第2回金融小委員会 議事録

平成15年11月7日開催

委員

それでは、時間になりましたので、ただいまから第2回金融小委員会を開催したいと思います。

本日は、すでにお知らせしてありますとおり、主な金融商品に対する課税の現状について、諸外国の例とも比較しながら事務局にご説明をいただきたいと思います。金融資産性所得の一体化という場合の一体化される所得の範囲についての考え方、あるいは税率、課税方式のあり方などについて、皆様の自由なご議論を伺いたいと思います。

それでは、まず、個人の金融資産保有状況や主な金融商品に対する課税の現状などについて、事務局より説明していただきたいと思います。

事務局、よろしくお願いいたします。

事務局

お手元、「金融小2」という資料、若干ページがございますが、40分ぐらいお時間をちょうだいしています。ご説明をいたします。

まず、目次をおくりいただきまして、「個人金融資産の残高」という1ページでございます。これは、通常、個人金融資産が1,400兆円あると言われておる内訳を円グラフにしたものでございます。預貯金742兆円、これが大体54%を占めております。それに続く大きなものとしては保険・年金。この保険は積立生命保険、積立損保、そういう貯蓄性のある保険。年金は公的年金は入っておりませんで、企業年金、3階建ての国民年金基金、それから簡保生保等の個人年金、こういうものを含めたものが全体の28.6%、約400兆円あります。

左下に小さく書いてございますが、上場株式等というのが現在60兆円弱ございまして、シェアが4.3%でございます。そのほか投資信託約30兆円というのも下のほうにございます。

残りその他ということで135兆円。後ほど外貨建ての話ということでまとめたページがございます。それの都合でちょっと抜き書きしている対外証券投資などもこのその他に入れております。

この「その他」に入っています、例えば大きいものとしては、いわゆる上場・店頭登録以外の株でありますとか出資金、これが135兆円の中の約30兆円入っております。さらには証拠金等々の預け金、これが12兆円、それから、投信は30兆円と先ほど申しましたが、信託受益権等々が15兆円、こういうものがその他の中に入っております。

次のページ、この約1,400兆円が平成に入ってからどんな動きを示しているかという推移表でございます。元年がちょうど1,000兆円ちょっと、5年度末が1,154兆円、10年度末が1,343兆円、15年度6月末、直近で一番わかる数字ですが、これが先ほど申し上げた1,385兆円、このようになっております。

実は平成11年度、12年度と1,420兆円のオーダーまで乗っておりましたが、そこから14年度、1,368兆円まで下がっています。それからやや今盛り返しております。この間、預貯金は、徐々にではありますけれども、着実に伸びてきております。

債券も、そもそもシェアは小さいものですが、足元は減ってきております。

さらに、株は、元年度末は約100兆円以上、107兆円あったわけでございますが、直近では60兆円弱というふうに減少をしております。

片や年金・保険、右上からの斜線で網掛けしているところですが、これはかなり大きな伸びを示しております。元年度末が200兆円弱、198.2兆円であったものが、現在はその倍の400兆円弱になっておるということでございます。

次のページ、先ほどちょっと申しましたが、外貨建ての投資、これがどのようになっているか。今しがた見ていただいた中に、縮尺としては約100分の1なものですから、これだけ拡大したわけでございます。元年度は、ここにございますように、網掛けの外貨預金が1.3兆円、証券投資が4.3兆円。5年度は、為替要因もございます。外貨が安くなった、円が高くなった。さらには金利差の要因、金利差が縮まりますと、当然外貨の投資意欲が薄まるということで、かなり5年度にかけて少なくなりました。その後急速に伸びておりまして、現在は外貨預金で5兆円、対外証券投資で8.2兆円、13兆円余の外貨投資が行われておるということでございます。

次のページ、4ページでございますが、それぞれの種類の金融資産、そのうち個人と申しますか、統計上出ているのは家計という形で出ておりますが、家計がどれぐらい保有をしておるかということで、預貯金は圧倒的に全体の3分の2が家計、個人が持っております。同様に投資信託も全体の3分の2が個人が保有をしております。

一方、対照的なのは債券でございます。個人は全体の3%しか持っていない。その他、いわゆる法人が中心というか、ほとんどが法人が保有をしておるということでございます。

右下の上場株式は、2割強が個人が持っております。このような保有主体別の分布がございます。

5ページでございます。先ほど一番最初にご紹介申し上げました個人金融資産の内訳、これをわかる範囲で各国比較をしたものでございます。日本のところを見ていただきますが、株式・出資金6.5%となっておりますが、このうちいわゆる上場株式が、先ほどちょっと触れましたが4.3%である。同じようにアメリカは、株・出資金が3割、31.7%。日本の6.5%に対してアメリカは31.7%になっております。

イギリスが10.3%。比較的イギリスの場合、そんなにびっくりして株が大きいというわけではございません。かわりに大きいのが保険・年金の欄でございます。そもそもイギリスは、家計の資産保有高というのはさほど大きくはないのですが、日本の場合ですと、公的年金で行っております報酬比例部分の年金、これが企業年金の形で行われているというような事情もございまして、この保険・年金が過半数を占めるというような数字になっております。

ドイツ、フランスは比較的似通っておりますが、現預金が全体の3分の1、保険・年金もこれも全体の3分の1。株がドイツの場合は10数%、フランスが20数%となっておりますが、証券投資、すなわち債券、広い意味では証券という意味でしょうか、投資信託、それから株、これを足しました数字は、大体3分の1。ドイツ、フランスは、そういう意味では現預金、保険・年金、株等、これが1対1対1になっておるということでございます。

このように見ますと、やはり日本の場合、現金・預金が過半数、6割近くを占めております。さらに、株の部分が諸外国に比べてやはり小さいということが見て取れると思います。

6ページでございます。平成14年分の家計調査から調べたものでございますが、それぞれの資産が年間の収入、フローの収入でございますが、年間収入五分位階級別にどのように保有されておるかというものをとったものでございます。一番上が貯蓄全体でございます。第V階級が全体の3割を占める。人数的には2割の人たちが3割の金額を占めておるということでございますので、一人当たりでは当然多いわけでございますが、比較的第一分位から第四分位まではそんなに差がない。貯蓄についてそんなに差がないという姿が出ています。いろいろな要因があろうかと思いますが、家計調査のサンプルの中には、当然、貯蓄は多いけれども収入は少ないという高齢者の世帯も入っておるということも影響しているのかなと思われます。

ざっと見ていただきますと、やはり目立ちますのが下から2つ目の株式・株式投資信託で、これは第V階級の世帯において、全体の4割を保有しておるという姿でございます。

それから、外貨、これもやはり全体の3分の1を第V階級が持っています。この下2つが、わかりやすくいうとお金持ちがたくさん持っているのかなということでございます。

次のページでございます。今度は、同じ資料なのですが、横縦を引っくり返しまして、それぞれの階級ごとにどのような貯蓄を保有しておるかというものを示したものが7ページでございます。第I階級においては、全体の68%を預貯金で保有しております。その次の斜線が生命保険等でございますが、それが23%となっております。

ざっと見ていただきますが、第IV階級が預貯金の比率が一番小さい。第V階級がそれに次ぐという姿になっております。

生命保険の比率というのも、これは第III階級と第IV階級が割合としては多い。

目立ちますのが、右から2つ目の箱になりますが、株式・株式投信、これはやはり一番下の第V階級が比率として一番多くなっている。全体の8%となっておるわけでございます。

以上、ストック面でございますが、最近のフローの状況をご紹介したいと思います。8ページでございます。株式売買動向ということでございますが、平成元年からとった数字でございます。買付がちょっと薄め、売付が濃いめということでございます。大体売りと買いが常に拮抗しております。買うために売る、売るために買う、こういう方々がいらっしゃるのか、大体売りと買いは拮抗しているというのが、個人の株式売買の1つの特徴でもございます。

当然、バブル崩壊ということで、元年から4年にかけまして急激に落ちてきた売買動向でございます。その後、ずっと低迷を続けましたが、平成11年、12年、いわゆるITバブルというものがございまして、売買高として80兆オーダーまで伸びてきました。

このITバブルが一段落した後でございますけれども、13年、14年、現在15年ですが、15年は9月までの数字が出ておりまして、点々の箱で頭を継ぎ足していますが、9月までの数字を1年分に伸ばしたものでございます。そういう意味では、個人の株式売買というのが、ITバブルの時期に戻りつつあるという状況が見て取れると思います。

次のページ、同じように公社債でございます。公社債の場合、もちろん例外はございますが、買付と売付を比較しますと、総じて買い越しになっております。一旦買われたものは持っておるという方が多いのでしょうか、総じて、若干ではありますけれども、買い越しが多いケースが多いと思います。やはりバブル時期等々、元年から3年が多かったわけでございますが、その後2兆円、4兆円。この縦軸の数字が小さいものですから大きく見えますけれども、このあたりで増減している。足元の15年をとりましても、伸ばしても2兆円のオーダーという状況でございます。

次に10ページでございます。利子税収。ここから税収の話が3つほど続きますが、これも平成元年から足元わかるところまで、14年分まで、これは国税庁の統計年報というところから取っております。この数字でご注意いただきたいのは(注)2でございますが、法人の受取分も含まれております。国税庁の資料の制約上、法人受取部分も入っております。ただ、預貯金等々については、比較的個人の比率が大きいものですから、それをお含みおきいただきたいと思います。

元年、2年、3年と、3年にピーク、4.7兆円という利子税収があったわけでございますが、徐々に落ちてきていまして、ただ、途中12年と13年、これは定額郵貯の集中満期がございまして、3兆円、4兆円の税収がございましたが、その集中満期が終わりましたので、14年度においては1.2兆円というふうに下がってきておるわけでございます。

次に配当でございます。11ページでございますが、配当は税収として比較的1兆円前後ということで安定をしております。逆に申しますと、企業業績いかんにかかわらず、一定額の配当が行われているという反映やもしれません。この数字も法人受取分が入った配当から出る税収でございます。黒く塗ってあるところがいわゆる株の配当、それから、白い部分が、下の(注)にございますが、いわゆる公募・私募の証券投資信託、それからETF、こういったものが入っております。

