じて次のステップに進めるということでございます。ここでは、現時点では分離課税になっているものについて損益通算の議論をしておりますけれども、今後、総合課税になっているものについて、分離課税にした上で、次のステップとして損益通算の議論になる。みなし譲渡損益という形に整理できるかどうかというのを、次の制度設計の段階で検討させていただければと考えております。
〇委員
前回、会長がみんなで7割、8割満足すればとおっしゃいましたが、私は9割満足で、何のこれについての反対はありません。ただ、質問というか、どのようにここでの議論を理解しておくかということで事務局に確認しておきたいのですが、5ページの1行目で、「損失と利益との課税の均衡も必要である。…分離課税でも税率の異なる所得の間の損益通算を認めることは適当でない」、全くおっしゃるとおりです。そこでいろいろなものの均衡の話をしているわけですが、損益通算、先ほど他の委員がご指摘になった、5ページの27行目からの[3]では、今のところ、利子並み課税と株並み課税で言うと、利子所得のほうは利子並み課税であって、ここは均衡していないわけです。均衡していないということを前提にして損益通算の範囲を広げていくときの考慮事項として、事務負担とか、税収というようなことが挙げられていますが、この1行目との関係で言うと、課税方式の均衡ということは、おそらくわざわざ書いていらっしゃらないのだろうと思いますが、そこのところはどのように理解しておけばよろしいでしょうか。
〇事務局
今の委員のご指摘、いわゆる利子については今税率20%、それから、上場株の配当、譲渡損益については優遇税率10%、5年間の措置。そのご指摘でしょうか。
〇委員
国税で言うと、基本は15%と20%ですよね。下げているところではなくて、利子所得は15%ですね。そこが違うというだけの話ですが。「15%+5%」でしょ。
〇事務局
現行制度を簡単に申しますと、上場株の配当も利子も税率は国15%・地方5%の20%になっております。そのために例えば地方税においては、いわゆる配当割というような源泉徴収制度もつくっていただいて、15%+5%のイコール20%という意味においては、利子、配当も同じです。その上でこの5カ年間は「貯蓄から投資へ」というドライブをかけるという意味で、上場株の配当、キャピタルゲインについては、20%を7%・3%の10%にしてある、こういうことでございます。
〇委員
わかりました。
〇委員
株式のところと、もう一つは公社債のところがあるかと思います。先ほどの5ページの一連の流れのところで、公社債の譲渡損というのも、例えば[3]のところですけれども、今後、利子所得とどうするかということも一つはあるのではないかと思います。株式以外にも、今後、国債が相当大量発行ですから、これがうまく消化されるためには、その損益に関してもある程度認めてあげることが長期的には必要ではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
〇事務局
そのご指摘も我々はよくわかるところではございますが、実は「貯蓄から投資へ」という土俵でご議論いただいているということで、先ほどちょっとご紹介しました、例えば2ページ目の一番上のところとか、さらにその前の1ページ目の冒頭のところに書いてございますけれども、現時点では公社債というのは何かと申しますと、主に国債と金融債でございます。個人投資家にとっての公社債というのは主に国債と金融債なものですから、そういうくくりで言うと、貯蓄そのものでございます。今おっしゃった、いろいろなほかの政策的な観点というのは、我々、存在していることは重々承知しておるのですが、この金融小でのご論議、すなわち「貯蓄から投資へ」といった場合には貯蓄の分類に入っているということでございます。決してほかの政策的観点を、無視というか、否定するものではないのですが、ここでのご論議のコンテクストの中では入ってこないというふうに我々は考え方を整理させていただいております。
〇委員
整理はわかりますけれども、ただ、国債価格がだいぶ乱高下してきていますので。それからあと、貯蓄という場合、預貯金からというところが強かったようなので、株式のほうにということでしたら、わかりましたので、ありがとうございます。
〇委員
最後のプライバシーのところです。私はこういうことに詳しくないのであまり知らないのですけれども、ただ、最後のパラグラフを読んでいて、特に20行目くらいですか、「損益通算のための選択制の番号であっても、納税者が支払者に対して番号を告知することになるので、支払者から番号情報が漏洩する恐れもある」云々云々ですけれども、今、例えば社会保険庁の問題だと、社会保険庁から漏洩していることが最大問題ですよね。別にこれでもいいのでしょうけど、漏れるのは支払者からだけで、それは「民間における個人情報セキュリティを巡る動向」云々で、何かもうちょっと書き方かあるのかなと思いましたけど。
