第3回金融小委員会 議事録
平成16年1月23日開催
〇委員
ただいまから、第3回金融小委員会を開催いたします。
今日は、年明け第1回目の小委員会でございますので、すでにお知らせしてありますように、まず、平成16年度税制改正の内容について事務局から報告を受けて、質疑・討論を行いたいと思います。続きまして、昨年の小委員会の議論の中で、委員から事務局に対する宿題とされた、北欧諸国及びオランダの税制について、事務局の説明を受けたいと思います。最後に、今後の議論の進め方などについて自由討議を行いたいと思います。
議事に入る前に、総務省に人事異動がありましたので、事務局からご紹介いただきます。
〇事務局
1月6日付で、市町村税課長でありました吉崎正弘が情報通信政策局の総合政策課長に転任になりまして、後任に山根悟、前の情報通信政策局地域通信振興課長が就任いたしました。どうぞよろしくお願い申し上げます。
〇委員
それではまず、平成16年度税制改正の内容について、事務局から説明を受けたいと思います。お願いいたします。
〇事務局
お手元の資料の「総10-1」と、それから「総10-2」と、前回総会のときに出されたものがございます。それから地方税関係で「総10-3」というものがございます。この金融小委でのご議論にある種関連する事項を中心に、この「総10-2」という冊子をご覧いただきたいと思います。これでご説明いたしたいと思います。
今回、平成16年度税制改正のポイントといたしまして、もちろん、年金課税等々の議論はあるわけですが、ベースといたしまして、資産活用の促進による資産デフレの対応ということで、経済活性化に向けていろいろ工夫しなければいけないということ。片や財政状況も厳しいという中で、例えば譲渡益等々について考えようという議論をしたわけでございます。
この「総10―2」という冊子の1ページ、1つが「住宅ローン減税」ということで、足元の平成16年分については平成15年分と同じ制度で延長しつつ、平成17~20年分について徐々に、いわゆる中堅層のローン水準、これを念頭に置いた減税に重点化するということをいたしております。
次のページに「居住用財産の譲渡損失の繰越控除」、今申し上げた、住宅減税のある種一環といたしまして、実は買換えをした場合、絵が書いてございますが、譲渡資産が所有期間5年超で、それを買い換えて新しい資産を買いましたと。その場合に、現行、改正前の姿であれば、前の売った家に対する住宅ローンにも残高がある。それから買い換えたほうにも残高がある。こういうふうに両方にまだ借金が残っている場合については、譲渡損失、これを総所得から3年間繰り越して控除できるようにしようという制度があったわけでございますが、売った家については、もうローンが完済されているという場合も今回含めようとしたわけでございます。
加えまして、ある種、新しい家を買わなくても同じような措置をしようということで、譲渡資産の所有期間、下のほうでございますが、5年超のもの、それを売りましたと。実際、買換えなし。例えば借家に住みかえたとか、老人ホームに入ったとか、こういった場合も、この譲渡損失、ローン残高から譲渡価額を引いたものを限度といたしますが、こういった場合にも譲渡損失の金額、これを繰り越して控除できるようにしようとしたものでございます。
次の3ページでございます。「土地の譲渡益」でございます。ここに「株式に対する課税とのバランスを考慮しつつ」と書いてございます。実は従来から、土地税制につきましては、バブル崩壊後だんだん緩和してきました。その際の理屈として、バブルが崩壊したのだからバブル以前の姿に戻すべきであると、こういう議論でだんだん減税してきたわけでございます。しかし、すでにもう戻ってしまったと、バブル以前の姿に戻ってしまったということを前提に、さらなる、もうワンステップと申しますか、今度は株式と同じ扱いにしてほしいという論点が提起されたわけでございます。
例えば税率のところをご覧いただきますと、現行、いわゆる改正前では、長期譲渡所得26%、それに対して株は原則20%、上場株については5年間10%になっているわけですが、原則20%、このようになっております。
我々の議論といたしましては、土地、それから株、それぞれに資産としての差もあるでしょうと。土地については公共的なものであるとか、こういった議論もあります。株のほうはいわゆる足が速いと申しますか、一定のところに落ちついてないということもございます。さらに、税率のみならず、例えば他の所得との損益通算が土地の譲渡損はできます。土地の譲渡損を例えば、給与所得から引くということが改正前ではできたと。株の譲渡損はそれができない。
それから現行では土地の譲渡所得課税には各種控除がございます。例えば100万円の特別控除。特別控除となっておりますが、これは例えば収用とか、そういうものでなくても、とにかく土地であれば100万控除できるという制度がございます。そのほか、例えば収用の場合、5,000万円控除、こういったものがございます。株の譲渡所得課税にはそういう控除はない。
それから長期・短期の区分。所有期間が5年以内の場合には税率52%のかなり重い税金がかかる。こういうものが土地の譲渡所得課税にはございますが、これはまさに土地転がしを抑えるという意味でございます。こういった長短の区分は株の譲渡所得課税のほうにはない。
要するにパッケージとして、土地、建物の譲渡所得課税と株の譲渡所得課税、いろいろなフェーズがあるのですと。単に税率だけをあわせるというのはどうでしょうかという議論をかねてから行っておりました。
与党内におきましてもそれなりの議論が行われまして、昨年の年末、今申し上げた、違うところ、実はこの長短の区分、これだけを残しまして、あとは全部そろえようということにしたわけでございます。すなわち、税率は20%。それから損益通算もできない。各種控除のうち、収用とかそういうものは別にして、一般的な100万円控除というのはなくそうと、このようにいたしたわけでございます。
この結果、後ほど出てまいります非上場株の税率について、これも26%を20%にいたしましたので、この結果、資産に関する税率はほとんどすべて20%ということでそろった形になります。
ただ、例えばこの土地の譲渡損益等々、今まで損益通算できたのにという議論もあるわけでございますが、真に困っておられる、例えば居住用資産につきまして、従前よりも厚い配慮を行っておるということでございます。
4ページ、これは後ほど、「金融小3-1」の資料でご説明いたしますが、「金融・証券税制」につきましては、平成15年度税制改正のフォローアップとして、公募株投について上場株並み課税ということを今回いたしております。
それから5ページは「ベンチャー支援」。ベンチャー企業の対象を増やすと。むしろ投資家にとって最も不満の多い、どこに投資すればいいのだ、それはどこに行けばわかるのだ、そもそも投資先が少ない、こういったご要望に応えるということで、民間の目利きを活用できるように、投資事業有限責任組合でありますとか、証券会社のグリーンシートを使うとか、いわゆる民間の目利きを使うような改正を行う所存でございます。
それから6ページは、「事業承継の円滑化」。このうち、非上場株式の譲渡益に対する税率を20%に引き下げると。先ほど申し上げたように、土地、それから非上場株、こういったものを20%にそろえたわけでございます。
さらに次の7ページ、欠損金の繰越期間について、5年を7年に延長するということをいたしております。
それからその次の8ページは年金課税。特にこの場におきまして関係ございます確定拠出年金制度の拠出限度額の引上げというものも、上の年金改革の中で、給付額が下がる、それを補てんするという自助努力を支援しようということで、それぞれ拠出限度額を引き上げるということをいたしております。
以上、特に関連するところでございますが、次に「金融小3-1」という資料でございます。1ページ、これは平成16年度改正に関していただいた答申の抜粋でございます。
ご指示いただいたのは、文面3行目の、当面、平成16年度においては、15年度改正の措置の円滑な実施を図れというご指示をいただきました。その上で、今後の取り組みとして、「金融商品間の中立性を確保し、簡素かつ安定的な税制を構築するため、金融資産性所得に対する課税をできる限り一体化する方向を目指すべきである」と。最後の行、「金融小委員会において検討を進めていく」という答申をいただいております。
2ページでございます。平成15年度改正と平成16年度改正、ある意味ではセットでございますので、一表にまとめました。「平成15・16年度改正による金融・証券税制の大幅な軽減・簡素化」ということで、預貯金並みの手軽さで株式投資ができる税制という大きな目的のもとに、将来の課税の一体化に向けた措置ということで、上から3つ目の枠、ここに公募株式投資信託の課税ということで、平成15年度改正においてはいわゆる株並み課税、収益分配金・譲渡益を株並み課税というふうにしたものを、16年度改正、網掛けしてございますが、上場株並みの課税化ということで、具体的には税率を26%から20%に、それから特定口座でも管理ができる、それから損失の繰り越しも可能になりますと。あわせて非上場株式に対する税率が、26%が20%になるということでございます。かつ、当面の優遇措置ということで、16年度改正の中で、公募株式投資信託の譲渡益についても、税率20%は10%となっております。
3ページ、4ページ、ただいま申し上げたことを書いているわけでございます。
5ページ、これは昨年の金融小でもご覧いただいた表でございます。預貯金、公社債、株式、投資信託等ということで、保有段階と換金段階、その換金段階も売却した場合、それから解約・償還した場合、それぞれどういう課税を行っておるのかという一覧表でございます。濃く網掛けしてございます。非上場株と公募株式投信の譲渡益課税、この部分が16年度改正で変わるわけでございます。
この結果、16年度改正以前の姿と比べましても、20%で課税すると、少なくとも税率の上ではかなり色がそろってきたということが言えるわけでございます。このほか、例えば土地、それから雑所得等課税をしてます先物関係、こういったものも税率20%というふうにそろうわけでございます。
ただ、もちろん、それぞれ源泉分離であったり、それから申告分離であったり、源泉徴収プラス申告不要であったり、課税の方式が違うわけでございますが、繰り返しになりますが、税率という意味では20%にそろってきていると。
こう整理して目立ちますのは、公社債、それから公社債投資信託、公社債のグループです。そこの売却益が非課税になっているというところが目立つ形になります。
6ページ、これは損益通算についての整理でございます。