次のページ、株式等の譲渡益の税収でございます。これも大体ご覧いただきますように、株の出来高等々とパラレルな動きを示しております。元年、2年には7,000億円前後あったわけでございますが、現在、ITバブルの数千億あったときから下がりまして、約二千数百億の税収しかないという状況でございます。

以上が個人金融資産の現況でございます。これから今日の本題である商品ごとの課税のあり方ということでございます。

13ページ、これは前回の資料でもおつけ申し上げましたが、15年度の答申でございます。「できる限り一体化する方向を目指すべきである」等々のご議論を賜りつつ、この15年度答申を受けまして、次の14ページでございます。簡単におさらい申し上げますと、従来の制度に対していくつかの個人投資家からの不満があったと。それに対して預貯金並みの手軽さで株式投資などができるようにしたいという見方から、将来の課税の一体化に向けた措置として、利子、配当、譲渡益、区々であった課税のあり方を、20%の比例課税を行う。さらに譲渡益については、特定口座を改善、簡素化するということで、ここに書いてありますような改正をしました。

さらに、公募の株投の償還損の通算、これはまた後ほどご説明申し上げますが、こういった一体化に向けた措置をした上で、当面の優遇措置ということで、配当と譲渡益と今の公募株投の収益分配金、これについては20%のところを5年間10%にするという措置をとったわけでございます。

15ページ、16ページ、17ページとそれぞれの内容を書いてございますが、時宜に応じてこっちに戻るといたしまして、さっそく18ページの中身のほうに移らせていただきます。このフローチャート、所得税計算の仕組み(イメージ)、これも前回おつけ申し上げた資料でございます。一番下から4つ目の株式のキャピタルゲイン、その2つ下の利益の配当、利子、この辺が主に金融資産性所得と言われているところでございます。

株については株式等の譲渡所得ということで、損益通算を飛ばして、いわゆる人的控除を受ける箱に入る。その上で比例税率、申告分離を行うわけでございますが、ここで源泉選択の特定口座を選べば、源徴プラス申告不要ができるということでございます。

それから、利益の配当につきましても、配当所得ということで所得分類されておるわけでございますが、(注3)というところでございます。配当について損が出た場合、例えばその株を買うために借金をした場合の負債利子は控除ができるのですが、例えば無配当の株を持っている、それを買うのに借金をしたというところの損が立つわけでございますが、その通算は認めないとなっております。(注3)の「×」がそういう趣旨でございます。その上で総合課税されるのが原則であると。しかし、これについても、先ほどちょっと申しましたが、一定の要件のもと源徴のみで申告不要という道を開いております。

一番下の預貯金の利子でございますが、これは差し引くものはございません。そのまま利子所得となりまして、源泉分離課税ということで、2つスキップいたしまして、最後の税額までいく。このようになっておるわけでございます。

このような中、次の19ページでございますが、主な個人向け金融商品に対する課税関係[概要]というページがございます。20ページ以降数ページは、ちょっと細かな版を用意しておりますが、まず最初に、大まかな分類で、保有段階に何らかの利益の分配がある。それに対してどういう課税が行われているのか。それから、換金段階。1つが人に売却した場合、それから、払戻しと書いてありますが、売却をするのではなくて解約をする、ないしは例えば満期が来て償還を受ける。こういった場合にどういう課税が行われるかというふうに整理したものでございます。

縦軸に預貯金、公社債、株式、投信等とこのようになっております。ざっと見ていただきますと、実は塗ってあるところが大体似通った課税を行っているという意味で網掛けをしてございます。保有段階を縦に見ていただきますと、割引債については保有段階でそもそも利益の配分がないものですから、バーになっておりますが、これは原則20%。5か年間は10%。例えば上場株で見ていただきますと、(10)と書いてありますが、これは5年間の優遇税率でございます。基本的には20%ということで、課税としては大体すでに並んでおるかなと。もちろん、例えば配当について言えば、総合課税を選べば法人税との調整、例の二重課税の問題の調整の問題がございます。それから、利子については源泉分離という意味では、配当等とは違う形になっておるわけですが、少なくとも税率という意味では20%ということで並んでおるわけでございます。

片や換金段階のほうがそれぞれ区々になっております。公社債をご覧いただきますと、売却は当然できるわけでございますが、後ほど諸外国の例を見ていただきますが、課税をしている国も多いわけでございます。日本においては、この公社債の譲渡益というのは、経過利子を反映したものであると。利子課税すればそれでいいという考え方のもとに、公社債の譲渡益については非課税になっております。

それから、割引債でございます。これも公社債並びで売却時非課税となっております。換金時にということですが、これは発行時に18%の償還益の課税を先にする。これは源泉分離、利子と同様のやり方で課税をするというものでございます。

株につきましては、売却段階、ただいま申し上げましたように、特定口座、源泉徴収選択口座を使いますと、20%の源徴ができます、そして申告不要ですと、このようになっております。

非公開株式、非上場株式でございます。これは売った場合は譲渡所得ということで、26%の申告分離になるというわけでございます。

それから、投資信託でございますが、この辺からちょっとややこしくなりまして、これについては15年度改正のおさらいをちょっとしておきたいと思いまして、16ページに戻っていただきたいと思います。15年度改正以前の姿で今年の12月、来年の1月から新しい課税に変わるわけでございます。15年度改正におきまして、従前は箱でいうと、それぞれ楕円でくくってありますが、公募株投、これは改正前は公社債、公社債投信並み、利子並み課税をしておったということで、収益分配金については、20%の源泉分離、譲渡損益については公社債並みということで、益は非課税、それとの関係で譲渡損はないものとみなすという処理をしておったわけでございます。

種々ご論議賜りまして、15年度改正におきましては、この真ん中の公募株投については、公社債、公社債投信からむしろ上場株と同じ扱いにしようというふうに、グループ分けが変わったわけでございます。株式投信、公募については、20%源徴した上で申告不要、それから譲渡益については申告分離課税としたわけでございます。

さらに償還損につきまして、右下の箱でございますが、株並みにするということで、実際、譲渡して損が出たわけではないのですが、これは平成13年の秋、金融小委でもご論議賜っておったわけでございますが、この解約と譲渡の間にどんな差があるのだろうと、いろいろ悩みがございまして、少なくとも満期が来て、ないしは解約をして償還を受けたときに損をした、元本割れをしたというのは、やはり譲渡損とみなしていいだろうという判断がございました。この公募株等についての償還損については、ほかの株のキャピタルゲインから差引きができるという通算の可能性の道を開いたわけでございます。

戻っていただく前に、34ページでございます。基礎知識ということなのですが、そもそも投信というのは何であろうかということで整理をしたものでございます。証券投信というのは、投資信託財産の過半数、2分の1超を有価証券に投資するという投信でございます。その中で、積極的に定義がしてありますのが公社債投信でございまして、先ほど申し上げた公社債・公社債投信という2つ目の箱でございますが、この証券投資信託のうち、株式または出資に対する投資として運用しないもの、株式等には運用しないというふうにされているものでございます。それ以外のものということで、株式投信というのが定義づけられております。

このうち公募というものと私募というものがあるわけでございますが、公募がある意味では多数、50人以上を相手に行う勧誘をするものということでございます。私募がそれ以外ということで、これは平成10年からスタートしております。

もう1つ、特定株式投資信託(上場型)というのがございます。これは株式のみということになっております。これを図示的にお示ししますと、次の35ページでございますが、特定株式投信、株式が100%の組入率。上場株だけで運用するというものが一番上の特定株式投信というもので、ETFがこれに当たります。

それから、わかりやすいのが一番下でございます。公社債投信、これは公社債、それから現金・コールローン等だけでやる。2点鎖線というのでしょうか、これでつないでありますが、公社債と現金・コールローン等、すなわち株はやらないというふうになっているものが公社債投信です。実はこれ以外というものですから、株式投資信託というのは、株式組入比率としては、100というのもあり得るし、結果としてゼロというのもある。極端にいうと、株式に投資し得るものであれば、実際には株式が入っていなくても、この株式投信になるというふうになっておるわけでございます。

まさに公社債投信と株式投信、どこで線を引くかというのが、我々も課税のあり方が違うものですから、なかなか悩ましいところということでございます。

戻っていただきまして19ページでございます。今ご覧いただいておりましたのは、換金段階の欄、投資信託等というところで、公社債投信については、これは公社債と同じということで譲渡益は非課税でございます。それから、公募株投については、譲渡した場合には、これは上場株ではないものですから、譲渡所得26%申告分離ということで、上の非公開株式と同じ課税になっております。それに対して解約・償還をしたときは、配当所得ということで扱いまして、上の上場株式の保有段階と同じ扱いをいたしまして、配当所得20%、現在10%源泉徴収をするという課税になっております。

ETF、これが先ほど申し上げました特定株式投資信託ですが、これは上場株だけが入っておるファンドだということで、上場株と全く同じでございます。

Jリート、これも上場しておる商品でございますので、上場株と同じ扱いをしておるわけでございます。

ここで1つトピックと申しますか、現在我々悩んでおることが、この公募株投で1つ生じております。売却と解約・償還で扱いが異なるということになっておるのは、ただいまご説明したとおりでございます。実は日本で売っている株投につきましては、換金は解約形式で行うことが多い。というか行われておるわけでございます。ということで、現在でいうと配当所得10%課税で済むわけでございますが、実は外国の株投がこの解約という方式をとれないということで、換金をするために譲渡というやり方をすることになっております。販売をした業者に売却するわけです。内国の場合は現在ですと10%で済むのに、外国株投の場合、たまたま換金の仕方が譲渡だということで、26%かかるということになっておるわけでございます。いろいろな経緯があるわけでございますけれども、これは来年の1月からスタートする制度で、この辺がマーケットに混乱を生ぜしめないか、我々なりに考えなければいけないかなと思っておる次第でございます。