〇事務局
もちろん、個人情報保護法という法体系の中には行政機関による個人情報保護というのも入ってございます。ただ一般的に、例の通販の会社の話とか、民間での個人情報の管理の仕方に関心があったのも事実でございます。例の住民基本台帳番号にかかわるご議論の中でも、民間で使うのはいかがなものかという論議があり、現行では、「民間での使用を禁止する」、こんなふうになっております。我々も、国サイド、行政サイドからの漏洩、これをのんきに考えているわけではございません。いずれにしましても、最後の行にございますが、必要に応じてこの番号独自の何らかのペナルティーが必要だと。このところには、行政機関による漏洩、これについては一般の国の守秘義務、国家公務員の守秘義務以上のことをかけろというご議論があれば、ぜひともかけなければいけない、このように考えております。
〇委員
よろしいでしょうか。
どうぞ。
〇委員
非常にすっきりして、きわめてよくなったと思います。内容的には、私、これで非常に整理されたと思いますが、ここまで来たのだから、「「貯蓄から投資へ」の政策的要請」というのが、2カ所、要約の中に出ていますけれども、これをうまく伝える必要があるのではないかと思います。今回はもちろんここだけなのですけれども、説明のときに、要するに15年度、16年度、17年度とかなり思い切ったことを税制としてはやられていると思うんですね。だから、それの連続的な改革、それが全体として株式活性化に向けての大きな改革になっているということがわかるような説明は重要で、「貯蓄から投資へ」と、ここではこういう言い方に当然なるでしょうが、もうちょっとわかりやすいような、「株式市場活性化」とか、そこまで言っていいのかどうかわかりませんが、一般にはもっと違う説明の仕方が、わかりやすいのがあり得るかなというふうな印象を持ちました。
〇委員
最後のところに合うかどうか知らないのですが、もう1枚、紙があると思います。これは報告とは別個に、小委員会のこの報告の基本的考え方をできるだけわかりやすく国民の皆様に知っていただくためにつくっていただいた資料なので、事務局、ご説明いただけますでしょうか。
〇事務局
「金融所得課税の一体化についての基本的な考え方」の概要、これはあくまで我々事務局サイドで試みにつくってみたものでございます。今、先生がおっしゃった、まさに「意義」の一番大切なところ、全くおっしゃるとおりだと思いますので、「貯蓄から投資へ」の政策的要請、もうちょっと工夫して書き込むことができればなと。
ただ、一般的に我々が考えておりますのは、完全に株式市場を活性化させると、これももちろん入っているのですが、先ほど申し上げましたけれども、全体的に貯蓄率が低下している。パイ自体が新しいストックの流入で増えていかない、そんな中で、ここに書いてございます、「家計金融資産に占める株式、株式投資信託の割合が諸外国に比べて低い」と。いわゆる経済の大きさというものを家計金融資産に直接的に反映させていくという、ある意味では大きな議論もあるわけでございます。今、先生がおっしゃったとおりだと我々は思いますので、ここは工夫をさせていただきたいと思います。
〇委員
ありがとうございました。こういう努力もいろいろとしますし、今の委員のご意見もできるだけ最終までに反映させたいということだろうと思います。
では、そろそろよろしいでございましょうか。時間はまだありますけれども、大体ご意見も尽きたようですので、このあたりで本日の会議は終了させていただきたいと思います。
委員の皆様には、時間の制約の中で報告のとりまとめにご協力いただきまして、大変ありがとうございました。本日いただきました意見も含めて、いただいたご意見、ご指摘については、今後の検討に向けて、できるだけ反映させていただきたいというふうに思っております。案文についてはこのままということで、小委員会としての報告をとりまとめさせていただきたいと思います。
〇委員
何かありましたら、事後的に事務局なり私におっしゃっていただければ、できるだけ具体化等についてご意見を反映させていただきたいと思います。
本日午後の総会に報告したあと、小委員会の報告として公表することにいたします。それまでは対外非公表の取扱いとなりますので、取扱いについてはご注意願いたいと思います。
本日の審議は以上です。大変ありがとうございました。
今後の小委員会の予定につきましては、事務局とも日程調整をしつつ、次回のご案内をさせていただきます。
それでは、本日の小委員会、これで終わりにいたします。お忙しいところをどうもありがとうございました。
〔閉会〕
(注)
本議事録は毎回の審議後、速やかな公表に努め、限られた時間内にとりまとめるため速記録から、財務省主税局及び総務省自治税務局の文責において作成した資料です。
内容には正確を期していますが、税制調査会議事規則に基づき、事後の修正の可能性があることをご承知置きください。