7ページ、これもやや技術的でございますが、公募株投信を解約の形式で現金化した場合と譲渡の形式で現金化した場合で、取扱いが異なり、販売会社に譲渡した場合には、そこで一旦、いわゆる譲渡益課税が行われると。そして、販売会社がファンドに対して解約するという形になるわけですが、実は個別元本方式をとっている関係で、ここで解約益というのが販売会社に生じてしまうということになります。そこで、放っておきますと、源徴をここでかけざるを得ないということで、これを免除するというような技術的なことも16年度改正で行っております。
8ページ、9ページと、先ごろ閣議決定いたしました税制改正の要綱をつけております。
ここでちょっとご覧いただこうと思いますのは9ページでございます。例えば8の「償還差益に対する発行時源泉徴収免除の特例について、次の措置を講ずる」。例えば電子CPに該当するものを適用対象、いわゆる源徴免除する対象に加えるということが書いてございます。
その下の(2)、短期社債や短期外債の譲渡、償還等に係る支払調書制度等を整備すると。支払調書を出させるということもやっております。
それから八の「その他」。これは信託業法の改正というものが予定されておりますが、信託受益権自体を売り買いできるといった制度でございますが、その場合に、[3]信託受益権の譲渡対価に関する調書制度の整備を行う。こういったことを今回16年度改正で、いわゆる資本性所得をトレースするのに必要な調書制度というのを、我々、細かいようですけれども、一生懸命やっているということでございます。
以上でございます。
〇委員
ただいまの説明がありました内容につきまして、ご質問等ありましたら、どうぞお伺いしたいと思います。どうぞどなたからでも。――よろしいですか。
よろしければ、では次の議題に移りたいと思います。もし後からお気づきの点がありましたら、最後に自由討議の時間をとってありますので、そのときにご質問いただければと思います。
では続きまして、北欧諸国等の税制について、ご説明を受けたいと思います。事務局、よろしくお願いいたします。
〇事務局
資料の「金融小3-2」に沿いましてご説明させていただきます。「北欧諸国等の税制関係」ということでございます。
これまでの当委員会において、北欧諸国、あるいはオランダなど、二元的所得税についてご議論がいろいろございまして、この際、資料的に一度整理をしてはどうかということで、整理をしたものでございます。
それでは、まず1ページ目を開けていただきたいと思います。「二元的所得税の考え方」ということでございます。この概念図はもう見慣れた概念図でございますけれども、若干確認をさせていただきたいということでございます。
もともと、1980年代に、所得税をめぐりますさまざまな問題というのが北欧諸国で起こる、その過程で、資本の国際逃避の防止だとか、課税ベースの拡大といったような議論の中でこういう考え方が出てきたということでございますが、その特徴というのを上のボックスの中に4点ほど整理してございます。
ご確認を賜ればということでございますが、まず、勤労所得、それから資本所得というものを分離して課税するということでございます。それから勤労所得につきましては、累進税率で課税をする。それから資本所得につきましては合算して比例税率で課税をする。その資本所得に係る税率というものは、勤労所得の最低税率、法人税率に見合う水準ということがいわば概念としては整理できるのかなということでございます。
ここでのポイントは、資本所得に係る比例で低い税率が適用されるということで、キャピタルフライトの防止の問題に対応する。それから資本所得と勤労所得を分けるということで、両者間の通算を遮断する、あるいは利子控除の制限ということで、ここを分離していくということが大まかな特徴として言えるのではないかということでございます。
ただ、実際の各国の制度に当たりますと、これはある種、概念図ということでございまして、それぞれの事情に応じた制度の工夫なり変形というものがあるだろうということでございます。その点、それぞれの国に沿いましてご説明させていただきたいと思います。
資料をめくっていただきまして2ページ目の表でございます。今日用意いたしましたのは、スウェーデン、フィンランド、ノルウェー、オランダ、この4カ国でご説明させていただきます。
まずスウェーデン、フィンランドのあたりをご覧いただきますが、両国とも、勤労所得、資本所得につきましては、それぞれ一定の定義のもとに2つに分けまして、勤労性の所得については累進課税、それから資本所得につきましては比例税率ということでございます。スウェーデンの場合は、そこが30%、法人税率はニアリーイコール28%というあたりの水準になっているということでございます。
それからフィンランドにつきましては、投資所得という呼び方でございますが、預金等の利子については、別途、源泉分離という課税方式をとっておりますが、それ以外につきましては、法人税率見合いの29%ということで、この両国、この部分につきましては、先ほどの概念図に比較的近い形での制度設計になっているということでございます。
3ページ、ちょっと先に行っていただきまして、スウェーデン、フィンランド、まとめてご説明したいのですが、この3ページの表は損益通算などの特徴を整理してございます。スウェーデンにつきましては、先ほどの資本所得と勤労所得の間の通算につきましては、それを遮断する、分離するという形でございます。フィンランドも同様でございます。
それから資本所得の中での通算の関係ということにつきましては、これは一定の制限があるということで、スウェーデンの場合につきましては、資産によりまして一定の限度で資本所得内の通算が可能。特に株式の譲渡損につきましては、譲渡益と通算可ということであり、かつ、通算し切れなかった部分の損失については、70%を限度に他の資本所得と通算ができるという制約がかかっておるということでございます。
それから支払利子控除につきましては、スウェーデンの場合、全利子について資本所得から控除可能ということ、勤労所得からの控除はできないという遮断でございます。
帰属家賃課税はございませんが、不動産税など、別途の形で代替しているというような整理かと思います。
フィンランドをご覧いただきますと、スウェーデンと非常に似ておりますけれども、上の段の資本所得と勤労所得との通算につきましては、これを不可ということでございます。
それから資本所得内の通算につきましては、譲渡損失以外の損失は資本所得内の他の利益と通算はできるということですが、譲渡の損失につきましては、譲渡益とのみ通算可という形で、ここも制限が加わっているということでございます。
支払利子控除につきましては、住宅ローン、教育ローンなどについての利子控除は投資所得からの控除が可と、帰属家賃の課税はないという特徴になってございます。
比較的シンプルな形でございますが、引き続きましてノルウェー、オランダをご説明いたしますが、ちょっと形が特徴ございますので、むしろフローチャートでご説明したほうがいいと思いますので、後ろに行っていただきまして6ページ、ノルウェーの仕組みのイメージという横のフローをちょっとご覧いただければということでございます。
真ん中あたり、「所得分類」というところに個人所得、一般所得というところがございますが、この表示は勤労所得、資本所得という言葉は出てまいりません。ノルウェーの特徴は、一般所得というところにまずございます。一般所得というものが中身は何かということで、左側にずうっと目をやっていただきますと、「収入の種類」というところでございますけれども、上から4つ目のマルに給与・賃金、年金、事業収入とございますが、この3つは勤労所得と分類していい部分だと思います。それからその下、預金等利子から4つほどマルがございますけれども、そこは資本所得というものとして整理していい部分だろうと思います。
そういうことでご覧いただくということですが、いずれにしても、計算上、こういうマルが7つ並んでございますが、これが一切合財この中に入りまして、広く相殺させるという形で、ベイシック・インカムという形で一般所得が計算されるという仕組みになってございます。
その中には帰属家賃というのが入っております。それとの見合いということも含めまして、一般所得から税額を計算する際に、人的控除等を引きますけれども、すべての利子に支払利子控除ができるという形になっておるということでございます。税率は、ここは比例税率がかかるということでございます。
これに加えまして、この一般所得の上に個人所得という欄がございますが、また左のほうに目をやっていただきますと、「収入の種類」というところに3つございますけれども、これは勤労所得に当たるものでございまして、実はこの部分、先ほど申し上げました、一般所得に係る課税のいわば付加税ということで、所得付加税という形でここが仕組まれております。途中段階のさまざまな控除、支払利子控除でありますとか、さまざまな通算関係につきましてはここは一切ございませんで、そのまま税率が掛かっていくという形になってございます。
そういう姿でございますけれども、先ほどの二元的所得税との関係を頭の整理ということで申し上げますと、資本所得という部分だけを取り出しますと、下の段、預金等利子から4つのマル、ここが資本所得になりますけれども、ここは一般所得のいわば一部という形で比例税率が適用されているという姿。それから勤労所得という部分につきましては、付加税の上の個人所得として分類される部分と一般所得というところで分類される部分と2階建てになっているわけでございますが、そこが比例部分と累進部分が足し合わせた形の課税になっているということでございます。付加税として課されているということはかなり改正の沿革があったようですが、税収確保がかなり念頭にあったというような説明もあるようでございます。
引き続きまして次の7ページ、オランダでございます。オランダはまたちょっと形が違いまして、ボックス課税というのがございます。実はオランダの所得税の改正といいますのは、2001年に大改正を行ったということでございまして、それまで原則だった総合課税方式から、いわゆるボックス課税というものに移行させたということでございます。もともとの意図は課税ベースを拡大させたいということで、後で出てまいりますけれども、大口以外の株式に対してのキャピタルゲインというものについては非課税であったというところ、そこにチャレンジをし、課税化をするという流れがあったと承知してございます。