次に20ページでございます。19ページで今ご覧いただいたのが総括版でございます。やや個別の商品を拾ったものが20ページ以降でございます。預貯金等、例えば普通預金、それから、定期預金の2つ目の箱は満期が一括受取りだということで、払い戻し、償還の段階で利子課税を行う。定額郵貯等がこれに当たるわけでございますが、課税が繰り延べされるという効果はございます。

譲渡性預金については、売却可能ですが、それによって得たものは雑所得として課税される。償還を受けるときは、これも課税繰延べと同じ扱いで20%の源泉分離でございます。

それから、貸付信託ですが、この特徴としては、換金時をご覧いただきますと、これは公社債並みで非課税としております。

公社債は、利付債、割引債は先ほどご説明したとおりでございますが、利付債と割引債のあいのこみたいなものが低クーポン債というものでございます。クーポンの金利、利率をできるだけ低くして、割引債に近い利付債ということで発行いたしますと、収益をキャピタルゲインにすることができる。それが非課税になるものですから、割引債ではないという意味で、発行時の源泉分離課税18%も受けない。さらに譲渡益も非課税になってしまう。これはちょっと変だということで、表面利率、これはその時々の金利に合わせて動かしているわけですが、一定水準を下回る低クーポン債については、例外的に譲渡益については総合課税で譲渡所得を課税しております。

同じようなものとしてディファードペイメント債というものがございますが、これは当初数年間は利金の支払いがない。数年後に一括して利金を支払って、その後は通常のクーポンが支払われる。これも課税繰延べ商品でございます。これも同じような課税をいたしております。

インデックスリンク債というのもございまして、通常の債券にオプション等々のデリバティブを組み込んだいわゆる仕組み債というものでございまして、例えば日経平均がある一定の条件を満たしますと、通常の国内債と比べるとびっくりするぐらい高い利回りで償還がある。逆にその条件が満たされなかったら、元本割れをするというものでございます。これについては、利子として支払えるものについては利子所得、売却については非課税、これは公社債並みということで非課税になっておるわけでございますが、払戻し、償還時の取扱いは利子や雑所得でそれぞれかけております。

EB債ですが、これはいわゆる他社株転換債というものでございますが、これも払戻時の益については、雑所得として総合課税をしております。EB債というのは、特定の銘柄の株価の動きによって、償還時に元金が戻る場合、それから状況によっては対象となっている株券を受け取れると、このような商品でございます。

次のページに株でございます。21ページでございます。上場、非公開、これは先ほどご説明申し上げました。

その下の新株予約権付社債でございます。これはある意味で株と公社債の中間みたいなものでございます。保有段階は社債ということから発生する利子であるということで、利子所得課税を行います。今度、売却のときは、株式譲渡所得ということで、上場しているものについては、上場株並みの扱いをしておるということでございます。

それから、投資信託は、先ほども若干触れましたけれども、公社債投信については、売却段階は非課税、公募株投については売却すれば26%申告分離、これは先ほど申し上げたとおりでございます。

ETF、Jリート、この辺は上場株並みということでございます。

次の22ページでございますが、外貨商品を並べてございます。ここでは為替差益の取扱いを若干ご説明したいと思います。

外貨預金につきましては、為替予約があるかないかということで課税関係を異にしております。為替予約がありますれば、これは実質円建てであるということで、償還時のいわゆる為替差益についても、為替も込み込みにして20%の利子並み課税をしておるわけでございます。それに対して、先物予約がない、リスクヘッジしていないもの、いわゆる外貨そのものの場合については、これは総合課税、元本が100ドルが100ドルで返ってきているわけですが、それが1ドル100円から120円になっていたら、2,000円得をしているわけです。それについては雑所得として総合課税をするというふうになっております。

それから、外貨建ての利付債につきましては、売却段階は為替差益も含んで債券の売買益であるということで、非課税の扱いになっております。ただ、今度戻ってきた場合、100ドルが100ドルで戻ってきた場合は、先ほど預金で申し上げましたように、その為替差益については、雑所得として、申告をお願いして総合課税をするという扱いになっております。

若干飛びまして保険でございますが、前回の講師の方のプレゼンにも出てまいりました変額年金保険というものがございます。一番下のところでございますが、これは保険と投信を組み合わせたような性格の商品でございます。保険金を一時金で受け取る場合には一時所得ということで、50万円控除、2分の1総合ということになります。一時金ではなくて年金として受け取りますと、いわゆる年金収入、雑所得として総合課税されるというふうに分かれておるわけでございます。

先物につきましては、下の欄ですが、15年度税制改正後、ここにございます商品先物、有価証券先物等々が、雑所得なのですが、20%の申告分離課税ということにされております。適用としては、商品先物のほうは今年の1月から、有価証券先物は来年の1月から適用されます。

土地についても前回若干ご論議ございました。ご参考までに並べております。保有段階、例えば家賃収入がある、地代収入があるという場合は、所得税上、不動産所得ということで総合課税でございます。売って得をするいわゆるキャピタルゲイン、これが26%ということで、先ほど申し上げた金融資産との並びで申しますと、非上場の株と同じ水準で課税をしております。

土地の場合は、例えば3,000万控除、5,000万控除という特別控除等々もございます。さらに株と違いますのは、ほかの所得との損益通算ができるというような違いもございます。

申しわけございません、あと7、8分お時間をちょうだいいたしまして、諸外国の概況を申し上げます。

まず、アメリカ、23ページでございます。アメリカはいわゆる総合課税の国でございます。給与等々から始まって、利子につきましても損益通算の対象の中に入っていくという総合課税の国でございます。

配当につきましては、今回のブッシュ減税で、(注5)と右の箱に書いてございますが、一般の総合課税のラインを通っていき、最後、税率としては5%、15%、これは全体の所得の数字によるわけでございますが、軽減税率が適用されます。

譲渡収入のところをご覧いただきますと、取得費等を差し引くとした上で、短期の純キャピタルゲインかロス、それから、長期のキャピタルゲインかロスというのに分かれます。その上でそれぞれを損益通算するということでございますが、(注1)で、まず短期・長期ごとで通算をする。次に短期と長期のクロスの通算をする。

(注2)でございますが、もしロスが出た場合どうするかということで、3,000ドル、現在のレートで申しますと30万円ちょっとですが、これを限度に総所得から控除が可能ということでございます。3,000ドルというキャップがかかっておるわけでございます。

このような税制のもと、24ページ、先ほど日本の概要括版ということでご紹介しました金融商品ごとの課税でございます。ご覧いただきますように、保有段階は利子課税が行われたり、特に配当課税が先ほど申し上げたように、ブッシュ減税で変わったわけでございますが、配当課税が行われたりしております。

公社債で発行差金、OIDとなっておりますが、(注2)でございます。Original Issue Discountということで、発行価格と満期時における差額があった場合、それを総合課税するというふうになっております。

投信がございます。RIC、REITというものがございますが、ここの課税のあり方は、換金段階は極めてわかりやすくて、普通のキャピタルゲイン課税が総合課税で行われるわけですが、保有段階では、分配金の源泉別に課税が行われるということで、例えば1年たって分配が行われた、その分配金の根元は何かということを仕分けまして、それぞれの課税のあり方でやる。例えば源泉が配当であれば、配当の課税をする。長期キャピタルゲインであれば、長期キャピタルゲインの課税をする。このようなことをしております。REITも同様の課税をするということであります。

日本の場合は、先ほども申し上げましたように、普通の投信の場合はどんぶりで課税をしておるわけですが、アメリカはこのように源泉別に分けて課税をしています。今までは総合課税だったわけですが、配当、キャピタルゲインをブッシュ減税で変えましたので、この区分のあり方はさらに意味を持ってきているわけでございます。

次にイギリスでございます。25ページでございますが、イギリスは所得分類のところで、彼らの用語でいうとScheduleという言葉がございます。利子、配当それぞれ、Schedule D, caseIIIとか、配当であればSchedule Fとなるわけでございます。

譲渡収入につきましては、このScheduleの外にキャピタルゲインというものでございまして、(注1)に書いてございますが、イギリスの場合、所得税というのは、このSchedule所得に対する所得税のことをいいまして、キャピタルゲインはキャピタルゲイン税。分類の仕方はいろいろあろうかと思いますが、彼らの頭の整理としては、所得税とキャピタルゲイン税を分けて考えております。

当然ですが、損益通算はこの譲渡収入、これは株等にかかわらずすべての譲渡収入でございますが、損益通算はその範囲でやる。かつ、所得控除も別枠で行う。人的控除等はここからは行わないという制度になっております。その上で累進税率をかける。累進税率のかけ方はこの括弧に入っておりますが、そのほかの所得、普通の利子等以外、例えば給与所得といったものの額に利子、配当、キャピタルゲインの順番に積み上げる。その数字でそれぞれの属するブラケットが決まるということで、(注3)にその表が書いてございます。

このような制度のもとで、26ページでございますが、イギリスは源徴を使っております。ちなみに、アメリカは源泉徴収は使っておりません。それを納番でカバーするという体制になっておるわけでございますが、イギリスは利子については源徴をかけておるわけでございます。20%の源徴、その上で10%、20%、40%の3段階の総合課税となっておるわけでございます。

利付債の換金段階を見ていただきますと、キャピタルゲインは非課税ということで、イギリスの場合、キャピタルゲインにかける歴史はさほど古くないという名残がここにございます。

ゼロクーポン債につきましても、割引額について総合課税を行う。

株でございますが、配当は10%、32.5%の2段階の総合課税。売却の場合にはキャピタルゲイン課税が10%、20%、40%の総合課税でございます。

投信でございますが、ここも分け方が難しくて、60%以上を公社債等、いわゆる利子もので運用しているものについては、下の利子として分配が行われる場合ということを選択できる。上がそれ以外で配当として分配を行うという投信でございます。

イギリスの場合、ファンド段階で法人税が課税をされるというシステムになっておりまして、下の利子として分配を行う場合は、ファンド段階での課税で損金算入が行われる。配当として分配が行われる場合は、損金算入はできないのですが、受け取った個人のところでインピュテーションを行う。このようになっております。