それから右側のほうに目をやっていただきますと、「税額控除」という欄がございまして、基礎税額控除、勤労税額控除等々、税額控除がずらっと並んでございます。この改正の際に、通常の所得控除方式というものから税額控除方式に大幅に組みかえたということでございまして、課税ベースを拡大するということとあわせて、税額控除方式をとりいれたという特徴がございます。
それを前提にいたしまして中身をご覧いただきたいと思いますけれども、ボックス1というところでございます。左側の収入の種類を見ていただきますと、給与、年金、社会保障給付等々ございます。帰属家賃はここに組み込まれておりますけれども、大ざっぱに言いまして、ここは勤労所得のゾーンと考えていただいたらいいと思います。それに対しまして、ボックス1の中で居住用の住宅ローン支払利子などの控除が中で完結する形になっております。
それから次の下、ボックス2というところでございますが、これはまた左側を見ていただきますと、大口の株の配当とか譲渡収入というもの、そこの部分を取り出しまして、ボックス2の中で所得計算をするという形。
それから一番下でございますが、これはそれ以外の資産に係る収益についての課税の部分でございますけれども、ここは保有資産から負債を引きました純資産というものについてのみなし収益課税という形をとっておりまして、これをボックス3ということで整理したという形になっております。
このボックス1、2、3というものがそれぞれ固まりであることを前提といたしまして、真ん中のあたり、「個人控除」ということで一定の引き算ができるわけでございます。ポツで書いてございます。お目通しいただければということですが、医療支出とか寄附金といった、一定の限定的な配慮が加えられるということで、引き算ができるわけでございますけれども、順序としまして、ボックス1から順番に引きまして、引き残りがあった場合には、ボックス3、ボックス2ということで引いていくという構造になっているようでございます。
それぞれにつきまして、上のボックス1に対しましては累進税率、ボックス2ないし3につきましては比例税率を掛ける。最終的には税額控除ということで、一番左側の各種税額控除で引き算ができると、こういう仕組みになってございます。
二元的所得税という最初の概念図との関係で申しますと、ボックス1というのが勤労所得に対応する部分と認識いたしますと、ボックス2、ボックス3というのは資本所得部分ということで、ここはそれぞれ完結させるということで、分離させるというようなところに特徴があるということで、ある種、バリエーションであろうかということだと思います。
次の8ページはそれを見やすくイメージにしたものでございますので、説明は省略いたします。
以上、4つの国について簡単に概略を見ていただきましたけれども、冒頭申しましたように、二元的所得税ということにつきましては、概念的な整理はございますけれども、各国におきましては、それぞれの事情に応じた変形、工夫というものがプラクティカルに行われているというのがまず1つ印象として言えるのではないだろうかと思います。
それから2点目としましては、ここもやはり資本所得と勤労所得の分離ということにつきまして、損益通算のやり方、あるいは支払利子控除のやり方などを工夫いたしまして、そこを追求していると、仕組んでいるという特徴があろうかと思います。
あと幾つかの国でございますけれども、資本所得内の通算につきまして、例えば譲渡損の扱い、それが他の資本所得との通算について制限を設けているという国も、スウェーデン、それからフィンランド等々に見受けられるということが一応見て取れるのではないかと思います。
以上、今後のご議論の参考にということで説明とさせていただきます。
〇委員
ただいま説明のありました内容についてご質問等があるかとも思いますけれども、この後の自由討議の中でお願いしたいと思います。
続きまして、最後の議題であります、今後の審議の進め方について、ご説明いたします。
本小委員会においては、今後、今年の夏ごろまでに報告をまとめる方向で、金融資産性所得の課税の一体化に向けた検討を進めていきたいと考えております。その検討を進めるためには、当面、お手元にお配りしてある「当面の検討項目の例(金融小3-3)」ですけれども、この一枚紙の資料にあるような項目について検討する必要があるのではないかと考えております。
この資料については、あくまで検討項目の例を示したものでございますので、特段、事務局から説明を受ける必要はないと考えます。これからの時間では、今後の審議の進め方についてのご意見や、資料にある各検討項目についての考え方など、ご自由にご質問やご意見をいただきたいと思います。もちろん、資料から抜けているような項目もあろうかと思います。そういうような点についてもご意見をいただければと思います。また、先ほどの事務局の説明に対する質疑や意見等についても、議論いただければと思います。
ちょっと念のために読み上げますと、「当面の検討項目の例」ということで、5つほど大きなマルがあります。まず最初のマルが「損益通算」ということで、1番目が「損益通算の範囲のあり方とそれを拡大する政策的意義」、2番目が「譲渡所得と他の経常的所得との性格の違い」、3番目が「損益把握の必要性」、4番目が「損益通算に対する制限」、5番目が「譲渡損失以外の損失の取扱い」というようなことでございます。
それから2番目のマルが「申告納税と源泉徴収」ということで、1番目が「損益通算範囲の拡大と確定申告機会の増加」、2番目が「源泉徴収制度の必要性」、3番目が「執行のフィージビリティー」。3番目のマルですが、「納税者番号制度」ということで、1番目が「民間及び行政のコスト負担」、2番目が「プライバシー保護を含めたシステムにおけるセキュリティの確保」、3番目が「国民の理解を深めるための方策」、4番目が「番号を利用する納税者の利便性」、5番目が「納税者番号制度の利用方法、利用者、対象取引の範囲」。4番目のマルが「資料情報制度」ということで、「納税者番号制度の下における資料情報制度のあり方」。最後のマルは「その他」ということになっています。
損益通算ということに関する話と、その他の申告納税、納税者番号というようなことについての話ということに大きく分けて議論していただければと思います。
まず、損益通算についてご議論を賜ればと思うのですが、損益通算については次回から検討していきたいと思いますけれども、あらかじめこういった観点から議論が必要ではないかといった問題意識がありましたら、大まかで結構ですのでご発言願いたいと思います。
損益通算に限らず、金融所得の税率についてはもう大体そろってますから、あまり議論する必要はないと思いますが、金融所得の範囲ということも含めて、どうぞご自由にご議論、あるいはこういうことも議論すべきだというような点についてご意見を承りたいと思います。どうぞご自由にご発言いただければと思いますが。
〇委員
「当面の検討項目の例」ということで、今ご説明のあった損益通算ですけれども、一番最初に「損益通算の範囲のあり方とそれを拡大する政策的意義」と書いてありますが、これはいわゆる租税法の基本的な方針として損益通算ですね。所得の区分をしている以上、必ずこういう問題に対応しなければいけないのですが、基本的な仕組みとしてどう考えるかということであるのか、それとも、そうではなくて、この政策というのは特別措置的に、いわゆる証券市場を活性化するとか、そういう形で譲渡損についてもどんどん損益通算を認めるとか拡大すると、そういう趣旨なのか、これはどちらになるのでしょう。あるいは、それとも、それも含めた上で全部議論しろということなのでしょうか。
〇事務局
今、委員がおっしゃる論点、まさにそこをどのように考えるのかというのをご審議いただければと思います。この所得分類方式を所得税でとっているこの前提をそもそも変えようということにするのか、ないしは、やはり「貯蓄から投資へ」という政策的なドライブということで、一定の特別の配慮をするということにとどめるべきではないかとするか、これはまさにご指摘賜ればというところでございます。
要するに、損益通算というのは損の部分についてもできるだけ配慮しようという制度でございまして、リスクを財政サイド、国家サイドもシェアするという機能を持つわけでございますが、いずれにいたしましても、現行の制度、所得を10種類に分けている所得課税においてのやり方というのには自ずと限界が現在はあるということでございます。
〇委員
よろしいですか。
どうぞ、どなたでも。
〇委員
どうも説明ありがとうございます。それでちょっと質問ですけれども、1つは、「金融小3-2」という資料の7ページで、オランダの仕組み、イメージというところで、右から3番目、「個人控除」のところで30歳未満の子供の生活費というのが出ていますけれども、30歳未満の子供の生活費というのはイメージがよくわからないのですが、その辺をまず教えていただきたいというのが1つ。
それからもう一つは、今、地方分権なんかでも盛んに北欧モデルということが言われるのですけれども、この例示を見ると、それぞれの国によって、基本はほぼ同じにしても、若干皆違っているところがあると。これは例示として、言葉であるとか、人口であるとか、いろいろ出ておりますけれども、それぞれが自分の国に合ったやり方をとったという何か理由のような、あるいは研究の分析でもあれば教えていただきたいということと、それはなぜかというと、それぞれのいいとこ取りをして日本に適用しようというような場合、各国とも全部、納税者番号制度というのはとっているわけですね。ただ日本ではなかなか抵抗が強いというような問題がありますので、その辺含めて、各国の歴史とか民族性とか人口とか、いろいろな問題を含めて何かヒントがあれば教えていただきたいと思うのです。
〇事務局
2点ご指摘いただきましたが、まず最初の30歳未満の子供というのは、そのまま翻訳させていただいたものですから、ここはどういうことか、もう一度確認させていただきたいと思います。
それから2つ目の北欧モデルということで、ある程度共通性はあるが、それぞれ違いがある、何か事情があるのかというご指摘かと思います。その点については、私ども、必ずしも十分調べてはおりませんけれども、やはりそれぞれの国の中で公平というのはどう考えたらいいかとかいう、国論が随分違っておるということもあるのだろうと思います。
現に、例えばノルウェーの仕組み、若干複雑な仕組みでございますけれども、これはもともと、議論するプロセスでは、政府側のほうからというか、提案者側のほうからは、スウェーデンのような方式にしたいということがあったようでございますが、さまざまな議論を経て、あるいは国と地方の力のバランスとかそういうこともあったようでございますが、こういうことに落ちついたと見ております。それぞれの状況に応じた、何かの着地ということしか、トータルではなかなか申し上げられないところがございますけれども、必要とあらばもう少し調べてみたいと思います。
〇委員
どうもありがとうございました。
〇委員
先ほどの「金融小3-2」の資料に関するご質問等もどうぞ。
〇委員
資料の質問を含めて、まず1つは、今回も「貯蓄から投資へ」ということが大きな政策目標なのですが、それ以外に政策目標もあるのではないかと思いまして、例えば高齢化の中では少し、高齢者の雇用促進とか、あるいは少子化の中では、先ほど30歳未満というご質問がございましたけれども、育児支出に対する控除とか、いろいろ政策目標があると思いまして、まず「貯蓄から投資へ」以外のどういう政策目標を考えていらっしゃるのか、ひとつ教えていただきたいと思います。
それから2番目は、住宅ローン減税とか居住者のいろいろな恩典が出てきているわけですが、全体像として、なぜそういうところをターゲットにするかというところがちょっと私にはわかりにくいところがありまして、例えばある種の特定の住宅を持った方に対する控除ではないかというふうに見えまして、全体像としてどういう形でここをとらえられていらっしゃるのかが2番目です。
それから3番目は、ヨーロッパのいろいろ例を挙げていただいたものですから、一時、ヨーロピアン・マネタリー・ユニオンができるときに、通貨が同じになってしまうので、税率を全部同じにしないと、すぐキャピタルフライトが起こるのではないかと言われていたわけですが、それと先ほどの二元的所得課税で税率がちょっと違う部分が国によってあったような気がするのですが、そこは起こってなかったのかどうかというのを、もしわかれば教えていただきたいと思います。
それから最後は、損益通算のときに、例えば損失をきちんと把握できるメカニズムというのがあるのかどうかですね。現行の日本できちんと、それだけできる人にとって得な制度なのか、それともきちんとできるのかどうか。おわかりになるところだけで結構なのですが。
〇委員
2番目の住宅ローンの話は、今回の税制改正も含めてですか。
〇委員
ええ。
〇事務局
「貯蓄から投資へ」以外にどういう目標があるのかということでございますが、これは累々政府税調でもご審議いただいております。例えばでございますが、資料の「総10-1」でございますが、我々といたしましては、ここに一番最初に書いてございますが、大きな目標といたしましては、政府税調でもご審議、ご議論賜っております、いわゆる単発でない、「持続的な経済社会の活性化」というのが大きな目標かと思われます。
そのためにはということで、資産を活用する。その中に、先ほど申し上げた、貯蓄を投資に回したいというのもございます。さらには、事業の再構築、リストラを進めていきたい。それから大きな少子高齢化の対応ということで年金課税。さらには将来的には、扶養控除を検討するべきである。これは基本方針や中期答申でもご指摘賜っているところでございます。さらには、国、地方、さらに今年の一つのセールスポイントですが、国際的な投資交流の促進。大きな概括的な意味においては経済社会の持続的な活性化というのが大きな枠組みであろうかと思いますが、その具体的な項目といたしましてはこのようなものがあろうかと存じます。
住宅ローン減税につきましては、いわゆる一定の面積基準等々は置いてございます。あまり住居面積が小さい家を促進するというわけではございませんが、いずれにいたしましても、いわゆる団塊ジュニアがこれから家を取得する時期でもあるということも念頭にあり、片や国にとって財政負担が増すというのもかなり厳粛な事実なものですから、その間をどのようにとるのかということで、今回、措置を考えた次第でございます。
それから、損失を適正に計算できるシステムはあるのかということでございますが、そこは、まずは我々といたしましては、損失については納税者自身が計算してきて、税務署にも適正に申告しようという、ある意味ではインセンティブがあろうかと。
問題は収益のほうでございまして、収益を適正に捕捉し、我々が課税できるかということとあわせまして、インフラ整備、大きくは、例えば納税者番号等のシステムも必要でございましょうし、それを支える支払調書制度。実際のところ、申告のみにどの程度依存できるかとなると、なかなか現実は難しい。となれば、やはり源泉徴収というものの活用も当然考える必要があるということでございます。
この計算というのはやはり、それにつなぐどういうインフラが必要かということで、我々といたしましては、損失の計算も大切ですが、収益の計算を適正にしてもらうというのが、まずは大切かなと考えている次第でございます。
〇委員
ちょっと確認というか質問ですけれども、この北欧諸国の二元的所得税制というのは、スウェーデンやフィンランド、ノルウェーといったところはかなり所得区分の概念みたいなものはまだこの中に残っていて、それを損益通算して資本所得を出すというようなイメージに見えるのですが、オランダのほうはそれをより進めて、この所得区分みたいなものをあまり考えず、もっと進めたものというふうな位置づけとしてとらえてもいいものなのでしょうか。所得区分との関係というのはどういうふうに考えればいいのでしょうか。
〇事務局
今のご質問でございますが、おおむねそのような理解でいいのではないかと思います。
それから、ちょっと先ほど委員からお話しがございました、北欧諸国においてそれぞれ資本所得に係る税率が若干微妙に違っているので、キャピタルフライトの問題はないのかというご指摘、ご質問でございますが、どういう状態が起こっているかというところも実は十分把握しておりませんので、そこはあるないというのは申し上げにくいところがございますけれども、ただ、一方で富裕税とか他の保有税関係もございますので、その部分、トータルで見たときに、どういう資本の移動があるかというのも全体で見ないといけないことかなと思います。
それから、税率そのものは例えば法人税などの水準も意識していると思いますが、法人税については、EUの中でのハーモナイゼーションの議論とかいろんなものもかかわっているというようなところで、そこら辺あたり、全体どう考えるかということが進行しているのではないかと。これは予測でございます。
〇委員
オランダの件に関しては、特に委員からコメントあったわけですが。
〇委員
今の委員の質問とも関連して、今日はいくつか、スウェーデン、フィンランド、ノルウェー、オランダが出てきて、4つの制度をどうやって比較するのだと、あるいは統一的に理解するのだということですけれども、私はこう考えているのですけれども、ノルウェーというのはある意味で、ポイントは、課税ベースを広げて28%に税率を下げた。そして個人と法人を同じ率にした。それだけでいろんな問題が改善されたというのはあるのですけれども、ノルウェーの場合は、すべての所得を合算して、そこから支払利子を引かせたと。キーワードはやはり、支払利子をどの範囲で引かせるかというのがこの国でずうっと議論されていたことで、ノルウェーは目いっぱい所得を足してやったと。
スウェーデンの場合には、資本所得という範囲から支払利子を引かせた。オランダはその辺を、いろいろ考えたと思うのですけれども、彼らの策は、結局、居住している住宅からの支払利子、それをモーゲージしたときの支払利子はボックス1で閉じているわけですよね。金融所得のほうとは合算させなかったと。
ただ、考えてみると、勤労所得から引かせますから、範囲が狭くなったわけではないのですよね。いずれにしても、この国は、我々と違って、住宅ローンの支払利子をどの範囲で、どこから引かせるかというのが最大のイシューで、それがいろいろ悪さをして、そのためには課税ベースを広げて税率を下げる、それが最初の薬、対応。それから支払利子控除の範囲をどうするかというので幾つかバリエーションがある。
そうすると、その次の議論ですけれども、あともう一つ、オランダを出していただいた第2点は、ボックス3の貯蓄・投資のところは、ネットアセットを計算して、それにみなしで4%、収益率があったとして、30%掛ける。つまり、ネットアセットの額に1.2%をみなしで掛けるという形で、損があろうがなかろうがそれで終わりにしてしまうという形で、これは非常に思い切ったことをやった。非常に資本のフローの激しいところで、小国でこういうことをしたのだと。
したがって2点、つまり、住宅ローンの支払利子をどの範囲で引かせるかというイシューと、それからあと金融資産の評価をどうするかというのが論点だったと思います。
それはそれでいいのですけれども、今日宿題というか、当面の検討項目の例。損益通算とかそういう言葉で、結果的にはそういう税制の言葉に翻訳されるのですけれども、我々として、この箱をどういうふうに考えるのかということだと思うのです。
どれでもいいですけれども、例えばオランダとの比較でいくと、我々はもうちょっと箱を作ろうとしているわけですよね。あるいは、ある箱に集中して議論すると言ってもいいのですけれども、ただ、ある箱の中でどうするかという前に、全体の箱をどうやって組み立てているのだと。つまり、仮にオランダならオランダにエクイバレントする、コンパラブルな形というのはイメージというか、我々も前提に、あるいは考えてから、ある箱、つまり金融所得の箱というのを具体的に扱うべきだと思います。
具体的に言うと、我々のボックス1の勤労所得というのは、何か聖域にして侵すべからずというような形であるわけですよね。それから土地、不動産からのものも侵すべからずという形であると。いいか悪いかわからないのですけれども。そして金融所得というのがある。その間ではかなりフレキシブルにやりましょうということで。
そうするとさっきの質問は、支払利子控除というのは金融所得の範囲の中でやるけれども、土地に関してはどこにも入ってこない。住宅ローンに関してはね。だから、そういう形なのかなと。損益通算の、そういうことでいい、そういうことなのだとすれば、もう大分制度も整ってきたのだし、あとは、よく金融の人が先物の何とかがどうだとか、いろいろな細かな商品の具体的な問題があるならば直してあげればいい。ただ、我々の箱というのは今言ったような形なのですかと。
それから最後に、このオランダのボックス2というのは頭を悩ましているところで、結局、自営業者というか、その扱いをどうするか。自営業者がもしデュアルインカムになると、これは所得をほとんど資本所得にしてしまったほうが得なわけですよね。勤労所得は累進がかかりますから。日本ではちょっと考えられないですけれども。そうすると、だから我々としても、自営業者の扱いというのはどうするかというのも同時にある。
というわけで、言いたかったのは、どういうボックスを我々が持って、その大きなパースペクティブの中でどこを扱うのかという議論は必要だろうと。それが意見です。
〇委員