それから、次の27ページがドイツでございますが、利子、配当というのが資本所得ということで一緒になっている。ただ、配当はいわゆる 2分の1軽減課税をしております。

譲渡収入は、ここは伝統的にキャピタルゲインは課税をしないという国でございます。ただ、最近、投機的譲渡収入については課税をするということで、株は1年未満、土地は10年未満の譲渡については、課税をするということで、その他所得ということで、損益通算は他の所得とはしておりません。その上で所得控除等々を受けて累進税率をかけるということになっておるわけでございます。比較的制度としては簡明でございます。

28ページでございますが、ここも納番はございませんので、利子であれば30%の源徴をするというをしております。配当が20%の源徴、投資信託についても、公社債投信、株投、それぞれ利子、配当課税が行われています。

ゼロクーポン債以外につきましては、それぞれキャピタルゲインは原則的には非課税、先ほど申し上げた譲渡益については課税をしています。

次にフランスでございます。

フランスも利子、配当、真ん中あたりにありますが、これは資本所得ということで1つの箱に入っておりますが、実際の課税は、利子につきましては、総合課税か源泉分離課税を選べる。源泉分離課税を選んだ場合には、比例税率のほうにそのままいく。選択制になっているということでございます。

配当は総合課税になっております。

譲渡が、特に個人の場合は3つでございますが、不動産、動産、それ以外に有価証券等ということになっております。ご覧いただきますように、有価証券等の譲渡収入については、損益通算をせずに申告分離課税が行われておるということになっております。

この制度のもとで、各商品ごとでございますが、30ページ、預貯金については利子課税が保有段階で行われております。

公社債については、保有段階では利子課税が行われる。売却については、キャピタルゲイン課税が行われているはずでございます。償還プレミアム、いわゆる買ったときの値段と償還額の差については、これも利子並み課税が行われておるわけでございます。

配当は、先ほど申し上げたように、6段階の総合課税ということでございます。

投信は、先ほどアメリカは分配金の源泉別に課税をするというようなことになっていると申しましたが、フランスにおいても投信については源泉別の課税が行われております。

さらに単純なのがスウェーデンでございます。ここは前回フィンランドの例をご紹介いたしましたが、今日はスウェーデンでございます。二元的所得税の国でございますが、勤労所得と資本所得と二元的に分かれておるわけでございます。損益通算の欄、(注1)(注2)のところをご覧いただきますと、株については、損益通算の範囲が制限をされている。まず株だけにしなさいと。それでもでき切れない部分は7割、だから3割は切ってしまう。7割が損益通算可能となっております。

32ページ、ここはご覧いただきますと、かなりきれいな、単純な分類になっております。それぞれ30%源徴というものを保有段階ではかけた上で、資本所得ということで普通の税率がかかっております。大変わかりやすい税になっております。

以上、各国の状況等々含めてご説明いたしましたが、最後に、株投の関係で、現在16年度改正に向けて我々悩んでいる点、1つだけご紹介申し上げたいと思います。

33ページでございますが、損益通算でございます。収益と損失、これを通算するわけですが、収益の欄を見ていただきますと、株でご覧いただきますと、保有段階では配当という益がある。換金段階では譲渡益という益が出るわけでございます。同じように公募株投について、保有段階でも期中の分配金というものがございます。これは配当所得というふうに分類しております。

片や損失のほうですが、株の損、公募株投の解約・償還損、これについて今申し上げた収益とどのように通算をするかということで、株同士の収益と損、これは当然「〇」になっているわけでございます。それから、公募株投の譲渡益と、公募株投の譲渡損、クロスするところ、これも「○」になっておるわけでございます。

15年度改正で何をしたかというのが、「×」から「〇」へというこの2か所でございますが、株の益と損、それから公募株投の解約・償還損、これについては、先ほど申し上げましたが「〇」にしたわけでございます。同様に株投の譲渡益と株投の償還損、これについても通算を認めたわけでございます。

これに関して網掛けしているところ、ここが議論になっておりまして、今度逆のたすきがけ、すなわち、株の譲渡損と公募株投のいわゆる解約益、これを通算をしてくれというご論議がございます。ここにございますように、解約・償還益については、あくまで期中分配金と同じであるという位置づけで、配当というふうに整理しておるものですから、これと譲渡損を通算を認めるというのは、所得分類間の通算になって、今までの考え方から大きく変わるということでございます。

ただ、先ほど外国株式投信について申しましたように、公募株投ですが、譲渡による益と、譲渡する形で換価した場合と、解約する形で換価した場合と、実態としてどれだけ違うのだろうという問題がございまして、この網掛けしてあるところについて、さて、「〇」にするのか、しないのか。これを今検討しておるわけでございます。

以上、こちらからのご説明といたします。

委員

どうもありがとうございました。

それでは、ただいまの事務局からの説明を踏まえて、質疑及びフリートーキングの時間を取りたいと思います。

論点としては多分2つほどあって、特に前半が非常に重要だと思うのですが、一体化される金融資産性所得の範囲、税率、課税方式などについて、どういうふうに考えていったらいいだろうかということについての議論、それから、これは大きな問題が委員のほうから出ない限りはそれほど時間を取る必要はないのかもしれませんが、16年度改正についてのご意見等、あるいは今の資料の説明についての質問、どなたからでもけっこうですが、どうぞお願いいたします。

委員

そもそもの質問ですけれども、個人が受け取った段階だけの課税をご説明になったわけですが、そこを閉じて議論することで足りるかどうか。どの投資ルートを通じるとどれだけ税率のリターンが返ってくるかということが、課税の中立性ではポイントになってくると思いますので、銀行ルート、証券会社ルート、保険会社ルート、投資信託ルートとかいろいろあるはずですが、間の仲介機関、そこで法人課税が行われるとか、行われないとか、それも本当ならば……そんなことをやっていたって何にもできなくなってしまうのですが、考えた上で税制のあり方を検討する。だから、個人所得税段階と仲介機関段階、それを一体として見るという発想は、すべての場合についてなかなか難しいと思うのですが、発想としてはどこかで持っていたほうがいいと思うのです。当然主税局ですからそれは準備なさっていると思うのですが、とりあえずはそれはちょっと、ということなのでしょうか。

事務局

例えば投資ファンド、投資信託などのケースでは、各国ともその辺悩みながらやっておるということでございまして、例えばアメリカもファンドは基本的には法人税をかけるというふうになっているのですが、分配をした場合、その利益分配の形によらず、それを損金に入れると。法人課税ファンド段階課税の計算において損金に入れるということで実質的に非課税であると。逆に残ると、内部留保があれば、それは法人税が課税されると。

イギリスについては、先ほど申し上げたように、これも一旦課税ということなのですが、利子として分配されれば損金算入、配当であれば個人段階でのインピュテーション。同様にフランス、ドイツ、これはファンド段階では課税をしない。これは日本と同じ状況になっています。もちろん、先生ご指摘のように、この投資信託に限らず、いわゆる集団的投資スキームというのが世の中にかなりございます。配当についての二重課税と同じような議論が存在するというのは、我々も当然認識をしております。

委員

前回の第1回小委員会で何を議論しましょうかという紙をお配りしたのですが、そのときのいわゆる一体化課税のときに出てくる論点として、二重課税のほかに例えばLLCとか組織体の問題とか、そういうことは当然入ってくるのだろうと。それは、ただし1月以降少し時間を取ってやりたい。今日はそういう意味では個人課税が中心のご説明だったかと思います。議論としてはもちろんやる。ただし、当然のこととして限界はあると、そういう判断かと思います。

委員

素朴な質問なのですが、これまでは利子・配当とキャピタルゲイン、キャピタルロスを分けてきたわけですけども、今後ペイオフが始まりますと、預金も例えば1,000万円以上ですと800万円になってしまう可能性があるわけですね。それはキャピタルロスに近い形になると思いまして、これまでのように預貯金はキャピタルゲイン、ロスがゼロであるというような税体系と、現実にもう今年の4月からは定期性預金は1,000万円までですので、もしどこかの金融機関が破綻した場合には、預金の元本ロスを生じる方がおられると思うのですが、そういう場合にはここの中でどういうふうに考えるのでしょうか。

事務局

まさにかなり本質的な議論を秘めている問題だと思われます。投資信託について、13年の秋にご論議いただいたときに、解約損が出るというのはどういうことなのだろうと。これは譲渡によって譲渡損が実現するというのとは違う。ある意味では資産価値の目減りというか、滅失というか、それと同じではないかと。これは所得税の世界ではキャピタルロスではないわけでございます。何らかの形でみなさないといけない。

実はベンチャー税制でも同じような議論がございまして、買った株がベンチャーがつぶれたということで無価値になった、紙くずになったという場合、これはあえてキャピタルロスとみなすという形で処理をしておるわけでございます。まさに株が紙くずになった場合とある種同じでございまして、ペイオフで損をした分は、キャピタルロスそのものではないのですが、それを所得税体系でどう受けとめるのか。悩ましい問題です。

例えば卑近な例でいえば、持っていた壺、骨董品を割ってしまったという場合に、売ればその他資産の譲渡損益というのが立つのですが、割った場合は、税法は考慮できないのです。まさに譲渡益、キャピタルゲイン、ロスとは何ぞや。今のご質問はあまりにも難しい問題だということでございます。

委員

補足をすれば、それも含めてきちんと考える必要がありますねという問題提起だと、そういうことですよね。

委員

そういうことです。だからそういう意味では、これまでの預貯金の考え方とペイオフ後のいろいろな金融資産を、本当に利子・配当とキャピタルゲインで分けて考えていいのかという問題も大きいかと。

委員

アルゼンチン国債みたいなケースもありましたし、債券でも同じようなことが起きるかもしれません。

委員

今のご説明でちょっと感じたのは、20ページですけれども、預貯金等とありまして、定期預金(満期一括受取型)ですね。この場合には保有段階のところには線が引っ張ってありまして、最後に満期を迎えたときに全部課税すると。昔ありました金融課税小委員会では、ここの点を検討しなければいけないというふうになっていたのですけれども、先ほど課長がおっしゃったように、定期預金の場合には満期まで課税が繰り延べられていると。その点を検討してルールを作るのかなというと、これは一体化よりますます遠ざかっていくような感じになりますけども、このあたりはどのように検討したらよろしいでしょうか。