かなり具体的なご意見を頂戴いたしましてありがとうございました。要するに箱をどうするかということで、考え方としては、多分、労働所得と不動産と金融、場合によってはあと事業所得というふうに見えるけれどもと。今の中で決める必要ないと思いますけれども。それからもう一つは住宅ローン利子控除についてどう考えるのかと、この2つがかぎであると、そういうことでよろしいですね。
どうぞ。
〇委員
損益通算に関連して、ちょっと一言意見的なことを申し上げたいと思いますが、投資を奨励するかどうかは別にして、そもそも投資というのをどうとらえるかというか、どういうベースで理解するかという点があると思うのですが、投資に対する考え方というのは、世界的に見ると、戦後、1950年代ぐらいに考え方の転換というか変革があったと思うのですね。50年代以降、投資をどう考えるようになったかというと、ポートフォリオベースで考えるというふうに考え方が変わったと思うのですよね。
だから、現代のファイナンス理論のベースにある、最も基礎にある理論というのはモダン・ポートフォリオ・セオリー、MPTと呼ばれてますけれども、それが登場したのは50年代ぐらいのことで、50年代に登場したときにはモダンだったからモダンなのでしょうけれども、今さらモダンなものではないわけですけれども、とにかく戦後のある時期以降、国際的には投資というときにはポートフォリオベースで考えるというふうに思想転換があったと思うのですよね。
投資というのを、今申し上げたようにポートフォリオベースで考えるものだという立場に立てば、損益通算をするとかしないというのは、議論以前にするのが当たり前という話に当然なるわけでして、それだけのことを申し上げたいだけなのですけれども、だから投資として、通常ポートフォリオとして考えられるような範囲については、先ほどの表現だと、一つのボックスの中にくくって、その内部では全面的な通算を認めるのが、それがむしろ非常に自然なことであって、ポートフォリオとして組まれる対象になるべきものの間で認めないというほうが論証責任があると考えるということです。
〇委員
税法学者の方から本来ご意見があると思うのですけれども、多分、経済学的に考えるとおっしゃるとおりだと思うのですが、法律といいますか、実際のインプリメンテーションを考えたときにやはり実現の問題があるので、しかもその実現をする、譲渡益なんかを実現するタイミングは本人が選べるという恣意性の話があるので、そこを考えるとちょっと、委員の今のお話も、よくわかるのですけれども、一つのロジックだと思うのですけれども、もう一つ別の視点もあるのではないかという気もいたすのですが、いかがでしょう。
〇委員
項目の例を一遍に全部議論すると混乱というかあれだからというので、前半、後半に分けられましたので、後半のほうがおっしゃったインプリメンテーションの話に、納税者番号制度を中心にしてかかわるところだと思うのですよね。
〇委員
ただ、もちろんそうなのだけれども、それに加えて、今のポートフォリオで管理するというのは未実現のものに関してもタクサブル、タックスがかけられるという話があればそうだと思うのですけれども、そうでない場合に、要するにいつ実現させるかによって、いわばタックスアドバンテージをとれるというところがあるわけですよね。そこをどういうふうにお考えになるかという。
〇委員
それは一度、小委員会で報告させていただいたときに申し上げたと思うのですけれども、原理的には未実現で繰り延べた部分について利子をつけて課税するということですね。
〇委員
ということは、つまり、課税方式をそういう課税方式に変えることをこの小委員会で夏までの間に検討しろと、そういうことなのかということなのですけどね、言いかえると。
〇委員
だから、そういうふうに問題提起されると、それは難しいでしょうと、私もその程度理解するぐらいには現実感覚は持ち合わせているつもりですので、ただ、基本的考え方はそうであって、それでインプリメンテーションとの関連で言うと、そういう当然の権利を行使したければ、納税者番号を受け入れるなり何なりをセットにするという方向性がすでに出ていると思いますけれども、そういう当然の便益を放棄してもいいのだったら、別に納税者番号を受け入れなくてもいいという形でスタートするというのが考えられることかなということですね。
〇委員
納税者番号、非常に大事であるというご意見も大事だと思います。納税者番号も含めて、どうぞ今後の議論をされていってください。
〇委員
今の委員からの説明に補足する形になると思うのですが、要するにアプローチの問題でして、確かに経済学的なというか、純粋な理論的な立場に立てば、やはり1つ、金融所得というもの、その中で、例えば配当だから、利子だからといって税制上区別する理由があるのかどうか。それからさまざまな金融商品が今出てきているという現状、それからもちろん金融所得を稼ぐということはそれ相応のリスクをとっているということになりますから、まさにその政策目標というものが「貯蓄から投資へ」という、そういう政策目標に沿うというのであるならば、前回も申し上げましたけれども、別に投資をしている人間に補助金を与えろという意味ではなくて、ただ、今の投資を阻害している要因がもしそういう損益通算であるとすれば、そういったものはやはり除去していく。つまり、純粋理論的に考えれば、やはり金融所得という枠、まさにボックスというのであるならば、そのボックスの中で損益通算を認めていくというのはある意味で自然だと思うのですね。
ただし、じゃそれでいいのですかということになりますと、今、小委員長からご説明がありましたように、ここからは租税回避の話になってきまして、現実問題として、売った段階でしか税金というのはかけられませんから、発生ベースではありませんので、そこで、投資家の皆さん頭いいですから、当然、キャピタルゲインは繰り延べして、キャピタルロスのほうを先に実現するという誘因を持つでしょうと。それはそのとおりだと思います。
それに対してじゃ次はどう対処していったらいいのか。つまり、あくまでも、金融所得の枠の中で損益通算を可能な限り認めるということを前提にして、にもかかわらず、投資家のそういう裁定行動というのを抑え込むのにはどうしたらいいかというのに幾つかのアプローチがあって、1つは、やはり現実的に考えて損益通算の範囲を限定するか、あるいは損益通算の額を限定するかという、つまり控除できる金額を、損失額を限定するか、そういうアプローチが1つ。
2つ目は、もちろん、納税義務は、お話のように、納税者番号制度もかかわってきますけれども、そういったものを整備していって、本人たちの、つまり資産の現状、まさに発生ベース課税というか、あれですけれども、資産の現状を捕捉できるように考えていくのか。あるいは、今、実はオランダの話になってくるとは思うのですけれども、みなしでかけるのか。これはただ資産を評価しなければなりませんけれども、各人の資産を評価した上で、売った買ったではなくて、それに対してみなしの収益率でかけるのか、幾つかのオプションは考えられると思うのです。
ただ、それぞれについて実行可能性というものを考慮した上で議論していけばよろしい。ただ、これはファーストベストですから、あくまでもスタンスとしては、可能な限り、金融所得という一つの大きなボックスをとらえて、その中で損益通算を認めましょうという、そこから入っていったほうが、最終的な着陸点は同じになるかもしれませんけれども、議論としては混乱しないのではないかと思うのですが。
〇委員
要するに、いわゆる理論的なというか、日常、だから全部捕捉できると、インプリメントできるという立場からファーストベストをまず考えて、その上で制約条件を次に考えたほうがいいのではないかというご意見だと承りました。
要するに、もう一つ、ややプラクティカルに考えると、現状が株式の譲渡益というものがすでに特定口座に入っているので、これを中心にどう拡大していくのかという考え方の議論もあり得ると思うのですね。そういう考え方から言うと、一つの考え方は、これは数名の委員の方々のご意見に近いのかもしれませんが、例えばですが、配当なんていうのは基本的には利益処分なのだから、譲渡益も配当も、譲渡益は内部留保ですね。配当は配当ですから、同じ利益処分なのだから、これを合算する方向で考えるべきだと。これは最初の原理原則であると考える考え方もあるでしょうし、他方では、さっき言った租税回避ということで、むしろ譲渡益のほうを中心に考えるべきだという考え方もあると思うのですね。
そういう、我々の議論としてどちらのアプローチをとったらいいかということについて、これはかなり、これからの議論をどう組むかということにも関連しますので、ご意見をもう少し賜れればと思います。
その前に、申告納税、源徴の問題とか納番の話についても議論を広げたいと思いますので、ちょっと私、ないしは事務局の問題意識について簡単にお話をしようと思います。
申告納税と源泉徴収については、一方で、我が国の投資家は税務署に行くのを敬遠するため、特定口座制度という諸外国に例を見ない利便性の高い源泉徴収制度が存在しています。他方、損益通算の範囲を拡大していけば確定申告が必要となる場合も出てくることが予想されます。この点についても、どういう観点から検討したらいいか、問題意識がおありでしたら発言願いたいというのが1点目。
それからもう一つが納税者番号ですが、導入に向けた具体的な方策として、例えば取引の種類を限定するとか、番号の取得を納税者の選択に委ねるとか、いろいろなアイデアがあると思いますけれども、こうした問題について、何か論点がありましたらご発言いただければと思います。全体について、損益通算についても、納番等についても、どうぞご自由にご意見をいただければと思います。
〇委員
全体についての話が1つですが、全体として、15年度、16年度改正で、やはり金融で問題になっていた部分を非常に大きく改善しましたよね。これは世界的に見ても画期的なレベルまでいっているのではないかと思うのですが、毎年、インプリメンタルにどこを改正したらいいかというのを積み重ねてますから、その年だけのことを考えていると何かよく見えなくなる面があるのではないかと思うので、これだけ大きくやったその効果ですね。それの評価というか、それをどこかでやはりやる必要があるのではないかなと。
効果が出るには時間がかかるということはもちろんありますでしょうから、資産デフレの対応という面ではかなり進んでいるのではないか。だから、そのあたりをやはり一回踏まえる必要があるのではなかろうかという感じがしているわけです。
ちょっと気になるのは、表現として、「資産デフレ」というのはまあいいのですが、「デフレ不況からの脱却」というのは、これは好みの問題かもしれませんが、デフレというのは私はやはり金融の問題ではないかと思いますので、デフレ不況というのは、ここの対応策は需要拡大のためのいろんな税制ではないかという気がしまして、それがデフレというのに直接結びつくのかなあと。言い方の問題ですけれども、やはりデフレはあくまで本来金融で対処すべき問題かなというので、表現がちょっと気になるなという気がしております。ですから、ぜひこれまでやった世界的なレベルの改革の評価というのをやはりやっていただければと考えます。
それから執行の問題のほうですけれども、この申告か源泉徴収かというお話、今小委員長のほうからありましたけれども、この問題になってくると、これからは、今どんどん進歩しているITを利用した徴税コストの低下、あるいは徴税の効率化ということが大きな問題になってくると思いますし、納番というのもその中で考えるべき話ではないかと思うのですね。
そうすると、まさに今いろいろITがどういう影響を与えるかということを考えている中でも、やはり一番現実的なのは、それを使っていかに徴税効率を上げるかということ、これがどうも表へ出てきそうな感じでありますし、申告、源泉というのもその辺がきちんと情報で管理できれば、あまり対立軸でなくなってくるのではないかという気がするのですが、その辺をどういう形で設計していくか、どういうふうに位置づけていくかという観点からも議論していただければいいのではないかなと思います。
〇委員
ありがとうございます。ITに関しては、情報社会で、情報公開とかいろんなところで、プライバシーの問題がかなり多分問題になると思いますし、そういう意味で、あるいは情報のコントロールみたいなものでも問題になると思うので、そういうこともぜひ議論していただきたいと思います。
どうぞ。
〇委員
委員方のような議論、とってもついていけないところがあるのですけどね。今、事務局のほうからご説明のあった、去年、今年の金融・証券税制関係の改正というのは相当なものがあると、私もそういうふうに評価をいたします。効果がどうだという、今、委員の話にございましたが、なかなか測るのは難しいのかなと思ってますけれども、我々、実際そういう仕事に若干なりと関係している者から言うと、最近の株価の上昇への影響というのは多分あるだろうと、相当大きいのではないかと思っておりまして、先に損を出すかどうかという議論も出てましたが、個人が持っている、含み損を抱えた資産をどう整理するかというのがやはり現在の日本経済の再生という意味において非常に大きな意味を持っているのではないかと私は思うのですよ。そういう意味でかなり大きな貢献をしている面があるのではないかと。
これからの議論、私、細かい議論はできないのですけれども、やはりこの経済の状況を改善していくために、どこまでやれるかという税制上の問題はあると思うのですけれども、できるだけ個人の資産の内容の改善、さらには「貯蓄から投資へ」というような動きを推進するという考え方で積極的にものを考える。そこには所得の区分のあり方の問題等々あると思いますけれども、できるだけポジティブに考えていく必要があるのではないかと思います。
一般論で恐縮でございます。
〇委員
ありがとうございました。
どうぞ。
〇委員
いただいている検討項目の例についての質問であります。第1番目の「損益通算の範囲のあり方」と、第4番目の「損益通算に対する制限」という2つの項目の関係を少し明らかにしていただきたいと思います。先ほどからのご議論で、私は、損益通算の範囲のあり方というのはボックスの組み方の問題で、その中でさらに問題がある場合に何らかの制限をするというのが損益通算に対する制限という位置づけなのかなと思っておるのですが、それでよろしいかというのが1点です。
それから第2点が、5番目の「譲渡損失以外の損失の取扱い」という形ですが、これは逆に言うと、議論はまず株式、それから投資信託の譲渡損失から始めようというインプリケーションを含んでいるのか、必ずしもそこまでの意味はなくて、社債の償還不足であるとか、あるいは最終的にはペイオフのような問題を含めて金融の損失と考えていいのか、そのあたりの議論の順序というか、範囲をいかがお考えか教えていただければと思います。
第3番目は先ほどの小委員長のお話に関係することですが、ボックスを作ることによって、ボックス間の損失の交流というのは一応防ぐというイメージでお話を伺っておりましたところ、損益通算の範囲を広げると確定申告の数が増える可能性があり得るのではないかというご指摘がありましたが、これはボックス間の損失の利用の範囲を含めて検討せよというふうに問題が提起されているのでありましょうか。それが第3点。
以上、3点です。
〇事務局
この「金融小3-3」、あくまで検討項目の例ということでございまして、どちらかというと羅列的にと申しますか、並べたものでございます。損益通算の範囲のあり方、これはまさにどの範囲まで損益通算がそもそも可能なようにするのかと。それで、可能にした上で何らかの制限。今、先生がおっしゃったようなつもりでございます。
それから譲渡損失以外の損失、この損益通算の対象にする損、これをどこまで見るのかと。これは結構たくさん金融関係で損が出るケースがあります。先ほどおっしゃったような、いわゆる償還されない部分があるとか、ペイオフであるとか、例えば株はその会社がつぶれて紙くずになったようなケース、こういったケースもあろうかと思います。この辺のところは我々も今いろいろ悩みながら議論しているところでございますが、当小委員会においてもよろしくお願い申し上げたいと思います。
〇委員
最後の点は、損益通算の範囲を拡大していくと確定申告が必要になるケースも出てくると。これは要するにボックス間の……。
〇委員
ボックス間というインプリケーションを持っておっしゃったのか、そこまではお考えでないのかというだけですが。
〇事務局
この損益通算のやり方というのは、もちろん申告というのが基本になろうかと思います。しかし、それがなかなか難しいというケース。例えば現在の特定口座、あれは特定口座内での損益通算をやっているわけですね。それで、申告でもしておるということもございます。いわゆるやり方というのはいろいろあろうかと思いまして。ただ、もちろんこの範囲を広げれば広げるほど、やはり申告によらざるを得ないというふうになっていくだろうと思います。
〇委員
1つだけ短く。納税者番号制度の問題ですけれども、これはご説明にあったのかもしれませんが、これは必ず一律に導入ということを考えていらっしゃるのでしょうか。それとも、例えば選択制みたいな形、例えば損益通算を認めるかわりに納税者番号を取得することとか、そういう、国民に何か選択してもらうということもあり得るのでしょうか。
〇委員
新聞等でも報道されてますけれども、例えば特定口座に入るのだったら納番が必要で、だけれども、特定口座を使わないのだったら納番は要らないとか、そういうことは多分あり得るのだと思いますね。それは、先ほど申しましたプライバシーとの関連での自分の自己情報コントロール権というのは、いいか悪いかはともかくとして、議論されていて、そういう意味で、納番みたいなもので国に、管理されるという言い方がいいのかどうかわかりませんが、そういうコントロールされるということをコントロールされる本人が取捨選択できるというような仕組みを考えるというのは一つの考え方だろうと。それを多分議論はすることになると思うのですが、ということです。
何かほかにございますか。
〇委員
もちろん選択ですけれども、特定口座の狭い範囲でやっていればいいけれども、利便性がボックス、資本所得で通算できる範囲、金融所得の種類でも、あるいは時間を通じても通算できる範囲が増えてくる。そして、株式の譲渡益だけではなくて利子も入ってくる。ほかも入ってくる。とすれば、それはもう納税者番号なしにはできるはずないのですよね。そうすると、そこまで広い範囲でボックスを考えて、金融資産の種類別にも、時間を通じても通算させますよと、することを認めますとするには納税者番号が必要ですと。そうでなければ、今の特定口座でおやりになったらいかがですかというので、何かゲームオーバーのような気がしないでもないのですけれども、短絡ですかね。
〇委員
それについてはいかがですか。
〇事務局
現在の特定口座、あれは譲渡益だけに限られているものでございます。この譲渡益以外にもどんなものを、あの口座を使って管理していけるかというのは、まさにここでのご議論、さらに執行のフィージビリティ、こういったことだと思います。
〇委員
特定口座は例えば1つですね。あのまま。せっかく皆さん欲しいとおっしゃったから作りましたと。だけど、我々が考えているのは、金融所得に関して一元的な税制を作りたいと。不動産所得とかいろんなことがあるけれども、それはさておいて、金融所得に関しては、今言ったように、種類別にも時間を通じても通算できるものを作りますと。それはもう納税者番号なしにはできないことは明らかですから、それとの見合いですよね。
特定口座のほうは、今さらにポリッシュして、これ以上工夫する必要はない。本来、僕自身は何であれができたのか知らないのですけれども、あの機会にと思ったけれども、そうでないのができたわけで、それをさらにこれから、さらに利便性がいい、特定口座を利便性のいいふうな工夫はする必要はないし、それは大きな目で見た、我々のボックスのこの話から言えばかえって足を引っ張るような議論のような気がするのですけどね。
〇委員
そういうことを議論していくと、必要あるということになるのだと思います。今の段階でとにかくどちらに決める必要はないと思うのですね。むしろ先ほど申しましたように、納番を選択制にするのか、委員がおっしゃるように、強制にするのかという点であるとか、あるいは仮に番号を導入するにしても、譲渡損益だけでいくのか、配当とか、保険とか、いろんなものが入るのか。極端に言えば給与の源徴まで入れるのかというようなことについても、これは先ほど申しました取引の種類ということですけれども、そういうことについても、金融庁が絡む話ですから、ある程度限界はあると思いますけれども、そこについてご意見をということで、委員のご意見は、特に前者に関して、後者も含めて議論していけということだと私は理解いたしました。
どうぞ。
〇委員
納税者番号ですけれども、来年の4月1日からペイオフが完全に普通預金も始まると思うのですけれども、それも一つのチャンスだと思いまして、やはり元本がこれから棄損する人が出てくるわけですから、そうするとこれまでのようにすべてが安全ではないわけですから、さっき委員がおっしゃったように、そこまで含めた形で、それも選択制にすれば、この番号を持っている人は非常に、より安く損が確定できるというメリットがあると思いますから、やはりメリットを与えることによって、私は選択制で、なるべく幅広くできるのがいいと思います。