事務局

まさにそのあたりをご論議いただければと思います。やはり制度自体が簡素でなければいけないという面がある中、どうトレードオフの関係になり得る、そういう公平性の問題、これを織り込むのかというのが本件の本質だと思います。

委員

委員のご質問は、問題として公平の問題ということでおっしゃっていらっしゃるのでしょうか。つまり繰延べをしている場合と、繰延べをしていない場合とで不公平が生じる。そういうようなことがご趣旨だったのですか。

委員

理屈そのもの、前提として、普通預金ですと、約定期日が来ると利息を受け取って課税される。定期預金や定額貯金、こういうものは満期まで待って、それまで課税が起きない。いわゆる繰り延べられている。そういう問題がありますので、まず、技術的に解決しようとしますと、繰り延べられている課税も毎年評価して、OIDルールといったような感じで課税するということが考えられますけど、それをやっていくと、一体化とは離れた方向にいってしまいますから。

委員

私がお聞きしたのは、例えば、利子みたいなものを毎年払っていた場合と、最後に置いておいて最終的にだけ課税した場合であっても、例えば債券みたいなものであれば、それは価格でもって裁定してしまうので、不公平は生じないと思うのです。アフタータックスでは何を持つかということに。だから、どこを問題にされたかではない。そこで、では何が問題なのかということで、ちょっとお聞きしたのですが。

委員

経緯ということでちょっとお伺いしたいのですが、課税繰延効果を持つような形でやっているのは、技術的な面と、貯蓄奨励という面と、経緯としてこういうふうになっているのは、どちらの側面から来ているのかということをお伺いしたかったということ。

もう一つは、アメリカの話で、今回ブッシュの税制改正で配当の税制の見直しをして、その結果として、先ほど証券投資信託については、分配金の源泉別に課税を組み直すことになりましたというようなお話があったのですけれども、実務的にこういった分配金の源泉別に課税をするという形にすることに対して、何らかのハードルはなかったのでしょうか。そのあたりについてお伺いしたいと思います。

事務局

まず、課税繰延商品については、基本的にはそういう商品、当面はお金が要らないのだけれども、例えば10年定期預金で最後にまとめて金利が支払われる商品を需要される方々を引きつけるということではないかなと。これは専門ではないものですから、当時私も利子・株小委をやっていたときに聞いたのはそういうお話であったと思われます。

委員

よければちょっと調べて、次回にでも。

事務局

はい。それから、アメリカのケースでございますが、これも今詳細を調べておるところでございますが、要するに、投信会社が分配金を出す際に、かなり詳細な、内訳書というか調書を添付するという形で処理をしておるようでございます。このように処理をしていたのは、ブッシュ減税以前からもです。ただ、今まではキャピタルゲインを除き、全て同じ税率の総合課税だったものですから、ある意味では似通った姿になっていたのですが、今回、配当についても別の課税になるということで、ちゃんと投信会社が出す通知書にしかるべき情報が入っているということが、当然この課税執行の前提になっているということでございます。

委員

今回の15年度改正は非常にすっきりして、昨年議論したのとは全然様相が違うということで、これからさらに改正することは何かということは、以前よりもずいぶん狭まったと思うのです。これは非常にすっきりしたわけですが、その中でほとんど20%のところが、26%が残っているところがありますよね。非上場の株式と外国公社債、株式投信、非公開株式、公募株式投資信託、それから、先ほどおっしゃった土地の譲渡益とか、こういう26%が残っているところの理論的な根拠はどういうところなのでしょう。

事務局

理論的な根拠のご説明になっているかどうかわからないのですが、20%にしたのが、いわゆる利子並み課税、預貯金並みに一般の投資家が投資しやすいようにしようということで、税率もそろえる。それから、課税の仕方、すなわち実質源泉分離と申しますが、源徴をかけた上で申告不要にしようと。このようなやり方で課税のやり方を合わせよう。それは預貯金並みの手軽さでというところが根っこにあったわけでございます。

そういう意味では、理論というよりは、そういう経済実態に合わせたものということで、例えば非上場の株であれば、預貯金並みの課税というのは、ある種経済実態に合わせた改正ということで説明ができるかというと、やや留保をつけなければいけないかなということで、まさに非上場株並びか上場株、それが利子並み課税になっている。このどちらかに今は分かれておるということでございますが、まさにこれは金融資産性所得を構成するものでございます。広い意味では、土地なども今申し上げた26%の部族に入っておるわけでございますが、この辺をどう整理するのかというのを、今のところは理論的というよりは、先ほど申し上げた預貯金並み課税にしていいようなものを20%にしたということでご理解いただければと思います。

委員

今の委員のご質問と、さっきの委員のご質問と両方絡むと思うのですが、ご質問の趣旨は、例えば預金のペイオフに伴う滅失みたいなものであるとか、あるいは、非上場の株等に関しても、金融一体化というときには一体化された所得として扱ったほうがいいと、そういう積極的なご発言というふうに受け取ったほうがよろしいのでしょうか。それとも、とにかく検討対象として考えておくべきだと考えたらよろしいのでしょうか。

委員

私のほうは、これから検討するということになれば、当然、一体化ということであれば、そろえるという方向が一番すっきりしていると思いますし、前回のときもお話がありましたが、不動産なんていうのは、金融となかなか区別しにくい。地価がこれから上がらないような世界になってきたときに、運用のほうで活性化させることになりますと、やはりそれに基づいたREITなんかも出てきているわけですから、特別それだけを違えるという理由はなかなか見つけにくいのではないかなという気がしまして、その辺は今後の検討対象になるのかなという感じです。

委員

ついでに少し悩ましい質問をもう2つしますが、特に最後におっしゃった不動産といいますか、土地の問題ですが、これは短期も入るのでしょうか。それから、フローとしての家賃とか、いわゆる不動産収入ですね。こちらも入るのでしょうか。

委員

いや、譲渡のほうです。

委員

長期の譲渡のときですか。

委員

そういうことですね。

委員

それ以上は踏み込まない。スウェーデンなどは踏み込んでいますが、踏み込まないということですね。

委員

ということが世界的にもスタンダードではないかなという気がします。

委員

私は、最初に質問申し上げたときは、配当とか利子、キャピタルゲイン、ロスを、これまでは分けてきたのですけど、今後は全部が同じような形になってくるのではないかと。例えば配当でやるのか、キャピタルゲイン、ロスでやるのかという方法もあるでしょうし、それから、わざと配当を減らしたり、いろいろなことができます。それから、預貯金もこれまで特別だと言われたものが現実的にはもう違ってくる。1,000万円以上であれば投資信託みたいなものと同じ形になるわけですから、これまでのような分類は、もはや少し考え直さなければいけないのではないかと、そういうことでございます。

委員

ついでですけど、今はフリーディスカッションをお願いしておりますけれども、事務局も含めて、座長として、こういうことを皆さんに1月以降の論議のためにも、少しご意見等があったらお聞きしておきたいのですが、1つが、わが国における個人の金融商品に対する投資行動について意見をいただきたい。例えばと言ったほうがいいかもしれませんが、「貯蓄から投資へ」という政策課題をいただいているわけですが、それと金融資産性所得の一体化をどういうふうにとらえるか。つまり、「貯蓄から投資へ」という政策課題を実現する手段としての一体化として、何か考えるべきことはあるかどうか。これが1点です。

もう1つが、先ほども1点強調しましたけれども、金融資産性所得の一体化といいますけれども、今日、具体的な金融商品を並べてみていただいて、改めてどのような範囲において一体化すべきか。今議論したのはそういうところですね。その場合の一体化というのはどういうことなのか。それは税率を一定にするということなのか。それから、多分一番重要なのは、損益通算をどこまでするのかですね。典型的にいうと、例えばスウェーデンなどは、金融所得のうちでも株式所得だけを別枠にして、そこだけしか損益通算を株については認めていませんし、しかもそのうちの70%しか認めていないとか、アメリカではキャップがかかっているとか、損益通算の限度があるとか、いろいろな仕組みがあるわけですが、どういうふうに考えたらいいのか。

例えばこういうようなことに関してご自由に、今日は少し時間がありまして、細かい議論を1月以降にするためにも、皆さん及び事務局で問題意識を共有しておきたいので、ぜひお願いいたします。

委員

委員はご専門ですから、当然そういうふうにおっしゃるのだろうと思いますが、課税のやり方というのは、所得なり収入の民法上なり商法上の法的性格を無視して現実の制度は組み立てられないというところに、非常に嫌らしいところがあるわけですよね。経済的実質と一緒だから、法的性格を全く無視して一体化して扱えれば一番いいのですが、なかなかそこが難しい。かといって、法的性格をあまり尊重しすぎると、アービトラージが行われてしまって、同じようなものなのに、あっちとこっちでニュートラリティーが害されるということがあって、先ほど別の委員がおっしゃったのも、金融所得という名前でもって一体化をすると、実物との関連が近いか遠いかでアービトラージが行われてしまって、そうすると、全部を及ぼすかとなると、それも難しいというようなことですし。

それから、また別の委員のおっしゃった話で、アキュムレーションとかアモチゼーションをどの範囲で繰延べに対応するためにやるかということで、本当は経済的なとか、金融論とか、そういう立場からすれば、中立性の観点からは、金銭の時間的価値を常に考えて制度を仕組まなければいけないのでしょうけれども、これは個人の所得税ですから、個人が申告できないような、計算できないような制度を作ってしまうことは、非常に嫌らしいですね。かといって、それが全然ないと、ストリップ債で分離したときにどうするかという問題が解決できなくなってしまって、個人には売れなくなってしまうというようなことも起こってきます。

今日の説明なども、そういう限界があるからこそそうなったのでしょうけれども、入ってくるほうに主に着目して、マイナスのほうの扱いはどうしても限定的にしか考慮できない。これは必然的なことなのですけれども、例えば利子費用ということでも、今は所得類型ごとに分けていますから、この収入金額を生み出すためにはこれは必要経費になる。それ以外は基本的に所得控除というのはありませんから、住宅の一部とか、アメリカとかでは別でしょうけれども、そういうふうに支払利子は基本的には無視する構造になっているわけですね。

ただ、ある銀行で住宅ローンを借りて、他方、預貯金を預けているというときに、預貯金20万円、銀行ローンの利子100万円払っていたら、本当はマイナスなのに、プラスの20だけ20%で税金取られるというのは、本当はおかしいわけですよね。でも、それはそれで法的な性格から全く解放されて、金融の観点からだけで推し進めていけないというところがどうしても出てきますね。それから、仲介機関段階の課税も、本当ならば一体的に考えなければいけないのです。

だから、経済理論的に考えれば、美しい世界は見えてしまうのですが、制度として仕組めない。仕組めるのでしょうけど、個人所得税向きではない。だったら個人所得税を廃止して消費税にいこうかと、そうもいかないわけですから、そこは理想を述べるときに、その理想を実現するためにはこんな手段があるという、法的な、法的でなくてもよろしいのですが、具体的な執行可能な手段もあわせて考えていただかないと、あとで執行する側が泣いてしまう。もちろん、そのおかげで裁判が増えれば、我々ロースクールの教材が増えますけれども、しかし、あまり生産的な話ではないということなのではないかと思うのです。

委員

この小委員会は、財政学者の方を中心に経済学者と税法学者と皆さんお入りになって、実務にかかわる方も少しお入りになっていらっしゃいますが、理想と現実とをきちんとこの場で、理想の担当側は理想を述べてみる、現実とか法律担当の方がその問題点を指摘する、それをすり合わせていく場だと思いますので、これからそういう問題意識をぜひ委員には提供していただければと思います。

委員

別にまとまった考えなり提案があるわけではないのですけども、委員がおっしゃったように、メンバーを見ますと、私以外は皆さん全部金融と税制の専門家の学者中心でありまして、実務をやってきているのは私一人ということで、いろいろなところからいろいろなことを言って来るのですが、それは別として、前回のフィンランドなど諸外国の問題は非常に勉強になりましたけれども、その中で、例えば法人税などの場合は、日本の経済界は国際競争力のために税率を下げろ下げろと言って、もちろん税調は「ノー」ということになっているわけですけれども、そういう意味で、金融資産に対する課税というのは、1つのグローバリゼーション的な統一性というものが必要なのかどうなのか。我々日本は日本だからいいのだということなのか。例えば、今日の日経の夕刊を見ていますと、法人の問題ですが、日米間で租税協定というものを2005年度から実施する方向が決まったというようなことも出ております。そうすると、今日説明を聞いた中では、スウェーデンなどは非常に簡単でいいというところもあります。それらに絡めて、グローバリゼーションという統一性の問題からどう考えるかというのが1つ。

それらから見た場合、日本の金融税制というのは位置づけはどの辺と考えたらいいのか。僕らから見ていると、非常に複雑でわけがわからないという感じはするのですけれども。ということは、別からいえば、投資家の立場、ということは納税者の立場ですね、そういう立場から見てどうかということで、大きな進歩は、やはり証券税制が非常にご努力いただいて、簡便になってきたということ。これは投資家は相当関心を強く持ち出してきているということはありますので、やはり「貯蓄から投資へ」という大きな方向に沿って、国際的な問題と、あるいは国内的な問題、両方からどういう位置づけでやったらいいかというのが、私の問題意識であります。これは今すぐにご返答ということではありませんけど、今後の議論の中で、実際の投資家なり、あるいはマーケットの立場からも、いろいろの情報は提供していきたいと思っております。

委員

ありがとうございます。よろしくお願いいたします。

委員

少し角度が違いますが、今まで2つあって、各商品がどう税金がかけられているか。それで、20%と26%があったり、恐らくまだそこであるとすれば、まだ総合課税に一部残っているものはなぜなのかというのがあると思いますけども、もう1つは損益通算の範囲をどうするか。ただ、今日触れられていなかったことで、各国のケースで、個人の住宅の支払利子控除に関して、少し説明いただきたいのですけども、上限等々はあるとしても、すべての国でモーゲージの利子というのは控除されていますよね。

事務局

この中で出てきている国の中では、アメリカだけでございます。そのほかの先進主要国では控除を認めておりません。それから、スウェーデンがこのフローチャートでいうと、事業目的以外の借入金利子、これは資本所得から差し引きます。

委員

スウェーデンは引かれないですか。住宅を買ったとき。

事務局

今申し上げたのは、先進主要国、いわゆる G5のイメージで申し上げたのですが、スウェーデンは資本所得から差し引いています。フィンランドも取得、補修のための借入金利子、これを資本所得から差し引いております。

委員

だから、その問題も一元化していくときに、今は住宅ですけれども、支払利子控除をどう扱っていくかという問題も同時に出てきますよね。それは日本の住宅税制というのは非常に特別で、特別措置で税額控除的なものをやってきて、その意味では、所得税の資本所得課税という観点からは、ある意味で抜本的な扱いをしてきたわけではないわけで、だから日本もそこの問題をどうするかというのは同時に議論しなければいけないのだろうなと思います。

委員

今の問題は、講演などに行くと必ず出てきて、引いてくれという議論が必ず出てくるのですけど、ただ、個人が借金する場合と企業が借金する場合と同一視して議論していることが多々あるわけです。企業が土地を買ったり建物を建てたときに、支払利子というのは当然コストで引いて、そのかわりそれを使って出てきた収益に対して、リターンとして課税をかけるわけでしょう。個人はその類推上言うなら、帰属家賃にかけるとか何かしないとだめですよ。結局、減価償却の問題と支払利子の問題で、個人は最終消費者的に扱っているわけでしょう。リターンにかけていないのだからという相殺の議論が僕は一般的だと思いますけどね。

委員

そういう議論が必要になるということで。というのは話はむしろ逆な方向に振れていて、スウェーデンにしてもノルウェーにしてもどこでも、この問題がむしろ形としては帰属家賃は課税ベースに入っている。どう決算するかはともかくとして、それが多い少ないはあるのですけども。ただ、イシューはそこではなくて、そういうときに支払利子を控除して、昔、限界税率がものすごく高かった。だから借金して家を買う。そのときのインピューティド・インカムというのが適切に反映されていない。あるいはヨットを買っちゃうとか、それは所有していることで課税ベースに入らないものを買って、それがキャピタルゲインに化けちゃうとか。むしろそういうのを、支払利子は控除させるけども、乱用させないように税率を下げたわけですよね。むしろ税率を下げたほうが公平になるのだというのがポイントで、恐らくこれから金融所得を一元化していくときも、今、現実問題では20%、それが特例で10%になっているわけですけども、その辺の税率にしてまとめていくときには、体系的にはそこで支払利子も控除させて閉じていかないと、辻褄が合わないような気はするのです。それは必ずしも金持ち優遇だとかそういうことではなくて、日本は今はそうではないですけど、スウェーデンでもどこでも金持ち優遇であったのは、むしろ総合課税したから金持ち優遇だったということだったんです。

事務局

まさに委員がおっしゃるように、北欧の二元的所得税がなぜ発生したかというのは、もともとあちらの国では支払利子控除というのがあって、それが非常に乱用されたので、損益通算を制約して資本所得のかごを作ってという議論だったと思います。それはまさにそうです。私ども、今回ぜひご検討いただきたいのは、もちろん所得税制全体の基本的な構造を前提にしつつも、金融資産所得課税をいかに合理化していくか。そういう意味では、二元的所得税という枠組みだけにとらわれずにぜひご議論いただきたいということ。

それから、支払利子の問題は、別途所得税本法の議論としてあると思いますが、基本的には、事業所得の支払利子については当然経費になりますけれども、個人のいわゆる普通の消費者ローンなどは、消費の所得処分の一形態であるととらえておりまして、所得計算上は経費にはできないと思います。

歴史的に支払利子を所得控除していた国は、アメリカも実はそうなのですが、アメリカは結局問題だということで全廃しようとしたのですが、歴史的にどうしても住宅の部分のローンだけ残っています。私どもとしては、その部分は今回の金融資産所得課税の一体化、合理化とは、ちょっと別な話ではないかなと今認識しております。ただ、本法をいろいろこれ以外に、所得税の本質的な議論もまだこれからしていただきたいと思っていますので、そういう大きな中でまた別の角度からのご議論もあろうかと思います。

住宅税制については、また別途政策税制としていろいろな議論はあろうかと思っております。

委員

委員は大分考え込んでいらっしゃいますが、何かご意見おありになるのではないですか。ほかの論点でももちろん構いませんけど。

委員

まず、議論としてどこまで広げるか、あるいは限定するかという問題のほかに、特に何のために議論するのかというところで、ちょっと超越的になるかもしれませんが、そもそも税金には2つポイントがあって、まず税収を確保したいという議論ですよね。ですから、見てみると大した額でもないような気もするのですが、5兆円なり6兆円なり税収を確保する。それを金融所得の中でとにかく確保したいのだと。そのときにどういう税体系を組むか。もちろんこれが1つ。それは税収の制約がありますから。

もう1つ、同じ5兆円、6兆円規模の税収を上げるときに、可能な限り歪みのないように、ここで言う歪みというのは、あまり投資をディスカレッジしないこと、それから、より重要なのはもちろんアボイダンス関係ですから、特に所得の種類によってあまり税金の格差がありますと、当然そこにマニピュレーションが起きますので、できるだけアボイダンスを少なくするというところだと思うのです。

恐らくここでの議論は、あくまでもある一定の所得を上げる、税金を上げるという枠の中で、可能な限り歪みをなくしたいという意向なのか、あるいは金融所得課税の是非そのものを問う、つまり極端な場合やめちまえという話になるのかもしれませんが、そうすると税率の規模、どれぐらいの税収を取るべきなのかという、そこも議論しているのか。