〇委員
大変重要な論点だと思います。メリットを与えることができれば国民が受け入れると。ただ、1つだけあれです。私が理解している限りでは、一番早くて、この法律が通るのは来年の4月ぐらいだろうと思います。それで、施行はもっと後。要するに国民への周知期間というのがあるので。だから、来年の3月に納番を入れるということはできるのかなというのは、わかりませんが、これは事務局の問題でしょうけれども。
〇委員
経済をやっていると、いつも法律が遅過ぎると思うのですよね。やはりタイミングをきちんとやりながらやっていただかないといけないのではないかと、個人的な……。
〇委員
ちょっと余談的な質問になってしまうかもわかりませんが、それからこの場で一回議論が出たかもしれないのですけれども、金融取引に関して、本人確認が徹底されていたら、現在のIT技術の水準で番号を振る必要が本当にあるのかというのは……。ただ、本人確認がされてないと実は困るのですけれども、本人確認されていて、名前と電話番号と住所ぐらいがわかっていたら、改めて番号を振らなくても、技術的にはもう十分、実はできるような条件が整ってきているのではないか。
番号を振らなければいけないというのが不可欠だったのはちょっと前の大型計算機のキャパシティの時代の話であって、小委員長がおっしゃったように、実際これが実現するのがもっと、5年先だとかだったら、そのころのITの技術からすると、ちょっと空しい話をすることになっているという、そういう懸念は、ちょっと余談になってしまったかもしれないのですけれども、考えなくていいのですかねという。
〇委員
委員から一遍そういうお話が出ましたけれども、たしかそのとき、ちょっと事務局側からご説明があったように思いますが、間違えるといけませんから、もし事務局のほうで何か、番号が必要であって、いわゆる住所、電話番号がわかっただけでは、名寄せとかそういうことを考えた上では非常に問題があるのではないかということについて、簡単にご説明があれば。
〇事務局
現在でも、住所、氏名でできる限りのことは税務当局はやっております。ただ、まさに税務当局だけが何かやればいいという問題ではございません。各取引当事者がそれぞれ便利に使える、自分の番号はこうですと、それを適正に見て、それをこちらで記録すると。これは民間の取引当事者にやっていただく必要があるというのが納番の本質でございます。
そういった意味においては、社会全体のコストを下げるという意味においては極力簡便なものであったほうが、それはいいにこしたことはございません。ただ、現在の住所、氏名、さらに生年月日、こういったものでどの程度のことができるのか。これはまさに日進月歩の技術進歩というのがあろうかと思います。
〇事務局
実は金融の税制、いろいろ紆余曲折あったのですけれども、やはり課税庁があまり直接個々の取引なり個々のものを管理していると受け取られないことが非常に重要だなあと思った次第です。その意味では、特定口座のような形で源泉徴収で完結するということが極めて重要なファクターなのだろうと。
そういう意味ではまさに、番号を入れたからといって、それを税務署が全部一々チェックするというような入れ方はあまり好ましくないのだろうと思うのです。むしろ民間がその番号によって名寄せをして、まさにできれば源泉徴収で終われるような形に持っていったほうが本当は望ましい、そんな気がするのですね。
そういう場合にはやはり、私などは決して、社会保障番号だとか、あるいは住民基本台帳番号にこだわるわけではないのですけれども、ある共通の番号みたいなものが、例えばインターネットの番号であったり、あるいは銀行で自分で口座名を作ってますね。ああいうものでもいいのですけれども、それを登録して、民間業者がわかるようにするということもあるのではないかなという気がするということであります。
もちろん、私ども、国会でも議論していて、何となく納税者番号には官が管理するという意識が非常に強いのですけれども、実は私ども、もうすでにそうは思ってませんで、利用してもらうものということなので、この税制もできるだけそういう観点で仕組むことを考えていただけたらなあと思う次第であります。
〇委員
ありがとうございました。大変重要な論点だと思います。
〇委員
今事務局の言われたことを私はちょっと言いたいと思っていたのです。さっき委員が言われたように、あらゆる番号というのは、僕も個人で見ても、いろいろな番号、ものすごくたくさん持っているのですね。そこへもってきてまた納税者番号と言うから、これは前に僕は申し上げましたけれども、やはり響きが非常に悪いのですよね。全部税務署になんか把握されてよくないと。また税務署に対する認識が、どんどん取られてしまうというのがあるものですから。
やはり基本は、投資家が、自分で利用したら自分にとってプラスになるという、得だということが必要だと思うのですね。そういう点では、去年もあれだけ努力していただいて、特定口座というのは僕も大変な、僕が言うと非常になんか身びいきになってしまうからあまり言わないようにしているのですけれども、それはブッシュ税制だって、あれをまねてやったという見方もあるくらいですから非常にいいと思いますから。ただ、株式市場がそれで上がったかどうか、これは僕は別問題だと思ってます。これは別の問題でありますけれども。
ただ、今投資家の間には徐々にものすごく広がりつつあるということは事実だと思いますから、委員がおっしゃるように、この効果と評価をどうするかというのは、ちょっとまだ時期尚早ですけれども、次の法律を作るという、これは2~3年も遅くなったら困りますけれども、時期までにはおそらく効果というものは具体的にいろいろ出てくるのではないかと思っております。
それからあと、いろいろ先走った、先生方の議論は理想論と現実論と、あるいは現在と将来というふうに難しい問題がありますが、僕ら、実務をやっている現実的な立場からいくと、今これだけできて非常に効果のある特定口座というやつが、納税者番号制というのが、名前はともかくとして、それぞれがみんな番号を持つということになった場合、この存在をどういうふうにしてやっていくかと。せっかく作ったものをね。別の委員が言うように、これはもう要らないのだと、これはちょっと非現実的な話だろうと思いますので、その辺はよく考えてやる必要があるのではないかと思っております。
〇委員
ただ、非現実的かどうかわからないですが、委員はペイオフのときに、それは番号なしにどうやって引けるのだと。ただ、金融所得を合算していくときに、さっき何度も出ているように、これはボランタリーのタックスだから損は出せるわけですよね。自分で調整して。そっちは認めているわけですから、だから、特定口座の範囲だけで、逆に言うと、せっかく議論しているのに、なぜ特定口座だけで閉じてしまうのだろうと。それはいろんな番号があるのは僕も知っているし、現実的には民間の会社というのは、クレジットカード番号がわかっていればかなりつかまえることはできるのかもしれない。
だけど、申告書でこれから新しいボックスを作って、そこに広い範囲のものを入れる。そしてペイオフの損したときもいいですよと。そして、ほかのものも引きますよと言ったときには必然的に、具体的に番号なしにどうやってこれを管理するのだろうというのが疑問なのですけどね。もしそうでなければ、逆に特定口座とかそういういろんなものがそんな形で源泉徴収で終わるようなアドホックな仕組みが幾つもできてくる、それとの比較のような気がするのです。現実的かどうかわかりませんが。
〇委員
私の理解は、直接に特に特定口座で議論しているつもりはなくて、むしろこういう、まさにさっき他の委員がおっしゃったことですけれども、番号以外のものでできることと番号でできることは何なのかということをもう少しきちんと、多分議論する必要があるだろうと。そういう意味で、ついでですけれども言うと、要するに番号があれば本人も管理しやすいし、何か違法なこと、問題が起きたときに国税庁なり当局側もチェックしやすい可能性があると。それはどのぐらいなのかということを考えていきたいということに尽きるように思いますけれども。
どうぞ。
〇委員
ちょっと議論が核心部に入ってきたのでちょっと一言発言したいのですけどね。事務局が言った問題、非常に重要なのですよ。それはある意味で、日本のカルチャーなり日本の社会性なり日本のこれまでの伝統を受けつつ、納番絡みで、言うならばプライバシーがある中で、何となく日本的なものを作り上げる方向での一つの提案ではないかと思いますが、要するに課税当局があまり表に出ないような格好で金融取引一式をやりたいと。これは実に日本の風土には合っているのですよ。
実はシャウプが戦後、税制を入れて一番頭を悩ませたのは利子課税なのですよ。アメリカ流に言うと、まさに課税当局が入ってやらなければだめだと思っているわけですよ。向こう流に言うなら。だから、我々もカナダに行ったりアメリカに行ったり、いろいろ納税者に会いますと、やはりオーソライズされたところがしっかりマッチングをして、要するに悪いやつは摘発する形で公平を保ちたいという発想がどうしてもあるのですよ。そういう意味では、特定口座なんていう、中でごちゃごちゃやるのは反対ですよね。アングロサクソン的に言うとね。多分ね。
だから我々として、今さらアングロサクソンというのは難しいけれども、事務局の言ったような形でうまく構築する方向で追求しつつ、どうしてもできないときに、言うなればアングロサクソン的、課税当局を絡ませて厳正にやりましょうという要素を入れるのかね。そうなるとおそらく、特定口座のみで突っ走れないから、ある委員がおっしゃったように、それが非現実的かどうかわからないけれども、もうちょっと通算をしっかりやるとかなんとか言ってきますと、それは申告ですよ。最後、やる気ならね。納番を入れてね。それは多分、日本ではなかなか受け入れられないという要素があるから。
今日は皆さん問題意識でいいと思いますけれども、どういう形で国際的基準というかな、インターナショナルされたところの納番入れた金融取引に網を張るかということと、極力表に出さない形でやっていくかということの選択ですよ。僕は聞いていてそう思ってきた。どっちが強いかわからない。これから皆さんの議論に大いに期待してますよ。あまりこの辺がしっかり理屈もなく走っていくと、私にはそのうち、何やっているかととがめが来ますからね。そこはしっかりやってもらいたい。それは僕の要望です。
〇委員
僕は何も委員の意見と違っているわけではなくて、せっかくできて投資家になじみが出始めた特定口座は大切にしなさいと。したがって、どういう形がいいかは別として、新しいボックスの中に発展的に吸収できるようなやり方というのは当然あるのではないかと、そういうことを申し上げたいわけです。
〇委員
日本独特のボックスを考えると。多分、委員の発想は。
〇委員
ちょっと証券会社の人とこの間話したのですけれども、特定口座ができたので、投資家の人が、年末になって税金の勘定をしたと。そうすると、もうけが出てきて、実は赤字を出さなくてはいけないということに気がついたと。それで塩漬けした株を売りに回ったと。だからそういう意味で株式活性化になっているのですという話があったのですがね。ですから、むしろ、ある意味では特定口座ができたことによってきちんと口座を管理するといいますか、そういう意識が投資家の中にも芽生えていると。そういう意味ではだんだん日本も、特定口座を通じたアングロサクソン化しているという面もあるのかなと思います。
どうぞ。
〇委員
今の話の延長なのですけれども、私が効果と言ったのは、いろんな人から、それはかなり効果あったという話もばらばらに聞くのですよね。だから、それをせっかくやったのだから、もっと広報をうまくやる必要があるのではないか。こんなことまでやってここまでいっているのですよという話を、せっかくこれだけ積み上げてきたのだったら、むしろ税金を取るのではなくて、減税の、国民のことを考えて、これだけのことをやっているのですよという税務署のイメージを変えるようなことを、パッケージで、延長線上でやっていかないと、せっかくこれだけ積み上げてきたのをもったいないという感じがあるのですよね。
それで、例えば先ほどからの話でベネフィットという話がありましたけれども、納税者番号なんていう何十年前の名前があるからちょっとまずいので、みんなマイレージ番号だったら喜んで持つわけですからね。ああいうマイレージのような、タックスベネフィット番号とか、名前を変えて、要するに番号があればいいわけですから、そういう広報をもっとうまくやる工夫が何かできないものでしょうかね。そうすると随分違うのではないかという気がしますけれども。
〇委員
よろしいでしょうか、何か。今日はあまり議論が出てませんが、こういう論点を議論しなくてはいけないのに抜けているというのがありましたら。よろしいですか。
〇委員
1つだけ伺いたいのですけれども、あまり議論を広げてはいけないかもしれませんが、最初の話に戻って、損益通算の範囲の話ともかかわるのですけれども、これはあくまで金融所得の話に限定されるのでしょうか。それとも不動産であるとか事業所得まで、まさにボックスの大きさが問題なのですけれども、そこまで考えていくのかということと、やはりどうしてもいつもこういう議論をするときにかかわってくるのは法人所得との関係なので、もちろん、配当をめぐる二重課税の調整の話であるとか、キャピタルゲインもある意味でそうですよね。ですから、そこも含めた形で議論していく、あるいはあまりそういうことは考えずにやっていけばいいのかどうか。
〇委員
まさにそこを今日議論しましょうということなのですよね。それで、むしろ、1つは、今年の夏ぐらいを目途に結論を出したいという時間的な制約と、それから土地等に関しては、さっきの話の、今年度の改革で出てきたような、例えば繰越控除とかさまざまな控除がある、長期と短期の違いがある、そういう不動産の問題ですね。あるいは事業なんかはもっといろいろたくさんあるわけですが、帰属家賃も入ってないとか、いろんなことを含めてですね。そういうことを考えて、議論として金融資産性所得でもう我慢すべきであるということなのか、もう少し広く議論すべきなのかということが一つの論点ですね。何かご意見ありますか。
私個人としては、やや、納番の話を議論するだけでも結構大変ですし、損益通算の範囲ということを議論するだけでもかなり大変なので、可能ならば金融所得に限ったことで夏までの議論はしたいなというのが私の希望ではありますけれども、何か、そうであってはならんとか、別に議論を封ずるつもりはもちろんありませんが、何かご意見あれば。
〇委員
金融所得までとおっしゃっても、例えば不動産のリートとか、そういうのは裏側は全部実物資産ですから、そうするとやはり全体の資産まで考えないといけないような気がしますけれども。
〇委員
いろいろ議論を伺っていてよくわからなくなってきたのですけれども、最初に金融所得を一体化すると。その一体化の意味ですけれども、仮にボックスと言われてますけれども、そういう中で一つのボックスの中で計算するとなりますと、そこに収益が入って損失や経費が入りますから、そうしますと、損益通算というのは一体どういうふうな位置づけになるのだろうとちょっと疑問になるのですね。
二元的所得税をとっているそれぞれの国の先ほどの資料を拝見しますと、これを見ると、同じ資本性の所得でありながら、いろいろやはり別々に挙げておいて、それでなおかつ損益通算を加えるというような形になっているわけですね。これは我が国にたとえると、10種類の所得に分けたうち金融関連の所得をそれぞれについてまとめると。まとめる意味が、損益通算をそれぞれ一緒にできるようにするという範囲でやると。そうなると損益通算になるのですが、これを一つの所得類型として考えますと、損益通算以前の問題として、収入金額から経費や損失を引いてしまうと、そういうことになるのですよね。
だから、これはどちらの、どういう意味で損益通算と金融所得の一体化と、これが両方成り立ち得るのかというところに、何となくわからなくなってまいりまして、その点をちょっと整理していただけたらと思いますが。
〇委員
ボックスで考えるのか、所得類型として……
〇委員
ボックスの意味が非常に不明確ですよね。
〇委員
ええ。所得類型という、そこがよくわからないのですが、さっきから出ている議論の中で一番そういうコンセプトとして出されているのは多分委員がおっしゃられたことで、ポートフォリオとして考えるのだから、それをボックスとして考えたらどうかという考え方ですね。
それから、多分もう一つ、これは私が言った話にやや近いのかもしれませんけれども、それは、租税回避ということから考えて、実現のタイミングが選べるものをボックスに入れるというのがもう一つの考え方としてあるかもしれないですね。
そのほかにあるのかというのは、私は今のところまだよくわかっていないのですが。あと二元的所得ということで言えば、これもポートフォリオ、だからどこまで広くとるかということでしょうけれども、資産性所得という広くとったボックスなのか、もう少し小さい、いわゆるポートフォリオ、金融のポートフォリオという形で考えるというのと3つぐらいあると言ったらいいのですかね。よろしいですか。
〇委員
それで結構です。私なんか、逆にだから、損益通算という言葉には本来特別なというか、深い意味があるのでしょうけれども、あまりそういう深い意味を考えないで先ほど申し上げたので、だから、私の申し上げた趣旨から言うと、一つの所得類型的な形でボックスを考えるので、そこでのキャンセルアウトというのは、言うところの損益通算以前の話かもしれないですね。
〇委員
よろしいですか。
じゃそういうことも含めて問題意識はこれにあるのだということで、今日の議論を踏まえて事務局のほうに作業予定を作ってもらうと。例えば損益通算の考え方とか、不動産を入れるか入れないかということは、現段階では縛らないということだと思います。
ただ、申し上げたように、普通の金融所得に比べて、不動産を考えるというのはそれなりにハンディキャップがあると。事業所得を入れるともっと大変だと。リトル・スペシフィック・タックスを入れたらもっと大変だということは事実だろうと思います。
〇委員
今のところで、結局だから、我々、今日見せていただいたいろいろな国の箱とコンパラブルな作業をするのか、小委員長が何回目かに、日本の箱はこれでこうするという議論をやるのか。
ただ、それに若干触れざるを得ないのは、不動産所得と言ったって、それは証券化してしまうと金融資産になりますよね。そうすると、じゃ入れざるを得ないとなりますと、やはり最大の問題の一つである住宅ローンの支払利子、それをどうするかですよね。これを認めれば、今の住宅税制とか租税特別措置でやっているのはある意味で要らなくなりますよね。また恩典という意味では、ある意味で最高のベネフィットですよね。
だから、僕はやはり、最初にデュアルインカムの議論がそもそも出てきた発祥の問題というのを我々はここでやるのかと。やるとなると、北欧諸国、あるいはコンプリヘンシィブ・インカム・タックスはこうだけれども、日本の所得類型のボックスはこうなるという、そこまでなってしまうと思うのですよね。だから、我々はどこまでやるか。そうすると、本当にそれは所得課税の超本質的なところまでいってしまう。だから、答えはわかりませんけれども、ただ、そういうことで区切れなくなってきたというのが現実でもあるわけですよね。
〇委員
その点に関しては、今日、委員の質問に対して事務局のほうからもお話もありましたけれども、二元的所得税ということ自体がやはり国によってかなりいろいろ違いがあって、そもそも二元的所得税というコンセプトから議論するということで、実際のいわゆる税の枠組みを作るということの間にかなり距離があると思うのですよね。去年もすでにそういうことに関してある程度議論したわけで、そういう意味で言うと、むしろ私としては、この「金融小3-3」に書いてあるようなさまざまな論点を積み上げていくということをむしろこれからの作業としてやっていきたいと。
だから、言いかえると、二元的所得税ということの議論は、もちろん議論はしていただいて結構ですけれども、大上段に踏まえて、二元的所得税はこうだから、今回の税はこうあるべきだという種類の議論は仕組まないということにさせていただきたいと思います。じゃよろしいでしょうか。
そういうことで、幅広い観点からのご意見をいただきまして、大変ありがとうございました。今後の議論については、ほかにも密接に関連する論点もあると思いますけれども、この夏までに報告を取りまとめるということで、時間的な問題もありますので、まずは当面、金融資産性所得の一体化、すなわち損益通算のあり方、そのための前提条件といったことに焦点を置いて議論を進めていきたいと思います。
最後に今後の予定ですが、次回の小委員会は2月13日金曜日の午後という方向で考えております。正式に開催が決まり次第、案内状をお送りいたしますので、よろしくお願いいたします。議題については、案内状にてお知らせします。
では、本日の小委員会はこれで終わります。どうもありがとうございました。
〔閉会〕
(注)
本議事録は毎回の総会後、速やかな公表に努め、限られた時間内にとりまとめるため速記録から、財務省主税局及び総務省自治税務局の文責において作成した資料です。
内容には正確を期していますが、税制調査会議事規則に基づき、事後の修正の可能性があることをご承知置きください。