それから、もう1つ、ちょっと僕が気になっているのは、最近、間接金融から直接金融へと、そのシフトが望ましいと。それはそのとおりなのですけれども、そういうのは税で後押しすることなのか。というのは、むしろ税がそれを阻害しているならば、その阻害は中立化するべきですけれども、別に人々が株式投資することに補助金を与えるべきではないし、それは個人の自由でやっていることですから、マーケットが特に失敗しない限りにおいては、やはり税というのは可能な限り中立であるべきだと思います。

税収の確保の側面と、政策論として直接金融を発展させるという意図でそういう議論をしているのか。その辺が、どれが優先というより、分けて考えたほうがいいのではないかと思うのですが。

委員

一応私の理解は、やはりさっきおっしゃったように、歪みとアボイダンスが、これから国際化をして、デリバティブとかいろいろ情報化していって、そういうときに問題になるだろうから手当てをしたいということであって、税収確保ではないというのが一応の私の理解です。

それから、「貯蓄から投資へ」という流れに関しては、これはむしろ私の個人の意見ですが、特に税制を使って「貯蓄から投資へ」という流れを作ることは、多分無理だろうと私は思っていて、ただ、今みたいな状況から、景気がよくなって株価が上がってきて、要するに株式投資に魅力が出てきたときに、一般投資家が非常に株に投資しやすい環境を予め用意しておく。そういうことをすることが結果として「貯蓄から投資へ」の流れを加速することになるのではないかと個人的には思っています。もちろん、皆さんほかのご意見があれば、そこについてはどうぞご自由に。

委員

そこで何をやっているのかということと、さっきの事務局のお話に戻りますけれども、やはり税収の面からいえば、総合課税して、最高税率が37%、地方税を入れて50%、そういう形の総合課税で整理ができるかということが税収確保では最大問題で、それはまずこの資本所得の性格からいって、利子でかけるのは無理だろうと。しかし、税収はやはり取らなければいけないと。取る以上はきっちりスマートに、委員がおっしゃるように、できるだけ歪みのない形で取りたい。

言葉の使い方が若干あって、金融所得と言ったり、我々経済学者は、労働に対しては金融所得は対応しないで資本所得しかあり得ないわけですよね。資本所得は金融からも来るし、土地からも来るし、今日全然触れていない人的資本からも来るわけですよね。だから、税は取りたい。しかし、スマートに取りたい。そこで金融という言葉だけが出てしまっているのだけれども、齟齬があるのは、我々はどうしても資本所得をどうするか。資本にはいわゆる実物の資本もあるし、土地もあるし、人的がある。そこで閉じようとすると、僕はいつも思うのですけども、借金して大学院に来てもらいたいと。一人でも院生を確保したいと思って。あるいはロースクールに行く。これは半端な話ではだんだんなくなるわけですよね。授業料が200万円だとかして、借金してくると。そのときの借金は人的資本に対する投資のために借り入れているわけだから、例えていえば個人でも1つの事業ですよね。借金して自分に投資して、ローヤーになって、自立していく。そういう形になると、そこも閉じると、そういう人的資本に対する借入れに対する支払利子も引かなければいけないという形。

あと、今日は触れられていなかったのですが、僕が間違えているかもしれませんが、多分間違えていないと思うのですけども、僕はノルウェーのケースを出すと一番いいと思う。一番きれいな二元所得税だから。ベーシック・インカムの中にはたしか労働所得も入っていました。全部入っていて、28%できれいにスパッと税率は一律でいくわけです。その範囲の中では、損益通算もへったくれもなくて、あらゆる資本がそこに入っていて通算してくる。しかも支払利子は控除できる。ただし、労働所得に関しては、税はそれだけでは足りないから、今度は控除を認めないで根っこから取ってしまうよという形だったと思うのです。だから、委員の話に対する続きでしゃべっているのですけども、恐らくここでやるのは、どこの範囲までやるのかという中で、さらに絞っていって、金融所得に関してはすっきりやろうということだということで理解すれば、それなりにいくし、それ以上箱をあけてしまうのか、というのはありますよね。

事務局

来年の夏をめどにということで、前回座長が1つのレポートをこの小委員会で出そうというお話をしていただきました。我々といたしましては、この金融という問題、今日ご紹介しましたように、特に換金段階の状況が相当区々になっている状況、これを使っていろいろなすり抜ける商品等もできているという状況を目の当たりにいたしております。こういったものをいかにレベルアウトするか。

さらに、先ほど来お話の貯蓄から投資、こういう大きな政策課題にもできるだけ早くこたえなければならない。そのためのインフラとしては、例えば納番というのもどのように仕組めばいいのか。具体的な政策課題を抱えております。所得税本法を根本から見直すことは、相当困難というか、時間をかけてじっくり議論すべき問題であると考えております。

まず第一歩という意味で、税調答申、いわゆる去年の基本方針、それから今年の中期答申を書いていただけておりますけれども、金融資産性所得の一体化、これを目指すこと、まずこれをしない限りは次にも行かないのかなというのが、あくまで事務局の見解でございます。それは委員皆様のご論議次第でございます。

事務局

大変こういう議論をやっていただくのはありがたいと思っています。実は私どもの思いは、本当はもっとすごく大きいことも含めて、先ほど委員の言われた、本当は多分こういうものについても、国際間の調和という話が多分いずれ出てくる。アメリカで配当課税の見直しの議論があったのも、間違いなく日本の証券税制の影響があちらにも響いていった話ではあるのです。ですから、そういう意味では、明らかにこういう先進国間の金融課税をどう調整するかという話も、将来的に大変大きな課題だろうと思うのですただ、当面は、今、事務局が申しましたように、実は金融商品の多様化というのが、まず税制を頭に置いていろいろな金融商品が作られて、今度はいろいろな商品が出てくると、それをどう課税するかで、それが売れたり売れなくなったりすることが実は出てくる。これはあまり税として好ましくない。そういう意味では、そうした金融商品の多様化に対して、ある種の1つのルールをできるだけ金融資産性所得に対して作っておきたい、お願いをしたいというのが、まず根っこに焦眉の急としてあります。

同時に、間接金融から直接金融へといったときに、ペイオフみたいなものが生ずれば、間接金融もまた元本損傷ということがあるのですけれども、やはり直接金融となると、元本割れ、言いかえれば損をどう見るかという話が出てくる。このあたりが金融所得の損益通算をどこまで見るのか、あるいは、これをさらには勤労所得へというのは、あることはありますけども、多くの国はこれはかなり制限的にやっているわけでありまして、そういう意味では、こういう金融所得の損益通算をある程度見ていかないと、「間接金融から直接金融へ」という流れも出てこない。そのあたりをフェアにするにはどこまで考えるか。そこでは、我々はやはり税金を集めなければならない立場としては、それによって税収がほとんど損なわれるという事態は、これまた避けなければならないものですから、そういう意味で、税収もそこで頭に置きながら整理をしていただけたらと。

同時に、大きな課題としては、今、委員が言われたとおり、本当は資本所得と労働所得という考え方であるはずでして、そういう意味では、将来的には金融資産性所得だけの話ではない。それはさらには総合課税にどうつなげるか、つなげないのか、という議論にもなるわけですが、とりあえずのところは、まず、今言った資産性金融所得について、ある程度の1つのより簡素な税体系を作っていただきたい。

今回、とりえずおかげさまで実現した証券税制はその第一歩なので、さらにそれを、できれば納番みたいなものを使う必要があるなら使ってでも、より簡素で合理的な制度に切り替えていけたらと、そういう思いが我々としてはあるということです。

ただ、今日いただいているようなより広範な議論も、やはり税調としては大変重要な、多分それはいずれ基礎小委員会のほうにもはね返るような話になるのだろうと思うのですが、この機会に聞かせていただけたらと思う次第です。

委員

他の委員も、後になりますけれども、気がついたことがあれば、ぜひご発言ください。

委員

先ほど小委員長の言われた「貯蓄から投資へ」という話ですけれども、これは15年度改正で、世界的にも5年間の10%の優遇というのは大変なことだと思うのです。それはすでにもうできている。税率だけではなくて、徴税方法というのも非常に大きな問題だと思いますが、これも特定口座ということでできて、申告が不要になった。だから、今回以上の「貯蓄から投資へ」というのは、世界的に見てもあまり考えにくいのではないかという気がするのです。5年たったらもとへ戻さなければいけないから、そのときにまた逆効果があるかもしれないというので、その辺はどうすべきかということもあるかとも思いますが、すでにやったことの効果を確認するということも重要なのではないかなと思うのです。相当これが影響を与えているはずです。

それで、徴税というものの中で、徴税方法あるいは徴税のコストということも非常に大きな課題ではないかと思います。例えばこれからは、特に金融税制になると、ITを利用して、今回の特定口座みたいに、公平に、効率的に徴税するということが可能になる一番やりやすい分野ではないかと思うのです。例えば納番を入れるとか、それから、本人確認の問題が、技術がものすごく今進歩していますから、ITの技術の進歩を使えば、非常にやりやすくなる分野ではないかと考えています。そういうことも含めて、ただ税率だけということではなくて考えていくと、非常に効率的なのではないかなと考えます。

委員

納税環境整備については、1月以降、きちっと時間を取って議論をしたいと考えています。

委員

せっかくですので、一言申し上げます。

最初の小委員長が問いかけになられました「貯蓄から投資へ」という点につきましては、私は委員と全く同じで、税制が後押しをしてやる必要はないだろう。しかし、邪魔になっているところがもしあれば、それは直すべきであるという、全くそのとおりの、賛成であります。

一体化の範囲等につきましては、やや後ろ向きな議論になりますが、こういうことも考えております。局長がおっしゃったことと、それから二度目に委員がおっしゃったこととかかわるのですが、確かに金融商品が多様化している、高度化している。そこから大きな問題が起こっているということは、私なりには認識をしております。

問題は、金融所得に課税をするときに、そこに集中して全体のデザインをするのが正しいのかどうかという問題ではないかと思うのです。委員は先ほど、うまく仕組んでも、個人所得税向けでない制度になってしまっては困るということをおっしゃって、それは総論としては全く私は賛成ですが、ごく一般のというと変な言い方かもしれませんが、普通の人がやっている預貯金と、ある程度以上の所得階級で、しかも金融についてかなりの知識がある人たちが扱っている商品が、全く同じ扱いになるのかというと、これはやや私は疑問に思っています。その意味で、一本化という点からいうと、やや後ろ向きですと申し上げたのはそういうことなのです。危ない損失が出るタイプのものを含めて、1つの金融商品というもののグルーピングをして、そこにバリアを設けることは、よくわかりますし、その方向は基本的には賛成ですが、しかし、例えば典型的な預貯金というようなものが、それと本当に全く同じだろうかということは、若干分けて考える手がかりもあるのではないかと思います。

ペイオフのことを委員もおっしゃいましたし、これは非常に大きな問題であると思うのですが、普通の家計が持っている預貯金について、ペイオフで一千何百万円が吹っ飛んだときに、そのほかの、仮に15年とかという年限をつけても、微々たる金融所得と通算できますよというので、本当にそれが制度として成り立つのか。一定範囲については、これは爆弾発言だと思いますが、雑損失で扱うというような手も絶対ないとは言えないと思うのです。その典型的な商品と、かなり広いところまで含めていいですが、グレーな部分というのは、分けるという発想はあるのかもしれないと思います。

投資損失とか、そもそも預貯金については元本がなくなることがないという発想は、ある種一回事業や給与で課税された後は、家計に入っているという意味合いがあったのだろうと思います。先ほど壺をガチャンとやったらというのは、まさにそういうイメージで伺いましたが、日本の雑損失というのは、ご承知のように、基本的に範囲が限られていますから、別に今の雑損失72条に含めなさいということではありませんが、ほかの所得と大きく通算できる部分を仕組む。それはごく典型的な特殊な場合である。しかし、それ以外のものは、またそれ以外のルールで一本化するというようなことも、僕はあっていいのではないかと、この段階では考えております。

委員

私は、間接金融、直接金融という表現とか、「貯蓄から投資へ」という表現は用語として使いたくないので、安全資産とリスク資産というふうに申し上げたいと思いますが、安全資産に保有が集中しているのを、もう少し危険資産を家計に持ってもらいたいというときに、税制で積極的に後押しする必要はない。障害があれば除去すればいいのだという、それはそのとおりだと思うのですが、その場合に現状認識として、障害があると見るのか見ないのかということなのですが、税率が全部一律で与えられたとしても、ゲインがあったとき、インカムゲインでもキャピタルゲインでもいいのですけど、例えばゲインがあったときには20%かかるけれども、ロスがあったときには20%戻してくれるわけではないわけですね。その効果がある限り、リスク資産のほうの実質税率は実は高くなるのです。必ずそれは高くなるわけです。その限りで歪みを発生させるわけです。そういう歪みをできるだけ小さくするためには、ポートフォリオを組んで、そのポートフォリオの中で通算ができて、それによってロスが出る機会ができるだけ小さくできれば、今申し上げたような意味での歪みも小さくできるということがあるわけで、その限りでは、リスク資産と安全資産の間の裁定条件を、プレタックスで考えたときの裁定条件と、アフタータックスで考えたときの裁定条件の間のずれをできるだけ小さくするためには、かなり広範囲に家計がポートフォリオとして組む対象となるような資産の間については、すべて損益通算を認めるのが望ましいというのが基本的な経済学の考え方になるのではないかと。

委員

委員がおっしゃっているのは、ペイオフのロスみたいな非常に大きなものが出たときには、ひょっとしたら労働所得を使ったり、あるいは繰越しをしたり、そういう形での損の処理もあるのではないかと、そういうご趣旨かと思いますが。

委員

ペイオフでロスを被る可能性があるとすれば、それは事前にレートとかに織り込まれているはずなわけで、それがプレタックスの裁定条件で何か考えられるとしますよね。事後的にもしあったときに、税制上優遇してもらえるとすれば、それをまたカウントに入れたときの裁定条件みたいなものが考えられますよね。そこの2つの間に大きなずれを作ってはいけないというのが考え方ではないかと。

委員

だんだん本質論になってきて、1月の議論になっていますね。ちょっと簡潔に。すみません。

委員

委員のおっしゃることはよくわかっていますし、私のような議論をすると、なお預貯金が有利になるというご反論も予想はしておりました。ただ、私が申し上げたかったのは、むしろ先端部分ではない家計の、会計分類を見てもわかるように、貧しい、普通の日本人の家計が扱っている金融商品と、かなりプロ的な人たちが扱っている商品というのは、本質的に違う部分があるのではないか。経済学的には一緒だとおっしゃればそうですが、社会的現実としては、違う部分があり得るのではないか。それを税で同じに扱うというのが賢いやり方だろうかと、そういう疑問を呈しただけで、経済学的にはそれは同じだとおっしゃれば、全く納得いたします。

委員

いろいろな話がありますから、それは次回にしましょう。

委員

委員の言われた一体化の範囲について、一言意見を申し上げます。この点は委員の点にも関係するのですが、もしロスが出たときに還付をきちんとするのが中立的になるためには、所得の計測をきちんと正確にやっている必要がありますが、現在の制度のもとでは実現主義をとっていますから、全く所得はきちんと出ていない。つまり利子所得とか配当所得という所得類型があること自体が実現主義の産物なので、そこのところは留保が必要ではないかと思います。

この点が一体化の範囲と中身についての内容の委員長の点に関係するのですが、結局、ほかの国の資料を見ていても、譲渡所得の部分が別建てになっていますよね。つまり、これは金融所得といっても、それはずっと繰り延べて実現主義のもとでやっている部分と、そうではなくて、インカムゲインがいつも来るというタイプのものは、やはり何か違いがあるのではないかと。そこを無視して表面だけを取り繕っても、それは全く意味がないと思います。

そこのところを本当に解決するためには、時価主義をとるしかなくて、それは法人税の世界ではもうすでになっています。また、裁決事例などを見ても、個人でもクロス取引をするとか、ストラドルをするとか、そういうことがやはりありますので、プロの世界というか、金融をやっている個人についてはそういうことがあると思うのです。しかし、これが大多数の貯金だけという人との世界とどういうふうに整合するかというところで、非常に制度設計の難しいところがあると思いますので、一体化をするにしても、そこのところを議論すべきだというのが私の意見です。

委員

ありがとうございます。

1月に議論することのかなりのものが少し見えてきたのかなと思いますが、最後に2、3点だけ、皆さんのご意見を、どうしてもこれをおっしゃっておきたいということがあったらお聞きしたいことがあります。

1つは15年税制改正に関してですが、15年税制改正について、金融・証券税制はすでにもう大きな改正を行ったわけで、この小委員会としては、今度は逆に金融資産性所得の一体化に向けた、今日やったような議論を、具体的制度設計作業としてこれから行おうというわけで、そうした中で、16年度改正について、金融関係で何かそういうことがあるのかどうかということです。これについて事務局から先ほど説明があった中では、15年度改正で措置された事項についての手直し的なものはあり得るかもしれないけれども、基本的には今言ったようなことで、一体化議論をするのだから、最小限のものにとどめるということでよろしいのかなと私も思っているのですが、何かご異論があればお聞かせいただければ。

委員

それが33ページの16年1月1日以降というもの、関係すると思ってしゃべっているのですけども、ここでよくわからないのは、さっきのご説明だと、網掛けの「×」のところですよね。解けていない問題というか、まだ要望がある問題は、公募の株式投信のときで、解約したときの益はどう扱うかということでしょう。解約したときの益の通算はどうするか。そうすると、譲渡益のときの通算は「○」にしたと。解約のときの通算は「○」にすべきかどうかということですよね、わかりやすく言えば。逆にいうと、なぜこれは「×」でなければいけないのかという聞き方をすると、答えは何なのか。

事務局

いわゆる益というのは配当所得、期中の分配金と同じように、例えば5年ものの投信であれば、1年目にもらった、2年目にもらった、それで最後にもらった、これは同じだろうということで、配当所得であると。片やキャピタルロスの世界ですから、これは通算するのはまたぐ話になるという議論をしたわけでございます。

委員

解約はどう考えるのですか。

事務局

解約については、解約損でございますから、損の配当というのはないだろうと。これは譲渡損とみなしてしまうと、そういうことをしたわけです。今回、まさに解約と譲渡で、委員がおっしゃるように、実態としてもどう違うのという議論がございまして、やはり期中と期末は違うだろうというご論議も出てくるかもしれないと思います。

委員

要するに、基本的には見直しを考えていいよねという、そういう形で。

ついでですが、私の理解では、事務局の説明ではもう1点見直しを考えてもいいかというのがあったと思っていまして、それは19ページの投資信託等の公募株式投資信託の売却のところは譲渡所得になって26%なんだけど、解約償還だと配当で20%、当面10%だということで、非常に差がある。しかも、これは前者は外国、後者は国内投信に使われているので、ここもちょっとまずいというふうに私は理解していて、ここら辺については考えるということかなと思いますが、何かご意見があれば。よろしいでしょうか。

それでは、今日は大変活発なご意見をいただきまして、大変ありがとうございました。

金融小委の開催は年内は今回が最後となり、来週以降総会が開催されて、16年度改正の答申策定に向けた審議が行われます。金融小委は、私のほうで今回と前回の議論をまとめて、来週の総会に報告させていただきたいと思います。

次回以降の小委員会ですが、年明けに開催することになりますけれども、具体的な日時、議題については、決まり次第ご連絡いたします。その際には、これまでの議論の中で事務局に対する宿題とされている事項については、説明を受け、議論を行いたいと思います。

では、本日の小委員会はこれで終わりにいたしたいと思います。どうもありがとうございました。

〔閉会〕

(注)

本議事録は毎回の総会後、速やかな公表に努め、限られた時間内にとりまとめるため速記録から、財務省主税局及び総務省自治税務局の文責において作成した資料です。

内容には正確を期していますが、税制調査会議事規則に基づき、事後の修正の可能性があることをご承知置きくだい。

金融小委員会